説明

腸管ホルモン分泌調整成分の製造方法,使用方法,機能性食品および医薬

【課題】食物中からの分画成分により、肥満、糖尿病の予防あるいは治療に供しうる機能食品や医薬を提供する。
【解決手段】食物から得られる脂肪酸を変成し、変成脂肪酸をカラムクロマトグラフィーによって分画することにより、変成脂肪酸から腸管ホルモン分泌調整成分を取り出す。脂肪酸としては、特に、αリノレン酸、DHA等不飽和長鎖脂肪酸あるいは天然の油脂、たとえば紫蘇油や魚油から画分された脂肪酸が適している。カラムクロマトグラフィーによるRf値の範囲を選択して分画することにより、SIHR,EIHR,IIHRと名付けた物質が得られる。これらは、カロリー当たりの腸管ホルモン分泌調整(促進または抑制)機能が高いので、長期間摂取しても、肥満等を招くことなく、糖尿病等の予防,改善に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸管ホルモン分泌調整成分の製造方法,使用方法,ならびに腸管ホルモン分泌調整成分を含む機能性食品および医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、末梢でサブスタンスP(Subastance P)やニューロキニン(Neurokinin)がニューロキニン受容体(Neurokinin receptor)に反応することによる疾患として、例えば腸管の神経性炎症(非特許文献1参照),内臓の痛み/痛覚過敏症(非特許文献2参照),下痢(非特許文献3参照),腸管や膵臓の炎症惹起(非特許文献4参照),ストレス性皮膚炎症(非特許文献5参照),神経性炎症(非特許文献6参照),急性腸炎(非特許文献7,8参照),腸管憩室疾患(非特許文献9参照)などが知られている。
【0003】
一方、食物を摂取すると腸管から種々のホルモンが分泌され、種々の生理機能を発揮することが知られている。これら腸管ホルモンのうち、膵蔵のβ細胞からインスリンを放出促進する能力を持つホルモンは、インクレチンと称されている。インクレチンとしてはグルカゴン様ペプチド(以下、GLP-1(glucagon-like peptide 1)と呼ぶ)およびGIP(gastric inhibitory peptide)が知られている。
【0004】
また、腸管よりインクレチン放出を促進する食物中成分として、糖類、アミノ酸、ペプチド、脂質や脂肪酸類が知られている。いずれも栄養素として人体に利用される。インクレチンをコントロールしてインスリン放出を促進し、糖尿病を治療しようとする医薬品が開発されている。体内で分解されにくいGLP-1誘導体を投与するアプローチと、体内でのGLP-1分解を抑える分解酵素阻害剤(DPP4インヒビター)が次世代糖尿病薬として注目されている。
【非特許文献1】Am J Physiol Gatrointesti Liver Physiol 279, G1298-G1306, 2000
【非特許文献2】Neuroscience,98(2), 345-352, 2000
【非特許文献3】Br. J. Pharmacol. 121(3), 375-80)1997
【非特許文献4】Am J Physiol 272, G785-93, 1997
【非特許文献5】Clin Exp Dermatol, 29, 644-648, 2004
【非特許文献6】Neurocience 125(2), 449-459, 2004
【非特許文献7】Neuroscience, 145(2), 699-707 2007
【非特許文献8】IBD (Eur J Pharmacol, 548(1-3), 150-137, 2006
【非特許文献9】Dig Liver Dis 36(5), 348-354,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記次世代糖尿病薬などの臨床結果から、GLP-1の血中濃度を上昇させることが、糖尿病治療に有効であることが明確になってきている。一方、GLP-1は満腹中枢を刺激して、食欲を抑制することが知られている。GLP-1誘導体の臨床結果により、肥満抑制効果が明確に示された。したがって、食物を摂取すれば、腸管からGLP-1が放出され、GLP-1の血中濃度が上昇するので、自然に食物を摂取することは、糖尿病を予防することにもつながるといえる。
【0006】
しかしながら、食物は栄養ともなるので、食物を摂取過剰することで、肥満、ひいては糖尿病を招く。カロリーの取り過ぎで肥満状態に陥ると、生活習慣病として糖尿病が誘発されることは周知の通りである。
したがって、GLP-1の血中濃度を上昇させるために、食物を過剰に摂取することは、糖尿病の予防または治療方法として適切でない。
【0007】
本発明の目的は、食物中からカロリー当たりの腸管ホルンの調整機能の高い成分を取り出す手段を講ずることにより、肥満、糖尿病の予防あるいは治療に供しうる機能食品や医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者達は、食物中に存在する、カロリー当たりのGLP-1放出活性など、腸管ホルモン調整機能の高い成分(分泌調整成分)を取り出すことができれば、これを摂取することにより、肥満、糖尿病の予防あるいは治療が可能ではないかと考えた。
かかる発想の下に、鋭意努力の結果、カロリー当たりの高GLP-1放出活性を持つ成分など、腸管ホルモン調整機能の高い成分を食品より取り出すことに成功した。
【0009】
すなわち、本発明の腸管ホルモン分泌調整成分の製造方法は、脂肪酸を変成し、変成脂肪酸をクロマトグラフィーにより分画して、変成脂肪酸から腸管ホルモン分泌調整成分を取り出す方法である。
【0010】
脂肪酸としては、より好ましくは、αリノレン酸、DHA(Docosahexanoic Acid)等の不飽和長鎖脂肪酸,紫蘇油および魚油等の天然油脂,あるいは、天然油脂から調整した脂肪酸画分が適している。
そして、これらを変性する方法としては、周知の方法を採用することができる。たとえば、高温(30℃から150℃)で加熱あるいは空気中や酸素中で攪拌し、酸化させる、あるいは紫外線照射等により変性する。あるいはこれらを組み合わせて変性させるなどの方法がある。
【0011】
天然油脂からの脂肪酸の調製方法は、周知の方法を採用して実施することができる。典型的な方法としては、以下の処理がある。
アルカリで元の油脂をけん化し、けん化物を水と石油エーテルの混合物を用いて分画し、水−エタノール画分を酸処理すると、水−エタノール画分として遊離の脂肪酸とグリセリンの混合物が得られ、石油エーテル画分として不けん化物が得られる。次に、水−エタノール画分を石油エーテルで再度洗浄すると、石油エーテル側に脂肪酸が分画され、残りにグリセリンが分画される。
【0012】
分画の方法としては、溶媒抽出法や各種クロマトグラフィーを用いることができる。たとえば、変性脂肪酸をシリカゲルカラムを用いて分画し、ヘキサンとエーテルとの濃度比を、連続的または段階的に変化させて溶出する。
【0013】
そして、分画する際に、薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレートと、ヘキサン,エーテル,酢酸を容量比60:40:1で混合した展開溶媒とを用いる)において、Rf値が、0.23〜0.13,0.1〜0.05の領域にスポットを示す画分を分画することにより、または、薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレートと、ヘキサン,エーテル,酢酸を容量比40:60:1で混合した展開溶媒とを用いる)において、Rf値が、0.33〜0.23,0.23〜0.17,0.09〜0.05の領域にスポットを示す画分を分画することにより、カロリー当たりのGLP-1(Glucagon-like peptide-1)分泌促進活性が高い物質が取り出される。本明細書においては、この分泌促進成分をSIHR(Stimulators of intestinal hormone ?release )と呼ぶことにする。SIHRは、その物質自体がGLP-1放出促進活性を有するものである。
【0014】
また、分画する際に、薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレートと、ヘキサン,エーテル,酢酸を容量比60:40:1で混合した展開溶媒とを用いる)において、Rf値が、0.23〜0.2,0.13〜0.05,0.02〜0の領域にスポットを示す画分を分画することにより、または、薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレートと、ヘキサン,エーテル,酢酸を容量比40:60:1で混合した展開溶媒とを用いる)において、Rf値が、0.38〜0.26,0.09〜0.05,または0.05〜0の領域にスポットを示す画分を分画することにより、CCKやサブスタンスPの分泌抑制成分が得られる。
腸管ホルモンの過剰分泌あるいは継続的分泌は疾患の原因となり、CCK, サブスタンスP(Substance P)およびニューロキニンA(Neurokinin A)の過剰分泌が人体に有害であることが知られている。本明細書においては、CCK, サブスタンスPやニューロキニンAの分泌を抑制する食品成分成分を、IIHR(Inhibitor of Intestinal hormone-release)と呼ぶことにする。これら物質はGLP-1分泌抑制活性もあわせ持つが、相対的にサブスタンスPまたはCCK分泌抑制活性が高い。これらはIBS、IBD予防治療医薬あるいは機能性食品として有用である。
【0015】
GLP-1分泌促進物質を含む機能性食品、あるいはGLP-1分泌促進物質を有効成分として含む医薬の用途としては以下の用途がある。
GLP-1の濃度増加にともなう対象疾患または症状として、例えば、(1)膵臓β細胞からインスリン分泌を促進することによる糖尿病治療薬 (2)膵臓β細胞の分化増殖促進による、高血糖、インスリン抵抗性、肥満などから糖尿病に移行することを予防する糖尿病予防薬。またはβ細胞移植時の移植細胞の生着率向上;(3)胃酸分泌抑制による胃酸過多治療;(4)腸管運動抑制による下痢治療(5)神経の可塑性や生存を維持し、神経障害による疾患の治療;及び(6)食欲抑制による肥満予防治療、などが対象となる。ただし、対象疾患または症状は、上記に限定されるものでなく、GLP-1の濃度亢進にともなう治療,症状改善のすべてが対象となる。
【0016】
CCK分泌抑制物質を含む機能性食品、あるいはCCK分泌抑制成分を有効成分として含む医薬の用途としては以下の用途がある。
CCKの濃度増加にともなう対象疾患または症状として、たとえば(1)CCKは膵炎を促進するために、CCK濃度を低下させることにより、膵炎治療が可能になる。(2)CCKは胃酸の分泌を促進するので、CCK濃度の抑制により、胃酸過多の治療が可能になる。(3)CCKは中枢で不安、ストレスによる行動障害を起こすために、CCK濃度の抑制により、行動障害の治療や精神安定剤としての利用が可能になる。(4)CCKはモルヒネ等の鎮痛剤に拮抗するので、CCK濃度を低下させることにより、鎮痛剤の効果増強が可能である。(5)CCK濃度の抑止により、感染性下痢など下痢の治療が可能になる。ただし、対象疾患または症状は、上記に限定されるものでなく、CCKの濃度亢進にともなう疾患の治療または症状改善のすべてが対象となり得る。
【0017】
サブタンスPまたはニューロキニン分泌抑制物質を含む機能性食品、あるいはサブタンスPまたはニューロキニン分泌抑制物質を有効成分として含む医薬の用途としては以下の用途がある。
末梢で、サブスタンスPやニューロキニンの濃度増加にともなう対象疾患として、例えば腸管の神経性炎症(非特許文献1参照),内臓の痛み/痛覚過敏症(非特許文献2参照),下痢(非特許文献3参照),腸管や膵臓の炎症惹起(非特許文献4参照),ストレス性皮膚炎症(非特許文献5参照),神経性炎症(非特許文献6参照),急性腸炎(非特許文献7,8参照),腸管憩室疾患(非特許文献9参照)などが知られている。IIHR(サブスタンスP/ニューロキニン分泌抑制物質)により、これらの疾患または症状の治療または症状改善が可能となる。ただし、対象疾患または症状は、上記に限定されるものでなく、サブスタンスPやニューロキニンの濃度亢進にともなう疾患の治療または症状改善のすべてが対象となり得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の腸管ホルモン分泌調整成分の製造方法,機能性食品または医薬によると、食物中からカロリー当たりの腸管ホルモン調整機能促進成分を分画して取り出すことにより、肥満、糖尿病の予防あるいは治療に供しうる機能食品や薬品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施例1)
−GPR120の活性化あるいは抑制能を持つ脂肪変性物の分離同定−
GLP-1放出促進活性のある食品由来成分を以下のように見出した。
その際、脂肪が変性するにしたがって、腸管ホルモン分泌能が高い成分が生じると予測し、本実験をおこなった。
【0020】
脂肪酸として、αリノレン酸(αLA(Sigma)), DHA(フナコシCAY)、紫蘇油由来脂肪酸,魚油由来脂肪酸(日油)を用いる。
溶剤は、クロロホルム, ヘキサン, ジエチエルエーテル, 酢酸, メタノール(ナカライテスク)である。
【0021】
紫蘇油由来脂肪酸、および魚油由来脂肪酸の製造方法は下記の通りである。
アルカリで元の油脂をけん化し、けん化物を水と石油エーテルの混合物を用いて分画し、水−エタノール画分を酸処理すると、水−エタノール画分として遊離の脂肪酸とグリセリンの混合物が得られ、石油エーテル画分として不けん化物が得られる。次に、水−エタノール画分を石油エーテルで再度洗浄すると、石油エーテル側に脂肪酸が分画され、残りにグリセリンが分画される。
【0022】
上記の処理で4種類の脂肪酸を含む画分を得た後、475μl の各脂肪酸をチューブに分注し、50℃に設定されたインキュベータ内に設置したローテーターで、7rpmの回転を2週間与え続けて、0, 1, 3, 7, 14日目に回転数10,000rpm, 5分間の遠心を行なって、50μlの各脂肪酸を採取した。14日目終了後、25μlの各14日目の脂肪酸を96穴マイクロプレート 2穴に分注し、クリーンベンチ内殺菌灯(三洋電機社製、紫外線照射量:250uW.sec/cm2、波長:253.7nm)に2日間照射してプレートごと回収した。採取した試料は カラムクロマトグラフィーを行うまでの間、-80℃にて保存した。
TLC(薄層クロマトグラフィー)実験では、各脂肪酸をクロロホルムで10倍希釈して攪拌後、1μlを各シリカゲルプレートに載せ、ヘキサン:エーテル:酢酸(60:40:1)で展開を行った。
【0023】
図1は、TLC(薄層クロマトグラフィー)実験の結果をイラストで示す図である。図1に示す結果は、day0, day14, UV(day14+UV照射)の3種類としている。
同図に示すように、サンプルNo3,6,9,12のように、4種の脂肪酸共に変性条件が厳しくなるにつれて、サンプルの移動度が小さくなり、脂肪酸の変性が進行したことが分かる。
【0024】
(実施例2)
−変性にともなう脂肪酸の各種腸管ホルモン分泌作用に対する影響の変化−
次に、実施例2として、脂肪酸の変性により各種腸管ホルモン分泌作用が変化するかを調べた。用いた材料・方法は、以下の通りである。
STC-1細胞(Am. J. Pathol. 136:1349-1363(1990)参照)を12ウェルプレートにまき、48時間培養後、αLA, 100μMあるいは各フラクションを添加して、1時間刺激後、培養上清のGLP-1,CCK,サブスタンスPの濃度をELISAで測定した。
【0025】
図2(a),(b)は、順に、変性過程を経時的にサンプリングし、100μMの未変性もしくは変性 αLA,あるいはDHAを添加したときのGLP-1濃度を示し、図3(a),(b)は,順に、変性過程を経時的にサンプリングし、100μMの未変性もしくは変性 αLA,あるいはDHAを添加したときのCCK濃度を示し、図4(a),(b)は,順に、変性過程を経時的にサンプリングし、100μMの未変性もしくは変性 αLA,あるいはDHAを添加したときのサブスタンスP濃度を示し、図5(a),(b)は,順に、紫蘇油由来脂肪酸,魚油由来脂肪酸を添加したときのGLP-1濃度を示し、図6(a),(b)は,順に、紫蘇油由来脂肪酸,魚油由来脂肪酸を添加したときのCCK濃度を示している。
【0026】
図2(a),(b)〜図6(a),(b)から、以下のことがわかる。
図2(a),(b)に示すように、αLAおよびDHAは変性と共に本体の画分が減少し、分解物が増加するが、GLP-1分泌活性は経時的に上昇した。αLAの場合はさらに分解が進むと、GLP-1分泌活性は再び減少した。DHAの場合は、今回の分解条件では、分解がさらに進んでも、GLP-1分泌活性がそれほど減少していない。
【0027】
図4(a),(b)に示すように、サブスタンスP分泌活性は、GLP-1分泌活性ほど顕著でないが、変性が進むほど増加した。
【0028】
一方、図3(a),(b)に示すように、CCK分泌活性は、変性が進むと、直線的に減少した。
また、図5(a),(b)および図6(a),(b)に示すように、紫蘇油由来脂肪酸と、魚油由来脂肪酸とについても、変性が進むと、GLP-1分泌活性は上昇するが、CCK分泌活性は減少する傾向がある。
【0029】
上述のような、GLP-1分泌活性とCCK分泌活性の変性依存性の食い違いの理由は、この段階では解らないが、両分泌活性を作用させるシグナル伝達系に何らかの違いがあり、分解物中に生成した成分の分泌促進効果の違いによるのか、分泌活性抑制効果の違いによるのかのいずれかと、推測される。
【0030】
また、脂肪酸の変性により悪玉ホルモンであるサブスタンスP分泌促進効果が増大することは、食品中の脂質が変性することにより、IBS発症・憎悪の危険性が増加する可能性が示唆された。さらに、変性産物が悪玉ホルモンを強く分泌するというだけでなく、受容体への作用の仕方、例えば受容体に不可逆的に結合するリガンドが生じて、長期にわたってシグナルが出続けることになる等、脂肪変性物とIBS発症とのかかわりを慎重に調べる必要がある。
【0031】
(実施例3)
−脂肪酸変性物の分離−
本実施例においては、実施例2で作成したαLA変性物中の腸管ホルモン分泌促進成分あるいは抑制活性成分の存在を検討し、それらを分離した。用いた材料・方法は、以下の通りである。
【0032】
実施例2において調製した、変性αLA、50μlをヘキサン5mlに溶かして、Waters社製のシリカゲルカートリッジ(Sep-Pak Light(WAT020520))にアプライした。溶出液は以下の通りである。
【0033】
ヘキサン:エーテル
10 : 0 0.7ml Fraction 1
0.7ml Fraction 2
0.7ml fraction 3
8 : 2 0.7ml Fraction 4
0.7ml Fraction 5
0.7ml Fraction 6
6 : 4 0.7ml Fraction 7
0.7ml Fraction 8
0.7ml Fraction 9
4 : 6 0.7ml Fraction 10
0.7ml Fraction 11
0.7ml Fraction 12
3 : 7 0.7ml Fraction 13
0.7ml Fraction 14
0.7ml Fraction 15
0 : 10 0.7ml Fraction 16
0.7ml Fraction 17
0.7ml Fraction 18
メタノール 2ml Fraction 19
【0034】
上記各フラクション20μlを、TLC(担体:シリカゲル、溶媒:(ヘキサン:エーテル:酢酸=60:40:1)法により分析した。また、乾固チューブを125μl DMSOに溶解し、STC-1細胞でGLP-1放出特性を測定した。
使用したTLCプレートは、以下の通りである。
Whatman 社、Thin Layer Chromatography Plate, Partisil (R)K6F Silica Gel 60 Å with Fluorescent Indicator Size: 10x20cm Layer Thickness 250 μm, catalogue No. 4861-720
【0035】
αLAを60℃で14日回転させた。 変性をより進めるために実験番号070723よりも処理温度を上げて変性を加速した。変性αLA 125μlをヘキサン:エーテル10 : 0.25に25mlに溶解し、Waters社製のシリカゲルカートリッジ(Sep-Pak Plus(WAT020520))にアプライした。
【0036】
溶出に用いた溶媒は、以下の通りである。
ヘキサン:エーテル
10 : 0.5 1.5ml Fraction 1
Fraction 2
9 : 1 1.5ml Fraction 3
Fraction 4
8 : 2 1.5ml Fraction 5
Fraction 6
7 : 3 1.5ml Fraction 7
Fraction 8
6 : 4 1.5ml Fraction 9
Fraction 10
5 : 5 1.5ml Fraction 11
Fraction 12
4 : 6 1.5ml Fraction 13
Fraction 14
3 : 7 1.5ml Fraction 15
Fraction 16
2 : 8 1.5ml Fraction 17
Fraction 18
1 : 9 1.5ml Fraction 19
Fraction 20
0 : 10 1.5ml Fraction 21
Fraction 22
メタノール 2ml Fraction 23
Fraction 24
Fraction 25
【0037】
溶出液20μlを、TLC(担体:シリカゲル、溶媒:(ヘキサン:エーテル:酢酸=40:60:1)法により分析した。使用したTLCプレートは、上記Whatman 社のものである。そして、硫酸銅発色で有機炭素の存在を測定した。一方、溶出液の一部を乾固し、50 μl DMSOに溶解して、STC-1からのGLP-1分泌促進活性を測定した。STC-1からのホルモン分泌促進活性および抑制活性を測定した。腸管ホルモン分泌促進作用を測定する場合はSTC-1細胞を12ウェルプレートにまき、48時間培養後、αLA, 100μMあるいは各フラクションを添加して、1時間刺激後、培養上清のGLP-1, CCK, およびサブスタンスP濃度をELISAで測定した。腸管ホルモン分泌抑制作用を測定する場合は、STC-1細胞を12ウェルプレートにまき、48時間培養後、αLAを100μM添加と同時に各フラクションを添加して、1時間刺激後、培養上清のGLP-1, CCK, およびサブスタンスP濃度をELISAで測定した。
【0038】
図7は、一実験(実験番号070723)による変性αLAのカラムクロマトグラフィーにおける各フラクションのTLC測定結果を示す図である。図8は、別の実験(実験番号070920)による変性αLAのカラムクロマトグラフィーにおける各フラクションのTLC測定結果を示す図である。いずれに実験においても、プレートとしてシリカゲルを用い、展開溶媒として、実験070723では、ヘキサン:エーテル:酢酸=60:40:1(容積比)の混合液を用い、実験070920では、ヘキサン:エーテル:酢酸=40:60:1(容積比)の混合液を用いている。
【0039】
図23は、上記実験のカラムクロマトグラフィーにおける各フラクションのTLC測定のRf値と対応する物質(略称)とを表にして示している。これらの物質の意味や作用について、以下に説明する。
図23の実験070920に示すように、分画する際に、Rf値が、0.33〜0.23,0.23〜0.17,または0.09〜0.05の領域にスポットを示す画分を分画することにより、カロリー当たりのGLP-1分泌促進活性が高い物質が取り出される(TLC測定での硫酸銅発色において、本件の発色とαLAの発色と比較して、有機物の炭素量の比を求め、これより本件の物質の量を相対αLA量に換算し、カロリー当たりのGLP−1分泌促進活性と見なしている)。この物質は、腸管ホルモンとして、CCKおよびサブスタンスPの分泌促進活性よりもGLP-1分泌促進活性が相対的に高いものである。上述したように、本明細書においては、この分泌促進成分は、SIHRと呼ばれる。SIHRは、その物質自体がGLP-1放出促進活性を有するものである。
ここでは、Rf値が033〜0.23である領域の画分をSIHR1とし、Rf値が0.23〜0.17である領域の画分をSIHR2とし、Rf値が0.09〜0.05の領域である領域の画分をSIHR3としている。
【0040】
図23の実験070920に示すように、分画する際に、Rf値が、0.23〜0.17,0.17〜0.09または0.09〜0.05の領域にスポットを示す画分を分画することにより、カロリー当たりのGLP-1分泌促進活性が高い物質が取り出される。上述したように、本明細書においては、この分泌促進成分は、EIHRと呼ばれる。EIHRは、その物質自体はGLP-1放出促進活性は弱いが、αリノレン酸などのGPR120に対する天然リガンドのGLP-1分泌促進作用を増強する。
ここでは、Rf値が0.23〜0.17である領域の画分をEIHR1とし、Rf値が0.17〜0.09である領域の画分をEIHR2とし、Rf値が0.09〜0の領域である領域の画分をEIHR3としている。
【0041】
また、Rf値が、0.38〜0.26,0.17〜0.09,または0.05〜0の領域にスポットを示す画分を分画することにより、以下のようなCCKやサブスタンスPの分泌抑制成分が得られる。
腸管ホルモンの過剰分泌あるいは継続的分泌は疾患の原因となり、CCK, サブスタンスPおよびニューロキニンAの過剰分泌が人体に有害であることが知られている。上述したように、本明細書においては、CCK, サブスタンスPやニューロキニンAの分泌を抑制する食品成分成分は、IIHRと呼ばれる。これら物質はGLP-1分泌抑制活性もあわせ持つが、IIHRは相対的にサブスタンスPの分泌抑制活性が高く、IIHR4は相対的にCCK分泌抑制活性が高い。IIHR2およびIIHR3は相対的にCCK分泌抑制活性が高く有用である。これらは過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)予防治療医薬あるいは機能性食品として有用である。
ここでは、Rf値が0.38〜0.26である領域の画分をIIHR1とし、Rf値が0.17〜0.09である領域の画分をIIHR2とし、Rf値が0.09〜0.05である領域の画分をIIHR3とし、Rf値が0.05〜0である領域の画分をIIHR4としている。
【0042】
後述するように、Rf値が0.38〜0.26、あるいは0.17〜0.09あるいは0.05〜0(原点)にスポットを示す画分を分画すると、GLP-1分泌エンハンサーが得られる。これらは糖尿病、肥満予防治療薬あるいは機能性食品として有用である。これらは、同時にCCKおよびサブスタンスP分泌エンハンサー活性を持つために一部の患者には使用を控える必要がある。
【0043】
図9〜図15は、変性αLAのカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における分画物質のSTC-1ホルモン分泌促進活性を示す図である。図9〜図12は、図7に示す実験による変性αLAのカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのホルモン分泌促進活性を示す図であって、図9は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性を示す図、図10は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性をαLAに換算したαLA等量を示す図、図11は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのCCK放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図、図12は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。図13〜図15は、図8に示す実験による変性αLAのカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのホルモン分泌促進活性を示す図であって、図13は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図、図14は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性をαLAに換算したαLA等量を示す図、図15は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【0044】
図16〜図21は、変性αLAのカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における分画物質のSTC-1ホルモン分泌抑制活性またはエンハンス活性を示す図である。図16〜図18は、図7に示す実験によるカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのホルモン放出抑制活性およびエンハンス活性を示すデータであって、図16は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図、図17は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのCCK放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図、図18は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。図19〜図21は、図8に示す実験によるカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのホルモン放出抑制活性およびエンハンス活性を示すデータであって、図19は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図、図20は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのCCK放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図、図21は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【0045】
図22は、変性αLAのカラムクロマトグラフィーによる調整物質と各種ホルモン(GLP-1、CCK、サブスタンスP)の分泌促進活性,分泌抑制活性および分泌エンハンス活性を表中で比較して示す図である。図22は、図9〜図21に示すデータから相対活性を算出したものである。括弧内は、活性ピークのフラクション番号を示し、シャドウを施した部分は、図7に示す実験におけるフラクションの情報を示している。
【0046】
図23は、ホルモン分泌促進物質,ホルモン分泌エンハンス物質およびホルモン分泌抑制物質のカラムクロマトグラフィーにおけるRf値と対応する物質とを表にして示している。カラムクロマトグラフィーにおけるRf値を表にして示す図である。図23には、上述したように、SIHR1, SIHR2, SIHR3、EIHR1, EIHR2, EIHR3、IIHR1, IIHR2, IIHR3, IIHR4に対応する物質のカラムクロマトグラフィー上のスポットRf値(移動度)が示されている。各Sep-pakフラクションには複数のスポットが含まれるために、Rf値に幅がある。
【0047】
図24は、図7に示す実験による、変性αLAのTLCスポットのRf値および各フラクションのホルモン分泌促進活性、ホルモン分泌エンハンス活性およびホルモン分泌抑制活性を表にして示す図である。
図25は、図8に示す実験による、変性αLAのTLCスポットのRf値および各フラクションのホルモン分泌促進活性、ホルモン分泌エンハンス活性およびホルモン分泌抑制活性を表にして示す図である。
図24,図25において、◎は、スポットの示すホルモン分泌促進活性を、×は、スポットの示すホルモン分泌抑制活性を、△は、スポットの示すホルモン分泌エンハンス活性を、○は、活性との関連が不明であるスポットの存在をそれぞれ示している。
【0048】
図26は、変性αLAからの画分SIHR1, SIHR2, SIHR3の相対GLP-1放出促進活性を示す図である。図26は、実験番号070920において、SIHR1, SIHR2, SIHR3のELLISA発色を画像処理し、発色が物質量に比例する仮定として、αLAに対するおよその相対的活性(比活性)を示している。
【0049】
本発明者達は、上記図9〜図26に示すデータから、以下の知見を得た。
(1) 図9〜図15に示すデータから、成分SIHR1, SIHR2, SIHR3には、GLP-1、CCK、サブスタンスP泌促進作用が認められた。
図26に示すように、成分SIHR1, SIHR2, SIHR3のαLA(100μM)を100とする相対量は、0.1以下であることから、SIHR1, SIHR2, SIHR3は、αLAに対して、1000倍以上の重量あたりのGLP-1放出活性を持つと推定される。
(2) 図16〜図21に示すデータから、成分IIHR1, IIHR2, IIHR3, IIHR4には、GLP-1、CCK、サブスタンスP泌促抑制活性が認められた。
(3) 図18〜図21に示すデータから、成分EIHR1, EIHR2, EIHR3はそれ自体GLP-1、CCK、サブスタンスP分泌促進作用がは低いがαLAのGLP-1分泌作用を促進する活性が認められた。
図22には、上述のような各成分のホルモン分泌調整機能がまとめられている。
なお、αLAのGLP-1分泌作用を抑制する成分を調べたが、その存在は検出できなかった。一方、抑制効果を検出する測定系で逆にエンハンサー機能を持つ成分が発見された。
【0050】
−機能性食品,医薬としての機能−
SIHR1, SIHR2, SIHR3およびEIHR1, EIHR2, EIHR3は、糖尿病や肥満予防治療に効果があるGLP-1の腸管からの放出を促進する。通常の食事においては脂肪酸がこの働きをするが、これらの物質は、脂肪酸よりも重量当たり(カロリー当たり)のGLP-1放出活性が100倍以上高い。よって、脂肪酸投与に比べて、カロリーが低く、高いGLP-1放出活性を発揮する、有効な糖尿病や肥満予防治療薬あるいは機能性食品を提供できる。
【0051】
また、サブスタンスPおよびCCKの放出は炎症を惹起したり、痛みを発生したりする。IBS、IBDなどの腸炎の発症あるいは増悪の原因となると考えられる。SIHR1, SIHR2, SIHR3およびEIHR1, EIHR2, EIHR3は、これらのホルモン分泌も促進する。この分泌スペクトラムはαLAと同様である。αLAは通常の食事で摂取されていることから、SIHR1, SIHR2, SIHR3およびEIHR1, EIHR2, EIHR3の適量の摂取はカロリーを気にしなくて良い糖尿病や肥満予防治療薬あるいは機能性食品を提供できる。
【0052】
一方、IIHR1, IIHR2, IIHR3, IIHR4は、サブスタンスPおよびCCKの放出を抑制するので、これらの成分を利用して、IBS、IBDなどの腸炎の発症あるいは増悪をおさえる予防治療薬あるいは機能性食品を提供できる。IIHR1, IIHR2, IIHR3, IIHR4は、GLP-1の分泌も抑制するが、IBS,IBDの発症、増悪の環境では脂肪酸に対する反応が過敏になっていることから、これを抑制することは、IBS,IBDに対する重要な医薬あるいは機能性食品を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のG蛋白質共役型レセプター抑制剤は、医薬だけでなく、栄養補助剤として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1におけるTLC実験の結果をイラストで示す図である。
【図2】(a),(b)は、順に、変性過程を経時的にサンプリングし、100μMの未変性もしくは変性 αLA,あるいはDHAを添加したときのGLP-1濃度を示す図である。
【図3】(a),(b)は,順に、変性過程を経時的にサンプリングし、100μMの未変性もしくは変性 αLA,あるいはDHAを添加したときのCCK濃度を示す図である。
【図4】(a),(b)は,順に、変性過程を経時的にサンプリングし、100μMの未変性もしくは変性 αLA,あるいはDHAを添加したときのサブスタンスP濃度を示す図である。
【図5】(a),(b)は,順に、紫蘇油由来脂肪酸,魚油由来脂肪酸を添加したときのGLP-1濃度を示す図である。
【図6】(a),(b)は,順に、紫蘇油由来脂肪酸,魚油由来脂肪酸を添加したときのCCK濃度を示している。
【図7】実験070723による変性αLAのカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのTLC結果を示す図である。
【図8】実験070920による変性αLAのカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのTLC結果を示す図である。
【図9】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性を示す図である。
【図10】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性をαLAに換算したαLA等量を示す図である。
【図11】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのCCK放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図12】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図13】実験070920によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図14】実験070920によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出促進活性をαLAに換算したαLA等量を示す図である。
【図15】実験070920によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出促進活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図16】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのGLP-1放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図17】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのCCK放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図18】実験070723によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図19】実験070920によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのフラクションのGLP-1放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図20】実験070920によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのCCK放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図21】実験070920によるカラムクロマトグラフィー(sep-pak)における各フラクションのサブスタンスP放出抑制活性およびエンハンス活性(100μM αLA相対活性)を示す図である。
【図22】変性αLAのカラムクロマトグラフィーによる調整物質と各種ホルモンの分泌促進活性,分泌抑制活性および分泌エンハンス活性を表中で比較して示す図である。
【図23】ホルモン分泌促進物質,ホルモン分泌エンハンス物質およびホルモン分泌抑制物質のTLCにおけるRf値を表にして示す図である。
【図24】実験070723による変性αLAのTLCにおけるRf値および各フラクションのホルモン分泌促進活性、ホルモン分泌エンハンス活性およびホルモン分泌抑制活性を表にして示す図である。
【図25】実験070920による変性αLAのTLCにおけるRf値および各フラクションのホルモン分泌促進活性、ホルモン分泌エンハンス活性およびホルモン分泌抑制活性を表にして示す図である。
【図26】変性αLAからの画分SIHR1, SIHR2, SIHR3の相対GLP-1放出促進活性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸を変成する工程(a)と、
上記工程(a)で変成された変成脂肪酸をクロマトグラフィーにより分画して、変成脂肪酸から腸管ホルモン分泌調整成分を取り出す工程(b)と、
を含む腸管ホルモン分泌調整成分の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法において、
上記工程(b)では、上記変性脂肪酸をシリカゲルカラムを用いて分画し、ヘキサンとエーテルとの濃度比を段階的に変化させて溶出することにより、シリカゲルプレート上で、展開溶媒としてヘキサン、エーテルおよび酢酸を、容量比60:40:1の割合で用い、Rf値が、0.33〜0.23,0.23〜0.17,または0.09〜0.05の領域にスポットを示す画分を分画する、腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法において、
上記工程(b)では、上記変性脂肪酸をシリカゲルカラムを用いて分画し、ヘキサンとエーテルとの濃度比を段階的に変化させて溶出し、シリカゲルプレート上で、展開溶媒としてヘキサン、エーテルおよび酢酸を、容量比40:60:1の割合で用い、Rf値が、0.38〜0.26,0.17〜0.09,または0.05〜0の領域にスポットを示す画分を分画する、腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法において、
上記工程(a)では、上記脂肪酸として、不飽和長鎖脂肪酸,天然油脂,および,上記天然油脂から調整した脂肪酸画分から選ばれる1つの物質を用いる、腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法において、
上記不飽和長鎖脂肪酸は、αリノレン酸またはDHAであり、
上記天然油脂は、紫蘇油または魚油である、腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法によって取り出された腸管ホルモン分泌調整成分を含む機能性食品。
【請求項7】
請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の腸管ホルモン分泌調整剤の製造方法によって取り出された腸管ホルモン分泌調整成分を有効成分として含有する医薬。
【請求項8】
請求項2記載の腸管ホルモン分泌調整剤を含む機能性食品または医薬を投与することにより、腸管からのGLP-1の放出を促進する、腸管ホルモン分泌調整剤の使用方法。
【請求項9】
請求項3記載の腸管ホルモン分泌調整剤を含む機能性食品または医薬を投与することにより、腸管からのサブスタンスPの放出を抑制する、腸管ホルモン分泌調整剤の使用方法。
【請求項10】
請求項3記載の腸管ホルモン分泌調整剤を含む機能性食品または医薬を投与することにより、腸管からのCCKの放出を抑制する、腸管ホルモン分泌調整剤の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−221141(P2009−221141A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66909(P2008−66909)
【出願日】平成20年3月16日(2008.3.16)
【出願人】(506180040)ファルマフロンティア株式会社 (9)
【Fターム(参考)】