説明

腰椎前弯の回復枕と該枕の使用法。

【課題】 国内の椎間板性腰痛の治療については、「腰椎前弯を回復する」との目的をもつ腰枕などはない。これは国内整形外科医を含む多くの関係者が、「腰反しはタブー」との古い常識を踏襲してきたことに起因している。しかし国外では、「腰を反す」療法のマッケンジー体操が主流をなしており、それが正しい療法であることを証明している。
【解決手段】 椎間板性腰痛の治療に「腰を反す」との正しい療法を基調とし、その方法は、腰枕を腰椎にあてがい腰椎を押圧作用させ、使用後は筋肉のこりをほぐし、もって腰椎前弯を回復するよう創成した。該腰枕は、下部に矩形板の台板11を、その上部に多角面にして長手方向に一様な台座6を装着、その上部の中央部において、空気圧弁を有するゴム製チューブ5を並列形態にしたものである。ゴム製チューブは、空気年弁による内圧調整によって、適確な押圧力となるようコントロールでき、腰椎前弯を回復できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎間板性腰痛及び椎間関節性腰痛の治療用腰枕に関する。
【背景技術】
【0002】
腰痛は、二足歩行することに関り、重力に逆らう悪い姿勢をとり続けることで起きる。つまり背骨は、S字カーブを形成して重力を支えやすくしている。したがって、腰椎は前方に弯曲して腰にかかる負担をうまく分散しているが、腰椎前弯を失うような姿勢を続けると、腰痛につながる。したがって、腰椎前弯を保つあるいは回復することが腰痛治療となる。
【0003】
国内の腰痛治療を調べれば、整形外科医をふくむ多くの関係者が、古い常識である「椎間板性腰痛は、腰を反らすとひどいことになる。」と信じている。この根拠は{非特許文献イ)55頁}、{非特許文献ロ)124頁、212頁}に掲載されている。このような背景を続けてきた国内では、前記腰椎前弯を保つ、あるいは回復する目的の治療がとられてこなかった。
【0004】
一方国外に関しては、マッケンジー体操と称する腰椎の前弯回復化体操が、圧倒的な支持を得、腰痛治療法として好成果を積み重ねている。該マッケンジー体操とは、1956年頃、ニュージーランドの理学療法士であったロビン・マッケンジー氏が考案したもので、椎間板性腰痛は後ろに反らせる体操を、又、椎間関節性腰痛は前かがみ体操を行って腰痛の治療を行うもので、この体操で多くの腰痛が治り、画期的な治療法とされている。
【0005】
多くの腰痛が治るとは、前記椎間板性腰痛が全体の約6割をしめ、椎間関節性腰痛が全体の約3割をしめ、合せて約9割となり、両腰痛共に好成果をあげているので、そのような評価になっている。
【0006】
したがって、国内国外を対比すれば、椎間板性腰痛治療や椎間関節性腰痛治療に、多大な技術差を生じている。
【0007】
ここでマッケンジー体操の概要を述べる。椎間板性腰痛の体操は、腰を最大限に反らすために、うつぶせに寝てリラックスした姿勢から顔を前に向ける。次に腕立て伏せの形をとり、この姿勢からひじを伸ばし上半身を起こしていく。この時腰や足の力を抜く。次に腰を最大限に反らすように、息を吐きながら腕を可能なかぎり伸ばしていく。これまでの体操時間を5〜10秒とし、これを5回ほど行うことを1セットとし、1日当り数セット実施する。
【0008】
椎間関節性腰痛の体操は、椅子に座り足を肩幅より広く開いて、ももの上で両手を休ませる。この姿勢から上半身を前に曲げ、息を吐きながら足首をもち、体を引き下げる。できるだけ、深く腰を前に曲げるようにする。これまでの体操時間を5〜10秒とし、これを5回ほど行うことを1セットとし、1日当り数セット実施する。
【0009】
マッケンジー体操は立って行うやり方もある。その他の注意点として、デスクワークを1日中行っている人は、1〜2時間おきに1セット行うことが理想であるという。これらから画期的治療法であるものの、多大な労力を伴うものである。
【0010】
「腰椎前弯を回復する。」先行技術を、ベルト式の腰枕群、枕内部を空気充填した腰枕群、枕中材に低反発弾性材を用いた腰枕群、および椅子座状態における腰枕群に分け、それぞれの特徴を記述する。なおイ)ロ)ハ)等の記号は、特許文献における各公報の頭記号と符合するものである。
【0011】
A群はベルト式の腰枕群であって、イ)仙腸関節を締付ける巻回形取付ベルト、ロ)携帯できるコンパクトな腰枕、ハ)多くの治療具を取付可能とした腰枕、ニ)腰痛者が寝返りしやすくした腰枕、ホ)安静を要する人の腰部痛を防止する器具。
【0012】
B群は枕内部を空気充填した腰枕群であって、イ)エアークッションとして使用可能な枕、ロ)横臥時姿勢で眠れるようにした背中枕。
【0013】
C群は枕材に低反発の弾性材を用いた腰枕群であって、イ)寝返りなどの際、腰にかかる衝撃の吸収や身体重の分散を図る腰枕、ロ)温熱による筋肉の緊張緩和の他、横臥時の自然な弯局を保つ腰枕、ハ)枕の中材に折曲げ自在の棒を収容した寝具。
【0014】
D群は椅子座状態における腰枕群であって、イ)ヘッドレストに吊り下げて使用する腰枕、ロ)椅子と背当てと腰が作りだす三角状の隙間に置く腰枕。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
(特許文献A群)イ)特開2010−125070、ロ)特開2003−169819、ハ)特開2003−079747、ニ)実用新案登録第3148477、ホ)実用新案登録第3121005。
(特許文献B群)イ)特開平11−276327、ロ)実用新案登録第3107745号。
(特許文献C群)イ)実用新案登録第3027686号、ロ)実用新案登録第3103137号、ハ)実用新案登録第3115580号。
(特許文献D群)イ)実用新案登録第3079009号、ロ)実用新案登録第3014802号。
【非特許文献】
【0016】
(非特許文献イ)腰痛は自分で治せる、著者:穴吹弘毅、発行所:株式会社河出書房新社。
(非特許文献ロ)腰痛、こうして治す、著者:山口義臣、発行所:株式会社主婦の友社。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
腰椎前弯を回復することを目的とした腰痛治療は、国内マッケンジー体操の支持者のみにとどまり、治療用具などは見当らない。前記先行技術文献についても腰椎前弯を回復する目的のものではなく、腰椎を押し圧作用するものではないと考えられる。すなわち、枕材においては低反発の軟質材を用いており、腰椎押し圧時の変形量が多い特性を有し、これに起因して押圧力は弱いものになっている。したがって腰椎前弯を回復するに足りる枕材ではないと考えられる。この原因は、前記したように整形外科医を含む多くの関係者が「椎間板性腰痛は、腰を反すとひどいことになる。」との古い常識を踏襲してきたことに係っている。つまりこの影響は、国内の先行技術文献に現われており、結果として、腰椎前弯を回復する技術が遅れていると思慮される。
【0018】
一方マッケンジー体操は、画期的な腰痛治療法であるものの、前記したように労力を伴うことが短所とされる。つまり体操を行う時間をとりづらい人やその環境にない人、あるいは体操を行う体力の乏しい人は、体操を続けることが、苦痛であるとの課題がある。
【0019】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、腰椎前弯の回復枕と該枕の使用法を、提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
始めに本発明の手段に係る、用語の意義について説明する。
【0021】
(1)「椎間板性腰痛」 背骨を構成する椎骨は、背中側の椎弓と腹側の椎体からなり、椎間板は、腹側の椎体と椎体を連結する線維輪と称する線維の束である。椎間板性腰痛とは、こうした構造をもつ椎間板に、膨隆・突出・脱出などの変形変化が起きたものである。この治療には、腰椎前弯を元の前弯に戻すため、腰椎押圧力や体を反らすことが必要で、マッケンジー体操の場合は体を反らすことを行っているが、本件発明においては、腰枕を用い腰椎を押圧作用させる方法を創成した。
【0022】
(2)「椎間関節性腰痛」 背中側の複雑な形をした、上下の椎弓を連結しつくられているのが椎間節で、椎間関節性腰痛とは、この椎間関節の軟骨がすり減って変形したり、椎間関節がずれたりして起きたものである。この治療には、体を前に曲げこむことが効果的とされ、マッケンジー体操の場合は、椅子に座り体を前に曲げこむことを行っているが、本件発明においては、腹枕の丸棒を回転軸として、体を前下に深く曲げこむ方法を創成した。
【0023】
(3)「腰椎前弯を回復する」 人の背骨は椎骨26個の積み重ねで連結されており、上から前弯形7個の頸椎、後弯形12個の胸椎、前弯形5個の腰椎、その下部が1個ずつの仙骨と尾骨からなる。5個の腰椎は、正しく前方へ弯曲していなければならず、この正しい前方への弯曲を「腰椎前弯」というが、フカフカの布団寝に起因したり、悪い姿勢に起因したり、あるいは重いものを持ちあげることに起因して、腰椎前弯を失い腰痛発症に至る。腰椎前弯を回復するとは、失われた前弯形態を、体操や腰枕を用い元の前弯に回復することをいう。本件発明においては、腰枕等を用い腰椎を押圧作用させる、あるいは腹枕の丸棒を回転軸として行う、体操により回復させるものである。
【0024】
(4)「筋肉のこりをほぐす」 腰椎などを、人体の要部に長時間にわたり外力を作用させれば、筋肉に緊張やこりが起こる。本件発明の枕材は、半硬質フォームなどを用いるため、緊張やこりの度合は大きいものとなる。放りおくと悪影響を及ぼすので、これをほぐすことを一条件としている。本件発明の、筋肉のこりをほぐすとは、体を後ろに反す及び前に曲げるあるいは腰回し体操を主体とするが、体操を行うことが苦痛である人はマッサージでほぐすことも可能である。そしてほぐす頻度は、枕使用ごとに行うことになるので、枕使用1回/日と同様に1回/日程度となる。
【0025】
(5)「硬質、半硬質フォーム、軟質フォーム」 プラスチック大辞典713頁の、ISO半硬質フォーム等の区分は、50%圧縮、変形放圧後の厚み減少量2〜10%を、半硬質フォームと区分、≦2%を、軟質フォームと区分しているので、本件発明においては、これに準じた扱いとする。硬質とは、台板、厚さ調整板、矩形板であって、50%圧縮変形放圧後の厚み減少量≧10%の区分とする。軟質フォームとしては、軟質ウレタン、ポリ塩化ビニール等があり、硬質フォームとしては、硬質ポリウレタン、フェノール、エポキシ樹脂、ゴム等がある。
【0026】
上記の目的を達成するために、本件発明は、次の(1)〜(4)の手段からなる。
【0027】
手段(1) 椎間板性腰痛に用いる略蒲鉾形状の腰枕であって、下部に矩形板に形成した硬質の台板と、最上部に略蒲鉾状に形成した半硬質フォームの緩衝材とで、劣弧面にして長手方向に一様な軟質フォームの中材を上下に挟装、三部材を接合の上、着脱用カバーで被着して腰枕となし、該腰枕の使用は、仰臥寝時に該腰枕を腰椎にあてがい腰椎を押圧作用させ、治療過程にて、枕高さの増加要求ある時は、台板裏面に台板類似の厚さ調整板を接着し使用、使用後は、筋肉のこりをほぐし、もって腰椎前弯を回復する。
【0028】
上記手段(1)によれば、腰椎にあてがわれた腰枕の緩衝材が半硬質であることに起因し、腰椎を強く押圧するよう作用する。他方中材が軟質フォームであることに関り、腰枕の負荷時変位量は多少増加するよう作用する。
【0029】
手段(2) 椎間板性腰痛に用いるチューブ並列形状の腰枕であって、下部に矩形板形をした硬質の台板と、その台板上に多角形面にして台板長手方向に一様な半硬質フォームの台座を装着、その台座多角辺に接し、中央部において、空気圧弁を有するゴム製チューブを複数条並列形態に結紐、着脱用カバーで被着して腰枕となし、該腰枕の使用は、仰臥寝時に該腰枕を腰椎にあてがい腰椎を押圧作用させ、使用後は、筋肉のこりをほぐしもって腰椎前弯を回復する。
【0030】
上記手段(2)によれば、腰椎にあてがわれたゴム製チューブは、腰椎に対して複数条の並列形態となるので、空気圧弁による内圧調整によって、適確な押圧力となるようコントロールできる他、使用感覚等についても、自在にコントロールできるものとなる。
【0031】
手段(3) 椎間板性腰痛に用いる椅子座時の腰枕であって、伸縮性を有する表裏2枚の帯状メッシュ地の両端に、互いに接着する面ファスナーを縫着、中央部には、表裏地内にベルト縦横を固定するための、非伸縮性合成樹脂シートを挟着、全体を帯状に縫着して面ファスナーベルトとなし、該中央部表側に、硬質の矩形板を縫着、更に略蒲鉢状に形成した半硬質フォームの緩衝材を接着、着脱用カバーで被着してベルト枕となし、別個品として、長手方向に抗張力を有する帯状地の両端に、互いに接着する面ファスナーを縫着した外側ベルトを備え、該腰枕の使用は、緩衝材を腰椎にあてがい該面ファスナーベルトで身体を巻回装着、椅子座後、該面ファスナーベルトの外側を外側ベルトを用い、背凭を有する椅子の背凭と共に緊張形態に巻回装着、あるいは自動車椅子の場合は背凭をたて、シートベルトを装着し、使用後は筋肉のこりをほぐし、もって腰椎前弯を回復する。
【0032】
上記手段(3)によれば、背凭を有する椅子座の場合も、自動車椅子座の場合も、緩衝材を腰椎にあてがい、背中を背凭に接する姿勢なので、正に腰椎前弯の姿勢であり、ベルト枕と外側ベルトあるいはシートベルトを装着するかぎり、その正しい姿勢が保たれる。
【0033】
手段(4) 椎間関節性腰痛に用いる椅子座時の腹側枕であって、鞘管の外部を、略楕円面をなす半硬質フォームの枕材で被装、該鞘管内に丸棒を遊挿、両端が該鞘管外に突出するよう丸棒に鍔を固着、枕材部を着脱用カバーで被着して腹枕となし、丸棒突出部分を拘束部と称し、別個品として、長手方向に抗張力を有する帯を備え、該腹枕と帯の使用は、椅子座後、該腹枕を腹部前におき、肘掛を有する椅子の場合は、肘掛の曲り部内隅と身体とで拘束部を拘束、あるいは肘掛のない椅子の場合は、別個に備えた帯を用い、背凭を有する椅子の背凭と拘束部を繋ぎ一方向を拘束、治療は、腹枕の丸棒を回転軸とし上半身を前下に深く曲げこむ体操を繰り返し、使用後は筋肉のこりをほぐし、もって椎間関節のずれなどを回復する。
【0034】
上記手段(4)によれば、該腹枕に取り付けられた拘束部は、いずれの場合も拘束された状態となるので、腹枕の丸棒を回転軸とし上半身を前下に深く曲げこむことが可能となる。このことは、背中に位置する椎間関節が、強く伸ばされるよう作用する。
【発明の効果】
【0035】
本件発明は、椎間板性腰痛及び椎間関節性の治療について、腰枕や腹側枕を用い、次の効果を奏する。始めに手段(1)、(2)に共通する効果を述べる。
【0036】
(1) 椎間板性腰痛の治療に用いる腰枕は、先行技術の場合、前記のように軟質の枕材を用いているので、腰椎への押圧力は弱いものであった。これに対し本件発明の枕材は、半硬質フォームやゴム製チューブを用いているので、腰椎への押圧力は、強いもの、あるいは適確なものとなる。したがって、腰椎を押圧させ、腰椎前弯を回復するものとなる。
【0037】
(2) 椎間板性腰痛に画期的な治療とされるマッケンジー体操は、背景技術にて述べたように、1日に数セットの体操を実施する。あるいはデスクワークを一日中行っている人は、1〜2時間おきに1セットの体操を実施するなど、多大な労力を伴うものである。これに対し、本件発明の治療は、腰枕使用と、こりをほぐす体操あるいはマッサージを、1日1回程度実施するものである。したがって労力対比において、本件発明は、少ない労力で済む治療法である。
【0038】
(3) マッケンジー体操は有効な治療法であると理解できても、その体操を続ける体力のない人、時間の取れない人など、マッケンジー体操を実施できない環境の人達がいる。本件発明の腰枕を用いた治療は、腰枕使用と、こりをほぐす体操あるいはマッサージを行うものであり、容易にかつ効率よく行うことができる。
【0039】
(4) 以後、手段別に特有の効果を述べる。手段(1)の部分構成によれば、厚さ調整板を接着使用できるので、腰椎への押圧力増強の要ある時は、厚さ調整板を付加し適切な押圧力とすることができる。又、中材が軟質フォームであることに関り、腰枕の負荷時変位量は多少増加するので、肌触り感が好転する。
【0040】
(5) 手段(2)の部分構成によれば、ゴム製チューブは、空気圧弁による内圧調整ができるので、適確な押圧力となるようコントロールできる。又腰椎に接触する部分は、ゴム製チューブが並列形態をなすこと、及び内圧調整ができることが相俟って、良好な肌触り感寝心地感が奏功する。
【0041】
(6) 手段(3)は、椎間板性腰痛に用いる椅子座時の治療であって、椅子は、一般の背凭を有する椅子と自動車椅子である。いずれの椅子の場合も、緩衝材を腰椎にあてがい、背中を背凭に接するなど、正しい姿勢が保たれる。この姿勢は正に腰椎前弯であって、長時間継続することによって、腰椎前弯を回復するものとなる。
【0042】
(7) 手段(4)は、椎間関節性腰痛に用いる椅子座時の治療である。部分構成によれば、腹枕の両端に突出された拘束部は、いずれの場合も拘束状態となるので、腹枕の丸棒を回転軸とし、上半身を前下に深く曲げこむことが可能となる。これを繰り返すことにより、椎間関節が強く伸ばされるよう作用する。したがって、椎間関節のずれなどを回復するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態(1)の椎間板性腰痛に用いる、略蒲鉾形状の腰枕の斜視図。
【図2】図1におけるX−X横断面図。
【図3】実施形態(2)の椎間板性腰痛に用いる、チューブ並列形状の腰枕の斜視図。
【図4】図3におけるY−Y横断面図
【図5】チューブ並列形状腰枕の、他の実施例における横断面図。
【図6】実施形態(3)の椎間板性腰痛に用いる、椅子座時腰枕の使用法を示す側面図。
【図7】実施形態(3)の椎間板性腰痛に用いる、椅子座時腰枕の斜視図。
【図8】実施形態(4)の椎間関節性腰痛に用いる、椅子座時腹枕の使用法を示す側面図。(肘掛を有する椅子の場合)
【図9】実施形態(4)の椎間関節性腰痛に用いる、椅子座時腹枕と帯の使用法を示す側面図。(肘掛が無い椅子の場合)
【図10】実施形態(4)の腹枕の平面図、及び図10におけるZ−Z横断面図。
【図11】実施形態(4)の帯の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図を用い説明する。
【0045】
実施形態(1) 図1は、椎間板性腰痛に用いる、略蒲鉾形状の腰枕Aの斜視図である。図2は、図1のX−X横断面図である。図1、図2に示すように、下部に矩形板形をした硬質の台板1と、その最上部に略蒲鉾状に形成した半硬質フォームの緩衝材3とで、劣弧面にして長手方向に一様な軟質フォームの中材2を上下に挟装、三部材を接合の上、着脱用カバー(図示せず)で被着して腰枕Aとなし、腰枕Aの使用は、仰臥寝時に腰枕Aを腰椎にあてがい腰椎を押圧作用させ、治療過程にて、枕高さの増加要求ある時は、台板1裏面に台板1と類似の厚さ調整板4を装着使用、使用後は筋肉のこりをほぐし、もって腰椎前弯を回復する。なお腰枕Aの使用時間は、1日当り1回の睡眠時間(2〜3時間)を標準とする。
【0046】
上記実施形態(1)の部分構成によれば、腰椎にあてがわれた腰枕Aの緩衝材3が半硬質であることに起因し、腰椎を強く押圧するよう作用する。又中材2が軟質フォームであることに関り、腰枕Aの負荷時変位量は多少増加するので、肌触り感が好転する。更に厚さ調整板4を付加することによって、適切な押圧力とすることができる。
【0047】
実施形態(2) 図3は、椎間板性腰椎に用いる、チューブ並列形状の腰枕Bの斜視図である。図4は図3のY−Y横断面図である。図3、図4に示すように、下部に矩形板形をした硬質の台板と、その台板11上に多角形面にして台板11長手方向に一様な半硬質フォームの台座6を装着、その台座6多角辺に接し、中央部において、空気圧弁7を有するゴム製チューブ5を複数条並列形態に結紐、着脱用カバー(図示せず)で被着して腰枕Bとなし、その腰枕Bの使用は、空気圧弁7でゴム製チューブ内圧を調整の上、仰臥寝時にその腰枕Bを腰椎にあてがい腰椎を押圧させ、使用後は、筋肉のこりをほぐしもって腰椎前弯を回復する。
【0048】
図5は、チューブ並列形状腰枕の他の実施例における横断面図である。このチューブは、一輪の自転車チューブを四条に折り曲げたものであり、図4と図5の異なるところは、台座6が四辺状から五辺状に、又、チューブ並列条数が六条から四条となるところである。形状に異なりはあるものの、腰椎への押圧力や肌触り感に大差はなく、十分使用可能な事例である。なお腰枕Bの使用時間は、実施形態(1)と同様である。
【0049】
実施形態(3) 図6は、椎間板性腰痛に用いる、椅子座時腰枕Cの使用法を示す側面図である。図7は、椅子座時腰枕Cの斜視図である。図7に示すように、伸縮性を有する表裏2枚の帯状メッシュ地15の両端に、互いに接着する面ファスナー18を縫着、中央部には、表裏地内にベルト縦横を固定するための非伸縮性合成樹脂シート(図示せず)を挟着、全体を帯状に縫着して面ファスナーベルト10となし、該中央部表側に、硬質の矩形板13を縫着、略蒲鉾状に形成した半硬質フォームの緩衝材14を接着、着脱用カバー(図示せず)で被着してベルト枕9となし、他方、別個品として、長手方向に抗張力を有する帯状地の両端に、互いに接着する面ファスナーを縫着した、外側ベルト12を備える。
【0050】
したがって、椅子座時の腰枕Cは、ベルト枕部9と外側ベルト12を加えた総称である。腰枕Cの使用は、図6に示すように、緩衝材14を腰椎にあてがい該面ファスナーベルト10で身体31を巻回装着、椅子座後面ファスナーベルト10の外側を外側ベルト12を用い、背凭を有する椅子16の背凭17と共に緊張形態に巻回装着、あるいは自動車椅子(図示せず)の場合は、背凭をたてシートベルトを装着し、使用後は、筋肉のこりをほぐしもって腰椎前弯を回復する。
【0051】
実施形態(3)の部分構成によれば、背凭を有する椅子16の場合も、自動車椅子座の場合も、緩衝材14を腰椎にあてがい背凭17に接する姿勢なので、正に腰椎前弯の姿勢であり、ベルト枕9と、外側ベルト12あるいはシートベルトを装着するかぎり、その正しい姿勢が保たれる。したがって、長時間継続することによって腰椎前弯を回復することとなる。
【0052】
実施形態(4) 図8は、椎間関節性腰痛に用いる、椅子座時腹枕19の使用法を示す側面図で、肘掛を有する椅子の場合を示している。図9は、椎間関節性腰痛に用いる、椅子座時腹枕19と帯21の使用法を示す側面図で、肘掛の無い椅子の場合を示している。又、図10は、実施形態(4)の腹枕19の平面図、及び図10におけるZ−Z横断面図である。又、図11は実施形態(4)の帯の斜視図である。なお腹側枕Dとは、腹枕19と別個に備えた帯21を加えた総称である。
【0053】
腹枕19は、鞘管20の外部を略楕円面をなす半硬質フォームの枕材27で被装、該鞘管20内に丸棒22を遊挿、両端が該鞘管20外に突出するよう丸棒22に鍔29を固着、枕材27部を着脱用カバー(図示せず)で被着して腹枕19となし、又、丸棒22突出部分を拘束部30と称し、別個品として長手方向に抗張力を有する帯21を備え、該腹枕19と帯21の使用は、椅子座後該腹枕19を腹部前におき、肘掛を有する椅子25の場合は、肘掛の曲り部24内隅と身体31とで拘束部30を拘束、あるいは肘掛のない椅子26の場合は、別個に備えた帯21を用い背凭を有する椅子16の背凭17と拘束部30を繋ぎ、一方向を拘束、治療は、腹枕19の丸棒22を回転軸とし、上半身を前下に深く曲げこむ体操を繰返し、使用後は、筋肉のこりをほぐし、もって椎間関節のずれなどを回復する。
【0054】
鞘管20材は、硬質ビニール管を用いたが、これに限定するものではなく、鋼管やステンレス管でも使用可能である。又、丸棒は木製のものを用いたが、これに限定するものではなく、鋼管やステンレス管でも使用可能である。
【0055】
実施形態(4)の部分構成によれば、腹枕19の両端に突出形態の拘束部30は、いずれの場合も拘束状態となるので、腹枕19の丸棒22を回転軸として、上半身を前に深く曲げこむことが可能となる。これを繰返すことにより、椎間関節が強く伸ばされるよう作用する。したがって、椎間関節のずれなどを回復するものとなる。
【0056】
体操は、息を吐きながら、椎間関節が伸ばされるイメージで、ゆっくりと上半身を前下に深く曲げこむようにする。この体操を5回ほど繰返すことを1セットとし、1日3セット実施する。なお、完治された場合でも、セット数は感じてもこれを続けることが予防となります。
【符号の説明】
【0057】
A 略蒲鉾形状の腰枕
1 台板
2 中材
3 緩衝材
4 厚さ調整板
B チューブ並列形状の腰枕
11 台板
5 ゴム製チューブ
6 台座
7 空気圧弁
C 椅子座時の腰枕
9 ベルト枕
10 面ファスナーベルト
12 外側ベルト
13 矩形板
14 緩衝材
17 背凭を有する椅子の背凭
D 椅子座時の腹側枕
19 腹枕
20 鞘管
21 帯
22 丸棒
27 枕材
30 拘束部(腰枕の丸棒両端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板性腰痛に用いる略蒲鉾形状の腰枕であって、下部に矩形板に形成した硬質の台板と、最上部に略蒲鉾状に形成した半硬質フォームの緩衝材とで、劣弧面にして長手方向に一様な軟質フォーム中材を上下に挟装、三部材を接合の上、着脱用カバーで被着して腰枕となし、該腰枕の使用は、仰臥寝時に該腰枕を腰椎にあてがい腰椎を押圧作用させ、治療過程にて、枕高さの増加要求ある時は、台板裏面に台板類似の厚さ調整板を接着し使用、使用後は、筋肉のこりをほぐし、もって腰椎前弯を回復することを特徴とする腰枕。
【請求項2】
椎間板性腰痛に用いるチューブ並列形状の腰枕であって、下部に矩形板に形成した硬質の台板と、該台板上に多角形面にして台板長手方向に一様な半硬質フォームの台座を装着、該台座多角辺に接し中央部において、空気圧弁を有するゴム製チューブを複数条並列形態に結紐、着脱用カバーで被着して腰枕となし、該腰枕の使用は、仰臥寝時に、該腰枕を腰椎にあてがい腰椎を押圧作用させ、使用後は、筋肉のこりをほぐしもって腰椎前弯を回復することを特徴とする腰枕。
【請求項3】
椎間板性腰痛に用いる椅子座時の腰枕であって、伸縮性を有する表裏2枚の帯状メッシュ地の両端に、互いに接着する面ファスナーを縫着、中央部には、表裏地内にベルト縦横を固定するための、非伸縮性樹脂シートを挟着、全体を帯状に縫着して面ファスナーベルトとなし、該中央部表側に、硬質の矩形板を縫着、更に略蒲鉾状に形成した半硬質フォームの緩衝材を接着、着脱用カバーで被着してベルト枕となし、別個品として、長手方向に抗張力を有する帯状地の両端に、互いに接着する面ファスナーを縫着した外側ベルトを備え、該腰枕の使用は、緩衝材を腰椎にあてがい該面ファスナーベルトで身体を巻回装着、椅子座後、該面ファスナーベルトの外側を該外側ベルトを用い、背凭を有する椅子の背凭と共に緊張形態に巻回装着、あるいは自動車椅子の場合は背凭をたて、シートベルトを装着し、使用後は筋肉のこりをほぐし、もって腰椎前弯を回復することを特徴とする腰枕。
【請求項4】
椎間関節性腰痛に用いる椅子座時の腹側枕であって、鞘管の外部を、略楕円面をなす半硬質フォームの枕材で被装、該鞘管内に丸棒を遊挿、両端が該鞘管外に突出するよう丸棒に鍔を固着、枕材部を着脱用カバーで被着して腹枕となし、丸棒突出部分を拘束部と称し、別個品として、長手方向に抗張力を有する帯を備え、該腹枕と帯の使用は、椅子座後、該腹枕を腹部前におき、肘掛を有する椅子の場合は、肘掛の曲り部内隅と身体とで拘束部を拘束、あるいは肘掛のない椅子の場合は、別個に備えた帯を用い、背凭を有する椅子の背凭と拘束部を繋ぎ一方向を拘束、治療は、腹枕の丸棒を回転軸とし上半身を前下に深く曲げこむ体操を繰り返し、使用後は筋肉のこりをほぐし、もって椎間関節のずれなどを回復することを特徴とする腹側枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−90889(P2013−90889A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246898(P2011−246898)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(592029348)
【Fターム(参考)】