説明

腫瘍酵素レベルの決定を含む膀胱癌の処置

様々な膀胱癌処置および方法が本明細書中で開示される。本開示は、プロピレングリコール濃度および/またはヒトの膀胱の移行上皮癌におけるNAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)、シトクロムP450オキシドレダクターゼ(P450R)、およびグルコーストランスポーター1(Glut−1)タンパク質発現を、個々に標的化した膀胱癌処置を提供するために利用し得る。例えば、膀胱癌を処置する方法であって、腫瘍内の少なくとも1つの酵素のレベルを決定する工程;該少なくとも1つの酵素のレベルに基づいて処置を選択する工程;および該処置を投与する工程であって、該処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤を、単独で、または別の処置と組み合わせてのいずれかで含む、工程を包含する、方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2006年2月8日に出願した米国仮特許出願第60/771,678号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、EO9処方および方法を用いた膀胱癌の処置に関連する。本発明は、プロピレングリコール濃縮物および/またはヒトの膀胱の移行上皮癌におけるNAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO−1)、シトクロムP450オキシドレダクターゼ(P450R)およびグルコーストランスポーター1(Glut−1)タンパク質の発現を利用して、個々に標的化した膀胱癌処置を提供し得る。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
膀胱癌は、世界中で7番目に多い癌である。2000年に、英国の男性において4番目に多い癌であり、その年9000例の新規症例が診断された(非特許文献1)。2002年、ヨーロッパにおいて推定280,000例の膀胱癌が存在し、そして2004年には米国において60,000例以上の新規症例が予測された。
【0004】
最もよくある型の膀胱癌(約90%)は、尿道システム(尿管、膀胱および尿道)の細胞裏打ち層である尿路上皮由来の、移行上皮癌(TCC)である。移行上皮癌(TCC)を、表在性(pTaおよびpT1)または筋肉浸潤性(≧pT2)のいずれかに分類し得る。現在、表在性TCCの処置は、経尿道的切除術(TURBT;すなわち、全ての見える病変の外科的切除)に続いて、補助的化学療法または免疫療法である。そのような処置の妥当性は、TURBT単独と比較した場合の、補助的化学療法後に観察される表在性腫瘍の再発の有意な抑制によって支持される(非特許文献2)。マイトマイシンC(MMC)、エピルビシンおよびBCGのような薬剤が日常的に使用されるが、TCCに対するより強力な、および/またはより毒性の低い薬剤を開発する必要性、または利益を得る可能性のある個人(または病理学的サブグループ)に対する標的化処置に関して、現在の治療薬をより良く使用する必要性が存在することが広く認識される。
【0005】
マイトマイシンC(MMC)は、生体内還元性薬剤として知られる種類の化合物に属する、天然に存在するキノンに基づく抗悪性腫瘍薬である(非特許文献3)。一般的に、生体内還元性薬剤はプロドラッグであり、細胞毒性代謝物を産生するために代謝活性化を必要とし、そして全て原則として、固体腫瘍のあまり灌流していない領域に存在する、低酸素性の細胞を根絶するために設計される。しかし、これらの薬剤はまた、腫瘍の有酸素部分も標的とし得る。
【0006】
キノンに基づく生体内還元性薬剤の細胞毒性選択性(すなわち、低酸素および有酸素腫瘍細胞間の)を決定する重要なパラメーターは、そのプロドラッグを還元するために必要な特定の酵素レダクターゼの存在、および分子酸素が活性化過程を逆転する能力である(非特許文献4、5)(しかし、細胞の破壊の決定におけるレダクターゼおよび酸素分圧の相対的役割は、問題の化合物に依存して変動する(非特許文献4、6))。TCCの処置においてMMCが日常的に使用されるという事実は、この疾患が、生体内還元性の活性化に必要な、適切な生化学的機構を有するということだけでなく、このクラスの他の化合物も、この疾患の処置に有用であり得ることを示唆する。有用であり得るさらなる化合物の2つの例は、インドールキノン誘導体EO9およびアジリジニルベンゾキノンRH1を含む(非特許文献7、8)。
【0007】
述べたように、キノンに基づく生体内還元性薬剤の、有酸素または低酸素細胞を根絶する能力は、レダクターゼの存在を含む腫瘍酵素学および低酸素との間の複雑な関係によって大部分決定される。いくつかのレダクターゼが、生体内還元性薬剤の活性化に関係付けられたが(4、6)、酵素シトクロムP450レダクターゼ(P450R)およびNAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)が相当注目された。低酸素の測定に関して、グルコーストランスポーター1(Glut−1)または炭酸脱水酵素IX(CAIX)のような内因性マーカーが、ピモニダゾールのような外来性低酸素マーカーと関連することが示された(9、10)。
【非特許文献1】Cancer Research UK, Bladder cancer − UK. London, 2002
【非特許文献2】Tolley DA, Parmar MK1 Grigor KM1 et al. The effect of intravesical mitomycin C on recurrence of newly diagnosed superficial bladder cancer: a further report with 7 years of follow up. J Urol 1996;155:1233−8
【非特許文献3】Sartorelli AC, Hodnick WF, Belcourt MF, et al. Mitomycin C: a prototype bioreductive agent. Oncol Res 1994;6:501−8
【非特許文献4】Ross D, Beall HD, Siegel D, Traver RD, Gustafson DL. Enzymology of bioreductive drug activation. Br J Cancer 1996;Suppl 27:S1−8
【非特許文献5】Wardman P, Dennis MF, Everett SA, Patel KB, Stratford MR, Tracy M. Radicals from one−electron reduction of nitro compounds, aromatic N−oxides and quinones: the kinetic basis for hypoxia−selective, bioreductive drugs. Biochem Soc Symp 1995;61 :171−94
【非特許文献6】Workman P, Stratford IJ. The experimental development of bioreductive drugs and their role in cancer therapy. Cancer Met Rev 1993;12:73−82
【非特許文献7】Puri R, Basu S, Loadman P, et al. Phase I clinical evaluation of intravesical EOquin (EO9) against superficial bladder cancer: Preliminary results. Clinical Cancer Res 2003;9:6248S−9S
【非特許文献8】Danson S, Ward TH, Butler J, Ranson M. DT−diaphorase: a target for new anticancer drugs. Cancer Treat Rev 2004;30:437−49
【非特許文献9】Hoskin PJ, Sibtain A, Daley FM, Wilson GD. GLUT1 and CAIX as intrinsic markers of hypoxia in bladder cancer: relationship with vascularity and proliferation as predictors of outcome of ARCON. Br J Cancer 2003,89:1290−7
【非特許文献10】Airley RE, Loncaster J, Raleigh JA, et al. GLUT−1 and CAIX as intrinsic markers of hypoxia in carcinoma of the cervix: relationship to pimonidazole binding, lnt J Cancer 2003;104:85−91
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、膀胱の表在性および浸潤性移行上皮癌(TCC)における、腫瘍の低酸素および2つの重要なレダクターゼの発現の間の関係が重要である。さらに、様々な浸透プロファイルを有する、膀胱癌処置医薬品調製物の使用が、表在性対筋肉浸潤性腫瘍の標的化に必要である。本発明は、膀胱癌処置のこれらの局面に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
表在性および浸潤性腫瘍の間で、NQO1発現における有意な差が見出され、筋肉浸潤性腫瘍において低いレベルで観察された。対照的に、P450RおよびGlut−1は、発現は腫瘍ステージと共に増加するが(特にGlut−1の場合)、TCCの全てのステージおよびグレードにおいて発現していた。それに加えて、Glut−1の発現は、G3腫瘍において有意に増加しており、一方NQO1の存在は低レベルであった。これらの結果は、NQO1およびGlut−1の発現における著しい差が、表在性および浸潤性膀胱TCCの間に存在することを示した。それに加えて、異なる浸透プロファイルを有する、キノンに基づく生体内還元性薬剤の医薬品調製物が見出された。
【0010】
これらの結果は、その単剤療法におけるキノンに基づく生体内還元性薬剤は、表在性疾患に適切であり、一方筋肉浸潤性疾患に関しては、低酸素画分を標的化するキノンおよび有酸素画分を根絶する他の様式を用いた併用療法が望ましいという治療的意味を有する。さらに、表在性膀胱癌を処置する場合には、低い浸透プロファイルを有する医薬品調製物を採用し得、一方より筋肉浸潤性の膀胱癌を処置する場合には、より高い浸透プロファイルを有する医薬品調製物を採用し得る。合わせると、本発明のこれらの局面は、癌治療を、個人の疾患プロファイルの特定の特徴に合わせて作ることを可能にすることによって、膀胱癌の処置において重要な進歩を提供する。
【0011】
具体的には、本発明による1つの実施態様は、腫瘍内の少なくとも1つの酵素のレベルを決定すること、および少なくとも1つの酵素レベルに基づいて処置を選択することを含む、膀胱癌を処置する方法を含み、ここでその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤の単独、または別の処置と組み合わせた投与を含む。
【0012】
別の実施態様において、その酵素は、NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)およびNADPHシトクロムP450レダクターゼ(P450R)から成るグループから選択される。特定の実施態様において、その酵素はNQO1であり、そしてその処置はキノンに基づく生体内還元性薬剤単独の投与を含む。別の特定の実施態様において、その酵素はNQO1であり、そしてその処置は、他の処置と組み合わせた、キノンに基づく生体内還元性薬剤の投与を含む。別の特定の実施態様において、その酵素はP450Rであり、そしてその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤単独の投与を含む。さらに別の特定の実施態様において、その酵素はP450Rであり、そしてその処置は、他の処置と組み合わせた、キノンに基づく生体内還元性薬剤の投与を含む。本発明によるさらなる実施態様において、その酵素はNQO1およびP450Rであり、そしてその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤単独の投与を含む。さらに別の実施態様において、その酵素はNQO1およびP450Rであり、そしてその処置は、他の処置と組み合わせた、キノンに基づく生体内還元性薬剤の投与を含む。
【0013】
本発明による1つの実施態様はさらに、腫瘍内の低酸素のレベルを決定すること、および少なくとも1つの酵素レベルおよび低酸素レベルに基づいて処置を選択することを含む。特定の実施態様において、その低酸素レベルを、グルコーストランスポーター1(Glut−1)および/または炭酸脱水酵素IX(CAIX)を測定することによって決定する。
【0014】
本発明による特定の実施態様は、NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)のレベル、NADPHシトクロムP450レダクターゼ(P450R)のレベル、およびグルコーストランスポーター1(Glut−1)のレベルから成るグループから選択される測定に基づいて処置を選択することを含む、膀胱癌を処置する方法を含み、ここでその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤の、単独または他の処置と組み合わせた投与を含む。この特定の実施態様の様々な局面において:その測定はNQO1またはP450Rであり得、そしてその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤単独の投与を含む;その測定はNQO1またはP450Rであり得、そしてその処置は、他の処置と組み合わせた、キノンに基づく生体内還元性薬剤の投与を含む;その測定はNQO1およびP450Rであり得、そしてその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤単独の投与を含む;その測定はNQO1およびP450Rであり得、そしてその処置は、他の処置と組み合わせた、キノンに基づく生体内還元性薬剤の投与を含む;またはその測定はNQO1、P450RおよびGlut−1であり得、そしてその処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤の、単独または他の処置と組み合わせた投与を含む。
【0015】
本発明による1つの実施態様において、本発明は、腫瘍内のNQO1およびGlut−1のレベルを決定すること;当該NQO1レベルは、もし当該腫瘍が表在性ならば観察されるよりも低く、そして当該Glut−1レベルは、もし当該腫瘍が表在性ならば観察されるよりも高いので、別の処置と組み合わせた、キノンに基づく生体内還元性薬剤を含む併用療法を選択することを含む、浸潤性膀胱癌を処置する方法を含む。
【0016】
本発明による別の実施態様において、本発明は、当該患者の膀胱腫瘍におけるNQO1およびGlut−1の発現レベルを決定すること;およびもし当該患者が高レベルのNQO1を有する表在性膀胱癌を有するなら、生体内還元性薬剤を単一薬剤療法として投与すること、またはもし当該患者が低いNQO1および高いGlut−1レベルを有する浸潤性膀胱癌を有するなら、生体内還元性薬剤を放射線療法または別の化学療法剤と組み合わせて使用する併用療法を投与することを含む、当該患者の膀胱腫瘍におけるNQO1およびGlut−1の発現レベルに基づいて、膀胱癌の適切な処置に関して患者を分類する方法を含む。
【0017】
本発明による特定の実施態様において、他の処置は、放射線療法および/または少なくとも1つの化学療法剤の投与である。
【0018】
様々な実施態様において、特に有用なキノンに基づく生体内還元性薬剤は、マイトマイシンC、インドールキノン誘導体EO9、アジリジニルベンゾキノン(RH1)、およびその組み合わせから成るグループから選択される。
【0019】
本発明はまた、医薬品調製物を含む。具体的には、本発明による1つの実施態様は、約30%vol/volのPG、約20%vol/volのPG、および約10%vol/volのPGから成るグループから選択される濃度のプロピレングリコール(PG)濃度の溶液中にEO9を含む医薬品調製物を含む。EO9濃度は、約300μMから約400μMの範囲に存在し得る。特定の実施態様において、その調製物は、約347μMのEO9濃度を有する溶液を含む。
【0020】
本発明による医薬品調製物はさらに、NaHCO、EDTA、マンニトール、および水を含み得る。1つの実施態様において、その調製物は、約10mg/mLから約120mg/mLのNaHCOを含む。特定の実施態様において、その調製物は、約100mg/mLまたは約100.25mg/mLのNaHCOを含む。別の特定の実施態様において、その調製物は、約50mg/mLのNaHCO、または50.125mg/mLのNaHCOを含む。別の実施態様において、その調製物は、約0.5mg/mLから約3.0mg/mLのマンニトールを含む。特定の実施態様において、その調製物は、約0.625mg/mLのマンニトールを含む。別の特定の実施態様において、その調製物は、1.25mg/mLのマンニトールを含む。別の特定の実施態様において、その調製物は、約100mg/mLのNaHCO、約0.625mg/mLのマンニトール、および約0.1mg/mLのEO9を、EDTA、PGおよび水を含む溶液中に含む。
【0021】
本発明による1つの実施態様は、PG、EDTAおよび水を含む溶液中にEO9、NaHCOおよびマンニトールを含む医薬品調製物を含み、ここでPGは溶液中に約6%から約14%vol/vol;約16%から約24%vol/vol、および約26%から約34%vol/volから成るグループから選択されるパーセンテージの範囲で存在する。別の実施態様において、PGは溶液中に約10%vol/vol、約20%vol/vol、および約30%vol/volから成るグループから選択されるパーセンテージで存在する。別の実施態様において、その調製物は、約347μMのEO9濃度、および約10%vol/volのPG濃度を有する溶液を含む。さらに別の実施態様において、その調製物は、約347μMのEO9濃度、および約20%vol/volのPG濃度を有する溶液を含む。さらなる実施態様において、その調製物は、約347μMのEO9濃度、および約30%vol/volのPG濃度を有する溶液を含む。これらの説明された本発明の実施態様は、約10mg/mLから約120mg/mLのNaHCOを含み得、そして1つの特定の実施態様において約100、約100.25、または約50.125mg/mLのNaHCOを含む。これらの説明された本発明の実施態様はまた、約0.5mg/mLから約3.0mg/mLのマンニトールを含み得、そして1つの特定の実施態様において約0.625または約1.25mg/mLのマンニトールを含む。
【0022】
本発明の1つの実施態様は、医薬品調製物を含み得、ここでその調製物は、約347μMのEO9濃度、約10%vol/volのPG濃度、約100.25mg/mLのNaHCO、および約0.625mg/mLのマンニトールを含む溶液を含む。別の実施態様は、医薬品調製物を含み得、ここでその調製物は、約347μMのEO9濃度、約30%vol/volのPG濃度、約100.25mg/mLのNaHCO、および約0.625mg/mLのマンニトールを含む溶液を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
キノンに基づく生体内還元性薬剤は、プロドラッグであり、酵素的活性化の後、細胞毒性種を産生する。2電子レダクターゼ酵素である、その酵素NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1;DT−ジアホラーゼ(DTD)とも呼ばれる)が、有酸素条件下で、キノンに基づく生体内還元性薬剤の活性化に主な役割を果たす。キノンに基づく生体内還元性薬剤はまた、低いNQO1活性を有する細胞を含む低酸素条件下で細胞毒性である。シトクロムP450レダクターゼのような1電子還元酵素は、低酸素条件下で、キノンに基づく生体内還元性薬剤の活性化により主要な役割を果たし得る。前述のことに基づいて、これらのレダクターゼのレベルおよび低酸素条件が、様々なキノンに基づく生体内還元性薬剤を使用する適切さを含む、異なる癌処置の適切さを示し得る。従って本発明は、様々なグレードおよびステージのTCCにおいて、記載されたレダクターゼのレベルおよび低酸素条件を評価した。
【0024】
様々な浸透プロファイルを有するキノンに基づく生体内還元性薬剤を含む医薬品調製物を提供することに基づいて、膀胱癌の処置における改善も起こり得る。例えば、より低い浸透プロファイルを有する医薬品調製物は、薬剤が、処置が最も必要である膀胱の表面により近く留まるので、表在性膀胱癌を処置する場合に使用するのに有用である。逆に、より高い浸透プロファイルを有する医薬品調製物は、それらの場合に処置が最も必要である膀胱のより深い層へ薬剤が浸透するので、より筋肉浸潤性の膀胱癌を処置する場合に有用である。合わせると、本発明の様々な局面は、個人の疾患プロファイルの特定の特徴に合わせて癌処置を行うことを可能にすることによって、膀胱癌の処置における重要な進歩を提供する。
【0025】
以下の構造式を有する、EO9またはNSC−382459としても知られる、アパジクオン(prop.INN,USAN)、(3−ヒドロキシメチル−5−アジリジニル−1−メチル−2−(1H−インドール−4,7−ジオン)−プロペノール:
【0026】
【化1】

は、完全合成の生体内還元性アルキル化インドールキノンである。EO9の基本的な活性化のメカニズムは、他のインドールキノンのものと同様と考えられ、それぞれセミキノンおよびヒドロキノンを形成する、1つまたは2つの電子を転移する細胞酵素による還元を含む。有酸素条件下でのセミキノンの酸化は、酸化還元サイクルを引き起こし、それは活性酸素種(ROS)を形成し、DNA鎖の切断を引き起こすことによって細胞死を引き起こし得る。セミキノン/ヒドロキノンは、特に低酸素条件下で、DNAおよび他の高分子をアルキル化および架橋して、細胞死を引き起こし得る。EO9は、本発明で使用するために適切な、キノンに基づく生体内還元性薬剤の1つの制限しない例である。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
I.材料および方法
A.ヒト組織
まず医学研究会議の規定に従って、地域研究倫理委員会(LREC)から同意を得た後、ヒト膀胱移行上皮癌のホルマリン固定、パラフィン包埋標本(n=52)をこの研究のために使用した。全ての患者の詳細は匿名にして機密性を保証し、そして全ての実験を、LRECによって規定されたガイドラインに従って行った。研究のために使用した腫瘍は、ヒト膀胱TCCの表在性(19 pTa;19 pT1)および筋肉浸潤性(14 ≧pT2)ステージ両方の、全てのグレード(11 グレード1;26 グレード2;15 グレード3)を代表していた。組織マイクロアレイ(TMA)の構築および続く免疫組織化学的分析のために、全ての腫瘍塊を使用した。
【0028】
B.組織マイクロアレイの構築
組織マイクロアレイ構築物(TMA)を、ヒト膀胱TCCの様々なグレード(G1−G3)および様々なステージ(pTa、pT1、≧pT2)を代表するために、パラフィン包埋ブロックから構築した。組織マイクロアレイ構築物(TMA)を、本明細書中で参考文献に組み込まれる、Bubendorfら(11)の修飾した方法を用いて、Beecher Instrumentsマイクロアレイヤー(Silver Spring、MD、USA)を用いて達成した。簡単には、パラフィン包埋ドナーブロックそれぞれの切片を、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)を用いて染色し、顕微鏡で調査し、そして関心のある組織を含む領域を、ワックスブロック上にマークする。円筒形のコア(600μM)を、これらの代表的な領域からパンチ生検し、そしてレシピエントブロックに移した。組織のサンプリングは、各腫瘍ブロックから4つのコアを使用して、各親ブロックについて代表的なデータを提供した。TMAブロックあたり26人の患者を代表する全部で108のコアサンプルが含まれ、そして2つのTMAブロックを構築した。5μM厚さの切片を、レシピエントTMAブロックから切断し、そしてテープトランスファーシステム(tape−transfer system)(Instrumedics、USA)を用いてスライドグラスに載せた。各マイクロアレイブロックから切断される、最初および続く10個の切片ごとに、組織学およびサンプルの完全性の確認のためにH&E染色を行った。ついでTMAスライドを、免疫組織学的分析にかけた。
【0029】
C.抗体
使用した抗体は、NQO1に対するマウスモノクローナル抗体(Colorado Health Sciences Center、Denver、USAのDrs.Siegel およびRossによって提供された)、P450Rに特異的なヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、USA)、Ki67に対するマウスモノクローナル抗体(BD Biosciences、UK)、およびグルコーストランスポーター−1に特異的なウサギポリクローナル抗体(GLUT−1;Dako、UK)を含んでいた。
【0030】
D.免疫組織化学
NQO1、P450R、GLUT−1およびKi67の免疫局在性を、以前に記載されたように(9、10、12、13)および当業者によって理解されるように、免疫組織化学によって評価した。簡単には、抗原の回収および非特異的免疫グロブリン結合の阻害の後、TMAを適切な一次抗体とインキュベートした:1:1のTBSTM(10mMのTris−HCl、150mMのNaCl、0.2%のTween20、5%の脱脂粉乳)で希釈した抗NQO1抗体と約60分間インキュベートした;PBSで1:100に希釈したP450Rについては約90分間インキュベートした;PBSで1:25に希釈した抗Glut−1抗体と約90分間インキュベートした;またはPBSで1:100に希釈した抗Ki67抗体と、4℃で一晩インキュベートした。一次抗体の代わりに、普通のIgGを用いてコントロールを行った。適切なビオチン化二次抗体(1:200に希釈;Vector Labs.、USA)を用い、続いてVectastain ABCキット(Vector Labs.、USA)を用いてシグナルを増幅し、そして3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)(Vector Labs.、USA)で可視化することによって、免疫局在化を達成した。次いで切片を、Harris’ヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、透明にし、そしてDPXマウンタント(DPX mountant;Sigma、UK)中で標本を乗せた。
【0031】
E.免疫組織化学的染色の半定量的分析
陽性の免疫染色を、3人の独立した観察者が半定量的に得点をつけた。NQO1およびP450Rはどちらも、腫瘍内で細胞質に局在化していた。染色の強度および分布に基づく、各腫瘍コアの上皮部分のスコアを、0(染色なし)から4(最大の染色強度)まで割り当てた。平均スコアリング強度を、独立した観察者の結果から、TMAの各コアおよび各腫瘍に関して計算した。その結果を、臨床病理学的なパラメーターに対するあらゆる関連および相関に関して比較した。
【0032】
各TMAコアにおけるGlut−1陽性のレベルを分析し、そして膜染色を示す腫瘍細胞のおおよそのパーセンテージを表す0から4までのスコアを割り当てた(0=染色なし;1=0−5%陽性;2=5−15%陽性;3=15−30%陽性;4=>30%陽性)。平均スコアリング強度を、独立した観察者の結果から、TMAの各コアおよび各腫瘍に関して計算した。その結果を、臨床病理学的なパラメーターに対するあらゆる関連および相関に関して比較した。
【0033】
本明細書中で参考文献に組み込まれる、Santosら(13、14)によって報告されたように、各コアおよび腫瘍に関して、40倍の倍率を用いて、腫瘍細胞におけるKi67陽性核のパーセンテージを計算した。全部でコアあたり200個の細胞および腫瘍あたり800個の細胞を計測し、そして陽性パーセンテージを計算した。2人の観察者によって独立に点数をつけた。その結果を、臨床病理学的なパラメーターに対するあらゆる関連および相関に関して比較した。
【0034】
F.統計学的分析
NQO1およびP450Rの発現を、以下の臨床病理学的パラメーターと比較した:腫瘍ステージ、腫瘍グレード、腫瘍低酸素(Glut−1発現)、および増殖。SPSSソフトウェアパッケージ、バージョン11.0(SPSS Inc.、Chicago、IL)を用いて、統計学的分析を行った。免疫組織化学的研究において、発現が正常に分布していないので、各カテゴリーの平均発現値は、四分位範囲を有する中央値として報告された。独立した変数間の差を、Mann−Whitney Uテストによって決定した。両側分析における0.05より小さいPの値を、有意と考えた。
【0035】
II.結果
A.NQO1タンパク質レベル、腫瘍ステージおよびグレード間の関係
NQO1は、全ての病理学的グレードおよびステージの膀胱腫瘍の上皮において、細胞質に局在化しており、そしてNQO1の発現は、腫瘍間で変動した(図1、表1)。多くの場合において、同じ腫瘍内でNQO1の不均一な発現パターンが観察され、同じサンプル内でNQO1発現の高いおよび低い領域があった(データは示していない)。NQO1は、全ての病理学的ステージ(pTa、pT1、≧pT2)の腫瘍において発現していたが、NQO1の発現レベルは、様々なステージの間で異なっていた(表1)。NQO1発現における有意な差は、表在性腫瘍(pTa+pT1)および筋肉浸潤性腫瘍(≧pT2)の間で観察され、筋肉浸潤性腫瘍において、発現は有意に低かった(p=0.02)。NQO1発現の腫瘍浸潤可能性に対する逆の関係が、非浸潤性(pTa)および浸潤性(pT1+≧pT2)腫瘍の間に観察された発現の有意な差によってさらに強化される(p=0.03)。全ての病理学的グレードのTCCがNQO1を発現していた(表1)。NQO1の発現は、グレード1またはグレード3のいずれかと比較して、グレード2の腫瘍において有意に高かった(表1)。高度に分化した(グレード1)およびあまり分化していない(グレード3)腫瘍の間に、有意な差は観察されなかった(表1)。
【0036】
B.P450Rタンパク質の発現および腫瘍ステージおよびグレードの間の関係
調査した全ての腫瘍は、細胞質に局在化した、検出可能なレベルのP450Rを発現していた。NQO1と対照的に、P450Rの発現は、一般的に腫瘍内で均一であった。代表的な免疫染色を、図1に描写する。P450Rは、全てのステージのTCCに発現していた(表1)。P450Rのレベルは、表在性(pTa+pT1)腫瘍と比較して、筋肉浸潤性腫瘍(≧pT2)において有意に高かった(P<0.01)。NQO1と対照的に、P450Rの発現は、腫瘍ステージの増加と正の関係を示すが、浸潤性(pT1+≧pT2)および非浸潤性(pTa)腫瘍の間に有意差が観察されないことから明らかであるように、腫瘍の浸潤可能性とは関連しない(表1)。全ての病理学的グレードのTCCが、P450Rを発現していた(表1)。P450Rのレベルおよび腫瘍グレードの増加の間に、正の相関が観察された(表1)。
【0037】
C.Glut−1および腫瘍ステージおよびグレードの間の関係
Glut−1タンパク質の発現は、個々の腫瘍標本内でも、および個々の患者サンプル間でも不均一であった。代表的な免疫染色およびその腫瘍ステージおよびグレードとの関係を、図1および表1にそれぞれ示す。Glut−1タンパク質は、調査した全てのステージおよびグレードにおいて発現していたが、Glut−1のレベルは、≧pT2腫瘍細胞(pTa腫瘍と比較して、p=0.05)、およびグレード3腫瘍(グレード1[P=0.03]およびグレード2[P<0.01]腫瘍の両方と比較して)において有意に高かった。それに加えて、統計学的に有意な差(p=0.02)が、非浸潤性(pTa)および浸潤性(pT1+≧pT2)腫瘍の間に存在し、浸潤性疾患は、より高いGlut−1タンパク質の発現と、そして従ってより高いレベルの低酸素と関連していることを示唆する。
【0038】
D.Ki67、腫瘍ステージ、腫瘍グレード、および酵素の間の関係
Ki67抗原の発現レベルを、腫瘍増殖指数の指標として使用した(表1)。予測されるように、腫瘍グレードの増加(分化の減少)および増殖指数の間に、有意な相関が観察された(p<0.01)。腫瘍増殖および腫瘍浸潤可能性(pTa対pT1+≧pT2)の間に、関係は観察されなかった。対照的に、おそらく筋肉浸潤およびより高い腫瘍グレードの間の関係の結果として、腫瘍増殖は、表在性腫瘍(pTa+pT1[P<0.01])と比較して、筋肉浸潤性腫瘍(≧pT2)において有意に高かった。興味深いことに、腫瘍増殖指数およびGlut−1発現(P=0.01)およびP450R発現(P<0.01)の両方の間に有意な関係が観察されたが、NQO1発現とは観察されなかった。
【0039】
この研究の結果は、キノンに基づく化合物の生体内還元性活性化に関与する重要な酵素のタンパク質発現、およびGlut−1タンパク質レベルによって決定される低酸素の存在が、膀胱TCCのステージおよびグレードによって変化することを示す。最も印象的な観察は、NQO1タンパク質発現が、腫瘍ステージの増加と共に有意に減少するという事実である(表1)。腫瘍グレードに関して、G3腫瘍は、G2(しかしG1ではない)腫瘍より低いレベルのNQO1を有するという証拠も存在する。これらの知見は、NQO1 mRNA発現および腫瘍ステージの増加の間の逆の関係が報告された(15)、以前に発表された研究と一致している。Glut−1に関して同様に、腫瘍グレード(G1およびG2をG3腫瘍とそれぞれ比較した場合、P=0.03および<0.01)、および腫瘍ステージ(pTa腫瘍を≧pT2腫瘍と比較した場合、P=0.05)と共に増加するタンパク質発現は、以前の報告と一致する(16)。筋肉浸潤性TCCと比較して、表在性TCCにおけるP450R mRNAのより高いレベル示す、以前に発表された報告と対照的に(15)、この研究においては、P450Rタンパク質レベルは、筋肉浸潤性(pTa+pT1と比較した≧pT2)疾患において有意に高かった(P<0.01)。それに加えて、P450Rタンパク質発現は、腫瘍グレードの増加(分化の低下)と正の相関を示す(表1)。興味深いことに、おそらくP450R、Ki67、および腫瘍グレードの増加(分化の低下)の間の強い関連の結果として、P450Rの発現はまた、増殖指数と強い正の相関を示した(P<0.01)。それにもかかわらず、高い増殖指数は、膀胱癌における悪い予後と関連することが示されたので(17、18)、P450Rを含む生体内還元性の処置を評価する場合にはこれを心にとめておくべきである。まとめると、免疫組織化学によるタンパク質発現の分析は、Glut−1発現によって示されるような低酸素は、腫瘍ステージ、グレード、および腫瘍浸潤の増加と関連することを示唆する。腫瘍酵素学に関して、この研究は、NQO1レベルは、腫瘍ステージ(および浸潤可能性)の増加の関数として有意に減少し、一方P450Rレベルは腫瘍グレードおよび浸潤可能性と共に増加することを示唆する。
【0040】
これらの知見は、膀胱TCCの処置において、キノンに基づく生体内還元性薬剤を使用する潜在的な治療戦略に有意な関連を有する。MMC、EO9、およびRH1に対する細胞の反応は、NQO1レベルだけでなく腫瘍低酸素レベルにも依存性であることを示す、前臨床モデルにおける広範な証拠が存在する。MMCに関して、有酸素条件下での細胞の反応の決定におけるNQO1の役割は議論の的であるが、低酸素条件下では、NQO1活性が低いまたは無い細胞においてのみ、有意な活性の増強が見られる(19)。EO9およびRH1の場合、低酸素条件下で同様の結果が得られ、低いNQO1を有する細胞においてのみ、著しい活性の増強が見られた(20、21)。しかし、有酸素条件下では、NQO1活性および化学受容性の間に高い相関が存在し、酸素の存在下でNQO1はEO9およびRH1の活性化に主要な役割を果たすことを示唆する(22、23)。これらの観察を説明するメカニズムの基礎は明らかではないが(24)、低酸素条件下で、P450Rのような1電子レダクターゼが、生体内還元性活性化過程においてより影響のある役割を有する(25)。これらの知見に基づいて、EO9およびRH1のような化合物は、NQO1を多く含む腫瘍の有酸素画分(そしてMMCもそうであるが程度はより低い)、またはP450Rのような1電子レダクターゼが存在すると仮定してNQO1を欠く腫瘍の低酸素画分を標的とする。NQO1を多く含む腫瘍の場合には、従って有酸素画分を標的とする、単一薬剤としてのEO9およびRH1のような化合物の使用が適切である。有意な低酸素画分を有する、NQO1を欠く腫瘍に関しては、これらの薬剤は、放射線療法または有酸素画分を標的とする他の化学療法剤と組み合わせて使用するべきである。この研究の結果は、この後者の戦略は、これらは典型的により低いNQO1タンパク質発現(およびおそらくより高いP450R発現)を有し、そして有意な低酸素領域を含むので、より進行した膀胱のTCC(すなわち≧pT2)またはより悪性度の高い疾患(すなわちグレード3腫瘍)の場合に有効であり得ることを示唆する。この特定の関係において、放射線化学療法(根治的放射線療法と組み合わせたマイトマイシンCプラス5フルオロウラシル)を用いた筋肉浸潤性膀胱癌において、有望な結果が得られたことに注目することは興味深いが、NQO1および低酸素マーカーの分析は、この研究のデザインに含まれていなかった(26)。より広い関係において、これまたは他の研究において、表在性および筋肉浸潤性膀胱TCCがどちらも有意な低酸素領域を有することを示したことは、これらの腫瘍は、他の生体内還元性薬剤または低酸素による処置を評価するための魅力的な候補であることを示唆する。
【0041】
結論として、この研究の結果は、キノンに基づく化合物の生体内還元性活性化および低酸素の存在に関わる重要な酵素のタンパク質発現は、膀胱のTCCにおける腫瘍ステージおよびグレードの関数として変化することを示した。これらの結果は、これらの腫瘍(すなわち≧pT2およびG3腫瘍)は、放射線照射または細胞の有酸素画分を標的とした他の化学療法剤と組み合わせた、低酸素画分を標的とするキノン(例えばMMC、EO9、およびRH1)を用いた化学放射線療法レジメのよい候補であることを示唆する。これらの原理に基づいて、そして図1をもう一度参照して、症例A(pT G3)は、低いNQO1、高いP450R、および高いGlut−1レベルを示し、そして従ってキノンを用いた化学放射線療法のよい候補である。症例B(pTa G1)は、高いNQO1、低いP450Rおよび中程度のGlut−1を有し、そしてそれなりにキノンに基づく化学療法によく反応する。中程度のNQO1、中程度のP450Rおよび中程度のGlut−1を有する症例C(pT G2)も、キノンに基づく化学療法によく反応すると予測される。これらのマーカーに関して個々の患者の腫瘍をプロファイリングすることは、特に存在する著しい患者間の不均一性(特にNQO1に関する)の観点から、重要なままである。
【0042】
本明細書中で使用する場合、患者のために適切な処置を決定するために酵素レベルを使用する場合、酵素の「高い」対「低い」レベルを、関連する腫瘍からの関心のある酵素レベルを、同じ患者の他の腫瘍と、別の患者の腫瘍と、および/または標準的な腫瘍細胞系統と、または当業者に公知の他の入手可能な参照ポイントと比較することによって確かめ得る。従って、「高い」および「低い」レベルを、処置医師、または特定の患者の腫瘍酵素レベルを測定するおよび/または定量することに関与する他の試験、研究、または処置人員によって決定し得る。
【0043】
(実施例2)
I.材料および方法
A.装置および一般的なアッセイ原理
図2に示すように、記載した実験において使用する装置は、24穴培養プレートの1つのウェルに挿入された、トランスウェルインサート(transwell insert;Costar)を含んでいた。そのインサートは、その底部にコラーゲンでコートした膜を有し、そして従って上部および下部容器の間のバリアおよび細胞が接着および増殖し得る表面の両方を形成する。この研究で使用した細胞系統は、DLD−1ヒト結腸腺癌細胞であり、それが細胞間に強力な接合部を形成し、それによって薬剤が越さなければならない連続的な「バリア」を形成する能力のためにそれを選んだ。薬剤の浸透を評価するために、薬剤を上部容器に加え、そして下部容器における薬剤の濃度を、ある範囲の時間間隔にわたって決定した。
【0044】
B.細胞培養条件
DLD−1細胞は、日常的に10%胎児ウシ血清、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン/ストレプトマイシン(50IU/ml、50μg/ml)を加え、そしてHEPES(25mM)で緩衝化したRPMI1640培地中で維持した。DLD−1細胞(200μlの培地中2.5×10)を、上部容器に加え、そしてCOを高めた(5%)雰囲気中で、37℃で約3時間、安定させそして膜に接着させた。一旦細胞が接着したら、トランスウェルを24穴プレートの1つのウェルに挿入し、そして600μlの培地を下部容器に加えた。次いで装置を、上部および下部容器両方の培地を毎日替えて、37℃で4日間インキュベートした。以前の研究に基づいて、培養4日後の多細胞層の厚さは、約50μmである。各アッセイに関して、3つのトランスウェルを、組織学的調査および厚さおよび完全性の正確な決定のために除去した(詳細に関しては下記を参照のこと)。
【0045】
C.薬剤溶液の調製
以下の溶液を、下記で記載し、そして図3でまとめたように調製した。
【0046】
1.溶液1:0.1%DMSO中のEO9(347μM)
固体EO9を、100%DMSOに溶解して、347mMのストック溶液を作成した。10μlのストック溶液を、10mlの完全RPMI培地(フェノールレッドを含まない)に加えた。EO9の可能性のある沈殿を予防するために、EO9ストック溶液の培地への添加は、連続的に振とうしながら行った。最終的なEO9の濃度は347μMであり、それは4mg/40mlと同等である。
【0047】
2.溶液2:10%PG中のEO9(347μM)
200ミリグラムの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を、4mlのEDTA溶液(0.5mg/mL、それを0.5Mのストック溶液、Sigmaから新しく調製した)に溶解した。次いでその溶液を6mlのPG溶液(2mlのPG+4mlのHO)と混合して、20%のPGを含む10mlの最終容量を作成した。この溶液を、EO9(2mg)、炭酸水素ナトリウム(5mg)およびマンニトール(12.5mg)を含む20mlの一般的な試験管に加えた。その溶液を、連続的に振とうしながら、EO9が完全に溶解するまで(約5−6時間)、37℃でインキュベートした。次いで、その溶液を水で1:1に希釈して、10%のPG溶液を産生した。
【0048】
3.溶液3:20%PG中のEO9(347μM)
200ミリグラムの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を、4mlのEDTA溶液(0.5mg/mL、それを0.5Mのストック溶液、Sigmaから新しく調製した)に溶解した。次いでその溶液を6mlのPG溶液(4mlのPG+2mlのHO)と混合して、40%のPGを含む10mlの最終容量を作成した。この溶液を、EO9(2mg)、炭酸水素ナトリウム(5mg)およびマンニトール(12.5mg)を含む20mlの一般的な試験管に加えた。その溶液を、連続的に振とうしながら、EO9が完全に溶解するまで(約3−4時間)、37℃でインキュベートした。次いで、その溶液を水で1:1に希釈して、20%のPG溶液を産生した。
【0049】
4.溶液4:30%PG中のEO9(347μM)
200ミリグラムの炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を、4mlのEDTA溶液(0.5mg/mL、それを0.5Mのストック溶液、Sigmaから新しく調製した)に溶解した。次いでその溶液を6mlのPG溶液(6mlのPG+0mlのHO)と混合して、60%のPGを含む10mlの最終容量を作成した。この溶液を、EO9(2mg)、炭酸水素ナトリウム(5mg)およびマンニトール(12.5mg)を含む20mlの一般的な試験管に加えた。その溶液を、連続的に振とうしながら、EO9が完全に溶解するまで(約2時間)、37℃でインキュベートした。次いで、その溶液を水で1:1に希釈して、30%のPG溶液を産生した。
【0050】
D.薬剤投与
全ての手順を通して、使用した培地は、フェノールレッドを含まない培地を使用したという事実以外は、上記で記載した通りであった(フェノールレッドは、クロマトグラムにおいてEO9と非常に近く溶出する)。EO9を、t=0において、100μlの容量で上部容器に加え、そして下部容器は600μlの培地を含んでいた(常に攪拌していた)。37℃で10分間インキュベートした後、トランスウェルを除去し、そして600μlの新しい培地を含む24穴プレートの新しいウェルに置いた。上部容器の薬剤溶液を除去し、そして100μlの新しい薬剤溶液と置換した(すなわち、上部容器の濃度を、一定の濃度に維持した)。この手順全体を、全部で1時間の期間中、10分間隔で繰り返した。
【0051】
E.抽出手順
EO9をIsoluto C18 SPEカートリッジを用いてすぐに抽出した。サンプルを添加する(500μl)前に、カートリッジを1mlのメタノールで満たし、続いて1mlの脱イオン水で洗浄した。1mlの脱イオン水でさらに洗浄した後、EO9を300μlのメタノールで溶出した。サンプルを減圧下で(室温で回転エバポレーターにおいて)乾燥し、そして分析に必要になるまで−20℃で保存するか、またはすぐに分析するために移動相(下記を参照のこと)中で再構築した。
【0052】
F.HPLC分析
EO9のクロマトグラフ分析を、本明細書中で参考文献に組み込まれる、Phillipsら(British Journal of Cancer、65(3):359−64、1992)によって記載されたように行った。簡単には、Hichrom RPBカラム(25cm×4.6mm id、Hichrom Ltd、UK)を、分離のために使用した。Masslynx 3.4ソフトウェア(Micromass Ltd)を有するWaters 996 Photodiode Array Detector(λ=280nm)を、関心のあるピークのスペクトル分析のために使用した。移動相は、1Mのリン酸緩衝液(1%)、メタノール(42%)、およびHPLCグレード水(57%)から成っていた。流速を、オートサンプラーも組み込んだ、Waters Alliance 2690(Milford、MA、USA)4次ポンプクロマトグラフィーシステムを用いて、1.2ml/mlに設定した。検出限界は、10ng/ml(34.7nM)であった。
【0053】
G.組織学
各実験に関して、3つのトランスウェルインサートを回収した;1つはコントロールであり、そして2つは実験の終わりであった。各トランスウェルを、10%のホルマリンで1時間固定してから、70%エタノールへ移し、そして一晩保存した。清潔なメスを使用して、膜を注意深くプラスチックのインサートからはがし、そして当業者に公知の標準的な手順を用いて、パラフィンワックスへ包埋するために処理した。Leitz回転ミクロトームを用いて標本を切片にし(5μm)、タンパク質でコートしたスライドグラスに乗せ、そしてヘマトキシリンおよびエオジンを用いて、当業者に公知の標準的な手順も用いて、染色した。多細胞層の厚さを、ステージミクロメーターを用いて較正した接眼レンズの計数線を用いて測定した。各切片に関して5つの測定を得て、そしてサンプルごとに3つの切片を測定した。
【0054】
II.結果
A.代表的なクロマトグラム
図4は、WV14内部標準(保持時間=11.059分)を加えたブランクサンプルのクロマトグラムを示す。6.870分のピークは混入したピークである。図5は、RPMI1640培地中のEO9標準(1μg/ml(図5A)および20ng/ml(図5B))を示す。図5Aに示すように、EO9およびWV14のピークは、それぞれ8.029分および13.023分に溶出する(7.292分のピークは、上記で記載した混入ピークである)。実験室における温度の変動によって保持時間は動き得るが、相対的な保持時間は一定のままであることに注意するべきである。図5Bは、検出の限界を示す。図6は、0.1%のDMSO(図6A);30%のPG(図6B);20%のPG(図6C);および10%のPG(図6D)中の、EO9標準のクロマトグラムを示す。
【0055】
B.較正曲線
各EO9調製物に関して較正曲線を構築し、そしてその結果を図7に示す。較正曲線は再現性があり、そして図7に示したように、各較正曲線の傾きにわずかな違いが観察された。その違いの理由は明らかではないが、異なる調製物間の抽出効率のわずかな差を反映し得る。0.1%のDMSO、10%のPG、20%のPGおよび30%のPG中のEO9の抽出効率は、それぞれ92.3%、81.7%、79.9%、および81.1%であった。この変動のために、較正曲線は、行った実験それぞれに関して作成した。いずれのクロマトグラムにおいても、明らかな分解産物は見えなかった。
【0056】
C.薬剤の浸透
図8で見られるように、PGの濃度が増加するにつれて、EO9の多細胞層浸透速度は減少する。0.1%のDMSO中のEO9に関して、上部容器中の濃度をだいたい一定の値に維持する場合に予測されるように、その動態は直線状である。試験した2つの最も高い濃度のPGにおいて、その動態は全く直線状というわけではない−時間が増加するにつれて速度の累進的な増加が存在することは注目に値する。この効果はおそらく、PGによって誘導される多細胞層の厚さの変化を反映する(図9を参照のこと)。評価したいずれの時点においても、明らかな代謝物または分解産物は観察されなかった。
【0057】
図9は、EO9のDLD−1多細胞層を通じた浸透を調査するために行った組織学的分析の結果を示す。薬剤で処理していない切片の厚さは、56.01±3.63μmであった。0.1%のDMSO中のEO9で1時間処理した後、多細胞層の厚さは、薬剤で処理していない標本と有意に異なっていなかった(58.80±2.50μm)。しかし30%のPG中のEO9による処理後、多細胞層の厚さは、29.01±1.78μmに有意に減少した。層の外見にも著しい形態学的変化があり、その最も明らかなのは、層自身における「亀裂」または「チャネル」の出現であった。PG中のEO9を用いた実験を通して、上部容器が予期したよりもたくさんの液体を含んでいたことが観察された。例えば、30%、20%、および10%のPG中のEO9と10分間インキュベーションした後、上部容器から回収された容量は、それぞれ106±3、107±3および105±2μlであった(0.1%のDMSO中のEO9に1時間接触させた後、回収された容量は98±2μlであった)。これらの容量は単なる近似値(Gilsonピペットを用いて回収し得るものに基づく)であるが、PG処方(特に30%のPG)に溶解したEO9を使用した場合に、上部容器中の培地の容量が変化することを示すことを強調するべきである。組織学的写真が、コントロールおよびEO9(0.1%のDMSO)で処理した標本においては、細胞が基底膜と密接に接触しているが、30%のPG中のEO9で処理した多細胞層に関して、多細胞層および膜自身の間に、小さいが明確なギャップが存在することを示すことも注目すべきである。
【0058】
【表1A−1】

【0059】
【表1A−2】

【0060】
【表1A−3】

【0061】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、膀胱の移行上皮癌を有する3人の患者における、NQO1、P450RおよびGlut−1の免疫組織化学的分析を示す。
【図2】図2は、多細胞層を通じた薬剤の浸透を研究するために使用した装置を示す。
【図3】図3は、薬剤溶液調製の概略表示を示す。
【図4】図4は、内部標準としてWV14を加えた、ブランクサンプルのクロマトグラムを示す。
【図5A】図5Aは、PRMI1640培養中の、EO9標準のクロマトグラムを示す。
【図5B】図5Bは、PRMI1640培養中の、EO9標準のクロマトグラムを示す。
【図6A】図6Aは、0.1%のDMSO中のEO9標準のクロマトグラムを示す。
【図6B】図6Bは、30%のプロピレングリコール(PG)中のEO9標準のクロマトグラムを示す。
【図6C】図6Cは、20%のPG中のEO9標準のクロマトグラムを示す。
【図6D】図6Dは、10%のPG(6D)中のEO9標準のクロマトグラムを示す。
【図7】図7は、0.1%のDMSOおよび様々なPG濃度(30%;20%;10%)中のEO9の較正曲線を示す。
【図8】図8は、DLD−1多細胞層を通じた、様々なPG濃度中のEO9の浸透を示す。
【図9】図9は、染色したDLD−1多細胞層の代表的な断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱癌を処置する方法であって、
腫瘍内の少なくとも1つの酵素のレベルを決定する工程;
該少なくとも1つの酵素のレベルに基づいて処置を選択する工程;および
該処置を投与する工程であって、該処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤を、単独で、または別の処置と組み合わせてのいずれかで含む、工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記酵素が、NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)およびNADPHシトクロムP450レダクターゼ(P450R)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵素がNQO1であり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で投与することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酵素がNQO1であり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を別の処置と組み合わせて投与することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記酵素がP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で投与することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素がP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を別の処置と組み合わせて投与することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素がNQO1およびP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で投与することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記酵素がNQO1およびP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を別の処置と組み合わせて投与することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、
腫瘍内の低酸素のレベルを決定する工程;
該少なくとも1つの酵素レベルおよび該低酸素レベルに基づいて処置を選択する工程;ならびに
該処置を投与する工程であって、該処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で、または別の処置と組み合わせてのいずれかで含む、工程
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記低酸素レベルが、グルコーストランスポーター1(Glut−1)および/または炭酸脱水酵素IX(CAIX)を測定することにより決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記別の処置が、放射線療法および/または少なくとも1つの化学療法剤の投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記キノンに基づく生体内還元性薬剤が、マイトマイシンC、インドールキノン誘導体EO9、アジリジニルベンゾキノン(RH1)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
膀胱癌を処置する方法であって、NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)のレベル、NADPHシトクロムP450レダクターゼ(P450R)のレベル、およびグルコーストランスポーター1(Glut−1)のレベルからなる群より選択される尺度に基づいて処置を選択する工程を包含し、該処置は、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で、または別の処置と組み合わせてのいずれかで投与することを含む、方法。
【請求項14】
前記尺度がNQO1またはP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記尺度がNQO1またはP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を別の処置と組み合わせて投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記尺度がNQO1およびP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独で投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記尺度がNQO1およびP450Rであり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を別の処置と組み合わせて投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記尺度がNQO1、P450RおよびGlut−1であり、前記処置が、キノンに基づく生体内還元性薬剤を単独でまたは別の処置と組み合わせて投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記別の処置が、放射線療法および/または少なくとも1つの化学療法剤の投与である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記キノンに基づく生体内還元性薬剤が、マイトマイシンC、インドールキノン誘導体EO9、アジリジニルベンゾキノン(RH1)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
浸潤膀胱癌を処置する方法であって、
腫瘍内のNQO1およびGlut−1のレベルを決定する工程;
該NQO1レベルは、該腫瘍が表在性であるならば観察されるレベルよりも低く、該Glut−1レベルは、該腫瘍が表在性であるならば観察されるレベルよりも高いことに基づいて、別の処置と組み合わせたキノンに基づく生体内還元性薬剤を含む組み合わせ処置を選択する工程
を包含する、方法。
【請求項22】
患者の膀胱腫瘍内のNQO1およびGlut−1の発現レベルに基づいて膀胱癌の適切な治療について患者を分類する方法であって、
該患者の膀胱腫瘍内のNQO1およびGlut−1の発現レベルを決定する工程;ならびに
該患者が、高レベルのNQO1を有する表在性膀胱癌を有するならば、生体内還元性薬剤を単剤治療として投与するか、または該患者が、低いNQO1レベルおよび高いGlut−1レベルを有する浸潤膀胱癌を有するならば、生体内還元性薬剤が該放射線療法若しくは別の化学療法剤と組合せて用いられる組み合わせ療法を投与する工程
を包含する、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−527470(P2009−527470A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554530(P2008−554530)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/061947
【国際公開番号】WO2007/092963
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506311677)スペクトラム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (8)
【出願人】(399016835)ユニバーシティ・オブ・ブラッドフォード (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF BRADFORD
【Fターム(参考)】