説明

腫瘍細胞の抗癌剤に対する感受性を判定する方法

本発明によれば、乳癌細胞株、肝癌細胞株、及び胃癌細胞株から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用し、該細胞株における少なくとも1以上の遺伝子の発現レベルと抗癌剤に対する感受性の強さとを測定し、それらの相関の有無を統計的に検定することによって、腫瘍細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する方法が提供される。 本発明により、癌患者より取り出された腫瘍細胞及び癌細胞株における、抗癌剤に対する感受性を予測する遺伝子を選抜することができ、それらの遺伝子を用いた癌患者の抗癌剤に対する感受性の判定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、腫瘍細胞の抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する方法、癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法、及び腫瘍細胞の抗癌剤に対する感受性を増強させる物質をスクリーニングする方法などに関する。
【背景技術】
種々の抗癌剤による癌化学療法は、癌の治療において最も重要な方法の一つである。抗癌剤によって有効な治療を行うためには、患者における抗癌剤に対する感受性を予測し、適切な薬剤を選抜することが重要である。抗癌剤に対する感受性を決定している遺伝子を見出すことは、感受性予測のための一つの方法である。今までに多くの遺伝子が複数の抗癌剤に対する感受性の決定因子として報告されてきた。例えば、薬剤トランスポーターであるMDR1(Chen,C.J.,et.al.,J.Biol.Chem.,265,506−514,1990)、MRP2(Kool,M,et.al.,Cancer Res.,57,3537−3547,1997;及びTaniguchi,K.,Cancer Res.,56,4124−4129,1996)、薬物代謝酵素であるチトクローム(cytochrome)P450(CYP)ファミリー(Patterson,L.H.and Murray,G.I.,Curr.Pharm.Des.,8,1335−1347,2002)、glutathione−S−transferase(GST)(Batist,G.,et.al.,J.Biol.Chem.,261,15544−15549,1986),N−acetyltransferase(Meisel,P.,Pharmacogenomics,3,349−366,2002)などである。さらに、各々の抗癌剤に対する感受性を規定している遺伝子として例えば以下のものが報告されている。γ−glutamyl hydrolase(Nair,M.G.,et.al.,Biochemistry,12,3923−3927,1973)及びdihydrofolate ruductase(Schimke,R.T.,Cancer,57,1912−1917,1986)はmethotrexate(MTX)に対する耐性因子である。また、thymidylate synthase(Pinedo,H.M.and Peters,G.F.,J.Clin.Oncol.,6,1653−1664,1988)、metallothionein(Eastman,A.,Cancer,Treat Res.,57,233−249,1991)、cytidine deaminase(Cohen,S.S.,Cancer,40,509−518,1977)の活性増強は、それぞれ5−fuluorouracile(5−FU)、cisplatin(CDDP)、ara−Cに対する抵抗性因子である。DT−diaphoraseの活性増強は、マイトマイシンC(Mitomycin C、以下、MMCとも略す)に対する感受性因子である(Gustafson,D.L.and Pritsos,C.A.,Cancer Res.,52,6936−6939,1992)。このように、多くの遺伝子が抗癌剤に対する感受性を決定する遺伝子として知られている。しかし、これらの既知の遺伝子だけでは抗癌剤に対する感受性を説明するには不十分であり、さらなる研究が求められている。
一方で、抗癌剤に対する感受性の予測あるいは抗癌剤に対する感受性に関与する遺伝子の予測を、cDNAマイクロアレイやSNPsなどのゲノムワイドな解析を用いて行う試みも進んでいる。ヒト癌細胞株パネルやヒト癌のゼノグラフトでの遺伝子発現と抗癌剤に対する感受性との相関の解析も発明者らの報告も含め、報告されている(Scherf,U.,et.al.,Nat.Genet,24,236−244,2000;Zembutsu,H.,et.al.,Cancer Res.,62,518−527,2002;Dan,S.,et.al.,Cancer Res.,62,1139−1147,2002;Stauton,J.E.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,98,10787−10792,2001;及び特開2003−61678号公報)。これらの研究で見出された遺伝子は、抗癌剤に対する感受性予測のマーカーとして使用することができる。さらに、これらの遺伝子のうちの一部は、実際に抗癌剤に対する感受性を決定している可能性がある。
【発明の開示】
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。すなわち、本発明の課題は、抗癌剤に対する感受性規定遺伝子の選抜に適切な細胞株のセットを与え、臓器別の解析を行うことで、より精度高く抗癌剤に対する感受性に相関する遺伝子を選抜すること、及びその中から実際に抗癌剤に対する感受性の決定に関与している遺伝子を選抜することである。本発明のさらに別の課題は、上記方法で選抜された抗癌剤に対する感受性の決定に関与している遺伝子を利用して、癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法を提供することである。本発明のさらに別の課題は、上記方法で選抜された遺伝子の中から癌細胞に強制発現又は発現抑制することによって抗癌剤に対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子を利用した抗癌剤に対する感受性増強薬を提供することである。本発明のさらに別の課題は、上記方法で選抜された遺伝子を利用して腫瘍細胞の抗癌剤に対する感受性を増強させる物質をスクリーニングする方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、先ず、3種の組織(すなわち乳房、肝臓及び胃)に由来する45細胞株よりなる、新たなヒト癌細胞パネルを構築した(表1〜5)。さらに、これら45細胞からなる癌細胞パネルにおいて、抗癌剤に対する感受性と遺伝子の発現プロファイルを取得して評価し、発現が抗癌剤に対する感受性と相関のある遺伝子を選抜した(表6〜表11)。また、これらの遺伝子の中から、細胞レベルにおいて抗癌剤に対する感受性を変化させる遺伝子をスクリーニングした。その結果、本発明者らは、抗癌剤に対する感受性を予測するマーカーとなりうる遺伝子を同定することに成功した。また、それら遺伝子の発現を調べることで、癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法を提供することが可能になった。さらに、それらの遺伝子の発現を増加あるいは減少させることで、抗癌剤に対する感受性を増強させる方法、並びにそれらの抗癌剤に対する感受性を増強させる物質をスクリーニングする方法を提供することが可能になった。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明は、以下の(1)から(64)に関する。
(1) 乳癌12細胞株(HBC−4,BSY−1,HBC−5,MCF−7,MDA−MB−231,KPL−3C,KPL−4,KPL−1,T−47D,HBC−9,ZR−75−1,HBC−8)、肝癌12細胞株(HepG2,Hep3B,Li−7,PLC/PRF/5,HuH7,HLE,HLF,HuH6,RBE,SSP−25,HuL−1,JHH−1)、及び胃癌21細胞株(St−4,MKN1,MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,GCIY,GT3TKB,HGC27,AZ521,4−1st,NUGC−3,NUGC−3/5FU,HSC−42,AGS,KWS−1,TGS−11,GMK−2(別名OKIBA),Ist−1,GMK−3,GMK−5(別名AOTO))から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用し、該細胞株における少なくとも1以上の遺伝子の発現レベルと抗癌剤に対する感受性の強さとを測定し、それらの相関の有無を統計的に検定することによって、腫瘍細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する方法。
(2) 胃癌21細胞株(St−4,MKN1,MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,GCIY,GT3TKB,HGC27,AZ521,4−1st,NUGC−3,NUGC−3/5FU,HSC−42,AGS,KWS−1,TGS−11,GMK−2(別名OKIBA),Ist−1,GMK−3,GMK−5(別名AOTO))から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用して、胃癌細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する、(1)記載の方法。
(3) 乳癌12細胞株(HBC−4,BSY−1,HBC−5,MCF−7,MDA−MB−231,KPL−3C,KPL−4,KPL−1,T−47D,HBC−9,ZR−75−1,HBC−8)から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用して、乳癌細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する、(1)記載の方法。
(4) 肝癌12細胞株(HepG2,Hep3B,Li−7,PLC/PRF/5,HuH7,HLE,HLF,HuH6,RBE,SSP−25,HuL−1,JHH−1)から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用して、肝癌細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する、(1)記載の方法。
(5) 癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法において、
(1)上記(1)から(4)の何れかに記載の方法により同定された遺伝子群から、1以上の遺伝子を選択し、選択された遺伝子の各々について、その発現量に対応した点数を決定する工程、
(2)被験患者について該遺伝子の発現量を測定する工程、
(3)(2)で測定した発現量に基づき(1)で得た点数を割り当てる工程、
(4)選択された全遺伝子について割り当てられた点数を合計して合計値を求める工程、及び
(5)予め決定した閾値と該合計値を比較する工程、
を含む上記方法。
(6) 癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、SF1(D26121)、CBR3(AB004854)、EMS1(M98343)、JUN(J04111)、SFRS9(U30825)、NMBR(M73482)、RBMX(Z23064)、SOD1(M13267)、NOL1(X55504)、PELP1(U88153)、ARHA(L25080)、AARS(D32050)、NME1(X17620)、HNRPA2B1(M29065)、NME2(L16785)、VAT1(U18009)、SERPINB10(U35459)、KIAA0436(AB007896)、DRPLA(D31840)、MC3R(L06155)、SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
(7) 癌患者のビノレルビンに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、ARHA(L25080)、NME2(L16785)、VIL2(X51521)、YWHAQ(X56468)、HK1(M75126)、SATB1(M97287)、CAMLG(U18242)、CARS(L06845)、CCNB1(M25753)、U2AF1(M96982)、PTMA(M26708)、MLC1SA(M31211)、NME1(X17620)、SARS(X91257)、CDC20(U05340)、PPP4C(X70218)、TNFAIP3(M59465)、EEF1D(Z21507)、PFKP(D25328)、ENTPD2(U91510)、CCL5(M21121)、ACAT1(D90228)、IQGAP1(L33075)、PAX5(M96944)、NRGN(Y09689)、K−ALPHA−1(K00558)、NDUFB7(M33374)、HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてビノレルビンに対する感受性を判定する方法。
(8) 癌患者のパクリタキセルに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、ADH6(M68895)、RAB28(X94703)、U2AF1(M96982)、GPC1(X54232)、HK1(M75126)、CARS(L06845)、TNFAIP3(M59465)、K−ALPHA−1(K00558)、PFKP(D25328)、GDI2(D13988)、VIL2(X51521)、RUNX2(AF001450)、NME2(L16785)、CDC20(U05340)、GNAI2(X04828)、ARHA(L25080)、CNR2(X74328)、PPP2R2B(M64930)、SLC6A8(L31409)、DDX9(L13848)、ACAT1(D90228)、PI3(Z18538)、NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてパクリタキセルに対する感受性を判定する方法。
(9) 癌患者の5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)、PLOD(M98252)、CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いて5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法。
(10) 癌患者のドキソルビシンに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEFID(Z21507)、RPS15A(X84407)、ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてドキソルビシンに対する感受性を判定する方法。
(11) 癌患者のシスプラチンに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてシスプラチンに対する感受性を判定する方法。
(12) 患者が乳癌患者である(5)から(11)の何れかに記載の感受性を判定する方法。
(13) 患者が胃癌患者である(5)から(11)の何れかに記載の感受性を判定する方法。
(14) 患者が肝臓癌患者である(5)から(11)の何れかに記載の感受性を判定する方法。
(15) 乳癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、乳癌患者より取り出された腫瘍細胞における、INHBB(M31682)、NK4(M59807)、HSPA1A(M11717)、LOC54557(AF075050)、CD47(Y00815)、RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
(16) 肝癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、EB1(U24166)、JUN(J04111)、EIF3S8(U46025)、CCL5(M21121)、PHB(S85655)、HSPA1A(M11717)、SPP1(X13694)、RAB7(X93499)、CTSD(M11233)、ACTN1(X15804)、RXRB(M84820)、PSME2(D45248)、HLA−C(M11886)、RPL19(X63527)、MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
(17) 胃癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、胃癌患者より取り出された腫瘍細胞における、TEAD4(U63824)、NR2C2(U10990)、CSF1(M37435)、RAB28(X94703)、CBR3(AB004854)、NFYC(Z74792)、PGF(X54936)、ERG(M21535)、MLLT1(L04285)、FOS(K00650)、TNFAIP3(M59465)、CNR2(X74328)、DRPLA(D31840)、PSMB5(D29011)、SLC6A8(L31409)、SERPINB10(U35459)、VAT1(U18009)、TJP1(L14837)、PELP1(U88153)、C1QBP(L04636)、CDK10(L33264)、SERPINA6(J02943)、ACTB(X00351)、SFRP4(AF026692)、EMX1(X68879)、RPS9(U14971)、AMD1(M21154)、RPL26(X69392)、HNRPF(L28010)、PTMS(M24398)、STK12(AF008552)、NR2F6(X12794)、GBE1(L07956)、PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
(18) 肝癌患者のパクリタキセルに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、ALDH3B1(U10868)、SRPK1(U09564)、ALPP(M13077)、EB1(U24166)、MAPKAPK(U12779)、GPI(K03515)、CTBP1(U37408)、HMGCL(L07033)、CAPZ(U03271)、ACAT1(D90228)、COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてパクリタキセルに対する感受性を判定する方法。
(19) 肝癌患者の5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)、PLOD(M98252)、CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いて5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法。
(20) 肝癌患者のドキソルビシンに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)、RPS15A(X84407)、ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてドキソルビシンに対する感受性を判定する方法。
(21) 肝癌患者のシスプラチンに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、(5)に記載の方法を用いてシスプラチンに対する感受性を判定する方法。
(22) 遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の転写産物であるRNAをDNAマイクロアレイにより定量することにより行う、(1)から(21)の何れかに記載の方法。
(23) 遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の転写産物であるRNAを定量的PCRにより定量することにより行う、(1)から(21)の何れかに記載の方法。
(24) 遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の転写産物であるRNAをノーザンブロットにより定量することにより行う、(1)から(21)の何れかに記載の方法。
(25) (23)に記載の方法において使用するための、該RNAに相補的なオリゴヌクレオチドを含む、RNAの定量試薬。
(26) 遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の遺伝子産物である蛋白質を免疫化学的方法により定量することにより行う、(1)から(21)の何れかに記載の方法。
(27) 遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の遺伝子産物である蛋白質をELISAにより定量することにより行う、(26)に記載の方法。
(28) 遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の遺伝子産物である蛋白質をウエスタンブロットにより定量することにより行う、(26)に記載の方法。
(29) (26)に記載の方法において使用するための、該蛋白質に対する抗体を含む免疫測定試薬。
(30) SF1(D26121)、CBR3(AB004854)、EMS1(M98343)、JUN(J04111)、SFRS9(U30825)、NMBR(M73482)、RBMX(Z23064)、SOD1(M13267)、NOL1(X55504)、PELP1(U88153)、ARHA(L25080)、AARS(D32050)、NME1(X17620)、HNRPA2B1(M29065)、NME2(L16785)、VAT1(U18009)、SERPINB10(U35459)、KIAA0436(AB007896)、DRPLA(D31840)及びMC3R(L06155)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(31) ARHA(L25080)、NME2(L16785)、VIL2(X51521)、YWHAQ(X56468)、HK1(M75126)、SATB1(M97287)、CAMLG(U18242)、CARS(L06845)、CCNB1(M25753)、U2AF1(M96982)、PTMA(M26708)、MLC1SA(M31211)、NME1(X17620)、SARS(X91257)、CDC20(U05340)、PPP4C(X70218)、TNFAIP3(M59465)、EEF1D(Z21507)、PFKP(D25328)、ENTPD2(U91510)、CCL5(M21121)、ACAT1(D90228)、IQGAP1(L33075)、PAX5(M96944)、NRGN(Y09689)、K−ALPHA−1(K00558)、NDUFB7(M33374)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって癌細胞に強制発現させることによってビノレルビンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、ビノレルビンに対する感受性増強薬。
(32) ADH6(M68895)、RAB28(X94703)、U2AF1(M96982)、GPC1(X54232)、HK1(M75126)、CARS(L06845)、TNFAIP3(M59465)、K−ALPHA−1(K00558)、PFKP(D25328)、GDI2(D13988)、VIL2(X51521)、RUNX2(AF001450)、NME2(L16785)、CDC20(U05340)、GNAI2(X04828)、ARHA(L25080)、CNR2(X74328)、PPP2R2B(M64930)、SLC6A8(L31409)、DDX9(L13848)、ACAT1(D90228)及びPI3(Z18538)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって癌細胞に強制発現させることによってパクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、パクリタキセルに対する感受性増強薬。
(33) SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)及びPLOD(M98252)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによって5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、5−フルオロウラシルに対する感受性増強薬。
(34) RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)及びRPS15A(X84407)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、ドキソルビシンに対する感受性増強薬。
(35) CALT(X72946)、ZNF165(X84801)及びGPC1(X54232)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってシスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、シスプラチンに対する感受性増強薬。
(36) INHBB(M31682)、NK4(M59807)、HSPA1A(M11717)、LOC54557(AF075050)及びCD47(Y00815)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、乳癌のマイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(37) EB1(U24166)、JUN(J04111)、EIF3S8(U46025)、CCL5(M21121)、PHB(S85655)、HSPA1A(M11717)、SPP1(X13694)、RAB7(X93499)、CTSD(M11233)、ACTN1(X15804)、RXRB(M84820)、PSME2(D45248)、HLA−C(M11886)及びRPL19(X63527)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のマイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(38) TEAD4(U63824)、NR2C2(U10990)、CSF1(M37435)、RAB28(X94703)、CBR3(AB004854)、NFYC(Z74792)、PGF(X54936)、ERG(M21535)、MLLT1(L04285)、FOS(K00650)、TNFAIP3(M59465)、CNR2(X74328)、DRPLA(D31840)、PSMB5(D29011)、SLC6A8(L31409)、SERPINB10(U35459)、VAT1(U18009)、TJP1(L14837)、PELP1(U88153)、C1QBP(L04636)、CDK10(L33264)、SERPINA6(J02943)、ACTB(X00351)、SFRP4(AF026692)、EMX1(X68879)、RPS9(U14971)、AMD1(M21154)、RPL26(X69392)、HNRPF(L28010)、PTMS(M24398)、STK12(AF008552)、NR2F6(X12794)及びGBE1(L07956)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、胃癌のマイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(39) ALDH3B1(U10868)、SRPK1(U09564)、ALPP(M13077)、EB1(U24166)、MAPKAPK(U12779)、GPI(K03515)、CTBP1(U37408)、HMGCL(L07033)、CAPZ(U03271)及びACAT1(D90228)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってパクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のパクリタキセルに対する感受性増強薬。
(40) SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)及びPLOD(M98252)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによって5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌の5−フルオロウラシルに対する感受性増強薬。
(41) RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)及びRPS15A(X84407)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のドキソルビシンに対する感受性増強薬。
(42) CALT(X72946)、ZNF165(X84801)及びGPC1(X54232)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってシスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のシスプラチンに対する感受性増強薬。
(43) 遺伝子HSPA1A(GenBank登録番号:M11717)または該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(44) 遺伝子JUN(GenBank登録番号:J04111)または該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(45) 遺伝子CTSD(GenBank登録番号:M11233)または該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
(46) 細胞に試験物質を添加し、該細胞における
SF1(D26121)、CBR3(AB004854)、EMS1(M98343)、JUN(J04111)、SFRS9(U30825)、NMBR(M73482)、RBMX(Z23064)、SOD1(M13267)、NOL1(X55504)、PELP1(U88153)、ARHA(L25080)、AARS(D32050)、NME1(X17620)、HNRPA2B1(M29065)、NME2(L16785)、VAT1(U18009)、SERPINB10(U35459)、KIAA0436(AB007896)、DRPLA(D31840)及びMC3R(L06155);
ARHA(L25080)、NME2(L16785)、VIL2(X51521)、YWHAQ(X56468)、HK1(M75126)、SATB1(M97287)、CAMLG(U18242)、CARS(L06845)、CCNB1(M25753)、U2AF1(M96982)、PTMA(M26708)、MLC1SA(M31211)、NME1(X17620)、SARS(X91257)、CDC20(U05340)、PPP4C(X70218)、TNFAIP3(M59465)、EEF1D(Z21507)、PFKP(D25328)、ENTPD2(U91510)、CCL5(M21121)、ACAT1(D90228)、IQGAP1(L33075)、PAX5(M96944)、NRGN(Y09689)、K−ALPHA−1(K00558)及びNDUFB7(M33374);
ADH6(M68895)、RAB28(X94703)、U2AF1(M96982)、GPC1(X54232)、HK1(M75126)、CARS(L06845)、TNFAIP3(M59465)、K−ALPHA−1(K00558)、PFKP(D25328)、GDI2(D13988)、VIL2(X51521)、RUNX2(AF001450)、NME2(L16785)、CDC20(U05340)、GNI2(X04828)、ARHA(L25080)、CNR2(X74328)、PPP2R2B(M64930)、SLC6A8(L31409)、DDX9(L13848)、ACAT1(D90228)及びPI3(Z18538);
INHBB(M31682)、NK4(M59807)、HSPA1A(M11717)、LOC54557(AF075050)及びCD47(Y00815);
EB1(U24166)、JUN(J04111)、EIF3S8(U46025)、CCL5(M21121)、PHB(S85655)、HSPA1A(M11717)、SPP1(X13694)、RAB7(X93499)、CTSD(M11233)、ACTN1(X15804)、RXRB(M84820)、PSME2(D45248)、HLA−C(M11886)及びRPL19(X63527);
TEAD4(U63824)、NR2C2(U10990)、CSF1(M37435)、RAB28(X94703)、CBR3(AB004854)、NFYC(Z74792)、PGF(X54936)、ERG(M21535)、MLLT1(L04285)、FOS(K00650)、TNFAIP3(M59465)、CNR2(X74328)、DRPLA(D31840)、PSMB5(D29011)、SLC6A8(L31409)、SERPINB10(U35459)、VAT1(U18009)、TJP1(L14837)、PELP1(U88153)、C1QBP(L04636)、CDK10(L33264)、SERPINA6(J02943)、ACTB(X00351)、SFRP4(AF026692)、EMX1(X68879)、RPS9(U14971)、AMD1(M21154)、RPL26(X69392)、HNRPF(L28010)、PTMS(M24398)、STK12(AF008552)、NR2F6(X12794)及びGBE1(L07956);
ALDH3B1(U10868)、SRPK1(U09564)、ALPP(M13077)、EB1(U24166)、MAPKAPK(U12779)、GPI(K03515)、CTBP1(U37408)、HMGCL(L07033)、CAPZ(U03271)及びACAT1(D90228);
SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)及びPLOD(M98252);
RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)及びRPS15A(X84407);及び
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)及びGPC1(X54232)
からなる群から選択される少なくとも1以上の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、試験物質を添加しない場合の該遺伝子の発現量と比較して該遺伝子の発現を増加させる物質を、抗癌剤に対する感受性を増強させる候補物質として選択する、抗癌剤に対する感受性を増強させる物質のスクリーニング方法。
(47) (46)に記載の方法によって取得された抗癌剤に対する感受性を増強させる物質。
(48) (47)に記載の物質を含む、抗癌剤に対する感受性増強薬。
(49) SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(50) HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、ビノレルビンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(51) NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、パクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(52) RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(53) MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(54) PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(55) COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、パクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(56) CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(57) ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、ドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(58) TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X0956)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、シスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
(59) (49)から(58)の何れかに記載のsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクター。
(60) (49)から(58)の何れかに記載のsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド又は(59)に記載のベクターを含有する、抗癌剤に対する感受性増強薬。
(61) SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490);
HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041);
NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129);
RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689);
MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088);
PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048);
COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338);
CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963);
ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232);及び
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)
からなる群から選択される遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)にコードされる蛋白質に対する抗体を含有する、抗癌剤に対する感受性増強薬。
(62) 細胞に試験物質を添加し、該細胞における
SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490);
HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041);
NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129);
RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689);
MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088);
PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048);
COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338);
CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963);
ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232);及び
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)
からなる群から選択される少なくとも1以上の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、試験物質を添加しない場合の該遺伝子の発現量と比較して該遺伝子の発現を減少させる物質を、抗癌剤に対する感受性を増強させる候補物質として選択する、抗癌剤に対する感受性を増強させる物質のスクリーニング方法。
(63) (62)の方法によって取得された抗癌剤に対する感受性を増強させる物質。
(64) (63)に記載の物質を含む、抗癌剤に対する感受性増強薬。
【図面の簡単な説明】
図1は、45種のヒト癌細胞株の感受性を元に51種の抗癌剤の階層的クラスタリングを行った結果を示す。
図2は、42のヒト癌細胞を遺伝子発現の結果により階層的クラスタリングを行った結果を示す。
図3は、MMCに対する感受性とCSPD蛋白質発現の肝細胞株における相関を示す。
図4のAは、MMCに対する感受性とHSPA1A遺伝子発現の乳癌細胞株における相関を示す。
図4のBは、MMCに対する感受性とJUN遺伝子発現の全42細胞株における相関を示す。一つの点が一つの細胞株を示す。X軸はMMCに対する感受性を、Y軸はHSPA1AあるいはJUNの遺伝子発現を示す。MMCに対する感受性とHSPA1A及びJUNの発現の間のピアソンの相関係数の値は、それぞれ0.75(p=0.05)及び0.473(p=0.015)である。
図4のC及びDは各遺伝子をトランスフェクションしたHT1080細胞をMMCで処理した際の増殖阻害曲線を示す。各曲線はそれぞれ、ベクターのみ(黒四角:■)、LacZ(黒菱形:◆),NQO1(×),HSPA1A(黒三角:▲),JUN(白三角:△)を示す。HT1080細胞にNQO1,HSPA1A,JUNのいずれかをトランスフェクションするとMMCの増殖抑制活性が増強される。アスタリスクは、コントロールに対するt−testで、p〈0.01で有意差が見られたものを示す。
図5は、CTSD特異的なsiRNAによるCTSDの発現抑制を示す。レーン1はトランスフェクション処理をしない細胞、2はリポフェクトアミン2000のみでトランスフェクション処理した細胞、3はCTSD #271、4はCTSD #387、5はCTSD #400をそれぞれトランスフェクションした細胞のウェスタンブロットを示す。左の矢印は検出されるCTSDのバンドの位置と分子量を示す。
図6のA及びBはCTSD#400をトランスフェクションしたSSP−25細胞をマイトマイシンC(図6A)、パクリタキセル(図6B左)またはドキソルビシン(図6B右)で処理した際の増殖阻害曲線を示す。X軸は各抗癌剤の濃度(mol/L)、Y軸は抗癌剤を添加しない場合に対する細胞増殖の割合(%)を表す。各曲線はそれぞれ、CTSD#400siRNAをトランスフェクションした細胞(黒丸:●)、siRNAをトランスフェクションしなかったコントロール(白四角:□)を示す。
図7は、肝癌細胞株12株における、MMC、パクリタキセルおよびドキソルビシンそれぞれに対する感受性とCTSD遺伝子発現の相関を示す。一つの点が一つの細胞株を示す。X軸は各抗癌剤に対する感受性を、Y軸はCTSD遺伝子の発現を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(A)腫瘍細胞の抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する方法
本発明による抗癌剤に対する感受性に関与する遺伝子の同定方法としては、
(1)癌細胞株パネルにおける各種抗癌剤に対する感受性を測定する工程;
(2)上記(1)と同じ癌細胞株パネルにおいて、複数の遺伝子の発現を測定する工程;
(3)上記(1)の抗癌剤に対する感受性と上記(2)の遺伝子発現の結果の相関係数を計算して、抗癌剤に対する感受性との相関の高い遺伝子を統計的に選抜する工程;
から構成することができる。
ここで用いるヒト癌細胞株パネルとしては、本明細書の表1〜5に記載の45細胞株からなるパネルの全部あるいは一部を用いることができる。また、胃癌、乳癌、肝臓癌に属する細胞株を表1〜5に記載のパネルから選抜して用いることで、胃癌、乳癌、肝臓癌に特化した抗癌剤に対する感受性に関与する遺伝子群を選抜することができる。
本発明における抗癌剤に対する感受性の測定法としては、抗細胞活性測定、DNA合成速度測定、総蛋白質量測定などを用いることができる。抗細胞活性の測定法としては、MTT法、XTT法など、抗癌剤と細胞を一定期間接触させた後の発色反応で細胞の増殖を見る方法が用いられる。また、DNA合成速度測定においては、Hで標識したチミジンの細胞への取り込みを測定することなどにより、測定することができる。総蛋白質量測定においては、sulforhodamine Bアッセイ法などを用いることができる。
本発明における遺伝子の発現量の測定は、遺伝子の転写産物であるRNAまたは遺伝子産物である蛋白質を定量することにより行うことができる。
(1)RNAまたは蛋白質の抽出
癌細胞株あるいは癌患者由来の癌細胞から以下の一般的な方法でRNAまたは蛋白質を抽出できる。RNAの場合、例えばTRIZOL試薬(Invitrogen社)を用いた場合、添付の操作法に従って行えばよい。蛋白質の場合、例えばThe Protein Handbook,1996,Humana Press,New Jersey,USA等の成書に従って行えばよい。
(2)RNAの定量
RNAの定量はDNAマイクロアレイ、ノーザンブロット解析、RT−PCR等の技術により行うことができる。また、RT−PCRにおいて使用するための、該RNAに相補的なポリヌクレオチドを含む、RNAの定量試薬も本発明の範囲に含まれる。
(3)蛋白質の定量
蛋白質の定量は特異的抗体を用いた免疫化学的定量法によって行うことができる。蛋白質に対する抗体は、例えば成書Antibodies:A Laboratory Manual,1988,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)に記載の方法に従って、モノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体を作製することができる。また、市販の抗体が利用可能な場合は、特異性を確認の上、使用することもできる。得られた抗体を用いて、成書(例えば酵素免疫測定法(石川栄治他、医学書院、1982))に記載の方法に従って、ELISAあるいはRIAを行い、蛋白質を定量することができる。また、上記の方法において使用するための、該蛋白質に対する抗体を含む免疫測定試薬も本発明の範囲に含まれる。
本発明では、抗癌剤に対する感受性と遺伝子発現の結果の相関係数を計算して、抗癌剤に対する感受性との相関の高い遺伝子を統計的に選抜する。ここで行なう相関解析は、例えばピアソンの相関係数(Peason correlation coefficients)などを計算することによって行うことができる。抗癌剤に対する感受性と遺伝子発現が相関するかどうかの統計学的検定は、例えば両者を対数表示した際に正規分布であるという仮定をおくことによって、ピアソンの相関係数rがr=0であるかを検定することで行う。例えば、相関の有意性の検定において、P値がP〈0.05を満たす遺伝子を選抜し、「抗癌剤に対する感受性と相関のある遺伝子」として同定することができる。
本発明で用いる抗癌剤の種類は、特に限定されず任意の抗癌剤を使用することができ、また抗癌剤の候補物質を用いることもできる。抗癌剤の具体例としては、表1に記載のものが挙げられ、さらに具体的には、マイトマイシンC、ビノレルビン(vinorelbine)、パクリタキセル(paclitaxel)5−フルオロウラシル(5−fluorouracil)、ドキソルビシン(doxorubicin)、シスプラチン(cisplatin)などを挙げることができる。
上記の方法で同定された各種抗癌剤に対する感受性と相関する遺伝子として、以下のものが挙げられる。マイトマイシンCに対する感受性と相関する遺伝子としては、表6、表7、および表12〜14に記載された遺伝子を挙げることができる。ビノレルビンに対する感受性と相関する遺伝子としては、表8および表9に記載された遺伝子を挙げることができる。パクリタキセルに対する感受性と相関する遺伝子としては、表10、表11、および表15に記載された遺伝子を挙げることができる。5−フルオロウラシルに対する感受性と相関する遺伝子としては、表16に記載された遺伝子を挙げることができる。ドキソルビシンに対する感受性と相関する遺伝子としては、表17に記載された遺伝子を挙げることができる。シスプラチンに対する感受性と相関する遺伝子としては、表18に記載された遺伝子を挙げることができる。また、乳癌のマイトマイシンCに対する感受性と相関する遺伝子としては表12に記載された遺伝子を、肝癌のマイトマイシンCに対する感受性と相関する遺伝子としては表13に記載された遺伝子を、胃癌のマイトマイシンCに対する感受性と相関する遺伝子としては表14に記載された遺伝子を、それぞれ挙げることができる。さらに、肝癌のパクリタキセルに対する感受性と相関する遺伝子としては、表15に記載された遺伝子を、肝癌の5−フルオロウラシルに対する感受性と相関する遺伝子としては、表16に記載された遺伝子を、肝癌のドキソルビシンに対する感受性と相関する遺伝子としては、表17に記載された遺伝子を、肝癌のシスプラチンに対する感受性と相関する遺伝子としては、表18に記載された遺伝子を、それぞれ挙げることができる。
(B)癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法
本発明はさらに、癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法を提供する。癌患者から取り出した腫瘍細胞における遺伝子の発現については、上記(A)に記載の方法により定量することができる。判定の方法としては、上記(A)の方法により薬剤ごとに同定した遺伝子群から1以上の遺伝子を選択し、選択された遺伝子の各々について、(1)その発現量に対応した点数を決定し、(2)被験患者由来の腫瘍細胞における該遺伝子の発現量を測定し、(3)(2)で測定した発現量に基づき(1)で得た点数を割り当て、(4)選択された全遺伝子について割り当てられた点数を合計して合計値を求め、(5)予め決定した閾値と該合計値を比較することにより、抗癌剤に対する感受性を判定するという工程によって、与えられた抗癌剤に対する感受性を判定することができる。上記点数の決定、合計値の計算、閾値との比較は、重回帰分析、判別分析、SVM(サポートベクターマシン)法、主成分分析、自己組織化マップ法などの多変量解析の手法(SASによる実験データの解析、竹内啓監修、東京大学出版会、1990などに記載)を用いることで行うことができる。
上記の方法により抗癌剤に対する感受性と相関があると判断された遺伝子の発現変化が、実際に抗癌剤に対する感受性を変化させるかを調べるには、以下の方法を用いることができる。
(1)遺伝子の強制発現
選抜された遺伝子の全長または部分長のcDNAを適当な動物細胞の発現ベクターに挿入し、癌細胞にトランスフェクションにより導入することで、該遺伝子の発現量を上げることができる。そこに相関があるとされた抗癌剤を添加することで、該遺伝子を発現しない場合と比較して抗癌剤に対する感受性が変化するかどうかを判定することができる。
発現ベクターとして、例えば、pEGFP−C2(クロンテック社)、pAGE107〔特開平3−22979;Cytotechnol.,,133,(1990)〕、pAS3−3(特開平2−227075)、pCDM8〔Nature,329,840,(1987)〕、pCMV−Tag1(ストラタジーン社製)pcDNA3.1(+)(インビトロジェン社)、pREP4(インビトロジェン社製)、pMSG(アマシャム・バイオサイエンス社製)、pAMo〔J.Biol.Chem.,268,22782(1993)〕等を例示することができる。
組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Miyaji H.ら,Cytotechnol.,3,133(1990)]、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法[Felgner P.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)]等をあげることができる。
(2)遺伝子の発現抑制
選抜された遺伝子に対応するアンチセンスポリヌクレオチドまたはsiRNAを癌細胞に導入することで、該遺伝子の発現量を下げることができる。また、アンチセンスポリヌクレオチドまたはsiRNAの発現ベクターを癌細胞に導入することで、同様に該遺伝子の発現量を下げることができる。
そこに相関があるとされた抗癌剤を添加することで、遺伝子発現を抑制しない場合と抗癌剤に対する感受性が変化するかどうかを判定することができる。
(C)抗癌剤に対する感受性増強薬(i)
上記(B)の(1)遺伝子の強制発現に記載した方法により、ある遺伝子の強制発現により抗癌剤に対する感受性が増強された場合には、該遺伝子を含有する遺伝子治療薬は、該抗癌剤に対する感受性増強薬として用いることができる。また、該遺伝子がコードする蛋白質を含有する蛋白製剤は、該抗癌剤に対する感受性増強薬として用いることができる。
具体的には、表6および表12〜14の「感受性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質はマイトマイシンCに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表8に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって癌細胞に強制発現させることによってビノレルビンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質はビノレルビンに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表10および表15の「感受性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって癌細胞に強制発現させることによってパクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質はパクリタキセルに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表16の「感受性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって癌細胞に強制発現させることによって5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質は5−フルオロウラシルに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表17の「感受性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって癌細胞に強制発現させることによってドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質はドキソルビシンに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表18の「感受性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって癌細胞に強制発現させることによってシスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質はシスプラチンに対する感受性増強薬として使用することができる。
上記した各種抗癌剤に対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質は、抗癌剤に対する感受性増強薬として単独で用いることが可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として用いることが望ましい。このような医薬製剤の詳細については、本明細書中の(F)に後記する。
(D)抗癌剤に対する感受性増強薬(ii)
上記(B)の(2)遺伝子の発現抑制に記載した方法により、ある遺伝子の発現抑制によりある抗癌剤に対する感受性が増強された場合には、該遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは該抗癌剤に対する感受性増強薬として用いることができる。また、該遺伝子がコードする蛋タンパク質の機能を抑制する中和抗体などを含有する薬剤は、該抗癌剤に対する感受性増強薬として用いることができる。
具体的には、表7および表12〜14の「耐性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは、マイトマイシンCに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表9に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、ビノレルビンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは、ビノレルビンに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表11および表15の「耐性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、パクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは、パクリタキセルに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表16の「耐性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは、5−フルオロウラシルに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表17の「耐性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、ドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは、ドキソルビシンに対する感受性増強薬として使用することができる。
同様に、表18の「耐性」に記載された遺伝子から選択される単独又は複数の遺伝子であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、シスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドまたは該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは、シスプラチンに対する感受性増強薬として使用することができる。
次に本発明で用いるsiRNAについて説明する。siRNAとは、ある標的遺伝子のmRNAの一部の配列を含む短い二本鎖RNAであり、RNAi(RNA interference)により、該遺伝子の発現を抑制できるものをいう。siRNAの配列は、mRNAの塩基配列から文献[Genes Dev.,13,3191,(1999)]の条件に基づいて適宜設計することができる。好ましくは、mRNAの翻訳領域中の開始コドンより50〜100塩基下流の領域中で、AAに続く19塩基、GC含量が30〜70%、より好ましくは50%前後の配列を選択する。選択した19塩基の配列および相補的な配列それぞれの3’端にTTを付加した配列を有する2本のRNAをDNA合成機により合成し、アニーリングすることによりsiRNAを作製できる。また、pSilencer 1.0−U6(Ambion社製)、pSUPER(OligoEngine社)等のsiRNA発現用ベクターに上記の選択した19塩基の配列に相当するDNAを挿入することにより、該遺伝子の発現を抑制できるsiRNAを発現するベクターを作製することができる。
また、本発明で用いるアンチセンスポリヌクレオチドとは、標的遺伝子の塩基配列中の連続した15塩基以上の配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドとしては、DNA、RNA、ポリヌクレオチドの誘導体が含まれる。ポリヌクレオチド誘導体としては、ポリヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスフォロチオエート結合に変換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスフォアミデート結合に変換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシンで置換されたポリヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド中のリボースが2’−o−プロピルリボースで置換されたポリヌクレオチド誘導体、あるいはポリヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたポリヌクレオチド誘導体等をあげることができる。
アンチセンスRNA/DNA技術〔バイオサイエンスとインダストリー,50,322(1992)、化学,46,681(1991)、Biotechnology,,358(1992)、Trends Biotechnol.,10,87(1992)、Trends Biotechnol.,10,152(1992)、細胞工学,16,1463(1997)〕、トリプル・ヘリックス技術〔Trends Biotechnol.,10,132(1992)〕、に基づき、上記のアンチセンスポリヌクレオチドを癌細胞に投与することにより、癌細胞での標的遺伝子の転写または翻訳を抑制し、その結果、標的遺伝子の発現を抑制することができる。特に標的遺伝子のポリペプチドをコードする領域の開始コドンを含む15〜100塩基と相補的な塩基配列が好ましい。また、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼによる分解を受けないポリヌクレオチド誘導体が好ましい。
アンチセンスポリヌクレオチドは、市販のDNA合成機、WO93/20095、WO02/10185に記載の方法などを用いて製造することができる。また、(B)の(1)の遺伝子の強制発現に用いる発現ベクターのプロモーターの下流に標的遺伝子を逆向きにつなげた組換え体ベクターを作製し、この組換え体ベクターを癌細胞に導入することにより、細胞内でアンチセンスRNAを発現することができる。
さらに本発明では、表7、9、11及び12〜18の「耐性」に記載の何れかの遺伝子がコードする蛋白質に対する抗体を抗癌剤に対する感受性増強薬として使用することもできる。好ましくは、上記抗体は、上記タンパク質の機能を抑制する中和抗体である。このような目的蛋白質に対する抗体は当業者に公知の方法により取得することができる。
上記した各種抗癌剤に対する感受性を増強させる活性を示すsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド、該siRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクター並びに抗体は、抗癌剤に対する感受性増強薬として単独で用いることが可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として用いることが望ましい。このような医薬製剤の詳細については、本明細書中の(F)に後記する。
(E)スクリーニングおよび該スクリーニングにより得られる抗癌剤に対する感受性増強薬
ある物質を投与することにより本明細書の表6から18に記載した何れかの遺伝子の発現増強あるいは発現抑制を達成し、それによりある抗癌剤に対する感受性が増強される場合には、該遺伝子の発現を増強あるいは抑制する活性を有する物質も、該抗癌剤に対する感受性増強薬として用いることができる。
そうした活性を有する物質は以下の方法によりスクリーニングすることができる。例えば、該遺伝子の発現制御領域を適当なレポーター遺伝子に結合して細胞に導入し、被験試料の添加によりレポーター遺伝子の発現を増加あるいは減少させる物質を選択することで目的の物質を得ることができる。レポーター遺伝子としてはホタルルシフェラーゼ遺伝子、緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子などを用いることができる。また、該遺伝子のmRNAをRT−PCR法、ノーザンブロッティング法、定量PCR法などによって直接定量することや、該遺伝子のコードする蛋白質をELISA法やEIA法などの免疫学的方法で定量することでも、目的とする物質をスクリーニングすることが可能である。
被験試料としては、合成化合物、天然に存在する蛋白質、人工的に合成された蛋白質、ペプチド、糖質、脂質、これらの修飾体、誘導体を、また哺乳動物(例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、ヒト等)の尿、体液、組織抽出物、細胞培養上清、細胞抽出物を、更に、非ペプチド性化合物、発酵生産物、植物その他の生物の抽出物等をあげることができる。
上記した本発明のスクリーニング方法により取得される物質は、抗癌剤に対する感受性増強薬として有用であり、当該物質、並びにそれを含む抗癌剤に対する感受性増強薬も本発明の範囲内に属する。
(F)本発明の抗癌剤に対する感受性増強薬の医薬製剤
本明細書中の上記(C)、(D)及び(E)に記載した通りの各種の遺伝子、蛋白質、抗体及び物質などは抗癌剤に対する感受性増強薬として単独で用いることも可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として用いることが望ましい。
投与経路は、予防または治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投与または、口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口投与をあげることができる。投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげられる。例えば乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤等があげられる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体等を用いて調製する。座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調製する。また、噴霧剤は有効成分そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該有効成分を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製する。担体として具体的には乳糖、グリセリン等が例示される。該蛋白質および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダー等の製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
投与量または投与回数は、使用する有効成分の種類、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なるが、通常成人1日当たり0.01μg/kg〜10mg/kgである。
また、抗癌剤に対する感受性増強のための有効成分としてDNAやRNAなどの核酸を利用する遺伝子治療剤の場合には、該DNA又はRNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、上記に記載した常法に従って製剤化、処方および投与する方法、あるいは非ウイルス遺伝子移入法により投与する方法を使用することができる。
組換えウイルスベクターは、以下に記載の方法に従い作製することができる。
有効成分として使用するDNA(以下、対象DNAとも称する)の断片を調製する。該DNA断片をウイルスベクター内のプロモーターの下流に挿入することにより、組換えウイルスベクターを造成する。
RNAウイルスベクターの場合には、対象DNAに相同なRNA断片を調製し、それらをウイルスベクター内のプロモーターの下流に挿入することにより、組換えウイルスを造成する。RNA断片は、2本鎖のほか、ウイルスベクターの種類に応じて、センス鎖もしくはアンチセンス鎖のどちらか一方の鎖を選択する。例えば、レトロウイルスベクターの場合は、センス鎖に相同なRNAを、センスウイルスベクターの場合には、アンチセンス鎖に相同なRNAを選択する。
該組換えウイルスベクターを、該ベクターに適合したパッケージング細胞に導入する。パッケージング細胞としては、ウイルスのパッケージングに必要な蛋白質をコードする遺伝子の少なくとも1つを欠損している組換えウイルスベクターの該欠損する蛋白質を補給できる細胞であればいかなるものでもよい。例えば、ヒト腎臓由来のHEK293細胞、マウス繊維芽細胞NIH3T3などを用いることができる。パッケージング細胞で補給する蛋白質としては、レトロウイルスベクターの場合はマウスレトロウイルス由来のgag、pol、envなど、レンチウイルスベクターの場合はHIVウイルス由来のgag、pol、env、vpr、vpu、vif、tat、rev、nefなど、アデノウイルスベクターの場合はアデノウイルス由来のE1A、E1Bなど、アデノ随伴ウイルスの場合はRep(p5,p19,p40)、Vp(Cap)などの蛋白質があげられる。
ウイルスベクターとしては、上記パッケージング細胞において組換えウイルスが生産でき、標的細胞で対象DNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。プラスミドベクターとしてはMFG[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,6733−6737(1995)]、pBabePuro[Nucleic Acids Res.,18,3587−3596(1990)]、LL−CG、CL−CG、CS−CG、CLG[Journal of Virology,72,8150−8157(1998)]、pAdex1[Nucleic Acids Res.,23,3816−3821(1995)]等が用いられる。プロモーターとしては、ヒト組織中で機能するものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショック蛋白質プロモーター、SRαプロモーター等をあげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
パッケージング細胞への組換えウイルスベクターの導入法としては、例えば、リン酸カルシウム法〔特開平2−227075号公報〕、リポフェクション法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)]等をあげることができる。
また、上記組換えウイルスベクターの投与方法としては、上記の方法に加え、リポソームデリバリーを用いる直接的イン・ビボ(in vivo)遺伝子移入と組み合わせることにより、膵臓病巣にウイルスベクターを指向させるようにすることもできる。すなわち、適当なサイズの対象DNAを、アデノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン−コンジュゲート抗体と組み合わせてコンプレックスを作製し、得られたコンプレックスをアデノウイルスベクターに結合させることにより、ウイルスベクターを調製することができる。該ウイルスベクターは安定に標的細胞に到達し、エンドソームにより細胞内に取り込まれ、細胞内で分解され効率的に遺伝子を発現させることができる。
本発明においては、対象DNAあるいはsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクターは非ウイルス遺伝子移入法によっても病巣に輸送することができる。
当該分野で公知の非ウイルス遺伝子移入法には、リン酸カルシウム共沈法[Virology,52,456−467(1973);Science,209,1414−1422(1980)]、マイクロインジェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,5399−5403(1980);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,7380−7384(1980);Cell,27,223−231(1981);Nature,294,92−94(1981)]、リポソームを介した膜融合−介在移入法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413−7417(1987);Biochemistry,28,9508−9514(1989);J.Biol.Chem.,264,12126−12129(1989);Hum.Gene Ther.,,267−275,(1992);Science,249,1285−1288(1990);Circulation,83,2007−2011(1992)]あるいは直接DNA取り込みおよび受容体−媒介DNA移入法[Science,247,1465−1468(1990);J.Biol.Chem.,266,14338−14342(1991);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,3655−3659(1991);J.Biol.Chem.,264,16985−16987(1989);BioTechniques,11,474−485(1991);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,3410−3414(1990);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,4255−4259(1991);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,4033−4037(1990);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,8850−8854(1991);Hum.Gene Ther.,,147−154(1991)]等をあげることができる。
リポソームを介した膜融合−介在移入法ではリポソーム調製物を標的とする組織に直接投与することにより、当該組織の局所的な遺伝子の取り込みおよび発現が可能であることが腫瘍に関する研究において報告されている[Hum.Gene Ther.,399−410(1992)]。したがって同様の効果が膵臓病巣でも期待される。DNAを膵臓病巣に直接標的化するには、直接DNA取り込み技術が好ましい。受容体−媒介DNA移入は、例えば、ポリリジンを介して、蛋白質リガンドにDNA(通常、共有的に閉環したスーパーコイル化プラスミドの形態をとる)をコンジュゲートすることによって行う。リガンドは、標的細胞または組織の細胞表面上の対応するリガンド受容体の存在に基づいて選択する。当該リガンド−DNAコンジュゲートは、所望により、血管に直接注射することができ、受容体結合およびDNA−蛋白質コンプレックスの内在化が起こる標的組織に指向し得る。DNAの細胞内破壊を防止するために、アデノウイルスを同時感染させて、エンドソーム機能を崩壊させることもできる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
[実施例1]:45株のヒト癌細胞株パネルからなる抗癌剤に対する感受性試験
細胞株としては、以下の45種類を用いた。個々の引用のないものは以下に記述がある(Yamori,T.,et.al.,Cancer Res,59:4042−4049,1999.)。
乳癌12細胞株:HBC−4,BSY−1,HBC−5,MCF−7,MDA−MB−231,KPL−3C(Kurebayashi,J.,et.al.,Br J Cancer,74:200−207,1996.)KPL−4(Kurebayashi,J.,et.al.,Br J Cancer,79:707−717,1999.),KPL−1(Kurebayashi,J.,et.al.,Br J Cancer,71:845−853,1995.),T−47D(Shiu,R.P.,J Biol Chem,255:4278−4281,1980.),HBC−9,ZR−75−1(Engel,L.W.,et.al.,Cancer Res,38:3352−3364,1978.),HBC−8;
肝癌12細胞株:HepG2(Schwartz,A.L.,et.al.,J Biol Chem,256:8878−8881,1981.;ATCC番号HB−8065),Hep3B(Liu,P.,et.al.,Int J Oncol,16:599−610,2000.;東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターTKG 0291),Li−7(東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターTKG 0368),PLC/PRF/5(MacNab,G.M.,et.al.,Br J Cancer,34:509−515,1976.;ヒューマンサイエンス研究資源バンクJCRB0406),HuH7(Kaneko,S.,et.al.,Cancer Res,55:5283−5287,1995.;ヒューマンサイエンス研究資源バンクJCRB0403),HLE(Dor,I.,et.al.,Gann,66:385−392,1975.;ヒューマンサイエンス研究資源バンクJCRB0404),HLF(Dor,I.,et.al.,Gann,66:385−392,1975.;ヒューマンサイエンス研究資源バンクJCRB0405),HuH6(Tanaka,M.,et.al.,Biochem Biophys Res Commun,110:837−841,1983.;理化学研究所バイオリソースセンターRCB1367),RBE(Fukutomi,M.,et.al.,Cell Biochem Funct,19:65−68,2001.;理化学研究所バイオリソースセンターRCB1292),SSP−25(Fukutomi,M.,et.al.,Cell Biochem Funct,19:65−68,2001.;理化学研究所バイオリソースセンターRCB1293),HuL−1(Sorimachi,K.,et.al.,Cell Struct Funct,13:1−11,1988.;),JHH−1(Fujise,K.,et.al.,Hepatogastroenterology,37:457−460,1990.);
胃癌21細胞株:St−4,MKN1,MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,GCIY(Nozue,M.,et.al.,Hum Cell,4:71−75,1991),GT3TKB(Tamura,G.,et.al.,Jpn J Cancer Res,87:1153−1159,1996),HGC27(Hassan,S.,et.al.,Dig Dis Sci,43:8−14,1998),AZ521(Imanishi,K.,et.al.,Br J Cancer,59:761−765,1989.),4−1st(Morisada,S.,et.al.,Jpn J Cancer Res,80:69−76,1989.),NUGC−3,NUGC−3/5FU(Inaba,M.,et.al.,Jpn J Cancer Res,87:212−220,1996),HSC−42(Nishiyama,M.,et.al.,Int J Cancer,72:649−656,1997),AGS(Barranco,S.C.,et.al.,Cancer Res,43:1703−1709,1983),KWS−1,TGS−11,GMK−2(別名OKIBA),Ist−1(Terashima,M.,et.al.,Jpn J Cancer Res,82:883−885,1991),GMK−3,GMK−5(別名AOTO).
全ての細胞株はRPMI1640(Nissui Pharmaceutical)培地(5%仔牛血清,penicillin(100units/ml),streptomycin(100μg/ml)を含む)中で、37℃、5%CO存在下で培養した。
抗癌剤に対する感受性の評価は増殖抑制により行なった。増殖抑制の測定は、48時間薬剤接触を行った後の細胞内総蛋白質量の変化をsulforhodamine Bアッセイ法により測定した。GI50値(50%の増殖抑制を示す抗癌剤濃度、単位mol/L)の計算は以下の文献に従った(Yamori,T.,et.al.,Cancer Res,59:4042−4049,1999.Monks,A.,et.al.,J Natl Cancer Inst,83:757−766,1991.)。3連の実験のメジアン値をGI50値とした。
用いた51種の抗癌剤の推定作用機構と、45細胞株のそれぞれに対するlog10GI50の絶対値を表1〜5に示す。





45種のヒト癌細胞株の感受性を元に51種の抗癌剤の階層的クラスタリングを行った結果を図1に示す。階層的クラスタリングはGene Springソフトウェア(Silicon Genetics社)により、群平均法(average linkage method)を用いて行った。データ間の距離としては、2抗癌剤間の各細胞のlog10GI50の絶対値の分布から求めたピアソンの相関係数を用いた。
2つの抗癌剤log10GI50の絶対値の分布から求められるその結果、51の薬剤を数個のクラスターに分けることが可能であったが、それぞれのクラスターは類似の作用機構を有する複数の薬剤を含んでいた。例えば、あるクラスターにはカンプトテシン、トポテカンなどのトポイソメラーゼIの阻害剤が、第二のクラスターにはタキサン系抗癌剤(パクリタキセル、ドセタキセル)とビンカアルカロイド系抗癌剤(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン)などの微小管作用薬(tubulin binder)が集まり、5−フルオロウラシルとその誘導体も一つのクラスターに集まった。この結果は、発明者らのこの45細胞を用いるシステムにより、多数の薬剤を作用機構に基づいて分類分けすることが可能であることを示している。
[実施例2]:遺伝子発現プロファイルによる42ヒト癌細胞のクラスタリング
上記45細胞からなるヒト癌細胞パネルのうち、HBC−9、HBC−8、GMK−3の3細胞を除く42細胞株を用いて、3537の遺伝子の発現をcDNAアレイにより測定した。
<cDNAアレイによる遺伝子発現の測定>
cDNAアレイとしては、AtlasTMhuman3.6array(BD Biosciences Clontech社)を用い、2度繰り返した。実験はClontech社の製品説明書に従って行ったが、以下に簡単に述べる。細胞株は対数増殖期に処理し、全RNA(Total RNA)をTrizol試薬(Invitrogen社)を用いて抽出し、RNeasy Kit(Qiagen社)を用いて精製した。精製したTotal RNAをAtlasTMPure Total RNA Labeling System(BD Biosciences Clontech社)を用いた逆転写により32Pで標識したcDNAプローブに変換した。このcDNAプローブは、Atlas Arrayに68℃、一晩、ハイブリダイズし、その後洗浄した。ハイブリダイズ済みのアレイは、PhosphorImager(Molecular Dynamics社)によってスキャンしシグナルを検出した。検出したデータはAtlasTMImage 2.0software(BD Biosciences Clontech社)によって数値化され、全ての遺伝子の90パーセンタイルの値で割算することにより、標準化された。2回の繰り返し実験で2倍以上の異なる値を示した遺伝子は解析から除いた。90パーセンタイルの値の30%の値を閾値と設定し、閾値より低い値に対しては、閾値の値を与えた。このデータ処理を行った後で、2を底として対数値に変換した。
この発現プロファイルの結果を元に、細胞を階層的クラスタリングにより分類した。階層的クラスタリングはGene Springソフトウェア(Silicon Genetics社)により、群平均法を用いて行った。データ間の距離としては、2細胞間の各抗癌剤のlog10GI50の絶対値の分布から求めたピアソンの相関係数を用いた。
クラスタリングの結果を図2に示す。同じ組織由来の細胞株がクラスターを形成する傾向が見られた。即ち、KPL−4を除く乳癌細胞株が一つのクラメターにまとまった。また、肝癌細胞株についても、数個の胃癌細胞株が間に挿入されたものの、HLEを除いて一つにまとまった。胃癌細胞株については、大枠で2つのグループにまとまった。以上の結果は、遺伝子発現プロファイルの結果から見る限り、樹立された細胞株も由来した組織の性質を維持していることを示すものである。
[実施例3]:遺伝子発現プロファイルと抗癌剤に対する感受性の相関解析
抗癌剤に対する感受性に関係する遺伝子群を探索するため、実施例1と実施例2でそれぞれ得られた遺伝子発現と抗癌剤に対する感受性の2つのデータベースを統合し、その相関解析を行った。42の細胞株について、3537遺伝子の発現と51の抗癌剤に対する感受性を用いて、ピアソンの相関係数の包括的な計算を行った。用いた計算式は以下の通りである。

ここで、xは細胞iにおける遺伝子xの発現量対数表示を示し、yは細胞iの抗癌剤yに対する感受性の対数表示の絶対値(|log10GI50|)を示す。xは遺伝子xの発現量の対数表示の平均値(mean)を示し、yは抗癌剤yに対する感受性の対数表示の絶対値(|log10GI50|)の平均値を示す。P値が0.05未満(p〈0.05)のものを有意な相関と見なした。
「P〈0.05かつ全細胞の50%以上で発現が見られる」という制限で、「抗癌剤に対する感受性と有意に相関のある発現を示す遺伝子」を選抜した。51の抗癌剤のそれぞれに対して異なる遺伝子のセットが抽出された。表6から表11には、全42細胞を用いた際の、MMC、ビノレルビン、パクリタキセルに対する感受性と相関する遺伝子のセットを示す。即ち、表6から表11は、抗癌剤に対する感受性と有意に相関する遺伝子のリストを示す。MMC(表6及び表7)、ビノレルビン(表8及び表9)並びにパクリタキセル(表10及び表11)について、42細胞株での相関解析結果を示す。“遺伝子”の欄はHUGO databaseでの遺伝子名を示す。“相関係数”は抗癌剤に対する感受性とその遺伝子の発現の間のピアソンの相関係数の値を示す。表6、8及び10(“感受性”と付記)は、発現が強いと感受性である遺伝子を示し、表7、9及び11(“耐性”と付記)は、発現が強いと耐性である遺伝子を示す。






表6及び表7に示す通り、MMCの場合、20個の遺伝子が感受性遺伝子(感受性株で高発現)、10個の遺伝子が耐性遺伝子(耐性株で高発現)、として選抜された。これらの遺伝子のうち、JUN,EMS1,NMBRは細胞増殖に関係する遺伝子である。他にはSOD1,PELP1,SFRS9など様々な遺伝子が含まれていた。また、表10に示す通り、微小管作用薬であるパクリタキセルにおいては、細胞骨格系に関連するezrinをコードするVIL2遺伝子が選抜された。同様にして、多くの遺伝子がそれぞれの抗癌剤について、感受性あるいは耐性遺伝子として選抜された。
さらに、ピアソンの相関係数による解析を、同じ組織由来の細胞株毎にも行った。MMCに関して、10種の乳癌細胞株、12種の肝癌細胞株、20種の胃癌細胞株において、それぞれ抗癌剤に対する感受性と相関のある遺伝子として選抜された遺伝子群を表12から表14に示す。即ち、表12は乳癌、表13は肝癌、表14−1、2は胃癌において、それぞれマイトマイシンCに対する感受性と発現が相関する遺伝子のリストを示す。カラムの説明は表6から11と同一である。これらの遺伝子群は抗癌剤に対する感受性予測のマーカーとして利用できるものを含む他、あるものは実際に抗癌剤に対する感受性を規定していると考えられる。




また、12種の肝癌細胞株において、マイトマイシンC以外の各種抗癌剤に対する感受性と相関のある遺伝子として選抜された遺伝子群を表15から表18に示す。即ち、肝癌において、表15はパクリタキセル、表16は5−フルオロウラシル、表17はドキソルビシン、表18はシスプラチンそれぞれに対する感受性と発現が相関する遺伝子のリストを示す。カラムの説明は表6から11と同一である。これらの遺伝子群は抗癌剤に対する感受性予測のマーカーとして利用できるものを含む他、あるものは実際に抗癌剤に対する感受性を規定していると考えられる。




[実施例4]:選抜された遺伝子発現のRT−PCR法による検証
実験例3で示したDNAアレイの実験結果から肝癌および胃癌においてMMCに対する感受性と相関があるとして選抜された遺伝子について、RT−PCR法によって検証を行った。
胃癌については表19に示す感受性遺伝子6種、耐性遺伝子7種について特異的PCRプライマーを作製し、RT−PCRにより、それぞれの遺伝子の各胃癌細胞株における発現量を測定し、実施例1で得られたMMCに対する感受性との相関を調べた。RT−PCRは、実施例2で調製したtotal RNA 2μg、RNaseインヒビター、オリゴd(T)16、MuLVリバーストランスクリプターゼを含む反応液を42℃で60分間インキュベートして、cDNAの合成を行い、この反応液の1/10量を鋳型として、各遺伝子特異的PCRプライマーを用いたPCRを行った。PCRは、95℃で5分間加熱後、95℃で1分間(変性)、55〜60℃で1分間(アニーリング)、72℃で1〜2分間(伸長)の反応サイクルを25〜30サイクル繰り返し、72℃で5分間加熱する条件(アニーリング温度、伸長時間、サイクル数は遺伝子により異なる)で行った。
その結果、感受性遺伝子としてTEA domain family member 4(TEAD4,GenBank登録番号:U63824)、Solute Carrier Family 6(SLC6A8,GenBank登録番号:L31409)の2遺伝子が、耐性遺伝子としてProteasome 26S subunit,non−ATPase 8(PSMD8,GenBank登録番号:D38047),cathepsin D(CTSD,GenBank登録番号:M11233),annexin A4(ANXA4,GenBank登録番号:M19383),KDEL endoplasmic reticulum protein retention receptor1(KDELR1,GenBank登録番号:X55885)の4遺伝子に、RT−PCRによって測定された発現量とMMCに対する感受性との相関が認められ、確かに発現と感受性に相関がある遺伝子として確認された(表19)。

また、肝癌については、感受性遺伝子として表20に示す3種について同様に検証したところ、c−jun(JUN,GenBank登録番号:J04111)、cathepsin D(CTSD,GenBank登録番号:M11233)の遺伝子に、RT−PCRによって測定された発現量とMMCに対する感受性との相関が認められ、発現量と感受性との相関が確認された(表20)。

さらに、同じく肝癌においてパクリタキセルの感受性遺伝子候補についても同様にRT−PCRによる検証を行ったところ、感受性遺伝子としてacetylCoA−acetyltransferase(ACAT1,GenBank登録番号:D90228、表15中の順位10)、耐性遺伝子としてbcl−XL(BCL2L1,GenBank登録番号:Z23115、表15中のランク9)について、RT−PCRによって測定された発現量とパクリタキセルに対する感受性との相関が認められ、cDNAアレイによって見出された相関が確認された。
[実施例5]:選抜された遺伝子発現のウェスタンブロットによる検証
実験例3および4で、肝癌において、DNAアレイまたはRT−PCRにより測定した遺伝子の発現量がMMCに対する感受性と相関があることが確認されたカテプシンD(CTSD)について、遺伝子の発現量を、遺伝子産物である蛋白質量をウェスタンブロットにより測定した場合に、遺伝子の発現量とMMCに対する感受性とに相関があるかどうかについて、検証を行った。
細胞をプレートに培養後、PBS(−)で2回洗浄した。プレートから細胞をはがし、溶解バッファー〔62.5mmol/L Tris−HCl pH6.8、2%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、5%(v/v)2−メルカプトエタノール、10%(v/v)グリセロール、1mmol/Lフェニルメチルスルフォニルフルオライド〕中で溶解させた。細胞溶解液の蛋白質濃度をDCプロテインアッセイキット(バイオラッド社)により定量し、10μgの蛋白質を含む細胞溶解液を、10%ポリアクリルアミド−SDSゲル上で電気泳動により分離した。ゲルから蛋白質を膜に移し、以下のようにウェスタンブロットによる解析を行った。蛋白質を移した膜を、1:250に希釈したCTSD特異的マウスモノクローナル抗体Ab−1(オンコジーン・リサーチ・プロダクツ社)と反応させた。膜を洗浄し、さらに1:1000に希釈したホースラディッシュ結合抗マウスIgG抗体(アマシャム・バイオサイエンス社)を反応させた。ECL(エンハンスト・ケミルミネッセンス)検出システム(アマシャム・バイオサイエンス社)を用いて、CTSD蛋白質を検出し、そのシグナル強度を測定した。
CTSD蛋白質のシグナル強度と実施例1で得られたMMCに対する感受性との相関を調べたところ、ピアソンの相関係数は0.862となった。したがって、ウェスタンブロットによって測定されたCTSD遺伝子の発現量とMMCに対する感受性との相関が認められた(図3)。
[実施例6]:抗癌剤の抗癌剤に対する感受性を変化させる遺伝子の同定(1)
抗癌剤に対する感受性を決定する遺伝子を探索するため、細胞増殖の阻害によって抗癌剤に対する感受性の変化を検出できる遺伝子スクリーニングシステムを確立した。遺伝子を細胞に導入することによる抗癌剤に対する感受性の変化を検出するシステムである。細胞増殖の指標としては、[H]−チミジン(thymidine)のとりこみを用いた。わずかな感受性の変化を検出するために、高いトランスフェクション効率が要求される。そこで、90%以上の効率で遺伝子導入が可能なヒト線維芽肉腫細胞株であるHT1080を用いた。
この系を用いて、MMCの抗癌剤に対する感受性を決定する遺伝子のスクリーニングを行った。候補となる遺伝子のcDNAの翻訳領域全長をクローニングし、動物細胞発現ベクターであるpcDNA3.1/myc−HisA(Invitrogen社)にクローニングした。これら発現プラスミドをLipofectamine Plus試薬(Invitrogen社)を用いて、HT1080細胞に導入した。トランスフェクション後24時間後に、適切な濃度のMMCを添加し、さらに24時間培養した。0.067MBqの[H]−チミジンを添加し、37℃で45分間保温した後、予め暖めておいたPBS(−)で洗い、10%TCAで氷上に2時間処理し、細胞を固定した。固定後、細胞を10%TCAで洗い、0.1%SDS/0.2%NaOHで溶解させた。溶解した細胞を37℃で保温した後、0.25M酢酸溶液を加えて中和した。[H]−チミジンの取り込みは、シンチレーションカウンターで測定した。
このシステムの有効性を確認するため、MMCに対する感受性を規定することが知られているDT−diaphorase(Gustafson,D.L.,& Pritsos,C.A.,Cancer Res.,52,6936−6939,1992.)をコードする遺伝子NQO1について調べた。NQO1を導入したHT1080細胞はMMCに対する感受性が上昇した(図4C)。すなわち、このシステムは抗癌剤に対する感受性の変化を検出するのに有効なシステムであると考えられる。
このシステムを用いて、表6及び表12から14に選抜された遺伝子のいずれが、実際に抗癌剤に対する感受性を変化させるかを検討した。その結果、HSP70−1蛋白質をコードしているHSPA1A遺伝子(GenBank登録番号:M11717)の導入が、MMCに対する感受性を有意に上昇させることが示された(図4C)。HSPA1Aの発現は乳癌(図4A、表12)、肝癌(表13)では有意にMMCに対する感受性と相関しているが、胃癌では有意な相関は見られていない(表14)。また、全細胞株の解析で発現とMMCに対する感受性との相関が見られたJUN遺伝子(GenBank登録番号:J04111)(図4B、表6)の導入でも、同じくMMCに対する感受性が有意に上昇した(図4D)。以上の結果はバイオインフォマティクス的アプローチを用いてDNAアレイの実験結果から抽出した結果が、抗癌剤に対する感受性を決定する遺伝子の予測に有効であることを示している。
[実施例7]:抗癌剤の抗癌剤に対する感受性を変化させる遺伝子の同定(2)
抗癌剤に対する感受性を決定する遺伝子を探索するため、遺伝子発現を抑制した場合の抗癌剤に対する感受性の変化を検出するスクリーニングシステムを確立した。以下に、肝癌において、遺伝子発現とMMCに対する感受性の相関が見られたCTSD遺伝子が、感受性決定遺伝子であることを確認した例をあげる。
(1)siRNAによるCTSD発現の抑制の確認
CTSD遺伝子の発現を抑制するための、CTSD特異的なsiRNA(CTSD #271、CTSD #387およびCTSD #400)を以下のようにして調製した。配列番号1〜6の配列それぞれからなるオリゴヌクレオチド〔ダーマコン・リサーチ社(Dharmacon Research Inc.)の委託合成品〕を、それぞれダーマコン・リサーチ社から供給されたバッファーに溶解させ、配列番号1と2、3と4、5と6の組み合わせで混合した。それぞれ、60℃で45分間保温した後、室温に30分置いてアニールさせ、2本鎖オリゴヌクレオチドCTSD #271(センス鎖:配列番号1、アンチセンス鎖:配列番号2)、CTSD #387(センス鎖:配列番号3、アンチセンス鎖:配列番号4)およびCTSD #400(センス鎖:配列番号5、アンチセンス鎖:配列番号6)を生成した。それぞれを沈殿させた後、最終的に20μmol/Lの濃度になるように、1×アニーリング・バッファー〔30mmol/L HEPES−KOH(pH7.9)、100mmol/L酢酸カリウム、2mmol/L酢酸マグネシウム〕に溶解させた。
肝癌細胞株SSP−25を、5%ウシ血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に懸濁させ、6ウェルプレート上に2.5×10個/ウェルずつ分注した。16時間後、上記のsiRNA(CTSD #271、CTSD #387およびCTSD #400)をそれぞれリポフェクトアミン2000(インビトロジェン社)を用いて、最終的にウェルあたり100nmol/Lの濃度で細胞にトランスフェクションした。
siRNAをトランスフェクションしてから48時間後に細胞を回収し、実施例5と同様にして、ウェスタン・ブロットにより細胞のCTSD蛋白質を検出した。その結果、図5に示すように、CTSD #271、CTSD #387およびCTSD #400それぞれを導入した細胞では、CTSD蛋白質がほとんど検出されず、siRNAによりCTSD遺伝子の発現が抑制されていることが確認された。
(2)CTSD発現の抑制によるMMC感受性の変化
(1)と同様にしてCTSD特異的なsiRNA CTSD #400を肝癌細胞株SSP−25にトランスフェクションした。トランスフェクションしてから48時間後に細胞を回収し、96ウェルプレートに1×10個/ウェルずつ分注し、5%FBS、100単位/mLペニシリンおよび100mg/mLストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地100μLで一晩培養した。MMC、パクリタキセル、ドキソルビシンを、MMCおよびドキソルビシンは10−5〜10−9mol/Lの濃度、パクリタキセルは10−6〜10−10mol/Lの濃度になるようにそれぞれ添加して培養した。薬剤を添加してから48時間後に、sulforhodamine Bアッセイ法により細胞の増殖抑制を測定し、抗癌剤に対する感受性を評価した。
その結果、図6Aに示すように、CTSD #400をトランスフェクトしなかったコントロールの細胞と比べ、CTSD #400をトランスフェクトし、CTSD遺伝子の発現を抑制した細胞では、MMCに対する感受性が低下することが確認された。このことから、CTSD遺伝子は、肝癌において、発現を抑制することによりMMCに対する感受性が低下するような感受性決定遺伝子であることが確認された。肝癌においては、CTSD遺伝子の発現は有意にMMCに対する感受性と相関しているが、パクリタキセルおよびドキソルビシンに対する感受性とは有意な相関は見られていない(図7、表13)。CTSD遺伝子の発現を抑制した細胞において、パクリタキセルおよびドキソルビシンに対する感受性には変化はみられなかった(図6B)。
以上の結果はバイオインフォマティクス的アプローチを用いてDNAアレイの実験結果から抽出した結果が、抗癌剤に対する感受性を決定する遺伝子の予測に有効であることを示している。
【産業上の利用可能性】
本発明により、癌患者より取り出された腫瘍細胞及び癌細胞株における、抗癌剤に対する感受性を予測する遺伝子を選抜することができ、それらの遺伝子を用いた癌患者の抗癌剤に対する感受性の判定が可能となる。また、それらの遺伝子を用いて、あるいはそれら遺伝子の発現を制御することにより、抗癌剤に対する感受性を増強することが可能となる。
【配列表】




【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳癌12細胞株(HBC−4,BSY−1,HBC−5,MCF−7,MDA−MB−231,KPL−3C,KPL−4,KPL−1,T−47D,HBC−9,ZR−75−1,HBC−8)、肝癌12細胞株(HepG2,Hep3B,Li−7,PLC/PRF/5,HuH7,HLE,HLF,HuH6,RBE,SSP−25,HuL−1,JHH−1)、及び胃癌21細胞株(St−4,MKN1,MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,GCIY,GT3TKB,HGC27,AZ521,4−1st,NUGC−3,NUGC−3/5FU,HSC−42,AGS,KWS−1,TGS−11,GMK−2(別名OKIBA),Ist−1,GMK−3,GMK−5(別名AOTO))から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用し、該細胞株における少なくとも1以上の遺伝子の発現レベルと抗癌剤に対する感受性の強さとを測定し、それらの相関の有無を統計的に検定することによって、腫瘍細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する方法。
【請求項2】
胃癌21細胞株(St−4,MKN1,MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,GCIY,GT3TKB,HGC27,AZ521,4−1st,NUGC−3,NUGC−3/5FU,HSC−42,AGS,KWS−1,TGS−11,GMK−2(別名OKIBA),Ist−1,GMK−3,GMK−5(別名AOTO))から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用して、胃癌細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
乳癌12細胞株(HBC−4,BSY−1,HBC−5,MCF−7,MDA−MB−231,KPL−3C,KPL−4,KPL−1,T−47D,HBC−9,ZR−75−1,HBC−8)から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用して、乳癌細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
肝癌12細胞株(HepG2,Hep3B,Li−7,PLC/PRF/5,HuH7,HLE,HLF,HuH6,RBE,SSP−25,HuL−1,JHH−1)から選択される癌細胞株の全てあるいは一部を利用して、肝癌細胞の用いた抗癌剤に対する感受性に関わる遺伝子群を同定する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
癌患者の抗癌剤に対する感受性を判定する方法において、
(1)請求項1から4の何れかに記載の方法により同定された遺伝子群から、1以上の遺伝子を選択し、選択された遺伝子の各々について、その発現量に対応した点数を決定する工程、
(2)被験患者について該遺伝子の発現量を測定する工程、
(3)(2)で測定した発現量に基づき(1)で得た点数を割り当てる工程、
(4)選択された全遺伝子について割り当てられた点数を合計して合計値を求める工程、及び
(5)予め決定した閾値と該合計値を比較する工程、
を含む上記方法。
【請求項6】
癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、SF1(D26121)、CBR3(AB004854)、EMS1(M98343)、JUN(J04111)、SFRS9(U30825)、NMBR(M73482)、RBMX(Z23064)、SOD1(M13267)、NOL1(X55504)、PELP1(U88153)、ARHA(L25080)、AARS(D32050)、NME1(X17620)、HNRPA2B1(M29065)、NME2(L16785)、VAT1(U18009)、SERPINB10(U35459)、KIAA0436(AB007896)、DRPLA(D31840)、MC3R(L06155)、SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
【請求項7】
癌患者のビノレルビンに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、ARHA(L25080)、NME2(L16785)、VIL2(X51521)、YWHAQ(X56468)、HK1(M75126)、SATB1(M97287)、CAMLG(U18242)、CARS(L06845)、CCNB1(M25753)、U2AF1(M96982)、PTMA(M26708)、MLC1SA(M31211)、NME1(X17620)、SARS(X91257)、CDC20(U05340)、PPP4C(X70218)、TNFAIP3(M59465)、EEF1D(Z21507)、PFKP(D25328)、ENTPD2(U91510)、CCL5(M21121)、ACAT1(D90228)、IQGAP1(L33075)、PAX5(M96944)、NRGN(Y09689)、K−ALPHA−1(K00558)、NDUFB7(M33374)、HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてビノレルビンに対する感受性を判定する方法。
【請求項8】
癌患者のパクリタキセルに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、ADH6(M68895)、RAB28(X94703)、U2AF1(M96982)、GPC1(X54232)、HK1(M75126)、CARS(L06845)、TNFAIP3(M59465)、K−ALPHA−1(K00558)、PFKP(D25328)、GDI2(D13988)、VIL2(X51521)、RUNX2(AF001450)、NME2(L16785)、CDC20(U05340)、GNAI2(X04828)、ARHA(L25080)、CNR2(X74328)、PPP2R2B(M64930)、SLC6A8(L31409)、DDX9(L13848)、ACAT1(D90228)、PI3(Z18538)、NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてパクリタキセルに対する感受性を判定する方法。
【請求項9】
癌患者の5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)、PLOD(M98252)、CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いて5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法。
【請求項10】
癌患者のドキソルビシンに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)、RPS15A(X84407)、ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてドキソルビシンに対する感受性を判定する方法。
【請求項11】
癌患者のシスプラチンに対する感受性を判定する方法において、癌患者より取り出された腫瘍細胞における、CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてシスプラチンに対する感受性を判定する方法。
【請求項12】
患者が乳癌患者である請求項5から11の何れかに記載の感受性を判定する方法。
【請求項13】
患者が胃癌患者である請求項5から11の何れかに記載の感受性を判定する方法。
【請求項14】
患者が肝臓癌患者である請求項5から11の何れかに記載の感受性を判定する方法。
【請求項15】
乳癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、乳癌患者より取り出された腫瘍細胞における、INHBB(M31682)、NK4(M59807)、HSPA1A(M11717)、LOC54557(AF075050)、CD47(Y00815)、RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
【請求項16】
肝癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、EB1(U24166)、JUN(J04111)、EIF3S8(U46025)、CCL5(M21121)、PHB(S85655)、HSPA1A(M11717)、SPP1(X13694)、RAB7(X93499)、CTSD(M11233)、ACTN1(X15804)、RXRB(M84820)、PSME2(D45248)、HLA−C(M11886)、RPL19(X63527)、MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
【請求項17】
胃癌患者のマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法において、胃癌患者より取り出された腫瘍細胞における、TEAD4(U63824)、NR2C2(U10990)、CSF1(M37435)、RAB28(X94703)、CBR3(AB004854)、NFYC(Z74792)、PGF(X54936)、ERG(M21535)、MLLT1(L04285)、FOS(K00650)、TNFAIP3(M59465)、CNR2(X74328)、DRPLA(D31840)、PSMB5(D29011)、SLC6A8(L31409)、SERPINB10(U35459)、VAT1(U18009)、TJP1(L14837)、PELP1(U88153)、C1QBP(L04636)、CDK10(L33264)、SERPINA6(J02943)、ACTB(X00351)、SFRP4(AF026692)、EMX1(X68879)、RPS9(U14971)、AMD1(M21154)、RPL26(X69392)、HNRPF(L28010)、PTMS(M24398)、STK12(AF008552)、NR2F6(X12794)、GBE1(L07956)、PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてマイトマイシンCに対する感受性を判定する方法。
【請求項18】
肝癌患者のパクリタキセルに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、ALDH3B1(U10868)、SRPK1(U09564)、ALPP(M13077)、EB1(U24166)、MAPKAPK(U12779)、GPI(K03515)、CTBP1(U37408)、HMGCL(L07033)、CAPZ(U03271)、ACAT1(D90228)、COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてパクリタキセルに対する感受性を判定する方法。
【請求項19】
肝癌患者の5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)、PLOD(M98252)、CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いて5−フルオロウラシルに対する感受性を判定する方法。
【請求項20】
肝癌患者のドキソルビシンに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)、RPS15A(X84407)、ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてドキソルビシンに対する感受性を判定する方法。
【請求項21】
肝癌患者のシスプラチンに対する感受性を判定する方法において、肝癌患者より取り出された腫瘍細胞における、CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、請求項5に記載の方法を用いてシスプラチンに対する感受性を判定する方法。
【請求項22】
遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の転写産物であるRNAをDNAマイクロアレイにより定量することにより行う、請求項1から21の何れかに記載の方法。
【請求項23】
遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の転写産物であるRNAを定量的PCRにより定量することにより行う、請求項1から21の何れかに記載の方法。
【請求項24】
遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の転写産物であるRNAをノーザンブロットにより定量することにより行う、請求項1から21の何れかに記載の方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法において使用するための、該RNAに相補的なオリゴヌクレオチドを含む、RNAの定量試薬。
【請求項26】
遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の遺伝子産物である蛋白質を免疫化学的方法により定量することにより行う、請求項1から21の何れかに記載の方法。
【請求項27】
遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の遺伝子産物である蛋白質をELISAにより定量することにより行う、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
遺伝子の発現量の測定を、該遺伝子の遺伝子産物である蛋白質をウエスタンブロットにより定量することにより行う、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法において使用するための、該蛋白質に対する抗体を含む免疫測定試薬。
【請求項30】
SF1(D26121)、CBR3(AB004854)、EMS1(M98343)、JUN(J04111)、SFRS9(U30825)、NMBR(M73482)、RBMX(Z23064)、SOD1(M13267)、NOL1(X55504)、PELP1(U88153)、ARHA(L25080)、AARS(D32050)、NME1(X17620)、HNRPA2B1(M29065)、NME2(L16785)、VAT1(U18009)、SERPINB10(U35459)、KIAA0436(AB007896)、DRPLA(D31840)及びMC3R(L06155)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項31】
ARHA(L25080)、NME2(L16785)、VIL2(X51521)、YWHAQ(X56468)、HK1(M75126)、SATB1(M97287)、CAMLG(U18242)、CARS(L06845)、CCNB1(M25753)、U2AF1(M96982)、PTMA(M26708)、MLC1SA(M31211)、NME1(X17620)、SARS(X91257)、CDC20(U05340)、PPP4C(X70218)、TNFAIP3(M59465)、EEF1D(Z21507)、PFKP(D25328)、ENTPD2(U91510)、CCL5(M21121)、ACAT1(D90228)、IQGAP1(L33075)、PAX5(M96944)、NRGN(Y09689)、K−ALPHA−1(K00558)、NDUFB7(M33374)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって癌細胞に強制発現させることによってビノレルビンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、ビノレルビンに対する感受性増強薬。
【請求項32】
ADH6(M68895)、RAB28(X94703)、U2AF1(M96982)、GPC1(X54232)、HK1(M75126)、CARS(L06845)、TNFAIP3(M59465)、K−ALPHA−1(K00558)、PFKP(D25328)、GDI2(D13988)、VIL2(X51521)、RUNX2(AF001450)、NME2(L16785)、CDC20(U05340)、GNAI2(X04828)、ARHA(L25080)、CNR2(X74328)、PPP2R2B(M64930)、SLC6A8(L31409)、DDX9(L13848)、ACAT1(D90228)及びPI3(Z18538)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって癌細胞に強制発現させることによってパクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、パクリタキセルに対する感受性増強薬。
【請求項33】
SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)及びPLOD(M98252)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによって5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、5−フルオロウラシルに対する感受性増強薬。
【請求項34】
RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)及びRPS15A(X84407)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、ドキソルビシンに対する感受性増強薬。
【請求項35】
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)及びGPC1(X54232)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってシスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、シスプラチンに対する感受性増強薬。
【請求項36】
INHBB(M31682)、NK4(M59807)、HSPA1A(M11717)、LOC54557(AF075050)及びCD47(Y00815)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、乳癌のマイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項37】
EB1(U24166)、JUN(J04111)、EIF3S8(U46025)、CCL5(M21121)、PHB(S85655)、HSPA1A(M11717)、SPP1(X13694)、RAB7(X93499)、CTSD(M11233)、ACTN1(X15804)、RXRB(M84820)、PSME2(D45248)、HLA−C(M11886)及びRPL19(X63527)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のマイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項38】
TEAD4(U63824)、NR2C2(U10990)、CSF1(M37435)RAB28(X94703)、CBR3(AB004854)、NFYC(Z74792)、PGF(X54936)、ERG(M21535)、MLLT1(L04285)、FOS(K00650)、TNFAIP3(M59465)、CNR2(X74328)、DRPLA(D31840)、PSMB5(D29011)、SLC6A8(L31409)、SERPINB10(U35459)、VAT1(U18009)、TJP1(L14837)、PELP1(U88153)、C1QBP(L04636)、CDK10(L33264)、SERPINA6(J02943)、ACTB(X00351)、SFRP4(AF026692)、EMX1(X68879)、RPS9(U14971)、AMD1(M21154)、RPL26(X69392)、HNRPF(L28010)、PTMS(M24398)、STK12(AF008552)、NR2F6(X12794)及びGBE1(L07956)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってマイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、胃癌のマイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項39】
ALDH3B1(U10868)、SRPK1(U09564)、ALPP(M13077)、EB1(U24166)、MAPKAPK(U12779)、GPI(K03515)、CTBP1(U37408)、HMGCL(L07033)、CAPZ(U03271)及びACAT1(D90228)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってパクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のパクリタキセルに対する感受性増強薬。
【請求項40】
SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)及びPLOD(M98252)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによって5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌の5−フルオロウラシルに対する感受性増強薬。
【請求項41】
RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)及びRPS15A(X84407)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のドキソルビシンに対する感受性増強薬。
【請求項42】
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)及びGPC1(X54232)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞に強制発現させることによってシスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子又は該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、肝癌のシスプラチンに対する感受性増強薬。
【請求項43】
遺伝子HSPA1A(GenBank登録番号:M11717)または該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項44】
遺伝子JUN(GenBank登録番号:J04111)または該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項45】
遺伝子CTSD(GenBank登録番号:M11233)または該遺伝子がコードするタンパク質を含有する、マイトマイシンCに対する感受性増強薬。
【請求項46】
細胞に試験物質を添加し、該細胞における
SF1(D26121)、CBR3(AB004854)、EMS1(M98343)、JUN(J04111)、SFRS9(U30825)、NMBR(M73482)、RBMX(Z23064)、SOD1(M13267)、NOL1(X55504)、PELP1(U88153)、ARHA(L25080)、AARS(D32050)、NME1(X17620)、HNRPA2B1(M29065)、NME2(L16785)、VAT1(U18009)、SERPINB10(U35459)、KIAA0436(AB007896)、DRPLA(D31840)及びMC3R(L06155);
ARHA(L25080)、NME2(L16785)、VIL2(X51521)、YWHAQ(X56468)、HK1(M75126)、SATB1(M97287)、CAMLG(U18242)、CARS(L06845)、CCNB1(M25753)、U2AF1(M96982)、PTMA(M26708)、MLC1SA(M31211)、NME1(X17620)、SARS(X91257)、CDC20(U05340)、PPP4C(X70218)、TNFAIP3(M59465)、EEF1D(Z21507)、PFKP(D25328)、ENTPD2(U91510)、CCL5(M21121)、ACAT1(D90228)、IQGAP1(L33075)、PAX5(M96944)、NRGN(Y09689)、K−ALPHA−1(K00558)及びNDUFB7(M33374);
ADH6(M68895)、RAB28(X94703)、U2AF1(M96982)、GPC1(X54232)、HK1(M75126)、CARS(L06845)、TNFAIP3(M59465)、K−ALPHA−1(K00558)、PFKP(D25328)、GDI2(D13988)、VIL2(X51521)、RUNX2(AF001450)、NME2(L16785)、CDC20(U05340)、GNI2(X04828)、ARHA(L25080)、CNR2(X74328)、PPP2R2B(M64930)、SLC6A8(L31409)、DDX9(L13848)、ACAT1(D90228)及びPI3(Z18538);
INHBB(M31682)、NK4(M59807)、HSPA1A(M11717)、LOC54557(AF075050)及びCD47(Y00815);
EB1(U24166)、JUN(J04111)、EIF3S8(U46025)、CCL5(M21121)、PHB(S85655)、HSPA1A(M11717)、SPP1(X13694)、RAB7(X93499)、CTSD(M11233)、ACTN1(X15804)、RXRB(M84820)、PSME2(D45248)、HLA−C(M11886)及びRPL19(X63527);
TEAD4(U63824)、NR2C2(U10990)、CSF1(M37435)、RAB28(X94703)、CBR3(AB004854)、NFYC(Z74792)、PGF(X54936)、ERG(M21535)、MLLT1(L04285)、FOS(K00650)、TNFAIP3(M59465)、CNR2(X74328)、DRPLA(D31840)、PSMB5(D29011)、SLC6A8(L31409)、SERPINB10(U35459)、VAT1(U18009)、TJP1(L14837)、PELP1(U88153)、C1QBP(L04636)、CDK10(L33264)、SERPINA6(J02943)、ACTB(X00351)、SFRP4(AF026692)、EMX1(X68879)、RPS9(U14971)、AMD1(M21154)、RPL26(X69392)、HNRPF(L28010)、PTMS(M24398)、STK12(AF008552)、NR2F6(X12794)及びGBE1(L07956);
ALDH3B1(U10868)、SRPK1(U09564)、ALPP(M13077)、EB1(U24166)、MAPKAPK(U12779)、GPI(K03515)、CTBP1(U37408)、HMGCL(L07033)、CAPZ(U03271)及びACAT1(D90228);
SRPK1(U09564)、OAZ1(D78361)、RPL34(L38941)、ARHB(X06820)、RPS17(M13932)、RPL28(U14969)、TRIP11(L40380)、ZNF75(S67970)、RPL37(D23661)及びPLOD(M98252);
RPS7(M77233)、RPL23(X52839)、CALT(X72946)、EEF1D(Z21507)及びRPS15A(X84407);及び
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)及びGPC1(X54232)
からなる群から選択される少なくとも1以上の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、試験物質を添加しない場合の該遺伝子の発現量と比較して該遺伝子の発現を増加させる物質を、抗癌剤に対する感受性を増強させる候補物質として選択する、抗癌剤に対する感受性を増強させる物質のスクリーニング方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法によって取得された抗癌剤に対する感受性を増強させる物質。
【請求項48】
請求項47に記載の物質を含む、抗癌剤に対する感受性増強薬。
【請求項49】
SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項50】
HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、ビノレルビンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項51】
NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129)からなる群から選択される単独又は複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、パクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項52】
RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項53】
MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項54】
PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、マイトマイシンCに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項55】
COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338)からなる群から選択される単独または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、パクリタキセルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項56】
CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、5−フルオロウラシルに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項57】
ADCY1(L05500)HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、ドキソルビシンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項58】
TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)からなる群から選択される1個または複数の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)であって、癌細胞において該遺伝子の発現を抑制することで、シスプラチンに対する感受性を増強させる活性を示す遺伝子の発現を抑制するsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項59】
請求項49から58の何れかに記載のsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチドを発現するベクター。
【請求項60】
請求項49から58の何れかに記載のsiRNAもしくはアンチセンスポリヌクレオチド又は請求項59に記載のベクターを含有する、抗癌剤に対する感受性増強薬。
【請求項61】
SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490);
HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041);
NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129);
RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689);
MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088);
PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048);
COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338);
CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963);
ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232);及び
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)
からなる群から選択される遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)にコードされる蛋白質に対する抗体を含有する、抗癌剤に対する感受性増強薬。
【請求項62】
細胞に試験物質を添加し、該細胞における
SPTBN1(M96803)、PET112L(AF026851)、CAPN1(X04366)、MEL(X56741)、PACE(X17094)、DVL2(AF006012)、LOC54543(AJ011007)、PAPOLA(X76770)、RPLP2(M17887)、及びARF4L(L38490);
HOXB1(X16666)、F10(K03194)、GPX2(X53463)、NR1I2(AF061056)、ANXA4(M19383)、PDLIM1(U90878)、LIPC(X07228)、SERPINF2(D00174)、HSD17B1(M36263)、MAN2B1(U60266)、LSS(D63807)、PIK3CG(X83368)、DBN1(U00802)、NDUFA4(U94586)、BDH(M93107)、BCL2L1(Z23115)、EEF1B2(X60656)、F2(V00595)、RARA(X06614)、ITGB4(X53587)、IMPA1(X66922)、PACE(X17094)、AGA(M64073)、MVD(U49260)、EHHADH(L07077)、TFPI2(D29992)、MARCKS(M68956)、FGB(J00129)、及びGPD1(L34041);
NAP1L1(M86667)、HOXB1(X16666)、PACE(X17094)、MAN2B1(U60266)、GPX2(X53463)、DBN1(U00802)、ANXA4(M19383)、SERPINF2(D00174)、AGA(M64073)、BCL2L1(Z23115)、LIPC(X07228)、BDH(M93107)、LSS(D63807)、PDLIM1(U90878)、ZNF161(D28118)、UBE2E1(X92963)、TLE1(M99435)、RARA(X06614)、PTPRN(L18983)、APOE(M12529)、F10(K03194)、NR1I2(AF061056)、UBE2L3(X92962)、及びFGB(J00129);
RPN2(Y00282)、ATP50(X83218)、CAST(D50827)、HPCA(D16593)、ZNF9(M28372)、A2LP(U70671)、IL18(D49950)及びNRGN(Y09689);
MAPK6(X80692)、GCSH(M69175)、G22P1(M32865)、USP11(U44839)、ACTB(X00351)、YWHAZ(M86400)、IL10(M57627)、RFC4(M87339)、CRLF1(AF059293)、RPS6(M20020)、EMX1(X68879)及びTK2(U77088);
PSMD8(D38047)、LAMP2(J04183)、CTSD(M11233)、ADORA2B(M97759)、ANXA4(M19383)、PTPRK(Z70660)、RAD23A(D21235)、SDHA(D30648)、PET112L(AF026851)、DAD1(D15057)、HSPB1(X54079)、PSMA6(X61972)、KDELR1(X55885)、B2M(AB021288)、M6PR(M16985)、GCLC(M90656)、SPTBN1(M96803)、PACE(X17094)、RPL24(M94314)、SPINT2(U78095)、STX4A(U07158)、SIAT8B(U33551)、CTSK(U13665)、DCI(U24774)、MEL(X56741)、PITPNB(D30037)、YY1(M76541)、RAB1(M28209)、UBE2L6(AF031141)及びPSMB7(D38048);
COX4AL(AF005888)、RPS27A(X63237)、F2(V00595)、GFAP(J04569)、SCD(Y13647)、YWHAZ(M86400)、GCSH(M69175)、SQLE(D78130)、BCL2L1(Z23115)及びRFC40(M87338);
CD81(M33680)、HNRPC(M16342)、AP2S1(M97074)、GAPD(X01677)、PAFAH1B3(D63391)、GBE1(L07956)、DEK(X64229)、PEA15(X86809)PSMD7(D50063)及びUBE2E1(X92963);
ADCY1(L05500)、HNRPU(X65488)、COX5A(M22760)、U2AF1(M96982)及びRPYR1(U35232);及び
CALT(X72946)、ZNF165(X84801)、GPC1(X54232)、TUBA1(K00558)、GCP2(X78686)、COX5A(M22760)、GLA(X00351)及びGNS(X06956)
からなる群から選択される少なくとも1以上の遺伝子(括弧内はGenBank登録番号を示す)の発現量を測定し、試験物質を添加しない場合の該遺伝子の発現量と比較して該遺伝子の発現を減少させる物質を、抗癌剤に対する感受性を増強させる候補物質として選択する、抗癌剤に対する感受性を増強させる物質のスクリーニング方法。
【請求項63】
請求項62の方法によって取得された抗癌剤に対する感受性を増強させる物質。
【請求項64】
請求項63に記載の物質を含む、抗癌剤に対する感受性増強薬。

【国際公開番号】WO2005/007846
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511779(P2005−511779)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005311
【国際出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【出願人】(000173588)財団法人癌研究会 (34)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】