説明

腕時計およびタイム計時方法

【課題】 競技タイムを適切に計時することのできる腕時計等を提供する。
【解決手段】 腕時計10は、競技中において、トリガ発生装置から送られるトリガ信号に応答して、通過時刻を特定し記憶部15に記憶する。また、腕時計10は、各通過時刻から競技タイムを算出する。競技終了後、タイム収集装置20は、バーコードリーダBRによりバーコードBCを読み取り、コード値を取得する。そして、コード値に対応付けられた腕時計IDをタグ情報記憶部から検索する。タイム収集装置20は、検索した腕時計IDを使用して対象の腕時計10を呼び出す。そして、呼び出しに応答した腕時計10から送られる競技タイム等を受信し、タイム情報記憶部に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、競技タイムを適切に計時することのできる腕時計およびタイム計時方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マラソン競技等において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計測システムも実用化されている。
それでも従来の計測システムでは、ゴール後に所定時間かけてバーコードの読み取りを行うため、そもそも実測よりも遅れたゴールタイムが計測されていた。特に、大勢の競技者が同時期にゴールした場合等では、バーコードの読み取り待ちが生じてしまい、実測よりもかなり遅れたゴールタイムが計測されてしまうという問題があった。
また、ゴールタイムだけでなく、各計時ポイント(中継地点等)における通過タイムを含めた競技タイムも計測したいという要望が高まっているが、従来の計測システムでは、これに対応できなかった。
【0003】
このような問題を解決するため、種々の計測システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。新たな計測システムは、より実測に近いゴールタイムを計測するために、また、各中継地点における通過タイムも計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する形態が主流となっている。
例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機から送られる情報により、競技タイム等を計測する、というものである。
【0004】
より具体的には、方形ループコイル等から競技トラック上の計測エリア内にトリガ信号を送信するようにしておき、タグ送信機を保持する競技者がその計測エリア内を走行すると、このトリガ信号に応答してタグ送信機からID(識別番号等)が送信される。そして、ID受信ユニットがこのIDを受信することにより、各競技者の周回数や競技タイム等を計測する(例えば、特許文献1参照)。
この他にも、タグ送信機がUHF帯の微弱無線電波等にてIDを送出することにより、タグ送信機の通信距離の拡大を図る技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−141497号公報 (第2−4頁、第2図)
【特許文献2】特開2004−125765号公報 (第3−4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような特許文献1,2の技術では、同時期に大勢の競技者が計測エリア内に到達すると、ID受信ユニット側が、送られるはずのIDを適切に受信できない場合があった。これは、計測エリア内にて、複数のタグ送信機がそれぞれにIDを送信し続けることにより、ID受信ユニット側の処理が追いつかない状況が生じたり、IDの送信時にコリジョンが発生してしまうためである。
なお、特許文献2に開示されている技術では、コリジョンの発生を抑えるべく、タグ送信機側がランダムな間隔にてIDを送信している。それでも現実には、計時エリア内で各タグ送信機がそれぞれにIDの送信を繰り返すうちに、コリジョンが発生してしまっていた。
このような場合、ID受信ユニットにて、開始時刻や終了時刻の特定が正しく行えず、不正確な競技タイムを計測してしまったり、IDの受信が殆ど行えずに計測すべき競技タイムをロストしてしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、競技タイムを適切に計時することのできる腕時計およびタイム計時方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る腕時計は、
所定のコードパターンが貼付された競技者に携帯される腕時計であって、
現在時刻を計時する計時手段と、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時手段により計時される前記現在時刻から前記各計時手段の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定手段と、
前記通過時刻特定手段により特定された前記各計時手段の各々の前記通過時刻を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出手段と、
前記コードパターンを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報に応答して、前記算出手段により算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、計時手段は、現在時刻を計時する。また、通過時刻特定手段は、例えば、複数の計時地点に配置されたトリガ信号発生装置から送信されるトリガ信号に応答して、計時手段により計時される現在時刻から各計時手段の各々の通過時刻を特定する。記憶手段は、通過時刻特定手段により特定された各計時手段の各々の通過時刻を記憶する。算出手段は、記憶手段に記憶された最も早い通過時刻と以降の各々の通過時刻との差分から、競技タイムを算出する。識別情報受信手段は、コードパターンを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する。そして、タイム送信手段は、識別情報受信手段により受信された識別情報に応答して、算出された前記競技タイムを読み出し、取得装置に送信する。
【0009】
これにより、各競技者がゴールした後に、各腕時計から識別情報を指定して、それぞれの競技タイムを読み出すことができる。このため、各腕時計から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、衝突等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る腕時計は、
競技者に携帯される腕時計であって、
現在時刻を計時する計時手段と、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時手段により計時される前記現在時刻から前記各計時手段の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定手段と、
前記通過時刻特定手段により特定された前記各計時手段の各々の前記通過時刻を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出手段と、
当該腕時計に対応して割り当てられたコードを、供給される電波に応答して発信するコード発信手段と、
前記コード発信手段が発信した前記コードを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報に応答して、前記算出手段により算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、計時手段は、現在時刻を計時する。また、通過時刻特定手段は、複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、計時手段により計時される現在時刻から各計時手段の各々の通過時刻を特定する。記憶手段は、特定された各計時手段の各々の通過時刻を記憶する。算出手段は、記憶手段に記憶された最も早い通過時刻と以降の各々の通過時刻との差分から、競技タイムを算出する。コード発信手段は、当該腕時計に対応するコードを、供給される電波に応答して発信する。識別情報受信手段は、コード発信手段が発信したコードを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する。そして、タイム送信手段は、識別情報受信手段により受信された識別情報に応答して、算出手段により算出された競技タイムを読み出し、取得装置に送信する。
【0012】
これにより、各競技者がゴールした後に、各腕時計から識別情報を指定して、それぞれの競技タイムを読み出すことができる。このため、各腕時計から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、衝突等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【0013】
前記通過時刻特定手段は、少なくともスタート地点及びゴール地点にて送られるトリガ信号に応答して、前記スタート地点及び前記ゴール地点の通過時刻を特定し、
前記算出手段は、前記ゴール地点の前記通過時刻から前記スタート地点の前記通過時刻を減じて、スタートからゴールまでの競技タイムを算出してもよい。
【0014】
上記の腕時計は、基準時刻を受信する基準時刻受信手段と、
前記基準時刻受信手段により受信される前記基準時刻に基づいて前記計時手段が計時する前記現在時刻を修正する時刻補正手段と、を更に備えてもよい。
【0015】
上記の腕時計は、前記算出手段により算出された前記競技タイムを速報タイムとして、前記計時地点に配置された所定のタイム受信装置に向けて送信する速報タイム送信手段を更に備えてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るタイム計時方法は、
所定のコードパターンが貼付された競技者に携帯される腕時計におけるタイム計時方法であって、
現在時刻を計時する計時ステップと、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時ステップにて計時される前記現在時刻から前記各計時地点の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定ステップと、
前記通過時刻特定ステップにて特定された前記各計時地点の各々の前記通過時刻を所定の記憶部に格納する格納ステップと、
前記格納ステップにて前記記憶部に格納された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出ステップと、
前記コードパターンを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記識別情報受信ステップにて受信した前記識別情報に応答して、前記算出ステップにて算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、計時ステップは、現在時刻を計時する。また、通過時刻特定ステップは、複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、計時ステップにて計時される現在時刻から各計時地点の各々の通過時刻を特定する。格納ステップは、通過時刻特定ステップにて特定された各計時地点の各々の通過時刻を所定の記憶部に格納する。算出ステップは、格納ステップにて記憶部に格納された最も早い通過時刻と以降の各々の通過時刻との差分から、競技タイムを算出する。識別情報受信ステップは、コードパターンを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する。そして、タイム送信ステップは、識別情報受信ステップにて受信した識別情報に応答して、算出された競技タイムを読み出し、取得装置に送信する。
【0018】
これにより、各競技者がゴールした後に、各腕時計から識別情報を指定して、それぞれの競技タイムを読み出すことができる。このため、各腕時計から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、衝突等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るタイム計時方法は、
競技者に携帯される腕時計におけるタイム計時方法であって、
現在時刻を計時する計時ステップと、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時ステップにて計時される前記現在時刻から前記各計時地点の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定ステップと、
前記通過時刻特定ステップにて特定された前記各計時地点の各々の前記通過時刻を所定の記憶部に格納する格納ステップと、
前記格納ステップにて前記記憶部に格納された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出ステップと、
当該腕時計に対応して割り当てられたコードを、供給される電波に応答して発信するコード発信ステップと、
前記コード発信ステップにて発信した前記コードの受信を行う所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記識別情報受信ステップにて受信した前記識別情報に応答して、前記算出ステップにて算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、計時ステップは、現在時刻を計時する。また、通過時刻特定ステップは、複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、計時ステップにて計時される前記現在時刻から各計時地点の各々の通過時刻を特定する。格納ステップは、通過時刻特定ステップにて特定された各計時地点の各々の通過時刻を所定の記憶部に格納する。算出ステップは、格納ステップにて記憶部に格納された最も早い通過時刻と以降の各々の通過時刻との差分から、競技タイムを算出する。コード発信ステップは、当該腕時計に対応して割り当てられたコードを、供給される電波に応答して発信する。識別情報受信ステップは、コード発信ステップにて発信した前記コードの受信を行う所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する。そして、タイム送信ステップは、識別情報受信ステップにて受信した識別情報に応答して、算出ステップにて算出された競技タイムを読み出し、取得装置に送信する。
【0021】
これにより、各競技者がゴールした後に、各腕時計から識別情報を指定して、それぞれの競技タイムを読み出すことができる。このため、各腕時計から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、衝突等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、競技タイムを適切に計時することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態にかかる腕時計を含む競技用計時システムについて、以下図面を参照して説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、この発明の第1の実施形態に適用される腕時計を含む競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。この競技用計時システムは、例えば、大勢の競技者が参加する市民マラソンにおいて、各競技者の競技タイムを計時する場合に適用される。
なお、市民マラソンでは、競技がスタートしても、競技者の数が多いため、スタート位置(スタートライン)に到達するまでにある程度の時間が掛かってしまう。つまり、先頭の競技者と、末尾の競技者とでは、スタートラインを通過する時刻が大きく異なっている。
【0025】
図示するように、この競技用計時システムは、腕時計10と、タイム収集装置20とから構成される。なお、タイム収集装置20には、バーコードリーダBR及び、無線通信ユニットTUが接続されている。
【0026】
まず、腕時計10について説明する。この腕時計10は、競技者RNの腕に装着され、競技者RNと共に、各計時地点(スタート地点、チェックポイント及びゴール地点等)に移動する。また、腕時計10のベルト等には、バーコードBCが貼付されている。
具体的に腕時計10は、トリガアンテナ11と、トリガ受信ユニット12と、計時ユニット13と、制御部14と、記憶部15と、通信アンテナ16と、通信ユニット17と、を含んで構成される。
【0027】
トリガアンテナ11は、所定のトリガ信号を発生させるトリガ信号発生装置から送られるトリガ信号に同調する。
トリガ受信ユニット12は、例えば、検波回路等からなり、トリガアンテナ11を介してトリガ信号を受信(検出)する。
例えば、トリガ受信ユニット12は、図2に示すような、ループコイルLC上に磁界(電磁界)を発生させるトリガ発生装置THから送られるトリガ信号を受信する。つまり、競技者RNがループコイルLC上に到達した際に、トリガ受信ユニット12は、トリガ信号を受信(検出)する。
【0028】
図1に戻って、計時手段としての計時ユニット13は、電子計時ムーブメント等からなり、現在時刻を計時する。
【0029】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、腕時計10全体を制御する。
例えば、制御部14は、通過時刻特定手段を構成し、トリガ受信ユニット12が受信したトリガ信号に基づいて、各計時地点における通過時刻を特定する。つまり、制御部14は、スタート地点、チェックポイント、及び、ゴール地点の通過時刻を特定する。
具体的に制御部14は、トリガ受信ユニット12がトリガ信号の受信を開始した時点で計時ユニット13にて計時された時刻と、トリガ受信ユニット12がトリガ信号を受信しなくなった時点で計時された時刻との関係に基づいて、通過時刻を特定する。一例として、制御部14は、トリガ信号の受信を開始した開始時刻と、トリガ信号の受信を終えた終了時刻との中間時刻を、通過時刻として特定する。
制御部14は、競技中に特定した通過時刻を記憶部15に順次記憶させる。
また、制御部14は、スタート地点での通過時刻と、それ以降の各計時地点での通過時刻(チェックポイントやゴール地点等での通過時刻)との差分から、競技タイム(ラップタイムやネットタイム等)を求める。例えば、第1チェックポイントでの通過時刻からスタート地点での通過時刻を減算して、第1チェックポイントまでの区間競技タイムとなるラップタイムを算出する。また、ゴール地点での通過時刻からスタート地点での通過時刻を減算して、トータルの競技タイムとなるネットタイムを算出する。
つまり、市民マラソンでは、実際の競技開始からスタートラインに到達するまでにある程度の時間がかかるため、スタータのピストルに連動したランニングタイムと関わりなく、スタート地点を含めた各計時地点で計時した通過時刻に基づいて、個人記録としての競技タイムを算出する。
そして、制御部14は、競技終了後に、通信ユニット17から自己の識別情報(後述する腕時計ID)を受信すると、算出した個人記録としての各競技タイム(ラップタイムやネットタイム)を読み出し、タイム収集装置20に向けて送信させる。
【0030】
記憶手段としての記憶部15は、不揮発性のメモリ等からなり、制御部14が特定した通過時刻や、通過時刻を特定するために必要な時刻情報(開始時刻及び終了時刻)等を記憶する。つまり、記憶部15は、スタート地点での通過時刻(スタート時刻)からゴール地点での通過時刻(ゴール時刻)までの各通過時刻を順次記憶する。
また、記憶部15は、制御部14により算出された個人記録としての各競技タイム(ラップタイムやネットタイム)を記憶する。
更に、記憶部15は、腕時計10を識別するための固有の識別情報(腕時計ID)を予め記憶する。
【0031】
通信アンテナ16は、タイム収集装置20(無線通信ユニットTU)との間で所定の無線信号を送受信する。
通信ユニット17は、識別情報受信手段を構成し、制御部14に制御され、タイム収集装置20から送られる腕時計ID等を受信する。また、通信ユニット17は、タイム送信手段を構成し、タイム収集装置20に競技タイム等を送信する。
【0032】
次に、タイム収集装置20について説明する。タイム収集装置20は、例えば、ゴール地点等に配置され、バーコードリーダBRにより、腕時計10に貼付されたバーコードを読み取り、そして、無線通信ユニットTUを通じて、対象の腕時計10から競技タイムを収集する(読み出す)。
具体的にタイム収集装置20は、図3に示すように、コード取得部21と、タグ情報記憶部22と、タイム情報記憶部23と、処理制御部24と、インタフェース25とを含んで構成される。
【0033】
コード取得部21は、バーコードリーダBRが読み取ったバーコードをコード値(例えば、競技者通番等)に変換する。つまり、バーコードの内容を取得する。
【0034】
タグ情報記憶部22は、腕時計IDとバーコード(コード値)とを対応付けて記憶する。
なお、タイム収集装置20は、競技が開始する前に、腕時計10に貼付されたバーコードと腕時計10を識別するための腕時計IDとのひも付けを行い、タグ情報記憶部22にその対応情報を記憶しておく。
【0035】
タイム情報記憶部23は、タイム収集装置20が収集した各競技者RNの競技タイムを記憶する。
例えば、タイム情報記憶部23は、バーコード(例えば、競技者通番のコード値)に対応して、スタート地点からゴール地点まで各計時地点で計時された競技タイムを記憶する。
【0036】
処理制御部24は、CPU等からなり、タイム収集装置20全体を制御する。
例えば、処理制御部24は、コード取得部21がバーコードのコード値を取得すると、タグ情報記憶部22から対応する腕時計IDを検索する。
処理制御部24は、検索した腕時計IDを使用してインタフェース25から無線通信ユニットTUを制御して、対象の腕時計10を呼び出す。そして、この腕時計IDによる呼び出しに応答して、対象の腕時計10から送られる競技タイム等を受信する。
処理制御部24は、受信した競技タイム等をタイム情報記憶部23に格納する。
【0037】
インタフェース25は、無線通信ユニットTUとの通信を中継する。
【0038】
以下、上述した構成の競技用計時システムの動作について、図4及び図5等を参照して説明する。
図4は、腕時計10が競技中に実行する競技タイム算出処理を説明するためのフローチャートである。また、図5は、タイム収集装置20が競技終了後に実行するタイム読み出し処理を説明するためのフローチャートである。
【0039】
最初に、図4に示す競技タイム算出処理について説明する。この競技タイム算出処理は、競技が開始された後、腕時計10を装着した競技者RNがスタート地点からゴール地点に至るまで、繰り返し実行される。
【0040】
まず、腕時計10は、トリガ信号を受信するまで待機する(ステップS11)。つまり、競技者RNが何れかの計時地点に到達し、トリガ受信ユニット12にてトリガ信号を受信するまで、後続処理の実行を待機する。
【0041】
トリガ信号を受信すると、腕時計10は、通過時刻を特定し、記憶部15に記憶する(ステップS12)。つまり、計時ユニット13は、トリガ信号を受信した際に、計時ユニット13にて計時された現在時刻を、その計時地点の通過時刻として特定する。そして、特定した通過時刻を記憶部15に記憶する。
なお、より詳細には、トリガ受信ユニット12がトリガ信号の受信を開始した時点で計時ユニット13にて計時された時刻と、トリガ受信ユニット12がトリガ信号を受信しなくなった時点で計時された時刻との関係(例えば、中間時刻等)に基づいて、制御部14は、通過時刻を特定する。
【0042】
腕時計10は、通過時刻が複数記憶されたか否かを判別する(ステップS13)。つまり、スタート地点以降の計時地点にて通過時刻を記憶部15に記憶した状態であるか否かを判別する。
腕時計10は、通過時刻が複数記憶されていない(1つの通過時刻だけが記憶されている)と判別すると、一旦競技タイム算出処理を終了する。なお、タイム収集装置20によって競技タイム等が読み出されるまで、再度この競技タイム算出処理は実行される。
【0043】
一方、通過時刻が複数記憶されていると判別した場合に、腕時計10は、競技タイムを算出する(ステップS14)。つまり、制御部14は、今回記憶した通過時刻から、最初に記憶した通過時刻を減算して、その計時地点における競技タイム(ラップタイムやネットタイム)を算出する。
【0044】
そして、腕時計10は、今回算出した競技タイムを記憶部15に記憶する(ステップS15)。
【0045】
このような競技タイム算出処理により、トリガー信号受信時に通過時刻を特定し、競技者RN個人の競技タイム(ラップタイムやネットタイム)を算出することができる。そして、通過時刻の特定から競技タイムの算出までが自動的に行われるため、競技者RNが、腕時計10を特に操作する必要がない。
【0046】
次に図5に示すタイム読み出し処理について説明する。このタイム読み出し処理は、ゴール地点を通過した競技者RNの各腕時計10を対象にして行われる。なお、各腕時計10では、上述したタイム算出処理が実行されており、記憶部15内に、それぞれの競技タイム等が記憶されているものとする。
【0047】
まず、タイム収集装置20は、腕時計10に貼付されたバーコードを読み取る(ステップS21)。つまり、バーコードリーダBRによりバーコードBCを読み取り、コード値を取得する。
【0048】
タイム収集装置20は、腕時計IDを検索する(ステップS22)。つまり、読み取ったバーコード(コード値)に対応付けられた腕時計IDをタグ情報記憶部22から検索する。
【0049】
タイム収集装置20は、検索した腕時計IDを使用して対象の腕時計10を呼び出す(ステップS23)。つまり、無線通信ユニットTUから腕時計IDを送信することにより、対応する腕時計IDの腕時計10に対して呼び出しをかける。
【0050】
タイム収集装置20は、タイム受信を待機する(ステップS24)。つまり、腕時計IDの送信に応答して、競技タイム等が送られるまで、後続する処理の実行を待機する。
ここで、対応する腕時計10は、呼び出しに応答して、競技タイム(ラップタイムやネットタイム)を記憶部15から読み出し、タイム収集装置20に向けて送信する。なお、腕時計10は、各通過時刻も記憶部15から読み出し、タイム収集装置20に送信してもよい。
【0051】
そして、競技タイム等を受信すると、タイム収集装置20は、受信した競技タイム等を保存する(ステップS25)。つまり、受信した競技タイム(ラップタイムやネットタイム)等を、バーコード(コード値)に対応付けてタイム情報記憶部23に記憶させる。
【0052】
このように、各競技者RNがゴールした後に、各腕時計10から腕時計IDを指定して、それぞれの競技タイムを読み出すことができる。このため、各腕時計10から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、コリジョン等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを漏れなく受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【0053】
(実施形態2)
上記の第1の実施形態では、実際の競技開始からスタートラインに到達するまで、ある程度の時間が掛かる市民マラソンを一例として説明したが、通常のマラソン競技の場合や、市民マラソンにおける招待選手等の場合では、実際の競技開始(スタートピストルの発射等)に合わせた競技タイムの計時を行う必要がある。
以下、実際の競技開始に合わせた競技タイムの計時を行うことのできる競技用計時システムについて、図面を参照して説明する。
【0054】
図6は、この発明の第2の実施形態に適用される腕時計を含む競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。この競技用計時システムは、例えば、マラソン競技において(又は、市民マラソンの招待選手の場合等)、各競技者の競技タイムを計時する場合に適用される。
【0055】
図示するように、この競技用計時システムは、腕時計30と、タイム収集装置40とから構成される。なお、タイム収集装置40には、バーコードリーダBR及び、無線通信ユニットTUが接続されている。
【0056】
まず、腕時計30について説明する。この腕時計30は、競技者RNの腕に装着され、競技者RNと共に、競技スタート後、各計時地点(チェックポイント及びゴール地点等)に移動する。また、腕時計30のベルト等には、バーコードBCが貼付されている。
具体的に腕時計30は、トリガアンテナ11と、トリガ受信ユニット12と、計時ユニット13と、制御部14と、記憶部15と、通信アンテナ16と、通信ユニット17と、標準電波受信部31と、時刻補正部32と、操作部33と、を含んで構成される。
なお、トリガアンテナ11〜通信ユニット17は、上述した図1に示す腕時計10の構成と同様である。
【0057】
標準電波受信部31は、長波受信機等からなり、長波による標準電波として送信される標準時刻を受信する。
【0058】
時刻補正部32は、標準電波受信部31が受信した標準時刻(標準電波)に基づいて、計時ユニット13の時刻を補正する。つまり、計時ユニット13にて計時される時刻が、標準時刻と同期するように、適宜補正する。
【0059】
操作部33は、複数のスイッチ等からなり、競技者RN等の操作に従って、競技のスタート予定時刻等の情報を入力する。なお、入力されたスタート予定時刻は、計時される競技タイムの根拠となるため、記憶部15に記憶される。
【0060】
そして、計時ユニット13は、標準時刻と同期した時刻を計時し、操作部33からスタート予定時刻が入力されると、予定時刻までのカウントダウン時刻を計時すると共に、スタート予定時刻からのカウントアップ時刻等を計時する。つまり、標準時刻を基準として、スタート予定時刻までの残り時間を減算カウントする。そして、ゼロまでカウントすると(カウントダウンが終了すると)、今度は、その時点(スタート予定時刻)からの経過時間を加算カウントする。
【0061】
このような構成の腕時計30は、計時ユニット13が標準時刻と同期した時刻を計時しており、入力されたスタート予定時刻以降、カウントアップ時刻を計時する。
そして、実際の競技が開始される際に、図7に示すように、スタート地点にて、スタートピストルSPが発射され、競技用タイマTMにて、ランニングタイムの計時が開始される。なお、競技用タイマTMも、標準時刻と同期した時刻を計時し、スタートピストルSPが発射された競技スタート時刻も保持している。そして、この競技スタート時刻を移動体通信端末等を介して、タイム収集装置40に送信可能となっている。
このように、競技が開始された後、競技者RNと共に計時地点(チェックポイント及びゴール地点等)に移動すると、腕時計30は、トリガ信号を受信(検出)する。
【0062】
腕時計30は、計時地点にて受信したトリガ信号に基づいて、計時地点における競技タイムを特定する。具体的に制御部14は、トリガ受信ユニット12がトリガ信号の受信を開始した時点で計時ユニット13にて計時されたカウントアップ時刻と、トリガ受信ユニット12がトリガ信号を受信しなくなった時点でのカウントアップ時刻との関係(たとえば、中間値)に基づいて、競技タイムを特定する。このようにして、各計時地点で計時された競技タイムは、記憶部15に順次記憶される。
そして、腕時計30は、競技終了後(競技者RNがゴールした後)に、タイム収集装置40からの呼び出しに応答して、記憶部15から各競技タイム及び、スタート予定時刻を読み出してタイム収集装置40に送信する。
【0063】
次に、タイム収集装置40について説明する。タイム収集装置40は、例えば、ゴール地点等に配置され、バーコードリーダBRにより、腕時計30に貼付されたバーコードを読み取り、そして、無線通信ユニットTUを通じて、対象の腕時計30から競技タイムを収集する(読み出す)。
具体的にタイム収集装置40は、図8に示すように、コード取得部21と、タグ情報記憶部22と、タイム情報記憶部23と、処理制御部24と、インタフェース25と、スタート時刻取得部41と、を含んで構成される。
なお、コード取得部21〜インタフェース25は、上述した図3に示すタイム収集装置20の構成と同様である。
【0064】
スタート時刻取得部41は、実際に競技が開始された競技スタート時刻を取得する。例えば、スタート時刻取得部41は、無線通信端末等からなり、上述した図7に示すスタート地点にて、競技用タイマTMにより計時され、移動体無線端末等から送られた競技スタート時刻(時刻情報)を受信する。
なお、スタート時刻取得部41は、操作端末等からなり、作業者等の操作に従って、競技スタート時刻を入力するようにしてもよい。
【0065】
処理制御部24は、競技終了後に、腕時計30に向けて、腕時計IDによる呼び出しを行い、これに応答して対象の腕時計30から送られる競技タイム等を受信する。つまり、競技スタート後に各計時地点にて計時された各競技タイムと、その競技タイムの根拠となるスタート予定時刻を、腕時計30から受信する。
そして、処理制御部24は、スタート時刻取得部41が取得したスタート時刻と、腕時計30から受信したスタート予定時刻との時差を求め、腕時計30から受信した競技タイムを補正する。
例えば、スタート予定時刻が実際の競技スタート時刻よりも30秒早かった場合、競技タイムが30秒だけ余分に計時されているため、タイム収集装置40は、余分な30秒を減算する補正を行う。逆に、スタート予定時刻が実際の競技スタート時刻よりも20秒遅かった場合、競技タイムが20秒だけ不足して計時されているため、タイム収集装置40は、不足分の20秒を加算する補正を行う。
処理制御部24は、このように補正した競技タイムをタイム情報記憶部23に格納する。
【0066】
以下、上述した構成の競技用計時システムの動作について、図9等を参照して説明する。図9は、タイム収集装置40が競技終了後に実行するタイム読み出し補正処理を説明するためのフローチャートである。
このタイム読み出し補正処理は、ゴール地点を通過した競技者RNの各腕時計30を対象にして行われる。なお、各腕時計30では、スタート予定時刻を基準としたカウントアップ時刻によるタイム算出が行われており、記憶部15内に、それぞれの競技タイム等が記憶されているものとする。また、タイム収集装置40は、スタート時刻取得部41により、実際の競技スタート時刻を取得しているものとする。
【0067】
まず、タイム収集装置40は、腕時計30に貼付されたバーコードを読み取ると(ステップS31)、腕時計IDを検索する(ステップS32)。つまり、読み取ったバーコード(コード値)に対応付けられた腕時計IDをタグ情報記憶部22から検索する。
【0068】
タイム収集装置40は、検索した腕時計IDを使用して対象の腕時計30を呼び出し(ステップS33)、タイム受信を待機する(ステップS34)。つまり、腕時計IDの送信を行い、応答して競技タイム等が送られるまで、後続する処理の実行を待機する。
ここで、対応する腕時計30は、呼び出しに応答して、競技タイムおよび、予定スタート時刻を記憶部15から読み出し、タイム収集装置40に向けて送信する。
【0069】
この競技タイム等を受信すると、タイム収集装置40は、受信したスタート予定時刻と、スタート時刻取得部41が取得した競技スタート時刻との時差を求め、競技タイムを補正する(ステップS35)。つまり、腕時計30が計時した競技タイムを、スタート予定時刻と実際の競技スタート時刻との時差により、補正する。
【0070】
そして、タイム収集装置40は、補正した競技タイムを保存する(ステップS36)。つまり、補正した競技タイムを、バーコード(コード値)に対応付けてタイム情報記憶部23に記憶させる。
【0071】
このように、各競技者RNがゴールした後に、各腕時計30から腕時計IDを指定して、それぞれの競技タイムを読み出した後、実際の競技スタート時刻に基づいた競技タイムに適切に補正される。この際、スタート予定時刻が誤って設定されたとしても、腕時計30が標準時刻に同期した時刻を計時しているため、正しく補正することができる。
このため、各腕時計30から送られた競技タイム等から正確な競技タイムを求めることができる。また、各腕時計30から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、衝突等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを漏れなく受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【0072】
(第3の実施形態)
上記の第2の実施形態では、各腕時計30が標準電波を受信することにより、標準時刻に同期させ、スタート予定時刻までのカウントダウン時刻及び、スタート予定時刻からのカウントアップ時刻を計時する場合について説明した。
しかしながら、腕時計側にて、ランニングタイムを計時する競技用タイマと、同期を取ることができるようにしてもよい。
以下、競技用タイマと腕時計との時刻を同期させる競技用計時システムについて、図面を参照して説明する。
【0073】
図10は、この発明の第3の実施形態に適用される腕時計を含む競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。この競技用計時システムは、例えば、マラソン競技において(又は、市民マラソンの招待選手の場合等)、各競技者の競技タイムを計時する場合に適用される。
【0074】
図示するように、この競技用計時システムは、腕時計50と、タイム収集装置20とから構成される。なお、タイム収集装置20には、バーコードリーダBR及び、無線通信ユニットTUが接続されている。また、タイム収集装置20は、上述した図3に示すタイム収集装置20の構成と同様である。
【0075】
一方、腕時計50は、トリガアンテナ11と、トリガ受信ユニット12と、計時ユニット13と、制御部14と、記憶部15と、通信アンテナ16と、通信ユニット17と、同期時刻受信部51と、時刻設定部52と、表示部53と、を含んで構成される。
なお、トリガアンテナ11〜通信ユニット17は、上述した図1に示す腕時計10の構成と同様である。
【0076】
同期時刻受信部51は、無線受信ユニット等からなり、例えば、スタート地点の近傍に配置された無線通信機等から送られるカウントダウン時刻及び、ランニングタイムを受信する。
このカウントダウン時刻は、スタート予定時刻までの残り時刻であり、競技スタートの所定時間前に送信される。また、ランニングタイムは、競技のスタート後に、競技用タイマにより計時された時刻情報であり、腕時計50を、競技用タイマの時刻に同期させるために送信される。
【0077】
時刻設定部52は、同期時刻受信部51がカウントダウン時刻を受信すると、このカウントダウン時刻を計時ユニット13に設定し、スタート予定時刻までの計時を行わせる。
また、同期時刻受信部51がランニングタイムを受信すると、このランニングタイムを受信すると、計時ユニット13に設定し、競技用タイマと同期した時刻を計時させる。
【0078】
表示部53は、液晶表示ユニット等からなり、計時ユニット13が計時するカウントダウン時刻やランニングタイム(カウントアップ時刻)等を表示する。
例えば、同期時刻受信部51がカウントダウン時刻を受信した後、表示部53は、計時ユニット13が計時するカウントダウン時刻をフリッカ(点滅)させて、表示する。つまり、スタート予定時刻までの残り時刻を点滅表示させる。これにより、競技者RNには、スタートまでのおおよその残り時間が報知される。なお、ランニングタイムを受信することなくスタート予定時刻を経過すると、表示部53は、スタート予定時刻からのカウントアップ時刻も、点滅表示させる。
その後、同期時刻受信部51がランニングタイムを受信すると、表示部53は、点滅表示を止め、計時ユニット13が計時するカウントアップ時刻(ランニングタイム)を、表示する。
つまり、点滅表示を止めることで、競技用タイマと同期したことを表す。このため、競技者RNは、自己の腕時計50の表示により、実際のランニングタイムを知ることができる。
【0079】
このような構成の腕時計50は、競技のスタート後に競技用タイマと同期した時刻(ランニングタイム)を計時する。そして、競技が開始された後、競技者RNと共に計時地点(チェックポイント及びゴール地点等)に移動すると、腕時計50は、トリガ信号を受信(検出)する。
【0080】
腕時計50は、計時地点にて受信したトリガ信号に基づいて、計時地点における競技タイムを特定する。具体的に制御部14は、トリガ受信ユニット12がトリガ信号の受信を開始した時点で計時ユニット13にて計時されたランニングタイムと、トリガ受信ユニット12がトリガ信号を受信しなくなった時点でのランニングタイムとの関係(たとえば、中間値)に基づいて、競技タイムを特定する。このようにして、各計時地点で計時された競技タイムは、記憶部15に順次記憶される。
そして、腕時計50は、競技終了後(競技者RNがゴールした後)に、タイム収集装置20からの呼び出しに応答して、記憶部15から各競技タイム等を読み出してタイム収集装置20に送信する。
【0081】
タイム収集装置20は、上述した第1の実施形態と同様に、バーコードリーダBRにより、腕時計50に貼付されたバーコードを読み取り、そして、無線通信ユニットTUを通じて、対象の腕時計50から競技タイムを収集する(読み出す)。この際、腕時計50では、競技用タイマと同期したランニングタイムに基づいて競技タイムが計時されているため、タイム収集装置20は、上述したタイム収集装置40と異なり、補正等の必要がない。
【0082】
このように、各腕時計50では、競技用タイマと同期したランニングタイムに基づいて計時された競技タイムが格納されている。そして、各競技者RNがゴールした後に、各腕時計50から腕時計IDを指定して、それぞれの競技タイムを読み出すことができる。このため、各腕時計50から無線通信により競技タイムを送信する場合でも、コリジョン等の無線トラブルを生じることなく、競技タイムを漏れなく受信することができる。
この結果、競技タイムを適切に計時することができる。
【0083】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、バーコードを読み取る場合について説明したが、他に、パッシブタグを使用して、競技者RNのコード値(例えば、競技者通番等)を取得するようにしてもよい。
例えば、図11に示すように、腕時計10,30,50には、バーコードの代わりに、パッシブタグPTが貼付されている。このパッシブタグPTは、所定の電波を受信すると、競技者RNに対応したコード値(例えば、競技者通番等)を発信する。つまり、コード発信手段としてのパッシブタグPTは、供給される電波に応答してコードを発信する。
そして、タイム収集装置20,40には、このパッシブタグPTのリーダライタRWが接続されている。つまり、リーダライタRWをパッシブタグPTに近づけると、パッシブタグPTに所定の電波を供給し、応答してパッシブタグPTからコード値(例えば、競技者通番等)を読み出すことができる。
この場合も、タイム収集装置20,40は、リーダライタRWを通じて読み出したコード値に対応する腕時計IDを検索する。そして、検索した腕時計IDを使用して、腕時計10,30,50から競技タイムを読み出すことができる。
【0084】
上記の実施形態では、無線通信により、腕時計10等から競技タイムを読み出す場合について説明したが、腕時計10等とタイム収集装置20等とを有線により接続し、腕時計10等から競技タイムを読み出してもよい。
【0085】
上記の実施形態では、競技の終了後に、タイム収集装置20等により各競技者RNの競技タイムを読み出す場合について説明したが、競技中にも競技タイムを読み出せるようにしてもよい。
例えば、図12に示すように、競技者RNと共に腕時計10,30,50がループコイルLC上を通過し、競技タイムを記憶した後に、記憶した競技タイムを速報タイムとして速報タイム受信装置STに送信するようにしてもよい。なお、速報タイムを送信するのは、一部の競技者RN(例えば、招待選手等)に限って、無線トラブルを生じさせないようにしてもよい。
つまり、特定の腕時計10,30,50が、チェックポイントやゴール地点等にて、計時した競技タイムを速報タイムとして、速報タイム受信装置STに向けて送信する。この場合、速報タイム送信手段としての通信ユニット17は、その計時地点で計時した競技タイムを競技タイムとして、速報タイム受信装置STに送信する。
その際、無線データ(速報タイム)の衝突を防止するために、話中(他の腕時計10等がデータ送信中)でないことを確認してから、出力する。また、話中であった場合、所定数だけリトライを試みるが、所定数を超えたら速報タイムの送信を止めてもよい。
【0086】
上記の実施の形態では、マラソン競技にて競技タイムを計時する腕時計10等を一例として説明したが、計時対象の競技は、これに限られず任意である。
例えば、駅伝、競歩、身障者車椅子ロードレース、自転車ロードレース、トライアスロン、及び、ランニングやオリエンテーション等の山岳競技等にも適宜適用可能である。
【0087】
上記の実施の形態では腕時計10として説明したが、上記競技用計時システムは腕時計に限らず、上記の実施の形態における腕時計10と同様に構成されるタグなどの携帯機器であってもよい。また、腕時計10の装着箇所は走者RNの腕に限定されず、バンドなどの装着手段によって走者RNの足や胴体に装着してもよい。
【0088】
以上説明したように、競技タイムを適切に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る腕時計を含む競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】腕時計の計時地点での様子を説明する模式図である。
【図3】第1の実施形態に係るタイム収集の構成を説明するための模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る競技タイム算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るタイム読み出し処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る腕時計を含む競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図7】スタート地点の様子や、計時地点の様子を説明する模式図である。
【図8】第2の実施形態に係るタイム収集の構成を説明するための模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るタイム読み出し補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る腕時計を含む競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図12】速報タイムを送信する様子を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0090】
10,30,50 腕時計
11 トリガアンテナ
12 トリガ受信ユニット
13 計時ユニット
14 制御部
15 記憶部
16 通信アンテナ
17 通信ユニット
20,40 タイム収集装置
21 コード取得部
22 タグ情報記憶部
23 タイム情報記憶部
24 処理制御部
25 インタフェース
31 標準電波受信部
32 時刻補正部
33 操作部
41 スタート時刻取得部
51 同期時刻受信部
52 時刻設定部
53 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコードパターンが貼付された競技者に携帯される腕時計であって、
現在時刻を計時する計時手段と、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時手段により計時される前記現在時刻から前記各計時地点の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定手段と、
前記通過時刻特定手段により特定された前記各計時地点の各々の前記通過時刻を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出手段と、
前記コードパターンを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報に応答して、前記算出手段により算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信手段と、
を備えることを特徴とする腕時計。
【請求項2】
競技者に携帯される腕時計であって、
現在時刻を計時する計時手段と、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時手段により計時される前記現在時刻から前記各計時地点の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定手段と、
前記通過時刻特定手段により特定された前記各計時手段の各々の前記通過時刻を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出手段と、
当該腕時計に対応して割り当てられたコードを、供給される電波に応答して発信するコード発信手段と、
前記コード発信手段が発信した前記コードを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報に応答して、前記算出手段により算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信手段と、
を備えることを特徴とする腕時計。
【請求項3】
前記通過時刻特定手段は、少なくともスタート地点及びゴール地点にて送られるトリガ信号に応答して、前記スタート地点及び前記ゴール地点の通過時刻を特定し、
前記算出手段は、前記ゴール地点の前記通過時刻から前記スタート地点の前記通過時刻を減じて、スタートからゴールまでの競技タイムを算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の腕時計。
【請求項4】
基準時刻を受信する基準時刻受信手段と、
前記基準時刻受信手段により受信される前記基準時刻に基づいて前記計時手段が計時する前記現在時刻を修正する時刻補正手段と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の腕時計。
【請求項5】
前記算出手段により算出された前記競技タイムを速報タイムとして、計時地点に配置された所定のタイム受信装置に向けて送信する速報タイム送信手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の腕時計。
【請求項6】
所定のコードパターンが貼付された競技者に携帯される腕時計におけるタイム計時方法であって、
現在時刻を計時する計時ステップと、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時ステップにて計時される前記現在時刻から前記各計時地点の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定ステップと、
前記通過時刻特定ステップにて特定された前記各計時地点の各々の前記通過時刻を所定の記憶部に格納する格納ステップと、
前記格納ステップにて前記記憶部に格納された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出ステップと、
前記コードパターンを読み出した所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記識別情報受信ステップにて受信した前記識別情報に応答して、前記算出ステップにて算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信ステップと、
を備えることを特徴とするタイム計時方法。
【請求項7】
競技者に携帯される腕時計におけるタイム計時方法であって、
現在時刻を計時する計時ステップと、
複数の計時地点にて送られる所定のトリガ信号に応答して、前記計時ステップにて計時される前記現在時刻から前記各計時地点の各々の通過時刻を特定する通過時刻特定ステップと、
前記通過時刻特定ステップにて特定された前記各計時地点の各々の前記通過時刻を所定の記憶部に格納する格納ステップと、
前記格納ステップにて前記記憶部に格納された最も早い前記通過時刻と以降の各々の前記通過時刻との差分から、競技タイムを算出する算出ステップと、
当該腕時計に対応して割り当てられたコードを、供給される電波に応答して発信するコード発信ステップと、
前記コード発信ステップにて発信した前記コードの受信を行う所定の取得装置から送られる当該腕時計の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記識別情報受信ステップにて受信した前記識別情報に応答して、前記算出ステップにて算出された前記競技タイムを読み出し、前記取得装置に送信するタイム送信ステップと、
を備えることを特徴とするタイム計時方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−189260(P2006−189260A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381569(P2004−381569)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】