説明

腫瘍特異的エピトープに向けられた、標識活性化リンパ球を使用した、腫瘍の検出、定位および染色

哺乳動物、たとえばヒト被検者における、細胞特異的抗原を検出し、定位する方法であって、PBMC中のTリンパ球を抗原特異的活性化する条件で、該哺乳動物の末梢血単核細胞(PBMC)を、抗原の免疫原性ペプチドエピトープに暴露し、それによって、該細胞特異的抗原に少なくとも結合する抗原特異的Tリンパ球を生じさせることを含む方法を開示する。標識された抗原特異的Tリンパ球は、一般に、IL−2なしで、哺乳動物に腹腔内または静脈内投与される。該哺乳動物におけるこれらの細胞の分布は、画像化によって確定され、それによって、哺乳動物内の細胞特異的抗原を検出し、定位する。PBMCの免疫原性ペプチドへの暴露は、一般に、無細胞ペプチド調製物およびインターロイキン−2(IL−2)を含むが、さらなる細胞たとえば別々に抗原パルスした抗原提示細胞(APC)を含まない。抗原特異的Tリンパ球は、一般に、細胞特異的抗原を発現している細胞に対して細胞溶解性であり、またCD4+、CD8+、および/またはCD45RO+メモリーT細胞を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月10日出願の米国仮特許出願第60/417,303号(全ての目的のために、参照によりその全てを本明細書に組み入れる)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、診断および治療を含む、臨床医学の分野である。本発明は、細胞特異的抗原、たとえば腫瘍特異的エピトープに対して作られた活性化リンパ球、それらが感作された腫瘍エピトープに遊走して付着する能力、非常に小さい腫瘍の定位を高めるこれらの細胞の能力の使用、および既知の免疫原性エピトープを有する未知の原発腫瘍、特にムチン産生性腺癌の同定における、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
造影剤または抗体を使用して、損傷していないの人体内のリンパ組織等の組織を画像化する方法は公知である。たとえば、1988年4月5日に発行の、ゴールデンバーグに付与された米国特許第4,735,210号は、リンパ系造影法および器官造影法ならびにキット、特に、特異的抗体造影剤を用いて作成された陽画像から、グロス(gross)造影剤を使用して作成された陰性画像の控除を含む、リンパ管シンチグラフィーまたは磁気共鳴リンパ系造影法の改良された方法を開示している。この発明の別の実施形態は、リンパ管用造影剤としてリンパ組織に対する抗体を使用する。さらなる実施形態は、磁気共鳴リンパ系造影法向けの磁気共鳴画像法強調剤を使用する。また別の実施形態は、シンチグラフィー画像および磁気共鳴器官画像用の器官抗原に対する標識抗体を使用する。
【0004】
人の全身の、放射標識された細胞、たとえばリンパ球の画像化も周知である。たとえば、Wagstaff,J.ら、「インジウム−111オキシン標識を使用した、ヒトリンパ球トラフィックを追跡する方法(A method for following human lymphocyte traffic using indium-111 oxine labeling)」、Clin Exp Immunol.3月;43(3):435−442(1981a)は、多数のヒトリンパ球を末梢血から分離して、インジウム−111オキシンでin vitro標識される方法を開示している。自己再注入後、連続血液サンプル、表面プローブカウントおよびガンマカメラ画像法を使用して、体内分布を追跡する。筆者は、リンパ系構造の優れた解像力は、ガンマカメラ画像法を使用して得られ、また器官分布で記録される変化は、リンパ球遊走の動物モデルのデータと関連していることを報告する。したがって、ヒトリンパ球のインジウム−111オキシン標識は、ヒトリンパ球の遊走特性を追跡することができる非侵襲的方法を提供する。Wagstaff,J.ら、「インジウム−111オキシン標識により評価されるヒトリンパ球トラフィック:臨床観察(Human lymphocyte trafficassessed by indium-111 oxine labelling:clinical observations)」、Clin Exp Immunol.43:443−449(1981b)は、ヒト末梢血リンパ球のインジウム−111オキシンを使用した臨床試験を開示している。ガンマカメラ画像法上の骨髄および肝臓局在性の生理学的意義が論議され、また結果を解釈するときに、研究中のリンパ球の表面マーカーの特徴を考慮する重要性が強調されている。
【0005】
様々なリンパ球様細胞が、末梢血中に存在する異なるタイプの細胞を含む、哺乳動物全身の画像化に使用されてきた。たとえば、Reynolds,C.W.らによる、「ラットにおけるナチュラルキラー活性。IV。静脈内および腹腔内移入後の大型顆粒リンパ球(LGL)の分布(Natural killer activity in the rat. IV. Distribution of large granular lymphocytes (LGL) following intravenous and intraperitoneal transfer)」、Cell Immunol.86:371−380(1984)は、ラット大型顆粒リンパ球(LGL)およびTリンパ球の非常に富化した個体群が、パーコール(Percoll)の不連続密度勾配で作製され、111In−オキシンまたは51Crのいずれかで標識され、正常な同系レシピエントに静脈内(iv)または腹腔内(ip)のいずれかで注射されたことを開示している。正常なレシピエントに標識されたLGLまたはT細胞をiv接種した後、放射能の大部分(18〜33%)が、数分内に肺に回収された。移入の2〜4時間後の間、T細胞(6.4%)より有意に多いLGL(13.5%)が肺に残存していた。この差は、48時間まで持続した(5.4%対0.8%)。肺における放射能のレベル低下は、脾臓および肝臓で、相当するカウントの増加を伴った。早い時点で、有意に高い比率のT細胞が、脾臓内に分布し、標識LGLは、血中ならびに肺の中に長時間存続した。正常なレシピエントにip接種した後、放射標識されたLGLおよびT細胞の腹腔からのクリアランスは緩徐であり、放射標識の20%未満が、24時間の間、末梢器官内に存在した。これらの結果は、既報の、様々な器官におけるこれらの細胞の比率に似た、LGLおよびT細胞の分布パターンを示すと考えられた。
【0006】
一般に養子リンパ球移入または養子免疫療法として知られる手順である、様々な条件で、in vitroインキュベーションにより細胞障害性にした後、放射標識も使用して、様々な癌患者に注入された自己「キラー」血液単球の分布が解明されてきた。たとえば、Stevenson,H.C.らによる、「腹膜癌腫症患者の腹腔内に養子的に移入されたγ−インターフェロン−活性化キラー血液単球の運命(Fate of gamma-interferon-activated killer blood monocytes adoptively transferred into the abdominal cavity of patients with peritoneal carcinomatosis)」Cancer Res.,47:6100−6103(1987)は、腹膜表面に広範囲に転移している結腸直腸癌患者5例を、ヒトγ−インターフェロンとのin vitroインキュベーションにより細胞障害性にさせた自己血液単球の注入によりi.p投与したことを開示している。血球成分除去法(cytapheresis)および逆流遠心浄化法(counter−current centrifugal elutriation)の組合せによって、単球を精製した;養子免疫療法として、単回i.p.点滴注入法により、毎週およそ3億5000万個の活性化単球を患者に与えた。処置の第8サイクルで、細胞を111Inで予め標識することにより、i.p.注入された血液単球のトラフィックを、患者2例で試験した。これらの活性化細胞は、腹腔内に広く分布した。注入の2日後および5日後に、腹膜内のそれらの位置は変化していなかった。111In−標識単球注入の36時間後に腹膜検体を得たとき、標識単球は、漿膜表面と結びついていることが、オートラジオグラフ分析で証明された。i.p.注入された111In−標識単球は、5日間の試験の間に他の器官にトラフィックしないことが、腹腔外の構造をシンチスキャンすることによって分かった。著者は、自己キラー血液単球のi.p.養子移入は、これらの細胞障害性細胞を、これらの癌患者の腹膜表面の腫瘍担持部位に送達する有効な方法であると、結論づけた。
【0007】
キラーリンパ球の画像化に関する別の報告書、Swift,R.I.らによる、「腫瘍活性化キラーリンパ球を用いた、転移性結腸直腸癌の画像化(Imaging of metastatic colorectal cancer with tumour-activated killer lymphocytes)」Lancet 337:1511−1512(1991)は、転移性結腸直腸癌患者6例からリンパ球を採取し、原発腫瘍患者由来の細胞と共に培養して、腫瘍活性化キラー(TAK)リンパ球を生じさせたことを開示している。これらの研究者は、転移を可視化するために、各患者に111In標識TAK細胞を再注入した。注入の48時間後まで、γ−カメラで撮像した。肺では早くも4時間に、また腹部では48時間にようやく、転移が明らかになった。肝画像は、転移性病変に相当する『コールド』スポットを示した。リンパ節は可視化されなかった。自己結腸直腸腫瘍に対して生じさせたTAK細胞の再注入により、転移部位が明らかにされる。TAK細胞は、in vivo投与後、IL−2を必要としないことにも、著者は注目した。
【0008】
同様に、腫瘍細胞によりex vivo刺激された様々なタイプの放射標識自己末梢血リンパ球の分布が、放射標識細胞の画像化によって決定されている。一例として、Spencer R.P.およびB.Mukherji,「腫瘍感作された(「教化された(educated)」)、放射標識リンパ球の、腫瘍定位のための利用」Nucl Med Commun.9:783−786(1988)は、照射を受けた自己腫瘍細胞の存在下で、末梢血リンパ球(PBL)を共培養したとき、in vitro細胞障害性特性によって示される通り、該PBLを、該腫瘍に感作(または、恐らくより正確には、再感作)できることを開示している。該細胞を、インターロイキン−2の存在下で増殖させ、111Inで放射標識し、細胞ドナーに注入し戻すことができる。この技術を使用して、患者7例中5例で、腫瘍沈着が定位された。この研究の延長で、Mukherji,B.らによる、「ヒト癌における、事前にin vitro感作し、インターロイキン−2増殖させた自己リンパ球のイメージングパターン(Imaging pattern of previously in vitro sensitized and interleukin-2 expanded autologous lymphocytes in human cancer)」、Int J Rad Appl Instrum B,15:419−427(1988)は、ラジオイムノ検出および養子免疫細胞療法の代替法の有力候補として、転移性癌患者7例で試験した、自己腫瘍に(in vitro)対して感作したリンパ球のin vivoパターンを開示している。末梢血リンパ球(PBL)は、インターロイキン−2(IL−2)で活性化するか[リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞]、またはin vitro共培養(IVC)により自己腫瘍細胞に感作させて、IL−2で増殖させるか(教化(educated)細胞)のいずれかであった。次いで、両者を111Inで標識した。標識された自己細胞(1×107〜5×108)を患者に投与し、様々な時間間隔で、ガンマカメラで、画像化することにより、生体内分布を研究した。4/7例で、「教化」細胞を用いた画像化は、臨床的に検出可能な転移性腫瘍と正の相関関係を示す部位に、放射能の集積を示した。それに反して、LAK細胞を用いた場合には、わずか1例で積極的な取り込みが認められただけであった。教化リンパ球は、自己腫瘍細胞に対して細胞障害性であり、また該教化細胞の細胞障害反応性は、IL−2中での連続培養で、4〜6週間維持された。放射標識された教化自己細胞がLAK細胞より有意に高い頻度で蓄積するという証拠は、in vitro増殖した教化PBLが、ヒト癌のラジオイムノ検出のよりよい候補であり得ること、およびこのような教化自己PBLの連続培養が、これらのエフェクタ細胞を反復投与するためのソースになり得ることを示唆すると考えられる。
【0009】
養子免疫療法および放射標識による人体内の画像化に使用されてきた別のタイプのリンパ球様細胞は、たとえば、S.A.Rosenbergらにより開発された、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。一例として、Fisher,B.らによる、「転移性黒色腫患者における、養子移入されたインジウム−111標識腫瘍浸潤リンパ球の腫瘍局在性(Tumor localization of adoptively transferred indium-111 labeled tumor infiltrating lymphocytes in patients with metastatic melanoma)」、J.Clin Oncol.7:250−261(1989)は、ヒト腫瘍内に浸潤するリンパ球様細胞は、インターロイキン−2(IL−2)を含有する培地でin vitro増殖させることができることを開示している。著者は、インジウム111(111In)オキシンで標識して注入されたTILは、トラフィックして腫瘍の転移性沈着に局在できるかどうかを調査した。皮下疾患、結節性疾患、および/または内臓疾患の複数の部位を有する転移性悪性黒色腫患者6名が、この研究の被験者であった。患者は、TILの静脈内(IV)注入の36時間前にシクロホスファミドの投与を受け、続いて8時間ごとに、IL−2 IVを受けた。TILの分布および局在性は、連続全身ガンマカメラ画像法、連続血液および尿サンプリング、および腫瘍および正常組織の連続生検を使用して評価した。111In標識TILは、活性の注入後2時間以内に肺、肝臓、および脾臓に局在化した。肺における放射能は、24時間以内に減少した。画像化試験または生検標本のいずれかまたはその両者を使用して、111In標識TIL注射の早くも24時間後に、患者全6例で転移性沈着部位へのTILの局在化が証明された。腫瘍組織生検における111In活性は、正常組織における活性より3〜40倍大きい範囲であった。腫瘍沈着部位で、放射能カウントの漸増が見られた。この研究から、標識TILは、腫瘍に優先的に局在化することができ、したがって、TILの治療効果の可能なメカニズムに関する情報を提供することができる。
【0010】
他起源のTILおよびリンパ球様細胞を用いた画像化の比較を含む、養子免疫療法に関する多くのさらなる研究が報告されている。たとえば、Griffith K.D.らによる、「転移性黒色腫患者における、養子移入されたインジウム−111標識腫瘍浸潤リンパ球および末梢血リンパ球のin vivo分布」、J Natl Cancer Inst.81:1709−1717(1989)は、ガンマカメラ画像法および生検を使用して、シクロホスファミド(CPM)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、およびインターロイキン−2(IL−2)を用いた治療を受けている転移性黒色腫患者を、彼らの111In標識TILまたは末梢血リンパ球(PBL)が、腫瘍部位に局在化できる力について試験したことを開示している。放射標識TILの19注入を患者18例に投与し、同時に、患者5例は、TIL治療中に、放射標識した自己PBLを受けた。111In−TILレシピエントに対して実施された18の核スキャンシリーズ中13で、はっきりとした腫瘍局在性が見られたが、111In−PBL投与患者では、4つのスキャンシーケンスのうち1つだけが、腫瘍が画像化された。患者1例を、CPM、TIL、およびIL−2の3連続治療コースに対する核スキャンで試験した。該患者は、最初、111In−TILにより、幾つかの部位における明白な腫瘍局在性を示し、次いで、111In−PBLにより、一部位におけるかすかな局在性を、その後、繰り返し111In−TIL注入で、複数の部位における陽性腫瘍画像化を示した。以上の結果により、CPM前投与およびその後に続くIL−2と共に移入されたヒトTILは、腫瘍部位に優先的に局在するという、我々の初期データを確認するとともに拡大し、またこの局在性は、PBLよりTILで大きいことを示す。
【0011】
TILを用いたさらなる画像化試験としては、Chin.Y.らにより、「癌患者における、放射標識された腫瘍浸潤リンパ球のin vivo分布(In vivo distribution of radio-labeled tumor infiltrating lymphocytes in cancer patients)」、In vivo 7:27−30(1993)などがあり、処置における腫瘍浸潤リンパ球の効果を評価するために、これらのリンパ球のin vivo遊走および分布を研究しようと試みたことを開示している。悪性の転移性乳癌または黒色腫に罹患した患者5例から単離され、低用量の組換えインターロイキン−2を用いてin vitro培養し、増殖させた腫瘍浸潤リンパ球を、111インジウム−オキシンで標識し、該患者に注入した。大観ガンマカメラを使用して、注入されたTILの分布および局在性を評価した。肺における111In標識TILの局在化は、注入後2時間以内に見られ、また24時間に、肺、肝臓および脾臓で、高レベルの放射能が確認された。肺における放射能は、72時間後に減少した。転移部位で、111In標識TILの特異的局在化は確認されなかった。
【0012】
TIL画像化のもう1つの研究は、Pockaj,B.A.らによる、「養子免疫療法を受けている患者における、111インジウム標識腫瘍浸潤リンパ球の腫瘍への局在。シクロホスファミドによる増強および応答との相関(Localization of 111Indium-labeled tumor infiltrating lymphocytes to tumor in patients receiving adoptive immunotherapy. Augmentation with cyclophosphamide and correlation with response)」、Cancer 73:1731−1737(1994)に開示されており、インターロイキン−2(IL−2)培養腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入は、転移性黒色腫患者で、腫瘍退行を引き起こす可能性があることを開示している。ガンマカメラ画像法および生検で、高用量IL−2およびTILを受けている転移性黒色腫患者38例を、自己の111In標識TILが、転移性腫瘍沈着に局在できる能力について試験した。ガンマカメラ画像法で、111In標識TILによる腫瘍局在化が26(68.4%)の治療コースでみられた。TILトラフィックに影響する因子の単変量解析で、シクロホスファミド投与は、放射性核種画像化により腫瘍を定位できる力と有意に関連していた(P2=0.026)。著者は、t111In−TILで腫瘍が画像化されなかった患者では、臨床応答がみられなかったため、腫瘍における局在化は、TIL抗腫瘍活性のメカニズムにおいて重要であり、またIL−2治療前のシクロホスファミド投与および多数のTIL投与は、腫瘍へのTIL局在化の頻度を向上させると考えられるという結論を下した。
【0013】
TILの画像化はまた、Dillman,R.O.により、「転移性腎細胞癌腫、黒色腫、および結腸直腸癌に罹患した患者における、インジウム−111で標識した腫瘍浸潤リンパ球による腫瘍定位(Tumor localization by tumor infiltrating lymphocytes labeled with indium-111 in patients with metastatic renal cell carcinoma, melanoma, and colorectal cancer)」、Cancer Biother Radiopharm.12:65−71(1997)にも開示されている。この論文は、自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いた養子免疫療法における問題点は、このような細胞が、静脈内注入後に実際に腫瘍部位に遊走するかどうかであることを開示している。著者は、転移性黒色腫患者における放射標識TILの腫瘍取り込みに関して数報のレポートがあったことに注目したが、他の腫瘍タイプで放射標識TILを用いて腫瘍を可視化する努力は不成功に終わったと報告されている。ここで、転移性癌患者8例(腎5例、黒色腫2例、結腸1例)は、500μCiインジウム−111に結合され、インターロイキン−2(IL−2)と同時投与された、5000万個のTILを含む、2〜1000億個の自己TILの静脈内注入を受けた。患者1例は、TILの1日前に1gm/m2のシクロホスファミドを受け;患者7例は、TILを受ける前に4日間、インターフェロンα2bを受けた。単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む、全身ガンマカメラ画像法を、24時間および48時間に実施した。患者全8例は、111インジウム標識TILの、1つ以上の既知の腫瘍部位内への取り込みを示した。画像化されなかった既知の腫瘍部位はなかった。画像化された転移部位は、骨、脳、縦隔リンパ節、肺門リンパ節、肺および肝臓実質、腹部大動脈周囲リンパ節、および骨盤内腫瘤を含んでいた。患者1例は、明白な疾患を呈していなかったとき、TILスキャン陰性であったが、数週間後、液窩再発の診断につながるTILスキャン陽性を示したため、陰性対照の役割をした。著者は、転移性腎細胞癌腫および他の癌腫による放射標識TILの取り込みは、CD8+であろうとCD4+であろうと、既報の黒色腫における取り込みと類似しているという結論を下した。シクロホスファミドの前投与は、画像化の必要条件ではなく、またTIL取り込みは、腫瘍応答を予見するものではなかった。
【0014】
リンパ系組織を含む疾患を有する患者の末梢血に由来するリンパ球はまた、該疾患の病期決定の補助として、体内の画像化のために、in vitro刺激なしで放射標識されてきた。一例として、Grimfors,G.らによる、「ホジキン病における病期決定方法としての、インジウム−111オキシン標識自己リンパ球の腫瘍画像化(Tumour imaging of indium-111 oxine-labelled autologous lymphocytes as a staging method in Hodgkin's disease)」Eur J Haematol.42:276−283(1989)は、ホジキン病(HD)患者35例で、インジウム−111オキシン標識自己リンパ球注入後、39のリンパ球シンチグラフィを実施したことを開示している。リンパ球は、白血球アフェレーシスおよびリンホプレップ(Lymphoprep)勾配遠心法後に得て、単球を排除するために、付着ステップでさらに精製した。中央値1.2(0.2〜3.7)×109細胞を、6.7(1.9〜16.6の範囲)Mbqのインジウム−111オキシンで標識し、該患者に再注入した。GE 400 ATで、ガンマカメラ画像法を実施した。リンパ節腫大を示す61部位中54部位で、放射能の蓄積が見られた。放射能増加はまた、以前に腫瘍の臨床証拠がなかった16部位でも見られた。これらの著者は、データは非常に有望のようであり、方法論がさらに改良されれば、リンパ管シンチグラフィーは、病期決定手順およびHD患者のフォローアップにおける重要な補足物になる可能性があることを示唆している。
【0015】
in vitro活性化しない放射標識末梢血リンパ球の画像化は、他のリンパ性悪性腫瘍でも使用されてきた。たとえば、Muller,C.による、「リンパ性悪性腫瘍患者における、インジウム−111オキシン標識ヒト末梢血単核細胞のIn vivo追跡(In vivo tracing of indium-111 oxine-labeled human peripheral blood mononuclear cells in patients with lymphatic malignancies)J Nucl Med.30:1005−1011(1989)は、[111In]オキシン標識末梢単核細胞(PMNC)のin vivo遊走を、様々なリンパ性悪性腫瘍および触診可能なリンパ節腫大を有する患者20名で試験したことを開示している。10μCi(0.37MBq)[111In]オキシン/108PMNCという最大標識線量は、in vitroで、細胞生存能力またはリンパ球増殖のいずれにも悪影響を及ぼさなかった。in vivo試験で、1.5×109PMNCがリンパ球アフェレーシスで得られ、放射標識後静脈内に再注入された(150μCi(5.55MBq))。触診可能なリンパ節腫大の標識は、ホジキン病患者3例中3例および高悪性度リンパ腫患者5例中5例で達成されたが、低悪性度リンパ腫患者7例中3例が陽性のリンパ節画像を示し、慢性リンパ性白血病患者は陽性のリンパ節画像を示さなかった。従って、この著者は、PMNCは、[111In]オキシン標識後に、それらの遊走能力を保有し、またこれらの細胞は、全部ではなく一部の、血液学的悪性腫瘍のリンパ節病変にトラフィックするという結論を下した。
【0016】
異なる経路で注入した後、動物およびヒトにおけるヒトPBLの分布も研究されてきた。たとえば、Nelson,H.らによる、「ヒト結腸癌異種移植片における、抗腫瘍×抗CD3ヘテロ凝集抗体(heteroaggregate antibodies)および培養ヒト末梢血リンパ球の局所分布および全身分布(Regional and systemic distribution of anti-tumor x anti-CD3 heteroaggregate antibodies and cultured human peripheral blood lymphocytes in a human colon cancer 異種移植片)」J Immunol.145:3507−3515(1990)は、抗CD3抗体(OKT3)に共有結合した抗腫瘍抗体(317G5)は、PBLを標的にすることができるヘテロ凝集(heteroaggregate(HA))抗体を生じさせて、当該腫瘍抗原を発現している腫瘍細胞を溶解できることを開示している。放射標識HA抗体317G5×OKT3、および放射標識された培養ヒトPBLの、i.v.分布およびi.p.分布を、ヒト結腸腫瘍系統LS174Tから樹立された腹腔内充実性腫瘍を担持する無胸腺のヌードマウスで試験した。マウスに125I標識HA抗体、125I標識抗腫瘍mAb、または111In標識PBLを注射し、指定された時点に、組織を採取して放射能を測定した。125I−317G5×OKT3は、腫瘍部位に特異的に局在した。125I−317G5×OKT3のi.v.投与とi.p.投与との間で認められた放射能レベルの主な差は、i.v.HA抗体投与後の、肝放射能の増加であった。抗腫瘍×抗CD3HA抗体は、腹腔内腫瘍に特異的に局在すること、i.p.投与されたHA抗体は、腫瘍に直接侵入すること、およびi.v.投与されたHA抗体は、腫瘍血管系に沿って分布すること、が、オートラジオグラフィで確認された。培養ヒトPBLは、i.p.投与されたとき、腹腔内腫瘍に中程度の濃度で分布したが、i.v.投与されたときはそうではなかった。著者らは、i.v.注射したPBLの腫瘍への不十分な局在性は、ホーミング受容体および/または内皮細胞リガンドにおける種差を表す可能性があり、同系モデルで克服することが可能な問題であると考えた。彼らは、これらの結果から、HA抗体およびPBLを用いた局所治療は、初期臨床治験のための全身療法に勝る利点を提供することが示唆されるという結論を下した。
【0017】
腫瘍塊以外の組織に由来するリンパ球(すなわち、TIL)または末梢血も、放射標識リンパ球またはそれらに対する抗体の画像化による分布を含む、養子免疫療法に関して、研究されてきた。たとえば、1998年9月29日発行の、マーティン・ジュニア(Martin,Jr.)らに付与された米国特許第5,814,295号は、腫瘍反応性細胞が豊富なリンパ節の決定、それらの増殖および養子細胞治療におけるそれらの使用について開示している。特に、該発明は、腫瘍反応性細胞、たとえば、CD4+腫瘍特異的リンパ球が豊富なリンパ節を確実に決定する方法に関する。この方法は、新生物組織により産生されるかまたは新生物組織に関連があるマーカーを特異的に結合する、放射標識ロケータの有効量を患者に投与するステップを含む。患者における、新生物組織からの光子放出とバックグラウンド光子放出との比率を高めるために、投与後、放射標識ロケータが新生物組織に優先的に集中するための、また未結合の放射標識ロケータが取り除かれるための、時間の経過が認められている。該時間が経過した後、リンパ節部位における放射線のレベル上昇をプローブで検出することにより、放射標識ロケータの付着を示しているリンパ節部位を決定するための放射線検出プローブで、該患者に接触する。このような放射線レベルの上昇を示しているリンパ節を摘出して、肉眼的視覚分析に付したが、代わりに、このような部位を、組織学的分析に付してもよい。肉眼観察でも腫瘍がないと決定されるか、または肉眼的転移性疾患がない、決定されて摘出されたリンパ節を選択し、腫瘍反応性細胞を増殖するために培養する。選択されたリンパ節を、分裂促進刺激に付す。該リンパ節は、インターロイキン−2、抗CD3モノクローナル抗体、および自己腫瘍であっても同種腫瘍であってもよい新生物組織の存在下で培養する。この特許は、このような刺激されたリンパ節細胞が投与された患者2例(患者番号3および4)は、外因性IL−2の有無にかかわらず腫瘍退行の証拠を示したこと、111In標識細胞(患者5)を使用した細胞トラフィック試験を含む広範な免疫学的データが収集されたこと、しかし、決定的な結論を導くには次期尚早であることも開示している。
【0018】
最近の養子免疫療法は、抗原提示細胞、特に様々な抗原ソースでパルスされた樹状細胞によって、in vitroで刺激される様々なソース由来のT細胞を使用してきた。たとえば、Peng,L.らによる、「広い抗腫瘍効果を有するヘルパー非依存的、L−セレクチンlowCD8+T細胞は、腫瘍進行中に自然に感作される(Helper-independent, L-selectinlow CD8+ T cells with broad anti-tumor efficacy are naturally sensitized during tumor progression)」J Immunol.165:5738−5749(2000)は、培養活性化することができ、IL−2の同時投与なしでも、同系マウスにおける樹立された肺腫瘍および頭蓋内腫瘍を根絶するために養子移入することができる、腫瘍流入領域リンパ節(TDLN)で低いL−セレクチン発現(CD62Llow)を示すCD4(+)T細胞サブセットについて、著者らが最近報告したことを開示している。このレポートは、これらの研究を拡大して、弱免疫原性腫瘍を担持するマウスのTDLNに自然に存在するL−セレクチンlowCD8(+)T細胞の小さいサブセットを特性決定している。単離されたL−セレクチンlowCD8(+)T細胞は、ヘルパー非依存的T細胞の機能的表現型を示し、養子移入されたとき、L−セレクチンlowCD4(+)T細胞と同様に、外因性IL−2の共投与なしで、樹立された肺腫瘍および頭蓋内腫瘍の両者を、一貫して根絶することができた。培養活性化L−セレクチンlowCD8(+)T細胞は、in vitroで、関連する腫瘍標的を溶解しなかったが、関連する腫瘍調製物で特異的に刺激したとき、分泌されたIFN−γおよびGM−CSFは溶解した。著者らは、特定のワクチン操作がなくても、進行性の腫瘍成長は、採取時には表現型的にL−セレクチンlowであり、それぞれが、非常に強力な独立型エフェクターを暴露するために培養活性化のみを必要とする、TDLN中のCD4(+)およびCD8(+)抗腫瘍T細胞の非依存的感作に導くことが、これらのデータから分かるという結論を下した。
【0019】
様々なソースに由来する腫瘍抗原でパルスした自己樹状細胞により準備刺激されたT細胞を用いたヒト患者の養子免疫療法も、報告されている。一例として、Santin,A.D.ら、「転移性子宮内膜癌患者における、腫瘍溶解物でパルスした自己樹状細胞により準備刺激された養子移入T細胞の開発および治療効果(Development and therapeutic effect of adoptively transferred T cells primed by tumor lysate-pulsed autologous dendritic cells in a patient with metastatic endometrial cancer)」Gynecol Obstet Invest.49:194−203(2000)は、外科手術で切除不能でかつ化学療法耐性の大きい子宮内膜癌腫の肝臓転移を有する、腫瘍溶解物でパルスした自己樹状細胞(DC)で刺激した末梢血T細胞注入で治療された、65才の女性について記述している。DC活性化T細胞の広範なin vitro特性決定は、表現型分析、細胞障害性、および細胞内サイトカイン分泌を含んでいた。自己腫瘍細胞に対して高い細胞障害性が確認されたが、NK感受性K562細胞、自己Con−Aリンパ芽球、または自己エプスタイン・バーウイルス(Epstein−Barrvirus)形質転換リンパ芽球状細胞に対しては確認されなかった。阻止試験(blocking study)では、溶解活性が、HLAクラスI限定的であることを示した。2色フローサイトメトリ分析は、CD8+T細胞のかなりの部分がCD56+でもあることを示し、細胞内IFN−γおよびIL−4発現の分析は、タイプ1サイトカイン偏向を示唆した。患者を、腫瘍特異的T細胞を3〜4週間隔で3回注入することにより処置し、111Inオキシン標識および連続ガンマカメラ画像法で、T細胞のin vivo分布を追跡した。各注射後の一連の時点で、標識リンパ球の腫瘍局在性および蓄積が絶えず検出された。しかし、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)画像法により三次元で評価したとき、活性化T細胞による該大きい腫瘍塊の深部浸潤は極小であった。臨床的には、治療中ずっと、大きい肝臓転移の安定化が認められた。総合すると、以上の結果は、子宮内膜癌患者で、腫瘍特異的CD8+細胞障害性T細胞応答を生じさせることができることを示し、また、転移性疾患を持つ患者では、T細胞免疫療法は、治療的に価値があることを示唆する。図5から分かる通り、99mTc−イオウコロイド・シンチグラフィを用いて比較したとき、該腫瘍周囲の[111Inオキシン標識CD8+細胞障害性T細胞の]放射能の局在性は、残りの正常な肝臓実質のそれをしのいでいた。
【0020】
ヒトムチン1(MUC1、MUC−1とも呼ばれる)は、乳房、肺、膵臓、前立腺、胃、結腸、および卵巣を含む、全ての腺癌の90%で過剰に発現される上皮ムチン糖タンパク質である。充実性腺癌患者で、増殖中の腫瘍を根絶できるほど十分強くない、MUC1に対する低レベルの細胞性および体液性免疫応答が確認されているため、MUC1は、免疫介入の標的である。たとえば、Hiltbold,E.M.ら、「自然に処理された腫瘍抗原MUC1由来のクラスIIエピトープは、ヒトCD4+T細胞を準備刺激する(Naturally processed class II epitope from the tumor antigen MUC1 primes human CD4+ T cells)」、Cancer Res.58:5066−5070(1998)は、上皮細胞ムチンMUC1は、乳房、膵臓、卵巣および他の腫瘍で腫瘍抗原の役割をするグリコシル化形で腺癌上に発現されること、2つの支配的なMUC1特異的免疫応答、MUC1タンパク質コア上の縦列反復エピトープを認識するCD8+ CTL、およびIgM抗体が、患者でみられることを報じている。癌患者におけるMUC1特異的CD4+ Tヘルパー細胞に関するレポートがそれまでなかったことを主張し、MUC1特異的CD4+ T細胞が、削除も寛容化もされていないこと、およびMUC1の適切な可溶形を使用するとき、CD4+ T細胞応答を生じさせることができることを示した。健常なドナー由来のナイーブCD4+ T細胞を、樹状細胞により提示される、5つの非グリコシル化縦列反復を示す、100アミノ酸の合成MUC1ペプチドに対して、in vitroで準備刺激した。それらは、IFN−γを産生し、また中程度の細胞溶解活性を有していた。著者らはまた、HLA−DR3により提示されたとき、この応答を引き出すコアペプチド配列PGSTAPPAHGVTを同定した。
【0021】
MUC1は、この抗原上の腫瘍特異的ペプチドエピトープのMHC非制限的TCR認識が生じる可能性がある点で、特異である。一例として、Magarian−Blander,J.らによる、「上皮抗原MUC1上の腫瘍特異的ペプチドエピトープのMHC非限定的TCR認識後の、細胞間および細胞内事象(Intercellular and intracellular events following the MHC-unrestricted TCR recognition of a tumor-specific peptide epitope on the epithelial antigen MUC1)」J Immunol.160:3111−3120(1998)は、MUC1上の腫瘍特異的ペプチドエピトープの直接TCR認識に関与する機能的パラメーターおよび分子パラメーターを開示している。このペプチドエピトープは縦列反復であり、処理されてMHCに結合した分子よりむしろ自然の分子を認識した。Magarian−Blander,J.らに教示されている通り、Tリンパ球は、一般に、APC表面上の自己MHC分子の溝内で提示される、抗原性ペプチドを認識する。このMHC限定的認識は、TCR/CD3複合体により仲介される。該TCR/CD3による、該抗原性ペプチドの認識は、シグナル−形質導入事象のカスケードにより、該T細胞の活性化を招く結果となる。該T細胞の活性化は、最終的に、サイトカイン類の放出、新しい表面分子の発現、およびエフェクタ機能の成熟に導く様々な遺伝子の増殖および転写活性化を招く結果となる。
【0022】
Magarian−Blander,J.らはまた、MUC1上のペプチドエピトープ、導管上皮細胞ならびに同一起源の癌細胞の表面上に発現されるタイプI貫膜糖タンパク質を、認識するMHC非制限的βT細胞に関して以前に報告したことも記している。その細胞外ドメインの大部分は、T細胞エピトープを含有する縦列反復20アミノ酸配列からなる。該MUC1縦列反復エピトープのMHC非制限的認識は、TCRおよびCD3複合体に対する抗体によって阻止され、この認識がTCR介在性であることが分かる。これらの研究者は、MUC1縦列反復は、MHC分子による提示の必要性を回避する剛構造としてのTCRに、未処理エピトープの高密度アレイを直接示すことを提案した。合成ペプチド類似体を使用するMUC1縦列反復タンパク質コアの構造研究により、T細胞エピトープが、ポリペプチドコアの伸長したβ−ターン・ヘリック構造を越えて突出するループを形成する安定した秩序ある構造を呈することが確認された。
【0023】
つい最近、ある種のMUC1エピトープに関して、別々に調製された抗原提示細胞を使用したペプチドを提示しない、エピトープ提示ペプチドのみとのインキュベーションによる、in vitroでのMUC1抗原特異的抗腫瘍リンパ球の活性化が報告された。一例として、WrightS.E.ら、「自然のMUC1ムチンおよびグリコシル化部位で変異したムチンペプチドにより刺激された、腺癌を有するヒト由来の細胞障害性Tリンパ球(Cytotoxic T lymphocytes from humans with adenocarcinomas stimulated by native MUC1 mucin and a mucin peptide mutated at a glycosylation site)」J Immunother.23:2−10(2000)は、MUC1ムチンペプチドが、腺癌を有するヒト由来の細胞障害性Tリンパ球(CTL)を刺激したことを開示している。末梢血単核細胞(PBMC)、腫瘍流入領域リンパ節(TDLN)細胞、または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、乳房または卵巣の腺癌を有するヒト由来の単核細胞を使用し、それぞれ、(a)20アミノ酸の、自然のMUC1ムチン縦列反復ペプチド(MUC1−mtr1)+組換えヒトインターロイキン−2(IL−2)、(b)変異した(T3N)MUC1−mtr1+IL−2、または(c)固定化抗CD3+IL−2、または(d)IL−2のみを使用して、刺激された。これらの4つの条件のそれぞれで刺激されたCTLは、主としてCD4+であった。しかし、抗CD3+IL−2またはIL−2のみのいずれかにより刺激されたCTLに比べて、自然のMUC1−mtr1または(T3N)MUC1−mtr1のいずれかにより刺激されたCTLは、MUC1を発現する乳癌細胞系の5−10倍大きい細胞障害性を示した。各インキュベーション条件は、異なる可変β遺伝子ファミリーのT細胞受容体を有するCTLを生じさせ、それぞれの、限定されたCTLレパートリのオリゴクローナル増殖を示す。したがって、ペプチド刺激T細胞は、非特異的(抗CD3またはIL−2)刺激により誘導されない、細胞障害性細胞の発現を示した。さらに、これらの著者らは、ムチン−ペプチド刺激細胞系の細胞障害性は、たぶん、乳癌を有するドナー由来のPBLCの場合には、HLAクラスIおよびIIのレベルで、また卵巣癌を有するドナー由来のTILの場合には、少なくともクラスIのレベルで、非HLA限定的であると報じた。この研究は、本発明者により拡大され(Wright,S.E.,Phillips,C.A.らによる、「ムチン1刺激ヒト末梢血単核細胞を用いた、ムチン1発現腺癌の養子免疫療法(Adoptive immunotherapy of mucin1 expressing adenocarcinomas with mucin1 stimulated human peripheral blood mononuclear cells)」Int J Mol Med.9:401−404(2002))、非肥満糖尿病、重症複合免疫不全(NOD SCID)マウスに養子移入された、乳癌患者由来のムチン1刺激造血単核細胞(M1SHMC)は、大きい腺癌の治療モデルで生存時間を延長し、また極小疾患モデルで腫瘍成長を防止することを示した。M1SHMCは、ムチン1を発現しているヒト乳房腺癌(breast adenocarcinoma)細胞系、MCF−7の特異的溶解を示し、またインターフェロンγを産生した。NOD SCIDマウスで、MCF−7の皮下(SC)注射後、大きい、触診可能な腫瘍が出現した後、M1SHMCを腹腔内(IP)注射した。無M1SHMC対照と比較して、生存時間が増加した。しかし、腫瘍は、最終的に全てのマウスで再び成長した。極小疾患(MD)をコントロールできるかどうかを決定するために、NOD SCIDにMCF−7細胞を注射し、同じ日に、M1SHMCをIP注射した。M1SHMCを注射したマウスは、腫瘍成長をから守られた。以上の結果は、M1SHMCは、生存期間を延長することができるが、大きい触診可能な腺癌を担持するNOD SCIDを治すことはできないことを示す。しかし、極小疾患モデルでは、腫瘍成長が阻止された。
【0024】
脂質修飾したmuc−1誘導体に関する、2003年7月29日発行の、アグラワル(Agrawal)らに付与された米国特許第6,600,012号は、複数の末梢血リンパ球(PBL)と抗原負荷リポソームを組合せて抗原負荷PBLを生じさせ、該抗原負荷PBLを、ナイーブアネルギー性T細胞またはメモリーT細胞と組み合せて、活性化T細胞を生じさせることにより、活性化T細胞の混合物を作る方法を開示している。このような活性化は、in vivoまたはin vitroで実行される。発明の方法に従って調製された該抗原負荷PBLおよび活性化T細胞は、癌およびウイルス性疾患を治療するための細胞性ワクチンとしての用途があると考えられる。この特許およびその中に引用された参考文献は、樹状細胞(DC)は最初、ナイーブT細胞を準備刺激するための強力なAPCであると考えられたこと、およびDCは、一次抗原特異的CTL応答のin vitro刺激のためのAPCとして使用されてきたことを教示している。DCは、未抗原刺激T細胞と集中的に凝集することができ、また高密度のアクセサリー分子、たとえば、ナイーブ休止T細胞の刺激に不可欠なB7.1およびB7.2.を発現することが示唆されている。しかし、Agrawalらはさらに、(1)免疫療法のための、様々なペプチドの免疫原性の決定および(2)養子細胞治療用の増殖のためのT細胞刺激には、DCがすぐれた候補ではないことを教示している。この点に関して、先行技術は、DCを使用した、抗原特異的CD8.sup.+CTL応答の創出に関する。Agrawalらによれば、開示されている発明は、(a)リポソーム封入ペプチド抗原を、複数の末梢血リンパ球と組み合せて、抗原負荷抗原提示細胞を作るステップ、(b)ナイーブT細胞またはアネルギー性T細胞を、上記抗原負荷抗原提示細胞と組み合せるステップ、(c)活性化されたT細胞を、(b)の組み合せから単離するステップ、を含む、活性化T細胞を生じさせる方法を提供する。さらなる実施形態で、本発明は、上記活性化T細胞がTヘルパー細胞であるような方法を提供し、また上記活性化T細胞が細胞障害性T細胞である方法を提供する。好ましい実施形態は、ナイーブT細胞を、リポソーム封入ペプチド抗原を事前に負荷したPBL(APCとして)で活性化することによりin vitroで作られる、MUC−1ペプチド特異的、活性化CD4+およびCD8+T細胞集団の製造に関する。別の実施形態では、本発明は、リポソーム封入抗原および抗原提示細胞としての自己末梢全血リンパ球(PBL)とともに、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、およびアネルギー性T細胞、または全3つの細胞型の混合物を使用した、活性化T細胞の創出に関する。
【0025】
非腫瘍細胞特異的抗原を画像化するためのリンパ球の使用も開示されている。たとえば、Mazzoni,G.らによる、「移植片拒絶を診断するための、インジウム標識した前感作T細胞(Indium-labeled presensitized T cells for diagnosis of graft rejection)」J Surg Res.52:85−88(1992)は、報告した実験の目的は、必要な、初期同種移植片拒絶の正確な診断に安全な非侵襲的方法であったことを開示している。ドナーとしてブラウン・ノルウェイ(Brown Norway(BN))ラットを使用し、レシピエントとしてルイス(Lewis(LEW))を使用して、異所的に心臓−肺同種移植を実施した。T細胞懸濁液は、激しく拒絶された全幅BN皮膚移植片を有していた、特異的に感作されたLEWラットのリンパ節から調製した。細胞数を50×10(6)細胞/mlに調節した。該懸濁液は、111In酸化物(1mCi−ml)と共にin vitroでインキュベートした。心臓−肺移植の3日後および6日後に、40×106細胞を含有する標識細胞懸濁液のアリコートおよび総放射能200mCiを各動物に静脈内投与した。大視野ガンマカメラで、T細胞のトラフィックおよび摘出臓器をin vivoで追跡した。心臓が活発に拍動しているとき、該ガンマカメラは、術後5日に始まった移植片の放射能を示したが、同系移植された臓器部位では、放射能を示さなかった。組織学は、ラジオイメージング強度の程度と平行して、軽度ないし中等度の細胞性浸潤を示した。インジウム標識した前感作T細胞の注射は、拒絶の臨床症状がなくかつ/または拒絶カスケードを逆進させることができる初期に、拒絶経過を検知することができた。
【0026】
哺乳動物体内の細胞を画像化するための、様々な他の放射標識に基づく方法が知られている。たとえば、Anders,G.T.によるとら、「早期ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染におけるSPECTガリウム−67スキャン。免疫学的病期と相関させるための、異常のスキャン失敗(SPECT gallium-67 scanning in early human immunodeficiency virus (HIV) infection. Failure of scanning abnormalities to correlate with immunologic staging)」Clin Nucl Med.15:295−302(1990)は、AIDS患者の治療におけるガリウムスキャンの使用について開示している。またKorf,J.らによると、「PETおよびSPECTを使用したリンパ球分布を研究するための標識としての二価コバルトusing(Divalent cobalt as a label to study lymphocyte distribution using PET and SPECT)」J Nucl Med.39:836−841(1998)は、細胞がex vivoで適切に前標識されていれば、PETおよびSPECTは、生きているヒトで、リンパ球の分布に関する研究を可能にすることを教示しており、さらに、二価コバルト同位元素(55Co2+、PETでは、半減期17.5時間;57Co2+、SPECTでは、半減期270日)のリンパ球を標識する能力について記述している。またさらに、1998年11月24日発行の、Lambertらに付与された米国特許第5,840,859号は、たとえば、ヨウ素の放射性同位元素、すなわち、123I、125I、または131Iで細胞膜を放射標識するための(アミノスチリル)ピリジニウム化合物、または1当量の金属放射性同位元素、たとえば、ポリカルボン酸でキレート化された111Inまたは99mTcを含むキレート基を開示している。Lambertらは、開示の方法に従って標識された自己リンパ球は、リンパ性悪性腫瘍のin vivoリンパ球トラフィックおよび臨床画像化に使用できる可能性があることを教示しており、また開示の化合物は、養子免疫療法に先立って転移性黒色腫を画像化するために培養リンパ球を標識する好ましい薬剤として、111インジウム−オキシンに取って代わる可能性があると示唆している。
【0027】
2000年11月14日発行の、Rubinらに付与された米国特許第6,146,614号は、画像化を使用して、哺乳動物におけるリンパ球分布およびトラフィックを決定する方法に関する。標識リガンドがin vivoでリンパ球と相互に作用し、結果として標識されたリンパ球を生じるように、哺乳動物のリンパ球と特異的に相互に作用できる標識リガンドを該哺乳動物に投与するか、または、該標識リガンドが該リンパ球と相互に作用して、結果として標識されたリンパ球を生じるように、該標識リガンドを該リンパ球とin vitroで接触させ、これらの標識リンパ球が該哺乳動物に投与されるかのいずれかである。該哺乳動物における該標識リンパ球の分布またはトラフィックは、画像化によって確定される。哺乳動物のリンパ球分布またはトラフィックパターンを確定することにより、哺乳動物における疾患の進行の程度を診断する方法、疾患を有する哺乳動物における、治療に対する応答をモニターする方法、薬剤がリンパ球の分布またはトラフィックを変える力を評価する方法、および疾患を有する哺乳動物を治療するのに有用な薬剤を同定する方法も記載されている。ある実施形態では、該哺乳動物は、疾患、たとえば、HIV感染、自己免疫疾患、感染性疾患、または悪性腫瘍を有する。該リンパ球は、たとえば、B細胞またはT細胞であってもよい。ある実施形態には、該リンパ球は、CD4陽性細胞またはCD8陽性細胞であることが好ましい。該リガンドは、たとえば、抗体、たとえば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、たとえば、抗CD4モノクローナル抗体、抗体断片、組換え抗体、ペプチド、ペプチド擬似物、炭水化物または糖タンパク質であってもよい。
【発明の開示】
【0028】
発明の簡単な概要
本発明は、標識された抗原特異的リンパ球、好ましくは、このような細胞を、該細胞特異的抗原の免疫原性エピトープを提示するペプチドに暴露することにより、哺乳動物の末梢血単核細胞から得た活性化T細胞を投与し、画像化することにより、該哺乳動物における標識リンパ球の分布を決定することによって、哺乳動物における細胞特異的抗原を検出し、定位するための方法を特徴とする。本発明は、本発明者により高く評価された下記の有効な要素に一部基づく。
腫瘍特異的エピトープに向けられた放射標識された活性化リンパ球群は、本発明の診断手法に有用であり、
このような細胞は、感作される腫瘍エピトープに遊走して付着する能力を有し、
このような細胞は、非常に小さい腫瘍(たとえば、直径2mm以下)の定位を高める能力を有し、また
このような細胞は、既知の免疫原性エピトープ、たとえば抗ムチンペプチド細胞障害性Tリンパ球(CTL)、すなわち、ムチンポリペプチドのアミノ酸配列に由来する免疫原性ペプチドまたは別の腫瘍抗原で活性化されたT細胞を使用して検出することができるムチン産生性腺癌と共に未知の原発腫瘍を同定するために有用である。
【0029】
したがって、本発明の方法の一実施形態は、
患者の血液に由来するリンパ系集団、または他のリンパ系含有区画を、ある特定の腫瘍エピトープ、たとえばムチンに接触して刺激する、
活性化リンパ球様細胞が、特定の腫瘍をin vitroで死滅させるかまたは認識できるそれらの能力について評価する、
活性化されたリンパ球様細胞集団を、in vitroで、インジウムオキシンまたは他の類似した放射性同位元素により放射標識する、すなわち「タグを付ける」、
放射標識された細胞が、静脈内または腹腔内(腹腔腫瘍)のいずれかに送達される、
生体内分布は、核医学により48時間モニターされ、たとえばプロスタシンチ(ProstaScint)(登録商標)前立腺スクリーン技術で、「ホットスプット」の存在について画像を分析する、
SPECT核医学画像を、CTまたはMRI画像と融合させて、これらの部位にはっきりとした腫瘍が存在するかどうかを決定し、またさらなる確認のために、これらの画像を、PET画像と比較できる、
ことを含む。
本発明者はさらに、これらの非侵襲的診断モダリティの使用は、たとえば、転移がないことを確認する試験開腹術後の、外科的回復のために失われる不必要な時間を防止し、また、たとえば、処置が開始された後で、新たな位置に転移性疾患が検出された場合、より有効なモダリティの使用を促進することを、高く評価した。ポジトロン放出断層撮影法(PET)のみを使用する診断方法が、臨床処置を劇的に変えることが証明されている。したがって、本発明者は、この方法論は、単独で、または他の技術たとえばPETと組み合せて、癌の早期発見ならびにより正確な病期決定を可能にすると考えている。
【0030】
本発明の方法を用いた初期臨床試験は、Phillips,C.A.らによる、「養子免疫療法における検討事項としてのトラフィック:投与経路は、いかに、腫瘍への細胞障害性Tリンパ球の送達に影響するか(Trafficking as a consideration in adoptive immunotherapy:How does the route of administration affect the delivery of cytotoxic T lymphocytes to tumor?)」J.Immunol.25(6):S34(2002年11月/12月)に、以下のように開示されている。
特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)を使用する養子免疫療法は、従来の外科手術、放射線および化学療法の後、残存腫瘍を破壊することを目的とする実験的治療である。異なる経路で投与された、養子移入されたCTL調製物の遊走パターンは、患者で、最小限、調査されている。我々は、腫瘍ムチンペプチドに接触して刺激された111インジウム標識CTL調製物のin vivo移動をモニターした。これらの細胞の生体内分布は、静脈内に投与された時と、腹腔内に投与された時で、非常に異なる。小さい一連の乳癌患者(腫瘍2例および腫瘍なし2例)および再発性腫瘍(BB IND 8620)を有する卵巣癌患者5例で、活性化リンパ球の調製物を投与した。プロトコールには、1ヶ月に2回の注入(1回は放射標識で、1回は無標識、4ヶ月間にわたる)が書かれていた。乳癌患者では、静脈内に投与されたCTL調製物の生体内分布は、インジウムオキシン白血球スキャンの特色を示していた。経時的生体内分布の定量化により、非細胞障害性Tおよび非特異的細胞障害性細胞は、腫瘍にトラフィックしないことが明らかになった。経時的細胞遊走の詳細を示す。卵巣癌患者では、該パターンは、まさに注目すべきものであった。腹腔内に注入された、放射標識CTL調製物は、第1の画像で、識別できるパターンを実証し、それに続く数日間、精密化して、各患者に特有になる。腹膜からの移動は急速で、1時間でおよそ10%、98時間でおよそ30%である。放射標識CTL調製物は、腹腔内および腹腔外の、既知の腫瘍(CTスキャンによる)および腫瘍転移として以前に確認されなかった領域に局在していた。乳癌患者および卵巣癌患者の、具体的な症例の放射標識CTL調製物生体内分布、ならびに卵巣症例のCTスキャンおよびSPECT画像の融合を示す。CTL送達に関する症例事項を、詳細に論じる。
【0031】
以上のことを考慮すると、本発明の目的は、活性化抗原特異的リンパ球分布および個々のトラフィックを検出することにより、安全で、効果的かつ容易な、好ましくは非侵襲的な、細胞特異的抗原を検出する方法を提供することである。
【0032】
本発明のもう1つの目的は、画像化技術を使用して、各人の活性化リンパ球分布およびトラフィックパターンから、細胞特異的抗原の局在性を測定することである。
【0033】
本発明のまた別の目的は、各人の活性化リンパ球分布およびトラフィックパターンから細胞特異的抗原の局在性を測定することにより、疾患の進行を評価することである。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、各人の活性化リンパ球分布およびトラフィックパターンから、細胞特異的抗原の局在性に対する治療効果を評価することにより、疾患の治療法の効力を評価することである。
【0035】
したがって、一態様では、本発明は、ヒトなどの哺乳動物で、細胞特異的抗原を検出し、定位する方法であって、(a)末梢血単核細胞を該哺乳動物から入手するステップ、(b)末梢血単核細胞中のTリンパ球が抗原特異的活性化を受ける(その結果、該細胞特異的抗原に結合する活性化抗原特異的Tリンパ球を生じる)条件で、該末梢血単核細胞を、細胞特異的抗原の免疫原性エピトープを提示する免疫原性ペプチドに暴露するステップ、(c)画像化により検出可能な標識で、該抗原特異的Tリンパ球を標識するステップ、(d)該標識された抗原特異的Tリンパ球を、該哺乳動物に投与するステップ、および(e)画像化により、哺乳動物における該標識抗原特異的Tリンパ球の分布を確定し、それによって該哺乳動物における細胞特異的抗原を検出し、定位するステップ;を含む方法を提供する。
【0036】
上記、本発明の方法の幾つかの実施形態において、該末梢血単核細胞を該免疫原性ペプチドに暴露するステップ(b)は、T細胞の活性化を促進するために、インターロイキン−2(IL−2)の存在下で実施される。
【0037】
有利には、該末梢血単核細胞(PBMC)を該免疫原性ペプチドに暴露するステップ(b)は、該標識抗原特異的Tリンパ球が該哺乳動物に投与されるステップ(d)より前に、さらなる細胞を該PBMCに加えることなく、該ペプチドの無細胞調製物を該末梢血単核細胞に加えることによって実施される。したがって、たとえば、抗原提示細胞(APC)として作用する末梢血白血球(PBL)で、PBMC中のナイーブT細胞を活性化することにより、MUC−1ペプチド特異的、活性化CD4+およびCD8+T細胞集団を、in vitroで生じさせた、アグラワル(Agrawal)らに付与された米国特許第6,600,012号で以前に開示されたT細胞活性化方法とは異なる。これらのPBLは、別の培養液中で、リポソーム封入ペプチド抗原が添加され、次いで、PBMC由来のナイーブT細胞の培養に加えられ、それによって、T細胞活性化プロセスの複雑さ、および汚染または多細胞培養の操作に固有の他の原因による損失の危険も増大する。
【0038】
本発明でさらに好都合なことは、細胞特異的抗原を発現する細胞に対して細胞溶解性である抗原特異的Tリンパ球を使用することである。したがって、細胞溶解性(または、より一般的には、細胞障害性)T細胞(CTL)は、非細胞溶解性抗原特異的T細胞より効果的に、標的細胞特異的抗原を担持する細胞に結合することが可能である。しかし、養子免疫療法利用とは異なり、本診断方法は、抗原を担持する標的細胞を効果的に死滅させることができるT細胞を絶対に必要とするとは限らない。したがって、本発明の方法の該活性化抗原特異的T細胞は、CD4+リンパ球またはCD8+リンパ球またはそれらの混合物を含んでもよい。本発明の方法の活性化抗原特異的細胞はまた、メモリーT細胞、特にCD45RO+メモリーT細胞も含んでもよい。PBMC由来のT細胞を、無細胞抗原、たとえば該標的抗原のエピトープを提示するポリペプチドまたはペプチドに暴露することにより、抗原特異的Tリンパ球を生じさせるための本発明の方法の別の利点は、このような抗原特異的Tリンパ球が、ごく少量のナチュラルキラー(NK)細胞(たとえば、CD3−、CD8−、CD56+表現型を有する細胞のパーセンテージで示すとき、たとえば、約10%未満、好ましくは約6%未満、より好ましくは約3%未満)を含んでもよいことである。
【0039】
幾つかの実施形態では、有利には、該標識された抗原特異的Tリンパ球を、該哺乳動物に投与するステップ(d)は、哺乳動物における、該標識された抗原特異的Tリンパ球の分布を確定するステップ(e)を実施する前に、Tリンパ球とともに、またはその後、サイトカイン類、特にIL−2を、該哺乳動物に投与せずに実施される。したがって、T細胞、たとえばTIL細胞を用いた養子免疫療法は、それらの細胞障害性を維持するために、活性化細胞障害性T細胞と共に、およびその後、高用量のサイトカイン類、特にIL−2が患者に投与されることを一般に必要とするが、本発明で診断のために使用される場合、該活性化T細胞は、最初に細胞障害性活性化状態であるか、または細胞障害性活性化状態で維持されることを必要としない。したがって、本発明の方法によって活性化されたT細胞を使用することにより、他のタイプの活性化T細胞の養子移入に必要な、高用量のIL−2投与の追加費用および潜在的副作用を回避することができる。
【0040】
本発明の方法の幾つかの実施形態では、標識された抗原特異的Tリンパ球を該哺乳動物に投与するステップ(d)は、該リンパ球を腹腔内に投与することを含む。したがって、Phillips,C.A.らによって(上掲)に開示されている通り、腫瘍ムチンペプチドに接触して刺激された該養子移入CTL調製物の遊走パターンは、静脈内に投与されたときと、腹腔内に投与されたときで、非常に異なる。乳癌患者における、静脈内に投与されたCTL調製物の生体内分布は、インジウムオキシン白血球スキャンの特色を示していた。たとえば、Reynolds,C.W.ら(上掲)は、標識LGLまたはT細胞を正常なレシピエントにiv接種した後、放射能の大部分(18〜33%)は数分以内に肺内に回収されたことを教示している。肺内の放射能のレベル低下は、脾臓および肝臓におけるカウントの相当する上昇を伴う。同様に、Chin.Y.ら(上掲)は、注入後2時間以内に、肺における111In標識TILの局在化が見られ、また24時間に、肺、肝臓および脾臓で、高レベルの放射能が確認されることを報告した。肺における放射能は、72時間後に低減したが、転移部位における111In標識TILの特異的局在化は認められなかった。最後に、Swift,R.I.ら(上掲)は、111In標識腫瘍活性化キラー(TAK)細胞は、肺では早くも4時間に、腹部では48時間にようやく、転移を示すが、肝臓画像は、正常な肝臓組織における細胞の高いバックグラウンドに起因すると考えられる、転移性病変に相当する「コールド」スポットを示すことを報告した。
【0041】
様々なリンパ球の静脈内投与を用いた一般所見とは違って、本発明者は、腹腔内に注入された、放射標識CTL調製物は、第1の画像で、識別できるパターンを実証し、それに続く数日間、精密化して、各患者に特有になることを発見した。腹膜からの移動は急速で、1時間でおよそ10%、98時間でおよそ30%である。放射標識CTL調製物は、腹腔内および腹腔外の、既知の腫瘍(CTスキャンによる)および腫瘍転移として以前に確認されなかった領域に局在していた。
【0042】
本発明の方法のまた他の実施形態では、該標識された抗原特異的Tリンパ球を該哺乳動物に投与するステップ(d)は、該リンパ球を静脈内に投与することを含む。有利には、このような実施形態では、該リンパ球を静脈内に投与することは、該複合糖質を投与しない該リンパ球の投与に比べてリンパ球のトラフィックが変化するような方法で、複合糖質を該哺乳動物に投与することをさらに含む。このように、2003年3月14日にWO 03/077864 A2として公告された、国際出願第PCT/US93/07834号(参照により、その全てを本明細書に組み入れる)は、細胞を、標的細胞に向ける方法を開示している。これらの方法の幾つかの実施形態は、同時または逐次的に、炭水化物提示分子(たとえば、複合糖質)および細胞を、該哺乳動物に投与するステップを含む。これらの方法では、複合糖質、特にアシアロ血漿タンパク質たとえばアシアロオロソムコイド(アシアロα−(1)−酸糖タンパク質)を含む、アシアロ複合糖質は、肝アシアロ糖タンパク受容体を一時的に結合し、その結果、それらの肝受容体により結合されるアシアロ決定基を担持する、リンパ球および特にCD4+細胞を含む細胞の結合を、競合的に阻害すると考えられる。理論に束縛されることを望まない場合、本発明者は、低シアル化(hyposialylated)および脱シアル化(desialylated)されたタンパク質/複合糖質(アシアロ複合糖質とも呼ばれる)ならびに類似した決定基を担持する細胞は、肝アシアロ糖タンパク受容体への結合の結果として、肝臓内で結合される、すなわち「捕らえられる」と考える。アシアロ複合糖質による該受容体の占拠は、肝臓における、当該類似決定基を担持する細胞の封鎖を阻害する。したがって、本発明の方法において、抗原特異的Tリンパ球、特にCD4+リンパ球の静脈内投与より前または投与と同時の、アシアロ複合糖質、たとえばアシアロオロソムコイドの投与は、このようなリンパ球が正常な肺組織および肝臓組織に蓄積するのを防止し、それによって、このような組織における標識細胞のバックグラウンドを低減し、これらの組織における、抗原担持細胞たとえば腫瘍細胞の検出を向上させる。加えて、上記PCT開示内容は、開示された発明の複合糖質が、注入された細胞が肺胞血管系に集中するのを防止することを示す。したがって、抗原特異的Tリンパ球、特にCD4+リンパ球の静脈内投与前の、または静脈内投与と同時の、シアロ複合糖質たとえばオロソムコイドの投与もまた、このようなリンパ球が正常な肺組織に蓄積するのを防止し、その結果、肝臓および脾臓への細胞送達を増強しながら、この組織における標識細胞のバックグラウンドを減少させる。
【0043】
別の態様において、本発明は、該細胞特異的抗原が腫瘍特異的抗原である細胞特異的抗原を、検出し、定位する方法を提供する。有利には、該抗原は、ヒトムチン1(MUC−1)などの腫瘍特異的ムチンであり、また該ペプチド免疫原は、MUC−1のエピトープを提示する。MUC−1(MUC1とも呼ばれる)は、乳房、肺、膵臓、前立腺、胃、結腸、および卵巣を含む、全ての腺癌の90%で過剰に発現される上皮ムチン糖タンパク質である。有利には、MUC−1のエピトープを提示する免疫原性ペプチドを使用する本発明の方法は、MUC−1エピトープを担持する細胞に対してMHC非制限的細胞障害性を示すCD4+リンパ球を包含するT細胞を提供する。一例として、Magarian−Blander,J.ら(上掲)は、MUC−1上の腫瘍特異的ペプチドエピトープのMHC非制限的TCR認識について論じている。さらに、Wright S.E.ら(上掲)は、MUC1ムチンペプチドは、腺癌に罹患したヒト由来の末梢血単核細胞(PBMC)中の細胞障害性Tリンパ球(CTL)を刺激することを開示している。そして、ペプチド刺激T細胞は、非特異的(抗CD3またはIL−2)刺激により誘導されなかった、細胞障害性細胞の発現を示した。さらに、これらの著者は、該ムチン・ペプチド刺激細胞系の細胞障害性は、非HLA制限的(すなわち、MHC非制限的)であることを報告した。MHC非制限的細胞障害性を示す抗原特異的Tリンパ球を提供する免疫原を使用することの利点は、MHCバックグラウンドに関係なく、任意の患者に由来する抗原特異的Tリンパ球を生じさせるために、1つのこのような免疫原を本発明で使用できることである。
【0044】
Magarian−Blander,J.ら、およびその中に引用されている参考文献で開示されている通り、Ag特異的MHC非制限的認識の他の例も記載されている。たとえば、関節リウマチ患者の滑液、および結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の免疫をもつマウスから、マイコバクテリウムのAgに特異的なMHC非制限的T細胞が単離されている。AgたとえばB細胞腫瘍上のIg Ids、ヘルペスウイルス糖タンパク質、および非ペプチド・プレニルピロリン酸に特異的なMHC非制限的T細胞もまた、単離されている。Ag特異的、MHC非制限的βT細胞はまた、複合タンパク質たとえばアビジンおよびミエリン塩基性タンパク質、ならびに非ペプチドAgたとえばヘモグロビンのヘム部分に関して記述されている。幾つかの研究は、MHC分子の非存在下でAgを認識することができるアルソネート特異的およびフルオレセイン特異的T細胞についても記述している。水疱性口内炎ウイルス核タンパク質に由来するグリコシル化ペプチド上の炭水化物部分に特異的な炭水化物特異的MHC非制限的T細胞もまた創出されている。
【0045】
有利には、本発明によるMUC−1を発現する細胞の定位の場合、該免疫原性ペプチドは、配列(従来の一文字コードで表現される):(配列番号:1)PDTRPを含むMUC−1配列の円形順列であるアミノ酸配列を含むMUC−1のエピトープを示す。有利には、該ペプチドは、アミノ酸配列(配列番号:2)GSTAPPAHGVTSAPDTRPAPを有する。抗原特異的T細胞応答を生じさせ、またアミノ酸配列STAPPAHGVTSAPDTRAPGSTAPP(配列番号.3)の約7〜約20アミノ酸の配列を含む、MUC−1ペプチドを含むがその限りではない、本発明で使用することができる他のMUC−1免疫原性ペプチドおよびそれらの誘導体は、他所で、たとえば、アグラワル(Agrawal)らに付与された米国特許第6,600,012号で、開示されている。
【0046】
さらに有利には、たとえば、本発明の方法が、アグラワル(Agrawal)らにより教示された通りに、(a)リポソーム封入ペプチド抗原を、複数の末梢血リンパ球と組み合わせて、抗原負荷抗原提示細胞を作り出すこと、(b)ナイーブT細胞またはアネルギー性T細胞を、上記抗原負荷抗原提示細胞と組み合せること、および(c)活性化T細胞を、ステップ(b)の組合せから単離すること、を含む方法を用いて生じさせた活性化T細胞を使用するとき、本発明の方法で使用される該免疫原性ペプチドは、リポソームに封入されたペプチド、または脂質部分で共有結合的に修飾されているMUC−1ペプチドである。
【0047】
本発明によるリンパ球の検出に使用される標識は、哺乳動物の体内で細胞を検出する技術分野で公知の任意の標識であってもよい。有利には、該標識は、γエミッタ、ポジトロンエミッタ、磁性材料、密度ベースの造影剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される。該標識がγエミッタであるとき、該標識は、インジウム−111、テクネチウム−99m、テクネチウム−99、ヨウ素−123、およびそれらの混合物からなる群から選択することが可能である。有利には、該標識は、一般的には、インジウムオキシンの形のインジウム−111である。
【0048】
本発明の方法における標識されたリンパ球を定位するための画像化技術は、もちろん、標識の性質に応じて、ラジオイメージング、磁気共鳴画像法、ポジトロン放出断層画像法およびX線コンピュータ断層画像法からなる群から選択することが可能である。さらに、該画像化は、シングルスキャンまたは連続スキャンで実施することが可能である。有利には、本発明の方法で使用される画像化は、該哺乳動物の全身スキャンを含む。
【0049】
幾つかの実施形態では、画像化は、少なくとも2つの別々のスキャンを含み、各別々のスキャンは、ラジオイメージング、磁気共鳴画像法(MRI)、ポジトロン放出断層(PET)およびX線コンピュータ断層(CT)画像法からなる群から選択される。有利には、このような実施形態では、2つ以上の別々のスキャンにより得られる画像化データを、たとえば、マルチプルスキャンによるデータを単一表示画像に融合する処理によって、比較する。たとえば、1988年4月5日発行の、ゴールデンバーグ(Goldenberg)に付与された米国特許第4,735,210号は、リンパ系造影法、器官画像化方法、およびキット、特に、特異的抗体造影剤を用いて作成された陽画像から、グロス(gross)造影剤を使用して作成された陰画像を減ずることを含む、リンパ管シンチグラフィーまたは磁気共鳴リンパ系造影法のための改良された方法を開示している。つい最近、2002年12月3日発行の、タウンゼンド(Townsend)らに付与された米国特許第6,490,476号は、内臓の運動に起因する配置調整、スキャナベッド特徴の変動、およびスキャンに対する患者の位置の問題を解決する、1つの装置でCT画像およびPET画像を連続的に獲得するための、PETおよびX線CT併用断層写真およびその使用方法を教示している。該断層写真は、体外マーカーまたは体内標識を使用せずに、正確に同時記録された機能的および解剖学的画像を獲得する。
【0050】
発明の詳細な説明
本発明の1つの目的は、標準画像化技術で現在可能であるより早く、より小さい腫瘍を検出すること、ならびに最初の原発腫瘍が容易に発見されない腫瘍を発見することである。もう1つの利益は、該患者に最適なケアプランを考案して、不必要な外科手術を回避できるように、再発がより正確に段階づけられることである。この技術を使用すれば、MRI、CT、PET、および臨床検査等の所見を検証することができる。
【0051】
したがって、一態様において、本発明は、ヒトなどの哺乳動物で、細胞特異的抗原を検出し、定位する方法であって、(a)末梢血単核細胞を該哺乳動物から入手するステップ、(b)末梢血単核細胞中のTリンパ球が抗原特異的活性化を受ける(その結果、該細胞特異的抗原に結合する抗原特異的Tリンパ球を産生する)条件で、該末梢血単核細胞を、該細胞特異的抗原の免疫原性エピトープを提示する免疫原性ペプチドに暴露するステップ、(c)画像化により検出可能な標識で、該抗原特異的Tリンパ球を標識するステップ、(d)該標識された抗原特異的Tリンパ球を、該哺乳動物に投与するステップ、および(e)画像化により、哺乳動物における該標識抗原特異的Tリンパ球の分布を確定し、それによって該哺乳動物における細胞特異的抗原を検出し、定位するステップ、を含む方法を提供する。この方法は、ヒト被検者、とりわけ、細胞性抗原、たとえば腫瘍特異的抗原の異常な発現を含む疾患または状態を有する患者で、特に有用である。
【0052】
1.活性化抗原特異的Tリンパ球
本発明で使用するための、該哺乳動物からの末梢血単核細胞(PBMC)の獲得は、一般に、当該技術分野で公知の任意の従来の方法で実施される。たとえば、「バフィーコート」は、末梢血リンパ球を他成分から分離するためのフィコール・ハイパック(Ficoll−Hypaque)勾配遠心法等の方法を使用して、末梢血サンプルから回収される。たとえば、免疫学における最新プロトコール(CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(John E.Coligan編、John Wiley & Sons,NewYork,1991)の7.0.5から7.1.5ページ(参照により、本明細書に組み込む)に記載されている技術を参照されたい。
【0053】
本発明の方法は、特に、PBMC中のTリンパ球が、抗原特異的活性化を受ける(その結果、該細胞特異的抗原に結合する活性化された抗原特異的Tリンパ球を生じる)条件で、該PBMCを、該細胞特異的抗原の免疫原性エピトープを提示する免疫原性ペプチドに暴露することにより、該哺乳動物由来のPBMC中の抗原特異的T細胞を活性化することをさらに含む。本明細書で使用されるとき、「活性化された」Tリンパ球またはT細胞は、有糸分裂および/または細胞分裂を経験している。活性化Tリンパ球は、Tヘルパー(TH)細胞または細胞障害性T細胞(細胞障害性Tリンパ球(CTLまたはTC))であってもよい。ナイーブT細胞の活性化は、このような細胞を、抗原提示細胞(APC)(抗原/MHC複合体を含む)およびIL−1、IL−2、IL−12、IL−13、γ−IFN、および類似のリンホカイン類等の分子に暴露することにより開始することが可能である。抗原/MHC複合体は、該T細胞の表面上の受容体(T細胞受容体(TCR))と相互に作用する。Golubら編、免疫学:合成、2章「T細胞受容体」(1991年)(Immunology:a Synthesis,Chapter 2:“TheT-cellReceptor”(1991))。したがって、本発明の方法の幾つかの実施形態では、該末梢血単核細胞を免疫原性ペプチドに暴露するステップ(b)は、T細胞の活性化を促進するために、インターロイキン−2(IL−2)の存在下で実施される。
【0054】
有利には、該末梢血単核細胞(PBMC)を、該免疫原性ペプチドに暴露するステップ(b)は、該標識された抗原特異的Tリンパ球が、該哺乳動物に投与されるステップ(d)の前に、さらなる細胞を該PBMCに加えることなく、該ペプチドの無細胞調製物を、該末梢血単核細胞に加えることにより実施される。したがって、たとえば、抗原提示細胞(APC)の役割をする末梢血白血球(PBL)で、ナイーブT細胞を活性化することにより、MUC−1ペプチド特異的、活性化CD4+およびCD8+T細胞集団を、in vitroで生じさせた、アグラワル(Agrawal)らに付与された米国特許第6,600,012号で以前に開示されたT細胞活性化方法とは違って、本発明は、好都合なことに、腫瘍特異的抗原を発現している被検者のPBMC中のTリンパ球前駆体を使用することにより、抗原提示細胞を必要としない。したがって、理論に束縛されなくても、本発明者は、腫瘍特異的抗原、特にMUC−1腫瘍抗原を発現している被検者のPBMCは、その抗原の免疫原性ペプチドエピトープに直接暴露することによって活性化されて、該腫瘍抗原に少なくとも結合することができる抗原特異的Tリンパ球の前駆体を含み、該ペプチドを提示するためのAPCを必要としないと考える。たとえば、腫瘍特異的抗原を発現している被検者のPBMC中のTリンパ球は、腫瘍特異的抗原を発現する宿主内で、「初回抗原刺激」を経験した可能性がある。本明細書では、「初回抗原刺激」は、結果的に活性化および/または記憶を生じさせる方法で、動物(ヒトを含む)または培養細胞を抗原に暴露することを意味するために使用される。標的抗原に対するCD4+およびCD8+T細胞応答の発生は、通例、自然感染または意図的な免疫化のいずれかによるin vivo初回抗原刺激に依存する。いずれにしても、本発明の方法の臨床試験において、活性化抗原特異的Tリンパ球を産生する詳細な臨床プロトコールは、以下の実施例1で紹介する。
【0055】
あるいは、本発明の方法で使用される活性化抗原特異的Tリンパ球は、該細胞特異的抗原に暴露されたことがないナイーブT細胞を、抗原を負荷した、特に標的細胞特異的抗原のペプチドエピトープ、またはこのようなペプチドエピトープの免疫原性誘導体を負荷した、APCにin vitro暴露することによる活性化によって、産生することができる。たとえば、該APCは、アグラワル(Agrawal)らに付与された米国特許第6,600,012号に記載の通りに、別の培養で、リポソーム封入ペプチド抗原が予め負荷され、次いでPBMC由来のナイーブT細胞の培養に添加されたPBLであってもよい。
【0056】
また本発明で好都合なことは、細胞特異的抗原を発現する細胞に対して細胞溶解性である抗原特異的Tリンパ球の使用である。したがって、細胞溶解性(または、より一般的には、細胞障害性)T細胞(CTL)は、非細胞溶解性抗原特異的T細胞より効果的に、標的細胞特異的抗原を担持する細胞に結合することが可能である、しかし、養子免疫療法利用とは異なり、本診断方法は、抗原を担持する標的細胞を効果的に死滅させることができるT細胞を絶対に必要するとは限らない。したがって、本発明の方法の該活性化抗原特異的T細胞は、CD4+リンパ球またはCD8+リンパ球またはそれらの混合物を含んでもよい。本発明の方法の活性化抗原特異的細胞はまた、メモリーT細胞、特にCD45RO+メモリーT細胞も含んでもよい。本明細書で使用される場合、「記憶表現型」T細胞としても知られる「メモリーT細胞」は、以前にペプチド抗原に遭遇したことがあるが、現在は休止していて活性化され得る、Tリンパ球群を示すために使用される。メモリーT細胞は、抗原に暴露されたことがあり、その後、刺激性抗原が存在せずに、体内で長期間生き続けるT細胞である。しかし、これらのメモリーT細胞は、「リコール」抗原に応答する。ペプチド抗原に対するナイーブT細胞応答と比較するとき、概して、メモリーT細胞は、「リコール」抗原により敏感である。記憶細胞は、ある種の細胞表面抗原、たとえば、分化したT細胞用のマーカーであるCD45R0、CD58、CD11α、CD29、CD44およびCD26の存在によって認識される。メモリーT細胞は、当業者に周知の技術で単離される。たとえば、簡単に記載すると、全T細胞集団を単離し、続いて抗CD45R0、抗CD44または抗CD26モノクローナル抗体を使用して、蛍光活性細胞分類(FACS)を行う。Hollsbergら、Cellular Immunology 149:170(1993);Brunoら、Immunity 2:37(1995);およびJ Immunol.150(パート1):3119(1993)を参照されたい。
【0057】
PBMC由来のT細胞を、無細胞抗原、たとえば該標的抗原のエピトープを提示するポリペプチドまたはペプチドに暴露することにより、本発明に従って抗原特異的Tリンパ球を生じさせるための本発明の方法のもう1つの利点は、このような抗原特異的Tリンパ球がごく少量のナチュラルキラー(NK)細胞(たとえば、CD3−、CD8−、CD56+表現型を有する細胞のパーセンテージで示すとき、たとえば、約10%未満、好ましくは約6%未満、より好ましくは約3%未満)を含んでもよいことである。たとえば、Wright S.E.ら、J Immunother.23:2−10(2000)は、活性化調製物中の全細胞の3〜6%が、上記NK表現型を示すことを報告した。さらに、本発明の方法に従って生じさせた抗原特異的T細胞は、活性化後、少なくとも数ヶ月間、凍結保存することができ、その結果、たとえば、数週間または数ヶ月間にわたる処置の治療経過を追跡するために、同一患者で抗原を多回定位するための再現可能な標識条件および画像化条件のために、均質なT細胞源が提供される。
【0058】
2.活性化Tリンパ球の投与
幾つかの実施形態では、好都合なことに、該標識された抗原特異的Tリンパ球を該哺乳動物に投与するステップ(d)は、該哺乳動物における、該標識された抗原特異的Tリンパ球の分布を確定するステップ(e)を実施する前に、該Tリンパ球と共に、またはその後、サイトカイン類、特にIL−2を該哺乳動物に投与せずに実施される。あるいは、in vivoサイトカイン支援を必要とする、T細胞たとえばTIL、LAKまたはNK(が、TAKは違う)細胞を用いた養子免疫療法の場合と同様に、抗原特異的リンパ球の投与と同時におよび/または抗原特異的リンパ球が投与された後で、サイトカイン類、特にIL−2の投与が含まれてもよい。たとえば、Pockaj,B.A.ら(上掲)は、高用量IL−2およびTILの投与を受けている転移性黒色腫患者における、インターロイキン−2(IL−2)培養腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入を開示している。
【0059】
該哺乳動物への該標識リンパ球の投与は、たとえば、注射、注入、付着、移植、経口摂取または局所投与を含む、様々な方法で行うことができる。好ましくは、投与は、注射による。注射は、たとえば、静脈内、皮内、皮下、筋内または腹腔内であってもよい。本発明の方法の幾つかの実施形態では、該標識された抗原特異的Tリンパ球を該哺乳動物に投与するステップ(d)は、有利には、該リンパ球を腹腔内に投与することを含む。したがって、Phillips、C.A.ら(上掲)に記載されているように、腫瘍ムチンペプチドに接触して刺激された該養子移入CTL調製物の遊走パターンは、静脈内に投与された場合と、腹腔内に投与された場合とでは非常に異なる。
【0060】
本発明による、乳癌患者における、静脈内投与されたCTL調製物の生体内分布は、インジウムオキシン白血球スキャンの特色を示していた。たとえば、Reynolds,C.W.ら(上掲)は、標識されたLGLまたはT細胞を正常なレシピエントに静脈内接種した後、放射能の大部分(18〜33%)は、数分内に、肺内に回収されたことを教示している。肺内の放射能のレベル低下は、脾臓および肝臓におけるカウントの相当する上昇を伴う。同様に、Chin.Y.ら(上掲)は、注入後2時間以内に、肺における111In標識TILの局在化が見られ、また24時間で、肺、肝臓および脾臓で、高レベルの放射能が確認されることを報告した。肺における放射能は、72時間後に低減したが、転移部位における111In標識TILの特異的局在化は認められなかった。最後に、Swift,R.I.ら(上掲)は、111In標識腫瘍活性化キラー(TAK)細胞は、肺では早くも4時間に、腹部では48時間にようやく、転移を示すが、肝臓画像は、正常な肝臓組織における細胞の高いバックグラウンドに起因すると考えられる、転移性病変に相当する「コールド」スポットを示すことを報告した。
【0061】
様々なリンパ球の静脈内投与を用いた一般的な所見とは違って、本発明者は、腹腔内に注入された、放射標識CTL調製物は、第1の画像で、識別できるパターンを実証し、それに続く数日間、精密化して、各患者に特有になることを発見した。腹膜からの移動は急速で、1時間でおよそ10%、98時間でおよそ30%である。放射標識CTL調製物は、腹腔内および腹腔外の、既知の腫瘍(CTスキャンによる)および腫瘍転移として以前に確認されなかった領域に局在していた。
【0062】
したがって、本発明による活性化リンパ球の腹腔内投与は、標的細胞抗原を発現している腹腔内組織塊、たとえば腫瘍特異的抗原を発現している転移を有する、癌患者、特に卵巣癌患者等の被検者に特に有用であるが、これに制限されるものではない。たとえば、本発明の方法は、他の方法では非侵襲的に検出することができないほど小さいかもしれない転移でさえも同定するために、腹腔内外科手術の前に使用することができ、化学療法を開始する前の外科手術後フォローアップ評価中、および化学療法中または一連の化学療法後に、小さくても残存する腫瘍塊の応答の欠如に基づいて、該介入の効果を評価し、またさらなるまたは異なる治療モダリティの必要性を指示することができる。
【0063】
本発明の方法のまた他の実施形態では、該標識された抗原特異的Tリンパ球を上記哺乳動物に投与するステップ(d)は、該リンパ球を静脈内に投与することを含む。有利には、このような実施形態で、該リンパ球を静脈内に投与することは、該複合糖質を投与しない該リンパ球の投与に比べてリンパ球のトラフィックが変化するような方法で、複合糖質を該哺乳動物に投与することをさらに含む。このように、2003年3月14日にWO 03/077864 A2として公告された、国際出願第PCT/US93/07834号(参照により、その全てを本明細書に組み入れる)は、細胞を、標的細胞に向ける方法を開示している。
【0064】
本発明での使用に適当な複合糖質は、一般に、一般式P−(S)x−Gal(式中、Pは、ヒト血清糖タンパク質のペプチド残基であり、Sは、ヒト血清糖タンパク質の糖残基であり、xは、1〜100の整数であり、Galは、ガラクトース残基である)で表される。該複合糖質は、部分的にまたは完全にアシアリル化されていてもよい。特に有用な複合糖質としては、フェチュイン類、アシアロフェチュイン類、オロソムコイド類およびアシアロオロソムコイド類などがある。
【0065】
該複合糖質は、該抗原特異的細胞の投与を基準にして任意の時間枠内に、該哺乳動物に投与することが可能である。該複合糖質は、該細胞の投与前、投与後、または投与と同時に、投与してもよい。代表的な実施形態では、該複合糖質は、該細胞より前に投与される。任意の適当な経路で投与することが可能である。好ましい実施形態では、該複合糖質は、哺乳動物に、非経口的に、さらに好ましくは静脈内に、投与される。したがって、本発明の方法では、抗原特異的Tリンパ球、特にCD4+リンパ球の静脈内投与より前の、または静脈内投与と同時の、アシアロ複合糖質、たとえばアシアロオロソムコイドの投与は、このようなリンパ球が、正常な肺および肝臓組織に蓄積するのを防止する。さらに、本発明による抗原特異的Tリンパ球、特にCD4+リンパ球の静脈内投与より前、または静脈内投与と同時の、シアロ複合糖質、たとえばオロソムコイドの投与もまた、このようなリンパ球が正常な肺および肝臓組織に蓄積するのを防止し、同時に細胞の送達を増進する。
【0066】
3.免疫原性エピトープおよび抗原
別の態様において、本発明は、該細胞特異的抗原が腫瘍特異的抗原である細胞特異的抗原を検出し、定位するための方法を提供する。有利には、該抗原は、腫瘍特異的ムチンたとえばヒトムチン1(MUC−1)であり、また該ペプチド免疫原は、MUC−1のエピトープを提示する。MUC−1(MUC1とも呼ばれる)は、乳房、肺、膵臓、前立腺、胃、結腸、および卵巣を含む、全ての腺癌の90%で過剰に発現される上皮ムチン糖タンパク質である。有利には、MUC−1のエピトープをを提示する免疫原性ペプチドを使用する本発明の方法は、MUC−1エピトープを担持する細胞に対してMHC非制限的細胞障害性を示すCD4+リンパ球を包含するT細胞を提供する。一例として、Magarian−Blander,J.ら(上掲)は、MUC−1上の腫瘍特異的ペプチドエピトープのMHC非制限的TCR認識について論じている。さらに、Wright S.E.ら(上掲)は、MUC1ムチンペプチドは、腺癌に罹患したヒト由来の末梢血単核細胞(PBMC)中の細胞障害性Tリンパ球(CTL)を刺激することを開示している。そして、ペプチド刺激T細胞は、非特異的(抗CD3またはIL−2)刺激により誘導されなかった、細胞障害性細胞の発現を示した。さらに、これらの著者は、該ムチン・ペプチド刺激細胞系の細胞障害性は、非HLA制限的(すなわち、MHC非制限的)であることを報告した。MHC非制限的細胞障害性を示す抗原特異的Tリンパ球を提供する免疫原を使用することの利点は、MHCバックグラウンドに関係なく、任意の患者に由来する抗原特異的Tリンパ球を生じさせるために、1つのこのような免疫原を本発明で使用できることである。
【0067】
有利には、本発明によるMUC−1を発現する細胞の定位の場合、該免疫原性ペプチドは、配列(従来の一文字コードで表現される):(配列番号:1)PDTRPを含むMUC−1配列の円形順列であるアミノ酸配列を含むMUC−1のエピトープを示す。有利には、該免疫原性ペプチドは、アミノ酸配列(配列番号:2)GSTAPPAHGVTSAPDTRPAPを有する。本発明で使用することができる他のMUC−1免疫原性ペプチドおよびそれらの誘導体は、他所で、たとえば、アグラワル(Agrawal)らに付与された米国特許第6,600,012号、およびMUC1、または癌ワクチンに含まれ得る、本方法で癌患者に使用される他の癌ペプチドによく似たペプチドを開示している、2002年2月5日発行の、Sandrinらに付与された米国特許第6,344,203号で、開示されている。
【0068】
Magarian−Blander,J.ら、およびその中に引用されている参考文献で開示されている通り、Ag特異的MHC非制限的認識の他の例も記載されている。たとえば、関節リウマチ患者の滑液、および結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の免疫をもつマウスから、マイコバクテリウムのAgに特異的なMHC非制限的T細胞が単離されている。AgたとえばB細胞腫瘍上のIg Ids、ヘルペスウイルス糖タンパク質、および非ペプチド・プレニルピロリン酸に特異的なMHC非制限的T細胞もまた、単離されている。Ag特異的、MHC非制限的βT細胞はまた、複合タンパク質たとえばアビジンおよびミエリン塩基性タンパク質、ならびに非ペプチドAgたとえばヘモグロビンのヘム部分に関して記述されている。幾つかの研究は、MHC分子の非存在下でAgを認識することができるアルソネート特異的およびフルオレセイン特異的T細胞についても記述している。水疱性口内炎ウイルス核タンパク質に由来するグリコシル化ペプチド上の炭水化物部分に特異的な炭水化物特異的MHC非制限的T細胞もまた創出されている。
【0069】
a.一般的に有用な抗原
抗原特異的MHCクラスIIおよびクラスI制限的CD4+およびCD8+T細胞応答は、様々な病気に対する重要な宿主免疫応答である。したがって、特に関心があるのは、抗原特異的T細胞応答の発生である。本明細書で使用されるとき、「抗原特異的」T細胞応答は、他の刺激を用いた場合には明白でないペプチド、たとえば異なるアミノ酸配列を有するペプチド(対照ペプチド)等の、所与の抗原性刺激に対するT細胞応答(増殖性、細胞障害性、サイトカイン分泌)である。T細胞の応答性は、CD25およびCD69を含むがその限りではないT細胞活性化に特有である、細胞表面分子の出現を評価することにより測定される。このようなアッセイは当該技術分野で公知である。
【0070】
本方法は、概して、非常に様々な抗原に適用される。これらの抗原は、T細胞特異的免疫応答を引き出すことができれば、ほとんどどんな化学構造のものであってもよく、少なくとも1つのT細胞特異的エピトープを含むことができる。代表的な抗原は、ペプチド、炭水化物、脂質、および特にそれらの組合せに由来してもよい。特に重要な抗原は、ペプチド、リポペプチドおよびグリコペプチドである。イディオタイプ抗原および抗イディオタイプ抗原が特に含まれる。
【0071】
主題の方法を使用することが極めて有利と考えられる抗原としては、腫瘍抗原などがある。腫瘍抗原は、通例、腫瘍の存在と相関関係がある固有の抗原または外来抗原である。腫瘍抗原は、異常組織を正常組織と識別する際に有用であるため、診断の場合のみならず、治療的介入の標的としても、有用である。したがって、腫瘍抗原に対するT細胞特異的免疫応答を生じさせるための本方法の使用は、本発明の重要な態様である。
【0072】
腫瘍抗原は、当該技術分野で周知である。事実、幾つかの例が十分に特性決定されており、また、現在、腫瘍特異的治療法の創出に大きな関心が集まっている。腫瘍抗原の非限定的な例は、前述のムチン、たとえばMUC−1に加えて、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原(PSA)、黒色腫抗原(MAGE、BAGE、GAGE)である。
【0073】
MUC−1ムチン抗原は、多数の腺癌に対する免疫を生じさせるための潜在的な免疫療法標的として認識されてきた。したがって、本発明の一実施形態は、APCの表面上のクラスI分子およびクラスII分子のいずれかまたは両者に結合することができる「MUC−1誘導体」の、本発明の方法における使用に関する。「MUC−1誘導体」は、一般に、上記MUC−1ペプチドを含むがその限りではない、ペプチドであるかまたはペプチドを主成分とする。MUC−1誘導体は、MUC−1タンパク質の断片であってもよい。このような断片は、グリコシル化されていてもよく、またはグリコシル化されていなくてもよい。本発明に従えば、本発明の範囲内の断片は、プロテアーゼ、たとえばペプシンまたはパパインを用いた消化を含む方法を使用して、精製MUC−1または組換えDNA方法で生じさせたMUC−1から得られる。もちろん、MUC−1断片はまた、組換え方法で直接製造することもできる。加えて、本発明に包含されるMUC−1断片は、自動化ペプチドシンセサイザー、たとえばアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)、マルチプル・ペプチド・システムズ(Multiple Peptide Systems)等々により商業的に供給されるものを使用して合成することができ、または当該技術分野で周知の技術を使用して、手動で製造することも可能である。Geysenら、J.Immunol.Methods 102:259(1978)を参照されたい。本発明の方法で使用するのに適当なさらなるMUC−1誘導体は、アグラワル(Agrawal)ら(上掲)に記載されている。さらに、コア配列の1つ以上のアミノ酸は、好ましくは、当該技術分野で公知の保存的様式で、必要不可欠なT細胞活性化活性が維持されるように、変化していてもよい。代表的な置換は、下記のアミノ酸グループの間で行うことが可能である(a)G、A、V、LおよびI;(b)GおよびP;(c)S、C、T、M;(d)F、Y、およびW;(e)H、KおよびR;ならびに(f)D、E、N、およびQ。幾つかの好ましい置換は、下記のグループ間で行われる:(i)SおよびT;(ii)PおよびG;a(iii)A、V、LおよびI。
【0074】
上述の通り、これらの好ましいMUC−1誘導体は、当該技術分野で公知の方法に従って、グリコシル化または部分的にグリコシル化することが可能である。さらに、MUC−1およびMUC−1誘導体は、より大きい分子量のポリマー、たとえばポリエチレングルコール類で修飾できると考えられる。加えて、脂質修飾は、カプセル封入または該誘導体とリポソームとの相互作用を容易にすることが可能なため、好ましい。この目的に有用な代表的な脂質部分は、パルミトイル基、ミリストイル基、ステアロイル基およびデカノイル基、または、より一般的には、任意のC2〜C30飽和、一価不飽和または多価不飽和脂肪酸アシル基を含むがその限りではない。非ペプチド「擬似物」、すなわち、MUC−1タンパク質の1つ以上の機能的特徴によく似た化合物もまた、本発明とともに使用するのに適当なMUC−1誘導体の1例である。類似物は、概して水溶性、タンパク質分解抵抗性、かつ非免疫原性である。MUC−1によく似た、配座固定された環状有機ペプチドは、たとえば、Saragoviら、Science 253:792(1991)により記述された公知の方法で製造することができる。「MUC−1炭水化物誘導体」も考えられる。本明細書で使用されるとき、このような誘導体は、MUC−1誘導体の免疫刺激特性を保有するグリコペプチドである。このような炭水化物誘導体は、MUC−1タンパク質に付いている炭水化物の全部または一部を含んでもよい。MUC−1炭水化物の少なくとも1つの特性を模倣した類似物も、使用することが可能である。
【0075】
当業者は、活性化T細胞を生じさせるために、他の抗原を使用してもよいことが分かるであろう。このような抗原の例としては、非自己(外来の)ペプチド抗原、およびウイルス、腫瘍、細菌または他の寄生虫に由来するペプチド抗原などがあるが、この限りではない。
【0076】
b.他の有用な抗原の同定
本方法で有用な完全な抗原は、様々なT細胞応答を測定するための認められている方法論を使用して同定することができるが、特定のエピトープと関連した、より特異的な応答を生じさせることは興味深い。この手法は、はるかに小さい、したがってより経済的に産生される抗原性刺激の使用を可能にする。したがって、好ましい抗原は、小さい分子、一般的には、およそ約100アミノ酸未満、通例は約60アミノ酸未満の、ペプチドまたはペプチド誘導体である。
【0077】
当該技術分野で公知の方法によれば、いったん自然のままの(大きい)抗原が同定されると、さらに、その抗原性を1つまたは数個の特異的エピトープに絞り込むことができる。伝統的な一方法は、より小さい抗原を得るために、該大きい抗原のタンパク質分解処理を含む。加えて、タンパク質抗原の断片は、組換えDNA技術で作り出して、特定のエピトープを同定するためにアッセイすることができる。さらに、小さいペプチドは、in vitro合成法で作り出して、アッセイすることができる。無傷の抗原の一部を作り、次いでそれらをアッセイするランダム・アプローチに代わるものとして、より生物学的に適切なアプローチが可能である。具体的に記載すると、MHCクラスIおよび/またはクラスII分子に結合する抗原断片は、特に重要であるため、1つの代表的なアプローチは、該MHC分子自身を単離し、次いでそれらと関連したペプチドを単離することである。概して、この方法は、腫瘍抗原の特に有用なエピトープをさらに明確にする際に役立つ。
【0078】
代表的な方法では、当該抗原を発現している原発腫瘍細胞または細胞系が提供される。加えて、食作用を有する抗原提示細胞(または任意のAPC)、たとえばマクロファージは、大きい抗原(またはそれらの一部)を食べ物とすることができ、したがってこれらの方法の出発材料の役割をすることが、理解されるであろう。該MHCクラスIまたはクラスII分子は、公知の方法、たとえば抗体アフィニティ(MHC特異的抗体s)およびクロマトグラフィー技術を使用して、これらの出発細胞から単離することができる。次いで、単離されたMHC分子は、結合しているペプチドを放出するように処理される。これは、結合しているペプチドと該MHC分子との間の相互作用を分断させる薬剤、たとえば、デタージェント、尿素塩化グアニジウム、二価陽イオン、様々な塩類および極端なpHによる処理によって達成される。放出された該ペプチドは、従来のクロマトグラフィーおよび抗体アフィニティ(抗原特異的抗体を使用)方法論を使用して、さらに精製することができる。精製されたペプチドは、次には、たとえばペプチドシークエンシング、ガスクロマトグラフィおよび/または質量分析法を使用して、配列決定および構造決定に付される。この方法で、クラスIおよび/またはクラスII分子と関連した、最も一般的なペプチドエピトープの配列/構造を決定することが可能である。この配列/構造情報の提供を受けて、上述の通りに、決定された配列の並べ替えを行い、公知のT細胞アッセイを使用して、アッセイすることができる。
【0079】
4.細胞標識および画像化
本発明によるリンパ球の検出に使用される標識は、哺乳動物の体内の細胞を検出に関する技術分野で周知の、いかなる標識であってもよい。都合がよいことに、本明細書に引用されている参考文献に記載されている、当該技術分野で周知の従来の方法を使用して、リンパ球を直接標識するために、一般に、インジウムオキシンの形の、インジウム−111が使用される。しかし、哺乳動物の体内の細胞を画像化するために知られている様々な他の放射標識に基づく方法、たとえば、Anders,G.T.ら(上掲)に開示されている、SPECTによるガリウム−67検出、Korf,J.ら(上掲)に開示されている、PETまたはSPECTを使用する二価コバルト検出、またはたとえば、細胞膜を放射標識するための(アミノスチリル)ピリジニウム化合物、ヨウ素の放射性同位元素、すなわち、123I、125I、または131I;または、Lambertら(上掲)により教示されている、ポリカルボン酸でキレート化された、1当量の金属放射性同位元素たとえば111Inまたは99mTcを含むキレート基も使用することができる。
【0080】
あるいは、本発明の方法で使用される活性化T細胞は、標識されたリガンドがリンパ球とin vivoで相互に作用するように、リンパ球と特異的に相互に作用することができる標識されたリガンドが哺乳動物に投与され、結果として標識されたリンパ球が生じるか、または、該標識されたリガンドを、リンパ球とin vitroで接触させ、結果として生じた標識されたリンパ球が該哺乳動物に投与される、Rubinら(上掲)による教示通り、活性化T細胞に特異的に結合する標識されたリガンドを使用して、間接的に標識することが可能である。標識されたリガンドの標識は、たとえば、γエミッタ、たとえば、インジウム−111、テクネチウム−99m、テクネチウム−99またはヨウ素−123、ポジトロンエミッタ、たとえば、フッ素−18、炭素−11、またはヨウ素−124、磁性材料、たとえば、ガドリニウム、超常磁性物質、または水和酸化鉄粒子、または密度ベースの造影剤であってもよい。
【0081】
標識されたリンパ球の体内分布は、画像化技術によって確定される。画像化は、非侵襲的方法による、体内における該標識の分布の検出を意味する。本発明の方法で使用される画像化技術は、もちろん、標識の性質に応じて、ラジオイメージング、磁気共鳴画像法、ポジトロン放出断層画像法およびX線コンピュータ断層画像法からなる群から選択することが可能である。さらに、該画像化は、シングルスキャンで構成されても連続スキャンで構成されてもよく、また、該哺乳動物の全身スキャンであっても部分スキャンであってもよい。有利には、本発明の方法で使用される画像化は、該哺乳動物の全身スキャン、特に111In標識リンパ球のSPECT画像化を含む。
【0082】
好ましくは、該哺乳動物に投与される標識リンパ球の用量は、適量の放射能が投与されるように、被検者の全血約50〜約75cm3中に存在するリンパ球の量とほぼ等しい。放射能の量は、使用される同位元素によって異なり、また必要以上の実験をせずに、当業者が決定することができる。たとえば、一般に、約1.5〜約3.0mCi/投与のインジウム−111、約10〜約30mCi/投与のテクネチウム−99、約5〜約10mCi/投与のヨウ素−123、約5〜約10mCi/投与のヨウ素−124、約10〜約20mCi/投与のフッ素−18および約20〜約30mCi/投与の炭素−11を使用することが好ましい。ある実施形態では、標識リンパ球の多回投与を使用することができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、画像化は、少なくとも2つの別々のスキャンを含み、各別々のスキャンは、ラジオイメージング、磁気共鳴画像法(MRI)、ポジトロン放出断層(PET)およびX線コンピュータ断層(CT)画像法からなる群から選択される。有利には、このような実施形態では、2つ以上の別々のスキャンにより得られる画像化データを、たとえば、マルチプルスキャンによるデータを単一表示画像に融合する処理によって、比較する。たとえば、1988年4月5日発行の、ゴールデンバーグ(Goldenberg)に付与された米国特許第4,735,210号は、リンパ系造影法、器官画像化方法、およびキット、特に、特異的抗体造影剤を用いて作成された陽画像から、グロス(gross)造影剤を使用して作成された陰画像を減ずることを含む、リンパ管シンチグラフィーまたは磁気共鳴リンパ系造影法のための改良された方法を開示している。
【0084】
つい最近、2002年12月3日発行の、タウンゼンド(Townsend)らに付与された米国特許第6,490,476号は、内臓の運動に起因する配置調整、スキャナベッド特徴の変動、およびスキャンに対する患者の位置の問題を解決する、1つの装置でCT画像およびPET画像を連続的に獲得するための、PETおよびX線CT併用断層写真およびその使用方法を教示している。該断層写真は、体外マーカーまたは体内標識を使用せずに、正確に同時記録された機能的および解剖学的画像を獲得する。
【0085】
標識リンパ球の投与後、スキャンのタイミングは、分、時間、日、週または月であってもよい。個々のタイミングは、多くの因子、たとえば、標識のタイプ、標識の量、リンパ球の挙動および疾患状態によって左右される。該タイミングは、このような因子を使用し、また所定内の実験を使用して、当業者が決定できる。
【0086】
5.本発明の方法の用途
上述の用途に加えて、本発明の方法は、疾患の進行を、細胞特異的抗原または病原体特異的抗原の分布の変化によって確定することができる、哺乳動物における疾患の進行の程度を診断するために使用することができる。たとえば、該疾患は、ウイルス感染、たとえば、HIV感染、または他の感染性疾患、自己免疫疾患、たとえば、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、または乾癬、または悪性腫瘍、たとえば、骨髄腫、リンパ腫、白血病または上述の腫瘍を含む充実性腫瘍であってもよい。該方法は、このような疾患で発現される冒された細胞特異的抗原または病原体特異的抗原の免疫原性ペプチドエピトープにより活性化され得るリンパ球を有する哺乳動物で使用することができる。該疾患の進行の程度を診断するために、標識リンパ球の分布またはトラフィックパターンを、異なる時に同一哺乳動物で、または疾患に罹っていない別の哺乳動物で生じた、標準と比較する。本発明は、本発明の方法の活性化Tリンパ球を使用する養子免疫療法を含む、免疫調節治療が有用かもしれない疾患に、特に有用である。
【0087】
本発明の別の態様は、疾患を有する哺乳動物で、治療に対する応答をモニターする方法である。処置ステップに対する哺乳動物の応答は、該治療が、活性化抗原特異的リンパ球の分布またはトラフィックパターンを変えるかどうかを画像化で確定することにより、モニターされる。
【0088】
本発明の別の態様は、薬剤が、活性化抗原特異的リンパ球の分布またはトラフィックパターンを変えるかどうかを画像化で確定することにより、疾患、たとえばHIV感染、自己免疫疾患、感染性疾患、または悪性腫瘍を有する哺乳動物の処置に有用な薬剤を同定する方法である。
【実施例】
【0089】
実施例1
活性化Tリンパ球を、活性化して採取する臨床手順
CTL生成標準操作手順
第0日:患者のアフェレーシス・バッグおよびネームラベル、ならびに特別の密封管状物に入ったサンプルを、コーヒー・ブラド・センター(Coffee Blood Center)から受け取る。これを、CBC(完全血球算定)のためにHCCに運ばれる、スナップキャップ型バイアルに放出する。アフェレーシスバッグの容量を書き留める。患者ラベルを培養バッグに付け、治験番号−患者番号−アフェレーシス4を記入したラベルを付けた。もう1つの患者ノートは、初回アフェレーシスから開始される。全ての関連データ、情報およびこの検査室で行われた結果は、このノートに記録される。
【0090】
十分なAIM−V培地を、2〜3リットルの37℃水浴で温める。オティリ・フレッシュ1(Otily fresh 1)未開封ビンを使用する。一度開封すると、そのビンは、その患者専用に指定される。アフェレーシスバッグからアフェレーシス産物を取り出しやすくするために、アフェレーシスバッグの容量を1000mlから差し引き、その容量のAIM−Vを培養バッグに移す。
【0091】
該培養バッグ上の適切なポートに、ルアー・ロック(luer−lock)60mlシリンジを取り付けることにより、AIM−V培地を培養バッグに移す。他の全てのポートは閉じている。次いで、トランスファー・チュービングを使用して、該アフェレーシスバッグと該培養バッグを突き通し、アフェレーシスバッグの中身を培養バッグに空ける。SEBRAヒートシーラーを使用して、該培養バッグにもっとも近いチュービングを4回シールする。培養バッグから3番目のシールの内側で、該チュービングを切断する。
【0092】
CRCからの白血球数を細胞数/mlとして使用し、アフェレーシスバッグの容量を乗じて、アフェレーシスバッグ内の(細胞総数)を決定する。この数値を1000mlで割ると、(培養バッグ中の細胞濃度)を与える。培養バッグの最大容量は2000mlである。細胞は、2×10^細胞/mlで開始されるため、必要な細胞の最大数は、4000×10(4×10^09)である。バッグ内の細胞総数が4×109を超えなければ、そのときは細胞を除去しない。細胞総数が4×109を超えれば、そのときは適切な容量を除去する。(バッグ中の細胞総数−4×109細胞が除去される)。(除去すべき細胞)を(培養バッグ中の細胞濃度)で割って、除去すべき容量を決定する。
【0093】
最初に、細胞を除去する必要がない場合:
プランジャを取り外してわずかに元に戻し、適切なバッグ・ポートに取り付けた、60mlルアー・ロック・シリンジを用いて、AM培地を培養バッグに移す。1リットル超を加える場合、こぼさないように気を付けて、AIM−Vのビン全部をシリンジ内に注ぎ込む(そのとき、ロートの役割をする)。1リットル未満を加える場合、滅菌して個別に包装された50mlピペットを使用して、該培地をビンからシリンジ/ロートに移すことができる。該培養バッグを、定期的に、前後左右に穏やかに揺り動かして、内容を混合する。
【0094】
最初に、細胞を除去する必要がある場合:
ルアー・ロック60mlシリンジを適切なポートに取り付け、そのプランジャを適所に置く。該培養バッグを、前後左右に穏やかに揺り動かして、内容を混合する。シリンジ・プランジャを引き上げて、該細胞懸濁液をシリンジ内に入れ、再度押し戻して、該細胞を混合する。これを1〜2回繰り返して、シリンジ内で十分に混合する。2回または3回解かした後、液面を、シリンジの45mlの印まで持ってくる。ポートをシリンジから取り外し、バッグの上にあげて閉じる。シリンジ内の懸濁液を50ml管に放出し、これを閉じる。該培養バッグのポートを、再び該シリンジに取り付け、必要量が除去されるまで、この工程を繰り返す。必要な50ml管の数は、除去される容量によって異なる。これらの細胞は、さらなる実験用に、バイアル内で、または、さらなる培養バッグ用に、まとめて、凍結させる。
【0095】
その後の細胞障害性およびサイトカインアッセイ用の、細胞および上澄の0日サンプルを提供するために、この時点で、サンプルを培養バッグから除去しなければならない。通常、40×106細胞が除去される。2×106細胞/mlで、これはおよそ20mlである。混合するためにバッグを穏やかに揺り動かすことを含め、余分な細胞を除去するときと同じ方法で、このサンプルを除去することができる。60mlシリンジの代わりに、30mlシリンジを使用することができる。除去された細胞は、50ml管に入れる。これらを400g(1200rpm)で10分間、回転させる。上澄6mlを保存し、ラベルを付けた1ml滅菌バイアル中に等分して、−20℃で凍結させる。残りの上澄は廃棄する。該細胞は凍結培地(ウシ胎仔血清+10%ジメチルスロキシド(Dimethysuloxide))4ml中に再懸濁して、濃度10×106細胞/mlとする。ラベルを付けた滅菌クリオバイアル3本のそれぞれに、1mlずつ等分した。凍結培地1mlを、残りの細胞懸濁液1mlに加え、5×106細胞/mlの濃度を実現し、ラベルを付けた滅菌クリオバイアル2本のそれぞれに、1mlずつ等分した。発泡スチロールのラックが入っている発泡スチロールの箱を、常に−85℃のフリーザー内で保存した。その後、−135℃のフリーザーに入れる翌日まで、全てのクリオバイアルをこの容器に入れる。これらのバイアルの位置(フリーザー・ラック、箱および配置)を、治験番号−患者番号−アフェレーシス番号、日付、インキュベーションの日、細胞数、容量およびフタの色(必要に応じて)と共に、3×5のカードに記入する。これらのカードは、臨床治験インベントリ・ボックス(Clinical Trial Inventory Box)に入れておく。
【0096】
次に、「ムチン」ペプチドおよびインターロイキン−2(IL−2)を該バッグに加える。両者の添加量は、バッグの容量によって異なるため、除去または添加するml数を、患者のノートに注意深く記録する。バッグ中の「ムチン」濃度は、1μg/mlである。「ムチン」の原液は、lμg/μlであり、そのため、該バッグに添加されるμl量は、バッグ内のml数に等しい。バッグ内の1−2サイトカイン濃度は、100IU/mlである。IL−2の原液濃度は異なる可能性があるため、必要なIU総数は、該バッグの容量(ml)×100IU/mlによって決定しなければならない。次いで。このIU総数を原液濃度で割って、必要なμl数を与える。ロートの役割をするシリンジと同じ手はずで、これらの両者を加えることができる。3.5mlシリンジまたは10mlシリンジを使用することができる。プランジャを取り外してからバッグ・ポートに取り付け、別々の、滅菌して個別に包装したマイクロピペット先端を使用して、「ムチン」およびIL−2を、できる限りシリンジの下方に加える。用時調製したAIM−V培地2m1を使用して、シリンジおよびバッグ・チュービングをすすぎ落とす。この2mlをバッグ総容量に加える。
【0097】
前と同様に、前後左右に揺り動かすことにより、バッグを穏やかに混合する。次いで、これを、CO25%の37℃インキュベーターに入れる。
【0098】
第3日:該バッグからサンプルを採取する前に、バッグを穏やかに揺り動かして混合しなければならない。10mlシリンジを使用し、数回引き出して押し戻した後、bringtheシリンジ内のレベルを1mlの印に持ってくる。ポートを上げて閉じた後、CBCに使用するために、このサンプルを非滅菌バイアルに入れてもよく、その後廃棄する。濃度が2×106細胞/mlより高ければ、培地を加えて濃度を下げなければならない。次いで40×106細胞を取り出し、第0日と同様に、その後のアッセイのために凍結させる。第0日と同様に、上澄6mlを、1ml/バイアルに等分し、−20℃で凍結させる。添加または除去した容量を記録しなければならない。前と同様に、必要な総IUを決定して原液濃度で割り、IL−2を加える。
【0099】
第7日:第3日と同様、CRCのために、バッグから1mlを採取する。細胞濃度を決定し、培地を加えなければならない。無菌性サンプル(13ml)をこの日に取り出す。バッグ容量の加算/減算を含め、第0日と同様に、「ムチン」ペプチドおよびIL−2を加える。
【0100】
無菌性:13mlを、8mlおよび5mlの、2つの部分に分ける。細胞および上澄のアリコート5mlを、マイクロ・テスト・インク(Micro Test,Inc.)M4−RT管(マルチ・マイクロ・メディア(Multi Micro Media))に入れる。この管に、治験番号−患者番号−アフェレーシス番号および日付を記入したラベルを付ける。これを、規定のバイオハザード・バッグのファスナーポケットに入れ、イエロー・フォームを後ろポケットに入れる。このバッグをHCCに持って行き、PCRマイコプラズマ検査のために、スペシャルティ・ラブズに翌日配達の発送品を集荷するよう、宅配便会社に電話をかける。結果を患者のノートに書き留める。
【0101】
8mlのアリコートを400g(1200rpm)で10分間、回転させる。治験番号−患者番号−アフェレーシス番号を記入したラベルを付けた滅菌試験管に、上澄をデカントする。別の滅菌試験管に、2mlを取る(ハーディ・ダイアグノスティックス TBS(HARDY Diagnostics TSB)およびフルイド・チオグリコレート管(Fluid Thioglycollate tube)用)。管内の、残りを、コールド・パックと共に発泡スチロールの箱に入れる。必要な用紙をコピーし、プラスチック製のジッパー・バッグに入れ、サンプルと共に封じる。LAL検査で内毒素レベルを測定するために、該箱を、翌日配達で、空輸によりバイオホイッタカー(Biowhittaker)に発送する。結果を、患者のノートに書き留める。
【0102】
先に取り除いた上澄2のうち1mlを、それぞれ、ラベルを貼ったTSBおよびフルイド・チオグリコレート管(Fluid Thioglycollate tube)の1つに嫌気的に接種する。これは、サンプルで満たした1mlピペットを、各管の底にそっと置くことによって行われる。次いで、ピペット内のサンプルをゆっくり押し出して、管の底に落ち着かせる。気泡が流体中に導入されないように、ピペットを注意深く撤収し、管をしっかり閉じる。各種の未接種管にも、他の管と同様に、ラベルを付ける。次いで、フルイド・チオグリコレート管(Fluid Thioglycollate tube)を34℃インキュベーターに入れ、フタを緩める。TSB管を、室温のキャビネットに入れる。3、7および14日間のインキュベーション後に、管を検査する。濁りの徴候は、細菌増殖を示す。結果を、患者のノートに書き留める。
【0103】
第8日:バッグを混合した後、十分な容量を除去して、細胞障害性およびサイトカインアッセイに十分な細胞および上澄を提供し、ならびに第0日と同様にサンプル(40×106)を凍結する。また、1mlを、グラム染色(Gram Stain)のためにBSAに出す滅菌管に移し、患者のラベルによって確認する。前日(第7日)の細胞数を使用して、細胞総数、および除去する必要がある容量を決定することができる。通例、XTTおよびアルマー・ブルー(Almar Blue)細胞障害性アッセイには、1×106細胞が必要である。該細胞を400g(1200rpm)で、通常は10分間、遠心分離し、少なくとも6mlの上澄を、1ml/バイアルで6つのバイアルに等分する。細胞障害性アッセイを、できるかぎり早く開始する(XTTおよびアルマー・ブルー(AlmarBlue)手順を参照)。サイトカインアッセイ(通例、γ−IFNおよびIL−10)を、できるかぎり早く開始する(サイトカイン手順を参照)。サイトカインアッセイの結果を6時間以内に入手し、注入基準を決定しなければならない。
【0104】
注入基準:サイトカインアッセイのいずれでも、第0日のサンプルより第8日のサンプルが統計学的に有意に上昇していることは、CTL産生の十分な証拠であり、グラム染色の結果が陰性である限り、注入に取りかかってもよい。いずれかのサイトカインアッセイで統計学的に有意な上昇がなければ、そのときは、翌日、XTTの結果がまとまるまで、注入を遅らせる。協議/承認のために、アッセイのデータをDr.Stephen Wrightに提供する。できる限り早くNancy Bladesに連絡をとり、注入の時期を決定する。細胞の採取および調製(採取手順を参照)には、2〜3時間を要する。
【0105】
CTL採取標準操作手順
いったん採取を開始したら、常に検査室に一人残る。
1)全ての溶液のロット番号および有効期限を、採取用紙(Harvest Form)に記録する。特に明記されていない限り、全ての手順を、層流フード内で実施する。全ての使用済みの用品は、バイオハザード廃棄物として処理する。
2)5mlシリンジを支持クランプに挿入する。培養バッグをインキュベーターから取り出し、前後左右に、穏やかに揺り動かして、混合する。バッグポート/フタを、アルコール・スワブで消毒する。フタを外し、アルコール・スワブの上に置き、ポートをシリンジに接続する。チュービング・クランプを緩め、生じる締め付けを減少させるようにチュービングを操作する。
a)プランジャを、該シリンジの全量までゆっくり引っ張ることにより、細胞懸濁液をシリンジ内に引き込む。プランジャゆっくり押し下げて、懸濁液をバッグに戻す。2回繰り返す。
b)プランジャを再度引き上げ、穏やかに、2mlの印まで下げる。
c)シリンジからはずし;ポートを上げて、液体をバッグ内に逆流させ、次いでポートにフタをする。チュービング・クランプを締める。
d)グラム染色のためにBSA・マイクロバイオロジ・ラボラトリ(BSA Microbiology Laboratory)に出す滅菌バイアルに、シリンジ内のサンプル1mlを入れる。該細胞を患者に戻す前に、グラム染色による「微生物は見られない」という結果を、ポケベルで、受け取らなければならない。このメッセージは、両技術者が聞いて理解し、採取用紙に記録される。
e)CBCのためにハリントン・キャンサー・センター・ラボラトリ(Harrington Cancer Center Laboratory)出す微量遠沈管に、残りのサンプル1mlを入れる。
f)5mlシリンジを支持クランプから取り外し、廃棄物として処理する。
3)患者の体表面積によって採取すべき細胞数を決定する:1〜4×108細胞/m2。下記の方法で、該バッグから必要な細胞数を取り出す。
a)該バッグから取り出すべき容量(必要な細胞を、バッグ中の1ml当たりの細胞数(CBCによる)で割った商)を決定する。
b)前と同様に、60mlシリンジを、支持クランプに挿入し、バッグを穏やかに混合し、低いラックまたは箱で支える。
c)バッグのフタ/ポートをアルコール・スワブで消毒する。前と同様に、フタを外し、ポートをシリンジに取り付ける。チュービング・クランプを緩め、生じる締め付けを減少させるようにチュービングを操作する。チュービングの異なる部分のクランプを毎回締め付けることにより、チュービングを「元に戻す」。
d)前と同様に、細胞懸濁液をシリンジに引き入れる(3×)。最後に引き上げて、45mlの印まで下げる。
e)バッグ・ポートをはずし、上にあげ、フタをする。チュービング・クランプを閉じる。
f)細胞懸濁液を50ml滅菌管に分注し、管にすっぽりフタをする。
g)必要に応じて「c)」から繰り返して、適量の細胞懸濁液を引き抜く。
4)培養バッグをインキュベーターに戻す。
5)遠心分離機ホルダー内の全ての管を釣り合わせる。必要に応じてバランス・チューブを使用する。(400×g)で11分間回転させる。制動装置はオンである。
6)細胞を遠心分離している間に:
a.)シリンジ/針を使用し、前後に、確実に全ての接続をアルコールで消毒して、25%v/vのアルブミン25mlを、注入バッグに移す。
b)0.9%NaCl約250mlを、滅菌したビンまたはフラスコに移す。シリンジ/針または「チュービング」セットを使用し、前後に、確実に全ての接続を消毒して、0.9%NaCl約250mlを、滅菌したビンまたはフラスコに移す。シリンジ/針を使用し、前後に、確実に全ての接続をアルコールで消毒して、NaCl50mlを該注入バッグに加える。
7)遠心分離機が止まった後、管をキャリヤから注意深く取り出し、フードに戻す。
8)真空/吸引システムを使用して、上澄を吸引する。真空フラスコには、中に「漂白剤」100mlが入っている。
a)滅菌したガラス製パスツール・ピペットを、吸引フラスコ・チュービングに取り付ける。
b)ペレットは柔らかいため、注意を払わなければならない。管を直立に保ち、数mlを底に残して、管の円錐部分まで上澄を吸引する。
c)全ての管を吸引した後、別個の小さいフラスコから、漂白剤をピペット内に吸引し、ピペットおよびチュービングをきれいにする。
9)各管には、細胞ペレットが入っており、これらのペレット全部を、1つに混合しなければならない。
a)AIM−V培地25mlを第1の管に加え、該ペレットの上面に培地を放出することにより、該ペレットを穏やかに再懸濁させる。該培地の全てを入れ、ピペット内に引き上げ、再度放出する。該ペレットが完全にばらばらに壊れるまで、繰り返す。
b)該細胞ペレットが壊れた後、細胞懸濁液25mlを引き上げ、これを次の管に加える。同じ25mlを使用して、全ての管に対して再懸濁工程を繰り返す。
c)用時調製したAIM−V培地10mlを使用して、全ての管をすすぎ、洗浄液を先の細胞懸濁液25mlに加える。
10)管を釣り合わせ、1200rpm(400g)で11分間遠心分離する。制動装置はオンである。
11)遠心分離機が止まったとき、上澄を吸引する。
12)該細胞ペレットを、生理食塩水25ml中に再懸濁させることにより、細胞を0.9%NaClで1回洗浄する。
13)管を釣り合わせ、1200rpm(400g)で11分間、遠心分離する。制動装置はオンである。
14)上澄を吸引する。細胞ペレットを、0.9%NaCl 25ml中に再懸濁させる。この細胞懸濁液を、30mlシリンジ/針で引き上げ、前後に、確実に全ての接続をアルコールで消毒して、注入バッグに注射する。
15)それを使用して、25ml超の0.9%NaClを管に引き上げ、側面および底部をすすぐ。一度管をすすいだら、洗浄液を30mlシリンジ/針で取り除き、前後に、確実に全ての接続をアルコールで消毒して、注入バッグに注射する。
16)バッグを傾けることにより、注入バッグの内容を穏やかに混合する。
17)患者の氏名、細胞数、バッグ内の流体の量、およびプロトコール番号、患者番号およびアフェレーシス番号を記入したラベルを付ける。
18)次いで、注入バッグをハリントン・キャンサー・センター(Harrington Cancer Center)に持って行き、我々の患者担当の看護士に渡す。技術者および看護士の両者が、トラッキング用紙(Tracking Form)に署名する。コピーをNancy Bladesに渡し、原本を患者の検査室ノートに挿入する。
【0106】
全ての出版物、特許、特許出願、および本明細書に記載の他の資料は、本発明が関連する当業者のレベルを示す。個々の出版物、特許、特許出願、または他の資料が、あたかも、全ての目的のために、参照によりその全てを本明細書に組み入れるように具体的かつ個別に指示されたのと同じ程度まで、全ての出版物、特許、特許出願、および他の資料を、全ての目的のために、参照によりその全てを本明細書に組み入れる。小見出しは、本書の再吟味を容易にするために含まれているに過ぎず、決して、本書の内容を制限する意図はない。
【0107】
理解を明確にするために、実例および実施例として、前述の発明を、かなり詳細に記述してきたが、ある種の変更および修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内で実施されることは明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において、細胞特異的抗原を検出して定位する方法であって、
(a)前記哺乳動物から末梢血単核細胞を得るステップ、
(b)前記末梢血単核細胞中のTリンパ球が抗原特異的活性化を受け、それによって前記細胞特異的抗原に結合する抗原特異的Tリンパ球を生じる条件で、前記末梢血単核細胞を、前記細胞特異的抗原の免疫原性エピトープを提示するペプチドに暴露するステップ、
(c)前記抗原特異的Tリンパ球を、画像化により検出可能な標識で標識し、それによって標識された抗原特異的Tリンパ球を生じさせるステップ、
(d)前記標識された抗原特異的Tリンパ球を、前記哺乳動物に投与するステップ、および
(e)前記哺乳動物における、前記標識された抗原特異的Tリンパ球の分布を、画像化により確定し、それによって、哺乳動物における前記細胞特異的抗原を検出し、定位するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記末梢血単核細胞を、前記ペプチドに暴露する、前記ステップ(b)が、インターロイキン−2(IL−2)の存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記末梢血単核細胞を前記ペプチドに暴露する前記ステップ(b)が、前記標識された抗原特異的Tリンパ球を前記哺乳動物に投与するステップ(d)の前に、さらなる細胞を前記末梢血単核細胞に加えずに、前記ペプチドの無細胞調製物を前記末梢血単核細胞に加えることによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗原特異的Tリンパ球が、前記細胞特異的抗原を発現する細胞に対して細胞溶解性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗原特異的Tリンパ球が、CD4+リンパ球を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗原特異的Tリンパ球が、CD8+リンパ球を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗原特異的Tリンパ球が、CD45RO+メモリーT細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗原特異的Tリンパ球が、ごく少量のナチュラルキラー(NK)細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記標識された抗原特異的Tリンパ球を前記哺乳動物に投与するステップ(d)が、前記Tリンパ球とともに実施されるか、またはその後、前記哺乳動物における前記標識された抗原特異的Tリンパ球の分布を確定するステップ(e)を実施する前に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標識された抗原特異的Tリンパ球を、前記哺乳動物に投与するステップ(d)が、前記リンパ球を腹腔内に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記標識された抗原特異的Tリンパ球を前記哺乳動物に投与するステップ(d)が、前記リンパ球を静脈内に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複合糖質を前記哺乳動物に投与せずに前記リンパ球を投与するときと比較して、前記リンパ球を静脈内に投与することが、前記リンパ球の前記トラフィックが変化するように複合糖質を前記哺乳動物に投与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複合糖質を投与することを含む複合糖質を投与することが、アシアロオロソムコイドを投与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
複合糖質を投与することを含む複合糖質を投与することが、オロソムコイドを投与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記細胞特異的抗原が腫瘍特異的抗原であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ペプチドが、ヒトムチン1(MUC−1)のエピトープを提示する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記抗原特異的Tリンパ球が、MUC−1の前記エピトープを担持する細胞に対してMHC非制限的細胞障害性を示すCD4+リンパ球を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
MUC−1のエピトープを提示する前記ペプチドが、配列PDTRPを含むMUC−1配列の円形順列であるアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ペプチドが、アミノ酸配列GSTAPPAHGVTSAPDTRPAPを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記標識が、γエミッタ、ポジトロンエミッタ、磁性材料、密度ベースの造影剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記標識が、インジウム−111、テクネチウム−99m、テクネチウム−99、ヨウ素−123、およびそれらの混合物からなる群から選択されるγエミッタである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記標識がインジウム−111である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記画像化が、ラジオイメージング、磁気共鳴画像法、ポジトロン放出断層画像法およびX線コンピュータ断層画像法からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記画像化が、シングルスキャンおよび連続スキャンからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記画像化が、前記哺乳動物の全身スキャンを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記画像化が、少なくとも2つの別々のスキャンを含み、前記別々のスキャンのそれぞれが、ポジトロン放出断層画像法およびX線コンピュータ断層画像法からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
2つ以上の別々のスキャンから得られる画像化データが比較される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
2つ以上の別々のスキャンから得られる画像化データが、1つの表示画像に融合される、請求項26に記載の方法。

【公表番号】特表2006−505554(P2006−505554A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543786(P2004−543786)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/032602
【国際公開番号】WO2004/033667
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505133696)デパートメント・オヴ・ヴェテランズ・アフェアズ (2)
【Fターム(参考)】