説明

腸管障害を制御するための組成物およびその使用方法

本発明は、セレン化合物、フラボノイドおよび/またはフラボノール、およびリン脂質と組み合わさった、1つ以上のプレバイオティクス(例えば1つ以上の食物繊維)を含む組成物に関する。本発明はまた、本発明の組成物を投与することで、特に腸管障害および関連障害などの障害を制御する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために参照によってその内容全体を本明細書に援用する2005年11月7日に出願された米国仮特許出願第60/733,784号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、セレン、プロアントシアニジン、およびリン脂質と組み合わせて、例えば1つ以上の食物繊維などの1つ以上のプレバイオティクスを含む組成物に関する。本発明はまた、本発明の組成物を投与することで、特に腸管障害および関連障害などの障害を制御する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒトの健康における主な問題の多くは、どの食事構成要素が動物およびヒトの健康に本当に必須であるのか、そしてどの構成要素が様々な会社によって製品を販売するために単に誇大広告されているのかを中心に展開する。関連する問題は、特定個人のための特定食物、栄養素または栄養補給食品の妥当性に関する情報の確度の問題である。特に「万人向き」シナリオは、医薬品および栄養に関して言えば真実でない。本発明は、たとえあったとしてもわずかな危険性または欠点しかない、ヒトおよび動物に有益でありうる組成物を提供することに関する。
【0004】
便秘症に起因する消化残滓の過剰な圧密化と硬度、およびその毒素が究極的には血流に吸収されるかもしれない潜在的な腸内の毒素蓄積は、深刻な問題である。さらに便秘症は、おそらくは結腸細胞と毒素を多く含む糞便との長期にわたる接触の結果として、結腸癌をはじめとする胃腸管に関わる無数の医学的問題をもたらしうることについては豊富な証拠がある。
【0005】
疑いなく、社会全体として我々は食物繊維を極めて欠いた状態にある。我々は医療従事者およびその他の専門家によって、この繊維不足により死に至る場合があり、実際に死に至ると常に警告されている。我々の食事は「空の」カロリー、すなわち脂肪と糖が満載の精製された食物に満たされ、わずかな自然食物しか含有しない。繊維に関して言えば、多くの人々は毎日のボール1杯のシリアルで十分だと考えている。我々のスーパーマーケットおよび食料貯蔵庫は、通常、繊維を含まないか、または繊維が非常に低い、派手に包装され過剰精製された加工食品でいっぱいである。食物繊維の有無は、人が便を排出する能力に大きく影響する。我々の社会で約19人の内1人は、特別な注意を要する健康状態を有すると推定されている。多くの場合、これはこれらの個人にとって、十分な繊維および水に対する必要性をなおさらに重要なものにする。伝染病との戦いにおける現代医学の成功のおかげで、そして老化に対するより良い理解と老化過程に医学的に対処する我々の能力のために、我々は長生きするようになった。
【0006】
繊維または「不消化食料」は、それが胃腸系を通過する際に消化されない食物構成要素である。食物繊維の大部分は植物起源の多糖類からなる。最も明らかな繊維は、植物細胞を取り囲むセルロース壁である。これらの細胞の多くは実際に「繊維」と称されるので、この食事構成要素は「繊維」という名称となっている。しかし実際には、繊維には、古典的セルロース材料である不溶性繊維と、ヒトまたは肉食動物の消化システムによって消化されない水溶性多糖類である可溶性繊維との2つの形態がある。どちらのタイプの繊維もかなりの水と結合し、したがって便に対して軟化効果を有する。しかし可溶性繊維は、関与する正確な多糖類次第で、結腸内の細菌によって直接に、代謝されまたは部分的に代謝される可能性がある。どちらのタイプの繊維も胃腸管内の運動性を増大させる傾向があり、したがって廃棄物の通過時間を加速して、急性および慢性的な医学上の問題のリスクを低下させる。繊維は水のようにヒトの健康のために必須であり、ヒトによって代謝されない。
【0007】
繊維は多くの場合、食物をきめ粗くし、味を悪くし、または加工困難にするので、食品から除去された。不溶性のふすま、またはその他の同様の繊維を食物に添加することは、より多くの不消化食料を提供するかもしれないが、また食物の好ましい特性も劣化させる。例えば不溶性繊維が多い穀粉から作られたケーキまたはペストリーは、味および歯ごたえが劣る場合がある。過剰な不溶性繊維は消化をおかしくする場合があり、いくつかの消化器系の病気をもたらす可能性がある。他方、可溶性繊維は一般に寛容性が高く、食品の歯ごたえまたはその他の物理特性を改善することが多く、一般に無害である。したがってベーカリー製品から「ミルクセーキ様」飲料にわたり、可溶性繊維の形態の添加繊維を含有するますます多くの食品がある。
【0008】
食物繊維は糖および脂肪が腸から吸収される速度を緩和するらしいということが見出された。単糖の場合、より緩慢な吸収は、摂食に続く血糖のより緩やかな上昇につながる。これは糖尿病の管理において重要であり、成人発症型糖尿病の予防を助ける可能性がある。脂肪の場合、繊維は血中コレステロールの損傷レベルを防止するのを助けるようである。これは、胆汁酸塩およびコレステロールが、繊維に結合することによって、吸収または再吸収されずに糞便と共に排泄されることに起因するようである。複数の研究が、十分な繊維が心疾患のリスクを明らかに低下させ、毒性金属をはじめとする毒素に結合する傾向があり、それらを消化系から安全に排出できるようにすることを示している。
【0009】
現在の食物繊維製品の存在にもかかわらず、摂取が容易で、腸関連障害の制御を助ける食物繊維源を提供する組成物に対する必要性がある。
【0010】
セレンは、少なくとも11のセレン酵素またはセレン含有タンパク質の必須構成要素である。セレン酵素には、グルタチオンペルオキシダーゼおよび脱ヨウ素酵素の2つの主要系統群がある。グルタチオンペルオキシダーゼの代謝機能は、正常な代謝の結果として発生し心疾患および卒中に寄与する酸化脂肪(脂質ヒドロペルオキシド)を、より害の少ない化合物に転換することである。この活性は、ビタミンEの抗酸化活性に類似している。脱ヨウ素酵素は、甲状腺ホルモンの代謝を制御する。最近発見されたセレン酵素チオレドキシン還元酵素は、ビタミンC代謝において役割を果たすことが示唆されている。
【0011】
セレン欠乏症によって引き起こされることが知られているヒト疾患で、中国の様々な地域に見られるのが、小児の心筋症(すなわち心筋疾患)である克山病である。
【0012】
指爪脆性および脱毛が、毎日約5mg(5,000μg)のセレン摂取で起きる慢性セレン毒性、またはセレン中毒症の主要な判定基準として、中国の科学者により使用された。約600〜1,600μgの間の毎日の食事性セレン摂取で、悪影響が観察された。最大安全食事性セレン摂取は約800μg/日と計算されたが、人によっては600μg程度に低いかもしれない。中国の科学者は、最小必要量として新しいRDAの55μg/日と類似した、毎日約40μgのレベルを提案した。パネルによって確立されたこのRDAは、血漿グルタチオンペルオキシダーゼの飽和に基づく。毎日11μg未満のセレン摂取は、明確に個人を欠乏症のリスクにさらす。
【0013】
初期の疫学的研究は、ヒトにおけるセレン摂取と特定の癌の発生率の間の可能な逆相関を提案した。動物を様々な化学およびウイルス性発癌性物質に曝露させた、100を超える関連実験が実施されている。これらの研究の過半数は、セレンの抗癌効果を示した。セレンと癌に関する3件のヒト治験が完了しており、それらの全てが肯定的結果を示した。1つの試行では、食卓塩へのセレンの添加は、中国人集団において肝臓癌の発生率を顕著に低下させた。5年間のセレン、ビタミンE、およびβ−カロテン補給後に、別の中国人集団において胃および食道癌の発生率が顕著に低下した。しかしいずれの補給剤が、この効果の主な原因であるかは明らかでない。米国での研究は、4.5年間にわたり毎日200μgのセレン(セレン濃縮酵母として)を補給した970人の男性は、前立腺癌発生率が63%減少し、ならびに結腸直腸癌、肺癌、および癌全体の発生率が顕著に低下したことを示した。これらの補給研究は、長期セレン摂取を示唆するセレンの足爪レベルによる評価でセレン状態が最高の男性において、前立腺癌のリスクが2分の1から3分の2に減少した最近の研究と一致する。総体的に、セレンが前立腺癌およびおそらくはその他のヒトの癌のリスクを低下できる証拠は、非常に有望と見なされたが、研究はセレンの抗癌効果について目下、証拠がないという結論に達した。
【0014】
米国人は、約100μg/日のセレンを食事により摂取すると推定される。前述の前立腺癌研究では、対象は毎日200μgの補給剤を投与され、それは彼らの推定1日摂取量を約300μgに増大させた。セレン欠乏症の症状を予防するためには、1日に55μgの摂取量が必要とされる。特定の癌に対する最大の保護のためには、200〜300μgの総1日摂取量がおそらく必要である。
【0015】
したがって摂取が容易でセレン源を提供する組成物に対する必要性もある。
【0016】
プロアントシアニジンは、抗腫瘍、抗炎症薬、抗老化、抗酸化剤、抗アレルギー、および抗細菌特性をはじめとする多様な生物学的活性を示すことが知られている。プロアントシアニジンの抗酸化効果は冠動脈疾患発生率を低下でき、結合組織中のコラーゲン安定化およびエラスチン維持の役割を果たすと考えられている。
【0017】
したがって摂取が容易でプロアントシアニジン源を提供する組成物に対する必要性がある。
【0018】
リン脂質(Phosphatides)(リン脂質(Phospholipids)としても知られている)は、人体中の細胞の天然構成要素であり、健康な神経系をサポートする上で重要である。リン脂質は、神経の脂肪性保護被覆であるミエリン鞘内に見られる。
【0019】
したがって摂取が容易でリン脂質源を提供する組成物に対する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
一実施態様では、本発明は、
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のリン脂質またはその塩、
1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、
場合により1つ以上の添加剤
を含む、組成物に関するものである。
【0021】
別の実施態様では、本発明は、哺乳類に、
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のリン脂質またはその塩、
1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、および
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含む組成物の有効量を投与するステップを含む、哺乳類における病状または疾患を制御または治療する方法に関するものである。
【0022】
さらに別の実施態様では、本発明は、
i.1つ以上のセレン化合物、
ii.1つ以上のプレバイオティクス、
iii.1つ以上のリン脂質またはその塩、
iv.1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、
v.場合により1つ以上の追加的添加剤、および
vi.使用説明書
を含む容器を含む、哺乳類における病状を制御するためのキットに関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明の詳細な説明
その多くの実施態様で、本発明は、以下に記載されるとおり、組成物、本発明の組成物を含むキット、および本発明の組成物で哺乳類における病状または疾患を制御または治療する方法に関するものである。
【0024】
セレン化合物
本発明の組成物は、セレン化合物を含む。あらゆる薬学的にまたは栄養的に許容可能な形態のセレンが、本発明の組成物で使用するのに適する。適切な形態のセレンの非限定的例としては、例えばセレンと、亜セレン酸ナトリウムおよびセレン酸ナトリウムなどのセレニウム塩と、セレノメチオニンと、セレノシステインと、セレンタンパク質化合物と、セレンアミノ酸キレートなどまたはそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、本発明の組成物は、セレノメチオニンの形態のセレンを含む。
【0025】
本発明のセレンまたはその塩は、約10μg、約25μg、約50μg、約75μg、約100μg、約125μg、約150μg、約175μg、約200μg、約225μg、約250μg、約275μg、300μg、約325μg、350μg、約375μg、約400μg、約425μg、約450μg、約475μg、または約500μgをはじめとする、約10μg(マイクログラム)〜約500μg、または約20μg〜約400μg、または約50μg〜約300μg、または約100μg〜約200μg、または約100μg〜約150μg、およびこれらの全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含する量で、組成物単位用量中に存在する。
【0026】
「単位用量」という用語は、活性成分それ自体(例えばセレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のリン脂質またはその塩、および1つ以上のプロアントシアニジン)または活性成分と任意の追加的添加剤との混合物のいずれかを含む、患者に投与することができる単位、すなわち単回用量を意味する。
【0027】
一実施態様では、単位用量の本発明の組成物は、約125μgのセレノメチオニンを含む。
【0028】
また、本発明の組成物中のセレンまたはその塩の濃度は、ppm(すなわち「百万分の一」)単位で表現することができる。例えば本発明の組成物中のセレンまたはその塩は、約5ppm、約10ppm、約15ppm、約18ppm、約20ppm、約25ppm、約30ppm、約35ppm、約40ppm、約45ppm、約50ppmをはじめとする、約5ppm〜約50ppm、約10ppm〜約25ppm、およびこれらの全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含する濃度範囲で存在する(セレンまたはその塩の濃度は、セレンまたはその塩、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のプロアントシアニジン、および1つ以上のリン脂質またはその塩の合計量に対する量である)。一実施態様では、本発明の組成物は約18ppmのセレノメチオニンを含む。
【0029】
プレバイオティクス
本発明の組成物はまた、1つ以上のプレバイオティクスも含む。ここでの用法では、「プレバイオティクス」という用語は、不消化炭水化物を指す。これらのプレバイオティクスは、腸内細菌叢の有益な細菌の生育および活動を刺激する。本発明の組成物は1つ以上のプレバイオティクスを含み、したがって可能な病原性細菌の阻害を制御し、免疫系の活性に好ましい影響を有し、抗生物質治療後の腸内細菌叢の回復を助け、消化酵素の生成を助け、ウイルス(例えばロタウイルス)を阻害する。
【0030】
本発明のプレバイオティクスとしては、例えば食物繊維が挙げられる。食物繊維は、消化系を通じて食物を移動させ、水を吸収する植物食物の不消化部分である。化学的に、食物繊維は、非デンプン多糖類と、セルロース、リグニン、ワックス、キチン、ペクチン、β−グルカン、イヌリン、およびオリゴ糖類などのいくつかのその他の植物性構成要素とからなる。ここでの用法では、「食物繊維」という用語は、あらゆる水溶性または水不溶性の炭水化物ポリマーを含むが、ただしこれらの多糖類が「膨化」効果を提供し続けるように、いかなるヒト酵素またはヒト腸内に一般的な細菌もそれらを単糖に代謝(例えば加水分解)できない。
【0031】
本発明のプレバイオティクスとしては、例えば天然食物繊維が挙げられる。天然食物繊維としては、ここで記載されるように、それが由来する植物源中における天然状態から本質的に変化していない、または天然状態と化学的に同一である食物繊維が挙げられる。天然食物繊維としては、乾燥させたおよび/または微粒子形態にした、植物材料中に存在する食物繊維が挙げられる。例えば天然食物繊維は、低温、低圧、および/または低剪断下等の「穏和な」条件下で、製粉または抽出して植物材料から得ることができる。
【0032】
本発明のプレバイオティクスはまた、有益な細菌によって代謝され、その生育を促進するあらゆるタイプの可溶性繊維をはじめとする、可溶性(すなわち水溶性)食物繊維も含む。有益な細菌はまた大便を潤滑し、および/または毒素を放出しうるその他の細菌の生育を防止する傾向があるので、これは一般に好ましい効果を有する(参照によって本明細書に援用するレオン・プロスキー(Leon Prosky)、J.of AOAC Int’l.82:223〜35頁(1999年))。
【0033】
可溶性繊維はまた、繊維に劣る精製された食物の特徴を改善して、高度に精製された食事に繊維の利点を復元できる。本組成物に適した可溶性繊維は、広範な植物源に由来することができる。植物源からの可溶性繊維の非限定的例としては、水溶性植物ペクチンおよびペクチン質、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、および水溶性ヘミセルロースと、オオバコ、グァー、カラスムギ(βグルカン)、レンゲ属(トラガカントゴム)、ガティガム、カラヤガム(Sterculia gum)、およびアカシアゴムなどの穀粒、種子、または幹中に見られる植物「粘液」ゴム、および可溶性多糖類と、寒天またはカラゲナンなどの藻類多糖類と、デンプン、ガムおよびその他の炭水化物ポリマーの化学または酵素的消化(例えば部分的加水分解)によって生成されるデキストラン、マルトデキストリンまたはデキストリンなどのその他の不消化炭水化物と、カルボキシメチルセルロースなどの可溶性セルロースのエーテルおよびその他の誘導体とが挙げられる。その他の適切な可溶性繊維としては、例えば細菌酵素を使用して人工的に調製された不消化炭水化物ポリマー、およびイヌリンなどの非消化性保存炭水化物が挙げられる。さらに適切な可溶性繊維としては、市販のものが挙げられる。
【0034】
本発明のプレバイオティクスはまた、不溶性(すなわち水不溶性)繊維を含むことができる。不溶性の繊維としては、水に容易に溶解しない、ここで記載されるような植物の不消化部分が挙げられる。適切な不溶性の繊維としては、全粒小麦と、小麦およびトウモロコシふすまと、亜麻仁リグニンと、ニンジン、セロリ、サヤインゲン、およびジャガイモの皮などの植物に由来する不溶性繊維とが挙げられる。
【0035】
本発明のプレバイオティクスが、天然食物繊維、加工食物繊維、不溶性食物繊維、可溶性食物繊維、およびそれらの組み合わせを含むことができることが認識されるであろう。例えば本発明の組成物は、可溶性および不溶性食物繊維の組み合わせを含むことができる。一実施態様では、本発明の組成物は、アカシアゴム、グルコマンナン、カラスムギ繊維、およびデキストランの混合物であるプレバイオティクスを含む。別の実施態様では、プレバイオティクスは天然食物繊維であり、例えば食物繊維はアカシアゴム、グルコマンナン、カラスムギ繊維、または1つ以上のフルクトオリゴ糖類またはそれらの組み合わせである。
【0036】
例えば1つ以上の天然食物繊維であるプレバイオティクスの組み合わせを含む本発明の組成物は、糖および脂肪が腸から吸収される速度を緩和するように見えることが見出された。
【0037】
単糖については、プレバイオティクスによって提供されるより緩慢な吸収は、摂食の後に血糖のより緩やかな上昇をもたらす。これは糖尿病の管理において重要であり、および成人発症型糖尿病を予防するのを助ける可能性がある。脂肪については、プレバイオティクスは、胆汁酸塩およびコレステロールを繊維に結合することで、血中コレステロール損傷レベルを防止するのを助けるように見える。したがって胆汁酸塩およびコレステロールは、胃腸管によって吸収または再吸収されずに糞便と共に排泄される。さらに研究は、十分なレベルの食物繊維が明らかに心疾患のリスクを低下させ、毒性金属をはじめとする毒素に結合する傾向があり、それによってそれらを消化系から安全に排泄できるようにすることを示す。
【0038】
例えば1つ以上の食物繊維である本発明のプレバイオティクスは、本発明の組成物の単位用量中に、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1g、約1.5g、約2g、約2.5g、約3g、約3.5g、約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、約10gをはじめとする約100mg〜約10g、約200mg〜約8g、約500mg〜約7g、およびその全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含する量で存在する。
【0039】
一実施態様では、本発明の組成物の単位用量は、約7gのプレバイオティクスを含む。さらに別の実施態様では、本発明の組成物の単位用量は、約3.5gのアカシアゴム、2gのグルコマンナン、1gの繊維、および約500mgのデキストランを含む。
【0040】
また、本発明の組成物中のプレバイオティクスの濃度は、重量%単位(すなわち組成物総重量で除して100%を乗じたプレバイオティクス重量である「重量%」)で表現できる。例えば本発明の組成物中のプレバイオティクスの適切な濃度は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、約99.1重量%、約99.2重量%、約99.3重量%、約99.4重量%、または約99.5重量%をはじめとする、約50〜約99.5重量%、約60〜約99.5重量%、約70〜約99.5重量%、約80〜約99.5重量%、およびその全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含する範囲であることができる(1つ以上のプレバイオティクスの濃度は、セレンまたはその塩、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のプロアントシアニジン、および1つ以上のリン脂質またはその塩の合計量に対する量である)。一実施態様では、プレバイオティクスの濃度は約99.3重量%である。別の実施態様では、プレバイオティクスの濃度は、約50〜約55重量%のアカシアゴム、約25重量%〜約30重量%のグルコマンナン、約12重量%〜約17重量%のカラスムギ繊維、および約5重量%〜約10重量%のデキストランである。
【0041】
フラボノールおよびフラボノイド
フラボノイドという用語は、フェニルベンゾピロン構造に基づく植物二次代謝産物のクラスを指し、また一般に、同義語で「バイオフラボノイド」とも称される。フラボノイドとしては、例えばフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバン−3−オール、イソフラボン、アントシアニジン、およびプロアントシアニジンが挙げられる。フラボンとしては、例えばルテオリンおよびアピゲニンが挙げられる。フラボノールとしては、例えばケルセチン、ケンペロール、ミリセチン、イソラムネチン、パキポドール、およびラムナジンが挙げられる。フラバノンとしては、例えばヘスペレチン、ナリンゲニン、およびエリオジクチオールが挙げられる。フラバン−3−オールとしては、例えば(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−*エピガロカテキン、(−)−エピカテキン3−ガラート、(−)−エピガロカテキン3−ガラート、テアフラビン、テアフラビン3−ガラート、テアフラビン3’−ガラート、テアフラビン3,3’ジガラート、およびテアルビギンが挙げられる。イソフラボンとしては、例えばゲニステイン、ダイゼイン、およびグリシテインが挙げられる。アントシアニジンとしては、例えばシアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、およびペツニジンが挙げられる。
【0042】
一実施態様では、本発明の組成物は、1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールを含む。
【0043】
別の実施態様では、本発明の組成物は、例えば1つ以上のオルトプロアントシアニジンなどの1つ以上のプロアントシアニジンを含む。プロアントシアニジンは、オリゴマープロシアニジンについて「OPC」とも称され、またはプロシアニドリックオリゴマーについて「PCO」とも称される。OPCは多くの木本に見られる。精製および単離されたプロアントシアニジンの2つの最も一般的な供給源は、ブドウ(Vitis vinifera)種子および白マツ(Pinus maritima、P.pinaster)の抽出物であり、それぞれ本発明の組成物に利用できる。
【0044】
本発明のプロアントシアニジンは、多くの果実および植物抽出物に存在する天然ポリフェノールバイオフラボノイドを含む。例えば精製および単離されたプロアントシアニジン源としては、ブドウ、リンゴ、大麦、柿、ココナッツ、カカオ、ブルーベリー、イチゴ、小豆、チコリ、および落花生の抽出物が挙げられるが、これに限定されるものではない。このような植物は、好ましくはブドウ(Vitis)、リンゴ(Malus)、オオムギ(Hordeum)、カキ(Diospyros)、ココヤシ(Cocos)、カカオ(Theobroma)、マツ(Pinus)、スノキ(Vaccinium)、オランダイチゴ(Fragaria)、インゲンマメ(Phaseolus)またはナンキンマメ(Arachis)属に属する。プロアントシアニジンはまた、場合によりワイン、リンゴ酒、およびビールなどの適切な抽出物の発酵生成物を精製および単離して得ることができる。プロアントシアニジンを含む抽出物は少なくとも1つのプロアントシアニジンを含むが、より典型的には1つ以上のプロアントシアニジン混合物を含むことが、当業者によって認識される。
【0045】
本発明での使用に適した例えばプロアントシアニジンなどのフラボノイドは、抗ウイルス、抗菌、抗炎症および/または抗アレルギー性活性を有するものであり、またフリーラジカルの酸化損傷から組織を保護する。
【0046】
一実施態様では、本組成物のフラボノイドおよび/またはフラボノールは、ブドウ種子プロアントシアニジン抽出物(GSPE)である。GSPEは、対照と比べて肝臓および脳組織内で顕著な抗酸化剤活性を実証する。GSPEは、化学的に誘発されたDNA損傷、脂質過酸化、および酸素フリーラジカル生成を低下させる。それはまた、ビタミンC、コハク酸ビタミンE、およびβ−カロテンをはじめとする同一用量のその他の抗酸化剤よりも、酸化損傷に対するより良い保護を提供する。本発明のプロアントシアニジンは、フリーラジカルの除去、脳および肝臓組織への酸化損傷の予防において、その他の抗酸化剤よりも優れている。
【0047】
例えばGSPEなどのフラボノイドおよび/またはフラボノール抽出物は、従来の方法によって調製できる。例えば植物材料(例えばブドウ種子)を微粉砕し、または細断して、次に溶剤を使用して抽出する。抽出溶剤としては、混和材料中で1つ以上の親水性または親油性溶剤を、単独で、逐次にまたは同時に使用できる。このような溶剤は、好ましくは水と、エタノール、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールと、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトンと、酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステルなどの溶剤から選択される。抽出温度は一般に0〜100℃または5〜50℃である。抽出時間はおよそ1時間〜10日間、および溶剤量は乾燥材料を基準にして、一般に1〜30重量倍、または5〜10重量倍である。抽出ステップは、撹拌、または浸漬、および静置のいずれかによって実施してもよい。必要ならば、抽出ステップを2または3回繰り返してもよい。粗製抽出物は、例えばあらゆる不溶性残留物を(例えば濾過または遠心分離によって)除去して、または微粉砕または切断材料を絞って液体を除去して得ることができる。次にフラボノイドおよび/またはフラボノールは、粗製抽出物の形態で使用してもよく、または例えば抽出溶剤の蒸発によって、またはここで記載されるような追加的精製ステップを使用してさらに精製してもよい。
【0048】
フラボノイドおよび/またはフラボノールの追加的精製および単離はまた、例えば活性医薬化合物を精製するために製薬技術で知られている方法を使用しても実施できる。このような方法としては、例えば単独でまたは組み合わせて、2相溶媒分配、カラムクロマトグラフィーおよび/または分取高性能液体クロマトグラフィーが用いられる。2相溶媒分配の例としては、n−ヘキサンまたは石油エーテルなどの疎水性溶剤で油可溶性構成要素および色素が抽出されて除去される方法、および抽出物がn−ブタノールまたはメチルエチルケトンおよび水などの溶剤中で分配されて、プロアントシアニジンが溶剤相から回収される方法が挙げられる。カラムクロマトグラフィーの例としては、アンバーライト(Amberlite)IR−120Bまたはアンバーライト(Amberlite)IRA−402などのキャリアを使用するイオン交換カラムクロマトグラフィーと、順相シリカゲル、逆相シリカゲル、ダイヤイオン(Diaion)HP−20またはセパビーズ(Sepabeads)SP−207などのキャリアを使用する吸収カラムクロマトグラフィーと、セファデックス(Sephadex)LH−20などのキャリアを使用するゲル濾過とが挙げられる。分取高性能液体クロマトグラフィーの例としては、オクタデシルシリカなどのキャリアを含有する逆相カラムを使用する方法、およびシリカゲルなどのキャリアを含有する順相カラムを使用する方法が挙げられる。ここでもまたこれらの方法は、必要に応じて、単独でまたは組み合わせて、および反復して使用できる。これらの精製方法によって、塩などの水溶性イオン性物質、糖類および多糖類などの非イオン性物質、油分、および色素をはじめとする不純物を粗製抽出物から除去でき、それによってフラボノイドおよび/またはフラボノールが精製される。またブドウ種子から抽出されるプロアントシアニジンは、例えばActa Derm.Venereol.(Stockh.)、78、428頁(1998年)で記載される方法に従って、精製して得ることができる。
【0049】
フラボノイドおよび/またはフラボノールは、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mgをはじめとする、約10mg〜約100mg、約20mg〜約90mg、または約50mg〜約75mg、およびその全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含する量で、本発明の組成物の単位用量中に存在する。
【0050】
一実施態様では、本発明の組成物の単位用量中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの量は約10mg〜約15mgである。別の実施態様では、本発明の組成物の単位用量中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの量は約12.5mgである。
【0051】
また、本発明の組成物中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は、重量%単位で表現できる。例えば本発明の組成物中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.10重量%、約0.11重量%、約0.12重量%、約0.13重量%、約0.14重量%、約0.15重量%、約0.16重量%、約0.17重量%、約0.18重量%、約0.19重量%、または約0.20重量%をはじめとする、約0.05重量%〜約0.20重量%、約0.10重量%〜約0.20重量%、約0.15重量%〜約0.20重量%であり、およびその全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含することができる(1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は、セレン化合物、プレバイオティクス、フラボノイドおよび/またはフラボノール、およびリン脂質の合計量に対する量である)。
【0052】
一実施態様では、本発明の組成物中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は約0.15重量%〜約0.20重量%である。別の実施態様では、本発明の組成物中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は約0.17重量%〜約0.19重量%である。さらに別の実施態様では、本発明の組成物中に存在するフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は約0.18重量%である。
【0053】
リン脂質
本発明の組成物中での使用に適したリン脂質としては、ホスファチジル−コリン、ホスファチジル−エタノールアミン、ホスファチジル−イノシトール、およびそれらの混合物をはじめとするが、これらに限定されないあらゆる薬学的に許容可能なリン脂質が挙げられる。「リン脂質」という用語は、ここでの用法ではまた、天然リン脂質の混合物の取引名または慣用名である「レシチン」も含む。
【0054】
本発明の1つ以上のリン脂質は、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、または約100mgをはじめとする、約10mg〜約100mg、約20mg〜約60mg、または約30mg〜約40mg、およびその全範囲ならびにその間の部分的範囲を含む量で組成物単位用量中に存在する。一実施態様では、本発明の組成物の単位用量中のリン脂質の量は約30mg〜約40mgである。別の実施態様では、本発明の組成物の単位用量中のリン脂の質量は約35mgである。さらに別の実施態様では、本発明の組成物の単位用量中のリン脂質の量は約36mgである。
【0055】
一実施態様では、本発明の組成物の1つ以上のリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルイノシトールを含む。
【0056】
また、本発明の組成物中の1つ以上のリン脂質の濃度は、重量%単位で表現できる。例えばリン脂質の濃度は、約0.10重量%、約0.12重量%、約0.14重量%、約0.16重量%、約0.18重量%、約0.20重量%、約0.22重量%、約0.24重量%、約0.26重量%、約0.28重量%、約0.30重量%、約0.32重量%、約0.34重量%、約0.36重量%、約0.38重量%、約0.40重量%、約0.42重量%、約0.44重量%、約0.46重量%、約0.48重量%、約0.50重量%、約0.52重量%、約0.54重量%、約0.56重量%、約0.58重量%、約0.60重量%、約0.62重量%、約0.64重量%、約0.66重量%、約0.68重量%、約0.70重量%、約0.72重量%、約0.74重量%、約0.76重量%、約0.78重量%、約0.80重量%、約0.82重量%、約0.84重量%、約0.86重量%、約0.88重量%、約0.90重量%、約0.92重量%、約0.94重量%、約0.96重量%、約0.98重量%、約1.00重量%をはじめとする、約0.10重量%〜約1.00重量%、約0.20重量%〜約0.80重量%、約0.40重量%〜約0.60重量%の範囲であることができ、およびその全範囲ならびにその間の部分的範囲を包含する(1つ以上のリン脂質またはその塩の濃度は、セレン化合物、プレバイオティクス、フラボノイドおよび/またはフラボノール、およびリン脂質の合計量に対する量である)。
【0057】
追加的添加剤
本発明の組成物は、場合により追加的添加剤を含むことができる。「場合により」という用語は、追加的添加剤に関しては、追加的添加剤が存在しないか、または1つ以上の追加的添加剤が存在することを意味する。すなわち本発明の組成物は、1つ以上のセレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール、および1つ以上のリン脂質のみから構成されることができ、また、セレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール、および1つ以上のリン脂質に加えて、本発明の組成物はまた、希釈剤、増量剤、アジュバント、賦形剤、またはキャリアなどの追加的添加剤も含むことができる。
【0058】
適切な追加的添加剤の非限定的例としては、例えば水(例えば生理食塩水)と、落花生油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、植物または合成されたものなどをはじめとする油などの液体が挙げられる。さらに、追加的添加剤としては、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤と、デンプン(またはデンプンペースト)、マンニトール、グルコース、乳糖、スクロース、ゼラチン、モルト、米、穀粉、チョーク、シリカゲル(またはコロイドシリカ)、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、尿素、ケラチン、セルロース、炭酸マグネシウム、などの賦形剤とが挙げられる。また本発明の組成物は、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリン(サッカリンナトリウム)などの甘味料と、ハッカ、ウィンターグリーン油、またはチェリーなどの着香剤と、着色剤と、保存料も含んで、薬学的に美味な製剤を提供できる。本発明の組成物が食用を意図する場合、追加的添加剤は医薬品等級である。
【0059】
さらに錠剤または丸薬の形態で本発明の組成物を調製する場合、(例えば腸溶コーティングにより)組成物を被覆して、胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それによって長期にわたり持続性作用を提供してもよい。浸透圧活性推進化合物を取り囲む選択的透過性膜もまた、本発明の化合物の経口投与に適する。(これらの後者の形態では、カプセルを取り囲む環境からの流体が推進化合物によって吸収され、それは膨潤して開口部を通じて薬剤または薬剤組成物と置き換わる。これらの送達プラットフォームは、即効型製剤の尖峰プロフィールとは対照的に、本質的にゼロ次送達プロフィールを提供できる。)モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料もまた、使用してもよい。本組成物は、所望ならば、また少量の湿潤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含むことができる。
【0060】
本発明の組成物
本発明の組成物は、結腸癌、心疾患、脳卒中、虫垂炎、および糖尿病をはじめとするが、これに限定されるものではない、多数の障害を制御するのに有用である。本発明の組成物はまた、腸毒血症、痔疾、過敏性腸症候群(IBS)、結腸炎、憩室炎、精索静脈瘤、および胆石症(胆石)などの便秘症に結びついた便秘症および消化器系の病気または障害を制御するのにも有用である。さらに本発明の組成物は、血清コレステロール低下、インシュリン分泌制限、および排便の促進をはじめとする様々な有用な生理学的機能を果たすことができる。したがって本発明の組成物はまた、アテローム性動脈硬化、高血圧、糖尿病、および低血糖症を治療または制御するのにも有用である。本発明の組成物はまた、肥満症およびストレスを制御するのにも有用である。
【0061】
本発明の構成要素の組み合わせは相乗的に作用でき、別々に投与されると効果を示さない。
【0062】
本発明の組成物の活性に基づいて、当該組成物は獣医学および人間医学において有利に作用する。本発明は、患者に本発明の組成物の有効量を投与することによって、障害を制御する方法を提供する。患者は、ネコ、イヌまたはヒトをはじめとするが、これらに限定されない哺乳類である。一実施態様では患者はヒトである。
【0063】
例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどの中への封入などの様々な送達系が知られており、本発明の化合物を投与するのに使用できる。投与の様式は施術者の自由裁量に任され、ある程度病状の部位に左右される。ほとんどの場合、投与によって、本発明の化合物の少なくともいくつかが血流内に放出される(例えばセレン)。
【0064】
別の実施態様では、本発明の化合物は、例えばリポソームなどの小胞内で送達できる(ランガー(Langer)、1990年、Science 249:1527〜1533頁;ロペス−ベレステイン(Lopez−Berestein)およびフィドラー(Fidler)編、「伝染病および癌の治療におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)」よりトリート(Treat)ら、Liss、New York、353〜365頁(1989年);ロペス−ベレステイン(Lopez−Berestein)、同書、317〜327頁を参照されたい;一般に同書を参照されたい)。
【0065】
さらに別の実施態様では、本発明の化合物は、徐放系中で送達できる。一実施態様ではポンプを使用してもよい(ランガー(Langer)、前出;セフトン(Sefton)、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201頁;ブッフバルト(Buchwald)ら、1980年、Surgery 88:507頁;ソーデック(Saudek)ら、1989年、N.Engl.J.Med.321:574頁を参照されたい)。別の実施態様では、ポリマー材料が使用できる(「徐放の医療用途(Medical Applications of Controlled Release)」、ランガー(Langer)およびワイズ(Wise)編、CRC Pres.、Boca Raton,Fla.(1974年);「制御された薬剤生体利用能、製剤のデザインおよび性能(Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance)」、スモーレン(Smolen)およびボール(Ball)編、Wiley、New York(1984年);レンジャー(Ranger)およびペパス(Peppas)、1983年、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61頁を参照されたい。レヴィ(Levy)ら、1985年、Science 228:190頁;デュリング(During)ら、1989年、Ann.Neurol.25:351頁;ハワード(Howard)ら、1989年、J.Neurosurg.71:105頁もまた参照されたい)。さらに別の実施態様では、徐放系は例えば肝臓などの本発明の化合物の標的の近くに配置でき、それによって全身投与の用量のごく一部のみを必要とする(例えば前出の「徐放の医療用途(Medical Applications of Controlled Release)」、第2巻からグッドソン(Goodson)、115〜138頁(1984年)を参照されたい)。ランガー(Langer)、1990年、Science 249:1527〜1533頁のレビューで考察されるその他の徐放システムを使用してもよい。
【0066】
一実施態様では、本発明の組成物は経口的に投与される。あらゆる従来の経口形態が、本発明の組成物での使用に適する。例えば本発明の組成物は、錠剤、丸薬、ロゼンジ、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、顆粒、徐放製剤、坐薬、エマルジョン、煙霧剤、スプレー、懸濁液(油性または水性)、溶液、シロップ、エリキシル剤の形態、または使用に適したあらゆるその他の形態をとることができる。適切な医薬品ビヒクルのその他の例については、E.W.マーティン(Martin)、「レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」で記載される。一実施態様では、本発明の組成物はカプセルの形態である(例えば米国特許第5,698,155号明細書を参照されたい)。別の実施態様では、本発明の組成物は粉末の形態である。さらに別の実施態様では、本発明の組成物は、粉末の水性懸濁液または溶液の形態である。なおも別の実施態様では、本発明の組成物は毎日5回まで水またはジュースと共に投与できる。本発明の経口送達のための化合物および組成物はまた、食物および食物ミックス中で調合できる。
【0067】
別の実施態様では、本発明の化合物は、人間への経口投与に適応させた栄養補給食品組成物として、日常的手順に従って調合される。別の実施態様では、本発明の組成物は、経口的に投与される。経口送達のための組成物は、例えば丸薬、錠剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルジョン、カプセル、シロップ、またはエリキシル剤の形態であってもよい。経口的に投与される組成物は、ここで記載されるような1つ以上の追加的添加剤を含有してもよい。
【0068】
また、本発明の組成物は、局所、皮膚、経皮、直腸、または徐放製剤をはじめとするが、これに限定されるものではない、その他の経路で投与してもよい。本発明の組成物は、例えば経口的、局所的、上皮性または粘膜皮膚の内層を通じた吸収(例えば口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)などのあらゆる都合よい経路で投与してもよく、別の生物学的に活性の薬剤と一緒に投与してもよい。
【0069】
投与は、全身性または局所性であることができる。特定の実施態様では、2つ以上の本発明の組成物を患者に投与できる。投与方法としては、鼻腔内、経口、舌下、鼻腔内、膣内、経皮、直腸的、吸入による投与、または例えば耳、鼻、目、頭皮、または皮膚に対する局所的投与が挙げられるが、これに限定されるものではない。投与の様式は施術者の自由裁量に任され、ある程度病状の部位に左右される。ほとんどの場合、投与は、細胞による最大取り込みのために、本発明の組成物の放出を引き起こす。
【0070】
特定の実施態様では、治療が必要な領域に、1つ以上の本発明の組成物を局所的に投与することが望ましい可能性がある。これは、例えば局所塗布(例えばクリームとして)によって、外科手術中の局所注入によって(例えば外科手術後の創傷包帯と併せて)、注射によって、カテーテルの手段によって、坐薬の手段によって、またはインプラントによって達成されてもよいが、制限は意図されず、前記インプラントは、シラスティック膜などの膜または繊維をはじめとする多孔性、非多孔性、またはゼラチン状材料である。一実施態様では、投与はアテローム硬化性プラーク組織部位(または前の部位)への直接注射によることができる。
【0071】
別の実施態様では、組成物は、患部への直接塗布のために、身体表面への直接または間接的投与に適した形態で調製される。この様な状況では、製剤は抗乾燥剤(例えばパンテチン)、浸透促進剤(例えばジメチルイソソルビド)、反応促進剤(例えばミリスチン酸イソプロピル)、または業界で知られており局所塗布のために使用されるその他の一般的な添加剤(例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルアルコール、リポソーム、脂質、油、クリーム、または皮膚軟化剤)を含むことができる。さらに本発明の組成物は、皮脂プラグを毛穴から除去するレチノイン酸(すなわちRetin−A)などの毛穴に有益な効果を有する化合物、抗酸化剤(例えばブチル化ヒドロキシアニソール)、またはキレート剤保存料(例えば二ナトリウムEDTA)を含んでもよい。
【0072】
様々な濃度の促進剤グリセリンの添加は、シクロスポリンの浸透を増強することが示されている(ナカシマ(Nakashima)ら、1996年)。テルペンベース浸透促進剤と水性プロピレングリコールとの使用はまた、5−フルオロウラシルの局所送達速度を増強する能力を示した(ヤマネ(Yamane)ら、1995年)。5−フルオロウラシル(5−FU)は、皮膚透過研究において親水性化合物の特徴を調べる上のモデル化合物である。したがってポリレングリコール(80%まで)へのテルペンの添加は、皮膚内への流動速度を増強することができた。
【0073】
ジメチルイソソルビド(DMI)は、製剤処方に有望である別の浸透促進剤である。DMIは比較的低粘度の水混和性液体である(ジア(Zia)ら、1991年)。DMIは水およびポリレングリコールと錯体形成するが、ポリエチレングリコールとは形成しない。水と錯体形成することはDMIの能力であり、様々なステロイドの浸透を増強する能力があるビヒクルを提供する。最大効果はDMI:水の比率が1:2の場合に見られる。文献中の証拠は、DMIを様々な製剤中で使用する際に、DMIに対するpHの効果が重要な考慮事項であることを示唆する(ブリザート(Brisaert)ら、1996年)。
【0074】
本発明の組成物はまた、(例えば吸入器またはネブライザーの使用によって)肺投与を通じて患者に投与してもよい。したがって本発明の組成物はまた、エアロゾル化剤を用いて、またはフルオロカーボンまたは合成肺界面活性剤中での灌流を通じて調合してもよい。
【0075】
特定の実施態様では、本発明の化合物は、伝統的バインダーおよびトリグリセリドなどのビヒクルと共に坐薬として調合できる。
【0076】
別の実施態様では、本発明の組成物は、特にリポソームなどの小胞中で送達できる(ランガー(Langer)、1990年、Science 249:1527〜1533頁;ロペス−ベレステイン(Lopez−Berestein)およびフィドラー(Fidler)編、「伝染病および癌の治療におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)」よりトリート(Treat)ら、Liss、New York、353〜365頁(1989年);ロペス−ベレステイン(Lopez−Berestein)、同書、317〜327頁を参照されたい、一般に同書を参照されたい)。
【0077】
本組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、徐放製剤、坐薬、エマルジョン、煙霧剤、スプレー、懸濁液の形態、または使用に適したあらゆるその他の形態を取ることができる。一実施態様では、薬学的に許容可能なビヒクルはカプセルである(例えば米国特許第5,698,155号明細書を参照されたい)。適切な医薬品ビヒクルのその他の例については、E.W.マーティン(Martin)、「レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」で記載される。
【0078】
本組成物は、本発明の構成要素の有効量を含有する。「本発明の構成要素」とは個々の「活性」構成要素、特に少なくともセレンまたはその塩、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のリン脂質またはその塩、および1つ以上のプロアントシアニジンを意味する。ここで記載されるように、本発明の各構成要素は、構成要素、ならびに材料のためのその他の化合物を含有する抽出物の形態、または精製形態(すなわち構成要素それ自体)であってもよい。「有効量」という用語は、本発明の構成要素に関しては、臨床的に有用な効果(例えば便秘症などの病状に随伴する症状を予防、制御、低下または軽減する)を提供するのに必要な各構成要素の量を指す。
【0079】
本発明の構成要素の有効量に加えて、本発明の組成物はまた、ここで記載されるものなどの追加的添加剤を含むことができる。例えば甘味料または着香剤などのいくつかの追加的添加剤は、患者において臨床的に有用な効果を提供せず、その代わりに例えば製剤の美味性および/または安定性を改善することが意図されるため、本発明の典型的な構成要素とは見なされない。
【0080】
本発明の構成要素の量は、ここで開示される障害または病状を制御するのに効果的な量であり、障害または病状の性質に左右され、標準技術によって判定できる。組成物に用いられる正確な用量はまた、投与経路、および疾患または障害の重篤さにも左右され、施術者の判断および各患者の状況に従って判定されるべきである。場合により生体外または生体内アッセイを用いて、最適投薬量範囲を同定するのを助けてもよい。
【0081】
経口組成物は、本発明の構成要素を10重量%〜100重量%含有できる。
【0082】
特定の実施態様では、本発明は、
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のリン脂脂質またはその塩、
1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール、および
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含む組成物を包含する。
【0083】
本発明の組成物の例示的な実施態様では、プレバイオティクスはアカシアゴムである。本発明の組成物の別の例示的な実施態様では、プレバイオティクスはグルコマンナンである。本発明の組成物の別の例示的な実施態様では、プレバイオティクスはカラスムギ繊維である。本発明の組成物の別の例示的な実施態様では、プレバイオティクスは1つ以上のフルクトオリゴ糖類である。
【0084】
特定の実施態様では、本発明の組成物の単位用量は、約10μg〜約500μgのセレン化合物、約100mg〜約1000mgのプレバイオティクス(例えば食物繊維)、約10mg〜約100mgのリン脂質、および例えばプロアントシアニジンなどの約1mg〜約50mgの1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールを含み、リン脂質は、ホスファチジル−コリン、ホスファチジル−エタノールアミン、ホスファチジル−イノシトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0085】
本発明の組成物の別の実施態様では、組成物総重量を基準にして、セレン化合物は15ppm〜20ppmの量で存在し、1つ以上のプレバイオティクスは98.0重量%〜99.5重量%の範囲の量で存在し、1つ以上のリン脂質またはその塩の量は0.45重量%〜0.55重量%の範囲の量で存在し、および例えばプロアントシアニジンなどの1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールの量は、0.15重量%〜0.20(重量%)の範囲の量で存在する。
【0086】
本発明の組成物の実施態様では、セレン化合物は15ppm〜20ppmの量(組成物総重量を基準にして)で存在する。別の実施態様では本発明の組成物は、1つ以上のプレバイオティクスは98.0重量%〜99.5重量%の範囲の量(組成物総重量を基準にして)で存在する。本発明の組成物の別の実施態様では、1つ以上のリン脂質またはその塩は0.45重量%〜0.55重量%の範囲の量(組成物総重量を基準にして)で存在する。本発明の組成物の別の実施態様では、例えばオルトプロアントシアニジンなどの1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールは0.15重量%〜0.20重量%の範囲の量(組成物総重量を基準にして)で存在する。
【0087】
別の実施態様では、本発明の組成物は、1つ以上のセレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、および1つ以上のフラビノイドおよび/またはフラビノールを含むことができる。セレン化合物の量は、セレン化合物、プレバイオティクス、およびフラビノイドおよび/またはフラビノールの総量を基準にして約10〜20ppm、約15〜20ppm、または約17〜19ppmである。一実施態様では、セレン化合物の量は、セレン化合物、プレバイオティクス、およびフラビノイドおよび/またはフラビノールの総量を基準にして約18ppmである。プレバイオティクスの量は、セレン化合物、プレバイオティクス、およびフラビノイドおよび/またはフラビノールの総量を基準にして約97〜99.999%、または約97〜99.998%である。一実施態様では、プレバイオティクスの量は、セレン化合物、プレバイオティクス、およびフラビノイドおよび/またはフラビノールの総量を基準にして約99.998%である。フラビノイドおよび/またはフラビノールの量は、セレン化合物、プレバイオティクス、およびフラビノイドおよび/またはフラビノールの総量を基準にして約0.10〜0.30%、約0.10〜0.20%、または約0.15〜0.20%である。一実施態様では、フラビノイドなどまたはフラビノールの量は、セレン化合物、プレバイオティクス、およびフラビノイドおよび/またはフラビノールの総量を基準にして約0.18%である。
【0088】
方法
本発明は、結腸癌、心疾患、脳卒中、虫垂炎、および糖尿病をはじめとするが、これらに限定されない、食物繊維欠乏症に伴う障害を制御する方法を包含する。
【0089】
本発明はまた、腸管毒血症、痔疾、過敏性腸症候群(「IBS」)、結腸炎、憩室炎、精索静脈瘤、および胆石症(胆石)をはじめとするが、これに限定されるものではない、便秘症に結びついた障害を制御する方法も包含する。
【0090】
「障害を制御する」という用語は、障害に罹患するのを予防するまたは確率を低下させる、障害の症状を治療する、障害の根底にある生物学的過程または機序を治療することなどを含む。
【0091】
特定の本発明の実施態様は、
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のリン脂質またはその塩、
1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール、および
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含む組成物の有効量を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類における病状を制御する方法を包含する。
【0092】
本発明の方法の例示的な実施態様では、プレバイオティクスはアカシアゴムである。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、プレバイオティクスはグルコマンナンである。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、プレバイオティクスはカラスムギ繊維である。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、プレバイオティクスは1つ以上のフルクトオリゴ糖である。
【0093】
別の本発明の方法の例示的な実施態様では、セレン化合物は、本発明の組成物の単位用量中に約10μg〜約500μgの量で存在する。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、1つ以上のプレバイオティクスは、本発明の組成物の単位用量中に約100mg〜約1000mgの量で存在する。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、1つ以上のリン脂質またはその塩は、ホスファチジル−コリン、ホスファチジル−エタノールアミン、および/またはホスファチジル−イノシトールを含む。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、1つ以上のリン脂質またはその塩は、本発明の組成物の単位用量中に約10mg〜約100mgの量で存在する。別の本発明の方法の例示的な実施態様では、例えばオルトプロアントシアニジンなどの1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールは、本発明の組成物の単位用量中に約1mg〜約50mgの量で存在する。
【0094】
本発明の方法の別の実施態様では、15ppm〜20ppmの濃度(組成物総重量を基準にして)でセレン化合物を含む組成物が、哺乳類に投与される。本発明の方法の別の実施態様では、98.0重量%〜99.5重量%の範囲の濃度(組成物総重量を基準にして)の1つ以上のプレバイオティクスを含む組成物が、哺乳類に投与される。本発明の方法の別の実施態様では、0.45重量%〜0.55重量%の範囲の濃度(組成物総重量を基準にして)の1つ以上のリン脂質またはその塩を含む組成物が、哺乳類に投与される。本発明の方法の別の実施態様では、0.15重量%〜0.20重量%の範囲の濃度(組成物総重量を基準にして)の例えばオルトプロアントシアニジンなどの1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールを含む組成物が、哺乳類に投与される。
【0095】
本発明の方法の別の実施態様では、組成物総重量を基準にして15ppm〜20ppmの範囲の濃度のセレンまたはその塩、98.0重量%〜99.5重量%の範囲の濃度の1つ以上のプレバイオティクス、0.45重量%〜0.55重量%の範囲の濃度の1つ以上のリン脂質またはその塩、および0.15重量%〜0.20重量%の範囲の濃度の例えばプロアントシアニジンなどの1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールを含む組成物が、哺乳類に投与される。
【0096】
別の本発明の方法の例示的な実施態様では、哺乳類はヒトである。
【0097】
別の本発明の方法の例示的な実施態様では、投与は経口である。
【0098】
別の本発明の方法の例示的な実施態様では、制御される病状は、アテローム性動脈硬化、痔疾、便秘症、高血圧、糖尿病、低血糖症、消化器系の病気、肥満症、憩室炎、またはストレスである。
【0099】
別の本発明の方法の例示的な実施態様では、この方法は哺乳類で便秘症を制御するための方法である。
【0100】
本発明の方法および組成物は、あらゆる哺乳類に適用できる。しかし例えば反芻動物などの草食動物の消化システムは、ヒトのそれとは甚だしく異なる。したがって本発明の組成物および方法は、治療される哺乳類の特定のニーズに対して調節できることが認識される。例えば単位用量は哺乳類のサイズに従って増加または減少させることができ、本発明の組成物の構成要素の相対量は治療される特定の病状次第で調節できる。
【0101】
本発明の組成物は、患者のニーズ、および治療される病状次第で、毎日1回、または毎日5回まで投与することができる。さらに本発明の組成物の単位用量(典型的に約5〜10g、例えば約7g)は、患者のニーズ次第で増大または削減できる。例えば単位用量を必要に応じて約10g、20g、15g、30gなどに増大でき、それによって比例様式で、患者に投与される個々の構成要素の量を増大させる。したがって例えば約7gの組成物が投与される場合に、セレン化合物の単位用量が約20μgであれば、組成物の単位用量が15gに増大したなら、次にセレン化合物の単位用量は約42.9μgになる。組成物のその他の構成要素の単位用量も同様に比例して増大する。
【0102】
本発明の組成物は、組成物の個々の構成要素を含む単回用量として投与できる(例えば全構成要素が粉末混合物の形態で存在する)。また、本発明の組成物の個々の構成要素は、個々の構成要素毎の別々の単位用量の形態で、または2つ以上の構成要素の個々のまたは混合物の別々の単位用量として、逐次または同時のいずれかで投与できる。例えば本発明の組成物は、セレンおよびプレバイオティクス構成要素を含む第1の単位用量、およびリン脂質およびプロアントシアニジン構成要素を含む第2の単位用量として、逐次にまたは同時に投与できる。もちろん本発明の構成要素のあらゆる組み合わせを含む、単位用量のあらゆる組み合わせが投与できる。さらに本発明の組成物が、2つ以上の別々の単位用量の形態で投与される場合、各単位用量は、ここで開示されるように1つ以上の任意の追加的添加剤をさらに含むことができる。
【0103】
本発明のキット
ここで記載されるように、本発明の組成物は、例えばあらゆる剤形および経口剤形で投与できる。例えば本発明の組成物の個々の構成要素は、粉末、カプセル、または錠剤などの形態の単一剤形に共に混合でき、それによって単一剤形の摂取は、組成物の各構成要素の同時投与を提供する。
【0104】
また、本発明の組成物は、1つ以上の構成要素の別々の単位剤形を含むことができる。例えばセレン化合物は、1つの剤形中で1つ以上のプレバイオティクスと組み合わせることができ、1つ以上のリン脂質またはその塩および1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールは、第2の剤形中に組み合わせることができる。次にこれらの2つの剤形を逐次または同時に投与して、所望の効果を得る。また、各構成要素を別々の単位剤形中で提供し、逐次または同時に投与して所望の効果を得ることができる。
【0105】
本発明の組成物の個々の各構成要素を含む単一単位剤形として投与されるかどうか、または一緒になって本発明の組成物の個々の各構成要素を提供する2つ以上の別々の単位剤形として投与されるか否かにかかわらず、本発明の組成物は、哺乳類における病状を制御するためのキットの形態で提供できる。一実施態様では、キットは、
i.1つ以上のセレン化合物、
ii.1つ以上のプレバイオティクス、
iii.1つ以上のリン脂質またはその塩、
iv.1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール、および
v.使用説明書
を含む本発明の組成物を含む容器を含み、1つ以上のセレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のリン脂質またはその塩、およびフラボノイドおよび/またはフラボノールは、場合によりそれぞれ各使用単位量にあらかじめ測定される。
【0106】
また、別の実施態様では、キットは、2つ以上の容器を含む本発明の組成物を含み、前記2つ以上の容器は一緒になって
i.1つ以上のセレン化合物、
ii.1つ以上のプレバイオティクス、
iii.1つ以上のリン脂質またはその塩、
iv.1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール、および
v.使用説明書
を含む。
【0107】
例示的なキットの実施態様では、1つ以上のプレバイオティクスはアカシアゴム、グルコマンナン、カラスムギ繊維、1つ以上のフルクトオリゴ糖類、またはそれらの組み合わせである。別の例示的なキットの実施態様では、1つ以上のセレン化合物が、約10μg〜約500μgの量で各単位用量中に存在する。別の例示的なキットの実施態様では、1つ以上のプレバイオティクスが、約100mg〜約1000mgの量で各単位用量中に存在する。別の例示的なキットの実施態様では、1つ以上のリン脂質またはその塩が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の例示的なキットの実施態様では、1つ以上のリン脂質またはその塩が、約10mg〜約100mgの量で各単位用量中に存在する。別の例示的なキットの実施態様では、1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールが、約1mg〜約50mgの量で各単位用量中に存在する。
【0108】
本発明のキットの別の実施態様では、1つ以上のセレン化合物の濃度は15ppm〜20ppmの範囲(組成物総重量を基準にして)である。本発明のキットの別の実施態様では、1つ以上のプレバイオティクスの濃度は98.0重量%〜99.5重量%の範囲(組成物総重量を基準にして)である。本発明のキットの別の実施態様では、1つ以上のリン脂質またはその塩の濃度は、0.45重量%〜0.55重量%の範囲(組成物総重量を基準にして)である。本発明のキットの別の実施態様では、1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノールの濃度は、0.15重量%〜0.20重量%の範囲(組成物総重量を基準にして)である。
【0109】
本発明のキットの別の実施態様では、組成物総重量を基準にして、1つ以上のセレン化合物の濃度は15ppm〜20ppmの範囲、1つ以上のプレバイオティクスの濃度は98.0重量%〜99.5重量%の範囲、1つ以上のリン脂質またはその塩の濃度は0.45重量%〜0.55重量%の範囲、および1つ以上のフラボノイドおよび/またはフラボノール濃度は0.15重量%〜0.20重量%の範囲である。
【0110】
本発明はまた、1つ以上の本発明の化合物で充填される1つ以上の容器を含む医薬品パックまたはキットも提供する。場合により、このような容器に随伴するものは、組成物の製造、使用または販売について記載した注意書であることができる。別の実施態様では、キットは、2つ以上の本発明の化合物を含有する。
【0111】
ここで開示される特定の実施態様は、本発明のいくつかの態様の例示であることが意図されるので、ここで記載されおよび特許請求される本発明は、これらの実施態様に範囲を制限されない。あらゆる等価物の実施態様は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、ここで示され記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、当業者には前述の説明から明らかである。
【実施例】
【0112】
実施例
本発明に適する組成物を表1に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
表1の組成物は、示される構成要素を含む粉末の形態である。およそ7gの表1の組成物が水またはジュースと混合され、必要に応じて毎日1回以上、患者によって摂取されることができる。
【0115】
本明細書中で様々な参考文献を引用したが、そのそれぞれはあらゆる目的のために参照によってその全体を本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のリン脂質またはその塩、
1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、および
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含む組成物。
【請求項2】
前記セレン化合物が、セレン、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、セレノメチオニン、セレノシステイン、セレンタンパク質化合物、セレンアミノ酸キレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のプレバイオティクスが天然食物繊維である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記1つ以上のプレバイオティクスが、アカシアゴム、グルコマンナン、カラスムギ繊維、フルクトオリゴ糖類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記1つ以上のリン脂質が、ホスファチジル−コリン、ホスファチジル−エタノールアミン、ホスファチジル−イノシトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイドが、ブドウ種子抽出物および白マツ抽出物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記1つ以上のセレン化合物の濃度が15ppm〜20ppmの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のプレバイオティクスの濃度が98.0重量%〜99.5重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つ以上のリン脂質またはその塩の濃度が0.45重量%〜0.55重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイドの濃度が0.15重量%〜0.20重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
15ppm〜20ppmの1つ以上のセレン化合物、
98.0重量%〜99.5重量%の1つ以上のプレバイオティクス、
0.45重量%〜0.55重量%の1つ以上のリン脂質またはその塩、
0.15重量%〜0.20重量%の1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含み、ここで、1つ以上のセレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のリン脂質またはその塩、および1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイドの濃度が、セレン化合物、プレバイオティクス、リン脂質またはその塩、およびフラボノールおよび/またはフラボノイドの総重量に対する量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
粉末の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
懸濁液または溶液の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
1つ以上の追加的添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、および
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含む組成物。
【請求項16】
1つ以上のセレン化合物、
1つ以上のプレバイオティクス、
1つ以上のリン脂質またはその塩、
1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、および
場合により1つ以上の追加的添加剤
を含む組成物の有効量を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類における病状または疾患を制御または治療する方法。
【請求項17】
前記病状または疾患が、アテローム性動脈硬化、痔疾、便秘症、高血圧、糖尿病、低血糖症、消化器系の病気、肥満症、憩室炎、およびストレスからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記病状または疾患が便秘症である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上のプレバイオティクスが、アカシアゴム、グルコマンナン、カラスムギ繊維、フルクトオリゴ糖類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のセレン化合物の濃度が15ppm〜20ppmの範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上のプレバイオティクスの濃度が98.0重量%〜99.5重量%の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上のリン脂質が、ホスファチジル−コリン、ホスファチジル−エタノールアミン、ホスファチジル−イノシトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上のリン脂質またはその塩の濃度が0.45重量%〜0.55重量%の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド濃度が0.15重量%〜0.20重量%の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記哺乳類がヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記投与が経口投与である、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
i.1つ以上のセレン化合物、
ii.1つ以上のプレバイオティクス、
iii.1つ以上のリン脂質またはその塩、
iv.1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイド、
v.場合により1つ以上の追加的添加剤、および
vi.使用説明書
を含む容器を含む、哺乳類における病状を制御するためのキット。
【請求項28】
1つ以上のセレン化合物、1つ以上のプレバイオティクス、1つ以上のリン脂質またはその塩、および1つ以上のフラボノールおよび/またはフラボノイドがそれぞれの使用単位量にあらかじめ測定されている、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
1つ以上のプレバイオティクスが、アカシアゴム、グルコマンナン、カラスムギ繊維、フルクトオリゴ糖類から選択される群から選択される、請求項27に記載のキット。
【請求項30】
1つ以上のリン脂質またはその塩が、ホスファチジル−コリン、ホスファチジル−エタノールアミン、ホスファチジル−イノシトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載のキット。

【公表番号】特表2009−514968(P2009−514968A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540151(P2008−540151)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/043442
【国際公開番号】WO2007/056432
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508137257)ペーク,エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】