説明

腫瘍マーカーおよびがんの治療標的としてのCDC45L

本発明は、CDC45L遺伝子およびPIF1遺伝子が癌において過剰発現し、かつ癌細胞の生存に関与するという知見に基づいている。本発明は、診断マーカーとしてCDC45L遺伝子および/またはPIF1遺伝子を用いる、がんを診断するための、またはがんを有する対象の予後を評価/判定するための方法を特徴とする。本発明はまた、CDC45L遺伝子またはPIF1遺伝子に対する二本鎖分子、そのような二本鎖分子を用いてがんを治療および/または予防するための方法または組成物を特徴とする。また、分子標的としてCDC45Lおよび/またはPIF1を用いる、肺癌を治療および予防するための候補化合物を同定する方法も開示する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の生物学的試料中のCDC45Lおよび/またはPIF1の発現レベルを測定する段階を含む、対象におけるがんを検出または診断する方法であって、該レベルが該遺伝子の正常対照レベルと比較して上昇していることにより、該対象ががんに罹患しているかもしくはその発症リスクを有することが示されるかまたは該対象におけるがんの存在が示され、該発現レベルが、
(a)CDC45L遺伝子のmRNAおよび/またはPIF1遺伝子のmRNAを検出すること、
(b)CDC45L遺伝子によってコードされるタンパク質および/またはPIF1遺伝子によってコードされるタンパク質を検出すること、ならびに
(c)CDC45L遺伝子によってコードされるタンパク質および/またはPIF1遺伝子によってコードされるタンパク質の生物学的活性を検出すること
からなる群より選択される方法によって測定される、方法。
【請求項2】
前記上昇が、前記正常対照レベルを少なくとも10%上回る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記対象由来の生物学的試料が生検試料である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記がんが肺癌である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
CDC45L遺伝子および/またはPIF1遺伝子の転写産物または翻訳産物に結合する試薬を含む、がんの診断または検出において使用するためのキット。
【請求項6】
肺癌を有する対象の予後を評価するための方法であって、
(a)対象由来の生物学的試料中のCDC45Lの発現レベルを検出する段階;
(b)検出された該発現レベルを対照レベルと比較する段階;および
(c)(b)の比較に基づいて、患者の予後を判定する段階
を含む、方法。
【請求項7】
前記対照レベルが予後良好対照レベルであり、該対照レベルと比較して前記発現レベルが上昇していることにより予後不良が示される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記上昇が、前記対照レベルを少なくとも10%上回る、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記発現レベルが、
(a)CDC45L遺伝子のmRNAを検出すること;
(b)CDC45L遺伝子によってコードされるタンパク質を検出すること;および
(c)CDC45L遺伝子によってコードされる該タンパク質の生物学的活性を検出すること
からなる群より選択される方法によって測定される、請求項6記載の方法。
【請求項10】
がんを治療もしくは予防するための、またはがん細胞の増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
a)試験化合物を、CDC45LもしくはPIF1ポリペプチドまたはその断片と接触させる段階;
b)該ポリペプチドまたはその断片と該試験化合物との間の結合活性を検出する段階;および
c)該ポリペプチドまたはその断片に結合する試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項11】
がんを治療もしくは予防するための、またはがん細胞の増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
a)試験化合物を、CDC45L遺伝子および/またはPIF1遺伝子を発現する細胞と接触させる段階;
b)CDC45L遺伝子および/またはPIF遺伝子の発現レベルを検出する段階;ならびに
c)試験化合物の非存在下で検出された発現レベルと比較して、CDC45L遺伝子および/またはPIF1遺伝子の発現レベルを低下させる試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項12】
がんを治療もしくは予防するための、またはがん細胞の増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
a)試験化合物を、CDC45LもしくはPIF1ポリペプチドまたはその断片と接触させる段階;
b)段階(a)のポリペプチドまたはその断片の生物学的活性を検出する段階;および
c)試験化合物の非存在下で検出された生物学的活性と比較して、該ポリペプチドまたはその断片の生物学的活性を抑制する試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項13】
前記生物学的活性が細胞増殖活性である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
がんを治療もしくは予防するための、またはがん細胞の増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、
a)試験化合物を、CDC45LまたはPIF1遺伝子の転写調節領域と該転写調節領域の制御下で発現するレポーター遺伝子とを含むベクターが導入された細胞と接触させる段階;
b)該レポーター遺伝子の発現または活性を測定する段階;および
c)試験化合物の非存在下で検出されたレベルと比較して、該レポーター遺伝子の発現または活性レベルを低下させる試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項15】
CDC45LポリペプチドとPIF1ポリペプチドとの間の結合を阻害する候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)試験化合物の存在下で、CDC45Lポリペプチドまたはその機能的同等物とPIF1ポリペプチドまたはその機能的同等物を接触させる段階;
(b)該ポリペプチド間の結合を検出する段階;
(c)段階(b)で検出された結合レベルを、該試験化合物の非存在下で検出されたレベルと比較する段階;および
(d)試験化合物の非存在下で検出されたレベルと比較して、結合レベルを低下させるかまたは阻害する試験化合物を選択する段階
を含む、方法。
【請求項16】
CDC45Lポリペプチドの前記機能的同等物がPIF1結合ドメインを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
PIF1ポリペプチドの前記機能的同等物がCDC45L結合ドメインを含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記がんが肺癌である、請求項10〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖分子であって、該センス鎖が、SEQ ID NO:9、10、11、および12からなる群より選択される標的配列に相当するヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖が該標的配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、該センス鎖および該アンチセンス鎖が互いにハイブリダイズして該二本鎖分子を形成し、該二本鎖分子が、CDC45L遺伝子またはPIF1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、二本鎖分子。
【請求項20】
前記センス鎖が前記標的配列において前記アンチセンス鎖とハイブリダイズして、19〜25ヌクレオチド対の長さを有する二本鎖分子を形成する、請求項19記載の二本鎖分子。
【請求項21】
一本鎖ヌクレオチド配列によって連結された前記センス鎖および前記アンチセンス鎖を含む単一ポリヌクレオチドである、請求項19または20記載の二本鎖分子。
【請求項22】
ポリヌクレオチドが一般式
5'−[A]−[B]−[A']−3'
を有し、
[A]は、SEQ ID NO:9、10、11、および12からなる群より選択される標的配列に相当するヌクレオチド配列であり;[B]は約3〜約23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり;かつ[A']は[A]に相補的なヌクレオチド配列である、請求項21記載の二本鎖分子。
【請求項23】
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせのそれぞれまたは両方を含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO:9、10、11、または12に相当するヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖が該センス鎖に相補的であるヌクレオチド配列を含み、該センス鎖と該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該ベクターが、CDC45L遺伝子またはPIF1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、ベクター。
【請求項24】
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせのそれぞれを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO:9、10、11、または12に相当するヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列からなり、該センス鎖と該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、該ベクターが、CDC45L遺伝子またはPIF1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に細胞増殖を阻害する、ベクター。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドが約19〜約25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである、請求項23記載のベクター。
【請求項26】
前記二本鎖分子が、一本鎖ヌクレオチド配列によって連結されたセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む単一ヌクレオチド転写物である、請求項23または25記載のベクター。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドが一般式
5'−[A]−[B]−[A']−3'
を有し、
[A]は、SEQ ID NO:9、10、11、および12からなる群より選択される標的配列に相当するヌクレオチド配列であり;[B]は約3〜約23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり;かつ[A']は[A]に相補的なヌクレオチド配列である、請求項26記載のベクター。
【請求項28】
CDC45L遺伝子もしくはPIF1遺伝子に対する二本鎖分子、または該二本鎖分子をコードするベクターの薬学的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるがんを治療または予防する方法であって、該二本鎖分子が、CDC45L遺伝子またはPIF1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に、細胞増殖および該遺伝子の発現を阻害する、方法。
【請求項29】
前記二本鎖分子が請求項19〜22のいずれか一項記載のものである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ベクターが請求項23〜27のいずれか一項記載のものである、請求項28記載の方法。
【請求項31】
CDC45LもしくはPIF1に対する二本鎖分子、または該二本鎖分子をコードするベクターの薬学的有効量、および薬学的に許容される担体を含む、がんを治療または予防するための組成物であって、該二本鎖分子が、CDC45L遺伝子またはPIF1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に、細胞増殖および該遺伝子の発現を阻害する、組成物。
【請求項32】
前記二本鎖分子が請求項19〜22のいずれか一項記載のものである、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
前記ベクターが請求項23〜27のいずれか一項記載のものである、請求項31記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−501501(P2013−501501A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507486(P2012−507486)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/JP2010/005049
【国際公開番号】WO2011/018898
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】