説明

腹腔鏡アクセスデバイスのための保持部材

【課題】組織切開および身体表面状態を受け入れ、外科手術部位において変化する状態に適合する外科手術アクセスポートおよびその使用方法を提供する。
【解決手段】外科手術アクセスポート100は、円筒形部材110を含む。円筒形部材110は、長手方向軸A1を規定し、1対のリムによって規定された近位端部110aを有している。1対のリムは、長手方向軸A1に対して実質的に横断して向けられる。少なくとも1つの管腔120が円筒形部材110の近位端部から遠位端部まで延在する。管腔120は、長手方向軸に対して実質的に平行である。密閉部材130は近位端部130aおよび遠位端部130bを有しており、近位端部130aおよび遠位端部130bは対向する開口部を有している。密閉部材130は、円筒形部材110の外部に配置される。密閉部材130の近位端部130aにおける開口部は、円筒形部材110の近位端部110aと接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年3月23日に出願された米国仮特許出願第61/466,553号の利益および優先権を主張する。上記米国仮特許出願の全内容は、本明細書において参照することによって援用される。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、内視鏡タイプの処置または腹腔鏡タイプの処置のような低侵襲外科手術処置における使用のためのアクセスポートに関する。より具体的には、身体表面に対する外部密閉部材を有している外科手術アクセスポートに関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
今日、患者に対する外傷と回復時間との両方を減少させる努力の下、多くの外科手術処置が、伝統的な処置において典型的に必要とされる、より大きな切開に比較して小さい、皮膚における切開を通して行われている。一般的に、そのような処置は、患者の腹に対して行われない限りは、内視鏡処置と呼ばれる。患者の腹に対して行われる場合は、処置は腹腔鏡処置と呼ばれる。本開示を通して、低侵襲という用語は、内視鏡処置と腹腔鏡処置との両方を包含するものとして理解されたい。典型的な低侵襲処置中には、外科手術アクセスポート(例えば、トロカールおよび/またはカニューレアセンブリ)、内視鏡または他の器具のような外科手術物体が組織の切開を通して患者の身体の中に挿入される。患者の身体の中への外科手術物体の導入の前に、吹き込みガスが目標外科手術部位の周りの範囲を拡大するために用いられ得、より大きく、よりアクセスしやすい作業範囲を作る。そのため、吹き込みガスの流出を阻止し、拡大された外科手術部位の収縮またはへこみを阻止するために、実質的に流体密な密閉を維持することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この目的のために、さまざまなアクセス部材が低侵襲処置の過程の間に用いられ、当分野において広く公知である。さまざまな組織切開部位の中へ挿入され得、吹き込まれた外科手術部位の状態を維持し得る万能サイズのアクセス部材に対する継続的な必要性が存在している。さまざまな組織切開および身体表面状態を受け入れ、外科手術部位において変化する状態に適合することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
さまざまな実施形態に従って、本開示は、外部密閉部材を有している外科手術アクセスポートに関する。外科手術アクセスポートは、円筒形部材を含む。円筒形部材は、長手方向軸を規定し、近位および遠位端部を有している。円筒形部材の近位および遠位端部は、1対のリムまたはフランジによって規定される。1対のリムまたはフランジは、長手方向軸に対して実質的に横断して向けられる。少なくとも1つの管腔が円筒形部材を通り、近位端部から遠位端部まで延在する。管腔は、長手方向軸に対して実質的に平行である。外科手術アクセスポートは、円筒形部材の近位および遠位端部におけるリムが外科手術アクセスポートを身体部位の中に係留するように、切開部位の中に挿入され得る。
【0006】
外科手術アクセスポートは、また、密閉部材を含む。密閉部材は、対向する開口部を密閉部材の近位および遠位端部に有している。密閉部材の近位端部における開口部は、密閉部材の近位端部に接触しており、円筒形部材の近位端部におけるリムを係合し得る。密閉部材は、身体表面との実質的に流体密な密閉を形成し得る。
【0007】
実施形態において、密閉部材は、また、流体入口ポートを含み得る。流体入口ポートは、弁を組み込むことによって、密閉部材の中または外への流体の流れを制御する。密閉部材は、また、吹き込み流体の受け取りのためのポートを含み得る。他の構成において、密閉部材の遠位端部は、接着剤の助けによって、身体表面に取り付けられ得る。さらに、密閉部材は、曲線状身体表面または特定のジオメトリを有している身体表面領域に接触するような形状とされ得るか、または曲げられ得る。
【0008】
外科手術アクセスポートを位置決めする方法も開示される。方法は、外科手術アクセスポートを身体部位に設置することと、実質的に流体密な密閉が形成されるように、密閉部材を身体表面に接触して設置することとを含む。適所にある外科手術アクセスポートによって、外科手術器具が管腔に挿入され得、低侵襲処置が体腔において行われ得る。低侵襲処置が完了したときに、外科手術器具および外科手術アクセスポートは、身体部位から取り除かれ得る。
【0009】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術アクセスポートであって、
円筒形部材であって、該円筒形部材は、長手方向軸を規定し、1対のリムによって規定された近位端部と遠位端部とを有しており、該1対のリムは、該長手方向軸に対して実質的に横断するように方向付けられている、円筒形部材と、
少なくとも1つの管腔であって、該少なくとも1つの管腔は、該円筒形部材の該近位端部から該遠位端部まで延在し、該管腔は、該長手方向軸に対して実質的に平行である、管腔と、
密閉部材であって、該密閉部材は、対向する開口部を有している近位端部および遠位端部を有しており、該密閉部材の該近位端部における開口部は、該円筒形部材の該近位端部に接触している、密閉部材と
を含む、外科手術アクセスポート。
(項目2)
上記密閉部材は、流体入口ポートをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目3)
上記密閉部材は、流体解放ポートをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目4)
上記密閉部材は、吹き込み流体の受け取りのためのポートを有している、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目5)
上記密閉部材の遠位端部は、接着剤によって、身体表面に取り付けられる、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目6)
上記密閉部材は、身体表面との実質的に流体密な密閉を形成する、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目7)
上記密閉部材は、曲線状の身体表面に密閉可能に接触するような構成および寸法とされる、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目8)
上記リムは、身体部位と接触している、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目9)
外科手術アクセスポートを用いる方法であって、
該方法は、
外科手術アクセスポートを身体部位に設置するステップであって、該外科手術アクセスポートは、
円筒形部材であって、該円筒形部材は、長手方向軸を規定し、1対のリムによって規定された近位および遠位端部を有しており、該1対のリムは、該長手方向軸に対して実質的に横断して向けられている、円筒形部材と、
少なくとも1つの管腔であって、該管腔は、該円筒形部材の近位端部から遠位端部まで延在し、該長手方向軸に対して実質的に平行である、管腔と、
密閉部材であって、該密閉部材は、対向する開口部を有している近位および遠位端部を有しており、該密閉部材の近位端部における開口部は、該円筒形部材の近位端部と接触している、密閉部材と
を含む、ステップと、
実質的に流体密な密閉を形成するように、該密閉部材を身体表面に接触して設置するステップと
を含む、方法。
(項目10)
少なくとも1つの外科手術器具を前記少なくとも1つの管腔を通して挿入するステップをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目11)
低侵襲処置を前記外科手術アクセスポートを通して行うステップをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記少なくとも1つの外科手術器具を前記少なくとも1つの管腔から取り除くステップをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記外科手術アクセスポートを前記身体部位から取り除くステップをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記密閉部材は、流体入口ポートをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記密閉部材は、流体解放ポートをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記密閉部材は、吹き込み流体を受け取るためのポートを有している、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記密閉部材の遠位端部は、接着剤によって身体表面に取り付けられる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記密閉部材は、身体表面との実質的に流体密な密閉を形成する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19)
前記密閉部材は、曲線状身体表面に密閉可能に接触するような構成および寸法とされる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目20)
前記リムは、身体部位と接触している、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0010】
(摘要)
外科手術アクセスポートおよびそれを用いる方法が開示される。外科手術アクセスポートは、円筒形部材を含む。円筒形部材は、長手方向軸を規定し、1対のリムによって規定された近位端部を有している。1対のリムは、長手方向軸に対して実質的に横断して向けられる。少なくとも1つの管腔が円筒形部材の近位端部から遠位端部まで延在する。管腔は、長手方向軸に対して実質的に平行である。密閉部材は近位および遠位端部を有しており、近位および遠位端部は対向する開口部を有している。密閉部材は、円筒形部材の外部に配置される。密閉部材の近位端部における開口部は、円筒形部材の近位端部と接触している。
【0011】
本開示のさまざまな局面は、添付の図面に関連して読んだ場合に、以下の詳細な説明から、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、密閉部材を有しており、組織の層に配置されている外科手術アクセスポートの側面透視図である。
【図2】図2は、組織の層に配置され、円筒形部材の長さを延在する管腔を破線で示す、図1の外科手術アクセスポートの側面図である。
【図3】図3は、下に配置されている密閉部材を部分的に破線で示す、図1の外科手術アクセスポートの上部平面図である。
【図4】図4は、密閉部材がオペレーターによって係合され、密閉部材と身体表面との間の実質的に流体密な密閉の形成が示されている、図1の外科手術アクセスポートの側面図である。
【図5】図5は、外科手術器具が管腔を通して下の体腔の中に挿入されている、図1の外科手術アクセスポートの側面図である。
【図6】図6は、流体が密閉部材と身体表面との間の空間の中に流れている、図1の外科手術アクセスポートの側面図である。
【図7】図7は、組織の層に配置され、接着剤を密閉部材の遠位端部と身体表面との間に配置した、図1の外科手術アクセスポートの側面図である。
【図8】図8は、組織の層に配置され、曲線状身体表面を係合する、側面図で示された外科手術アクセスポートの実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態の詳細な説明)
ここで、本開示は、図面を参照して、外科手術アクセスポートの実施形態を詳細に説明する。図面において、類似の参照数字は、各図における同一または実質的に類似する部分を指す。説明を通して、「近位」という用語は、オペレーターに最も近いアセンブリの一部を指す。「遠位」という用語は、オペレーターから最も遠いアセンブリの一部を指す。低侵襲処置のための切開の観点から述べられるが、本開示の外科手術アクセスポートは、任意の自然に生じた開口(例えば、口、肛門または膣)においても用いられ得る。
【0014】
まず、図1を参照すると、外科手術アクセスポート100が示されている。外科手術アクセスポート100は、円筒形部材110を含み、長手方向軸A1を規定する。円筒形部材110は、全体的に砂時計形状を有しており、近位端部110aおよび遠位端部110bを有している。円筒形部材110の近位端部110aおよび遠位端部110bは、長手方向軸A1に対して実質的に直角であり、各々、リムによって規定される。円筒形部材110の近位端部110aおよび遠位端部110bにおけるリムは、外科手術アクセスポート100を組織の層400の中に係留する役割を果たし得る。
【0015】
少なくとも1つの管腔120(実施形態においては、複数の管腔120)が円筒形部材110を通って、長手方向軸A1に沿って延在する。管腔120は、長手方向軸A1に対して、実質的に平行に配置される。上で概略的に説明したタイプのアクセスポートは、米国特許出願公開第2009/0093752号および第2010/0240960号に開示されており、それらの全開示は、参照することによって本明細書において援用される。
【0016】
外科手術アクセスポート100は、また、円筒形部材110の外側上に配置された密閉部材130を含む。密閉部材は、近位端部130aおよび遠位端部130bを有している。各端部は、対向する開口部を有している。開口部は、円筒形部材110を受け取るために、各端部を通る通路を規定する。密閉部材130の近位端部130が円筒形部材110の近位端部110aと接触するように、密閉部材130aは、円筒形部材110の外面上に配置される。密閉部材130の近位端部130aは、円筒形部材110の近位端部110aにおけるリムを係合し得る。
【0017】
密閉部材130bの遠位端部130bは、円筒形部材110を受け取るための通路の周りの側壁130cを含み得る。側壁130cは、密閉部材130の近位端部130aにおける開口部から少なくとも身体表面400a(実施形態においては、さらに組織の層400の中)まで延在する。側壁130cは、密閉部材130の下の空間を円筒形部材110から区分する役割を果たす。さらに、側壁130cは、円筒形部材110の外面を密閉可能に係合し、円筒形部材110を適所に固定し、体腔400bからの吹き込みガスの流出を阻止する。
【0018】
密閉部材130および円筒形部材110は、単一のユニットとして形成され得るか、または分離可能な構成要素であり得る。密閉部材130および円筒形部材110を互いから分離可能にすることによって、円筒形部材110は、取り除きおよび交換が可能にされるが、同じ密閉部材130が使用される。
【0019】
密閉部材130の本体は、可撓性であるが、流体を保持し、身体部位と接触したままであるのに適した弾性材料(例えば、ポリマー材料)から形成される。密閉部材130は、身体表面400aと実質的に流体密な密閉を形成するような構成および寸法とされる。流体が密閉部材130と身体表面400aとの間の空間から排除された場合に、そのような密閉が達成される。
【0020】
密閉部材130の遠位端部130bと側壁130cとの間の空間からの流体の排出を助けるために、流体解放ポート140が提供され得る。流体解放ポート140は、密閉部材130の中または外への流体の流れを制御する目的に適している弁(例えば、ダックビルバルブまたは2弁)を含み得る。流体解放ポートは、真空の供給源500にさらに結合され得ることによって、密閉部材130からの流体の排出を助ける。真空の供給源500は、流体を密閉部材130の遠位端部130bと側壁130cとの間の空間から引く能力を有している任意の供給源(例えば、シリンジまたはポンプ)であり得る。真空の供給源500は、流体解放ポート140に管500bによって結合され得る。
【0021】
ここで、図2を参照すると、図1の外科手術アクセスポート100の側面図が示されている。この図において、円筒形部材110の構成要素に対する密閉部材130の設置が示される。円筒形部材110の近位端部110aにおけるリムに接触している密閉部材130の近位端部130aが示される。身体表面400aを覆う密閉部材130の遠位端部130bが示される。組織400の層を通して挿入された円筒形部材110が示され、円筒形部材110の遠位端部110bは、体腔400bに配置されている。
【0022】
図3を参照すると、組織の層400(図1)に配置された図1の外科手術アクセスポート100の上部平面図が示されている。密閉部材130、円筒形部材110および管腔120の相対的な間隔がこの図に示される。管腔120は、円筒形部材110に近接する範囲から体腔400b(図2)までの遮られていない通路を提供する。
【0023】
ここで、図4を参照すると、組織の層400に配置され、オペレーターによって係合された外科手術アクセスポート100が示されている。力が長手方向軸に沿って遠位方向に適用されると、密閉部材130の遠位端部130bと、側壁130cとの間の空間にたまった流体が流体解放ポート140の外に出され、密閉部材130の遠位端部130bの下から出される。あるいは、流体解放ポート130は、真空の供給源500に結合され得ることによって、上で述べたように、密閉部材からの流体の排出を助ける。
【0024】
密閉部材130の遠位端部130bと側壁130cとの間の空間における流体を排出することによって、実質的に流体密な密閉が形成される。円筒形部材110の外面との側壁130cの密閉された係合は、体腔400bからの吹き込みガスの流出を阻止する。このことは、円筒形部材110が組織層400の切開よりも小さいサイズであり、吹き込み流体が体腔400bから、より流出しやすい状況において、特に重要である。したがって、外科手術アクセスポート100は、万能サイズの円筒形部材110と、さまざまな外科手術部位に適合され得る密閉部材130とを有し得る。
【0025】
図5を参照すると、組織の層400に配置された外科手術アクセスポート100が示され、外科手術器具600は、管腔120を通して挿入される。したがって、外科手術器具600およびエンドエフェクタ600bは、体腔400bの中に挿入される。したがって、外科手術アクセスポート100のオペレーターは、外科手術器具600を円筒形部材110に近接する範囲から操作することと、エンドエフェクタ600bに所望の作業を行わせることとによって、体腔400bにおける低侵襲処置を行い得る。
【0026】
ここで、図6を参照すると、組織の層に配置された外科手術アクセスポート100が示されており、密閉部材130は、身体表面400aとの密閉された状態から解放される。密閉部材上に配置された流体入口ポート150も示されている。流体入口ポート150は、密閉部材130の中または外への流体の流れを制御するという点において、流体出口ポート140に類似して機能する。流体入口ポート150は、そのような目的に適している弁(例えば、ダックビルバルブまたは2弁)であり得る。流体入口ポート150は、また、吹き込みガスを密閉部材130およびその中において流体連絡している任意の範囲に送り得る。
【0027】
示されるように、力が長手方向軸に沿って、近位方向に適用され得ることによって、密閉130を身体表面400aから解放させる。あるいは、流体が流体入口ポート150および密閉部材130の中に流れるように、流体入口ポート150が操作され得る。
【0028】
流体入口ポート150の中および密閉部材130の遠位端部130bの下に流れる流体が示されている。流体が密閉部材130の遠位端部130bと側壁130cとの間の空間を満たすと、密閉部材130と身体表面400aとの間の密閉された関係が消散する。
【0029】
使用において、オペレーターは、外科手術アクセスポートの円筒形部材を組織の層400における適所に位置決めする。密閉部材130は、オペレーターによって係合され、図4に示されるように、身体表面400aと実質的に流体密な密閉をするように加圧される。あるいは、密閉部材130は、吹き込み流体の供給源500に結合され得ることによって、実質的に流体密な密閉を形成する。外科手術器具600(図5)は、管腔120を通して挿入され、外科手術器具600のエンドエフェクタ600b(図5)は、体腔400bに配置される。外科手術アクセスポート100を通した適所にある外科手術器具600によって、低侵襲処置が体腔400bで行われ得る。そのような処置が完了したときには、外科手術器具600は体腔400bから取り除かれ得る。密閉部材130と身体表面400aとの間の密閉された関係は、図6に示されるように、流体が密閉部材130の中に流れることを可能にすることによって消散する。次いで、外科手術アクセスポート100は、組織の層400から取り除かれ得る。
【0030】
あるいは、密閉部材130が円筒形部材110の導入の前に身体表面に設置および密閉され得る。その後に円筒形部材110が挿入され得る。同様に、外科手術アクセスポート100を取り除く際に、密閉部材130および身体表面400aの密閉された関係が側壁130cの存在によって維持され得、円筒形部材110が密閉部材130の前に取り除かれることを可能にする。
【0031】
ここで、図7を参照すると、外科手術アクセスポート100の側面図が示され、接着剤160が密閉部材130の遠位端部130bと身体表面400aとの間に配置される。接着剤160は、密閉部材130が密閉部材130と円筒形部材110と身体表面400aとの間の実質的に流体密な密閉を維持するのを助ける。接着剤160は、組織接触すると治癒する接着剤、紫外線(UV)光に晒されると治癒する接着剤、互いから離された2部システムであり、互いに接触するようになると治癒する接着剤、圧力センシティブな接着剤、それらの任意の組み合わせである接着剤または任意の他の既知である適切な接着剤を含む生体適合性接着剤であるべきだが、それらに限定されない。
【0032】
上の図4および図6において示されたように、流体が密閉部材130の遠位端部130bと側壁130cとの間の空間に導入または空間から排除された場合には、接着剤160は、密閉部材130の遠位端部130bの下の流体の流れに干渉し得、結果として、流体出口ポート140および流体入口ポート150(図6)は、密閉部材130の遠位端部130bと側壁130cとの間の空間に流体を入れ、空間から流体を出す際に、より大切な役割を果たし得る。真空流体の供給源500もそのような状況において使用され得る。
【0033】
図8を参照すると、組織の層700に配置された外科手術アクセスポート200の実施形態が示されている。組織の層700は、不規則な形状を有しており、したがって、不規則な身体表面700aを有している。先に述べた外科手術アクセスポート100に類似して、外科手術アクセスポート200は、円筒形部材110を含み、長手方向軸A1を規定する。円筒形部材110は、全体的に砂時計形状を有しており、近位端部110aおよび遠位端部110bを有している。円筒形部材110の近位端部110aおよび遠位端部110bは、長手方向軸A1に対して実質的に直角であり、各々、リムによって規定される。円筒形部材110の近位端部110aおよび遠位端部110bにおけるリムは、外科手術アクセスポート200を組織の層700の中に係留する役割を果たし得る。長手方向軸A1に対して実質的に平行して向けられている少なくとも1つの管腔120は、円筒形部材110の近位端部110aから遠位端部110bまで延在する。
【0034】
密閉部材230が円筒形部材110の外側上に配置される。密閉部材230は、対向する開口部を有している近位端部230aおよび遠位端部230bを有している。先に述べた密閉部材130におけるように、密閉部材230の近位端部230aが円筒形部材110の近位端部110aを係合するように、密閉部材230は、円筒形部材110の外面上に配置される。密閉部材230は、また、側壁230cを組み込み得ることによって、密閉部材230の遠位端部230bと側壁230cとの間の空間を体腔400bから区分する。密閉部材230の遠位端部230bは、特定の表面ジオメトリを有している身体表面400aを係合するような形状とされるか、または曲げられる。そのような表面ジオメトリは、凹凸を有し得るか、そうでない場合には、関節または四肢の近くにおけるような身体上の特定の場所のために不規則であり得る。外科手術アクセスポート200は、外科手術アクセスポート100に関して先に説明したのと実質的に同じ態様で機能し、流体入口ポート140を含み得ることによって、密閉部材130と身体表面700aとの間に実質的に流体密な密閉を形成するのを助ける。
【0035】
さまざまな改変が本明細書において開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。そのため、上の説明は、限定的として解釈されるのではなく、実施形態の例示に過ぎないと解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神内に他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0036】
100 外科手術アクセスポート
110 円筒形部材
110a 近位端部
110b 遠位端部
120 管腔
130 密閉部材
130a 近位端部
130b 遠位端部
130c 側壁
140 流体解放ポート
400 組織の層
400a 身体表面
400b 体腔
500 真空の供給源
500b 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術アクセスポートであって、
円筒形部材であって、該円筒形部材は、長手方向軸を規定し、1対のリムによって規定された近位端部と遠位端部とを有しており、該1対のリムは、該長手方向軸に対して実質的に横断するように方向付けられている、円筒形部材と、
少なくとも1つの管腔であって、該少なくとも1つの管腔は、該円筒形部材の該近位端部から該遠位端部まで延在し、該管腔は、該長手方向軸に対して実質的に平行である、管腔と、
密閉部材であって、該密閉部材は、対向する開口部を有している近位端部および遠位端部を有しており、該密閉部材の該近位端部における開口部は、該円筒形部材の該近位端部に接触している、密閉部材と
を含む、外科手術アクセスポート。
【請求項2】
前記密閉部材は、流体入口ポートをさらに含む、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項3】
前記密閉部材は、流体解放ポートをさらに含む、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項4】
前記密閉部材は、吹き込み流体の受け取りのためのポートを有している、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項5】
前記密閉部材の遠位端部は、接着剤によって、身体表面に取り付けられる、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項6】
前記密閉部材は、身体表面との実質的に流体密な密閉を形成する、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項7】
前記密閉部材は、曲線状の身体表面に密閉可能に接触するような構成および寸法とされる、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項8】
前記リムは、身体部位と接触している、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200605(P2012−200605A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65367(P2012−65367)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】