説明

腐食性裏打ち部材を有するヒドロゲル組成物

【課題】組成物であって、水膨潤性水不溶性ポリマー、および親水性ポリマーと、この親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーとのブレンドを含む組成物を提供すること。
【解決手段】この組成物はまた、裏打ち部材も含む。活性成分(例えば、ホワイトニング剤)が含まれ得る。この組成物は、口腔包帯(例えば、ホワイトニングが必要な歯に適用される、歯のホワイトニング組成物)としての有用性が見出されている。この組成物は、一定のホワイトニングが達成された時に除去されるか、または所定の位置で放置されて完全に腐食させ得るように設計され得る。特定の実施形態において、この組成物は半透明である。これらの組成物を調製および使用する方法もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、ヒドロゲル組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、創傷包帯として有用な、そして口のような粘膜組織に多種多様な活性な薬剤(歯の漂白剤を含む)を投与するためのヒドロゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
歯の変色は、社会的に広く生じ、そして3人の成人中2人に生じると推定される。歯の変色は審美的欠陥または欠点とみなされ、そして自覚が生じ、微笑みさえも抑制することによって被影響者の人生に負の結果をもたらし得る。歯の変色は、清潔で白い歯を見せることが重要な状況および専門的職業に、特に苦痛であるかまたは厄介であり得る。
【0003】
歯は、象牙質内層およびわずかに多孔性の硬質エナメル外層からなる。この外層は、歯の保護層である。歯の天然の色は、不透明から半透明の白色またはわずかに灰白色である。歯の着色は、タンニンおよび他のポリフェノール化合物のような化合物の、歯への曝露の結果として生じる。これらの化合物は、歯の表面上のタンパク層に捕捉または結合され、そしてエナメルおよび象牙質にさえも浸透し得る。時には、若いときに個体に投与された場合に歯内に沈着し得る歯の内部の供給源(例えば、テトラサイクリン)から、着色が生じ得る。
【0004】
表面着色は、たいてい、歯の機械的洗浄によって除去され得る。しかし、変色したエナメルまたは象牙質は、機械的な歯の洗浄方法の影響を受けにくく、化学的方法(歯の構造中に浸透し得る)が、着色を除去するのに必要である。歯の変色に対する最も有効な処置は、変色を引き起こす色素体分子と反応し、これらの色素体分子を無色または水溶性のいずれかにするか、あるいは無色かつ水溶性にし得る、酸化剤(例えば、過酸化水素)を含む組成物である。
【0005】
従って、歯のホワイトニング組成物は、一般に、以下の2つのカテゴリーに分類される:(1)着色した歯の表面で機械的に攪拌されて、表面の着色を研磨腐食することにより歯の着色除去に作用する、練り歯磨きを含めた、ゲル、ペースト、または液体;および(2)着色した歯の表面と特定の期間接触している間に、化学プロセスによって歯の漂白効果を達成し、その後にこの処方物が除去される、ゲル、ペースト、または液体。ある場合には、補助的な化学プロセス(これは、酸化的であっても酵素的であってもよい)が、機械的プロセスを補完する。
【0006】
いくつかの歯科用組成物、例えば歯磨剤、練り歯磨き、ゲル、および粉末は、活性酸素または過酸化水素を遊離する漂白剤を含む。このような漂白剤としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の過酸化物、過炭酸塩(percarbonate)および過ホウ酸塩、または過酸化水素を含む錯化合物が挙げられる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物塩は、歯のホワイトニングに有用であることが知られている。
【0007】
歯のホワイトニング組成物の処方者に利用可能な多くの過酸化物のうち、過酸化水素(およびその付加物または会合複合体、例えば、過酸化カルバミドおよび過炭酸ナトリウム)が、ほぼ排他的に用いられてきた。過酸化水素の化学的性質は周知であるが、歯の色素体との相互作用の特有の性質は、十分には理解されていない。過酸化水素は、着色分子中に見出される不飽和の炭素−炭素、炭素−酸素、および炭素−窒素結合を酸化し、従って、これらの着色分子を無色にまたは可溶性にすることによって、歯の色素体を破壊すると考えられている。
【0008】
関連クラスの化合物であるペルオキシ酸は、主にそれらの溶液中の安定性およびあるタイプの着色分子に対する特異的結合能によって、衣服を効果的に白くするために洗濯用洗剤中に用いられてきた。ジペルオキシドデカン酸、およびモノペルオキシフタル酸のマグネシウム塩を含めた、多くの安定な固体ペルオキシ酸が用いられてきた。他のペルオキシ酸(例えば、ペルオキシ酢酸)は、酢酸、過酸化水素、ペルオキシ酢酸および水の平衡分布を含む溶液として入手可能である。あるいは、過ホウ酸ナトリウムまたは過炭酸ナトリウムのような過酸化物供与体は、ペルオキシ酸前駆体と一緒に処方される。水と接触すると、過酸化物供与体は過酸化水素を放出し、次いで、この過酸化水素はペルオキシ酸前駆体と反応して、真のペルオキシ酸を生成する。インサイチュで生成されるペルオキシ酸の例としては、ペルオキシ酢酸(過酸化水素とテトラアセチルエチレンジアミンから)およびペルオキシノナン酸(過酸化水素とノナノイルオキシベンゼンスルホネートから)が挙げられる。
【0009】
ペルオキシ酸はまた、着色した歯をホワイトニングするために、口腔ケア組成物中にも用いられてきた。Churchらの特許文献1は、酸性pHを有するペルオキシ酢酸含有組成物の適用を包含する、歯をホワイトニングする方法を記載する。Churchらの特許文献2は、歯をホワイトニングするための組成物の調製におけるペルオキシ酢酸の使用を記載する。ペルオキシ酢酸は、組成物中に存在してもよく、または、過酸化物源とペルオキシ酢酸前駆体を組み合わせて使用することによってインサイチュで生成させてもよい。例えば、Viscioの特許文献3は、水、アセチルサリチル酸および水溶性過炭酸アルカリ金属と組み合わせることによって、インサイチュでビヒクル内にペルオキシ酢酸を生成する組成物を記載する。
【0010】
最も一般に用いられる歯科用ホワイトニング剤は、過酸化カルバミド(CO(NH)であり、尿素過酸化水素、過酸化水素カルバミド、およびパーヒドロールウレアとも呼ばれる。過酸化カルバミドは、数十年の間、口腔消毒剤として歯科医によって用いられてきたが、歯の漂白は、接触時間の延長により観察された副作用であった。処方箋不要の10%過酸化カルバミドの組成物は、Marion LaboratoriesによるGLY−OXIDE(登録商標)として、ならびにReedおよびCarnrickによるPROXIGEL(登録商標)として入手可能であり、これらは、歯との接触をもたらすためにトレーまたは類似の容器中に保持されなければならない低粘着性組成物である。快適にフィットする歯科用トレーを所定の位置に長時間保持することが可能な漂白ゲルは、Ultradent Products,Inc.,in South Jordan,Utahから商標OPALESCENCE(登録商標)のもとで入手可能である。
【0011】
このような組成物が所定の位置に留まるためには、これらの組成物は粘稠性の液体またはゲルでなければならない。歯科用トレーの使用はまた、このトレーが快適に適合され、そしてこのトレーが人の歯または歯茎に圧迫を加えたり刺激を引き起こしたりすることのないようにフィットすることも必要とする。このようなホワイトニング組成物は、必然的に、唾液による希釈に耐えるために十分に粘着性かつ粘稠性であるように処方されるべきである。
【0012】
個体の歯をホワイトニングする1つの方法において、歯科専門家は、患者の生歯から作製した型穴から、患者にあつらえた歯科用漂白トレーを構築し、そして、漂白トレー中に投薬され、歯の着色の重症度に応じて約2週間から約6ヶ月間にわたって間欠的に着用される、酸化ゲルの使用を処方する。これらの酸化組成物(たいてい、小さなプラスチックシリンジまたはチューブ中に包装されている)は、約60分間よりも長く、そして時には8〜12時間もの長い接触時間の間、口中の所定の位置に保持された、あつらえの歯の漂白トレー中に、患者によって直接投薬される。この遅い漂白速度は、主に、酸化組成物の安定性を維持するために開発される処方物のまさにその性質の結果である。
【0013】
例えば、Jensenの特許文献4は、歯のホワイトニング組成物を記載し、これらの組成物は、組成物が処置されるべきヒトの歯の表面に隣接した位置に保持されるように、好ましくはトレーと共に用いられる。これらの組成物は、十分な量の粘着性付与剤(例えば、カルボキシポリメチレン)と溶媒(例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、または水)を組み合せることによって形成される、粘着性のマトリックス材料として記載される。
【0014】
別の例において、Pellicoの特許文献5は、ポリオール、増粘剤、およびキサンタンガムを含めた、無水ゼラチン状キャリア中に分散した過酸化カルバミドを含むゲル組成物の形態の、歯のホワイトニング組成物を記載する。
【0015】
さらに別の例は、Hernandezの特許文献6に記載され、これは、0.5〜6重量%の間の適切なゲル化剤を含むゲル中に処方された、過酸化カルバミド(0.3〜60%)、キシリトール(0.5〜50%)、カリウム塩(0.001〜10%)およびフッ素塩(0.15〜3%)を含む組成物の使用を記載する。
【0016】
歯に付着する、歯のホワイトニング組成物は、Dirksingの特許文献7および特許文献8に記載される。これらの特許によると、ゲルは、30〜85%のグリセリンまたはポリエチレングリコール、10〜22%の尿素/過酸化水素複合体、0〜12%のカルボキシポリメチレン、0〜1%の水酸化ナトリウム、0〜100%のトリエタノールアミン(TEA)、0〜40%の水、0〜1%のフレーバー、0〜15%のクエン酸ナトリウム、および0〜5%のエチレンジアミン四酢酸を含む。Dirksingによる好ましいゲルは、低い剪断速度(1未満1/秒)で200〜1,000,000cpsの間の粘着性を有し、そしてトレーの必要性を除去するために十分に接着性である。
【0017】
現在入手可能な歯の漂白組成物は、50%を超える患者に歯の感作を引き起こすという重大な不利益を有する。歯の過敏症は、これらの組成物中のグリセリン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの存在に起因して、象牙質の細管を介した流体の移動(歯の中の神経終末で感じられる)から生じ得る。これは、熱、冷たさ、過度に甘い物質、および他の原因物質への歯の曝露後に、種々の量の歯の感受性を生じ得る。
【0018】
現在実施されているような、漂白組成物への歯の長期曝露は、歯の過敏症の悪影響に加えて、多くの悪影響を有する。これらの悪影響としては、5.5未満のpHでエナメル層からカルシウムが浸出すること;これらの漂白剤による無傷のエナメルおよび象牙質の浸透および歯髄組織に損傷を与える危険にさらすこと;ならびにこれらの漂白組成物が唾液で希釈される結果として生じる、歯科トレーからの浸出と引き続く使用者による摂取が挙げられる。
【0019】
いくつかの酸化組成物(一般に、比較的高い濃度の酸化剤を有する)は、歯科医または歯科衛生士の管理で、歯科医院の条件下の患者の歯の表面に直接適用される。理論的に、このような歯のホワイトニングストラテジーは、より速い結果およびより良い全体的な患者の満足感をもたらす。しかし、これらのいわゆる「医院内」組成物中に含まれる高濃度の酸化剤により、これらの組成物は、注意して取り扱われなければ、患者にとっておよび同様に開業医にとっても危険であり得る。歯のみが突出するように、まず、患者の軟組織(歯肉、唇、および他の粘膜表面)を、有孔ゴムシート(ラバーダムとして知られる)を用いて活性酸化剤への潜在的曝露から隔離しなければならない。あるいは、歯肉輪郭に適合するように成形される重合可能な組成物で軟組織を被覆し、そして引き続いて、高輝度光源に曝露することによって硬化させることによって、この軟組織は、このホワイトニングプロセスに用いられる酸化剤から単離され得る。一旦、軟組織が隔離されそして保護されると、開業医は、指定期間または歯の色に十分な変化が生じるまで、この着色した歯の表面上に酸化剤を直接適用し得る。医院内での歯の漂白剤の使用により得られる代表的な結果は、約2〜3シェードの範囲に及ぶ(VITA Shade Guide(VITA
Zahnfarbik)で測定されるように)。
【0020】
VITA Shade Guideにおける歯のシェードの範囲は、非常に明るい(B1)から非常に暗い(C4)まで変化する。合計16の歯のシェードは、輝度のスケール上のこれらの2つの終末点間に全範囲の色を構成する。歯のホワイトニング手順を用いた患者の満足感は、達成された歯のシェード数の変化とともに増大し、一般に認められている望ましい最小変化は約4〜5VITAシェードである。
【0021】
歯をホワイトニングするためのデンタルケア製品について、個体の歯からステインを除去するためにホワイトニング剤を含む接着性ヒドロゲルを用いてデンタルケア製品を提供するのが望ましい。さらに、粘膜表面のための保護包帯を提供するために、または活性な薬剤の送達(例えば、粘膜組織、歯の表面、歯茎、粘膜および他の口腔組織への薬剤の経粘膜送達)を提供するために、製品の開発が常に必要とされている。組成物は、活性な薬剤と歯または他の口腔表面との間の接触を生じるために歯科用トレーの使用を必要としないことが望ましい。このような製品は、理想的には、最小限の歯の刺激感応性を引き起こすかまたは歯の刺激感応性を引き起こさず、活性な薬剤の漏出(結果的に、使用者により摂取されるか、または歯茎もしくは口の粘膜に損傷もしくは炎症を生じる)を最小限にするかまたは排除し、より長い着用期間、活性な薬剤の持続性分解、効力の改善をもたらし、そして患者によって十分に許容される。固体組成物でありそして粘着性であるが使用者の指に固着しないデンタルケア製品、または非固体(例えば、液体またはゲル)でありそして乾燥するとフィルムを形成するデンタルケア製品を提供することも望ましい。最終的に、現在のデンタルケア製品は、この系が所定期間(例えば、30分間)着用された後に使用者によって除去される必要がある。活性が放出された後にまたは所望の治療もしくは美容効果が達成された後に自己腐食し得る製品を開発することが望ましい。なぜなら、このような系は患者のコンプライアンスを改善させるためである。本発明は、これらの必要性に取り組む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第5,279,816号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第545,594号明細書
【特許文献3】米国特許第5,302,375号明細書
【特許文献4】米国特許第6,368,576号明細書
【特許文献5】米国特許第5,718,886号明細書
【特許文献6】米国特許第6,419,905号明細書
【特許文献7】米国特許第5,989,569号明細書
【特許文献8】米国特許第6,045,811号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
(発明の開示)
本発明の1つの態様は、水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマーとこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーのブレンドを含む、ヒドロゲル組成物に関する。歯のホワイトニング剤のような活性な薬剤もまた含まれ得る。この組成物は、湿潤環境においてヒドロゲルよりも緩徐な速度で腐食する裏打ち部材をさらに含む。ヒドロゲルは固体であり、使用前に裏打ち部材に装着され得る。ヒドロゲルはまた、非固体であり、使用中に裏打ち部材に装着され得る。
【0024】
好ましい実施形態において、水膨潤性水不溶性ポリマーは、セルロースエステル、またはアクリレートポリマーであり;親水性ポリマーは、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、またはそのコポリマーおよびブレンドであり;そして親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーは、多価アルコール、ポリアルキレングリコールまたはカルボキシル末端ポリアルキレングリコールである。好ましい活性な薬剤は、過酸化物のようなホワイトニング剤である。
【0025】
この組成物は、必要に応じて低分子量の可塑剤を含み、そしてまた、賦形剤、防腐剤、pH調節剤、軟化剤、増粘剤、着色料(例えば、顔料、染料、屈折粒子など)、調味料(例えば、甘味料、香味料)、安定剤、界面活性剤、強化剤および粘着性除去剤からなる群より選択される少なくとも1つの添加物も含み得る。
【0026】
組成物の好ましい使用方法において、この組成物は、歯のホワイトニング組成物であり、そしてホワイトニングが必要な歯に適用され、次いで、一定のホワイトニングが達成されると除去される。ある実施形態において、歯のホワイトニング組成物は半透明であり、そしてこの組成物は、達成されるホワイトニングの程度に使用者が満足したときに除去される。
【0027】
本発明のなお別の態様は、水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマーとこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーとのブレンド、および活性な薬剤を含む組成物に関する。1つの態様において、この活性な薬剤は、過酸化物、亜塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。この組成物は、ヒドロゲルよりも緩徐な速度で腐食する裏打ち部材をさらに含む。
【0028】
本発明の別の態様は、口腔ケア組成物または経粘膜性組成物への組み込みに適したヒドロゲルフィルムの調製のための方法に関する。この方法は、溶媒中において、水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマー、およびこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーの溶液またはゲルを調製する工程;この溶液の層を表面上に析出させて、その上にコーティングを施す工程;ならびに、このコーティングした基材を約1〜約4時間の範囲の期間にわたって約80℃〜約100℃の範囲の温度に加熱し、それによってその基材上にヒドロゲルフィルムを生じる工程を包含する。
【0029】
本発明の組成物を形成する別の方法において、この方法は、水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマー、およびこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーの混合物を、押出機によって溶融加工して、押出組成物(この組成物は、適切な基材上に所望の厚さのフィルムとして押し出される)を形成する工程を包含する。この基材は、腐食性の裏打ち部材であり得るか、または、この組成物は、後に腐食性の裏打ち部材上にプレスされるかもしくは積層され得る。この方法は、ヒドロゲルフィルムにホワイトニング剤のような活性な薬剤をロードし、それによって歯のホワイトニング組成物を提供する工程をさらに包含する。
【0030】
本発明の接着剤組成物は、先行技術に対して多数の重要な利点をもたらす。特に、本組成物は、先行技術を越える1つ以上の下記の利点をもたらす:
(1)取り扱いの容易さをもたらし;
(2)接着性、吸収性、透光性、および膨潤性のような性質が制御および最適化され得るように、製造中に容易に改変され;
(3)この組成物が湿るまでは粘着性にならないように、粘着性が水分の存在下で増加または減少するように処方され得;
(4)活性な薬剤が含まれる場合、組成物から粘膜表面上(例えば、使用者の口中)への活性な薬剤の漏出を最小限にし;
(5)歯または粘膜表面からヒドロゲル組成物を除去することなく、使用者がホワイトニングの程度を見ることができるように、半透明に製造され得;
(6)歯茎または口中の粘膜への損傷を最小限にし;
(7)快適にかつ目立たずに着用され得;
(8)歯または粘膜表面から容易に除去され、かつ残留物を全く残さず;
(9)着用または作用の期間延長を受け入れ可能であり;
(10)種々の活性な薬剤の持続放出および制御放出をもたらし得;
(11)所定期間の後に腐食するように処方され得;そして
(12)一方向性に(例えば、粘膜組織へのみ)、または双方向性に(例えば、粘膜表面へと同時に口腔へ)活性な薬剤を送達するように処方され得、そして粘膜表面および口腔への送達の相対速度は、所定の透過性を有する裏打ち部材を選択することによって制御される。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
以下を含む組成物:
(a)以下を含むヒドロゲル:
(i)水膨潤性水不溶性ポリマー;
(ii)親水性ポリマーと該親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーとのブレンド;および
(iii)任意の活性な薬剤;ならびに
(b)裏打ち部材であって、湿潤環境において該ヒドロゲルよりも緩徐な速度で腐食するポリマー組成物から構成される、裏打ち部材。
(項目2)
前記水膨潤性水不溶性ポリマーが、セルロースエステル、アルギン酸、またはアクリレートポリマーである、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記セルロースエステルが、非エステル化セルロースモノマー単位、セルロースアセテートモノマー単位、およびセルロースブチレートモノマー単位またはセルロースプロピオネートモノマー単位のいずれかを含む、少なくとも1つのセルロースポリマーから構成される、項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記アクリレートポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはメタクリル酸エチルのポリマーおよびコポリマーから選択される、項目2に記載の組成物。
(項目5)
前記親水性ポリマーが、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目6)
前記相補的オリゴマーが、多価アルコール、モノマーおよびオリゴマーのアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、カルボキシル末端ポリアルキレングリコール、アミノ末端ポリアルキレングリコール、エーテルアルコール、アルカンジオールおよび炭素二酸から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目7)
前記相補的オリゴマーが、前記水膨潤性水不溶性ポリマーに水素結合または静電結合可能である、項目1に記載の組成物。
(項目8)
前記裏打ち部材が、アクリレートポリマー、セルロース誘導ポリマー、セルロースエステル、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、ポリアミノ酸、およびこれらの組み合わせから選択される材料から構成される、項目1に記載の組成物。
(項目9)
前記アクリレートポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸エチルから形成されるポリマーより選択される、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記セルロース誘導ポリマーが、水和セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびこれらの混合物から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目11)
前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートブチレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ならびにそれらの混合物、ポリマーおよびコポリマーから選択される、項目8に記載の組成物。
(項目12)
前記デンプンが、バレイショデンプンの酢酸エステル、トウモロコシデンプン、およびこれらの混合物から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目13)
前記アルギン酸塩が、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、およびこれらの混合物から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目14)
前記ポリアミノ酸が、ポリリジン、ポリグリシン、ポリアラニン、プロタミン、およびこれらの混合物から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目15)
前記水膨潤性水不溶性ポリマーおよび裏打ち部材が、アクリレートポリマーから構成され、かつ該裏打ち部材アクリレートポリマーが、該水膨潤性水不溶性アクリレートポリマーよりも低い溶解性を有する、項目1に記載の組成物。
(項目16)
前記水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマー、および相補的オリゴマーの相対量が、前記ヒドロゲルに透光性を与えるように選択される、項目1に記載の組成物。
(項目17)
前記ヒドロゲルが固体である、項目1に記載の組成物。
(項目18)
約0.1〜60重量%の活性な薬剤を含む、項目17に記載の組成物。
(項目19)
約1〜20重量%の水膨潤性水不溶性ポリマーを含む、項目17に記載の組成物。
(項目20)
約20〜80重量%の親水性ポリマーを含む、項目17に記載の組成物。
(項目21)
約10〜50重量%の相補的オリゴマーを含む、項目17に記載の組成物。
(項目22)
前記ヒドロゲルが液体またはゲルである、項目1に記載の組成物。
(項目23)
約0.1〜60重量%の活性な薬剤を含む、項目22に記載の組成物。
(項目24)
約0.1〜20重量%の水膨潤性水不溶性ポリマーを含む、項目22に記載の組成物。
(項目25)
約1〜40重量%の親水性ポリマーを含む、項目22に記載の組成物。
(項目26)
約0.1〜20重量%の相補的オリゴマーを含む、項目22に記載の組成物。
(項目27)
吸収性賦形剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目28)
前記組成物が、感圧接着剤であって水を吸収する、項目1に記載の組成物。
(項目29)
前記ヒドロゲルが、湿潤環境に配置した約1秒〜24時間後に腐食する、項目1に記載の組成物。
(項目30)
前記ヒドロゲルが、湿潤環境に配置した約10秒〜8時間後に腐食する、項目29に記載の組成物。
(項目31)
前記裏打ち部材が、前記ヒドロゲルが腐食した約12〜24時間後に前記湿潤環境において腐食する、項目1に記載の組成物。
(項目32)
前記裏打ち部材が、前記ヒドロゲルが腐食した約12時間後に前記湿潤環境において腐食する、項目31に記載の組成物。
(項目33)
前記裏打ち部材が、前記ヒドロゲルよりも少なくとも約25%緩徐に腐食する、項目1に記載の組成物。
(項目34)
前記裏打ち部材が、前記ヒドロゲルよりも少なくとも約50%緩徐に腐食する、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記裏打ち部材が、前記ヒドロゲルよりも少なくとも約100%緩徐に腐食する、項目34に記載の組成物。
(項目36)
前記裏打ち部材が、前記ヒドロゲルよりも少なくとも約200%緩徐に腐食する、項目35に記載の組成物。
(項目37)
前記ヒドロゲルが固体であり、使用前に裏打ち部材に装着される、項目1に記載の組成物。
(項目38)
前記ヒドロゲルが液体またはゲルであり、使用中に裏打ち部材に装着される、項目1に記載の組成物。
(項目39)
前記活性な薬剤が存在する、項目1に記載の組成物。
(項目40)
前記裏打ち部材が、前記活性な薬剤に対して不透過性である、項目39に記載の組成物。
(項目41)
前記裏打ち部材が、前記活性な薬剤に対して選択的に透過性である、項目39に記載の組成物。
(項目42)
前記活性な薬剤が、過酸化物、亜塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるホワイトニング剤である、項目39に記載の組成物。
(項目43)
前記過酸化物が、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルバミド、およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目42に記載の組成物。
(項目44)
前記過酸化物が、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、過酸エステル、過炭酸塩、ケトンペルオキシド、およびヒドロペルオキシドからなる群より選択される、項目42に記載の組成物。
(項目45)
前記亜塩素酸金属が、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸塩、および二酸化塩素からなる群より選択される、項目42に記載の組成物。
(項目46)
調味料をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目47)
前記調味料が、ウィンターグリーン、ペパーミント、スペアミント、メントール、フルーツ香味料、バニラ、シナモン、香辛料、香味油およびオレオレジン、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目46に記載の組成物。
(項目48)
スクロース、フルクトース、アスパルテーム、キシリトールおよびサッカリンからなる群より選択される甘味料をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目49)
賦形剤、防腐剤、pH調節剤、軟化剤、増粘剤、着色料、顔料、染料、屈折粒子、調味料、甘味料、安定剤、強化剤、粘着性除去剤、および浸透促進剤からなる群より選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目50)
歯をホワイトニングするための方法であって、以下の工程:
ホワイトニングを必要とする歯に項目1の組成物を適用する工程
を包含する、方法。
(項目51)
所望のホワイトニングの程度が達成されると前記組成物を除去する工程をさらに包含する、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記ヒドロゲルが固体であり、前記裏打ち部材に装着され、ここで、前記適用工程が、単一工程において前記組成物を適用する工程を包含する、項目50に記載の方法。
(項目53)
前記ヒドロゲルが非固体であり、ここで、前記適用工程が、前記歯に該ヒドロゲルを適用する工程、続いて、該ヒドロゲルに前記裏打ち部材を適用する工程を包含する、項目50に記載の方法。
(項目54)
前記組成物が剥離ライナーを含み、該剥離ライナーは、前記歯への該組成物の適用前に除去される、項目50に記載の方法。
(項目55)
前記所望のホワイトニングの程度が、所定期間の後に達成される、項目50に記載の方法。
(項目56)
前記所定期間が、約10分〜約24時間である、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記所定期間が、約10分〜約8時間である、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記所定期間が、約30分〜1時間である、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記組成物が、長期間着用され得る、項目50に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明を実施するための形態)
(I.定義および命名法)
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、別段の指示がない限り、特定のヒドロゲル材料または製造プロセスに限定されず、従って変化し得るものとして理解されるべきである。本明細書中で使用される技術用語は、特定の実施形態を説明する目的のためにすぎず、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に他のものを示さない限り、複数の対象を包含することが留意されるべきである。従って例えば、「親水性ポリマー(a hydrophilic polymer)」への言及は、単一の親水性ポリマーのみならず、2つ以上の異なる親水性ポリマーの組み合わせまたは混合物をも包含し、「可塑剤(a plasticizer)」への言及は、単一の可塑剤のみならず、2つ以上の異なる可塑剤の組み合わせまたは混合物をも包含する、などである。
【0032】
本発明を説明および主張する際、以下に列挙された定義に従って以下の技術用語が使用される。
【0033】
「疎水性」および「親水性」ポリマーの定義は、100%の相対湿度でポリマーによって吸収される水蒸気の量に基づく。この分類によると、疎水性ポリマーは、100%の相対湿度(「rh」)にて最大でわずか1重量%の水を吸収するにすぎず、一方、中程度に親水性のポリマーは1〜10重量%の水を吸収し、親水性ポリマーは10重量%より多くの水を吸収可能であり、そして吸湿性ポリマーは20重量%より多くの水を吸収する。「水膨潤性」ポリマーは、水性媒体中に浸漬される際に、それ自体の重量の少なくとも25重量%より多く、そして好ましくはそれ自体の重量の少なくとも50重量%の水の量を吸収するポリマーである。
【0034】
本明細書において用語「架橋された」とは、共有結合または非共有結合のいずれによって生じるかにかかわらず、分子内および/または分子間架橋を含む組成物をいう。「非共有」結合は、水素結合および静電(イオン)結合の両方を包含する。
【0035】
用語「ポリマー」は、線状および分岐ポリマー構造物を包含し、そしてまた架橋ポリマーならびにコポリマー(架橋されていてもされていなくてもよい)も包含し、従って、ブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマーなどを包含する。本明細書中で「オリゴマー」と呼ばれる化合物は、約1000Da未満、好ましくは約800Da未満の分子量を有するポリマーである。
【0036】
用語「ヒドロゲル」は、相当量の水を吸収して弾性ゲルを形成し得る水膨潤性高分子マトリックスをいう従来の意味において使用され、ここで、「マトリックス」は、共有または非共有架橋で結合させた高分子の三次元網目構造である。水性環境中に配置すると、乾燥ヒドロゲルは、架橋度によって許容される範囲で膨潤する。ヒドロゲルはまた、腐食し得る。
【0037】
「ヒドロゲルが腐食する」にあるような用語「腐食する」または「腐食性裏打ち部材」にあるような用語「腐食し得る」は、腐食、溶解、崩壊、および分解のプロセスを包含すること、ならびにしばしば生物腐食性または生物分解性と呼ばれる物質を包含することを意図する。ヒドロゲルおよび裏打ち部材が湿潤環境中に散逸する機構に関係なく、裏打ち部材の成分は、裏打ち部材がヒドロゲル成分よりも緩徐な速度で「腐食する」ように好ましく選択される。
【0038】
用語「活性な薬剤」、「薬理学的に活性な薬剤」および「薬物」は、所望の薬理学的、生理的作用を引き起こし、そして治療的に有効であるか、予防的に有効であるか、または美容薬学的に有効な薬剤を含む化学物質または化合物をいうのに、本明細書中で交換可能に使用される。この用語はまた、本明細書中に具体的に記載される活性な薬剤(塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、包接複合体、アナログなどが挙げられるが、これらに限定されない)の薬学的に受容可能な、薬理学的に活性な誘導体およびアナログも包含する。用語「活性な薬剤」、「薬理学的に活性な薬剤」および「薬物」が使用される場合、活性な薬剤自体、ならびに薬学的に受容可能な、薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、包接複合体、アナログなどの両方が包含されることが理解されるべきである。
【0039】
用語「歯のホワイトニング組成物」とは、本明細書中で定義されるようなヒドロゲルおよびホワイトニング剤を含む組成物をいう。
【0040】
用語「ホワイトニング剤」とは、代表的には、以下により詳細に議論されるように、過酸化物または亜塩素酸塩のような酸化剤をいう。ある場合に、ホワイトニング剤は、歯からステインを除去するための酵素または他の触媒手段であり得る。ホワイトニング剤は、1以上のさらなるホワイトニング剤、界面活性剤、アンチプラーク剤、歯石防止剤および研磨剤を含み得る。ホワイトニング剤は、さらなる治療上の利点を有し得る。
【0041】
美容薬学的活性な薬剤の用語「有効量」または「美容薬学的有効量」は、非毒性であるが、所望の美容効果を生じるのに十分な量の美容薬学的活性な薬剤を意味する。薬物または薬理学的に活性な薬剤の用語「有効量」または「治療的有効量」は、非毒性であるが、所望の治療効果を生じるのに十分な量の薬物または薬剤を意味することを意図する。「有効な」量は、個体の年齢および全身状態、特定の活性な薬剤または薬剤などに応じて被験体間で変動する。従って、正確な「有効量」を特定することは、必ずしも可能なわけではない。しかし、任意の個々の場合において適切な「有効」量は、当業者によって常法に従った実験を用いて決定され得る。さらに、本発明の組成物または剤形中に組み込まれる活性な薬剤の正確な「有効」量は、その濃度が、治療的に有効な範囲内の活性な薬剤の量を送達するために処方物の即時適用を可能にするのに十分な範囲内にある限り、重要ではない。
【0042】
「口腔」表面または「体表面」にあるような用語「表面」は、粘膜体表面(例えば、舌下、頬、膣、直腸、尿道)、ならびに口腔内および口腔周囲の表面(例えば、歯、唇、歯茎、粘膜)を含むことを意図する。これらの表面は、代表的に、本明細書中で「湿性」環境と呼ばれるものに位置している。
【0043】
「経粘膜」薬物送達は、薬物が粘膜組織(例えば、舌下、頬、膣、直腸、尿道)を通って個体の血流中に入り、それによって全身作用を生じるように、個体の粘膜組織表面への薬物の投与を意味する。用語「経粘膜」は、局所および全身作用の両方を包含することを意図し、従って、局所投与、すなわち、例えば、局所作用をもたらすための種々の粘膜組織障害の処置の場合のように、粘膜への局所薬の送達を包含する。
【0044】
用語「粘着性」および「粘着性の」は、定性的である。しかし、本明細書中で使用される場合、用語「実質的に非粘着性の」「わずかに粘着性の」および「粘着性の」は、以下の通り、PKIまたはTRBT粘着性定量法で得られる値を用いて定量化され得る。「実質的に非粘着性の」とは、約25g・cm/秒未満の粘着性値を有するヒドロゲル組成物を意味し、「わずかに粘着性の」とは、約25g・cm/秒〜約100g・cm/秒の範囲の粘着性値を有するヒドロゲル組成物を意味し、そして「粘着性の」とは、少なくとも100g・cm/秒の粘着性値を有するヒドロゲル組成物を意味する。
【0045】
用語「水不溶性」とは、水中の溶解度が5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満(20℃の水中で測定される)である化合物または組成物をいう。
【0046】
用語「半透明」は、物体または像が物質を通して見えるように、光を透過することが可能な物質を示すのに、本明細書中で使用される。本明細書中の半透明の物質は、「透明」であってもなくてもよく、透明とは、物質が光学的に明澄であることを意味する。用語「半透明」は、物質が「不透明」ではないことを示す。不透明である場合、物体または像がこの物質を通して見えない。
【0047】
(II.ヒドロゲル組成物)
本発明の組成物は、水膨潤性水不溶性ポリマー、および親水性ポリマーと相補的オリゴマーのブレンド、および必要に応じてホワイトニング剤のような活性な薬剤から構成される単相ヒドロゲルである。水膨潤性水不溶性ポリマーおよびオリゴマーの両方とも、親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能であり得る。
【0048】
この組成物はまた、湿潤環境においてヒドロゲルよりも緩徐な速度で腐食するポリマー組成物から構成される裏打ち部材も含む。
【0049】
水膨潤性水不溶性ポリマー、すなわち、水性液体中に浸した場合に膨潤可能であるが、選択されたpH範囲内(一般に、pH5.5未満)で水に不溶性であるポリマーは、セルロースエステル、アルギン酸、またはアクリレートポリマーである。用語「アクリレートポリマー」は、アクリレートポリマーおよびコポリマーならびにアクリレート系ポリマーおよびコポリマーを包含することを意図し、そしてアクリル酸ポリマーまたはアクリル酸エステルポリマーである。このポリマーは一般に、水中または水性液体中に浸した場合、それ自体の重量の少なくとも25重量%だけ、そして好ましくは少なくとも50重量%だけ膨潤する。特定の親水性ポリマーを利用するいくつかの実施形態において、組成物は、その乾燥重量の1400重量%ほども膨潤し得る。
【0050】
1つの実施形態において、組成物は、歯のホワイトニング組成物であり、ここで、ホワイトニング剤は、この組成物が適用される歯の表面を白くするために機能する。しかし、このホワイトニング剤は、例えば、治療剤または他のタイプの美容薬学的薬剤(例えば、スキンライトニング用)として、他の有用性を有し得る。従って、本明細書中に記載されるこれらの組成物は、疾患状態の処置のために体表面(例えば、歯、爪、皮膚、粘膜など)に適用される薬学的組成物としての有用性を見出し得る。例えば、過酸化水素はまた、ホワイトニング剤であると同時に、抗菌性および抗挫瘡性も有する。従って、本発明はまた、本発明の過酸化水素含有組成物を体表面に適用することによって感染または挫瘡を処置することも企図する。他の疾患状態としては、例示の目的で非限定的に、真菌感染、挫瘡、創傷、スキンライトニングなどが挙げられる。さらに、多くの活性な薬剤が本発明の組成物中に組み込まれて、口腔を冒す種々の疾患を処置し得る。
【0051】
(A.水膨潤性水不溶性ポリマー)
固体組成物について、水膨潤性水不溶性ポリマーは、この組成物の約1〜20重量%、好ましくは約6〜12重量%に相当し;親水性ポリマーは、この組成物の約20〜80重量%、好ましくは約40〜60重量%に相当し;相補的オリゴマーは、この組成物の約10〜50重量%、好ましくは約15〜35重量%に相当し;そして活性な薬剤は、存在する場合、この組成物の約0.1〜60重量%、好ましくは約1〜30重量%に相当する。最適には、相補的オリゴマーは、この親水性ポリマー/相補的オリゴマーのブレンドの約10〜80重量%、好ましくは約20〜50重量%に相当する。
【0052】
非固体組成物について、水膨潤性水不溶性ポリマーは、この組成物の約0.1〜20重量%、好ましくは約2〜6重量%に相当し;親水性ポリマーは、この組成物の約1〜40重量%、好ましくは約4〜10重量%に相当し;相補的オリゴマーは、この組成物の約0.1〜20重量%、好ましくは約0.5〜10重量%に相当し;そして活性な薬剤は、存在する場合、この組成物の約0.1〜60重量%、好ましくは約1〜40重量%に相当する。最適には、相補的オリゴマーは、この親水性ポリマー/相補的オリゴマーのブレンドの約1〜85重量%、好ましくは約5〜50重量%に相当する。
【0053】
接着プロフィールは、このブレンド中のポリマーのタイプ、構成比および水の程度に基づいて調整され得る。水膨潤性水不溶性ポリマーは、水和に関して所望の接着プロフィールをもたらすように選択される。つまり、水膨潤性水不溶性ポリマーがセルロースエステルである場合、この組成物は一般に、水と(例えば、湿性表面と)接触する前には粘着性であるが、組成物が水分を吸収するにつれて徐々に粘着性を失う。水膨潤性水不溶性ポリマーが、アクリレートポリマーまたはコポリマーである場合、一般に、水と接触する前には実質的に非粘着性であるが、湿性表面と接触すると粘着性になる組成物が提供される。
【0054】
水膨潤性水不溶性ポリマーは、水性液体中に浸した場合、少なくともある程度の膨潤が可能であるが、水に不溶性である。親水性ポリマーは、水不溶性ポリマーを可溶化するのを助けるために機能し得る。このポリマーは、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルロースジアセテート(CDA)、セルローストリアセテート(CTA)、などのセルロースエステルから構成され得る。これらのセルロースエステルは、米国特許第1,698,049号、同第1,683,347号、同第1,880,808号、同第1,880,560号、同第1,984,147号、同第2,129,052号、および同第3,617,201号に記載され、そして、当業者に公知の技術を用いて調製され得るかまたは商業的に入手可能である。本明細書中で適切な市販のセルロースエステルとしては、CA320、CA398、CAB381、CAB551、CAB553、CAP482、CAP504が挙げられ、それらの全てが、Eastman
Chemical Company,Kingsport,Tenn.から入手可能である。このようなセルロースエステルは、代表的には、約10,000〜約75,000の間の数平均分子量を有する。
【0055】
一般に、セルロースエステルは、セルロースおよびセルロースエステルモノマー単位の混合物を含む;例えば、市販のセルロースアセテートブチレートは、セルロースアセテートモノマー単位ならびにセルロースブチレートモノマー単位および非エステル化セルロースモノマー単位を含み、一方、セルロースアセテートプロピオネートは、セルロースプロピオネートのようなモノマー単位を含む。本明細書中で好ましいセルロースエステルは、以下に示すようなブチリル、プロピオニル、アセチル、および非エステル化(OH)セルロース含量を有する、セルロースアセテートプロピオネート組成物およびセルロースアセテートブチレート組成物である:
【0056】
【表1】


好ましい分子量、ガラス転移温度(T)および融解温度(T)もまた示される。また、適切なセルロースポリマーは、代表的に、重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン溶液100ml中の0.5グラムのサンプルについて25℃の温度で測定されるように、約0.2〜約3.0デシリットル/グラム、好ましくは約1〜約1.6デシリットル/グラムのインヘレント粘度(I.V.)を有する。溶液流延技術を用いて調製される場合、水膨潤性水不溶性ポリマーは、より大きな凝集強さを得るために選択されるべきであり、従って、フィルム形成を促進する(一般に、例えば、セルロースアセテートプロピオネートは、セルロースアセテートブチレートよりも高い程度まで凝集強さを改善する傾向にある)。
【0057】
他の好ましい水膨潤性ポリマーは、一般にアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、および/または他のビニルモノマーから形成される、アクリレートポリマーである。適切なアクリレートポリマーは、Rohm Pharma(ドイツ)から商標「Eudragit」のもとで入手可能なコポリマーである。Eudragit(登録商標)シリーズE、L、S、RL、RSおよびNEコポリマーは、有機溶媒中に可溶化されて、水性分散系中で、または乾燥粉末として入手可能である。好ましいアクリレートポリマーは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、例えば、Eudragit LおよびEudragit Sシリーズポリマーである。特に好ましいこのようなコポリマーは、Eudragit L30D−55およびEudragit L100−55である(後者のコポリマーは、水で再構成可能な噴霧乾燥形態のEudragit L30D−55である)。Eudragit L30D−55およびEudragit L100−55コポリマーの分子量は約135,000 Daであり、遊離カルボキシル基 対 エステル基の比は約1:1である。Eudragit L100−55コポリマーは、一般に、5.5未満のpHを有する水性流体中において不溶性である。別の特に適切なメタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーはEudragit S−100であり、これは、遊離カルボキシル基 対 エステル基の比が約1:2であるという点で、Eudragit L30D−55と異なる。Eudragit S−100は、5.5未満のpHで不溶性であるが、Eudragit L30D−55とは異なり、5.5〜7.0の範囲のpHを有する水性流体中において溶解性が低い。このコポリマーは、pH7.0以上で可溶性である。Eudragit L100もまた用いられ得、これは、pH6.0未満で不溶性である限りにおいて、Eudragit L30D−55とEudragit S−100の間のpH依存性の溶解度プロフィールを有する。Eudragit L30D−55、L100−55、L100、およびS100は、類似のpH依存性の溶解度特性を有する他の受容可能なポリマーと交換可能であることが、当業者によって理解される。他の適切なアクリレートポリマーは、BASF AG(ドイツ)から商標「Kollicoat」のもとで入手可能なメタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマーである。例えば、Kollicoat MAEは、Eudragit L100−55と同じ分子構造を有する。
【0058】
水膨潤性ポリマーがアクリル酸またはアクリレートポリマーである場合、可逆的に乾燥され得るヒドロゲルが提供される。すなわち、水および任意の他の溶媒の除去後、乾燥したヒドロゲルは、水の添加によって本来の状態に再構成され得る。さらに、アクリル酸/アクリレート水膨潤ポリマーを用いて調製される親水性ヒドロゲルは、一般に、水と接触する前には実質的に非粘着性であるが、口の内部(例えば、歯の表面上)に見出されるような湿性表面と接触すると粘着性になる。水と接触する前には非粘着性であるこの性質により、ヒドロゲルが粘着性になる前に、または粘着性になると、選択された表面上に位置決めまたは再位置決めが可能になる。一旦水和されると、ヒドロゲルは粘着性になり、歯の表面または粘膜表面に接着する。
【0059】
さらに、アクリレートポリマー 対 親水性ポリマー/相補的オリゴマーブレンドの比は、水性環境における膨張率および膨張度が所定のpH依存性を有するように選択され得るが、アクリレート含有組成物は一般に、水または他の水性液体中にpH5.5未満でヒドロゲル組成物を浸漬すると、約400%〜1500%の範囲で膨潤を生じ得る。この特徴はまた、ホワイトニング剤または他の活性な薬剤の逆行取り込み(例えば、この組成物に過酸化物、ペルオキシ酸、亜塩素酸塩、安定剤、香料などをロードすること)も提供する。
【0060】
対照的に、水膨潤性ポリマーの1つとしてセルロースエステルを組み込むことにより、ヒドロゲルは、湿性表面に適用する前には粘着性であるが、水を吸収すると非粘着性になる。このような組成物は、歯からの製品の最終的な除去のために粘着性の低下が所望される場合には望ましくあり得ることが理解される。
【0061】
別の適切な水膨潤性水不溶性ポリマーはアルギン酸であり、これは、5.5未満のpH値で水に不溶性であるが、水を吸収して膨潤し得る。
【0062】
(B.親水性ポリマー)
ヒドロゲル組成物の第2の成分は、親水性ポリマーと、この親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーとのブレンドである。これを「ブレンド」と呼ぶことにより、この親水性ポリマーとこのオリゴマーの相互作用が、ヒドロゲルの性質を支配することを意味することを意図する。しかし、水膨潤性水不溶性ポリマーの添加は、所望の特性を有する単相ヒドロゲルを生じるように、このブレンドの性質を調整するのに役立つ。このような調整は、特定の水膨潤性水不溶性ポリマーの選択、または若干のポリマーの包含、または製造中に他の成分(親水性ポリマー、相補的オリゴマー、活性な薬剤など)へポリマーを添加するタイミングによっても達成され得る。
【0063】
親水性ポリマーは、一般に比較的高分子量のポリマーであり、そして相補的オリゴマーは一般に、より低い分子量のポリマーである。固体組成物について、水膨潤性水不溶性ポリマーは、この組成物の約1〜20重量%、好ましくは約6〜12重量%に相当し;親水性ポリマーは、この組成物の約20〜80重量%、好ましくは約40〜60重量%に相当し;相補的オリゴマーは、この組成物の約10〜50重量%、好ましくは約15〜35重量%に相当し;そしてホワイトニング剤は、この組成物の約0.1〜60重量%、好ましくは約1〜30重量%に相当する。最適には、この相補的オリゴマーは、親水性ポリマー/相補的オリゴマーのブレンドの約10〜80重量%、好ましくは約20〜50重量%に相当する。
【0064】
適切な親水性ポリマーとしては、N−ビニルラクタムモノマー、カルボキシビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、カルボキシビニルモノマーのエステル、ビニルアミドモノマー、および/またはヒドロキシビニルモノマーから誘導される反復単位が挙げられる。このようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアクリルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、置換および非置換アクリル酸ポリマーおよびメタクリル酸ポリマー(例えば、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアミン、それらのコポリマーならびに他のタイプの親水性モノマー(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマーが挙げられる。
【0065】
本明細書において有用なポリ(N−ビニルラクタム)は、好ましくは、N−ビニルラクタムモノマー単位の架橋されていないホモポリマーまたはコポリマーであり、N−ビニルラクタムモノマー単位は、ポリ(N−ビニルラクタム)コポリマーの全モノマー単位の大部分を占める。本発明と関連して用いるのに好ましいポリ(N−ビニルラクタム)は、1つ以上の下記のN−ビニルラクタムモノマーの重合によって調製される:N−ビニル−2−ピロリドン;N−ビニル−2−バレロラクタム;およびN−ビニル−2−カプロラクタム。N−ビニルラクタムモノマー単位を用いて有用な非−N−ビニルラクタムコモノマーの非限定的な例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸またはその塩、および酢酸ビニルが挙げられる。
【0066】
ポリ(N−アルキルアクリルアミド)としては、例えば、ポリ(メタクリルアミド)およびポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)が挙げられる。
【0067】
カルボキシビニルモノマーのポリマーは、代表的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸および無水物、マレイン酸またはフマル酸のような1,2−ジカルボン酸、無水マレイン酸、あるいはそれらの混合物から形成され、この分類内で好ましい親水性ポリマーとしてはポリアクリル酸およびポリメタクリル酸が挙げられ、ポリアクリル酸が最も好ましい。
【0068】
本明細書において好ましい親水性ポリマーは、以下である:ポリ(N−ビニルラクタム)、特にポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルカプロラクタム(PVCap);ポリ(N−ビニルアセトアミド)、特にポリアセトアミドそれ自体;カルボキシビニルモノマーのポリマー、特にポリアクリル酸およびポリメタクリル酸;ならびにそのコポリマーおよびブレンド。PVPおよびPVCapが特に好ましい。
【0069】
親水性ポリマーの分子量は、重要ではない;しかし、親水性ポリマーの数平均分子は、一般に、約100,000〜2,000,000の範囲であり、より代表的には、約500,000〜1,500,000の範囲である。オリゴマーは、親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能であるという点で、親水性ポリマーに「相補的」である。好ましくは、相補的オリゴマーは、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基で終結する。オリゴマーは、代表的には、約−100℃〜約−30℃の範囲のガラス転移温度Tおよび約20℃よりも低い融解温度Tを有する。オリゴマーはまた、非晶質であってもよい。親水性ポリマーとオリゴマーのT値間の差は、好ましくは約50℃より大きく、より好ましくは約100℃より大きく、そして最も好ましくは約150℃〜約300℃の範囲である。親水性ポリマーおよび相補的オリゴマーは、相溶性であるべきである、すなわち、均質なブレンドを形成し得るべきである。
【0070】
(C.相補的オリゴマー)
上記のように、相補的オリゴマーは、親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能である。相補的オリゴマーは、同様に親水性ポリマーに共有結合可能であってもよい。さらに、相補的オリゴマーは、水膨潤性水不溶性ポリマーに水素結合または静電結合可能であってもよい。
【0071】
一般に、相補的オリゴマーは、約45〜800の範囲、好ましくは約45〜600の範囲の分子量を有する。相補的オリゴマーは好ましくは、低分子量可塑剤としても作用し得る、ポリエチレングリコール400のような低分子量ポリアルキレングリコール(分子量200〜600)である。あるいは、異なる化合物が、さらなる低分子量可塑剤(この場合、下記の任意の低分子量可塑剤が用いられ得る)として組み込まれ得る。本発明の1つの実施形態において、相補的オリゴマーは、親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な、1分子当たり少なくとも2つの官能基を含む、相補的な低分子量またはオリゴマーの可塑剤である。
【0072】
ある場合に、相補的オリゴマーはまた、低分子量可塑剤としても作用し得る。あるいは、異なる化合物がさらなる低分子量可塑剤として組み込まれ得、もし含まれるならば、組成物の約30〜35重量%として存在する。
【0073】
適切な相補的オリゴマーの例としては、低分子量多価アルコール(例えば、グリセロールまたはソルビトール)、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのようなモノマーのおよびオリゴアルキレングリコール、エーテルアルコール(例えば、グリコールエーテル)、炭酸、ポリアルキレングリコールのカルボキシル末端およびアミノ末端誘導体を含む、ブタンジオールからオクタンジオールまでのアルカンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレングリコール(必要に応じて、カルボキシル末端を有する)は本明細書において好ましく、そして約200〜600の範囲の分子量を有するポリエチレングリコールは、最適な相補的オリゴマーである。
【0074】
単一の化合物、例えば、約200〜600の範囲の分子量を有するポリエチレングリコールのような低分子量ポリアルキレングリコールは、相補的オリゴマーおよび低分子量可塑剤の両方として作用し得ることが、前述から理解される。
【0075】
Feldsteinらの米国特許公開番号第2002/0037977号で議論されるように、前述のブレンド中の親水性ポリマー 対 相補的オリゴマーの比は、接着強さおよび凝集強さの両方に影響を及ぼす。前述の特許出願中で説明されるように、相補的オリゴマーは、親水性ポリマー/相補的オリゴマーブレンドのガラス転移をFox方程式によって予測されるよりも大きく減少させる。Fox方程式は、以下の方程式(1)によって与えられる:
【0076】
【数1】


ここで、Tg予測は親水性ポリマー/相補的オリゴマーブレンドの予測ガラス転移温度であり、wpolはブレンド中の親水性ポリマーの重量分率であり、wplはブレンド中の相補的オリゴマーの重量分率であり、Tg polは親水性ポリマーのガラス転移温度であり、そしてTg plは相補的オリゴマーのガラス転移温度である。前記特許出願中で説明されるように、最適化した接着強さおよび凝集強さを有する接着剤組成物は、Tg予測から所定の偏差を与えるように成分およびそれらの相対量を選択することによって、親水性ポリマーと相補的オリゴマーから調製され得る。一般に、接着性を最大化するために、Tg予測からの規定の偏差は最大の負偏差であり、一方、接着性を最小化するために、Tg予測からの任意の負偏差は最小化される。
【0077】
相補的オリゴマーは、それ自体が可塑剤として作用し得るので、一般に追加の可塑剤を組み込む必要はない。しかし、組成物中へのさらなる低分子量可塑剤の包含は任意であり、そして場合によっては有利であり得る。適切な低分子量可塑剤としては、以下が挙げられる:ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジプロピルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)−フタレート、ジイソプロピルフタレート、ジアミルフタレートおよびジカプリルフタレートによって代表される、ジアルキルフタレート、ジシクロアルキルフタレート、ジアリールフタレート、および混合アルキル−アリールフタレート;アルキルおよびアリールホスフェート、例えば、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、およびトリフェニルホスフェート;アルキルシトレートおよびシトレートエステル、例えば、トリメチルシトレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、およびトリヘキシルシトレート;ジアルキルアジペート、例えば、ジオクチルアジペート((DOA);ビス(2−エチルヘキシル)アジペートとも呼ばれる)、ジエチルアジペート、ジ(2−メチルエチル)アジペート、およびジヘキシルアジペート;酒石酸ジアルキル、例えば、酒石酸ジエチルおよび酒石酸ジブチル;ジアルキルセバケート、例えば、ジエチルセバケート、ジプロピルセバケートおよびジノニルセバケート;ジアルキルスクシネート、例えば、ジエチルスクシネートおよびジブチルスクシネート;アルキルグリコレート、アルキルグリセロレート、グリコールエステルおよびグリセロールエステル、例えば、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールモノラクテートジアセテート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジブチレートおよびトリエチレングリコールジプロピオネート;ならびにそれらの混合物。連続親水相のために好ましい低分子量可塑剤は、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、ジエチルフタレート、およびジオクチルアジペートであり、ジオクチルアジペートが最も好ましい。
【0078】
本発明の組成物の性質は、製造中に1以上のパラメータを調整することによって、容易に制御される。例えば、組成物の接着強さは、接着性を増加、減少、または除去するために、製造中に制御され得る。これは、種々の成分のタイプおよび/または量を変化させることによって、または製造様式を変えることによって、達成され得る。また、製造プロセスに関して、従来の溶融押出プロセスを用いて調製された組成物は、一般に、必ずしもそうであるとは限らないが、溶液流延技術を用いて調製された組成物よりもやや粘着性が低い。さらに、ヒドロゲル組成物が水との接触の際に膨潤する程度は、種々の水膨潤性ポリマーを選択することによって変化し得、そして、連続親水相を含む組成物において、水膨潤性水不溶性ポリマー 対 親水性ポリマー/相補的可塑剤ブレンドの比を調整することによって変化し得る。これらの組成物は、外観上は、明澄、透明から半透明、不透明まで変化し得る。さらに、特定の組成物は、親水相中の成分の相対量を変化させることによって(例えば、セルロースエステルの量を減少させることによって)、または製造方法を変化させることによって(半透明ヒドロゲルは、溶融押出よりも溶液流延を用いて、より容易に得られる)、半透明にされ得る。このように、半透明組成物によって、使用者は、治療または美容(例えば、ホワイトニング)プロセスをプロセスの進行中に観察することが可能になり、かつ、所望の効果が得られたとき(例えば、歯が十分に白くなったとき)を決定することが可能になる。
【0079】
(D.活性な薬剤(active agent))
この組成物はまた、歯および周囲組織、ならびに他の粘膜組織に関する生理学的状態を処置するのに有用な任意の薬学的に活性な薬剤も含み得る。活性な薬剤は、望ましくない生理学的状態を処置するために組成物から放出され得る、任意の物質であり得る。本デバイスを用いた処置を受け入れられる、歯または周囲組織に関する望ましくない生理学的状態としては、以下が挙げられる:口臭;歯周および経口感染;歯周病変;齲蝕または虫歯;歯肉炎;および他の歯周病。活性な薬剤は、ヒドロゲルおよび/または裏打ち部材中に存在し得る。さらに、いくつかの薬剤は、本発明の組成物中に組み込まれ得る。例えば、ヒドロゲルが、歯の表面上に放出される歯のホワイトニング剤を含み得る一方で、裏打ちは、口腔に放出されるブレスフレッシュナーのような種々の活性をロードされ得る。
【0080】
このような薬剤は、美容薬学的または治療的有効量で存在する。これらとしては、例示の目的で非限定的に、アドレナリン作用薬、副腎皮質ステロイド、副腎皮質抑制剤、嫌酒薬、アルドステロンアンタゴニスト、アミノ酸、アンモニア解毒薬、同化剤、強壮剤、鎮痛薬、アンドロゲン作用薬、麻酔薬、食欲抑制薬化合物、食欲抑制薬、アンタゴニスト、下垂体前葉活性化剤および下垂体前葉抑制剤、駆虫薬、抗挫瘡剤、抗アドレナリン作用薬、抗アレルギー薬、抗アメーバ薬、抗アンドロゲン薬、抗貧血剤、抗狭心症薬、抗不安薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗アテローム硬化薬、抗菌薬、抗胆石薬、抗胆石生成薬、抗コリン作動薬、抗凝血剤、抗コクシジウム薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗利尿薬、解毒剤、抗赤痢薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗エストロゲン剤、抗線維素溶解薬、抗カビ剤、抗緑内障薬、抗血友病薬、抗血友病因子、抗出血薬、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、抗高リポタンパク血症薬、抗高血圧症薬、抗低血圧薬、抗感染症薬、抗炎症薬、抗角質化薬、抗マラリア剤、抗菌薬、抗片頭痛剤、有糸分裂阻害剤、抗真菌剤、制嘔吐剤、抗悪性腫瘍薬、抗癌補助増強剤、抗好中球減少薬、抗強迫性障害薬、駆虫剤、抗パーキンソン薬、抗ニューモシスティス症薬、増殖抑制薬、抗前立腺肥大剤、抗原虫薬、鎮痒薬、抗乾癬剤、抗精神病薬、抗リウマチ薬、抗住血吸虫薬、抗脂漏薬、鎮痙薬、抗血栓剤、鎮咳薬、抗潰瘍形成薬、抗尿結石薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、良性前立腺肥大治療薬、血糖調整剤、骨吸収阻害薬、気管支拡張薬、炭酸脱水酵素阻害薬、心抑制薬、心保護剤、強心剤、心血管作動薬、利胆薬、コリン作用薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ不活性化剤、コクシジウム抑制薬、認知補助薬および認知改善薬、抑制薬、診断補助剤、利尿薬、ドーパミン作動薬、外部奇生生物撲滅薬、催吐薬、酵素阻害剤、エストロゲン薬、線維素溶解薬、遊離酸素ラジカルスカベンジャー、胃腸運動薬、グルココルチコイド、性腺刺激成分、発毛剤、止血剤、ヒスタミンH2レセプターアンタゴニスト、ホルモン、低コレステロール血症薬、血糖降下薬、抗高脂血症剤、血圧降下剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、免疫剤、免疫調節剤、免疫調整薬、免疫賦活薬、免疫抑制薬、不能症治療補助剤、インヒビター、角質溶解薬、LHRHアゴニスト、肝臓疾患処置、ルテオリジン薬、記憶補助剤、精神作業賦活薬、情緒調整剤、粘液溶解薬、粘膜保護剤、散瞳薬、鼻充血除去薬、神経弛緩薬、神経筋遮断薬、神経保護剤、NMDAアンタゴニスト、非ホルモン性ステロール誘導体、分娩促進薬、プラスミノゲン活性化因子、血小板活性化因子アンタゴニスト、血小板凝集阻害剤、脳卒中後および頭蓋骨損傷後処置、増強剤、プロゲスチン、プロスタグランジン、前立腺成長抑制物質、プロ甲状腺刺激ホルモン剤、向精神薬、放射活性物質、調節剤、弛緩薬、再分配剤、殺疥癬虫薬、硬化薬、鎮静薬、鎮静催眠剤、選択的アデノシンA1アンタゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、セロトニンインヒビター、セロトニンレセプターアンタゴニスト、ステロイド、刺激薬、抑制剤、共力剤、甲状腺ホルモン、抗甲状腺薬、甲状腺ホルモン様剤、精神安定薬、不安定狭心症薬、尿酸排泄薬、血管収縮薬、血管拡張薬、外傷治療薬、創傷治療薬、キサンチンオキシダーゼ阻害薬、などが挙げられる。
【0081】
1つの実施形態において、上記のヒドロゲル組成物はホワイトニング剤を含み、それによって、歯に適用した場合に送達系としての機能を果たす。本ヒドロゲル組成物中に「ロードされた」ホワイトニング剤の放出は、代表的には、膨潤制御拡散機構によって水の吸収および薬剤の脱離の両方に関与する。ホワイトニング剤含有ヒドロゲル組成物は、例えば、局所薬学的処方物の様式と類似の様式で用いられ得る。
【0082】
適切な歯のホワイトニング剤としては、酸化物、亜塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切なペルオキシド化合物としては、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルバミド、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい過酸化物は、過酸化水素および過酸化カルバミドである。他の好ましい過酸化物としては、ジアルキルペルオキシド(例えば、t−ブチルペルオキシドおよび2,2ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン)、ジアシルペルオキシド(例えば、ベンゾイルペルオキシドおよびアセチルペルオキシド)、過酸エステル(perester)(例えば、過安息香酸t−ブチルおよびペル−2−エチルヘキサノン酸t−ブチル)、過炭酸塩(例えば、ジセチルペルオキシジカーボネートおよびジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート)、ケトンペルオキシド(例えば、シクロヘキサノンペルオキシドおよびメチルエチルケトンペルオキシド)、ならびにヒドロペルオキシド(例えば、クメンヒドロペルオキシドおよびtert−ブチルヒドロペルオキシド)を含むがこれらに限定されない、有機過酸化物が挙げられる。ホワイトニング剤は、好ましくは、過酸化物(例えば、過酸化水素または過酸化カルバミド)であり、そして最も好ましくは、過酸化水素である。
【0083】
適切な亜塩素酸金属としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウム;次亜塩素酸塩および二酸化塩素が挙げられる。好ましい亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムである。
【0084】
別の実施形態において、薬学的に活性な薬剤は、例えば、非ステロイド性抗炎症薬/鎮痛薬;ステロイド性抗炎症薬;局所麻酔薬;殺菌剤/消毒薬;抗生物質;抗真菌剤;歯の減感剤;フッ化物虫歯予防/抗齲蝕剤;抗歯石/抗結石剤;プラーク、結石または虫歯の形成を阻害する酵素;ピロホスフェートのような研磨剤;エチレンジアミン四酢酸、四ナトリウム塩のような金属キレート剤;ブチル化ヒドロキシアニソールのような酸化防止剤;ブチル化ヒドロキシトルエン;歯および周囲組織への局所送達のための栄養補給剤;などであり得る。
【0085】
適切な非ステロイド性抗炎症薬/鎮痛薬としては、アセトアミノフェン;サリチル酸メチル;サリチル酸モノグリコール;アスピリン;メフェナム酸;フルフェナム酸;インドメタシン;ジクロフェナク;アルクロフェナック;ジクロフェナクナトリウム;イブプロフェン;フルルビプロフェン;フェンチザック;ブフェキサマック;ピロキシカム;フェニルブタゾン;オキシフェンブタゾン;クロフェゾン;ペンタゾシン;メピリゾール;および塩酸チアラミドが挙げられる。
【0086】
適切なステロイド性抗炎症薬としては、ヒドロコルチゾン;プレドニゾロン;デキサメタゾン;トリアムシノロンアセトニド;フルオシノロンアセトニド;酢酸ヒドロコルチゾン;酢酸プレドニゾロン;メチルプレドニゾロン;酢酸デキサメタゾン;ベタメタゾン;吉草酸ベタメタゾン;フルメタゾン;フルオロメトロン;ブデソニド;およびジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられる。
【0087】
適切な局所麻酔薬としては、塩酸ジブカイン;ジブカイン;塩酸リドカイン;リドカイン;ベンゾカイン;p−ブチルアミノ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩;塩酸プロカイン;塩酸テトラカイン;塩酸クロロプロカイン;塩酸オキシプロカイン;メピバカイン;塩酸コカイン;および塩酸ピペロカインが挙げられる。
【0088】
適切な殺菌剤/消毒薬としては、チメロゾール;フェノール;チモール;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;クロルヘキシジン;ヨウ化プロビドン;塩化セチルピリジニウム;オイゲノール、および臭化トリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0089】
適切な抗生物質としては、ペニシリン;メチシリン;オキサシリン;セファロチン;セファロリジン;エリスロマイシン;リンコマイシン;テトラサイクリン;クロルテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;メタサイクリン;クロラムフェニコール;カナマイシン;ストレプトマイシン;ゲンタマイシン;バシトラシン;およびサイクロセリンが挙げられる。適切な抗真菌薬としては、アンフォテリシン;クロトリマゾール;硝酸エコナゾール;フルコナゾール;グリセオフルビン;イトラコナゾール;ケトコナゾール;ミコナゾール;ナイスタチン;塩酸テルビナフィン;ウンデセン酸;およびウンデセン酸亜鉛が挙げられる。
【0090】
適切な歯の減感剤としては、硝酸カリウムおよび塩化ストロンチウムが挙げられる。適切なフッ化物虫歯予防/抗齲蝕剤としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムおよびフッ化アンモニウムが挙げられる。
【0091】
さらなるホワイトニング剤としては、ホスフェート、例えば、ピロホスフェート、ポリホスフェート、ポリホスホネート(例えば、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート、および鎖状アルキルジホスホネート)、およびそれらの塩;鎖状カルボン酸;およびクエン酸ナトリウム亜鉛;ならびにそれらの混合物を含む、抗歯石/抗結石剤が挙げられる。好ましいピロリン酸塩は、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラ−アルカリ金属ピロリン酸塩;ならびにピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロ燐酸四ナトリウム(Na)、およびピロ燐酸四カリウム(K)の水和形態または未水和形態である。ピロリン酸塩は、Kirk & Othmer、Encyclopedia of Clinical Technology 第3版、第17巻、Wiley−Interscience Publishers(1982)中により詳細に記載される。必要に応じて、ホワイトニング剤はまた、Zofchakの米国特許第6,315,991号に記載されるように、歯石溶解剤(例えば、ベタイン、アミンオキシドおよび第4級)も含み得る。
【0092】
プラーク、結石または虫歯の形成を阻害するために作用する酵素薬剤もまた、組成物において有用である。これらの酵素薬剤は、ホワイトニング剤と一緒に保存され得るか、または本明細書中に記載されるように多層膜システム内の異なる層中に配置され得る。適切な酵素としては、以下が挙げられる:歯の表面上に吸収され、そして薄皮またはプラークの第一層を形成する唾液タンパク質を分解する、プロテアーゼ;細菌の細胞壁および膜の構造成分を形成するタンパク質および脂質を溶解することによって、細菌を破壊するリパーゼ;歯への細菌付着のためのマトリックスを形成する細菌の骨格構造を分解する、デキストラナーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、およびムチナーゼ;ならびに、カルシウムを結合する炭水化物−タンパク質複合体を粉砕することによって結石の発生を防止するアミラーゼ。好ましい酵素としては、任意の市販のプロテアーゼ;デキストラナーゼ;グルカノヒドロラーゼ;エンドグリコシダーゼ;アミラーゼ;ムタナーゼ;リパーゼ;ムチナーゼ;およびそれらの相溶性混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、酵素的ホワイトニング剤が利用され得る。
【0093】
必要に応じて、酵素的ホワイトニング剤はペルオキシダーゼであり、その結果、過酸化物がインサイチュで生成される。酵素的ホワイトニング剤またはアンチプラーク剤が組成物中に組み込まれる場合、この組成物は、酵素がその活性型を維持するような組成物であるべきである(例えば、pHはほぼ中性であるべきであり、そして過酸化物は取り除かれるかまたは別個の層中に含まれ得る)。
【0094】
歯および周囲組織への局所送達のための適切な栄養補給剤としては、ビタミン(例えば、ビタミンCおよびD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラアミノ安息香酸、およびバイオフラボノイド);ならびにミネラル(例えば、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、およびカリウム);ならびにそれらの混合物が挙げられる。本発明に有用なビタミンおよびミネラルは、Drug Facts and Comparisons(加除式の医薬品情報サービス),Wolters Kluer Company,St.Louis,Mo.,1997,pp3〜17に開示される。
【0095】
組成物はまた、任意の美容活性な薬剤も含み得る。本明細書中で使用される場合、「美容活性な薬剤」は、歯または周囲組織の外観に所望の変化をもたらすために組成物から放出され得るか、またはさわやかな息のような、社会的に望ましい特性を使用者に付与する任意の物質を含む。例えば、美容活性な薬剤は、ブレスフレッシュナーまたは歯のホワイトニングもしくは漂白をもたらす薬剤であり得る。いくつかの文化または西欧社会のある区域において、歯の着色が重要であるかまたは望ましくあり得ると認識されると、美容活性な薬剤はまた、歯に色または色合いを付与する任意の薬剤であり得る。
【0096】
さらなるホワイトニング剤が組成物中に含まれ得る。例えば、洗浄剤のような界面活性剤も存在し得、そして上記のホワイトニング剤と共に作用して、歯にさらに明るい外観をもたらす。
【0097】
任意のこれらの実施形態において、本発明の歯のホワイトニング組成物は、好ましくは歯を白くするために過酸化物を含み、そしてまた、賦形剤、防腐剤、pH調節剤、軟化剤、増粘剤、着色料、顔料、染料、屈折粒子、安定剤、強化剤、医薬品、香香料添加剤またはブレスフレッシュ剤、および浸透促進剤のような従来の添加物も含み得る。粘着性が減少されるかまたは除去される実施形態において、従来の粘着性除去剤もまた用いられ得る。これらの添加物、およびその量は、歯のホワイトニング組成物の所望の化学的および物理的性質を顕著には妨害しないように、またはこの組成物中に含まれ得る歯のホワイトニング剤の送達を妨害しないように選択される。このようなさらなる成分としては、着色化合物、食品添加物、調味料、甘味料、および防腐剤が挙げられる。
【0098】
(E.他の成分)
Chemicals Used in Food Processing、出版番号1274号、National Academy of Sciences、63〜258ページに記載されるような、任意の天然もしくは合成調味料または食品添加物が、本発明の組成物中に含まれ得る。適切な調味料としては、当該分野において公知であるような、ウィンターグリーン、ペパーミント、スペアミント、メントール、フルーツ香味料、バニラ、シナモン、香辛料、香味油およびオレオレジン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。使用される調味料の量は、通常、香味料のタイプ、個々の香味料、および所望の強さなどの因子に左右される、好みの問題である。好ましくは、組成物は、約0.1〜5重量%の調味料を含む。
【0099】
本発明に有用な甘味料としては、スクロース、フルクトース、アスパルテーム、キシリトールおよびサッカリンが挙げられる。好ましくは、この組成物は、約0.001〜5.0重量%の量の甘味料を含む。
【0100】
適切な基材は、着用した場合に組成物が目立たないように、半透明であり得る。しかし、この基材または組成物は、着用した場合にこの組成物が容易に見えるように、必要に応じて着色され得る。好ましくは、着色が所望される場合、色は基材中に存在する。例えば、この基材は、消費者が喜びを見出し得る明るい色または鮮やかな色で着色され得る。従って、この基材は、着色化合物(例えば、染料、顔料、または基材を形成している材料に添加された場合に色を付与し得る物質)を含み得る。
【0101】
例えば、人体に関連して食品、薬物、または化粧品に一般に用いられるタイプの着色化合物、特に、「証明可能である」または「証明が免除される」に分類される食品用に認可された着色添加物は、この基材を着色するのに用いられ得る。この基材を着色するのに用いられる着色化合物は、野菜、鉱物または動物のような天然源に由来し得るか、あるいは天然誘導体の人工対応物であり得る。
【0102】
食品および経口摂取薬物用に食品医薬品化粧品法(Food Drug & Cosmetic Act)の下で現在分類されている着色化合物としては、FD&C赤色3号(テトラヨードフルオレセインのナトリウム塩);食用赤色17号(6−ヒドロキシ−5−{(2−メトキシ−5−メチル−4−スルホフェニル)アゾ}−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩);食用黄色13号(2−(2−キノリル)インダンジオンまたはキノフタロンのモノおよびジスルホン酸の混合物のナトリウム塩);FD&C黄色5号(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシピラゾール−3カルボン酸のナトリウム塩);FD&C黄色6号(p−スルホフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホネートのナトリウム塩);FD&C緑色3号(4−{[4−(N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウム−フェニル)−メチレン}−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−3,5−シクロヘキサジエンイミン]の二ナトリウム塩);FD&C青色1号(ジベンジルジエチル−ジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸無水物の二ナトリウム塩);FD&C青色2号(インジゴチンのジスルホン酸のナトリウム塩);FD&C赤色40号;オレンジB;およびシトラスレッド2号のような染料;ならびに種々の比率でのそれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
FDA証明が免除される着色化合物としては、アンナットー抽出物;β−アポ−8’−カロチナール;β−カロチン;ビート粉末;カンタキサンチン;カラメル色素;ニンジン油;コチニール抽出物(カルミン);焼き、部分的に脱脂し、調理した綿実粉;グルコン酸第一鉄;果汁;ブドウ色抽出物;ブドウ皮抽出物(エノシアニナ);パプリカ;パプリカオレオレジン;リボフラビン;サフラン;ウコン;ウコンオレオレジン;野菜汁;および種々の比率でのそれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
この組成物中に用いられる着色化合物の形態としては、好ましくは染料形態添加物が挙げられるが、基材を構成する材料と適合性のレーキ形態もまた挙げられ得る。粉末、顆粒、液体の形態または他の特殊目的の形態で提供される水溶性染料は、本方法に従って用いられ得る。好ましくは、「レーキ」または水不溶性形態の染料は、基材を着色するために用いられ得る。例えば、着色化合物の懸濁液が用いられる場合、レーキ形態の添加物が使用され得る。アルミナ上にFD&C染料のカルシウム塩またはアルミニウム塩を広げることによって調製される適切な水不溶性染料レーキとしては、FD&C緑色1号レーキ、FD&C青色2号レーキ、FD&C R&D30号レーキおよびFD&C黄色15号レーキが挙げられる。
【0105】
他の適切な着色化合物としては、二酸化チタン;酸化クロム緑色;群青および桃色;ならびに酸化第二鉄のような、無毒の水不溶性無機顔料が挙げられる。このような顔料は、好ましくは約5〜1000ミクロン、より好ましくは約250〜500ミクロンの範囲の粒径を有する。
【0106】
基材中の着色化合物の濃度は、好ましくは約0.05〜10重量%であり、そしてより好ましくは約0.1〜5重量%である。
【0107】
2つ以上の着色化合物が基材中に存在し得、その結果、多色が付与される。これらの多色は、ストライプ、点、渦巻、または消費者が喜びを見出し得る任意の他のデザインに模様をつけ得る。この着色化合物はまた、光輝粒子のような、他の外観を向上させる物質と共に用いられ得る。
【0108】
吸収性賦形剤は、接着剤が歯の表面上にある場合に水和度を制御するために有利に組み込まれ得る。このような賦形剤としては、微結晶性セルロース、タルク、ラクトース、カオリン、マンニトール、コロイドシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、疎水性デンプン、硫酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、ラポナイトのような粘土、織ったおよび織っていない紙および綿素材が挙げられ得る。他の適切な賦形剤は、不活性な、すなわち実質的に非吸着性であり、そして例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンポリエーテルアミドコポリマー、ポリエステルおよびポリエステルコポリマー、ナイロンならびにレーヨンが挙げられる。好ましい賦形剤は、コロイドシリカ、例えば、Cab−O−Sil(登録商標)(Cabot Corporation,Boston MA)である。
【0109】
防腐剤としては、例えば、p−クロロ−m−クレゾール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、クロロブタノール、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、クロロヘキシジンジアセテートまたはグルコナート、エタノール、およびプロピレングリコールが挙げられる。
【0110】
pH調節剤として有用な化合物としては、これらに限定されないが、グリセロール緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはクエン酸−リン酸緩衝液が挙げられ、これらはまた、ヒドロゲル組成物のpHが口腔環境のpHと適合性であり、そして歯の表面からミネラルが滲出されないことを保証するために含まれ得る。歯から鉱物質を除くことなくホワイトニングを最適化するために、カルシウムおよび/またはフッ化塩がこの組成物中に含まれ得る。
【0111】
適切な軟化剤としては、クエン酸エステル、例えばトリエチルシトレートまたはアセチルトリエチルシトレート、ジブチルタルトレートのような酒石酸エステル、グリセロールジアセテートおよびグリセロールトリアセテートのようなグリセロールエステル;フタル酸エステル、例えばジブチルフタレートおよびジエチルフタレート;および/または親水性界面活性剤、好ましくは親水性非イオン性界面活性剤、例えば、糖の部分脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、およびポリエチレングリコールソルビタン−脂肪酸エステルが挙げられる。
【0112】
本明細書中で好ましい増粘剤は、天然に存在する化合物またはそれらの誘導体であり、例として、以下が挙げられる:コラーゲン;ガラクトマンナン;デンプン;デンプン誘導体および加水分解産物;セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース;コロイド状ケイ酸;ならびにラクトース、サッカロース、フルクトースおよびグルコースのような糖。合成増粘剤、例えばポリビニルアルコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル−コポリマー、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールもまた用いられ得る。
【0113】
基材はまた、上記のように、歯の上への組成物の適切な変形に必要な基材の粘弾性を妨害しない限り、ビーズ、ラインストーンなどのような装飾部材をはめ込むかまたはこれらの装飾部材で装飾され得る。基材はまた、消費者に喜びを与えるかまたは消費者に魅力のあるようにデザインされた文字、単語、または像を表示し得る。
【0114】
F.腐食性の裏打ち部材
腐食性の裏打ち部材は、湿潤環境においてヒドロゲルよりも緩徐な速度で腐食するポリマー組成物から構成され、そして実質的に非粘着性である。裏打ち部材に使用され得る多数の材料が存在し、例として、アクリレートポリマー、セルロース誘導ポリマー、セルロースエステル、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、ポリアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。任意のこれらの異なるポリマーの組み合わせ(すなわち、ブレンド)もまた、裏打ち部材材料としての役割を果たし得る。
【0115】
1つの実施形態において、ヒドロゲルは、湿潤環境下に配置した約1秒〜24時間後に腐食し、そして別の実施形態において、ヒドロゲルは、配置した約10秒〜8時間後に腐食する。腐食性の裏打ち部材は、1つの実施形態において、ヒドロゲルが腐食した約12〜24時間後に腐食し、一方、別の実施形態において、裏打ちは、ヒドロゲルが腐食した後約12時間以内に腐食する。腐食性の裏打ち部材材料は、(使用される場合には)ヒドロゲル組成物よりもわずかに遅いかまたはおよそ同じ速度で(例えば、両方とも約24時間以内に腐食する場合)腐食するように選択され得るが、好ましくは、ヒドロゲル組成物よりも遅い速度で腐食するように選択される。1つの実施形態において、腐食性の裏打ち部材は、ヒドロゲルよりも少なくとも約200%緩徐に腐食し、別の実施形態において、裏打ちは、少なくとも約100%緩徐に腐食し、異なる実施形態において、裏打ちは少なくとも約50%緩徐に腐食し、そしてなお別の実施形態において、裏打ちはヒドロゲルよりも少なくとも約25%緩徐に腐食する。
【0116】
適切なアクリレートポリマーは、水膨潤性水不溶性ポリマーとして上に記載され、例として、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、および/または他のビニルモノマーから形成されるポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアクリレートポリマーは、Eudragit(登録商標)コポリマー(メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー)、例えば、Eudragit(登録商標)シリーズE、L、S、RL、RSおよびNEコポリマーである。上記のように、これらのEudragitポリマーはまた、ヒドロゲルの水膨潤性水不溶性ポリマー成分としての有用性も見出す。Eudragitポリマーは、種々のpH依存性の溶解性および透過性を有する異なる等級で入手可能であるので、腐食性の裏打ちに用いられる等級は、ヒドロゲルに用いられる等級と比較してより低い溶解性を有するように選択され得る。例えば、L100−55がヒドロゲルに用いるために選択される場合、Eudragit L100が裏打ちに用いられ得;Eudragit
L100がヒドロゲルに用いられる場合、Eudragit S100が裏打ちに用いられ得る;などである。さらに、Eudragitポリマーの混合物またはEudragitポリマーと他のポリマーおよび賦形剤(例えば、緩衝剤、pH調節剤)との混合物を用いて、ヒドロゲルに対する裏打ち部材の腐食速度を調整し得る。
【0117】
適切なセルロース誘導ポリマーは、非限定的な例として、水和セルロース(セロハン)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)が挙げられる。好ましいセルロースは、水和セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびこれらの混合物である。
【0118】
適切なセルロースエステルは、水膨潤性水不溶性ポリマーとして上に記載され、非限定的な例として、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートブチレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ならびにそれらの混合物、ポリマーおよびコポリマーが挙げられる。例示的なセルロースエステルコポリマーとしては、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートが挙げられる。好ましいセルロースエステルは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートブチレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、およびセルロースアセテートプロピオネートならびにそれらの混合物である。
【0119】
適切なデンプンは、非限定的な例として、バレイショデンプンの酢酸エステル、トウモロコシデンプンなど(例えば、Roquetteによって販売されるClearam(登録商標)デンプン)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0120】
適切なアルギン酸塩は、非限定的な例として、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
適切なポリアミノ酸は、非限定的な例として、ポリリジン、ポリグリシン、ポリアラニン、プロタミンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0122】
ヒドロゲル組成物に関連して記載される任意の活性な薬剤および他の成分もまた、裏打ち部材中に存在し得ることが理解される。例えば、ヒドロゲルは、歯の表面または口腔粘膜上に放出される活性な薬剤を含み得るが、裏打ちは、口腔に放出される調味料をロードされ得る。
【0123】
(IV.製造プロセス)
本発明のヒドロゲル組成物は、一般に溶融押し出し可能であり、従って、簡単なブレンドおよび押し出しプロセスを用いて調製され得る。この組成物の成分は秤量され、次いで、例えばBrabenderまたはBaker Perkins Blenderを用いて混合されるが、一般に必ずしも高温(例えば、約90〜140℃)である必要はない。溶媒または水は、所望ならば添加され得る。得られた組成物は、シングルまたはツイン押出機を用いて押し出され得るか、あるいはペレット化され得る。あるいは、このヒドロゲル組成物の成分は、1つずつ融解され、次いで押し出し前に混合され得る。このヒドロゲル組成物は、腐食性の裏打ち部材上に直接押し出され得る。このヒドロゲル組成物はまた、まず押し出され、次いで裏打ち部材に押し付けられるかまたは裏打ち部材に積層され得る。剥離可能ライナーも含まれ得る。得られるヒドロゲル含有フィルムの厚さは、たいていの目的のために、約0.050〜0.80mmの範囲であり、より通常には、約0.37〜0.47mmの範囲である。
【0124】
あるいは、これらの組成物は、溶液流延によって、適切な溶媒(例えば、酢酸エチルのような揮発性溶媒、または低級アルカノール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなど)が特に好ましい)中で、代表的には約35〜60%w/vの範囲の濃度で、組成物の成分を混合することによって調製され得る。この溶液は、上記のように、腐食性の裏打ち部材または剥離可能ライナー上に流延される。混合および流延の両方は、好ましくは周囲温度で実行される。次いで、このフィルムでコーティングされた裏打ち部材を、約80〜100℃の範囲の温度(最適には約90℃)で、約1〜4時間の範囲の時間(最適には約2時間)焼く。従って、本発明の1つの実施形態は、本発明の組成物中への組み込みに適したヒドロゲルフィルムを調製するための方法であって、以下の工程を包含する:溶媒中において、水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマー、およびこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーの溶液を調製する工程;この溶液の層を腐食性の裏打ち部材上に析出させて、その上にコーティングを施す工程;ならびに、このコーティングした裏打ち部材を約1〜約4時間の範囲の期間にわたって約80℃〜約100℃の範囲の温度に加熱し、それによってこの裏打ち部材上にヒドロゲルフィルムを生じる工程。
【0125】
粘着性のヒドロゲル組成物が所望される場合、溶液流延が好ましいプロセスである。実質的に非粘着性の組成物の調製には、溶融押出が好ましい。溶融押出技術または溶液流延技術のいずれかは、半透明の組成物を調製するのに用いられ得るが、代表的には、溶液流延がこれらの実施形態に好ましい。従って、本発明の別の実施形態は、連続親水相から構成される組成物を形成する方法であって、以下の工程を包含する:水膨潤性水不溶性ポリマー、親水性ポリマー、およびこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーの混合物を、押出機によって溶融加工して、押出組成物を形成する工程;この組成物を適切な腐食性の裏打ち部材上に所望の厚さのフィルムとして押し出す工程;ならびに冷却されると、過酸化物のような活性な薬剤の水溶液をこのフィルムにロードして、約1〜20重量%のホワイトニング剤濃度を得る工程。
【0126】
本発明はまた、1以上のさらなるヒドロゲル層または非ヒドロゲル層を含む多層膜系を有することも企図する。例えば、保存中に第1の活性な薬剤と相溶性でなくてもよいさらなる活性な薬剤を含むことが望ましい場合がある。このように、一層は第1活性な薬剤を含むヒドロゲル層であり得、そして他層はさらなる活性を含み得る。これらの他層は、本明細書中に記載されるヒドロゲル組成物、または当該分野で公知の任意の他の生体適合性の処方物(例えば、ポリイソブチレン、ジメチルシロキサン、エチレン酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロースアセテート、ブチレート、プロピオネート、エチルセルロースおよび水不溶性アクリレート)から作製され得る。さらに、層の順序によっては、粘着性の層(例えば、歯の上に直接配置される層)、および非粘着性の層(例えば、唇の最も近くに配置される外層)を有することが望ましい場合がある。多層膜系を有することの別の利点は、最外層に用いられるポリマーの割合が変化して、製品中に別個の裏打ち層を含まざるを得ない状態を避けるために非粘着性層を達成し得ることである。
【0127】
1つの実施形態において、この組成物は、以下を含む:歯、口腔組織または粘膜表面への適用後に組成物の外面としての役割を果たす、外側の腐食性裏打ち部材;この腐食性裏打ち部材に接着する表面接触接着層であって、一般に、本発明の接着剤組成物であり、必要に応じてさらなる活性な薬剤を含む、表面接触接着層;および除去可能な剥離ライナー。例えば、剥離ライナーが除去されると、この組成物は、処置されるべき表面(例えば、歯)に適用され、そして口腔表面接触層が歯または他の口腔表面と接触しているように、その表面上に配置される。別の実施形態において、この組成物は、剥離ライナーなしに包装される。従って、一旦包装から取り出されると、この組成物は、口腔表面に適用される状態にある。
【0128】
ヒドロゲル腐食性裏打ち部材組成物は、さらなる基材層を含み得、この基材層は、主要な構造要素としての役割を果たし、そして製造中または使用中のいずれかにこの組成物に支持体を提供し得る。基材に用いられる材料は、不活性であり、かつ、ヒドロゲル腐食性裏打ち部材組成物を吸収不可能であるべきである。また、基材に用いられる材料は、デバイスが歯または他の体表面の輪郭に従い、そして唇または舌を擦ったりあるいは刺激したりすることなく口中に快適に着用されることを可能にするべきである。基材に有用な材料の例は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンおよびポリエーテルアミドである。この基材は、好ましくは厚さが約15ミクロン〜250ミクロンの範囲であり、そして所望であれば、着色され得るか、金属被覆され得るか、または筆記に適したマット仕上げ法を施され得る。
【0129】
1つの実施形態において、この基材は、好ましくは、必ずしも閉塞性である(すなわち、「通気性」でない)とは限らないが、組成物中の任意の活性な薬剤が層を通って漏出し、そして口の粘膜および歯茎に接触することを許容しない。使用可能な状態になると、組成物は、粘着性が増大してこの組成物が歯に付着するように、予め湿らされる。この実施形態の1つの利点は、活性な薬剤が基材を通って実質的に漏出して、この活性な薬剤にまたは任意の不快な味もしくは感覚に敏感な個体に刺激を引き起こし得ないことである。
【0130】
他の適切な基材材料は、ワックス(例えば、マイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックス)あるいはワックス/フォーム積層品のような非高分子材料であり得る。パラフィンワックスは、約48〜75℃の融点および300〜1400g/モルの分子量を有する低分子量直鎖炭化水素であり、そして代表的にはフィッシャー・トロプシュ合成によって作製される。マイクロクリスタリンワックスは、可撓性かつ外観上は非晶質様であり、そしてパラフィンワックスよりも高い引張り強さおよびより小さな結晶サイズを有する傾向がある。マイクロクリスタリンワックスは、代表的には約60〜95℃の融点および580〜700g/モルの分子量を有し、直鎖炭化水素が存在し得るが、分枝鎖炭化水素およびいくつかの環状化合物を主に含む。この基材材料はまた、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォームまたはポリエチレンフォームのような連続気泡フォームであり得る。
【0131】
あるいは、別の実施形態において、この基材は非閉塞性であり、従って、歯または他の体表面上の所定の位置において、インサイチュで十分に水和され得る。
【0132】
剥離ライナーは、適用前にこの系を保護する役割を果たす使い捨て要素である。この剥離ライナーは、活性な薬剤およびヒドロゲル組成物に不浸透性の材料から形成されるべきであり、そして接触接着剤から容易に剥離される。剥離ライナーは、代表的にはシリコーンまたはフルオロカーボンで処理され、そして一般にポリエステルおよびポリエチレンテレフタレートから作製される。
【0133】
好ましい組成物は、代表的には、水不溶性水膨潤性ポリマーとしてアクリレートポリマー;ならびに親水性ポリマーとこの親水性ポリマーに水素結合または静電結合可能な相補的オリゴマーとのブレンドとしてポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールのブレンドを用いて調製される。
【0134】
この組成物の接着フィルムは、上記成分を一緒に約100〜170℃の範囲の温度で熱融解および混合することによって製造され得る。このフィルムは、適切な基材上に所望の厚さに押し出される。あるいは、これらの成分は、単一または混合の溶媒中に溶解され得、そしてこの溶液は、剥離または裏打ちフィルム上に流延され得る。次いで、これらの溶媒を蒸発させてヒドロゲルフィルムを得る。
【0135】
この組成物に活性な薬剤をロードする1つの方法は、水溶液中の所望の活性な薬剤(例えば、歯のホワイトニング剤)を適切な基材上に配置されたヒドロゲルの表面上に層状に重ねる工程、またはこの活性な薬剤を基材上に直接配置する工程を包含する。次いで、剥離ライナーをこの組成物の表面に貼り付けてサンドイッチ構造を形成し、そしてホワイトニング剤を含む溶液は、その水膨潤性によってこの組成物中に吸収される。あるいは、基材上に層状に重ねられた組成物は、所望の濃度のホワイトニング剤を含む溶液中に浸漬され得、そしてこの溶液は組成物中に吸収される。液体の吸収時に重量増加率を測定することによって、組成物に活性な薬剤をロードする割合(%)が決定および制御され得る。
【0136】
組成物中に活性な薬剤をロードするための別のアプローチは、溶媒中に溶解された組成物に、活性な薬剤を固体としてまたは溶液として添加することである。次いで、この混合物を適切な基材上に従来どおり流延して乾燥させるが、このロード方法を用いる場合は、より低い乾燥温度が所望される。この様式で調製された組成物は、周囲温度で約1時間から数日の期間にわたって乾燥され得る。
【0137】
代表的なフィルム厚さは、約0.050〜0.80mm、好ましくは0.25〜0.50mmである。フィルムの厚さは重要ではなく、このフィルム中に組み込まれるホワイトニング剤の濃度、このフィルムを歯に曝露させる時間の長さ、着用者に所望される快適さのレベル、および矯正が所望される着色の程度によって変更され得る。
【0138】
(V.使用方法)
実際には、組成物は、製品をパッケージから取り出し、剥離ライナー(含まれる場合)を取り除き、そして接着剤層をホワイトニングが所望される歯に適用することによって、簡単に使用され得る(あるいは組成物は、この組成物の別の有用性が用いられる場合または別の活性な薬剤が用いられる場合、任意の湿潤体環境または湿潤表面に配置される)。本明細書中に記載される系は、組成物が、歯の全体または任意の部分に、一度に任意の数の歯に、あるいは口腔または他の湿潤部位の任意の部分に適用され得るように、種々のサイズで提供され得る。
【0139】
裏打ち部材は、使用者がこの組成物を所望の期間着用している間、組成物からの活性な薬剤の漏出を減少させるかまたは阻止するために、活性な薬剤に対して閉塞性または不透過性であるように処方され得る。すなわち、次いでこの組成物は、薬物を一方向性に(例えば、粘膜組織へのみ)送達する。あるいは、裏打ち部材は、双方向性の薬物送達(例えば、粘膜表面へと同時に口腔へ)を提供するために、所定の透過性を有するように処方され得る。透過性のレベル(すなわち、その選択性)はまた、粘膜表面および口腔への送達の相対速度を制御するためにも用いられ得る。
【0140】
組成物は、わずか数分間、数時間、一日中または一晩、所望の位置に維持され得、次いで、所望のホワイトニング程度または所望の治療もしくは美容効果が達成されると除去され得る。あるいは、この組成物を所定の位置で放置し、完全に腐食させ得る。従って、本発明の1つの実施形態において、歯を白くするための方法は、単にこの組成物をホワイトニングが必要な歯に適用する工程のみを包含し得るが、別の実施形態において、この方法は、所望のホワイトニング程度が達成されたときにこの組成物を除去する工程をさらに包含し得る。
【0141】
所望の場合、半透明組成物が提供され得、他人にとって目障りであったり目立ったりすることなく着用される。この系はまた、活性成分を含まずに設計され得、口腔表面のための保護包帯として(例えば、創傷包帯として)、有用性が見出されている。
【0142】
組成物は、長期間着用され得るが、代表的には約10分から約24時間までの所定の期間着用され、その後、この組成物は除去され得るかまたは腐食し去る。歯のホワイトニング用途については、好ましい期間は約10分間から約8時間(例えば、一晩)までであり、30分から約1時間までもまた、好ましい実施形態である。他の活性な薬剤については、治療的または美容薬学的に有効な時間が、使用される活性な薬剤ならびに処置される状態に基づいて容易に決定され得る。
【0143】
1つの実施形態において、ヒドロゲルは固体であり、製造中に裏打ち部材に装着される。従って、この組成物は単一工程で適用される。あるいは、ヒドロゲルは非固体であり、裏打ち部材とは別に製造および包装され得る。この場合には、ヒドロゲルがまず使用者によって適用され、続いてこのヒドロゲルの外面に使用者が裏打ち部材を適用する。いずれの実施形態においても、使用者は、指および親指の先で裏打ち部材に通常の指圧をかけることによって(必要に応じて、適用の前にこの組成物または体表面をわずかに湿らせることによって)、上歯もしくは下歯または他の口腔組織の周囲に組成物を形成し得る。平均的な成人の指または親指の先の表面積を約1平方センチメートルと仮定すると、指および親指の先によって生じる通常の圧力は、約100,000〜150,000パスカル(すなわち、約3ポンドまたは1.36kg)/1平方センチメートルである。この圧力は、代表的には各指および親指の先で約1または2秒間、組成物に適用される。一旦、指および親指の先で裏打ち部材に適用された圧力が除かれると、組成物は、この組成物が形成された歯の表面および隣接する軟組織の形状で、かつそこに付着したまま残る。
【0144】
使用者が組成物を除去する準備ができると、この組成物は、歯の表面または他の口腔もしくは体の表面から剥がすことによって簡単に除去され得る。所望の場合、この組成物は、追加の処置時間の間、再接着され得る。後に残された任意の残留物は最小限であり、従来の歯または口腔洗浄方法を用いて除去され得る。
【0145】
本発明の1つの実施形態において、組成物は固体であり、そして感圧接着剤であって水を吸収する。
【0146】
この組成物はまた、非固体組成物としても適用され得る(例えば、液体またはゲルとして適用される)。例えば、使用者は、組成物を歯または他の体表面に適用するためにチューブから指の上に押し出し得、組成物をチューブから直接歯の上に押し出し得、組成物をブラシまたは他の塗布具を用いて適用し得るなどである。次いで、腐食性の裏打ち部材は、液体またはゲルが適用された後に別個の工程として適用され得る。溶媒の蒸発後、液体またはゲル組成物は乾燥して、マトリックス型のポリマーフィルムまたはゲルを体表面上に形成する。この液体またはゲルのフィルム形成組成物の1つの実施形態において、ヒドロゲルは、流動性を生じるのに十分な水または他の溶媒を含む。この組成物の別の実施形態において、液体またはゲル組成物のポリマー成分は、水−エタノール混合物中において周囲温度および約4℃の冷却温度の両方で可溶性であり、そして溶媒蒸発すると混和性である。この液体またはゲルのフィルム形成組成物のさらに別の実施形態において、この重合体組成物は、エタノール−水混合物中において約36℃の下限臨界溶液温度を有する。得られたフィルム(溶媒蒸発の後)は、過酸化水素と歯のエナメル質との間の長期にわたる接触を提供するために、好ましくは体温で唾液に不溶性であるかまたは緩徐に可溶性である。最終的に、過酸化水素は、液体またはゲル組成物の両方において、ならびに乾燥の際にポリマーフィルム中で安定であるべきである。
【0147】
本発明の実施では、別段の指示がない限り、当該分野の技術範囲内である高分子化学、接着剤製造、およびヒドロゲル調製の従来技術を用いる。このような技術は、本文献中で十分に説明される。
【0148】
本発明はその好ましい特定の実施形態に関して記載されているが、前述の説明ならびに以下の実施例は、例示を目的としており、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。他の態様、利点および改変は、本発明が属する技術分野の当業者に明らかである。
【0149】
以下の実施例は、当業者に本発明の化合物を作製および使用する方法の完全な開示および記載を提供するために提出されるものであり、本発明者らがその発明とみなす範囲を限定することを目的とするものではない。数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するために努力がなされているが、いくらかの誤差および偏差は計上されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は摂氏温度(℃)であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0150】
以下の略語および商品名は、実施例中で用いられる:
Eudragit L 100−55
:メタクリル酸コポリマー(Rohm America Inc.)
Eudragit L 100
:メタクリル酸コポリマー(Rohm America Inc.)
PEG :ポリエチレングリコール400
PVP :Kollidon(登録商標)90ポリビニルピロリドン(BASF)
【実施例】
【0151】
(実施例1 固体組成物の調製)
歯のホワイトニングのための組成物の1つの実施形態を、溶融押出プロセスを用いて以下の成分から調製し得る:
Eudragit L 100−55 9重量%
PVP 44重量%
PEG 22重量%
過酸化水素 6重量%
水、安定剤、pH調節剤 19重量%
これらの成分を、以下の通りブラベンダー単軸スクリュー押出機中で融解加工する:100〜150℃の温度で、押出機にまずEudragit L 100−55を添加し、続いてPVPおよびPEGを添加する。この組成物を、ポリエチレンテレフタレート剥離ライナーとEudragit S 100で作製した必要に応じて適切な可塑剤を含む腐食性裏打ち部材との間に、0.35mmの厚さに押し出す。この押し出したフィルムに過酸化水素溶液を添加した。
【0152】
(実施例2 非固体組成物の調製)
歯のホワイトニングのための組成物を、以下の成分から調製する:
脱イオン水 35.0重量%
エタノール 35.0重量%
Eudragit L 100−55 4.00重量%
PEG 1.00重量%
PVP 7.00重量%
過酸化カルバミド 18.0重量%
クエン酸ナトリウム 0.13重量%
この組成物を、以下の通り、テフロン(登録商標)被覆インペラー(直径2インチ)を取り付けたコール−パーマー高回転力低速ラボミキサー(Cole−Parmer high−torque low−speed lab mixer)中で混合する。脱イオン水をエタノールと混合し、続いてPEGを添加する。次いで、クエン酸ナトリウムを激しい攪拌条件下で添加する。Eudragit L 100−55粉末を、激しい攪拌下(500〜600rpm)で徐々に添加する(2〜5分以内で)。約5〜10分後(全てのEudragitが溶解するまで待つ必要はない)、PVP粉末を徐々に添加する(5分以内で)。高い攪拌速度を5〜10分にわたって維持する。過酸化カルバミド粉末を添加し(1〜2分以内で)、この混合物を攪拌して均質な溶液を得た(800〜900rpmで約30分)。次いで、この溶液を2〜5時間にわたって保存し、気泡を散逸させる。
【0153】
この歯のホワイトニング組成物は、Eudragit RL 100腐食性裏打ち部材と共に使用するために包装され得る。
【0154】
(実施例3 非固体組成物の調製)
歯のホワイトニングのための組成物を、以下の成分から調製する:
脱イオン水 35.0重量%
エタノール 35.0重量%
Eudragit L 100−55 2.50重量%
PEG 1.92重量%
PVP 6.00重量%
過酸化カルバミド 18.0重量%
クエン酸ナトリウム 0.08重量%
Methocel A4C 1.50重量%
この組成物を、テフロン(登録商標)被覆インペラー(直径2インチ)を取り付けたコール−パーマー高回転力低速ラボミキサー中で混合する。脱イオン水をエタノールと混合し、続いてPEGを添加する。次いで、クエン酸ナトリウムを激しい攪拌条件下で添加する。Eudragit L 100−55粉末を、激しい攪拌下(500〜600rpm)で徐々に添加し(5分以内で)、続いてMethocel A4C粉末を、激しい攪拌下(500〜600rpm)でゆっくりと(5分以内で)添加する。約10分後、PVP粉末を徐々に添加する(5分以内で)。高い攪拌速度を5〜10分にわたって維持する。過酸化カルバミド粉末を添加し(1〜2分以内で)、この混合物を攪拌して均質な溶液を得る(500〜800rpmで約30〜60分)。次いで、この溶液を2〜5時間にわたって保存し、気泡を散逸させる。
【0155】
この歯のホワイトニング組成物は、Eudragit RS100腐食性裏打ち部材と共に使用するために包装され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。

【公開番号】特開2011−256208(P2011−256208A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−205347(P2011−205347)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【分割の表示】特願2006−526321(P2006−526321)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(503360296)コリウム インターナショナル, インコーポレイテッド (10)
【出願人】(503013358)エイ.ブイ.トップチーブ インスティテュート オブ ペトロケミカル シンセシス (9)
【Fターム(参考)】