説明

腫瘍診断と治療のための表面関連抗原の同定

本発明は腫瘍関連遺伝子産物およびそれをコードする核酸の同定に関する。腫瘍関連遺伝子産物が異常に発現している疾患の治療と診断、腫瘍に随伴して発現するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド、ならびに該タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドをコードする核酸も開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
学際的なアプローチや古典的な治療方法の徹底的な使用にもかかわらず、癌は依然、死亡原因の主要な物である。より最近の治療概念は、組換え腫瘍ワクチンおよび他の特異的な処置法(例えば抗体療法のような)を用いることにより、総合的な治療概念の中に患者の免疫系を取り込んで行く方向に向かっている。そのような戦略の成功に必須の条件は、患者の免疫系による腫瘍特異的または腫瘍関連抗原の認識であって、そのエフェクター機能を介入することにより増強することである。腫瘍細胞は、それらの起源である非悪性細胞とは生物学的にかなり異なっている。これらの相違は腫瘍の発達の途中で獲得された遺伝的な変化によるものであり、その結果、とりわけがん細胞中の質的または量的な分子構造が変化することになる。腫瘍を有している宿主の特異的な免疫系によって認識されるこの種の腫瘍関連構造は、腫瘍関連抗原と呼ばれる。
【0002】
腫瘍関連抗原の特異的な認識は、細胞性および体液性の機構が関与しており、それらは、二つの機能的に連結しているユニットである:CD4およびCD8Tリンパ球は、それぞれMHC(主要組織適合複合体)クラスIIおよびIの分子上に提示された処理抗原を認識し、一方Bリンパ球は、未処理抗原と直接結合する循環抗体をつくる。
【0003】
腫瘍関連抗原の臨床上/治療上の潜在的な重要性は、新生細胞上の抗原の免疫系による認識が、細胞傷害性エフェクター機構を開始させ、ヘルパーT細胞の存在下で、がん細胞が除去されるという事実から由来している(Pardoll, Nat. Med. 4:525-31, 1998)。従って、腫瘍免疫学の中心目標は、これらの構造を分子的に規定することである。これらの抗原の分子的な性質は長く謎であった。適切なクローニング技術が開発された後に、細胞傷害T細胞(CTL)の標的構造を分析することにより(van der Bruggen ら, Science 254:1643-7, 1991)、または循環自己抗体をプローブとして用いることにより(Sahinら, Curr. Opin. Immunol. 9:709-16, 1997)、腫瘍のcDNA発現ライブラリーを、腫瘍関連抗原を系統的に求めるスクリーニングを行うことが初めて可能になった。この目的のために、cDNA発現ライブラリーを新鮮な腫瘍組織から調製し、適切な系においてタンパク質として組換え法により発現させた。患者から分離した免疫エフェクター、つまり腫瘍特異的溶解パターンを有するCTLまたは循環自己抗体を、それぞれの抗原をクローニングするために用いた。
【0004】
近年多くの抗原が、これらの方法によって種々の腫瘍において規定された。癌/精巣抗原(CTA)のクラスがここで興味を引く。CTAおよびそれらをコードする遺伝子(癌/精巣遺伝子またはCTG)は、その独特の発現様式によって規定される(Tureciら, Mol Med Today. 3:342-9, 1997)。それらは精巣および胚細胞以外の正常細胞においては存在しないが、多くのヒトの悪性細胞において発現しており、腫瘍のタイプに特異的ではないが、非常に異なった起源の腫瘍実体においては、異なった頻度で発現する(Chen & Old, Cancer J. Sci. Am. 5:16-7, 1999)。CTAに対する血清反応は、健常者コントロールには存在せず、腫瘍を有する患者にのみ存在する。特にこのクラスの抗原は、その組織分布のために、免疫療法プロジェクトにとって特に価値があり、現在患者の臨床試験が行なわれている(Marchandら, Int. J. Cancer 80:219-30, 1999; Knuth ら, Cancer Chemother. Pharmacol. 46:p46-51, 2000)。
【0005】
しかしながら、上に示した古典的な手法における抗原同定に用いられるプローブは、通常既に進行癌を有する患者から得た免疫エフェクター(血中自己抗体またはCTLクローン)である。多くのデータでは、腫瘍がT細胞の寛容化および無反応化を誘導する可能性があること、および疾患の過程において、有効な免疫認識を引き起こすこれらの特異性は特に、免疫エフェクターのレパートリーから失われることを報告している。現在の臨床試験からは、先に発見され利用されている腫瘍関連抗原の真正の活性のいかなる確証も得られていない。従って、自然免疫応答を引き起こすタンパク質が間違った標的構造であった可能性を否定することはできない。
【非特許文献1】Pardoll, Nat. Med. 4:525-31, 1998
【非特許文献2】van der Bruggen ら, Science 254:1643-7, 1991
【非特許文献3】Sahinら, Curr. Opin. Immunol. 9:709-16, 1997
【非特許文献4】Tureciら, Mol Med Today. 3:342-9, 1997
【非特許文献5】Chen & Old, Cancer J. Sci. Am. 5:16-7, 1999
【非特許文献6】Marchandら, Int. J. Cancer 80:219-30, 1999
【非特許文献7】Knuth ら, Cancer Chemother. Pharmacol. 46:p46-51, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、癌の診断と治療のための標的構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従い、この目的は本請求項の主題によって達成される。
【0008】
本発明に従って、腫瘍と関連して発現する抗原およびそれをコードする核酸を同定し提供する戦略を追及した。この戦略は、細胞表面に到達可能な、潜在的癌特異抗原に関するヒトのタンパク質および核酸のデータベースの評価に基づいている。できればタンパク質全てを分析するための高処理量の手法と一緒に、分析に必要となるフィルター基準を規定することが、本発明の中心部となる。データ検索により、一つ以上の膜貫通領域の存在を「遺伝子からmRNAからタンパク質へ」の基本原理に従って全ての既知の遺伝子について調査し、可能な限り完全なリストを最初に作成した。次いで、相同性探索、組織特異的群(特に腫瘍組織)におけるヒット数の分類、およびmRNAが実際に存在するかの検討を行った。最終的に、この方法で同定されたタンパク質を、例えば発現分析およびタンパク質化学的手法により、腫瘍における異常な活性化について評価を行った。
【0009】
データ検索は腫瘍関連遺伝子の同定のための既知の方法である。しかしながら、従来の戦略においては、正常組織ライブラリーの転写産物は、腫瘍組織ライブラリーから電子的に減算されているが、これは残りの遺伝子が腫瘍特異的であるという仮定に基づいている(Schmittら, Nucleic Acids Res. 27:4251-60, 1999; Vasmatzis ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 95:300-4, 1998; Scheurle ら, Cancer Res. 60:4037-43, 2000)。
【0010】
本発明の概念は、非常に成功を収めたものであるが、細胞表面に到達可能な癌特異抗原をコードする全ての遺伝子を電子的に抽出し、前記遺伝子を腫瘍の異所発現について評価する、データ検索の利用に基づいている。
【0011】
本発明は従って一面において、腫瘍において差次的に発現している遺伝子を同定する戦略に関連している。前記戦略は、公表されている配列ライブラリーのデータ検索(「シリコン内」評価)を、その後の試験室での実験評価(実験室評価)調査を組み合わせたものである。
【0012】
本発明によれば、異なったバイオインフォマティックスクリプト(bioinformatic scripts)に基づく組み合わせ戦略によって、細胞表面に到達し得る癌特異抗原をコードする遺伝子の同定が可能になった。本発明によれば、これらの腫瘍関連遺伝子およびそれによってコードされる遺伝子産物は、免疫原性作用とは別に、同定されまた提供される。
【0013】
本発明によって同定される腫瘍関連抗原は、(a)配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体を含む核酸、(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、からなる群から選択される核酸によってコードされるアミノ酸配列を有する。好ましい実施態様において、本発明に従って同定される腫瘍関連抗原は、配列表の配列番号: 1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸によってコードされるアミノ酸配列を有する。更に好ましい実施態様において、本発明に従って同定される腫瘍関連抗原は、配列表の配列番号: 2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部または誘導体配列を含む。
【0014】
本発明は一般的に、治療と診断のために、本発明に従って同定された腫瘍関連抗原、またはその一部またはその誘導体、それをコードする核酸または前記コードする核酸に対して配向される核酸、または本発明に従って同定された腫瘍関連抗原、またはその一部またはその誘導体に対する抗体の使用全般に関する。この利用は、個々に関するものであってもよいし、これらの抗原、機能的断片、核酸、抗体等の二つ以上に関するものでもよく、一つの実施態様においては、診断、治療および進行の制限のための、他の腫瘍関連遺伝子および抗原と組み合わせてもよい。
【0015】
本発明によって同定される、細胞表面にあるいは表面上に局在するという腫瘍関連抗原の性質により、腫瘍関連抗原を治療と診断のための適切な標的あるいは手段として用いることが可能になる。このために特に適しているのは、本発明によって同定された腫瘍関連抗原の一部であって、非膜貫通部分、特に抗原の細胞外の部分でありまたそれを含むものである。それ故、本発明によれば、本発明によって同定された腫瘍関連抗原の一部であって、前記抗原の非膜貫通部に相当する部分、またはそれを含む部分、ないしは本発明によって同定された腫瘍関連抗原をコードする核酸の相当する部分は、治療または診断のために好ましい。同様に、本発明によって同定された腫瘍関連抗原の一部であって、前記抗原の非膜貫通部に相当する部分、またはそれを含む部分に対する抗体の使用が好ましい。
【0016】
治療および/あるいは診断に好ましい疾患は、本発明によって同定された一つ以上の腫瘍関連抗原が、選択的に発現されるかまたは異常に発現される疾患である。
【0017】
本発明は複数の遺伝子産物にも関する、つまり腫瘍に関連して発現され、既知の遺伝子の選択的スプライシング(スプライシングバリアント)による、または別の読み取り枠を利用した別の翻訳による、核酸およびタンパク質またはペプチドにも関する。この態様において、本発明は、配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313による配列からなる群から選択される核酸配列を含む核酸に関する。更にこの態様において、本発明は、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314による配列からなる群か選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに関する。本発明のスプライシングバリアントを、腫瘍疾患の診断および治療のための標的として、本発明に従って用いることができる。
【0018】
非常に異なった機構が、スプライシングバリアントができる原因となるかも知れない。
例えば、以下のような場合である。
− 異なる転写開始部位の使用、
− 追加エクソンの使用、
− 単一のあるいは複数のエクソンからの完全または不完全なスプライシング、
− 突然変異によって変化したスプライシング制御配列(新ドナー/アクセプター配列の欠失または生成)、
− イントロン配列の不完全な除去
【0019】
遺伝子の選択的スプライシングにより、転写配列が変化する(スプライシングバリアント)。変化した配列領域におけるスプライシングバリアントの翻訳は、本来のタンパク質とは構造的にも機能的にも明瞭に異なっているかも知れないタンパク質を生成するかも知れない。腫瘍関連スプライシングバリアントは、腫瘍関連転写物および腫瘍関連タンパク質/抗原を生成するかも知れない。これらは、腫瘍細胞の検出および腫瘍の治療のための標的の両方の分子マーカーとして利用できるかも知れない。例えば血液、血清、骨髄、痰、気管支肺胞洗浄液、体分泌物および組織生検における腫瘍細胞の検出を、例えばスプライシングバリアント特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅をした核酸の抽出後に行ってもよい。
【0020】
本発明によれば、全ての配列依存検出システムは検出に適している。PCRの他にこれらとしては、例えば遺伝子チップ/マイクロアレイシステム、ノーザンブロット、RNアーゼ保護アッセイ(RDA)等が挙げられる。全ての検出系は、少なくとも一つの、スプライシングバリアント特異的核酸配列との特異的なハイブリダイズに基づいている。しかしながら、腫瘍細胞もまた、本発明によって、スプライシングバリアントによってコードされる特異的なエピトープを認識する抗体によって検出してもよい。前記抗体は、前記スプライシングバリアントに特異的であるペプチドを免疫に用いることにより調製できる。この態様において、本発明は特に、配列表の配列番号: 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, および 281から選択される配列を持つまたは含むペプチド、およびそれに対する特異的な抗体に関する。腫瘍細胞の検出は、腫瘍特異的な様式で変質された糖鎖修飾変異体を認識する抗体を用いてもまた達成できる。そのような抗体を作製するために、糖鎖変質に依存して、腫瘍細胞と健常細胞において異なるペプチド領域を利用することができる。この態様において、本発明は特に、配列表の配列番号: 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, および 281から選択される配列を持つまたは含むペプチド、およびそれに対する特異的な抗体に関する。N-カップリング糖残基の内在的な糖鎖除去反応により、アスパラギンはアスパラギン酸に変換している。本発明によって、本明細書に記載されるタンパク質は腫瘍特異的な様式で配列が変化することが可能であり、従って異なった生化学的また抗体結合性質を有する。免疫に適したものとしては、アミノ酸であって、そのエピトープは、健常細胞において産生される遺伝子産物の変異体とは明瞭に異なっているものである。本明細書において、腫瘍細胞の抗体による検出は、患者から採取された試料について行ってもよいし、または画像診断のために抗体を静脈投与してもよい。
【0021】
診断利用に加えて、新しいまたは変化したエピトープを有するスプライシングバリアントは、免疫療法の魅力的な標的である。本発明のエピトープは、治療活性を有するモノクローナル抗体またはT細胞を標的に向けるために利用できるかも知れない。受動的な免疫療法においては、スプライシングバリアントを認識する抗体またはTリンパ球は、本明細書においては、適合移植される。他の抗原の場合のように、これらのエピトープを含むポリペプチドを利用して、標準的な技術(動物ヘの免疫付与、組換え抗体を分離するためのパニング作戦)を用いて抗体を作製させることができる。代わりに、前記エピトープを含むオリゴまたはポリペプチドをコードする核酸を免疫付与に利用することも可能である。インビトロ または インビボでエピトープ特異的なT細胞を生成する種々の技術が知られており、詳細に記述されている(例えばKessler JH, ら. 2001, Sahinら, 1997)、またそれらは同様に、スプライシングバリアント特異的なエピトープを含むオリゴまたはポリペプチドもしくは前記オリゴまたはポリペプチドをコードする核酸の利用に基づいている。スプライシングバリアント特異的なエピトープを含むオリゴまたはポリペプチドもしくは前記オリゴまたは、ポリペプチドをコードする核酸を、能動免疫療法(ワクチン接種、ワクチン療法)における薬剤活性物質として利用されてもよい。
【0022】
腫瘍細胞における遺伝子の異常な発現は、そのプロモーターの変化したメチル化パターンによるものである可能性がある(De Smet C ら, Mol. Cell Biol. 24:4781-90, 2004; De Smet C ら, Mol. Cell Biol. 19:7327-35, 1999; De Smet Cら, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 93:7149-53, 1996)。メチル化におけるこれらの相違は、腫瘍において変化した各遺伝子の状態の間接的なマーカーとして利用することが可能である。従って、プロモーター領域内の基底メチル化の増加または減少を、診断目的に利用可能である。
【0023】
更なる態様において、本発明はまた、糖鎖付加またミリスチン酸付加のような翻訳後に修飾されたタンパク質領域にも関する。この種の修飾により、例えば抗体による抗原のパターンの特異的認識がなされ、また疾患に関連している可能性のある異なった状態の認識が可能になる。特に抗体を用いることにより、抗原のこの識別を診断および治療に利用することができる。特に、抗体によるこの識別を診断および治療的に利用することができる。腫瘍細胞に関して、腫瘍に関連した細胞変性により、翻訳後修飾されることが公表されている(Durand & Seta, Clin Chem 46: 795-805, 2000; Granovskyら, Nat Med 6: 306-312, 2000)。特に糖鎖付加のパターンは腫瘍細胞において大きく変化している。本発明による、これらの特別なエピトープは、診断的に、非発癌性細胞から腫瘍細胞を識別することができる。もし翻訳後修飾可能なエピトープが、正常な非変性細胞において糖鎖付加され、腫瘍細胞において脱糖鎖されているならば、この状況は腫瘍特異的な治療用抗体の開発を本発明の範囲内に入れることになる。
【0024】
タンパク質の修飾の分析はウエスタンブロット法によって行われる。特に、一般的に数kDaの大きさを有する糖鎖の付加により、SDS-PAGEによって分離できる、標的タンパク質の全体質量が増加することになる。特定のO-およびN-グリコシド結合タンパク質の検出のためには、可溶化液を、SDSを用いた変性に先立って、O−およびN−グリコシダーゼ(例えばPNgase、エンドグリコシダーゼF、Roche Diagnostics、の製造業者の指示に従って)と保温する。次いでウエスタンブロット法を行う。標的タンパク質の大きさが減少する場合には、特異的な糖鎖付加は、グリコシダーゼとの保温後、この方法で検出することができ、従って修飾の腫瘍特異性も分析することができる。特に興味のある物は、腫瘍細胞と健常細胞において、特異的に糖鎖されているタンパク質である。そのような差は、しかしながら、今まで数種の表面タンパク質について報告されているに過ぎない(例えばMuc1)。
【0025】
一つの態様において本発明は、本発明によって同定された腫瘍関連抗原を認識し、かつ本発明によって同定された腫瘍関連抗原の発現および異常な発現をする細胞に、好ましくは選択的である薬剤を含む医薬組成物に関する。具体的な実施態様において、前記薬剤は、細胞死、細胞増殖の低下、細胞膜に対する傷害、またはサイトカインの分泌を誘導する可能性があり、好ましくは腫瘍阻害活性を有する。ある一つ実施態様において前記薬剤は、腫瘍関連抗原をコードする核酸と選択的にハイブリダイズするアンチセンス核酸である。更なる実施態様において、前記薬剤は、腫瘍関連抗原と選択的に結合し、特に腫瘍関連抗原と選択的に結合する補体を活性化する抗体であり、または毒素と結合した抗体である。更に別の実施態様においては、前記薬剤は異なった腫瘍関連抗原を選択的に認識する二つ以上の薬剤を含み、少なくとも腫瘍関連抗原の一つは、本発明によって同定された腫瘍関連抗原である。認識は、必ずしも抗原の活性または発現の阻害を直接伴う必要はない。この態様において、抗原の選択性は腫瘍に限られており、好ましくは、エフェクター機構をこの特定の場所にリクルートするための標識として貢献する。ある一つの好ましい実施態様において、前記薬剤はHLA分子上の抗原を認識する細胞障害性T細胞であって、このような標識を有する細胞を溶解する。更なる実施態様において、前記薬剤は、腫瘍関連抗原と選択的に結合する抗体であって、従って天然または人工のエフェクター機構をその細胞に徴募する。更なる実施態様においては、前記薬剤はヘルパーTリンパ球であって、前記抗原を特異的に認識する他の細胞のエフェクター機能を増強する。
【0026】
他の態様において、本発明は、本発明に従って同定される腫瘍関連抗原の発現または活性を阻害する薬剤を含む医薬組成物に関する。好ましい実施態様において、薬剤は、腫瘍関連抗原をコードする核酸に選択的にハイブリダイズするアンチセンス核酸である。別の実施態様において、薬剤は、腫瘍関連抗原に選択的に結合する抗体である。別の実施態様において、薬剤は、異なる腫瘍関連抗原の発現または活性を各々選択的に阻害する2つ以上の薬剤を含み、その少なくとも1つが本発明によって同定される腫瘍関連抗原である。
【0027】
本発明によって同定される腫瘍関連抗原の活性は、タンパク質またはペプチドのあらゆる活性であってもよい。また、このように、本発明の治療および診断方法は、この活性を阻害または低下させること、またはこの活性を試験することも目的とし得る。
【0028】
本発明は、また、投与される際に、HLA分子と本発明によって同定される腫瘍関連抗原からのペプチドエピトープとの間の複合体の量を選択的に増加させる薬剤を含む医薬組成物に関する。一実施態様において、薬剤は、(i)腫瘍関連抗原またはその一部、(ii)前記腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、(iii)前記腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞、および(iv)腫瘍関連抗原のペプチドエピトープとMHC分子との単離複合体、からなる群から選択される1つ以上の成分を含む。一実施態様において、薬剤は、MHC分子と異なる腫瘍関連抗原からのペプチドエピトープとの間の複合体の量を各々選択的に増加させる2つ以上の薬剤を含んでおり、この少なくとも1つが本発明によって同定される腫瘍関連抗原である。
【0029】
本発明は、さらに、(i)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部、(ii)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、(iii)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部と結合する抗体、(iv)本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードする核酸と特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸、(v)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞、および(vi)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部とHLA分子との単離複合体、からなる群から選択される1または複数の成分を含む医薬組成物に関する。
【0030】
本発明に従って同定される腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸は、発現ベクターの医薬組成物中において存在し、かつ機能的に結合してもよい。
【0031】
本発明の医薬組成物中に存在する宿主細胞は、腫瘍関連抗原またはその一部を分泌し、それを表面で発現するかまたはさらに前記腫瘍関連抗原またはその一部に結合するHLA分子を発現するものでもよい。一実施態様において、宿主細胞は、内在的にHLA分子を発現する。更なる実施態様において、宿主細胞は、HLA分子および/または腫瘍関連抗原またはその一部を組換え方法により発現する。宿主細胞は、好ましくは非増殖性である。好ましい実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0032】
本発明の医薬組成物に存在する抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。別の実施態様において、抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体、天然の抗体の断片または合成抗体であり、これらの全てのものは、組換え技術によって提供してもよい。前記抗体は、治療上または診断上有用な薬剤と結合してもよい。
【0033】
本発明の医薬組成物中に存在するアンチセンス核酸は、6〜50、特に10〜30、15〜30および20〜30の配列、本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードする核酸の近接したヌクレオチドを含んでもよい。
【0034】
更なる実施態様において、直接的または核酸の発現を介して本発明の医薬組成物によって提供される腫瘍関連抗原またはその一部は、細胞表面上でMHC分子に結合し、前記結合により、好ましくは細胞溶解性応答をもたらし、および/またはサイトカイン放出を誘導する。
【0035】
本発明の医薬組成物は、医薬的に適合し得る担体および/またはアジュバントを含み得る。アジュバントは、サポニン、GM-CSF、CpGオリゴヌクレオチド、RNA、サイトカインまたはケモカインから選択され得る。本発明の医薬組成物は、選択的に腫瘍関連抗原の選択的発現または異常発現によって特徴付けられる疾患の処置に使用されるのが好ましい。好ましい実施態様において、前記疾患は癌である。
【0036】
本発明は、一つ以上の腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患の治療方法、診断方法またはモニター方法、すなわち退行、経過および/または発症の判定方法に関する。
【0037】
一実施態様において、本発明の治療方法は、本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0038】
本発明の診断方法および/またはモニター方法は、一般的には、(i)腫瘍関連抗原をコードする核酸またはその一部の量および/または(ii)腫瘍関連抗原またはその一部の量および/または(iii)腫瘍関連抗原に対する抗体またはその一部の量および/または(iv)患者から単離された生物学的試料中の腫瘍関連抗原またはその一部に特異的である細胞毒性またはヘルパーTリンパ球の量を検出および/または決定および/またはモニターのための手段の使用に関する。
【0039】
一態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を診断する方法に関する。前記方法は、(i)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の検出および/または(ii)腫瘍関連抗原またはその一部の検出、および/または(iii)腫瘍関連抗原またはその一部に対する抗体の検出および/または(iv)患者から単離された生物学的試料において腫瘍関連抗原にまたはその一部に特異的である細胞毒性またはヘルパーTリンパ球の検出、を含む。特に実施態様において、検出は、(i)生物学的試料を、腫瘍関連抗原またはその部分をコードする核酸、前記腫瘍関連抗原またはその一部、腫瘍関連抗原またはその一部に特異的な抗体あるいは細胞毒性またはヘルパーTリンパ球に特異的に結合する薬剤と接触させること、そして(ii)薬剤と核酸またはその一部、腫瘍関連抗原またはその一部、抗体あるいは細胞毒性またはヘルパーTリンパ球との間の複合体の形成を検出することを含む。一実施態様において、疾患は、二つ以上の腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とし、検出は、二つ以上の腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の検出、二つ以上の腫瘍関連抗原またはその部分の検出、二つ以上の腫瘍関連抗原またはその一部に結合する二つ以上の抗体の検出、または二つ以上の腫瘍関連抗原に特異的な二つ以上の細胞毒性またはヘルパーTリンパ球の検出を含む。別の実施態様において、患者から単離された生物学的試料は、比較し得る正常な生物学的試料と比較される。
【0040】
本発明の診断方法は、個別の腫瘍関連 遺伝子産物のプロモーター領域の変化したメチル化パターンをも利用してもよい。かかるメチル化パターンの検出は、PCRを基にした方法を用いて、制限酵素の補助または配列決定によって実施してもよい。このために適切な方法は、次のようなものであり得る:(1) 患者の組織試料からのDNA抽出、例えばパラフィン包埋物を用いる、(2)重亜硫酸塩含有試薬を用いるDNAの処理(例えば、Clark S.J. ら, Nucleic Acids Res. 22(15):2990-7,1994に記載されている)、(3)PCRによるDNAの増幅、および(4)配列特異的増幅産物の量を決定することによる分析(例えば、定量的PCR、ハイブリダイゼーション技術、例えば、マイクロアレイ法による)。
【0041】
本発明の診断方法は、例えば細胞の移動挙動の試験を通じて転移を予言するために、本発明によって同定される腫瘍関連抗原を予後マーカーとして使用することにも関与することが可能であり、それ故疾患の悪化の経過も予想でき、その他の方法よりも積極的な治療計画をなし得る。
【0042】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患の退行、経過または発病を判定するための方法に関する。この方法は、前記疾患に罹患しているかまたは前記疾患に罹患している疑いのある患者由来の試料を、(i)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の量、(ii)腫瘍関連抗原またはその一部の量、(iii)腫瘍関連抗原またはその一部に結合する抗体の量、および(iv)腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子との複合体に特異的である細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の量からなる群から選択される一以上のパラメータに関して、モニターすることからなる。前記方法は、好ましくは、最初の時点で時間内に第一の試料の一つ以上の該パラメータを、また第二の時点で時間内に更なる試料の一つ以上の該パラメータを決定し、疾患の治療単位を二つの試料を比較することにより決定することからなる。特定の実施態様において、前記疾患は二種類以上の腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とし、モニターは、(i)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその一部をコードする二つ以上の核酸の量、および/または(ii)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその一部の量、および/または(iii)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその一部に結合する二つ以上の抗体の量、および/または(iv)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその部分とMHC分子との間の複合体に特異的な二つ以上の細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の量、をモニターすることからなる。
【0043】
本発明に従って、核酸またはその一部の検出、または核酸またはその一部の量を決定するかモニターすることは、前記核酸またはその一部に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを用いて行うか、あるいは前記核酸またはその部分の選択的増幅によって実施してもよい。一実施態様において、ポリヌクレオチドプローブは、前記核酸の6〜50、特に10〜30、15〜30および20〜30の近接したヌクレオチド配列を含む。
【0044】
本発明の診断方法の特定の実施態様において、本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードし、ゲノムDNAの形態で存在している核酸のプロモーター領域またはその一部は、選択的に増幅された後に重亜硫酸塩含有試薬により処理される。該核酸は、試験されるべき患者の試料から単離され、重亜硫酸塩含有試薬により処理されるのが好ましい。このような増幅において使用されるオリゴヌクレオチドは、重亜硫酸塩含有試薬で処理される核酸と結合する配列を有するのが好ましく、それに完全に相補的であるのが好ましい。該オリゴヌクレオチドは、核酸のメチル化の様々な程度に順応され、区別され得る増幅産物をもたらすのが好ましい。
【0045】
本発明に従って、腫瘍関連抗原またはその一部の検出または、腫瘍関連抗原またはその一部の量を決定しまたはモニターするには、前記腫瘍関連抗原に特異的に結合している抗体またはその一部を用いて実施してもよい。
【0046】
特定の実施態様において、検出すべき腫瘍関連抗原またはその一部はMHC分子、特にHLA分子との複合体中に存在する。
【0047】
本発明に従って、抗体の検出、抗体の量の決定またはモニターは、前記抗体に特異的に結合するタンパク質またはペプチドを用いて実施してもよい。
【0048】
本発明に従って、抗原またはその一部とMHC分子との間の複合体に特異的である細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の検出または細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の量のモニターは、前記抗原または前記その一部とMHC分子との複合体を提示する細胞を用いて実施してもよい。
【0049】
検出または決定またはモニターのために使用されるポリヌクレオチドプローブ、抗体、タンパク質またはペプチドまたは細胞は、好ましくは検出し得る方法で標識される。特定の実施態様において、検出し得るマーカーは、放射性マーカーまたは酵素的マーカーである。さらにTリンパ球は、その増幅、そのサイトカイン産生、およびそのMHCと腫瘍関連抗原またはその一部との間の複合体での特異的刺激によって開始される細胞毒性活性を検出することにより検出してもよい。Tリンパ球は、組換えMHC分子またはその他の一つ以上の腫瘍関連抗原の特定の免疫原性断片を担持し、特異的T細胞レセプターを接触させることによって、特異的Tリンパ球を同定し得る二つ以上の組換えMHC分子の複合体を介して検出し得る。
【0050】
別の態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を治療、診断またはモニターする方法に関しており、この方法は、前記腫瘍関連抗原またはその一部に結合し、治療または診断薬と結合する抗体を投与することを含む。該抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。別の実施態様において、該抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体あるいは天然の抗体の断片である。
【0051】
本発明は、また本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患に罹患している患者の治療方法にも関し、該方法は、(i)前記患者から免疫反応性細胞を含有する試料を取り出すこと、(ii)前記試料と前記腫瘍関連抗原またはその部分を発現する宿主細胞とを、前記腫瘍関連抗原またはその一部に対して細胞溶解性T細胞の産生に好適な条件下で接触させること、そして(iii)腫瘍関連抗原またはその一部を発現する細胞を溶解するのに好適な量の細胞溶解性T細胞を患者に導入することからなる。本発明はまた、腫瘍関連抗原に対する細胞溶解性T細胞のT細胞レセプターのクローニングにも関する。前記レセプターを、所望の特異性を受ける他のT細胞に移してもよく、かつ(iii)にあるように、患者へ導入してもよい。
【0052】
一実施態様において、該宿主細胞は、HLA分子を内在的に発現する。別の実施態様において、宿主細胞は、HLA分子および/または腫瘍関連抗原またはその一部を組換え的に発現する。宿主細胞は、非増殖性のものが好ましい。好ましい実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0053】
別の態様において、本発明は、腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患に罹患している患者を治療する方法に関し、該方法は、(i)本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードし、前記疾患に関連する細胞によって発現する核酸を同定すること、(ii)宿主細胞を該核酸またはその一部でトランスフェクトすること、(iii)該核酸を発現させるために、トランスフェクトした宿主細胞を培養すること(高効率のトランスフェクションが達成された場合、これは必須ではない)、そして(iv)該患者へ、宿主細胞またはその抽出物を、疾患に関連のある患者の細胞に対する免疫応答を増加させるのに好適な量で導入することからなる。該方法は、さらに腫瘍関連抗原またはその一部を提示するMHC分子を同定することからもなり、ここで宿主細胞は同定されたMHC分子を発現し該腫瘍関連抗原またはその一部を提示する。該免疫応答は、B細胞応答またはT細胞応答のいずれでもよい。さらに、T細胞応答は、腫瘍関連抗原またはその一部を提示する宿主細胞に特異的であるか、または該腫瘍関連抗原またはその部分を発現する患者の細胞に特異的である細胞溶解性T細胞および/またはヘルパーT細胞の産生を含むものであってもよい。
【0054】
本発明は、また本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を治療する方法にも関し、該方法は、(i)腫瘍関連抗原を異常量で発現する患者からの細胞を同定すること、(ii)該細胞の試料を単離すること、(iii)該細胞を培養すること、および(iv)細胞に対する免疫応答を開始するための適当な量で該細胞を患者に導入することからなる。
【0055】
好ましくは、本発明に従って使用される宿主細胞は、非増殖性であるか、非増殖性にされたものである。腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾病は、特に癌である。
【0056】
本発明は、さらに(a)配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その部分またはその誘導体を含む核酸、(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、からなる群から選択される核酸に関する。本発明は、さらに、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280〜308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体を含むタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸に関する。
【0057】
更なる態様において、本発明は、本発明の核酸のプロモーター配列に関する。これらの配列は、好ましくは発現ベクターにおいて別の遺伝子に機能的に結合してもよく、このように適切な細胞中で前記遺伝子の選択的発現が確実なものとなる。
【0058】
更なる態様において、本発明は、本発明の核酸を含む組換え核酸分子、特にDNAまたはRNA分子に関する。
【0059】
本発明は、本発明の核酸または本発明の核酸を含む組換え核酸分子を含有する宿主細胞に関する。
【0060】
宿主細胞はまた、HLA分子をコードする核酸を含んでもよい。一実施態様において、宿主細胞は、HLA分子を内在的に発現する。別の実施態様において、宿主細胞はHLA分子および/または本発明の核酸またはその一部を組換え発現する。好ましくは、宿主細胞は非増殖性である。好ましい実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0061】
更なるの実施態様において、本発明は、本発明に従って同定された核酸とハイブリダイズし、遺伝子のプローブとして、または「アンチセンス」分子として使用され得るオリゴヌクレオチドに関する。本発明に従って同定される核酸またはその一部とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーまたは要求にかなう試料形態の核酸分子は、本発明に従って同定される核酸に相同的な核酸を見出すために使用してもよい。PCR増幅、サザンおよびノーザンハイブリダイゼーションは、相同的な核酸を見出すために用いてもよい。ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェント条件下で行ってもよく、より好ましくは中程度のストリンジェント条件、最も好ましくは高ストリンジェント条件下で実施してもよい。本発明の「ストリンジェント条件」という用語は、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す。
【0062】
更なる態様において、本発明は、
(a)配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その部分またはその誘導体を含む核酸、(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、からなる群から選択される核酸によってコードされるタンパク質またはポリペプチドに関する。好ましい実施態様において、本発明は、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280〜308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含むタンパク質またはポリペプチドに関する。
【0063】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の免疫原性断片に関する。前記断片は、好ましくはヒトHLAレセプターまたはヒト抗体に結合する。本発明の断片は、好ましくは、少なくとも6、特に少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30または少なくとも50のアミノ酸の配列を含む。
【0064】
この態様において、本発明は特に、配列番号:282〜308からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体を有するまたは含むペプチドに関する。
【0065】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原、またはその一部に結合する薬剤に関する。好ましい実施態様において、該薬剤は抗体である。別の実施態様において、抗体は、キメラ、ヒト化抗体または組換え技術によって提供される抗体または抗体の断片である。更に、本発明は、(i)本発明によって同定される腫瘍関連複合体またはその一部、および(ii)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部が結合するMHC分子、との複合体に選択的に結合する抗体に関する。ここで前記抗体は(i)のみまたは(ii)のみとは結合しない。本発明の抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。更なる実施態様において、該抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体または天然の抗体の断片である。
【0066】
本発明は、更に、本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部または本発明の抗体に結合する本発明の薬剤と、治療薬または診断薬との結合体に関する。一実施態様において、治療薬または診断薬は毒素である。
【0067】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を検出するためのキットに関し、該キットは以下の検出のための薬剤を含む:(i)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、(ii)腫瘍関連抗原またはその一部、(iii)腫瘍関連抗原またはその一部に結合する抗体、および/または(iv)腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子との複合体に特異的であるT細胞。一実施態様において、核酸またはその一部の検出のための薬剤は、前記核酸の選択的増幅のための核酸分子であり、これは、前記核酸の特に6〜50、特に10〜30、15〜30又は20〜30の近接ヌクレオチド配列を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
本発明に従って、腫瘍細胞において選択的または異常に発現し、腫瘍関連抗原である遺伝子について説明する。
【0069】
本発明に従って、これらの遺伝子および/またはその遺伝子産物および/またはその誘導体および/またはそれらの部分は、治療のアプローチのための好ましい標的構造である。概念的に、前記治療アプローチは、選択的に発現した腫瘍関連遺伝子産物の活性を阻害することを目的としてもよい。これは、前記異常型の各々の選択的発現が、腫瘍病原性に機能的に重要である場合、そしてそのライゲーションが対応する細胞の選択的ダメージを伴う場合に有用である。他の治療概念は、腫瘍関連抗原を、腫瘍細胞に選択的に細胞傷害能を有するエフェクター機構をリクルートする標識として考えるものである。ここでは、標的分子それ自身の機能および腫瘍進行におけるその役割は、完全に無関係である。
【0070】
本発明によれば、核酸の「誘導体」は、一つ又は複数のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加が前記核酸中に存在することを意味する。更に、「誘導体」という用語は、ヌクレオチドの塩基、糖またはリン酸における核酸の化学的誘導体化も含む。「誘導体」という用語はまた、ヌクレオドおよび天然には生じないヌクレオド類似体を含む核酸を含む。
【0071】
本発明によれば、核酸は、好ましくはデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)である。本発明による核酸は、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、組換え産生および化学合成された分子を含む。本発明に従って、核酸は、一本鎖または二本鎖および直鎖状でもよいし共有結合により閉環した分子であってもよい。
【0072】
本発明に記載された該核酸は、単離されるのが好ましい。「単離核酸」という用語は、本発明に従って、該核酸が、(i)インビトロで、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅されること、(ii)クローニングによって組換え産生されること、(iii)例えば、切断およびゲル電気泳動分画によって精製されること、あるいは(iv)例えば、化学的に合成されるということ、を意味する。単離核酸は、組換えDNA技術による操作について利用し得る核酸である。
【0073】
もし2つの配列が、ハイブリダイズでき、互いに安定な二本鎖を形成することができる場合、一つの核酸は、別の核酸と「相補的」であるが、ここでハイブリダイゼーションは好ましくはポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能とする条件(ストリンジェント条件)下で行う。ストリンジェント条件は、例えばA Laboratory Manual, J. Sambrook ら, Editors, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989 または Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel ら, Editors, John Wiley & Sons, Inc., New York、に記載されており、例えば、65℃でハイブリダイゼーション緩衝液(3.5xSSC、0.02% フィコール、0.02% ポリビニルピロリドン、0.02% 牛血清アルブミン、2.5 mM NaHPO(pH7)、0.5% SDS、2 mM EDTA)中でのハイブリダイゼーションに言及している。SSCは、0.15 M 塩化ナトリウム/0.15M クエン酸ナトリウム、pH7である。ハイブリダイゼーション後に、DNAが転移した膜を以下の条件で洗浄する:2×SSC中で室温、次いで0.1〜0.5×SSC/0.1×SDS中で68℃までの温度。
【0074】
本発明によれば、相補的核酸は、少なくとも40%、特に少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%および好ましくは少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%、同一のヌクレオチドを有する。
【0075】
腫瘍関連抗原をコードする核酸は、本発明に従って、単独または他の核酸、特に異種核酸と組み合わせて存在してもよい。好ましい実施態様において、核酸は、該核酸と同種であっても異種であってもよい発現制御配列または調節配列に機能的に結合してもよい。コード配列および調節配列は、該コード配列の発現または転写が該調節配列の制御あるいは影響下となるように互いに共有結合している場合、互いに「機能的に」結合している。もし該コード配列が翻訳されて機能的タンパク質となるようになっているならば、調節配列が該コード配列に機能的に結合しており、該調節配列の誘導の結果、前記コード配列の転写が起き、コード配列または前記コード配列において所望のタンパク質またはペプチドへと翻訳することができないフレームシフトの原因とはならない。
【0076】
「発現制御配列」または「調節配列」という用語は、本発明によれば、プロモーター、エンハンサーおよびその他の遺伝子発現を調節するコントロール要素を含む。本発明の特定の実施態様において、発現制御配列は調節することができる。調節配列の正確な構造は、種または細胞タイプに応じて変わり得るが、一般的にはそれぞれ転写および翻訳の開始に関連のある5’非転写および5’非翻訳配列、例えばTATAボックス、キャップ配列、CAAT配列などを含む。より具体的には、5’非転写調節配列は、機能的に結合した遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を包含するプロモーター領域を含む。調節配列は、エンハンサー配列または上流アクチベーター配列をも含んでもよい。
【0077】
従って、一方で、本明細書に記載する腫瘍関連抗原は、あらゆる発現制御配列とプロモーターとを組み合せてもよい。しかし、他方では、本発明に従って本明細書中に記載の腫瘍関連遺伝子産物のプロモーターは、その他の遺伝子と組み合わせてもよい。これにより、これらのプロモーターの選択的活性を利用することができる。
【0078】
本発明によれば、核酸は、さらに宿主細胞由来の該核酸によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの分泌を制御するポリペプチドをコードする別の核酸と組合せて存在してもよい。本発明によれば、核酸はコードされるタンパク質またはポリペプチドが宿主細胞の細胞膜にアンカーされるように、あるいは該細胞の特定のオルガネラに区画化されるようにするポリペプチドをコードする別の核酸と組み合わせて存在してもよい。同様に、核酸はレポーター遺伝子またはいかなる「タグ」と組み合わせることもできる。
【0079】
好ましい実施態様において、本発明による組換えDNA分子はベクターであり、適しているのは、例えば本発明の腫瘍関連抗原をコードする核酸の発現を制御するプロモーターを伴っている。「ベクター」という用語は、そのもっとも一般的な意味において、本明細書で使用され、前記核酸が例えば原核生物および/または真核生物細胞に導入され、必要に応じてゲノムに組み込まれるのを可能にする、核酸のためのあらゆる中間媒体を含む。この種のベクターは、細胞中で複製されたおよび/または発現されるのが好ましい。中間媒体は、例えばエレクトロポーレーション、微粒子銃、リポソーム投与、アグロバクテリアによる移入またはDNAまたはRNAウイルスを介する挿入において、使用するのに適用してもよい。ベクターは、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージまたはウイルスゲノムを含む。
【0080】
本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードする核酸を、宿主細胞のトランスフェクションに使用してもよい。ここで、核酸は、組換えDNAとRNAの両方を意味する。組換えRNAは、DNAテンプレートのインビトロ転写により調製してもよい。さらに、使用前に安定化配列、キャップおよびポリアデニル化によって修飾してもよい。
【0081】
本発明によれば、「宿主細胞」という用語は、外来核酸を用いて形質転換またはトランスフェクトされ得るあらゆる細胞を含む。この用語「宿主細胞」は、本発明によれば、原核(例えば、E.coli)または真核生物細胞(例えば、樹状細胞、B細胞、CHO細胞、COS細胞、K562細胞、酵母細胞および昆虫細胞)を含む。特に好ましいのは、哺乳動物細胞、例えばヒト、マウス、ハムスター、ブタ、ヤギ、霊長類由来細胞である。該細胞は、多様な組織タイプ由来であってよく、一次細胞および細胞株を含むことができる。具体的な例には、ケラチノサイト、末梢血白血球、骨髄の幹細胞および胚幹細胞を含む。更なる実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。核酸は、宿主細胞中に1コピーまたは2コピー以上の形態で存在でき、一実施態様においては、宿主細胞中で発現される。
【0082】
本発明によれば、「発現」という用語は、その最も一般的な意味で使用され、RNAまたはRNAおよびタンパク質の産生を含む。また核酸の部分的発現をも含む。さらに、発現は、一過性であってもよくまたは安定的であってもよい。哺乳動物細胞における好ましい発現系は、pcDNA3.1およびpRc/CMV(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含み、そのような発現系は、G418に耐性を付与する遺伝子(したがって、安定にトランスフェクトされた細胞系を選択できる)のような選択マーカー、およびサイトメガロウイルス(CMV)のエンハンサー−プロモーター配列を含む。
【0083】
HLA分子が腫瘍関連抗原またはその一部を提示する本発明の場合では、発現ベクターは、また前記HLA分子をコードする核酸配列を含んでいてもよい。HLA分子をコードする核酸配列は、腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸と同じ発現ベクター上に存在してもよいし、または両方の核酸が、異なる発現ベクター上に存在してもよい。後者の場合、2つの発現ベクターを細胞に共トランスフェクトすればよい。宿主細胞が腫瘍関連抗原またはその一部、またはHLA分子のどちらも発現しない場合、それらをコードする両核酸は、同じ発現ベクターまたは異なる発現ベクターで細胞にトランスフェクトされる。細胞がHLA分子をすでに発現している場合、腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸配列のみを、細胞にトランスフェクトすればよい。
【0084】
本発明は、腫瘍関連抗原をコードする核酸の増幅のためのキットも含む。かかるキットは、例えば、腫瘍関連抗原をコードする核酸にハイブリダイズする一対の増幅プライマーを含む。プライマーは、好ましくは、核酸の近接ヌクレオチドの6〜50、特に10〜30、15〜30および20〜30の配列を含み、かつプライマーダイマーが形成されないようにオーバーラップしないものである。プライマーの一方は腫瘍関連抗原をコードする核酸の一方の鎖にハイブリダイズし、他方のプライマーは腫瘍関連抗原をコードする核酸の増幅を可能とする配置において相補鎖にハイブリダイズする。
【0085】
「アンチセンス」分子または「アンチセンス」核酸は、核酸の発現を制御、特に減少させるために使用してもよい。「アンチセンス分子」または「アンチセンス核酸」という用語は、本発明によると、オリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、修飾オリゴリボヌクレオチドまたは修飾オリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドであって、生理条件下で特定の遺伝子を含むDNAあるいは前記遺伝子のmRNAにハイブリダイズするものをいい、それによって、前記遺伝子の転写および/または前記mRNAの翻訳が阻害される。本発明によれば、この「アンチセンス分子」は、その本来のプロモーターに関して逆配向の核酸またはその一部を含む構造体も含む。核酸またはその一部のアンチセンス転写産物は酵素を規定する天然のmRNAと二本鎖を形成することが出来、したがってmRNAの蓄積または活性な酵素への翻訳を阻害することができる。別の可能性は、核酸を不活性化するためのリボザイムの使用である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明に従って、標的核酸の6〜50、特に10〜30、15〜30および20〜30の近接するヌクレオチドの配列を有し、好ましくは標的核酸またはその部分に完全に相補的である。
【0086】
好ましい実施態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、N末端または5’上流部位、例えば、翻訳開始部位、転写開始部位またはプロモーター部位とハイブリダイズする。別の実施態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3’非翻訳領域またはmRNAスプライシング部位とハイブリダイズする。
【0087】
一実施態様において、本発明のオリゴヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはその組み合わせからなり、一つのヌクレオチドの5’末端ともう一つのヌクレオチドの3’末端が互いにホスホジエステル結合で結合している。これらのオリゴヌクレオチドは、通常の方法によって合成してもよいし、組換え産生してもよい。
【0088】
好ましい実施態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、「修飾」オリゴヌクレオチドである。ここで、オリゴヌクレオチドは、その標的への結合能力を阻害しないで、様々に修飾して、例えばその安定性または治療効果を増加させてもよい。本発明によれば、「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は以下のオリゴヌクレオチドを意味する:(i)少なくともそのヌクレオチドの2つが互いに合成内部ヌクレオシド結合(即ち、ホスホジエステル結合ではない内部ヌクレオシド結合)により結合している、および/または
(ii)核酸において通常みられない化学基がオリゴヌクレオチドに共有結合している。
好ましい合成内部ヌクレオシド結合は、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミダイト、カーバメート、カーボネート、ホスフェートトリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよびペプチドである。
【0089】
「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は、また共有結合により修飾された塩基および/または糖を有するオリゴヌクレオチドを含む。「修飾オリゴヌクレオチド」は、例えば、3’位のヒドロキシル基および5’位のホスフェート基以外の低分子量有機基に共有結合した糖残基を有するオリゴヌクレオチドを含む。修飾オリゴヌクレオチドは、例えば、2’−O−アルキル化リボース残基またはリボース以外のその他の糖、例えばアラビノースを含んでもよい。
【0090】
好ましくは、本発明に記載のタンパク質およびポリペプチドは単離されたものである。「単離タンパク質」または「単離ポリペプチド」という用語は、タンパク質またはポリペプチドが、その天然環境から分離されていることを意味する。単離タンパク質またはポリペプチドは実質的に精製された状態であってもよい。「実質的に精製された」という用語は、タンパク質またはポリペプチドが、自然またはインビボでそれらが結合しているその他の物質を実質的に含まないということを意味する。
【0091】
このようなタンパク質およびポリペプチドは、例えば、抗体の産生、免疫学的または診断アッセイにおいておよび治療薬として利用できる。本発明に記載のタンパク質およびポリペプチドは、生物学的試料、例えば組織または細胞ホモジネートから単離されたものでもよく、様々な原核または真核発現系において組換え発現させたものでもよい。
【0092】
本発明の目的のために、タンパク質またはポリペプチドまたはアミノ酸配列の「誘導体」は、アミノ酸挿入変異体、アミノ酸欠失変異体および/またはアミノ酸置換変異体を含む。
【0093】
アミノ酸挿入変異体は、アミノ−および/またはカルボキシ−末端融合を含み、また、一つまたは二つ以上のアミノ酸の特定のアミノ酸配列への挿入も含む。挿入を有するアミノ酸配列変異体の場合には、一つ以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列の特定の部位に挿入されているが、結果的に得られる産物の適当なスクリーニングを伴うランダム挿入も可能である。アミノ酸欠失変異体は配列からの一つ以上のアミノ酸の欠如を特徴とする。アミノ酸置換変異体は配列における少なくとも1残基が除去され、別の残基がその位置に挿入されていることによって特徴づけられる。相同的タンパク質またはポリペプチド間で保存されていないアミノ酸配列における位置の修飾が好ましい。アミノ酸を、類似の特性、例えば疎水性、親水性、電気陰性度、側鎖の大きさなどの特性が類似している別のアミノ酸への置換(保存的置換)する事が好ましい。保存的置換は、例えば置換すべきアミノ酸と同じ群に属する以下に挙げる別のアミノ酸による交換に関する:
1.小さな脂肪族、非極性またはわずかな極性残基:Ala、Ser、Thr(Pro、Gly)
2.陰性荷電残基およびそのアミド:Asn、Asp、Glu、Gln
3.陽性荷電残基:His、Arg、Lys
4.大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys)
5.大きな脂肪族残基:Phe、Tyr、Trp。
【0094】
タンパク質構造の特異な部分であることから、三つの残基を括弧内に示す。Glyは、側鎖を有さない唯一の残基であり、このため側鎖に可撓性を与える。Proは、鎖を大幅に制限する例外的な幾何学的構造をとる。Cysは、ジスルフィド結合を形成し得る。
【0095】
上記アミノ酸変異体は、既知のペプチド合成技術、例えば固相合成(Merrifield, 1964)および類似方法、または組換えDNA操作によって容易に調製できる。予め決定した位置で置換突然変異の、配列既知のまたは部分的に既知のDNAへの導入技術は、よく知られており、例えばM13突然変異誘発などを含む。置換、挿入または欠失を有するタンパク質を調製するためのDNA配列の操作は、例えば、Sambrook ら(1989)に詳細に記載されている。
【0096】
本発明によると、タンパク質またはポリペプチドの「誘導体」は、酵素に関連するあらゆる分子の1つまたは複数の置換、欠失および/または付加が含まれ、このような分子としては、炭水化物、脂質および/またはタンパク質またはポリペプチドが挙げられる。「誘導体」という用語は、該タンパク質またはポリペプチドのあらゆる機能的化学的等価物にも含む。
【0097】
本発明によれば、腫瘍関連抗原の一部または断片は、それが由来するポリペプチドの機能特性を有する。このような機能特性は、抗体との相互作用、他のポリペプチドまたはタンパク質との相互作用、核酸の選択的結合および酵素活性があげられる。特有の性質は、HLAとの複合体を形成する能力であり、適当な条件下で、免疫応答が導かれる。この免疫応答は、細胞毒性またはヘルパーT細胞の刺激に基づいているかも知れない。本発明の腫瘍関連抗原の一部または断片は、腫瘍関連抗原の少なくとも6、特に少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30または少なくとも50の近接したアミノ酸の配列を含むのが好ましい。腫瘍関連抗原の一部または断片は、非膜部分、特に抗原の細胞外部分に対応するか、またはそれらを含む腫瘍関連抗原の一部が好ましい。
【0098】
腫瘍関連抗原をコードする核酸の一部または断片は、本発明によれば、上記に定義したとおりに、少なくとも腫瘍関連抗原および/または該腫瘍関連抗原の一部または断片をコードする核酸の部分に関する。好ましくは、腫瘍関連抗原をコードする核酸の一部または断片は、オープンリーディングフレームに対応する一部分、特に配列表に示したようなものである。
【0099】
腫瘍関連抗原をコードする遺伝子の単離および同定は、一または複数の腫瘍関連抗原の発現を特徴とする疾患の診断を可能とする。これら方法は、腫瘍関連抗原をコードする一または複数の核酸を決定すること、および/またはコードされる腫瘍関連抗原および/またはそれに由来するペプチドを決定することを含む。核酸は通常の方法によって判定でき、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応または標識化プローブによるハイブリダイゼーションを含む。腫瘍関連抗原またはそれに由来するペプチドは、抗原および/またはペプチドの認識について患者の抗血清をスクリーニングすることによって決定できる。それはまた、対応する腫瘍関連抗原に対する特異性について患者のT細胞をスクリーニングすることによっても決定できる。
【0100】
本発明はまた本明細書に記載する腫瘍関連抗原に結合するタンパク質の単離も可能にし、これには抗体および該腫瘍関連抗原の細胞結合パートナーが含まれる。
【0101】
本発明によると、特定の実施態様は、腫瘍関連抗原由来のドミナントネガティブポリペプチドを提供することを包含する。ドミナントネガティブポリペプチドは不活性タンパク質変異体であって、細胞機構と相互作用することにより、細胞性機構とのその相互作用から活性なタンパク質を置換するか、または活性なタンパク質と競合し、それにより該活性タンパク質の効果を低下させる。例えば、リガンドに結合するが、リガンドに結合する反応としてのいかなるシグナルも生成しないドミナントネガティブレセプターは、該リガンドの生理効果を低下させるかも知れない。同様に、通常標的タンパク質と相互作用するが該標的タンパク質をリン酸化しないドミナントネガティブである触媒的に不活性なキナーゼは、細胞シグナルの応答としての該標的タンパク質のリン酸化を低下させるかも知れない。同様に、遺伝子の制御領域におけるプロモーター部位に結合するが該遺伝子の転写を上昇させないドミナントネガティブな転写因子は、転写を上昇させることなくプロモーター結合部位を占有することによって正常な転写ファクターの効果を低下させるかも知れない。
【0102】
細胞でのドミナントネガティブポリペプチドの発現の結果、活性タンパク質の機能が低下する。当業者は、タンパク質のドミナントネガティブ変異体を、例えば、従来の突然変異生成法によって、そして変異体ポリペプチドのドミナントネガティブ効果を評価することによって製造し得る。
【0103】
本発明は、腫瘍関連抗原と結合するポリペプチド等の物質も含む。そのような結合物質も、例えば、腫瘍関連抗原および腫瘍関連抗原とそれらの結合パートナーとの複合体を検出のためのスクリーニングアッセイにおいて、および前記腫瘍関連抗原ならびにその結合パートナーとの複合体の精製においてそのような利用することができる。そのような物質は、例えば抗原への結合によって、腫瘍関連抗原の活性の阻害にも用いることができる。
【0104】
それ故に本発明は、腫瘍関連抗原に選択的に結合することができる結合性物質、例えば、抗体または抗体断片を含む。抗体は、通常の方法で提供されるポリクローナルおよびモノクローナル抗体も含む。
【0105】
かかる抗体は、天然および/または変性したタンパク質を認識するかも知れない(Anderson ら, J. Immunol. 143: 1899-1904, 1989; Gardsvoll, J. Immunol. Methods 234: 107-116, 2000; Kayyem ら, Eur. J. Biochem. 208: 1-8, 1992; Spiller ら, J. Immunol. Methods 224: 51-60, 1999)。
【0106】
標的タンパク質と特異的に結合する特定の抗体を含む抗血清は、種々の標準的な方法で調製してもよい、例えば"Monoclonal Antibodies: A Practical Approach" by Phillip Shepherd, Christopher Dean ISBN 0-19-963722-9, "Antibodies: A Laboratory Manual" by Ed Harlow, David Lane ISBN: 0879693142 and "Using Antibodies: A Laboratory Manual: Portable Protocol NO" by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow ISBN: 0879695447を参照のこと。本明細書において、複合膜タンパク質をその未変性の状態で認識する、親和性を有する特異的な抗体を作製することも可能である(Azorsa ら, J. Immunol. Methods 229: 35-48, 1999; Anderson ら, J. Immunol. 143: 1899-1904, 1989; Gardsvoll, J. Immunol. Methods. 234: 107-116, 2000)。このことは、治療用に用いる事を意図した抗体の調製において重要であるのみならず、多くの診断への応用のためにも重要である。この目的のために、全タンパク質、細胞外部配列ならびに生理的な折りたたみ構造を有する標的分子を発現する細胞を、免疫のために用いてもよい。
【0107】
モノクローナル抗体は、伝統的にハイブリドーマ技術を用いて産生されている(技術的な詳細については以下を参照のこと:"Monoclonal Antibodies: A Practical Approach" by Philip Shepherd, Christopher Dean ISBN 0-19-963722-9; "Antibodies: A Laboratory Manual" by Ed Harlow, David Lane ISBN: 0879693142, "Using Antibodies: A Laboratory Manual: Portable Protocol NO" by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow ISBN: 0879695447)。
【0108】
抗体分子の小部分のみが、すなわちパラトープのみが、抗体とそのエピトープとの結合に関与していることが知られている(Clark, W.R. (1986), The Experimental Foundations of Modern Immunology, Wiley & Sons, Inc., New York; Roitt, I. (1991), Essential Immunology, 7th Edition, Blackwell Scientific Publications, Oxfordを参照のこと)。pFc’およびFc領域は、例えば、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合には関与していない。F(ab’)断片として呼ばれるpFc’領域が酵素的に除かれた抗体またはpFc'領域を含まないように産生された抗体は、完全な抗体の両方の抗原結合部位を担持する。同様に、Fab断片と呼ばれる、Fc領域が酵素的に除去されているかまたは該Fc領域を含まないように産生された抗体は、本来の抗体分子の一方の抗原結合部位を担持する。さらに、Fabフラグメントは、共有結合した抗体の軽鎖と該抗体のFdと呼ばれる重鎖の部分からなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主な決定因子であり(1つのFdフラグメントは、抗体の特異性を変化させずに10までの異なった軽鎖と結合できる)、Fdフラグメントは、単離されてもエピトープへの結合能力を保持する。
【0109】
抗体の抗原−結合部分のなかに、抗原エピトープと直接相互作用する相補性決定領域(CDR)およびパラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(FR) が位置する。IgGイムノグロブリンの重鎖のFdフラグメントおよび軽鎖の両方は、3つの相補性決定領域(CDR1からCDR3)によって分断され、4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4)を含有する。CDR、特にCDR3領域は、さらに具体的には重鎖のCDR3領域が、抗体特異性に広範囲に関与し得る。
【0110】
哺乳動物抗体の非CDR領域は、元来の抗体のエピトープに対する特異性を維持したまま同じまたは異なる特異性を有する抗体の類似領域によって置換できることが知られている。このことにより、「ヒト化」抗体の開発が可能となり、非ヒトCDRが、ヒトFRおよび/またはFc/pFc’領域に共有結合して、機能的抗体が作られる。
【0111】
これは「SLAM」技術において利用される。本明細書においては、B細胞を全血から単離し、細胞をモノクローン化する。次いで単離されたB細胞の上清を分析して、抗体の特異性を調べる。ハイブリドーマ技術とは対照的に、抗体遺伝子の可変領域を単一細胞PCRで増幅した後、適当なベクターにクローニングする。この方法により、モノクローナル抗体の産生は加速される(de Wildt ら, J. Immunol. Methods 207:61-67, 1997)。
【0112】
他の例として、WO92/04381では、ヒト化マウスRSV抗体の産生と使用を記載しており、少なくともマウスFR領域の一部がヒト起源のFR領域によって置換された。この種の抗体は、抗原結合能を有するインタクトな抗体の断片を包含し、「キメラ」抗体と呼ばれることが多い。
【0113】
本発明はまた、抗体のF(ab’)、Fab、FvおよびFd断片、Fcおよび/またはFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖-CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列で置換されているキメラ抗体、FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖−CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列で置換されているキメラF(ab’)−断片抗体、FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖-CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列と置換されているキメラFab-断片抗体、FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2領域が相同なヒトまたは非ヒト配列と置換されているキメラFd断片抗体、も提供する。本発明は、「1本鎖」抗体も含む。
【0114】
好ましくは、本発明によって使用される抗体は、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280〜308, 310, 314、その一部またはその誘導体の一つに対する抗体であり、特に配列表の配列番号281〜308の配列のうちの一つに対する抗体であり、および/またはこれらのペプチドを用いる免疫付与によって得られる。
【0115】
本発明は、特異的に腫瘍関連抗原に結合するポリペプチドを含む。この種のポリペプチド結合物質は、例えば、単に溶液中に固定化形態で調製されているかあるいはファージディスプレーライブラリーとして調製され得る縮重ペプチドライブラリーによって提供され得る。同様に、一つ以上のアミノ酸を有するペプチドの組み合わせライブラリーを調製することもできる。ペプトイドおよび非ペプチド合成残基のライブラリーも調製可能である。
【0116】
ファージディスプレイは、本発明の結合性ペプチドを同定する際に、特に有効であるかも知れない。この関連において、例えば、4から約80個のアミノ酸残基長の挿入部分を提示するファージライブラリー(例えば、M13、Fdまたはラムダファージを用いて)を調製する。次いで、腫瘍関連抗原に結合する挿入部分を担持するファージを選別する。この過程は、2サイクル以上を繰り返してもよく、腫瘍関連抗原に結合するファージを再選別する。反復ラウンドは、特定配列を有するファージが濃縮される。DNA配列の分析を行って、発現ポリペプチドの配列を同定し得る。腫瘍関連抗原に結合する配列の最小の直線状部分を決定できる。酵母の「ツーハイブリッドシステム」を用いて、腫瘍関連抗原に結合するポリペプチドを同定してもよい。本発明に従って記載された腫瘍関連抗原またはそのフラグメントを、腫瘍関連抗原のペプチド結合パートナーを同定して選択するために、ファージディスプレーライブラリーを包含するペプチドライブラリーをスクリーニングに使用してもよい。かかる分子は、腫瘍関連抗原の機能干渉のため、および他の当業者に知られた目的のために、例えばスクリーニングアッセイ、精製プロトコールに用いてもよい。
【0117】
上記抗体および他の結合分子は、例えば、腫瘍関連抗原を発現する組織の同定のために使用してもよい。抗体は、腫瘍関連抗原を発現する細胞および組織を提示するために、特定の診断用物質と結合させてもよい。それらはまた、治療上有用な物質と結合されてもよい。診断用物質は、特に制限されないが、例えば硫酸バリウム、ヨーセタム酸、イオパノ酸、カルシウムイポデート、ジアトリゾ酸ナトリウム、ジアトリゾ酸メグルミン、メトリザミド、チロパノ酸ナトリウム、および例えばフッ素−18および炭素−11などの陽電子放射性物質、例えばヨウ素−123、テクネチウム−99m、ヨウ素−131およびインジウム−111などのガンマ放射性物質、例えばフルオリンおよびガドリニウムなどの核磁気共鳴のための核種を含む放射性診断薬、を包含する。本発明によれば、「治療上有用な物質」という用語は、所望の通りに一つ以上の腫瘍関連抗原を発現する細胞に選択的に導かれるあらゆる治療分子を意味し、抗癌剤、放射性活性ヨウ素標識化合物、毒素、細胞増殖抑制剤または細胞溶解剤等を包含する。抗癌剤としては、例えば、アミノグルテチミド、アザチオプリン、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビジン、ダカルバジン 、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、タキソール、エトポシド、フルオロウラシル、インターフェロン-α、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトタン、プロカルバジンHCL、チオグアニン、硫酸ビンブラスチンおよび硫酸ビンクリスチンが含まれる。その他の抗癌剤は、例えばGoodman and Gilman,"The Pharmacological Basis of Therapeutics"、8th Edition、1990、McGraw-Hill、Inc., in paticular Chapter 52 (Antineoplastic Agents (Paul Calabresi and Bruce A. Chabner)に記載されている。毒素は、タンパク質、例えば、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、コレラ毒素、百日咳毒、リシン、ゲロニン、アブリン、ジフテリア外毒素またはシュードモナス外毒素であってもよい。毒素残基は、高エネルギーを放出する放射性核種、例えばコバルト−60であってもよい。
【0118】
「患者」なる用語は、本発明によれば、ヒト、ヒト以外の霊長類またはその他の動物、特に哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類、例えば、マウスおよびラットを意味する。特に好ましい実施態様では、患者はヒトである。
【0119】
本発明によれば、「疾患」という用語は、腫瘍関連抗原が、発現しているかまたは異常に発現しているあらゆる病理的状態を指す。「異常発現」とは、本発明によると、発現が健常個体における状態と比較して変化し、好ましくは増加されることを意味する。発現の増加とは、少なくとも10%、特に少なくとも20%、少なくとも50%または少なくとも100%まで増加することをいう。一実施態様において、腫瘍関連抗原は疾患を有する個体の組織においてのみ発現しており、健常個体における発現は抑制されている。かかる疾患の一例は、癌であり、本発明によれば白血病、精上皮腫、黒色腫、奇形腫、神経膠腫、腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、胃癌、消化管癌、食道癌、ENT(耳鼻咽喉)癌、腎臓癌、副腎癌、甲状腺癌、リンパ節癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、肝癌、膵臓癌、皮膚癌、脳腫瘍、および肺癌、ならびにこれらの転移癌を包含する。
【0120】
本発明によれば、生体試料は組織試料および/または細胞試料であり、パンチ生検などの組織生検といった従来のやり方で、そして本明細書に記載の様々な方法にて使用する血液、気管支吸引物、尿、糞便または他の体液の採取によって得る。
【0121】
本発明によれば、「免疫反応細胞」という用語は、適切な刺激によって成熟し、免疫細胞(B細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞など)になる細胞を意味する。免疫反応細胞には、CD34造血幹細胞、未成熟/成熟T細胞、未成熟/成熟B細胞が含まれる。腫瘍関連抗原を認識する細胞傷害性T細胞またはヘルパーT細胞の産生を目的とする場合、細胞傷害性T細胞およびヘルパーT細胞の産生、分化および/または選択に有利な条件下で免疫反応細胞と腫瘍関連抗原を発現する細胞とを接触させる。抗原にさらされた場合、T前駆細胞の細胞傷害性T細胞への分化は、免疫系のクローン選択と似ている。
【0122】
一部の治療方法は、一つ以上の腫瘍関連抗原を提示する癌細胞などの抗原提示細胞を溶解させる患者の免疫系反応に基づいている。これと関連して、例えば、腫瘍関連抗原とMHC分子との複合体に特異的な自己傷害性Tリンパ球を、細胞異常を伴う患者に投与する。インビトロでの細胞傷害性Tリンパ球の産生が知られている。T細胞を分化させる方法の一例は、国際出願WO96/33265で閲覧できる。一般に、血液細胞などの細胞を含む検体を患者から採取して、複合体を提示し、細胞傷害性Tリンパ球の増殖を引き起こす細胞(例、樹状細胞)と該細胞とを接触させる。標的細胞はCOS細胞などのトランスフェクト細胞でありうる。これらのトランスフェクト細胞はその表面上で目的の複合体を提示し、細胞傷害性Tリンパ球と接触する場合、後者の増殖を刺激する。クローン増殖した自己傷害性Tリンパ球を次に患者に投与する。
【0123】
抗原特異的な細胞傷害性Tリンパ球の別の選択方法では、MHCクラスI抗原/ペプチド複合体の蛍光四量体が、細胞傷害性Tリンパ球の特異的クローンの検出に使用される(Altmanら、Science 274:94−96,1996;Dunbarら、Curr.Biol.8:413−416,1998)。可溶性のMHCクラスI抗原は、βミクログロブリンおよび前記クラスI分子に結合するペプチド抗原の存在下で、インビトロで折りたたまれる。MHC/ペプチド複合体は精製されて、次にビオチン標識される。モル比4:1でビオチン化ペプチド‐MHC複合体を標識済みアビジン(例、フィコエリトリン)と混合させることで四量体が形成される。四量体を次に末梢血やリンパ節などの細胞傷害性Tリンパ球と接触させる。四量体はペプチド抗原/MHCクラスI複合体を認識する細胞傷害性Tリンパ球に結合する。四量体に結合した細胞は、FACSで分類し、反応性の細胞傷害性Tリンパ球が単離できる。単離した細胞傷害性Tリンパ球は次にインビトロで増殖できる。
【0124】
養子免疫伝達と呼ばれる治療方法(Greenberg,J.Immunol.136(5):1917,1986;Riddelら、Science 257:238,1992;Lynchら、Eur.J.Immunol.21:1403−1410,1991;Kastら、Cell59:603−614,1989)では、目的の複合体を提示している細胞(例、樹状細胞)を、治療を受ける患者の細胞傷害性Tリンパ球と結合し、特定の細胞傷害性Tリンパ球を増殖させる。増殖した細胞傷害性Tリンパ球を、特定の複合体を提示する特定の異常細胞を特徴とする細胞異常を伴う患者に投与する。細胞傷害性Tリンパ球は該異常細胞を溶解させて、これによって目的の治療効果を達成する。
【0125】
しばしば、患者のT細胞レパートリーのうち、免疫寛容発現により親和性の高い細胞が失われているため、この種の特異的な複合体に対して親和性の低いT細胞だけが増殖可能である。本明細書での別の方法は、T細胞受容体自体を導入することでありうる。ここでも、目的の複合体を提示する細胞(例、樹状細胞)を健常人の細胞傷害性Tリンパ球と結合させる。これにより、Tリンパ球が特定の複合体と事前の接触を持たなかったドナー生体に由来する場合、高い親和性を持って特定の細胞傷害性Tリンパ球が増殖する。これら増殖した特定のTリンパ球の高親和性T細胞受容体をクローン化して、必要に応じて、遺伝子導入(例、レトロウイルスベクターの使用)によって他の患者のT細胞内に導入可能である。次に、これら遺伝子操作したTリンパ球を使用して養子免疫伝達を行う(Stanislawskiら、Nat Immunol.2:962-70,2001;Kesselsら、Nat Immunol.2:957-61,2001)。
【0126】
上記の治療面は、少なくとも患者の異常細胞の一部が腫瘍関連抗原とHLA分子の複合体を提示するとの事実から始まる。該細胞をそれ自体公知の方法で同定できる。複合体を提示する細胞を同定すると直ぐに、それら細胞は細胞傷害性Tリンパ球を含んでいる患者の試料と結合できる。細胞傷害性Tリンパ球が複合体を提示する細胞を溶解する場合、腫瘍関連抗原を提示すると推測できる。
【0127】
養子免疫伝達は本発明に従って適用可能な唯一の治療形式ではない。細胞傷害性Tリンパ球はそれ自体公知の方法でインビボでも産生しうる。一つの方法では、複合体を発現している非増殖性細胞を使用する。本明細書で使用した細胞は、通常、放射線処理された腫瘍細胞または複合体の提示に必要な一つまたは両方の遺伝子(つまり、抗原性ペプチドおよび提示HLA分子)をトランスフェクトした細胞などの複合体を発現する細胞である。種々の細胞種を使用できる。さらに、目的の遺伝子の一つまたは両方を有するベクターを使用可能である。ウイルスまたはバクテリアのベクターが特に好ましい。例えば、腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸は、特定の組織または細胞種類において前記腫瘍関連抗原の発現を制御するプロモーター/エンハンサー配列と機能的に結合できる。核酸を発現ベクターに取り込ませることができる。発現ベクターは、外来性核酸を挿入できる未改変の染色体外核酸、プラスミド、ウイルス遺伝子でありうる。腫瘍関連抗原をコードする核酸をレトロウイルスゲノムに挿入して、該核酸を標的組織または標的細胞のゲノム内に取り込ませることができる。これらのシステムでは、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、単純性疱疹ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスなどの微生物が目的遺伝子を運び、実際に宿主細胞に「感染」する。別の好ましい形態では、例えばリポソーム移入またはエレクトロポレーションによって細胞に導入できる組換えRNAの形での腫瘍関連抗原の導入である。 結果として得られる細胞は目的の複合体を提示し、その後に増殖する自己傷害性Tリンパ球によって認識する。
【0128】
インビボでの抗原提示細胞内への取り込みを可能にするために、腫瘍関連抗原またはその断片をアジュバントと結合させることで同様の効果を得ることができる。腫瘍関連抗原またはその断片としては、タンパク質、DNA(例、ベクター内)、RNAが代表となりうる。腫瘍関連抗原を処理して、HLA分子のペプチドの相手を産生し、その断片をそれ以上処理する必要もなく提示できる。これらがHLA分子と結合可能な場合、後者が特に当てはまる。効果的な免疫反応に必要なヘルパーT細胞反応を生じる可能性もあるため、完全抗原をインビボで樹状細胞により処理する投与形態が好ましい(Ossendorpら、Immunol Lett.74:75−9,2000;Ossendorpら、J.Exp.Med.187:693−702,1998)。一般に、例えば皮内注射によって、患者に有効量の腫瘍関連抗原を投与可能である。一方で、リンパ節内へのリンパ節内注射も行うことができる(Maloyら、Proc Natl Acad Sci USA 98:3299−303,2001)。それは樹状細胞内への取り込み促進剤との併用で実施できる。好ましい腫瘍関連抗原には、同種異系の癌抗血清または多くの癌患者のT細胞と反応する抗原が含まれる。しかし、どのような自然発生的な免疫反応も事前には存在しないこれら抗原は、特に興味があるものである。腫瘍を溶解できるこの免疫反応を引き起こすことができることは明らかである(Keoghら、J.Immunol.167:787-96,2001;Appellaら、Biomed Pept Proteins Nucleic Acids 1:177-84,1995;Wentworthら、Mol Immunol.32:603-12,1995)。
【0129】
本発明において記載の医薬組成物は、免疫付与のためにワクチンとしても使用できる。 本発明によれば、「免疫付与」または「ワクチン接種」という用語は、抗原に対する免疫反応の上昇または活性化を意味する。 腫瘍関連抗原またはそれをコードする核酸を使用して癌に対する免疫効果を試験するために、動物モデルを使用可能である。例えば、ヒト癌細胞をマウスに導入して腫瘍を作成させて、腫瘍関連抗原をコードする一つ以上の核酸を投与できる。癌細胞に及ぼす効果(例、腫瘍の縮小)を、核酸によって免疫付与の有効性の測定値として測定できる。
【0130】
免疫付与のための組成物の一部として、免疫反応の誘発、もしくは免疫反応の増大のために、1つ以上の腫瘍関連抗原またはその刺激断片を1つ以上のアジュバントと同時投与する。アジュバントは、抗原に取り込まれる、もしくは後者と同時投与されて、免疫反応を高める物質である。アジュバントは、抗原蓄積(細胞外、またはマクロファージ内で)をもたらして、マクロファージおよび/または刺激性の特定リンパ球を活性化させることによって、免疫反応を高めることができる。既知のアジュバントとして、モノホスホリルリピドA(MPL、スミスクライン・ビーチャム)、QS21(スミスクライン・ビーチャム)、DQS21(スミスクライン・ビーチャム;国際出願96/33739)、QS7、QS17、QS18、QS−L1(Soら、Mol.Cells 7:178−186,1997)などのサポニン、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、ビタミンE、モンタニド、ミョウバン、CpGヌクレオチド(cf. Kriegら、Nature 374:546−9,1995)、スクアレンおよび/またはトコフェロールなどの生物分解可能な油脂から調製された種々のW/O型乳剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ペプチドをDQS21/MPLと混合投与する。DQS21とMPLの比率は、通常、約1:10から10:1、好ましくは約1:5から5:1、特に約1:1である。ヒトへの投与では、ワクチン製剤は通常、約1‐100μgまでの範囲でDQS21とMPLを含む。
【0131】
患者の免疫反応を刺激する他の物質も投与できる。例えば、リンパ球に対するその調節特性のため、ワクチン接種においてサイトカインを使用可能である。該サイトカインには、例えばワクチンの保護作用の増大が示されているインターロイキン−12(IL−12)(cf.Science 268:1432−1434,1995)、そしてGM−CSF、IL−18が含まれる。
【0132】
免疫反応を高め、このためワクチン接種に使用できる多くの化合物が存在する。前記化合物には、タンパク質または核酸の形で供給される共刺激分子を含む。前記共刺激分子の例は、B7−1およびB7−2(それぞれCD80、CD86)であり、これらは樹枝状細胞(DC)上で発現されて、T細胞上で発現されるCD28分子と相互作用する。この相互作用によって、抗原/MHC/TCR刺激を受けたT細胞が同時刺激を受けて、これによって前記T細胞の増殖および該エフェクター機能が高まる。B7はT細胞上のCTLA4(CD152)とも相互作用し、CTLA4およびB7リガンドを含む研究によって、B7−CTLA4相互作用が抗腫瘍免疫およびCTL増殖を高めることができることが示されている(Zheng,P.ら、Proc.Nati.Acad.Sci.USA 95(11):6284−6289(1998))。
【0133】
腫瘍細胞がT細胞に対する効果的な抗原提示細胞(APC)ではないように、通常は、B7は腫瘍細胞上では発現されない。B7発現の誘導によって、腫瘍細胞が細胞傷害性Tリンパ球をより効果的に増殖させ、エフェクター機能をより効果的に促進させることが可能となる。B7/IL−6/IL−12の併用による同時刺激によって、T細胞集団におけるIFN−ガンマとTh1−サイトカインプロファイルを誘導し、およびその結果としてT細胞活性が向上することが示された(Gajewskiら、J.Immunol.154:5637−5648(1995))。
【0134】
細胞傷害性Tリンパ球の完全な活性化、そして完全なエフェクター機能には、前記ヘルパーT細胞上のCD40リガンドと樹状細胞が発現するCD40分子との相互作用を介したヘルパーT細胞の関与が必要となる(Ridgeら、Nature 393:474(1998)、Bennettら、Nature 393:478(1998)、Schonbergerら、Nature 393:480(1998))。この共刺激シグナルのメカニズムは、恐らく前記樹状細胞(抗原提示細胞)によるB7産生の増加、そして関連するIL−6/IL−12産生の増加と関連する。このように、CD40−CD40Lの相互作用によって、シグナル1(抗原/MHC−TCR)とシグナル2(B7−CD28)の相互作用が補完される。
【0135】
樹状細胞を刺激する抗CD40抗体の使用により、通常は炎症反応の範囲外である腫瘍抗原、もしくは範囲外の抗原提示細胞(腫瘍細胞)が提示する腫瘍抗原に対する反応を直接高めることが期待される。これらの状況では、ヘルパーT/B7共刺激シグナルは与えられない。このメカニズムは、抗原パルス樹状細胞に基づく治療法と関連して、もしくはヘルパーTのエピトープが周知のTRA前駆体で定義されなかった状況下において利用可能であった。
【0136】
本発明はまた核酸、ポリペプチド、ペプチドの投与方法にも関する。ポリペプチドおよびペプチドは、それ自体公知の方法で投与できる。一実施態様では、核酸を、エクスビボの方法(患者からの細胞の除去、腫瘍関連抗原を取り込ませるための前記細胞の遺伝子組換え、該改変細胞の患者への再導入)によって投与する。これには通常、インビトロでの患者の細胞への遺伝子の機能的コピーの導入、そして遺伝子操作された細胞の患者への再導入が含まれる。 遺伝子の機能的コピーは調節エレメントによる機能的制御下にあり、これによって遺伝子操作された細胞内における遺伝子の発現が可能となる。 トランスフェクション/形質導入方法は当業者には周知である。本発明は、ウイルスや標的指向性リポソームなどのベクターを使用したインビボでの核酸投与方法にも関する。
【0137】
好ましい一実施態様では、腫瘍関連抗原をコードする核酸を投与するためのウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルスおよび無毒化痘症ウイルスなどの痘症ウイルス、セムリキフォレストウイルス、レトロウイルス、シンドビスウイルス、Ty‐ウイルス様粒子から成るグループから選択される。 アデノウイルスとレトロウイルスが特に好ましい。一般的にレトロウイルスには複製能がない(つまり、感染粒子を生成できない)。
【0138】
本発明によれば、インビトロ又はインビボにて細胞中に核酸を導入するために種々の方法を使用できる。この種の方法には、核酸CaPO沈殿物のトランスフェクション、DEAEを介した核酸トランスフェクション、目的の核酸を有する上記のウイルスを用いたトランスフェクションまたは感染、リポソーム媒介のトランスフェクションなどが含まれる。特定の実施態様では、特定細胞への核酸導入が好ましい。前記実施態様では、細胞への核酸の投与に使用された担体(例、レトロウイルス、リポソーム)に標的制御分子が結合できる。例えば、標的細胞上の表面膜タンパク質に対する特異的な抗体、もしくは標的細胞上の受容体のリガンドなどの分子を核酸担体に取り込ませる、もしくは付着させうる。好ましい抗体には、腫瘍関連抗原と選択的に結合する抗体が含まれる。リポソームを介した核酸の投与が望ましい場合、ターゲティングおよび/または取り込みを可能にするために、エンドサイトーシスと関連する表面膜タンパク質へ結合するタンパク質をリポソーム製剤中に取り込むことができる。前記タンパク質には、特定の細胞種類に特異的なカプシドタンパク質またはその断片、内在化したタンパク質に対する抗体、細胞内部位に働きかけるタンパク質を含む。
【0139】
本発明の治療用組成物は、医薬的に適合する製剤として投与されうる。前記製剤には、通常、医薬的に適合する濃度の塩、緩衝物質、保存薬、担体、アジュバント(例、CpGヌクレオチド)やサイトカインなどの免疫促進物質の添加、そして前記該当する場合、他の治療活性化合物を含むことができる。
【0140】
本発明の治療活性化合物を、注射または注入など、従来の任意の投与法で投与できる。例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、または経皮的に投与できる。好ましくは、抗体を肺エアゾールによって治療のために投与する。アンチセンス核酸を好ましくは、ゆっくりと静脈内投与によって投与する。
【0141】
本発明の組成物は有効量で投与される。「有効量」とは、単独で、もしくは追加用量と共に、目的の反応または目的の結果を引き起こす量を述べている。1つ以上の腫瘍関連抗原の発現を特徴とする、特定の疾患または特定の状態の治療の場合、目的の反応は疾病経過の阻害と関連する。これには該疾患の進行の抑制、特に、該疾患の進行の中断が含まれる。疾患の治療または状態の治療における目的の反応は、発症の遅延、もしくは前記疾患または前記状態の発現の防止でもありうる。
【0142】
本発明の組成物の有効量は、治療する病状、疾患の重症度、患者の個別パラメータ(年齢、生理学的状態、体格と体重など)、治療期間、併用治療の種類(ある場合のみ)、特定の投与法などの因子に左右される。
【0143】
本発明の医薬組成物は、好ましくは無菌状態であり、目的の反応または目的の結果を引き起こすために有効量の治療上の有効成分を含んでいる。
【0144】
本発明の組成物の投与量は、投与方法、患者の状態、目的の投与期間などの様々なパラメータに左右されることもありうる。患者の反応が初回量では不十分な場合、より多くの用量(または別のより局所的な投与方法によって効果的に達成される多用量)が使用できる。
【0145】
一般に、治療、もしくは免疫反応の発生または増大のために、1ngから1mg、好ましくは10ngから100μgの用量の腫瘍関連抗原を配合し投与する。腫瘍関連抗原をコードする核酸(DNA、RNA)の投与を目的とする場合、1ngから0.1mgの用量を配合し投与する。
【0146】
本発明の医薬組成物を、一般に、医薬的に適合する量、そして医薬的に適合性のある組成物として投与する。
【0147】
「医薬的に適合性の」という用語は、医薬組成物の活性成分の作用と相互作用しない無毒物質を示す。この種類の製剤は、通常、塩、緩衝物質、保存剤、担体、該当する場合、他の治療活性化合物を含みうる。薬剤に使用される場合、塩は医薬的な適合性を有する必要がある。一方で、医薬的な適合性のない塩は、医薬的な適合性を有する塩の調製に使用される可能性があり、本発明に含められる。この種類の薬理学的、医薬的な適合性を有する塩として、以下の酸から調製される塩が挙げられるが、これらに限定されない:塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。医薬的な適合性を有する塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としても調製できる。
【0148】
本発明の医薬組成物には、医薬的な適合性を有する担体を含むことができる。本発明によれば、「医薬的な適合性を有する担体」という用語は、ヒトへの投与に適した、1つ以上の適合性を有する固体または液体の充填剤、賦形剤、カプセル封入物質を示す。「担体」という用語は、天然または合成の有機/無機化合物を示し、適用を促すために、この中に活性化合物が配合される。本発明の医薬組成物の成分は、通常、目的とする製剤の有効性を大幅に損なう相互作用が生じないようになっている。
【0149】
本発明の医薬組成物には、酢酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩などの適当な緩衝物質を含むことができる。
【0150】
医薬組成物には、必要に応じ、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン、チメロサールなどの適切な保存剤も含むことができる。
【0151】
医薬組成物は、通常、均一な剤形で提供され、それ自体公知の方法で調製できる。本発明の医薬組成物は、例えば、カプセル、錠剤、薬用ドロップ、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル剤、もしくは乳濁液の状態であってもよい。
【0152】
非経口投与に適した組成物は、通常、活性化合物の滅菌済み水性/非水性製剤を含み、これは好ましくは被投与者の血液と等張である。適合性を有する担体および溶剤の例は、リンゲル溶液および等張の塩化ナトリウム溶液である。また、通常、無菌の不揮発性油を溶液または懸濁媒体として使用する。
【0153】
本発明は以下の図と実施例によって詳述されており、これらは説明目的のためにだけ使用され、限定することを目的としていない。記述と実施例によって、本発明に同様に含まれるさらなる実施態様は当業者であれば理解できる。
【実施例】
【0154】
材料と方法
「インシリコ(in silico)」および「電子的」という用語は、実験室内試験工程をシミュレーションするのにも利用し得るデータベースに基づく方法の利用を単に述べている。
【0155】
その他の方法で明確に規定しない限り、他の用語および表現をすべて当業者が理解できるように使用する。記述した技術および方法は自体公知の方法で行われ、例えばSambrookら、Molecular Cloning(Laboratory Manual、第二版(1989)、コールドスプリングハーバー研究所報道機関、コールドスプリングハーバー、N.Y.)に記載されている。キットおよび試薬を使用する方法はすべてメーカーの情報にしたがって行う。
【0156】
A.腫瘍関連抗原を同定するためのデータマイニングに基づく計画
本発明によれば、周知のヒトタンパク質および核酸データベースは、細胞表面に接触可能な癌特異的抗原に関してスクリーニングした。できればすべてのタンパク質を分析する高処理法と共に、そのために必要となるスクリーニング基準を規定することによって、この計画の中心成分をつくった。
【0157】
その開始点は主にヒトゲノムプロジェクトによって予測される遺伝子候補で構成されており、その遺伝子候補は単に典型的なたんぱく質(XP)あるいはmRNA(XM)として、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のRefSeqデータベース(Pruittら,Trends Genet. Jan; 16(1):44-47、2000)中に登録・蓄積されている。他のアプローチでは、有効タンパク質登録項目(NP)および同じデータベースにあるそれぞれに対応するmRNA(NM)もまた同様の方法で分析した。(仮定の)遺伝子→mRNA→タンパク質という基本原則にしたがって、タンパク質分析の複数の予測プログラムを併用して、タンパク質を初めに膜貫通領域の有無について試験した。RefSeqデータベースのヒトXP画分の全19,544個の登録項目は、前記のスクリーニング基準を満たす2,025個の仮定タンパク質(hypothetical protein)を用いて分析した。ヒトNP画分によって、ろ過したタンパク質4,634個を含む19,110個の全登録項目が供与された。
【0158】
これら2,025個および4,634個の各タンパク質に対応するmRNAは、その後、BLASTアルゴリズム(Altschulら,Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997)を用いてNCBIのESTデータベース(Boguskiら,Nat. Genet. 4(4):332-333, 1993)中でそれぞれ類似性検索を行った。この検索においてスクリーニング基準は厳密に設定された。全1,270個の仮定的mRNAは、ESTデータベース中で少なくとも1つ該当し、該当数が1,000個を超えるような場合もあった。
【0159】
続いて、基礎となるcDNAライブラリーの組織特異性オリジンならびにライブラリーの名称をこれらの有効な各該当項目に対して決定した。それに起因する組織を、不必要な器官(グループ3)から必要不可欠な器官(グループ0)まで4個の異なるグループに分けた。もう1つのグループであるグループ4は、癌組織から得られた任意の標本から構成される。5つのグループに対する該当項目の分布を、グループ0〜2の合計に対する3および4の合計の最良の比率にしたがって分類した表に記録した。EST該当項目が癌組織にのみ由来するそれらのmRNAが最多であり、グループ3の不必要な器官の組織においても見られるmRNAがそれに続いた。この分布の重要性に対する別の基準は、ESTが得られ表の別欄に示す独立したcDNAライブラリーの数である。
【0160】
第一の方法で決まる転写産物および対応するタンパク質は、第一に仮定のコンストラクトであるため、mRNAひいてはそれらタンパク質が本当に存在することを証明することを目的として別のスクリーニング基準を使用した。この目的のため、各mRNAは、プログラム「Spidey」(Wheelanら,Genome Res. 11(11):1952-1957,2001)を用いて予測した遺伝子座と比較した。少なくとも一度のスプライシングを受け、すなわち少なくとも2つのエクソンにわたるこれらの転写産物のみをさらに詳細に分析するため使用した。
【0161】
前述した全フィルターの連続的応用は、予測された膜貫通領域およびそれに関連するトポロジーのため、細胞外で接触可能であると思われる本発明の腫瘍関連抗原を誘導した。ESTデータから得た発現プロフィールは、いかなる場合でも癌に特異的な発現を示しており、この発現はせいぜい不必要な器官にだけしか適用されない可能性がある。
【0162】
B.インシリコ分析によって同定した腫瘍関連抗原を確認する計画
癌治療ならびに診断問題において、免疫治療目的(モノクローナル抗体による抗体療法、ワクチン接種およびT細胞受容体媒介治療法:欧州特許公報第0879282号)の標的あるいは他の標的方法(低分子化合物:siRNA等)を利用するために、本発明にしたがって同定された標的の確認は非常に重要である。このことに関連し、RNAおよびタンパク質の両レベルでの発現分析によって検証する。
【0163】
1.RNA発現試験
同定した腫瘍抗原を、種々の組織あるいは組織特異的細胞系から得たRNAを用いて最初に検証する。腫瘍組織と比べて健常組織の示差的発現パターンは次に続く治療に応用するため決定的に重要であるので、標的遺伝子をこれらの組織標本を用いて特徴づけることが好ましい。
【0164】
全RNAを、分子生物学の標準的方法によって天然の組織標本あるいは腫瘍細胞系から単離する。前記単離は、例えばメーカーの使用説明書にしたがってRNeasy Maxi キット(Qiagen, Cat. No. 75162)を用いて行ってもよい。この単離方法は基本的にカオトロピック剤のイソチオシアン酸グアニジンを使用する。あるいは、単離には酸性フェノールが使用できる(ChomczynskiおよびSacchi, Anal. Biochem.162: 156-159, 1987)。その組織をイソチオシアン酸グアニジンを用いて入念に作ってから、RNAは酸性フェノールで抽出し、その後イソプロパノールで沈殿させ、DEPC処理水に溶解する。
【0165】
以上のように単離した2〜4μgのRNAを、続いて例えばSuperscript II(Invitrogen社)によってメーカーのプロトコールにしたがってcDNAに転写する。cDNA合成は任意の六量体(例えばRoche Diagnostics社)を用いて関連メーカーの標準的プロトコールにしたがって誘導する。品質管理のため、cDNAは、低度にしか発現しないp53遺伝子に特異的なプライマーを使用し30サイクルにわたり増幅する。p53陽性cDNA標本のみをその後の反応ステップに使用することになる。
【0166】
標的は、多種の正常および腫瘍組織ならびに腫瘍細胞系から単離したcDNAアーカイブを基本としたPCRまたは定量PCR(qPCR)によって発現分析を行い詳細に分析した。この目的のため、該反応混合液のうち0.5μlのcDNAを、DNAポリメラーゼ(例えば1単位のHotStarTaq DNAポリメラーゼ、Qiagen社)によって特定のメーカーのプロトコールにしたがって増幅する(反応混合液の総量:25〜50μl)。前記のポリメラーゼに加えて、増幅混合液は0.3mMのdNTP、反応緩衝液(最終濃度:1×、DNAポリメラーゼのメーカーに従う)および遺伝子特異的「センス」プライマーおよび「アンチセンス」プライマーをそれぞれ0.3mM含む。
【0167】
標的遺伝子の特異的プライマーを、ゲノム汚染により偽陽性にはならないように、可能な限り2つの異なるエクソンに位置するように選択する。非定量的エンドポイントPCRでは、DNAを変性させホットスタート酵素を活性化するために、cDNAを通常は95℃で15分間インキュベートする。続いてDNAは35サイクルを経て増幅させる(単位複製配列を伸長するために、95℃で1分間、プライマー特異的ハイブリダイゼーション温度(約55〜65℃)で1分間、72度で1分間)。続いて10μlのPCR混合液をアガロースゲルにアプライし、電場にて分画する。エチジウムブロマイドで染色してゲル中でDNAが識別できるようにし、PCRの結果を写真で実証する。
【0168】
従来のPCRの代わりに、標的遺伝子の発現は定量的リアルタイムPCRによっても分析してよい。一方、種々の分析システムがこの分析に利用可能であり、その最も知られているものはABI PRISM配列検出システム(TaqMan,Biosystem社製)、iCycler(Biorad社)およびLight cycler(Roche Diagnostics社)である。前述したように、特異的PCR混合液はリアルタイム装置での作動に供される。DNA架橋染色(例えばエチジウムブロマイド、サイバーグリーン)によって、新しく合成されたDNAは特異的な光励起を経て(染色についてのメーカー情報にしたがって)識別可能になる。増殖の間、各ポイントの多重度を測定すると、全過程のモニターが可能になり、また標的遺伝子の核酸濃度が定量的に決定される。PCR混合液はハウスキーピング遺伝子(例えば18S RNA、β‐アクチン)を測定して正常化する。蛍光標識したDNAプローブを介した代替的計画により同様に、特異性組織標本の標的遺伝子の定量的決定が可能になる(Applied Biosystems社のTaqManの応用を参照)。
【0169】
2.クローニング
腫瘍抗原をさらに特徴づけるために必要な完全標的遺伝子を、一般的な分子生物学的方法(例えば「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons社、Wiley InterScience)にしたがってクローン化する。標的遺伝子をクローン化するため、あるいはその配列を分析するために、前記遺伝子を、証明読み取り機能を有するDNAポリメラーゼ(例えばPfu、Roche Diagnostics社)で初めに増幅する。その後単位複製配列は標準法でライゲーションし、クローニングベクターにする。陽性クローンは配列分析によって同定し、続いて予測プログラムおよび既知のアルゴリズムを用いて特徴付ける。
【0170】
3.タンパク質の予測
本発明にしたがって見出された遺伝子(特にRefSeq XM領域由来のもの)の多くは新しく発見された遺伝子であり、これらは全長遺伝子のクローン化、オープンリーディングフレームの決定およびタンパク質配列の推理ならびに分析を必要とする。
全長配列をクローン化するため、本発明者らは、cDNA末端の高速増幅および遺伝子特異性プローブを有するcDNA発現ライブラリーのスクリーニングのための一般的プロトコール(Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)を使用した。
【0171】
この方法で見出されたフラグメントを集めた後、可能性あるオープンリーディングフレーム(ORF)を、一般的予測プログラムを使用して予測した。PolyA尾部およびポリアデニル化モチーフの位置は、可能性ある遺伝子産物の配位を予め定めるので、その特定の配位の3個のリーディングフレームのみが、見込まれる6個のリーディングフレームから残る。前者は頻繁にかなり大きいオープンリーディングフレームを1つのみ産生し、これはタンパク質をコードすることがある。一方、他のリーディングフレームは停止コドンを過剰に有し、実際のタンパク質をまったくコードしない。選択的オープンリーディングフレームの場合、真のORFの同定は、最適な転写開始のKozak基準を考慮に入れて、起こりうる推定タンパク質配列を分析して援助する。前記ORFはさらに、可能性あるORFから推定したタンパク質に拮抗する免疫血清を発生させ、組織および細胞系において実際のタンパク質を認識するための前記免疫血清を分析することによって実証する。
【0172】
4.抗体の作製
本発明にしたがって同定した腫瘍関連抗体は、例えば抗体を使用して特徴付ける。さらに本発明は抗体を使用して診断あるいは治療することも含む。抗体は自然のおよび/または変性した状態のタンパク質を認識する可能性がある(Andersonら,J. Immunol. 143:1899-1904,1989;Gardsvoll、J. Immunol. Methods 234:107-116,2000;Kayyemら、Eur. J. Biochem. 208:1-8,1992;Spillerら,J. Immunol. Methods 224:51-60, 1999)。
【0173】
標的タンパク質に特異的に結合する特異的抗体を含む抗血清は、種々の標準法によって調製することが可能である:例えば「Monoclonal Antibodies: A Practical Approach」Phillip Shepherd, Christopher Dean ISBN 0 19 963722 9,「Antibodies: A Laboratory Manual」Ed Harlow, David Lane ISBN: 0879693142および「Using Antibodies: A Laboratory Manual: Portable Protocol NO」Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow ISBN: 0879695447を参照されたい。本明細書では、自然形態での複合的膜タンパク質を認識する擬似抗体および特異的抗体を発生させることも可能である(Azorsaら, J. Immunol. Methods 229:35-48,1999;Andersonら,J.Immunol. 143:1899-1904, 1989; Gardsvoll, J. Immunol. Methods. 234:107-116, 2000)。このことは、治療ならびに多くの診断応用にも使用することを意図している抗体の調製において特に重要である。この目的には、完全タンパク質および細胞外部分配列の両方が免疫付与に使用されてもよい。
【0174】
ポリクローナル抗体の免疫付与および作製
種々の免疫付与プロトコールが公開されている。種(例えばウサギ、ネズミ)は目的の標的タンパク質の第一の注入で免疫付与される。免疫原に対する動物の免疫反応は定めた期間内(予備免疫付与の約2〜4週後)で第二、第三の免疫付与によって促進され得る。血液は、前記動物および得られた免疫血清から、定めた種々の期間の後、再度取得した(4週間後に第一の採血を行い、続いて2、3週間毎に5回まで採血を行った)。このように採取した免疫血清はフローサイトメトリー分析、免疫蛍光法あるいは免疫組織化学的検査によりウエスタンブロット法で、標的タンパク質を検出し、特徴づけをするために使用され得るポリクローナル抗体を含む。
【0175】
動物は通常、4つの良く確立されている方法のいずれかによって免疫付与されるが、他の既存の方法でも免疫付与できる。免疫付与は、標的タンパク質に特異的なペプチドを使用して、完全タンパク質を使用して、実験的にあるいは予測プログラムを介して同定され得るタンパク質の細胞外部分配列を使用して行ってもよい。予測プログラムは必ずしも完全に働いている訳ではないので、膜貫通領域によって互いに分離した2つの領域を使用することも可能である。この場合、2つの領域のうち1つは細胞外でなければならず、このことはその後実験的に証明できる(下記参照)。免疫付与は種々のサービスプロバイダーによって営業的に行われている。
(1)第一のケースでは、ペプチド(長さ:8〜12アミノ酸)をインビトロ法(場合により営業サービスにより行われる)で合成し、前記ペプチドを免疫付与のために使用する。通常3回の免疫付与を行う(例えば、5〜100μg/回の濃度で)。
(2)あるいは、組換えタンパク質を使用して免疫付与を行ってもよい。この目的のため、標的遺伝子のクローン化DNAは発現ベクターにクローン化し、標的タンパク質は、例えば無細胞のインビトロで、バクテリア(例えば大腸菌)、酵母(例えばシゾサッカロミセス・ポンベ)、昆虫細胞あるいは哺乳動物細胞内で、特定のメーカー(例えばRoche Diagnostics社、Invitrogen社、Clontech社、Qiagen社)の条件にしたがって合成する。ウイルス発現システム(例えばバキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス)を用いても標的タンパク質を合成できる。前記システムの1つで合成した後、標的タンパク質を、クロマトグラフィー法を使用して通常どおりに精製する。この状態では、精製の補助として分子アンカー(例えばHisタグ、Qiagen社;FLAGタグ、Roche Diagnostics社;GST融合タンパク質)を有する免疫付与タンパク質に対して使用することが可能である。プロトコールの多様性は、例えば「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons社、Wiley InterScienceにおいて見出すことが可能である。標的タンパク質を精製した後、上記のように免疫付与を行う。
(3)目的のタンパク質を内性的に合成する細胞系が入手できるのなら、特異性抗血清を調製するのにこの細胞系を直接使用することも可能である。この場合、各ケースにつき約1〜5×10細胞個を使用し1〜3回の注入で免疫付与を行う。
(4)DNAを注入することでも免疫付与は行い得る(DNA免疫付与)。この目的のため、標的配列が強い真核細胞プロモーター(例えばCMVプロモーター)に制御されるように、最初に標的遺伝子は発現ベクターへとクローン化される。続いて、生物(例えば、マウス、ウサギ)において遺伝子銃を使用して、DNA(例えば一回の注入につき1〜10μg)を、高血流で毛細管領域に、免疫原として伝達する。伝達されたDNAは動物細胞に取り込まれ、標的遺伝子が発現し、最終的に該動物は標的タンパク質に対する免疫応答を有するようになる(Jungら,Mol.Cells 12:41-49,2001;Kasinrerkら,Hybrid Hybridomics 21:287-93, 2002)。
【0176】
モノクローナル抗体の作製
モノクローナル抗体はハイブリドーマ技術を用いて従来どおりに作製する(技術的詳細: 「Monoclonal Antibodies:A Practical Approach」Philip Shepherd, Christopher Dean ISBN 0 19 963722 9;「Antibodies: A Laboratory Manual」Ed Harlow, David Lane ISBN:0879693142、「Using Antibodies: A Laboratory Manual: Portable Protocol NO」Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow ISBN: 0879695447を参照)。
【0177】
同様に使用される新たな方法は「SLAM」技術である。本法では、B細胞は血液全体から単離し、細胞をモノクローナルにする。続いて単離されたB細胞の上清は、抗体特異性について分析する。ハイブリドーマ技術と対照的に、その後抗体遺伝子の種々の領域を単細胞PCRによって増幅させ、好適なベクターにクローン化する。この方法においてモノクローナル抗体の作製が促進される(Wildtら,J. Immunol. Methods 207:61-67,1997)。
【0178】
5.抗体を使用したタンパク質‐化学薬品法による標的の検証
上述のとおりに作製できる抗体を使用し、標的タンパク質に関する多くの重要な記述をすることができる。具体的には以下の、標的タンパク質を検証する分析が役立つ。
【0179】
抗体の特異性
続いて行うウエスタンブロット法を含む細胞培養に基づくアッセイは、抗体が目的の標的タンパク質にのみ特異的に結合するという事実を証明するのに最も適している(多様な変化が、例えば「Current Protocols in Proteinchemistry」John Wiley & Sons社、Wiley InterScienceに記述されている)。その証明には細胞を、強力な真核細胞プロモーター(例えばサイトメガロウィルスプロモーター;CMV)で制御されている標的タンパク質のcDNAでトランスフェクトする。DNAを含む細胞系をトランスフェクトするために、種々の方法(例えばエレクトロポレーション、リポソームに基づくトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿)が良く確立されている(例えばLemoineら,Methods Mol. Biol. 75:441-7,1997)。代替的手段として、内在的に標的遺伝子を発現する細胞系を使用することも可能である(標的遺伝子特異的RT‐PCRを介した検出)。対照として、理想的なケースでは、相同遺伝子を実験で共トランスフェクトし、分析した抗体の特異性が以下のウエスタンブロット法において証明できる。
【0180】
続いて行うウエスタンブロット法において、標的タンパク質を含む可能性のある細胞培養液あるいは組織標本から得た細胞を1%濃度のSDS溶液に溶解し、タンパク質はその過程で変性させる。溶解物は大きさにしたがって、8〜15%濃度の変性ポリアクリルアミドゲル(1%SDSを含む)に電気泳動し分画する(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、SDS‐PAGE)。その後タンパク質は複数のブロット法の1つ(例えばセミドライ電気ブロット法;Biorad社)によって特異性膜(例えばニトロセルロース、Schleicher & Schuell社)へ伝達する。目的タンパク質はこの膜上で識別可能になる。この目的のため最初に膜を、標的タンパク質を識別する抗体とともに(希釈は、前記抗体の特異性にしたがって約1:20〜1:200)60分間インキュベートする。洗浄工程後、膜はマーカー(例えば、ペルオキシダーゼあるいはアルカリフォスファターゼなどの酵素)と共役し、一次抗体を認識する二次抗体とともにインキュベートする。その後、発色あるいは化学発光反応(例えばELC、Amersham Bioscience社)で膜状に標的タンパク質が識別可能となる。理想的なケースにおいては、標的タンパク質への特異性が高い抗体は、目的タンパク質自体のみを認識することが好ましい。
【0181】
標的タンパク質の局在化
種々の方法を用いて、インシリコ分析で同定した標的タンパク質の膜局在性を確かめる。上述の抗体を使用する重要で基礎のしっかりした方法は、免疫蛍光法(IF)である。この目的のため、定評のある細胞系の細胞を利用する。これらの細胞系は標的タンパク質を合成(RT‐PCRによるRNAまたはウエスタンブロット法によるタンパク質の検出)するものか、あるいはプラスミドDNAでトランスフェクトしてあるものである。DNAを含む細胞系をトランスフェクトするために、種々の方法(例えばエレクトロポレーション、リポソームに基づくトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿)が良く確立されている(例えばLemoineら,Methods Mol. Biol. 75:441-7, 1997)。免疫蛍光法において、細胞内にトランスフェクトしたプラスミドは、非修飾タンパク質をコードするか、あるいは標的タンパク質に対する異なるアミノ酸マーカーと共役していてもよい。原則マーカーは例えば、種々の傾向形態がある蛍光性の緑色蛍光タンパク質(GFP)、親和性が高く特異性の抗体が利用できる6〜12アミノ酸の短鎖ペプチド配列、あるいは蛍光物質に特異的な自らのシスティンを介して結合が可能となる短鎖アミノ酸配列Cys-Cys-X-X-Cys-Cys(Invitrogen 社)である。標的タンパク質を合成する細胞を、例えばパラホルムアルデヒドあるいはメタノールで固定する。必要に応じて、その後細胞は洗浄剤(例えば0.2%のTriton X‐100)とともにインキュベートして透過性にしてもよい。その後細胞は、標的タンパク質あるいは共役マーカーの1つに対して向けられた一次抗体とともにインキュベートする。洗浄工程後混合液は、一次抗体に結合する蛍光マーカー(例えばフルオレセイン、テキサスレッド、Dako)と共役した二次抗体とともにインキュベートする。その後このように標識した細胞をグリセロールで覆い、メーカー情報にしたがって蛍光顕微鏡を用いて分析する。この場合、使用する物質に依存する特異的励起によって特異的な蛍光が放出される。この分析によって標的タンパク質の局在化が確実になり、標的タンパク質のみならず文献にその局在化がすでに記載されている共役アミノ酸マーカーあるいは他のマーカータンパク質も染色される二重染色法により抗体の品質および標的タンパク質は確認される。GFPとその誘導体は特別なケースを表し、直接励起可能で自ら蛍光を発する。免疫蛍光法において、洗浄剤を使用して制御され得る膜透過性は、免疫原性のエピトープが細胞外にあるのか、または細胞内にあるのかを明らかにする。このように、選択タンパク質の予測を実験的に支持できる。可能な代替法としては、フローサイトメトリーによる細胞外領域の検出がある。この目的のため細胞は、未透過処理状態(例えばPBS/アジ化ナトリウム/2%のFCS/5mMのEDTA)下で固定し、メーカーの使用説明書にしたがってフローサイトメーターで分析する。本方法で分析される抗体によって細胞外エピトープだけを認識することができる。免疫蛍光法との違いは、例えばヨウ化プロピジウムまたはトリパンブルーを使用することによって死細胞と生細胞を区別でき、ひいては偽陽性の結果が出ることを回避できることである。
【0182】
もう1つの重要な検出を特異性組織標本の免疫組織化学的検査(IHC)で行う。本方法のねらいは機能的に無傷の組織集合体におけるタンパク質の局在性を同定することである。IHCは、(1)腫瘍および正常組織における標的タンパク質の量を評価できるようにする、(2)どのくらいの量の腫瘍および健常組織の細胞が標的遺伝子を合成するのかを分析する、および(3)標的タンパク質が検出可能である組織(腫瘍、健常細胞)における細胞型を決定するために特異的に貢献する。あるいは、標的遺伝子のタンパク質の量は、デジタルカメラおよび適当なソフトウエア(例えばTillvision,Till-photonics社、ドイツ)を使用した組織免疫蛍光法によって定量してもよい。この技術は頻繁に公表されており、従って染色および顕微鏡検査の詳細が例えば、「Diagnostic Immunohistochemistry」David J.著、MD Dabbs ISBN:0443065667あるいは「Microscopy, Immunohistochemistry、およびAntigen Retrieval Methods:For Light and Electron Microscopy」ISBN:0306467704に記載されている。有意な結果を導くために、抗体の性質により、種々の以下に例を示すプロトコールを使用する必要があることに留意しなければならない。
【0183】
通常、組織学的に定義した腫瘍組織および対照として比較の健常組織をIHCにおいて使用する。正および負の対照として標的遺伝子の存在がRT‐PCR分析によって知られている細胞系使用することは可能である。バックグラウンド制御は常に行われていなければならない。
【0184】
4μm厚さのホルマリン固定した組織片(例えばメタノールを使用する他の固定法も可能)およびパラフィン包埋した組織片を、ガラス支持台に載せ、例えばキシレンで脱パラフィン化する。標本はTBS‐Tで洗浄し、血清中でブロックする。次いでこれを一次抗体(希釈:1:2〜1:2000)とともに1〜18時間インキュベートし、その後通常使用されるアフィニティー精製された抗体とともにインキュベートした。洗浄工程の後、アルカリホスファターゼ(代替酵素:例えばペルオキシダーゼ)と共役し一次抗体に向けられた二次抗体とともに約30〜60分間インキュベートする。続いてアルカリホスファターゼを使用して呈色反応を行う(例えばShiら, J. Histochem. Cytochem. 39: 741-748, 1991; Shinら, Lab. Invest. 64: 693-02, 1991を参照)。抗体特異性を明らかにするために、反応は免疫源を予め添加することでブロックできる。
【0185】
タンパク質修飾の分析
例えばN‐あるいはO‐グリコシル化あるいはミリスチル化などの二次タンパク質修飾は免疫源性エピトープの可触性を阻害あるいは完全に妨げる可能性があり、このことで抗体療法の有効性は疑問視されている。さらに、二次修飾のタイプと量は正常組織と腫瘍組織で異なることは頻繁に実証されている(例えばDurand & Seta,2000;Clin. Chem.46:795-805;Hakomori, 1996; Cancer Res.56: 5309-18)。従ってこれらの修飾の分析は、ある抗体による治療が成功するのには必要不可欠である。可能性ある結合部位は特異的アルゴリズムによって予測できる。
【0186】
タンパク質修飾の分析を通常はウエスタンブロット法によって行う(上記参照)。通常大きさが数kDaになるグリコシル化では特に、SDS‐PAGEにおいて分画しうる標的タンパク質の全質量が大きくなる。特異的O‐およびN‐グリコシド結合を検出するために、O‐あるいはN‐グリコシラーゼを使用するSDSによって変性させる前にタンパク質溶解物をインキュベートする(各々のメーカーの使用説明書、例えばPNgase,エンドグリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼH、Roche Diagnostics社、に従う)。 その後、上述したウエスタンブロット法を行う。従って、グリコシダーゼとともにインキュベートした後、もし標的タンパク質が小さくなることがあれば、特異的なグリコシル化が検出でき、本方法においては修飾の腫瘍特異性をも分析できる。
【0187】
標的遺伝子の機能分析
標的分子の機能は、その治療的有用性に欠かせない可能性があり、従って機能分析は治療に有用な分子の特徴づけにおいて重要な構成要素である。機能分析は、細胞培養実験における細胞内あるいは動物モデルを使用したインビボのいずれかで行われる。この分析は、突然変異によって標的分子の遺伝子のスイッチをオフにすること(ノックアウト)、あるいは標的配列を細胞あるいは生物に挿入すること(ノックイン)を含む。したがって、分析する遺伝子の機能を失わせること(機能喪失)によって細胞状況における機能的修飾を第一に分析することが可能である。第二のケースでは、分析した遺伝子の付加による修飾が分析し得る(機能獲得)。
【0188】
a.細胞における機能分析
トランスフェクション。機能獲得を分析するために、標的分子の遺伝子を細胞に移入させることが必要である。この目的のため、標的分子を合成し得る細胞はDNAでトランスフェクトする。通常、本明細書の標的分子の遺伝子を強い真核細胞プロモーター(例えばサイトメガロウイルスプロモーター;CMV)で制御する。DNAを含む細胞系をトランスフェクトするために、種々の方法(例えばエレクトロポレーション、リポソームに基づくトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿)が良く確立されている(例えばLemoineら, Methods Mol. Biol. 75:441-7,1997)。例えば、ネオマイシンによる選択後に、一過的にゲノムに組み込まれず、あるいは安定的にゲノムに組み込まれ、遺伝子を合成してもよい。
【0189】
RNA干渉(siRNA)。細胞内標的分子の機能喪失を完全に誘導する可能性がある標的遺伝子の発現阻害は、細胞内でRNA干渉(siRNA)技術によって生じる可能性がある(Hannon, GJ. 2002, RNA interference. Nature 418: 244-51; Czaudernaら,2003, Nucl. Acid Res.31: 670-82)。この目的のため、標的分子に特異的な長さ約20〜25ヌクレオチドの短二重鎖RNA分子を細胞にトランスフェクトする。酵素処理過程の後、標的遺伝子の特異性RNAの分解が生じ、これにより標的タンパク質の発現は減少し、結果として標的遺伝子が機能的に分析できる。
【0190】
続いてトランスフェクションあるいはsiRNAによって改変された細胞系は種々の方法で分析してもよい。最も一般的な例を以下に列挙する。
【0191】
1.増殖および細胞周期挙動
細胞増殖を分析する多様な手法が確立され、種々のメーカーから市販されている(例えばRoche Diagnostics社、Invitrogen社;アッセイ法の詳細が多数の応用プロトコールに記載されている)。細胞培養実験における細胞数は単に計数するか、あるいは細胞の代謝活性を測定する比色アッセイ(例えば、wst 1、Roche Diagnostics社)によって測定できる。代謝アッセイ法では、間接的に酵素マーカーを介して実験において細胞数を測定する。細胞増殖はDNAの合成速度を直接分析して、例えば特異的抗体を介して比色分析で検出するブロモデオキシウリジン(BrdU)を組み込んで測定してもよい。
【0192】
2.アポトーシスおよび細胞毒性
細胞アポトーシスおよび細胞毒性を検出するアッセイシステムは多数入手可能である。決め手となる特徴は、不可逆的で細胞死にいたる場合もあるゲノムDNAの、特異的で酵素依存のフラグメンテーションである。これらの特異性DNA断片を検出する方法は市販されている。市販されている他の方法として、組織切片においてもDNAの一本鎖切断を検出し得るTUNELアッセイがある。細胞における活力状態のマーカーとして機能する改変された細胞透過性によって、細胞毒性を主に検出する。一方でこれは、細胞培養液上清で細胞内に典型的に見られるマーカーの分析を含む。他方、無傷の細胞には吸収されない染色マーカーの吸収性を分析することも可能である。染色マーカーの最も知られている例として、トリパンブルーおよびヨウ化プロピジウムがあり、一般的な細胞内マーカーとしては、上清において酵素的に検出し得る乳酸脱水素酵素がある。種々の民間供給業者(例えばRoche Diagnostics社、Invitrogen社)から種々のアッセイシステムが入手できる。
【0193】
3.遊走アッセイ
遊走する細胞の能力は特異的遊走アッセイ、好ましくはBoyden chamber(Corning Costar)(Cinamon G., Alon R. J. Immunol. Methods. 2003 Feb;73(1-2): 53-62; Stocktonら,2001,Mol. Biol. Cell. 12: 1937-6)で分析する。この目的のため、細胞は特定の孔径のフィルター上で培養する。遊走可能な細胞は、このフィルターを通り、下方にあるもう1つの培養容器へと遊走できる。続いて顕微分析により、標的分子の機能の獲得あるいは喪失により誘導した改変可能な遊走挙動を測定することができる。
【0194】
b.動物モデルの機能分析
動物モデルのインビボ実験において、標的遺伝子の機能を分析するための細胞培養実験の有力な代替法は複雑である。細胞を使用する方法と比較して、これらのモデルは、生物全体との関連でのみ検出可能な不完全な発育あるいは疾患を検出できるという利点を有する。多様なヒト疾患モデルが今日、利用できる(Abate-Shen & Shen.2002, Trends in Genetics S1-5; Matsusueら, 2003, J. Clin. Invest.111: 737-47)。例えば酵母、線虫あるいはゼブラフィッシュなどの種々の動物モデルがその後、顕著に特徴づけられている。しかしながら、他の種に及んで好適なモデルは、例えばマウス(Mus musculus)などの哺乳動物モデルであり、その理由はそれらはヒトの状態における生物学的過程を再生させる最良の可能性があるからである。一方マウスに関して、新しい遺伝子をマウスゲノムに組み込むトランスジェニック法が近年確立されてきた(gain of function;Jegstrup I.ら,2003, Lab Anim. 2003. Jan.37(1): 1-9)。他方、他の系統的方法が、マウスゲノムの遺伝子のスイッチをオフにし、それによって目的遺伝子の機能が喪失する(knockout models, loss of function;Zambrowicz BP & Sands AT.2003, Nat. Rev. Drug Discov. 2003 Jan; 2(1):38-51; Niwa H.2001,Cell Struct. Funct. 2001. Jan; 26(3):137-48);多数の技術的詳細が公表されている。
【0195】
マウスモデルを生み出した後、トランス遺伝子あるいは遺伝子機能の喪失で生じた改変は生物全体の状態において分析できる(Balling R、2001、Ann. Rev. Genomics Hum. Genet.2:463-92)。従って、確立された血液パラメーターを生化学的に研究できるだけでなく、例えば挙動試験を行うことも可能である。組織学的分析、免疫組織化学的検査あるいは電子顕微鏡は細胞レベルで特徴づけられる改変を可能にする。遺伝子の特異的発現パターンはインサイチュ(in−situ)ハイブリダイゼーションによって検出することができる(Peters T.ら,2003, Hum. Mol. Genet 12: 2109-20)。
【0196】
実施例1:診断および治療の癌標的としての配列番号1/2の同定
配列番号1(核酸配列)は染色体6番(6q26〜27)上の新しい遺伝子にコードされ、推定タンパク質配列(配列番号2)を表す。この遺伝子座の選択的オープンリーディングフレームは、配列番号268の推定タンパク質配列をコードする配列番号267である。両タンパク質配列は、既知のタンパク質に相同的ではない。
【0197】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本での遺伝子特異的転写産物の量は、特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号3および4)で確証後に調査した。転写産物は、分析対象の正常組織ではまったく検出しなかった(図1)。元の組織としての正常皮膚に遺伝子が発現していないにもかかわらず、調査対象のほとんどすべてのメラノーマ標本において、相当量の前記転写産物を非常に特異的に検出した(図2A)のは本発明者らには驚きである。メラノーマに対するこのマーカーの選択性を従来のRT‐PCRで確認した(図2B)。工程中、遺伝子特異性変異体(予測として配列番号1および配列番号267)を反映する2つのフラグメントが増幅したのは本発明者らには驚きである。
【0198】
したがって本発明者らは、この遺伝子がメラノーマ細胞に絶対的に特異的なマーカーであること、および調査対象の各正常組織に存在しないため、この遺伝子がバイオマーカーとして標的の治療および診断法に適していることを明らかにする。
【0199】
本発明にしたがって、モノクローナル抗体の標的構造として配列番号2あるいは268の細胞外部分を利用することが特に可能である。これはとりわけ以下のエピトープに適用する:配列番号2に基づくアミノ酸1〜50、配列番号268に基づくアミノ酸1〜12、配列番号2に基づくアミノ酸70〜88、配列番号268および281に基づくアミノ酸33〜129。
【0200】
本発明にしたがって、標的構造としてこの遺伝子のみを有し、そのためどんな健常細胞にも影響を与えない化合物を少量用いたワクチンおよび療法などの他の標的指向の方法もまた治療として考えられる。前記遺伝子は、腫瘍細胞に対する選択性のため、診断に利用してもよい。
【0201】
実施例2:診断および治療の癌標的としての配列番号5/6の同定
配列番号5(核酸配列)は染色体11番(11q12.1)上の新しい遺伝子にコードされ、推定タンパク質配列(配列番号6)を表す。この遺伝子座の選択的オープンリーディングフレームは、推定タンパク質の配列番号270をコードする配列番号269である。両タンパク質配列は、既知のタンパク質に相同的ではない。
【0202】
本発明に従って、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量(各ケースにおける標本のプール)は、遺伝子特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号7および8)の確証後に調査した。本発明者らは、精巣を除いて調査対象の健常組織では特異性RNAをまったく、あるいはごく少量しか検出しなかった(図3;A:定量RT‐PCR;B:ゲル像)。したがってこの遺伝子座は、正常体細胞組織において発現が厳密に抑制されている生殖細胞特異性遺伝子産物を発現する。しかしながら、該遺伝子は多くの腫瘍標本で活性化され、特異性RNAは相当量検出できた(図3および4)。最大の有病率および発現レベルは腎細胞腫瘍で見られた。しかし特異的転写産物は胃、すい臓、ENTおよび肺腫瘍でも検出できた。
【0203】
この遺伝子座からの発現をさらに証明するため、ノーザンブロット法をさらに行った。この目的のため、メーカーの使用説明書にしたがってジゴキシゲニン‐dUTP(Roche Diagnostics社)を組み込んだ、プライマーが配列番号7および8である特異的PCRによってプローブを調製した。その後プローブを、精巣組織由来の全RNAそれぞれ2μg(図5a、レーン1)および1μg(図5−1、レーン2)とハイブリダイズし、続いて前記プローブのジゴキシゲニンを特異的呈色反応で検出した。約3.1kBの遺伝子特異性フラグメントを実験で検出し(図5)、したがって、さらにこの遺伝子座の発現を確認した。
【0204】
したがって前記遺伝子座は、実質的に精巣の生殖細胞にしかない正常細胞で発現する「癌/精巣抗原」種の典型である。しかしながら腫瘍では、癌/精巣抗原は、基礎となる体細胞の正常組織細胞では発現しないにもかかわらず、スイッチがオンになることがよくある。この機能的および構造的に不均一な種のメンバーでは、興味深い選択的組織分布のために、I/II相試験において癌の特異的免疫療法アプローチについてすでに試験しているものもある(例えばScanlan MJ, Gure AO, Jungbluth AA, Old LJ, Chen YT.2002, Immunol. Rev. 2002 Oct; 188: 22-32)。
【0205】
配列番号282および283に対応するペプチドを利用し抗体を作製してもよい。本発明にしたがって、特に、モノクローナル抗体の標的構造として配列番号6および270の細胞外領域を利用することが可能である。
【0206】
これらのペプチドで動物に免疫付与することにより生じた抗体の利用が可能となり、それにより免疫組織化学的に究明してPCR調査のデータをタンパク質レベルでも実証できた。正の対照として精巣ならびに腎腫瘍(図5−2)を免疫組織化学的に染色し、この新規に見出された遺伝子産物が実際タンパク質に翻訳され、このタンパク質は精巣以外の正常組織では検出されず腫瘍で検出され、患者の腫瘍細胞は表面が実際染色されることが明らかになった。さらに、これらのデータは、腫瘍細胞に対して驚異的な選択性を持つこの遺伝子産物が治療的および診断的に使用され得る抗体に対する標的構造として有用であること、ならびに原則的にこのような抗体をこの遺伝子産物に対して発生できることを裏付けるものである。
【0207】
実施例3:診断および治療の癌標的としてのLOC203413の同定
遺伝子座LOC203413(核酸配列:配列番号9;アミノ酸配列:配列番号10)の遺伝子あるいはタンパク質は、すでに特徴付けられているX染色体(Xq24)上の遺伝子である。膜貫通領域を除いて、それは別の機能的モチーフを有さず、既知のタンパク質に相同的ではない。
【0208】
本発明に従って、健常組織および癌標本における転写産物の量は、LOC203413特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号11および12)で確証後に調査した(図6−1〜図6−3)。LOC203413特異性RNAは、精巣を除いて調査対象の健常組織ではまったく検出できない。したがって、LOC203413は、正常体細胞組織において厳密に転写が抑制されている精巣細胞特異的遺伝子産物である。図6−1〜図6−3が示すとおり、LOC203413特異的転写産物を、対応する正常組織では検出できなかったにもかかわらず特異的器官の腫瘍、特に胃、膵臓、食道、乳房、卵巣および前立腺の癌で検出できた。このマーカーを有する患者の割合は40〜80%の間で腫瘍型に依存している。
【0209】
したがってLOC203413は、精巣の生殖細胞のみにある正常組織に発現する癌/精巣抗原の種の典型である。しかしながら腫瘍では、癌/精巣抗原は基礎となる体細胞の正常組織細胞では発現しないが、頻繁にスイッチがオンになる。この機能的および構造的に不均一な種のメンバーでは、興味深い選択的組織分布のために、I/II相試験において癌の特異的免疫療法ついてすでに試験しているものもある(例えばScanlan MJ, Gure AO, Jungbluth AA, Old LJ, Chen YT. 2002, Immunol. Rev. 2002 Oct.; 188: 22-32)。
【0210】
本発明にしたがって、特にモノクローナル抗体の標的構造としてLOC203413の細胞外領域を利用することは可能である。したがって、アミノ酸22〜113(配列番号284)はエピトープとして興味深い。保存N‐グリコシル化モチーフは、配列番号10に基づく34および83のアミノ酸位置での配列に位置し、該モチーフは特に腫瘍特異的抗体を作製するのに適している可能性がある。LOC203413特異的抗体は、配列番号285および286の対象であるペプチドを使用し作製した。
【0211】
本発明者らは、このような抗体が、トランスフェクトされ、前記遺伝子産物を発現する細胞を特異的に染色しということを明らかにできた(図7)。このことは、本遺伝子産物が腫瘍細胞で検出でき、治療的および診断的に使用され得る抗体に対する標的構造として好適であること、ならびに原則的にこのような抗体を本遺伝子産物に対して発生し得ることを裏付けている。
【0212】
本発明にしたがって、標的構造としてこの遺伝子のみを有し、そのためどんな健常細胞にも影響を与えない化合物を少量用いたワクチンおよび療法などの他の標的指向の方法もまた治療として考えられる。前記遺伝子は、腫瘍細胞に対する選択性のため、診断に利用してもよい。
【0213】
実施例4:診断および治療の癌標的としてのLOC90625の同定
遺伝子LOC90625(核酸配列:配列番号13)はすでに特徴付けられている染色体21番(21q22.3)にある遺伝子である。膜貫通領域を有するが、その他の点では既知のタンパク質に相同的ではないタンパク質(アミノ酸配列:配列番号14)をコードする。
【0214】
本発明に従って、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC90625特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号15および16)の確証後に調査した(図8−1〜図8−3)。LOC90625は健常組織において非常に選択的に発現し、特異的転写産物は特に精巣で検出できる。他のすべての健常組織では、LOC90625特異的発現はあるとしても低レベルでしか検出できなかった(図8−1〜図8−3)。LOC90625特異的過剰発現を多種の腫瘍で検出したのは本発明者らには驚きである。個々の健常組織標本と比べて、LOC90625は特に前立腺、食道、頭頸部および膵臓の癌および白血病で強く過剰発現した(図8−1〜図8−3)。
【0215】
LOC90625は選択的に発現する抗原であり、増殖中の組織で明らかに発現が増加する。腫瘍におけるこの選択的過剰発現を診断および治療に使用できる。
【0216】
LOC90625の細胞外領域を、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として特に使用できる。例えば前記構造は1〜19(配列番号287)あるいはアミノ酸40〜160(配列番号288)であってもよい。LOC203413特異的抗体は、配列番号289および290に対応するペプチドを使用して作製した。
【0217】
本発明者らは、このような抗体が、トランスフェクトし前記遺伝子産物を発現する細胞を特異的に染色し得ることを明らかにできた(図9−1)。この抗体はまた、ウエスタンブロット法で正確なサイズを有するタンパク質を明らかに検出する(図9−2)。正の対照として精巣ならびに前立腺腫瘍(図9−3)を免疫組織化学的に染色し、この新規に見出された遺伝子産物が事実上タンパク質に翻訳され、このタンパク質は精巣以外の正常組織では検出されず腫瘍で検出され、患者の腫瘍細胞は表面が実際染色されることが明らかになった。さらに、これらのデータは、腫瘍細胞に対して驚異的な選択性を持つこの遺伝子産物が治療的および診断的に使用し得る抗体に対する標的構造として有用であること、ならびに原則的にこのような抗体がこの遺伝子産物に対して発生することを裏付けるものである。
【0218】
本発明にしたがって、標的構造としてこの遺伝子のみを有し、そのためどんな健常細胞にも影響を与えない化合物を少量用いたワクチンおよび療法などの他の標的指向の方法もまた治療として考えられる。前記遺伝子は、腫瘍細胞に対する選択性のため、診断に利用してもよい。
【0219】
実施例5:診断および治療の癌標的としてのFAM26Aタンパク質の同定
染色体10番(10q24)に位置するFAM26A遺伝子(配列番号17および313;NM_182494)は配列番号18および314(NP_872300)の遺伝子産物をコードする。FAM26Aは、アミノ酸位置142にあるN‐グリコシル化モチーフとともに数個の膜貫通領域を有する。
【0220】
本発明に従って、健常組織および腫瘍標本における遺伝子特異的転写産物の量は、FAM26A特異的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号19および20)で確証後に調査した(図10−1、図10−2)。種々の腫瘍でFAM26Aの過剰発現を検出することができたのは本発明者らには驚きである。FAM26Aは、対応する健常組織と比べて、特に卵巣、胃、食道、膵臓および肝臓の腫瘍で極めて高レベルで発現した。本発明にしたがって、種々の腫瘍組織におけるFAM26Aの選択的に高度な発現は分子診断法、例えば組織生検の腫瘍細胞を検出するRT‐PCRなどに利用してもよい。
【0221】
FAM26A特異的抗体は、とりわけ配列番号291および292の対象であるペプチドを用いることによって動物を免疫付与し作製した。FAM26断片をコードするプラスミド構造でトランスフェクトしたCOS細胞において、該抗体の特異性をウエスタンブロット法分析によって明らかにした(図11)。異なる患者の頸部、卵巣および膵臓の種々の腫瘍生検において(図12)、ならびに各ケースでRT‐PCR陽性であった細胞系SW480、EFO27およびSNU16において(図13)、ウエスタンブロット法分析により、明らかな過剰発現も示された。本明細書で本発明者らは、予想の約40kDaのタンパク質バンドの他に、翻訳後に修飾されたタンパク質を表す約50kDaの特定のバンドをも見出した。
【0222】
配列番号291特異的抗体を使用した免疫蛍光法を用いて、内在性FAM26Aタンパク質をSW480細胞内でさらに検出した。分析から原形質膜に局在していることが分かる(図14)。抗体を使用して免疫組織化学的染色によって、患者試料でも遺伝子産物が検出された(図15:A膵腫瘍、B精巣)。正の対照として精巣ならびに膵腫瘍を免疫組織化学的に染色し、この新規に見出された遺伝子産物が事実上タンパク質に翻訳され、このタンパク質は精巣以外の正常組織では検出されず腫瘍で検出され、患者の腫瘍細胞は表面が実際染色されることが明らかになった。さらに、これらのデータは、腫瘍細胞に対して驚異的な選択性を持つこの遺伝子産物が治療的および診断的に使用し得る抗体に対する標的構造として有用であること、ならびに原則的にこのような抗体がこの遺伝子産物に対して発生することを裏付けるものである。本発明にしたがって、モノクローナル抗体の標的構造としてFAM26Aの細胞外領域を利用することが特に可能である。これらは、配列番号1に基づいて、アミノ酸38〜48(配列番号293)およびアミノ酸129〜181(配列番号294)である。あるいは、配列番号18のC末端アミノ酸199‐344(配列番号295)または配列番号314のC末端アミノ酸199‐350もまた診断または治療目的の抗体を作製するエピトープとして好ましい可能性がある。さらに、142に位置するN‐グリコシル化モチーフは、治療抗体に取り組む関心点となり得る。本発明にしたがって、標的構造としてこの遺伝子のみを有し、そのためどんな健常細胞にも影響を与えない化合物を少量用いたワクチンおよび療法などの他の標的指向のアプローチもまた治療として考えられる。前記遺伝子は、腫瘍細胞に対する選択性のため、診断に利用してもよい。
【0223】
実施例6:診断および治療の癌標的としてのSEMA5Bの同定
配列番号22のタンパク質をコードする遺伝子、セマフォリン5B(SEMA5B;配列番号21)は染色体3番(3q21.1)に位置する。SEMA5BはタイプI膜貫通タンパク質であり、セマフォリンのファミリーに属する。
【0224】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、SEMA5B特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号23および24)で確証後に調査した(図16)。すべての健常組織では、分析したSEMA5B特異的発現は低レベルでしか、あるいはまったく検出できなかった(図16)。対照的に、個々の健常組織と比較して、数種の腫瘍、特に腎癌および乳房の腫瘍において、SEMA5B特異的過剰発現を発見したのは驚くべきことである(図17AおよびB)。
【0225】
腫瘍における前記選択的過剰発現は治療に利用できる。
【0226】
SEMA5B(aa20〜1035;配列番号296)の細胞外領域は、本発明にしたがって抗体の標的構造として特に使用し得る。SEMA5Bは、C末端が細胞(aa 1058〜1151)内に位置するタイプI膜貫通領域タンパク質(TM aa 1035〜1057)である。SEMA5B特異的抗体は、配列番号297および298にしたがったペプチドを使用して作製した。
【0227】
実施例7:診断および治療の癌標的としてのGJB5の同定
タンパク質GBJ5(核酸配列:配列番号25;アミノ酸配列:配列番号26)はコネキシンファミリーのメンバーである。該遺伝子は2つのエクソンから成り、染色体1番(1p35.1)に位置する。推定アミノ酸配列は273個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする。コネキシンは、少量の細胞質分子、イオンおよび二次伝達物質を交換するため用いられる「ギャップ結合」を介した細胞間接触において重要な機能を有し、個々の細胞が互いに伝達することを可能にする。ギャップ結合は、膜チャネルを形成するいくつかのコネキシンサブユニットから成る。今までコネキシンの11個の異なるメンバーが記述されており、それらすべては染色体1番上にある遺伝子種ターに位置する(Richard, G.; Nature Genet. 20: 366-369, 1998)。GBJ5は4つの膜貫通領域を有し、タンパク質のNおよびC末端は細胞内に位置する。
【0228】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本(標本のプール、数は図に示す)における遺伝子特異的転写産物の量は、GBJ5特異的定量的RT−PCR(プライマーペア:配列番号27および28)で確証後に調査した。本発明者らの調査は、正常組織での発現の示差的分布を明らかにするものである。本発明者らは、食道および皮膚のみに実際発現するGBJ5転写産物を見出し、その転写は非常に弱いか、あるいは分析対象の他の組織すべてにおいて検出できないものであった(図18−1)。対応する正常組織と比較して、種々の腫瘍組織(特に食道、結腸、胃、肺、頸部、頭頸部および膵臓の癌)がこの遺伝子産物を強く過剰発現することが分かった(図18−1〜図18−4)のは驚くべきことである。
【0229】
GBJ5の細胞外領域は、本発明にしたがって治療抗体の標的構造として特に使用し得る。配列番号26に基づいて、アミノ酸41〜75(配列番号299)およびアミノ酸150〜187の領域(配列番号300)は細胞外に位置する。GBJ5特異的抗体は、配列番号301および302に対応するペプチドを使用して作製し、ウエスタンブロット法で個々の分子のみを認識する特異的抗体の調製は成功した(図19)。
【0230】
実施例8:診断および治療の癌標的としてのKLK5の同定
遺伝子KLK5(配列番号29)およびその翻訳産物(配列番号30)は、非常に多種の生理学的機能を有するセリンプロテアーゼのグループであるカリクレインファミリーのメンバーである。該遺伝子は染色体19番(19q13.3〜13.4)に位置し、セリンプロテアーゼをコードする。KLK5を代用形として合成し、角質層でタンパク質分解することでKLK5を活性化する(Brattsand, Mら; J. Biol. Chem. 274: 1999)。活性プロテアーゼ(aa67〜293)は分泌され、落屑の過程に関与している。プロペプチド(aa30〜67)は、膜貫通領域(aa1〜29)を介して細胞表面に結合し続ける(Ekholm, Eら; Jour Investigative Dermatol, 114; 2000)。
【0231】
本発明にしたがって、KLK5特異的定量的RT−PCR(プライマーペア配列番号31および32)で確証した後、KLK5特異的転写産物の選択的分布を癌標本で健常組織と比較して調査した(図20)。KLK5の正常組織発現はほとんどが非常に低レベル乃至非存在で、KLK5の中程度の発現は精巣、食道、皮膚および前立腺で起こる。腫瘍すなわち食道癌、頸部およびENT腫瘍において、対応する元の正常組織と比較してKLK5の顕著な過剰発現が検出された(図20)。明らかに弱いが検出可能であるKLK5特異性発現が他の組織における数個の腫瘍(例えば、胃および膵癌)でさらに発現された。
【0232】
特にKLK5の細胞外領域は、本発明にしたがって治療抗体の標的構造(配列番号303)として利用してもよい。タンパク質を細胞表面に移動させた後、この領域の一部は切断され分泌される。分泌される部分の処理に続いて細胞膜に固定され続けるペプチド(アミノ酸30〜67)領域と比べて、このタンパク質の一部は治療抗体のエピトープとしてあまり好ましくはない。配列番号304に対応するペプチドを、KLK5特異的抗体を調整する目的で使用した。ウエスタンブロット法により、遺伝子産物KLK5の配列に対するこのペプチドの特異性を示した(図21−1)。この抗体も免疫組織化学的に腫瘍を染色する。一例として、このタンパク質が強く蓄積される乳房腫瘍にこれは見られ、一方正常乳腺組織ではタンパク質はまったく検出されない(図21−2)。これらのデータは、この遺伝子産物が実際タンパク質に翻訳されること、精巣以外の正常組織では検出されず腫瘍で検出されること、および患者の腫瘍細胞は実際表面で染色されることを裏付ける。さらに、これらのデータは、腫瘍細胞に対して驚異的な選択性を持つこの遺伝子産物が治療的および診断的に使用し得る抗体に対する標的構造として有用であること、ならびに原則的にこのような抗体をこの遺伝子産物に対して発生できることを裏付けるものである。
【0233】
実施例9:診断および治療の癌標的としてのLOC352765の同定
LOC352765遺伝子座は染色体9番(9q34.12)に位置する。遺伝子(配列番号33)は配列番号34の遺伝子産物をコードする。LOC352765タンパク質はN末端に膜貫通領域を有する。仮定タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0234】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本(標本のプール)における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC352765特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号35および36)で確証後に調査した(図22)。LOC352765は健常組織で非常に選択的に発現し、特異的転写産物が精巣、皮膚および膀胱のみで検出され得ることが分かった。対照的に、LOC352765特異的過剰発現を数種の腫瘍で検出した。特に乳房の腫瘍での発現は、最高レベルの発現を示す正常組織よりも多かった(図22、23)。LOC352765は、結腸および卵巣の癌およびENT腫瘍で極めて過剰に発現することも分かった。
【0235】
腫瘍の選択的な過剰発現のため、LOC352765は治療用に使用できる。LOC352765の細胞外領域(アミノ酸44〜211、配列番号34)は、本発明にしたがって特に、抗体の標的構造および治療の他の標的形態として利用してもよい。特異的抗体は、配列番号305および306に対応するペプチドを用いて作製した。
【0236】
実施例10:診断および治療の癌標的としてのSVCT1の同定
遺伝子SVCT1(配列番号37)は染色体7番(7q33)に位置し、配列番号38の遺伝子産物をコードする。SVCT1タンパク質は4つの膜貫通領域有し、既知のタンパク質に相同的ではない。
【0237】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、SVCT1特異的RT−PCR(プライマーペア:配列番号39および40)で確証後に調査した(図24)。SVCT1は健常組織では決して発現しない(図24A)。対照的に、SVCT1特異的過剰発現を数種の腫瘍で検出したのは驚くべきことである。SVCT1は、特に腎、頸部およびENTの腫瘍で強く過剰発現する(図24B、図25AおよびB)。
【0238】
腫瘍において選択的に過剰発現するため、SVCT1は治療目的で使用され得る。SVCT1の細胞外領域は、本発明にしたがって特に、抗体の標的構造として、治療の他の標的形態に利用してもよい。特異的抗体は、配列番号307および308に対応するペプチドを用いて作製した。
【0239】
実施例11:診断および治療の癌標的としてのLOC199953の同定
LOC199953遺伝子座(核酸配列:配列番号41;アミノ酸配列:配列番号42)の遺伝子あるいはタンパク質は、染色体1番(1q36.22)に位置する。該タンパク質はいくつかの膜貫通領域を有する。この遺伝子座の選択的オープンリーディングフレームは、遺伝子産物が配列番号272である配列番号271、および対応する遺伝子産物が配列番号274である配列番号273である。これら以外では、その仮定タンパク質は既知のタンパク質領域にさらなる相同性を示さない。
【0240】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC199953特異的定量的RT−PCR(プライマーペア:配列番号43および44)で確証後に調査した。LOC199953は健常組織に選択的に発現し、いくつかの腫瘍においては過剰発現する。具体的には、正常組織と比べて、腫瘍標本の約50%でENTおよび腎癌(図26)において過剰発現を同定することができた。
本発明にしたがって、LOC199953の細胞外領域は、抗体の標的構造として利用してもよい。
【0241】
実施例12:診断および治療の癌標的としてのTMEM31の同定
LOC203562遺伝子座の遺伝子TMEM31(配列番号45)は染色体X(Xq22.2)に位置する。該遺伝子は配列番号46のタンパク質をコードする。前記タンパク質は2つの膜貫通領域を有し、その他の点では、既知のタンパク質に相同的ではない。
【0242】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本での遺伝子特異的転写産物の量は、TMEM31特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号47および48)で確証後に調査した。健常組織では、TMEM31は特に精巣に非常に選択的に限定される(図27)。数種の腫瘍(特にこれらは腎臓、直腸、胃、胸部、肝臓および肺の癌、ならびにENT癌)でも発現を発見したが、対応する正常組織では発現を検出できなかったことは驚くべきことである(図27、図28AおよびB)。
【0243】
したがってTMEM31は、ほとんど精巣の生殖細胞にしかない正常組織で発現する癌/精巣抗原種の典型である。しかしながら腫瘍では、癌/精巣抗原は、基礎となる体細胞の正常組織細胞では発現しないにもかかわらず、スイッチがオンになることがよくある。この機能的および構造的に不均一な種のメンバーでは、興味深い選択的組織分布のために、I/II相試験において特異的免疫療法で癌をすでに試験しているものもある(例えばScanlan MJ, Gure AO, Jungbluth AA, Old LJ,Chen YT. 2002, Immunol. Rev. 2002 Oct; 188: 22-32)。
本発明にしたがって、TMEM31の細胞外領域は、抗体の標的構造として利用してもよい。
【0244】
実施例13:診断および治療の癌標的としてのFLJ25132の同定
FLJ25132遺伝子/タンパク質(核酸配列:配列番号49;アミノ酸配列:配列番号50)は染色体17(17q25.3)に位置する。FLJ25132は膜貫通領域を有するが、その他の点では、既知のタンパク質にまったく相同的ではない。
【0245】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、FLJ25132特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号51および52)で確証後に調査した。健常組織と比較してFLJ25132は、本発明者らが調査した癌標本内で部分的に過剰発現する(図29)。FLJ25132の顕著な過剰発現を、特に卵巣内および前立腺癌で検出した。
【0246】
FLJ25132の細胞外領域は、本発明にしたがって、抗体の標的構造として利用してもよい。
【0247】
実施例14:診断および治療の癌標的としてのLOC143724、LOC284263、LOC283435およびLOC349260の同定
遺伝子座(相当するようにコードされた遺伝子および遺伝子産物)、LOC143724、LOC284263、LOC283435およびLOC349260を、同様の性質を持つため併用している。
【0248】
染色体11番(11q13.1)にあるLOC143724遺伝子座に存在する配列番号53を含む遺伝子は配列番号54の遺伝子産物をコードする。配列番号275はその遺伝子産物の配列番号276とともに、配列番号53の分離転写産物あるいはスプライシングバリアントであるこの遺伝子座の選択的オープンリーディングフレームを表している。配列番号55および56に対応するプライマーを、前記遺伝子を遺伝子特異的に増幅するために使用した。
【0249】
染色体18番(18q21.1)にあるLOC284263遺伝子座に存在する配列番号89を含む遺伝子は、配列番号90の遺伝子産物をコードする。配列番号91および92に対応するプライマーを、前記遺伝子を遺伝子特異的に増幅するために使用した。
【0250】
染色体12番(12q24.32)にあるLOC283435遺伝子座に存在する配列番号117を含む遺伝子は、配列番号118の遺伝子産物をコードする。配列番号119および120に対応するプライマーを、前記遺伝子を遺伝子特異的に増幅するために使用した。
【0251】
染色体9番(9q11.2)にあるLOC349260遺伝子座に存在する配列番号121を含む遺伝子は、配列番号122の遺伝子産物をコードする。配列番号123および124に対応するプライマーを、前記遺伝子を遺伝子特異的に増幅するために使用した。
【0252】
タンパク質はすべて膜貫通領域を有し、さらに既知のタンパク質にまったく相同的ではない。
【0253】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、特異的定量的RT−PCR分析で確証後に調査した。4つの遺伝子はすべて、精巣を除く調査対象の健常組織では検出されなかった。したがって、前記遺伝子は生殖細胞に特異的である可能性が高い。しかし種々の腫瘍標本で顕著な発現が見られるのは驚くべきことである。
【0254】
したがって4つの遺伝子は、精巣の生殖細胞のみにある正常組織に発現する癌/精巣抗原の種の典型である。しかしながら腫瘍では、癌/精巣抗原は基礎となる体細胞の正常組織細胞では発現しないが、頻繁にスイッチがオンになる。この機能的および構造的に不均一な種のメンバーでは、興味深い選択的組織分布のために、I/II相試験において特異的免疫療法で癌をすでに試験しているものもある(例えばScanlan MJ, Gure AO, Jungbluth AA, Old LJ, Chen YT. 2002, Immunol. Rev. 2002 Oct; 188: 22-32)。
【0255】
4つの遺伝子の細胞外領域は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0256】
実施例15:診断および治療の癌標的としての配列番号57の同定
配列番号57に対応する配列は染色体1番(1p21.3)にある遺伝子由来であり、配列番号58に対応するタンパク質配列をコードする。配列番号277はその遺伝子産物の配列番号278とともに、前記遺伝子座の選択的転写産物を表す。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質にまったく相同的ではない。
【0257】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号59および60)で確証後に調査した。配列番号57は、本発明者らが調査した健常組織で選択的に発現した(図30)。分析対象である腫瘍、および特に肝臓、ENTおよび腎臓腫瘍中で過剰発現した腫瘍のほとんど全種で、特異的転写産物を検出できた。このことは、健常組織標本と比較して個々の腫瘍標本を分析して確認した(図31A〜D)。
【0258】
配列番号58の細胞外領域は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよく、特にアミノ酸20〜38および90〜133は細胞外に位置している。
【0259】
実施例16:診断および治療の癌標的としてのLOC119395の同定
染色体17番(17q25.3)にあるLOC119395遺伝子座に存在する配列番号61を含む遺伝子は配列番号62の遺伝子産物をコードする。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0260】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC119395特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号63および64)で確証後に調査した(図32)。LOC119395は、本発明者らが調査した健常組織で非常に選択的に発現し、わずかな組織でのみ検出できる(図32)。対照的に、LOC119395特異的転写産物は分析対象の腫瘍のほとんど全種で検出できた。所々、LOC119395の明確で腫瘍選択的な過剰発現が、特に胃、卵巣および前立腺の癌で観察された。このことは、個々の腫瘍標本を健常組織標本と比較して分析し、確認した(図33A〜C)。各健常組織と比較して、乳房の癌および食道の腫瘍においてLOC119395の過剰発現が検出できた。腫瘍選択的発現を結腸癌および胃癌で同定した(図33C)。
【0261】
LOC119395の細胞外領域(アミノ酸44〜129)は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0262】
実施例17:診断および治療の癌標的としてのLOC121838の同定
染色体13番(13q14.11)上のLOC121838遺伝子座に位置し、転写産物が配列番号65である遺伝子は、配列番号66のタンパク質をコードする。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0263】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC121838特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号67および68)で確証後に調査した(図34A)。LOC121838は、本発明者らが調査した健常組織で非常に選択的に発現し、わずかな組織でしか検出されなかった(図34AおよびB)。対照的に、LOC121838特異的転写産物は分析対象である多種の腫瘍で検出できた。特に卵巣および食道癌で、LOC121838の明確で腫瘍選択的な過剰発現を発見した。
【0264】
LOC121838の細胞外領域は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0265】
実施例18:診断および治療の癌標的としてのLOC221103の同定
染色体11番(11q12.3)上のLOC221103遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号69である遺伝子は配列番号70のタンパク質をコードする。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0266】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC221103特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号71および72)で確証後に調査した。本発明者らが調査した健常組織では、LOC221103は肝臓にのみ発現し、その他の部位では検出できない(図35)。LOC221103特異的転写産物は肝臓癌で過剰発現するのは驚くべきことである(図36)。
【0267】
LOC221103の細胞外領域は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0268】
実施例19:診断および治療の癌標的としてのLOC338579の同定
染色体10番(10q11.21)上のLOC338579遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号73である遺伝子は配列番号74のタンパク質をコードする。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0269】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC338579特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号75および76)で確証後に調査した。精巣で、および低いレベルではあるが肝臓および胸腺でのみ、健常組織で発現を発見した。健常組織と比較して、直腸癌および肝臓癌でLOC338579の過剰発現を発見したのは驚くべきことである(図37)。
【0270】
LOC338579の細胞外領域は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0271】
実施例20:診断および治療の癌標的としてのLOC90342の同定
染色体2番(2q11.2)上のLOC90342遺伝子座に位置し、転写産物が配列番号77である遺伝子は配列番号78のタンパク質をコードする。膜貫通タンパク質は、タンパク質キナーゼCおよび種々のホスホリパーゼ中で保存しているカルシウム結合モチーフ(CalB)を含んでいる。
【0272】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC90342特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号79および80)で確証後に調査した(図38)。LOC90342は少数の健常組織のみに見られ、そのほとんどは毒性にわずかに関連している(図38)。対照的に、分析対象の多種の腫瘍でLOC90342特異的転写産物を発見した。所々、LOC90342の明確に腫瘍選択的な過剰発現を、特に胃、肝臓、膵臓、前立腺、卵巣および肺の癌で観察した。
膜タンパク質は単一の膜貫通領域(aa707〜726)を有する。LOC90342の細胞外領域は、本発明にしたがって治療抗体の標的構造として使用してもよい。
【0273】
実施例21:診断および治療の癌標的としてのLRFN1の同定
LRFN1(配列番号81)は染色体19番(19q13.2)に局在する遺伝子である。該遺伝子は、配列番号82のタンパク質をコードする。前記タンパク質は膜貫通領域を含み、Myb DNA結合領域やC2タイプ免疫グロブリン領域に相同的である。
【0274】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LRFN1特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号83および84)で確証後に調査した。LRFN1は、活性化PBMCおよび脳以外の調査対象の正常組織のほとんどで非常に弱く発現している(図39)。対照的に、分析対象の数種の腫瘍で、LRFN1特異的転写産物を次第に検出できるようになるのを発見した。対応する正常組織と比較して、LRFN1の明確な腫瘍選択的過剰発現を、特に胃、膵臓、食道および乳房の癌で発見した。
【0275】
該タンパク質は膜貫通領域(aa448〜470)を含む。LRFN1の細胞外領域は、本発明にしたがって治療抗体の標的構造として使用してもよい。
【0276】
実施例22:診断および治療の癌標的としてのLOC285916の同定
染色体7番(7p22.3)上のLOC285916遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号85である遺伝子は配列番号86のタンパク質をコードする。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0277】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC285916特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号87および88)で確証後に調査した。本発明者らが調査を行った健常組織では、LOC285916は精巣で選択的に発現し、他の調査対象の全組織では、発現は全くあるいは微量しか検出できない(図40A)。調査対象の全種の腫瘍でLOC285916特異的転写産物を発見したのは驚くべきことである。明確な腫瘍特異的過剰発現が、特に乳房、食道、腎臓、ENTおよび肺の癌で検出できた(図40AおよびB)。
【0278】
LOC285916の細胞外領域(アミノ酸42〜93)は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0279】
実施例23:診断および治療の癌標的としてのMGC71744の同定
染色体17番(17p13.2)上にある配列番号93を含むMGC71744遺伝子は配列番号94のタンパク質をコードする。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0280】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本(標本のプール)における遺伝子特異的転写産物の量は、MGC71744特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号95および96)の確証後に調査した(図41)。MGC71744は健常組織ではほとんど発現しない。肺と脾臓でのみ少量の特異的転写産物。分析対象の他の全健常組織で、MGC71744特異的発現のレベルは低度か、あるいはまったく検出され得なかった(図41A)。対照として、健常組織と比較して、数種の腫瘍、特に腎臓癌で、MGC71744特異的過剰発現を発見したのは驚くべきことである(図41AおよびB)。
【0281】
特にMGC71744の細胞外領域(N‐末端、aa67〜85)は、本発明にしたがって抗体の標的構造として使用してもよい。
【0282】
実施例24:診断および治療の癌標的としてのLOC342982の同定
染色体19番(19p13.13)上のLOC342982遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号97である遺伝子は配列番号98のタンパク質をコードする。膜貫通タンパク質は、C型レクチンの領域に結合している炭水化物に相同的である。
【0283】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本(標本のプール)における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC342982特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号99および100)で確証後に調査した。LOC342982特異性RNAは選択的に発現し、分析対象の多くの正常組織で、発現のレベルは低度か、あるいはまったく検出できなかった(図42)。対照的に、調査対象の腫瘍のほとんど全種は、部分的に腫瘍特異的である過剰発現を示した。主に膵臓、腎臓、肺および乳房の癌では、LOC342982特異的RNAの非常に強い発現を示した(図42)。
【0284】
特にLOC342982の細胞外領域(アミノ酸178〜339)は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。
【0285】
実施例25:診断および治療の癌標的としてのLOC343169/OR6F1の同定
染色体1番(1q44)上のLOC343169遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号101である遺伝子OR6F1は、配列番号102のタンパク質をコードする。OR6F1は数個の膜貫通領域を有し、嗅覚受容体のファミリーに属し、したがってGタンパク質共役受容体の大ファミリーに属している。
【0286】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本(標本のプール)における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC343169/OR6F1特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号103および104)で確証後に調査した(図43A)。LOC343169/OR6F1は健常組織で非常に選択的に発現し、特異的転写産物は特に精巣および脾臓で検出できる。LOC343169/OR6F1特異的発現は、分析対象の他の全健常組織において低レベルか、あるいはまったく検出できなかった(図43A)。対照的に、LOC343169/OR6F1特異的過剰発現を、数種の腫瘍で検出したのは驚くべきことである。LOC343169/OR6F1の腫瘍特異的過剰発現は、特に乳房、卵巣、腎臓、前立腺、膵臓および肝臓の癌で観察される(図43AおよびB)。個々の標本を分析して、過剰発現は卵巣癌を確認した。
【0287】
LOC343169/OR6F1は、選択的に発現する抗原であり、増殖中の組織で明らかに発現が増加する。したがって腫瘍における選択的発現は観察可能であり、治療に利用できる。特に細胞外領域は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。
【0288】
実施例26:診断および治療の癌標的としてのLOC340204の同定
染色体6番(6p21.31)上のLOC340204遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号105である遺伝子は配列番号106のタンパク質をコードする。前記タンパク質は膜貫通領域を有する。さらに、「コリパーゼ」領域に対して強い相同性を示す。膵リパーゼの補因子機能はコリパーゼに起因している。配列番号279はその遺伝子産物の配列番号280ともに、配列番号105の分離転写産物でありスプライシングバリアントでもあり得る前記遺伝子座の選択的転写産物を表している。
【0289】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC340204特異的定量的RT−PCR(プライマーペア:配列番号107および108)で確証後に調査した。LOC340204は健常組織で選択的に発現し、いくつかの腫瘍で強く過剰発現する。種々の正常組織と比較して、特に胃、膵臓、卵巣、肺および食道の癌の腫瘍標本で、明らかな過剰発現を検出した(図44AおよびB)。
LOC340204の細胞外領域は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。
【0290】
実施例27:診断および治療の癌標的としてのLOC340067の同定
染色体5番(5q22.3)上のLOC340067遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号109である遺伝子は配列番号110のタンパク質をコードする。膜貫通タンパク質は他のタンパク質領域に相同的ではない。
【0291】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC340067特異的定量的RT−PCR(プライマーペア:配列番号111および112)で確証後に調査した。LOC340067は健常組織で選択的に発現し、いくつかの腫瘍で強く過剰発現する(図45)。種々の健常組織と比較して、特に膵臓、乳房、肝臓、卵巣、肺および腎臓の癌の腫瘍標本で、明らかな過剰発現が検出した。
【0292】
LOC340067の細胞外領域は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。
【0293】
実施例28:診断および治療の癌標的としてのLOC342780の同定
染色体18番(18q21.32)上のLOC342780遺伝子座に局在し、転写産物が配列番号309である遺伝子は配列番号310のタンパク質をコードする。膜貫通タンパク質は、すでに詳細に特徴付けされている多くの線虫タンパク質に存在するアシルトランスフェラーゼ領域を含んでいる。
発明にしたがって、健常組織および癌標本(標本のプール、数は図に示す)における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC342780特異的定量的RT−PCR(プライマーペア:配列番号311および312)で確証後に調査した。LOC342780は健常組織で非常に選択的に発現し、特異的転写産物は特に前立腺、胃、精巣、肺および乳腺で検出できる(図46)。対照的に、LOC342780特異的発現を分析対象の全種の腫瘍で検出したのは驚くべきことである。LOC342780の腫瘍特異的過剰発現は、特に乳房、卵巣、腎臓および肝臓の癌で観察される(図46)。
【0294】
LOC342780は、選択的に発現する抗原であり、増殖中の組織で明らかに発現が増加する。したがって腫瘍における選択的過剰発現は観察可能であり、治療に利用できる。細胞外に位置するアミノ酸78〜89、316〜345、399〜493および650〜665(配列番号310に基づく)は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。
【0295】
実施例29:診断および治療の癌標的としてのLOC339511の同定
配列番号113に対応する配列は、染色体1番(1q23.1)に位置する遺伝子由来である。該遺伝子は配列番号114のタンパク質をコードする。膜貫通タンパク質は7回膜貫通型嗅覚受容体のグループに相同的である。
【0296】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、LOC339511特異的RT−PCR(プライマーペア:配列番号115および116)で確証後に調査した。健常組織では、LOC339511は肝臓で選択的に発現する(図47−1)。癌標本で、LOC339511特異的転写産物を肝臓の腫瘍で同定し、さらに結腸、乳房、および腎細胞の癌で弱い発現が検出できた。肝臓特異的発現を、腫瘍組織と健常組織で比較したところ、腫瘍標本によっては発現の増加を検出したものもあった。(図47−2)。
【0297】
配列番号113の細胞外領域は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。したがって、具体的には、細胞外に位置するアミノ酸残基1〜23、82〜100、167〜175および226〜236はモノクローナル抗体の作製に特に好ましい。
【0298】
実施例30:診断および治療の癌標的としての配列C14orf37(配列番号125/126)の同定
C14orf37(配列番号125)は、染色体14番(14q22.3)に位置し配列番号126の遺伝子産物をコードする遺伝子である。その膜貫通タンパク質は既知のタンパク質に相同的ではない。
【0299】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、C14あるいはf37特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号127および128)で確証後に調査した。C14あるいはf37は種々の健常組織で発現し、精巣で最も強く発現する(図48)。種々の健常組織と比較して、特に腎臓癌で、明らかな過剰発現を検出した。
【0300】
配列番号126の細胞外領域は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。
【0301】
実施例31:診断および治療の癌標的としてのATP1A4の同定
ATP1A4遺伝子(配列番号129)は染色体1番(1q21〜23)に位置する。該遺伝子は配列番号130のタンパク質をコードする。ATP1A4は、原形質膜に位置する、8つの膜貫通領域を含む内在性膜貫通タンパク質である。ATP1A4はタンパク質複合体の一部であり、ナトリウム/カリウムATPアーゼの触媒性部分はN末端で存在する(Wooら、2000年6月、Biol. Chem.275、20693〜99)。ATP1A4は、カチオンATPアーゼファミリーの多数ある他の代表種に強い相同性を示す。
【0302】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における遺伝子特異的転写産物の量は、ATP1A4特異的定量的RT‐PCR(プライマーペア:配列番号131および132)で確証後に調査した。健常組織では、ATP1A4は特に精巣で選択的に発現する(図49A)。個々の健常組織と比較して、いくつかの腫瘍標本でATP1A4の強い過剰発現を検出した。健常組織と比較して、特に膵臓、乳房、肝臓、および腎臓の癌の腫瘍標本で、明らかな過剰発現を検出し(図49AおよびB)、膵臓および乳房の癌での発現は全体的に非常に高頻度であった。
【0303】
ATP1A4の細胞外領域は、本発明にしたがってモノクローナル抗体の標的構造として使用してもよい。配列番号130に基づく以下のアミノ酸残基は細胞外に位置している:アミノ酸残基129〜137、321〜329、816〜857および977〜990。
【0304】
実施例32:診断および治療の癌標的としての配列番号133〜264の同定
配列番号133〜266は、核酸配列、アミノ酸配列、特異的RT‐PCR反応のための「センス」PCRプライマーおよび「アンチセンス」PCRプライマーを各々含む総計33個の遺伝子である。タンパク質はすべて1つ以上の膜貫通領域を有するが、タンパク質領域に対する相同性に関する情報はほとんど存在しない。
【0305】
本発明にしたがって、健常組織および癌標本における特定の遺伝子特異的転写産物の量を、特異的定量的RT‐PCR反応におけるこれらの遺伝子について調査した。該遺伝子すべてに関して、個々の健常組織と比較して部分的に強い過剰発現を腫瘍標本で検出した。
【0306】
このグループの全遺伝子は治療および診断に利用できる。本明細書において、細胞外領域は、本発明にしたがって、抗体の標的構造として利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】正常組織における配列番号:1の従来のRT−PCR解析である。健常な正常組織における配列番号:1のRT−PCR発現解析。発現が正常組織において検出できないことは明らかである。
【図2】正常組織および腫瘍組織における配列番号:1の発現解析である。A:健常な皮膚組織および黒色腫における配列番号:1の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。腫瘍に選択的な発現は明らかである。B:健常な皮膚(n=4)および睾丸(n=3)と比較した、黒色腫(n=14)および黒色腫細胞株(n=4)における配列番号:1(FLJ31461)のRT−PCR発現解析。
【図3】正常組織および腫瘍組織における配列番号:5のqPCR解析である。正常組織および様々な腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)における配列番号:5の定量的発現解析。A:相対的発現量の対数表現(活性化(倍))。B:増幅断片のゲル電気泳動分画後の画像。腫瘍選択的発現は明らかである。
【図4】正常組織および腫瘍組織における配列番号:5特異的発現の詳細な解析である。A:対応する正常組織における発現と比較した、様々なENT、腎臓/子宮の腫瘍における配列番号:5の定量的発現解析。対数表現。B:増幅断片のゲル電気泳動分画後の画像。腫瘍に選択的な発現は明らかである。
【図5−1】配列番号:5特異的配列を用いたノーザンブロット法解析である。睾丸特異的RNAに対して、配列番号:7、8に準じたプライマーを使用したPCR増幅によって調製されたDIG標識DNAプローブのハイブリダイゼーション。レーン1:睾丸特異的RNA2μg。レーン2:睾丸特異的RNA1μg。
【図5−2】配列番号:5特異的な抗血清を用いた免疫組織化学である。RT−PCR反応から予測されたとおり、配列番号:5に準じたタンパク質は、特異的抗血清を使って、腎細胞癌(B)の他、睾丸組織(A)においても検出可能であった。
【図6−1】正常組織および腫瘍組織におけるLOC203413のRT−PCR解析である。A:発現の対数表現(活性化(倍))。B:ゲル電気泳動分画後の結果。
【図6−2】正常組織および腫瘍組織におけるLOC203413のRT−PCR解析である。ゲル電気泳動分画後の結果。
【図6−3】正常組織および腫瘍組織におけるLOC203413のRT−PCR解析である。A:相対発現量の線形表現。B:増幅産物のゲル電気泳動分画後の結果。
【図7】LOC203413特異抗体を用いた免疫染色である。緑色蛍光タンパク質(GFP)とLOC203413から成る融合構造体をコードする構造体を腫瘍細胞株にトランスフェクションした。タンパク質の付着部位は緑色(A)である。この細胞を抗体で染色した(B)。スーパーインポーズ法によって、抗体がタンパク質に特異的であることを実証している(C)。
【図8−1】正常組織および腫瘍組織におけるLOC90625の特異的発現のqPCR解析である。8a:正常組織(左)および腫瘍組織(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC90625の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図8−2】正常組織および腫瘍組織におけるLOC90625の特異的発現のqPCR解析である。8b:正常組織および腫瘍組織における発現の対数表現。
【図8−3】正常組織および腫瘍組織におけるLOC90625の特異的発現のqPCR解析である。8c:A:白血病(n=14)およびB:頭頸部癌(n=5)におけるLOC90625のRT−PCR発現解析。
【図9−1】特異抗体を用いたLOC90625トランスフェクタントの染色である。eGFPとの融合構造体として特異的遺伝子を細胞にトランスフェクションさせて(A)、この遺伝子産物に対する特異抗体で染色した(B)。特異性は免疫染色を利用した染色のスーパーインポーズ法(C)によって検出する。
【図9−2】ウエスタンブロット法での特異抗体を用いたLOC90625トランスフェクタントの染色である。レーン1、6:293細胞;レーン2、7:LOC90625をトランスフェクションさせて、GFPタグを付けた293細胞;レーン3、4、9、8:LOC90625のみをトランスフェクションさせた293細胞。
【図9−3】LOC90625抗体を用いた組織切片の免疫組織化学である。睾丸の生殖細胞はこの遺伝子産物を発現する唯一の正常細胞である。 示した前立腺癌などの腫瘍も発現している。
【図10−1】正常組織および腫瘍組織におけるFAM26Aの発現解析である。A:正常組織におけるFAM26AのRT−PCR発現解析。FAM26Aの発現が正常組織において検出できないことは明らかである。
【図10−2】正常組織および腫瘍組織におけるFAM26Aの発現解析である。B、C:対応する健常組織と比較した、卵巣癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、肝臓癌におけるFAM26Aの定量的RT−PCR発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。腫瘍に選択的な発現は明らかである。
【図11】FAM26A特異抗体の特性付けである。配列番号:291(A)または配列番号:292(B)のペプチドでの免疫付与によって作製した抗血清のウエスタンブロット法解析。それぞれの場合で、エピトープ特異的プラスミド(A1、3;B2、4)、またはエピトープ非特異的プラスミド(A2、4;B1、3)でトランスフェクション後にCHO細胞の抽出物を分析した。矢印は特異的断片を示す。
【図12】腫瘍におけるFAM26Aタンパク質の解析である。頚部/卵巣/膵臓腫瘍におけるFAM26A特異抗体(配列番号:292)によるFAM26Aの検出。
【図13】細胞株におけるFAM26Aタンパク質の分析である。配列番号:291特異抗体を用いた細胞株におけるFAM26Aタンパク質の分析。特異性の対照(レーン1−5)としての免疫前血清およびFAM26A特異抗体によるウエスタンブロット法解析。
【図14】FAM26A特異抗体によるSW480細胞の免疫染色解析である。構成的に発現するタンパク質は細胞膜に局在する。
【図15】ヒト組織におけるFAM26Aの免疫組織化学的解析である。A:配列番号:292特異的抗血清を用いた膵癌試料(40倍拡大、1:300希釈)におけるFAM26Aタンパク質の免疫組織化学的分析。B:ヒト睾丸の生殖細胞。
【図16】SEMA5Bの特異的発現のRT−PCR解析である。正常組織(A)および腎細胞癌(B)におけるSEMA5BのRT−PCR解析。腫瘍に選択的なSEMA5B発現は明らかである。
【図17】腎細胞癌試料におけるSEMA5Bの特異的発現の詳細な解析である。A)健常な腎臓組織(N、n=3)と比較した腎細胞癌試料(T1−T12)、そしてB)健常な乳房組織(N、n=3)と比較した乳癌(T1−T12)におけるSEMA5Bの定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図18−1】正常組織および腫瘍組織におけるGJB5特異的発現のqRT−PCR解析である。
【図18−2】正常組織および腫瘍組織におけるGJB5特異的発現のqRT−PCR解析である。
【図18−3】正常組織および腫瘍組織におけるGJB5特異的発現のqRT−PCR解析である。
【図18−4】正常組織および腫瘍組織におけるGJB5特異的発現のqRT−PCR解析である。
【図19】GJB5特異抗体でのウエスタンブロット法解析である。レーン4、7は対照をトランスフェクションさせた細胞である。レーン5、6、8、9では、GJB5とGFPから成る融合構造体をトランスフェクションさせる。特異的融合タンパク質は予測される約50kDaの大きさを示す。
【図20】KLK5の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるKLK5の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図21−1】KLK5に対する抗体の特異性の検出である。KLK5(レーン3)をコードする構造体を293細胞にトランスフェクションして、対照(レーン1、2)と比較した。
【図21−2】KLK5に対する抗体を用いたヒト腫瘍の免疫組織化学的切片におけるタンパク質の染色である。抗体は、分泌部分の処理後に残るタンパク質の細胞外部位に対するものである。A:原発性乳癌、B:乳癌転移、C:正常な乳線。
【図22】LOC352765の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC352765の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図23】様々な種類の腫瘍でのLOC352765の特異的発現の詳細な解析である。健常組織試料と比較した乳癌(n=12)におけるLOC352765の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図24】SVCT1の特異的発現のRT−PCR解析である。健常組織試料(A)および腎細胞癌(B)におけるSVCT1のRT−PCR解析。SVTC−1の腫瘍に特異的な発現は明らかである。
【図25】様々な種類の腫瘍におけるSVCT1の特異的発現の詳細な分析である。健常組織試料と比較した、A腎臓癌(n=12)、B頚部腫瘤(n=4)およびENT腫瘍(n=5)におけるSVCT1の定量的発現解析。 相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図26】腎細胞癌およびENT腫瘍におけるLOC199953の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常な腎臓および皮膚に固有の組織試料と比較した、腎細胞癌(n=12)およびENT腫瘍(n=5)におけるLOC199953の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図27】TMEM31の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるTMEM31の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図28】様々な種類の腫瘍におけるTMEM31の特異的発現の詳細な分析である。各症例の健常組織試料と比較した、A胃癌(n=10)およびB乳癌(n=12)におけるTMEM31の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図29】卵巣腫瘍および前立腺癌におけるFLJ25132の特異的発現のqRT−PCR解析である。各症例の健常組織試料と比較した、卵巣腫瘍(n=8)および前立腺癌(n=10)におけるFLJ25132の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図30】配列番号:57の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)における配列番号:57の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図31】様々な種類の腫瘍の配列番号:57の特異的発現の詳細な解析である。各症例の健常組織試料と比較した、A食道腫瘍(n=10)、B肝臓癌(n=8)、C腎臓癌、D頚部腫瘍およびENT腫瘍における配列番号:57の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(A、C、D)または対数表現(B)(活性化(倍))。
【図32】LOC119395の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC119395の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図33】様々なタイプの腫瘍におけるLOC119395の特異的発現の詳細な分析である。健常組織試料と比較した、A乳房腫瘍(n=12)、B食道癌(n=8)、C結腸癌および胃癌におけるLOC119395の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図34】LOC121838の特異的発現のqRT−PCR解析である。A.健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC121838の特異的発現の定量的分析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。B.卵巣組織におけるLOC121838特異的RNAの詳細な解析。対数表現。
【図35】LOC221103の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC221103−RNAの定量的発現解析。 相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図36】肝臓試料におけるLOC221103の特異的発現の詳細なqRT−PCR分析である。肝腫瘍(n=8)および健常な肝臓試料(N)におけるLOC221103−RNAの定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図37】LOC338579の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC338579特異的RNAの定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図38】LOC90342の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC90342特異的RNAの定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図39】LRFN1の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLRFN1特異的RNAの定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図40】LOC285916の特異的発現のqRT−PCR解析である。A.健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC285916の特異的発現の定量的解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。B.腎臓組織およびENT腫瘍におけるLOC285916特異的RNAの詳細な解析。対数表現。
【図41】MGC71744の特異的発現のqRT−PCR解析である。A.健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるMGC71744の特異的発現の定量的分析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。B.様々な腎臓組織におけるMGC71744特異的RNAの詳細な解析。対数表現。
【図42】LOC342982の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC342982特異的RNAの定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図43】LOC343169の特異的発現のqRT−PCR解析である。A.健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC343169特異的発現の定量的分析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。B.様々な卵巣組織におけるLOC343169特異的RNAの詳細な分析。対数表現。
【図44】LOC340204の特異的発現のqRT−PCR解析である。A.健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC340204特異的発現の定量的分析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。B.ゲル電気泳動分画後の選択された組織試料のゲル画像。
【図45】LOC340067の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC340067特異的RNAの定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図46】LOC342780の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC342780特異的RNAの定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。
【図47−1】LOC339511の特異的発現の解析である。A:健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるLOC339511特異的発現の定量的分析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。B:様々な正常組織でのRT−PCR解析によって、肝臓特異的な発現が強調される。
【図47−2】肝細胞癌におけるLOC339511の発現解析である。A:様々な肝臓固有の組織におけるLOC339511特異的RNAの詳細な解析。線形表現。B:RT−PCR解析によって、様々な肝臓細胞癌試料におけるLOC339511の構成的発現が実証される。
【図48】C14orf37の特異的発現のqRT−PCR解析である。健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるC14orf37の定量的発現解析。相対発現量の線形表現(活性化(倍))。
【図49】ATP1A4の特異的発現のqRT−PCR解析である。A:健常組織試料(左)および腫瘍(各症例について3〜5の個別サンプルからなるプール、右側)におけるATP1A4の定量的発現解析。相対発現量の対数表現(活性化(倍))。 B:様々な乳房固有の組織におけるATP1A4特異的RNAの詳細な解析。対数表現。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍関連抗原の発現または活性を阻害する薬剤を含む医薬組成物であって、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する、医薬組成物。
【請求項2】
腫瘍関連抗原を発現するまたは異常に発現する細胞に選択的な、腫瘍阻害活性を有する薬剤を含む医薬組成物であって、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する、医薬組成物。
【請求項3】
薬剤が、細胞死の誘導、細胞増殖の低下、細胞膜の損傷またはサイトカインの分泌を引き起こす、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
薬剤が、該腫瘍関連抗原をコードする該核酸と選択的にハイブリダイズするアンチセンス核酸である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
薬剤が、該腫瘍関連抗原と選択的に結合する抗体である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
薬剤が、該腫瘍関連抗原と選択的に結合する補体活性化抗体である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
投与した場合、HLA分子と腫瘍関連抗原またはそれの一部との間の複合体の量を選択的に増加させる薬剤を含む医薬組成物であって、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する、医薬組成物。
【請求項8】
薬剤が
(i)該腫瘍関連抗原またはその一部、
(ii)該腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、
(iii)該腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞、および
(iv)該腫瘍関連抗原またはその一部およびHLA分子間の単離した複合体、
からなる群から選択される、1つ以上の構成要素からなる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
該薬剤が、いずれの場合も異なった腫瘍関連抗原の発現または活性を選択的に阻害し、異なった腫瘍関連抗原を発現する細胞に対して、いずれの場合も選択的であり、またはHLA分子と異なった腫瘍関連抗原またはその一部との間の複合体の量を増加させる二つ以上の薬剤を含み、前記腫瘍関連抗原の少なくとも一つが:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する、請求項1、2または7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
薬剤組成物であって、
(i)腫瘍関連抗原またはその一部、
(ii)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、
(iii)腫瘍関連抗原またはその一部と結合する抗体、
(iv)腫瘍関連抗原をコードする核酸と特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸、
(v)腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞、
(vi)腫瘍関連抗原またはその一部とHLA分子との間の単離した複合体
からなる群から選択される1つ以上の構成要素を含み、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する、医薬組成物。
【請求項11】
(ii)の該核酸が、発現ベクターに存在する、請求項8または10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
(ii)の該核酸が、プロモーターと機能的に結合している、請求項8または10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
該宿主細胞が、腫瘍関連抗原またはその一部を分泌する、請求項8または10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
該宿主細胞が、腫瘍関連抗原またはその一部と結合するHLA分子を更に発現する、請求項8または10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
該宿主細胞が、HLA分子および/または該腫瘍関連抗原またはその一部を組換え方法で発現する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
該宿主細胞が、HLA分子を内在的に発現する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
該宿主細胞が、抗原提示細胞である、請求項8、10、14または16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
該抗原提示細胞が、樹状細胞、単球またはマクロファージである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
該宿主細胞が、非増殖性である、請求項8、10、および13〜18のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項20】
該抗体が、モノクローナル抗体である、請求項5または10に記載の医薬組成物。
【請求項21】
該抗体が、キメラのあるいはヒト化の抗体である、請求項5または10に記載の医薬組成物。
【請求項22】
該抗体が、天然抗体の断片である、請求項5または10に記載の医薬組成物。
【請求項23】
該抗体が、治療薬または診断薬と結合している、請求項5または10に記載の医薬組成物。
【請求項24】
該アンチセンス核酸が、該腫瘍関連抗原をコードする該核酸の6〜50の近接するヌクレオチド配列を含んでいる、請求項4または10に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物によって与えられる該腫瘍関連抗原またはその一部が、前記腫瘍関連抗原またはその一部の異常量を発現する細胞の表面のMHC分子に結合する、請求項8および10〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項26】
該結合が細胞溶解反応および/またはサイトカインの放出を引き起こす、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
薬剤として許容できる担体および/またはアジュバントを更に含む、請求項1〜26のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項28】
該アジュバントがサポニン、GM−CSF、CpGヌクレオチド、サイトカインまたはケモカインである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
腫瘍関連抗原の発現または異常な発現を特徴とする疾患の治療に使用できる、請求項1〜28のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項30】
該疾患が癌である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
該疾患が、大腸癌、直腸癌、腎臓癌、副腎癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、食道癌、血液癌、肝癌、膵臓癌、皮膚癌、脳癌、肺癌、リンパ腫、神経細胞腫、肺腫瘍、乳腫瘍、前立腺腫瘍、大腸腫瘍、腎臓細胞癌腫、子宮頚癌、大腸癌腫、乳癌腫、ないし前記癌または腫瘍の転移したものである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
該腫瘍関連抗原が、配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 から 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む、請求項1〜31のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項33】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を診断する方法であって、前記方法は:
(i)該腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の検出、および/または
(ii)該腫瘍関連抗原またはその一部の検出、および/または
(iii)該腫瘍関連抗原またはその一部に対する抗体の検出、および/または
(iv)患者から分離した生物試料中の該腫瘍関連抗原またはその一部に対して特異的な、細胞傷害性リンパ球やヘルパーTリンパ球の検出
を含み、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する、
疾患を診断する方法。
【請求項34】
該検出が:
(i)生物試料を、該腫瘍関連抗原をコードする核酸またはその一部に、該腫瘍関連抗原またはその一部に、該抗体または細胞傷害性リンパ球やヘルパーTリンパ球に特異的に結合する薬剤と接触させ、および
(ii)該薬剤と、該核酸またはその一部、該腫瘍関連抗原またはその一部、該抗体または該細胞傷害性リンパ球やヘルパーTリンパ球との間の複合体の形成を検出することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
該検出を、相当する正常生物試料での検出と比較する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
該疾患が、二つ以上の異なった腫瘍関連抗原の発現または異常発現の特徴を有し、検出が前記二つ以上の異なった腫瘍関連抗原をコードする二つ以上の核酸またはその一部を検出すること、二つ以上の異なった腫瘍関連抗原またはその一部を検出すること、前記二つ以上の異なった腫瘍関連抗原またはその一部に結合する二つ以上の抗体を検出すること、もしくは前記二つ以上の異なった腫瘍関連抗原に特異的な、二つ以上の細胞傷害性リンパ球やヘルパーTリンパ球を検出することを含む、請求項33〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
該核酸またはその一部を、前記核酸または前記その一部と特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを用いて検出する、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
該ポリヌクレオチドプローブが、該腫瘍関連抗原をコードする該核酸の6〜50の近接したヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該核酸またはその一部が、前記核酸または前記その一部を選択的に増幅することによって検出される請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
検出される該腫瘍関連抗原またはその一部が、MHC分子との複合体中に存在する、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
該MHC分子がHLA分子である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該腫瘍関連抗原またはその一部を、前記腫瘍関連抗原または前記その一部に特異的に結合する抗体を用いて検出する、請求項33〜36および40〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
該抗体を前記抗体に特異的に結合するタンパク質またはペプチドを用いて検出する、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患の退行、経過または発症を決定する方法であって、前記方法は:
(i)該腫瘍関連抗原をコードする核酸またはその一部の量;
(ii)該腫瘍関連抗原またはその一部の量:
(iii)該腫瘍関連抗原またはその一部に結合する抗体の量;および
(iv)該腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子と間の複合体に特異的な細胞溶解性T細胞またはサイトカイン放出性T細胞の量、
からなる群から選択される一つ以上のパラメータに関して、前記疾患を有する患者または前記疾患にかかることが疑われる患者からの試料をモニターすることを含み、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列を含む核酸、その一部またはその誘導体;
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する方法。
【請求項45】
最初の時点で時間内に第一の試料の該パラメータを、また第二の時点で時間内に更なる試料の該パラメータを決定し、疾患の経過を二つの試料を比較することにより決定する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該疾患が二種類以上の異なる腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とし、
前記モニターが:
(i)前記二つ以上の異なる腫瘍関連抗原またはそれらの一部をコードする二つ以上の核酸の量、
(ii)前記二つ以上の異なる腫瘍関連抗原またはそれらの一部の量、
(iii)前記二つ以上の異なる腫瘍関連抗原またはそれらの一部に結合する二つ以上の抗体の量;および/または
(iv)前記二つ以上の異なる腫瘍関連抗原またはそれらの一部とMHC分子との間の複合体に特異的である二つ以上の細胞溶解性T細胞またはサイトカイン放出性T細胞の量、
をモニターすることを含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
該核酸またはその一部が、前記核酸または前記その一部と特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを用いて核酸またはその一部の量をモニターする、請求項44〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
該ポリヌクレオチドプローブが、該腫瘍関連抗原をコードする該核酸の6〜50の近接したヌクレオチドの配列を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
該核酸またはその一部の量を、前記核酸または前記その一部を選択的に増幅することによってモニターする、請求項44〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
該腫瘍関連抗原またはその一部の量を、前記腫瘍関連抗原または前記その一部と特異的に結合する抗体を用いてモニターする、請求項44〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
抗体の量を、該抗体と特異的に結合するタンパク質またはペプチドを用いてモニターする、請求項44〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
細胞溶解性T細胞またはサイトカイン放出性T細胞の量を、腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子との間の複合体を提示する細胞を用いてモニターする、請求項44〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
該ポリヌクレオチドプローブ、該抗体、該タンパク質またはペプチドもしくは該細胞が検出可能な方法で標識される、請求項37〜38、42〜43、47〜48および50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
該検出可能なマーカーが放射性マーカーまたは酵素マーカーである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
該試料が体液および/または体組織を含む、請求項33〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を治療する方法であって、請求項1〜32のいずれかに記載の医薬組成物の投与することを含み、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択されるヌクレオチド配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する治療方法。
【請求項57】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を、治療、診断またはモニターする方法であって、前記腫瘍関連抗原またはそれの一部に結合し、治療用または診断用の薬剤と結合している抗体を投与することを含み、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する方法。
【請求項58】
該抗体がモノクローナル抗体である、請求項42、50または57に記載の方法。
【請求項59】
該抗体がキメラあるいはヒト化した抗体である、請求項42、50または57に記載の方法。
【請求項60】
該抗体が天然抗体の断片である、請求項42、50または57に記載の方法。
【請求項61】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を有する患者を治療する方法であって、前記方法は:
(i)前記患者から免疫活性細胞を含む試料を採取すること、
(ii)前記試料を、前記腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞と、前記腫瘍関連抗原またはその一部に対する細胞溶解性T細胞またはサイトカイン放出性T細胞の産生に適した条件下で接触させること、
(iii)該細胞溶解性T細胞またはサイトカイン放出性T細胞を、該腫瘍関連抗原またはその一部を発現する細胞を溶解するための適切な量を、該患者に導入することを含み、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する方法。
【請求項62】
該宿主が、該腫瘍関連抗原またはその一部と結合するHLA分子を組換え発現をする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
該宿主が、該腫瘍関連抗原またはその一部と結合するHLA分子を内在的に発現する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を有する患者を治療する方法であって、該方法は:
(i)
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される前記核酸、前記疾患と関連した細胞で発現する核酸を同定すること、
(ii)宿主細胞を、前記核酸またはその一部でトランスフェクトすること、
(iii)トランスフェクトされた宿主細胞を前記核酸の発現のために培養すること、
および
(iv)該疾患と関連した、該患者の細胞に対する免疫応答を増加させるに好適な量の宿主細胞またはそれの抽出物を、患者に導入すること、
を含む治療方法。
【請求項65】
該腫瘍関連抗原またはその一部を提示するMHC分子を該同定されたMHC分子を発現する宿主細胞で同定すること、および該腫瘍関連抗原またはその一部を提示することをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
該免疫応答が、B細胞反応またはT細胞反応を含む、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
該免疫応答が、該腫瘍関連抗原またはその一部を提示している該宿主細胞に特異的な、または該腫瘍関連抗原またはその一部を発現している該患者の細胞に特異的な、細胞溶解性T細胞またはサイトカイン放出性T細胞の産生を含む、T細胞反応である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
該宿主細胞が非増殖性である、請求項61〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を治療する方法であって、前記方法は:
(i)異常な量の該腫瘍関連抗原を発現する患者からの細胞を同定すること、
(ii)前記細胞の試料を単離すること、
(iii)前記細胞を培養すること、および
(iv)該細胞に対する免疫応答を開始させるための適する量で、前記細胞を患者に導入することからなり、前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する方法。
【請求項70】
該疾患が癌である、請求項33〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
請求項1〜32のいずれかに記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、患者における癌の進行を阻害する方法。
【請求項72】
該腫瘍関連抗原が、配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む、請求項33〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸。
【請求項74】
配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含むタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸。
【請求項75】
請求項73または74に記載の核酸を含む、組換えDNAまたはRNA分子。
【請求項76】
ベクターである請求項75に記載の組換えDNA分子。
【請求項77】
該ベクターがウイルスベクターまたはバクテリオファージである、請求項76に記載の組換えDNA分子。
【請求項78】
該核酸の発現を制御する発現制御配列を更に含む、請求項75〜77のいずれかに記載の組換えDNA分子。
【請求項79】
該発現制御配列が、該核酸と同種または異種である、請求項78に記載の組換えDNA分子。
【請求項80】
請求項73または74のいずれかに記載の核酸または請求項75〜79のいずれかに記載の組換えDNA分子を含む、宿主細胞。
【請求項81】
HLA分子をコードする核酸を更に含む、請求項80に記載の宿主細胞。
【請求項82】
請求項73に記載の核酸によってコードされるタンパク質またはポリペプチド。
【請求項83】
配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む、タンパク質またはポリペプチド。
【請求項84】
請求項82または83記載のタンパク質またはポリペプチドの免疫原性の断片。
【請求項85】
ヒトHLAレセプターまたはヒト抗体と結合する、請求項82または83に記載のタンパク質またはポリペプチドの断片。
【請求項86】
タンパク質またはポリペプチドまたはその一部と特異的に結合する薬剤であって、前記タンパク質またはポリペプチドは:
(a)配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる薬剤。
【請求項87】
該タンパク質またはポリペプチドが、配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む、請求項86に記載の薬剤。
【請求項88】
抗体である、請求項86または87に記載の薬剤。
【請求項89】
該抗体がモノクローナル、キメラまたはヒト化抗体あるいは抗体断片である、請求項88に記載の薬剤。
【請求項90】
(i)タンパク質またはポリペプチドあるいはその一部、および
(ii)前記タンパク質または前記ポリペプチドまたは前記その一部が結合するMHC分子との複合体と選択的に結合する抗体で:前記抗体は(i)または(ii)と単独では結合せず、ここで前記タンパク質またはポリペプチドは:
(a)配列表の配列番号13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる抗体。
【請求項91】
該タンパク質またはポリペプチドが、配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む、請求項90に記載の抗体。
【請求項92】
モノクローナル、キメラまたはヒト化抗体または抗体の断片である、請求項90または91に記載の抗体。
【請求項93】
請求項86〜89のいずれかに記載の薬剤または請求項90〜92のいずれかに記載の抗体と治療薬または診断薬との間の複合体。
【請求項94】
該治療薬または診断薬が毒素である、請求項93に記載の結合体。
【請求項95】
腫瘍関連抗原の発現または異常発現を検出するためのキットであって:
(i)該腫瘍関連抗原またはその一部をコードする該核酸;
(ii)該腫瘍関連抗原またはその一部;
(iii)該腫瘍関連抗原またはその一部と結合する抗体;および/または
(iv)該腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子との間の複合体に特異的なT細胞
の検出のための薬剤を含むキットで、
前記腫瘍関連抗原は:
(a)配列表の配列番号13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する検出キット。
【請求項96】
該腫瘍関連抗原またはその一部をコードする該核酸を検出するための該薬剤が、前記核酸の選択的増幅のための核酸分子である、請求項95に記載のキット。
【請求項97】
該核酸の選択的増幅のための該核酸分子が、該腫瘍関連抗原をコードする該核酸の6〜50の近接したヌクレオチド配列を含む、請求項96に記載のキット。
【請求項98】
配列表の配列番号:13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列を含む核酸に由来するプロモーター領域を含む、組換えDNA分子。
【請求項99】
配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314の該腫瘍抗原の発現または活性を阻害する薬剤からなる、医薬組成物。
【請求項100】
配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314による配列を含むタンパク質の該細胞外領域と結合する抗体。
【請求項101】
該薬剤が、前記腫瘍抗原をコードする該核酸と選択的にハイブリダイズするアンチセンス核酸である、請求項99に記載の医薬組成物。
【請求項102】
該アンチセンス核酸が、前記腫瘍抗原をコードする該核酸の6〜50の近接したヌクレオチド配列を含む、請求項101に記載の医薬組成物。
【請求項103】
該薬剤が、RNA干渉(RNAi)である、請求項99に記載の医薬組成物。
【請求項104】
RNAiが「短いヘアピン」構造(shRNA)を含む、請求項103に記載の医薬組成物。
【請求項105】
shRNAが、発現ベクターのトランスフェクション後の転写により産生される、請求項104に記載の医薬組成物。
【請求項106】
shRNAが、レトロウイルスの転写により産生される、請求項104に記載の医薬組成物。
【請求項107】
shRNAがレンチウイルス系により媒介される、請求項104に記載の医薬組成物。
【請求項108】
該薬剤が低化学分子である、請求項99に記載の医薬組成物。
【請求項109】
該低化学分子が、前記腫瘍抗原に結合する、請求項108に記載の医薬組成物。
【請求項110】
該低化学分子が、配列表の配列番号:14, 2, 6, 10, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314の配列を含むタンパク質の細胞外領域に結合する、請求項109に記載の医薬組成物。
【請求項111】
少なくとも1つの腫瘍抗原の発現または異常発現を特徴とする転移性の腫瘍を、治療、診断またはモニターする方法であって、少なくとも1つの腫瘍抗原またはその一部に結合し、治療薬または診断薬と結合している抗体を投与することからなり、前記少なくとも1つの腫瘍抗原は:
(a)配列表の配列番号13, 1, 5, 9, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体配列を含む核酸、
(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、
(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重した核酸、
(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、
からなる群から選択される核酸によってコードされる配列を有する方法。
【請求項112】
該抗体がモノクローナル抗体である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
該抗体がキメラ抗体またはヒト化抗体である、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
該抗体が天然抗体の断片である、請求項111に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図18−3】
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【図18−4】
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【図19】
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【図20】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47−1】
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【図47−2】
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【図48】
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【図49】
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【公表番号】特表2008−537546(P2008−537546A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502334(P2008−502334)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002695
【国際公開番号】WO2006/100089
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(505186821)ガニュメート・ファーマシューティカルズ・アクチェンゲゼルシャフト (14)
【氏名又は名称原語表記】GANYMED PHARMACEUTICALS AG
【Fターム(参考)】