説明

腫瘍の治療のためのカテコールブタンの投与のための方法と組成物

本発明は、腫瘍及び腫瘍等のその他の増殖性疾患の治療用のキット、方法及び組成物を提供する。ここで前記組成物は、薬学的許容可能な担体又は賦形剤中に、例えばNDGA化合物等を含む、少なくとも1つのカテコールブタンの実質的に純粋な調製物を含む。NDGA又はその誘導体等の前記カテコールブタンは、治療を必要とする単数又は複数の対象体に対して、その疾患組織への直接注射や疾患組織への局所投与以外の経路で投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、そのそれらすべての内容をここに参考文献として合体させる、2003年5月20日出願の「腫瘍の治療のためのNDGA誘導体の投与のための方法と組成物」と称する米国仮出願第60/472,188号、2003年5月20日出願の「腫瘍の治療のためのNDGA誘導体の投与のための方法と組成物」と称する米国仮出願第60/472,299号、2003年5月20日出願の「神経変性疾患、障害及び状態の治療のための方法と組成物」と称する米国仮出願第60/472,008号、2003年5月20日出願の「神経変性疾患、障害及び状態の治療のためのNDGA組成物と方法」と称する米国仮出願第60/472,144号、2003年5月20日出願の「高血圧症、糖尿病及び肥満治療のためのNDGA誘導体」と称する米国仮出願第60/472,282号、の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、悪性、前悪性及び良性腫瘍の治療のための対象体に対する投与のためのカテコールブタンを含有する、キット、方法及び組成物に関する。本発明は、更に、前述の組成物の製造方法にも関する。いくつかの治療法において、単数又は複数のカテコールブタンが、疾患組織に対する直接注射以外、及び、疾患組織への局所的投与以外の投与経路で対象体に投与される。本発明は、更に、そのような投与形態及び治療に好適に製剤された単数又は複数のカテコールブタンを含む組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ノルジヒドロゲアヤレチック酸(“NDGA”)を含むカテコールブタン、及びその誘導体は、ある種の実験動物において腫瘍の成長を抑制するために使用されてきた。例えば、米国特許5,008,294でジョーダン(Jordan)他は、胸腺欠損ヌードNCrマウスにおいて乳癌MX−1異種移植片に対して単回投与のNDGAを使用することを記載している。1つの実験において、前記マウスの腋窩領域への14mgフラグメントのヒト乳癌の皮下移植後、1日に、その腫瘍にNDGAを投与した。ジョーダン(Jordan)他は、更に、胸腺欠損マウスのヒト乳腺癌の移植の23日後のNDGAの局所投与について記載している。それらの実験において腫瘍の成長の抑制の証拠が観察されたが、その抗腫瘍作用が望ましいものであったか否かは不明である。
【0004】
米国特許6,417,234号及び6,214,874号においてフアン(Huang)他は、テトラ−O−メチルNDGA又はMNと命名されたNDGA誘導体と、GNと命名された別のNDGA誘導体とを別々又はいっしょに、HPV−16形質転換不死化マウス上皮細胞(C3)を移植されたマウスに腫瘍内注射することについて記載している。フアン(Huang)他は、更に、これらNGDA誘導体による腫瘍成長の抑制のいくつかの証拠も見出している。これらのNDGA誘導体等のような組成物がヒトなどの他の動物に対して安全に投与可能であるか否かについては知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NDGA誘導体であるMN等のある種のカテコールブタンは、ジメチルスルホキシド(“DMSO”)に溶解可能であることが判っている疎水性化合物である。DMSO中のMNの化合物を腫瘍に注入したとき、その組成物は、その腫瘍組織の全部ではないにしても、大半が浸透するようであった。その1つの可能な説明は、その組成物の疎水性によってその浸透が制限されるということである。それらの有効性を改善し、その有用性を押し広げながら、抗腫瘍活性などの、それらの生物活性を維持するようにこれらの疎水性化合物の安全な全身投与のための薬剤が発見されることが望ましい。又、前記NDGA化合物を含むカテコールブタンが、疾患組織に対する直接注入や局所投与以外の投与経路によって安全に投与可能となることが望ましい。
【0006】
更に、薬剤の疾患組織への腫瘍内注射又は直接注射は理想的な治療措置ではないかもしれない。患者は、時々、注射部位に不快感をおぼえる。更に、多くの腫瘍は、治療剤の腫瘍内注射に対して適合せず、多くは、治療剤の局所投与に対して応答しないかもしれない。安全で疾患又は症状に適したものでありながら、そのような化合物の生物活性を維持するような、これらのカテコールブタンの異なった投与経路が発見されることが望ましい。
【0007】
更に、NDGA及びNDGA誘導体(集合的に、「NDGA化合物」)を含むカテコールブタン又はそれらを含有する製剤が人において正常組織に悪影響を与えずに腫瘍の成長又は腫瘍の成長の進行を差別的に抑制することが可能であるか否かは知られていない。前記NDGA化合物を含む、カテコールブタンが、正常組織に対する悪影響無く、製剤、及び投与可能となることが望まれる。
【0008】
更に、ヒトの悪性腫瘍の多くは、原発性の悪性腫瘍が局所的に形成されるのに対して、原発腫瘍から生じるその二次腫瘍は他の組織へと全身的に広がるか、もしくは、原発源と類似の組織から新たに生じるという点において、その性質において局所的であるとともに全身的である。従って、最も適切な治療オプションは、有効な薬剤を、悪性腫瘍の原発源のみならず二次源にも送達するようなものを含む。悪性腫瘍の原発源と二次源との両方にアクセス可能な、有効治療剤が製剤可能となることが望まれている。
【0009】
また、前記NDGA化合物等のカテコールブタンが、標的組織に対する送達と、その標的組織中においてある範囲の投与レベルの維持とを容易にするように製剤されることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
従って、本発明の対象の一つは、背景に記載したもののような、従来技術の方法及び組成物の問題点に対応するような、腫瘍の予防又は治療のための方法と組成物とを提供することにある。
【0011】
本発明の対象のもう一つは、たとえば腫瘍の成長又は腫瘍の発達又は進行を阻害するものなどの、上述した方法と組成物とを提供することにある。
【0012】
本発明の対象の更にもう一つは、治療されるべき前記標的化組織又は疾患組織が、そのような化合物の直接注射に対して容易にアクセス可能ではないか、もしくは、その局所投与に適応しない場合において、上述したような腫瘍の予防又は治療に有効な、前記NDGA化合物を含むカテコールブタンを投与する単数又は複数の方法を提供することにある。
【0013】
本発明の対象の更に一つは、標的組織に対する、前記NDGA化合物を含むカテコールブタンの分布の促進及び/又は最適化することができる、前記NDGA化合物を含むカテコールブタンを含有する単数又は複数の製剤を提供することにある。
【0014】
本発明の対象の更にもう一つは、標的組織に対する治療のための適切な製剤における、前記NDGA化合物を含む、単数又は複数のカテコールブタンを含む組成物を提供することにある。
【0015】
本発明の前記対象の一つに拠れば、動物等、例えばヒト、のような対象体の疾患を治療するための薬用組成物が提供され、前記組成物が、少なくとも1つのカテコールブタンと、薬用的に許容可能な担体又は賦形剤とを含み、前記組成物は、疾患組織に対して、直接注入又は局所的適用以外の経路によって投与されるように製剤される。
【0016】
前記対象のもう一つに拠れば、上述した組成物であって、前記疾患、障害、又は症状が、炎症性疾患以外、例えば、小膠細胞活性化又は刺激に関連する炎症性疾患以外である。
【0017】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した組成物であって、前記疾患は、増殖性疾患である。そのような増殖性疾患は、例えば、悪性腫瘍、前悪性症状又は良性腫瘍とすることができる。
【0018】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した組成物であって、前記疾患は、例えば、HIV感染、HPV感染、又はHSV感染などの、ウイルス感染から生じる、又はそれに関連するものである。
【0019】
前記対象のもう一つに拠れば、上述した組成物であって、該組成物が、鼻腔内投与、経口投与、遅効性又は速効性カプセル剤を介するものを含む、吸入、皮下投与、経皮投与、動脈内投与、閉塞(occlusion)有り又は無しで、頭蓋内投与、脳室内投与、静脈内投与、口腔投与、腹腔内投与、眼内投与、中心静脈投与、筋肉内投与、又は移植用に製剤された組成物が提供される。
【0020】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した組成物であって、前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、生理食塩水、油、例えば、ヒマシ油またはコーン油、Cremaphor PL、及びエタノール、又はそのような単数又は複数を含有する混合物を含む。
【0021】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した組成物であって、前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、脂質系製剤、リポソーム系製剤、ナノ粒子製剤、ミセル製剤、水溶性製剤、Cremaphor EL/エタノール/生理食塩水製剤、又は、上述のいずれかを生体内分解性高分子中に含む。
【0022】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した組成物であって、前記カテコールブタンが、以下の構造式を有する。
【0023】
【化2】

【0024】
ここで、R及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレン又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−H又は低級アルキルであり、そして、R、R及びRが、独立的に、−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又は任意の隣接する二つの基が共にジオキシ アルキエン(alkyene dioxy)とすることができ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である。
【0025】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールアミンであって、R及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、R、Rが、独立的に、低級アルキルであり、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−Hであり、R,R及びRが、独立的に、−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩とすることができる。
【0026】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールアミンであって、R及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、R、Rが、独立的に、低級アルキルであり、R、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−Hであり、R及びRが、独立的に、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩とすることができる。
【0027】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、R及びRが、独立的に、−CH又は−(C=O)CHN(CH又はその塩である。
【0028】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、RとRが、独立的に、−OCH又は−O(C=O)CHN(CH又はその塩である。
【0029】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、R及びRが、独立的に、−CH又は−(C=O)CHN(CH又は、−(C=O)CHH(CH.Clであり、そしてR及びRが、独立的に、−OCH3、−O(C=O)CHN(CH又は、−O(C=O)CHH(CH.Clである。
【0030】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、該カテコールブタンがNDGAではないことを条件として、R及びRが、独立的に、−H、又は、−CHであり、R及びRが、独立的に、−OH、又は、−OCHである。
【0031】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、RとRが、独立的に、−CHであり、R及びRが、独立的に、−OCHである。
【0032】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、該カテコールブタンがNDGAである。
【0033】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述したカテコールブタンであって、該カテコールブタンがNDGA以外である。
【0034】
前記対象の更にもう一つに拠れば、カテコールブタンを含有する薬用組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、(a)上述したカテコールブタンを提供する工程と、(b)上述した薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを提供する工程と、(c)前記カテコールブタンと前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを組み合わせる工程とを含む。
【0035】
前記対象の更にもう一つに拠れば、対象体の疾患を治療する方法が提供され、前記治療法は、上述した薬用組成物を提供する工程と、前記組成物を前記対象体に、腫瘍への直接注射又は腫瘍への局所投与以外の経路で投与する工程とを含む。
【0036】
前記対象のもう一つに拠れば、上述した治療法であって、前記疾患が、炎症性疾患以外、例えば、小膠細胞活性化又は刺激に関連する炎症性疾患以外である。
【0037】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療法であって、前記疾患は、悪性腫瘍、前悪性症状又は良性腫瘍等の増殖性疾患である。
【0038】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療法であって、前記疾患は、例えば、HIV感染、HPV感染、又はHSV感染などの、ウイルス感染から生じる、又はそれに関連するものである。
【0039】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記組成物が、鼻腔内投与、経口投与、遅効性又は速効性カプセル剤を介するものを含む、吸入、皮下投与、経皮投与、動脈内投与、閉塞有り又は無しで、頭蓋内投与、脳室内投与、静脈内投与、口腔投与、腹腔内投与、眼内投与、中心静脈投与、筋肉内投与又は移植用に製剤される。
【0040】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、生理食塩水、ヒマシ油やコーン油などの油、Cremaphor PL、及びエタノールまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0041】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体または賦形剤が、脂質系製剤、リポソーム製剤、ナノ粒子製剤、ミセル製剤、水溶性製剤、Cremaphor EL/エタノール/生理食塩水製剤、又は、上述のいずれかを生物分解性重合体中に含む。
【0042】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが上記式を有する。
【0043】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、テトラ−O−メチルNDGAである。
【0044】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、テトラ−ジメチルグリシニルNDGAである。
【0045】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、トリ−O−メチルNDGAである。
【0046】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、NDGAである。
【0047】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、NDGA以外である。
【0048】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記方法が、少なくとも二つのカテコールブタンを投与する工程を含む。
【0049】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記二つのカテコールブタンが、実質的に同時に投与される。
【0050】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記二つのカテコールブタンが、異なる時間に投与される。
【0051】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記二つのカテコールブタンは、テトラ−O−メチルNDGA、トリ−O−メチルNDGA及びテトラ-ジメチルグリシニルNDGAから成るグループから選択される。
【0052】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記ナノ粒子製剤が、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)、ポリビニルアルコール、d−α−トコフェリル ポリエチレングリコール 1000 コハク酸塩及びポリ(ラクチド−co−グリコリド)−モノメトキシ−ポリ(ポリエチレングリコール)から成るグループから選択される少なくとも1つを含む。
【0053】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記リポソーム製剤が、ホスファチジルコリン/コレステロール/PEG−DPPE、ジステアロイルホスファチジルコリン/コレステロール/PEG−DPPE、及び1−2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/1−2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩/コレステロール/トリオレイン/トリカプリリンから成るグループから選択される少なくとも1つを含む。
【0054】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記疾患は癌であり、前記癌は、固形腫瘍、リンパ腫又は白血病である。
【0055】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記疾患は、悪性、前悪性又は良性脳腫瘍、鼻咽頭腫瘍、頭部及び頚部腫瘍、肝臓腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、乳部腫瘍、膀胱腫瘍、膵臓腫瘍、胃腫瘍、結腸腫瘍、子宮腫瘍、(子宮)頚部腫瘍、皮膚腫瘍、及びそれらに対する転移、から成るグループから選択される。
【0056】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記方法が、前記組成物を一度以上投与する工程を含む。
【0057】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、水性製剤である。
【0058】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、疎水性製剤である。
【0059】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記疎水性製剤が、脂質系賦形剤を含む。
【0060】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、ヒマシ油、ピーナッツ油、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びその他の食事性脂肪又は油から成るグループから選択される少なくとも1つを含む。
【0061】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記組成物が、錠剤、散剤、ゲルカプセル剤、液剤、及び洗口剤から成るグループから選択される1つの形態に製剤される。
【0062】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、重合体製剤を含む。
【0063】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記重合体製剤が、生物分解性重合体製剤である。
【0064】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、一定時間に渡って、高い局所的薬剤濃度と持続的放出を許容する。
【0065】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記重合体製剤が、1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン、セバシン酸、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)及びポリ(ラクチド−co−グリコリド)から成るグループから選択される少なくとも1つを含む。
【0066】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、投与前に、食塩水、DMSO又はエタノールに溶解される。
【0067】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記組成物が、散剤、煙霧剤、水性製剤、リポソーム製剤、ナノ粒子製剤、及び疎水性製剤から成るグループから選択される少なくとも1つである。
【0068】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記組成物が、所定時間に渡って毎日投与される。
【0069】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記組成物が、間欠的に投与される。
【0070】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、前記対象体内に注入される。
【0071】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、水溶性化合物である。
【0072】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、疎水性化合物である。
【0073】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、液剤、煙霧剤、洗口剤、懸濁液、錠剤、散剤、又はゲルカプセル剤として製剤される。
【0074】
前記対象の更にもう一つに拠れば、対象体のウイルス感染の治療方法が提供され、請求項1に記載の組成物を前記対象体に投与する工程を有し、前記ウイルス感染は、HIV、HPV又はHSVから生じる、又は、に関連する。
【0075】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、ヒトに対して、毎投与当たり、約10mg/kg以上で375mg/kg以下の範囲で投与される。
【0076】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記範囲は、毎投与当たり、約10mg/kg以上で250mg/kg以下の範囲で投与される。
【0077】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約200mg/kg以下である。
【0078】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約150mg/kg以下である。
【0079】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約100mg/kg以下である。
【0080】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約75mg/kg以下である。
【0081】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約50mg/kg以下である。
【0082】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記組成物が、例えば静脈内投与などで、全身投与される。
【0083】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した治療方法であって、前記カテコールブタンが、トリ−O−NDGA又はテトラ−O−メチルNDGAである。
【0084】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の疾患治療用のキットが提供され、これは、上述した薬用組成物と該組成物の投与の取扱指示とを含む。
【0085】
前記対象の更にもう一つに拠れば、対象体の腫瘍を治療する方法が提供され、前記腫瘍が、悪性、前悪性又は良性腫瘍であり、そして、前記腫瘍が、乳部、肝臓、胃、膵臓、結腸直腸、大腸、前立腺から成るグループから選択される組織又は器官から生じる又は関連するものであり、前記方法は、(a)テトラ−O−メチルNDGA (M4N)と薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む組成物を提供する工程と、(b)前記組成物を前記対象体に投与する工程とを有し、前記組成物は、前記腫瘍に対する直接注射又は局所投与以外によって投与される。
【0086】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述した腫瘍治療法であって、前記方法は、前記組成物を経口投与する工程を含み、前記経口組成物は、遅効性又は速効性製剤とすることができる。
【0087】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、ヒマシ油、又はコーン油などの油である。
【0088】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記組成物が、食用混合物(mix)として提供される。
【0089】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記カテコールブタン組成物は、例えば、毎日5日以上1週間、毎日5日以上2週間、毎日5日以上3週間等、所定の期間にわたって毎日投与される。
【0090】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、投与される前記テトラ−O−メチルNDGAの量が、毎投与当たり少なくとも30mg、或いは、選択的に、毎投与当たり少なくとも90mgである。
【0091】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記組成物中においてテトラ−O−メチルNDGAが、20mg/mLの濃度で含まれる。
【0092】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤が、Cremaphor EL、エタノール及び生理食塩水を含み、Cremaphor ELは約6%の濃度で含有可能であり、エタノールは約6%の濃度で含有可能であり、そして生理食塩水は約88%の濃度で含有可能である。
【0093】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記対象体に投与される前記組成物が、毎投与当たり少なくとも2mgのテトラ−O−メチルNDGAを含む。
【0094】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記組成物が、静脈内又は腹腔内投与される。
【0095】
前記対象の更にもう一つに拠れば、上述の腫瘍治療用の方法であって、前記組成物が、所定期間にわたって6日間毎に一回、又は、選択的に、所定期間にわたって2日間毎に一回、以上の頻度で投与される。
【0096】
本発明のその他の対象、特徴及び利点は、本記載を読むことによって当業者に明らかとなるであろう。そのような他の対象、特徴及び利点も、本発明によって実施されるものと理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0097】
図面の簡単な説明
図1は、静脈内および腹腔内注射の3時間後における種々の器官へのMNの全身分布を示している。マウスに、100μCiのH−MNと60mMの未標識MNとを注射した。注射の3時間後に器官と血液を収集、及び計量し、MNを抽出した。これら器官抽出物のトリチウム含有率を測定し、各器官中のMNの量を、接種物の比活性に基づいて計算した。図1Aは、比較的高い量のMNを含む各器官に見られた、1グラムの組織当たりのMNのマイクログラム単位の量を示している。図1Bは、比較的低い量のMNを含む器官を示している。
【0098】
図2は、種々の時点におけるMNの全身組織分布プロファイルを図示している。マウスに、100μCiのH−MNと60mMの未標識のMNとを注射した。注射の4,6,18時間後と6日後とに器官と血液を収集、及び計量し、MNを抽出した。これら器官抽出物のトリチウム含有率を測定し、各器官中のMNの量を、接種物の比活性に基づいて算出した。
【0099】
図3は、明白な毒性を示していない、MNの長期経口給飼中のマウスの体重を示している。オスとメスのマウスに、9gの重さで、280mgのMNを含有するフードボールを14週間、連続給飼した。平均で、マウスは、一日当たり、93.3mgのMNを消費した。対照マウスには、MNを含有しないフードボールを給飼した。体重を周期的に記録した。
【0100】
図4は、MNによる治療がヒト腫瘍異種移植片の生体内成長を阻害することを示している。無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植した。腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受けた。腫瘍を、7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した。
【0101】
【数1】

【0102】
図5は、異なる時点において異なる投与量のMNを与えられた犬におけるMN血清濃度を示している。
【0103】
図6は、脳腫瘍の治療のための脳への前記NDGA誘導体の送達の種々の態様の具体例の略図である。MNは、親水性NDGAを示し、GNは親油性NDGAを示す。ODは脳血液関門の浸透性崩壊を示す。SCは、皮下投与を示す。IPは腹腔内投与を示す。IMは、筋肉内投与を示す。
【0104】
図7は、腫瘍の治療のための、脳以外の組織への前記NDGA誘導体の送達の種々の態様の具体例の略図である。MNは、親水性NDGAを示し、GNは親油性NDGAを示す。SCは、皮下投与を示す。IPは腹腔内投与を示す。IMは、筋肉内投与を示す。
【0105】
表1.全身組織分布におけるMNの経口投与の結果。(A)MNの短期経口給飼。三匹のマウスに、ひまし油に溶解させた30mgのMNを給飼した。給飼の2、4及び8時間後、組織を取り出し、計量した。次に、組織中に存在するMNの量を、HPLCによって定量化した。(B)MNの長期経口給飼。マウスに、9gの重さで、280mgのMNを含有するフードボールを14週間、連続給飼した。平均で、マウスは、一日当たり、93.3mgのMNを消費した。組織中に存在するMNの量を、HPLCによって定量化した。
【0106】
表2.MNによる治療がヒト腫瘍異種移植片の生体内成長を阻害する。無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植した。腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受けた。腫瘍を、7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した。
【0107】
【数2】

【0108】
表3.21日間の治療後のすべての腫瘍の腫瘍寸法変化。無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植した。腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受けた。腫瘍を、7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した。
【0109】
【数3】

【0110】
発明の開示
本発明者等は、下記の式のカテコールブタンを発見した。
【0111】
【化3】

【0112】
ここで、R及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレン又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−H又は低級アルキルであり、R、R及びRが、独立的に、−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又は任意の隣接する二つの基が共にジオキシアルキエンであってもよく、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である、が腫瘍へ直接注射又は腫瘍部位へ局所投与された時に、癌などの増殖性疾患の治療に有用である。そのようなカテコールブタンを、薬剤的に許容可能な担体又は賦形剤と組み合わせて、多様な投与経路用に製剤可能な薬用組成物を作り出すことができる。
【0113】
本発明の別実施形態において、前記カテコールブタンは、上記式を有し、R及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、R、Rが、独立的に、低級アルキルであり、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−Hであり、R、R及びRは、独立的に、−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である。
【0114】
本発明の更に別の実施形態において、前記薬用組成物は上記式を有し、ここで、R及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、R、Rが、独立的に、低級アルキルであり、R、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−Hであり、R及びRは、独立的に、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である。
【0115】
本発明の更に別の実施形態において、前記薬用組成物は上記式を有し、ここで、R及びRが、独立的に、−CH又は−(C=O)CHN(CH又はその塩である。
【0116】
本発明の更に別の実施形態において、前記薬用組成物は上記式を有し、ここで、R及びRが、独立的に、−OCH又は−O(C=O)CHN(CH又はその塩である。
【0117】
本発明の更に別の実施形態において、前記薬用組成物は上記式を有し、ここで、R及びRとは、独立的に、−CH又は−(C=O)CHN(CH又は、−(C=O)CHH(CH.Clであり、そしてR及びRとは、独立的に、−OCH3、−O(C=O)CHN(CH又は、−O(C=O)CHH(CH.Clである。
【0118】
本発明の更に別の実施形態において、前記薬用組成物は上記式を有し、ここで、該カテコールブタンがNDGAではないことを条件として、R及びRが、独立的に、−H又は−CHであり、R及びRが、独立的に、−OH又は−OCHである。
【0119】
本発明の更に別の実施形態において、前記薬用組成物は上記式を有し、ここで、R及びRが、独立的に、−CHであり、R及びRが、独立的に、−OCHである。
【0120】
本発明の更に別の実施形態において、前記カテコールブタンはNDGAである。本発明の更に別の実施形態において、前記カテコールブタンはNDGA以外である。
【0121】
【化4】

【0122】
本発明者は、少なくとも1つのNDGA誘導体の実質的に純粋な調製物を含む組成物が、この組成物が疾患又は標的部位への直接注射以外、及び疾患組織への局所適用以外の経路で投与された時に、腫瘍等の増殖性疾患の治療に有効であるという驚くべき発見をした。ここでの前記NDGA化合物は、上述の式を有し、R、R、R及びRが、独立的に−OH、−OHのような低級アルコキシ、−O(C=O)CHのような低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であるが、夫々が同時に−OHではなく、R、Rが、独立的に、−H又はアルキル、例えば、−CH又は−CHCHのような低級アルキル、を表す。一実施形態において、R及びRが、共に、−H, −CH又は−CHCHとすることができる。
【0123】
前記NDGAを含む適当な製剤形態における本発明のカテコールブタンは、鼻腔内投与によってそのような治療を必要とする単数又は複数の対象体に安全に投与することができる。或いは、選択的に、カテコールブタン又はNDGAは、吸入によって投与することができる。更に選択的に、そのようなカテコールブタン又はNDGA化合物は、たとえば食物と混合することによって、口腔投与等の経口的又は眼内投与によって投与することができる。更に、前記カテコールブタン又はNDGA化合物は、例えば、濯ぐ−そして−吐く治療(rinse-and-spit)における、洗口剤として、一日に単数又は複数回投与することができる。
【0124】
本発明者等は、更に、前記カテコールブタン又はNDGA化合物は、リポソーム系製剤、ナノ粒子製剤、又は、ミセル製剤として、追加的に、安全に全身的に、例えば、中心静脈への注射等による静脈内、又は腹腔内、間質内、皮下、経皮、筋肉内、動脈内、頭蓋内、又は脳室内によって投与することができるということを発見した。
【0125】
更に、前記カテコールブタン又はNDGA化合物を、そのような治療を必要とする対象体用に、生体内分解性高分子中に埋め込まれた、リポソーム系製剤、ナノ粒子製剤又は、ミセル製剤、又は任意の製剤に製剤することが可能である。例えば、脳への移植が、脳の腫瘍の治療のために使用することができる。
【0126】
本発明の一実施形態において、ここに記載の目的のための投与経路は、非経口(parenteral)投与以外によるものであり、ここで、非経口投与とは、静脈内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、経皮、及び腹腔内投与を意味する。
【0127】
本発明は、腫瘍などの増殖性疾患の治療用の、カテコールブタン又はNDGA化合物を含有する薬用組成物を提供し、ここで、前記組成物は、例えば、錠剤、親水性又は疎水性のいずれかである液剤、凍結乾燥から生じるものなどの散剤、煙霧剤、の形態で、又は、水性水溶性組成物、疎水性組成物、リポソーム組成物、ミセル組成物、例えばTween80又はジブロック共重合体をベースとするもの、ナノ粒子組成物、重合体組成物、シクロデキストリン錯体組成物、エマルジョン、「リポコア(lipocores)」と称される脂質系ナノ粒子、の形態で、上述の投与経路用に製剤される。
【0128】
本発明は、更に、本発明の前記薬用組成物を製造する方法を提供し、前記方法は、前記カテコールブタン又はNDGA化合物を実質的に純粋な形態で提供する工程と、前記組成物を薬学的許容可能な担体又は賦形剤と組み合わせる工程と、前記組成物を、所望の投与形態に適合するように製剤する工程とを含む。
【0129】
本発明の更に別の態様において、上述した腫瘍の治療法であって、前記腫瘍が、肺、前立腺、乳部、大腸、肝臓、腎臓、卵巣、(子宮)頚部、皮膚、膵臓、脳、白血病、リンパ腫、胃等の胃腸腫瘍、軟部組織肉腫、等から成るグループから選択される、腫瘍の治療法が提供される。
【0130】
本発明は、更に、腫瘍のような増殖性疾患のための治療のための上述の組成物又は製剤、ここで前記組成物は、鼻腔内投与、吸入、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、及びその他の非経口投与、又は、洗口剤として等を含む、上述した送達用に製剤されるものである、と、そのような投与のための取扱指示とを含む、キットを提供する。
【0131】
特に別の定義がされない限り、ここに使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明は、以下の特定の意味に鑑みてより良く理解されるであろう。
【0132】
定義
ここでの使用において「活性剤」、「化合物」及び「薬剤」という用語は、NDGA及びNDGA誘導体を含む単数又は複数のカテコールブタンを意味する。
【0133】
ここでの使用において「ジオキシ アルキレン」という用語は、ジオキシ メチレン(又は置換メチレン)、又はジオキシ エチレン(又は置換エチレン)を意味する。
【0134】
ここで、前記カテコールブタンに関する式中のR基の1つに言及して使用される「アミノ酸残基又はその置換物又は塩」という用語は、非限定的に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリジン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニールアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、3−メチルヒスチジン、ε−N−メチルリジン、ε−N,N,N−トリメチルリジン、アミノアジピン酸、γ−カロキシグルタミン酸、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、N−メチルアルギニン、N−アセチルリジン、及びN,N−ジメチル置換アミノ酸残基又はその塩を含む、アミノ酸、置換アミノ酸、またはアミノ酸残基又は置換アミノ酸残基の塩、例えば塩化物塩である。
【0135】
「低級アルキル」という用語は、C1−C6アルキルを意味する。
【0136】
「低級アシル」という用語は、C1−C6アシルを意味する。
【0137】
「NDGA化合物」という用語は、NDGAおよび/又はその誘導体、を別々又は総称的に意味する。
【0138】
「NDGA誘導体」という用語は、それぞれが下記の式を有する単数又は複数の化合物を意味する。
【0139】
【化5】

【0140】
ここで、R、R、R及びRが、独立的に−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であるが、夫々が同時に−OHではなく、R、Rが、独立的に、−H又は低級アルキルのようなアルキルである。前記用語は、例えば、R、R、R、及びRが、それぞれ−OCH、又は、それぞれが−O(C=O)CHであり、R、Rが、それぞれが−H又は−低級アルキルである。本発明の一実施形態において、R、Rが、それぞれ−CH又は−CHCHである。
【0141】
ここで、前記カテコールブタン又はNDGA化合物に言及する「実質的に純粋な」化合物とは、本発明の前記カテコールブタン又はNDGA化合物ではない化合物(以下、「非NDGA物質」)を実質的に含まないものを意味する。実質的に含まないとは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、更に好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%が非NDGA物質を含まないことを意味する。
【0142】
ここでの使用に適した「緩衝剤」は、トリス、リン酸、イミダゾール、重炭酸塩、等の当該技術における任意の従来の緩衝剤を含む。
【0143】
ここでの使用において、「治療」、「治療する」等の用語は、所望の薬理学および/又は生理学的効果を得ることを意味する。前記効果は、症状、疾患又はその徴候を完全又は部分的に防止する意味において予防的なものであってよく、及び/又は、症状又は疾患及び/又はその病状又は疾患に起因する有害作用の部分的又は完全な治癒の意味において治療的なものであってもよい。従って、「治療」は、哺乳動物、特にはヒト、の症状又は疾患の任意の治療をカバーし、(a)そのような症状または疾患を生まれつき有するかもしれないが、まだそれ有するものと診断されたことのない対象体においてそのような症状又は疾患が発生することを防止すること、(b)そのような症状又は疾患の抑制、例えば、その発達の阻止、そして(c)そのような症状又は疾患の緩和、軽減又は改善、例えば、そのような症状又は疾患の緩解、を含む。
【0144】
「薬剤的に許容可能な担体」とは、任意の従来タイプの、非毒性固体、半固体、液体充填剤、希釈剤、カプセル剤化剤、又は補助製剤を意味する。「薬剤的に許容可能な担体」は、使用される投与量及び濃度で受容者に対して非毒性であり、前記製剤のその他の成分と互換性のものである。例えば、本発明のカテコールブタン又はNDGA化合物を含有する製剤用の担体は、酸化剤や、そのようなものに対して有害であることが知られているその他の化合物を含まない。適当な担体は、非限定的に、水、ブドウ糖、グリセロール、生理食塩水、エタノール、緩衝剤、ジメチルスルホキシド、Cremaphor EI、及びこれらの組み合わせ、を含む。前記担体は、湿潤剤又は乳化剤又はpH−緩衝剤、等の追加の物質を含むことができる。必要であれば、酸化防止剤、湿潤剤、粘度安定化剤、その他類似の物質を添加することができる。
【0145】
ここで、薬剤的に許容可能な塩は、例えば、塩酸塩やリン酸塩などの無機酸塩、又は、酢酸、マンデル酸、シュウ酸、酒石酸等の有機酸によって形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基で形成される)を含む。前記遊離カルボキシル基で形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化鉄などの無機塩、及び、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール及びヒスチジンなどの有機塩から導くこともできる。
【0146】
「薬剤的に許容可能な賦形剤」という用語は、容易に大衆にとって入手可能な、当該技術において従来のものなどの、溶媒(vehicle)、アジュバント、又は希釈剤、又はその他の補助物質、を含む。例えば、薬学的に許容可能な補助物質には、pH調整及び緩衝剤、緊張調整剤、安定化剤、湿潤剤等を含む。
【0147】
ここで、互換的に使用される「対象体」、「ホスト」及び「患者」は、本発明の組成物によって治療される動物を称し、非限定的に、猿、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、羊、ヤギ、哺乳家畜動物、哺乳スポーツ動物、哺乳ペット動物を含む。
【0148】
本発明を更に記載する前に、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではなく、勿論、改変可能である、と理解される。又、ここで使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のものであって、本発明の範囲は貼付のクレームによってのみ限定されるものであることから、限定を意図するものではないことも理解される。
【0149】
ある範囲の値が提供される場合、特に明確に記載されていない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の1/10までの各中間値、及び、その記載におけるいずれかの他の記載又は介入値が本発明の範囲に含まれると理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、その記載の範囲から特に具体的に除外されている限界値を除き、独立的にその小さな範囲に含まれ、従って、本発明の範囲に含まれる。記載の範囲がそれらの限界値の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方又は両方を除く範囲も、本発明に含まれる。
【0150】
特許、特許出願、及び定期刊行物の記事を含む、ここに記載する全ての刊行物は、それらもここに参考文献として合体させるその中において引用されている文献を含めて、その全体がここに参考文献として合体される。
【0151】
ここでの使用において、“a”,“an”,“the”の単数形は、文脈からそうでないことが明らかである場合を除き、複数形も含むものであることが銘記されなければならない。したがって、例えば、“a compound”(「化合物」)は、複数のそのような化合物を含み、“the NDGA Compound” (「NDGA化合物」)は、単数又は複数のNDGA化合物と、当業者に知られているそれらの均等物とに対する言及を含む。
【0152】
ここに記載の刊行物は、本出願の出願前にそれらを開示することを唯一の目的として提供されるものである。ここに記載のいずれも、本発明が前の発明によってそのような刊行物よりも以前のものである権利を有さないことの自白として解釈されてはならない。更に、提供される刊行物の日付は、独立的に確認を必要するかもしれない実際の公開日とは異なっているかもしれない。
【0153】
以下に記載する発明は、例示的にのみ提供されるものであって、いかなる意味においても本発明を限定するものと解釈されるものではない。
【0154】
カテコールブタンの調製
本発明のカテコールブタンは、任意の従来方法によって調製することができる。例えば、そのような化合物は、米国特許5,008,294号に記載されているように調製することができる。
【0155】
NDGA化合物の調製
前記NDGA化合物及びその製剤は、任意の従来式の方法によって製造することができる。例えば、前記NDGA化合物は、米国特許5,008,294号(ジョーダン(Jordan)他,1991年4月16日発行)、米国特許6,291,524号(フアン(Huang)他、2001年9月18日発行)、フー,ジェイ・アール(Hwu, J.R.)(1998)又はマクドナルド,アール・ダブリュ(McDonald, R.W.)他 (2001)に記載されているように製造することができる。
【0156】
本発明の一実施形態において、NDGA化合物、テトラ−O−メチルNDGA、メソ−1,4−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−2−3−ジメチルブタン、又はMNとしても知られている、は、以下のように製造される。反応フラスコ内で、メタノール中にNDGAと水酸化カリウムとを含む溶液を製造する。次に、この反応フラスコに硫酸ジメチルを添加し、反応を進行させる。反応を水によって最終的に終わらせ、生成物を沈殿させる。この沈殿物を、濾過によって分離し、真空炉内で乾燥させる。次に、この化合物を、塩化メチレンとトルエンの溶液に溶解させ、その後、アルミナカラムを通して精製する。溶媒を、回転蒸発によって除去し、固形物をイソプロバノール中で再懸濁させ、濾過によって分離する。濾滓を真空炉内で乾燥させる。得られたテトラ−O−メチルNDGA(MN)を、前記濾滓をイソプロパノール中で還流させることによって結晶化させ、結晶を濾過によって分離する。
【0157】
本発明のいくつかの実施形態において、メソ1,4−ビス[3,4−(ジメチルアミノアセトキシ)フェニル]−(2R,3S)−ジメチルブタンとしても知られているGNや、時として、テトラグリシナルNDGAとしても知られているテトラ−ジメチルグリシニルNDGA、等の本発明のある種のNDGA化合物、又は、その塩酸塩、及びアミノ酸置換物を有する類似の化合物、も、例えば、米国特許6,417,234に記載されているもののような従来方法によって調製することができる。
【0158】
組成物
本発明は、更に、前記NDGA化合物と、薬剤的に許容可能な担体又は賦形剤を含む前記カテコールブタンを有する、薬用組成物も提供する。これらの組成物は、前記カテコールブタン又はNDGA化合物の所望の利用法に応じて選択可能な緩衝剤を含むことができ、更に、その意図される利用法に適したその他の物質も含むことができる。当業者は、意図される利用法に適した、多種多様なものが知られている緩衝剤を、容易に選択することができる。いくつかの場合、前記組成物は、多様なものが知られている薬剤的に許容可能な賦形剤を含むことができる。ここでの利用法に適した薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば、エイ・ジェンナーロ(A. Gennaro)(1990);アンセル,エイチ・シー(Ansel, H.C.)他 (1999);およびキッベ,エイ・エイチ(Kibbe, A.H.)(2000)を含む、種々の刊行物に記載されている。
【0159】
ここでの前記組成物は、想定される投与形態に応じて製剤される。従って、もしも組成物が鼻腔内又は吸入によって投与されることが意図される場合、例えば、前記組成物を、そのような目的のために、従来行われているように、散剤又は煙霧剤に変えることができる。例えば、経口又は非経口投与などのその他の製剤も、従来と同様に使用される。
【0160】
ここでの投与用の組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持効性製剤又は散剤の形態とすることができる。
【0161】
治療法
本発明の前記NDGA化合物組成物を含む前記カテコールブタンは、悪性、前悪性又は良性腫瘍などの増殖性疾患を有する対象体に対する治療を提供することが望まれる状況、そして、HIV、HPV又はHSV等のウイルス性疾患に対して治療を提供することが望まれる状況において治療剤としての使用が見出された。
【0162】
本発明の方法によって、ヒト及びヒト以外の動物を含む、多様な動物ホストを治療することが可能である。一般に、それらのホストは、「哺乳類(mammal)」又は「哺乳類のもの(mammalian)」であり、ここで、これらの用語は、食肉目(例えば、犬と猫)、げっ歯目(例えば、モルモット及びラット)、及び、ウシ、ヤギ、馬、羊、ウサギ、ブタ、霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー及びサル)を含むその他の動物を含む、哺乳類に含まれる生物である。多くの実施形態において、前記ホストはヒトとされる。動物モデルは、ヒトの疾患の治療用のモデルの提供などの、実験調査のために興味深い。更に、本発明は、獣医的ケアにも適用可能である。
【0163】
更に、本発明は、種々の腫瘍及び癌を治療するために使用可能であり、これらは、非限定的に以下を含む。急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、肛門癌、星細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌骨肉腫/悪性線維組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍上衣細胞腫、脳腫瘍髄芽細胞腫、乳癌、消化管カルチノイド腫瘍、副腎皮質癌、島細胞癌、(子宮)頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、腱鞘の明細胞肉腫、大腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮体癌、卵巣上皮癌、食道癌、エウィングファミリー腫瘍、生殖腺外生殖細胞腫瘍、肝臓外胆管癌、眼癌眼内メラノーマ、眼網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、生殖腺外生殖細胞腫瘍、卵巣生殖細胞腫瘍、妊娠性栄養膜腫瘍、神経膠腫、有毛細胞性白血病、肝細胞性(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内メラノーマ、島細胞癌(膵臓内分泌腺)、カポジ肉腫、喉頭癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞性白血病、肝臓癌、非小細胞性肺癌、小細胞性肺癌、男性乳癌、悪性中皮腫、髄芽腫、メラノーマ、メルケル細胞癌、多発性内分泌腺腫瘍候群、菌状息肉腫、多発性骨髄腫、鼻腔及び副鼻腔癌、上鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔及び口唇癌、口咽頭癌、骨の骨肉腫/悪性線維組織球腫、卵巣上皮癌、卵巣生殖細胞腫瘍、膵臓癌、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、クロム親和性細胞腫、松果体及び天幕上原始神経外胚葉性腫瘍、脳下垂体腫瘍、胸膜肺芽細胞腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂及び尿管移行細胞癌、網膜細胞芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、エウィングファミリー腫瘍の肉腫、カポジ肉腫、成人軟部組織肉腫、セザール症候群、皮膚癌、小腸癌、胃癌、皮膚T細胞リンパ腫皮膚、睾丸癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、尿道癌、子宮内膜癌、膣頚部癌、外陰部癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍。
【0164】
製剤、投与量、及び投与経路
上述したように、有効量の前記有効物質が前記ホストに投与され、ここで、「有効量」とは、所望の結果を作り出すのに十分な投与量を意味する。いくつかの実施形態において、前記所望の結果は、少なくとも対照に対する、腫瘍成長の低減又は抑制である。
【0165】
通常、本発明の前記組成物は、前記活性成分、即ち、ここに記載の前記NDGA化合物を含む前記カテコールブタン、を、約1%以上約99%まで、含むことになり、又は、本発明は、前記活性成分を約1%以上約90%まで含むことになる。適当な投与量は、投与されるべき適切な投与量は、対象体の一般的健康状態、対象体の年齢、疾患または症状の状態、対象体の体重、腫瘍の大きさ等、治療されるべき対象体に依存する。一般に、約0.1mg〜約500mg以下を子供に投与することができ、そして、より一般的には、約0.1mg〜約5グラム以下を、成体に対して投与することができる。前記活性剤は、単回の投与、より一般的には、複数回の投与で投与することができる。所与の薬剤の好適投与量は、種々の手段によって当業者によって容易に決定することができる。その他好適な投与量は、用量反応曲線を形成するルーチン的試みを介して当業者によって容易に決定可能である。薬剤の量は、勿論、使用される特定の薬剤に応じて異なるであろう。
【0166】
投与量と同様、活性剤の投与の頻度は、年齢、体重、疾患状態、健康状態及び患者の反応性に基づき、介護人によって決定されるであろう。従って、これらの薬剤は、毎日、毎週、毎月、或いは従来式決定によって、単数又は複数回数投与することができる。これら薬剤は、数日間、数週間、数ヶ月間、間欠的に投与し、その後は、3ヶ月間や6ヶ月間などの一定期間が経過するまで、投与されず、更に、その後、再び、数日間、数週間、数ヶ月間、投与することができる。
【0167】
本発明の前記カテコールブタン又は活性剤は、種々の治療投与のための製剤に組み込むことができる。より具体的には、本発明のカテコールブタンは、適当な、薬学的に許容可能な担体、又は希釈剤と組み合わせて薬用組成物に製剤することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、煙霧剤、リポソーム、ナノ粒子、顆粒剤、軟膏剤、液剤、座薬、注射、吸入剤、煙霧剤等、固体、半固体、液体、又は気体形状で製剤中に製剤することができる。
【0168】
そういうものとして、活性剤の投与は、様々な方法で、例えば、経口、口腔内、直腸、鼻腔内、静脈内、動脈内、気管内、脳室内、頭蓋内、間質、経皮のような、又は、吸入又は移植によって達成される。
【0169】
具体的には、ナノ粒子、ミセル及びリポソーム製剤を、非経口投与と鼻腔内投与を含む、全身投与によって、更に、薬剤標的化、薬剤の生物学的利用能の増強、薬剤の生理活性及び安定性の保護などのために、経口投与、局所投与、経皮投与で、吸入又は移植を介して、投与することができる。ここでのナノ粒子結合薬剤は、腫瘍内において延長された薬剤保持を達成することが期待される。
【0170】
医薬品投与形態において、前記活性剤は、それらの薬学的に許容可能な塩の形態で投与することができ、又は、単体あるいは、その他の適当な薬学的に許容可能な活性化合物との会合、組み合わせ形態でとすることができる。以下の方法及び賦形剤は、単なる例示的なものであり、いかなる意味においても限定的なものではない。
【0171】
経口投与のために、前記活性剤は、単体で、又は、適当な添加物、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、又はポテトスターチなどの従来の添加剤、結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチ、又はゼラチンなどの結合剤、コーンスターチ、ポテトスターチ、カルボキシルメチルセルロースナトリウム等の崩壊剤、タルクやステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、そして所望の場合、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、及び香料、と組み合わせて、使用して、錠剤、散剤、粒剤、又はカプセル剤を製造することができる。洗口剤用として、その調製物は、例えば、エプスタイン,ジェイ・ビー(Epstein, J.B.)他 (2002)及びピッテン,エフ(Pitten, F.)他 (2003)に記載されているように、従来方法によって作成することができる。
【0172】
溶媒、アジュバント、担体又は希釈剤などの薬学的利用可能な賦形剤は、従来のものである。適当な賦形溶媒は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、そしてそれらの組み合わせである。更に、所望の場合、前記溶媒は、pH調節および緩衝剤、張度調節剤、安定化剤、湿潤剤、又は乳化剤などの補助物質を少量含むことができる。そのような投与形態を調製するための実際の方法は、当業者に知られているか、又は明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, イートン、ペンシルベニア、第17版、1985を参照。投与される前記組成物又は製剤は、いずれの場合も、治療される対象体において望ましい状態を達成するのに適切な薬剤を一定量含むことになる。
【0173】
前記活性剤は、それらを、水溶液又は、コーン油、ひまし油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸又はプロピレングリコールのエステル、等の植物又はその他類似の油等の非水性溶液中に、所望の場合は、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤、保存剤などの従来式添加物と共に、溶解、懸濁又は乳化することによって、注射用の製剤に製剤することができる。
【0174】
前記活性剤は、吸入によって投与される煙霧剤製剤に利用することができる。本発明の前記化合物は、ジクロロジフロロメタン、プロパン、窒素のような加圧された許容可能な噴霧剤に製剤することができる。
【0175】
更に、前記活性剤は、乳化基材や水溶性基材などの種々の基材と混合することによって座薬にすることができる。本発明の前記化合物は、座薬を介して直腸投与することができる。前記座薬は、体温では溶けるが、室温では固体状態の、ココアバター、カーボワックス、ポリエチレングリコール、等の溶媒を含むことができる。
【0176】
シロップ、エリキシル、及び懸濁剤等の経口又は直腸投与用の単位投与形態を提供することができ、ここで、例えば、茶さじ一杯、匙一杯、錠剤又は座薬などの各投与単位は、単数又は複数の阻害剤を含有する前記組成物を所定量含有する。同様に、注射又は静脈内投与用の単位投与形態は、前記阻害剤(単数又は複数)を、組成物中に、滅菌水、通常の生理食塩水、又は、別の薬学的に許容可能な担体中の溶液として含むことができる。
【0177】
ここでの使用において「単位用量形態」という用語は、ヒト及び動物の対象体用の単位用量として適切な身体的な別個の単位を規定するものであり、各単位が、薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は溶媒との組み合わせで、所望の作用を作り出すのに十分であると計算された所定量の本発明の化合物を含有している。本発明の新規な単位用量形態の仕様は、使用される特定の化合物、達成されるべき作用、ホスト内の、各化合物に関連する薬物動態学、に依存する。
【0178】
本発明は、前記活性剤を複数又は単位用量含むキットを含む。そのようなキットにおいて、複数又は単位用量の前記NDGA誘導体を含有する組成物を含む容器に加えて、対象病理状態の治療に於ける薬剤の使用法及び付随する有用性を記載した説明書を備えた情報添付文書が含まれる。
【0179】
本発明の方法によって治療可能な腫瘍は、以下を含む。癌、例えば、大腸、直腸、前立腺、乳部、メラノーマ、(乳)管、子宮内膜、胃、膵臓、中皮腫、形成異常口腔粘膜、侵襲性口腔腫瘍、非小細胞性肺癌(“NSCL”)、移行及び扁平上皮細胞泌尿器癌等、神経悪性腫瘍、例えば、神経芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、星細胞腫、神経膠腫等、血液悪性腫瘍、例えば、小児急性白血病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、悪性皮膚T細胞、菌状息肉腫、非皮膚T細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、T細胞リッチ皮膚リンパ様過形成、類天疱瘡、円板状エリテマトーデス、扁平苔癬等、婦人科腫瘍、例えば、(子宮)頚部及び卵巣、精巣腫瘍、肝細胞癌(“HCC”)と胆管の腫瘍を含む肝臓腫瘍、多発性骨髄腫、食道の腫瘍、小細胞及び明細胞を含むその他の肺腫瘍、ホジキンリンパ腫、種々の器官における肉腫、等。
【0180】
ナノ粒子(“NP”)の調製
本発明は、NP製剤としてNDGA化合物を含むカテコールブタンの製剤を含む。ここでの使用に適した様々なNP製剤を、投与方法に応じて製造することができる。前記NP製剤は、分子量、共重合体比率、薬剤添加(drug loading)、マイクロ粒子寸法、多孔度、製造条件、を制御することによって、薬剤放出プロファイルに基づいて、異なるものとすることができる。前記NP製剤は、又、製造工程に使用される重合体、安定化剤、及び界面活性剤に基づいても、異なるものとすることができる。異なる賦形剤によっても、薬剤吸収、体内での薬剤分布、血漿中での薬剤の残留率、に対して異なる影響を与えることができる。当業者は、所望の性質又は特性を決定することができ、従って、使用される適切なNP製剤を決定することができるであろう。
【0181】
前記NPの重合体基質は、生体適合性、生物利用能、物理的強度及び処理の容易性、の要件を満たさなければならない。この目的のために最も良く知られている重合体は、生物分解性ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(“PLGA”)である。
【0182】
ここでのNPは、任意の従来方法によって製造することができる。一実施形態において、NPは、例えばロックマン,ピー・アール(Lockman, P.R.)他(2002)に記載されているようにして製造することができる。製造方法の種類は、例えば、エマルジョン、重合、界面重合、脱溶媒和蒸発、溶剤析出、を含む。
【0183】
ここでのNPを製造するエマルジョン重合法において、この重合法は、例えば、クロイター,ジェイ(Kreuter, J.)(1994)に記載されているように、単一の単量体単位から重合体の鎖を構築することからなる。重合は、例えば、高エネルギー照射、UV光またはヒドロキシルイオンを使用することによって、フリーラジカル又はイオン形成のいずれかによる、惹起後に、室温で自発的に起こる。重合が完了すると、溶液を濾過し中和する。重合体は約100〜10の重合体分子からなるミセルと小滴を形成する。この方法において、界面活性剤と安定化剤は一般に不要である。又、この方法は、水相ではなく、有機相中で達成することができる。
【0184】
ここでのNPは、例えば、クーリ,エイ・エル(Khouri, A.L.)他 (1986)に記載されているような界面重合法によっても製造することができる。この方法において、単量体を使用して重合体を形成し、水及び有機相が、高トルク機械的攪拌下での均質化、乳化、又は微少溶液操作によって互いに混合される時に重合が起こる。例えば、前記NDGA化合物などのカテコールブタンを含有するポリアルキルシアノアクリレートのナノカプセル剤を、親油性NDGA化合物と、前記単量体とを有機相中で組み合わせ、この組み合わせを油中で溶解し、絶え間なく攪拌しながら、この混合物をゆっくりと、小管を通して水相に添加することによって製造することができる。これにより、前記単量体は、陰イオン重合によって200−300nmのカプセル剤を自然に形成することができる。この方法の1変形例は、例えば、フェッシ,エイチ(Fessi, H.)他 (1989)に記載されているように、前記単量体と前記薬剤とを含む前記有機相に、安息香酸ベンジルと、アセトンと、リン脂質との溶剤混合物を添加するものである。これによって、薬剤がカプセル剤化され、それが標的組織に到達するまで分解に対して保護された製剤が作り出される。
【0185】
アルブミンやゼラチンなどの巨大分子を、NPの製造において油変性及び脱溶媒和工程に使用することができる。油エマルジョン変性工程において、大きな巨大分子は、均質化によって有機相に捕捉される。一旦捕捉されると、前記巨大分子は、絶え間ない攪拌を受けている水相にゆっくりと導入される。次に、二つの非混和性相の導入によって形成されるナノ粒子を、アルデヒド等との架橋化、又は熱変性によって硬化させることができる。
【0186】
或いは、巨大分子は、「脱溶媒和」によってもNPを形成することができる。この脱溶媒和工程において、巨大分子は、溶媒中に溶解され、その中で巨大分子は、膨潤したコイル状配位内に配置される。次に、膨潤した巨大分子を、pH、電荷、等の環境を変化させることによって、又は、エタノールなどの脱溶媒和剤を使用することによって、堅いコイルを形成するように誘導する。その後、巨大分子を、アルデヒドへの架橋化によって固定し硬化させる。誘導体が新たに形成された粒子内に捕捉されるように、架橋化の前に前記NDGA化合物は前記巨大分子に対して吸着又は結合することができる。
【0187】
固体脂質NPを、高圧均質化によって作り出すことができる。固体脂質NPは、殺菌、オートクレーブ消毒可能であり、制御された放出を提供する固体のマトリクスを有するという利点を有する。
【0188】
本発明は、更に、異なる薬剤添加法でのNPを含む。NPは、その中に薬剤が均質に分散した固体コロイド状NPとすることができる。NPは、吸着等によって、NPの外側に薬剤が結合された固体NPとすることができる。NPは、その中に薬剤が捕捉されたナノカプセル剤とすることができる。NPは、更に、その内部に、適切な組織への標的投与のための細胞表面リガンドと共に薬剤が均質に分散された固体コロイド状NPとすることができる。
【0189】
NPの寸法は、所与の投与態様に対するそれらの有効性に関連しているかもしれない。NPは通常、約10nm〜約1000nmの範囲であり、選択的に、NPは、約30nm〜約800nmの範囲であり、一般的には、約60nm〜約270nmの範囲であり、更に一般的には、約80nm〜約260nmの範囲、又は約90nm〜約230nm、又は約100nm〜約195nmである。重合中に使用される溶液のpH、惹起トリガー(熱、放射線、等)の量、前記単量体単位の濃度、等、複数の要因がNPの寸法に影響を与え、それらの全ては、当業者によって調節可能である。NPの寸法決定は、光散乱を使用した光子相関分光法によって行うことができる。
【0190】
多糖類NPやアルブミンNP等のここでのNPは、選択的に、脂質コーティングによってコーティングすることができる。例えば、多糖類NPを、ジパルミトイルホスファチジルコリン及びコレステロールコーティングを含むもの等の、脂質二重層有り又は無しで、リン酸塩(陰イオン性)及び四級アンモニウム(陽イオン性)リガンドと架橋化することができる。その他の重合体/安定化剤は、非限定的に、大豆油、マルトデキストリン、ポリブチルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート/デキストラン70kDa、ポリソルベート85、ポリブチルシアノアクリレート/デキストラン70kDa、ポリソルベート85、ステアリン酸、ポリメチルメチルアクリレートを含む。
【0191】
NPに対する吸着によるものなどの、NDGA化合物などのカテコールブタンを含有する前記NP調製物は、例えば、脳、心臓、及び細網内皮細胞(“RES”)、含有器官、例えば、肝臓、脾臓及び骨髄含有器官などの、腫瘍の治療のために静脈投与することができる。これらのNP製剤の細網内皮細胞による望ましくない取り込みを回避するために、前記NPを、界面活性剤によってコーティングしたり、あるいは、磁力反応性材と共に製造したりすることができる。
【0192】
従って、選択的に、界面活性剤を前記NPと組み合わせて使用することができる。例えば、ポリブチルシアノアクリレートNPを、デキストラン−70,000安定化剤と、界面活性剤としてのポリソルベート80と共に使用することができる。その他の界面活性剤は、非限定的に、ポリソルベート20,40又は60、ポロキサマー188、脂質コーティング−ジパルミトイルホスファチジルコリン、エピクロン(Epikuron)200、ポロキサマー338、ポラキサミン(polaxamine)908、ポロキサマー407、を含む。例えば、NPの、肝臓、脾臓、肺、骨髄のRES内への取り込みを減少させるための界面活性剤としてポラキサミン(polaxamine)908を使用することができる。
【0193】
前記磁力反応性材は、前記NPを製造するための前記組成物に組み込むことが可能なマグネタイト(Fe)とすることができる。これらの磁力反応性NPは、磁石によって外部から案内することが可能である。
【0194】
別実施形態において、ここでのNPは、ムー,エル(Mu, L.)及びフェン,エス・エス(Feng, S.S.)(2003)に記載されているように、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(“PLGA”)とd−α−トコフェリル グリコール1000コハク酸塩(ビタミンE TPGS又はTPGS)とのブレンドを使用して製造することができる。後者は、マトリクス剤であることに加えて、乳化剤としても作用することができる。
【0195】
ミセル形成担体の調製
本発明は、ミセル形成担体に製剤される、前記NDGA化合物を含むカテコールブタンを含み、ここで、前記ミセルは、従来の方法によって作られる。そのようなものの具体例は、例えば、リッギンズ,アール・ティ(Liggins, R.T.)及びバート,エイチ・エム(Burt, H.M.)(2002)、ツァン,エックス(Zhang, X.)他 (1996)及びチャーチル,ジェイ・アール(Churchill, J.R.)及びハッチンソン,エウ・ジー(Hutchinson, F.G.)(1988)に記載されている。そのような方法の1つにおいて、親水性(ポリエーテル)セグメントと疎水性(ポリエステル)セグメントとを有する両親媒性重合体であるポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体がミセル形成担体として使用される。
【0196】
別のタイプのミセルは、例えば、トゥザール,ゼット(Tuzar, Z.)及びクラトクヴィル,ピー(Kratochvil, P)(1976)及びウィルヘルム,エム(Wilhelm, M.)他 (1991)に記載されているように、親水性セグメントと疎水性セグメントとの両方を有するABタイプのブロック共重合体によって形成され、それらの両親媒性により、水系媒体中においてミセル構造を形成することが知られているものである。これらの重合体系ミセルは、そのミセル内部コア内部に取り込まれる疎水性の薬剤の高い含有率にも拘わらず、満足できる水性安定性を維持することができる。約<200nmの寸法範囲のこれらのミセルは、非選択的なRES捕集を減少させるのに有効であり、固体の部位における腫瘍高い浸透性と保持率を示す。この特性は、前記NDGA誘導体などの、抗癌剤の蓄積が癌部位で蓄積されることを可能にする。
更に、例えば、ポリ(DL−ラクチド)−b−メトキシポリエチレングリコール(MePEG:PDLLA)ジブロック共重合体を、MePEG 1900と5000を使用して製造することができる。触媒としてオクチル酸スズ(0.25%)を使用して、160℃で3時間反応を進行させることができる。しかし、もしも、反応を約6時間進行させることが許容されるのであれば130℃の低い温度を使用することが可能であり、もしも、反応が約2時間だけ行われる場合は、190℃の高い温度を使用することが可能である。
【0197】
一実施形態において、N−イソプロピルアクリルアミド(“IPAAm”)(興人、東京、日本)とジメチルアクリルアミド(“DMAAm”)(和光純薬工業、東京、日本)を、コホリ,エフ(Kohori, F.)他 (1998)の方法を使用して、ラジカル重合法でヒドロキシ−末端ポリ(IPAAm−co−DMAAm)を製造するために使用することができる。得られた共重合体は、冷水に溶解させ、10,000及び20,000分子量カットオフの二つの限外濾過膜を通して濾過することができる。前記重合体溶液は、先ず、20,000分子量カットオフの膜を通して濾過される。次に、この濾液を10,000分子量カットオフの膜を通して再度濾過する。その結果、低分子量、中分子量、重合体量の三つの分子量画分を得ることができる。次に、前記中分子量画分のポリ(IPAAm−co−DMAAm)の末端ヒドロキシル基からのD,L−ラクチドの開環重合によってブロック共重合体を合成することができる。その結果得られるポリ(IPAAm−co−DMAAm)−b−ポリ(D,L−ラクチド)共重合体を、コホリ,エフ(Kohori, F.)他 (1999)に記載されているようにして精製することができる。
【0198】
前記NDGA化合物などのカテコールブタンは、透析法によって、同時に調製されるミセル内部コアとミセル内に添加することができる。例えば、NDGA化合物の塩化物塩を、N,N−ジメチルアセタミド(“DMAC”)中に溶解し、トリエチルアミン(“TEA”)を添加することができる。ポリ(IPAAm−co−DMAAm)−b−ポリ(D,L−ラクチド)ブロック共重合体をDMACに溶解し、蒸留水を添加することができる。NDGA化合物の溶液と前記ブロック共重合体溶液を室温で混合し、その後、12,000−14,000分子量カットオフの透析膜(Spectra/Por(登録商標)2,spectrum Medical Indus., CA. U.S.A.)を25℃で使用して、蒸留水に対する透析を行うことができる。NDGA化合物を取り込んだポリ(IPAAm−co−DMAAm)−b−ポリ(D,L−ラクチド)ミセルを、コホリ,エフ(Kohri, F)他 (1999)に記載されているように、20mm孔径の精密濾過膜(ANODISCTM, Whatman International)での濾過によって精製することができる。
【0199】
NDGA化合物を含有する多小胞リポソームの調製
多小胞リポソーム(“MVL”)を、例えば、マントリプルガダ,エス(Mantripragada, S.)(2002)に記載されている二重乳化法などの、任意の公知の方法によって調製することができる。簡単に説明すると、前記二重乳化法において、先ず「油中水」エマルジョンが、少なくとも1つのトリグリセリド等の中性脂肪を含有するリン脂質を、投与単数又は複数の揮発性有機溶剤中に溶解させ、この脂質成分を、非混合性の第1水性成分と、疎水性NDGA化合物などの親水性カテコールブタンに添加することによって作られる。次に、この混合物を、乳化して油水中エマルジョンを形成し、その後、第2の非混合性水性成分と混合し、その後、機械混合して、前記第2水性成分中に懸濁した状態の溶剤小球を形成し、水中油中水エマルジョンを形成する。前記溶剤小球は、その中に溶解した前記NDGA化合物などの、カテコールブタンを備える複数の水性小滴を含んだものとなる。次に、一般的に、蒸発、減圧、又はその懸濁液上又は中にガス流を通過させることによって、前記有機溶剤を前記小球から除去する。溶剤が完全に除去されると、前記小球は、DepoFoam粒子などのMLVとなる。前記中性脂肪がこの工程から省略される場合、前記MLVの代わりに、従来式の多重層小胞又は単層小胞が形成される。
【0200】
経口投与用の、NDGA化合物などのカテコールブタンの製剤
N等のような、NDGA化合物などの一部のカテコールブタンは、水溶性親水性化合物である。本発明は、薬学的許容可能な担体又は賦形剤中の親水性化合物の製剤と、その化合物の水溶液形態などの、経口製剤などの投与を含み、或いは、前記化合物は、凍結乾燥して散剤として投与したり、錠剤にしたり、又は前記化合物はカプセル剤化することも可能である。
【0201】
ここでの前記錠剤は、腸内コーティング錠剤とすることができる。ここでの製剤は、持続効性、遅効性又は速効性製剤とすることができる。
前記経口製剤中に含まれるNDGA化合物などの前記カテコールブタンの量は、対象体に投与される所望の投与量に応じて調整することができる。そのような調整は、当業者の技量範囲内である。
【0202】
N等のような、NDGA化合物などの一部のカテコールブタンは、疎水性又は親油性化合物である。腸内での親油性化合物の吸収は、前記化合物の水性腸管流体内への溶解の速度又は程度を高めることが可能な薬学的許容可能な担体を使用することによって改善することができる。脂質担体は、例えば、スタッチリック,エム(Stuchlik, M.)及びザック,エス(Zak, S.)(2001)に記載されているように公知である。ここでの製剤は、経口液として投与することができ、或いは、種々のタイプのカプセル剤にカプセル剤化することができる。
【0203】
本発明は、一実施形態において、そのような化合物のトリアクリルグリセロール中での溶解による経口投与用に製剤される前記親油性NDGA化合物を含有する製剤を含み、次に、前記製剤は、経口投与用にカプセル剤化される。トリアクリルグリセロールは、グリセロール分子に連結した長鎖および/又は中鎖脂肪酸を有する分子である。前記長鎖脂肪酸は、約C14からC24の範囲であり、これらは一般的な脂肪内に見られる。前記中鎖脂肪酸は、約C6からC12の範囲であり、これらはココナッツ油又はヤシ核油中に見られる。ここでの使用に適したトリアクリルグリセロールは、同じグリセロール分子上にエステル化された、短鎖又は中鎖脂肪酸又はそれらの両方の混合物を含む構造脂質を含む。
【0204】
本発明の別実施形態において、単数又は複数の界面活性剤を、NDGA化合物と脂質担体とを含むカテコールブタンの混合物に対して、薬剤が油/界面活性剤の細かい小滴中に存在するように添加することができる。前記界面活性剤は、胃腸流体内での希釈時に前記油性製剤を分散するように作用することができる。
【0205】
本発明は、更に、親水性界面活性剤及び油からなるマイクロエマルジョン形態としての、NDGA化合物を含むカテコールブタンの経口投与用製剤を含む。前記マイクロエマルジョン粒子は、安定化された油と薬剤を含有する界面活性剤ミセルとすることができる。
【0206】
NDGA化合物を含むカテコールブタンの、固体脂質ナノ粒子製剤としての製剤も経口投与用に適している。固体脂質ナノ粒子は、例えば、スタッチリック,エム(Stuchlik, M)及びザック,エス(Zak,S.)(2001)に記載されているような、任意の従来方法で調製することができる。
【0207】
一実施形態において、前記固体脂質ナノ粒子は、昇温での溶解された脂質の均質化による高温均質化工程によって調製することができる。この工程において、前記固体脂質は、溶融され、NDGA化合物等のカテコールブタンがその溶融した脂質中に溶解される。次に、予め加熱された分散媒体を、その薬剤添加脂質溶融物と混合させ、この組み合わせを、均質化剤と混合して粗製の前エマルジョンを形成する。次に、脂質の溶融点以上の温度で高圧均一化を行い、油/水ナノエマルジョンを製造する。このナノエマルジョンを室温にまで冷却して固体脂質ナノ粒子を形成する。
【0208】
本発明の別実施形態において、前記固体脂質ナノ粒子は、低温均質化工程によって調製することができる。この工程において、脂質を溶融し、NDGA化合物などのカテコールブタンをこの溶融した脂質中で溶解させる。次に、その薬剤添加脂質を、液体窒素又はドライアイス中で固化させる。この固体薬剤−脂質を、粉砕機内で粉砕して50−100μmの粒子を形成する。次に、脂質粒子を低温の水性分散媒体中に分散させ、室温又はそれ以下で均質化して固体脂質ナノ粒子を形成する。
【0209】
本発明は、更に、NDGA化合物などの親油性カテコールブタンの、経口投与用のリポソーム又はミセルとしての製剤を含む。これらの製剤は、任意の従来方法によって製造することができる。ミセルは、通常、疎水性薬剤が、単分子層上で疎水性領域と結合している脂質単分子膜小胞である。リポソームは、通常、リン脂質二分子膜小胞である。親油性NDGA化合物などの親油性カテコールブタンは、通常、これらの小胞の中心に位置する。
【0210】
動脈内投与
本発明は、脳血液関門崩壊(“BBBD”)を伴う、又は伴わない、例えば、ドゥーリトル,エヌ・ディ(Doolittle, N.D.)他 (2000)及びクラフェシー,ティ・エフ(Cloughesy, T.F.)他 (1997)に記載されているような、そして、ドロウガス,ジェイ・ジー(Drougas, J.G.)他 (1998)及びデサイ,ディ・シー(Desai, D.C.)他 (2001)に記載されているような、肝動脈化学閉塞療法等における、閉塞有り又は無しで、従来の動脈内投与用の、前記NDGA化合物を含むカテコールブタンの製剤を含む。簡単な説明すると、NDGA化合物が閉塞によって、動脈内投与される場合、標的部位にいたる主動脈にカテーテルが挿入され、NDGA化合物がカテーテルを通して与えられる。NDGA化合物を標的部位により長い時間保持するために、動脈の塞栓形成が、ポリビニルアルコールのみ、又は、そのコイルとの組み合わせ、を使用して行われる。NDGA化合物の動脈内送達は、水溶性組成物に限られる。GN等の水溶性NDGA化合物、MN等の疎水性NDGA化合物のリポソーム製剤、又は、疎水性のNDGA化合物のナノ粒子製剤が、このタイプの送達に特に適している。ここでの薬剤又物質は、動脈内注射に先立って、食塩水に溶解させることができ、そのような注射の前に、ヘパリン処理と鎮静処理を行うことができる。脳腫瘍の最も安全な治療にためには、好ましくは、腫瘍負担が過度になる前に、動脈内投与が行われる。
【0211】
従来技術のような脳血液関門(“BBB”)の浸透性破壊を、例えば、ドゥーリトル,エヌ・ディ(Doolitle, N.D.)他 (2000), サトー,エス(Sato, S.)他, Acta Neuochir (Wien) 140: 1135-1141, disc 1141-1132 (1998)及びバッタチャージェー,エイ・ケイ(Bhattacharjee, A.K.)他 Brain Res Protocol 8: 126-131 (2001)に記載されているように、ここでの薬剤の動脈内送達に併用することができる。そのような処置を使用して、好ましくは動脈内送達の直前に、薬剤の中枢神経系(“CNS”)内への移送を増大させることができる。そのような崩壊のために、カテーテルが、脳へといたる、通常は、浅側頭動脈である、動脈内に挿入され、BBBがマンニトール溶液によって崩壊される。この侵襲性処置は、通常、患者が全身麻酔されている状態で行われる。このような治療は、抗痙攣薬および/又はアトロピンの事前の水和及び投与を必要するかもしれない。
【0212】
鼻腔内投与用のNDGA化合物の製剤
本発明は、鼻腔内投与用の、NDGA化合物によって例示されるカテコールブタンの製剤と、その鼻腔内投与とを含む。鼻腔内投与は、静脈内投与によって達成可能であるよりも、脳内での活性剤の濃度を有利に高めることができる。又、この投与形態は、その薬剤を受ける対象体の肝臓と腸とにおける初回通過代謝の問題を回避するものである。
【0213】
吸収可能な活性剤の量は、部分的には、血清タンパク質、糖タンパク質、脂質及び電解質の約95%の水溶液から成る粘液中での薬剤の溶解度に依存する。一般に、活性剤の親油性が増加するにつれて、CSFの薬剤濃度も増加する。例えば、ミン,エイ(Minn, A.)他 (2002)を参照。
【0214】
前記親水性NDGA化合物は、生理食塩水、リン酸緩衝液、又はリン酸緩衝生理食塩水などの薬学的に許容可能な担体中で溶解可能である。一実施形態において、例えば、カオ,エイチ・ディ(Kao, H.D.)他 (2000)に記載されているように、pH7.4の0.05Mリン酸緩衝液を、前記担体として使用することができる。
【0215】
本薬剤の鼻腔内投与は、それらの薬剤の投与時に、対象体の位置を調節することによって最適化することができる。例えば、患者の頭部を、直立−90度、仰臥90度、仰臥45度、又は仰臥70度に様々に位置させて最大の効果を得ることができる。
【0216】
前記NDGA化合物の組成物の担体は、薬学的に許容可能で、その組成物の活性物質と適合可能な任意の材料とすることができる。担体が液体である場合、それは、鼻流体に対して、低張又は等張のものであって、約4.5〜約7.5のpH内のものとすることができる。担体が粉体形態である場合、それも、許容可能なpH範囲内である。
【0217】
鼻腔内投与用の担体組成物は、選択的に、活性物質の鼻膜をわたって、そして嗅覚神経経路を経由した脳内への吸収を高めることが可能な親油性物質を含むことができる。そのような親油性物質の具体例は、非限定的に、ガングリオシド、及びホスファチジルセリンを含む。例えばミセル形態などの、前記組成物中には、単数又は複数の親油性アジュバントを含ませることができる。
【0218】
腫瘍およびその他の増殖性疾患、障害、又は症状の治療のための対象体への投与用の鼻腔内投与用の活性物質の前記薬用組成物は、例えば、U.S.6,180,603に記載されているような、従来方法によって製剤することができる。例えば、ここでの前記組成物は、散剤、顆粒、溶液、煙霧剤、点鼻薬、ナノ粒子又はリポソームとして製剤することができる。前記活性物質に加えて、前記組成物は、適当なアジュバント、緩衝剤、保存剤、塩、を含むことができる。点鼻薬等の溶液は、酸化防止剤、緩衝剤、等を含むことができる。
【0219】
移植による投与
前記NDGA化合物によって例示されるここでのカテコールブタンは、前記NDGA化合物を含有する生物分解性重合体の移植などの、腫瘍の外科切除有り又は無しの、腫瘍部位への外科的移植によって治療のために対象体に投与することができる。一実施例において、この治療法は、例えば、フレミング,エイ・ビー(Fleming, A.B.)及びソールツマン,ダブリュ・エム(Saltzman, W.M.),Pharmacokinetics of the Carmustine Implant, Clin. Pharmacokinet, 41: 403-419 (2002)に記載されているようにして、行うことができる。この投与方法は、脳腫瘍のみならず、他の腫瘍に対しても適用可能である。この治療は、放射線治療、化学治療又は免疫治療法などの、外科手術以外又はそれに加えて、他の従来の療法と組み合わせることができる。
【0220】
したがって、ここで前記生物分解性重合体は、ホスト組織に対する毒性又は有害作用無く間質流体中に溶解する、任意の重合体又は共重合体とすることが出来る。好ましくは、前記重合体又は、この重合体がそれから合成される単量体は、ヒトへの投与がFDAによって認可されているものである。溶解の速度を制御するために、ある単量体の他の単量体に対する比率を増加させる等、解重合の動態を制御するために、互いに異なる溶解特性の単量体を有する共重合体が好ましい。
【0221】
一実施形態において、前記重合体は、フレミング,エイ・ビー(Fleming, A.B.)及びソールツマン,ダブリュ・エム(Saltzman, W.M.), Pharmacokinetics of the Carmustine Implant, Clin. Pharmacokinet, 41:403-419 (2002)及びブレム,エイチ(Brem, H)及びガビキアン,ピー(Gabikian, P.)(2001)に記載されているように、1,3−ビス−(p−カルボキシフェノキシ)プロパン及びセバシン酸[p−(CPP:SA)]の共重合体である。別実施形態において、前記重合体は、フー,ジェイ(Fu, J. )他 (2002)に記載されているように、ポリエチレングリコール(“PEG”)とセバシン酸との共重合体である。
【0222】
重合体投与システムは、ここでの疎水性NDGA化合物と親水性NDGA化合物との両方の投与に適用できる。これらNDGA化合物は、前記生物分解性重合体と組み合わせられ、腫瘍部位に外科移植される。一部の重合体組成物は、ここでの静脈内又は吸入療法にも使用可能である。
【0223】
吸入による投与
前記NDGA化合物によって例示される前記カテコールブタンは、吸入による肺への投与によって、全身的および/又は局所的に投与することが出来る。薬剤の吸入投与は、大きな全身毒性を引き起こすことなく肺組織における高薬剤濃度を達成する方法として、又、薬剤の全身循環を達成する方法として、十分に受け入れられている。そのような製剤を製造するための技術は、従来のものである。肺疾患に対する有効性は、このように投与された疎水性NDGA化合物と親水性NDGA化合物とのいずれかで見ることができる。
【0224】
吸入を介した肺投与のために、ここでのNDGA化合物は、乾燥散剤、水溶液、リポソーム、ナノ粒子、又は重合体に製剤することができ、例えば、煙霧剤として投与できる。親水性製剤は、肺胞表面を介して、全身投与のために血液流に取り込むことができる。
【0225】
一実施形態において、ここでの活性物質を含有する前記重合体は、フー,ジェイ(Fu, J.)他 (2002)に記載されているように作られ、使用される。例えば、ここでの重合体は、セバシン酸とポリエチレングリコール(“PEG”)の重合体、又は、ポリ(乳酸−co−グリコール)酸(“PLGA”)、又は、ポリエチレンイミン(“PEI”)とポリ−L−リジン(“PLL”)の重合体、とすることができる。
【0226】
別実施形態において、吸入投与用のNDGA化合物は、チョイ,ダブリュ・エス(Choi, W.S.)他 (2001)に記載されているように、噴霧化の前に生理食塩水又はエタノール中に分解され、投与される。
【0227】
更に別の実施形態において、ここでの薬剤は、例えば、パットン,ジェイ・エス(Patton, J.S.)他,Inhaled Insulin, ADv. Drug Deliv. Rev., 35:235-247に記載されているように、任意の従来方法で乾燥散剤として投与される場合も有効である。
【0228】
本発明は、前記NDGA化合物を、例えば、ゴンダ,アイ(Gonda, I.)他 (1998)に記載されているように、例えば、SmartMistTMやAERxTM等の薬剤投与装置に埋め込まれたマイクロプロセッサの補助で、投与することを含む。
【0229】
本開示を読了したあと、当業者は、本発明の製剤の投与によって治療および/又は緩和されるかもしれないその他の病状および/又は症候を認識するであろう。
【実施例】
【0230】
以下の例は、当業者に、本発明をいかに調製し使用するかの完全な開示及び説明を提供するものであって、本発明者等が、自らの発明であると見なす範囲を限定するものではなく、下記の実験が全てであるとか、行われた実験はこれらのみであるとかを表すことを意図するものでもない。使用されている数字(例えば、量、温度、等)については正確なものとなるように努力が払われているが、一部との実験上のエラーと誤差については考慮されるべきである。特に銘記されないかぎり、部は重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏単位であり、圧力は大気圧又はそれに近いものである。
【0231】
例1:テトラ−O−メチル−NDGAの調製用バッチの調製
ここでMNと称されるテトラ−O−メチル−NDGAを、NDGAを、例えば、水酸化カリウム等の塩基の存在下で、過剰硫酸ジメチルと反応させることによって合成した。その生成物を、生成物の沈殿を引き起こす水の添加によって分離した。反応生成物を、塩基性アルミナのプラグを通過させて、微量フェノール不純物、主として、種々のジ−O−メチル及びトリ−O−メチル−置換NDGA、を取り除いた。反応混合物の溶液を前記アルミナプラグに通過させた後、溶媒を回転蒸発装置で除去し固体生成物を得た。これを、2−プロパノールで粉砕(triturated)し、真空炉で乾燥し、粗製テトラ−O−メチル−NDGAを得た。2−プロパノールからの結晶化によって、99.66%以上の純度のテトラ−O−メチル−NDGAを得た。
【0232】
工程1:テトラ−O−メチル−NDGAの粗製製剤の合成
機械式攪拌装置、冷却器、不活性雰囲気用の入口を備えた22Lのフラスコを冷却浴として使用されるタブ内にセットした。このフラスコを、アルゴン雰囲気下に置き、これに484.3グラムのNDGA(Western Engineering & Research Co, El Paso, TX)と4850mLのエタノールとを入れ、攪拌した。この攪拌されたスラリに、1210mLの脱イオン水中の387.5グラムの水酸化カリウムの溶液を添加した。この反応混合物を含むフラスコを、氷浴を使用して冷却し、硫酸ジメチル(1210mL)をゆっくりと(滴下)添加した。添加は、発熱を避けるように制御した。この添加の最後において、温度は約13℃であった。反応のpHをモニタし、50%KOH溶液を、塩基性pHを維持すべくその日の間、一部分、添加した:50%KOH溶液の全1400mLを添加した。過剰塩基の反応混合物は、pH指示片の使用による検出で約12のpHを示した。溶液は塩基性pHでは暗色であったが、中性又は酸性pHでは淡色に変化した。
【0233】
その日の最後に、追加の600mLの硫酸ジメチルを添加し、その反応混合物を一晩攪拌させた。翌朝、反応物はまだ塩基性であったが、反応は約90%進行していた。
【0234】
前記反応混合物を、4850mLの脱イオン水の添加によって急冷し、生成物を沈殿させた。この生成物を、濾過によって分離し、濾滓を、水で完全に洗浄し、その生成物を真空炉で50℃にて約65時間乾燥し、539.5gの粗製生成物を得た。この生成物を750mLの塩化メチレン中で溶解し、この溶液に375mLのトルエンを添加した。この溶液を、2215gの塩基性アルミナの短いカラムに通した。前記アルミナを、12,000mLの塩化メチレン/トルエン溶液(2:1)で溶出させた。溶媒の回転蒸発装置上での真空での除去によって固体残滓が得られた。これを、1Lの2−プロパノールによって粉砕(triturated)した。得られたスラリを濾過して固体生成物を分離した。これを真空炉で50℃、高真空状態で約21時間乾燥させ、426.7g(74%収率)の粗製テトラ−O−メチル−NDGAを得た。
【0235】
工程2:テトラ−O−メチル−NDGAの結晶化
機械式攪拌装置、冷却器、不活性雰囲気用の入口を備えた3Lのフラスコを加熱マントルにセットした。このフラスコに415.5gの前記生成物を入れた。このフラスコに1245mLの2−プロパノールを入れ、攪拌した混合物を加熱し、穏やかな還流を与え、溶液を得た。熱を止め、混合物を一晩冷却させた。結晶生成物を濾過によって分離し、濾過ケーキを200mLの低温2−プロパノールで洗浄した。この生成物を真空炉内で、50℃にて高真空状態で404.7g(NDGAからの70.5%総収率)まで乾燥させた。
【0236】
例2:NDGA化合物を含有するPLGAナノ粒子の調製
前記NDGA化合物は、任意の従来方法によってナノ粒子製剤として製剤できる。例えば、前記ナノ粒子は、ランプレヒト,エイ(Lamprecht, A.)他(2001a)及びランプレヒト,エイ(Lamprecht, A.)他(2001b)に記載されているように、下記のようにして調製可能である。
【0237】
生物分解性重合体 ポリ[DL−ラクチド−co−グリコリド]50/50(PLGA)(分子量5,000又は20,000)は、和光(大阪、日本)から購入可能である。約40mgのNDGA化合物を、250mgの重合体 ポリ[DL−ラクチド−co−グリコリド]50/50(PLGA)(分子量.5,000又は20,000)を含有する4mlの塩化メチレンに溶解することができる。その後、この溶液を、8mlの水性ポリビニルアルコール溶液(1%)に注ぎ、超音波化装置(Ultrasonic DisruptorモデルUR−200P;トミー精工、東京、日本)によって氷浴中で3分間均質化した。塩化メチレンは、減圧下で蒸発させることができ、重合体を沈殿させることができる。非カプセル剤化薬剤と遊離の界面活性剤からナノ粒子を遠心分離(14,000g、5分間)によって分離することができる。ナノ粒子は、再分散され、そして、凍結乾燥前に蒸留水中で三回、遠心分離することができる。経口投与前に、ナノ粒子は、pH6.8のリン酸緩衝液中で再分散させることができる。
【0238】
前記ナノ粒子の、粒径分布、表面電位を、光レーザ粒径解析装置(photal laser particle analyzer)LPA3100(大塚電子、大阪、日本)とZetasizer II(Malvern Instruments, ウースターシャー州、英国)とをそれぞれ使用して分析することができる。ナノ粒子の外形態は、JEOL JSM−T330A走査型顕微鏡(東京、日本)によって分析することができる。
【0239】
例3:NDGA化合物を有するPLGA/ビタミンE TPGSナノ粒子の調製
PLGAと別のマトリクス剤,d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(ビタミンE TPGS又はTPGS)とを含むNPを、ムー,エル(Mu, L.)及びフェン,エス・エス(Feng, S.S.)(2003)に記載されているように、改変の水中油の単一エマルジョン溶媒蒸発/抽出法で製造することができる。この方法において、既知量の重合体質量と、NDGA化合物とを塩化メチレン(ジクロロメタン)に添加する。前記重合体、例えば、ポリ−(DL−ラクチド−co−グリコリド (PLGA;L/G=50/50,MW40,000−75,000;L/G=75/25,MW90,000−120,000及びL/G=85/15,MW90,000−120,000)を、Sigma(USA)から購入することができる。ビタミンE TPGSは、Eastman Chemical, USAから入手可能である。全ての原料が溶解されるように前記混合物を攪拌する。次に、有機相の溶液を、乳剤有り又は無しで、攪拌された水溶液にゆっくり注ぎ、同時に50Wパルスモード(Misonix, USA)で超音波処理する。形成されたo/wエマルジョンを、一晩、磁気攪拌装置で室温(22℃)にて、ゆっくりと攪拌して前記有機相を蒸発させることができる。得られたサンプルは、10,000rpm、10分間,16℃(Eppendorfモデル5810R,Eppendorf,ハンブルグ、ドイツ)等での遠心分離によって収集することができ、一部のサンプルについては脱イオン水で1回又は2回洗浄することができる。調製された懸濁液を、凍結乾燥(Alpha-2,Martin Christ Freeze Dryers,ドイツ)し、ナノ粒子の細かい粉体を得て、これを真空乾燥器に入れ、そこに保存することができる。
【0240】
例4: NDGA化合物を含有するリポソームの調製
前記親油性薬剤等のNDGA化合物は、従来方法によって持効性リポソーム中にカプセル剤化することができる。そのような方法のひとつは、例えば、シャルマ,ユー・エス(Sharma, U.S.)他 (1997)に記載されている。
【0241】
持効性リポソームは、延長された血液循環時間を有する。それらは、通常、高位相−転移Tm脂質、高コレステロール含有率で、ホスファチジルイノシトール、モノシアロガングリオシド(GM)や、ポリエチレングリコール(PEG) 頭部基を有する合成リン脂質等の、リポソーム表面への血漿タンパク質の接近に対する立体障害を提供する、成分から構成される。
【0242】
一例において、ホスファチジルコリン(“PC”):コレステロール(“Chol”):ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンに結合したポリエチレングリコール(“PEG−DPPE”)を、9:5:1のモル比で含むリポソームを調製することができる。前記脂質を最初、クロロホルム中で混合し、脂質の薄膜を、溶媒の蒸発によって製造することができる。次に、これらの脂質を、NaCl(145mM),トリス[ヒドロキシメチル]−2−アミノエタン−スルホン酸(TES:10mM)及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA:0.1mM)緩衝液、pH7.2中からなる緩衝液で水和する。次に、リポソームを、0.08μmのポリカーボネートフィルタを介して複数回抽出することができる。
【0243】
別の例において、ジステアロイルホスファチジルコリン(“DSPC”):Chol:PEG−DSPEをモル比9:5:1で含むリポソームを、マッデン,ティ・ディ(Madden, T.D.)他(1990)に記載されているような「遠隔添加(remote loading)」法によって調製することができる。この遠隔装填法は、高濃度のNDGA化合物をリポソーム水性コア内にカプセル剤化することを可能にする。簡単に説明すると、脂質の薄膜を、硫酸アンモニウム(250mM,pH5.5)中で水和することができる。脂質懸濁液を、0.08μmのポリカーボネートフィルタを通して60℃で抽出し、等張のスクロースに対して一晩、透析して遊離の硫酸アンモニウムを除去することができる。親水性NDGA化合物を、10%(w/v)のスクロース中で水和し、予め形成されたリポソームと、65℃で1時間インキュベートすることができる。製剤を、等張のスクロースに対して透析して、カプセル剤化されていない薬剤の僅かな残り画分を除去することができる。この方法によって、初発のNDGA化合物の90%以上のカプセル剤化収率を得ることができる。
【0244】
ベレスティ,エイ(Belesti, A)他(1999)及びアヴゴウスタキス,ケイ(Avgoustakis, K.)他(2002)に記載されているように、触媒としてオクチル酸スズを使用した真空下での溶融重合法によって、モル比の異なる、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)−モノメトキシ−ポリ(ポリエチレングリコール)(PLGA-mPEG)共重合体を調製することができる。
【0245】
例5:NDGA化合物の鼻腔内製剤の調製
前記NDGA化合物は、例えば、マーティン,イー(Marttin, E.)他(1997)に記載されるもののような任意の従来方法によって鼻腔内投与用の乾燥散剤又は煙霧剤として製剤することができる。
【0246】
一実施例において、前記NDGA化合物は、MQ水、即ち、Millipore (Etten-Leur,オランダ)のMili−Q UFプラス超純粋水システムによって濾過された水に、無作為化メチル化β−シクロデキストリン(“RAMEB”)(置換度1.8)(Wacker, Burghausen,ドイツ)、マンニトール、又はグルコース、を含む溶液として製剤される。この製剤は、スプレー又は点鼻薬として投与することができる。前記液体製剤中のNDGA化合物の投与量は、約1mg/ml〜約1500mg/ml、又は、選択的に約10mg/ml〜約1200mg/ml、更には選択的に、約100mg/ml〜約1000mg/ml、更には選択的に、約200mg/ml〜約800mg/ml、又は、これの範囲内に属する任意の値、とすることができる。これらの液体製剤は、鼻孔内に噴霧したり、点鼻薬として投与したりすることができる。
【0247】
別実施例において、本発明は、前記NDGA化合物と、種々の量の、RAMEB、ラクトース、又はマンニトールをMQ水中に溶解させ、その混合物を、例えば、一晩、凍結乾燥させることによって調製される、NDGA化合物の凍結乾燥散剤製剤を含む。
【0248】
例6:生物分解性重合体移植片の調製
ここでのNDGA化合物は、手術不可能な腫瘍への移植のために生物分解性重合体に組み入れることができる。そのような生物分解性重合体は、例えば、フレミング,エイ・ビー(Fleming, A.B.)及びソールツマン,ダブリュ・エム(Saltzman, W.M.)(2002)に記載されているもののような、任意の従来方法によって製造することができる。通常、前記ポリマー移植片は、腫瘍の大半を除去した後に挿入される。この生物分解性重合体の単数又は複数のウエハを、所望の化合物の投与量に応じて、一度に移植することができる。前記重合体の生物分解性マトリクスは、ポリフェプロサン(polifeprosan)20、1,3−ビス−(p−カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸[p(CCP:SA)]の共重合体を20:80のモル比で含むものとすることができる。前記重合体を移植用に形成するために、p(CPP:SA)とここでの化合物を、ジクロロメタン中で同時に溶解し、噴霧乾燥させて、約1μm〜約20μmの寸法範囲の球状粒子を形成することが出来る。その結果得られる「微小球体(microsphere)」を圧縮成形して、任意の寸法、例えば、直径が約14mmで厚みが約1mmのウエハを形成することができる。これらのウエハ、小さな空隙に取り囲まれた密につめられた微小球体から成る均質構造を有する。NDGA化合物の濃度は、例えば、3.8%活性化合物など、治療される対象体に適切な任意の量にすることができる。
【0249】
例7:PLGA−mPEGナノ粒子の調製
前記NDGA化合物を含有するPLGA−mPEGナノ粒子を、ソン,シー・エックス(Song, C.X.)他(1997)によって記載されている二重エマルジョン法を少し改変した方法を使用して調製することができる。ここで、NDGA化合物の水溶液を、プローブ超音波処理(Bioblock Scientific,モデル75038)を使用して、前記共重合体が溶解されたジクロロメタン中で乳化することができる。この水/油エマルジョンを、コール酸ナトリウムの水溶液に移し、その混合物をプローブ超音波処理することができる。結果形成された水/油/水エマルジョンを、有機相の蒸発が完了するまで、室温でゆっくりと攪拌することができる。このようにして作られたナノ粒子は、遠心分離によって精製し、脱イオン化され蒸留された水で再構成することができる。次に、これらのナノ粒子を、例えば、1.2μmのフィルタ(Millex AP, Millipore)等を通して濾過することができる。
【0250】
例8: NDGA化合物を含有するプルロニックミセルの調製
プルロニックは、トリブロックPEO−PPO−PEO共重合体であり、PEOはポリ(エチレン酸化物)を表しPPOはポリ(プロピレン酸化物)を表す。疎水性の中央のPPOブロックはミセルコアを形成し、側方のPEOブロックは、ミセルを細網内皮系(“RES”)による認識から保護する、シェル又はコロナを形成する。プルロニック共重合体は、BASF Corp,及びICIから市販されている。前記NDGA化合物を、例えば、ラポポート,エヌ・ワイ(Rapoport, N.Y.)他(1999)に記載されているもののような任意の従来方法でプルロニックミセルに導入することができる。
【0251】
簡単に説明すると、例えば、前記NDGA化合物は、PBSやRPMI培地に溶解させ、その後、67kHzで作動する超音波処理浴中での短い、例えば15秒間、の超音波処理を行うことができる。この溶液は、約2時間37℃で保存し、これにより、溶解されていない薬剤を、1000Dカットオフ膜を通して、37℃で約12時間、PBS又はRPMI培地に対する透析によって除去することができる(透析は、10wt%と20wt%のプルロニック溶液に対してのみ行われる)。
【0252】
例9:移植によるNDGA化合物の投与
前記NDGA化合物の移植は、従来方法によって行うことができる。一実施例において、移植は、ブレム,エイチ(Brem, H.)及びガビキアン,ピー(Gabikian, P.)(2001)に記載されているように行われる。前記重合体移植片の挿入に先立って、腫瘍の大半が外科的に除去される(debulked)ことが好ましい。更に、脳脊髄液の漏出を無くし、感染のリスクを低減するために、硬膜を水密に閉じるべきである。又、神経学的妥協(neurological compromise)のために必要であれば、術前抗痙攣薬と高投与量ステロイドを使用することも望ましい。更に、ステロイド療法を、術後少なくとも2週間続けることが望ましい。
【0253】
例10:吸入を介したエタノール中のNDGA化合物の投与
ここでのNDGA化合物は、乾燥散剤や水溶液を含む、任意の従来の製剤を使用して吸入を介して投与することができる。前者は、安定性、微生物の成長に対する低い感受性、及び、ひと吹き当たりの高い質量、の利点を有する。水溶液は、より良好な再現性を提供し、疑集塊の問題を回避する。
【0254】
一実施例において、ある種の前記NDGA化合物が、チョイ,ダブリュ・エス(Choi, W.S.)他(2001)に記載の方法によって投与される。特定の化合物及びその溶解性に応じて、前記化合物を、例えば、約1mg/ml〜約1000mg/ml、又は、その任意の中間値、例えば、約2mg/ml〜約800mg/ml、約4mg/ml〜約100mg/ml、又は、約5mg/ml〜約50mg/ml、等のエタノール中の適当な濃度で製剤することができる。最大の深い肺投与のために、1−3μmの粒径の煙霧剤粒子を作り出すことができる。前記化合物のエタノール中のより良好な溶解性のためには、ここでの化合物をまず凍結乾燥し、その後、必要であれば、又は望ましいのであれば、HPO等で酸性化することができる。その結果得られる組成物のpHを、望ましいのであれば、NaOHによってpH7.4等に調節することができる。その後、得られる組成物を凍結乾燥させ、エタノール中に懸濁させ、超音波処理し、攪拌し、適当なサブミクロン粒径の粒子を製造することができる。次に、煙霧化された化合物を、コンプレッサ(空気噴流)、超音波式又は計量投与量吸入器などの標準的な市販の噴霧器を使用して投与することができる。一例は、PARI PRONEBコンプレッサとの組み合わせの、PARI LC Jet+噴霧器(PARI Respiratory Equipment,モントレー、カルフォルニア州)である。約9mlの量を前記噴霧器の貯蔵器に投入し、約10分間まで、噴霧することができる。
【0255】
別実施例において、吸入用の製剤は、ワン,ディ・エル(Wang, D.L.)他(2000)に記載されているように調製することができる。例えば、粉末化されたNDGA化合物を、10:90(v/v)ポリエチレングリコール300:0.5%(w/v)のアスコルビン酸と0.5%(w/v)のホスファチジルコリンとを含有する、100%エタノールに溶解させることができる。次に、この薬剤を、PariLC−plus噴霧器(Pari, Richmond, VA)を使用して噴霧化し、このようにして発生された煙霧剤に治療対象体を、その薬剤の投与量、達成されることが望まれる濃度、に応じて、異なる時間、晒すことができる。そのような時間は、約5分間、10分間、15分間以上とすることができる。
【0256】
例11:特定設計された吸入装置を使用したNDGA化合物の投与
前記NDGA化合物は、吸入の目的ためのその他多数の薬学的に許容可能な担体に製剤することができる。この例において、ここでの化合物のいくつかを、エンク,エイ・エイチ(Enk, A.H.)他(2000)に記載の方法によって投与することができる。そのような化合物は、約5%のグルコースと2%のヒトアルブミンとを含有する溶液に溶解することができる。次に、特別に設計された吸入装置を使用して吸入を行うことができる(Jetair, Fa,ホイヤー,ドイツ)。
【0257】
例12:口部損傷の治療のための洗口剤としてのNDGA誘導体の投与
口腔に対するNDGA誘導体の投与は、例えば、アームストロング,ダブリュ・ビー(Armstrong, W.B.)他 (2000)に記載されているもののような、従来技術である賦形剤を使用した洗口剤としての使用に関する。NDGA誘導体を、使用の直前に、例えば、Roxane Saliva Substitute(Roxane Laboratories, コロンバス、オハイオ)等の適当な投与流体中に再構成された散剤として分散させる。次に、患者は、薬剤混合物を吐き出すか、飲み込む前に、NDGA誘導体懸濁液を約1分間口の中に保持する。この手順が、口腔へのNDGA誘導体の局所投与のために、少なくとも一日に一回、行われる。
【0258】
或いは、口腔へのNDGA誘導体の投与は、エプスタイン,ジェイ・ビー(Epstein, J.B.)他 (2001)に記載されているもののような洗口剤を利用するものとすることができる。簡単に説明すると、前記NDGA誘導体を、約0.1%のアルコールとソルビトールとを含有する洗口剤に調製する。患者は、例えば、一回の濯ぎにつき約5ml等の、適当な量を与えられ、これで口の中を約1分間濯ぎ、その後、吐き出す。この手順が、口腔へのNDGA誘導体の局所投与のために、少なくとも一日に一回、行われる。
【0259】
例13:MNの全身又は経口投与後におけるマウスの腫瘍成長の阻止
この例において、本発明者等は、MNの癌治療潜在能力を、複数のヒト癌異種移植片モデルに対する生体内でのその抗癌有効性と、薬学的に関連するレベルでの種々の投与経路を通じて全身投与される能力との両方を調べることによって、大幅に拡張した。この例は以下を示す。(1)腹腔内(IP)注射、静脈内(IV)注射、及び経口給飼を含む全身投与の種々の経路を介して生体内で投与された時、MNは、マウスに対する明白な毒性がほとんど、又はまったく無しで、種々の器官と腫瘍とに対して一貫して分布する。(2)MNの全身IP投与は、4種類のヒト癌タイプ、即ち、MCF−7乳癌、Hep3B肝細胞癌、HT−29結腸直腸癌、及びLNCaP前立腺癌、からの異種移植片の生体内成長を効果的に遅延させ、MNの全身経口投与は、LNCaP異種移植片腫瘍の成長を効果的に抑制する−今のところLNCaP腫瘍のみが経口投与有効性の研究において評価されている。
【0260】
細胞ラインと培養条件 ヒト腫瘍細胞ラインは、ATCC(Mannassas,VA)から購入した。ヒト肝細胞癌細胞ライン、Hep 3B、とヒト乳上皮腺癌細胞ライン、MFC−7は、イーグル最少必須培地+10%FBS+ペニシリン+ストレプトマイシン中で成長させた。ヒト結腸直腸腺癌細胞ラインHT−29は、マッコイ5a培地+10%FBS+ペニシリン+ストレプトマイシン中で成長させた。ヒト前立腺癌細胞ラインLNCaPは、RPMI 1640+10%FBS+ペニシリン+ストレプトマイシン中で成長させた。
【0261】
マウス
6−8週齢のメスのICRマウスを、Harlan Sprague Dawley (Indianapolis, IN)から購入した。C57bl/6マウスを、Charles River Laboratories (Wilmington, MA)から購入した。胸腺欠損(thy−/thy−)ヌードマウス、5−6週齢のオスとメス、をCharles River Laboratoriesから購入し、国際動物保護及び使用ガイドラインに基づき、制御された温度と湿度の無病原室に収納した。
C3−細胞誘発腫瘍を有するC57bl/6マウスを、キム,イー・エイチ(Kim, E.H.)他(2004)に記載されているように準備した。
【0262】
ヒト腫瘍の異種移植片アッセイ 無胸腺ヌードマウスに、2.5x10Hep 3B細胞、2x10 LNCaP細胞、1x10 HT−29細胞、又は2x10 MCF−7細胞を、それらの脇側に皮下移植した。腫瘍が7〜8mmの平均直径を示した後、マウスを二つのグループ、溶媒のみを受ける対照グループと、Cremaphor EL−エタノール系溶液システムに溶解させたMNを受けるグループのいずれか、に割り当てた。割当は、対照グループと実験グループとの両方が同程度の寸法の腫瘍を有するマウスを含むように行われた。
【0263】
Nを、ロガンツォ(Loganzo)他(2003)に記載されているように、6% Cremaphor EL,6%エタノール、88%生理食塩水中に溶解させた。マウスに、2mgのMNを含有する一日当たり100μL.i.p.の注射を3週間与えた。対照マウスには、同量の賦形剤を与えた。腫瘍を、7日間毎に、二つの垂直寸法(LとW)で測定し、腫瘍の体積を、下記の式:V=(LxW/2)xπ/6、によって算出した。それぞれのマウスからの結果を、時間対の平均腫瘍体積としてプロットした。腫瘍体積の平均差の統計上の有意性を、スチューデントT検定によって評価した。実験の最後に、cdc2とサバイビン(survivin)発現の免疫組織学的な解析のために、腫瘍生検を収集した。
【0264】
H−M−Nを使用したMN組織分布の研究
Harlan ICRマウス又はC3細胞誘発腫瘍C57bl/6マウスに、尾静脈を介して、100μCiのトリチウム標識M4Nと60mMの非放射性のMNとを含有する100μLのCremaphor−エタノール系溶剤を腹腔内注射した。特定の注射後時に、これらのマウスを犠牲にし、その器官と血液を収集し、計量し、4Mグアニジンイソチオシネート(GITC)中に一晩溶解させた。その後、不溶性ペレットを更にEtOHで抽出した。GITC抽出物とEtOH抽出物との両方のトリチウム含有率を、パッカード シンチレーション カウンターで測定し、各器官のMNの量を、接種原の特異的活性に基づいて算出した。
【0265】
短期及び長期経口給飼後の組織分布及び毒性分析
短期給飼実験のために、300μLのひまし油中に溶解させた30mgのMNを、6匹のマウスのそれぞれに経口投与した。投与の2時間後、4時間後、及び8時間後に、2匹のマウスを犠牲にし、器官と血液を収集し、下記のように、MNを抽出し、定量化した。長期給飼実験では、マウスに、コーン油に溶解させたMNとBasal Mixとから成るフードボール(Harlan Teklad;Madison, WI;Cat.#TD02273)を14週間与えた。フードボールの重さは9gで、それぞれが242mgのMNを含有していた。2匹のマウス、一匹のオスと一匹のメス、を長期薬剤保持研究のために確保し、14匹のマウス、オスとメスの双方、の長期薬剤毒性研究のために使用した。給飼の終わりに、マウスを犠牲にし、器官と血液を収集し、下記のようにしてMNを抽出し、定量化した。
【0266】
経口給飼後のMN抽出とHPLC解析
N給飼マウスから収集した器官と血液を、一晩−80℃で凍結させた。凍結の前に、胃腸器官(胃と、小腸と結腸)を長手方向に切開し、全ての含有物を除去するためにPBSで徹底的に洗浄した。次の日、器官を剃刀でドライアイス上にて小片に切断し、スピード−バック(Speed-vac)中で乾燥させ、その後、乳鉢と乳棒とを使用して粗い粉体に粉砕した。サンプルを、振とうしながら、100%エタノール中で一晩、抽出した。サンプルを遠心分離し、上清を収集した。ペレットを、振とうしながら、更に2回、100%エタノール中に抽出した。貯蔵されたエタノール抽出物を、ベンチトップ上で数日間蒸発させ、その後、酢酸エチルで再度抽出し、スピード−バック内で完全に乾燥させた。これらの乾燥サンプルを、次に、HPLCによって定量化分析し、M4Nを、標準として純粋MNを使用した質量分析法によって同定した。
【0267】
短期給飼マウスからのサンプルでは、組織抽出物からMNを更に精製するために、透析を行った。乾燥したエタノール抽出物を、1.5mLの100%EtOH中で再度溶解させ、5分間遠心分離した。上清を収集し、ペレットを、0.4mLのエタノール中で再懸濁し、再び遠心分離した。上清を、前の上清と共に貯蔵し、その後、一晩150mLの100%EtOHに対して透析した。これらの透析物を、ベンチトップ上、及びスピード−バック内で乾燥させ、その後、HPLCによって分析した。
【0268】
NのHPLC定量化
各時点における一匹のマウスからのサンプルを、HPLC分析のために、KP Pharmaeuticals(Bloomington, IN)に送った。HPLC条件は以下の通りであった。35%:0.1% TFA/HO、65%=“CAN”。NN標品を、100mLのCANに10.01mgのM4Nを希釈することによって調製し、その後、5分間超音波処理した(2002ng/注射)。サンプルを、400μL EtOHを添加し、2分間、又は、完全な溶解が達成されるまで、超音波処理することによって調製した。これらのサンプルの注射量は100μLであった。
【0269】
腹腔内、静脈内及び経口投与後、MNは、種々の組織に対して全身的に、かつ、検出可能な毒性無く、分散する。
−単数の腹腔内又は静脈内投与後のMNの全身分布
US6,608,108に記載されているように、前の研究によって、MNのマウスのC3−誘発腫瘍への局所腫瘍内注射後の大きな殺腫瘍活性が示された。しかし、僅かな例外を除き、非全身腫瘍内化学療法の臨床使用は、十分定義されている原発損傷、即ち、乳部、結腸直腸、肺及び前立腺、によって特徴付けられる高死亡率癌においてさえ稀である。むしろ、臨床腫瘍学における医療の従来の学識及び標準は、外科処置後に、臨床状態において適切と考えられる場合には、全身化学療法および/又は放射線療法を、行うということのままである。多くの原発腫瘍、更に、転移性疾患の効果的な治療には、全身投与が必要であるので、MNが生体内で全身に分布する能力が評価された。
【0270】
トリチウム標識MNと非放射性MNの混合物を、6% Cremaphor EL,6%エタノール、88%生理食塩水溶媒に溶解し、マウスに、腹腔内(i.p.)及び尾静脈を介した静脈内(i.v.)で注射した。注射の3時間後、器官と血液を採取し、計量し、MNを抽出した。各器官からの抽出物のトリチウム含有量をパッカード シンチレーション カウンターで測定し、各器官のMNの量を、接種原の特異的活性に基づいて算出した。図1A及び1Bに図示されているように、MNは、i.p.とi.v.の投与経路の両方による注射の3時間後において、種々の器官に有効に分布していた。興味深いことに、投与経路の違いにも拘わらず、非常によく似た組織分布プロファイルが得られ、このことは、薬剤分散のランダムでは無く、恐らくは規制された機序を示すものである。これについて詳述すると、下記の経口投与を使用して、非常によく似た分布プロファイルが観察された。回収された放射性活性の大半は、組織1g当たり3μg〜20μgMNの範囲で、胃腸管器官、胃、小腸、盲腸、大腸、に局在していた(図1A)。有意な量のMNは肝臓と脂肪にも存在しており、組織1g当たり150ng〜400ngの範囲での、より低い濃度(図1B)が、脳、腎臓、及び脾臓に検出された。但し、注射後3時間で、心臓や血液中にはMNは全く、又はほとんど検出されなかった。結論として、M4Nは、i.p.又はi.v.注射を介して種々の特定の組織に全身的に投与することができる。
【0271】
以前の実験は、MNは、ある単一時点において種々の組織に対して全身的かつ比較的迅速に送達することが可能であることを示した。単回の投与後の組織におけるMNの時間分布を測定するために、又、遠位の腫瘍へMNを送達する能力を評価するために、6匹のC3細胞誘発腫瘍マウス(A〜F)を、上述したようにi.p.によってH−MNで治療した。注射の4時間後、6時間後、18時間後及び6日後、種々の組織と腫瘍におけるH−MNの量を測定した。図2に示す結果、MNの全身分布させる能力が確認され、ここでも、MNの大半は、消化管器官、脂肪及び肝臓に局在し、より少量が脳と腎臓とに検出された。興味深いことに、そして、前の3時間注射からは明らかでなかったことであるが、脂肪と脾臓とは、4時間と6時間の間にMNの迅速な増加を示した。比較的少ない量、湿潤腫瘍1グラム当たり294ngのMN、ではあるが有意の量のMNが、注射の6時間後の腫瘍中に測定された。最初の投与後のMNの組織分布の変化は、これらの組織における0時間〜6時間でのMNのレベルの増加を示し、そのピークは約6時間であった。18時間の時、MNのレベルは大幅に減少したが、注射の6日後では、大半の組織において有意のMNのレベルがまだ検出可能ではあったが、MNレベルは、6時間後に見られたものの5〜10%まで減少していた。
【0272】
−短期及び長期経口給飼後の全身組織分布と生体外での毒性評価
前の実験によって、MNは、明らかな毒性無く、IP注射とIV注射との両方によって生体内で全身的に分布させることが可能であることが示された。但し、経口投与の便利性及び容易性、特に、長期の外科手術後のアジュバント治療の場合は、患者に対する薬剤投与を容易にし、かつ、患者の生活質を改善するであろう。従って、IP及びIV投与に加えて、MNを経口投与によって全身分布させる能力も調べた。短期(8時間未満)給飼実験と長期(14週間)給飼実験との両方において、種々の組織中のMNレベルとそれらの生体内毒性とを評価した。短期実験では、マウスに、ひまし油中に溶解された30mgのMN(100mg MN/mL,ひまし油)を給飼し、給飼の2時間後、4時間後及び8時間後に、種々の組織中に存在するMNの量をHPLCによって測定した。表1に示す通り、給飼の2時間後では、各組織において比較的少量のMN(組織1グラム当たり<2ng)が見られた。給飼の2時間後から4時間後では、肝臓、すい臓、腎臓、精嚢、小腸、胃、大腸、盲腸及び血液を含む大半の器官が、MNの大きな増加を示した。4時間では、IP投与とIV投与とで見られたように、MNの大半は、組織1グラム当たり4ng〜45ngの範囲で、胃腸管器官に局在していた。有意の量のMNがすい臓にも存在しており、組織1グラム当たり0.1ng〜2ngの範囲のより低い濃度が、心臓、肝臓、精嚢、血液及び膀胱に検出された。給飼の8時間後では、MNレベルは、ほとんど全ての器官において減少し、大半の器官からはMNは無くなっていた。結論として、MNは、30mgのMNの一回の経口投与後に、種々の器官に一過的に分布された。MNレベルは、給飼の約4時間後にピークに達し、MN濃度は、IP及びIV単回投与において見られるものよりも大幅に低かった。
【0273】
【表1】

【0274】
長期給飼実験の目的は、14週間の連続経口投与後における種々のマウス器官中のMNの安定状態レベルを測定することにあった。重さ約9gで、約280mgのMNを含有するフードボールを、野生型のマウスに14週間連続投与した。1つの9gのフードボールが、一匹のマウスによって約3日間で消費され、これは、一日当たり93.3mgのMN消費又は投与量に相当する。HPLC定量化は、経口投与が、MNを、分析されたすべての器官に全身的に分布させていたこと、そして、驚くべきことに、IP, IV及び経口での一回の投与において見られたものを遥かに上回る濃度でMNを全ての器官において蓄積されたことを示した。組織1グラム当たり350μg及び90μgのMNが、消化管器官と脾臓とにおいて測定され、15μg/g〜30μg/gのMNが、肺、すい臓、精嚢、血液及び脂肪中に測定され、5μg/g〜13μg/gのMNが心臓、肝臓、腎臓及び膀胱に測定された。
【0275】
全身長期経口投与後に高レベルのMNが種々の器官に存在したにも拘わらず、活動と全体的な体重変化の日々の評価において、毒性の徴候は認められなかった(図3)。
【0276】
M4Nの全身治療は、ヒト腫瘍異種移植片の生体内での成長を抑制する
(1)MNは、種々のヒト腫瘍細胞の成長を効果的に防止することを示したわれわれの細胞培養分析と、(2)MNは、無毒性投与量で全身に分布することができることを示した我々の生体内での観察、とに基づき、と我々は、MNの全身投与がヒト腫瘍の生体内での成長を抑制するか否かを調べた。無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7胸部腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植した。ほとんどのマウスは、両脇腹に癌が成長したが、何匹かは単一の癌のみが成長した。腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶媒中に溶解した2mgのMNを含有するi.p.注射を一日一回三週間に渡って受けた。対照マウスは賦形剤のみを受けた。腫瘍を、7日毎に一回二つの垂直方向(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した。
【0277】
【数4】

【0278】
図4に図示されているように、21日間に渡るM4Nの全身投与によって、4種類のすべての腫瘍での平均腫瘍成長において統計的に有意(p < 0.05)な減少があった。21日間の全身M4N投与後、MCF−7腫瘍は、平均腫瘍体積において、対照腫瘍の平均体積の僅か25.5%にまで74%減少し(表2)、HT−29腫瘍は平均体積において70%減少し、Hep3B肝臓主要は80%減少し、LNCaP前立腺腫瘍は53%減少した。
【0279】
表3は、各投与群の腫瘍の総数を示し、それぞれを、前記21日間の投与において寸法が全体として増加したか、減少したかに基づいてに分類している。4種類すべての腫瘍において、対照腫瘍の100%が、それぞれ腫瘍寸法の増加を占めた。しかし、MN投与マウスでは、21日間の全身MN投与後、10個のMCF−7腫瘍のうちの7個の寸法が減少し、7個のHep3B腫瘍のうちの2個の寸法が減少し、11個のHT−29腫瘍のうちの3個の寸法が減少し、11個のLNCaP腫瘍のうちの9個の寸法が減少した。纏めると、47個の対照群の腫瘍でその100%で寸法が増大したのに対して、39個のうち21個、つまり53%のMN投与腫瘍が、21日間の全身投与後に寸法が減少し、39個のMN投与腫瘍のうちの残りの18個が、それらの開始時の腫瘍寸法からは増加したものの、大半が21日間の投与中に成長の阻害を示した。各タイプの腫瘍に認められた有意な殺腫瘍作用にもかかわらず、前記マウスの体重と一般的健康状態が21日間の投与に渡ってモニターされたが、いずれのマウスにおいても毒性は示されなかった。
【0280】
【表2】

【0281】
【表3】

【0282】
例14:ヒトにおける安全性の研究
この例において、本発明者等は、ヒトにおけるNDGA誘導体投与の、頭部及び頸部癌の治療としての安全性及び有効性を明白に示した。この例は、患者年齢範囲、疾患発達段階、及び二つの異なる治療法にわたる二つの別々の臨床試験の結果を記載するものである。この例によって以下が示された(1)MNは、毎週約495mgまでの投与量を三週間、又は、一日につき20mgで、5日間まで、で、薬剤関連毒性無く、投与可能である。この毎日のMNの投与は、MNを一日当たり20mgの投与量で5日間までの、併用療法有り又は無しで行うことができ、その後、病巣の外科的切除が行われる。(2)これらの治療法の両方が、これらの治療を完了した患者における壊死の誘発の点において80%以上の有効性を提供した。(3)US以外での試験(ex-US study)の長期経過追跡において、患者の64%が、疾患がない状態に維持され、又、NDGA誘導体暴露に対する長期作用も無かった。
【0283】
US第I相腫瘍内頭部及び頸部癌試験
第I相臨床試験が、US INDのもとで完了された。平均対象体年齢は、66歳(53〜82歳)であった。8名の男性対象体と1名の女性対象体が参加した。平均体重は139ポンド(102〜219ポンド)であって。すべての患者は、難治の頭部及び頸部癌と診断されていた。
【0284】
9名の患者に、M4Nの腫瘍内投与で、毎週、三週間、5mg/cm腫瘍体積(2名の対象体)、10mg/cm腫瘍体積(2名の対象体)、15mg/cm腫瘍体積(3名の対象体)、及び20mg/cm腫瘍体積(2名の対象体)、を投与した。週に495mgまで三週間の投与量を投与した。
【0285】
3名の対象体はプロトコルによって研究を完了した。2名の対象体は、試験中に、試験投薬と関連する可能性が低いと考えられる原因で死亡した。1名の対象体は、プロトコルの要件を満たすために移動することが出来なかったために、MNの3回の投与後に、同意を撤回した。1名は、偶発的な神経周囲投与に関連する注射時の重篤な放散痛を経験した後、同意を撤回した。1名が、その腫瘍が安全な2回目の投与を可能とするには頚動脈に余りにも近いと見なされたために、1回の投与後に撤退された。1名は、腫瘍の進行の結果、撤回された。その他の点では投与に関連する有害事象は僅かなものであり、注射時における軽い又は中程度の痛みを含むものであった(4名の対象体)。MN投与が原因とされるその他の有害事象は無かった。散発性で、そして非再現性の軽いLFTの上昇が2名の対象体で見られ、これらは、まだ治療中に解消した。血液パラメータには、薬剤を原因とする変化は見られなかった。
【0286】
6件の重篤な有害事象(SAE)が4名の対象体で報告された。これら重篤な有害事象は、上室性頻脈(1名の対象体における2つの別々の場合での2つの発症)、肺炎、脱水、および腫瘍の進行からの死亡(1名の対象体)、及び研究の19日後の死亡(原因不明)を含むものであった。全症例において、SAEは、そのような投薬との関係が低い、又は無関係であると見なされた。
【0287】
三回の投与を受けた6名の対象体の内の5名において、注射後に薬剤に関連する腫瘍の壊死が起こった。腫瘍の回りの健全な組織には損傷はなかった。瘻孔の形成が、腫瘍が完全な厚さであったところで発生した。腫瘍は、又、やわらかくなった、又は、「平らに延びた」ことも銘記されたが、縁部における残りの腫瘍が成長し続け、このことは全身投与がより適切であるかもしれないということを示唆した。3回の投与を完了した前記6名の対象体のうちの3名において、腫瘍の体積減少が放射線によって確認された。投与量は、一般的に良好に許容された。
【0288】
例15.M4Nの14日間の静脈内投与後のビーグル犬での安全性の研究
この実験において、オス及びメスのビーグル犬に対するMNの二種類の製剤[Cremaphor−エタノール(CET)又はジメチルスルホキシド(DMSO)]の製剤の最大耐容量(MTD)を測定した。この例は、MNが、犬に対して、四時間にわたる静脈内注入で、CET賦形剤の場合は10mg/kgまで、DMSO賦形剤の場合は100mg/kgまで、安全に投与されたことを示している。これらの製剤で、最小の毒性で、14,000ng/ml MN以下の血中レベルが達成された。
【0289】
M4N−CET グループの血管アクセスポート(Vascular Access Port:VAP)移植外科手術
VAPをビーグル犬に対して、注入カテコールの先端が、上大静脈の準位に位置するように移植した。犬は、外科手術の日に、鎮痛剤と抗生物質とによって、又、手術後は、抗生物質および/又は鎮痛剤によって予防的に処理された(適切な場合には、Gene Logic Inc. SOP Nos. 324.0.2、325.0.1及び326.0.2によって)。その他の処置が、スタッフの獣医による推奨により、提供された。カテーテルラインを、研究指導者によって適切であると見なされた頻度で、術後の回復時期中に、生理食塩水によって洗浄した。
【0290】
VAPが、MN−DMSOの注入を受けるように指定された犬に移植されたが、DMSOは、動物内のVAPに付着した注入カテーテルに適合しないことがわかった。従って、MN−DMSOグループ動物には、4時間の時間にわたり30分間毎に、非−VAP頚静脈を介して、8回の静脈内注射によってMN−DMSOが投与された。この送達頻度は、注入ポンプを使用した試験物の送達を模したものであった。
【0291】
【表5】

【0292】
前記CETグループからの動物を、注入期間全体と、注入後の少なくとも一時間後とに観察した。DMSOグループの犬は、頚静脈注入期間全体と、最後(8回目)の注入後の少なくとも1時間とに観察した。
【0293】
毒物動態学(TK)解析のための血液サンプルの収集
前記CETグループ動物からの血液サンプルを、下記の時点、即ち、投与前、約4時間の注入の完了後の、0.25,0.5.1,2,4,8及び16時間後、研究日(SD)1,SD3,SD6及びSD8に頚静脈を介して収集した。
【0294】
前記DMSOグループ動物からの血液サンプルを、下記の時点、即ち、投与前、MN−DMSOの最終注入後の、投与前、0.25,0.5,1,2,4,8及び16時間後、SD1,SD3,SD6及びSD8に頭部静脈を介して収集した。
【0295】
両動物グループから収集された血液サンプルを、血漿及び血清のTK解析のために処理した。
【0296】
TK分析
前記血漿及び血清サンプルを、TK分析のために本提供者が指定した研究所である、MedTox Laboratoriesに送った。MN血漿及び血清濃度−時間データのTK分析を、MedTox Laboratoriesによる確証方法(M200406)を使用して行い、非コンパートメント法によって分析し、毒物動態学的パラメータ(データによって可能である場合)、但し、Cmax,Tmax及びAUCに必ずしも限定されるものではない、の推定値を得た。
【0297】
研究日1(SD1):
a)MN−CETグループ
オス犬:CET注入に対して、最初の一時間半で、紅斑、蕁麻疹、そう痒、嘔吐、下痢、及び一般的な傾眠で反応した。そのあと、回復を始め、歩き回り始め、水を飲み始めた。注入終了後直ぐに正常に挙動した。
メス犬:嘔吐と下痢が無かったこと以外はオス犬と類似の反応であった。そのアレルギー反応も、オス犬よりも軽かった。注入終了後直ぐに正常に挙動した。
【0298】
b)MN−DMSOグループ
オス犬:DMSO注入に対して、軽度の紅斑、軽いそう痒、で反応した以外は、正常であった。最後の注入終了後直ぐに正常に挙動した。メス犬:オス犬と類似の反応。最後の注入終了後直ぐに振る舞いは正常になった。4匹の犬全部がそのそれぞれの賦形剤処理の注入に生き残った。それらはすべて治療後、健康で正常に挙動した。
【0299】
研究日3(SD3):
a)MN−CETグループ
オス犬:M4N− CET(1mg/kg)注入に対して、軽い紅斑、蕁麻疹、そう痒、で反応した。この日のこれらの反応は、SD1のものよりも軽度であった。具体的には、動物には、嘔吐、下痢及び傾眠は無く、SD1においてよりもより機敏であった。注入終了後直ぐに正常に挙動した。メス犬:MN−CET(1mg/kg)当日の注入に対するその反応は、SD1に観察されたものよりも更に軽度であった。そのアレルギー反応は、軽い紅斑とそう痒を含んでいたが、その4時間の注入期間全体を通じて一般的に極めて機敏であった。注入終了後直ぐに正常に挙動した。
【0300】
b)MN−DMSOグループ
オス犬:この犬によるなんら有害な臨床反応はなかった。予想されたように、頚静脈の沿った注射部位にいくらかの炎症があった。
メス犬:この犬によるなんら有害な臨床反応はなかった。予想されたように、頚静脈の沿った注射部位にいくらかの炎症があった。
4匹の犬全部がそのそれぞれの試験物治療に生き残った。それらはすべて治療後、健康で正常に挙動した。
【0301】
研究日6(SD6):
a)MN−CETグループ
オス犬:以前の二つの投与日に類似し、この動物は、注入に対して軽い紅斑、蕁麻疹及び、そう痒で反応した。これらの反応の強度は、SD3での反応よりも確実に小さかった。動物は、嘔吐や下痢をせず、注入期間全体を通して一般的に機敏であった。注入終了後直ぐに正常に挙動した。
メス犬:以前の投与への反応と一致して、オス犬よりも当日の注入によく耐容性を示した。動物は軽度の紅斑、及び、そう痒を示したが、ほとんど機敏であった。注入終了後直ぐに正常に挙動した。
【0302】
b)MN−DMSOグループ
オス犬:この犬は、最初の3回の投与間隔(投与の間に1/2時間)において非−VAP頚静脈を介してMN−DMSOをうまく静脈内注射された。前の投与日と同様、この犬も各注射後において、なんら有害な臨床的徴候又は症候群を示さなかった。4回目の注射に先立って、技術者は、注射部位の周りに「卵の寸法」の腫れに気づいた。皮下投与ミスの可能性は、それは、3回目の注射中に容易に検出されたであろうため、除外することができた。それは、注射部位を通して血液がゆっくりと血管外放出した結果の血腫である可能性が最も高かった。この動物は、三回目の注射後、それ以上の投与を受けなかったが、但し、血液サンプルは収集され、三回目の注射投与後の血液収集の正確な時点は明確に記録された。血腫は、2時間以内に無くなり、注射部位領域をゆっくりマッサージしても動物に炎症を起こさせることはなかった。
メス犬:この犬は、4時間にわたる8回反復投与全体においてMN−DMSOをうまく注射された。前の投与日と同様、この犬もなんら有害な臨床的徴候又は症候群を示さなかった。
【0303】
研究日8(SD8):
a)MN−CETグループ
オスとメスの両方の犬が全投与を受けた。この高投与量に対するそれらの反応は、紅斑、蕁麻疹、及び、そう痒を含む、以前の投与日に示されたものに類似していた。嘔吐や下痢は無かった。動物は、注入終了後直ぐに正常に挙動した。
【0304】
b)MN−DMSOグループ
オスとメスの両方の犬が全投与を受けた。この高投与量に対するそれらの反応は、前の投与日に示されたものに類似していた。両方の犬が嘔吐の無い、いくらかの悪心反応を示し、それは通常よりも傾眠であったことからより多くの消化管炎症があったと思われた。しかし、両方の犬が、全高投与量の投与療法に生き残り、投与の完了後には回復したようであった。
【0305】
N−DMSOグループのための追加投与(200mg/kg)
N−DMSOを100mg/Kg投与された動物はなんら有害な臨床的徴候又は症候群を示さなかったので、二匹の予備の犬(オス1匹とメス1匹)に、MN−DMSOを200mg/Kg投与した。200mg/Kgでは、メス犬は、8回の投与の最初のあとに既に呼吸困難(鼻からの泡立ち)を経験し、直ぐに虚脱したが、二回目の投与時では回復することができ。二回目の投与後、その反応は、類似していたが、更に深刻であった。従って、スタッフ獣医はこのメス犬を安楽死させることを提案した。オス犬は、それよりも僅かに耐性を示したが、類似の呼吸困難と虚脱症候群を示した。この動物は全部で三回の投与を受けたが、スタッフ獣医はそれ以上の投与を停止することを提案した。
この追加投与のためには投与後のTK分析は行われず、当日に収集された全ての投与前血液サンプルは破棄された。
【0306】
TK分析
a)MN−CETグループ
【0307】
【表6】

【0308】
一般に、異なる投与レベルのM4N−CETの4時間の静脈内投与によって、初期の時点においては極度に高い血清濃度となり、注入終了後の30分後でピークに達した(表7)。試験物の血清濃度は、その後の15時間で減少した。
【0309】
b)MN−DMSOグループ
【0310】
【表7】

【0311】
一般に、4時間の異なる投与レベルのMN−DMSOの反復静脈内投与によって、極度に高い血清濃度となった。表9に報告されている血清濃度データは、検出範囲に対応するための血清の全身希釈後の結果である。これらの結果は、一般的に、MN−DMSOの血清濃度が、初期の時点において高く、最後の注射の30分後にピークに達したことを示している。試験物の血清濃度は、その後の15時間で低下した。このグループからの血清濃度に基づき、反復静脈内投与による投与時の、MN−DMSOの半減期間は、約1.5〜2時間であった。このMTD相におけるMN−DMSOの投与前血清濃度から、血液中において試験物の僅かな増大があったが、この保持は一般に最高の血清濃度の0.3%以下であったことが銘記される。
【0312】
この研究のMTD相の目的は、オスとメスのビーグル犬に対する二種類のMN製剤(Cremaphor−エタノール又はジメチルスルホキシド)の最大耐容量を判断することにあった。MN−CETを受けた動物グループは、Cremaphor−エタノールの効果に合致する臨床徴候及び症候群である、そう痒、紅斑、蕁麻疹、及び眠気の反応を示した。MN−DMSOの反復注射を受けた動物グループは、100mg/kgで、注射部位でのいくらかの炎症と、僅かな悪心を示した。しかし、両方の動物は、200mg/kgのMN−DMSOの2又は3回の注射後は虚脱した。このグループからのTK分析は、MN−DMSOの半減期が1.5〜2時間の範囲であることを示唆している。このMTD相における試験物の僅かな増大があったが、この保持は一般に最高の血清濃度の0.3%以下であった。結論として、この研究のMTD相は、重篤な有害臨床徴候及び症候群をもたらした投与量が同定され、したがって、この相の目的が達成されたことで成功であった。
【0313】
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【図面の簡単な説明】
【0314】
【図1A】静脈内および腹腔内注射の3時間後における種々の器官へのMNの全身分布を示し、マウスに、100μCiのH−MNと60mMの未標識MNとを注射し、注射の3時間後に器官と血液を収集、及び計量し、MNを抽出し、これら器官抽出物のトリチウム含有率を測定し、各器官中のMNの量を、接種物の比活性に基づいて計算したものであり、比較的高い量のMNを含む各器官に見られた、1グラムの組織当たりのMNのマイクログラム単位の量を示している。
【図1B】静脈内および腹腔内注射の3時間後における種々の器官へのMNの全身分布を示し、マウスに、100μCiのH−MNと60mMの未標識MNとを注射し、注射の3時間後に器官と血液を収集、及び計量し、MNを抽出し、これら器官抽出物のトリチウム含有率を測定し、各器官中のMNの量を、接種物の比活性に基づいて計算したものであり、比較的低い量のMNを含む器官を示している。
【図2】図2は、種々の時点におけるMNの全身組織分布プロファイルを図示しており、マウスに、100μCiのH−MNと60mMの未標識のMNとを注射し、注射の4,6,18時間後と6日後とに器官と血液を収集、及び計量し、MNを抽出し、これら器官抽出物のトリチウム含有率を測定し、各器官中のMNの量を、接種物の比活性に基づいて算出した。
【図3A】明白な毒性を示していない、MNの長期経口給飼中のマウスの体重を示し、オスとメスのマウスに、9gの重さで、280mgのMNを含有するフードボールを14週間、連続給飼し、平均で、マウスは、一日当たり、93.3mgのMNを消費し、対照マウスには、MNを含有しないフードボールを給飼し、体重を周期的に記録した図。
【図3B】明白な毒性を示していない、MNの長期経口給飼中のマウスの体重を示し、オスとメスのマウスに、9gの重さで、280mgのMNを含有するフードボールを14週間、連続給飼し、平均で、マウスは、一日当たり、93.3mgのMNを消費し、対照マウスには、MNを含有しないフードボールを給飼し、体重を周期的に記録した図。
【図4A】MNによる治療がヒト腫瘍異種移植片の生体内成長を阻害することを示し、無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植し、腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受け、腫瘍を7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した図。
【図4B】MNによる治療がヒト腫瘍異種移植片の生体内成長を阻害することを示し、無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植し、腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受け、腫瘍を7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した図。
【図4C】MNによる治療がヒト腫瘍異種移植片の生体内成長を阻害することを示し、無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植し、腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受け、腫瘍を7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した図。
【図4D】MNによる治療がヒト腫瘍異種移植片の生体内成長を阻害することを示し、無胸腺ヌードマウスに、s.c.で、各脇側に、MCF−7乳腺癌細胞と、Hep3B肝細胞癌細胞、HT−29結腸直腸癌細胞、及びLNCaP前立腺癌細胞、を移植し、腫瘍が7〜8mmの平均直径に達した時、マウスは、100μLのCremaphor−エタノール系溶液中に溶解した2mgのMNを含有する注射を一日一回i.p.で、三週間にわたって受けた。対照マウスは溶媒のみを受け、腫瘍を7日毎に一度、二方向の垂直寸法(LとW)において測定し、腫瘍体積を式によって算出した図。
【図5】異なる時点において異なる投与量のMNを与えられた犬におけるMN血清濃度を示している図。
【図6】脳腫瘍の治療のための脳への前記NDGA誘導体の送達の種々の態様の具体例の略図であり、MNは親水性NDGAを示し、GNは親油性NDGAを示し、ODは脳血液関門の浸透性崩壊を、SCは皮下投与を示し、IPは腹腔内投与を示し、IMは筋肉内投与を示す。
【図7】腫瘍の治療のための、脳以外の組織への前記NDGA誘導体の送達の種々の態様の具体例の略図であり、MNは、親水性NDGAを示し、GNは親油性NDGAを示し、SCは皮下投与を、IPは腹腔内投与、IMは筋肉内投与を示す。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカテコールブタンと、薬用的に許容可能な担体又は賦形剤とを含み、前記薬用組成物が、疾患組織に対する直接注射又は皮膚に対する局所投与以外の経路による投与用に製剤される対象体の疾患を治療するための薬用組成物。
【請求項2】
前記疾患が、炎症性疾患以外である請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項3】
前記疾患が、小膠細胞活性化又は刺激に関連する炎症性疾患以外である請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項4】
前記疾患が、増殖性疾患である請求項1、2又は3に記載の薬用組成物。
【請求項5】
前記増殖性疾患が、悪性、前悪性又は良性癌である請求項4に記載の薬用組成物。
【請求項6】
前記疾患が、HIV感染から生じる又はそれに関連する請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項7】
前記疾患が、HPV感染から生じる又はそれに関連する請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項8】
前記疾患が、HSV感染から生じる又はそれに関連する請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項9】
前記組成物が、鼻腔内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項10】
前記組成物が、経口投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項11】
前記組成物が、遅効性及び速効性カプセル剤から成るグループから選択される1つとして製剤されている請求項10に記載の薬用組成物。
【請求項12】
前記組成物が、吸入用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項13】
前記組成物が、皮下投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項14】
前記組成物が、経皮投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項15】
前記組成物が、閉塞有り又は無しで、動脈内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項16】
前記組成物が、頭蓋内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項17】
前記組成物が、脳室内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項18】
前記組成物が、静脈内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項19】
前記組成物が、口腔投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項20】
前記組成物が、腹腔内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項21】
前記組成物が、眼内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項22】
前記組成物が、筋肉内投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項23】
前記組成物が、移植用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項24】
前記組成物が、中心静脈投与用に製剤されている請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項25】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項26】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、リン酸緩衝生理食塩水を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項27】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、生理食塩水を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項28】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、脂質系製剤を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、リポソーム製剤を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項30】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ナノ粒子製剤を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項31】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ミセル製剤を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項32】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、水溶性製剤を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項33】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、生物分解性重合体を含む請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項34】
前記カテコールブタンが、以下の式を有する、
【化1】

及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレン又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、
、R、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−H又は低級アルキルであり、そして、
、R及びRが、独立的に、−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又は任意の隣接する二つの基が共にジオキシアルキエンとすることができ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である、請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項35】
及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、
、Rが、独立的に、低級アルキルであり、
、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−Hであり、そして
、R及びRが、独立的に、−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である、請求項34に記載の薬用組成物。
【請求項36】
及びRが、独立的に、−H、低級アルキル、低級アシル、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩であり、
、Rが、独立的に、低級アルキルであり、
、R、R、R10、R11、R12及びR13が、独立的に、−Hであり、そして、
及びRが、独立的に、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸残基又はその置換物又は塩である、請求項35に記載の薬用組成物。
【請求項37】
及びRが、独立的に、−CH又は−(C=O)CHN(CH又はその塩である請求項36に記載の薬用組成物。
【請求項38】
及びRが、独立的に、−OCH又は−(C=O)CHN(CH又はその塩である請求項36に記載の薬用組成物。
【請求項39】
及びRが、独立的に、−CH、−(C=O)CHN(CH又は−(C=O)CHH(CH.Clであり、そして、R及びRが、独立的に、−OCH、−O(C=O)CHN(CH又は、−O(C=O)CHH(CH.Clである請求項36に記載の薬用組成物。
【請求項40】
前記カテコールブタンが、NDGAではないことを条件として、R及びRが、独立的に、−H又は−CHであり、そして、R及びRが、独立的に、−OH又は−OCHである請求項36に記載の薬用組成物。
【請求項41】
及びRが、独立的に、−CHであり、そして、R及びRが、独立的に、−OCHである請求項36に記載の薬用組成物。
【請求項42】
前記カテコールブタンが、NDGAである請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項43】
前記カテコールブタンが、NDGA以外である請求項1に記載の薬用組成物。
【請求項44】
請求項1に記載の薬用組成物を製造する方法であって、以下の工程、
(a)請求項34〜43のいずれか一項に記載の少なくとも1つのカテコールブタンを提供する工程、
(b)請求項25〜33のいずれか一項に記載の少なくとも1つの薬学的許容可能な担体又は賦形剤を提供する工程、
(c)前記カテコールブタンと前記薬学的許容可能な担体又は賦形剤とを組み合わせる工程、を含む薬用組成物を製造する方法。
【請求項45】
対象体の疾患を治療する方法であって、以下の工程、
(a)少なくとも1つのカテコールブタンと薬学的に許容可能な担体とを含む組成物を提供する工程、そして
(b)前記組成物を前記対象体に、疾患組織に対する直接注射又は局所的適用以外の経路で投与する工程、を含む疾患を治療する方法。
【請求項46】
前記疾患が、炎症性疾患以外である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記疾患が、小膠細胞活性化又は刺激に関連する炎症性疾患以外である請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患が、増殖性疾患である請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記増殖性疾患が、悪性、前悪性又は良性癌である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患が、HIV感染から生じる又はそれに関連する請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記疾患が、HPV感染から生じる又はそれに関連する請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患が、HSV感染から生じる又はそれに関連する請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、前記組成物を鼻腔内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記方法が、前記組成物を経口投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記方法が、前記組成物を吸入によって投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が、前記組成物を皮下投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、前記組成物を経皮投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、前記組成物を閉塞有り又は無しで、動脈内投与する工程を含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法が、前記組成物を頭蓋内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、前記組成物を脳室内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記方法が、前記組成物を静脈内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記方法が、前記組成物を口腔投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記方法が、前記組成物を腹腔内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記方法が、前記組成物を眼内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、前記組成物を筋肉内投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、前記組成物を移植によって投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記方法が、前記組成物を中心静脈経由で投与することを含む請求項45〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、リン酸緩衝生理食塩水を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、生理食塩水を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、脂質系製剤を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、リポソーム製剤を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ナノ粒子製剤を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ミセル製剤を含む請求項53〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、水溶性製剤を含む請求項53〜91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、生物分解性重合体を含む請求項53〜91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記カテコールブタンが、請求項34〜41のいずれか一項に記載の式を有する請求項45に記載の方法。
【請求項78】
前記カテコールブタンが、テトラ−O−メチルNDGAである請求項45に記載の方法。
【請求項79】
前記カテコールブタンが、テトラ−グリシニルNDGA又はテトラ−ジメチルグリシニルNDGAである請求項45に記載の方法。
【請求項80】
前記カテコールブタンが、トリ−O−メチルNDGAを含む請求項45に記載の方法。
【請求項81】
前記カテコールブタンが、NDGAである請求項45に記載の方法。
【請求項82】
前記カテコールブタンが、NDGA以外である請求項45に記載の方法。
【請求項83】
前記方法が、少なくとも二つのカテコールブタンを投与する工程を含む請求項45に記載の方法。
【請求項84】
前記二つのカテコールブタンが、実質的に同時に投与される請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記二つのカテコールブタンが、異なる時間に投与される請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記二つのカテコールブタンが、トリ−O−メチル−NDGA、テトラ−O−メチル−NDGA及びテトラ−グリシニルNDGA、テトラ−ジメチルグリシニルNDGAから成るグループから選択される請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記ナノ粒子製剤が、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)、ポリビニルアルコール、d−α−トコフェリル ポリエチレングリコール1000コハク酸塩、及びポリ(ラクチド−co−グリコリド)−モノメトキシ−ポリ(ポリエチレングリコール)から成るグループから選択される少なくとも1つを含む請求項73に記載の方法。
【請求項88】
前記リポソーム製剤は、ホスファチジルコリン/コレステロール/PEG−DPPE、ジステアロイルホスファチジルコリン/コレステロール/PEG−DPPE、及び1−2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン/1−2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)ナトリウム塩/コレステロール/トリオレイン/トリカプリリンから成るグループから選択される少なくとも1つを含む請求項72に記載の方法。
【請求項89】
前記癌が、固形腫瘍、リンパ腫又は白血病である請求項49に記載の方法。
【請求項90】
前記癌が、悪性、前悪性又は良性脳腫瘍、鼻咽頭腫瘍、頭部及び頚部腫瘍、肝臓腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、乳部腫瘍、膀胱腫瘍、膵臓腫瘍、胃腫瘍、大腸腫瘍、子宮腫瘍、(子宮)頚部腫瘍、及び皮膚腫瘍及びそれらに対する転移から成るグループから選択される請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記方法が、前記組成物を一度以上投与することを含む請求項45に記載の方法。
【請求項92】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤は、水性製剤である請求項45に記載の方法。
【請求項93】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、疎水性製剤を含む請求項45に記載の方法。
【請求項94】
前記疎水性製剤が、脂質系賦形剤を含む請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、ヒマシ油、ピーナッツ油、ジメチルスルホキシド、及びその他の食物脂肪又は油から成るグループから選択される少なくとも1つを含む請求項45に記載の方法。
【請求項96】
前記組成物が、錠剤、散剤、ゲルカプセル剤、液剤、及び洗口液から成るグループから選択される1つの形態に製剤される請求項45に記載の方法。
【請求項97】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、重合体製剤を含む請求項45に記載の方法。
【請求項98】
前記重合体製剤が、生物分解性重合体製剤である請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、一定時間に渡って、高い局所的薬剤濃度と持続的放出を許容する請求項45に記載の方法。
【請求項100】
前記重合体製剤が、1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン、セバシン酸、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、及びポリ(ラクチド−co−グリコリド)から成るグループから選択される少なくとも1つを含む請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記カテコールブタンが、投与前に、生理食塩水、DMSO又はエタノールに溶解される請求項45に記載の方法。
【請求項102】
前記組成物が、散剤、煙霧剤、水性製剤、リポソーム製剤、ナノ粒子製剤、及び疎水性製剤から成るグループから選択される少なくとも1つである請求項45に記載の方法。
【請求項103】
前記組成物が、所定時間にわたって毎日投与される請求項45に記載の方法。
【請求項104】
前記組成物が、間欠的に投与される請求項45に記載の方法。
【請求項105】
前記カテコールブタンが、前記対象体内に注入される請求項45に記載の方法。
【請求項106】
前記カテコールブタンが、水溶性化合物である請求項45に記載の方法。
【請求項107】
前記カテコールブタンが、疎水性化合物である請求項45に記載の方法。
【請求項108】
前記カテコールブタンが、液剤、煙霧剤、洗口液、懸濁液、錠剤、散剤、又はゲルカプセル剤として製剤される請求項45に記載の方法。
【請求項109】
請求項1に記載の組成物を前記対象体に投与する工程を有し、前記ウイルス感染が、HIV、HPV、又はHSVから生じる、又はそれに関連するものである、対象体のウイルス感染を治療する方法。
【請求項110】
前記カテコールブタンが、ヒトに対して、毎投与当たり、約10mg/kg以上で375mg/kg以下の範囲で投与される請求項45に記載の方法。
【請求項111】
前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で250mg/kg以下である請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約200mg/kg以下である請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約150mg/kg以下である請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約100mg/kg以下である請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約75mg/kg以下である請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記範囲が、毎投与当たり、約10mg/kg以上で約50mg/kg以下である請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記組成物が、静脈内投与される請求項110〜116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記カテコールブタンが、トリ−O−NDGA又はテトラ−O−メチル−NDGAである請求項110〜116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
請求項1に記載の組成物と前記組成物の投与のための取扱指示とを含む疾患治療用のキット。
【請求項120】
乳部、肝臓、胃、膵臓、結腸直腸、大腸及び前立腺から成るグループから選択される組織又は器官から生ずる、又は、それに関連する対象体の、悪性、前悪性又は良性腫瘍を治療する方法であって、以下の工程、
(a)テトラ−O−メチルNDGAと薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む組成物を提供する工程、そして
(b)前記組成物を前記対象体に投与する工程、を有し、前記組成物が、前記腫瘍に対する直接注射又は局所投与以外によって投与される悪性、前悪性又は良性腫瘍を治療する方法。
【請求項121】
前記組成物が、経口投与される請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、油である請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記油が、ヒマシ油又はコーン油である請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記組成物が、食用ミックスとして存在する請求項121に記載の方法。
【請求項125】
前記組成物が、所定期間、毎日投与される請求項121に記載の方法。
【請求項126】
前記組成物が、毎日、5日間以上1週間投与される請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記組成物が、毎日、5日間以上2週間投与される請求項125に記載の方法。
【請求項128】
前記組成物が、毎日、5日間以上3週間投与される請求項125に記載の方法。
【請求項129】
投与される前記テトラ−O−メチルNDGAの量が、毎投与当たり少なくとも30mgである請求項121に記載の方法。
【請求項130】
投与される前記テトラ−O−メチルNDGAの量が、毎投与当たり少なくとも90mgである請求項121に記載の方法。
【請求項131】
前記テトラ−O−メチルNDGAが、前記組成物中において20mg/mLの濃度で存在する請求項121に記載の方法。
【請求項132】
前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤が、Cremaphor EL、エタノール及び生理食塩水を含む請求項120に記載の方法。
【請求項133】
前記Cremaphor EL濃度が、6%である請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記エタノール濃度が、6%である請求項132に記載の方法。
【請求項135】
前記生理食塩水濃度が、88%である請求項132に記載の方法。
【請求項136】
前記対象体に投与される前記組成物が、毎投与当たり少なくとも2mgのテトラ−O−メチルNDGAを含む請求項132に記載の方法。
【請求項137】
前記組成物が、静脈内投与される請求項132に記載の方法。
【請求項138】
前記組成物が、腹腔内投与される請求項132に記載の方法。
【請求項139】
前記組成物が、所定期間、6日間毎に一回以上の頻度で投与される請求項137又は138に記載の方法。
【請求項140】
前記組成物が、所定期間、2日間毎に一回以上の頻度で投与される請求項139に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−500229(P2007−500229A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533343(P2006−533343)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016235
【国際公開番号】WO2005/007080
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(505431260)ジョンズ・ホプキンズ・ユニバーシティ (5)
【出願人】(505431064)エリモス・ファーマスーティカルズ・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】