説明

腫瘍崩壊性ラブドウイルス

本発明の態様には、非VSVラブドウイルスに関連する組成物および方法、ならびにその抗癌療法剤としての使用が含まれる。そのようなラブドウイルスは、インビトロおよびインビボで腫瘍細胞の殺細胞特性を保有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、2006年9月15日に提出された米国特許出願第60/844,726号に対する優先権の恩典を主張する。
【0002】
I. 発明の分野
本発明は、全般的にウイルス学および医学に関する。一定の局面において、本発明は、腫瘍崩壊性ウイルス、特に非VSV腫瘍崩壊性ラブドウイルス、および非VSV糖タンパク質を含む腫瘍崩壊性ラブドウイルスに関する。
【背景技術】
【0003】
II. 背景
多数のウイルスが、インビトロで広く多様な腫瘍細胞において複製して、これらを死滅させることが示されている(シンドビスウイルス(Unno et al., 2005);センダイウイルス(Kinoh et al., 2004);コクサッキーウイルス(Shafren et al., 2004);単純ヘルペスウイルス(Mineta et al., 1995);パルボウイルス(Abschuetz et al., 2006);アデノウイルス(Heise et al., 2000);ポリオウイルス(Gromeier et al., 2000);ニューカッスル病ウイルス(Sinkovics and Horvath, 2000):水疱性口内炎ウイルス(Stojdl et al., 2000);ミールス(Meales)ウイルス(Grote et al., 2001);レオウイルス(Coffey et al., 1998);レトロウイルス(Logg et al., 2001);ワクシニア(Timiryasova et al., 1999);およびインフルエンザ(Bergmann et al., 2001))。さらに、そのようなウイルスは、癌の動物モデルを処置するために効能を証明した。
【0004】
水疱性口内炎ウイルス(VSV)は、周知のおよびよく調べられたラブドウイルスであり、細胞培養実験において腫瘍細胞株を死滅させることが示されており、多様な齧歯類癌モデルにおいて効能を証明した(Stojdl et al., 2000;Stojdl et al., 2003)。しかし、VSVは全ての癌細胞を死滅させるわけではない。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの新しく同定されたラブドウイルスは、特定の癌または癌細胞株を死滅させることに関してVSVより非常に効率がよい。同様に、VSVおよびVSVの弱毒化変異体は、神経ビルレントであり、齧歯類および霊長類においてCNS病理を引き起こす。いくつかのラブドウイルスはCNSに感染せず(すなわち、ミュアスプリングス(Muir Springs)およびバイアグランデ(Bahia Grande):Kerschner et al., 1986)、より受け入れられる安全性プロファイルを証明する。さらに、新規ラブドウイルスに基づく療法は、原発性および二次性の双方のCNSの癌を処置するために用いることができる。本発明のラブドウイルス(および/または他の腫瘍崩壊剤)を連続して用いて、特定の治療ウイルスに対する宿主免疫応答を迂回することができる。これは、持続的な治療および改善された効能を可能にするであろう。
【0006】
本発明の態様には、非VSVラブドウイルスに関連する組成物および方法、ならびに抗癌療法としてのその使用が含まれる。そのようなラブドウイルスは、インビトロおよびインビボで腫瘍細胞の殺細胞特性を保有する。
【0007】
本明細書で用いるように、非VSVラブドウイルスには、以下のウイルスまたはその変種の一つまたは複数が含まれるであろう:アラジャス(Arajas)ウイルス、チャンディプラ(Chandipura)ウイルス、球菌(Cocal)ウイルス、イスファハン(Isfahan)ウイルス、マラバ(Maraba)ウイルス、ピリー(Piry)ウイルス、水疱性口内炎アラゴアス(Vesicular stomatitis Alagoas)ウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケ(Boteke)ウイルス、カルチャキ(Calchaqui)ウイルス、エルウイルスアメリカン(Eel virus American)、グレーロッジ(Gray Lodge)ウイルス、ユロナ(Jurona)ウイルス、クラマス(Klamath)ウイルス、クワッタ(Kwatta)ウイルス、ラホヤ(La Joya)ウイルス、マルペススプリング(Malpais Spring)ウイルス、エルゴン山コウモリ(Mount Elgon bat)ウイルス、ペリネ(Perinet)ウイルス、ツパイ(Tupaia)ウイルス、ファーミントン(Farmington)、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチ(Reed Ranch)ウイルス、ハートパーク(Hart Park)ウイルス、フランダース(Flanders)ウイルス、カメセ(Kamese)ウイルス、モスケイロ(Mosqueiro)ウイルス、モスリル(Mossuril)ウイルス、バルー(Barur)ウイルス、フクオカ(Fukuoka)ウイルス、カーン峡谷(Kern Canyon)ウイルス、コルビッソン(Nkolbisson)ウイルス、ルダンテック(Le Dantec)ウイルス、キューラリバ(Keuraliba)ウイルス、コネチカット(Connecticut)ウイルス、ニューミント(New Minto)ウイルス、ソーグラス(Sawgrass)ウイルス、チャコ(Chaco)ウイルス、セナ・マドレイラ(Sena Madureira)ウイルス、ティンボ(Timbo)ウイルス、アルムピウォー(Almpiwar)ウイルス、アルアク(Aruac)ウイルス、バンゴラン(Bangoran)ウイルス、ビンボ(Bimbo)ウイルス、ビベンスアーム(Bivens Arm)ウイルス、ブルークラブ(Blue crab)ウイルス、チャールビル(Charleville)ウイルス、海岸平野(Coastal Plains)ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバ(Entamoeba)ウイルス、ガルバ(Garba)ウイルス、ゴサス(Gossas)ウイルス、ハンプティドゥー(Humpty Doo)ウイルス、ジョインジャカカ(Joinjakaka)ウイルス、カンナマンガラム(Kannamangalam)ウイルス、コロンゴ(Kolongo)ウイルス、コールピンヤ(Koolpinyah)ウイルス、コトンコン(Kotonkon)ウイルス、ランジャ(Landjia)ウイルス、マニトバ(Manitoba)ウイルス、マルコ(Marco)ウイルス、ナソウル(Nasoule)ウイルス、ナバロ(Navarro)ウイルス、ガインガン(Ngaingan)ウイルス、オークベール(Oak-Vale)ウイルス、オボジャング(Obodhiang)ウイルス、オイタ(Oita)ウイルス、オウァンゴ(Ouango)ウイルス、パリークリーク(Parry Creek)ウイルス、リオグランデカワスズメ(Rio Grande cichlid)ウイルス、サンジンバ(Sandjimba)ウイルス、シグマ(Sigma)ウイルス、スリプル(Sripur)ウイルス、スイートウォーターブランチ(Sweetwater Branch)ウイルス、チブロガルガン(Tibrogargan)ウイルス、キシブレマ(Xiburema)ウイルス、ヤタ(Yata)ウイルス、ロードアイランド(Rhode Island)、アデレードリバー(Adelaide River)ウイルス、ベリマー(Berrimah)ウイルス、キンバレー(Kimberley)ウイルス、またはウシ流行熱(Bovine ephemeral fever)ウイルス。一定の局面において、非VSVラブドウイルスは、ジマラブドウイルス(Dimarhabdovirus)、(昆虫と哺乳動物細胞の双方に感染することができるラブドウイルスとして定義される)の亜群を指しうる。特異的態様において、ラブドウイルスはVSVではない。特定の局面において、非VSVラブドウイルスは、その変種が含まれる、カラジャス(Carajas)ウイルス、マラバウイルス、ファーミントン、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスである。
【0008】
本発明の一つの態様には、アラジャスウイルス、チャンディプラウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスのN、P、M、G、および/またはLタンパク質に対してその間の全ての範囲および百分率が含まれる、少なくともまたは多くて20、30、40、50、60、65、70、75、80、85、90、92、94、96、98、99、100%のアミノ酸同一性を有する、ラブドウイルスN、P、M、G、および/またはLタンパク質またはその変種(そのキメラおよび融合タンパク質が含まれる)の一つもしくは複数をコードする、腫瘍崩壊性非VSVラブドウイルスまたは組換え型腫瘍崩壊性非VSVラブドウイルスを含む方法および組成物が含まれる。これらのウイルスの、その間の全ての整数または範囲が含まれる任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85個またはそれ以上が、特許請求の範囲から特異的に除外することができる。VSVまたは任意の非VSVラブドウイルスは、その中に変種G-タンパク質または他のウイルスタンパク質を組み入れることができるバックグラウンド配列となりうる。
【0009】
本発明のもう一つの局面において、非VSVラブドウイルス、またはその組換え体は、そのキメラおよび融合タンパク質が含まれる一つまたは複数の非VSVラブドウイルスのN、P、M、G、またはLタンパク質の全ての値およびその間の範囲が含まれる、少なくともまたは多くて10、20、30、40、45、50、60、65、70、80、90、100、125、175、250個またはそれより多い隣接アミノ酸をコードする核酸セグメントを含みうる。一定の態様において、キメラGタンパク質には、VSVまたは非VSV Gタンパク質の細胞質、膜貫通、または細胞質と膜貫通部分の双方が含まれるであろう。
【0010】
本発明の方法および組成物には、腫瘍崩壊性または複製欠損ウイルスのような第二の治療ウイルスが含まれうる。腫瘍崩壊性とは典型的に、癌細胞を死滅させる、溶解する、またはその生育を停止させることができる物質を指す。腫瘍崩壊性ウイルスに関して、この用語は、癌細胞においてある程度複製することができ、および癌細胞の死、溶解または生育の中止を引き起こすことができ、典型的に非癌細胞に対して最少の毒性効果を有するウイルスを指す。第二のウイルスには、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、アルファウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ラブドウイルス、非VSVラブドウイルス等が含まれるがこれらに限定されない。他の局面において、組成物は薬学的に許容される組成物である。組成物には、化学療法剤、放射線療法剤、または免疫療法剤のような第二の抗癌剤が含まれてもよい。
【0011】
本発明のさらなる態様には、細胞を単離された腫瘍崩壊性ラブドウイルス組成物に接触させる段階を含む、過増殖細胞を死滅させる方法が含まれる。
【0012】
なおさらなる方法には、腫瘍崩壊性ラブドウイルス組成物の有効量を投与する段階を含む、癌患者の処置が含まれる。
【0013】
本発明の一定の局面において、細胞は患者に含まれてもよく、過増殖、新生物、前癌様、癌様、転移性、または転移した細胞であってもよい。非VSVラブドウイルスは、少なくとも一つの非VSVラブドウイルスまたは非VSVラブドウイルスが含まれる治療措置もしくは組成物による殺細胞に対して感受性がある細胞を有する患者に投与することができる。治療組成物の投与は、単独で、または様々な組み合わせにおいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれより多い非VSVラブドウイルスまたは組換え型非VSVラブドウイルスによって1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれより多い回数行ってもよい。投与される組成物は、10、100、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014個またはそれより多いウイルス粒子またはプラーク形成単位(pfu)を有しうる。投与は、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または鼻腔内投与によって行うことができる。一定の局面において、組成物は、特に注射、灌流等が含まれる血管内投与によって全身投与される。本発明の方法はさらに、第二の治療ウイルスのような第二の抗癌療法を投与する段階を含みうる。特定の局面において、治療ウイルスは、腫瘍崩壊性ウイルス、より詳しくは非VSVラブドウイルスとなりうる。他の局面において、第二の抗癌剤は、化学療法剤、放射線療法剤、免疫療法剤、手術等である。
【0014】
本発明の態様には、異種Gタンパク質を含むVSVラブドウイルスに関する組成物および方法ならびに抗癌療法剤としてのその使用が含まれる。そのようなラブドウイルスはインビトロおよびインビボで腫瘍細胞の殺細胞特性を保有する。
【0015】
本明細書で用いるように、異種Gタンパク質には、非VSVラブドウイルスが含まれる。非VSVラブドウイルスには、以下のウイルスまたはその変種の一つまたは複数が含まれるであろう:アラジャスウイルス、チャンディプラウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルス。一定の局面において、非VSVラブドウイルスは、ジマラブドウイルス(昆虫および哺乳動物細胞の双方に感染することができるラブドウイルスとして定義される)の亜群を指しうる。特定の局面において、非VSVラブドウイルスは、その変種が含まれる、カラジャスウイルス、マラバウイルス、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスである。
【0016】
本発明の一つの態様には、非VSVラブドウイルスのN、P、M、G、および/またはLタンパク質に対して、全ての範囲およびその間の百分率が含まれる、少なくともまたは多くて20、30、40、50、60、65、70、75、80、85、90、92、94、96、98、99、100%のアミノ酸同一性を有する、非VSVラブドウイルスのN、P、M、G、および/またはLタンパク質、またはその変種(そのキメラおよび融合タンパク質が含まれる)の一つまたは複数をコードする、異種Gタンパク質を含む腫瘍崩壊性VSVラブドウイルスまたは組換え型腫瘍崩壊性VSVラブドウイルスを含む方法および組成物が含まれる。
【0017】
本発明のもう一つの局面において、異種Gタンパク質またはその組換え型を含むVSVラブドウイルスは、そのキメラおよび融合タンパク質が含まれる、非VSVラブドウイルスのN、P、M、G、またはLタンパク質の全ての値およびその間の範囲が含まれる、少なくともまたは多くて10、20、30、40、45、50、60、65、70、80、90、100、125、175、250個またはそれより多い隣接アミノ酸をコードする核酸セグメントを含む核酸を含みうる。一定の局面において、キメラGタンパク質は、VSV、第二の非VSVウイルス、または非VSVラブドウイルスの細胞質、膜貫通、または細胞質および膜貫通部分の双方を含んでもよい。
【0018】
本発明の方法および組成物には、腫瘍崩壊性または複製欠損ウイルスのような第二の治療ウイルスが含まれうる。第二のウイルスには、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヘルペスウイルス、ラブドウイルス、非VSVラブドウイルス等が含まれるがこれらに限定されない。他の局面において、組成物は薬学的に許容される組成物である。組成物にはまた、化学療法剤、放射線療法剤、または免疫療法剤のような第二の抗癌剤が含まれてもよい。
【0019】
本発明のさらなる態様には、単離された腫瘍崩壊性ラブドウイルス、異種Gタンパク質分子を含むVSV、または非VSVラブドウイルス組成物に細胞を接触させる段階を含む、過増殖細胞を死滅させる方法が含まれる。なおさらなる方法には、そのようなウイルス組成物の有効量を投与する段階を含む、癌患者の処置が含まれる。
【0020】
本発明の一定の局面において、細胞は、患者に含まれてもよく、過増殖、新生物、前癌様、癌様、転移性、または転移した細胞であってもよい。本発明のウイルスは、少なくとも一つのウイルスまたはウイルスが含まれる治療措置もしくは組成物による殺細胞に対して感受性がある細胞を有する患者に投与することができる。治療組成物の投与は、単独で、または様々な組み合わせにおいて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれより多いウイルスによって1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれより多い回数行ってもよい。投与される組成物は、10、100、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014個またはそれより多いウイルス粒子またはプラーク形成単位(pfu)を有しうる。投与は、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または鼻腔内投与によって行うことができる。一定の局面において、組成物は、特に注射、灌流等が含まれる血管内投与によって全身投与される。本発明の方法はさらに、第二の治療ウイルスのような第二の抗癌療法を投与する段階を含みうる。特定の局面において、治療ウイルスは、異種Gタンパク質を含むVSVのような腫瘍崩壊性ウイルスとなりえて、より詳しくは非VSVラブドウイルスとなりうる。他の局面において、第二の抗癌剤は、化学療法剤、放射線療法剤、免疫療法剤、手術等である。
【0021】
本発明の他の態様は、本出願を通して考察される。本発明の一つの局面に関連して考察されるいかなる態様も、同様に本発明の他の局面に当てはまり、その逆もまた同じである。詳細な説明および実施例の章における態様は、本発明の全ての局面に適用可能である本発明の非制限的な態様であると理解される。
【0022】
「阻害する」、「低減する」、もしくは「予防する」という用語、またはこれらの用語の任意の変化形には、特許請求の範囲および/または明細書で用いる場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少または完全な阻害が含まれる。望ましい結果には、癌様または過増殖条件の緩和、低減、遅延、または根絶と共に、生活の質の改善または生命の延長が含まれるがこれらに限定されない。
【0023】
特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語と共に用いる場合の「一つ(a)」または「一つ(an)」という言葉の使用は、「一つ」を意味する可能性があるが、同様に「一つまたは複数」、「少なくとも一つ」、および「一つまたは一つより多い」という意味と矛盾しない。
【0024】
本明細書を通して、「約」という用語は、値に、値を決定するために使用される装置または方法に関する誤差の標準偏差が含まれることを示すために用いられる。
【0025】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指す、または代替物が相互に排他的であることを明記している場合を除き、「および/または」を意味するために用いられるが、本開示は、代替物のみと「および/または」とを指す定義を支持する。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲において、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」のような含むの任意の型)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」のような有するの任意の型)、「包含する(including)」(ならびに「包含する(includes)」および「包含する(include)」のような包含するの任意の型)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」のような含有するの任意の型)は、全てを含むまたは無制限であり、さらなる引用されない要素または方法の段階を除外しない。
【0027】
本発明の他の目標、特色、および長所は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、本詳細な説明から当業者には様々な変更および改変が明らかとなるであろうが、それらも本発明の趣旨および範囲に含まれることから、詳細な記載および特異的実施例は、本発明の特異的態様を示しているが、例として与えられるに過ぎないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の一定の局面をさらに証明するために含まれる。本発明は、本明細書において紹介した特異的態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の一つまたは複数を参照することによってよりよく理解されるだろう。
【図1】Nタンパク質の比較的保存された領域(アミノ酸119個)のGDEアラインメントに基づく、およびパラミクソウイルスであるヒトパラインフルエンザウイルス1(HPIV-1)を外集団として用いるラブドウイルス間の系統発生学的関係。近隣結合法を用いて系統樹を作製し、樹のレプリカ1000個を用いてブートストラップ値(それぞれの枝の節に関して示される)を推定した。枝の長さは遺伝的距離に比例する。尺度のバーは、アミノ酸部位あたりの置換に対応する(H. Badrane and P.J. Walkerの厚意による)。
【図2】インビトロ腫瘍細胞殺細胞アッセイの概要。NCI60細胞パネル由来の細胞を一連の様々なウイルス希釈液によって96時間感染させた。細胞生存率をクリスタルバイオレット染色を用いてアッセイして、残留生存細胞を検出した。得られた殺細胞曲線からEC50を計算して、表の形に要約した。明快にするために、EC50値を、説明文に記載されているように1〜7からの値に変換した。さらに、濃淡を用いてEC50の範囲を示した(すなわち、最も暗いから最も明るいは、最高のEC50から最低のEC50を表す)。ウイルスを以下のように省略した:MS=ミュアスプリングス、BG=バイアグランデ、NGG=ガインガン、TIB=チブロガルガン、FMT=ファーミントン、MRB=マラバ、CRJ=カラジャス、VSVHR=水疱性口内炎ウイルスHR株、およびVV=ワクシニアウイルスJX-963。このデータは、必ずしも全てのラブドウイルスが等しく腫瘍崩壊性ではないことを示しており、実際に近縁のラブドウイルスが同じ腫瘍細胞株に対して非常に異なる挙動を示した。このように、ラブドウイルスが腫瘍崩壊能を有することを予測する方法は現在のところない。良好な腫瘍崩壊性候補ウイルスを同定するためには、経験的な試験が必要である。
【図3】図3AおよびBは、腫瘍細胞株に及ぼすラブドウイルスの再現性を示す。SNB19ヒト神経膠芽細胞種およびNCI H226ヒト肺癌細胞株を様々なラブドウイルスに感染させて(MOI=3)、プラークアッセイによってウイルス産生を経時的にモニターした。データは、必ずしも全てのラブドウイルスがこれらの腫瘍細胞株において同じ複製能を有するわけではないことを示している。NCIH226細胞は、ウイルスの生産性に大きい不一致を明らかにし、バイアグランデはウイルスを全く産生しないが、マラバウイルスは豊富な感染性のビリオンを産生することができる。
【図4】プラスミドDNA型からの組換え型ラブドウイルスを回収するための救出システムの図解。この例において、マラバウイルスをDNAプラスミドにおいてT7プロモーターとD型肝炎ウイルス由来のリボザイム配列との間にクローニングした。A549細胞にT7発現ワクシニアウイルスを感染させた後、GFPを発現するように操作されたマラバゲノムベクターをトランスフェクトした。救出ビリオンを精製した後、これを用いてVero細胞を24時間感染させると、これらの細胞においてGFP発現が得られ、これを蛍光顕微鏡によって可視化する。
【図5】腫瘍崩壊性ラブドウイルスの改善された株の生物選択。ラブドウイルスは擬似種である。バイアグランデは、神経病理的ではないが、ヒト神経膠芽細胞腫細胞を死滅させる能力を有する。本発明者らは、癌細胞に対するその選択性を維持しながら、そのビルレンスを改善することを企図した。腫瘍細胞に関するラブドウイルスのビルレンスを改善するために、本発明者らは、ヒト神経膠芽細胞腫細胞株における複製能が増加したウイルス変異体を選択した。簡単に説明すると、SNB 19細胞5×105個にウイルス粒子2.5×106個をMOI 5で感染させる。初回接種物の容積は200μlであり、これを1時間感染させた後、細胞をPBSによって10回洗浄した。投入されたウイルスが適当に除去されたことを確実にするために、最後の洗浄液を、プラークアッセイによってウイルス粒子に関して分析した。その後の時点において、全ての上清を採取して、新鮮な培地に交換した。採取した培地を用いて、増幅のために新しい細胞に感染させ、ウイルス粒子の存在に関してプラークアッセイによって分析した。最初の継代に関して、最初のウイルス放出時間が決定されるまで4、8、12、および24 hpi(感染後時間)で採取を行った。最も早い時点からのウイルスを増幅して106個の集団に戻した後、再度継代した。
【図6】腫瘍崩壊性ラブドウイルスの改善された株の生物学的選択。この例において、バイアグランデウイルスに、6回までの繰り返し生物学的選択サイクルを行った。親株(WT)を継代4〜6代目と共に、SNB 19細胞において感染後4、6、および8時間目でのウイルス産生に関してモニターした。生物学的選択ラウンドを重ねる毎に、初回ウイルス複製速度における明確な進行性の改善が明らかとなる。MRB=マラバを、癌細胞株における急速かつ望ましいウイルス複製の例として含める。
【図7】バイアグランデP13に、13ラウンドの生物学的選択を行った。このウイルスは、生物学的選択プロトコールの間に用いられるヒト神経膠芽細胞腫のみならず、無関係なヒト神経膠芽細胞腫およびヒト卵巣癌細胞株においてもウイルス複製の改善を証明した。このことは、ラブドウイルスを、その腫瘍崩壊特性を改善するように生物学的に選択することができ、これらの改善が、他の共通点のない癌に対しても有効であることを証明している。
【図8】Balb/Cマウスの頭蓋内に表記のウイルスを感染させて、罹病率および/または死亡率に関してモニターした。野生型VSV(HR株)およびVSVのデルタM51変異体株はいずれも極めて神経毒性であり、感染数日以内に後肢の麻痺を示したが、バイアグランデおよびミュアスプリングスウイルスは神経毒性を示さなかった。バイアグランデP6は、ヒト神経膠芽細胞における複製が改善されたバイアグランデの生物学的選択株である。この株もまた神経毒性を示さず、ラブドウイルスは、正常な健康な組織におけるその安全性プロファイルを維持しながら、腫瘍細胞に対して改善されたビルレンスに関して生物学的に選択されうることを証明している。
【図9】チャンディプラおよびWT VSV、ならびにデルタ51 VSVと比較したマラバおよびカラジャスラブドウイルスのインビボ効能。4T1腫瘍(ファイアフライルシフェラーゼ発現)を、腫瘍細胞106個を5〜8週齢のBalb/C雌性マウスの左後方乳腺に注射することによって確立した。1週間後、マウスに1日目または2日目に静脈内注射した(それぞれの用量=WT VSV、△51 GFP VSV、マラバ、もしくはチャンディプラに関して107 pfu;またはカラジャスに関して108 pfu)。腫瘍の応答をIVIS 200(Xenogen)を用いる生物発光造影によって測定した(光子/s/cm2として測定)。
【図10】イスファハンGおよびVSV Gタンパク質によってシュードタイプにした無G VSVの感染性。
【図11】VSV WT、イスファハン、およびRVR IsfG1ウイルスの一段階増殖曲線。
【図12】イスファハンGタンパク質を含むRVRはなおも腫瘍崩壊性のままである。イスファハンウイルス、VSVd51、およびRVR IsfG1の細胞障害性を様々な癌細胞株において査定した。
【図13】図13A〜13Cは、Isf G1を含むRVRは、インビボでVSVに対する免疫応答を逃れることができる。インビボルシフェラーゼ検出を用いて、RVR IsfG1またはVSVを接種したマウスにおけるウイルスの量を決定した。図13A、未処理マウスに注射した組換え型ウイルスのインビボ検出。図13B、VSVによって免疫したマウスに注射したVSVのインビボ検出。図13C、VSVによって免疫したマウスに注射された組換え型RVR IsfG1ウイルスのインビボ検出。
【図14】感染した腫瘍からのウイルス収率。腫瘍に、VSVによる免疫の存在下または非存在下で(表記のように)組換え型ウイルスまたはVSVを感染させた。グラフにしたデータは腫瘍の感染に起因するウイルス量を示す。
【図15】VSV WT、チャンディプラウイルスおよびRVRChaG1の一段階増殖曲線。結果は、組換え体がVSVと同じ量のウイルスを産生することを示している。
【図16】VSV WT、チャンディプラウイルスおよびRVRChaG1の細胞障害性。結果は、組換え体がVSVと同程度に細胞障害性であることを示している。
【図17】VSV WT、マラバウイルスおよびRVRMarG1の一段階増殖曲線。結果は、組換え型ウイルスの力価が、48および72時間でVSVより大きいことを示している。
【図18】VSV WT、マラバウイルスおよびRVRMarG1の細胞障害性。結果は、マラバおよびRVRMarG1がいずれも腫瘍細胞株において細胞障害性であり、それらが一般的にVSV WTより腫瘍細胞に対して細胞障害性であることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明の局面は、VSVによる殺細胞に対して耐性であるいくつかの種類またはタイプの癌細胞の非VSVラブドウイルスまたはシュードタイプラブドウイルスによる殺細胞に基づく。これらの腫瘍崩壊性ラブドウイルスおよび組換え型ラブドウイルスの長所のいくつかとして、以下が挙げられる:(1)本発明のラブドウイルスに対する抗体は、世界の大半の集団で存在しないことはほとんどない。(2)ラブドウイルスは、アデノウイルス、レオウイルス、麻疹ウイルス、パルボウイルス、レトロウイルス、およびHSVのような他の腫瘍崩壊性ウイルスより急速に複製する。(3)ラブドウイルスは高い力価で生育し、0.2ミクロンフィルターを通して濾過可能である。(4)腫瘍崩壊性ラブドウイルスおよびその組換え体は広い宿主範囲を有し、多くの異なるタイプの癌細胞に感染することができ、特定の細胞(例えば、コクサッキー、麻疹、アデノウイルス)上の受容体によって制限されない。(5)本発明のラブドウイルスは、遺伝子操作を受けやすい。(6)ラブドウイルスはまた、細胞質ライフサイクルを有し、宿主細胞の遺伝子材料に組み入れられず、これはより都合がよい安全性プロファイルを付与する。
【0030】
本発明の態様には、非VSVラブドウイルスまたはシュードタイプラブドウイルスに関する組成物および方法、ならびに抗癌療法としてのその使用が含まれる。
【0031】
I.ラブドウイルス科(ラブドウイルス)
原型のラブドウイルスは、このウイルス科で最もよく研究されている狂犬病および水疱性口内炎ウイルス(VSV)である。これらのウイルスは、類似の形態を共有するが、それらはそのライフサイクル、宿主範囲、および病理学が非常に異なる。ラブドウイルスは、非セグメント(-)センスRNAゲノムを有する弾丸形のウイルスファミリーである。哺乳動物、魚類、昆虫、および植物に感染することが知られているラブドウイルスは250より多い。この科は少なくとも5つの属に分けられる:(1)狂犬病ウイルス、他の哺乳動物ウイルス、いくつかの昆虫ウイルスが含まれるリッサウイルス;(2)水疱性口内炎ウイルス(VSV)が含まれるベシクロウイルス;(3)ウシ流行熱ウイルス(脊椎動物)が含まれるエフェメロウイルス;(4)レタス壊死性黄変病ウイルス(植物)が含まれるサイトラブドウイルス;および(5)ジャガイモ黄変萎縮ウイルス(植物)が含まれるヌクレオラブドウイルス。同様に、哺乳動物と昆虫の双方に感染する多様なラブドウイルスが含まれる、ジマラブドウイルスと呼ばれるラブドウイルスの亜群が存在することが示唆されている。
【0032】
ラブドウイルス科には、アラジャスウイルス、チャンディプラウイルス

、球菌ウイルス(AF045556 / gi:2865658)、イスファハンウイルス(AJ810084/ gi:57834038)、マラバウイルス(SEQ ID NO:l-6)、カラジャスウイルス(SEQ ID NO:7-12, AY335185 / gi:33578037)、ピリーウイルス(D26175 / gi:442480、Z15093 / gi:61405)、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス(DQ457103 / gi|91984805)、ペリネウイルス(AY854652 / gi:71842381)、ツパイウイルス(NC_007020/ gi:66508427)、ファーミントン、バイアグランデウイルス(SEQ ID NO:13-18)、ミュアスプリングウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス

、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス(AY854651 / gi:71842379)、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス(AY854650 / gi:71842377)、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス(AY854645 / gi:71842367)、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス(AY854643 / gi:71842363)、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス(DQ457100 / gi|91984799ヌクレオタンパク質 (N) mRNA, 部分的cds)、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス(DQ457099 / gi|91984797、AY854638 / gi:71842354)、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス(AY854649 / gi:71842375)、オークベールウイルス(AY854670 / gi:71842417)、オボジャングウイルス(DQ457098 / gi|91984795)、オイタウイルス(AB116386 / gi:46020027)、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス(AY854647 / gi:71842371)、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス(DQ457102 / gi|91984803)、シグマウイルス(AH004209 / gi: 1680545、AH004208 / gi: 1680544、AH004206 / gi: 1680542)、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス(AY854646 / gi:71842369)、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス(U10363 / gi:600151、AF234998 / gi:10443747、AF234534 / gi:9971785、AY854635 / gi:71842348)、ベリマーウイルス(AY854636 / gi:71842350])、キンバレーウイルス(AY854637 / gi:71842352)、またはウシ流行熱ウイルス(NC_002526 / gi: 10086561)が含まれるがこれらに限定されない。
【0033】
一定の割付されない血清型には、(1)バイアグランデ群(バイアグランデウイルス(BGV)、ミュアスプリングス ウイルス(MSV)、リードブランチウイルス(RRV);(2)ハートパーク群(フランダースウイルス(FLAV)、ハートパークウイルス(HPV)、カメセウイルス(KAMV)、モスケイロウイルス(MQOV)、モスリルウイルス(MOSV);(3)カーン峡谷群(バルーウイルス(BARV)、フクオカウイルス(FUKAV)、カーン峡谷ウイルス(KCV)、コルビッソンウイルス(NKOV);(4)ルダンテック群(ルダンテックウイルス(LDV)、キューラリバウイルス(KEUV)、(5)ソーグラス群(コネチカットウイルス(CNTV)、ニューミントウイルス(NMV)、ソーグラスウイルス(SAWV);(6)ティンボ群(チャコウイルス(CHOV)、セナ・マドレイラウイルス(SMV)、ティンボウイルス(TIMV);および(7)他の割付されないウイルス(アルムピウォーウイルス(ALMV)、アルアクウイルス(ARUV)、バンゴランウイルス(BGNV)、ビンボウイルス(BBOV)、ビベンスアームウイルス(BAV)、ブルークラブウイルス(BCV)、チャールビルウイルス(CHVV)、海岸平野ウイルス(CPV)、DakArK 7292 ウイルス(DAKV-7292)、エントアメーバウイルス(ENTV)、ガルバウイルス(GARV)、ゴサスウイルス(GOSV)、ハンプティドゥーウイルス(HDOOV)、ジョインジャカカウイルス(JOIV)、カンナマンガラムウイルス(KANV)、コロンゴウイルス(KOLV)、コールピンヤウイルス(KOOLV)、コトンコンウイルス(KOTV)、ランジャウイルス(LJAV)、マニトバウイルス(MNTBV)、マルコウイルス(MCOV)、ガインガン、ナソウルウイルス(NASV)、ナバロウイルス(NAVV)、ガインガンウイルス(NGAV)、オークベールウイルス(OVRV)、オボジャングウイルス(OBOV)、オイタウイルス(OITAV)、オウァンゴウイルス(OUAV)、パリークリークウイルス(PCRV)、リオグランデカワスズメウイルス(RGRCV)、サンジンバウイルス(SJAV)、シグマウイルス[X91062](SIGMAV)、スリプルウイルス(SRIV)、スイートウォーターブランチウイルス(SWBV)、チブロガルガンウイルス(TIBV)、キシブレマウイルス(XIBV)、ヤタウイルス(YATAV)が含まれる。
【0034】
本発明の局面には、哺乳動物細胞株において生育すること、成体マウス(動物)において毒性がないかまたは最少であること、哺乳中のマウス(動物)における毒性がないかまたは最少であることに基づいて、非VSVラブドウイルスまたはシュードタイプラブドウイルスを選択する段階が含まれるがこれらに限定されない。
【0035】
A.ラブドウイルスゲノム
典型的に、ラブドウイルスゲノムは、およそ50ヌクレオチドの3'リーダーと、(-)センスウイルスRNA(vRNA)のおよそ60ヌクレオチドの非翻訳5'領域とを有するおよそ11〜15 kbである。典型的に、ラブドウイルスvRNAは、タンパク質5個をコードする遺伝子5個を有する。ラブドウイルスは、それぞれの遺伝子の末端で保存されたポリアデニル化シグナルを有し、遺伝子5個のそれぞれの間で短い遺伝子間領域を有する。ラブドウイルスは全て、ヌクレオカプシドタンパク質(N)、リン酸化型タンパク質(P、NSとも表される)、マトリックスタンパク質(M)、糖タンパク質(G)、および巨大タンパク質(L)をコードする遺伝子5個を含有する。典型的に、これらの遺伝子は、ネガティブセンスvRNA上で以下の順序で整列する:3'-N-P-M-G-(X)-L-5'。遺伝子の順序は、それが合成されるタンパク質の比率を指図することから重要である。ラブドウイルスゲノムのいかなる操作にも、典型的に高レベルでの感染能および複製能を維持するために、少なくとも5個の転写ドメインが含まれるであろう。ラブドウイルスは、プラスセンスメッセンジャーRNA(mRNA)の転写のために内因性のRNAポリメラーゼを有する。X遺伝子は、全てのラブドウイルスに起こるわけではない。X遺伝子は、魚の感染性造血壊死ウイルス(ヌクレオチド配列をコードするGタンパク質を記載する、

)において見いだされる非構造タンパク質、ウシ流行熱ウイルスおよび狂犬病ウイルスにおける偽遺伝子内の非構造タンパク質をコードする。余分な(X)遺伝子がラブドウイルスゲノムの異なる位置において見いだされている。感染した細胞におけるMタンパク質の合成は、細胞に対して細胞障害性であり、最終的に細胞死に至るであろう。
【0036】
ラブドウイルスの伝播は、ウイルス/宿主に応じて変化するが、ほとんどが直接の接触によって伝播され、これは例えば動物のかみ傷または昆虫の運び屋による狂犬病の伝播である。インビボで長い潜伏期間があるが、これは培養中でのウイルス複製の速度論には反映されない。Gタンパク質は、宿主細胞の表面上の受容体に対する結合を強めて、ウイルスは、エンドサイトーシスにより細胞に入り、Gタンパク質によって媒介されて小胞膜と融合する。
【0037】
特定の理論に限定されることを意図しないが、ラブドウイルスの受容体分子は特異的タンパク質よりむしろリン脂質であるように思われる。ラブドウイルス複製は細胞質中で起こり、LおよびNSタンパク質の双方が転写にとって必要であり、いずれも単独では機能しない。モノシストロニックmRNA 5個が産生され、5'末端でキャッピングされて、3'末端でポリアデニル化され、それぞれは、メッセージの5'末端でvRNAの3'末端由来のリーダー配列を含有する。これらのmRNAはウイルスゲノムにおいてORFの連続的な転写によって作製され、遺伝子間配列は、それぞれの遺伝子の間のポリメラーゼによる転写の終止および再開に寄与し、このように異なる転写物を産生することが示されている。
【0038】
子孫vRNAは(+)センス中間体から作製される。ゲノムはL+Pポリメラーゼ複合体(転写におけるように)によって複製されるが、さらなる宿主因子も同様に必要である。これらの事象が全て、ウイルスの「工場」として作用する細胞質の部分において起こり、特徴的な細胞質封入体として出現することはラブドウイルスの特徴である。
【0039】
B.ウイルスタンパク質変種
一定の態様において、ラブドウイルスまたは非VSVラブドウイルスは、N、P、M、G、および/またはLタンパク質の一つまたは複数の変種を含むであろう。本発明の一定の局面において、これらのウイルスタンパク質変種はタンパク質様組成物に含まれることができ、これを以下にさらに定義する。タンパク質様組成物には、ウイルス粒子および一つまたは複数のウイルスタンパク質成分を有する他の組成物が含まれる。これらのポリペプチド変種は、宿主細胞範囲、宿主細胞特異性、非標的細胞または臓器に対する毒性、複製、標的細胞に対する細胞障害性、癌細胞の殺細胞、癌細胞の停止、感染性、製造パラメータ、ウイルス粒子の大きさ、ウイルス粒子の安定性、インビボクリアランス、免疫反応性等のような一つまたは複数の生理学的または生物学的特徴における改変に関して、操作または選択することができる。これらのポリペプチド変種は、以下に記載される様々な変異誘発技術が含まれる、当技術分野において公知の多様な方法論を用いて操作することができる。一定の局面において、N、P、M、G、および/またはLタンパク質は、ウイルスに対して異種となりうる(例えば、VSVはイスファハンGタンパク質またはその変種を含んでもよい)。
【0040】
C.組換え型ラブドウイルス
組換え型ラブドウイルスは、(1)専らcDNAを用いて、(2)ヘルパー細胞にトランスフェクトされたcDNAの組み合わせを用いて、または(3)細胞にトランスフェクトされたcDNAを用いて産生することができ、これにミニウイルスをさらに感染させると、感染性または非感染性組換え型ラブドウイルスのいずれかを産生するために必要である残りの成分または活性をトランスで提供する。これらの任意の方法を用いて(例えば、ミニウイルス、ヘルパー細胞株、またはcDNAトランスフェクションのみ)、必要な最少の成分は、(1)ラブドウイルスNタンパク質によるゲノム(またはアンチゲノム)RNAのカプシド化と、(2)ゲノムまたはアンチゲノム(複製中間体)RNA同等物の複製とのための、シス作用シグナルを含有するRNA分子である。
【0041】
複製エレメントまたはレプリコンとは、本発明者らは、5'および3'末端で、ラブドウイルスのリーダー配列およびトレーラー配列を少なくとも含有するRNAの鎖を意味する。ゲノムの意味において、リーダーは3'末端に存在し、トレーラーは5'末端に存在する。これらの二つの複製シグナルの間に配置されるいかなるRNAも順に複製されるであろう。リーダーおよびトレーラー領域はさらに、Nタンパク質によるカプシド化の目的のために、ならびに転写および複製を開始するために必要であるポリメラーゼ結合のために、最少のシス作用要素を含有しなければならない。
【0042】
操作されたラブドウイルスを調製する場合、G遺伝子を含有するミニウイルスはまた、リーダー領域、トレーラー領域、ならびにGタンパク質mRNAを産生するための適切な開始および終止シグナルを有するG遺伝子を含有するであろう。ミニウイルスがM遺伝子をさらに含む場合、Mタンパク質mRNAを産生するための適切な開始および終止シグナルも同様に存在しなければならない。
【0043】
操作されたラブドウイルスゲノム内に含有される任意の遺伝子に関して、遺伝子は適切な転写開始および終止シグナルに隣接し、それによってそれらの遺伝子の発現およびタンパク質産物の産生が可能になる。特に、天然から単離されたラブドウイルスによって典型的にコードされない、または典型的に見いだされない位置、型、もしくは状況においてラブドウイルスコード領域を含有する遺伝子である異種遺伝子、例えばキメラGタンパク質である。
【0044】
「非感染性の」操作されたラブドウイルスを産生するために、操作されたラブドウイルスは、最小のレプリコンエレメント、ならびにN、P、およびLタンパク質を有しなければならず、これはM遺伝子を含有しなければならない(一例は、Gタンパク質に関するコード領域が欠落している△Gまたは無G構築物である)。これは細胞から出芽したウイルス粒子を産生するが、非感染性粒子である。「感染性の」粒子を産生するために、ウイルス粒子はさらに、付着タンパク質または受容体リガンドの使用を介するなど、ウイルス粒子の結合および融合を媒介することができるタンパク質を含まなければならない。ラブドウイルスの本来の受容体リガンドはGタンパク質である。
【0045】
「適した細胞」または「宿主細胞」は、組換え型ラブドウイルスのアセンブリを可能にするであろう任意の細胞を意味する。
【0046】
感染性のウイルス粒子を調製するために、最初にワクシニアウイルスvTF7-3(Fuerst et al., 1986)、またはT7 RNAポリメラーゼ、もしくはT3もしくはSP6ポリメラーゼのような他の適したバクテリオファージポリメラーゼ(Usdin et al., 1993またはRodriguez et al., 1990を参照されたい)をコードする同等物を、適切な細胞株(例えば、BHK細胞)に感染させる。次に細胞に、G、N、P、L、およびMラブドウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含有する個々のcDNAをトランスフェクトする。これらのcDNAは、組換え型ラブドウイルス粒子を構築するためのタンパク質を提供するであろう。細胞は、当技術分野において公知の任意の方法(例えば、リポソーム、電気穿孔等)によってトランスフェクトすることができる。
【0047】
同様に、ラブドウイルスゲノムRNA同等物を含有する「ポリシストロニックcDNA」も細胞にトランスフェクトされる。感染性の組換え型ラブドウイルス粒子が、感染した細胞において溶解性であることが意図される場合、N、P、M、およびLタンパク質をコードする遺伝子は、任意の異種核酸セグメントと同様に存在しなければならない。感染性の組換え型ラブドウイルス粒子が溶解性でないことが意図される場合、Mタンパク質をコードする遺伝子はポリシストロニックDNAに含まれない。「ポリシストロニックcDNA」とは、N、P、およびLタンパク質をコードする遺伝子を含有する少なくとも転写単位を含むcDNAを意味する。組換え型ラブドウイルスポリシストロニックDNAはまた、タンパク質変種もしくはそのポリペプチド断片をコードする遺伝子、または治療核酸を含有してもよい。または、最初に産生されるウイルス粒子に当初関連するいかなるタンパク質またはその断片も、トランスで供給されてもよい。
【0048】
企図されるもう一つの態様は、レポーター遺伝子または蛍光タンパク質(例えば緑色蛍光タンパク質およびその誘導体、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ等)をコードする遺伝子、N-P-L遺伝子またはN-P-L-M遺伝子を含むポリシストロニックcDNA、および/または融合タンパク質もしくは治療核酸である。企図されるもう一つのポリシストロニックDNAは、タンパク質変種をコードする遺伝子、レポーターをコードする遺伝子、治療核酸、および/またはN-P-L遺伝子またはN-P-L-M遺伝子のいずれかを含有してもよい。
【0049】
組換え型ラブドウイルスの生成における第一段階は、cDNA由来のゲノムまたはアンチゲノム同等物であるRNAの発現である。次に、そのRNAをNタンパク質によってパッケージングした後、P/Lタンパク質によって複製させる。このように産生させたウイルスを回収することができる。Gタンパク質が組換え型RNAゲノムに存在しない場合、典型的にトランスで供給される。GおよびMタンパク質がいずれも存在しない場合、双方がトランスで供給される。
【0050】
「非感染性ラブドウイルス」を調製する場合、細胞にトランスフェクトされたポリシストロニックcDNAがラブドウイルスのみのN、P、およびL遺伝子を含有するであろうことを除き、技法は上記と同じであってもよい。非感染性ラブドウイルス粒子のポリシストロニックcDNAはさらに、レポータータンパク質をコードする遺伝子または治療核酸を含有してもよい。Gタンパク質をコードする遺伝子を欠損する組換え型ラブドウイルスを産生する方法に関するさらなる記載に関しては、Takada et al. (1997)を参照されたい。
【0051】
1.ウイルスを産生するための細胞の培養
トランスフェクトした細胞を、所望の温度、通常約37℃で少なくとも24時間インキュベートする。非感染性のウイルス粒子の場合、上清を採取して、ウイルス粒子を単離する。感染性のウイルス粒子の場合、ウイルスを含有する上清を採取して、新鮮な細胞に移す。新鮮な細胞をおよそ48時間インキュベートして、上清を採取する。
【0052】
2.組換え型ラブドウイルスの精製
ラブドウイルスを「単離」または「単離する」という用語は、細胞の破片がほとんど残らないように、ウイルス粒子を培養および精製するプロセスを意味する。一つの例は、上清を含有するビリオンを採取して、これを孔径0.1〜0.2ミクロンのフィルター(例えば、Millex-GS, Millipore)を通過させて、ウイルスおよび細胞の破片を除去する。または、ビリオンを、ショ糖勾配のような勾配を用いて精製することができる。次に、組換え型ラブドウイルス粒子を沈降させて、所望のいかなる賦形剤または担体にも再懸濁させることができる。特定のタンパク質に対して特異的な抗体を用いて、間接的免疫蛍光によって力価を決定することができる。
【0053】
3.cDNAおよびミニウイルスまたはヘルパー細胞株を用いて組換え型ラブドウイルスを作製する方法
「ミニウイルス」および「ヘルパー細胞」(「ヘルパー細胞株」としても知られる)はいずれも、ラブドウイルスビリオンアセンブリのためのラブドウイルスタンパク質源を提供するための同じものを提供する。ラブドウイルスのミニウイルスの一例は、Stillman et al.,(1995)によって報告されるように、GおよびMタンパク質のみを発現するVSVミニウイルスである。ヘルパーウイルスおよびミニウイルスは、ラブドウイルスタンパク質の遺伝子をコードするトランスフェクトされたDNAから産生されないラブドウイルスタンパク質を提供する方法として用いられる。
【0054】
ミニウイルスを用いる場合、先に記載したように、T7 RNAポリメラーゼを提供する目的でワクシニアウイルスを細胞に感染させる。望ましいポリシストロニックRNA、ならびにN、P、およびL遺伝子を含有するプラスミドを、細胞にトランスフェクトする。トランスフェクション混合物をおよそ3時間後に採取して、感染多重度(m.o.i.)約1で、細胞にミニウイルスを感染させる。ミニウイルスは、欠落したGおよび/またはMタンパク質を供給する。細胞にトランスフェクトされたポリシストロニックRNAは、感染性または非感染性のラブドウイルスが望ましいか否かに依存するであろう。
【0055】
または、ミニウイルスを用いてN、P、およびL遺伝子を提供することができるであろう。ミニウイルスは、N、P、およびLに加え、Mタンパク質を産生するために用いることができる。ミニウイルスはまた、Gタンパク質も産生することができる。
【0056】
ヘルパー細胞株を用いる場合、欠落したラブドウイルスタンパク質をコードする遺伝子は、ヘルパー細胞株によって産生される。ヘルパー細胞株は、野生型Gタンパク質をコードしない組換え型ラブドウイルス粒子の産生のために、N、P、L、およびGタンパク質を有する。タンパク質は、組換え型ウイルスゲノムの一部ではない遺伝子またはDNAから発現される。これらのプラスミドまたは他のベクター系は、細胞株のゲノムに安定に組み入れられる。次に、タンパク質は細胞のゲノムから産生されるが、これは細胞質におけるレプリコンからは産生されない。次に、ポリシストロニックDNAおよびヘルパーウイルスによって発現されない他のラブドウイルス遺伝子を含有するプラスミドcDNAを、ヘルパー細胞株にトランスフェクトすることができる。用いるポリシストロニックRNAは、感染性または非感染性の組換え型ラブドウイルスが望ましいか否かに依存するであろう。そうでなければ、欠落遺伝子産物(例えば、Gおよび/またはM)の供給は、上記のように達成されるであろう。
【0057】
II.ウイルス組成物
本発明は、患者における過増殖または新生物細胞(例えば、癌細胞)、および過増殖または新生物状態(例えば、癌)の研究および処置において有利であるラブドウイルスに関係する。これは低減された神経ビルレンスを有するラブドウイルス、例えば非VSVラブドウイルスに関係する可能性があるがこれらに限定されない。一定の局面において、一つまたは複数のタンパク質成分(N、P、M、G、および/またはLタンパク質)またはVSVとは異なる(すなわち、アミノ酸またはヌクレオチドレベルで、少なくともまたは多くて10、20、40、50、60、70、80%同一である)核酸ゲノムをコードまたは含有するラブドウイルス、および/またはウイルスが、当初単離されたウイルスまたはVSVより、非癌細胞に対して毒性が低いまたは非毒性であるが、癌細胞に対して用いるために望ましい特性を有するように、野生型ウイルスまたはウイルスタンパク質と比較して一つまたは複数の変異または変種を有するように構築されているラブドウイルスである。以下に記載する教示は、本発明の方法および組成物を実行するためのプロトコールの様々な例を提供する。それらは、生物学的選択、組換え型DNA、または核酸技術を用いることを通して、変異または変種ウイルスを生成するためのバックグラウンドを提供する。
【0058】
A.タンパク質様組成物
本発明のタンパク質様組成物には、ウイルス粒子、およびウイルス粒子と共に単離ポリペプチドを含む組成物が含まれる。一定の態様において、本発明は、シュードタイプまたは非VSV腫瘍崩壊性ラブドウイルス(癌細胞を溶解、死滅させる、またはその増殖を遅延させるラブドウイルス)を生成または単離することに関する。一定の態様において、ラブドウイルスは、ラブドウイルスタンパク質(N、P、M、G、および/またはL)のポリペプチド変種および/または治療的ポリペプチドをコードする治療核酸を含むように操作されるであろう。本発明の他の局面には、一つまたは複数の機能的ポリペプチドまたはタンパク質が欠損したラブドウイルスの単離が含まれる。他の態様において、本発明は、薬学的に許容される製剤の一部として、タンパク質様組成物と組み合わせたまたはタンパク質様組成物に含まれたラブドウイルス、およびその使用に関係する。
【0059】
本明細書で用いるように、「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを含む分子を指す。いくつかの態様において、タンパク質またはポリペプチドの野生型が使用されるが、本発明の多くの態様において、ウイルスタンパク質またはポリペプチドの全てまたは一部は、存在しないか、またはウイルスが患者の処置にとってより有用となるように変更されている。先に記載した用語は、本明細書において互換的に用いられる可能性がある。「改変タンパク質」、「改変ポリペプチド」、「変種タンパク質」、または「変種ポリペプチド」は、その化学構造またはアミノ酸配列が、野生型または参照タンパク質またはポリペプチドに関して変更されているタンパク質またはポリペプチドを指す。いくつかの態様において、改変タンパク質またはポリペプチドは、少なくとも一つの改変された活性または機能を有する(タンパク質またはポリペプチドが多数の活性または機能を有する可能性があることを認識する)。改変活性または機能は、野生型タンパク質もしくはポリペプチドにおける活性もしくは機能、またはそのようなポリペプチドを含有するウイルスの特徴に関して、何らかの他の方法(感染の特異性など)で、低減、減損、消失、増強、改善、または変更されてもよい。改変タンパク質またはポリペプチドは、一つの活性または機能に関して変更されてもよく、それでもなお他の局面では、野生型または変更されない活性または機能を保持することが企図される。または、改変タンパク質は、完全に非機能的であってもよく、またはその同源の核酸配列は、ポリペプチドがもはや全く発現されないように、切断されるように、またはフレームシフトもしくは他の改変の結果として異なるアミノ酸を発現するように、変更されてもよい。
【0060】
一定の態様において、組換え型タンパク質またはポリペプチドの大きさは、

またはそれより多くのアミノ酸残基、およびそれに由来する任意の範囲を含んでもよいが、これらに限定されない。ポリペプチドは、その対応する非変更型よりそれらを短くする切断、または改変されたタンパク質をより長くする可能性がある融合もしくはドメインシャッフリングによって、改変されてもよいことが企図される。
【0061】
本明細書で用いるように、「アミノ分子」は、当業者に公知であるように、任意のアミノ酸、アミノ酸誘導体、またはアミノ酸模倣体を指す。一定の態様において、タンパク質様分子の残基は、いかなる非アミノ分子もアミノ分子残基の配列を中断することなく連続的である。他の態様において、配列は、一つまたは複数の非アミノ分子部分を含んでもよい。特定の態様において、タンパク質様分子の残基の配列は、一つまたは複数の非アミノ分子部分によって中断されてもよい。したがって、「タンパク質様組成物」という用語は、天然に合成されたタンパク質における一般的アミノ酸20個の少なくとも一つを含む、または少なくとも一つの改変もしくは非通常アミノ酸を含むアミノ分子配列を包含する。
【0062】
タンパク質様組成物は、標準的な分子生物学的技術によるタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの発現、天然起源由来のタンパク質様化合物の単離、またはタンパク質様材料の化学合成が含まれる、当業者に公知の任意の技術によって作製してもよい。様々なラブドウイルス遺伝子またはゲノムのヌクレオチドおよびポリペプチド配列がこれまでに開示されており、当業者に公知のコンピューター化データベースにおいて見いだされる可能性がある。そのような一つのデータベースは、National Center for Biotechnology Information's GenBank and GenPeptデータベースであり、これはインターネットによってncbi.nlm.nih.gov/でアクセスすることができる。これらの公知の遺伝子およびウイルスに関するコード領域を、本明細書に開示の技術を用いてまたは当業者に公知であるように、増幅および/または発現させてもよい。
【0063】
B.機能的局面
本出願が、ウイルスタンパク質またはポリペプチドの機能または活性を指す場合、これは、特に明記していなければ生理的条件でのそのウイルスタンパク質またはポリペプチドの活性または機能を指すことを意味する。例えば、Gタンパク質は、特定の細胞タイプの結合および感染の特異性および効率に関係している。どの分子がこの活性を保有するかは、感染性アッセイ、タンパク質結合アッセイ、プラークアッセイ等のような、当業者によく知られているアッセイを用いて決定されてもよい。
【0064】
C.ウイルスポリペプチドの変種
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列変種は、置換、挿入、または欠失変種であってよい。ウイルスポリペプチドをコードする遺伝子内の変異は、野生型もしくは非変更ポリペプチドまたは他の参照ポリペプチドと比較して、ポリペプチドの

個またはそれより多い非隣接または隣接アミノ酸(すなわち、セグメント)に影響を及ぼす可能性がある。ラブドウイルスによってコードされる様々なポリペプチドは、本明細書に開示のウイルスのそれぞれに関するGenBankアクセッション番号および関連する公共のデータベース登録を参照することによって同定されてもよく、ラブドウイルス科に関連するGenBank登録は全て参照により本明細書に組み入れられる。
【0065】
欠失変種は、本来の変更されていないタンパク質または野生型タンパク質の一つまたは複数の残基を欠損する。個々の残基を欠失させる、またはドメイン(触媒または結合ドメインのような)の全てもしくは一部を欠失させることができる。切断型タンパク質を生成するために、コード核酸配列に終止コドンを導入してもよい(置換または挿入によって)。挿入変異体は典型的に、ポリペプチドにおける非末端点での物質の付加を伴い、インサートの特異的タイプは、標的タンパク質の関連する部分の代わりに、関連するタンパク質の相同または類似の部分が含まれるキメラポリペプチドである。これには、免疫反応性エピトープまたは単に一つもしくは複数の残基の挿入が含まれてもよい。典型的に融合タンパク質と呼ばれる末端の付加も同様に生成してもよい。
【0066】
置換変種は典型的に、タンパク質内の一つまたは複数の部位での一つのアミノ酸と別のアミノ酸との交換を含有し、他の機能または特性を失うかまたは失うことなく、ポリペプチドの一つまたは複数の特性を調節するように設計されてもよい。置換は保存的であってもよく、すなわち一つのアミノ酸が類似の形状および電荷のアミノ酸に置換されてもよい。保存的置換は当技術分野において周知であり、これには例えば以下の変化が含まれる:アラニンをセリンに;アルギニンをリジンに;アスパラギンをグルタミンまたはヒスチジンに;アスパラギン酸塩をグルタミン酸塩に;システインをセリンに;グルタミンをアスパラギンに;グルタミン酸塩をアスパラギン酸塩に;グリシンをプロリンに;ヒスチジンをアスパラギンまたはグルタミンに;イソロイシンをロイシンまたはバリンに;ロイシンをバリンまたはイソロイシンに;リジンをアルギニンに;メチオニンをロイシンまたはイソロイシンに;フェニルアラニンをチロシン、ロイシン、またはメチオニンに;セリンをトレオニンに;トレオニンをセリンに;トリプトファンをチロシンに;チロシンをトリプトファンまたはフェニルアラニンに;およびバリンをイソロイシンまたはロイシンにする変化。または、置換はポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように非保存的であってもよい。非保存的変化は典型的に、非極性または非荷電アミノ酸の代わりに極性または荷電アミノ酸を用いるような、およびその逆のような、一つの残基を化学的に異なる残基に置換することを伴う。
【0067】
「機能的に同等なコドン」という用語は、本明細書で用いるように、アルギニンまたはセリンに関するコドン6個のような、同じアミノ酸をコードするコドンを指すために用いられ、同様に、生物学的に同等のアミノ酸をコードするコドンも指す(以下の表1を参照されたい)。
【0068】
(表1)コドン表

【0069】
同様に、アミノ酸および核酸配列には、さらなるNもしくはC-末端アミノ酸または5'もしくは3'配列のようなさらなる残基が含まれてもよく、それでもなお一定の生物活性を有することが含まれる、本質的に本明細書に記載するとおりであると理解されるであろう。末端の配列の付加は、核酸配列に特に当てはまり、これには例えば、コード領域の5'もしくは3'部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列が含まれてもよい、または遺伝子内で生じることが公知である様々な内部配列、すなわちイントロンが含まれてもよい。
【0070】
以下は、同等の、またはさらに改善された分子を作製するために、N、P、L、またはGタンパク質のアミノ酸を変化させることに基づく考察である。例えば、例として抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位のような構造との相互作用結合能の大半を失うことなく、一定のアミノ酸をタンパク質構造において他のアミノ酸で置換してもよい。タンパク質の生物機能的活性を定義するのはタンパク質の相互作用能および性質であることから、タンパク質配列およびその基礎となるDNAコード配列内で、一定のアミノ酸置換を行うことができ、それにもかかわらず、類似の特性を有するタンパク質を産生することができる。このように、以下に考察するように、関心対象の生物学的有用性または活性の大半を失うことなく、様々な変化をラブドウイルスのDNA配列に行ってもよいことを本発明者らは企図している。
【0071】
そのような変化を作製する場合、アミノ酸のハイドロパシー指数を検討してもよい。タンパク質に生物機能を付与する上でのハイドロパシー指数の重要性は、当技術分野において一般的に理解されている(Kyte and Doolittle, 1982)。アミノ酸の相対的ハイドロパシー特徴は、得られたタンパク質の二次構造に寄与し、次にこれがタンパク質と他の分子、例えば酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原等との相互作用を定義することが認められている。
【0072】
同様に、類似のアミノ酸の置換は、親水性に基づいてより有効に作製できることが当技術分野では理解されている。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,554,101号は、タンパク質の最大局所平均親水性が、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるように、タンパク質の生物特性と相関すると述べている。米国特許第4,554,101号において詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割付されている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。アミノ酸を、類似の親水性値を有するもう一つのアミノ酸の代わりに置換することができ、それでもなお生物学的に同等なおよび免疫学的に同等なタンパク質を産生できることが理解される。そのような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、および±0.5以内であるアミノ酸の置換はさらにより特に好ましい。
【0073】
先に概要したように、アミノ酸置換は一般的に、アミノ酸側鎖の置換基の相対的類似性、例えばその疎水性、親水性、電荷、大きさ等に基づく。様々な前述の特徴を考慮に入れる例示的な置換が当業者に周知であり、これには以下が含まれる:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩;セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
【0074】
III.核酸分子
本発明には、ウイルスタンパク質またはポリペプチドの全てまたは一部を発現することができる細胞から単離可能なポリヌクレオチドが含まれる。本発明のいくつかの態様において、これは、ウイルスまたはウイルスポリペプチド、例えば一定の特性および/または特徴を有するシュードタイプまたは非VSVラブドウイルスポリペプチドまたはウイルスを生成するために、特異的に変異または変更されているウイルスゲノムの全てまたは一部に関係する。ポリヌクレオチドは、ウイルスもしくは異種アミノ酸配列の全てまたは一部を含有するペプチドもしくはポリペプチドをコードしてもよく、またはそれらがそのようなウイルスポリペプチドをコードしないように、または付加、増加、低減、付加、減損された、もしくは存在しない少なくとも一つの機能または活性を有するウイルスポリペプチドをコードするように、操作されてもよい。組換え型タンパク質は、活性なタンパク質を生じるように発現細胞から精製することができる。ラブドウイルスメンバーのゲノムは、そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる、NCBIデータベースにおけるGenBankアクセッション番号または類似のデータベースにおいて見いだされる可能性がある。
【0075】
A.本来のまたは改変タンパク質をコードするポリヌクレオチド
本明細書で用いるように、「RNA、DNA、または核酸セグメント」という用語は、総ゲノムDNAまたは他の混入物を含まずに単離されているRNA、DNA、または核酸分子を指す。したがって、ポリペプチドをコードする核酸セグメントは、野生型、多形、または変異体ポリペプチドコード配列を含有するが、なおもゲノム核酸から単離されている、またはそれらを含まずに精製されている核酸セグメントを指す。ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドより小さい核酸セグメント、および例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス等が含まれる組換え型ベクターは、「核酸セグメント」という用語に含まれる。
【0076】
本出願において用いるように、「ラブドウイルスポリヌクレオチド」という用語は、少なくとも一つの非VSVラブドウイルスポリペプチドをコードするシュードタイプまたは非VSVラブドウイルス核酸分子を指すことができる。一定の態様において、ポリヌクレオチドは、他の核酸を含まずに単離されている。同様に、「マラバウイルス、カラジャスウイルス、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスポリヌクレオチド」という用語は、他の核酸から単離されているマラバウイルス、カラジャスウイルス、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスポリペプチドをコードする核酸分子を指す。「ラブドウイルスゲノム」、または「マラバウイルス、カラジャスウイルス、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスゲノム」は、ヘルパーウイルスまたはトランスで他の因子を供給する相補的コード領域の存在下または非存在下で、ウイルス粒子を産生するために宿主細胞に提供されうるVSVまたは非VSV核酸分子を指す。ゲノムは、野生型または非変更ウイルスと比較して組換えによって変異されていてもよく、または変異されていなくてもよい。
【0077】
「cDNA」という用語は、鋳型としてRNAを用いて調製されたDNAを指すことを意図する。完全または部分的ゲノム配列が好ましい場合もありうる。
【0078】
同様に、わずかに異なる核酸配列を有するが、それにもかかわらず、同じタンパク質をコードする天然の変種によって、所定の種由来の特定のポリペプチドが表されてもよいことが企図される(上記の表1を参照されたい)。
【0079】
同様に、単離もしくは精製された野生型または改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、他の天然に存在する遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に単離されている、野生型または変異体ポリペプチドコード配列と、一定の局面では調節配列とが含まれるDNAセグメントを指す。この点において、「遺伝子」という用語は、単純にするためにタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド(適当な転写、翻訳後改変、または局在にとって必要な任意の配列が含まれる)をコードする核酸単位を指すために用いられる。当業者によって理解されるように、この機能的用語には、タンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、および変異体を発現するまたは発現するように適合させてもよい、ゲノム配列、cDNA配列、およびより低分子の操作された核酸セグメントが含まれる。本来のまたは改変ポリペプチドの全てまたは一部をコードする核酸は、

またはそれより多いヌクレオチド、ヌクレオシド、または塩基対の隣接核酸を含有してもよい。
【0080】
特定の態様において、本発明は、そのアミノ酸配列内に、本来のポリペプチドと一致するまたは本質的に対応する隣接アミノ酸配列が含まれる、野生型または変異体ラブドウイルスポリペプチドをコードする核酸配列を組み入れる単離核酸セグメントおよび組換え型ベクターに関係する。「組換え型」という用語は、ポリペプチドまたは特異的ポリペプチドの名称と共に用いられてもよく、この用語は一般的に、インビトロで操作されているまたはそのような分子の複製産物である核酸分子から産生されたポリペプチドを指す。
【0081】
他の態様において、本発明は、一つまたは複数のラブドウイルスポリペプチドと一致するまたは本質的に対応する隣接アミノ酸配列がそのアミノ酸配列内に含まれる、ポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列を組み入れる、単離核酸セグメントおよび組換え型ベクターに関係する。
【0082】
本発明において用いられる核酸セグメントは、コード配列自身の長さによらず、その全体的な長さが大きく変化するように、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメント等のような他の核酸配列と組み合わせてもよい。したがって、ほぼいかなる長さの核酸断片も使用してもよく、全長は好ましくは、意図される組換え型核酸プロトコールにおける調製および使用の容易さによって限定されることが企図される。
【0083】
本発明の核酸構築物は、任意の起源由来の完全長のポリペプチドをコードしてもよく、またはコード領域の転写物が切断型を表すように、ポリペプチドの切断または改変型、例えば切断型ラブドウイルスポリペプチドをコードしてもよいことが企図される。次に、切断型転写物が切断型タンパク質に翻訳されうる。または、核酸配列は、例えばポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後改変を可能にするために、またはターゲティングもしくは効能のような治療効果を可能にするために、さらなる異種コード配列を有する完全長のポリペプチド配列をコードしてもよい。先に考察したように、タグまたは他の異種ポリペプチドを改変ポリペプチドコード配列に加えてもよく、「異種」は、改変ポリペプチドと同じではない、または天然に存在するウイルスに会合して見いだされるもしくは天然に存在するウイルスによってコードされるポリペプチドまたはそのセグメントを指す。
【0084】
非制限的な例において、ラブドウイルスN、P、M、G、またはL遺伝子のような特定のウイルスセグメントに対して同一または相補的である隣接する一連のヌクレオチドが含まれる、一つまたは複数の核酸構築物を調製してもよい。核酸構築物は、長さが少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、20,000、30,000、50,000、100,000、250,000、500,000、750,000ヌクレオチド、少なくとも1,000,000ヌクレオチドまでであってもよく、さらに染色体の大きさまでおよび染色体の大きさが含まれる(全ての中間の長さおよび中間の範囲が含まれる)、より大きい大きさの構築物であってもよい。本明細書で用いるように、「中間の長さ」および「中間の範囲」は、引用される値(すなわち、そのような値が含まれるおよびその間の全ての整数)が含まれる、または引用される値の間の任意の長さまたは範囲を意味することは、容易に理解されるであろう。
【0085】
本明細書で用いる核酸セグメントは、改変ポリペプチドをコードする改変核酸を包含する。そのような配列は、核酸配列およびこのようにコードされるタンパク質内に天然に存在することが知られているコドン重複性および機能的同等性の結果として生じる可能性がある。または、機能的に同等なタンパク質またはペプチドは、交換されるアミノ酸の特性の検討に基づいてタンパク質構造の変化が操作される可能性がある組換え型DNA技術の適用により、作製されてもよい。例えばタンパク質の抗原性の改善もしくは抗原性の欠如を導入するために、タンパク質を与えられた被験体に対するインビボでのタンパク質の毒性効果を低減するために、またはタンパク質もしくはそのようなタンパク質を含むウイルスを伴う任意の処置の効能を増加させるために、部位特異的変異誘発技術の適用を介して、ヒトによって設計された変化を導入してもよい。
【0086】
一定の他の態様において、本発明は、単離核酸セグメントと、本明細書で同定した(および/または参照により本明細書に組み入れられる)配列に示される配列由来の隣接核酸配列をその配列内に含む組換え型ベクターとに関係する。しかし、そのような配列を、野生型に関してその活性が変更されているタンパク質産物を生じるように変異させてもよい。
【0087】
本発明はまた、これらの同定された配列の特定の核酸およびアミノ酸配列に限定されないと理解されるであろう。したがって、組換え型ベクターおよび単離核酸セグメントには、ラブドウイルスコード領域自身、基本コード領域内に選択された変更もしくは改変を有するコード領域が含まれてもよく、またはそれらはそれにもかかわらずラブドウイルスコード領域が含まれるより大きいポリペプチドをコードしてもよく、もしくは変種アミノ酸配列を有する生物学的に機能的に同等のタンパク質もしくはペプチドをコードしてもよい。
【0088】
本発明の核酸セグメントは、ウイルスの治療効果を増大させるラブドウイルスの生物学的機能的同等物、または変種もしくは変異体であるラブドウイルスタンパク質およびペプチドをコードすることができる。そのような配列は、核酸配列およびこのようにコードされるタンパク質内に天然に存在することが知られているコドン重複性および機能的同等性の結果として生じる可能性がある。または、機能的に同等のタンパク質またはペプチドを、組換えDNA技術の適用によって作製してもよく、この場合、タンパク質構造の変化は、交換されるアミノ酸の特性の検討に基づいて操作される可能性がある。例えばウイルスタンパク質の癌細胞結合における改善を導入するために、部位特異的変異誘発技術の適用を介して、ヒトによって設計される変化を導入してもよい。
【0089】
B.ラブドウイルスポリヌクレオチドの変異誘発
様々な態様において、ラブドウイルスポリヌクレオチドは変更または変異誘発されてもよい。変更または変異には、挿入、欠失、点突然変異、逆位等が含まれ、それによって一定のタンパク質または分子機構の調節、活性化、および/または不活化が起こると共に、遺伝子産物の機能、位置、または発現の変化、特に遺伝子産物を非機能的にすることが起こる可能性がある。使用される場合、ラブドウイルスの全てまたは一部をコードするポリヌクレオチドの変異誘発を、多様な標準的な変異誘発技法によって達成してもよい(Sambrook et al., 2001)。変異は、それによって生物体の量または構造に変化が起こるプロセスである。変異は、一つの遺伝子、複数遺伝子のブロック、または全ゲノムのヌクレオチド配列の改変を伴いうる。一つの遺伝子における変化は、DNA配列内の一つのヌクレオチド塩基の除去、付加、もしくは置換を伴う点突然変異の結果であってもよく、またはそれらは多数のヌクレオチドの挿入もしくは欠失を伴う変化の結果であってもよい。
【0090】
1.ランダム変異誘発
a.挿入変異誘発
挿入変異誘発は、公知の核酸断片の挿入を介して遺伝子を不活化することに基づく。これはいくつかのタイプの核酸断片の挿入を伴うことから、生成された変異は一般的に、機能獲得変異よりむしろ機能喪失である。しかし、機能獲得変異を生成する挿入の例もいくつかある。挿入変異誘発は、標準的な分子生物学技術を用いて達成することができる。
【0091】
b.化学変異誘発
化学変異誘発はしばしば、程度の異なる表現型の重症度を有する変異の全範囲を発見できることなど、一定の長所を提供し、実施が容易で安価である。化学発癌物質の大多数は、DNAにおいて変異を産生する。ベンゾ[a]ピレン、N-アセトキシ-2-アセチルアミノフルオレン、およびアフロトキシンB1は、細菌および哺乳動物細胞においてGCからTAへのトランスバージョンを引き起こす。ベンゾ[a]ピレンはまた、ATからTAのような塩基置換をもたらすことができる。N-ニトロソ化合物は、GCからATへのトランジションをもたらす。n-ニトロソウレアに対する曝露によって誘導されたチミンのO4位のアルキル化によって、TAからCGへのトランジションが起こる。
【0092】
c.放射線変異誘発
生物学的分子は、電離放射線によって分解する。入射エネルギーの吸着によって、イオンおよびフリーラジカルの形成、ならびにいくつかの共有結合の切断が起こる。放射線損傷に対する感受性は、分子間および同じ分子の異なる結晶型の間で、全く多様であるように思われる。これは総蓄積線量に依存して、同様に線量率にも依存する(一旦、フリーラジカルが存在すると、それらが引き起こす分子損傷は、それらの天然の拡散率に依存し、したがってリアルタイムである)。損傷は、試料を可能な限り低温にすることによって低減され、制御される。電離放射線は、DNA損傷を引き起こし、これは一般的に線量率に比例する。
【0093】
本発明において、「電離放射線」という用語は、電離(電子の獲得または喪失)を生じるために十分なエネルギーを有し、十分なエネルギーを産生することができる粒子または光子を含む放射線を意味する。例示的および好ましい電離放射線はx-線である。所定の細胞においてまたは特定の細胞に関して必要な電離放射線の量は、一般的に細胞または分子の性質および変異標的の性質に依存する。放射線の有効量を決定するための手段は当技術分野において周知である。
【0094】
d.インビトロスキャニング変異誘発
ランダム変異誘発はまた、エラープローンPCRを用いて導入してもよい。変異誘発率は、鋳型の希釈液を有する多数の試験管においてPCRを行うことによって増加する可能性がある。一つの特に有用な変異誘発技術は、タンパク質コンフォメーションにおける大規模混乱のリスクを最小限にしながら、側鎖の相互作用喪失効果を決定することができるように、多数の残基が個別にアミノ酸アラニンに置換されるアラニンスキャニング変異誘発である(Cunningham et al., 1989)。
【0095】
インビトロスキャニング飽和変異誘発は、以下が含まれる大量の構造-機能情報を得るための迅速な方法を提供する:(i)リガンド結合特異性を調節する残基の同定、(ii)活性を保持するアミノ酸および所定の位置で活性を消失させるアミノ酸の同定に基づくリガンド結合のよりよい理解、(iii)活性部位またはタンパク質サブドメインの全体的な可塑性の評価、(iv)結合の増加が起こるアミノ酸置換の同定。
【0096】
2.部位特異的変異誘発
構造誘導部位特異的変異誘発は、タンパク質-リガンド相互作用を精査および操作するための強力なツールを表す(Wells, 1996;Braisted et al., 1996)。技術は、一つまたは複数のヌクレオチド配列変化を選択されたDNAに導入することによる、配列変種の調製および試験を提供する。
【0097】
C.ベクター
ラブドウイルスゲノムにおいて変異を作製するために、本来のおよび改変したポリペプチドは、ベクターに含まれる核酸分子によってコードされてもよい。「ベクター」という用語は、その中に外因性の核酸配列を、それが複製されうる細胞に導入するために、挿入することができる担体核酸分子を指すために用いられる。核酸配列は「外因性」であってよく、このことは、ベクターが導入される細胞に対してそれが異物であること、または配列が細胞における配列と相同であるが、配列が当初見いだされていない宿主細胞核酸内での位置に存在することを意味する。ベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えばYACs)が含まれる。当業者は、そのいずれも参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al. (2001)およびAusubel et al. (1994)に記載される標準的な組換え型技術を通して、ベクターを構築する能力を十分に備えているだろう。
【0098】
改変Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Gタンパク質、またはLタンパク質のような改変ポリペプチドをコードすることに加え、ベクターは、タグまたはターゲティング分子のような非改変ポリペプチド配列をコードしてもよい。そのような融合タンパク質をコードする有用なベクターには、pINベクター(Inouye et al., 1985)、一連のヒスチジンをコードするベクター、ならびに後の精製および分離または切断のためにグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)可溶性融合タンパク質を生成するために用いられるpGEXベクターが含まれる。ターゲティング分子は、被験体の体内の特定の臓器、組織、細胞、または他の位置に、改変ポリペプチドを向ける分子である。または、ターゲティング分子は、特定の細胞タイプ、例えば癌細胞に対するラブドウイルスのような生物の向性を変更する。
【0099】
「発現ベクター」という用語は、転写されることができる遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含有するベクターを指す。いくつかの場合において、RNA分子は、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。他の場合において、これらの配列は、例えばアンチセンス分子またはリボザイムの産生において翻訳されない。発現ベクターは、多様な「制御配列」を含有することができ、これは特定の宿主生物において機能的に連結したコード配列の転写およびおそらく翻訳にとって必要な核酸配列を指す。転写および翻訳を支配する制御配列に加え、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能の役割を同様に果たし、以下に記載する核酸配列を含有してもよい。
【0100】
1.プロモーターおよびエンハンサー
「プロモーター」は、核酸配列の領域である制御配列であり、ここで転写の開始および速度が制御される。これは、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子のような調節タンパク質および分子に結合する遺伝子エレメントを含有してもよい。「機能的に配置される」、「機能的にカップリングした」、「機能的に連結した」、「制御下」、および「転写制御下」という句は、プロモーターが、その配列の転写開始および/または発現を制御するために、核酸配列に関して正確な機能的位置および/または方向に存在することを意味している。プロモーターは、「エンハンサー」と共に用いても、用いなくてもよく、これは、核酸配列の転写活性化を伴うシス作用調節配列を指す。
【0101】
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に存在する5'非コード配列を単離することによって得られる可能性があるように、遺伝子または配列に天然に会合したプロモーターであってもよい。そのようなプロモーターは、「内因性」と呼ぶことができる。同様に、エンハンサーは、核酸配列に天然に会合し、その配列の下流または上流のいずれかに存在してもよい。または、その天然の環境における核酸配列に通常会合しないプロモーターを指す組換え型または異種プロモーターの制御下に、コード核酸セグメントを配置することによって、一定の長所が得られるであろう。組換え型または異種エンハンサーは、その天然の環境では核酸配列に通常会合しないエンハンサーを指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および任意の他の原核細胞、ウイルス、または真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、および「天然に存在」しないプロモーターまたはエンハンサー、すなわち異なる転写調節領域の異なるエレメントおよび/または発現を変更させる変異を含有するプロモーターまたはエンハンサーが含まれてもよい。
【0102】
プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成によって産生することに加えて、本明細書に開示の組成物に関連して、組換え型クローニングおよび/またはPCR(商標)が含まれる核酸増幅技術を用いて配列を産生してもよい(そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号を参照されたい)。さらに、ミトコンドリア、葉緑体等のような非核オルガネラ内の配列の転写および/または発現を指示する制御配列も同様に使用できることが企図される。
【0103】
本来、発現のために選択した細胞タイプ、オルガネラ、および生物においてDNAセグメントの発現を効率よく指示するプロモーターおよび/またはエンハンサーを使用することは重要であろう。分子生物学の当業者は、タンパク質発現のためにプロモーター、エンハンサー、および細胞タイプの組み合わせを用いることを一般的に知っており、例えば参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., (2001)を参照されたい。使用されるプロモーターは、組換え型タンパク質および/またはペプチドの大規模産生において有利であるように、導入された核酸セグメントの高レベル発現を指示するために適切な条件下で、構成的、組織特異的、細胞選択的(すなわち、もう一つと比較して一つの細胞タイプにおいてより活性である)、誘導型、および/または有用であってもよい。プロモーターは異種または内因性であってもよい。
【0104】
遺伝子の発現を調節するために、本発明の状況においていくつかのエレメント/プロモーターを使用してもよい。この一覧は、発現の促進に関係する起こりうる全てのエレメントを網羅しているとは意図されず、単なるその例示に過ぎない。同様に、特異的刺激に反応して活性化されうる核酸配列の領域である誘導型エレメントの例を提供する。プロモーター/エンハンサー(参照)には:免疫グロブリン重鎖(Banerji et al., 1983;Gilles et al., 1983;Grosschedl et al., 1985;Atchinson et al., 1986, 1987;Imler et al., 1987;Weinberger et al., 1984;Kiledjian et al., 1988;Porton et al;1990);免疫グロブリン軽鎖(Queen et al., 1983;Picard et al., 1984);T細胞受容体(Luria et al., 1987;Winoto et al., 1989;Redondo et al;1990);HLA DQαおよび/またはDQβ(Sullivan et al., 1987);βインターフェロン(Goodbourn et al., 1986;Fujita et al., 1987;Goodbourn et al., 1988);インターロイキン-2(Greene et al., 1989);インターロイキン-2受容体(Greene et al., 1989;Lin et al., 1990);MHCクラスII 5(Koch et al., 1989);MHCクラスII HLA-DRα(Sherman et al., 1989);β-アクチン(Kawamoto et al., 1988;Ng et al;1989);筋クレアチニンキナーゼ(MCK)(Jaynes et al., 1988;Horlick et al., 1989;Johnson et al., 1989);プレアルブミン(トランスチレチン)(Costa et al., 1988);エラスターゼI(Omitz et al., 1987);メタロチオネイン(MTII)(Karin et al., 1987;Culotta et al., 1989);コラゲナーゼ(Pinkert et al., 1987;Angel et al., 1987);アルブミン(Pinkert et al., 1987;Tronche et al., 1989, 1990);α-フェトプロテイン(Godbout et al., 1988;Campere et al., 1989);γ-グロビン(Bodine et al., 1987;Perez-Stable et al., 1990);β-グロビン(Trudel et al., 1987);c-fos(Cohen et al., 1987);c-HA-ras(Triesman, 1986;Deschamps et al., 1985);インスリン(Edlund et al., 1985);神経細胞接着分子(NCAM)(Hirsh et al., 1990);αl-アンチトリペイン(Latimer et al., 1990);H2B(TH2B)ヒストン(Hwang et al., 1990);マウスおよび/またはI型コラーゲン(Ripe et al., 1989);グルコース調節タンパク質(GRP94およびGRP78)(Chang et al., 1989);ラット成長ホルモン(Larsen et al., 1986);ヒト血清アミロイドA(SAA)(Edbrooke et al., 1989);トロポニンI(TN I)(Yutzey et al., 1989);血小板由来増殖因子(PDGF)(Pech et al., 1989);デュシェーヌ筋ジストロフィー(Klamut et al., 1990);SV40(Banerji et al., 1981;Moreau et al., 1981;Sleigh et al., 1985;Firak et al., 1986;Herr et al., 1986;Imbra et al., 1986;Kadesch et al., 1986;Wang et al., 1986;Ondek et al., 1987;Kuhl et al., 1987;Schaffner et al., 1988);ポリオーマ(Swartzendruber et al., 1975;Vasseur et al., 1980;Katinka et al., 1980, 1981;Tyndell et al., 1981;Dandolo et al., 1983;de Villiers et al., 1984;Hen et al., 1986;Satake et al., 1988;Campbell et al., 1988);レトロウイルス(Kriegler et al., 1982, 1983;Levinson et al., 1982;Kriegler et al., 1983, 1984a, b, 1988;Bosze et al., 1986;Miksicek et al., 1986;Celander et al., 1987;Thiesen et al., 1988;Celander et al., 1988;Chol et al., 1988;Reisman et al., 1989);乳頭腫ウイルス(Campo et al., 1983;Lusky et al., 1983;Spandidos and Wilkie, 1983;Spalholz et al., 1985;Lusky et al., 1986;Cripe et al., 1987;Gloss et al., 1987;Hirochika et al., 1987;Stephens et al., 1987);B型肝炎ウイルス(Bulla et al., 1986;Jameel et al., 1986;Shaul et al., 1987;Spandau et al., 1988;Vannice et al., 1988);ヒト免疫不全ウイルス(Muesing et al., 1987;Hauber et al., 1988;Jakobovits et al., 1988;Feng et al., 1988;Takebe et al., 1988;Rosen et al., 1988;Berkhout et al., 1989;Laspia et al., 1989;Sharp et al., 1989;Braddock et al., 1989);サイトメガロウイルス(CMV)(Weber et al., 1984;Boshart et al., 1985;Foecking et al., 1986);およびテナガザル白血病ウイルス(Holbrook et al., 1987;Quinn et al., 1989)が含まれる。
【0105】
誘導型エレメント(エレメント/インデューサー(参照))には:MT II/ホルボルエステル(TFA);重金属(Palmiter et al., 1982;Haslinger et al., 1985;Searle et al., 1985;Stuart et al., 1985;Imagawa et al., 1987, Karin et al., 1987;Angel et al., 1987b;McNeall et al., 1989);MMTV(マウス乳腺腫瘍ウイルス)/グルココルチコイド(Huang et al., 1981;Lee et al., 1981;Majors et al., 1983;Chandler et al., 1983;Lee et al., 1984;Ponta et al., 1985;Sakai et al., 1988);β-インターフェロン/ポリ(rI)x、ポリ(rc)(Tavernier et al., 1983);アデノウイルス5 E2/E1A(Imperiale et al., 1984);コラゲナーゼ/ホルボルエステル(TPA)(Angel et al., 1987a);ストロメリシン/ホルボルエステル(TPA)(Angel et al., 1987b);SV40/ホルボルエステル(TPA)(Angel et al., 1987b);マウスMX遺伝子/インターフェロン、ニューカッスル病ウイルス(Hug et al., 1988);GRP78遺伝子/A23187(Resendez et al., 1988);α-2-マクログロブリン/IL-6(Kunz et al., 1989);ビメンチン/血清(Rittling et al., 1989);MHCクラスI遺伝子H-2κb/インターフェロン(Blanar et al., 1989);HSP70/E1A、SV40ラージT抗原(Taylor et al., 1989, 1990a, 1990b);プロリフェリン/ホルボルエステル-TPA(Mordacq et al., 1989);腫瘍壊死因子/PMA(Hensel et al., 1989);および甲状腺刺激ホルモンα遺伝子/甲状腺ホルモン(Chatterjee et al., 1989)が含まれる。
【0106】
組織特異的または組織選択的(すなわち、もう一つと比較して一つの細胞においてより大きい活性を有するプロモーター)プロモーターまたはエレメントの同一性と共に、その活性を特徴付けるためのアッセイは、当業者に周知である。そのような領域の例には、ヒトLIMK2遺伝子(Nomoto et al 1999)、ソマトスタチン受容体2遺伝子(Kraus et al., 1998)、マウス精巣上体レチン酸結合遺伝子(Lareyre et al., 1999)、ヒトCD4(Zhao-Emonet et al., 1998)、マウスα2(XI)コラーゲン(Tsumaki, et al., 1998)、D1Aドーパミン受容体遺伝子(Lee, et al., 1997)、インスリン様増殖因子II(Wu et al., 1997)、ヒト血小板内皮細胞接着分子-1(Almendro et al., 1996)、およびSM22αプロモーターが含まれる。
【0107】
本発明と組み合わせて用いることができるであろうさらなるウイルスプロモーター、細胞プロモーター/エンハンサー および誘導型プロモーター/エンハンサーを、本明細書に記載する。さらに、いかなるプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(真核細胞プロモーターデータベース(EPDB)により)もまた、オリゴ糖プロセシング酵素、タンパク質フォールディングアクセサリタンパク質、選択マーカータンパク質、または関心対象の異種タンパク質をコードする構造遺伝子の発現を駆動するために用いることができる。または、癌遺伝子治療のため(表2)または腫瘍のターゲティング(表3)のための組織特異的プロモーターを、本発明の核酸分子と共に使用してもよい。
【0108】
(表2)癌遺伝子治療のための候補組織特異的プロモーター

【0109】
(表3)腫瘍の組織特異的ターゲティングに用いるための候補プロモーター

【0110】
2.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位
コード配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルもまた必要である可能性がある。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンが含まれる外因性の翻訳制御シグナルを提供する必要がある可能性がある。当業者は容易にこれを決定して、必要なシグナルを提供することができるであろう。開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために望ましいコード配列の読み取り枠と「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは天然または合成のいずれかでありうる。発現効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることによって増強される可能性がある。
【0111】
本発明の一定の態様において、内部リボソーム進入部位(IRES)エレメントを用いて、多遺伝子またはポリシストロニックメッセージを作製する。IRESエレメントは、5'メチル化Cap依存的翻訳のリボソーム走査モデルを迂回して、内部部位での翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg, 1988)。ピコルナウイルス科(ポリオおよび脳心筋炎)の二つのメンバー由来のIRESエレメント(Pelletier and Sonenberg, 1988)と共に、哺乳動物メッセージからのIRES(Macejak and Sarnow, 1991)が記載されている。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結させることができる。それぞれIRESによって離れている多数のオープンリーディングフレームを共に転写して、ポリシストロニックメッセージを作製することができる。IRESエレメントのために、それぞれのオープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに近づくことができる。一つのメッセージを転写させるために、一つのプロモーター/エンハンサーを用いて、多数の遺伝子を効率よく発現させることができる(参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,925,565号および第5,935,819号を参照されたい)。
【0112】
3.マルチクローニング部位
ベクターは、そのいずれもがベクターを消化するために標準的な組換え技術と共に用いることができる多数の制限酵素部位を含有する核酸領域であるマルチクローニング部位(MCS)が含むことができる(参照により本明細書に組み入れられる、Carbonelli et al., 1999、Levenson et al., 1998、およびCocea, 1997を参照されたい)。「制限酵素消化」は、核酸分子における特異的位置のみで機能する酵素による、核酸分子の触媒的切断を指す。これらの制限酵素の多くが市販されている。そのような酵素を用いることは当業者に広く理解されている。しばしばベクターは、外因性の配列をベクターにライゲーションさせることができるように、MCS内で切断する制限酵素を用いて直線状または断片化される。「ライゲーション」は、互いに隣接してもしていなくてもよい二つの核酸断片間にホスホジエステル結合を形成するプロセスを指す。制限酵素およびライゲーション反応を伴う技術は、組換え技術の当業者に周知である。
【0113】
4.終止シグナル
本発明のベクターまたは構築物は、一般的に少なくとも一つの終止シグナルを含むであろう。「終止シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特異的終止に関係するRNA配列を含む。このように、一定の態様において、RNA転写物の産生を終了させる終止シグナルが企図される。ターミネーターは、望ましいメッセージレベルを達成するためにインビボで必要である可能性がある。
【0114】
ラブドウイルスが含まれるネガティブセンスRNAウイルスの場合、終止はRNAモチーフによって定義される。
【0115】
本発明で用いるために企図されるターミネーターには、例えばウシ成長ホルモンターミネーターのような遺伝子の終止配列、またはSV40ターミネーターのようなウイルス終止配列が含まれるがこれらに限定されない、本明細書に記載するまたは当業者に公知の、任意の公知の終止ターミネーターが含まれる。一定の態様において、終止配列は、配列切断によるような、転写可能または翻訳可能配列の欠如であってもよい。
【0116】
5.ポリアデニル化シグナル
発現において、特に真核細胞発現において、典型的に転写物の適当なポリアデニル化を行うためにポリアデニル化シグナルが含まれるであろう。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功にとって決定的ではないと思われ、および/または任意のそのような配列を使用してもよい。好ましい態様には、簡便でおよび/または様々な標的細胞において良好に機能することが公知である、SV40ポリアデニル化シグナルおよび/またはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化は、転写物の安定性を増加させる、または細胞質輸送を助長する可能性がある。
【0117】
6.複製開始点
宿主細胞内でベクターを増幅するために、ベクターは、複製が開始される特異的核酸配列である一つまたは複数の複製開始点(しばしば「複製起点」と呼ばれる)を含有してもよい。または、宿主細胞が酵母である場合、自律複製配列(ARS)を使用することができる。
【0118】
7.選択可能かつスクリーニング可能なマーカー
本発明の一定の態様において、本発明の核酸構築物を含有する細胞を、発現ベクターにマーカーを含めることによって、インビトロまたはインビボで同定してもよい。そのようなマーカーは、発現ベクターを含有する細胞の容易な同定を可能にする、細胞に対して同定可能な変化を付与するであろう。一般的に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するマーカーである。陽性選択マーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするマーカーであるが、陰性選択マーカーは、その存在がその選択を妨害するマーカーである。陽性選択マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
【0119】
通常、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングおよび同定に役立ち、例えばネオマイシン、ピューロマイシン、ヒグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用な選択マーカーである。条件の実行に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加え、その基礎が比色定量分析であるGFPのようなスクリーニング可能なマーカーが含まれる他のタイプのマーカーも同様に企図される。または、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなスクリーニング可能な酵素も利用してもよい。当業者はまた、おそらくFACS分析と共に免疫学的マーカーを使用する方法を知っているであろう。用いるマーカーは、それが遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されることができる限り、重要ではないと考えられる。選択およびスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
【0120】
D.宿主細胞
本明細書で用いるように、「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」という用語は互換的に用いられる可能性がある。これらの用語には全て、任意のおよび全てのその後の世代であるその子孫が含まれる。全ての子孫は、故意または偶然の変異により同一ではない可能性があると理解される。異種核酸配列を発現するという状況において、「宿主細胞」は、原核細胞または真核細胞を指し、これにはベクターを複製することができるおよび/またはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することができる、任意の形質転換可能な生物が含まれる。宿主細胞は、ベクターまたはウイルス(外因性のポリペプチドを発現しなければベクターとして適格ではない)に関するレシピエントとなることができ、またはレシピエントとして用いられている。宿主細胞は、「トランスフェクト」または「形質転換」されてもよく、これはそれによって改変タンパク質コード配列のような外因性の核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。形質転換細胞には、一次被験細胞およびその子孫が含まれる。
【0121】
所望の結果がベクターの複製であるか、またはベクターコード核酸配列の一部または全ての発現であるかに応じて、宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞が含まれる原核細胞または真核細胞に由来してもよい。多数の細胞株および培養物が宿主細胞として用いるために利用可能であり、それらは、生きている培養物および遺伝材料のための保管庫(www.atcc.org)として役立つ機構であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を通して得ることができる。当業者は、ベクター骨格および所望の結果に基づいて、適切な宿主を決定することができる。例えば、プラスミドまたはコスミドを、多くのベクターの複製のために原核宿主細胞に導入することができる。ベクターの複製および/または発現のための宿主細胞として用いられる細菌細胞には、DH5α、JM109、およびKC8が含まれると共に、SURE(登録商標)コンピテント細胞およびSOLOPACK(商標)ゴールド細胞(STRATAGENE(登録商標)、La Jolla, CA)のような多くの市販の細菌宿主が含まれる。または、大腸菌LE392のような細菌細胞を、ファージウイルスのための宿主細胞として用いることができるであろう。適当な酵母細胞には、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ポムベ(Saccharomyces pombe)、およびピチア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれる。
【0122】
ベクターの複製および/または発現のための真核宿主細胞の例には、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、Cos、CHO、Saos、およびPC12が含まれる。様々な細胞タイプおよび生物由来の多くの宿主細胞が利用可能であり、当業者に公知であろう。同様にウイルスベクターは、真核細胞または原核宿主細胞のいずれかと共に、特にベクターの複製または発現に関して許容性である細胞と共に用いてもよい。
【0123】
いくつかのベクターは、原核細胞および真核細胞の双方において、それが複製および発現されることを可能にする制御配列を使用してもよい。当業者はさらに、上記の宿主細胞の全てをインキュベートして、それらを維持し、ベクターの複製を可能にする条件を理解するであろう。同様に、ベクターの大規模産生と共にベクターによってコードされる核酸、およびその同源のポリペプチド、タンパク質、またはペプチドの産生を可能にするであろう技術および条件も、理解されかつ公知である。
【0124】
E.発現系
先に考察した組成物の少なくとも全てまたは一部を含む多数の発現系が存在する。原核細胞および/または真核細胞に基づく系を、核酸配列、その同源のポリペプチド、タンパク質、およびペプチドを産生するために、本発明と共に用いるために使用することができる。そのような多くの系が市販されており、広く利用可能である。
【0125】
昆虫細胞/バキュロウイルス系は、その双方が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,871,986号および第4,879,236号に記載されるように、異種核酸セグメントの高レベルタンパク質発現をもたらすことができ、これは例えばINVITROGEN(登録商標)の商品名MAXBAC(登録商標)2.0およびCLONTECH(登録商標)のBACPACK(商標)BACULO VIRUS EXPRESSION SYSTEMとして購入可能である。
【0126】
開示の本発明の発現系に加え、発現系の他の例には、合成精巣上体誘導受容体を伴うSTRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROL(商標)誘導型哺乳動物発現系、またはそのpET発現系、大腸菌発現系が含まれる。誘導型発現系のもう一つの例は、INVITROGEN(登録商標)から入手可能であり、これは完全長のCMVプロモーターを用いる誘導型哺乳動物発現系であるT-REX(商標)(テトラサイクリン-調節発現)系を有する。INVITROGEN(商標)はまた、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)発現系と呼ばれる酵母発現系を提供し、これはメチル栄養性の酵母ピチア・メタノリカにおける組換え型タンパク質の高レベル産生用に設計されている。当業者は、発現構築物のようなベクターを発現させる方法、核酸配列またはその同源のポリペプチド、タンパク質、もしくはペプチドを産生する方法を承知しているであろう。
【0127】
F.核酸の検出
ポックスウイルスタンパク質、ポリペプチド、および/またはペプチドの発現を指示するためにそれらを用いることに加え、本明細書で開示する核酸配列は多様な他の用途を有する。例えば、それらは核酸ハイブリダイゼーションを伴う態様のためのプローブまたはプライマーとして有用性を有する。それらは、本発明の診断またはスクリーニング法において用いられてもよい。ラブドウイルスまたはラブドウイルスポリペプチド調節剤をコードする核酸の検出は、本発明に包含される。
【0128】
I.ハイブリダイゼーション
13〜100ヌクレオチド、好ましくは17〜100ヌクレオチド長、または本発明のいくつかの局面において1〜2キロベース長またはそれより多いプローブまたはプライマーを用いることは、安定かつ選択的である二本鎖分子の形成を可能にする。長さが20塩基より長い隣接する一連の塩基にわたって相補的配列を有する分子は、得られるハイブリッド分子の安定性および/または選択性を増加させるために一般的に好ましい。一般的に、20〜30ヌクレオチド、または望ましければそれより長い一つまたは複数の相補的配列を有するハイブリダイゼーション用の核酸分子を設計することが好まれる。そのような断片は、例えば化学的手段によって断片を直接合成することによって、または組換え的産生のために組換え型ベクターに選択された配列を導入することによって、容易に調製してもよい。
【0129】
したがって、本発明のヌクレオチド配列は、相補的な一連のDNAおよび/またはRNAと二本鎖分子を選択的に形成する能力のために、または試料からDNAまたはRNAを増幅するためのプライマーを提供する能力のために用いてもよい。想像される適用に応じて、標的配列のためのプローブまたはプライマーの選択性の様々な程度を達成するために、多様なハイブリダイゼーション条件を使用することが望まれるであろう。
【0130】
高い選択性を必要とする適用に関して、典型的に、ハイブリッドを形成するために比較的高いストリンジェンシー条件を使用することが望まれるであろう。例えば、温度約50℃〜約70℃で約0.02 M〜約0.10 M NaClによって提供されるような比較的低い塩および/または高温条件である。そのような高ストリンジェンシー条件は、もしあるとしてもプローブまたはプライマーと鋳型または標的鎖との間のミスマッチをほとんど認容せず、特異的遺伝子を単離するためにまたは特異的mRNA転写物を検出するために、特に適しているであろう。一般的に、ホルムアミドの増加量を付加することによって、条件をよりストリンジェントにすることができると認識される。
【0131】
一定の適用、例えば部位特異的変位誘発に関して、より低いストリンジェンシー条件が好ましいと認識される。これらの条件において、ハイブリダイズする鎖の配列が完全に相補的でなく、一つまたは複数の位置でミスマッチを有する場合であってもハイブリダイズする可能性がある。塩濃度を増加させることおよび/または温度を低下させることによって、条件をより低いストリンジェンシーにしてもよい。例えば、中等度のストリンジェンシー条件は、温度約37℃〜約55℃で約0.1〜0.25 M NaClによって提供することができるが、低ストリンジェンシー条件は、温度約20℃〜約55℃で約0.15 M〜約0.9 Mの塩によって提供することができる。ハイブリダイゼーション条件は、所望の結果に応じて容易に操作することができる。
【0132】
他の態様において、ハイブリダイゼーションを、例えば50 mM Tris-HCl(pH 8.3)75 mM KCl、3 mM MgCl2、1.0 mMジチオスレイトール、温度およそ20℃〜約37℃の条件で達成してもよい。利用される他のハイブリダイゼーション条件には、温度およそ40℃〜約72℃の範囲で、およそ10 mM Tris-HCl(pH 8.3)、50 mM KCl、1.5 mM MgCl2が含まれるであろう。
【0133】
一定の態様において、ハイブリダイゼーションを決定するために、標識のような適切な手段と共に、本発明の定義された配列の核酸を使用することが有利であろう。蛍光、放射活性、酵素、または検出することができるアビジン/ビオチンのような他のリガンドが含まれる広く多様な適切な指標手段が、当技術分野において公知である。好ましい態様において、放射活性または環境的に望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識、またはウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、もしくはペルオキシダーゼのような酵素タグの使用が望まれる場合もある。酵素タグの場合、肉眼的または分光光度法によって検出可能である検出手段を提供するために、相補的核酸含有試料との特異的ハイブリダイゼーションを同定するために用いることができる比色定量指標基質が公知である。
【0134】
一般的に、本明細書に記載するプローブまたはプライマーは、対応する遺伝子の発現を検出するために、PCR(商標)のような溶液ハイブリダイゼーションにおける試薬として、および固相を使用する態様において、有用であろうと想像される。固相を伴う態様において、試験DNA(またはRNA)を、選択されたマトリックスまたは表面に吸着させる、または他の方法で付着させる。この固定された一本鎖核酸を、望ましい条件下で、選択されたプローブとのハイブリダイゼーションに供する。選択された条件は、特定の状況(例えば、G+C含有量、標的核酸のタイプ、核酸供給源、ハイブリダイゼーションプローブの大きさ等に応じて)に依存するであろう。関心対象の特定の適用に関するハイブリダイゼーション条件の最適化は、当業者に周知である。非特異的結合プローブ分子を除去するためにハイブリダイズした分子を洗浄後、結合した標識量を決定することによって、ハイブリダイゼーションを検出および/または定量する。代表的な固相ハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,843,663号、第5,900,481号、および第5,919,626号に開示される。本発明の実施に用いてもよい他のハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,849,481号、第5,849,486号、および第5,851,772号に開示されている。明細書の本章で同定したこれらおよび他の参考文献の関連する部分は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0135】
2.核酸の増幅
増幅のための鋳型として用いられる核酸は、標準的な方法論(Sambrook et al., 2001)に従って細胞、組織、または他の試料から単離されてもよい。一定の態様において、分析は、鋳型核酸を実質的に精製することなく、全細胞、組織ホモジネート、または生物学的液体試料について行われる。核酸は、ゲノムDNAまたは分画もしくは全細胞RNAであってもよい。RNAを用いる場合、最初にRNAを相補的DNAに変換することが望ましい場合もある。
【0136】
本明細書で用いるように、「プライマー」という用語は、鋳型依存的プロセスにおいて新生核酸の合成をプライミングすることができる任意の核酸を包含することを意味する。典型的に、プライマーは、長さが10から20および/または30塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を使用することができる。プライマーは、二本鎖および/または一本鎖型で提供されてもよいが、一本鎖型が好ましい。
【0137】
本明細書で同定された遺伝子の配列に対応する核酸に選択的にハイブリダイズするように設計されたプライマー対を、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件で鋳型核酸に接触させる。望ましい適用に応じて、プライマーと完全に相補的である配列とのハイブリダイゼーションのみを可能にするであろう高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件を選択してもよい。他の態様において、ハイブリダイゼーションは、プライマー配列と一つまたは複数のミスマッチを含有する核酸の増幅を可能にするように、低減されたストリンジェンシーで行ってもよい。ハイブリダイズした後、鋳型-プライマー複合体を、鋳型依存的核酸合成を助長する一つまたは複数の酵素と接触させる。増幅産物の十分量が産生されるまで、「サイクル」とも呼ばれる多数の増幅ラウンドを行う。
【0138】
所定の鋳型試料に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅するために、多数の鋳型依存的プロセスが利用可能である。最もよく知られている増幅法の一つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)とも呼ばれる)であり、これは、そのそれぞれの全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号、ならびにInnis et al., 1988において詳細に記載されている。
【0139】
増幅されたmRNAの量を定量するために逆転写酵素PCR(商標)増幅技法を行ってもよく、この技法は周知である(Sambrook et al., 2001;WO 90/07641;および米国特許第5,882,864号を参照されたい)。
【0140】
もう一つの増幅法は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、欧州特許出願第320 308号に開示されるリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合させるためにLCRと類似の方法を記載している。米国特許第5,912,148号に開示されるPCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法も、同様に用いてもよい。本発明の実施に用いてもよい標的核酸配列を増幅するためのもう一つの方法は、そのそれぞれの全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号、および号5,942,391第、英国特許出願第2 202 328号、およびPCT出願番号PCT/US89/01025に開示されている。PCT出願第PCT/US87/00880号に記載されているQβレプリカーゼもまた。本発明の増幅法として用いてもよい。Walker et al. (1992)によって記載される等温増幅も、米国特許第5,916,779号に開示される鎖置換増幅(SDA)と共に用いることができる。
【0141】
他の核酸増幅技法には、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SR(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Kwoh et al., 1989;PCT出願WO 88/10315)が含まれる転写に基づく増幅系(TAS)が含まれる。欧州特許出願第329 822号は、本発明に従って用いてもよい一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)のサイクル合成を伴う核酸増幅プロセスを開示する。
【0142】
PCT出願WO 89/06700(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)は、標的一本鎖DNA(「ssDNA」)に対するプロモーター領域/プライマー配列のハイブリダイゼーションと、その後の配列の多くのRNAコピーの転写とに基づく核酸配列増幅スキームを開示する。他の増幅法には、「RACE」および「片側PCR」が含まれる(Frohman, 1990;Ohara et al., 1989)。
【0143】
3.核酸の検出
任意の増幅後、鋳型および/または過剰量のポリマーから増幅産物を分離および/または単離することが望ましい可能性がある。一つの態様において、増幅産物は、標準的な方法を用いてアガロース、アガロース-アクリルアミド、またはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される(Sambrook et al., 2001)。
【0144】
核酸の分離はまた、当技術分野において公知のクロマトグラフィー技術によって行ってもよい。吸着、分配、イオン交換、ヒドロキシルアパタイト、分子ふるい、逆相クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、およびガスクロマトグラフィーと共にHPLCが含まれる、本発明の実施に用いてもよい多くの種類のクロマトグラフィーが存在する。
【0145】
典型的な可視化法には、エチジウムブロミドによるゲルの染色およびUV光の下でのバンドの可視化が含まれる。または、増幅産物が放射標識または蛍光光度法によって標識されたヌクレオチドによって完全に標識される場合、分離された増幅産物をx-線フィルムに露光する、または適切な励起スペクトルで可視化することができる。
【0146】
特定の態様において、標識プローブとのサザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションによって、検出を行う。サザンブロッティングに関連する技術は当業者に周知である(Sambrook et al., 2001を参照されたい)。前述の一例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,279,721号に記載され、これは核酸の自動電気泳動および移入のための装置および方法を開示する。
【0147】
本発明の実施に用いてもよい他の核酸検出法は、そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,840,873号、第5,843,640号、第5,843,651号、第5,846,708号、第5,846,717号、第5,846,726号、第5,846,729号、第5,849,487号、第5,853,990号、第5,853,992号、第5,853,993号、第5,856,092号、第5,861,244号、第5,863,732号、第5,863,753号、第5,866,331号、第5,905,024号、第5,910,407号、第5,912,124号、第5,912,145号、第5,919,630号、第5,925,517号、第5,928,862号、第5,928,869号、第5,929,227号、第5,932,413号、および第5,935,791号に開示される。
【0148】
4.他のアッセイ
遺伝子スクリーニングのための他の方法を、本発明の範囲において、例えばゲノム核酸、cDNA、および/またはRNA試料における変異を検出するために用いてもよい。点突然変異を検出するために用いられる方法には、変性勾配ゲル電気泳動(「DGGE」)、制限断片長多形分析(「RFLP」)、化学または酵素的切断法、PCR(商標)(上記参照)によって増幅された標的領域の直接シークエンシング、一本鎖コンフォメーション多形分析(「SSCP」)、および当技術分野において周知の他の方法が含まれる。点突然変異に関してスクリーニングする一つの方法は、RNA/DNAまたはRNA/RNAヘテロ二重鎖における塩基対ミスマッチのRNアーゼ切断に基づく。本明細書で用いるように、「ミスマッチ」という用語は、二本鎖RNA/RNA、RNA/DNA、またはDNA/DNA分子における、一つまたは複数の非対または誤対形成したヌクレオチドの領域として定義される。このように、この定義には、挿入/欠失変異によるミスマッチが含まれると共に、一つまたは多数の塩基の点突然変異(例えば、米国特許第4,946,773号を参照されたい)が含まれる。本発明の実施に用いてもよい欠失、挿入、または置換変異を検出するための代わりの方法は、そのそれぞれの全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,849,483号、第5,851,770号、第5,866,337号、第5,925,525号、および第5,928,870号に開示される。
【0149】
G.遺伝子移入法
本発明の組成物の発現を行うための核酸送達の適した方法は、本明細書に記載するようにまたは当業者に公知であるように、それによって核酸(例えば、ウイルスおよび非ウイルスベクターが含まれるDNAまたはRNA)をオルガネラ、細胞、組織、または生物に導入することができる実質的に任意の方法が含まれると考えられる。そのような方法には、マイクロインジェクション(参照により本明細書に組み入れられる、Harland and Weintraub, 1985;米国特許第5,789,215号)が含まれる注入(そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,994,624号、第5,981,274号、第5,945,100号、第5,780,448号、第5,736,524号、第5,702,932号、第5,656,610号、第5,589,466号、および第5,580,859号)による;電気穿孔(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,384,253号)による;リン酸カルシウム沈殿(Graham and Van Der Eb, 1973;Chen and Okayama, 1987;Rippe et al., 1990)による;DEAEデキストランの後にポリエチレングリコールを用いること(Gopal., 1985)による;直接超音波ローディング(Fechheimer et al., 1987)による;リポソーム媒介トランスフェクション(Nicolau and Sene, 1982;Fraley et al., 1979;Nicolau et al., 1987;Wong et al., 1980;Kaneda et al., 1989;Kato et al., 1991)による;微小発射物衝突(それぞれが参照により本明細書に組み入れられる、PCT出願WO 94/09699および95/06128;米国特許第5,610,042号;第5,322,783号、第5,563,055号、第5,550,318号、第5,538,877号、および第5,538,880号)による;シリコンカーバイド繊維による撹拌(そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる、Kaeppler et al., 1990;米国特許第5,302,523号および第5,464,765号)による;アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換(それぞれが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,591,616号および第5,563,055号)による;またはプロトプラストのPEG媒介形質転換(そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる、Omirulleh et al., 1993;米国特許第4,684,61号および第4,952,500号)による;乾燥/阻害媒介DNA取り込み(Potrykus et al., 1985)によるなど、核酸の直接送達が含まれるがこれらに限定されない。このような技術の適用を通して、オルガネラ、細胞、組織、または生物は、安定または一過性に形質転換される。
【0150】
H.脂質成分および部分
一定の態様において、本発明は、核酸、ペプチド、または他の低分子化合物のようなアミノ酸分子に会合した一つまたは複数の脂質を含む組成物に関する。本明細書で考察する任意の態様において、分子は、ラブドウイルスポリペプチド、またはラブドウイルスポリペプチド調節剤、例えばラブドウイルスポリペプチドの全てもしくは一部をコードする核酸、またはラブドウイルスポリペプチド調節剤の全てもしくは一部をコードするアミノ酸分子のいずれかであってもよい。脂質は、特徴的に水に不溶性であり、有機溶媒によって抽出可能な物質である。本明細書で特異的に記載する化合物以外の化合物が、脂質として当業者によって理解され、本発明の組成物および方法によって包含される。脂質成分と非脂質とは、共有的または非共有的に互いに付着してもよい。
【0151】
脂質は天然に存在してもよく、または合成(すなわち、ヒトによって設計または生成された)であってもよい。しかし、脂質は通常、生物学的物質である。生物学的脂質は当技術分野において周知であり、これには例えば中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、グリコスフィンゴリピッド、糖脂質、スルファチド、エーテルまたはエステル結合した脂肪酸を有する脂質、および重合化可能な脂質、ならびにその組み合わせが含まれる。
【0152】
脂質に会合した、核酸分子、またはペプチドのようなアミノ酸分子を、脂質を含有する溶液に分散、脂質と共に溶解、脂質によって乳化、脂質と混合、脂質と複合、脂質に共有結合、脂質中の懸濁液として含有されてもよく、または他の方法で脂質と会合してもよい。本発明の脂質または脂質/ウイルス会合組成物は、任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらはまた単純に溶液に散在してもよく、おそらく大きさまたは形状のいずれかにおいて均一ではない凝集体を形成してもよい。もう一つの例において、それらは二層構造で、ミセルとして、または「崩壊した」構造で存在してもよい。もう一つの非制限的な例において、Lipofectamine(Gibco BRL)-ポックスウイルスまたはSuperfect(Qiagen)ウイルス複合体も同様に企図される。
【0153】
一定の態様において、脂質組成物は、特定の脂質、脂質型、または薬物、タンパク質、砂糖、核酸、もしくは本明細書に開示するもしくは当業者に公知である他の材料のような非脂質成分を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、またはそこから導き出せる任意の範囲を含んでもよい。非制限的な例において、脂質組成物は、約10%〜約20%中性脂質、約33%〜約34%セレブロシド、および約1%コレステロールを含んでもよい。このように、本発明の脂質組成物は、任意の組み合わせまたは百分率範囲で、脂質、脂質型、または他の成分のいかなるものも含んでもよいことが企図される。
【0154】
IV.薬学的製剤および処置療法
本発明の態様において、マラバウイルス、カラジャスウイルス、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスのような非VSVラブドウイルスの送達による、癌などの過増殖または新生物疾患のための処置法が企図される。処置のために企図される癌の例には、肺癌、頭頚部癌、乳癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、骨癌、精巣癌、子宮頚癌、消化管癌、リンパ腫、前癌様病変、肺における前新生物病変、結腸癌、黒色腫、膀胱癌、および転移性または全身に分布した癌が含まれる、処置される可能性がある他の任意の癌または腫瘍が含まれる。
【0155】
薬学的組成物の有効量は一般的に、疾患またはその症状の程度を検出可能かつ反復して遅らせる、改善する、低減する、最小限にする、または限定するために十分である量として定義される。疾患の消失、根絶、または治癒が含まれるより厳密な定義を適用してもよい。
【0156】
好ましくは、患者は、妥当な骨髄機能(末梢の絶対顆粒球数が>2,000個/mm3、および血小板数が100,000個/mm3として定義される)、妥当な肝機能(ビリルビン<1.5 mg/dl)、および妥当な腎機能(クレアチニン<1.5 mg/dl)を有するであろう。
【0157】
A.投与
本発明の方法および組成物を用いて、細胞を死滅させるため、細胞の生育を阻害するため、転移を阻害するため、腫瘍または組織の大きさを減少させるため、および他の方法で腫瘍細胞の悪性の表現型を逆転、留まらせる、または低減させるために、一般的に過増殖または新生物細胞を、ウイルスまたはポリペプチドをコードする発現構築物などの治療組成物に接触させる。投与経路は本質的に病変の位置および性質に応じて変化し、これには例えば皮内、経皮、非経口、血管内、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、領域内、経皮、気管内、腹腔内、動脈内、膀胱内、腫瘍内、吸入、灌流、洗浄、直接注射、食事性、および経口の投与および製剤が含まれる。
【0158】
血管状態または疾患に関して治療効果を得るために、血管細胞を治療化合物に接触させる。癌の処置または診断に関して考察される製剤および投与経路の任意のものを、血管疾患および状態に関して使用してもよい。
【0159】
腫瘍内注射または腫瘍血管内への注射は、孤立性、固形、近づくことができる腫瘍に関して企図される。局所、領域内、または全身投与も同様に、特に播種性または全身に播種している可能性がある癌に関して企図される。ウイルス粒子は、少なくともまたは多くて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回の注射によって投与されてもよい。
【0160】
外科的介入の場合、手術不能な腫瘍を切除に供するために、本発明を術前に用いてもよい。または本発明は手術時に用いてもよく、および/またはその後残留もしくは転移疾患を処置するために用いてもよい。例えば、変異を保有してもよくまたは保有しなくてもよいラブドウイルスポリペプチドまたはラブドウイルスを含む製剤を、切除された腫瘍床に注射または灌流してもよく、これは癌または癌細胞の処置にとって好都合である。灌流は、例えば手術部位に埋め込まれたカテーテルを残すことによって、切除後持続してもよい。定期的な術後処置も同様に想定される。
【0161】
例えば腫瘍が切除され、かつ残留の顕微鏡的疾患を消失させるために腫瘍床が処置される場所での持続的投与もまた、適切であれば適用してもよい。シリンジまたはカテーテルによる送達が好ましい。そのような持続的灌流は、処置開始後約1〜2時間から約2〜6時間まで、約6〜12時間まで、約12〜24時間まで、約1〜2日まで、約1〜2週間まで、またはそれより長い期間行ってもよい。一般的に、持続的灌流による治療組成物の用量は、灌流が起こる期間にわたって調節される1回または多数回注射によって与えられる用量と同等であろう。さらに、特に黒色腫および肉腫の処置において本発明の治療組成物を投与するために、四肢の灌流を用いてもよいことが企図される。
【0162】
治療措置もまた変化してよく、しばしば、腫瘍のタイプ、腫瘍の位置、疾患の進行、ならびに患者の健康および年齢に依存する可能性がある。明らかに一定のタイプの腫瘍はより積極的な処置を必要とするが、同時に一定の患者はより負担の多いプロトコールを認容できない。臨床医は治療製剤の公知の効能および毒性(もしあれば)に基づいてそのような決定を下すために最も適しているであろう。
【0163】
一定の態様において、処置される腫瘍は、少なくとも最初は、切除可能でなくともよい。治療ウイルス構築物による処置は、辺縁部の縮小により、または一定の特に浸潤性の部分を消失させることによって、腫瘍の切除可能性を増大させる可能性がある。処置後、切除が可能となる場合もある。切除後のさらなる処置は、腫瘍部位での顕微鏡的残留疾患を消失させるために役立つであろう。
【0164】
原発腫瘍または切除後の腫瘍床の典型的な処置経過は、多数回の用量を伴うであろう。典型的な原発性腫瘍の処置は、1、2、3、4、5、6週間、またはそれより長い間、1、2、3、4、5、6回、またはそれより多い用量の適用を伴う。2週間の措置を1、2、3、4、5、6回、またはそれより多く繰り返してもよい。処置の過程で、計画された投与を完了する必要性を再評価してもよい。
【0165】
処置には、様々な「単位用量」が含まれてもよい。単位用量は、治療組成物の規定量を含有するとして定義される。投与される量、ならびに特定の経路および製剤は、臨床の技術分野における当業者の能力範囲内である。単位用量は1回注射として投与される必要はなく、一定期間での持続的注入を含んでもよい。本発明の単位用量は、ウイルス構築物のプラーク形成単位(pfu)またはウイルス粒子に関して簡便に記載する。単位用量は103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013 pfuまたはvpおよびそれより高い範囲である。または、ウイルスの種類および到達可能な力価に応じて、1〜100、10〜50、100〜1000、または最大約1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015またはそれより高い感染ウイルス粒子(vp)が、患者または患者の細胞に送達される。
【0166】
B.注射可能な組成物および製剤
本発明において、ラブドウイルスゲノムの全てまたは一部をコードする発現構築物またはウイルスを、癌または腫瘍細胞に送達するための好ましい方法は、血管内注射による。しかし、代替として本明細書に開示する薬学的組成物は、米国特許第5,543,158号、第5,641,515号、および第5,399,363号(そのそれぞれの全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるように、腫瘍内、非経口、動脈内、皮内、筋肉内、経皮、または腹腔内投与されてもよい。
【0167】
核酸構築物の注射は、発現構築物が注射のために必要な特定のゲージの針の中を通過することができる限り、シリンジまたは溶液の注射のために用いられる任意の他の方法によって送達されてもよい(例えば、米国特許第5,846,233号および第5,846,225号を参照されたい)。
【0168】
遊離の塩基または薬学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤とふさわしく混合された水中で調製してもよい。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物、ならびに油中で調製してもよい。通常の保存および使用条件において、これらの調製は、微生物の生育を防止するために保存剤を含有する。注射での使用のために適した薬学的剤形には、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる(その全内容物が参照により具体的に本明細書に組み入れられる米国特許第5,466,468号)。全ての場合において、剤形は無菌的でなければならず、容易にシリンジ操作ができる程度に流動性でなければならない。これは製造および保存条件で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の混入作用から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、その適した混合物、および/または植物油を含有する溶媒または分散媒体となりうる。例えばレシチンのようなコーティングを用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持してもよい。微生物の作用は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサル等によって防止されてもよい。多くの場合、等張剤、例えば砂糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物において用いることによって、注射用組成物は持続的に吸収されうる。
【0169】
水溶液における非経口投与の場合、例えば溶液は必要であれば適切に緩衝剤によって処理すべきであり、液体希釈剤はまず、十分な生理食塩液またはグルコースによって等張にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、および腹腔内投与にとって特に適している。これに関連して使用することができる滅菌水性培地は、本開示に照らして当業者に公知であろう。例えば一つの用量を等張NaCl溶液1 mlに溶解して、これを皮下注入液1000 mlに加えるか、または提案される注入部位で注射してもよい(例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照されたい)。処置される被験体の条件に応じて、用量の何らかの変動が必ず生じるであろう。投与の責任者はいずれにせよ、個々の被験体の適切な用量を決定するであろう。その上、ヒトでの投与に関して、調製物は、組成物が用いられる国の政府によって必要とされる無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度標準を満たすべきである。
【0170】
本明細書に開示する組成物は、中性または塩型で製剤化されてもよい。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離のアミノ基によって形成される)、例えば塩酸もしくはリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等のような有機酸によって形成される塩が含まれる。遊離のカルボキシル基によって形成される塩はまた、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基に由来してもよい。製剤化の際に、投与製剤と適合する様式および治療的に有効である量で、溶液は投与される。製剤は、注射用溶液、薬物放出カプセル等の多様な投与剤形で容易に投与される。
【0171】
本明細書で用いるように、「担体」には、任意のおよび全ての溶媒、分散培地、媒体、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイド等が含まれる。薬学的活性物質のためにそのような培地および物質を用いることは、当技術分野において周知である。いかなる慣例的な培地または物質も、活性成分と非適合性である場合を除き、治療組成物におけるその使用が企図される。補助活性成分もまた、組成物に組み入れることができる。
【0172】
「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という句は、ヒトに投与した場合にアレルギーまたは類似の不都合な反応を生じない分子実体および組成物を指す。活性成分としてタンパク質を含有する水性組成物の調製物は、当技術分野において十分に理解されている。典型的に、そのような組成物は、液体溶液または懸濁液としての注射剤として調製され、注射の前に液体における溶液または懸濁液として適した固体剤形も同様に調製することができる。
【0173】
C.併用療法
本発明の化合物および方法を、癌およびアテローム性動脈硬化症が含まれる過増殖または新生物疾患/状態の状況において用いてもよい。ラブドウイルスのような本発明の組成物による処置の有効性を増大させるために、それらの疾患および状態の処置において有効な他の物質とこれらの組成物とを併用することが望ましい場合もある。例えば、本発明の治療化合物と、抗癌剤または手術といった他の抗癌療法と共に、癌の処置を実行してもよい。
【0174】
様々な組み合わせを用いてもよい;例えばマラバウイルス、カラジャスウイルス、ミュアスプリングスウイルス、および/またはバイアグランデウイルスのような非VSVラブドウイルスを「A」として、第二のラブドウイルスが含まれてもよい二次抗癌療法を「B」とする:

【0175】
本発明の治療ウイルスまたはウイルス構築物の患者への投与は、もしあればウイルス処置の毒性を考慮して、その特定の二次治療の投与のための全般的プロトコールに従うであろう。処置サイクルは必要に応じて繰り返されると予想される。同様に、様々な標準的な治療と共に外科的介入が、記載の癌または腫瘍細胞治療と併用して適用されてもよいことが企図される。
【0176】
1.抗癌療法
「抗癌」剤は、例えば癌細胞を死滅させる、癌細胞においてアポトーシスを誘導する、癌細胞の生育速度を低減する、転移の発生もしくは数を低減する、腫瘍の大きさを低減する、腫瘍の生育を阻害する、腫瘍もしくは癌細胞に対する血液供給を低減する、癌細胞もしくは腫瘍に対する免疫応答を促進する、癌の進行を予防もしくは阻害する、または癌を有する被験体の寿命を延長することによって、被験体における癌に負の影響を及ぼすことができる。抗癌剤には、生物学的物質(生物療法)、化学療法剤、および放射線療法剤が含まれる。より一般的に、これらの他の組成物は、細胞を死滅させるまたは細胞の増殖を阻害するために有効な併用量で提供されるであろう。このプロセスは、ウイルスまたはウイルス構築物と物質または多数の要因とを、細胞に同時に接触させる段階を伴ってもよい。これは、双方の物質が含まれる一つの組成物もしくは薬理学的製剤に細胞を接触させる段階によって、または一つの組成物にウイルスが含まれ、他の組成物に第二の物質が含まれる、異なる二つの組成物もしくは製剤を細胞に同時に接触させる段階によって、達成されてもよい。
【0177】
化学療法および放射線療法剤に対する腫瘍細胞の耐性は、臨床腫瘍学における主要な問題を表す。現在の癌研究の一つの目標は、化学療法および放射線療法を遺伝子療法と組み合わせることによってそれらの効能を改善する方法を発見することである。例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(HS-tK)遺伝子を、レトロウイルスベクター系によって脳腫瘍に送達することで、抗ウイルス剤ガンシクロビルに対する感受性の誘導に成功した(Culver et al., 1992)。本発明の状況において、ポックスウイルス治療は、他の前アポトーシスまたは細胞周期調節剤に加え、化学療法剤、放射線療法剤、免疫療法剤、または他の生物学的介入と共に同様に用いてもよいことが企図される。
【0178】
または、ウイルス治療は、数分から数週間の間隔で他の処置の前または後に行ってもよい。他の物質およびウイルスが細胞に個別に適用される態様において、物質とウイルスとがなおも細胞に対して都合のよい併用効果を発揮できるように、一般的にそれぞれの送達時間の間に有意な時間が経過しないように確保される。そのような場合、細胞を双方のモダリティと互いに約12〜24時間以内に、より好ましくは互いに約6〜12時間以内に接触させてもよいことが企図される。いくつかの状況において、処置期間を有意に延長することが望ましい場合もあり、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6、または7)または数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8)が経過する。
【0179】
a.化学療法
癌の療法にはまた、化学および放射線の双方に基づく処置との多様な併用療法が含まれる。併用化学療法には、例えばシスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス型白金製剤、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびメソトレキセート、テマゾロミド(DTICの水溶性型)、または前述の任意の類似体もしくは誘導体変種が含まれる。化学療法と生物療法との併用は生化学療法として公知である。
【0180】
b.放射線療法
DNAの損傷を引き起こす、広く用いられている他の要因には、一般的にγ線、X-線、プロトン光線、および/または放射性同位元素の腫瘍細胞への直接送達として一般的に知られているものが含まれる。マイクロ波およびUV照射のような他の型のDNA損傷因子も同様に企図される。これらの要因は全てDNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に対して広範囲の損傷を与える可能性が最も高い。X-線の線量範囲は、持続的な期間(3〜4週間)での1日線量50〜200レントゲンから、1回線量2000〜6000レントゲンの範囲である。放射性同位元素の用量範囲は広く異なり、同位元素の半減期、放射される放射線の強度およびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
【0181】
細胞に適用された場合の「接触された」および「曝露された」という用語は、本明細書において、それによって治療構築物および化学療法剤または放射線療法剤が標的細胞に送達される、または標的細胞のすぐ近位に置かれるプロセスを記載するために用いられる。殺細胞または細胞の静止を達成するために、いずれの物質も、細胞を死滅させるためまたは細胞の分裂を防止するために有効な併用量で細胞に送達される。
【0182】
c.免疫療法
免疫療法剤は一般的に、癌細胞を標的として破壊するために免疫エフェクター細胞および分子を用いることを頼りとしている。免疫エフェクターは、例えば腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに対して特異的な抗体であってもよい。抗体は、単独で治療のエフェクターとして働いてもよく、または実際に細胞を死滅させるために他の細胞を動員してもよい。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素等)に結合して、単にターゲティング剤として作用してもよい。またはエフェクターは、腫瘍細胞標的と直接または間接的に相互作用する表面分子を有するリンパ球であってもよい。様々なエフェクター細胞には、細胞障害性T細胞およびNK細胞が含まれる。治療モダリティの組み合わせ、すなわち直接細胞障害活性と一定のラブドウイルスまたはラブドウイルスポリペプチドの阻害または低減の組み合わせは、癌の処置において治療効果を提供するであろう。
【0183】
免疫療法はまた、併用療法の一部として用いられてもよい。併用治療の一般的アプローチを以下に考察する。免疫療法の一つの局面において、腫瘍細胞はターゲティングを受けやすい、すなわち他の細胞の大部分には存在しないいくつかのマーカーを有しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれも本発明の状況におけるターゲティングに適している可能性がある。一般的な腫瘍マーカーには、癌胎児抗原、前立腺特異抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erbBおよびp155が含まれる。腫瘍細胞溶解物も同様に、抗原性組成物において用いてもよい。
【0184】
免疫療法の代替の局面は、抗癌効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。免疫刺激分子には、IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、IFNγのようなサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8のようなケモカイン、およびFLT3リガンドのような増殖因子が含まれる。免疫刺激分子をタンパク質としてまたは腫瘍抑制因子と併用した遺伝子送達を用いるかのいずれかで併用することで、抗腫瘍効果が増強されることが示されている(Ju et al., 2000)。
【0185】
先に考察したように、現在治験中または用いられている免疫療法の例は、免疫アジュバント(例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼンおよび芳香族化合物)(米国特許第5,801,005号および第5,739,169号;Hui and Hashimoto, 1998;Christodoulides et al., 1998)、サイトカイン療法(例えば、インターフェロンα、β、およびγ;IL-1、GM-CSF、およびTNF)(Bukowski et al., 1998;Davidson et al., 1998;Hellstrand et al., 1998)、遺伝子療法(例えば、TNF、IL-1、IL-2、p53)(Qin et al., 1998;Austin-Ward and Villaseca, 1998;米国特許第5,830,880号および第5,846,945号)、およびモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER-2、抗pl85)(Pietras et al., 1998;Hanibuchi et al., 1998;米国特許第5,824,311号)である。ハーセプチン(トラスツズマブ)は、HER2-neu受容体を遮断するキメラ(マウス-ヒト)モノクローナル抗体である(Dillman, 1999)。ハーセプチンおよび化学療法による癌の併用療法は、個々の療法より有効であることが示されている。このように、一つまたは複数の抗癌療法を、本明細書に記載するラブドウイルス関連療法と共に使用してもよいことが企図される。
【0186】
(1)受動免疫療法
癌の受動免疫療法の多数の異なるアプローチが存在する。それらは以下のように広く分類される可能性がある:抗体単独の注射;毒素または化学療法剤とカップリングした抗体の注射;放射活性同位元素とカップリングした抗体の注射;抗イディオタイプ抗体の注射;および最後に骨髄における腫瘍細胞の一掃。
【0187】
好ましくは、ヒトモノクローナル抗体は、患者においてほとんどまたは全く副作用を生じないことから、それらを受動免疫療法に使用する。しかし、この適用は、それらが稀少であることと、これまで病変内にのみ投与されてきたことから、いくぶん限定される。ガングリオシド抗原に対するヒトモノクローナル抗体は、皮膚再発性黒色腫に罹患した患者に病変内投与されている(Irie and Morton, 1986)。毎日または毎週の病変内注射後に、患者10人中6人で退縮が観察された。もう一つの試験では、二つのヒトモノクローナル抗体の病変内注射によって中等度の成功が達成された(Irie et al., 1989)。
【0188】
異なる二つの抗原に対する一つより多いモノクローナル抗体、または多数の抗原特異性を有する抗体でさえも投与することが都合がよい可能性がある。処置プロトコールにはまた、Bajorin et al.(1988)によって記載されるように、リンフォカインまたは他の免疫エンハンサーの投与が含まれてもよい。ヒトモノクローナル抗体の開発は、明細書の他の場所でより詳細に記載する。
【0189】
(2)能動的免疫療法
能動的免疫療法において、抗原性ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または自己もしくは同種異系腫瘍細胞組成物、または「ワクチン」は、一般的に、異なる細菌アジュバントと共に投与される(Ravindranath and Morton, 1991;Morton et al., 1992;Mitchell et al., 1990;Mitchell et al., 1993)。黒色腫の免疫療法において、高いIgM応答を誘発する患者はしばしば、IgM抗体を誘発しないまたは低いIgM抗体を誘発する患者より長く生存する(Morton et al., 1992)。IgM抗体はしばしば一過性の抗体であり、その規則の例外は、抗ガングリオシドまたは抗糖質抗体のようである。
【0190】
(3)養子免疫療法
養子免疫療法において、患者の循環中のリンパ球または腫瘍浸潤リンパ球を、インビトロで単離して、IL-2のようなリンフォカインによって活性化する、または腫瘍壊死に関する遺伝子によって形質導入して、再投与する(Rosenberg et al., 1988;1989)。これを達成するために、本明細書に記載するアジュバント取り込み抗原性ペプチド組成物と併用した活性化リンパ球の免疫学的有効量を、動物またはヒト患者に投与する。活性化リンパ球は、最も好ましくは血液または腫瘍試料から先に単離されて、インビトロで活性化される(または「拡大される」)患者自身の細胞である。この型の免疫療法によって、数例の黒色腫および腎癌の退縮が得られたが、反応者の割合は反応しなかった人の割合と比較して少なかった。
【0191】
d.遺伝子
なおもう一つの態様において、二次処置は、ラブドウイルスが投与される前、後、または同時に治療ポリヌクレオチドを投与する遺伝子治療である。以下の遺伝子産物の一つをコードするベクターと共にラブドウイルスを送達すると、標的組織に対して併用抗癌効果を有するであろう。または、ラブドウイルスは、治療ポリヌクレオチドが含まれるようにウイルスベクターとして操作されてもよい。多様なタンパク質が本発明に包含され、そのいくつかを以下に記載する。表4は、本発明と併用していくつかの型の遺伝子治療のためにターゲティングされてもよい様々な遺伝子を一覧にする。
【0192】
(1)細胞増殖の誘導物質
細胞増殖を誘導するタンパク質はさらに、機能に応じて以下の分類に分けられる。これらのタンパク質の全ての共通点は、その細胞増殖の調節能である。例えば、sis腫瘍遺伝子であるPDGFの一つの型は、分泌型の増殖因子である。腫瘍遺伝子が増殖因子をコードする遺伝子から生じることはまれであるが、現在のところ、sisは唯一の公知の天然に存在する腫瘍遺伝子増殖因子である。本発明の一つの態様において、特定の細胞増殖誘導物質に向けられるアンチセンスmRNAを、細胞増殖の誘導物質の発現を防止するために用いることが企図される。
【0193】
(2)細胞増殖の阻害剤
腫瘍抑制性腫瘍遺伝子は、過度の細胞増殖を阻害するように機能する。これらの遺伝子の不活化は、その阻害活性を破壊し、それによって調節されない増殖が起こる。腫瘍抑制因子には、p53、pl6、およびC-CAMが含まれる。本発明に従って使用してもよい他の遺伝子には、Rb、APC、DCC、NF-I、NF -2、WT-I、MEN-I、MEN-II、zac1、p73、VHL、MMACl / PTEN、DBCCR-1、FCC、rsk-3、p27、p27/pl6融合体、p21/p27融合体、抗血栓遺伝子(例えば、COX-1、TFPI)、PGS、Dp、E2F、ras、myc、neu、raf、erb、fms、trk、ret、gsp、hst、abl、E1A、p300、血管新生に関係する遺伝子(例えば、VEGF、FGF、トロンボスポンジン、BAI-1、GDAIF、またはその受容体)、およびMCCが含まれる。
【0194】
(3)プログラムされた細胞死の調節剤
アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、正常な胚発達のための、成体組織における恒常性を維持するための、および発癌性を抑制するための本質的なプロセスである(Kerr et al., 1972)。Bcl-2ファミリータンパク質およびICE-様プロテアーゼは、他の系におけるアポトーシスの重要な調節剤およびエフェクターであることが証明されている。濾胞性リンパ腫に関連して発見されたBcl2タンパク質は、多様なアポトーシス刺激に反応してアポトーシスを制御しかつ細胞生存を増強するために卓越した役割を果たす(Bakhshi et al., 1985;Cleary and Sklar, 1985;Cleary et al., 1986;Tsujimoto et al., 1985;Tsujimoto and Croce, 1986)。進化的に保存されたBcl-2タンパク質は現在、関連タンパク質ファミリーのメンバーであることが認識されており、これはデスアゴニストまたはデスアンタゴニストとして分類することができる。
【0195】
その発見後、Bcl-2は多様な刺激によって誘発される細胞死を抑制するように作用することが示された。同様に、現在共通の構造および配列相同性を共有するBcl-2細胞死調節タンパク質ファミリーが存在することは明らかである。これらの異なるファミリーメンバーは、Bcl-2と類似の機能を保有する(例えば、BclXL、BclW、BclS、Mcl-I、Al、BfI-1)、またはBcl-2機能を中和して細胞死を促進する(例えば、Bax、Bak、Bik、Bim、Bid、Bad、Harakiri)ことが示されている。
【0196】
e.手術
癌を有する人のおよそ60%がいくつかのタイプの手術を受け、これには予防的、診断または進行期分類、治癒、および待機的手術が含まれる。治癒的手術は、本発明の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法、および/または代替療法のような他の療法と共に用いてもよい癌の処置である。
【0197】
治癒的手術には、癌様組織の全てまたは一部が物理的に除去、切除、および/または破壊される切除が含まれる。腫瘍の切除は腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍の切除に加え、手術による処置には、レーザー手術、冷凍外科、電気外科、および顕微鏡手術(モース氏手術)が含まれる。さらに、本発明は表層部癌、前癌、または偶発量の正常組織の除去と共に用いてもよいことが企図される。
【0198】
癌様細胞、組織、または腫瘍の全ての一部の切除後、体腔が形成される可能性がある。処置は、さらなる抗癌療法による灌流、直接注射、または領域の局所適用によって達成することができる。そのような処置を、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日毎、1、2、3、4、および5週間毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月毎に繰り返してもよい。これらの処置はまた、用量を変化させた処置であってもよい。
【0199】
f.他の物質
処置の治療有効性を改善するために、他の物質を本発明と共に用いてもよいことが企図される。これらのさらなる物質には、免疫調節剤、細胞表面受容体およびGAP接合部のアップレギュレーションに影響を及ぼす物質、細胞抑制および分化剤、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘導剤に対する過増殖細胞の感受性を増加させる物質、または他の生物学的物質が含まれる。免疫調節剤には、腫瘍壊死因子;インターフェロンα、β、およびγ;IL-2および他のサイトカイン;F42Kおよび他のサイトカイン類似体、またはMIP-1、MIP-1β、MCP-1、RANTES、および他のケモカインが含まれる。Fas/Fasリガンド、DR4またはDR5/TRAIL(Apo-2リガンド)のような細胞表面受容体またはそのリガンドのアップレギュレーションは、過増殖細胞に対するオートクラインまたはパラクライン効果を確立することによって、本発明のアポトーシス誘導能を強化するであろうとさらに企図される。GAP接合部の数を増加させることによる細胞内シグナル伝達の増加は、隣接する過増殖細胞集団に対する抗過増殖効果を増加させるであろう。他の態様において、細胞抑制剤または分化剤を本発明と共に用いて処置の抗過増殖効能を増大させることができる。細胞接着の阻害剤は、本発明の効能を改善することが企図される。細胞接着阻害剤の例は、病巣接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。さらに、抗体c225のようなアポトーシスに対する過増殖細胞の感受性を増大させる他の物質を、処置効能を改善するために本発明と共に用いることができるであろうことが企図される。
【0200】
細胞障害性化学療法剤の導入後、癌の療法には多くの進歩がある。しかし、化学療法の結果の一つは、薬物耐性表現型の発達/獲得および多剤耐性の発達である。薬物耐性の発達は、そのような腫瘍の処置においてなおも主要な障害であり、したがってウイルス治療のような代替のアプローチが明らかに必要である。
【0201】
化学療法、放射線療法、または生物学的療法と共に用いるためのもう一つの型の療法には、患者の組織を高温(106°Fまで)に曝す技法である温熱療法が含まれる。局所、限局、または全身温熱療法の適用において、外部または内部加熱装置を伴ってもよい。局所温熱療法は、腫瘍のような小さい領域に対する熱の適用を伴う。熱は、体外装置から腫瘍を標的とする高周波によって外部で生成されてもよい。内部の熱は、薄い加熱したワイヤまたは温水を満たした中空管、埋め込み型マイクロ波アンテナ、または高周波電極が含まれる滅菌プローブを伴ってもよい。
【0202】
患者の臓器または四肢を限局療法のために加熱するが、これは磁石のような高エネルギーを生成する装置を用いて達成される。または、患者の血液の一部を採取して加熱した後、内部加熱される領域に灌流してもよい。癌が全身に広がっている症例では、全身加熱もまた行ってもよい。温水ブランケット、ホットワックス、誘導コイル、および温熱チャンバーをこの目的のために用いてもよい。
【0203】
ホルモン療法も同様に、本発明と共にまたは既に記載された任意の他の癌療法と併用して用いてもよい。ホルモンの使用は、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、または子宮頚癌のような一定の癌の処置において、テストステロンまたはエストロゲンのような一定のホルモンのレベルを低下させるため、または効果を遮断するために使用してもよい。この処置はしばしば、処置として少なくとも一つの癌療法と併用して用いられる。
【0204】
V.実施例
以下の実施例は、本発明の様々な態様を図示する目的のために与えられ、本発明をいかなるようにも制限することを意味しない。当業者は、言及した目標を行うためならびに目的および長所を得るためと共に、本明細書において固有のそれらの目標、目的、および長所を行うために十分に適合されることを容易に認識するであろう。本実施例は、本明細書に記載する方法と共に、好ましい態様の現在の代表であり、例示的であり、本発明の範囲の制限として意図されない。特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨に含まれるその変化および他の用途が当業者に想起されるであろう。
【0205】
実施例1
新規腫瘍崩壊性候補ラブドウイルスに関するスクリーニン
インビトロスクリーニング
新規腫瘍崩壊性ウイルスを同定するための最初のスクリーニングとして、ラブドウイルスのフィールド単離体をNCI 60細胞パネル由来のヒト腫瘍細胞の殺細胞能力に関して査定した。これは腫瘍崩壊性(癌細胞溶解)候補体として一連のVSV変異体の相対的有効性を決定するために、過去に本発明者らにとって収穫の多い戦略であった。最初に、本発明者らは、哺乳動物細胞において複製することがこれまでに決定されている新規ラブドウイルス13例を決定した。この技法は、細胞培養においてより経験が少ないラブドウイルスを研究するために拡大されるであろうことが企図される。異なる13のウイルスに感染した60の細胞の行列を通して急速かつ効率的なスクリーニングを行う努力において、本発明者らは、細胞数および生存率を測定するために、MTSのホルマザンへの還元、または残留細胞のクリスタルバイオレット染色を用いて、96ウェルフォーマットにおける迅速かつ安価なアッセイを用いる。本発明者らは、96ウェルプレートにおいて80%コンフルエンスまで細胞株を生育させた後、それらを増加するMOIs(MOI=0.0001〜10 PFU/細胞)で本発明者らのラブドウイルスフィールド単離体と平行にそれらを曝露する。感染後48および96時間で、細胞を水溶性MTS試薬(Promega USA)によって染色して、3時間インキュベートして十分なホルマザンを形成させる。または、感染細胞のプレートを緩衝液によって洗浄して、死細胞を除去して、クリスタルバイオレット色素によって染色し、洗浄して残留色素を除去して、その後色素を洗浄剤を用いて可溶化する。次に、統合マルチウェルプレートリーダー(Biotek SynergyHT;USA)を用いてこれらのプレートを読み取り、データ曲線を適合させて、この曲線からEC50を決定する。典型的に、アッセイは1試料あたり6個ずつ行い、最高および最低のEC50値を除去して、残りの4個のEC50を平均して、最終的に値および信頼区間を決定する(図2を参照されたい)。
【0206】
特定のウイルスがインビトロで正常ヒト細胞に感染する/正常ヒト細胞を死滅させるかを査定するための、逆スクリーンとして正常ヒト線維芽細胞、上皮細胞、および内皮細胞の培養物、ならびに本発明者らのコレクションの神経細胞および市販の細胞(Cambrex, USA)をスクリーニングする。培養物を候補ウイルス(0.1〜20 pfu/細胞)に48および96時間感染させる。細胞の生存率をMTSアッセイまたはクリスタルバイオレットアッセイによって検出して、さらに活性化カスパーゼ3抗体D175(Cell Signaling Technologies, USA)による標識によってさらに特徴付けして、FITC-共役二次抗体を用いて検出する。公知の感受性/耐性があるヒトおよびマウス腫瘍細胞株と平行して試験を行う。無処理細胞ならびにTRAILおよびシクロヘキサミドによって処理した細胞の組み合わせを用いて、アッセイのダイナミックレンジが確立されており、予備的なz-因子の決定は有意に0.5より大きい。
【0207】
もう一つの偶然性は、ウイルスが培養物において、これらの細胞を急速に死滅させることなく、効率よく複製して散布する可能性がある点である。これらはまた、その複製が本質的に腫瘍選択的である限り、その溶解能が組換え体の操作を通してその後増加しうるであろうことから、おそらく興味深いウイルスである。これらのウイルスを検出するために、本発明者らは、24ウェルプレートの1試料あたりウェル2個において、NCI 60細胞パネルの細胞に、低いMOI(0.1 pfu/細胞)でフィールド単離体を感染させる。1時間後、遊離の投入ウイルスを除去するためにウェルを十分に洗浄して、培地を加えて、培養物をさらに72時間インキュベートする。次に、これらの培養上清を許容性の細胞株(Vero細胞)において力価測定して、生産的感染を検出および定量する。これらのそれぞれからの最終的な洗浄液の力価を測定して、残留投入ウイルスに関して制御する。このアッセイにおける候補ウイルスのヒットを、ウイルス特異的抗血清および標準的な免疫蛍光顕微鏡を用いて組織培養細胞において確認する。
【0208】
全てのパラメータに基づくランク
以下が含まれるいくつかの特性が腫瘍細胞の腫瘍崩壊性殺細胞に関与する:アポトーシスの誘導能、ウイルス産生速度、産生されるウイルスの量と共に、合胞体形成のような特殊な機能。初回スクリーニングからの有望な候補体を、アポトーシス誘導に関してさらに特徴付けして(TUNELアッセイおよび活性化カスパーゼ-3に関する免疫蛍光染色によって決定されるように)、速度論を比較してウイルス産生を定量するために一段階増殖曲線によって特徴付けする。これらの試験は、これらの株を改善するための指針として役立つであろう。例えば、(1)ウイルスが腫瘍細胞を十分に死滅させるが正常細胞に対して許容されない毒性を示す場合には、本発明者らは、以下に概要される戦略の一つまたは複数を用いてこのウイルスを弱毒化させるであろう、(2)または、ウイルスが高い複製速度を維持しながらより遅い殺細胞速度論を示す場合、本発明者らは、毒性または治療的トランスジーンを加えてもよい;(3)遅く複製する候補ウイルスがなおも有効な殺細胞剤である場合、本発明者らはその抗力を強めるために生育速度論が増加した変種を選択するであろう。
【0209】
VSVおよび他の腫瘍崩壊性ウイルスに関する本発明者らの経験から、本発明者らは候補体の一覧を狭めるために、三つの重要なインビトロ絞り込み基準を同定した:(1)選択的な殺腫瘍細胞、(2)腫瘍細胞内での生産的複製(殺細胞とは無関係)、および(3)VSV耐性腫瘍株(UACC-62黒色腫、A431およびNCI-H226肺癌、DU-145前立腺癌、HL60白血病)に対する効能。これらの基準に基づいて、予備的なインビボ試験においてさらに評価するための一覧の数を減らすために、先に記載したスクリーニングアッセイからの結果を組み入れる。
【0210】
インビボ毒性および生体分布
臨床での状況に関連する二つの投与経路は、静脈内(IV)および頭蓋内(IC)注射である。感染後のマウスにおける毒性および生体分布に関するインビトロスクリーニングの際に同定されたリード候補体を、これらの経路によって査定する。マウス3匹の群に、1×105〜1×109 pfuの用量をIVによって、または1×102〜1×106 pfuをICによって感染させる。死亡率に加え、罹病率を、嗜眠、脱水、体重減少、および四肢の麻痺の徴候に関して毎日モニターする。組織病理学を、各候補ウイルス感染から最低の致死用量群(致死用量に達しなければ最高用量)のマウス2匹について行う。WT VSVおよび偽感染はそれぞれ、適切な陽性および陰性対照として役立つ。この群における残りのマウスから臓器を採取して、ホモジナイズし、ウイルスの生体分布の予備的な査定として力価を測定する。
【0211】
受け入れられる致死用量範囲を示すウイルスに関して、本発明者らは、次に全身投与に適合性であるウイルスを同定するために、腫瘍を有するマウスにおける生体分布を査定する。本発明者らは、重大な臨床的関連性を有する非常に異なる臓器標的を表す本発明者らの既存の癌モデルの三つを使用する:(1)同系Balb/Cマウスにおいて散在性の肺腫瘍を形成させるために静脈内に注射されたCT-26マウス結腸癌(細胞1×105個)、(2)自然発生転移を有する一つの原発腫瘍を形成するために、同系Balb/Cマウスの脂肪パッドに注射した4T1マウス乳癌(細胞4×105個)、および(3)ヌードマウスの皮質に定位に埋め込んだU87ヒト神経膠芽腫細胞(細胞1×105個)。それぞれのウイルスおよび経路(IVまたはIC)に関する最大認容量を、予備的なインビボ毒性実験から決定する。この値は、腫瘍を有するマウスにおける生体分布試験に関する最初の治療用量として役立つであろう。マウス3匹の群において、腫瘍は1週間で確立され、次にそれぞれのMTDでそれぞれの候補ウイルスの1回量によってIVまたはIC処理する。処理後48時間で、循環中からいかなる遊離のウイルスも押し流すために、動物を生理食塩液によって灌流して、腫瘍および臓器を採取して、ホモジナイズし、力価を測定して感染性ウイルスを定量する。このようにして、本発明者らは、ウイルスを全身注射によって腫瘍細胞に送達することができるか否かと共に、インビボでウイルス複製の相対的腫瘍選択性を決定するであろう。
【0212】
再ランク
インビボ試験における毒性、生体分布、全身送達、および腫瘍選択性プロファイルに基づいて、本発明者らは、詳細な特徴付けおよびさらなる発達を続行するために最善の候補体を選択する。
【0213】
実施例2
組換え体の構築
シークエンシングおよび組換え系
迅速な研究および開発、臨床材料のその後の産生を助長するため、ならびに治療ウイルスの安全性および安定性を確実にするため、本発明者らは、選択されたウイルスの組換え型をクローニンして救出する。
【0214】
多くのネガティブ鎖ssRNAウイルスが、標準的な組換え技術を用いてクローニングおよび救出されている。本発明者らは、報告された組換え型−ssRNAウイルスについて首尾よく採択されている類似の戦略を使用するであろう。簡単に説明すると、候補ウイルスのゲノムを、ウイルス精製粒子1×109個からRNA抽出(Qiagen Corp)によって単離する。次に、精製ゲノムRNAをランダムヘキサマーによってプライミングして、cDNAに逆転写し、次に二本鎖にして、EcoRIアダプターをライゲーションすることによってクローニングして、サイズ分画して、最終的にEcoRI消化細菌プラスミド(pT7Blue;Novagen)にライゲーションする。結果は、標準的な技術によって容易にシークエンシングすることができるゲノム断片のライブラリである。このライブラリのランダムプライミングされた性質のために、この戦略は、極端な3'および5'末端を「捕獲」しないであろう。これを行うために、本発明者らはT4 RNAリガーゼを用いて精製ゲノムRNAの3'または5'末端にオリゴをライゲーションする。ゲノムに隣接する新たにライゲーションされたオリゴと相補的なプライマーを用いて、本発明者らはPCR増幅して、その後のシークエンシングのためにゲノムの末端をクローニングする。次に、この配列情報を用いて、ゲノム全体を増幅するための末端特異的プライマーを設計して、次にこれを特殊化プラスミドにクローニングする。このプラスミドは、一つの末端でゲノムをT7プロモーターに隣接させ、反対側で肝炎デルタ自己切断リボザイムおよびT7ターミネーターに隣接させる。T7 RNAポリメラーゼを発現するA549細胞(T7発現ワクシニアウイルスに予め感染させた)にトランスフェクトすると、このプラスミドは、細胞質においてウイルスゲノムを生成する。平行して、N、P、およびL遺伝子のウイルスコード配列を、CMVプロモーター駆動発現プラスミドにクローニングする。ゲノム構築物をN、P、およびLプラスミドと共にこれらのA549細胞に同時トランスフェクトすると、ウイルスゲノム上でウイルス複製複合体を再構成して、それによって感染性ウイルスの救出が起こる。原理の証明として、本発明者らは、この方法を用いてマラバウイルスをクローニングして、遺伝子操作して、および救出した。例えばマラバ関連ウイルスに関しては、図17および図18を参照されたい。
【0215】
実施例3
最適化/増強
非VSVラブドウイルスは、野性的なウイルスであり;VSVが含まれる、これまでに報告されている全ての腫瘍崩壊性ウイルスと同様に、本発明者らはインビトロ選択および/または組換え体の操作戦略を通してさらなる最適化から利益を有すると予想される。いくつかの候補体は減弱を必要とする可能性があるが(例えば、マラバウイルス)、他は、その複製および/または腫瘍の殺細胞速度論の増強を必要とする可能性がある(例えば、ミュアスプリングスウイルス)。以下は、新たに同定された治療ウイルスの有効性を最大限にするために本発明者らが使用するいくつかの戦略の要約である。
【0216】
操作された変異
VSVは、宿主細胞の生得の免疫を打ち負かすための手段として核/細胞質mRNA輸送を遮断する。本発明者らは、この活性を無能にして、それによって正常細胞においてこのウイルスを選択的に弱毒化するためにVSVのMタンパク質に変異を操作することを既に記載している。ベシクロウイルス属の他のメンバーもまたこの能力を証明すること(チャンディプラ、およびコイスプリングウイルス血症)、およびこれまでにシークエンシングされたほとんどのベシクロウイルス(VSV、チャンディプラ、ピリー、球菌、コイスプリングウイルス血症、マラバ)が、この機能にとってVSVによって必要とされる決定的な配列を有することを考慮して、本発明者らは、VSVのために用いられるウイルスと類似の方法で非VSVラブドウイルスの弱毒化を企図する。しかし、狂犬病およびウシ流行熱ウイルスのような他のラブドウイルスは、このモチーフを有せず、核細胞質mRNA輸送を遮断せず、おそらくこの弱毒化戦略に対して感受性がないであろう。協力研究所およびその他から、ラブドウイルス/宿主相互作用に関して多くの情報が入手可能となるにつれて、これらのウイルスを弱毒化するためにさらなる構造/機能を指針とする操作が可能となるであろう。
【0217】
トランスジーン
その抗力を増加させるために、現在、自殺遺伝子または免疫メディエータによって「武装する」腫瘍崩壊性ウイルスに関するいくつかの報告がある。本発明者らは、十分な複製を示すが殺腫瘍細胞が不十分である候補ウイルスの細胞障害性を増加させるためにトランスジーンを付加することに重点を置くであろう。本発明者らは、現在マラバウイルスに操作されているトランスジーンの優先順位をつけた一覧を有する。現在のところ、ランキングは以下からなる:(1)アポトーシス誘導因子(AIF)−カスパーゼ非依存的な染色質の崩壊および分解の原因となるオキシドレダクターゼ相同体、(2)ハラキリ−従来のカスパーゼ依存的アポトーシスの誘導の原因となるBcl-2ファミリーの最も強力なBH3のみの前アポトーシスメンバー(I型PCD)、(3)XAF1−強力な腫瘍抑制遺伝子およびIAPファミリーの直接の阻害剤、(4)Atg4B−自家融解の開始の原因となる重要なプロテアーゼ(II型PCD)。
【0218】
最終的に、細胞死の内因性または外因性経路のメンバーは、腫瘍塊内での巻き添え殺細胞を誘導するために、ウイルス感染細胞から分泌されるTatまたは他のタンパク質形質導入ドメインによって操作されうるであろう。本発明者らは、他の巻き添え殺細胞効果がウイルスおよび/または腫瘍に対する宿主免疫の成分を通して媒介される可能性があるとなおも認識している。このように、代わりの戦略は、免疫細胞を感染部位に引きつけるためにトランスジーンを操作することであろう。証拠は、CT26肺腫瘍のウイルス感染症が、好中球を腫瘍に浸潤させ、大きいアポトーシス巻き添え殺細胞効果を引き起こすことを示している。
【0219】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスを改善するための指向進化
親ウイルス株の複製適合性が、哺乳動物細胞培養における連続継代によって増加または減少する、指向進化の多くの例が記載されている。ラブドウイルスは一つの実体として存在せず、擬似種と呼ばれる系統集団として存在することから、特にこのタイプの技法に対して感受性がある。擬似種のメンバーは、優性ゲノムの点突然変異体を表す。適切な選択圧が適用されると、最も適合する集団メンバーが選択されて、優性ゲノムとなる。これは、そこからよりよい腫瘍崩壊能を有する変種を選択するために既成の変異体コレクションを提供することから、よりよい腫瘍崩壊性ウイルスを構築するための努力において強大な有用性を有する。このように、与えられた候補体を弱毒化するために、本発明者らは初代線維芽細胞における小さいプラークの変異体を選択して、その後このクローニングされたウイルスを腫瘍上で増幅して、非生産性変異(すなわち、正常細胞/組織における特異的不能に対して、ポリメラーゼ変異のような一様に衰弱性の変異)に対して戻し選択する。これを高いMOI(10 pfu/細胞)で繰り返しサイクルで行うことによって、本発明者らは腫瘍細胞において強い複製を維持するが、健康な正常細胞に生産的に感染する能力を失った変異体を単離することを期待する。または、本発明者らは、より速い複製体またはより致死的な殺細胞体を選択することによって、非VSVラブドウイルスの抗力を増大させてもよい。候補ウイルスの複製速度を速くするために、本発明者らは腫瘍細胞株における繰り返し感染/複製ラウンドを行うが、それぞれのその後のラウンドは感染後の収穫期を減少させるであろう。この選択圧は、急速な複製に向けてウイルスを進化させるであろう。増強された細胞障害性が望ましい場合、本発明者らは、耐性または強く抵抗性の腫瘍細胞株(細胞1×106個)に候補ウイルスを感染させる(MOI=1)。次に、生きている細胞をJC1バイタル色素によって染色して、二色フローサイトメトリーによって初期アポトーシス事象を検出する。アポトーシスを受ける細胞をVero細胞の単層上でソーティングして、それらの中で複製するウイルスを回収する。この場合も収穫期を減少させてこのアッセイのラウンドを繰り返すと、より急速に致死的な表現型を選択するであろう。このようにして改善されたウイルスをシークエンシングして、遺伝子変化をマッピングし、ラブドウイルスの生物学および腫瘍崩壊のよりよい理解に向けた構造/機能的分析努力に寄与するであろう。逆遺伝子スクリーニングは、ラブドウイルスの改善に対する不偏のアプローチを可能にし、構造/機能試験に基づくトランスジーンまたは合理的変異の組換え型操作を通して改善を行うための努力に対する良好な補足を表す。
【0220】
実施例4
新規組換え型腫瘍崩壊性ラブドウイルスのインビボ試験
本発明者らは、ヒトの臨床疾患をより正確に繰り返すことから、正常位癌モデルを用いることを選んだ。しかし、皮下腫瘍モデルとは異なり、正常位腫瘍は容易に近づくことができず、したがって実験動物を屠殺することなく査定することは難しい。この問題を解決するために、非浸潤性の造影を許容して、埋め込まれた腫瘍の生育または退縮と共に遠位転移性病変の発生または退縮を繰り返し測定する、多様相光学造影技術を採択する。本発明者らは、深部組織内からでさえ放射された光子を検出することができる、高感度の完全な組み込み型の動物全体の造影プラットフォーム(IVIS 200;Xenogen Corp)を有する。本装置は、GFPのような組換え型蛍光タンパク質によって放射された蛍光のみならず、ルシフェラーゼ生成生物発光を検出することができる。基質特異的ルシフェラーゼレポーター遺伝子、ウイルスから発現された遺伝子、および腫瘍細胞から発現された他の遺伝子を用いることによって、本発明者らは、腫瘍の測定と同時にウイルス複製に起因する生物発光を測定することができる。これを行うために、本発明者らはファイアフライルシフェラーゼまたは海洋生物であるカイアシ、ガウシア・プリンセプス(Gaussia princeps)由来の新規ウミシイタケ様ルシフェラーゼのいずれかとインフレームで、YFPまたは新規単量体RFPをクローニングした。これらの二つのコード配列の間に、本発明者らはアミノ酸30個の翻訳「停止−再開」配列を操作した。この小さいモチーフは手足口病ウイルスに由来し、一つのmRNAからの二つのタンパク質の化学量論的発現を可能にして、非常に小さく、IRESモチーフと同様に細胞間変動を受けない。これらの二重レポーター構築物をレンチウイルスベクターにクローニングして、ウイルスにパッケージングし、これを用いて、安定なレポータータグをつけた4T1、CT26、およびU87ヒト神経膠芽細胞腫細胞を確立した。これらの細胞株を、三つの定位マウス腫瘍モデルにおいて用いる:CD-1ヌードマウスに頭蓋内移植されたU87ヒト神経膠腫;Balb/C雌性マウスの脂肪パッドに移植された4T1マウス乳癌細胞(自然発生の、攻撃的転移性疾患モデル);Balb/Cマウスの尾静脈に注射されたCT-26結腸癌(肺における播種された腫瘍)。正常位モデルを選ぶことは、以下の基準に基づいた:攻撃的な急速に発達する腫瘍、したがって処置することが難題である;非常に異なる臓器標的を表す;免疫適格性および免疫無防備宿主系の双方に及ぶ。
【0221】
最初の試験は、最適な用量を同定するために、本発明者らのモデルにおいて用量反応特徴を評価することである。予備的な毒性実験から、本発明者らは、腫瘍を有しないBalb/C動物において本発明者らの候補株のそれぞれに関するMTDを定義する。したがって、本発明者らはMTDから1×103 pfuまで半対数間隔で減少させた用量を試験する。確立された腫瘍における複製を造影するためにIVISを用いて、初回ウイルス送達の速度論およびその後の複製期間を用量の関数として調べる。平行な試験において、マウスをこの時間経過で屠殺して、蛍光顕微鏡を用いて調べ、用量が腫瘍および遠隔転移病変の全ての部分に達する能力にどのように影響を及ぼすかを決定する。健康な組織を、腫瘍特異的複製を査定するために調べる。最後に、それぞれの用量での安全性を、体重減少、脱水、および行動学的変化のような病的状態のいかなる徴候に関してもマウスをモニターすることによって決定する。頭-頭比較でのウイルスに対する腫瘍の反応を、1回用量のIV処理後に査定する。光学造影技術の感度および定量的性質により、この技術はこの目的にとって理想的に適している。このように、腫瘍を上記のように確立して、ウイルス投与後の腫瘍の生育または退縮をモニターして、これらの結果をUV不活化ウイルス対照と比較する。VSVに関するこれまでの研究に基づいて、完全なおよび永続的な腫瘍の退縮にとって、1回投与は十分ではない可能性があることが企図される。これは、用量の最も有効な数および時期を決定するための一連の実験を必要とする。上記と類似の戦略において、本発明者らは、腫瘍モデルを用いて、最大有効量の投与戦略を開発する。これは、腫瘍の生育/退縮と共に、腫瘍に対するウイルスの送達、複製、腫瘍床での複製期間、および遠隔腫瘍部位への広がりをモニターしながら行われる。さらに、本発明者らは、腫瘍崩壊活性に関するもう一つのパラメータとして、フローサイトメトリーおよび免疫組織化学を用いて腫瘍床および周辺のリンパ節における免疫細胞浸潤および活性化を調べる。最終的にこれらのマウスを全体的な生存および/または進行までの時間に関してモニターする段階;対照としてUV不活化ウイルスによって処理した群とウイルス処理群とを比較する段階によって効能を確認する。動物モデルの例は図13において見いだされうる。
【0222】
最適化/増大への回帰
最大に有効な治療ウイルスを最終的に開発するためには、最適化および再試験の数回のサイクルが必要である可能性がある。したがって、本発明者らは、生物学的および/または組換え最適化のさらなるラウンドを誘導して、腫瘍モデルにおいて再試験するためにインビボ試験からの結果を使用するであろう。
【0223】
(表4)NCI60細胞パネルに対するラブドウイルス媒介殺細胞
NCI60細胞パネル由来の細胞を6ウェルプレートにおいて90%のコンフルエンシーまで播種した。これらの細胞に表記のように様々なラブドウイルスを対数希釈で感染させた。48時間後、単層を洗浄して、固定し、クリスタルバイオレットによって染色して生存細胞に関して採点する。値は、48時間以内に細胞の50%を死滅させるために必要なpfuを表す。

【0224】
(表5)4種のラブドウイルス間の重点的比較
NCI60細胞パネル由来の細胞を6ウェルプレートに90%コンフルエンシーとなるまで播種した。これらの細胞に表記のように様々な対数希釈で感染させた。48時間後、単層を洗浄して、固定し、クリスタルバイオレットによって染色して、生存細胞を採点した。値は、48時間以内に細胞の50%を死滅させるために必要なpfuを表す。

【0225】
NCI 60細胞パネルに及ぼすVSVと他のラブドウイルスの間の差には、以下が含まれる:(1)A549肺癌、M14黒色腫、UACC-62黒色腫、SF268 CNS、SF539 CNS、786-O腎臓癌、DU-145前立腺癌のVSVと比較したマラバウイルスによる優先的殺細胞;(2)M 14黒色腫、UACC-62黒色腫、SF539 CNSに関してVSVと比較したカラジャスウイルスによる優先的殺細胞;H226肺癌、K562白血病、OVCAR-8卵巣癌、HCT-15、HS578T乳癌、およびPC-3前立腺に関してVSVによる優先的殺細胞。細胞パネル60個の他の細胞株は全て、VSV、マラバ、カラジャス、およびチャンディプラに対して類似の感受性を示す。
【0226】
(表6)新規ラブドウイルスによる選択された形質転換細胞および不死化細胞のインビトロでの死滅
細胞を6ウェル培養皿に播種して、75%コンフルエンシーに到達させた。次に、これらの細胞に固定された力価でそれぞれのウイルスを感染させた。培養物を96時間後に細胞死に関して肉眼的に採点した。4+=100%除去、3+=75〜90%細胞死、2+=50%細胞死、1+=<30%細胞死、--=細胞死なし。

【0227】
実施例5
キメララブドウイルス
腫瘍崩壊性ウイルス組成物について可能性がある一つの問題は、患者における免疫応答の可能性である。そのような免疫応答は、適用されたウイルスの有意な部分が患者の免疫系によって中和される可能性があることから、腫瘍崩壊性ウイルスのさらなる適用の有効性を鈍らせる可能性がある。この問題を回避するために、免疫学的に異なる複数の腫瘍崩壊性ウイルス組成物を有することが好ましいであろう。この場合、異なる腫瘍崩壊性ウイルスをそれぞれのその後の治療のために患者に適用してもよく、それによって宿主免疫応答によって最少にもたらされる持続的な腫瘍崩壊活性を提供する。この目的のために、多くのシュードタイプウイルス組成物を構築して、その細胞感染能に関して試験した。
【0228】
多数のラブドウイルス由来の様々なGタンパク質を含む腫瘍崩壊性ラブドウイルスを用いる可能性を調べるために、様々な組換え型ウイルスを構築した。それぞれの組換え体には、特に明記していなければVSVインジアナ野生型骨格(N、P、M、およびL遺伝子)が含まれた。さらに、組換え体には、GおよびL遺伝子の間にファイアフライ(FL)またはウミシイタケ(RL)のいずれかのルシフェラーゼレポーター遺伝子が含まれた。組換え体を指すために用いられる一般的な命名法は、RVRaGxであり、ここでRVRはラブドウイルス組換え体を表し、(a)はGタンパク質またはGタンパク質様遺伝子に対する起源を指し、および(x)はバージョン番号を指す。
【0229】
イスファハンGタンパク質を有するRVR
RVRゲノムを、XhoIおよびNheI制限部位がGまたはG様遺伝子に隣接するように、pXN2VSVにクローニングした。配列:

をコードするウイルス終止開始配列を全てのGまたはG様遺伝子の3'末端に付加した。組換え型ウイルスを、VSV G Indと比較して37%のタンパク質配列同一性を有するイスファハンGタンパク質によってシュードタイプにした。FLレポーター遺伝子を含むRVRをRVRIsf(イスファハン)G1と呼ぶ(バージョン1はFLレポーター遺伝子の存在を示す)。
【0230】
さらに、抗体中和試験は、VSV WTによって免疫したマウス由来の抗体を含む血清がインビトロでRVR Isf G1の活性を有意に中和しないことを示した。
【0231】
さらに、VSV-WTによって免疫したマウスにRVRIsfG1を注射すると、Isf Gポリペプチドを有するウイルスは、免疫系に進入することができる。図6Cにおいて示されるように、RVRIsfG1は、ウイルス接種後に免疫マウスにおける様々な位置で検出可能であった。免疫マウスにおけるRVRIsfG1の検出レベルは、未処理対照動物において検出されたレベルと類似であった(図6A)。他方、VSVを接種した免疫マウスにおいてウイルスは検出されなかった(図6B)。このようにIsf Gポリペプチドを含む腫瘍崩壊性ウイルスは、インビボで予め投与されたVSVに対する宿主免疫応答を免れる。
【0232】
これらの結果を、VSVまたは組換え型ウイルスによって免疫した未処理のマウスに腫瘍を注射して、感染からのウイルス収量を決定することによってさらに確認した。図7において示されるように、免疫したまたは未処理のマウスの腫瘍に注射した組換え型ウイルスは、大量の子孫ウイルスを生じた。他方、免疫したマウスに注射したVSVの成長はほとんど検出されなかった。
【0233】
Isfを含むさらに二つのRVRも同様に構築した。RVRIsfG2は、RVRIsfG1由来のFLレポーター遺伝子の代わりにRLレポーター遺伝子を含む。同様に、RVRIsfG3は、キメラVSV-Isf Gタンパク質を含む。キメラタンパク質(SEQ ID NO:19)は、VSV G膜貫通ドメインを有するイスファハンGエクトドメインおよび細胞質テールを含む。
【0234】
チャンディプラGタンパク質を有するRVR
チャンディプラGは、VSV G(インジアナ)と42%のタンパク質配列相同性を有する。先に記載した同じクローニング戦略を用いてRVRChaG1を構築した。RVRChaG1の一段階増殖曲線は、VSVと比較して類似の量のウイルスを産生することを示した(図8)。さらに、RVRは、VSVと比較して類似の細胞障害性を有した(図9)。
【0235】
マラバGタンパク質を有するRVR
マラバGはVSV G(インジアナ)に対して83%のタンパク質配列相同性を有する。これは、SEQ ID NO:20におけるDNA配列として提供されたマラバGタンパク質の配列に関する最初の報告である。先に記載した同じクローニング戦略を用いてRVRMarG1を構築した。RVRMarG1の一段階増殖曲線は、組換え型ウイルス力価が48および72時間でVSVより大きいことを示した。このように、Gタンパク質のスイッチングはウイルスを安定化させて、それによって収量を増強する可能性がある(図10)。さらに、RVRMarG1は、細胞障害性であることが示された(図11)。さらに、抗体中和アッセイは、VSV WTによって免疫したマウス由来の血清が、RVRMarG1の活性を中和しなかったことを示し、RVRが免疫回避できることを示している。
【0236】
ミュアスプリングスGタンパク質を有するRVR
ミュアスプリングスGはVSV G(インジアナ)と25.4%のタンパク質配列相同性を有する。ミュアスプリングスG配列は、SEQ ID NO:21(アミノ酸)およびSEQ ID NO:22(DNA)において提供される。先に記載した同じクローニング戦略を用いてRVRMurG1を構築した。
【0237】
クラマスウイルスGタンパク質を有するRVR
シュードタイピング実験は、クラマスGタンパク質が、VSV Gとは異なり、低いpH(6.8)環境で機能的であることを確認した。腫瘍の中心は低酸素で酸性であることが知られていることから、このことは非常に重要である。このように、そのような環境において複製することができるウイルスを有することは有利である可能性がある。VSV HRGFP-クラマスシュードタイプは、ビリオンが、一つのウイルスのゲノムを含有するが、CT26細胞への同時感染によって双方のウイルスのエンベロープタンパク質を含有するように生成された。同時感染の24時間後、上清を採取して、シュードタイプ粒子の力価を測定した。次に、シュードタイプウイルスを用いた(異なる二つの酸性度の培地において標的細胞に感染するために対照ウイルスと共に)。結果は、クラマスGタンパク質が、ウイルスが低いpHで感染する能力の原因であったことを示している。
【0238】
上記と本質的に同じクローニング戦略を用いて、RVRKlaG2を構築した。しかし、これまでの戦略とは異なり、この組換え体には、当初のVSV G(インジアナ)に加えクラマスGが含まれる。
【0239】
ファーミントン(Far)ウイルスGタンパク質を有するRVR
ファーミントンウイルスは、非神経向性であり、大きい合胞体の形成を証明する非ベシクロウイルスである。
【0240】
バイアグランデ(Bah)ウイルスGタンパク質を有するRVR
バイアグランデウイルスは非神経向性である非ベシクロウイルスである。
【0241】
JSRレトロウイルスEnvタンパク質を有するRVR
VSVは、公知の神経毒性を有することから、それによってVSV組換え体がニューロンに感染しない戦略は有利であろう。JSR Envは最初に、JSRVレトロウイルス(非神経向性ウイルス)エンベロープ(Env)遺伝子非神経向性に由来する。VSV G膜貫通ドメインを有するJSRV Envエクトドメインおよび細胞質テールを含むキメラを生成する(DNA配列をSEQ ID NO:23として提供する)。
【0242】
エボラGタンパク質を有するRVR
エボラは受容体に結合して膜融合を媒介するように機能する糖タンパク質を有する非神経向性ウイルスである。Gタンパク質は、アミノ酸497〜501位でフリン切断部位を含有する。切断産物(GP1&GP2)は、ジスルフィド結合によって連結され、中和抗体または免疫調節剤に関するおそらくおとりとして作用すると考えられている。しかし、フリン切断部位は、感染または向性にとって必要ではない。エボラGタンパク質DNA配列はSEQ ID NO:24として提供される。
【0243】
参考文献












【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された腫瘍崩壊性ラブドウイルスに過増殖細胞を接触させる段階を含む、過増殖細胞を死滅させる方法であって、
ラブドウイルスが、
(a)SEQ ID NO:5もしくはSEQ ID NO:11と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するGタンパク質;
(b)SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:8と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するNタンパク質;
(c)SEQ ID NO:4もしくはSEQ ID NO:10と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するMタンパク質;
(d)SEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:9と少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有するPタンパク質;または
(e)SEQ ID NO:6もしくはSEQ ID NO:12と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するLタンパク質
をコードする、方法。
【請求項2】
前記細胞が患者に含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記細胞が癌細胞である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記癌細胞が転移性癌細胞である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスが患者に投与される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、腫瘍内、皮下、または鼻腔内投与によって投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
第二の抗癌療法を投与する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第二の抗癌療法が第二の腫瘍崩壊性ウイルスである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスが、ワクシニア、ヘルペス、麻疹、ニューカッスル病、アデノウイルス、αウイルス、パルボウイルス、またはラブドウイルスである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
第二の抗癌剤が第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、アラジャス(Arajas)ウイルス、球菌(Cocal)ウイルス、イスファハン(Isfahan)ウイルス、マラバ(Maraba)ウイルス、ピリー(Piry)ウイルス、水疱性口内炎アラゴアス(Vesicular stomatitis Alagoas)ウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケ(Boteke)ウイルス、カルチャキ(Calchaqui)ウイルス、エルウイルスアメリカン(Eel virus American)、グレーロッジ(Gray Lodge)ウイルス、ユロナ(Jurona)ウイルス、クラマス(Klamath)ウイルス、クワッタ(Kwatta)ウイルス、ラホヤ(La Joya)ウイルス、マルペススプリング(Malpais Spring)ウイルス、エルゴン山コウモリ(Mount Elgon bat)ウイルス、ペリネ(Perinet)ウイルス、ツパイ(Tupaia)ウイルス、ファーミントン(Farmington)、バイアグランデ(Bahia Grande)ウイルス、ミュアスプリングス(Muir Springs)ウイルス、リードランチ(Reed Ranch)ウイルス、ハートパーク(Hart Park)ウイルス、フランダース(Flanders)ウイルス、カメセ(Kamese)ウイルス、モスケイロ(Mosqueiro)ウイルス、モスリル(Mossuril)ウイルス、バルー(Barur)ウイルス、フクオカ(Fukuoka)ウイルス、カーン峡谷(Kern Canyon)ウイルス、コルビッソン(Nkolbisson)ウイルス、ルダンテック(Le Dantec)ウイルス、キューラリバ(Keuraliba)ウイルス、コネチカット(Connecticut)ウイルス、ニューミント(New Minto)ウイルス、ソーグラス(Sawgrass)ウイルス、チャコ(Chaco)ウイルス、セナ・マドレイラ(Sena Madureira)ウイルス、ティンボ(Timbo)ウイルス、アルムピウォー(Almpiwar)ウイルス、アルアク(Aruac)ウイルス、バンゴラン(Bangoran)ウイルス、ビンボ(Bimbo)ウイルス、ビベンスアーム(Bivens Arm)ウイルス、ブルークラブ(Blue crab)ウイルス、チャールビル(Charleville)ウイルス、海岸平野(Coastal Plains)ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバ(Entamoeba)ウイルス、ガルバ(Garba)ウイルス、ゴサス(Gossas)ウイルス、ハンプティドゥー(Humpty Doo)ウイルス、ジョインジャカカ(Joinjakaka)ウイルス、カンナマンガラム(Kannamangalam)ウイルス、コロンゴ(Kolongo)ウイルス、コールピンヤ(Koolpinyah)ウイルス、コトンコン(Kotonkon)ウイルス、ランジャ(Landjia)ウイルス、マニトバ(Manitoba)ウイルス、マルコ(Marco)ウイルス、ナソウル(Nasoule)ウイルス、ナバロ(Navarro)ウイルス、ガインガン(Ngaingan)ウイルス、オークベール(Oak-Vale)ウイルス、オボジャング(Obodhiang)ウイルス、オイタ(Oita)ウイルス、オウァンゴ(Ouango)ウイルス、パリークリーク(Parry Creek)ウイルス、リオグランデカワスズメ(Rio Grande cichlid)ウイルス、サンジンバ(Sandjimba)ウイルス、シグマ(Sigma)ウイルス、スリプル(Sripur)ウイルス、スイートウォーターブランチ(Sweetwater Branch)ウイルス、チブロガルガン(Tibrogargan)ウイルス、キシブレマ(Xiburema)ウイルス、ヤタ(Yata)ウイルス、ロードアイランド(Rhode Island)、アデレードリバー(Adelaide River)ウイルス、ベリマー(Berrimah)ウイルス、キンバレー(Kimberley)ウイルス、またはウシ流行熱(Bovine ephemeral fever)ウイルスである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第二の癌療法が、化学療法、放射線療法、または免疫療法である、請求項7記載の方法。
【請求項13】
単離された腫瘍崩壊性ラブドウイルスに過増殖細胞を接触させる段階を含む、過増殖細胞を死滅させる方法であって、
ラブドウイルスが、
(a)SEQ ID NO:5もしくはSEQ ID NO:11の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するGタンパク質;
(b)SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:8の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するNタンパク質;
(c)SEQ ID NO:4もしくはSEQ ID NO:10の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するMタンパク質;
(d)SEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:9の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するPタンパク質;または
(e)SEQ ID NO:6もしくはSEQ ID NO:12の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するLタンパク質
をコードする、方法。
【請求項14】
前記細胞が患者に含まれる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が癌細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記癌細胞が転移性癌細胞である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスが患者に投与される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、腫瘍内、皮下、または鼻腔内投与によって投与される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第二の抗癌療法を投与する段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項20】
第二の抗癌療法が第二の腫瘍崩壊性ウイルスである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスが、ワクシニア、ヘルペス、麻疹、ニューカッスル病、アデノウイルス、またはラブドウイルスである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
第二の抗癌剤が第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
第二の癌療法が、化学療法、放射線療法、または免疫療法である、請求項19記載の方法。
【請求項25】
(a)SEQ ID NO:5もしくはSEQ ID NO:11と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するGタンパク質;
(b)SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:8と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するNタンパク質;
(c)SEQ ID NO:4もしくはSEQ ID NO:10と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するMタンパク質;
(d)SEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:9と少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有するPタンパク質;または
(e)SEQ ID NO:6もしくはSEQ ID NO:12と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するLタンパク質
をコードする単離された腫瘍崩壊性ラブドウイルスの有効量を投与する段階を含む、癌患者を処置するための方法。
【請求項26】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、腫瘍内、皮下、または鼻腔内投与によって投与される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
第二の癌療法を投与する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
第二の抗癌療法が第二の腫瘍崩壊性ウイルスを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスが、ワクシニア、ヘルペス、麻疹、ニューカッスル病、アデノウイルス、またはラブドウイルスである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
第二の抗癌療法が第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
第二のラブドウイルスが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
第二の癌療法が、化学療法、放射線療法、免疫療法、または手術である、請求項27記載の方法。
【請求項33】
(a)SEQ ID NO:5もしくはSEQ ID NO:11の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するGタンパク質;
(b)SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:8の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するNタンパク質;
(c)SEQ ID NO:4もしくはSEQ ID NO:10の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するMタンパク質;
(d)SEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:9の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するPタンパク質;または
(e)SEQ ID NO:6もしくはSEQ ID NO:12の少なくとも40個の隣接アミノ酸を有するLタンパク質
をコードする腫瘍崩壊性ラブドウイルスの有効量を投与する段階を含む、癌患者を処置するための方法。
【請求項34】
腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または鼻腔内投与によって投与される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスのN、P、M、G、またはLタンパク質の一つまたは複数と少なくとも80%であるが100%未満のアミノ酸同一性を有するN、P、M、G、またはLタンパク質の一つまたは複数のアミノ酸変種をコードする組換え型腫瘍崩壊性ラブドウイルスを含む、組成物。
【請求項36】
ラブドウイルスが、マラバウイルス、カラジャス(Carajas)ウイルス、ミュアスプリングスウイルス、ファーミントン、またはバイアグランデウイルスである、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスをさらに含む、請求項35記載の組成物。
【請求項38】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスが、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、アデノウイルス、またはラブドウイルスである、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスがラブドウイルスである、請求項38記載の組成物。
【請求項40】
第二のラブドウイルスが、アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスである、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
薬学的に許容される組成物である、請求項35記載の組成物。
【請求項42】
第二の抗癌剤をさらに含む、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
第二の抗癌剤が、化学療法剤、放射線療法剤、または免疫療法剤である、請求項42記載の組成物。
【請求項44】
アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスの変種N、P、M、G、またはLタンパク質の一つまたは複数の少なくとも40隣接アミノ酸をコードする核酸セグメントを有する単離された腫瘍崩壊性ラブドウイルスを含む、組成物。
【請求項45】
ラブドウイルスが、マラバウイルス、カラジャスウイルス、ミュアスプリングスウイルス、またはバイアグランデウイルスである、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスをさらに含む、請求項44記載の組成物。
【請求項47】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスが、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、アデノウイルス、またはラブドウイルスである、請求項46記載の組成物。
【請求項48】
第二の腫瘍崩壊性ウイルスがラブドウイルスである、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
第二のラブドウイルスが、アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルスである、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
薬学的に許容される組成物である、請求項44記載の組成物。
【請求項51】
第二の抗癌剤をさらに含む、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
第二の抗癌剤が、化学療法剤、放射線療法剤、または免疫療法剤である、請求項51記載の組成物。
【請求項53】
異種ウイルスGタンパク質エクトドメインが、イスファハンウイルスGタンパク質、チャンディプラウイルスGタンパク質、マラバウイルスGタンパク質、バイアグランデウイルスGタンパク質、クラマスウイルスGタンパク質、ファーミントンウイルスGタンパク質、エボラウイルスGタンパク質、またはジャグズィークトヒツジレトロウイルス(Jaagzietke sheep retrovirus)ウイルスGタンパク質と少なくとも約80%の同一性を有する、第一のウイルス由来の異種ウイルスGタンパク質と、第二のラブドウイルス由来の少なくとも第二のウイルスタンパク質をコードするRNAゲノムとを含む単離された組換え型ラブドウイルスを含む、組成物。
【請求項54】
RNAゲノムが異種ウイルスGタンパク質をコードしない、請求項53記載の組成物。
【請求項55】
RNAゲノムが第二のラブドウイルス由来のGタンパク質をコードする、請求項54記載の組成物。
【請求項56】
RNAゲノムが治療遺伝子をコードする、請求項53記載の組成物。
【請求項57】
RNAゲノムが、VSV、アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルス由来のG、M、P、N、またはLタンパク質をコードする、請求項53記載の組成物。
【請求項58】
RNAゲノムが、VSV G、M、P、N、またはLタンパク質をコードする、請求項57記載の組成物。
【請求項59】
RNAゲノムが、VSV G、M、P、N、およびLタンパク質をコードする、請求項58記載の組成物。
【請求項60】
(a)第一の腫瘍崩壊性ラブドウイルスの有効量を患者に投与する段階;および
(b)第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスが第一の腫瘍崩壊性ラブドウイルスとは異なるGタンパク質を含む、少なくとも第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスの有効量を患者に投与する段階
を含む、癌患者を処置するための方法。
【請求項61】
癌患者が転移性癌を有する、請求項60記載の方法。
【請求項62】
癌患者が免疫適格性である、請求項60記載の方法。
【請求項63】
腫瘍崩壊性の第一または第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、腫瘍内、皮下、または鼻腔内投与によって投与される、請求項60記載の方法。
【請求項64】
さらなる抗癌療法を投与する段階をさらに含む、請求項60記載の方法。
【請求項65】
さらなる癌療法が、化学療法、放射線療法、または免疫療法である、請求項64記載の方法。
【請求項66】
第一または第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、アラジャスウイルス、球菌ウイルス、イスファハンウイルス、マラバウイルス、ピリーウイルス、水疱性口内炎アラゴアスウイルス、BeAn 157575ウイルス、ボテケウイルス、カルチャキウイルス、エルウイルスアメリカン、グレーロッジウイルス、ユロナウイルス、クラマスウイルス、クワッタウイルス、ラホヤウイルス、マルペススプリングウイルス、エルゴン山コウモリウイルス、ペリネウイルス、ツパイウイルス、ファーミントン、バイアグランデウイルス、ミュアスプリングスウイルス、リードランチウイルス、ハートパークウイルス、フランダースウイルス、カメセウイルス、モスケイロウイルス、モスリルウイルス、バルーウイルス、フクオカウイルス、カーン峡谷ウイルス、コルビッソンウイルス、ルダンテックウイルス、キューラリバウイルス、コネチカットウイルス、ニューミントウイルス、ソーグラスウイルス、チャコウイルス、セナ・マドレイラウイルス、ティンボウイルス、アルムピウォーウイルス、アルアクウイルス、バンゴランウイルス、ビンボウイルス、ビベンスアームウイルス、ブルークラブウイルス、チャールビルウイルス、海岸平野ウイルス、DakArK 7292ウイルス、エントアメーバウイルス、ガルバウイルス、ゴサスウイルス、ハンプティドゥーウイルス、ジョインジャカカウイルス、カンナマンガラムウイルス、コロンゴウイルス、コールピンヤウイルス、コトンコンウイルス、ランジャウイルス、マニトバウイルス、マルコウイルス、ナソウルウイルス、ナバロウイルス、ガインガンウイルス、オークベールウイルス、オボジャングウイルス、オイタウイルス、オウァンゴウイルス、パリークリークウイルス、リオグランデカワスズメウイルス、サンジンバウイルス、シグマウイルス、スリプルウイルス、スイートウォーターブランチウイルス、チブロガルガンウイルス、キシブレマウイルス、ヤタウイルス、ロードアイランド、アデレードリバーウイルス、ベリマーウイルス、キンバレーウイルス、またはウシ流行熱ウイルス由来のGタンパク質を含む、請求項60記載の方法。
【請求項67】
第一または第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスがVSVまたはイスファハンウイルス由来のGタンパク質を含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
第一の腫瘍崩壊性ラブドウイルスがVSV由来のGタンパク質を含み、第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスがイスファハンウイルス由来のGタンパク質を含む、請求項67記載の方法。
【請求項69】
第一の腫瘍崩壊性ラブドウイルスがイスファハンウイルス由来のGタンパク質を含み、第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスがVSV由来のGタンパク質を含む、請求項67記載の方法。
【請求項70】
(c)少なくとも第三の腫瘍崩壊性ラブドウイルスの有効量を患者に投与する段階をさらに含む方法であって、第三の腫瘍崩壊性ラブドウイルスが第一および第二の腫瘍崩壊性ラブドウイルスとは異なるGタンパク質を含む、請求項60記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−503660(P2010−503660A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527930(P2009−527930)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004701
【国際公開番号】WO2009/016433
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(505050555)オタワ ホスピタル リサーチ インスティテュート (11)
【Fターム(参考)】