説明

腫瘍の処置のための、インビトロでの部分的に成熟した樹状細胞の投与

【課題】腫瘍内における全体的な免疫抑制環境にも関わらず、上記腫瘍および腫瘍床における効率的な腫瘍抗原の取り込みおよびプロセシングを提供すること。
【解決手段】本発明は、腫瘍を有する個体に投与するために使用され得る部分的に成熟した樹状細胞を含む細胞集団を提供する。部分的に成熟した樹状細胞(樹状細胞成熟因子と約1時間〜約10時間以上接触された樹状細胞)は、腫瘍部位の領域にある腫瘍抗原を効率的に取り込んでプロセシングし、成熟を完了し、その後、処置した個体のリンパ節を移動し得る。一旦、リンパ節中に入ると、今や完全に成熟した抗原提示樹状細胞は、適切なサイトカイン(例えば、TNFαおよびIL−12)を分泌し、そしてT細胞と接触して、実質的な抗腫瘍免疫応答を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2002年12月6日に出願された、米国仮出願番号60/431,267(その全体が全ての目的で本明細書中に参考として援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
樹状細胞(DC)は、癌の能動的な免疫療法のための選り抜きのビヒクルとして認識されている。動物実験は、マウスを腫瘍形成から保護すること、および樹立された腫瘍を排除することの両方における、DCに基づく免疫療法の可能性を実証した。これらの成功は、少なくとも部分的に、小さい臨床試験において、ヒトにおいて繰り返された。小さい安全な試験または概念の証明の試験から、活性または効力が実証され得るより大きい試験への移行は、DC調製の労力集約的かつ厄介な性質によって、抑制されている(以下を参照のこと)。その結果、DCに基づく癌ワクチンの治療的な大きい可能性にもかかわらず、このような製品の開発に興味を持つ会社は少ない。
【0003】
DCの腫瘍内(IT)注射は、DCに基づく免疫療法の特定の形態である。注射の際に、DCは、アポトーシス腫瘍細胞または死んでいる腫瘍細胞由来の抗原を取り込み、そしてリンパ節への移動後に、この抗原をT細胞に提示する。実際に、動物モデルにおけるこのような処置の効力は、腫瘍におけるアポトーシスの程度に相関することが見出されており(Candidoら、Cancer Res.61:228−236,2001)、このことは、このアプローチが、DCの注射の前に、化学療法剤または放射線で腫瘍を処置することに完全に匹敵することを示唆する。さらに、いくつかのグループは、このような組み合わせ療法が、樹立された腫瘍に対して特に有効であることを実証した(Nikitinaら、Int.J.Cancer 94:825−833,2001;Tanakaら、Int.J.Cancer 101:265−269,2002;Tongら、Cancer Res.61:7530−7535,2001)。
【0004】
腫瘍細胞は、抗原の供給源であるので、IT注射は、腫瘍抗原の選択と製造との両方に対する必要性を見合わせる。なぜなら、これらの選択および製造は、現在、ほとんどのインビトロでのDCに基づく治療アプローチにおいて使用されているからである。腫瘍抗原の選択は、しばしば、いくつかの会社が専売の位置を有する必要性によって駆動され、そして現在までに同定された少しの腫瘍抗原しか、有意な臨床的利点を提供することがまだ示されていない。さらに、このような腫瘍抗原の使用は、しばしば、一価ワクチンを生じ、これは、腫瘍細胞が免疫において使用される抗原の発現をダウンレギュレーションする場合に、その有効性を失い得る。もちろん、良好な製造実施(GMP)のもとで必要とされる条件下で腫瘍抗原を製造することの必要性は、古典的なDCに基づく免疫方法にさらなる費用を加える。
【0005】
DCのIT注射は、この樹状細胞を、免疫抑制腫瘍環境に供する。腫瘍は、DCを不活性化させるサイトカイン、またはさほど効果がないTh2型の応答へとT細胞応答をゆがめる能力を有するサイトカインを産生することが公知である。いくつかのグループは、DCの遺伝的改変を使用して、これらの抑制効果を、特にサイトカインのインターロイキン12の産生(IL−12:Nishiokaら、Cancer Res.59:4035−4041,1999;Meleroら、Gene Therapy 6:1779−1784,1999)またはCD40リガンドの発現(Kikuchiら、Blood
96:91−99,2000)を介して、克服することを試みた。これらのグループによって記載される有望な結果は、DCのIT注射の、治療アプローチとしての利用可能性をさらに実証する。
【0006】
Triozziら(Cancer 89:2647−2654,2000)は、転移性黒色腫または乳癌に罹患する患者における、DCのIT注射を記載する。これらのグループは、黒色腫に罹患する4人の患者および乳腺癌に罹患する2人の患者における、腫瘍退縮を得た。この退縮する病巣の生検は、浸潤したT細胞を示した。これは、DCが、腫瘍細胞に対する免疫応答を実際に活性化させたことを示唆した。これらのデータ全体は、DCのIT注射がヒトにおいて実施可能であったことを実証し、そして有意な臨床的利点を提供し得たことを実証した。しかし、MHCクラスII抗原およびB7−2副刺激分子の、注射されたDCに対する有意なダウンレギュレーションが観察された。これらの重要な分子のダウンレギュレーションは、DCの免疫刺激可能性を減少させると予測されるが、本発明において提供されるように、これは、投与前のDCの部分的な成熟を介して回避され得る。
【0007】
DCは、末梢組織に未熟形態で存在し、抗原を取り込んでプロセシングする準備ができている。この未熟細胞が、GM−CSFおよびIL−4の存在下で単球から発生するDCによって最も近く模倣される。種々の刺激が、DCの成熟を開始し得、このプロセスの間に、抗原を効率的に取り込む能力をその細胞が失い、そしてそれらのT細胞刺激機能を得る。このプロセスは複雑であり、そして少なくともインビトロで、完了するために48時間かかり得る。成熟の1つの他の結果は、それらの細胞の移動特性の変化である。例えば、成熟は、いくつかのケモカインレセプター(CCR7が挙げられる)を誘導し、これは、この細胞を排出リンパ節のT細胞領域に方向付け、ここで、成熟DCは、T細胞を、クラスIおよびクラスIIのMHC分子の関連で、DC表面に提示された抗原に対して活性化する。
【0008】
寛容性の誘導は、DCによる(自己)抗原の交差提示に結び付けられており(Kurtsら、J.Exp.Med.186:239−245,1997)、そして現在一般になされている仮定は、未成熟DCが、免疫系に対して抗原を連続的に提示して、寛容性を維持するという立場を取り(Kurtsら、J.Exp.Med.184:923−930,1996)、インビボでのDCの成熟が、効率的な免疫刺激のために必要とされることを示唆する。DCの成熟は、免疫刺激DCまたは免疫抑制DCのいずれかを生じ得ることが、現在明らかになっている(Chakrabortyら、Clin.Immunol.94:88−98,1999)。いずれかの結果を生じる成熟刺激の正確な性質は解明されていないが、免疫刺激DCが、IL−12を産生し、そしてCD40リガンドを発現させることが、一般的に認容されている(Albertら、Nature Immunol.2:988−989,2001;Lanzavecchia,Haematologica 84 補遺 EHA 4:23−25,1999)。従って、部分的に成熟したDCは、特に、未成熟樹状細胞の成熟のために使用される刺激がCD40リガンドの発現およびIL−12の産生を生じることが既知である場合に、IT注射のために使用されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、抗腫瘍免疫応答を生成するための方法を提供し、この方法は、インビトロで部分的に成熟した樹状細胞を含む細胞集団を投与する工程を包含し、この部分的に成熟した樹状細胞が、腫瘍抗原を取り込む能力を保持しかつ個体に投与された後に免疫応答を誘導し得るようになる。この方法は、上記腫瘍内における全体的な免疫抑制環境にも関わらず、上記腫瘍および腫瘍床における効率的な腫瘍抗原の取り込みおよびプロセシングを提供する。この免疫抑制環境は、樹状細胞の免疫刺激特性に対して負に影響を与えることによって、樹状細胞の機能を妨害すると予期された。さらに、成熟樹状細胞は、腫瘍に投与されない。なぜなら、成熟樹状細胞は、抗原を効率的にはプロセシングしないからである。
【0010】
部分的に成熟した樹状細胞の投与は、既存の腫瘍中に直接され得る。さらに、投与は、腫瘍床、腫瘍中の組織領域および腫瘍周囲の組織領域中に、処置(すなわち、腫瘍の外科的除去もしくは切除)の前または後のいずれかに、化学療法、放射線治療、もしくはそれらの組み合わせなどの前にか、それらと同時にか、またはそれらの後に、なされ得る。部分的に成熟した樹状細胞はまた、腫瘍または周囲の腫瘍領域に直接流れるリンパ節もしくはリンパ領域へと投与され得る。さらに、部分的に成熟した樹状細胞は、腫瘍もしくは腫瘍床中、または腫瘍により罹患している器官もしくは腫瘍を含む器官に、血液もしくはリンパを直接送達する、循環脈管もしくはリンパ領域中に投与され得る。なおさらに、部分的に成熟した樹状細胞は、その細胞が腫瘍領域中に送達されるように、一般的には循環系またはリンパ系中に投与され得る。
【0011】
本発明において有用な樹状細胞またはその前駆体は、例えば、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、臍帯血、または末梢血などから得られ得る。さらに、樹状細胞は、処置されるべき個体から、または処置されるべき個体にHLAが適合している健常な個体から、得られ得る。樹状細胞またはその前駆体は、成熟因子と接触されて個体投与用の組成物へと処方される前に、低温保存され得る。
【0012】
本発明の方法において使用される樹状細胞は、インビトロで部分的に成熟される。樹状細胞成熟の誘導のために適切な因子としては、例えば、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)、インターフェロンγ(IFNγ)、リポ多糖(LPS)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、イミダゾキノリン化合物(例えば、イニダゾキノリン−4−アミン化合物(例えば、4−アミノ−2−エトキシメチル−α,α−ジメチル−1H−イミダゾール[4,5−c]キノリン−1−エタノール(R848と呼ばれる)、もしくは1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、およびそれらの誘導体(本明細書中にその全体が参考として援用されるWO00/47719)))、合成二本鎖ポリリボヌクレオチド(例えば、ポリ[I]:ポリ[C(12)U]など)、Toll様レセプター(TLR)(例えば、TLR−3、TLR−4、TLR−7および/もしくはTLR−9)のアゴニスト、樹状細胞(DC)の成熟を誘導することが公知である非メチル化CpGモチーフを含む核酸配列など、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0013】
本発明において使用されるBCGは、BCG全体、BCGの細胞壁構成成分、BCG由来リポアラビドマンナン、または他の任意のBCG構成成分を包含し得る。特定の実施形態において、上記BCGは、熱不活化BCGまたはホルマリン処理したBCGである。代表的には、BCGとIFNγとの組み合わせが、樹状細胞の部分成熟のために使用されるが、代替法として、BCGが、単独で使用され得る。BCGの有効量は、代表的には、組織培養培地1ml当たり約10cfu〜10cfuであり、IFNγの有効量は、組織培養培地1ml当たり約100単位〜約1000単位である。別の実施形態において、樹状細胞活性化因子は、イミダゾキノリンR898である。代表的には、組織培養培地1mlあたり約μg〜約50μg、より代表的には5μg〜10μgで有効である、有効量のR898(TLR−4アゴニストである)が、使用される。このイミダゾキノリンは、単独で使用され得るか、またはこれは、例えば、有効量のBCGおよび/もしくはIFNγと組合わされ得る。
【0014】
本発明はまた、腫瘍を有する個体に投与するための組成物を包含し、この組成物は、樹状細胞成熟因子の存在下でインビトロで部分的に成熟した樹状細胞を、生理学的に受容可能なキャリア、緩衝剤および/もしくは賦形剤と組み合わせて含む。本発明の組成物において使用される部分的に成熟した樹状細胞は、代表的には、副刺激(co−stimulatory)分子(例えば、CD80、CD86またはCD54であるが、これらに限定はされない)のアップレギュレートされた発現を有する。この細胞は、細胞表面マーカーであるCD83を発現しても発現しなくてもよいが、依然として、抗原を取り込んでプロセシングし得る。この組成物は、代表的には、約10個〜約1010個の部分的に成熟した樹状細胞を含むが、これより多い部分的に成熟した樹状細胞を含み得る。部分成熟の後、この樹状細胞は、個体へ投与する前に一定期間低温保存され得る。本発明の組成物を構成する部分的に成熟した樹状細胞を生成するために使用される細胞は、上記腫瘍を有する個体から単離され得るか、またはこの部分的に成熟した樹状細胞は、上記患者にHLAが適合している個体から単離された細胞から生成され得る。
本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
抗腫瘍免疫応答を生成するための方法であって、
腫瘍を有する個体に、インビトロで部分的に成熟した樹状細胞を含む細胞集団を投与する工程、
を包含し、該部分的に成熟した樹状細胞は、抗原を取り込んでプロセシングし、かつ該部分的に成熟した樹状細胞は、該個体に投与された後に抗腫瘍免疫応答を有することが可能にされる、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、上記樹状細胞は、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、臍帯血、または末梢血から得られる、方法。
(項目3)
項目2に記載の方法であって、上記樹状細胞は、処置されるべき個体から得られる、方法。
(項目4)
項目2に記載の方法であって、上記樹状細胞は、処置されるべき個体にHLAが適合している健常な個体から得られる、方法。
(項目5)
項目1に記載の方法であって、上記樹状細胞は、樹状細胞成熟因子の存在下で部分的に成熟される、方法。
(項目6)
項目5に記載の方法であって、上記樹状細胞成熟因子は、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)、インターフェロンγ(IFNγ)、リポ多糖(LPS)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、イミダゾキノリン化合物、合成二本鎖ポリリボヌクレオチド、Toll様レセプター(TLR)のアゴニスト、樹状細胞(DC)の成熟を誘導することが公知である非メチル化CpGモチーフを含む核酸配列、またはこれらの任意の組み合わせである、方法。
(項目7)
項目6に記載の方法であって、上記BCGは、BCG全体、BCGの細胞壁構成成分、BCG由来リポアラビドマンナン、またはBCG構成成分を包含する、方法。
(項目8)
項目6に記載の方法であって、上記BCGは、熱不活化BCGまたはホルマリン処理したBCGである、方法。
(項目9)
項目6に記載の方法であって、BCGの有効量は、組織培養培地1ml当たり約10cfu〜10cfuであり、IFNγの有効量は、組織培養培地1ml当たり約100単位〜約1000単位である、方法。
(項目10)
項目6に記載の方法であって、上記イミダゾキノリン化合物は、イニダゾキノリン−4−アミン化合物である、方法。
(項目11)
項目10に記載の方法であって、上記イミダゾキノリン−4−アミン化合物は、4−アミノ−2−エトキシメチル−α,α−ジメチル−1H−イミダゾール[4,5−c]キノリン−1−エタノール、もしくは1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−
c]キノリン−4−アミン、またはそれらの誘導体である、方法。
(項目12)
項目6に記載の方法であって、上記合成二本鎖ポリリボヌクレオチドは、ポリ[I]:ポリ[C(12)U]である、方法。
(項目13)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍に直接投与される、方法。
(項目14)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍の外科的な除去または切除の後に、腫瘍床へと投与される、方法。
(項目15)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍を取り囲む組織領域へと投与される、方法。
(項目16)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、腫瘍領域に直接流れるリンパ節へと投与される、方法。
(項目17)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍または腫瘍に罹患している器官へと血液もしくはリンパを送達する、循環脈管へと直接投与される、方法。
(項目18)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記細胞が上記腫瘍または腫瘍に罹患している器官へと送達されるように、上記循環系中に投与される、方法。
(項目19)
項目1に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、放射線治療、化学療法、またはそれらの組み合わせに対するアジュバントとして、投与される、方法。
(項目20)
項目19に記載の方法であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、放射線治療、化学療法、またはそれらの組み合わせの前にか、それらと同時にか、もしくはそれらの後に、投与される、方法。
(項目21)
インビボ投与のための組成物であって、樹状細胞成熟因子の存在下にてインビトロで部分的に成熟した樹状細胞を、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、組成物。
(項目22)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、副刺激分子であるCD80、CD86および/またはCD54のアップレギュレーションを示し、かつ該部分的に成熟した樹状細胞は、抗原を取り込んでプロセシングする能力を保持する、組成物。
(項目23)
項目21に記載の組成物であって、該組成物は、約10個〜約1010個の部分的に成熟した樹状細胞を含む、組成物。
(項目24)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、部分的成熟の後に低温保存されている、組成物。
(項目25)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、該部分的に成熟した樹状細胞が投与されるべき患者から単離されている、組成物。
(項目26)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、該部分的に成熟した樹状細胞が投与されるべき個体とHLAが適合している、組成物。
(項目27)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍に直接投与される、組成物。
(項目28)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍の外科的除去または除去の後に、腫瘍床中に投与される、組成物。
(項目29)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍を取り囲む組織領域に投与される、組成物。
(項目30)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、腫瘍領域に直接流れるリンパ節中に投与される、組成物。
(項目31)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記腫瘍、腫瘍床、または腫瘍に罹患している器官に血液もしくはリンパを送達する循環脈管に、直接投与される、組成物。
(項目32)
項目21に記載の組成物であって、上記部分的に成熟した樹状細胞は、上記細胞が上記腫瘍、腫瘍床、または腫瘍に罹患している器官に送達されるように、循環系中に送達される、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
樹状細胞は、種々のリンパ組織および非リンパ組織において見出される多様な抗原提示細胞集団である。(Liu、Cell 106:259〜62(2001);Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271〜96(1991)参照)。樹状細胞は、脾臓のリンパ樹状細胞、表皮のランゲルハンス島細胞、および血液循環中のベール細胞を包含する。集合的に、樹状細胞は、その形態、高レベルの表面MHC−クラスII発現、ならびにT細胞、B細胞、単球およびナチュラルキラー細胞上に発現される他の特定の表面マーカーが存在しないことに基づいて、1グループとして分類される。特に、単球由来樹状細胞(単球性樹状細胞とも呼ばれる)は、通常は、CD11c、CD80、CD86を発現し、HLA−DRであるが、CD14である。
【0016】
対照的に、単球性樹状細胞前駆体(代表的には、単球)は、通常、CD14である。単球性樹状細胞前駆体は、それらが存在する任意の組織(特に、リンパ組織(例えば、脾臓、骨髄、リンパ節および胸腺))から入手され得る。単球性樹状細胞前駆体はまた、循環系から単離され得る。末梢血は、容易に利用可能な単球性樹状細胞前駆体供給源である。臍帯血は、別の単球性樹状細胞前駆体供給源である。単球性樹状細胞前駆体は、免疫応答が惹起され得る種々の生物から単離され得る。このような生物としては、動物(例えば、ヒトおよび非ヒト動物(例えば、霊長類、哺乳動物(イヌ、ネコ、マウスおよびラットが挙げられる)、鳥(ニワトリが挙げられる)およびそれらのトランスジェニック種)が挙げられる)が挙げられる。
【0017】
特定の実施形態では、単球性樹状細胞前駆体および/または未成熟樹状細胞が、健常被験体から、または免疫刺激の必要な被験体(例えば、癌患者または細胞免疫刺激が有益であり得るかもしくは所望され得る他の被験体(すなわち、細菌感染もしくはウイルス感染を有する被験体など))から単離され得る。樹状細胞前駆体および/または未成熟樹状細胞はまた、部分的活性化のためおよび免疫刺激を必要とするHLAが一致した被験体への投与のために、HLAが一致した健常個体から入手され得る。
【0018】
(樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞)
種々の供給源(血液および骨髄が挙げられる)から樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞が富化された細胞集団を単離するための方法は、当該分野で公知である。例えば、樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞は、ヘパリン処理した血液を収集することによって、アフェレーシスもしくは白血球搬出によって、バフィーコートの調製、ロゼット形成、遠心分離、密度勾配遠心(例えば、Ficoll(登録商標)(例えば、FICOLL−PAQUE(登録商標))、PERCOLL(登録商標)(透析可能でないポリビニルピロリドン(PVP)でコーティングしたコロイド状シリカ粒子(15〜30nmの直径))、スクロースなどを用いる)、細胞の差次的溶解、濾過などによって、単離され得る。特定の実施形態では、白血球集団は、例えば、血液を被験体から収集し、線維素除去(defribrinating)して血小板を除去し、そして赤血球を溶解することによって調製され得る。樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞は、必要に応じて、例えば、PERCOLL(登録商標)勾配を通した遠心分離、抗体パンニングなどによって、単球性樹状細胞前駆体について富化され得る。
【0019】
樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞は必要に応じて、閉じた無菌の系において調製され得る。本明細書中で用いられる場合、用語「閉じた無菌の系」または「閉じた系」とは、無菌でない空気、周囲の空気、または循環する空気もしくは他の無菌でない条件への曝露が、最小にされるかまたは除去されている系をいう。樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞を単離するための閉じた系は、一般に、上が開いたチューブにおける密度勾配遠心分離、外気中での細胞移動、組織培養プレートまたはシールしていないフラスコ中での細胞培養などを排除する。代表的実施形態では、閉じた系は、無菌でない空気への曝露を伴うことなく、最初の収集容器から、シール可能な組織培養容器への樹状細胞前駆体および未成熟樹状細胞の無菌移動を可能にする。
【0020】
樹状細胞前駆体を単離するための別の報告された方法は、市販の処理されたプラスチック基材(例えば、ビーズまたは磁気ビーズ)を使用して、接着単球および他の「非樹状前駆体細胞」を選択的に除去することである(例えば、米国特許第5,994,126号および同第5,851,756号を参照のこと)。接着単球および非樹状細胞前駆体は廃棄され、一方、非接着細胞は、エキソビボ培養および成熟のために保持される。別の方法では、アフェレーシス細胞を、ブラスチック培養バッグ中で培養し、このバッグには、プラスチック(すなわち、ポリスチレンまたはスチレン)マイクロキャリアビーズが添加されており、バッグ表面積を増大させていた。細胞は、特定の細胞がこれらのビーズに接着するために十分な期間にわたって培養され、この非接着細胞は、バッグから洗浄された(Maffeiら,Transfusion 40:1419−1420(2000);WO
02/44338、本明細書中に参考として援用される)。
【0021】
特定の他の実施形態では、単球性樹状細胞前駆体は、WO 03/010292に開示されるように、単球結合基材への接着によって単離される。WO 03/010292の開示は、本明細書中に参考として援用される。例えば、白血球の集団(例えば、白血球搬出によって単離される)が、単球性樹状細胞前駆体が接着した基材と接触され得る。白血球の集団を基材と接触させた場合には、白血球集団中の単球性樹状細胞前駆体は、この基材に優先的に接着する。他の白血球(他の潜在的樹状細胞前駆体が挙げられる)は、この基材への低下した結合親和性を示し、それゆえ、単球性樹状細胞前駆体が基材の表面に優先的に富化されることを可能にする。
【0022】
適切な基材としては、例えば、大きな表面積対容積比を有する基材が挙げられる。この基材は、例えば、粒子状基材または繊維状基材であり得る。適切な粒子状基材としては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、ガラスでコーティングしたプラスチック粒子、ガラスでコーティングしたポリスチレン粒子、およびタンパク質吸収に適切な他のビーズが挙げられる。本発明における使用のために適切な繊維状基材としては、マイクロキャピラリーチューブおよび微絨毛膜などが挙げられる。粒子状基材または繊維状基材は通常、接着した単球性樹状細胞前駆体が、接着した細胞の生存率を実質的に低下させることなく溶出されることを可能にする。粒子状基材または繊維状基材は、実質的に非多孔性であって、単球性樹状細胞前駆体または樹状細胞がこれらの基材から溶出することを容易にし得る。「実質的に非多孔性の」基材は、基材において存在する穴の少なくとも大部分が、この基材において細胞を捕捉することを最小にするために、細胞よりも小さい、基材である。
【0023】
基材への単球性樹状細胞前駆体の接着は、結合培地の添加によって、必要に応じて増強され得る。適切な結合培地としては、個々の、または任意に組み合わせた、例えばサイトカイン(例えば、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン4(IL−4)、またはインターロイキン13(IL−13))、血漿、血清(例えば、ヒト血清(例えば、自己血清または同種異系血清))、精製されたタンパク質(例えば、血清アルブミン)、二価カチオン(例えば、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオン)およびこれらの基材への単球性樹状細胞前駆体の特異的接着を補助する他の分子またはこれらの基材への非単球性樹状細胞前駆体の接着を防止する他の分子を補充した、単球性樹状細胞前駆体培養培地(例えば、AIM−V(登録商標)、RPMI
1640、DMEM、X−VIVO 15(登録商標)など)が挙げられる。特定の実施形態では、血漿または血清は、熱不活化され得る。熱不活化血漿は、白血球に対して自己由来であっても異種であってもよい。
【0024】
その基材へ単球性樹状細胞前駆体が接着した後、その非接着性白血球を、その単球性樹状細胞前駆体/基材複合体から分離する。任意の適切な手段を使用して、その非接着性細胞をその複合体から分離し得る。例えば、その非接着性白血球とその複合体との混合物を沈澱させて、その非接着性白血球および培地をデカントさせ得る得かまたは廃液させ得る。あるいは、その混合物は、遠心分離され得、その非接着性白血球を含む上清は、ペレット化した複合体からデカントされ得るかまたは廃液され得る。
【0025】
別の方法において、単球性樹状細胞前駆体は、国際特許出願番号PCT/US03/19428(2003年6月19日出願、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、接線流濾過デバイスを使用することによって調製された白血球が富化された細胞集団から単離され得る。単球性樹状細胞前駆体が富化された細胞集団の単離のために有用な接線流濾過デバイスは、交差流(cross−flow)チャンバと、濾液チャンバと、これらのチャンバの間に配置されたフィルタと、を有するリムーバーユニット(remover unit)を備え得る。そのフィルタは、一方の側面である保持物表面(retentate surface)では交差流チャンバと、他方の側面である濾液表面(filtrate surface)では濾液チャンバと、流体連絡状態にある。その交差流チャンバは、白血球を含む血液構成要素のサンプルを、その交差流チャンバ中にかつそのフィルタの保持物表面に対して平行に導入するように適合された、入り口を有する。出口もまた、その交差流チャンバに設けられ、その交流チャンバは、そのフィルタの保持物表面とは反対側にあるチャンバの一部において中心に配置される。その接線流濾過デバイスにおいて使用するために適したフィルタは、代表的には、約1〜約10ミクロンの範囲の平均孔サイズを有する。そのフィルタは、約3〜約7ミクロンの平均孔サイズを有し得る。その交差流チャンバの入り口へのそのサンプルの所定の投入速度を提供するための手段およびそのフィルタを通りかつその濾液チャンバへ入る濾液の濾過速度を制御するための手段もまた、備えられ得る。その濾過速度制御手段は、その濾過速度を、そのフィルタの妨害がない濾過速度未満に制限する。血液構成要素を含むそのサンプルは、供給源デバイス(例えば、白血球搬出デバイスまたは白血球搬出デバイスから回収されたサンプルを含む容器)によって提供され得る。
【0026】
単球性樹状細胞前駆体およびその前駆体が富化された細胞集団は、分化ならびに部分的成熟および/または増殖のためにエキソビボで培養され得る。本明細書中で使用される場合、単離された未成熟樹状細胞、単離された樹状細胞前駆体、および単離された他の細胞とは、人の手によって、それらのネイティブな環境から離れて存在し、従って、天然の産物ではない、細胞を指す。単離された細胞は、精製形態において、半精製形態において、または非ネイティブの環境において、存在し得る。簡潔には、エキソビボ分化は、代表的には、1以上の分化因子(differentiation agent)の存在下で、単球性樹状細胞前駆体、または樹状細胞前駆体を有する細胞集団を培養する工程を包含する。適切な分化因子としては、例えば、細胞増殖因子(例えば、サイトカイン(例えば、(GM−CSF)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン13(IL−13)、および/またはこれらの組み合わせ))が挙げられ得る。特定の実施形態において、その単球性樹状細胞前駆体は、単球由来未成熟樹状細胞を形成するように分化される。
【0027】
その樹状細胞前駆体は、適切な培養条件において培養および分化され得る。適切な組織培養培地としては、AIM−V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X−VIVO 15(登録商標)などが挙げられるが、これらに限定されない。その組織培養培地は、血清、アミノ酸、ビタミン、サイトカイン(例えば、GM−CSFおよび/またはIL−4、IL−7、IL−13)、二価カチオンなどが補充されて、その細胞の分化が促進され得る。特定の実施形態において、その樹状細胞前駆体は、無血清培地中で培養され得る。その培養条件は、必要に応じて、あらゆる動物由来の生成物を除去し得る。樹状細胞培養培地とともに使用される代表的なサイトカイン組み合わせは、GM−CSFと、IL−4、IL−7、またはIL−13とうちの各々を約500単位/ml含む。樹状細胞前駆体は、未成熟樹状細胞を形成するように分化される場合、表現型が皮膚ランゲルハンス細胞に類似する。未成熟樹状細胞は、代表的には、CD14およびCD11cであり、低レベルのCD86およびCD83を発現し、かつ特定のエンドサイトーシスを介して可溶性抗原を捕捉し得る。
【0028】
樹状細胞成熟因子(dendritic cell maturation agent)としては、例えば、BCG、IFNγ、LPS、TNFα、イミダゾキノリン化合物(例えば、イミダゾキノリン−4−アミン化合物(例えば、4−アミノ−2−エトキシメチル−α,α−ジメチル−1H−イミダゾール[4,5−c]キノリン−1−エタノール(R848といわれる)または1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、およびそれらの誘導体(WO00/47719(その全体が本明細書中に参考として援用される))))、合成二本鎖ポリリボヌクレオチド(例えば、ポリ[I]:ポリ[C(12)U]など)、Toll様レセプター(TLR)(例えば、TLR−3、TLR−4、TLR−7および/またはTLR−9)のアゴニスト、DCの成熟を誘導することが公知の非メチル化CpGモチーフを含む核酸配列など、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。BCGの有効量は、代表的には、組織培養培地1mlあたり約10〜10cfuの範囲である。有効量のIFNγは、代表的には、組織培養培地1mlあたり約100〜1000Uの範囲である。カルメット−ゲラン杆菌(BCG)は、M.bovisの無毒性株である。本明細書中で使用される場合、BCGとは、BCG全体および細胞壁構成成分、BCG由来リポアラビドマンナン、ならびに他のBCG成分をいう。BCGは、必要に応じて、不活性化される(例えば、熱不活性化BCG、ホルマリン処理BCGなど)。有効量のイミダゾキノリン化合物(例えば、イミダゾキノリン−4−アミン化合物(例えば、4−アミノ−2−エトキシメチル−α,α−ジメチル−1H−イミダゾール[4,5−c]キノリン−1−エタノール(R848といわれる)))は、培養培地1mlあたり約1〜約50μgであり得、より好ましくは、培養培地1mlあたり5〜約10μgが使用される。そのイミダゾキノリン化合物は、単独で使用されてもよいし、例えば、BCGおよび/もしくはIFNγ、またはさらなるTLRアゴニストとともに組み合わされてもよい。
【0029】
その未成熟DCは、代表的には、約1時間〜約10時間にわたって、有効量の樹状細胞成熟因子(例えば、BCGおよびIFNγ)と接触される。代表的には、完全な成熟には、少なくとも24時間のインキュベーション期間が必要とされる。より代表的には、48〜約72時間のインキュベーション期間である。その未成熟樹状細胞は、適切な成熟培養条件において培養され得、かつ部分的に成熟され得る。適切な組織培養培地としては、AIM−V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X−VIVO 15(登録商標)などが挙げられる。その組織培養培地は、アミノ酸、ビタミン、サイトカイン(例えば、GM−CSFおよび/またはIL−15)、二価カチオンなどが補充されて、その細胞の成熟が促進され得る。代表的なサイトカイン組み合わせは、約500単位/mlのGM−CSFと100ng/mlのIL−15である。
【0030】
未成熟樹状細胞の部分的成熟は、樹状細胞について、当該分野で公知の方法によってモニターされ得る。細胞表面マーカーは、当該分野で通常のアッセイ(例えば、フローサイトメトリー、免疫組織化学など)において検出され得る。その細胞はまた、サイトカイン生成についてモニターされ得る(例えば、ELISA、別の免疫アッセイによって、またはオリゴヌクレオチドアレイの使用によって)。樹状細胞成熟因子(例えば、GM−CSFおよびIL−4)の存在下で、本発明に従って培養され部分的に成熟されたDCにおいて、リン酸化JAK2(janus活性化キナーゼ2)のレベルは、当該分野で周知の方法による成熟の開始を示すために測定され得る。細胞表面マーカーおよびサイトカインの発現の誘導、ならびにシグナル伝達分子(例えば、jak2)のリン酸化もまた、一旦細胞が個体に投与された後に樹状細胞が免疫応答の誘導について調整されているという指標として公知である。
【0031】
その未成熟樹状細胞は、その樹状細胞を部分的に成熟させる期間のみにわたって成熟に供される。完全な成熟DCは、抗原を取り込みかつ副刺激細胞表面分子および種々のサイトカインのアップレギュレートされた発現を提示する能力を失う。具体的には、成熟DCは、未成熟樹状細胞よりも高レベルのMHCクラスI抗原およびMHCクラスII抗原を発現し、成熟樹状細胞は、一般に、CD80、CD83、CD86、およびCD14であると同定される。より高いMHC発現は、DC表面上の抗原密度の増加をもたらす一方で、副刺激分子であるCD80およびCD86のアップレギュレーションは、副刺激分子の対応物(例えば、T細胞上のCD28)を介してT細胞活性化シグナルを強める。本発明において使用される場合、部分的に成熟した樹状細胞は、代表的には、樹状細胞成熟因子にいったん曝した後に、副刺激分子(CD80、CD86および/またはCD54が挙げられるが、これらに限定されない)の発現のアップレギュレーションを示す樹状細胞を含む。その細胞は、CD83を発現してもしなくてもよいが、抗原を取り込んでプロセシングする能力を維持する。さらに、その部分的に成熟した樹状細胞は、未成熟樹状細胞によって代表的には生成されない、TNF−α、IL−6、IL−10および/またはIL−12を生成し得る。
【0032】
さらに成熟した樹状細胞は、本発明については好ましくない。なぜなら、それらは、抗原を効率的に処理しないからである。さらに、先行技術の方法において使用される場合、未成熟樹状細胞は、腫瘍内に代表的に見いだされる免疫抑制性環境(未成熟樹状細胞による抗原の処理を妨げることが公知のサイトカインの実質的な濃度を含む)が原因で望ましくない。本発明において、未成熟樹状細胞の部分的成熟は、その細胞表面上のサイトカインレセプターをダウンレギュレートし(このことは、腫瘍内空間に存在するサイトカインの任意の免疫抑制性効果に対して感受性でも応答性でもなくする)、その腫瘍内空間内に存在する腫瘍抗原を効率的に処理し得る細胞を提供する。一旦その部分的に成熟した樹状細胞が例えば、TNF−αおよびIL−12の生成ならびにそのケモカインレセプターCCR7の発現によって測定されるように、腫瘍内で成熟されると、その細胞は、そのリンパ節に移動し得、そのリンパ節で、その細胞は、T細胞と接触して、その腫瘍抗原に対する未成熟応答をアップレギュレートする。
【0033】
本発明のなお別の局面に従って、DCは、例えば、成熟の前または患者に投与する前の部分的成熟の後のいずれかに、低温保存によって保存され得る。使用され得る低温保存剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i−エリスリトール、D−リビトール、D−マンニトール、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、塩化コリン、アミノ酸、メタノール、アセトアミド、グリセロールモノアセテート、および無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。制御されたゆっくりとした冷却速度は、重要であり得る。異なる低温保存剤および異なる細胞型は、代表的には、異なる最適な冷却速度を有する。水が氷になる融合相の熱は、代表的には、最小限であるべきである。その冷却手順は、例えば、プログラム可能な凍結デバイスまたはメタノール浴手順の使用によって行われ得る。プログラム可能な凍結装置は、最適な冷却速度の決定を可能にし、標準的な再現可能な冷却を容易にする。プログラム可能な制御された速度の冷凍庫(例えば、CryomedまたはPlanar)は、その凍結レジメンを望ましい冷却速度曲線にすることを可能にする。
【0034】
完全な凍結後、単球前駆細胞、未成熟DCまたは部分的に成熟したDCを、長期低温保存容器に迅速に移し得る。代表的な実施形態において、サンプルを液体窒素(−196℃)またはその蒸気(−165℃)で低温保存し得る。造血幹細胞(特に、骨髄または末梢血に由来する)の操作、凍結保存、および長期保存についての考慮事項および手順を、本発明の細胞に主に適用可能である。このような考察は、例えば、本明細書中において参考として援用される以下の参考文献に見出され得る:Taylorら、Cryobiology 27:269−78(1990);Gorin,Clinics in Haematology 15:19−48(1986);Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow,Jul.22−26,1968,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107−186。
【0035】
凍結細胞は、好ましくは、迅速に(例えば、37℃〜41℃に維持された水浴中)解凍され、解凍の際にすぐに冷蔵される。解凍の際に細胞が凝集することを妨げるために、細胞を処理することが望ましくあり得る。凝集を妨げるために、DNase(Spitzerら、Cancer 45:3075−85(1980))、低分子量デキストランおよびシトレート、ヒドロキシエチルデンプン(Stiffら、Cryobiology 20:17−24(1983))などの凍結前および/後の添加を含むがこれらに限定されない、種々の手順が使用され得る。凍結保存剤は、ヒトにおいて毒性である場合、解凍された部分的に成熟のDCの治療的使用の前に除去されるべきである。凍結保存剤を除去するための1つの方法は、微々たる濃度に希釈することによる。一旦、凍結された部分的に成熟のDCが解凍および回収されると、これらは、凍結されていない部分的に成熟したDCに関して、本明細書中に記載されるように投与され得る。
【0036】
(部分的に成熟した樹状細胞のインビボ投与)
部分的に成熟した樹状細胞、またはこのような細胞を富化した細胞集団およびこのような細胞を含む細胞集団の、腫瘍を有する被験体への投与のための方法が提供される。特定の実施形態において、このような方法は、樹状細胞前駆体または未成熟樹状細胞を得ること、樹状細胞成熟因子(例えば、BCGおよびIFNγ)、または任意の他の成熟因子(例えば、上に列挙されるもの)の存在下でこれらの細胞を分化および部分的に成熟させることによって、実施される。部分的に成熟した樹状細胞を、当業者に周知の方法および組成物を使用して、生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤、緩衝液および/または希釈剤を用いて処方し得る。部分的に成熟した樹状細胞を、免疫刺激の必要な被験体に直接投与し得る。代表的に、約10〜約1010細胞を、薬学的に受容可能なキャリアに懸濁する。これらの細胞が腫瘍抗原にアクセスすることを確実にするために、これらの細胞を、腫瘍に直接、あるいは、腫瘍または腫瘍床の近くの領域、腫瘍または腫瘍床に隣接している領域、または腫瘍または腫瘍床と循環もしくはリンパで接触している領域のいずれかに、注入する。
【0037】
例えば、制限としてではなく、細胞は、腫瘍に直接、腫瘍の外科的除去または切除に続いて腫瘍床内に、腫瘍の周りに、腫瘍と直接接触する排液(draining)リンパ節内に、腫瘍または腫瘍に罹患した器官内に導くかもしくは栄養を供給する血管またはリンパ管(例えば、門脈または肺静脈もしくは肺動脈)内などに投与され得る。本発明の部分的に成熟した樹状細胞の投与は、腫瘍に対する他の処置(例えば、化学療法または放射線療法)と同時または後のいずれかであり得る。さらに、本発明の部分的に成熟した樹状細胞を、別の薬剤と同時投与し得、この薬剤は、樹状細胞の成熟ならびに/あるいは腫瘍内または腫瘍近くの領域もしくは腫瘍に隣接する領域での抗原の処理に対するアジュバントとして作用する。さらに、樹状細胞はまた、これらの細胞が腫瘍抗原と接触するために腫瘍または腫瘍床内に徐放されるように、腫瘍または腫瘍床の内または周りの領域内に移植するための徐放マトリクス内に処方され得るかまたは混合され得る。
【0038】
本発明の部分的に成熟した樹状細胞は、処方および投与の様式に適切な任意の手段によって投与され得る。例えば、細胞は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得、シリンジ、カテーテル、カニューレなどを用いて投与され得る。上記のように、細胞を、徐放マトリクス中に処方し得る。この様式で投与される場合、処方物は、使用されるマトリクスに適切な手段によって投与され得る。本発明に適用可能な他の投与の方法および様式は、当業者に周知である。
【0039】
本発明の組成物は、個体の処置において単独で使用され得る。さらに、これらの組成物は、腫瘍を処置するための任意の他の方法と組み合わせて使用され得る。例えば、本発明の方法は、腫瘍の外科的切除、化学療法(細胞傷害性薬物、アポトーシス薬剤、抗体など)、放射線療法、寒冷療法、近接照射療法、免疫療法(抗原特異的成熟活性化樹状細胞、NK細胞、腫瘍抗原に特異的な抗体などの投与)などと組み合わせて使用され得る。これらの方法の任意の全てがまた、任意の組み合わせで使用され得る。併用処置は、同時または連続的であり得、処置する医師によって決定されるような任意の順序で投与され得る。
【0040】
別の実施形態において、樹状細胞およびレシピエント被験体は、同じMHC(HLA)ハロタイプを有する。被験体のHLAハロタイプを決定する方法は、当該分野で公知である。関連する実施形態において、部分的に成熟した樹状細胞は、レシピエント被験体と同種異系である。同種異系の細胞は、代表的に、少なくとも1つのMHC対立遺伝子が一致する(例えば、少なくとも1つであるが全てではないMHC対立遺伝子を共有する)。あまり代表的でない実施形態において、樹状細胞およびレシピエント被験体は、互いに関して全て同種異系であるが、全てが、少なくとも1つのMHC対立遺伝子を共有して有する。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、本発明の種々の局面の例示のみとして提供され、いかなる様にも本発明を制限するように解釈されるべきでない。
【0042】
(実施例1)
本実施例において、単球樹状細胞前駆体(接線流濾過によって単離された)を、フラスコまたは細胞バッグのいずれかで2%ヒト血清アルブミン(HSA)および500U/mlのGM−CSFを補充したX−VIVO15(登録商標)中で、10単球/mlの濃度で培養した。5日後、フラスコおよびバッグからのDCを、未処理(iDC)のままにするか、またはBCG(1:400希釈)およびインターフェロンγ(IFNγ、500U/ml)(pmDC)の存在下で4時間部分的に成熟させた。細胞を収集し、洗浄し、そして48時間、等数の蛍光標識照射PKH67−A549腫瘍細胞と混合した。インキュベーション後、細胞を洗浄し、CD11cに特異的なフィコリトリン(PE)標識モノクローナル抗体で染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。表1に提供された値は、標識されたPKH67抗原に対しても陽性であったDCゲート(gate)内のCD11c細胞の割合を表す(MFI=平均蛍光強度)。コントロールは、分析の直前にPKH67−A549細胞と混合されたDCを含んだ。
【0043】
【表1】


これらのデータは、部分的に成熟したDCが、抗原を取り込む細胞の割合または腫瘍細胞によって獲得される物質の量のいずれかによって測定されるように、このアッセイにおける抗原取り込みにおいて、未成熟樹状細胞よりも良かったことを実証する。
【0044】
別の実施例において、白血球分離を、腫瘍増殖の除去のための外科手術に続いて、患者に行った。単球を接線流濾過による白血球分離生成物から精製した。精製した単球を上記のように分化させ、そして熱で殺傷しホルマリン固定したBCG(5×10cfu/ml)IFNγ(500U/ml)に暴露することによって部分的に成熟させた。部分的に成熟した樹状細胞を、投与のために処方し、そして超音波のガイドのもと、個体の腫瘍床内に注入した。個体から単離された樹状細胞が、インビトロで測定した場合、腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞応答を誘導し得ることを見出した。さらに、腫瘍再発の時間が妨げられるかまたは実質的に遅延されたことが見出された。
【0045】
(実施例2)
本実施例において、ヒト結腸癌細胞をマウス内に移植し、周知の方法で腫瘍異種移植片を形成した。腫瘍が確立された後、動物を複数の群に分け、そして各郡の動物に、偽薬、未熟樹状細胞または部分的成熟樹状細胞のいずれかを、腫瘍内に投与した。その後、腫瘍サイズを測定し、各群について比較した。
【0046】
簡潔には、ヒトCT26結腸癌腫腫瘍を、雌Balb/cマウスにおいて、100,000個の腫瘍細胞を右側腹において皮膚の下に注射することによって、確立した。15日目に処置を開始し、この時点で、全てのマウスは、10mmと45mmとの間の範囲の腫瘍サイズを有する、明らかな腫瘍を有した。
【0047】
樹状細胞を、標準的プロトコールに従い、雌Balb/cマウスの大腿骨髄から調製した。簡潔には、赤血球溶解後の骨髄細胞を、マウスGM−CSF(200U/ml)およびIL−4(200U/ml)と共に、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640中で、3日目および7日目にサイトカイン含有の新しい培地を添加して、13〜14日間インキュベートした。部分的に成熟した樹状細胞を得るために、400倍希釈の不活性化Bacillus Calmette−Guerin(BCG)(不活性化前に0.5〜1×10コロニー形成単位/mlの活性を有した)および500単位/mlのマウスインターフェロンγ(IFN)に、細胞を曝露した。細胞を8時間インキュベートし、次いで、14.5%メトリザミドの上に重ね、そして4℃、1750rpmで15分間遠心分離した。境界面を収集し、そしてこの細胞を洗浄し、そして液体窒素保存中で、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で生存可能に凍結した。37℃で融解後、細胞を2回洗浄し、そして100万細胞/50μlの濃度で再懸濁した。
【0048】
腫瘍を有するマウスを、15日目および17日目に、腹腔内にシクロホスファミド(50mg/kg)で処置した。腫瘍内の樹状細胞注射(50μlのリン酸緩衝化生理食塩水の擬似注射、未熟DCまたは8時間成熟させたDCのいずれか)を、16日目、17日目、18日目および21日目に行った。腫瘍増殖を、60日間隔日で測定した。
【0049】
リン酸緩衝化生理食塩水で腫瘍内処置した群において、4匹のマウス全てが、40日目以前に、100mmを超える腫瘍を有した。対照的に、未熟DCで腫瘍内処置したマウスは腫瘍増殖を減少し、4匹のマウスのうち2匹は、40日目に100mmより小さい腫瘍を有した。部分的成熟DCで処置した4匹のマウスのうち3匹は、40日目に100mmより小さい腫瘍を有し、そしてこれらの動物のうち2匹は、50日目に明らかな腫瘍を有さなかった。
【0050】
(実施例3)
本実施例において、ヒト結腸癌細胞を、マウス内に注射し、周知の方法で腫瘍異種移植片を作製した。腫瘍細胞の第1の注射の後、動物に腫瘍細胞の第2の用量を投与した。15日後、動物を複数の群に分け、そして各群の動物に、偽薬、未熟樹状細胞または部分的成熟樹状細胞のいずれかを、腫瘍内に投与した。その後、腫瘍サイズを測定し、各群について比較した。
【0051】
簡潔には、ヒトCT26結腸癌腫腫瘍を、雌Balb/cマウスにおいて、100,000個の腫瘍細胞を右側腹において皮膚の下に注射し、3日目に、100,000個の腫瘍細胞を左側腹において注射することによって確立した。15日目に処置を開始し、この時点で、全てのマウスは、10mmと45mmとの間の範囲の腫瘍サイズを有する、明らかな右側腹腫瘍を有した。
【0052】
樹状細胞を、標準的プロトコールに従い、雌Balb/cマウスの大腿骨髄から調製した。簡潔には、赤血球溶解後の骨髄細胞を、マウスGM−CSF(200U/ml)およびIL−4(200U/ml)と共に、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640中で、3日目および7日目にサイトカイン含有の新しい培地を添加して、13〜14日間インキュベートした。部分的に成熟した樹状細胞を得るために、400倍希釈の不活性化Bacillus Calmette−Guerin(BCG)(不活性化前に0.5×10〜1×10コロニー形成単位/mlの活性を有した)および500単位/mlのマウスインターフェロンγ(IFN)に、細胞を曝露した。次いで、細胞を、14.5%メトリザミドの上に重ね、そして4℃、1750rpmで15分間遠心分離した。境界面を収集し、そしてこの細胞を洗浄し、そして液体窒素保存中で、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で生存可能に凍結した。37℃で融解後、細胞を2回洗浄し、そして100万細胞/50μlの濃度で際懸濁した。
【0053】
腫瘍を有するマウスを、15日目および17日目に、腹腔内にシクロホスファミド(50mg/kg)で処置した。右側腹腫瘍内の樹状細胞注射(50μlのリン酸緩衝化生理食塩水の擬似注射、未熟DC、8時間成熟させたDC、または24時間成熟させたDCのいずれか)を、16日目、17日目、18日目および21日目に行った。腫瘍増殖を、60日間隔日で測定した。
【0054】
リン酸緩衝化生理食塩水で腫瘍内処置した群において、5匹のマウス全てが、35日目より前に、100mmを超える右側腹腫瘍を有し、そして5匹中3匹の動物は、40日目またはそれ以前に、>100mmの左側腹腫瘍を有した。対照的に、未熟DCで(右側のみ)腫瘍内処置したマウスは腫瘍増殖を減少した:1匹のマウスは60日目に両側とも明らかな腫瘍を有さず、そして5匹のマウスのうち4匹は、40日目に、両側において<100mmの腫瘍を有した。8時間部分的に成熟させたDCで処置した5匹のマウスのうち3匹は、50日目までに完全に両腫瘍を消滅させた。24時間部分的に成熟させたDCで処置した群において、腫瘍増殖は、さらにそれ以上に減少した。50日目までに、5匹のマウスのうちの3匹は、両側の腫瘍を完全に消滅させ、1匹のマウスは左側腹腫瘍を完全に消滅させ、そして右側腹腫瘍を部分的に制御し(40日目に<100mm)、そして1匹の動物は、部分的に両腫瘍を制御した(40日目に両側で<50mm)。
【0055】
(実施例4)
本実施例において、ヒト腫瘍細胞を使用し、マウスにおいて異種移植腫瘍を上述のように形成した。分化した未熟樹状細胞を、細胞を、BGCおよびIFNγと併用した樹状細胞成熟因子であるイミダゾキノリンR898またはR898に対して曝露することにより、部分的に成熟させた。部分的成熟樹状細胞、未熟樹状細胞および偽薬を、腫瘍内に投与し、そして各群における腫瘍のサイズを比較した。
【0056】
簡潔には、腫瘍を、マウスにおいて実施例2のように確立した。樹状細胞を、実施例2および実施例3のように調製し、しかし、細胞の部分的成熟を、実施例2および実施例3に示した濃度で、5μg/mlの免疫応答修飾物質(樹状細胞成熟因子)R848、またはBCGおよびインターフェロンγと合わせた5μg/mlの免疫応答修飾物質R848に、細胞を8時間曝露することにより、達成した。
【0057】
処理計画は、実施例3と同一であった。腫瘍内にリン酸緩衝化生理食塩水を注射したマウスのうち、腫瘍増殖を制御したものは存在しなかった。R848単独で部分的に成熟させたDCで処理した5匹のマウスのうち1匹は、腫瘍増殖を完全に消滅させ、R848とBCGおよびIFNγとで部分的に成熟させたDCで腹腔内処理した5匹のマウスのうち3匹も、同様であった。その腫瘍を完全に消滅させた実施例3および実施例4からの9匹のマウスを、腫瘍消滅から約30日後、右側腹において100万個の腫瘍細胞でチャレンジした。検出可能な腫瘍増殖を示した動物はなく、このことは、CT26腫瘍細胞に対する免疫保護を実証した。
【0058】
(実施例5)
本実施例において、上記実施例において調製された樹状細胞を、表面分子の発現について特徴付けた。簡潔には、実験2〜4のように調製されたマウス樹状細胞を、蛍光抗体染色およびフローサイトメトリ分析後に、細胞表面分子の発現について特徴付けた。この結果は、表現型表面マーカーについてポジティブな細胞の百分率、および特定の表面マーカーについての平均蛍光強度として、表2および表3において表す。
【0059】
(表2)
【0060】
【表2】


(表3)
【0061】
【表3】


(実施例7)
固形腫瘍を有すると診断された患者を、化学療法、放射線治療、寒冷療法、または近接照射療法で処置し、その後、部分的成熟樹状細胞を腫瘍内に投与する。処置後、腫瘍は消滅し、そして患者は腫瘍再発から保護される。
【0062】
上記実施例は、例示のために提供されるが、本願発明の範囲を限定するために提供されない。本発明の他の改変は、当業者にとって容易に明らかとなり、添付された特許請求の範囲によって包含される。本明細書中に挙げられた全ての刊行物、特許、特許出願および他の参考文献はまた、本明細書中でその全体が参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載された発明

【公開番号】特開2011−246493(P2011−246493A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−196385(P2011−196385)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【分割の表示】特願2004−559310(P2004−559310)の分割
【原出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(500513619)ノースウエスト バイオセラピューティクス,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】