説明

腫瘍および炎症性疾患の処置のためのアミノピリジン誘導体

式(I)で表され、式中R、R、R、R、RおよびYは請求項1に示す意味を有する化合物は、PDK1および細胞増殖/細胞生命力の阻害剤であり、腫瘍を処置するために、および炎症性疾患を処置するために用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

式中、
は、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式の、または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、それは、非置換であるか、またはHal、A、OR、SR、NO、CN、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、O[C(RN(R、O[C(RHet、NRCOOA、NRCON(R、NRCOO[C(RN(R、NRCOO[C(RHet、NRCONR[C(RN(R、NRCONR[C(RHet、OCONR[C(RN(R、OCONR[C(RHet、[C(ROR、[C(RCONR[C(RN(R、CHO、COA、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換もしくは二置換されていてもよく、
Yは、互いに独立してNまたはCを示し、ここで最大2つのYが、Nを示してもよく、
【0002】
、R、R、Rは、各々、互いに独立してH、Hal、A、OA、SR、NO、CN、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、S(O)Het、CO−Ar、CO−Het、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、C(R)(OR)Het、[C(ROR、[C(ROAr、[C(ROHet、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCOO[C(RAr、[C(RCOO[C(RHet、[C(RNRCO[C(RArまたは[C(RNRCO[C(RHetを示し、
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
【0003】
基R、R、R、Rから選択された、2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し、
は、AまたはHを示し、
【0004】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、O、S、NRによって、および/またはCH=CH基によって置き換えられていてもよく、
あるいは3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
【0005】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHetおよび/もしくはCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
【0006】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式の、または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、それは、非置換であるか、またはHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、[C(RN(R、[C(RHet、O[C(RN(R、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、CO−Het、CHO、COA、=S、=NH、=NAおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよく、
【0007】
Hetは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和複素環を示し、それは、A、OA、OH、Halおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換または二置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0008】
本発明の式Iで表される化合物はまた、薬学的に使用可能な誘導体およびそれらの溶媒和物を含む。
【0009】
本発明は、有用な特性を有する新規な化合物、特に医薬の製造のために用いることができる化合物を見出す目的に基づいた。
【0010】
式Iで表される化合物ならびにそれらの塩および/または溶媒和物は、極めて有用な薬理学的特性を有し、同時に良好に耐容されることが見出された。
【0011】
特に、それらは、アンタゴニストまたはアゴニストとしての細胞増殖/細胞生命力(vitality)阻害作用を示す。したがって、本発明の化合物を、腫瘍、腫瘍増殖および/または腫瘍転移に対抗し、かつ/またはそれを処置するために用いることができる。
抗増殖作用を、増殖アッセイ/生命力アッセイにおいて試験することができる。
【背景技術】
【0012】
細胞増殖性疾患の処置のための他のピリジンおよびピラジン誘導体は、WO 2009/05337 A2に記載されている。
他のアミノヘテロアリール化合物は、癌に対抗するためのキナーゼ阻害剤としてWO 2006/021886、WO 2007/111904およびWO 2004/069160に記載されている。
他の複素環式化合物は、WO 2009/053737、WO 2009/126003およびUS 2009/0197862から知られている。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容し得る塩を、固形癌、例えば癌腫(例えば肺、膵臓、甲状腺、膀胱もしくは結腸の)、骨髄性疾患(例えば骨髄性白血病)または腺腫(例えば絨毛結腸腺腫)を含む癌の処置のために投与する。
【0014】
腫瘍は、さらに単球性白血病、脳、尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭ならびに肺腺癌および小細胞肺癌を含む肺癌、膵臓ならびに/または乳癌を含む。
【0015】
当該化合物はさらに、HIV−1(ヒト免疫不全ウイルス1型)によって誘発された免疫不全の処置に適する。
【0016】
癌様過剰増殖性疾患は、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部の癌、頸部癌、食道癌、婦人科の癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病と考えられるべきである。特に、癌様細胞増殖は、本発明の標的を表す疾患である。したがって、本発明は、前記疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性成分としての本発明の化合物、ならびに本発明の化合物の、前記疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための使用、ならびに1種または2種以上の本発明の化合物の、そのような投与を必要としている患者への投与を含む、前記疾患の処置のための方法に関する。
【0017】
本発明の化合物が抗増殖作用を有することを示すことができる。本発明の化合物を、過剰増殖疾患を有する患者に投与して、例えば腫瘍増殖を抑制し、リンパ球増殖性疾患と関連する炎症を低減し、組織修復による移植片拒絶または神経学的損傷を抑制するなどする。本化合物は、予防的または治療的目的に適する。本明細書中で用いる「処置」の用語は、疾患の予防および既存の状態の処置の両方を指すために用いられる。顕性の疾患の進展の前に、例えば腫瘍増殖を防止するために、本発明の化合物を投与することによって増殖/生命力の阻止が達成される。あるいはまた、患者の臨床的症状を安定化させるかまたは改善することによって、進行中の疾患の処置のために、当該化合物を用いる。
【0018】
宿主または患者は、任意の哺乳動物種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属することができる。動物モデルは、実験的調査のために興味深く、ヒト疾患の処置に対するモデルを提供する。
【0019】
本発明の化合物での処置に対する特定の細胞の感受性を、インビトロ試験によって決定することができる。典型的に、細胞の培養物を、本発明の化合物と共に、種々の濃度で、活性剤が細胞死を誘発する、または細胞増殖、細胞生命力もしくは遊走を抑制できるようにするのに十分な時間にわたって、通常約1時間〜1週間にわたってインキュベートする。インビトロ試験を、生検試料からの培養細胞を用いて行うことができる。次いで、処置後に残留する細胞の量を決定する。
【0020】
用量は、用いる特定の化合物、特定の疾患、患者の状況などに依存して変化させる。治療的用量は、典型的には、標的組織中の所望でない細胞集団を顕著に低減させ、同時に患者の生存能を維持するのに十分なものである。当該処置を一般的に、顕著な低減、例えば細胞負荷の少なくとも約50%の低減が発生するまで継続し、もはや所望でない細胞が体内で本質的に検出されなくなるまで継続してもよい。
【0021】
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の調節解除と関連する多くの疾患がある。関連する状態は、以下のものを含むがこれらには限定されない。本発明の化合物は、平滑筋細胞および/または炎症性細胞の血管の内膜層中への増殖および/または遊走があり、当該血管を通っての限定された血流がもたらされる種々の状態、例えば新生内膜の閉塞性病変の場合の処置に適する。関連する閉塞性移植片血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、移植後の冠血管疾患、静脈移植片狭窄、ペリアナストマチック補綴再狭窄(perianastomatic prosthetic restenosis)、血管形成術またはステント留置後の再狭窄などを含む。
【0022】
式Iで表される化合物はまた、特に、とりわけホスホイノシチド依存性キナーゼ1(PDK1)を含むセリン/トレオニンキナーゼタイプのプロテインキナーゼのレギュレーター、モジュレーターまたは阻害剤として作用する。本発明の化合物は、セリン/トレオニンキナーゼPDK1の阻害における特定の作用を示す。
【0023】
PDK1は、PKB、SGK、S6KおよびPKCアイソフォームを含むAGCプロテインキナーゼファミリーのサブグループをリン酸化し、そして活性化する。これらのキナーゼは、PI3Kシグナル伝達経路に関与し、基本的な細胞機能、例えば生存、増殖および分化を制御する。PDK1は、したがって多様な代謝的、増殖的および生命維持効果の重要なレギュレーターである。
【0024】
プロテインキナーゼにより引き起こされる疾患は、そのようなプロテインキナーゼの異常な活性または活動亢進によって特徴づけられる。異常な活性は、以下のいずれかに関連する:(1)これらのプロテインキナーゼを通常は発現しない細胞における発現;(2)所望でない細胞増殖、例えば癌をもたらす、増大したキナーゼ発現;(3)所望でない細胞増殖、例えば癌および/または対応するプロテインキナーゼの活動亢進をもたらす、増大したキナーゼ活性。活動亢進は、特定のプロテインキナーゼをコードする遺伝子の増幅、または細胞増殖疾患と相関し得る活性レベルの発生のいずれかに関連する(即ち細胞増殖疾患の1種または2種以上の症状の重篤度は、増大するキナーゼレベルに伴って増大する)。プロテインキナーゼの生物学的利用能はまた、このキナーゼの1組の結合タンパク質の有無に影響され得る。
【0025】
本発明の化合物を用いて処置することができる癌の最も重要なタイプは、結腸直腸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫ならびに腎細胞癌および子宮内膜癌、特にまたPTENが突然変異する癌のタイプ、とりわけ乳癌、前立腺癌および神経膠芽腫を含む。
【0026】
さらに、本発明の化合物を用いて、付加的効果または相乗効果を特定の既存の癌化学療法および放射線療法において達成し、かつ/または特定の既存の癌化学療法および放射線療法の有効性を回復させることができる。
【0027】
式Iで表される化合物はまた、炎症性疾患、免疫応答調節または細胞増殖において役割を果たすタンパク質の発現および/または機能におけるレギュレーター、モジュレーターまたは阻害剤として作用する。
【0028】
本発明は、インターロイキン−1(IL−1)受容体関連キナーゼ(IRAK)を調節し、炎症性、細胞増殖性および免疫関連状態および疾患の予防または処置において有用である化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに問題の化合物および組成物の、IRAKによって媒介された状態または疾患の予防または処置のための使用に関する。
【0029】
炎症におけるIL−1の重要性は、高度に特異性のIL−1受容体アンタゴニストタンパク質(IL−1RaまたはIRAP)が炎症性状態を緩和する能力によって実証された(概説のために、例えばDinarello (1997) Cytokine Growth Factor Rev. 8:253-265を参照)。
【0030】
細胞のIL−1処理は、2つのIL−1受容体鎖、即ちIL−1R1およびIL−1RAcPからなる複合体の形成を誘発し、得られたヘテロ二量体は、MyD88と呼ばれるアダプター分子を補充(recruit)する(Wesche et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:19403-19410)。MyD88は、IRAK(IL−1受容体関連キナーゼ)と呼ばれるタンパク質に結合する(概説記事について、O'Neill et al. (1998) J. Leukoc. Biol. 63(6):650-657、Auron (1998) Cytokine Growth Factor Rev. 9(3-4):221-237およびO'Neill (2000) Biochem. Soc. Trans. 28(5)557-563を参照)。IRAKはその後リン酸化され、受容体複合体から放出されて、腫瘍壊死因子受容体関連因子、即ちTRAF6と相互作用し、それは、シグナルを下流エフェクター分子に伝達する(Cao et al. (1996) Nature 383:443-446)。TRAF6は、NIK/IKKキナーゼカスケードを誘発して、転写因子NF−κBを活性化することができる。NF−κBは、それら自体免疫および炎症応答を制御する多数の遺伝子を制御する。
【0031】
4種のIRAKが同定された:IRAK−1(Cao, et al. (1996) Science 271:1128-1131)、IRAK−2(Muzio, et al. (1997) Science 278:1612-1615)、IRAK−3としてもまた知られる単球特異性IRAK−M(Wesche, et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:19403-10)、およびIRAK−4(PCT公開第WO 01/051641)。IRAKタンパク質は、IL−18受容体(Kanakaraj et al. (1999) J. Exp. Med. 189(7):1129-1138)およびLPS受容体(Yang et al. (1999) J. Immunol. 163:639-643;Wesche et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:19403-19410)の活性化によって引き起こされたシグナルを含む、IL−1受容体から発生するもの以外のシグナルを伝達するにあたり役割を果たすことが示された。IRAK−2およびIRAK−Mの過剰発現によって、IRAK欠乏細胞系におけるIL−1およびLPSに対する応答を再構成することができることが示された。
【0032】
本明細書中で用いる用語「IRAK」は、インビトロでの、またはインビボでのIL−1に対する細胞応答を媒介することが可能である、インターロイキン−1(IL−1)受容体関連キナーゼタンパク質またはその変異型を指す。IRAKは、キナーゼ活性またはキナーゼ不活性タンパク質であり得る。キナーゼ活性IRAKの例は、IRAK−1およびIRAK−4を含む。キナーゼ不活性IRAKの例は、IRAK−2およびIRAK−3(またIRAK−Mとして知られている)を含む。キナーゼ活性IRAKは、他のタンパク質のトランスリン酸化または自己リン酸化が可能であり得る。好ましい態様において、IRAKは、IRAK−1および/またはIRAK−4である。
【0033】
IRAK変異型は、天然のIRAKに実質的に相同のタンパク質、即ち1種または2種以上の天然発生の、または天然発生でないアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えばIRAK誘導体、相同体または断片)を含む。IRAK変異型のアミノ酸配列は、好ましくは天然のIRAKに少なくとも80%同一であり、より好ましくは少なくとも約90%同一であり、尚より好ましくは少なくとも約95%同一である。
【0034】
用語「シグナル伝達(signal transduction)」、「シグナリング(signaling)」および関連する用語は、細胞外シグナル(例えばサイトカイン、ホルモン、神経伝達物質、成長因子の濃度)が、細胞内タンパク質−タンパク質相互作用のカスケードを介して細胞核に伝達され、1または2以上の細胞応答(例えば遺伝子転写、タンパク質分泌、有糸分裂、アポトーシス)を発生するプロセスを指す。細胞外シグナリング分子(例えばサイトカイン、ホルモン、神経伝達物質、成長因子)の細胞表面上の1種または2種以上の膜貫通タンパク質受容体との相互作用は、1または2以上のシグナル伝達経路を活性化することができる。シグナル伝達経路におけるタンパク質−タンパク質相互作用は、多価であってもよく、共有結合的および/または非共有結合的タンパク質修飾を含む。細胞内シグナリング分子、即ちシグナル伝達タンパク質またはシグナル伝達物質は、1または2以上のシグナル伝達経路に関与し得る。本明細書中で記載したように、タンパク質−タンパク質相互作用は、直接的な、および間接的な相互作用を含む。
【0035】
本明細書中で用いる表現「IRAK応答性状態または障害」ならびに関連する表現および用語は、IRAK活性の調節に好ましく応答する状態または障害に関する。IRAK調節に対する好ましい応答は、疾患および/またはその随伴する症状の緩和または除去、疾患の抑制、即ち疾患またはその臨床的症状の進展の停止または低減、および疾患またはその臨床的症状の退行を含む。
【0036】
IRAK応答性状態または障害は、IRAK調節に対して完全に、または部分的に応答性であってもよい。IRAK応答性状態または障害は、不適切な、例えば正常よりも小さい、または大きいIRAK活性と関連してもよい。不適切な機能性IRAK活性は、IRAKを正常に発現しないか、IRAK発現(それは、例えば脂質および代謝障害および疾患をもたらす)を低減するか、またはIRAK発現を低減した細胞におけるIRAK発現の結果として発生し得る。IRAK応答性状態または障害は、以下に定義する任意のIRAK媒介状態または疾患を含んでいてもよい。
【0037】
本明細書中で用いる表現「IRAK媒介状態または障害」ならびに関連する表現および用語は、不適切な、例えば正常よりも小さい、または大きいIRAK活性によって特徴づけられた状態または障害に関する。不適切な機能性IRAK活性は、IRAKを正常に発現しないか、IRAK発現もしくは細胞内活性化の程度を低減する(例えば炎症性および自己免疫障害および疾患を生じる)か、またはIRAK発現を低減した細胞におけるIRAK発現の結果として発生し得る。IRAK媒介状態または障害は、不適切な機能的IRAK活性によって完全に、または部分的に媒介され得る。しかし、IRAK媒介状態または障害は、IRAKの調節が根底にある状態または障害に対する効果をもたらすものである(例えば、IRAK阻害剤は、少なくとも数人の患者において患者の健康状態における改善をもたらす)。
【0038】
用語「調節する」は、IRAKの機能および/または発現を増大させるかまたは低減させる化合物の能力に関し、ここでIRAK機能は、キナーゼ活性および/またはタンパク質結合を含んでもよい。調節は、インビトロで、またはインビボで生じてもよい。本明細書中に記載される調節は、IRAK機能の抑制もしくは活性化および/またはIRAK発現の下方制御もしくは上方制御を、直接的に、または間接的に含む。モジュレーターは、好ましくはIRAK機能を活性化し、かつ/またはIRAK発現を上方制御する。より好ましくは、モジュレーターは、IRAK機能を活性化するかもしくは抑制し、かつ/またはIRAK発現を上方制御するかもしくは下方制御する。最も好ましくは、モジュレーターは、IRAK機能を抑制し、かつ/またはIRAK発現を下方制御する。IRAK機能を抑制する化合物の能力を、酵素的アッセイまたは細胞に基づくアッセイ(例えばIL−1−刺激NF−κB活性化の抑制)において実証することができる。
【0039】
ヒトまたは他の種の慢性疾患を含む疾患または状態を、IRAK機能の阻害剤で処置するかまたは防止することができる。これらの疾患または状態は、(1)炎症性またはアレルギー性疾患、例えば全身性アナフィラキシーおよび過敏症応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギーおよび食物アレルギー、(2)炎症性腸疾患、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、回腸炎および腸炎、(3)腟炎、(4)乾癬および炎症性皮膚症、例えば皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎およびじんましん、(5)血管炎、(6)脊椎関節症、(7)強皮症、(8)喘息および呼吸器のアレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、過敏症肺疾患など、ならびに
【0040】
(9)自己免疫疾患、例えば関節炎(リウマチ様および乾癬性を含む)、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、糸球体腎炎など、(10)移植片拒絶(同種移植片拒絶および移植片対宿主疾患を含む)、(11)所望されない炎症性疾患が抑制されるべき他の疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、筋炎、神経障害、例えば発作、虚血性再灌流傷害、開放性頭部外傷および閉鎖性頭部外傷、神経変性疾患(例えばパーキンソン病)、多発性硬化症、アルツハイマー病、脳炎、髄膜炎、骨粗鬆症、痛風、肝炎、腎炎、胆嚢疾患、敗血症、サルコイドーシス、結膜炎、耳炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎およびベーチェットの症候群;
【0041】
(12)細胞増殖性疾患または腫瘍性疾患、例えば乳癌、皮膚癌、前立腺癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、膀胱癌、肺癌、肝臓癌、喉頭癌、口腔癌、結腸癌または胃腸管(例えば食道、胃、膵臓)、脳、甲状腺、血液またはリンパ系の癌、ならびに血管形成および血管新生が役割を果たす疾患、(13)TNFまたはIL−1シグナリングの抑制に対して感受性である代謝障害、例えば肥満、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、高尿酸血症、高インスリン血症、悪液質、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症および高トリグリセリド血症、摂食障害、例えば神経性食欲不振症および過食症、
【0042】
(14)感染症、例えば菌血症および敗血症性ショック;(15)心血管障害、例えば急性心不全、低血圧症、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、心筋症、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、再狭窄および血管狭窄症、ならびに(16)免疫疾患および状態を含む。
【0043】
1つの態様において、本方法は、関節リウマチ、敗血症性ショック、炎症性腸疾患、骨量低下、癌、皮膚感作障害、糖尿病、肥満、虚血性発作、虚血性再潅流傷害、頭部外傷、喘息、アレルギー性疾患、多発性硬化症および移植片拒絶から選択された疾患または状態の処置または防止を対象とする。
【0044】
他の複素環式化合物は、炎症性疾患に対抗するためのIRAK阻害剤として、US 7,132,438 B2またはUS 7,199,119 B2に記載されている。
【0045】
式Iで表される化合物はまた、これらの化合物の水和物および溶媒和物、さらに薬学的に使用可能な誘導体を意味するものと解釈される。
【0046】
本発明はまた、これらの化合物の光学的に活性な形態(立体異性体)、塩、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、相互の引力のために形成される、化合物上への不活性溶媒分子のアダクション(adduction)を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコラートである。
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ(prodrug)化合物を意味するものと解釈される。
【0047】
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の有効な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0048】
「有効量」の表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師によって求められているかまたは所望の生物学的もしくは薬学的応答を生じる、医薬の、または薬学的に活性な成分の量を示す。
さらに、「治療的に有効な量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、または同様に疾患、愁訴もしくは障害の進行の低減
を有する量を示す。
「治療的に有効な量」の表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0049】
本発明はまた、式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物の使用に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0050】
本発明は、式Iで表される化合物およびそれらの塩、ならびに、式Iで表される化合物およびそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化2】

式中、Rは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、式III
【化3】

式中、Y、R、R、R、Rは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
あるいは
【0051】
b)式IV
【化4】

式中、Y、R、R、R、Rは、請求項1に示した意味を有し、そしてXはBrまたはIを示す、
で表される化合物を、式V
−L V
式中、Rは請求項1に示した意味を有し、そしてLはボロン酸またはボロン酸エステルラジカルを示す、
で表される化合物と反応させ、
かつ/あるいは式Iで表される塩基または酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0052】
本明細書中で、ラジカルR、R、R、R、RおよびYは、他に明示的に示さない限り、式Iについて示した意味を有する。1回よりも多く出現するすべてのラジカルに関し、それらの意味は、互いに独立している。
【0053】
略語
Ac アセチル
BOC tert−ブトキシカルボニル
CBZまたはZ ベンジルオキシカルボニル
DCCI ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF ジメチルホルムアミド
EDCI N−エチル−N,N’−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
Et エチル
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
【0054】
Me メチル
Mtr 4−メトキシ−2,3,6−トリメチルフェニルスルホニル
HONSu N−ヒドロキシスクシンイミド
OBut tert−ブチルエステル
Oct オクタノイル
OMe メチルエステル
OEt エチルエステル
POA フェノキシアセチル
PPA ポリリン酸
TFA トリフルオロ酢酸
Trt トリチル(トリフェニルメチル)。
【0055】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
【0056】
Aは、極めて特に好ましくは1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
A中の1つまたは2つのCH基はまた、N、OもしくはS原子によって、および/または−CH=CH−基によって置き換えられていてもよい。Aは、したがってまた、例えば2−メトキシエチルまたは2−ヒドロキシエチルを示す。
Aは、さらに環状アルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを示す。
【0057】
Aは、さらに好ましくは、1〜10個のC原子を有し、ここで1つのCH基がO原子によって置き換えられていてもよく、かつ/または、さらに、1〜5個のH原子がFによって置き換えられていてもよい、非分枝状または分枝状アルキルを示す。
【0058】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−メチルスルホニルフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ジメチルアミノフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−アミノカルボニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−アセトアミノフェニル、
【0059】
さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、p−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0060】
Arは、好ましくは、非置換であるかまたはHalおよび/もしくはNRCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す。
【0061】
他の置換基と関係なく、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルを示す。
【0062】
複素環式基はまた、部分的にまたは完全に水素化されていてもよい。
非置換Hetは、したがってまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは5−フリル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、1−、2−もしくは3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−ピリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジニル、2−、3−もしくは4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、
【0063】
さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは同様に3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを示すことができる。
【0064】
Hetは、さらに好ましくは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示す。
【0065】
Hetは、特に好ましくは、ピペリジニル、4,5−ジヒドロピリダジニル、ピリジル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、1、3−オキサジナニル、チエニル、ピラゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、イソキサゾリル、ベンゾチエニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジニル、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾール、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソリル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラゾリル、オキサゾリジニルまたはイソキサゾリジニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換もしくは二置換されている。
【0066】
Hetは、好ましくは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有し、Aおよび/または=Oによって単置換または二置換されていてもよい、単環式の飽和複素環を示す。
Hetは、極めて特に好ましくは、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルまたはイソキサゾリジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されている。
【0067】
他の置換基とは無関係に、Rは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、ここで複素環は、Hetについて上記で示した通りの意味を有する。
【0068】
は、好ましくは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、CN、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、[C(RORおよび/もしくは[C(RCONR[C(RN(Rによって単置換もしくは二置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示す。
【0069】
は、特に好ましくは、ピラゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフラニル、イソキサゾリル、ベンゾチエニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジニル、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾール、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリルまたは1,3−ベンゾジオキソリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、CHCOHet、(CHOH、(CHHet、CONH(CHHet、(CHNH、OA、Hal、(CHNHA、(CHNA、CHAr、CHCONA、(CHOA、(CHCOOH、(CHCOOA、CONH(CHNA、CONH、CONHA、CONA、CONH(CHOAおよび/もしくはCNによって単置換もしくは二置換されている。
【0070】
、R、R、Rは、好ましくは、各々の場合において互いに独立して、H、Hal、A、OA、SON(R、S(O)Het、CO−Ar、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、[C(ROR、[C(ROAr、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHetまたは[C(RNRCO[C(RArを示し、
【0071】
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示す。
【0072】
、R、R、Rは、特に好ましくは、各々の場合において互いに独立して、H、(CHOH、(CHOA、(CHHet、Hal、A、SONH、SONHA、SONA、(CHAr、CH(OH)Ar、(CHNHCO(CHAr、COAr、(CHCONH(CHAr、(CHCONH(CHHet、(CHCOOH、(CHCOOA、(CHCONH、(CHCONHA、(CHCONA、SOHet、(CHNH、(CHNHA、(CHNA、(CHOArまたはCONH(CHOAを示し、
【0073】
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し、
Halは、好ましくはF、ClまたはBr、しかしまたI、特に好ましくはFまたはClを示す。
【0074】
本発明を通して、1回よりも多く出現するすべてのラジカルは、同一であっても異なっていてもよく、即ち互いに独立している。
式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有していてもよく、したがって種々の立体異性体形態で存在し得る。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0075】
したがって、本発明は特に、少なくとも1つの前記ラジカルが前に示した好ましい意味の1つを有する、式Iで表される化合物に関する。いくつかの好ましい群の化合物を、以下の従属式Ia〜Ijによって表すことができ、これは式Iに適合し、ここで一層詳細に表示していないラジカルは、式Iについて示した意味を有するが、ここで、
【0076】
Iaにおいて、Rは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、CN、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、[C(RORおよび/もしくは[C(RCONR[C(RN(Rによって単置換もしくは二置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し;
【0077】
Ibにおいて、Rは、ピラゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフラニル、イソキサゾリル、ベンゾチエニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジニル、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾール、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリルまたは1,3−ベンゾジオキソリルを示し、その各々は、非置換であるか、またはA、CHCOHet、(CHOH、(CHHet、CONH(CHHet、(CHNH、OA、Hal、(CHNHA、(CHNA、CHAr、CHCONA、(CHOA、(CHCOOH、(CHCOOA、CONH(CHNA、CONH、CONHA、CONA、CONH(CHOAおよび/もしくはCNによって単置換もしくは二置換されており;
【0078】
Icにおいて、R、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、Hal、A、OA、SON(R、S(O)Het、CO−Ar、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、[C(ROR、[C(ROAr、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHetまたは[C(RNRCO[C(RArを示し、
【0079】
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し;
【0080】
Idにおいて、R、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、(CHOH、(CHOA、Het、Hal、A、SONH、SONHA、SONA、(CHAr、(CHHet、CH(OH)Ar、(CHNHCO(CHAr、COAr、(CHCONH(CHAr、(CHCONH(CHHet、(CHCOOH、(CHCOOA、(CHCONH、(CHCONHA、(CHCONA、SOHet、(CHNH、(CHNHA、(CHNA、(CHOArまたはCONH(CHOAを示し、
【0081】
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し;
【0082】
Ieにおいて、Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子は、Fによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つのCH基は、Oによって置き換えられていてもよく;
Ifにおいて、Arは、非置換であるかまたはHalおよび/もしくはNRCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し;
【0083】
Igにおいて、Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し;
【0084】
Ihにおいて、Hetは、ピペリジニル、4,5−ジヒドロピリダジニル、ピリジル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、1,3−オキサジナニル、チエニル、ピラゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、イソキサゾリル、ベンゾチエニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジニル、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾール、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソリル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラゾリル、オキサゾリジニルまたはイソキサゾリジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換もしくは二置換されており;
【0085】
Iiにおいて、Hetは、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルまたはイソキサゾリジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されており;
【0086】
Ijにおいて、Rは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、CN、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、[C(RORおよび/もしくは[C(RCONR[C(RN(Rによって単置換もしくは二置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Yは、互いに独立してNまたはCを示し、ここで最大2つのYは、Nを示してもよく、
【0087】
、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、Hal、A、OA、SON(R、S(O)Het、CO−Ar、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、[C(ROR、[C(ROAr、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHetまたは[C(RNRCO[C(RArを示し、
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し、
【0088】
は、AまたはHを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子は、Fによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つのCH基は、Oによって置き換えられていてもよく、
Arは、非置換であるか、またはHalおよび/もしくはNRCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
HalはF、Cl、BrまたはIを示し、
mは0、1または2を示し、
nは0、1、2、3または4を示す;
ならびに、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体であり、ならびにすべての比率でのそれらの混合物である。
【0089】
式Iで表される化合物およびまたそれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[有機化学の方法(Methods of Organic Chemistry)]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法によって、正確には前記反応に適する周知の反応条件の下で、製造される。また、本明細書においてこれ以上詳細には述べない自体公知の変法を、ここで用いることができる。
【0090】
式Iで表される化合物を、好ましくは、式IIで表される化合物を式IIIで表される化合物と反応させることによって得ることができる。
式IIおよびIIIで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかし、それらが新規である場合は、それらを、自体公知の方法によって製造することができる。
【0091】
当該反応を、不活性溶媒中で行い、一般的にはNaHSO/Naの存在下で行う。
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−15℃〜150℃、通常10℃〜100℃、特に好ましくは15℃〜80℃である。
【0092】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前記溶媒の混合物である。
特に好ましいのは、DMFである。
【0093】
式Iで表される化合物を、さらに好ましくは、式IVで表される化合物を式Vで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
当該反応を、スズキ反応として当業者に知られている条件下で行う。
【0094】
式IVおよびVで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかし、それらが新規である場合は、それらを、自体公知の方法によって製造することができる。
式Vで表される化合物において、Lは、好ましくは
【化5】

を示す。
【0095】
当該反応を、スズキカップリングの標準的な条件下で行う。
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常0℃〜150℃、特に約60℃〜約130℃である。
【0096】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前記溶媒の混合物である。
特に好ましいのは、DMFである。
【0097】
さらに、遊離のアミノ基を、酸塩化物もしくは無水物を用いて従来の方式でアシル化するか、または非置換の、もしくは置換されたハロゲン化アルキルを用いて、有利には不活性溶媒、例えばジクロロメタンもしくはTHF中で、および/または塩基、例えばトリエチルアミンもしくはピリジンの存在下で、−60〜+30℃の温度にてアルキル化することができる。
【0098】
薬学的塩および他の形態
本発明の前記化合物を、それらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順によって、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るそれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用的な方法によって製造される。式Iで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて、対応する塩基付加塩を得ることによって生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0099】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩は、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびそれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびそれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することによって、酸付加塩を生成することができる。
【0100】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩は、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0101】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩を含むが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0102】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、式Iで表される化合物の塩は、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩を含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0103】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、そのような塩を用いて製造することができる。
【0104】
好ましい前述の薬学的塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンを含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0105】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成させることによって製造する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することによって、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、ある物性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0106】
述べたように、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0107】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成させることによって製造する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することによって、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、ある物性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0108】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0109】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、式Iで表される化合物をその塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分の任意の他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、このように解釈されることが明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性成分に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性成分の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0110】
本発明はさらに、少なくとも1種の式Iで表される化合物および/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0111】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含んでもよく、または医薬処方物を、投薬単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与してもよい。好ましい投薬単位処方物は、前に示したように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて製造することができる。
【0112】
医薬処方物を、任意の所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)の方法による投与に適合させることができる。そのような処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることによって製造することができる。
【0113】
経口投与に適合された医薬処方物を、別個のユニットで、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして投与することができる。
【0114】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することによって製造する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同時に存在してもよい。
【0115】
カプセルを、上記のように散剤混合物を製造し、成形したゼラチン殻をそれで充填することによって製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に散剤混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0116】
さらに、所望または必要ならば、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに色素を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどを含む。これらの投薬形態において用いられる潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを含む。錠剤を、例えば散剤混合物を製造し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることによって処方する。
【0117】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および随意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することによって製造する。散剤混合物を、それを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、それをふるいを通して押圧することによって顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、それを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0118】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることによって潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投薬ユニット間で区別することができるようにすることができる。
【0119】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投薬単位の形態で製造し、所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、好適な風味剤との水溶液に化合物を溶解することによって製造することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて製造する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることによって処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
【0120】
経口投与用の投薬単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することによって製造することができる。
【0121】
式Iで表される化合物およびそれらの塩、互変異性体および立体異性体をまた、リポソーム送達系、例えば小さい単層の小胞、大きい単層の小胞、および多層の小胞の形態で投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0122】
式Iで表される化合物およびそれらの塩、互変異性体および立体異性体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。当該化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換された、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。当該化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0123】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所的投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたはオイルとして処方することができる。
【0124】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0125】
目への局所的適用に適合された医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンディー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0126】
担体物質が固体である鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻道を介する迅速な吸入により投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0127】
吸入による投与に適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、それは、エアゾール、ネブライザーまたは吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーによって発生し得る。
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0128】
非経口投与に適合された医薬処方物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、それによって処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含むことができるもの、を含む。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルで投与してもよく、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で貯蔵してもよい。レシピに従って製造される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0129】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において普通である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでもよい。
【0130】
式Iで表される化合物の治療的に有効な量は、例えば、動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与方法を含む多くの要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師によって決定される。しかし、腫瘍増殖、例えば結腸癌または乳癌の処置のための本発明の化合物の有効な量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳動物)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳動物に対する1日あたりの実際量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり単一の用量として、または通常1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分もしくは6回分)で投与し、したがって合計の日用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると推測することができる。
【0131】
本発明はさらに、式Iで表される少なくとも1種の化合物および/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)ならびに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0132】
本発明はまた、
(a)式Iで表される化合物および/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の有効量、
ならびに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0133】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、各々は、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、式Iで表される化合物および/または、それらの薬学的に使用可能な塩および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の有効量、ならびに、さらなる医薬活性成分の有効量を含む。
【0134】
使用
本化合物は、哺乳動物のための、特にヒトのため癌疾患の処置および抑制における医薬活性成分として適合する。
【0135】
本発明は、式Iで表される化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、癌の処置または防止のための医薬を製造するための使用を包含する。処置に好ましい癌腫は、脳腫瘍、尿生殖路癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌および肺癌、腸癌の群に由来する。癌の好ましい形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌である。
【0136】
また、式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、哺乳動物における腫瘍によって誘発された疾患の処置および/または抑制のための医薬の製造のための使用が包含され、ここでかかる方法において、治療的に有効な量の本発明の化合物を、そのような処置を要する疾患を有する哺乳動物に投与する。治療的な量は、特定の疾患によって変動し、不当な労力なしに当業者によって決定され得る。
【0137】
特に好ましいのは、疾患が固形腫瘍である疾患の処置のための使用である。
固形腫瘍は、好ましくは、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群から選択される。
【0138】
固形腫瘍はさらに、好ましくは肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
好ましいのは、さらに、血液および免疫系の腫瘍を処置するための、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍を処置するための使用である。
【0139】
本発明はさらに、本発明の化合物の骨病態の処置のための使用に関し、ここで骨病態は、骨肉腫、骨関節炎およびくる病の群に由来する。
【0140】
式Iで表される化合物をまた、処置されている状態に対してそれらの特別な有用性に関して選択される他の周知の治療剤として同時に投与してもよい。
【0141】
本化合物はまた、既知の抗癌剤との組み合わせに適合する。これらの既知の抗癌剤は、以下のものを含む:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害性薬物、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤および他の血管新生阻害剤。本化合物は、放射線療法と同時の投与に特に適する。
【0142】
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムとは無関係に、エストロゲンが受容体に結合するのを干渉するかまたは阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例は、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY 117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646を含むが、これらには限定されない。
【0143】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムとは無関係に、アンドロゲンが受容体に結合するのを干渉するかまたは阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例は、フィナステリドならびに他の5α−還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよびアビラテロンアセテートを含む。
【0144】
「レチノイド受容体モジュレーター」は、メカニズムとは無関係に、レチノイドが受容体に結合するのを干渉するかまたは阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体モジュレーターの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを含む。
【0145】
「細胞障害性薬物」は、主に細胞機能に対する直接的な作用によって細胞死をもたらすか、または細胞縮瞳を阻害するかもしくは干渉する化合物を指し、それは、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、干渉物質、微小管(microtubulin)阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤を含む。
【0146】
細胞障害性薬物の例は、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロマイド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、インプロスルファントシレート、トロホスファミド、ニムスチン、ジブロスピジウムクロリド、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profirlmycin)、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリシジニルスペルミン(diarisidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン(antineoplastone)、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシンを含むが、これらには限定されない(WO 00/50032を参照)。
【0147】
微小管阻害剤の例は、パクリタキセル、ビンデシンサルフェート、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(norvincaleukoblastine)、ドセタキソール(docetaxol)、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート、アウリスタチン(auristatin)、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン(anhydrovinblastine)、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797を含む。
【0148】
トポイソメラーゼ阻害剤は、例えばトポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンカルトロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルートテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスフェート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
【0149】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001ならびに代謝拮抗剤、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート(cytarabine ocfosfate)、ホステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン(aplidine)、エクテイナスシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ(methioninase)、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾンを含む。
【0150】
「抗増殖剤」はまた、「血管新生阻害剤」の名目で挙げられるもの以外の、増殖因子に対するトラスツズマブなどのモノクローナル抗体、および組換えウイルス媒介遺伝子送達を介して送達され得る、p53などの腫瘍抑制遺伝子なども含む(例えば米国特許第6,069,134号を参照)。
【0151】
インビトロでの腫瘍細胞の増殖/生命力に対する薬理学的阻害剤の作用の証拠
1.0 背景
本実験の記載において、活性成分による腫瘍細胞増殖/腫瘍細胞生命力の阻害を記載する。
細胞を、好適な細胞密度でマイクロタイタープレート(96ウェル様式)に播種し、試験物質を、濃度系列の形式で添加する。血清含有培地中での培養のさらに4日後に、腫瘍細胞増殖/腫瘍細胞生命力を、Alamar Blue試験システムによって決定することができる。
【0152】
2.0 実験手順
2.1 細胞培養
例えば商業的に入手できる結腸癌細胞系、卵巣細胞系、前立腺細胞系または乳腺細胞系など。
細胞を、培地中で培養する。数日の間隔で、細胞を、トリプシン溶液を用いて培養皿から剥離させ、好適な希釈で新鮮な培地に播種する。細胞を、摂氏37度および10%COで培養する。
【0153】
2.2.細胞の播種
180μlの容量の培養培地中の培養/ウェルあたり所定の数の細胞(例えば2000個の細胞)を、マイクロタイタープレート(96ウェル細胞培養プレート)中に、マルチチャネルピペットを用いて播種する。細胞を、その後COインキュベーター(37℃および10%CO)中で培養する。
【0154】
2.3.試験物質の添加
試験物質を、例えばDMSOに溶解し、次いで対応する濃度で(所望により希釈系列で)細胞培養培地中において用いる。希釈ステップは、活性成分の有効性および濃度の所望のスプレッドに依存して適合させることができる。細胞培養培地を、試験物質に対応する濃度で添加する。試験物質の細胞への添加を、細胞の播種と同日に行うことができる。このために、各々の場合において、20μlのプレ希釈(predilution)プレートからの物質溶液を、培養物/ウェルに加える。細胞を、摂氏37度および10%のCOにてさらに4日間培養する。
【0155】
2.4.色反応の測定
各々の場合において、ウェルあたり20μlのAlamar Blue試薬を添加し、マイクロタイタープレートを、例えば、COインキュベーター(37℃および10%のCO)中でさらに7時間インキュベートする。プレートを、蛍光フィルターを有する読み取り機において、540nmの波長で測定する。プレートを、測定の直前に穏やかに振盪することができる。
【0156】
3.評価
培地対照(用いた細胞および試験物質なし)の吸光度値を、すべての他の吸光度値から減ずる。対照(試験物質を有しない細胞)を、100パーセントに等しく設定し、すべての他の吸光度値を、それに関連させて設定する(例えば対照の%において):
【0157】
計算:
100*(細胞および試験物質での値−培地対照の値)
(細胞での値−培地対照の値)
IC50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1を用いて決定する。
本発明の化合物のIC50データを、表1に示す。
【0158】
4.0 PDK1の阻害についての試験
実験バッチを、384ウェル/マイクロ滴定(microtitration)プレートでのフラッシュプレート系において行う。
【0159】
各々の場合において、PDK1試料His−PDK1(□1−50)(3.4nM)、PDK1基質ビオチン−bA−bA−KTFCGTPEYLAPEVRREPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC(400nM)、4μMのATP(0.2μCiの33P−ATP/ウェルで)およびウェルあたり50μlの慣用の実験的溶液中の試験物質を、30℃にて60分間インキュベートする。試験物質を、対応する濃度で(所望により希釈系列において)用いる。対照を、試験物質なしで行う。反応を、標準的な方法を用いて停止し、洗浄する。キナーゼの活性を、最高カウントにおいて包含された放射活性によって測定する。非特異なキナーゼ反応(ブランク値)を決定するために、実験バッチを、100nMのスタウロスポリンの存在下で行う。
【0160】
5.0 評価
ブランク値(スタウロスポリンの存在下での試験物質の使用なし)の放射活性(分あたりの分解)を、すべての他の放射活性値から減ずる。対照(試験物質なしでのキナーゼ活性)を、100パーセントに等しく設定し、すべての他の放射活性値(ブランク値を減じた後)を、それに関連させて設定して表す(例えば対照の%において)。
【0161】
計算:
100*(試験物質でのキナーゼ活性の値−ブランク値)
(対照の値−ブランク値)
=対照の%
IC50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1を用いて決定する。本発明の化合物のIC50データを、表1に示す。
【0162】
【表1】

【0163】
1.IRAK4の阻害についての試験
実験バッチを、384ウェル/マイクロタイタープレートを備えたフラッシュプレートシステムにおいて行う。
【0164】
各々の場合において、ウェルあたり50μlの慣用の実験溶液中のIRAK4試料His−IRAK4(7.3nM)、ビオチン化された基質ペプチドSTK基質1−ビオチン(Cisbio Bioassays, France)(300nM)、10μMのATP(0.25μCiの33P−ATP/ウェルを有する)および試験物質を、22℃で180分間インキュベートする。試験物質を、対応する濃度で(所望により希釈系列において)用いる。対照を、試験物質なしで行う。反応を、標準的な方法を用いて停止し、洗浄する。キナーゼの活性を、最高カウントにおいて包含された放射活性によって測定する。非特異なキナーゼ反応(ブランク値)を決定するために、実験バッチを、1μMのスタウロスポリンの存在下で行う。
【0165】
2.評価
ブランク値(1μMのスタウロスポリンの存在下での試験物質の使用なし)の放射活性(分あたりの分解)を、すべての他の放射活性値から減ずる。対照(試験物質なしでのキナーゼ活性)を、100パーセントに等しく設定し、すべての他の放射活性値(ブランク値を減じた後)を、それに関連させて設定して表す(例えば対照の%において)。
【0166】
計算:
100*(試験物質でのキナーゼ活性の値−ブランク値)
(対照の値−ブランク値)
=対照の%
IC50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1を用いて決定する。
【0167】
【表2】

【0168】
1.IRAK1の阻害についての試験
実験バッチを、384ウェル/マイクロタイタープレートでのフラッシュプレートシステムにおいて行う。
【0169】
各々の場合において、IRAK1の自己リン酸化活性の阻害を調査するために、ウェルあたり50μlの従来の実験溶液中のIRAK1試料His−IRAK1(5.1nM)、1μMのATP(0.25μCiの33P−ATP/ウェルを有する)および試験物質を、22℃で180分間インキュベートする。試験物質を、対応する濃度で(所望により希釈系列において)用いる。対照を、試験物質なしで行う。反応を、標準的な方法を用いて停止し、洗浄する。キナーゼの活性を、最高のカウントにおいて包含された放射活性によって測定する。非特異なキナーゼ反応(ブランク値)を決定するために、実験バッチを、1μMのスタウロスポリンの存在下で行う。
【0170】
2.評価
ブランク値(1μMのスタウロスポリンの存在下での試験物質の使用なし)の放射活性(分あたりの分解)を、すべての他の放射活性値から減ずる。対照(試験物質なしでのキナーゼ活性)を、100パーセントに等しく設定し、すべての他の放射活性値(ブランク値を減じた後)を、それに関連させて設定して表す(例えば対照の%において)。
【0171】
計算:
100*(試験物質を有するキナーゼ活性の値−ブランク値)
(対照の値−ブランク値)
=対照の%
IC50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1を用いて決定する。
【0172】
【表3】

【0173】
APCI−MS(大気圧化学的イオン化−質量分析)(M+H)
ESI−MS(エレクトロスプレーイオン化−質量分析)(M+H)
【0174】
HPLC−APCI−MSおよびHPLC−ESI−MS条件
溶媒A:水+0.1%のHCOOH
溶媒B:アセトニトリル+0.1%のHCOOH
溶媒C:C
溶媒D:D
最小圧力(bar):0
最大圧力(bar):300
遅延容積(ml):0.00
平衡時間(分):0.00
勾配曲線:直線状
【0175】
【表4】

【0176】
EI−MS(電子衝撃−質量分析)M
・EIイオン化 70eV
・イオン源温度 220℃、直接的蒸発
・質量分析計:VG Autospec
【0177】
LC−MS(高速液体クロマトグラフィー−質量分析)(M+H)
MSデータを、以下のようにして得る:質量スペクトル:(M+H);Agilent 1100シリーズシステム(イオン源:エレクトロスプレー(陽性のモード);走査:85〜1000m/e;分解電圧:変数;ガス温度:300℃、DAD:220nm。流量:2.4ml/分。用いたスプリッターによって、DAD後の流量がMSについて0.6ml/分に低減する;カラム:Chromolith Speed ROD RP-18e 50-4.6;溶媒:LiChrosolv Merck KGaA;溶媒A:HO(0.05%のギ酸);溶媒B:CHCN(0.04%のギ酸);勾配:2.8分において96%のAから100%のBまで;続いて0.5分において100%のB。
【0178】
分取HPLC条件:
カラム:Chromolith-prep RP-18e 100-25
装置:Shimadzu LC 8A
溶離剤A:水+0.1%のTFA
溶離剤B:アセトニトリル+0.1%のTFA
勾配:99:1→1:99、15分において
流量:30ml/分
検出:UV 220nm

H−NMR:Bruker DPX-300、DRX-500、DRX-400またはAVII-400。
【0179】
マイクロ波化学を、Personal Chemistryからの「Emrys(登録商標)Optimiser単一モードマイクロ波反応器」を用いて行う。
【0180】
本発明の化合物の製造のための一般的合成スキーム
【0181】
方法1:
【化6】

【0182】
【化7】

【0183】
方法2:
【化8】

【0184】
例1
6−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A1」)の製造
【化9】

1.1 20ml(40mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および466mg(0.403mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を、2g(8.064mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび3.017g(14.5mmol)の1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールを20mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した、窒素下に保持した溶液に加え、混合物を100℃に加熱し、この温度で1時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、濾液を水と酢酸エチルとの間で分割する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させ、残留物をエーテルで粉末にし、吸引により濾別する:2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−カルバルデヒド、白色固体として;ESI 203。
【0185】
1.2 300μl(1.485mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、100mg(0.495mmol)の2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−カルバルデヒドおよび108mg(0.495mmol)の6−(3,4−ジアミノフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを4mlのDMFに溶解した溶液に加え、得られた縣濁液を、50℃で72時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却し、水を加え、沈殿した生成物を吸引により濾別し、水で洗浄し、乾燥し、6−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを黄色固体として得る;APCI 401;
【0186】
【化10】

【0187】
6−(3,4−ジアミノフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンの合成は、Jonas, R.; Klockow, M.; Lues, I.; Pruecher, H.; Schliep, H. J.; Wurziger, H. Eur. J. Med. Chem. 1993, 28, 129に記載されている。
「ピリダジノン」構成要素を、Eur. J. Med. Chem. 1993,28, 129における手順と同様にして製造する。
【0188】
ラセミ体(R,S)−6−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンの2種の鏡像異性体
(R)−6−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A2」)および
(S)−6−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A3」)
への分離を、分取キラルHPLCおよび検出器としての旋光計によって行う。
【0189】
分取HPLC:室温で
機器:VWR LaPrep
移動相. MeOH/EtOH 1/1
流量. 100ml/分
カラム:ChiralPAK(登録商標)AD 2×(25×5cm)
波長 270nM
ラセミ体:100mgのラセミ体/注入(注入溶媒. EtOH/MeOH/DEA 5:3:2)
鏡像異性体1(「A2」):t=23.4分(−) MeOH/EtOH 1:1
鏡像異性体2(「A3」):t=33.8分(+) MeOH/EtOH 1:1
【0190】
分析HPLC:室温で
機器:HPLC LaChrom 7000
移動相. MeOH/EtOH 1/1
流量. 0.8ml/分
カラム:ChiralPAK(登録商標)AD-H(25×0.46cm)
波長 270nM
鏡像異性体1(「A2」):t=14.6分
鏡像異性体2(「A3」):t=20.5分
【0191】
以下の化合物を、例1と同様にして得る。
【表5】

【0192】
【表6】

【0193】
【表7】

【0194】
例2
6−(2−{2−アミノ−5−[1−(2−モルホリン−4−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−イル}−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A9」)の方法1および経路Bによる製造
【化11】

2.1 6.75ml(33.9mmol)の亜硫酸水素ナトリウム溶液(38〜40%)を、2.8g(11.289mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび2.464g(11.290mmol)の6−(3,4−ジアミノフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを30mlのDMFに溶解した溶液に加え、混合物を、50℃で14時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、水を加える。黄色沈殿物を濾別し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、その後乾燥する:2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−カルバルデヒド、黄色固体として;HPLC−MS[M+H] 447。
【0195】
2.2 100mg(0.224mmol)の2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−カルバルデヒドおよび135mg(0.440mmol)の4−{2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾール−1−イル]エチル}モルホリンを、1.2mlのN,N−ジメチルホルムアミドに、窒素を充填したマイクロ波容器中で溶解し、0.666ml(1.32mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および23mg(0.02mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加える。反応溶液に、Biotage SmithSynthesizer中で120℃で30分間、マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル/水を加える。水相を再び、酢酸エチルと共に振盪することにより抽出した。混ぜ合わせた有機相を、水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、蒸発乾固させる。残留物を、RP−HPLCによって精製する:6−(2−{2−アミノ−5−[1−(2−モルホリン−4−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−イル}−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オントリフルオロ酢酸塩、帯黄色結晶として;APCI−MS[M+H] 500;
【0196】
【化12】

【0197】
以下の化合物を、例2と同様にして製造する;他に述べない限り、ボロン酸およびボロン酸エステルは、商業的に入手可能であるか、または文献中に記載されている:
【0198】
【表8】

【0199】
【表9】

【0200】
【表10】

【0201】
【表11】

【0202】
【表12】

【0203】
【表13】

【0204】
【表14】

【0205】
【表15】

【0206】
例2a
6−{2−[2−アミノ−5−(4−フルオロ−2H−ピラゾール−3−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A23」)の製造
方法1、経路Aにおけるスズキカップリングの標準的な条件の代わりに、一連の合成をまた、スティルカップリングの条件下で行うことができる。
【化13】

【0207】
2mlのジオキサン中の100mg(0.224mmol)の6−[2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン、252.2mg(0.672mmol)の4−フルオロ−5−トリブチルスタンナニル−1H−ピラゾール、41.5mg(0.045mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、23.5mg(0.090mmol)のトリフェニルホスフィン、28.5mg(0.672mmol)の塩化リチウムおよび8.5mg(0.045mmol)のヨウ化銅を、窒素を充填した反応容器中に導入する。混合物を、窒素保護雰囲気下で100℃で14時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を除去する。DCMおよび2N HClを、残留物に加える。沈殿物を分離して除去し、DCM/水で洗浄する。沈殿物を、分取RP−HPLCによってさらに精製し、6−{2−[2−アミノ−5−(4−フルオロ−2H−ピラゾール−3−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを得る;HPLC−MS[M+H] 405.2;
【0208】
【化14】

【0209】
例3
(4−{6−アミノ−5−[5−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ピリジン−3−イル}ピラゾール−1−イル)酢酸(「A24」)の製造
【化15】

3.1 1g(5.051mmol)の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールおよび1.808g(5.550mmol)の炭酸セシウムを、20mlのACNに懸濁させる。468μl(5.050mmol)のブロモ酢酸メチルを加え、混合物をRTで72時間撹拌する。沈殿物を吸引により濾別し、ACNで洗浄する。母液を蒸留して乾燥させ、酢酸エチルを加え、混合物を水で2回迅速に洗浄する。有機相を、硫酸ナトリウムを用いて直ちに乾燥し、蒸留して乾燥させる:[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾール−1−イル]酢酸メチル、固体として;EI−MS[M] 266。
【0210】
3.2 100mg(0.224mmol)の2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−カルバルデヒドおよび117mg(0.440mmol)の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾール−1−イル]酢酸メチルを、窒素を充填したマイクロ波容器中で1.2mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.666ml(1.32mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および23mg(0.02mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加える。反応溶液に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。
【0211】
反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル/水を加える。水相を、酢酸エチルと共に振盪することにより再び抽出した。水相を、1N HClを用いて酸性化し、ジクロロメタン/少量のイソプロパノールと共に2回振盪することにより抽出する。有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、蒸発乾固させる。残留物を、RP−HPLCによって精製する;エステルが反応の間に加水分解されるため、以下のものが得られる:(4−{6−アミノ−5−[5−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ピリジン−3−イル}−ピラゾール−1−イル)酢酸、トリフルオロ酢酸塩、帯黄色結晶として;HPLC−MS[M+H] 445.3;
【0212】
【化16】

【0213】
例4
2−(4−{6−アミノ−5−[5−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ピリジン−3−イル}ピラゾール−1−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド(「A25」)の製造
【化17】

50mgの「A24」(0.112mmol)を、5mlのDMFに溶解する。35mg(0.110mmol)のTBTU、4.458mg(0.033mmol)のHOBt、THF中の2Mジメチルアミン83μl(0.165mmol)および61μl(0.550mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を室温で14時間撹拌し、水を加え、混合物を凍結乾燥する。残留物をRP−HPLCによって精製する:2−(4−{6−アミノ−5−[5−(4−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ピリジン−3−イル}ピラゾール−1−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド、トリフルオロ酢酸塩、帯黄色結晶として;APCI−MS[M+H] 472;
【0214】
【化18】

【0215】
6−[2−(2−アミノ−5−{1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル}−ピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A26」)、トリフルオロ酢酸塩が、帯黄色結晶として同様にして得られる。
【0216】
【化19】

【0217】
例4a
2−{4−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]ピラゾール−1−イル}−N−(3,4−ジフルオロベンジル)アセトアミド(「A27」)の製造
【化20】

4a.1 {4−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]−ピラゾール−1−イル}酢酸を、経路1、方法B(フラスコ中で120℃、14時間、マイクロ波の代わりに)によって製造し、エチルエステルを、プロセスにおいて加水分解し、粗生成物を、このようにしてさらに反応させる;HPLC−MS[M+H] 365.2。
【0218】
4a.2 146mgの{4−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]ピラゾール−1−イル}酢酸(0.120mmol)を、1.5mlのDMFに溶解する。17.5mg(0.120mmol)の3,4−ジフルオロベンジルアミン、16.2mg(0.120mmol)のHOBt、23mg(0120mmol)のEDCおよび26.4μl(0.240mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を室温で14時間撹拌し、水/酢酸エチルをその後加える。水相を酢酸エチルで2回抽出する。混ぜ合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸発乾固させる。残留物を分取RP−HPLCによって精製し、2−{4−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]ピラゾール−1−イル}−N−(3,4−ジフルオロベンジル)アセトアミドを得る;HPLC−MS[M+H] 490.2;
【0219】
例5
6−(2−{2−アミノ−5−[1−(2−オキソ−2−ピペリジン−1−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−イル}−3H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A28」)の製造
【化21】

5.1 200mg(0.806mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび501mg(1.570mmol)の1−ピペリジン−1−イル−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾール−1−イル]エタノンを、4mlのN,N−ジメチルホルムアミドに、アルゴンを充填したマイクロ波容器中で溶解し、2.5ml(5mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および93.2mg(0.081mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加える。反応溶液に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。
【0220】
反応混合物を室温に冷却し、水を加え、混合物を濾過する。濾液を酢酸エチルで3回抽出し、混ぜ合わせた有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、蒸発乾固させる。油状残留物をRP−HPLCによって精製し、2−アミノ−5−[1−(2−オキソ−2−ピペリジン−1−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドを帯黄色粉末として得る;ESI−MS[M+H] 314.2。
【0221】
5.2 110.07μl(0.558mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、70mg(0.223mmol)の2−アミノ−5−[1−(2−オキソ−2−ピペリジン−1−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドおよび58.51mg(0.268mmol)の6−(3,4−ジアミノフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを3mlのDMFに溶解した溶液に加え、混合物に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、水を加える。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、その後乾燥する。残留物をRP−HPLCによって精製する::6−(2−{2−アミノ−5−[1−(2−オキソ−2−ピペリジン−1−イルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−イル}−3H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン、黄色固体として;HPLC−MS[M+H] 512.2;
【0222】
【化22】

【0223】
同様の手順によって、
6−(2−{2−アミノ−5−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−イル}−3H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(「A29」)
が得られる。
【0224】
【化23】

【0225】
同様の手順によって、
2−{4−[6−アミノ−5−(5−フルオロ−6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]ピラゾール−1−イル}−1−ピペリジン−1−イルエタノン(「A30」)
が得られる。
【0226】
【化24】

【0227】
例6
3−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A31」)の製造[方法1、経路A]。
【化25】

6.1 スズキカップリング:
150mg(0.605mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび413mg(1.089mmol)の4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを、2.3mlのN,N−ジメチルホルムアミドに、窒素を充填したマイクロ波容器中で溶解し、1.7ml(3.4mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および35mg(0.030mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加える。反応溶液に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、濾過する。濾液を蒸発乾固させる。油状残留物をRP−HPLCによって精製し、4−[4−(6−アミノ−5−ホルミルピリジン−3−イル)ピラゾール−1−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得る;HPLC−MS[M+H] 372.2。
【0228】
6.2 ベンゾイミダゾールへの環化:
133.8μl(0.679mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、84.1mg(0.226mmol)の4−[4−(6−アミノ−5−ホルミルピリジン−3−イル)ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルおよび29.4mg(0.272mmol)のo−フェニレンジアミンを4mlのDMFに溶解した溶液に加え、混合物に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、蒸発乾固させる。残留物をRP−HPLCによって精製する:4−{4−[6−アミノ−5−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル;HPLC−MS[M+H] 460.2。
【0229】
6.3 BOC除去:
ジオキサン中の4M HCl5mlを、41.8mg(0.091mmol)の4−{4−[6−アミノ−5−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルに加え、混合物を室温で14時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、水を加える。水相を、2N NaOHを用いてpH>10に調整し、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸発させる。残留物を凍結乾燥し、3−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−5−(1−ピペリジン−4−イル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミンを遊離塩基として得る;HPLC−MS[M+H] 360.2;
【0230】
【化26】

【0231】
一般的に、Boc除去を、ジオキサン中の4N HClまたはTFA/DCMの標準的方法を用いて行い、物質を、遊離塩基として、またはHClもしくはTFA塩として単離する。
【0232】
以下の化合物を、同様にして得る。
【表16】

【0233】
【表17】

【0234】
【表18】

【0235】
【表19】

【0236】
【表20】

【0237】
【表21】

【0238】
【表22】

【0239】
【表23】

【0240】
【表24】

【0241】
【表25】

【0242】
【表26】

【0243】
【表27】

【0244】
【表28】

【0245】
【表29】

【0246】
【表30】

【0247】
【表31】

【0248】
【表32】

【0249】
【表33】

【0250】
【表34】

【0251】
【表35】

【0252】
【表36】

【0253】
例7
5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−6’−ピペラジン−1−イル−[3,3’]ビピリジニル−6−イルアミン(「A84」)の製造[方法1、経路B]
【化27】

7.1 ベンズイミダゾールへの環化:
3ml(15.222mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、1.355g(5.462mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび1.412g(6.554mmol)の4−メトキシフェニレン−1,2−ジアミン二塩酸塩を17mlのDMFに溶解した溶液に加え、混合物に、Biotage SmithSynthesizer中で、150℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、蒸発乾固させる。水を残留物に加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。混ぜ合わせた有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸発乾固させる。生成物を、次にMTBEから結晶させる:5−ヨード−3−(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−2−イルアミン;HPLC−MS[M+H] 367.0。
【0254】
7.2 スズキカップリング:
128.87mg(0.273mmol)の5−ヨード−3−(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−2−イルアミンおよび191.38mg(0.492mmol)の4−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルを、窒素を充填したマイクロ波容器中で2.5mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に懸濁させ、0.6ml(1.2mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および31.5mg(0.027mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加える。反応溶液に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、水/酢酸エチルで希釈し、濾過する。水相を酢酸エチルでさらに2回抽出し、混ぜ合わせた有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸発乾固させる。残留物をRP−HPLCによって精製し、4−[6’−アミノ−5’−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−[3,3’]ビピリジニル−6−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得る。
【0255】
7.3 BOC除去:
3mlのジオキサン中の4M HClを、4−[6’−アミノ−5’−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−[3,3’]ビピリジニル−6−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルに加え、混合物を室温で14時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、水を加える。水相を、2N NaOHを用いてpH>10に調整し、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸発させる。残留物をRP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−6’−ピペラジン−1−イル−[3,3’]ビピリジニル−6−イルアミンを遊離塩基として得る;HPLC−MS[M+H] 402.2。
【0256】
一般的に、Boc除去を、ジオキサン中の4N HClまたはTFA/DCMの標準的方法を用いて行い、物質を、遊離塩基、HClまたはTFA塩として単離する。
【0257】
以下の化合物を、同様にして得る。
【表37】

【0258】
【表38】

【0259】
【表39】

【0260】
【表40】

【0261】
【表41】

【0262】
【表42】

【0263】
【表43】

【0264】
【表44】

【0265】
【表45】

【0266】
【表46】

【0267】
【表47】

【0268】
【表48】

【0269】
【表49】

【0270】
例8
3−(1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A117」)の製造[方法2]
【化28】

8.1 ベンズイミダゾールへの環化:
50mg(0.230mmol)l)の2−アミノ−5−ブロモニコチン酸および27.6mg(0.253mmol)のピリジン−2,3−ジアミンを、451.5mg(5mmol)のポリリン酸に加え、混合物を160℃で4日間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、混合物を1N NaOHによってpH12に調整する。生成した沈殿物を吸引により濾別し、乾燥し、5−ブロモ−3−(1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリジン−2−イルアミンを得る。
【0271】
8.2 スズキカップリング:
58mg(0.200mmol)の5−ブロモ−3−(1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリジン−2−イルアミンおよび45.8mg(0.220mmol)の1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールを、窒素を充填したマイクロ波容器中で2mlのN,N−ジメチルホルムアミドに懸濁させ、0.57ml(1.142mmol)の2M炭酸ナトリウム溶液および23.1mg(0.020mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加える。反応溶液に、Biotage SmithSynthesizer中で、120℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を蒸発乾固させ、残留物をRP−HPLCによって精製し、3−(1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミンを得る;HPLC−MS[M+H] 292.2;
【0272】
【化29】

【0273】
同様の手順によって、化合物3−(6−メチル−7H−プリン−8−イル)−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A118」)が得られる。
【化30】

[スズキ条件:炭酸ナトリウムの代わりにリン酸三カリウム三水和物];HPLC−MS[M+H] 307.2;
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ[ppm]
【0274】
例9
2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−N−(3,4−ジフルオロベンジル)アセトアミド(「A119」)の製造
【化31】

9.1 [2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]酢酸エチルを、方法1、経路Bと同様にして製造する。
【0275】
9.2 51mg(0.121mmol)の[2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]酢酸エチルを、5mlのメタノールに溶解し、242μlの1N NaOH(0.242mmol)を加える。反応混合物を、マイクロ波ユニット中で100℃で10分間照射する。冷却後、それを蒸発乾固させ、1N HClによってpH4〜5に調整する。生成した沈殿物を吸引により濾別し、乾燥し、[2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]酢酸を得る;HPLC−MS[M+H] 395.0。
【0276】
9.3 44mgの[2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]酢酸(0.112mmol)を、2mlのDMFに溶解する。17.5mg(0.123mmol)の3,4−ジフルオロベンジルアミン、22.4mg(0.145mmol)のHOBt、23.5mg(0.123mmol)のEDCおよび12.9μl(0.117mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を室温で3日間撹拌し、水を次に加える。生成した沈殿物を吸引により濾別し、水で洗浄し、凍結乾燥し、以下のものを得る:2−[2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−N−(3,4−ジフルオロベンジル)アセトアミド;HPLC−MS[M+H] 520.0。
【0277】
9.4 標準的なスズキ条件下で(方法1、経路B)、2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−N−(3,4−ジフルオロベンジル)アセトアミドを得る。HPLC−MS[M+H] 474.2;
【0278】
【化32】

【0279】
例10
2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}アセトアミド(「A120」)の製造
【化33】

過剰のアンモニア溶液を、「A91」をメタノールに溶解した溶液に加える。反応混合物を室温で14時間撹拌する。溶媒を次に分離する。残留物を分取HPLCによって精製し、2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}アセトアミドトリフルオロ酢酸塩を得る;APCI−MS[M+H] 348;
【0280】
【化34】

【0281】
以下の化合物を、同様にして得る。
2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−N−メチルアセトアミドトリフルオロ酢酸塩(「A121」)
【化35】

【0282】
2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}−N−メチルアセトアミドトリフルオロ酢酸塩(「A122」)
【化36】

【0283】
例11
N−イソプロピル−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール5−カルボキサミド(「A123」)の製造
【化37】

70mgの「A51」(0.209mmol)を、10mlのDMFに溶解する。54μl(0.630mmol)のイソプロピルアミン、28mg(0.210mmol)のHOBt、81mg(0.420mmol)のEDCおよび69.2μl(0.630mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を80℃で2日間撹拌し、酢酸エチルを次に加える。有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、溶媒を分離する。残留物をRP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、N−イソプロピル−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキサミドトリフルオロ酢酸塩を得る;ESI−MS[M+H] 376.3;
【0284】
【化38】

【0285】
以下の化合物を、同様にして得る。
【表50】

【0286】
【表51】

【0287】
例12
N−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキサミド(「A128」)の製造
【化39】

12.1 511mg(1.877mmol)の4−ベンジルアミノ−3−ニトロ安息香酸を、20mlのDMFに溶解する。1.092g(5.640mmol)の2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩、254mg(1.88mmol)のHOBt、729mg(3.8mmol)のEDCおよび1.033ml(9.4mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を室温で3日間撹拌し、酢酸エチルを次に加える。有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、溶媒を除去する。
【0288】
12.2 4−ベンジルアミノ−N−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−3−ニトロベンズアミドを、標準的な条件の下で水素化し、粗生成物を、3,4−ジアミノ−N−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]ベンズアミド二塩酸塩として単離する。
【0289】
12.3 279μl(1.4mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、56mg(0.277mmol)の2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−カルバルデヒドおよび102mg(0.280mmol)の3,4−ジアミノ−N−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]ベンズアミド二塩酸塩を5mlのDMFに溶解した溶液に加え、生成した縣濁液を50℃で14時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却し、水を加え、混合物をジクロロメタン/イソプロパノールで3回抽出する。有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、溶媒を除去する。残留物を分取RP−HPLCによってさらに精製し、N−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−カルボキサミドトリフルオロ酢酸塩を黄色固体として得る;APCI−MS[M+H] 474.3;
【0290】
【化40】

【0291】
例13
N−ピペリジン−4−イル−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミド(「A129」)の製造
【化41】

2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボン酸を、方法1、経路Bによって製造し、アミドカップリングを、例14におけるように行う。これに続いて、方法1、経路Bに従うスズキカップリングおよびジオキサン/4N HClを用いたBoc除去を行い、N−ピペリジン−4−イル−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミド塩酸塩を得る;HPLC−MS[M+H] 417.2;
【0292】
【化42】

【0293】
例14
N−(2−メトキシエチル)−5−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(「A130」)の製造
【化43】

14.1 5−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]チオフェン−2−カルボン酸を、方法1、経路Bと同様にして製造し、粗生成物としてさらに反応させる。
【0294】
14.2 157mg(0.111mmol)の5−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]チオフェン−2−カルボン酸を、0.5mlのDMFに溶解する。10μl(0.114mmol)の2−メトキシエチルアミン、14.9mg(0.111mmol)のHOBt、21.2mg(0.111mmol)のEDCおよび24.3μl(0.221mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を室温で14時間撹拌し、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸発させる。残留物をRP−HPLCによって精製し、凍結乾燥し、N−(2−メトキシエチル)−5−[6−アミノ−5−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−3−イル]チオフェン−2−カルボキサミドを得る;HPLC−MS[M+H] 424.2。
【0295】
【化44】

【0296】
以下の化合物を、同様にして得る。
【表52】

【0297】
【表53】

【0298】
【表54】

【0299】
例15
N−(2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}エチル)−3,4−ジフルオロベンズアミド(「A135」)の製造
【化45】

480mg(2.649mmol)の4−(2−アミノエチル)−2−ニトロフェニルアミンを、30mlのジオキサンに溶解し、1.102ml(7.950mmol)のトリエチルアミンを加える。0.334ml(2.650mmol)の3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドを次に滴加し、混合物を室温で30分間撹拌する。酢酸エチルを反応混合物に加え、それを次に水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、蒸留して乾燥させ、N−[2−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エチル]−3,4−ジフルオロベンズアミドを得る;EI−MS[M] 321、それを、標準的な条件の下でさらに水素化し、N−[2−(3,4−ジアミノフェニル)エチル]−3,4−ジフルオロベンズアミドを得る;HPLC−MS[M+H] 292.2。
【0300】
ベンズイミダゾールへの環化を、方法1、経路Aの条件に従って行い、以下のものを得る。
N−(2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}エチル)−3,4−ジフルオロベンズアミドトリフルオロ酢酸塩;HPLC−MS[M+H] 474.3;
【0301】
【化46】

【0302】
例16
2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−4−イル}エタノール(「A136」)の製造
【化47】

2−(2−アミノ−3−ニトロフェニル)エタノールを、標準的な条件に従って水素化して、2−(2,3−ジアミノフェニル)エタノールを得る;HPLC−MS[M+H] 153.2。
【0303】
これを、方法1、経路Aに従ってベンズイミダゾールに環化し、2−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−4−イル}エタノールを得る;HPLC−MS[M+H] 335.2;
【0304】
【化48】

【0305】
例17
3−[5−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A137」)の製造
【化49】

17.1 2.5g(9.763mmol)の4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホニルクロリドを、100mlのDCMに溶解する。1.574ml(19.5mmol)のピリジンおよび1.086ml(9.760mmol)のN−メチルピペラジンを加え、混合物を室温で14時間撹拌する。反応混合物を水で3回洗浄し、有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、溶媒を除去し、1−(4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホニル)−4−メチルピペラジンを得る;EI−MS[M] 319。
【0306】
17.2 2.8g(8.756mmol)の1−(4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホニル)−4−メチルピペラジンを、10mlの1−ブタノールに溶解し、1.913ml(17.5mmol)のベンジルアミンを加える。反応混合物を還流下で14時間加熱する。冷却後、MTBEを加え、生成した沈殿物を吸引により濾別し、MTBEで洗浄し、真空において乾燥し、ベンジル−[4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)−2−ニトロフェニル]アミンを得る;HPLC−MS[M+H] 391.2。
【0307】
17.3 ベンジル−[4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)−2−ニトロフェニル]アミンを、標準的な条件の下で水素化して、4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミンを得、二塩酸塩として単離する;HPLC−MS[M+H] 271.2。
【0308】
17.4 ベンズイミダゾールへの環化を、方法1、経路Aに従って行い、3−[5−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−イルアミンを得る;ESI−MS[M+H];453.2[2M+H] 905.0;
【0309】
【化50】

【0310】
以下の化合物を、同様にして得る。
N−ジメチル−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−スルホンアミド(「A138」)
【化51】

【0311】
N−エチル−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−スルホンアミド(「A139」)
【化52】

【0312】
例18
N−(ピリジン−4−イルメチル)−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−5−フルオロ−3H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミド(「A140」)の製造
【化53】

18.1 2−アミノ−6−フルオロ−3−ニトロ安息香酸エチルを、標準的な条件の下で水素化して、2,3−ジアミノ−6−フルオロ安息香酸を得る;HPLC−MS[M+H] 199.2。
【0313】
18.2 ベンズイミダゾールへの環化を、方法1、経路Aに従って行い、2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−5−フルオロ−3H−ベンズイミダゾール−4−カルボン酸(「A141」)を得る;HPLC−MS[M+H] 381.2;
【0314】
【化54】

【0315】
18.3 700mg(1.840mmol)の「A141」を、ジオキサンに溶解し、7ml(7mmol)の1N NaOHを加える。反応混合物を60℃で20時間撹拌する。生成した固体を吸引により濾別し、水およびアセトンで洗浄し、RP−HPLCによってさらに精製し、2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−5−フルオロ−3H−ベンズイミダゾール−4−カルボン酸(「A142」)を得る;HPLC−MS[M+H] 353.2;
【0316】
【化55】

【0317】
18.4 35mg(0.099mmol)の「A142」を、3mlのDMFに溶解する。11.05μl(0.109mmol)の4−ピコリルアミン、14.8mg(0.109mmol)のHOBt、20.9mg(0.109mmol)のEDCおよび12μl(0.109mmol)のN−メチルモルホリンを加える。反応混合物を室温で6時間撹拌し、飽和NaHCO溶液を加える。生成した沈殿物を水で洗浄し、乾燥し、N−(ピリジン−4−イルメチル)−2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−5−フルオロ−3H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドを得る;HPLC−MS[M+H] 443.2;
【0318】
【化56】

【0319】
例19
1−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−1−フェニルエタノール(「A143」)の製造
【化57】

15ml(45mmol)の臭化メチルマグネシウム溶液(ジエチルエーテル中3M)を、13mlのジエチルエーテルで希釈する。2g(9.423mmol)の3,4−ジアミノフェノンを13mlのジエチルエーテルに溶解した溶液を、0℃でグリニャール溶液に滴加する。反応混合物を、15mlの飽和NaCl溶液を用いて0℃で反応停止し、ジエチルエーテルを加える。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出する。混ぜ合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去する。残留物をクロマトグラフィー分離し、1−(3,4−ジアミノ−フェニル)−1−フェニルエタノールを得る;HPLC−MS[M+H] 229.2。
【0320】
ベンズイミダゾールへの環化を、方法1、経路Aに従って行い、1−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−1−フェニルエタノールを得る;HPLC−MS[M+H] 411.2;
【0321】
【化58】

【0322】
例20
3−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−5−チオフェン−3−イルピリジン−2−イルアミン(「A144」)の製造
方法1、経路Aにおけるスズキカップリングの標準的な条件に対して代替的に、スズキカップリングをまた、トリフルオロボレート出発物質を用いて行うことができる。
【化59】

【0323】
20.1 スズキカップリング:
150mg(0.605mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび115mg(0.605mmol)の3−チオフェントリフルオロホウ酸カリウムを、窒素を充填した反応容器中で4mlのエタノールに懸濁させ、251μl(1.814mmol)のトリエチルアミンおよび22.1mg(0.030mmol)の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを加える。反応混合物を、80℃で14時間、窒素保護雰囲気下で撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、水/酢酸エチルで希釈し、濾別する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルでさらに2回抽出する。混ぜ合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去し、2−アミノ−5−チオフェン−3−イルピリジン−3−カルバルデヒドを得る;HPLC−MS[M+H] 205.2。
【0324】
20.2 ベンズイミダゾールへの環化:
147.9μl(0.750mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、81.1mg(0.250mmol)の2−アミノ−5−チオフェン−3−イルピリジン−3−カルバルデヒドおよび64.6mg(0.300mmol)の4−メトキシ−o−フェニレンジアミン二塩酸塩を1.5mlのDMFに溶解した溶液に加え、混合物に、Biotage SmithSynthesizer中で、150℃で30分間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。混ぜ合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去する。残留物をRP−HPLCによって精製する:3−(6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−5−チオフェン−3−イルピリジン−2−イルアミン塩酸塩;HPLC−MS[M+H] 323.2;
【0325】
【化60】

【0326】
例21
5−イミダゾール−1−イル−3−(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−2−イルアミン(「A145」)の製造
方法1、経路Aにおけるスズキカップリングの標準的な条件に対して代替的に、一連の合成をまた、銅触媒カップリングで開始することができる。
【化61】

【0327】
300mg(1.210mmol)の2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−カルバルデヒドおよび24mg(3.629mmol)のイミダゾールを、mlのDMSOに、窒素を充填したマイクロ波容器中で溶解する。51.6mg(0.363mmol)のトランス−N,N−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン、69.1mg(0.363mmol)のヨウ化銅、523.8mg(2.468mmol)のKPOおよび5mlのトルエンを加える。反応混合物に、150℃で2時間マイクロ波を照射する。反応混合物を室温に冷却し、濾別し、溶媒を除去する。水/酢酸エチルを残留物に加える。有機相を分離し、水相を酢酸エチルでさらに2回抽出する。混ぜ合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去し、2−アミノ−5−イミダゾール−1−イルピリジン−3−カルバルデヒドを得る;HPLC−MS[M+H] 189.2。
【0328】
ベンズイミダゾールへの環化を、例20と同様にして行い、5−イミダゾール−1−イル−3−(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ピリジン−2−イルアミンを得る;HPLC−MS[M+H] 307.2;
【0329】
【化62】

【0330】
例22
4−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}モルホリン−3−オン(「A146」)の製造
【化63】

22.1 7.963g(0.052mol)の1,3−ジアミノ−4−ニトロフェニルを、250mlのDCMに懸濁させ、8.394ml(0.104mol)のピリジンおよび1.271g(0.01mol)のDMAPを、窒素下で室温で加える。16.4g(0.104mol)の(2−クロロエトキシ)アセチルクロリドを、その後黄色の縣濁液にゆっくりと滴加する。反応が発熱的であるため、温度を、氷/水浴で冷却することにより20℃で保持する。混合物を室温で18時間撹拌する。
【0331】
バッチを約500mlのジクロロメタンで希釈し、750mlの水をその後加える。有機相を分離し、水相を、各々の回において500mlの酢酸エチルでさらに2回抽出する。有機相全体を、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、溶媒を、Rotavapor中で約200mlまで取り除く。ロータリーエバポレーター中での蒸発の間に生成した結晶を分離し、乾燥し、N−(3−アミノ−4−ニトロフェニル)−2−(2−クロロエトキシ)アセトアミドを得る、HPLC−MS[M+H] 274.1。
【0332】
22.2 5.2g(0.016mol)のN−(3−アミノ−4−ニトロフェニル)−2−(2−クロロエトキシ)アセトアミドを、250mlのアセトニトリルに懸濁させ、6.6g(0.02mol)の炭酸セシウムを加える。混合物を室温で18時間撹拌する。バッチを約250mlの水中に注ぎ、各々の回において200mlの酢酸エチルで3回抽出する。有機相全体を、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濾過し、溶媒を、Rotavapor中で約150mlの残留容積まで取り除く。ロータリーエバポレーター中での蒸発の間に沈殿した結晶を分離し、乾燥し、4−(3−アミノ−4−ニトロフェニル)モルホリン−3−オンを得る。HPLC−MS[M+H] 238.1。
【0333】
22.3 4−(3−アミノ−4−ニトロフェニル)モルホリン−3−オンを、標準的な条件の下で水素化し、4−(3,4−ジアミノフェニル)モルホリン−3−オンを得る;HPLC−MS[M+H] 208.1。
【0334】
22.4 320mg(1.544mmol)の4−(3,4−ジアミノフェニル)モルホリン−3−オンを、4mlのDMFに溶解し、382.99mg(1.544mmol)の2−アミノ−5−ヨード−ピリジン−3−カルバルデヒドおよび0.913ml(4.633mmol)の38〜40%亜硫酸水素ナトリウム溶液を、室温で加える。混合物を150℃で18時間撹拌する。バッチを室温に冷却し、20mlの水中に注ぎ、当該プロセスにおいて沈殿した沈殿物を分離し、約10mlの水で十分に洗浄する。沈殿物を約25mlのアセトニトリルで粉末にし、溶解していない結晶を分離し、乾燥し、4−[2−(2−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)−3H−ベンズイミダゾール−5−イル]モルホリン−3−オンを得る;HPLC−MS[M+H] 436.0。
【0335】
22.5 スズキカップリングを、経路1、方法Bと同様にして行い、4−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−3H−ベンズイミダゾール−5−イル}モルホリン−3−オンを得る;HPLC−MS[M+H] 390.2;
【0336】
【化64】

【0337】
例23
3−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−1,3−オキサジナン−2−オン(「A147」)の製造
【化65】

一連の合成を、例22と同様にして行い、3−{2−[2−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]−1H−ベンズイミダゾール−5−イル}−1,3−オキサジナン−2−オンを得る;HPLC−MS[M+H] 390.2;
【0338】
【化66】

【0339】
例24
以下の化合物を、方法1、経路Aと同様にして得る。
【表55】

【0340】
【表56】

【0341】
PDK1の阻害
本発明の化合物のIC50
【表57】

【0342】
【表58】

【0343】
【表59】

IC50: 1nM〜0.1μM=A
0.1μM〜10μM=B
>10μM=C
【0344】
以下の例は、医薬に関する:
例A:注射バイアル
100gの式Iで表される活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
【0345】
例B:座剤
20gの式Iで表される活性成分の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性成分を含む。
【0346】
例C:溶液
1gの式Iで表される活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を製造する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0347】
例D:軟膏
500mgの式Iで表される活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0348】
例E:錠剤
1kgの式Iで表される活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
【0349】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0350】
例G:カプセル
2kgの式Iで表される活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性成分を含むようにする。
【0351】
例H:アンプル
1kgの式Iで表される活性成分を60lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
は、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式の、または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、それは、非置換であるか、またはHal、A、OR、SR、NO、CN、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、O[C(RN(R、O[C(RHet、NRCOOA、NRCON(R、NRCOO[C(RN(R、NRCOO[C(RHet、NRCONR[C(RN(R、NRCONR[C(RHet、OCONR[C(RN(R、OCONR[C(RHet、[C(ROR、[C(RCONR[C(RN(R、CHO、COA、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換もしくは二置換されていてもよく、
Yは、互いに独立してNまたはCを示し、ここで最大2つのYが、Nを示してもよく、
、R、R、Rは、各々、互いに独立してH、Hal、A、OA、SR、NO、CN、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、S(O)Het、CO−Ar、CO−Het、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、C(R)(OR)Het、[C(ROR、[C(ROAr、[C(ROHet、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCOO[C(RAr、[C(RCOO[C(RHet、[C(RNRCO[C(RArまたは[C(RNRCO[C(RHetを示し、
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rは存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRは存在せず;
基R、R、R、Rから選択された、2つの隣接するラジカルは、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し、
は、AまたはHを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、O、S、NRによって、および/またはCH=CH基によって置き換えられていてもよく、
あるいは3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHetおよび/もしくはCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式の、または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、それは、非置換であるか、またはHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、[C(RN(R、[C(RHet、O[C(RN(R、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、CO−Het、CHO、COA、=S、=NH、=NAおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよく、
Hetは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和複素環を示し、それは、A、OA、OH、Halおよび/または=O(カルボニル酸素)によって単置換または二置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項2】
が、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、CN、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、[C(RORおよび/もしくは[C(RCONR[C(RN(Rによって単置換もしくは二置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示す、
請求項1に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項3】
が、ピラゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフラニル、イソキサゾリル、ベンゾチエニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジニル、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾール、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリルまたは1,3−ベンゾジオキソリルを示し、その各々が、非置換であるか、またはA、CHCOHet、(CHOH、(CHHet、CONH(CHHet、(CHNH、OA、Hal、(CHNHA、(CHNA、CHAr、CHCONA、(CHOA、(CHCOOH、(CHCOOA、CONH(CHNA、CONH、CONHA、CONA、CONH(CHOAおよび/もしくはCNによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1または2に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項4】
、R、R、Rが、各々、互いに独立して、H、Hal、A、OA、SON(R、S(O)Het、CO−Ar、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、[C(ROR、[C(ROAr、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHetまたは[C(RNRCO[C(RArを示し、
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rが存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRが存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルが、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示す、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項5】
、R、R、Rが、各々、互いに独立して、H、(CHOH、(CHOA、(CHHet、Hal、A、SONH、SONHA、SONA、(CHAr、CH(OH)Ar、(CHNHCO(CHAr、COAr、(CHCONH(CHAr、(CHCONH(CHHet、(CHCOOH、(CHCOOA、(CHCONH、(CHCONHA、(CHCONA、SOHet、(CHNH、(CHNHA、(CHNA、(CHOArまたはCONH(CHOAを示し、
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rが存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRが存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルが、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示す、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項6】
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子が、Fによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つのCH基が、Oによって置き換えられていてもよい、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項7】
Arが、非置換であるかまたはHalおよび/もしくはNRCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項8】
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示す、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項9】
Hetが、ピペリジニル、4,5−ジヒドロピリダジニル、ピリジル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、1,3−オキサジナニル、チエニル、ピラゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、イソキサゾリル、ベンゾチエニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジニル、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾール、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソリル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラゾリル、オキサゾリジニルまたはイソキサゾリジニルを示し、その各々が、非置換であるかまたはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換もしくは二置換されている、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項10】
Hetが、ピロリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルまたはイソキサゾリジニルを示し、その各々が、非置換であるかまたはAおよび/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項11】
が、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、CN、[C(RCOOR、[C(RCON(R、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHet、[C(RCO−Het、[C(RN(R、[C(RAr、[C(RHet、[C(RORおよび/もしくは[C(RCONR[C(RN(Rによって単置換もしくは二置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Yが、互いに独立してNまたはCを示し、ここで最大2つのYが、Nを示してもよく、
、R、R、Rが、各々、互いに独立して、H、Hal、A、OA、SON(R、S(O)Het、CO−Ar、[C(RAr、[C(RHet、C(R)(OR)Ar、[C(ROR、[C(ROAr、[C(RN(R、[C(RCON(R、[C(RCOOR、[C(RCONR[C(RAr、[C(RCONR[C(RHetまたは[C(RNRCO[C(RArを示し、
ただし、
a)1つのYがNを示す場合には、Rが存在せず;
b)2つのYがNを示す場合には、RおよびRが存在せず;
基R、R、R、Rから選択された2つの隣接するラジカルが、一緒にまたOCHO、OCHCHO、NHCONH、OCFO、CH=N−NHまたはNH−N=CHを示し、
が、AまたはHを示し、
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子が、Fによって置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つのCH基が、Oによって置き換えられていてもよく、
Arが、非置換であるか、またはHalおよび/もしくはNRCOAによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはA、COORおよび/もしくは=O(カルボニル酸素)によって単置換ないし三置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
HalがF、Cl、BrまたはIを示し、
mが0、1または2を示し、
nが0、1、2、3または4を示す、
請求項1〜0のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項12】
以下の群
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

から選択される、請求項1に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化2】

式中、Rは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化3】

式中、Y、R、R、R、Rは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
あるいは
b)式IV
【化4】

式中、Y、R、R、R、Rは、請求項1に示した意味を有し、XはBrまたはIを示す、
で表される化合物を、
式V
−L V
式中、Rは請求項1に示した意味を有し、Lはボロン酸またはボロン酸エステルラジカルを示す、
で表される化合物と反応させ、
かつ/あるいは
式Iで表される塩基または酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物、ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物、ならびに、随意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物の、腫瘍、腫瘍増殖、腫瘍転移および/またはAIDSの処置のための医薬の製造のための使用。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物の、
炎症性またはアレルギー性疾患、炎症性腸疾患、腟炎、乾癬、炎症性皮膚症、血管炎、脊椎関節症、強皮症、喘息、呼吸器のアレルギー性疾患、自己免疫疾患、移植片拒絶、アテローム性動脈硬化症、筋炎、神経障害、虚血性再灌流傷害、開放性頭部外傷、閉鎖性頭部外傷、神経変性疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、脳炎、髄膜炎、骨粗鬆症、痛風、肝炎、腎炎、胆嚢疾患、敗血症、サルコイドーシス、結膜炎、耳炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎またはベーチェットの症候群、細胞増殖性疾患または腫瘍性疾患、
肥満、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、高尿酸血症、高インスリン血症、悪液質、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症および高トリグリセリド血症、摂食障害、感染症、急性心不全、低血圧症、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、心筋症、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、再狭窄または血管狭窄症
の処置のための医薬の製造のための使用。

【公表番号】特表2012−532899(P2012−532899A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519900(P2012−519900)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003659
【国際公開番号】WO2011/006567
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】