説明

腫瘍、炎症性障害および免疫障害の治療のためのIL−4受容体に対する結合剤

本発明は、腫瘍、炎症性障害および免疫障害の予防および/または治療のための、ヒトインターロイキン−4受容体に対する抗原結合剤の使用に関する。さらに、本発明は、IL−4RへのIL−4の結合を阻害することなくIL−4の生物活性を阻害する方法、特に腫瘍、炎症性障害および免疫障害を治療および/または予防するための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rについての結合親和性を有する抗原結合剤を投与することを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、腫瘍、炎症性障害および免疫障害の予防および/または治療のためのヒトインターロイキン−4受容体に対するその抗原結合剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、サイトカインの発現および/または機能を調節するサイトカインアンタゴニストの、細胞における抗アポトーシスタンパク質の下方制御のための使用に関する。特に、これは、癌の治療のためのサイトカインアンタゴニストの使用に関する。サイトカイン受容体に対する抗体が、サイトカインアンタゴニストの例として示されている。
【0003】
特許文献2は、IL−4アンタゴニストの、IL−4により誘導される医学的状態の治療のための使用について記載している。特に、これは、IL−4アンタゴニストの、アレルギー状態および喘息の治療および/または予防を含む炎症性疾患の治療のための使用に関する。IL−4受容体に特異的な抗体であって、IL−4により誘導される生物活性およびIL−13により誘導される生物活性を阻害することを特徴とする抗体が、IL−4アンタゴニストの例として示されている。このような抗体を用いる癌の治療は、しかし、開示も示唆もされていない。
【0004】
ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーの形成は、サイトカイン受容体の活性化および膜内外のシグナル伝達の間の重要な事象であるとみられる。IL−4シグナル伝達は、2つのサイトカイン受容体タンパク質、すなわち、IL−4Rαと、γとよばれるIL−2受容体系のγ鎖とのヘテロ二量体複合体により媒介される(Kondoら、1993年、Russellら、1993年)。一部の細胞は、代替サブユニット、すなわちIL−13受容体複合体のコンポーネントを受容体複合体に動員することにより、γを用いることなくIL−4に応答する(Amanら、1996年)。
【0005】
インターロイキン−4Rex、すなわちインターロイキン−4受容体αサブユニット(IL−4Rα)の細胞外ドメインに対して作製された、Tonyら(1994年)により記載されたモノクローナル抗体(mAb)X2/45が、IL−4およびIL−13により誘導される応答を阻害するのに有用であり、腫瘍、炎症性障害および免疫障害の治療のために特に適切であることが、驚くべきことに見出された。
【0006】
よって、本発明は、ヒトインターロイキン−4受容体に特異的な抗体または抗原結合フラグメントの、特に腫瘍、炎症性障害および免疫障害の予防および/または治療のための医薬品の製造のための使用であって、該抗体および抗体フラグメントが、好ましくはIL−4およびIL−13により誘導される生物活性の両方を阻害する使用に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/069274号
【特許文献2】国際公開第01/92340号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な説明
第1の実施形態は、IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、二重特異性抗原結合剤が1つのさらなる結合親和性を含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子もしくはサイトカイン受容体分子についてのものである方法に関する。
【0009】
本発明は、以下の実施形態にさらに関係する:
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rについての結合親和性と、1つのさらなる結合親和性とを有する二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものである方法。
【0010】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rについての結合親和性と、1つのさらなる結合親和性とを有する二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものであり、抗原結合剤のIL−4R結合が、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない方法。
【0011】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、必要とする個体に、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1つまたは複数のアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープ、および1つのさらなる結合親和性に対する二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものである方法。
【0012】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rに対する抗原結合剤を投与することを含み、抗原結合剤がIL−4RへのIL−4の結合を妨げない方法。
【0013】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rに対する抗原結合剤を投与することを含み、前記がIL−4の生物活性を阻害し、抗原結合剤が、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない方法。
【0014】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1つまたは複数のアミノ酸を含むIL−4R上に天然に存在するエピトープに対する抗原結合剤を投与することを含む方法。
【0015】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、抗原結合剤を投与することを含み、抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である方法。
【0016】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、二重特異性抗原結合剤が1つのさらなる結合親和性を含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子もしくはサイトカイン受容体分子についてのものである方法。
【0017】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rについての結合親和性と、1つのさらなる結合親和性とを有する二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものである方法。
【0018】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rについての結合親和性と、1つのさらなる結合親和性とを有する二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものであり、抗原結合剤のIL−4R結合がIL−4RへのIL−4の結合を妨げない方法。
【0019】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1つまたは複数のアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープ、および1つのさらなる結合親和性に対する二重特異性抗原結合剤を投与することを含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものである方法。
【0020】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rに対する抗原結合剤を投与することを含み、抗原結合剤がIL−4RへのIL−4の結合を妨げない方法。
【0021】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rに対する抗原結合剤を投与することを含み、前記がIL−4の生物活性を阻害し、抗原結合剤が、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない方法。
【0022】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1つまたは複数のアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープに対する抗原結合剤を投与することを含む方法。
【0023】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための方法であって、それを必要とする個体に、抗原結合剤を投与することを含み、抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である方法。
【0024】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のためのIL−4Rに対する抗原結合剤であって、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない、抗原結合剤。
【0025】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、IL−4Rに対する抗原結合剤であって、IL−4の生物活性を阻害し、かつIL−4RへのIL−4の結合を妨げない、抗原結合剤。
【0026】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1つまたは複数のアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープに対する抗原結合剤。
【0027】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための抗原結合剤であって、抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である抗原結合剤。
【0028】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、IL−4Rについての結合親和性と、1つのさらなる結合親和性とを有する二重特異性抗原結合剤であって、抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、二重特異性抗原結合剤が1つのさらなる結合親和性を含み、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子もしくはサイトカイン受容体分子についてのものである抗原結合剤。
【0029】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、IL−4Rについての結合親和性と1つのさらなる結合親和性を有する二重特異性抗原結合剤であって、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものである抗原結合剤。
【0030】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、IL−4Rについての結合親和性と1つのさらなる結合親和性を有する二重特異性抗原結合剤であって、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものであり、抗原結合剤のIL−4R結合が、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない抗原結合剤。
【0031】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1つまたは複数のアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープに対して指向され、かつ1つのさらなる結合親和性を有する二重特異性抗原結合剤であって、さらなる結合親和性が、例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などの例えばサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についてのものである抗原結合剤。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は、上記の抗原結合剤および/または二重特異性抗原結合剤の、腫瘍、炎症性障害および免疫障害の治療のための医薬品の製造のための使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1−1】図1は、ヒト化およびマウス可変軽鎖ならびに重鎖のアミノ酸配列を示す図である。
【図1−2】図1は、ヒト化およびマウス可変軽鎖ならびに重鎖のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2は、抗IL−4R抗体のCDRのアミノ酸配列(配列番号1〜6)を示す図である。
【図3】図3は、抗IL4R−scFv−Fcおよび抗IL4−scFv−Fc結合剤構築物のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】図4は、そのドメイン構造とともに、IL−4RポリペプチドNP_000409_バージョン1(配列番号12)のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】図5は、IL−4Rの結晶構造を示す図である。
【図6】図6は、抗IL−4R/抗IL−4抗原結合剤および二重特異性抗原結合剤の存在下でのTF−1細胞の成長を示すグラフである。
【図7】図7は、抗IL−4R抗原結合剤の存在下でのTF−1細胞の代謝アッセイの結果を示すグラフである。
【図8】図8は、マウス抗IL−4R抗体およびヒト化抗IL−4R抗体を用いるELISA実験の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、受容体へのIL−4の結合を妨げない様式での抗IL−4R抗原結合剤の結合の有利な効果を示す、IL−4−IL−4R相互作用のモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
IL−4は、広い範囲の細胞において特異的生物機能を誘導し、免疫系の主要な調節サイトカインの1つである。IL−4は、自己分泌型成長因子として働き、TH2細胞の特徴的サイトカインである。同時に、IL−4はTH1細胞サブセットの発生を阻害し、遺伝子のIFN−ガンマ媒介活性化にアンタゴナイズし、よって、TH2免疫応答の重要なメディエイターである。TH2応答の誤制御は、喘息などのアレルギー反応を導き得る(Vercelli、2006年)。さらに、IL4は、活性化されたB細胞の増殖および分化に対する刺激効果を有する。増殖しているB細胞において、これは、IgE、IgG2およびIgG4への抗体アイソタイプスイッチを誘導する。単球およびマクロファージにおいて、IL4はMHCクラスII分子および可溶性サイトカイン阻害物質の発現を上方制御する(Kindtら、2006年)。
【0035】
IL−4およびその対応する受容体は免疫系の細胞および一部の非造血細胞上で主に発現されていると考えられていたが、非常に多種類の起源からの腫瘍細胞が、IL−4Rおよび/またはIL4を発現することが示されている。さらに、IL4は、化学療法により誘導されるアポトーシスから癌細胞を保護することが示され、IL4シグナル伝達のアンタゴニストは、抗アポトーシスタンパク質の下方制御と、化学療法により誘導されるアポトーシスに向かう腫瘍の再感作を引き起こした(Todaroら、2007年、2008年)。
【0036】
本発明の物質および方法は、IL−4により誘導される状態の治療および予防のために用いてよい。このような状態は、IL−4により直接的もしくは間接的に引き起こされるかまたは悪化させられる状態を包含する。その他の因子またはサイトカインも前記状態において役割を有し得るが、IL−4もその状態を少なくとも部分的に誘導するかまたは媒介する。IL−4の生物活性は、インターロイキン(interfeukin)−4受容体(IL−4R)との結合により媒介されるので、IL−4により誘導される状態は、細胞上の天然のIL−4受容体へのIL−4の結合に起因する生物学的応答から生じるもの、またはIL−4受容体へのIL−4の結合を妨げることにより阻害もしくは抑制され得るものを包含する。治療され得る状態は、それらに限定されないが、IL−4の異常なもしくは過剰な発現、またはIL−4産生への異常な宿主応答を特徴とする医学的障害を包含する。さらなる例は、IL−4により誘導される抗体産生、または特定の型の細胞の増殖もしくは流入が役割を有する状態である。IL−4により誘導される障害は、IL−4がIL−4受容体の上方制御または疾患において役割を有する別のタンパク質(例えば別のサイトカイン)の産生の増進を誘導するものを包含する。好ましい実施形態において、障害は、特に、腫瘍、ならびに炎症性障害および免疫障害である。
【0037】
本発明の文脈において用いられる全ての文法的な形態における用語「腫瘍」または「複数の腫瘍(tumors)」は、頭部および頚部の腫瘍、気道の腫瘍、肛門生殖管の腫瘍、消化管の腫瘍、泌尿器系の腫瘍、生殖器系の腫瘍、内分泌系の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、皮膚およびその付属器の腫瘍、軟部組織および骨の腫瘍、リンパ球形成および造血系の腫瘍などを含み得る。腫瘍は、例えば良性および悪性の腫瘍、癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫または異形成などの新生物を含み得る。
【0038】
癌は、任意の悪性の新生物または細胞の自発的な成長もしくは増殖を含む。本発明の特定の実施形態において、癌は、浸潤性の癌を含む。癌を有する対象は、例えば、白血病、リンパ腫または血液細胞のその他の悪性病変を有し得る。特定の実施形態において、固形腫瘍のことをいう。
【0039】
特定の実施形態において、腫瘍は、例えば頭部および頚部の癌、気道の癌、肛門生殖器管の癌、消化管の癌、皮膚およびその付属器の癌、中枢および末梢神経系の癌、泌尿器系の癌、生殖器系の癌、内分泌系の癌、軟部組織および骨の癌、造血およびリンパ球形成系の癌である。固形腫瘍の例は、それらに限定されないが、結腸腫瘍、結腸腫瘍、子宮頚部腫瘍、胃腫瘍および膵臓腫瘍、非小細胞肺癌(NSCLC)、精巣癌、肺癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膵臓癌、結腸直腸癌(CRC)、乳癌、ならびに前立腺、胃、皮膚、胃部、食道および膀胱の癌を包含する。
【0040】
炎症性障害および免疫障害は、頭部および頚部、気道、肛門生殖器管、消化管、泌尿器系、生殖器系、内分泌系、中枢および末梢神経系、皮膚およびその付属器、軟部組織および骨、リンパ球形成および造血系などの炎症性障害であってよい。
【0041】
炎症性障害および免疫障害の例は、それらに限定されないが、全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状ループス、ループス腎炎、サルコイドーシス、若年性関節炎を含む炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ライター症候群、心臓の炎症(心筋炎)、腎臓の炎症(腎炎)、滑液包炎、腱炎、ホジキン病、慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)、甲状腺炎、リウマチ熱、重症筋無力症、ベーチェット症候群、サルコイドーシス、多発性筋炎、結膜炎、歯肉炎、結節性動脈周囲炎および再生不良性貧血、強直性脊椎炎、および痛風性関節炎、器官または組織移植の拒絶反応、超急性、急性もしくは慢性の拒絶反応および/または移植片対宿主病、多発性硬化症、高IgE症候群、結節性多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、炎症性腸疾患、クーロン病、セリアック病(グルテン過敏性腸症)、自己免疫性肝炎、悪性貧血、自己免疫性溶血性貧血、乾癬、強皮症、重症筋無力症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、免疫複合体病、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、多発性筋炎および皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、血栓溶解、心筋症、尋常性天疱瘡、肺性間質性線維症、I型およびII型糖尿病、1、2、3および4型遅延型過敏症、アレルギーまたはアレルギー性障害、治療用タンパク質に対する望まれない/意図されない免疫応答、喘息、チャーグ−ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫症)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性および刺激性接触皮膚炎、蕁麻疹(urtecaria)、IgE依存性アレルギー、アテローム性動脈硬化症、血管炎、特発性炎症性筋疾患、溶血性疾患、アルツハイマー病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーなどを包含する。その他の一部の実施形態において、炎症性障害は、それらに限定されないが、肺移植片拒絶反応、喘息、サルコイドーシス、肺気腫、嚢胞性線維症、特発性肺性線維症、慢性気管支炎、アレルギー性鼻炎、および過敏性肺臓炎などの肺のアレルギー疾患、好酸球性肺炎、骨髄および/もしくは肺の移植または他の原因、移植片アテローム性動脈硬化症/移植片静脈硬化症による閉塞性細気管支炎を包含する肺性炎症、ならびに膠原病、血管病および関節リウマチおよびエリテマトーデスなどの自己免疫疾患に起因する肺性線維症を包含し得る。
【0042】
炎症性障害は、特定の実施形態において、炎症細胞(白血球)の長期の活性化と関連する疾患プロセスとして定義される慢性炎症性障害を含み得る。慢性炎症は、患者の器官または組織の損傷を導き得る。
【0043】
炎症性障害および免疫障害は、頭部および頚部、気道、肛門生殖器管、消化管、泌尿器系、生殖器系、内分泌系、中枢および末梢神経系、皮膚およびその付属器、軟部組織および骨、リンパ球形成および造血系などの炎症性障害であってよい。
【0044】
特定の実施形態において、炎症性疾患は、感染性疾患または寄生体により引き起こされる疾患であり得る。このような疾患は、例えば結核、腸内細菌による感染、マイコプラズマによる感染などを包含する。
【0045】
特に好ましい一実施形態において、炎症性障害は喘息である。
【0046】
本発明の文脈において用いる場合、用語「抗原結合剤」とは、抗体、抗体フラグメント、抗体の抗原結合フラグメント、ミニ抗体および抗原に特異的に結合するその他の分子のことをいう。特定の実施形態において、抗原結合剤は、例えば全長抗体(whole antibody)、Fab、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体およびscFv、単鎖抗体、ミニ抗体、例えばFab’フラグメントなどの抗体のフラグメント、アフィボディ(affibodiesまたはaffybodies)、トリネクチン、モノボディ、FN3モノボディ、アンチカリンまたは適切な抗体模倣物である。抗体または抗体フラグメントは、例えば重鎖(CDR−H)、重鎖(CDR−H、VH)および軽鎖(CDR−L、VL)の相補性決定領域(CDR)の可変ドメイン(V)を含む、全長抗体で見出される1つもしくは複数の成分またはドメインを包含し得る。本発明の抗体、抗体フラグメントおよび抗原結合フラグメントは、ポリクローナルまたはモノクローナルであってよい。本発明の抗体、抗体フラグメントおよび抗原結合フラグメントは、それらに限定されないが、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、フクロネズミ、ヒト、ウマ、サル、霊長類、ウシ、サメまたはクジラを含む任意の種に由来してよい。さらに、抗体は、遺伝子工学的に作製された抗体および/またはトランスジェニック動物、微生物、植物で作製された抗体、もしくは合成された抗体も含み得る。特定の実施形態において、抗体は、ヒトまたはヒト化抗体を含み得る。同様に、本明細書で用いられる結合剤は、ヒトにおけるいずれの免疫応答の危険性も最小限にするためにヒト化され得る。一般的に、特定の抗原に対する特異的結合親和性を有する任意の分子を、本発明の抗原結合剤として用いてよい。
【0047】
特定の実施形態において、抗原結合剤は、ヒトの定常ドメイン、例えばヒト定常IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4ドメインを有するキメラまたはヒト化抗体である。さらに、ファージディスプレイ技術またはヒト免疫系を有するトランスジェニック動物で製造され得る完全ヒト抗体が好ましい。より好ましくは、抗体は、ヒトのもしくは実質的にヒトのフレームワーク領域をさらに含むヒト化またはヒト抗体である。抗体フラグメント、例えばF(ab)フラグメントなどの二価または一価の抗体フラグメントも好ましい。他方で、抗体は、組換え抗体、例えば単鎖抗体またはそのフラグメント、例えばscFvフラグメントであり得る。
【0048】
一実施形態において、本発明の抗体は、抗体または抗体フラグメント、例えばハイブリドーマ細胞株DSM ACC2882により産生されるマウス抗体X2/45(Tonyら、1994年)に由来するキメラまたはヒト化抗体である。ハイブリドーマ細胞株DSM ACC2882は、微生物の寄託に関するブダペスト条約の下で2008年1月29日に独国(Mascheroder Weg 1b、38124 Braunschweig)のDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された。
【0049】
マウス抗体X2/45は、配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、またはその可変領域(配列番号8)(図1)と、VH1(配列番号9)、VH2(配列番号10)およびVH3(配列番号11)(図2)から選択される重鎖アミノ酸配列とを含む。
【0050】
さらに好ましい実施形態は、WO01/92340A2(その内容は本明細書に参照により組み込まれる)に開示される6−2、12B5、63、1B7、5A1および27A1、またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメント、例えばキメラもしくはヒト化抗体などのIL−4受容体に対する抗体の使用に関する。このキメラまたはヒト化抗体は、好ましくは、抗体6−2、12B5、63、1B7、5A1および27A1のいずれかの重鎖および/または軽鎖の相補性決定領域を含む。これは、特に、WO01/92340A2に開示される軽鎖および重鎖可変領域のアミノ酸配列に関する。
【0051】
さらに、本発明は、癌の予防および/または治療のための医薬品の製造のための、6−2、12B5、63、1B7、5A1および27A1から選択される抗体と同じヒトIL−4受容体のエピトープ領域を認識する抗体、またはその抗原結合フラグメントに関する。
【0052】
本明細書で用いる場合、IL−4RまたはIL−4受容体は、アクセッション番号NP_000409.1の下でも見出される配列番号12の配列を有するポリペプチドであるインターロイキン4受容体アルファ鎖アイソフォームのことをいう。このアクセッション番号バージョン1の下で提供されるポリペプチド配列は、本明細書に参照により組み込まれる。本明細書におけるIL−4Rタンパク質のアミノ酸の位置に関するいずれの言及も、配列番号12で与えられるアミノ酸配列を参照する。
【0053】
全般的に、本発明の抗原結合剤は、配列番号12のG24〜H232にあるポリペプチドの細胞外ドメイン中のIL−4Rの配列の任意の抗原性のアミノ酸のひと続きに対する抗原結合剤である。
【0054】
特定の実施形態において、抗原結合剤は、抗原結合剤のエピトープへの結合が、IL−4RポリペプチドとIL−4ポリペプチドとの相互作用も、IL−4RポリペプチドへのIL−4の結合も妨げないような様式で、IL−4Rポリペプチドのエピトープに対するものである。一般的に、このことは、IL−4Rタンパク質の3次元構造上で、IL−4結合領域の位置と反対側にある任意のエピトープについて達成できる。さらに、タンパク質のIL−4結合領域と同じ側に位置するエピトープも、エピトープと結合したときに抗原結合剤がIL−4タンパク質のIL−4Rへの接近およびIL−4R上の結合領域への結合を立体的に妨げないような様式でそれぞれのエピトープが存在することを条件として、IL−4R IL−4相互作用を妨げない可能性がある。
【0055】
特定の実施形態において、抗原結合剤は、癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための、ヒトインターロイキン−4受容体に特異的な抗原結合剤であって、抗原結合剤は、少なくとも1つの重鎖可変領域と、少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である抗原結合剤である。
【0056】
ヒトIL−4Rについて、細胞外ドメインのいくつかの結晶構造が発表されている。ヒトIL−4R−ECDは、フィブロネクチンIII様折り畳みをともに有する2つのサブドメインからなる(図5を参照されたい)。N末端サブドメイン(IL−4R−ECD−I、図においてIL4R−I.として示す)は、構造データによると、アミノ酸Gly23〜His120を含み、C末端サブドメイン(IL−4R−ECD−II、図においてIL4R−II.として示す)は、アミノ酸Val121〜His232を含む。IL4結合ポケットは、これらのサブドメイン間にあり、両方のサブドメインからの残基はリガンド結合に関与する。特定の実施形態において、結合剤は、ドメイン間連結配列に配置されるエピトープに対するものである。
【0057】
特定の実施形態において、エピトープは、このようなエピトープの結合剤がIL−4R−ECDへのIL−4の結合を損なわないが、IL−4R鎖へのIL−13Rまたは共通ガンマ鎖の会合を損ない、それによってIL−4およびIL−13シグナル伝達カスケードを阻害するような様式で配置される。
【0058】
本明細書で用いる場合、用語「エピトープ」は、抗原結合剤上の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基のことをいう。特定の実施形態において、エピトープは、例えばパラトープ、すなわち天然、合成または人工的なパラトープなどの抗原結合剤の可変領域により認識される抗原決定基である。また、エピトープは、この結合の目的のために特異的に設計され選択されたタンパク質と相互作用する抗原決定基、例えばアンチカリンとして定義できる。
【0059】
単一のアンチジーン(antigene)は、1より多いエピトープを有し得る。エピトープは、直鎖状または高次構造のいずれかであり得る。高次構造エピトープは、直鎖状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に隣接するアミノ酸により産生されるものであり、直鎖状エピトープは、ポリペプチド鎖中の近接するアミノ酸残基により産生される。特定の状況において、エピトープは、抗原の単糖、オリゴ糖もしくは多糖類、リン酸基またはスルホニル基の残基を含み得る。
【0060】
特定の実施形態において、抗原結合剤は、IL−4Rの配列(配列番号12)上の直鎖状エピトープに対するものである。ある好ましい実施形態において、エピトープは、IL−4Rポリペプチド上に天然に存在する。特定の実施形態において、直鎖状エピトープは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸長である。特定の実施形態において、エピトープの長さは、1〜20、2〜18または4〜15アミノ酸であり得る。ある好ましい実施形態において、エピトープの長さは、3〜10または3〜6アミノ酸である。
【0061】
好ましい抗原結合剤は、IL−4R上に天然に存在し、配列番号12上にあるエピトープに対するものである。特定の実施形態において、抗原結合剤は、配列番号12上に配置される、すなわちアミノ酸D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125により定義される領域のいずれか1つの中に配置されるエピトープに対するものである。一実施形態において、抗原結合剤は、少なくともW104、Q107およびQ108を含むエピトープに対するものである。別の実施形態において、エピトープは、アミノ酸W111、K112、K116、H120およびT211の少なくとも1つを含むか、または配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185により定義される領域のいずれか1つの中の1つまたは複数のアミノ酸を含む。
【0062】
一実施形態において、抗原結合剤は、高次構造または直鎖状であり得、かつ配列番号12のアミノ酸のW111、K112、K116、H12、W111、K112、K116、H120およびT211、Y179およびR185の1つまたは複数を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープに対して指向され得る。
【0063】
別の実施形態において、抗原結合剤は、配列番号12のアミノ酸W111、K112、K116、H120を少なくとも含むエピトープに対するものである。別の実施形態において、エピトープは、配列番号12の残基T178〜P182の1つまたは複数と、さらに残基R185とを含む。さらに別の実施形態において、エピトープは、配列番号12の残基Y179およびR185を少なくとも含む。特定の実施形態において、高次構造エピトープは、アミノ酸i)W111、K112、K116またはii)H12もしくはW111、K112、K116、H120およびT211を含み得る。
【0064】
抗体は、完全抗体、例えばIgG抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。
【0065】
本発明のさらなる実施形態において、抗体は、さらに異なる特異的結合コンポーネントを含む。例えば、抗体または抗体フラグメントは、さらなる成分との融合ポリペプチドまたは二重特異性抗体であってよい。抗体は、ヒトIL−4受容体に加えて、別の抗原、例えば癌に関連するさらなるサイトカイン、例えばIL−4またはIL−10も認識してよく、ここで、さらなる結合成分はIL−4に特異的であることが好ましい。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、抗原結合剤は二重特異性である。本明細書で用いる場合、二重特異性とは、抗原結合剤が2つの異なるエピトープに特異的であり、かつ結合親和性であることを意味する。このようなエピトープは、同じまたは異なる分子上にあってよい。本発明の特定の好ましい実施形態において、二重特異性抗原結合剤は、二重特異性抗体または抗体の二重特異性フラグメントである。
【0067】
本発明によると、二重特異性抗原結合剤は、2つの異なるサイトカインおよび/またはサイトカイン受容体分子に対する特異性を有してよい。特定の実施形態において、このようなサイトカインおよび/またはサイトカイン受容体分子は、例えばIL−4R、IL−4、IL5、IL6;IL10;IL−13、IL10R;IL−13R、共通ガンマ鎖またはCXCR4である。好ましい一実施形態において、二重特異性抗原結合剤は、IL−4Rポリペプチドについての第1特異性と、例えばIL−4、IL5、IL6;IL10;IL−13、IL10R;IL−13R、共通ガンマ鎖またはCXCRについての1つのさらなる特異性とを有する。好ましい一実施形態において、IL−4Rへの二重特異性抗原結合剤の結合は、IL−4RポリペプチドとIL−4ポリペプチドとの相互作用も、IL−4RポリペプチドへのIL−4の結合も妨げない。
【0068】
特定の好ましい実施形態において、二重特異性抗原結合剤は、IL−4およびIL−4受容体の両方を認識する結合剤であり、IL−4受容体に特異的な領域は、受容体のIL−4結合部位を認識するかまたはしない場合がある。さらに、IL−4受容体への二重特異性抗体の結合は、受容体へのIL−4の結合を阻害するかまたはしない場合がある。
【0069】
特に好ましい実施形態において、二重特異性抗体は、
(a)相補性決定領域のアミノ酸配列が上記の通りの、IL−4受容体に特異的な少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域、または
(b)IL−4受容体上の(a)の領域と同じエピトープを認識する少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域、ならびに
(c)相補性決定領域のアミノ酸配列が好ましくはWO2007/107349(その全体が本明細書に参照により組み込まれる)に記載のものである、IL−4に特異的な少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域、または
(d)IL−4上の(c)の領域と同じエピトープを認識する少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域
を含む。
【0070】
サイトカインIL−4およびその受容体IL−4Rは、アレルギー関連疾病の病因において重要な役割を有することが示されている。さらに、異なる型の癌細胞が、IL−4の発現により自己分泌による方式で化学療法により誘導されるアポトーシスから保護されることも報告されている。IL−4/ILR系の阻害は、よって、アレルギーおよび腫瘍の両方の治療における見込みのある治療のためのツールである。
【0071】
理論により拘束されることを望まないが、本出願人は、IL−4およびIL−4受容体の両方を認識する上記の二重特異性抗体がIL−4受容体と結合する場合、IL−4受容体とすでに結合したかまたはIL−4受容体とこれから結合するIL−4は、「捕えられる」と仮定する。二重特異性抗体がIL−4受容体と結合した結果として、γまたはIL−13受容体複合体のコンポーネント、すなわちIL−13と結合したIL−13受容体αでもIL−13受容体α単独でもないものが、受容体複合体に動員され、よって、IL−4およびIL−13媒介シグナル伝達を効率的に遮断する。
【0072】
本出願人は、同時に、IL−13受容体へのIL−13の結合およびこの複合体へのIL−4受容体の動員により媒介される、IL−13により誘導される応答が、効率的に阻害されるとさらに仮定する。
【0073】
IL−4受容体の架橋が生じず、よって改善された用量ウィンドウが可能になることが、上記の二重特異性抗体のさらなる利点である。
【0074】
本発明者らは、IL−4RとIL−4との間の相互作用を妨げない、IL−4の生物活性を阻害するIL−4R抗体に対する抗原結合剤が、受容体リガンド相互作用を妨げる、IL−4Rに対する結合剤と比較して、IL−4の生物活性の阻害に対して改善された効果を有することを驚くべきことに見出した。特にin−vivoモデルにおいて、腫瘍の成長の低減が、IL−4受容体へのIL−4の結合を妨げない結合剤によって、受容体へのIL−4の結合を可能にしないものによるよりも強く阻害されることを示すことができた。本発明者らは、このような結合剤についてのIL−4の生物活性の阻害が、例えばIL−13または共通ガンマ鎖などのIL−4カスケードに関与するその他の分子とのIL−4Rの相互作用を妨げる能力に基づくことを見出した。さらに、腫瘍細胞が、自己分泌または傍分泌的にIL−4を産生し得ることが公知である。本発明による抗原結合剤の改善された効果は、IL−4が、IL−4Rへの抗原結合剤の結合にもかかわらず、IL−4Rによりまだ捕捉され得、よって環境から除去されて、抗原結合剤がまだ結合していないIL−R受容体分子に対してその生物活性を示すことが妨げられるという効果に基づく。よって、IL−4の生物活性の阻害の増強する効果が存在する。なぜなら、シグナル伝達が遮られ、さらに、遮断された受容体は、生物活性に影響することなくIL−4の結合においてIL−4のアンタゴニストとして働くからである。本発明による方法は、機能的IL−4受容体を、非機能的IL−4アンタゴニストにin−vivoにて変換し、そのことにより受容体を遮断するだけでなく、細胞環境における利用可能なIL−4もアンタゴナイズする。
【0075】
この機構に基づいて、本発明者らは、IL−4または例えばIL−4、IL−13、IL−5、IL−6;IL−10;IL−10R;IL−13R、共通ガンマ鎖、CXCR4等などのその他のサイトカインのいずれかについてのサイトカインアンタゴニストとしてさらに作用する抗体にさらなる結合特異性を付加することにより効果がさらに増加され得ることを見出した。
【0076】
特定の実施形態において、IL−4に特異的な1つの結合部位とIL−4Rに特異的な1つの結合部位とを有する二重機能性抗体は、このような二重特異性抗体の治療効果が増加するという技術的利点を有する。IL−4の生物活性の阻害は、IL−4受容体に結合することによってだけでなく、さらなる相互作用によってもこのような抗体においてもたらされる。詳細は図9に示す。二重特異性抗体の可能性のある利点は、例えば、受容体に結合したIL−4の、IL−4との相互作用による、受容体に結合した状態への固定および同一のIL−4R鎖とのさらなる結合(図9Aを参照されたい)、受容体に結合した状態のIL−4との結合によるIL−4依存的な方式での受容体の架橋および第2のIL−4Rとのさらなる結合(図9Bを参照されたい)、ならびにIL−4R保持細胞での自己分泌型IL−4の枯渇(図9Cを参照されたい)である。癌の場合、腫瘍細胞がIL−4およびIL−4依存性シグナル伝達に必要なそれぞれの受容体(複数可)、特にIL−4Rを発現することが記載されている。IL−4発現細胞上で二重特異性抗体がIL−4Rと結合することは、よって、細胞からの分泌の直後にIL−4を枯渇し、IL−4依存性シグナル伝達を妨げる。
【0077】
2つ以上の抗原と結合できる多特異性抗原結合剤および抗体は、当技術分野において周知である。細胞融合、化学結合または組換えDNA技術などの抗体の調製のために利用可能な種々の方法がある。多特異性抗体の製造のために適切な好ましい方法はWO2007/024715A2に記載され、その内容は本明細書に参照により組み込まれる。
【0078】
特に、二重特異性抗体の製造のために、WO2007/024715A2に従う、VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n(式中、VD1は第1可変ドメインであり、VD2は第2可変ドメインであり、Cは定常ドメインであり、X1はアミノ酸またはポリペプチドを表し、X2はFc領域を表し、かつnは0または1である)を含むポリペプチド鎖を含む結合タンパク質が用いられる。結合タンパク質中のVD1およびVD2が重鎖可変ドメインであることが特に好ましい。より好ましくは、重鎖可変ドメインが、ヒト重鎖可変ドメイン、CDRグラフト重鎖可変ドメイン、およびヒト化重鎖可変ドメインからなる群より選択される。VD1およびVD2が異なる抗原と結合できることが好ましい。
【0079】
IL−4およびIL−4受容体と結合する二重特異性抗原結合剤の特異性およびキネティクスは、in−vitroにてELISAにより決定し得る。よって、様々な濃度のIL−4受容体を固定化でき、二重特異性抗体の親和性を、IL−4の存否において測定できる。好ましくは、IL−4受容体を組換えタンパク質として単量体の形態で、受容体の架橋が実質的に排除されるのに充分に低い濃度にて用いる。抗体を含まない試料を対照として用い得る。
【0080】
二重特異性抗原結合剤の解離定数(オフレート)および会合定数(オンレート)は、BIAcoreまたは水晶発振子微量天秤システムを用いて決定し得る。二重特異性抗体の有効性は、TF−1増殖バイオアッセイ(R&D Systems)においてさらに試験し得る。
【0081】
さらなる実施形態において、抗IL−4受容体抗原結合剤は、さらに別のサイトカインアンタゴニスト、例えばIL−4もしくはIL−10などの癌関連サイトカイン、アンタゴニストサイトカインムテイン、例えばアンタゴニストIL−4ムテインまたは可溶性サイトカイン受容体に特異的な抗体と組み合わせて用いてよい。
【0082】
抗IL−4受容体抗原結合剤は、好ましくは非経口的に、例えば注射または注入により投与する。この目的のために、抗体を、生理的に許容され得る担体中で、生理的に許容され得る賦形剤と所望により一緒に医薬組成物として処方する。週あたりの用量は、好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kgの範囲、より好ましくは1mg/kg〜5mg/kg、最も好ましくは約2mg/kgである。投与は、望ましい有利な効果、例えば治療に対する腫瘍の応答の誘導が得られるのに充分な期間行う。抗体療法は、次いで、予め決められた期間、例えば数週間維持すべきである。
【0083】
抗原結合剤は、好ましくは、さらなる抗腫瘍療法、例えば放射線療法および/または少なくとも1つのさらなる医薬品、例えば化学療法剤、サイトカインアンタゴニスト、細胞死シグナル経路アクチベータおよび/または抗腫瘍抗体と組み合わせて投与される。特に好ましい実施形態において、抗IL−4受容体抗体は、放射線療法および/または少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて投与される。さらに特に好ましい実施形態において、抗IL−4受容体抗体は、さらなるサイトカインアンタゴニスト抗体、例えば抗IL−4抗体、抗IL−10抗原結合剤またはR121D/R124D IL−4ムテインなどのアンタゴニストIL−4ムテインと一緒に、放射線療法および/または少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0084】
併用療法は、治療全体を通してまたはその間欠期に投与してよい。例えば、治療は、さらなる抗サイトカイン抗体と所望により一緒に抗IL−4受容体抗体を、放射線療法および/または化学療法単独なしで投与する最初の間欠期と、(i)さらなる抗サイトカイン抗体と所望により一緒にIL−4受容体抗体を、放射線療法および/またはさらなる医薬品、例えば化学療法とともに投与し、かつ/または(ii)放射線療法および/もしくはさらなる医薬品を抗IL−4受容体抗体なしで投与するその後の間欠期とを含み得る。
【0085】
あるいは、第1治療間欠期が併用療法を含み、その後の治療間欠期が併用療法と所望により交互にした単独療法、すなわち放射線療法、および/または抗IL−4受容体抗原結合剤なしでのさらなる医薬品の投与を含み得る。
【0086】
特に、細胞死経路(death pathway)アクチベータは、TRAILまたはTRAILムテイン(Kelleyら、2005年;MacFarlaneら、2005年;Van der Slootら、2006年)、DR4リガンドまたはDR5リガンドおよびそれらのムテインから選択し得る。さらに、TRAIL−R、DR4またはDR5などの細胞死受容体に対するアゴニスト性抗原結合剤が適切である。
【0087】
特に、本発明のモノクローナル抗体と組み合わせて用い得る化学療法剤は、好ましくは、抗悪性腫瘍化合物である。本発明に含まれるこのような化合物は、それらに限定されないが、(i)シタラビン、フルダラビン、5−フルオロ−2’−デオキシウリジン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレアまたはメトトレキセートなどの代謝拮抗剤;(ii)ブレオマイシンなどのDNA断片化剤、(iii)クロラムブシル、白金化合物、例えばシスプラチンもしくはオキサリプラチン、シクロホスファミドまたはナイトロジェンマスタードなどのDNA架橋剤;(iv)アドリアマイシン(ドキソルビシン)またはミトキサントロンなどのインターカレート剤;(v)L−アスパラギナーゼ、シクロヘキシミド、ピューロマイシンまたはジフテリア(diphteria)毒素などのタンパク質合成阻害剤;(vi)カンプトテシンまたはトポテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤;(vii)エトポシド(VP−16)またはテニポシドなどのトポイソメラーゼII阻害剤;(viii)コルセミド(colcemide)、コルヒチン、タキサン、例えばパクリタキセル、ビンブラスチンまたはビンクリスチンなどの微小管に対する薬剤;(ix)フラボピリドール、スタウロスポリンまたはその誘導体、例えばSTI571(CPG57148B)もしくはUCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン)などのキナーゼ阻害剤;(x)チオプラチン、PS−341、フェニルブチレート、ET−18−OCH3またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L−739749、L−744832);ケルセチン、リスベラトロール、ピセタノール、没食子酸エピガロカテキン(epigallocatechine gallate)、テアフラビン、フラボノール、プロシアニジン、ベツリン酸およびそれらの誘導体などのポリフェノール;またはドキシサイクリンなどの抗生物質などの種々の薬剤;(xi)グルココルチコイドまたはフェンレチニドなどのホルモン;(xii)タモキシフェン、フィナステリドまたはLHRHアンタゴニストなどのホルモンアンタゴニストを包含する。
【0088】
本発明の特に好ましい実施形態において、化学療法剤は、白金化合物、例えばシスプラチンまたはオキサリプラチン、ドキソルビシンおよびタキサン、例えばパクリタキセルまたはエトポシドからなる群より選択される。
【0089】
一般的に、本発明の抗原結合剤は、腫瘍、例えば頭部および頚部の腫瘍、気道の腫瘍、肛門生殖器管の腫瘍、消化管の腫瘍、泌尿器系の腫瘍、生殖器系の腫瘍、内分泌系の腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、皮膚およびその付属器の腫瘍、軟部組織および骨の腫瘍、リンパ球形成および造血系の腫瘍などの治療を遂行し得る。腫瘍は、例えば良性および悪性の腫瘍、癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫または異形成などの新生物を含み得る。
【0090】
本発明による抗原結合剤により治療され得る癌は、任意の悪性の新生物または細胞の自発的な成長もしくは増殖を含む。本発明の特定の実施形態において、癌は、浸潤性の癌を含む。癌を有する対象は、例えば、白血病、リンパ腫または血液細胞のその他の悪性病変を有し得る。特定の実施形態において、固形腫瘍のことをいう。
【0091】
特定の実施形態において、腫瘍は、例えば頭部および頚部の癌、気道の癌、肛門生殖器管の癌、消化管の癌、皮膚およびその付属器の癌、中枢および末梢神経系の癌、泌尿器系の癌、生殖器系の癌、内分泌系の癌、軟部組織および骨の癌、造血およびリンパ球形成系の癌である。固形腫瘍の例は、それらに限定されないが、結腸腫瘍、結腸腫瘍、子宮頚部腫瘍、胃腫瘍および膵臓腫瘍、非小細胞肺癌(NSCLC)、精巣癌、肺癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頚癌、膵臓癌、結腸直腸癌(CRC)、乳癌、ならびに前立腺、胃、皮膚、胃部、食道および膀胱の癌を包含する。
【0092】
本発明の抗原結合剤は、IL−4の生物活性と関連する炎症性障害および免疫障害の治療のためにも用い得る。このような炎症性障害および免疫障害の例は、本明細書中上記に示される。
【0093】
特に、抗原結合剤は、IL−4および/もしくはIL−13の発現の増加と関連し、かつ/または抗アポトーシスタンパク質の発現によるアポトーシスに少なくとも部分的に耐性である型の癌の治療のために用いることができる。
【0094】
このような型の癌の例は、神経芽腫、直腸癌、結腸癌、家族性大腸ポリープ性癌および遺伝性非ポリープ性結腸直腸癌のような腸管の癌、食道癌、口唇癌、喉頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、組織非形成性甲状腺癌、腎癌、腎実質癌(kidney parenchym carcinoma)、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌、卵膜癌、膵臓癌、前立腺癌、精巣癌、乳癌、膀胱癌、黒色腫、膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽腫および末梢性神経外胚葉性腫瘍のような脳腫瘍、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、成人T細胞白血病リンパ腫、肝細胞癌、胆嚢癌、気管支癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫、基底細胞癌、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜黒色腫、精上皮腫、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyngeoma)、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫および形質細胞腫を含む。さらに、抗体は、微小残存病変(MRD)の治療のために用い得る。
【0095】
特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、非リンパ性および非骨髄性の癌、より好ましくは上皮癌、特に固形腫瘍の治療のために用いることができる。
【0096】
本発明によるIL−4受容体抗原結合剤の使用が特に有利な癌の型の特に好ましい例は、全ての形態の甲状腺癌(甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、組織非形成性甲状腺癌)、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、膀胱癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膠芽腫(glioblastome)およびMRDを含む。最も好ましくは、IL−4受容体抗体は、好ましくは上記のさらなる療法と組み合わせて結腸または膵臓の癌腫の治療のために有用である。結腸癌の治療のために、IL−4受容体抗体は、好ましくは、化学療法および/または放射線療法と一緒に投与される。甲状腺癌の治療のために、IL−4受容体抗体は、好ましくは、IL−4抗体、IL−10抗体と一緒に、かつ化学療法および/または放射線療法と一緒に投与される。
【0097】
特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、膀胱癌の治療のために用いられる。ある典型的な治療スキームにおいて、腫瘍を、筋肉組織に浸潤していなければ手術により除去する。同時に、BCG(Bacillus Calmette−Guerin)を、全身または膀胱に直接のいずれかにより、免疫刺激剤として投与してよい。
【0098】
腫瘍が周囲の組織(筋肉組織、脂肪組織)に浸潤している場合、通常、膀胱の患部を除去する(部分的膀胱摘出術または根治的膀胱全摘術)。本発明の抗原結合剤と所望により組み合わせた化学療法剤の手術時の投与は、生存率をかなり改善する。手術の前、間および/または後に化学療法剤であるシスプラチン、メトトレキセートおよびビンブラスチンの組合せを投与することが特に好ましい。
【0099】
後期のヒト膀胱癌(HBC)の治療のために、化学療法を、放射線療法および/または本発明によるIL−4受容体抗体と所望により組み合わせて用いる。後期HBCにおける投与のために有用な化学療法剤として、ゲムシタビンを、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチンおよび/またはメトトレキセートと所望により組み合わせて投与する。
【0100】
別の特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、膵臓癌の治療のために用いられる。典型的には、エルロチニブ、5−FUおよび/またはタキソテールならびに本発明のモノクローナル抗体と所望により組み合わせたゲムシタビンを含む化学療法剤の併用療法を用いる。
【0101】
さらに特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、結腸癌の治療のために用いられる。可能であれば腫瘍の手術による除去の後に、好ましくは、FOLFOX組合せ(5−FUまたはカペシタビン、ロイコボリン(leukovorin)、オキサリプラチン)をアジュバント化学療法として投与する。転移を特徴とする後期の疾患は、好ましくは、FOLFOXまたはFOLFIRI(5−FU、ロイコボリンおよびイリノテカン)のいずれかに加えてベバシズマブにより治療される。代わりにまたはさらに、セツキシマブをイリノテカンと一緒に用いてよいが、後者の場合、化学療法の前に患者のEGFR状態を決定する必要がある。
【0102】
別の特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、胃癌の治療のために用いられる。典型的には、5−FU、BCNUおよびメチル−CCNU、ドキソルビシン、マイトマイシンCまたはそれらの組合せから選択される化学療法剤の投与を特徴とする対症化学療法を伴って、腫瘍を手術により除去する。さらに、シスプラチンおよびドセタキセルを種々の組合せで用いる。対症療法は、好ましくは、支持療法としてのIL−4受容体抗原結合剤の投与と組み合わせる。
【0103】
低発生率消化管間質腫瘍(GIST)について、化学療法剤としてイマチニブを用いて最高の奏功率が得られる。本発明による抗体を用いる同時治療が非常に好ましい。
【0104】
別の特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、肺癌の最も頻度が高い型を構成する非小細胞肺癌(NSCLC)の治療のために用いられる。典型的な治療スキームにおいて、手術と放射線療法との併用療法を、IL−4受容体抗原結合剤投与を所望により伴って用いる。化学療法は対症治療として用いられ、ベバシズマブと所望により組み合わせたシスプラチン/カルボプラチンの投与を含む。さらなるアジュバント術後治療レジメンは、ドセタキセルとゲフィニチブおよびエルロチニブのようなEGFRアンタゴニストとを含む。IL−4受容体抗原結合剤の投与を放射線および化学療法期間を通して、所望により間欠期治療として、維持することが好ましい。
【0105】
別の特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、頭部および頚部の癌の治療のために用いられる。治療は、放射線療法と所望により組み合わせ、さらに所望により本発明の抗体の投与を伴う、原発腫瘍の手術による切除である。化学療法は、さらなる支持治療として用いられ、パクリタキセルおよびカルボプラチンの組合せ投与を含む。代わりに、セツキシマブを、放射線療法と、より好ましくは、放射線療法中に細胞保護効果を示すアミホスチンを伴って用いる。本発明によるIL−4受容体抗体は、好ましくは、化学療法と組み合わせてアジュバント術後治療レジメンとして用いる。
【0106】
特に好ましい実施形態において、本発明によるIL−4受容体抗体は、乳癌の治療のために用いられる。典型的な治療スキームは、腫瘍の型に応じて、アロマターゼ阻害剤を含む放射線、化学療法またはホルモン療法のようなアジュバント療法と組み合わせた、原発腫瘍の手術による切除を提供する。
【0107】
最も好ましい化学療法剤には、ACまたはEC、FACまたはFEC(A=アドリアマイシン(ドキソルビシン)、C=シクロホスファミド、E=エピルビシン、F=フルオロウラシル)が含まれる。リンパ節(lymph knodes)が冒されている場合、タキサンのさらなる投与が非常に好ましい。転移性乳癌ならびにアントラサイクリンおよび/またはタキサンに非応答性の乳癌は、最近開発されたタキサン類似物質(例えばエポチロン)と所望により組み合わせたカペシタビンにより治療される。
【0108】
ホルモン療法を、ホルモンに対して感受性の癌のために用い、タモキシフェンが特に好ましい。
【0109】
HER2/neu状態を決定した後に、所望によりトラスツズマブをそれ自体で、または化学療法もしくはホルモン療法と組み合わせて用いる。トラスツズマブはアジュバント療法として、または進行性疾患を治療するために用いることができる。
【0110】
同様に、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、初期および後期の疾患の治療においてアジュバント療法として適切であり、好ましくは、乳癌が診断されるとすぐに、他の治療選択肢を伴って、または間欠期療法として、IL−4受容体抗原結合剤の投与を始める。
【0111】
本発明の抗原結合剤は、支持療法として特に有用であり、治療全体を通してまたはその間欠期のいずれかで投与される。
【0112】
さらに、本発明によるIL−4受容体抗原結合剤は、癌幹細胞、例えば結腸癌幹細胞または上記のその他の型の癌における癌幹細胞の死を誘導するために適切である。よって、抗原結合剤は、微小残存病変(MRD)および/または腫瘍転移の治療のために用いることができる。抗原結合剤は、好ましくは、上記のさらなる療法と組み合わせて投与される。
【0113】
上記の本明細書で引用される全ての特許および非特許文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0114】
(実施例1)IL−4Rに対する組換え結合剤の発現および精製
マウス抗ヒトIL−4R抗体X2/45(配列番号8、9、10、11に示す可変領域)を、X2/45ハイブリドーマをPFHM−II培地(Gibco、Cat.12040)中で培養することにより産生した。細胞上清を回収し、分泌抗体をプロテインAクロマトグラフィーにより親和性精製し、その後、PBS(Invitrogen、Cat.10001)を流出バッファーとして0.5ml/分の流速で用いるSuperdex200カラム(GE Healthcare)を用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた。150kDaの画分を回収し、0.22μmで滅菌ろ過し、0℃未満で貯蔵した。
【0115】
組換えタンパク質産生のために、10%FBS、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補ったDMEM+GlutaMAX(GibCo)中で成長したHek293T細胞に、上記のタンパク質をコードするプラスミドを一過的に同時形質移入した。ヒト化抗体の全長重鎖(配列番号14、15に示す可変領域の例)は、定常領域のC末端に、精製および検出の目的のためのStreptagII配列を含んだ。全長ヒト化軽鎖(配列番号13に示す可変領域の例)はカッパ型のものであったが、ラムダも用い得る。組換えタンパク質を含む細胞培養物上清を、形質移入の3日後に採集し、300×gの遠心分離、その後の0.22μmの滅菌フィルタを通してのろ過により清澄にした。単一特異性を有する組換え抗体の精製のために、4mlの50%Streptactin Sepharose(IBA GmbH、Goettingen、Germany)を2mlカラムに詰め、30mlのリン酸緩衝食塩水、pH7.4(PBS;Invitrogen Cat.10010)で平衡化した。細胞培養物上清をカラムに4℃にて2ml/分の流速にてアプライした。その後、カラムをPBSで洗浄し、特異的に結合したタンパク質を、5×2mlのバッファーE(2.5mMデスチオビオチンを含むPBS、pH7.4)を加えることにより段階的に溶出した。溶出画分のタンパク質含量は、吸光分光法(scpectroscopy)および銀染色SDS−PAGEにより分析した。その後、陽性画分を限外ろ過(Sartorius、Vivaspin、10,000Daカットオフ)により濃縮し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりさらに分析した。
【0116】
SECは、Superdex200カラムで、Aektaクロマトグラフィーシステム(GE−Healthcare)を用いて行った。カラムをPBS(Invitrogen Cat.10010)で平衡化し、濃縮し、streptactinで精製したタンパク質をSECカラムに0.5ml/分の流速で載せた。溶出を、280nmの吸光度で監視した。精製タンパク質の見かけの分子量を、ゲルろ過標準タンパク質(Bio−Rad GmbH、Muenchen、Germany)を用いるSuperdex200カラムの検量線作製に基づいて決定した。
【0117】
2つの結合特異性を有する抗体構築物の作製のために、Hek293T細胞に上記のように同時形質移入し、IL−4−(配列番号17)またはIL−4R(配列番号16)のいずれかについての特異性を有する2つのscFv−FC構築物を用いた。全てのscFv−FC構築物は、C末端がStreptagII配列で伸長されていた。精製のために、清澄上清を上記のようにしてStreptactin Sepharoseで精製した。Streptactinで精製されたscFv−Fc構築物は、以下の特異性を有する抗体混合物を含んでいた:a)単一特異性IL4 scFv−FC:b)単一特異性IL4R−アルファscFv−FC:c)IL4に対する1つのパラトープおよびIL4R−アルファに対する1つのパラトープを有する二重特異性scFv−Fc。
【0118】
二重特異性scFv−FCの親和性精製のために、scFv−FCのStreptactinで精製した混合物を、固定化組換えインターロイキン4と組換えIL4R−アルファとをそれぞれ含有する2つの親和性カラムで逐次的に精製した。別々の親和性精製画分であるIL4−特異性、Il4R−アルファ−特異性、二重特異性のものを、その後、それらのそれぞれの抗原を認識するそれらの特異性について、ELISAにより分析した。さらに、全ての精製抗体画分を、TF1細胞におけるIL4により誘導される増殖と競合するそれらの能力について細胞ベースの増殖アッセイにおいて分析した。
【0119】
ELISA試験による結合剤の特徴決定
親和性精製ScFv−FC抗体の等量を、それらのそれぞれの抗原に対するそれらの反応性についてELISAにより分析した。Streptactinで精製したScFv−FC抗体の混合物は、IL4に対して優勢な反応性を示したが、親和性精製画分は、それぞれIL4またはIL4Rに対する特異的反応を優勢に示した。推定二重特異性抗体を含む画分は、両方の抗原に対してほぼ等しい反応性を示し、精製抗体の二重特異性の性質を示す。
【0120】
(実施例2)組換え結合剤によるTF−1細胞のIL−4により誘導される増殖の阻害
代謝アッセイを用いて測定される増殖
赤白血病ヒト細胞株TF−1を、2ng/mlのGM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)を補ったRPMIベースTF−1培地で培養した。上記のタンパク質の生物活性を決定するために、TF−1細胞を遠心分離により採集し、GM−CSFを含まないTF−1培地で洗浄し、96ウェルプレートに1ウェルあたり10,000細胞にて、ヒト組換えIL−4(5ng/ml)またはIL−13(20ng/ml)を補ったTF−1培地を用いて、分析される上記のタンパク質の存否にて3重で播種した。細胞を37℃、5%CO2および95%相対湿度にて3日間インキュベートした。細胞のインターロイキンにより誘導される増殖を、代謝アッセイ(テトラゾリウム化合物であるMTS(Promega)を用いて染色)、その後の492nmでの吸光度の決定により視覚化した。IL−4により誘導される増殖の競合のために、精製ScFv−Fc抗体(配列番号16、17)の異なる画分を、記載されるように、5μg/mlの濃度で加えた。結果を図6に示す。図6の点線は、組換えIL−4を加えないTF−1細胞の増殖を示す(基底レベル)。5ng/mlのIL4を加えると、増殖速度が基底レベルより上に増加する。しかし、ScFv−Fc抗体の精製画分の添加は、IL−4により誘導される増殖と競合する。この実験の設計において、単一特異性抗体および二重特異性抗体は、同等の活性を示す。
【0121】
代わりに、TF−1細胞を、5ng/mlの組換えヒトIL−4(rhIL4)を一緒に用いるかまたは用いない種々の濃度のマウス抗IL4R抗体X2/45と3日間同時インキュベートした。3日後に、細胞増殖をMTSアッセイにより定量した。結果を図7に示す。IL−4の添加は、およそ0.6のOD492nmの増殖速度を誘導するのに対して、バックグラウンドシグナルは約0.2単位である。抗体X2/45(塗りつぶしたバー)の添加は、TF−1細胞の増殖をバックグラウンドレベル(塗りつぶしていないバー)まで、X2/45抗体の濃度依存的な様式で低減させる。同様の結果を、X2/45のヒト化バージョン(例えば可変領域を配列番号13、14、15に示す)を用いて得た。
【0122】
(実施例4)IL−4Rに対するヒト化結合剤の作製および特徴決定
マウス結合剤に基づく組換えヒト化結合剤の作製
マウスハイブリドーマX2/45により産生される抗IL−4R特異的抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメインを、分子生物学の方法により同定した。簡単に述べると、トータルmRNAを単離し、抗体特異的オリゴヌクレオチドプライマーとともにポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAに変換した。得られたフラグメントをアガロースゲル電気泳動(elektrophoresis)により分離し、抽出し、配列決定ベクター(TOPO、Invitrogen)にクローニングした。抗体可変領域をコードしていた得られた配列を用いて、CDR(Kabatら、1991年)を規定し、CDRを、その後、ヒト起源のフレームワーク領域に移した。
マウスおよびヒト化抗IL−4R結合剤についての競合アッセイ
ヒト組換えIL−4R−Fcタンパク質を、ELISAプレート上に100ng/ウェルで固定化した後にフリーの結合部位をブロックした。種々の濃度のマウス抗ヒトIL−4R抗体X2/45(可変領域を配列番号8、9、10、11に示す)を固定化された受容体と1時間結合させ、その後、抗マウス特異的ペルオキシダーゼ(POD)結合血清を用いて検出した。予測されたように、マウス抗体の濃度の増加とともに増加する、特異的結合を示すELISAシグナルを検出できた。
【0123】
ヒト化抗体が親のマウス抗体と同じエピトープと結合することを示すために、10ng/mlのマウス抗体X2/45を、IL−4R−Fc被覆ELISAプレート上で種々の濃度のヒト化抗体(可変領域を配列番号13および14に示す)またはIL−4特異的対照抗体のいずれかと一緒に同時インキュベートした。マウスmAbは、抗マウスPOD結合血清を用いて検出した。ELISAシグナルは、ヒト化抗体の濃度の増加とともに減少し、このことは、マウスおよびヒト化IL−4R特異的抗体が同じ結合部位(複数可)を認識する一方、対照抗IL−4抗体が効果を有さなかったことを示した。結果を図8に示す。
【0124】
(実施例4):in−vivoモデルにおける腫瘍成長に対するIL−4R結合剤の効果の試験
IL−4R抗体の有効性を、マウス異種移植腫瘍を用いるin vivoモデルにおいて示す。この実験ために、化学療法耐性膵臓腫瘍(例えばASPC−1、CAPAN−1、MIA PaCa−2、COLO−357、T3M4、PANC−1(Prokopchuk、2005年))または結腸腫瘍(Colo205、HT29)に由来するIL−4R陽性腫瘍細胞を、免疫無防備状態のマウスに皮下接種した。異種移植腫瘍の発達を示すマウスを、8つの処置群に分配する:
1)バッファー対照
2)化学療法
3)IL4結合について競合するIL−4R抗体
4)IL4結合について競合しないIL−4R抗体
5)二重特異性抗体(例えば抗IL−4R/抗IL4)
6)併用:競合IL−4R抗体+化学療法
7)併用:非競合IL−4R抗体+化学療法
8)併用:二重特異性抗体+化学療法
マウスを3週間処置する。典型的な処置スケジュールは、IL4R抗体の10mg/kg/体重の用量での週に1回の3週間の投与を含む。化学療法処置スケジュールは、用いる薬剤に依存する(例えば5FU[週に5回の投与を2週間]、オキサリプラチン[週に1回の投与を3週間])。腫瘍成長に対する影響を、それぞれの処置群の腫瘍量を決定することにより測定する。
【0125】
バッファー単独での処置(群1)は、異種移植腫瘍の成長を阻害しない。化学療法のみで処置したマウス(群2)は、腫瘍成長のわずかな遅延を示すが、最終的な腫瘍量は対照群と同等である。IL−4R抗体(群3、4)または二重特異性抗体(群5)を用いて静脈内で処置したマウスはそれぞれ、腫瘍成長の遅延を示す。しかし、化学療法+IL−4R抗体(群6、7)または二重特異性抗体(群8)で処置したマウスはそれぞれ、腫瘍成長の明らかな低減と、最良の場合には接種された異種移植腫瘍の全回帰を示す。
【0126】
異なる抗体フォーマットの比較により、非競合IL−4R抗体と二重特異性抗体フォーマット単独が、化学療法と組み合わせて用いた場合のIL4結合と競合するIL−4R抗体と同じかまたはよりよい腫瘍低減活性さえ示すことが明らかになる。非競合IL−4R抗体と二重特異性抗体フォーマットの化学療法との併用は、化学療法と組み合わせて用いた場合のIL4結合と競合するIL−4R抗体により達成され得る腫瘍低減活性をはるかに超える。
【0127】
異種移植実験の結果は、IL−4R抗体または二重特異性抗体(IL−4Rに対する1つの特異的結合部位を有する抗体)によるIL4シグナル伝達の干渉が、固形腫瘍の治療のための効果的なアプローチであるという仮説を支持する。さらに、IL−4シグナル伝達経路を阻害する抗原結合剤が、それにもかかわらずIL−4とIL−4受容体との間の相互作用を妨げないという仮説が、この実験により強く支持される。群3のIL−4R抗体処置での腫瘍成長の遅延は、IL4R抗体についての単一薬剤活性を明らかにする。化学療法とIL−4R処置との併用(群6、7、8)は、腫瘍成長に対する強力な相乗効果を示す。
【0128】
(実施例5)腫瘍細胞株に対するIL−4R結合剤の効果の試験
IL−4Rと結合するアンタゴニスト薬剤の効果を、IL−4R陽性肺癌癌細胞株A−549(DSMZ番号 ACC 107)またはヒト乳管癌細胞株BT−549(ATCC HTB−122)をそれぞれ用いて試験できる。
【0129】
同数の細胞を、96ウェルプレートに播種し:
1.バッファー対照
2.化学療法
3.IL−4R結合剤
4.IL−4R結合剤+化学療法剤
のいずれかとともにインキュベートする。
【0130】
この実験において、IL−4R特異的抗体、単鎖抗体、FN3モノボディおよびアンチカリンを、IL−4R結合剤を用い得るように用いる。
【0131】
それぞれの処置群の細胞を3日間成長させる。その後、細胞の増殖速度を、代謝アッセイ(テトラゾリウム化合物であるMTS(Promega)を用いて染色)、その後の492nmでの吸光度の決定により定量する。この実験設計において、処置群1(バッファー対照)および処置群2(化学療法)の細胞は、高いOD492により示される迅速な増殖を示す。IL−4R結合剤(群3)で処置した細胞は、著しく低減された増殖速度を示す。しかし、処理群4(IL−4R−結合+化学)の細胞は、増殖の著しい低減を示す。群4(および群3の一部分でも)における細胞増殖の低減率は、用いたIL−4R結合剤に依存しないことがわかる。全長抗体のような大きい分子(IgGフォーマット)からscFvのような小さい分子まで、成長低減効果を比較しても差は見られず、このことは、小さい分子もIL−4Rとの結合によるIL4依存性シグナル伝達を干渉する能力を有することを示す。
【0132】
別の実験において、結合剤の異なるエピトープ領域の比較を比較した。小さい結合剤(例えばアンチカリン、scFv、FN3モノボディ)について、エピトープがT178〜P182およびR185のアミノ酸の少なくとも1つを含む場合に、IL−4の生物活性の阻害が最も強いことがわかる。上記のようなその他のエピトープに対する小さい結合剤は、同様にIL−4の生物活性を低減するが、ここで言及するエピトープに対する小さい抗原結合剤は、最強の生物学的効果を示す。
【0133】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍、炎症性障害および免疫障害の治療および/または予防のための、IL−4Rに対する抗原結合剤であって、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない、抗原結合剤。
【請求項2】
前記抗原結合剤が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、部分的もしくは完全なヒト化抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、全長抗体、Fab、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、scFv、ミニ抗体、抗体のフラグメント、アフィボディ、トリネクチン、モノボディ、FN3モノボディ、アンチカリンまたは抗体模倣物から選択される、請求項1に記載の抗原結合剤。
【請求項3】
前記抗原結合剤が、
(i)ハイブリドーマ細胞株DSM ACC 2882により産生されるか、またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントであるか、あるいは
(ii)(i)の抗体と同じ、ヒトIL−4受容体上のエピトープを認識する、
請求項2に記載の抗原結合剤。
【請求項4】
前記抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である、請求項1に記載の抗原結合剤。
【請求項5】
前記抗原結合剤が、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1、2、3、4、5またはそれより多いアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープに対する抗原結合剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗原結合剤。
【請求項6】
IL4Rについての結合親和性を有する前記抗原結合剤が、少なくとも1つのさらなる結合親和性を有する二重特異性抗原結合剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗原結合剤。
【請求項7】
前記さらなる結合親和性がサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についての結合親和性である、請求項6に記載の抗原結合剤。
【請求項8】
前記サイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子が、IL4、IL5、IL6;IL10;IL13、IL10R;IL13R、共通ガンマ鎖およびCXCR4から選択される、請求項7に記載の抗原結合剤。
【請求項9】
前記腫瘍がアポトーシスに対して少なくとも部分的に耐性である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗原結合剤。
【請求項10】
前記腫瘍が上皮癌、特に固形腫瘍である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗原結合剤。
【請求項11】
前記腫瘍が、甲状腺癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膠芽腫およびMRDからなる群より選択される、請求項10に記載の抗原結合剤。
【請求項12】
前記腫瘍が結腸癌または膵臓癌である、請求項10に記載の抗原結合剤。
【請求項13】
前記炎症性障害が、喘息、関節炎、嚢胞性線維症、肺障害、結核、皮膚炎である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗原結合剤。
【請求項14】
癌、炎症性障害および免疫障害の治療のための医薬品の製造のための、IL−4Rに対する抗原結合剤の使用であって、該抗原結合剤は、IL−4RへのIL−4の結合を妨げない、使用。
【請求項15】
前記抗原結合剤が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、部分的もしくは完全なヒト化抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、全長抗体、Fab、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、scFv、ミニ抗体、抗体のフラグメント、アフィボディ、トリネクチン、モノボディ、FN3モノボディ、アンチカリンまたは抗体模倣物から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記抗原結合剤が、
(iii)ハイブリドーマ細胞株DSM ACC 2882により産生されるか、またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントであるか、あるいは
(iv)(i)の抗体と同じ、ヒトIL−4受容体上のエピトープを認識する、
請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記抗原結合剤が、少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記抗原結合剤が、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1、2、3、4、5またはそれより多いアミノ酸を含むIL−4R上に天然に存在するエピトープに対する抗原結合剤である、請求項14〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
IL4Rについての結合親和性を有する前記抗原結合剤が、少なくとも1つのさらなる結合親和性を有する二重特異性抗原結合剤である、請求項14〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記さらなる結合親和性が、サイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についての結合親和性である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記サイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子が、IL4、IL5、IL6;IL10;IL13、IL10R;IL13R、共通g鎖およびCXCR4から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
少なくとも1つの化学療法剤との組合せでの、請求項14〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記化学療法剤が、代謝拮抗剤、DNA断片化剤、DNA架橋剤、インターカレート剤、タンパク質合成阻害剤、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤、微小管に対する薬剤、キナーゼ阻害剤、ホルモンおよびホルモンアンタゴニストから選択される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記化学療法剤が、タキサン、白金化合物、ドキソルビシンおよびエトポシドから選択される、請求項22または23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
少なくとも1つのさらなるサイトカインアンタゴニスト抗体、特にIL−10に特異的な抗体との組合せでの、請求項14〜24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
少なくとも1つの細胞死経路アゴニストとの組合せでの、請求項14〜25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記医薬品が、医薬的に許容され得る担体および/または賦形剤をさらに含む、請求項14〜26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
アポトーシスに対して少なくとも部分的に耐性である型の癌の予防および/または治療のための、請求項14〜27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記癌疾患が上皮癌、特に固形腫瘍である、請求項14〜28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記癌疾患が、甲状腺癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膠芽腫およびMRDからなる群より選択される、請求項28および29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記癌疾患が結腸癌または膵臓癌である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
IL−4の生物活性を阻害するための方法であって、それを必要とする個体に、IL−4Rについての結合親和性を有する抗原結合剤を投与することを含む方法。
【請求項33】
前記抗原結合剤のIL−4R結合がIL−4RへのIL4の結合を妨げない、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記抗原結合剤が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、部分的もしくは完全なヒト化抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、全長抗体、Fab、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、scFv、ミニ抗体、抗体のフラグメント、アフィボディ、トリネクチン、モノボディ、FN3モノボディ、アンチカリンまたは抗体模倣物から選択される、請求項32〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗原結合剤が、
(i)ハイブリドーマ細胞株DSM ACC 2882により産生されるか、またはそれに由来する抗体もしくは抗体フラグメントであるか、あるいは
(ii)(i)の抗体と同じ、ヒトIL−4受容体上のエピトープを認識する、
請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗原結合剤が少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SGFTFNTNAMN(配列番号1)、ii)RIRSKSNNYATYYADSVKD(配列番号2);iii)DRGWGAMDY(配列番号3);ならびにiv)配列番号1、2および/または3の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列であり、かつ/あるいは軽鎖の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、i)SASQDINNYLN(配列番号4);ii)YTSSLHS(配列番号5);iii)QQFSNLPWT(配列番号6);ならびにiv)配列番号4、5および/または6の1、2もしくは3個のアミノ酸を置換することにより得られる配列である、請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記抗原結合剤が、配列番号12のアミノ酸H87〜L89、R173〜Y175またはT178〜P182、D102〜A125、W104〜A125、W111〜A125、H120、W111、K112、K116、T211、Y179およびR185を含む群から選択される領域内にある1、2、3、4、5またはそれより多いアミノ酸を含む、IL−4R上に天然に存在するエピトープに対する抗原結合剤である、請求項32〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
IL4Rについての結合親和性を有する前記抗原結合剤が、少なくとも1つのさらなる結合親和性を有する二重特異性抗原結合剤である、請求項32〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記さらなる結合親和性がサイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子についての結合親和性である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サイトカイン分子またはサイトカイン受容体分子が、IL4、IL5、IL6;IL10;IL13、IL10R;IL13R、共通g鎖およびCXCR4から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記IL−4の生物活性の阻害が、癌、炎症性障害および免疫障害の治療および/または予防の過程で行われる、請求項32〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記腫瘍がアポトーシスに対して少なくとも部分的に耐性である、請求項32〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記腫瘍が上皮癌、特に固形腫瘍である、請求項41〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記腫瘍が、甲状腺癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸癌、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、膠芽腫およびMRDからなる群より選択される、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記腫瘍が結腸癌または膵臓癌である、請求項41〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記炎症性障害が、喘息、関節炎、嚢胞性線維症、肺障害、結核、皮膚炎である、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つの化学療法剤が前記個体にさらに投与される、請求項32〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記化学療法剤が、代謝拮抗剤、DNA断片化剤、DNA架橋剤、インターカレート剤、タンパク質合成阻害剤、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤、微小管に対する薬剤、キナーゼ阻害剤、ホルモンおよびホルモンアンタゴニストから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化学療法剤が、タキサン、白金化合物、ドキソルビシンおよびエトポシドから選択される、請求項47または48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つのさらなるサイトカインアンタゴニスト抗体、特にIL−10に特異的な抗体が、前記個体にさらに投与される、請求項32〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの細胞死経路アゴニストが前記個体にさらに投与される、請求項32〜50のいずれか一項に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−518128(P2011−518128A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502366(P2011−502366)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053756
【国際公開番号】WO2009/121847
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(505360362)アポゲニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】Apogenix GmbH
【住所又は居所原語表記】Im Neuenheimer Feld 584,D−69120 Heidelberg,Germany
【Fターム(参考)】