説明

腸管免疫賦活能を有する乳酸菌に対する効果促進剤

【課題】
人の健康維持のためには腸管免疫を賦活することが重要である。しかし、従来技術では腸管免疫賦活効果を持つ乳酸菌株の開発・探索は進んでいるが、それらの高免疫賦活乳酸菌株と併用して用いることができ、その能力を安全かつ効果的に高めるための手段については十分に検討されていなかった。
【解決手段】
オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する菌の培養液から培地由来成分などの不純物を除去した精製β-1,3-1,6-D-グルカンを、乳酸菌体またはその処理物が持つ免疫賦活効果における効果促進剤として用いる。精製β-グルカンと乳酸菌体とを併用することによって、乳酸菌体またはその処理物を単体で用いる場合より、パイエル板細胞からのIgA抗体産生量を大幅に増加させることができる。これにより、腸管免疫の活性化をもたらし、病原性微生物による感染症やそれらが産生する毒素による健康阻害の予防に有用な免疫賦活剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)をもたらす免疫賦活効果促進剤、ならびにそれを含有する免疫賦活に有用な健康食品又は機能性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
人体において、腸管は体外から取り込む異物に対しての免疫(腸管免疫又は粘膜免疫と呼ばれる)を担う中心的役割を果たしている。腸管は日常的な食事を通して、日々多くの物質が取り込まれている。腸管での免疫応答機構は、取り込まれる多くの物質を人体に有用な物質と有害な物質(毒性物質、異物や病原性微生物など)に選別し、有害な物質のみを特異的に除去することが求められている。この腸管免疫系においては、抗原特異的な抗体反応による免疫が特に重要なものとなっている。
【0003】
腸管での免疫応答機構において最も重要な組織は、小腸に多く存在するパイエル板と呼ばれる組織である。パイエル板には腸管免疫を誘導、制御するために必要なすべての免疫担当細胞群が存在しており、腸管免疫の司令塔としての役割を担っている(非特許文献1)。
【0004】
また、腸管免疫系において細菌毒素やウイルスの凝集・中和、組織への細菌付着の抑制などの機能を持ち、免疫機構の主役として機能するものは免疫グロブリンA(以下IgA抗体という)である。前述したようにパイエル板は、腸管での免疫応答において最も重要な組織であり、このパイエル板細胞からのIgA抗体産生を効率的に誘導することが腸管免疫の賦活において重要である。
【0005】
免疫系には、大別して自然免疫と呼ばれるものと獲得免疫と呼ばれるものがある。自然免疫は、皮膚や粘膜といった上皮細胞などによる外来異物に対する物理的障壁(バリアー)や食細胞の貪食による防御機構など、人にあらかじめ備わった非特異的な防御機構である。一方、獲得免疫とはリンパ球(B細胞、T細胞)の免疫応答によって獲得される特異的防御機構である。
【0006】
獲得免疫は、さらに細胞性免疫と液性免疫という2種類の免疫系に大別される。細胞性免疫とは、T細胞が直接的に働き、ウイルスに感染した細胞や細胞内で増殖する病原体を細胞ごと殺傷する免疫系である。一方、液性免疫は、抗体や補体が中心となり、主に細胞外で増殖する病原体を排除する免疫系である。細胞性免疫は、Th1細胞(Th1型のヘルパーT細胞)によって誘導され、液性免疫は、Th2細胞(Th2型のヘルパーT細胞)によって誘導される。
【0007】
パイエル板細胞から産生されるIgA抗体による免疫機構は、抗原特異的免疫反応(獲得免疫)によるものであり、液性免疫に分類される。
【0008】
乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)が、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生向上作用を有していることが知られている(特許文献1)。特許文献1には、感染症予防、腫瘍抑制、アレルギー抑制及び整腸作用などの効果が期待され、免疫賦活剤や整腸剤などに利用できることが記載されている。
【0009】
しかしながら、一般的に、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)がもたらす免疫賦活活性及び免疫調節機能は、菌種が同一であっても菌株が違えばその効果も大きく異なることが知られている。そのため免疫賦活剤として用いる際には、用いる菌株の選定が非常に重要となる。そこで多くの研究機関において、より免疫賦活活性及び免疫調節機能の高い乳酸菌株の単離が行なわれている。
【0010】
また、新規乳酸菌株の探索のみでなく、免疫賦活活性及び免疫調整機能を有する既存菌株の培養法を改良することによって、従来の培養方法で得られる菌体よりも高い免疫賦活活性を有する菌体を得る手法の開発も行なわれている。
例えば、アスパラガス処理物を含有する培地で乳酸菌を培養することで、通常の培地で培養する場合よりも高い免疫調節作用(INF-γ産生促進効果)が得られること(特許文献2)が知られている。しかしながら、上記文献に記載の方法では、天然由来成分を培地として用いており、産地や季節によって含有成分にバラツキが生じやすく、培地成分としての安定性に欠ける。また、培養に用いるために、粉砕や抽出などの工程を必要とし、製造工程や製造コストにおいて、実用的とは言えない。
【0011】
一方、β-グルカン(β-1,3-D-グルカン、あるいはβ-1,6-D-グルカン、あるいはβ-1,3-1,6-D-グルカンなど)が、自然界に生息する担子菌の子実体、又は培養菌糸体に含まれていることがあきらかになりつつある。また、不完全菌であるオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物もβ-グルカンを菌体外に生産することが知られている(非特許文献2)。オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が産生するβ-グルカンを含有する培養液は、各種アレルギーの低減効果、免疫異常疾患の改善効果、がん抑制効果があることを記載している。(特許文献3)しかしながら、オーレオバシジウム属の培養液は、菌体外生産されたβ-1,3-1,6-D-グルカンを含むことから粘度が高く、その培養液から菌体を除去し、β-1,3-1,6-D-グルカンを回収、精製することは非常に困難であった。(非特許文献3)
【0012】
しかしながら、本願発明者らは、オーレオバシジウム属の培養液より、精製β-D−グルカンを製造する方法として、オーレオバシジウム属の培養液をアルカリ処理により低粘度化後微生物を除去し、中和処理を行い、エタノールを添加し得られたβ-1,3-1,6-D-グルカンを噴霧乾燥し、粉末化する製法(特許文献4)を報告している。また、上記記載の方法によって得られた精製β-グルカンには、便通改善作用、メタボリックシンドローム改善作用などの効果があることを報告している(特許文献5、6)。しかしながら、精製β-1,3-1,6-D-グルカンと他の素材の組合せによる免疫賦活効果に関する知見は得られていない。
【0013】
乳酸菌とその他の素材の組合せによる免疫活性に関する既存技術として、オーツ麦などのイネ科穀粒及びその加工物とラクトバチルス・カゼイなどの乳酸菌とを組合わせることによって、マクロファージが活性化され、IL-12とIFN-γの産生量が増大する(特許文献7)ことが知られている。IL-12及びIFN-γは、ともにTh1型サイトカインであり、細胞性免疫を活性化する。しかし、腸管免疫系の賦活に重要なIgA抗体産生向上効果(液性免疫活性)についてはなんら言及されておらず、効果も定かではない。
【0014】
また、乳酸菌体とβ-グルカンを含む培養物とを組合せることにより、それらを単独で用いた場合と比べて、病原菌による感染を抑制できること(特許文献8)が知られている。しかし、この発明においては、マクロファージ、NK細胞及びT細胞を中心とした細胞性免疫機構の活性効果を目的としたものであり、腸管免疫の賦活に対する効果(IgA抗体産生向上)は定かではない。
【0015】
また、乳酸菌体とオーレオバシジウム属の培養液とを組合せることにより、病原菌感染の抑制やIFN-γ産生促進(細胞性免疫向上)において、相乗的効果をもたらすことも知られている(特許文献9)が、やはり細胞性免疫の活性化を目的としたものであり、腸管免疫の賦活に対する効果(IgA抗体産生向上)は定かではない。また、いずれの先行技術も、アガリクス抽出エキス、またはオーレオバシジウム培養液などの未精製β-グルカン混合物を用いたものである。培養に用いる培地成分などのβ-グルカン以外の物質の機能については、未解明の部分も多く、場合によって、それらの成分がβ-グルカンや乳酸菌が持つ免疫賦活作用を阻害し、期待する効果が得られないことや健康を害する副作用をもたらす可能性が考えられる。また、経口投与を目的とした医薬品や飲食用素材として用いるためには、飲食に適した風味の確保も重要である。培養液の培地成分などβ-グルカン以外の成分が多ければ、香味に大きく影響し、異味・異臭の原因となるため問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008-201708号
【特許文献2】特開2007-302628号
【特許文献3】特開2004-269407号
【特許文献4】特開2006-137719号
【特許文献5】特願2008−204279号
【特許文献6】特願2008−322480号
【特許文献7】特開2006-69993号
【特許文献8】特開2003-40785号
【特許文献9】特開2005-220065号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】「粘膜免疫 腸は免疫の司令塔」p12-p15 中山書店)
【非特許文献2】Agric.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983)
【非特許文献3】Fragrance Journal, 5, 71-75(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上のように、人の健康維持のためには、腸管免疫を賦活すること(IgA抗体産生向上)が重要である。しかし、従来技術では、腸管免疫賦活効果を持つ乳酸菌株の研究は行われているものの、それらの高免疫賦活乳酸菌株と併用して用いることができ、その能力を安全かつ効果的に高めるための手段について、十分な検討が成されていなかった。また、乳酸菌と別の免疫賦活物質を混合することにより、相乗的な免疫賦活効果を求める試みはなされているものの、細胞性免疫機構の賦活化を目的としたものが主であり、腸管免疫賦活(IgA抗体産生向上)について評価したものはほとんどなかった。
【0019】
本発明は、パイエル板細胞に対する高いIgA抗体産生誘導能を有する乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)と併用して使用することで、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を単独で用いた場合と比べて、高い腸管免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)をもたらす免疫賦活効果促進剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは上記の事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液から、培地由来成分などの不純物を除去した精製β-1,3-1,6-D-グルカンが、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)が有するIgA抗体産生誘導能を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、オーレオバシジウム属微生物培養液の状態(未精製β-1,3-1,6-D-グルカン)では、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)が有するIgA抗体産生誘導能を抑制してしまい、乳酸菌単独で用いたときほど、腸管免疫賦活の効果が得られないことを発見した。本発明によって、精製β-1,3-1,6-D-グルカンは、Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、またはLactobacillus plantarum HSK201DのIgA抗体産生誘導能を、乳酸菌単独で用いた場合より有意(統計学的有意水準5%)に促進・増強する。
【0021】
本発明は、上記知見に基づき完成された物であり、以下に高い免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)をもたらす免疫賦活効果促進剤、ならびにそれを含有する免疫賦活に有用な健康食品又は機能性食品を提供する。
項1. Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物が有する、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させる、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下。
項2. パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物と
上記記載の乳酸菌が有するパイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させるオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を含有することを特徴とする腸管免疫賦活効果促進剤。
項3. 項2に記載の免疫賦活効果促進剤を含有する健康食品又は機能性食品。
【発明の効果】
【0022】
本発明の免疫賦活効果促進剤は、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)と併用して用いることで、乳酸菌体またはその処理物を単独で用いる場合と比べて、乳酸菌が有するパイエル板細胞が産生するIgA抗体の量を増大させ、腸管免疫系の活性化をもたらし、病原性微生物による感染症やそれらが産生する毒素による健康阻害の予防に有用である。また、精製したβ-1,3-1,6-D-グルカンを主成分とするため、培地由来成分に起因する拮抗作用や副作用の可能性を排除することができ、安全かつ風味良好で飲食に適した機能性飲食品素材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実験例1および比較例1、2におけるパイエル板細胞培養液上清中のIgA抗体濃度。平均値をバーの高さで示し、標準偏差をエラーバーの幅で示した。アスタリスク(*)は、乳酸菌単体での値よりも有意水準5%で差を生じたことを示す。
【図2】実験例2、3および比較例3〜8におけるパイエル板細胞培養液上清中のIgA抗体濃度。平均値をバーの高さで示し、標準偏差をエラーバーの幅で示した。アスタリスク(*)は、乳酸菌単体での値よりも有意水準5%で差を生じたことを示す。
【図3】実験例4、5および比較例9〜15におけるパイエル板細胞培養液上清中のIgA抗体濃度。平均値をバーの高さで示し、標準偏差をエラーバーの幅で示した。アスタリスク(*)は、乳酸菌単体での値よりも有意水準5%で差を生じたことを示す。
【図4】NMRスペクトルを示す。帰属: H−NMRの4.5ppm付近のピーク:1位の水素(β1→6結合)4.4729ppm H−NMRの4.7ppm付近のピーク:1位の水素(β1→3結合)4.7258ppm
【図5】超音波照射後のβ-1,3-1,6-D-グルカン粒度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、以下β-グルカン又はβ-D-グルカンとある記載は、β-1,3-1,6-D-グルカンを意味する。
【0025】
(I)腸管免疫賦活能を有する乳酸菌について
本発明で用いられる乳酸菌として、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、エンテロコッカス属、ペディオコッカス属、テトラジェノコッカス属、ストレプトコッカス属に属し、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有し、ネガティブコントロールにおけるIgA抗体産生量と比較して、IgA抗体産生量を1.5倍以上向上させる乳酸菌を用いることができる。中でも、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を強く誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、またはLactobacillus plantarum HSK201Dが好ましく、Lactobacillus plantarum IFO3070、またはLactobacillus reuteri JCM1081がより好ましい。上記乳酸菌は、単独で用いてもよく、複数の乳酸菌を組合せても用いてもよい。また、上記乳酸菌を培養により調整してもよく、市販されている乳酸菌を用いることも可能である。
【0026】
上記乳酸菌を培養によって調整する場合は、天然培地、合成培地、半合成培地などの培地で培養することによって得ることができる。培地としては、窒素源および炭素源を含有するものが用いられる。窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、アミノ酸などが挙げられる。炭素源としては、例えば、グルコース、キシロース、フラクトース、イノシトール、水あめ、麹汁、でんぷん、バカス、フスマ、糖蜜、グリセリンなどが上げられる。このほか、無機質として、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食塩、鉄、マンガン、モリブデン、更に各種ビタミン類その他を添加することができる。具体的には、GYP培地、GAM培地、MRS培地などを例示することができる。
【0027】
培養温度は20〜50℃、好ましくは27〜37℃であり、培養時間は、12〜120時間程度である。培地のpHは4〜9、好ましくは6〜7である。pHがこの範囲をはずれると増殖速度が低下する問題があるため、必要に応じて培養中にアルカリを用いて培養液のpHを調整してもよい。pH調整に用いるものは、通常の培養に用いるものであればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、炭酸カルシウムなどを例示できる。また、培養は、静置、振盪、攪拌のいずれでもよい。通気は、通常必要ないが培養手法に応じて適宜行えばよい。培養液はそのまま濃縮、または粉末化したものを乳酸菌体含有物として用いてもよく、培養液から遠心分離やろ過等により菌体を回収した後、蒸留水や生理食塩水などで菌体を洗浄してから用いてもよい。
【0028】
本願発明に用いる乳酸菌は、菌体をそのまま用いてもよいが、必要に応じて、粉末状、水溶液の状態、ペレット状態にすることも可能である。また、粉末状のものを一旦水溶液の状態にし、再度粉末化させたものを用いてもよい。すなわち、乳酸菌の菌体が存在する状態であればよく、乳酸菌の形状は問わない。
【0029】
また、乳酸菌における腸管免疫賦活効果は、乳酸菌体またはその処理物(即ち、細胞壁成分、細胞外多糖、DNA断片等の菌体に由来する成分)が腸管に存在する免疫細胞により異物として認識されることによって生じると考えられているため、乳酸菌自体の生死については影響を受けない。
【0030】
乳酸菌体を殺菌する場合、その殺菌方法は、加熱処理、抗生物質などの薬剤処理、電子線、紫外線、放射線等の物理的処理のいずれの殺菌方法を用いてもよいが、工業的には作業の容易さから、加熱処理が好ましい。
【0031】
乳酸菌体処理物とは、酵素処理やホモジナイズ、超音波処理等の方法で菌体を破壊した破砕物、または、それらの抽出液であるが、細胞壁成分や細胞外多糖成分、DNA成分等の菌体成分を分画したものであってもよい。
【0032】
乳酸菌体またはその処理物を、粉末状、水溶液の状態、ペレット状態などで用いる場合は、適当な担体を添加した後、定法により顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ゲル状、ペースト状、乳状、懸濁状、液状、飲料等の食用に適した形態に成形してもよい。
【0033】
固形状に調整する際には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、着色剤等常法で用いられているものを用いればよく、そのような担体の例としては、賦形剤としては乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット、デキストリン、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、プルラン、無水ケイ酸、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等を、結合剤としては結晶セルロース、白糖、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、水、エタノール等を、崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、結晶セルロース等を、滑沢剤としてはステアリン酸およびその金属塩、タルク、ホウ酸、脂肪酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、無水ケイ酸等を、矯味矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
【0034】
液体状に調整する際には、乳化剤、可溶化剤、分散剤、懸濁化剤、粘調剤、緩衝剤、安定化剤、矯味矯臭剤等常法で用いられているものを用いればよく、乳化剤および可溶化剤としてはレシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム等を、分散剤および懸濁化剤としては、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン等を、粘調剤としてはメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン等を、緩衝剤としてはクエン酸塩、コハク酸塩等を、安定化剤としてはレシチン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロースを、矯味矯臭剤としては上記したものを例示できる。
【0035】
また、味質の改善のために、糖類、糖アルコール類、塩類、油脂類、アミノ酸類、有機酸類、果汁、野菜汁、香料、香辛料、アルコール類、グリセリン等を添加することができる。またpH調整のために、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、酪酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等を添加することができる。
【0036】
(II)精製β-1,3-1,6-D-グルカン
本発明における精製β-1,3-1,6-D-グルカンは、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含むものである。このβ-1,3-1,6-D-グルカンは、好ましくは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有し、かつ水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下のものである。上記粘度の下限値は通常10cP(mPa・s)程度であり得る。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
【0037】
オーレオバシジウム属微生物が産生するβ-1,3-1,6-D-グルカン
オーレオバシジウム属の微生物が産生するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、菌体外に分泌されるため、キノコ類やパン酵母の細胞壁に含まれるβ-グルカンと比べて、回収が容易であり、また水溶性である点で好ましいものである。オーレオバシジウム属の微生物は、分子量が100万以上の高分子量のグルカンから分子量が数万程度の低分子のグルカンまでを培養条件に応じて産生することができる。
【0038】
中でも、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)が生産するものが好ましく、オーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A1株、又はGM-NH-1A2株(独立行政法人産業技術研究所特許生物寄託センターにそれぞれFERM
P-19285及びFERM P-19286として寄託済み)が産生するものがより好ましい。GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)K-1株の変異株である。オーレオバシジウム属K-1株は、分子量200万以上と100万程度の2種類のβ-1,3-1,6-D-グルカンを産生することが知られている。
【0039】
また、オーレオバシジウム属細菌が産生するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、通常、硫黄含有基を有するところ、K-1株の産生するβ−グルカンはスルホ酢酸基を有することが知られている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983)),科学と工業,64,131-135(1990))。GM-NH-1A1株、及びGM-NH-1A2株が生産するβ-1,3-1,6-D-グルカンもスルホ酢酸基を有すると考えられる。オーレオバシジウム属微生物の中には、リン酸基のようなリン含有基、リンゴ酸基などを含むβ-1,3-1,6-D-グルカンを産生する菌種、菌株も存在する。
【0040】
GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、後に実施例において示すようにメインピークが見かけ上50〜250万の高分子量のβ−グルカン(微粒子グルカン)とメインピークが見かけ上2〜30万の低分子量のβ−グルカンの両方を産生する菌株である。この微粒子状グルカンは、一次粒子径が0.05〜2μm程度である。
【0041】
β-1,3-1,6-D-グルカンの溶解度は、pH及び温度に依存する。このβ-1,3-1,6-D-グルカンは、pH3.5、温度25℃の条件で2mg/ml水溶液を調整しようとすると、その50重量%以上が一次粒子径0.05〜2μmの微粒子を形成し、残部は水に溶解する。本発明において粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した値である。
【0042】
β-1,3-1,6-D-グルカンが水溶液として製剤中に含まれている場合は、レシチンのような乳化剤や、環状デキストリンのような安定化剤を水溶液に添加することにより、微粒子をさらに安定化させることができる。
【0043】
また、β-1,3-1,6-D-グルカンがオーレオバシジウム・プルランス由来のものである場合は、β-1,3結合/β-1,6結合の結合比は、1〜1.5程度、特に1.1〜1.4程度である。
【0044】
本発明に、特に好適に用いられるβ-1,3-1,6-D-グルカン
本発明に、特に好適に用いられるβ-1,3-1,6-D-グルカンは、水溶液にしたときの粘度が、オーレオバシジウム属微生物が産生する天然型β-1,3-1,6-D-グルカンより低い。この低粘度β-1,3-1,6-D-グルカンは、0.5%(w/v)水溶液(pH5.0)の30℃における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下であり、より好ましくは100cP(mPa・s)以下であり、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下であり、よりさらに好ましくは10cP以下である。本発明において、粘度はBM型回転粘度計で測定した値である。
【0045】
この低粘度グルカンは、オーレオバシジウム属微生物が産生する天然型β-1,3-1,6-D-グルカンと同様の一次構造を有し得る。具体的には、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のHNMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有するものである。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
【0046】
このグルカンがオーレオバシディウム・プルランス(例えばGM-NH-1A1株)由来のものである場合、得られるβ-1,3-1,6-D-グルカンをエキソ型のβ−1,3−グルカナーゼ(キタラーゼ M、ケイアイ化成製)で加水分解処理すると、分解生成物としてグルコースとゲンチオビオースの遊離が確認できる。このこと及びNMRの積算比から、オーレオバシディウム・プルランス由来のβ-1,3-1,6-D-グルカンはβ−1,3結合の主鎖に対し、β−1,6結合でグルコ−スが1分子側鎖に分岐した構造で、1,3−結合主鎖に対する1,6−結合の側鎖分岐度は、50〜100%程度、特に50〜90%と推測される。
【0047】
本発明に、特に好適に用いられるβ-1,3-1,6-D-グルカンは、金属イオン濃度が、β-1,3-1,6-D-グルカンの固形分1g当たり0.4g以下であることが好ましく、0.2g以下であることがより好ましく、0.1g以下であることがさらにより好ましい。製剤中にβ-1,3-1,6-D-グルカンが水溶液状態で含まれる場合は、金属イオン濃度は、水溶液の100ml当たり120mg以下であることが好ましく、50mg以下であることがより好ましく、20mg以下であることがさらにより好ましい。
【0048】
ここでいう金属イオンには、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第3〜第5族金属イオン、遷移金属イオンなどが含まれるが、混入する可能性のある金属イオンとしては、代表的には、低粘度β-1,3-1,6-D-グルカンの製造において使用されるアルカリ由来のカリウムイオン、ナトリウムイオンなどが挙げられる。金属イオン濃度は、限外ろ過や透析により調整できる。金属イオン濃度が上記範囲であれば、水溶液状態で保存する場合や、水溶液状態で加熱滅菌する際に、β-1,3-1,6-D-グルカンのゲル化、凝集、沈殿が生じ難い。また、固形製剤においても、再溶解させる場合に凝集などが生じ難い。
【0049】
オーレオバシジウム属のβ-1,3-1,6-D-グルカンの生産方法
β-1,3-1,6-D-グルカンは、例えば、これを産生する微生物の培養上清に有機溶媒を添加することにより沈殿物として得ることができる。
【0050】
また、オーレオバシジウム属の微生物を培養して、β-1,3-1,6-D-グルカンを産生させる方法は種々報告されている。使用できる炭素源としては、シュークロース、グルコース、フラクトースなどの炭水化物、ペプトンや酵母エキスなどの有機栄養源等を挙げることができる。
【0051】
窒素源としては、硫酸アンモニウムや硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの無機窒素源等を挙げることができる。場合によってはβ−グルカンの産生量を上昇させるために適宜、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機塩、更には鉄、銅、マンガンなどの微量金属塩やビタミン類等を添加するのも有効な方法である。
【0052】
オーレオバシジウム属微生物を、炭素源としてシュークロースを含むツアペック培地にアスコルビン酸を添加した培地で培養した場合、高濃度のβ-1,3-1,6-D-グルカンを産生することが報告されている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983));科学と工業,64,131-135(1990);特開平7−51082号公報)。しかし、培地は、微生物が生育し、β-1,3-1,6-D-グルカンを生産するものなら特に限定されない。必要に応じて酵母エキスやペプトンなどの有機栄養源を添加してもよい。
【0053】
オーレオバシジウム属の微生物を上記培地で好気培養するための条件としては、10〜45℃程度、好ましくは20〜35℃程度の温度条件、3〜7程度、好ましくは3.5〜5程度のpH条件等が挙げられる。
【0054】
効果的に培養pHを制御するためにアルカリ、あるいは酸で培養液のpHを制御することも可能である。更に培養液の消泡のために適宜、消泡剤を添加してもよい。培養時間は通常1〜10日間程度、好ましくは1〜4日間程度であり、これによりβ−グルカンを産生することが可能である。なお、β−グルカンの産生を測定しながら培養時間を決めてもよい。
【0055】
上記条件下オーレオバシジウム属の微生物を4〜6日間程度通気攪拌培養すると、培養液にはβ-1,3-1,6-D-グルカンを主成分とするβ−グルカン多糖が0.1%から数%(w/v)含有されており、その培養液の粘度はBM型回転粘度計(東機産業社製)により30℃では数百cP([mPa・s])から数千cP([mPa・s])という非常に高い粘度を有する。この培養を遠心分離して得られる上清に例えば有機溶媒を添加することにより、β-1,3-1,6-D-グルカンを沈殿物として得ることができる。
【0056】
低粘度β-1,3-1,6-D-グルカンの製造方法
上記の高粘度のβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む培養液を、常温で攪拌しながら、これにアルカリを添加すると、急激に粘度が低下する。
【0057】
アルカリは、水溶性で、かつ医薬品や食品添加物として用いることができるものであればよく、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液;あるいはアンモニア水溶液などを使用できる。アルカリは、培養液のpHが12以上、好ましくは13以上になるように添加すればよい。例えば水酸化ナトリウムを使用して培養液のpHを上げる場合は、水酸化ナトリウムの最終濃度が好ましくは0.5%(w/v)以上、より好ましくは1.25%(w/v)以上になるように添加すればよい。培養液にアルカリを添加し、良く攪拌すると、瞬時に培養液の粘度が低下する。
【0058】
次いで、アルカリ処理後の培養液から菌体などの不溶性物質を分離する。培養液の粘度が低いため、菌体を自然沈降させて上澄みを回収する方法(デカント法)、遠心分離、ろ紙あるいはろ布を利用した全量ろ過、フィルタープレス、更に膜ろ過(MF膜などの限外ろ過)などの方法で、容易に不溶性物質とグルカンとを分離できる。ろ紙あるいはろ布による全量ろ過の場合は、セライトなどろ過助剤を利用するのも一つの手段である。工業的にはフィルタープレスによる菌体除去が好ましい。また、不溶性物質除去前のβ−D−グルカン液は必要に応じて水で希釈しても良い。濃度が高すぎると不溶性物質除去が困難であり、低すぎても効率的でない。β−D−グルカン濃度は、0.1mg/ml〜20mg/ml、好ましくは0.5mg/ml〜10mg/ml、さらに好ましくは1mg/ml〜5mg/mlが良い。
【0059】
次いで、グルカンを含む溶液に酸を添加して中和する。中和は、不溶物の除去前に行ってもよい。酸は、医薬や食品添加物として使用できるものであればよく、特に限定されない。例えば、塩酸、燐酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸などを使用できる。酸の使用量は、溶液又は培養液の液性が中性(pH5〜8程度)になるような量とすればよい。即ち、中和はpH7に合わせることを必ずしも要さない。
【0060】
pH12以上のアルカリ処理後、中和して得られるβ-1,3-1,6-D-グルカンは、30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が通常200cP以下、場合によっては50cP以下である。粘度は製造方法ないしは精製方法によって変動する。
【0061】
アルカリ処理された低粘度のβ-1,3-1,6-D-グルカンは、中和しても粘度が高くなることがない。さらに、常温(15〜35℃)では、液性をpHが4を下回るような酸性にしても、粘度が高くなることがない。
【0062】
また、培養上清をアルカリ処理、及び中和した後に、菌体などを除去するのに代えて、培養上清から菌体などを除去した後に、アルカリ処理、及び中和を行うこともできる。
【0063】
得られるグルカン水溶液からグルカンより低分子量の可溶性夾雑物(例えば塩類など)を除去する場合は、例えば限外ろ過を行えばよい。
【0064】
また、アルカリ処理、除菌した後、中和せずに、アルカリ性条件下で限外ろ過することもでき、これにより透明性、熱安定性、長期保存性に一層優れる精製β−1,3−1,6−D−グルカンが得られる。アルカリ性条件は、pH10以上、好ましくは12以上であり、pHの上限は通常13.5程度である。
【0065】
このようにして得られる水溶液に含まれるβ-1,3-1,6-D-グルカンは、乾燥させて固形製剤にする場合も、また水溶液のまま製剤として使用する場合も、一旦、水溶液から析出させることができる。β-1,3-1,6-D-グルカンの析出方法は、特に限定されないが、例えば、限外ろ過などにより濃縮してグルカン濃度を1w/w%以上にした水溶液に、エタノールのようなアルコールを、水溶液に対して容積比で等倍以上、好ましくは2倍以上添加することにより、β-1,3-1,6-D-グルカンを析出させることができる。この場合にpHをクエン酸などの有機酸によりpHを酸性、好ましくはpH4未満、さらに好ましくはpH3−3.7に調整して、エタノールを添加すると高純度のβ-1,3-1,6-グルカンの粉末を得ることができる。
【0066】
β-1,3-1,6-D-グルカンを低粘度化することにより、限外ろ過などによる濃縮を容易に行えることから、アルコール沈殿に使用するアルコール量を少なくすることができる。
【0067】
固形製剤にする場合は、低粘度β-1,3-1,6-D-グルカン水溶液を直接乾燥させてもよく、析出させたβ-1,3-1,6-D-グルカンを乾燥させてもよい。乾燥は、噴霧乾燥法、凍結乾燥法等公知の方法で行うことができる。
【0068】
(III)本発明における腸管免疫賦活促進剤
本発明の腸管免疫賦活促進剤は、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物(菌体由来成分)と上記記載のオーレオバシジウム属(Aureobasidium)の培養液より、精製したβ-グルカンを含有することを特徴とする。乳酸菌体またはその処理物と精製β-グルカンを併用して使用することで、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を単独で用いるよりも、高い免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)が得られる。
ここで、「高い免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)」とは、精製β-グルカンと乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を併用して用いることによって、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を単独で用いた時よりも、統計的に有意水準5%でIgA抗体産生が向上する状態をいう。
【0069】
本発明の免疫賦活効果促進剤は、必要に応じて薬学的に許容される担体とともに適当な製剤とすることが出来る。このような担体として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、付湿剤等が挙げられる、また、酸化防止剤のような慣用の添加剤なども含まれていてもよい。
【0070】
製剤の形態は特に限定されず、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等とどのような形態であっても良い。乳酸菌体またはその処理物と精製β-グルカンを使用すると、高濃度の水溶液を調整できることから、シロップ剤にする場合にも、一日に無理なく摂取できる量に、有効量の乳酸菌体またはその処理物と精製β-グルカンを含ませることができる。
【0071】
賦形剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種糖類;馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、とうもろこしデンプン等の各種デンプン類;結晶セルロース等の各種セルロース類;無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩酸等が挙げられる。
【0072】
結合剤としては、公知のものを使用でき、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクゴール等が挙げられる。
【0073】
崩壊剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0074】
潤沢剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等が挙げられる。
【0075】
付湿剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
【0076】
製剤中に含まれるβ-グルカンの含有量は、投与対象又は患者の年齢、体重、投与方法等によって変化し得るが、例えば、体重70kgの成人男性の場合、一日の摂取量が1〜1000mg程度、好ましくは10〜500mg程度、より好ましくは10〜200mg程度、さらに好ましくは、25〜100mg程度になるような量が含まれていればよい。
また、製剤中に含まれる乳酸菌体またはその処理物の含有量は、IgA抗体産生を向上しうる量であればいかなる量であってもよく、使用形態、投与対象又は患者の年齢、体重、投与方法等によって変化し得るが、例えば、体重70kgの成人男性の場合、一日の摂取量が、乳酸菌乾燥重量当り、0.5mg〜3g程度となるように含有させることが好ましく。より好ましくは65〜260mg程度になるような量が含まれていればよい。
【0077】
また、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤のような固形製剤の場合は、精製β-グルカンを0.1〜99.9重量%、乳酸菌を乾燥重量当り、0.1〜99.9重量%含んでいればよい。
【0078】
また、シロップ剤のような液体又は流動性の製剤の場合は、精製β-グルカンが0.01〜2重量%程度、乳酸菌を乾燥重量当り、0.26〜5.2重量%含まれていることが好ましい。また液体又は流動性の製剤中のβ-グルカンは一部が溶解していない場合もある。
【0079】
上記範囲であれば、摂取しやすい製剤量中に、腸管免疫賦活促進効果が十分に得られるとともに、副作用や毒性が現れない量が含まれていることになる。
【0080】
また、本発明の腸管免疫賦活促進剤には、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を損なわない範囲で、通常含まれる成分や添加剤が含まれていてもよい。
【0081】
本発明の腸管免疫賦活促進剤は、乳酸菌またはその処理物と、精製β-グルカンの配合比は、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有する乳酸菌体またはその処理物を1とした場合、精製β-グルカンが1/3〜1/2倍量程度であることが好ましい。
【0082】
(IV)飲食品組成物
本発明の飲食品組成物は、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物(菌体由来成分)と、上記記載したオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した、精製β-1,3-1,6-D-グルカンを含有することを特徴とする。
この飲食品組成物は、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有するため、健康食品、機能性食品、又は栄養機能食品又は特定保健用食品のような保健機能食品として好適に使用できる。ここで、本発明における健康食品は、一般に「健康によい」として売られている食品全般、又は消費者が健康に良いと積極的な効果を期待して摂取する医薬品以外の食品を含み、健康補助食品を含む。また、本発明における機能性食品は、生体調節機能を充分に効率よく発現するように設計した食品を含む。
【0083】
本発明の飲食品組成物に含まれる飲食品の種類は特に限定されない。乳酸菌体またはその処理物と精製β-グルカンを添加できるものであれば、栄養ドリンク、ジュース、茶、スープのような各種飲料品はもちろんのこと、クッキー、飴、ガム、ゼリー、寒天、プリン、グミ、チョコレート、澱粉加工食品などいかなる飲食品でも用いることができる。パン、うどんのような麺類、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、ドレッシングやマヨネーズなどの加工食品、嚥下用補助食品等も好適である。各飲食品の特性や目的に応じ、製造工程の適切な段階で配合すればよい。
【0084】
本発明の飲食品組成物中には、1日摂取量が好ましくは1〜1000mg程度、好ましくは10〜500mg程度、さらに好ましくは10〜200mg程度、よりさらに好ましくは25〜100mg程度になるようにβ−1,3−1,6−グルカンが含まれていればよい。また、乾燥重量0.5mg〜3g程度の乳酸菌体またはその処理物が含まれていればよい。
【0085】
乳酸菌体またはその処理物、および精製β-グルカンは、人体に対して無毒性であるから、その添加割合に特に制限はないが、各飲食品の特性、呈味性あるいは経済性等を考慮して、固形、半固形又はゲル状食品の場合、その添加量は、組成物全体量に対して、精製β-グルカンは、通常0.01%〜2重量%程度であればよい。また、乳酸菌は乾燥重量当り、0.26〜5.2重量%程度であればよい。ヨーグルトのような半固形状の食品も、食する上で流動性が求められない点で固形状食品に含まれる。上記の範囲であれば、無理なく摂取できる食品量中に、腸管免疫賦活促進に有効な1日摂取量が含まれることになる。
【0086】
また同様の理由で、液体、流動状、又は半流動状の飲料組成物に乳酸菌体またはその処理物、およびβ-グルカンを含ませる場合も、組成物全体量に対して、精製β-グルカンは、通常0.01%〜2重量%程度であればよい。また、乳酸菌は乾燥重量当り、0.26〜5.2重量%程度であればよい。上記の範囲であれば、無理なく摂取できる食品量中に腸管免疫賦活促進に有効な1日摂取量が含まれることになる。
【0087】
本発明の飲食品組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、食品分野で慣用の補助成分が含まれていて良い。このような補助成分として、例えばフラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトースのようなオリゴ糖;α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンのようなシクロデキストリンや直鎖デキストリンおよび難消化デキストリン;クエン酸、リンゴ酸、ヒアルロン酸のような有機酸;トリプトファン、メチオニン、テアニン、GABA(γ‐アミノ酪酸)などのアミノ酸、β‐カロテン、ルテイン、アスタキサンチン、フコキサンチンなどのβ‐カロチノイド類、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEのようなビタミン類;亜鉛、鉄、マグネシウム、セレン、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ヨウ素のようなミネラル;ウコン、高麗ニンジン、ショウガ、紅花、イチョウ葉またはイチョウ葉エキスのような生薬;ラクトフェリン;ローヤルゼリー;プロポリス;カテキン;ウコン;トレハロース;高麗ニンジン;ショウガ;紅花;イチョウ葉またはイチョウ葉エキス;アロエ;サイリウム;シャンピニオン;黒酢;各種香料などが挙げられる。
【0088】
実施例
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明の技術的範囲はこれによって何ら限定されることはない。
【0089】
製造例 精製β-1,3-1,6-D-グルカンの製造方法
(1)低粘度β-1,3-1,6-D-グルカンの調整
(1-1)β−グルカンの培養産生
後掲の表1に示す組成を有する液体培地100mlを500ml容量の肩付きフラスコに入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌を行った後、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)GM-NH-1A1株(FERM P-19285)を同培地組成のスラントより無菌的に1白金耳植菌し、130rpmの速度で攪拌しつつ、30℃で24時間培養することにより種培養液を調整した。
【0090】
次いで、同じ組成の培地200Lを300L容量の培養装置(丸菱バイオエンジ製)に入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌し、上記のようにして得られた種培養液2Lを無菌的に植菌し、200rpm、27℃、40L/minの通気攪拌培養を行った。なお、培地のpHは水酸化ナトリウム及び塩酸を用いてpH4.2〜4.5の範囲内に制御した。96時間後の菌体濁度はOD660nmで23OD、多糖濃度は0.5%(w/v)で、硫黄含量から計算される置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
<多糖濃度測定>
多糖濃度は、培養液を数mlサンプリングし、菌体を遠心分離除去した後、その上清に最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを加えて多糖を沈殿させて回収した後、イオン交換水に溶解し、フェノール硫酸法で定量した。
<置換スルホ含量測定>
同様にして菌体を除去した培養上清にエタノールを最終濃度が66%となるように添加し、β−グルカンを沈殿回収した。その後、再度イオン交換水に溶解し、再度遠心分離後、その上清に最終濃度が0.9%になるように食塩を加えた後、再度66%エタノールでβ−グルカンを回収した。このβ−グルカン回収精製操作を更に2回繰り返し、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。
【0091】
このβ−グルカン粉末を燃焼管式燃焼吸収後、イオンクロマト法で組成分析した結果、S含量は239mg/kgであり、この値から計算される置換スルホ酢酸含量は0・09%であった。
【0092】
【表1】

【0093】
(1−2)アルカリ処理
上記のようにして得られた培養液の粘度をBM型回転粘度計(東京計器製)を用いて、30℃、12rpmで測定したところ、1500cP((mPa・s))であった。測定に用いるロータは粘度にあわせて適当なものを選択した。
【0094】
この培養液に水酸化ナトリウム最終濃度が2.4%(w/v)となるように25%(w/w)水酸化ナトリウムを添加し攪拌したところ(pH13.6)、瞬時に粘度が低下した。引き続いて50%(w/v)クエン酸水溶液でpH5.0となるように中和してから、濃度0.5(w/v%)における粘度を測定したところ、そのときの粘度(30℃)は20cP([mPa・s])であった。
【0095】
次いで、この培養液にろ過助剤としてKCフロック(日本製紙社製)を1wt%添加し、薮田式ろ過圧搾機(薮田機械製)を用いて菌体を除去し、最終的に培養ろ液(約230L)を得た。その多糖濃度は0.5%(w/v)で、ほぼ100%の回収率であった。
【0096】
(1−3)β−グルカン水溶液の脱塩
上記のβ−グルカン水溶液(培養ろ液)を0.3%に希釈後、限外ろ過(UF)膜(分子量カット5万、日東電工社製)を用いて脱塩を行い、最終的にナトリウムイオン濃度を20mg/100mlに落とした後、50%(w/v)クエン酸水溶液によりpHを3.5に調整した。
【0097】
引き続いて、ホット充填用加熱ユニット(日阪製作所製)を用いて95℃で、3分間保持することにより殺菌処理を行い、最終製品のβ−グルカン水溶液を得た。この時のβ−グルカンの濃度をフェノール硫酸法により測定したところ0.22%(w/v)であった。また、培養液からのトータル収率は約73%であった。
<硫黄含有量の測定>
また、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。本β−グルカンの組成分析結果からS含量は330mg/kgであり、これから計算される置換スルホ酢酸含量は0.12%であった。
<結合状態の確認>
また、脱塩を行った上記培養ろ液について、コンゴーレッド法によって、480nmから525nm付近への波長シフトを確認することができたのでβ−1,3結合を含むグルカンを含有していることが証明された(K. Ogawa, Carbohydrate Research, 67, 527-535 (1978)、今中忠行 監修, 微生物利用の大展開, 1012-1015, エヌ・ティー・エス(2002))。そのときの極大値へのシフト差分はΔ0.48/500μg多糖であった。
【0098】
上記培養ろ液15mlを取り出し、30mlのエタノールを添加し、4℃、1000rpm、10minで遠心して、沈殿する多糖を回収した。66%エタノールで洗浄し、4℃、1000rpm、10分間遠心して、沈殿する多糖に2mlのイオン交換水と、1mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を添加撹拌後、60℃、1時間保温して沈殿を溶解させた。次に-80℃にて凍結後、一晩、真空凍結乾燥を行い、乾燥後の粉末を1mlの1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、2次元NMRに供した。
【0099】
2次元NMR(13C−H COSY NMR)106ppmと相関関係を有するH NMRスペクトルを図4に示す。このスペクトルにおいて4.7ppmと4.5ppm付近との2つのシグナルが得られた。
【0100】
この結果、本β−グルカンがβ-1,3-1,6-D-グルカンであることが証明された(今中忠行 監修、微生物利用の大展開、1012-1015、エヌ・ティー・エス(2002))。それぞれのH NMRシグナルの積分比から、β−1,3結合/β−1,6結合の比は1.15であることが判明した。
<粒度測定>
次に、レ−ザ回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製LA−920)を用いて培養液の粒度を測定したところ、粒子としては0.3μmと100μm程度の大きさのところにピ−クが見られた。続いて、超音波を照射しながら、粒度測定を行うと、100μmのピ−クはみるみるうちに消失し、0.3μmのピ−クが増え、最終的に0.3μmのみとなった。超音波照射したときの培養液の粒度分布を図5に示す。
【0101】
0.3μmのピークはβ-1,3-1,6-D-グルカンの一次粒子によるピークであり、100〜200μmのピークはβ-1,3-1,6-D-グルカンの一次粒子が凝集した二次粒子によるピークであると考えられる。
【0102】
また、二次粒子はマグネチックスタ−ラ−による攪拌、軽い振とうでも同じように消失し、容易に砕けて一次粒子になることが確認された。よって、二次粒子は非常に緩い凝集(緩凝集状態)と考えられる。
<分子量測定>
また、東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))を用いて、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンとβ−1,3−1,6−Dグルカンの1次粒子とを含む溶液の分子量を測定したところ、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンに由来する2〜30万のピークの低分子画分と、1次粒子に由来する見かけ上50〜250万の高分子画分との二種類が検出された。分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
【0103】
水溶性β-1,3-1,6-D-グルカンと微粒子とを分離するため、上記の微粒子画分と可溶性画分とを含むβ-1,3-1,6-D-グルカン溶液をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。このことから、高分子画分はβ-1,3-1,6-D-グルカンの一次粒子や一次粒子が凝集した二次粒子に相当することが判明した。よって、水溶性β-1,3-1,6-D-グルカンの分子量は2〜30万と考えられる。
【0104】
(2)粉末化β-グルカンの調整
(1−2)において、アルカリ処理および菌体除去処理により調整された微粒子β-1,3-1,6-D-グルカンを含むβ-1,3-1,6-D-グルカン水溶液に、最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを添加して、多糖グルカンを沈殿させ、遠心分離法により回収した。次いで凍結乾燥法によりエタノールと水分を除去し、乾燥β-1,3-1,6-D-グルカンを得た。そのときの収率はエタノール沈殿前の全糖濃度と比較して95%以上であった。
【0105】
次いで、得られた乾燥β-1,3-1,6-D-グルカンを最終濃度が0.3%(w/v)となるように水に溶解分散後、前述したと同様にして東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ 75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))により0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルクロマトグラフィーを行い、分子量を測定したところ、得られた多糖の分子量は2〜30万のピークの低分子画分と見かけ上50〜250万の高分子画分の二種類からなることが判明した。ここで、分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
【0106】
一方、水溶性β-1,3-1,6-D-グルカンと微粒子を分離するため、本法で調整したβ-1,3-1,6-D-グルカン水溶液(微粒子と可溶化グルカンを含むもの)をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。よって、本法により得られたβ-1,3-1,6-D-グルカンを乾燥させても、再溶解させれば乾燥前のβ-1,3-1,6-D-グルカンと同様の物理的挙動を再現することが実証された。
【0107】
(3)高純度β-1,3-1,6-D-グルカン粉末の製造
(1)においてアルカリ処理を行い低粘度化した培養液(多糖濃度0.5%(5mg/ml))90Lを50%クエン酸水溶液9kgで中和後、濾過助剤(日本製紙ケミカル製粉末セルロ−スKCフロック)を1.8kgプレコートした薮田式濾過圧搾機40D-4を通して、菌体を取り除いた。ろ液を限外濾過スパイラルエレメント(日東電工製NTU3150−S4)で9Lまで濃縮した。本濃縮液を攪拌しながら、pHを3.0-3.5にクエン酸により調整して、エタノール18Lを加え、グルカン/エタノール/水スラリーを得た。スラリーの粘度はBM型粘度計で22mPa・s(30℃)であった。室温で3時間静置し、上澄み液(エタノール/水)約17Lを取り除いた。残ったスラリーの粘度は45mPa・s(30℃)であった。本濃縮スラリー10Lを坂本技研型の噴霧乾燥装置R-3を用いて噴霧乾燥し、360gのβ-1,3-1,6-D-グルカン粉末を得た(回収率80%)。得られたβ-1,3-1,6-D-グルカンの純度はNMRスペクトルの解析の結果、90%以上であった。
なお、得られたβ-1,3-1,6-D-グルカン粉末を1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、NMRスペクトルを測定したところ、1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを得た。また、得られたβ-1,3-1,6-D-グルカン粉末の濃度0.5(w/v%)の水溶液の粘度は200cP以下であった(pH5.0、30℃)。上記記載の方法によって得られた精製β-グルカンを下記の実施例に用いた。
【0108】
実施例1および比較例1、2
本発明に係る、精製β-グルカンが及ぼす腸管パイエル板細胞からのIgA抗体産生促進について説明する。
【0109】
(1)乳酸菌体の調整方法
1)乳酸菌Lactobacillus plantarum IFO3070の凍結保存液を10μl、MRS培地(OXOID)100mlに添加して37℃で24時間静置培養した。MRS培地の組成を下記表2に示す。
2)培養液を遠心分離して菌体のみを回収した。
3)0.9%の滅菌生理食塩水に菌体を懸濁した後、再び遠心分離して菌体を回収した。0.9%滅菌生理食塩水への菌体の懸濁と遠心分離処理は合計3回繰り返した。
4)滅菌水で菌体濃度が1×1010 cells/ml(乳酸菌乾燥粉末換算で約10mg)になるように調整した後、90℃で30分間加熱処理して乳酸菌を死滅させた。なお、乳酸菌体の細胞数はバクテリア計算盤を用いて計測した。
5)この乳酸菌液に4倍量のRPMI培地を添加した(乳酸菌濃度2×10cells/ml;乳酸菌乾燥粉末換算で約2mg)ものを乳酸菌調整液として下記の試験に供した。RPMI培地の組成を下記表3に示す。調整した乳酸菌調整液は、実施例1および比較例1、2に用いた。
【0110】
【表2】

【0111】
【表3】

【0112】
(2)精製β-グルカンの調整方法
1)上記製造例に記載した方法により得られた精製β-グルカン粉末を多糖濃度で4000μg/mlになるように滅菌水に溶解した後、90℃で30分間加熱処理した。
2)加熱処理したβ-グルカン水溶液に4倍量のRPMI培地を添加した(β-グルカン濃度800μg/ml)ものを精製β-グルカン調整液として、実施例1に用いた。
【0113】
(3)未精製β-グルカン調整方法
1)上記製造例に記載した手法により、Aureobasidium pullulans GM-NH-1A1株の培養液を作成した。その後、培養液中の多糖濃度をフェノール硫酸法により多糖濃度を測定し、4000μg/mlになるように滅菌水で調整した。
2)90℃で30分間加熱処理した。
3)4倍量のRPMI培地を添加して5倍希釈した。(β-グルカン濃度(多糖換算)800μg/ml)。これを未精製β-グルカン調整液として、比較例2に用いた。
【0114】
(4)パイエル板細胞の培養方法
1)BALB/c 雄マウス(5週齢)を購入後、通常の餌と水を与え1週間飼育した。
2)飼育終了後、当該試験マウスを解剖し、小腸に存在するパイエル板細胞を単離し、1×10cells/mlになるようにRPMI培地を用いて調整した。
3)調整したパイエル板細胞液を96wellマイクロプレートに100μlずつ分注した。
4)パイエル板細胞液を加えたマイクロプレートのwellに、ネガティブコントロール(コントロール1)として滅菌水をRPMI培地で5倍希釈したもの(以下、滅菌水調整液と記載)を用い、ポジティブコントロール(コントロール2)として2mg/mlになるように滅菌水で調整したLPS(Lipopolysaccharides from Escherichia coli 0111:B4(SIGMA ALDRICH)をRPMI培地で5倍希釈したもの(以下、LPS調整液と記載)を用いた。実施例1は、上述した乳酸菌調整液と精製β-グルカン調整液を50μlずつ添加した。比較例1は、乳酸菌調整液50μlと滅菌水調整液50μlを添加した。比較例2は、乳酸菌調整液と未精製β-グルカン調整液を50μlずつ添加した。なお、乳酸菌体5×10cell/mlは、乳酸菌乾燥粉末換算で約0.5mgに相当する。
5)各被検物質およぼその濃度については表4に示す。また、各被検物質につき3wellずつ試験を行った。
6)マイクロプレートにパイエル板細胞と披検物質の混合液を37℃、5%CO濃度下で4日間培養した。
【0115】
【表4】

【0116】
(5)IgA抗体量測定方法
1)パイエル板細胞培養液を遠心分離して、上清を回収した。
2)パイエル板細胞培養液上清のIgA抗体量をELISA法により測定した。なお、1細胞液につき2回ずつ測定した。
【0117】
図1に実施例1および比較例1、2のパイエル板細胞培養液上清中に含まれるIgA抗体濃度測定値をグラフ化したものを示す。図1に示されるように、精製β-グルカンを乳酸菌体と混合した場合には乳酸菌単体で用いた場合より、パイエル板細胞培養液上清中のIgA抗体濃度が高かった。実施例1と比較例1について平均値の差の検定を行なった際の生起確率は0.02668であり、有意水準5%で差が生じた。このことは、精製β-グルカンを乳酸菌体と混合することで、乳酸菌単体よりも有意に高くIgA抗体産生を誘導することを示している。一方、比較例1と比較例2について平均値の差の検定を行なった際の生起確率は0.00660であり、有意水準5%で差が生じている。このことは、未精製β-グルカンを乳酸菌体と混合した場合、乳酸菌単体よりもIgA産生量が有意に低下することを示している。未精製β-グルカンを混合することで、乳酸菌単体で用いた場合よりもパイエル板からのIgA産生が抑制された理由については不明であるが、未精製β-グルカン中には培養液に由来するβグルカン以外の様々な成分が多く含まれていることから、それらがパイエル板細胞のIgA産生を阻害した可能性が考えられる。従って、精製処理を行なうことにより未精製β-グルカン中に存在していたIgA産生阻害物質が除去され、精製β-1,3-1,6-D-グルカンによって、乳酸菌が有しているパイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を効率よく促進したと推測できる。
【0118】
実施例2、3および比較例3〜8
腸管パイエル板細胞からのIgA抗体産生促進能を有している乳酸菌における精製β-グルカンの効果について説明する。
【0119】
(1)乳酸菌体の調整方法
Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、またはLactobacillus plantarum kefirを用い、実施例1に記載の方法と同様の方法で乳酸菌調整液を調整した。なお、Lactobacillus reuteri JCM1081の乳酸菌体調整液は、実施例2および比較例3、Lactobacillus plantarum IFO3070の乳酸菌体調整液は、実施例3および比較例4、Lactobacillus plantarum kefirの乳酸菌体調整液は、比較例5および6に用いた。
【0120】
(2)精製β-グルカンの濃度調整
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により、精製β-グルカン調整液を調整し、実施例2、3、および比較例6、7、8に用いた。
【0121】
(3)パイエル板細胞の培養方法
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行った。実施例2、3および比較例3〜8における披検物質および被検物質濃度について表5に示す。
【0122】
【表5】

【0123】
(4)IgA抗体の測定
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行った。
【0124】
図2に実施例2、3および比較例3〜8のパイエル板細胞培養液上清中に含まれるIgA抗体濃度測定値をグラフ化したものを示す。抗体産生を促進する物質として公知であるLPS(グラム陰性菌由来リポ多糖)では、精製β-グルカンとの混合有無によるIgA抗体産生量への影響は認められなかったが、Lactobacillus reuteri JCM1081とLactobacillus plantarum IFO3070においては、精製β-グルカン添加により、乳酸菌単体の場合よりもIgA抗体の産生量が増加した。実施例2と比較例3について平均値の差の検定を行なった際の生起確率は0.0143であり、有意水準5%で差が生じた。また、実施例3と比較例4について平均値の差の検定を行なった際の生起確率は0.0002であり、有意水準5%で差が生じた。このことから、乳酸菌Lactobacillus reuteri JCM1081及びLactobacillus plantarum IFO3070に精製β-グルカンを添加することで、乳酸菌単体で得られるIgA抗体産生誘導効果よりも有意に高いIgA抗体産生誘導が生じていることが分かる。乳酸菌Lactobacillus reuteri JCM1081では精製β-グルカン添加によってIgA抗体産生量は19%上昇した。また乳酸菌Lactobacillus plantarum IFO3070では精製β-グルカン添加によってIgA抗体産生量は29%上昇し、特にLactobacillus plantarum IFO3070と精製β-グルカンを混合した場合にIgA抗体産生が効果的に促進された。一方、比較例5に示すように、Lactobacillus plantarum kefirはパイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有しているものの、比較例6に示すように精製β-グルカンを添加してもほとんど促進効果が得られなかった。この結果より、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有する乳酸菌すべてにおいて、精製β-グルカンによる相乗効果が得られるものではない。
【0125】
実施例4、5および比較例9〜15
様々な機能性があり健康に対する効果が期待できるとされている、市販の機能性乳酸菌株における精製β-グルカンの効果について説明する。
【0126】
(1)Lactobacillus plantarum IFO3070の菌体調整方法
1)乳酸菌Lactobacillus plantarum IFO3070の凍結保存液を10μl、MRS培地(OXOID)100mlに添加して37℃で24時間静置培養した。
2)培養液を遠心分離して菌体のみを回収した。
3)0.9%の滅菌生理食塩水に菌体を懸濁した後、再び遠心分離して菌体を回収した。0.9%滅菌生理食塩水への菌体の懸濁と遠心分離処理は合計3回繰り返した。
4)菌体ペレットを凍結乾燥処理して粉末化した。
5)滅菌水で菌体濃度が10.4mg/mlになるように調整した。
6)90℃で30分間加熱処理した。
7)この乳酸菌液に4倍量のRPMI培地を添加した(乳酸菌濃度2.08mg/ml)ものを乳酸菌調整液として下記の試験に供した。調整した乳酸菌調整液は、実施例4および比較例9に用いた。
【0127】
(2)Lactobacillus plantarum HSK201D(日本ハム株式会社)、Enterococcus faecalis EC-12(コンビ株式会社)、Lactobacillus casei K−1(亀田製菓株式会社)の菌体末からの乳酸菌調整液の調整方法
1) 乳酸菌末1gを滅菌した0.9%生理食塩水50mlに懸濁し、遠心分離して菌体を回収した。
2)回収した菌体に滅菌した0.9%生理食塩水50mlを加えて再懸濁し、遠心分離して菌体を回収した。0.9%滅菌生理食塩水への菌体の懸濁と遠心分離処理は合計3回繰り返した。
3)菌体ペレットを凍結乾燥処理して粉末化した。
4)滅菌水で菌体濃度が10.4mg/mlになるように調整した。
5)90℃で30分間加熱処理した。
6)この乳酸菌液に4倍量のRPMI培地を添加した(乳酸菌濃度2.08mg/ml)ものを乳酸菌調整液として下記の試験に供した。Lactobacillus plantarum HSK201Dの乳酸菌調整液は実施例5および比較例10に用いた。Enterococcus faecalis EC-12の乳酸菌調整液は比較例11及び比較例12に用いた。Lactobacillus casei K-1の乳酸菌調整液は比較例13及び比較例14に用いた。
【0128】
(3)精製β‐グルカンの濃度調整
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により、精製β-グルカン調整液を調整し、実施例4、実施例5、比較例11、比較例13および比較例15に用いた。
【0129】
(4)パイエル板細胞の培養方法
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行なった。実施例4、5および比較例9〜15における披検物質および披検物質濃度について表6に示す。
【0130】
【表6】

【0131】
(5)IgA抗体の測定
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行なった。
【0132】
図3に実施例4、5および比較例9〜15のパイエル板細胞培養液上清中に含まれるIgA抗体濃度測定値をグラフ化したものを示す。Lactobacillus plantarum IFO3070とLactobacillus plantarum HSK201Dにおいては、精製β-グルカンの添加により、乳酸菌単体の場合よりもIgA抗体の産生量が増加した。実施例4と比較例9、また実施例5と比較例10について平均値の差の検定を行なった結果、有意水準5%で差が生じた。このことから、Lactobacillus plantarum IFO3070およびLactobacillus plantarum HSK201Dに精製β-グルカンを添加することで、乳酸菌単体で得られるIgA抗体産生誘導効果よりも有意に高いIgA抗体産生誘導が生じていることが分かる。一方、比較例11と比較例12、また比較例13と比較例14について平均値の差の検定を行なった結果、有意水準5%で差があるとはいえず、Enterococcus aecalis EC-12とLactobacillus casei K-1に精製βグルカンを添加してもIgA抗体産生誘導における相乗効果は認められなかった。
【0133】
飲食品組成物の処方例
処方例1(クッキー)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 1重量%
殺菌乳酸菌末 0.2重量%
カテキン 1重量%
クッキー生地 残量

処方例2(サプリメント)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 10重量%
コラーゲンペプチド 42重量%
ヒアルロン酸 0.06重量%
殺菌乳酸菌末 1重量%
ビタミンC 10重量%
ビタミンB2 0.03重量%
ビタミンB6 0.03重量%
賦形剤(デンプンなど)
残量

処方例3(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
ミルクオリゴ糖 0.8重量%
ラクトフェリン 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部

処方例4(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
テアニン 0.8重量%
GABA 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部
【産業上の利用可能性】
【0134】
腸管免疫賦活効果が高い免疫賦活剤を提供する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物が有する、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させる、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下。
【請求項2】
パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物と
上記記載の乳酸菌が有するパイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させるオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を含有することを特徴とする腸管免疫賦活効果促進剤。
【請求項3】
請求項2に記載の免疫賦活効果促進剤を含有する健康食品又は機能性食品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−285421(P2010−285421A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108027(P2010−108027)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】