腫瘍の診断と治療のための組成物と方法
【課題】正常細胞又は他の癌細胞と比較して、1以上の種類の癌細胞に大量に発現する細胞膜随伴ポリペプチドを同定すること、及び、それらポリペプチドとそれらがコードする核酸を使用して哺乳動物の癌の治療的処置及び診断的検出に有用な組成物を生成する方法を提供する。
【解決手段】正常な非癌細胞の一又は複数の型の表面より、癌細胞の一又は複数の型の表面で多く発現される細胞性ポリペプチド(及びそれらのコード核酸又はその断片)の同定を行なった。該ポリペプチドは、腫瘍関連抗原性標的(Tumor-associated Antigenic Target)ポリペプチド(「TAT」ポリペプチド)であり、哺乳動物における癌治療及び診断の効果的な標的となることが予想される。哺乳動物の腫瘍の診断と治療のために有用な組成物と、同用途のためにその組成物を使用する方法。
【解決手段】正常な非癌細胞の一又は複数の型の表面より、癌細胞の一又は複数の型の表面で多く発現される細胞性ポリペプチド(及びそれらのコード核酸又はその断片)の同定を行なった。該ポリペプチドは、腫瘍関連抗原性標的(Tumor-associated Antigenic Target)ポリペプチド(「TAT」ポリペプチド)であり、哺乳動物における癌治療及び診断の効果的な標的となることが予想される。哺乳動物の腫瘍の診断と治療のために有用な組成物と、同用途のためにその組成物を使用する方法。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号14〜34のいずれか1つのHVR−L1配列、
(b)配列番号35〜58の1つのHVR−L2配列、
(c)配列番号59〜73のいずれか1つのHVR−L3配列、
(d)配列番号74〜93のいずれか1つのHVR−H1配列、
(e)配列番号94〜112のいずれか1つのHVR−H2配列、及び
(f)配列番号113〜118のいずれか1つのHVR−H3配列
からなる群より選択された少なくとも1つのHVR配列を含んでなる単離された抗体。
【請求項2】
配列番号184〜193のいずれか1つのHVアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を更に含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
配列番号194〜197のいずれか1つのHLアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を更に含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項4】
配列番号184〜193のいずれか1つのHVアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列、及び配列番号194〜197のいずれか1つのHLアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を更に含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項5】
抗体断片である、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
キメラ抗体又はヒト化抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
成長阻害剤にコンジュゲートしている、請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
細胞障害性剤にコンジュゲートしている、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位元素及び核溶解性酵素からなる群より選択される、請求項8に記載の抗体。
【請求項10】
細胞障害性剤が毒素である、請求項8に記載の抗体。
【請求項11】
毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群より選択されるものである、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
毒素がメイタンシノイドである、請求項10に記載の抗体。
【請求項13】
細菌中で生成される、請求項1に記載の抗体。
【請求項14】
CHO細胞中で生成される、請求項1に記載の抗体。
【請求項15】
結合する細胞の死を誘発する、請求項1に記載の抗体。
【請求項16】
前記細胞が卵巣癌細胞である、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
検出可能に標識される、請求項1に記載の抗体。
【請求項18】
表11に示されるハイブリドーマ細胞系のいずれかによって生成される抗体のいずれかの相補性決定領域の少なくとも1つを含んでなる、単離された抗体。
【請求項19】
表11に示されるハイブリドーマ細胞系のいずれかによって生成されるモノクローナル抗体。
【請求項20】
TAT10772ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞。
【請求項21】
請求項1、18又は19に記載の抗体である第二の抗体が結合するTAT10772抗原性エピトープに結合する第一の抗体を同定する方法であって、該第一の抗体の、該第二の抗体のTAT10772ポリペプチドに対する結合を遮断する能力を決定することを含んでなり、該第二の抗体のTAT10772ポリペプチドに対する結合を遮断する該第一の抗体の能力が、等しい抗体濃度で少なくとも40%であった場合に、該第一の抗体の、該第二の抗体が結合するエピトープに対する結合能が示される、方法。
【請求項22】
配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質を発現する細胞の成長を阻害する方法であって、前記細胞に、請求項1、18又は19に記載の抗体を接触させることを含んでなり、該抗体の該タンパク質に対する結合により、該細胞の成長を阻害する方法。
【請求項23】
前記細胞が卵巣癌細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質を発現する細胞を含む癌性腫瘍を持つ哺乳動物の治療的処置方法であって、該哺乳動物に対し、請求項1、18又は19に記載の抗体の治療的有効量を投与することにより、該哺乳動物を効果的に処置する方法。
【請求項25】
前記癌性腫瘍が卵巣腫瘍である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
TAT10772タンパク質を含むと思われる試料中における該タンパク質の存在を決定する方法であって、該試料を、請求項1、18又は19に記載の抗体に曝し、該試料中の該タンパク質に対する該抗体の結合を決定することを含んでなり、該タンパク質に抗体が結合する場合に、該試料中における該タンパク質の存在が示される、方法。
【請求項27】
前記試料が、前記タンパク質を発現すると思われる細胞を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が卵巣癌細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体が検出可能に標識される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法であって、該哺乳動物から採取した組織細胞からなる試験試料と、同じ組織から採取した既知の正常細胞からなるコントロール試料とにおける、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなり、コントロール試料より試験試料における該タンパク質の発現レベルが高い場合に、試験試料を採取した哺乳動物に腫瘍があることが示される方法。
【請求項31】
前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを決定する工程が、インシツハイブリダイゼーション又はRT−PCR分析にオリゴヌクレオチドを使用することを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを決定する工程が、免疫組織化学分析又はウエスタンブロット分析に抗体を使用することを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍が、卵巣、胸部又は膵臓の腫瘍である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法であって、該哺乳動物から採取した組織細胞からなる試験試料に、請求項1、18又は19に記載の抗体を接触させて、試験試料中での該抗体とTAT10772タンパク質との複合体の形成を検出することを含んでなり、複合体の形成により、該哺乳動物に腫瘍があることが示される方法。
【請求項35】
前記組織細胞からなる試験試料が、癌性腫瘍を有すると思われる個体から採取されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記癌性腫瘍が、卵巣、胸部又は膵臓の腫瘍である、請求項35に記載の方法。
【請求項1】
(a)配列番号14〜34のいずれか1つのHVR−L1配列、
(b)配列番号35〜58の1つのHVR−L2配列、
(c)配列番号59〜73のいずれか1つのHVR−L3配列、
(d)配列番号74〜93のいずれか1つのHVR−H1配列、
(e)配列番号94〜112のいずれか1つのHVR−H2配列、及び
(f)配列番号113〜118のいずれか1つのHVR−H3配列
からなる群より選択された少なくとも1つのHVR配列を含んでなる単離された抗体。
【請求項2】
配列番号184〜193のいずれか1つのHVアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を更に含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
配列番号194〜197のいずれか1つのHLアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を更に含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項4】
配列番号184〜193のいずれか1つのHVアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列、及び配列番号194〜197のいずれか1つのHLアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を更に含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項5】
抗体断片である、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
キメラ抗体又はヒト化抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
成長阻害剤にコンジュゲートしている、請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
細胞障害性剤にコンジュゲートしている、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
細胞障害性剤が、毒素、抗生物質、放射性同位元素及び核溶解性酵素からなる群より選択される、請求項8に記載の抗体。
【請求項10】
細胞障害性剤が毒素である、請求項8に記載の抗体。
【請求項11】
毒素が、メイタンシノイド及びカリケアマイシンからなる群より選択されるものである、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
毒素がメイタンシノイドである、請求項10に記載の抗体。
【請求項13】
細菌中で生成される、請求項1に記載の抗体。
【請求項14】
CHO細胞中で生成される、請求項1に記載の抗体。
【請求項15】
結合する細胞の死を誘発する、請求項1に記載の抗体。
【請求項16】
前記細胞が卵巣癌細胞である、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
検出可能に標識される、請求項1に記載の抗体。
【請求項18】
表11に示されるハイブリドーマ細胞系のいずれかによって生成される抗体のいずれかの相補性決定領域の少なくとも1つを含んでなる、単離された抗体。
【請求項19】
表11に示されるハイブリドーマ細胞系のいずれかによって生成されるモノクローナル抗体。
【請求項20】
TAT10772ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞。
【請求項21】
請求項1、18又は19に記載の抗体である第二の抗体が結合するTAT10772抗原性エピトープに結合する第一の抗体を同定する方法であって、該第一の抗体の、該第二の抗体のTAT10772ポリペプチドに対する結合を遮断する能力を決定することを含んでなり、該第二の抗体のTAT10772ポリペプチドに対する結合を遮断する該第一の抗体の能力が、等しい抗体濃度で少なくとも40%であった場合に、該第一の抗体の、該第二の抗体が結合するエピトープに対する結合能が示される、方法。
【請求項22】
配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質を発現する細胞の成長を阻害する方法であって、前記細胞に、請求項1、18又は19に記載の抗体を接触させることを含んでなり、該抗体の該タンパク質に対する結合により、該細胞の成長を阻害する方法。
【請求項23】
前記細胞が卵巣癌細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質を発現する細胞を含む癌性腫瘍を持つ哺乳動物の治療的処置方法であって、該哺乳動物に対し、請求項1、18又は19に記載の抗体の治療的有効量を投与することにより、該哺乳動物を効果的に処置する方法。
【請求項25】
前記癌性腫瘍が卵巣腫瘍である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
TAT10772タンパク質を含むと思われる試料中における該タンパク質の存在を決定する方法であって、該試料を、請求項1、18又は19に記載の抗体に曝し、該試料中の該タンパク質に対する該抗体の結合を決定することを含んでなり、該タンパク質に抗体が結合する場合に、該試料中における該タンパク質の存在が示される、方法。
【請求項27】
前記試料が、前記タンパク質を発現すると思われる細胞を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が卵巣癌細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体が検出可能に標識される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法であって、該哺乳動物から採取した組織細胞からなる試験試料と、同じ組織から採取した既知の正常細胞からなるコントロール試料とにおける、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを決定することを含んでなり、コントロール試料より試験試料における該タンパク質の発現レベルが高い場合に、試験試料を採取した哺乳動物に腫瘍があることが示される方法。
【請求項31】
前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを決定する工程が、インシツハイブリダイゼーション又はRT−PCR分析にオリゴヌクレオチドを使用することを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを決定する工程が、免疫組織化学分析又はウエスタンブロット分析に抗体を使用することを含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍が、卵巣、胸部又は膵臓の腫瘍である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法であって、該哺乳動物から採取した組織細胞からなる試験試料に、請求項1、18又は19に記載の抗体を接触させて、試験試料中での該抗体とTAT10772タンパク質との複合体の形成を検出することを含んでなり、複合体の形成により、該哺乳動物に腫瘍があることが示される方法。
【請求項35】
前記組織細胞からなる試験試料が、癌性腫瘍を有すると思われる個体から採取されたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記癌性腫瘍が、卵巣、胸部又は膵臓の腫瘍である、請求項35に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2012−188449(P2012−188449A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−130286(P2012−130286)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2008−518225(P2008−518225)の分割
【原出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サランラップ
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130286(P2012−130286)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2008−518225(P2008−518225)の分割
【原出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サランラップ
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】
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