説明

膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法

【課題】センサが膀胱容積に関する情報を得た後、その情報を備えられたRFIDチップ(特に、パッシブ型RFIDチップ)を用いて読み取り機に伝送することにより、周りに位置する他の無線通信装置からの影響を受けず、センサの構造が単純化し、費用節減の効果があることを特徴とする、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法を提供する。
【解決手段】電波を受信するアンテナと;特定波を発生させ、特定波を用いて膀胱のサイズを示す膀胱の容積値を測定するトランスデューサと;電波によってアンテナに入射される電磁場を用いて電源を生産および供給し、膀胱の容積値から膀胱容積に関する情報を生成し、それをアンテナを介して外部に送り出すRFIDチップ;とを含み、膀胱容積の測定センサはユーザの下腹部の肌に貼り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法に関するものである。より詳しくは、センサがパッシブ型RFIDチップ(Passive Radio Frequency Identification Chip)を備え、それを介して読み取り機から発生する電波を用いて駆動電源を生産し、弾性波または電磁波を用いて測定した膀胱容積に関する情報を読み取り機に伝送する膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、膀胱は人体、特に腹部の内部に備えられた袋状の臓器を指す。このような膀胱は、腎臓から流れ出る尿を貯蔵して一定量になればそれを尿道を介して外部に排出させる機能をする。
【0003】
通常、一般人の場合は自律神経系によって膀胱の容積が飽和状態に達したことを示す刺激が伝達されればそれに対して適切な反応を取る。しかし、痴呆や下半身麻痺(Paraplegia)のような患者の場合は、自律神経系に異常が生じて膀胱が飽和状態に達してもそれを容易に把握することができない。そのために患者や患者を看護する看病人は、患者がいつ小便をするか分からない心理的不安感で、外出する時に尿を処理する道具や余分の服を用意しなければならない不便がある。また、看病人は随時に患者が小便をするように措置しなければ、尿で患者の服が汚れるなど患者の衛生状態が悪くなる問題点が生じる。さらに、膀胱が飽和状態のまま持続すれば、尿が腎臓まで逆流し血流に流れ込んで尿毒症(Uremia)を誘発させる場合が生じ、ともすると腎臓が悪くなる結果を招くこともある。
【0004】
したがって、痴呆や下半身麻痺のような患者にとって膀胱の容積が飽和状態に達したことを知らせる装置は緊要である。特に、今日の産業化による環境汚染などで自律神経系に異常のある患者が増えている現状で上記のような装置の必要性は言うまでもない。
【0005】
従来から上記問題を解決するために多くの装置が提案された。例えば、大韓民国の食品医薬品安全庁によって認許可された医療機器としては膀胱の容積と圧力を測定する機器である膀胱内圧計(Urodynamics Measurement System)がある。このような従来の膀胱の容積を測定する装置や方法について説明すれば次の通りである。
【0006】
「Ultrasonics Symposium,IEEE 1986,pp.953−956」にJ.Companion,S.Heyman,T.Blalock,A.Cavalier,B.Mineo,F.KlienおよびL.Foxが発表した「Bladder Distension Sensor for the Handicapped」(以下、「従来文献1」という)には、超音波を用いて膀胱の容積を測定する装置が提案されている。すなわち、従来文献1によれば、対象者の膀胱近くの腹部の肌に超音波センサ(Acoustic Transducer)が取り付けられる。すると、超音波センサが超音波を発生させてそれを膀胱に出力し、膀胱から反射してくる超音波を受信する。すると、その波形を分析して膀胱の容積を把握することができる。
【0007】
このような従来文献1によれば、超音波センサを駆動させる電源は、バッテリから供給されるかケーブルを介して接続された電源提供装置から供給される。しかし、超音波センサにバッテリから電源が供給される場合にはバッテリ容量の限界で一定期間しか使用できない。よって、一定期間が経過した時にはバッテリを取り替えなければならない不便があり、そのため追加費用が発生する問題点もある。また、超音波センサに電源提供装置から電源が供給される場合には、ケーブルの長さの制限で電源提供装置が近傍に位置しなければ電源が供給できない。また、超音波センサに電源が円滑に供給されるためには常にケーブルを携帯しなければならない不便がある。
【0008】
また、従来文献1に提案された装置は、上記のように電源が供給されるため超音波センサのサイズが大きくて携帯するのに不便がある。
【0009】
一方、米国公開特許公報第2005/0165317号(2005年7月28日公開)「Medical Devices」(以下、「従来文献2」という)に提案された装置は、膀胱の容積をより正確に測定するためにセンサを人体内に備えることを特徴とする。しかし、従来文献2のようにセンサを人体の内部に備えると人体がそれに対し酷い拒否反応を示す場合(例えば、疼痛の誘発)が生じ得る。そして、センサが挿入された人体の特定部分は外部から衝撃が与えられないように常に注意しなければならない不便がある。また、センサを人体の内部に移植するためには施術が必要であるが、それによって時間と費用がかかる問題点が生じる。また、センサは人体に無害な物質で包まれていなければならないので(すなわち、人体組織への親和物質を用いた高価のパッケージングプロセスが必要となるため)、それによって追加費用がかかる問題点もある。
【0010】
一方、米国公開特許公報第2004/0100376号(2004年5月27日公開)「Healthcare Monitoring System」(以下、「従来文献3」という)に提案された装置は、人体に取り付けられるセンサが膀胱の容積値を測定すれば、それをUWB(Ultra Wide Band)を用いて読み取り機に伝達することを特徴とする。しかし、従来文献3で用いられる通信手段であるUWBは、数GHzの帯域にかけて超広帯域の特性を有するためCDMAやGPSのような無線通信システムと共存しなければならない。すなわち、UWBは他の無線通信手段を用いる装置に干渉したり障害を受けたりする。また、UWBは通信時に広帯域を用いるためセンサの構造が複雑になり、それによって高費用がかかる。また、UWBは高い瞬時パルス電力によって電磁気的な問題が生じ得るし、超広帯域特性に適したアンテナを設計する時にその構成が複雑になる問題点がある。また、UWBは信号対雑音比が高く、周波数を共有するためには使用帯域と送信出力を制限しなければならない短所もある。
【0011】
さらに、従来文献3に提案された装置は、電源として時計バッテリや薄膜バッテリのような小型バッテリを用いるため従来文献1が有する問題点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のような問題点を解決するために本発明は、センサが膀胱容積に関する情報を得た後、その情報を備えられたRFIDチップ(特に、パッシブ型RFIDチップ)を用いて読み取り機に伝送することにより、周りに位置する他の無線通信装置からの影響を受けず、センサの構造が単純化し、費用節減の効果があることを特徴とする、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法を提供することをその目的とする。
【0013】
また、本発明は、センサを人体の肌(特に、腹部の肌)に貼り付けることにより、施術する時にかかる時間と費用を節減することができ、センサが人体の内部に取り付けられる場合に生じる危険性を無くすことを特徴とする、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法を提供することをその目的とする。
【0014】
また、本発明は、センサを駆動させる電源を読み取り機から発生する電波や人体から発散される熱を用いる熱発電素子から得ることにより、バッテリやケーブルに接続された電源提供装置から電源が提供される場合に生じる問題点を無くすことを特徴とする、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法を提供することをその目的とする。
【0015】
また、本発明は、上記したことによってセンサを携帯可能な小型に製作することにより、センサの移動性が向上することを特徴とする、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法を提供することをその目的とする。
【0016】
また、本発明は、読み取り機を携帯可能に製作することにより、患者の膀胱が飽和状態に達したことを直ちに確認することができ、看病人が常に患者の近くにいなければならないという手間を減らすことを特徴とする、膀胱容積の測定センサおよびそれを用いた膀胱管理システムとその方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために本発明は、膀胱の容積を測定する膀胱容積の測定センサにおいて、電波を受信するアンテナと;特定波を発生させ、前記特定波を用いて前記膀胱のサイズを示す膀胱の容積値を測定するトランスデューサと;前記電波によって前記アンテナに入射される電磁場を用いて電源を生産および供給し、前記膀胱の容積値から膀胱容積に関する情報を生成し、生成した前記情報を前記アンテナを介して外部に送り出すRFIDチップと;を含み、前記膀胱容積の測定センサはユーザの下腹部の肌に貼り付けられることを特徴とする膀胱容積の測定センサを提供する。
【0018】
具体的に、前記トランスデューサが発生させる前記特定波は、弾性波または電磁波であることが好ましい。
【0019】
具体的に、前記RFIDチップは、体温を用いて前記電源を生産する人体の熱発電素子を備えることが好ましい。
【0020】
より具体的に、前記RFIDチップは、前記ユーザに関する情報、前記ユーザを識別する情報、固有IDのうちいずれか1つを含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明は、膀胱の容積を測定する膀胱容積の測定センサを用いるシステムにおいて、周期的にまたは随時に電波を送信し、ユーザの膀胱サイズを示す膀胱容積に関する情報を受信すれば、その情報を解釈してユーザまたは前記ユーザを看護する看病人に通知する膀胱RFID読み取り機と;前記電波によって入射される電磁場を用いて電源を生産し、特定波を用いて前記膀胱容積に関する情報を生成し、その情報を前記膀胱RFID読み取り機に伝送する膀胱容積の測定センサと;を含む膀胱管理システムを提供する。
【0022】
具体的に、前記膀胱RFID読み取り機は、警報音装置、音声装置、ディスプレイ装置、発光ダイオード装置などのように前記ユーザまたは前記看病人が認知できる装置を備えることが好ましい。
【0023】
より具体的に、前記膀胱RFID読み取り機は、前記ユーザまたは前記看病人が携帯する移動式機器であるか、壁、柱、天井のうちいずれか1ヶ所に取り付けられる固定式機器であることが好ましい。
【0024】
具体的に、前記膀胱管理システムは、前記膀胱RFID読み取り機から前記ユーザの膀胱容積に関する情報が提供され、それを用いて前記ユーザの膀胱状態に対する履歴を管理し、非常時に前記ユーザの膀胱状態を予測して、それを前記ユーザまたは前記看病人に通知する膀胱管理サーバと;前記膀胱管理サーバに連動し、前記膀胱管理サーバが受信したり行ったりする情報を格納する膀胱管理データベースと;前記看病人が接続する機器であって、前記膀胱RFID読み取り機または前記膀胱管理サーバから前記ユーザの膀胱がいかなる状態であるかに関する報告を受ける看病人の端末機をさらに含むことが好ましい。
【0025】
また、本発明は、膀胱の容積を測定する膀胱容積の測定センサを用いるシステムの運用方法において、(a)膀胱RFID読み取り機が、周期的にまたは特定人の要求に応じて電波を発生させるステップと;(b)膀胱容積の測定センサが、前記電波を受信して電源を生産し、弾性波または電磁波を発生させ、それをユーザの膀胱方向に出力するステップと;(c)前記膀胱容積の測定センサが、前記膀胱に反射して戻ってくる前記弾性波または前記電磁波を受信して、その波から前記ユーザの膀胱容積に関する情報を生成するステップと;(d)前記膀胱容積の測定センサが、前記膀胱容積に関する情報が含まれた信号を前記膀胱RFID読み取り機110に伝送するステップと;(e)前記膀胱RFID読み取り機が、前記ユーザの膀胱がいかなる状態であるかを前記ユーザまたは前記ユーザを看護する看病人に通知するステップと;を含むことを特徴とする膀胱管理システムの運用方法を提供する。
【0026】
具体的に、前記(b)ステップは、(a2)前記膀胱容積の測定センサが、格納された前記膀胱容積に関する情報を前記膀胱RFID読み取り機に伝送するステップを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば膀胱容積の測定センサは、バッテリを用いないため全体的なサイズが小さくて移動性が向上し、人体内部に施術して用いる場合に生じ得る副作用を最小化することができる効果がある。
【0028】
また、本発明によれば痴呆老人を世話する看病人の手間を相当減らせる効果がある。その理由は、痴呆老人の体内尿量を測定して尿量が多い場合、予め小便をするようにすることができるためである。また、体内の尿量が何の理由もなく減少したらそのことから尿が一部外部に排出したことを感知して、看病人が直ちにオムツを取り替えできるので老人の衛生にも役に立つ。
【0029】
また、本発明によれば、尿意を感じられない下半身麻痺患者らにも用いられ、彼らに便宜を提供することができる効果がある。
【0030】
また、本発明によれば、知能発達障害者の小便をする練習にも用いることができる効果がある。その理由は、膀胱RFID読み取り機を携帯した看病人が伝えられた情報に基づいて患者に小便をするように指示して患者を練習させることができるためである。また、患者に膀胱RFID読み取り機を提供して患者自ら練習できるようにすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付した図面を参照して詳しく説明する。まず各図面の構成要素に参照符号を付する際に同一構成要素については、たとえ他の図面上に表示する際にもできれば同一符号を付するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにおいて、関わりのある公知構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。また、以下にて本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明の技術的思想はそれに限定および制限されず、当業者によって変形され、様々に実施することができる。
【0032】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムを概略的に説明した概念図である。図1に示すように、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムは、膀胱容積の測定センサ100、膀胱RFID読み取り機110、膀胱管理サーバ120、膀胱管理データベース122、および看病人の端末機130を含む。
【0033】
膀胱管理システムは、膀胱RFID読み取り機110が患者(以下、「ユーザ」という)の肌に貼り付けられる特定の膀胱容積の測定センサ100にユーザの膀胱容積に関する情報を要請すれば、膀胱容積の測定センサ100がその情報を膀胱RFID読み取り機110に伝送することを特徴とする。すると、膀胱RFID読み取り機110は、伝えられた情報に基づいて異常が発生した時(例えば、膀胱の容積が飽和状態に達した場合)にユーザや看病人にそのことを通知することができる。そこで、膀胱RFID読み取り機110が膀胱容積の測定センサ100から膀胱容積に関する情報を獲得する方法を説明すれば次の通りである。
【0034】
まず、膀胱RFID読み取り機110が膀胱容積に関する情報を要請するというメッセージが含まれた信号を送信すれば、膀胱容積の測定センサ100がそれを受信する。すると、膀胱容積の測定センサ100が測定した膀胱容積に関する情報を膀胱RFID読み取り機110に伝送する。この時、膀胱容積の測定センサ100は、測定した膀胱容積に関する情報がなければ、弾性波(Elastic Wave;例えば、超音波)または電磁波(Electromagnetic Wave)を用いて膀胱から容積に関する情報を得る。次に、膀胱容積の測定センサ100はその情報を膀胱RFID読み取り機110に伝送する。膀胱容積の測定センサ100が膀胱から容積に関する情報を得る方法については以下でより詳細に説明する。
【0035】
一方、上記で膀胱容積の測定センサ100が膀胱RFID読み取り機110に膀胱容積に関する情報を伝送する時にユーザに関する情報も共に抽出して伝送することが好ましい。その理由は、膀胱容積の測定センサ100がユーザに関する情報を伝送すれば膀胱容積に関する情報が誰のものであるかを判別することができるためである。一方、膀胱容積の測定センサ100は、ユーザに関する情報の代わりにユーザを識別できる情報やRFIDチップが有する固有IDを伝送することもできる。
本発明に係る膀胱管理システムは、病院のような医療機関に備えられて疾患のある障害者や老人などを看護する時に用いることができる。
【0036】
膀胱容積の測定センサ100は、本発明の実施形態においてユーザの膀胱容積がいかなる状態であるかを測定する機能をする。そのために膀胱容積の測定センサ100はトランスデューサを備える。すなわち、膀胱容積の測定センサ100はトランスデューサを用いて弾性波や電磁波を発生させる。次に、膀胱容積の測定センサ100はそれを膀胱に出力して、反射して戻ってくる波を受信する。すると、膀胱容積の測定センサ100は受信した波に基づいて膀胱容積に関する情報を得ることができる。
【0037】
膀胱容積の測定センサ100は、膀胱RFID読み取り機110の要請がある場合、測定した膀胱容積に関する情報を前記膀胱RFID読み取り機110に伝送する機能をする。そのために膀胱容積の測定センサ100はアンテナを備える。しかし、本発明の実施形態における膀胱容積の測定センサ100は膀胱容積に関する情報を測定すると直ちにその情報を膀胱RFID読み取り機110に伝送することもできる。
【0038】
本発明に係る膀胱容積の測定センサ100は、膀胱RFID読み取り機110から発散する電波を用いて作動のための電源を生産して自生することを特徴とする。上記の技術分野および従来技術で説明したように、従来の膀胱の容積を測定するセンサはバッテリや電源提供装置に有線で接続されて、作動のための電源が供給されたものである。電源がバッテリから供給されればバッテリを随時に取り替えなければならない不便があり、そのためにはセンサをユーザの腹部から随時に脱着しなければならない不便もある。そして、電源が電源提供装置から供給されれば、センサを貼り付けたユーザの移動性に制約を受ける不便がある。しかし、本発明に係る膀胱容積の測定センサ100は電源を生産するためこのような不便を無くすことができる。
【0039】
本発明に係る膀胱容積の測定センサ100は上記のことを実現するためにRFIDチップを備える。特に、膀胱容積の測定センサ100はパッシブ型RFIDチップを備える。通常RFID読み取り機は、RFIDチップに対し特定の電波を送信して、RFIDチップを活性化させて電力を供給し、符号化/復号化によってRFIDチップに格納されたデータを認識する。すなわち、本発明では、膀胱RFID読み取り機110が周期的に(または随時に)膀胱容積に関する情報を要請するというメッセージが含まれた信号を出力すれば、膀胱容積の測定センサ100はその信号をアンテナを介して受信する。この時、膀胱RFID読み取り機110は、誘導結合(Inductive Coupling)やエレクトロマグネチックキャプチャー(Electromagnetic Capture)などの方法を用いて膀胱容積の測定センサ100を励起させる。すると、膀胱容積の測定センサ100はアンテナへ入射された電磁場(またはRFフィールド)から電源を生産および確保することができる。
【0040】
また、膀胱容積の測定センサ100は、ユーザに便宜性を提供するために携帯できるように小型に製作されることが好ましい。一方、パッシブ型RFIDチップはバッテリや電源供給装置が内蔵されないため非常に小さいサイズに製作することができる。よって、膀胱容積の測定センサ100がパッシブ型RFIDチップを備えれば全体的なサイズを小型に製作することができる。
【0041】
しかし、パッシブ型RFIDチップは一般的に認識可能な距離が1m内外で非常に短い。最近になって900MHz帯域のUHF(Ultra High Frequency)が導入されてRFIDに適用されるとはいうものの、認識可能な距離は5m以内である。すなわち、他の無線通信装置(例えば、CDMAやGPS端末機)との干渉を避けるため、膀胱RFID読み取り機110が送信電波を介して放出する電力量は非常に少ない。そのため、膀胱RFID読み取り機110は膀胱容積の測定センサ100に備えられるパッシブ型RFIDチップから5m以上距離をおくと認識率が大幅に低下して実用性がない。したがって、本発明の実施形態における膀胱RFID読み取り機110は膀胱容積の測定センサ100の近くに位置することが好ましい。そのため、膀胱RFID読み取り機110は膀胱容積の測定センサ100を貼り付けたユーザが携帯することが好ましい。一方、膀胱RFID読み取り機110は壁や天井などに固定され得る。その場合、膀胱RFID読み取り機110は互いに近くに位置することが好ましい。
【0042】
一方、膀胱容積の測定センサ100に備えられるRFIDチップはアクティブ型であるかセミパッシブ型であり得る。RFIDチップがアクティブ型であれば、認識可能な距離は数十メートルに延びる利点がある。しかし、アクティブ型RFIDチップは、製作時にかかる費用が高く、バッテリを用いるため、使用期間に制限がある短所がある。RFIDチップがセミパッシブ型に製作される場合はバッテリを用いて作動するが、膀胱RFID読み取り機110の送信電波から電源を生産することもできる。
【0043】
一方、膀胱容積の測定センサ100は電源をより充分に確保するために、人体から発散される熱(すなわち、体温)から電源を生産する人体の熱発電素子をさらに備えることが好ましい。このような人体の熱発電素子は例えば次のように構成することができる。
【0044】
一般的に温度測定に応用される電気的な方法のうち最も広く用いられるのが熱電対(Thermo Couple)である。熱電対とは、熱的/電気的に接触する互いに異なる2つの物質で構成される温度センサのことをいう。このような熱電対は温度の変化によって2つの物質の接触部で電位差が発生する。このような現象を熱電現象といい、この時に発生する電位差を熱起電力という。熱電現象は、熱電対の両端間の温度差を用いて起電力を得るゼーベック効果(Seebeck Effect)、構成物質が異なる場合に発生するエネルギ流れの不連続性によって起電力を得るペルチェ効果(Peltier Effect)などに分類することができる。
【0045】
したがって、上記の熱電対を用いて装置を構成すれば本発明に係る人体の熱発電素子を製造することができる。この時、熱電対は、(1)熱起電力が高く、(2)耐熱性および耐食性に優れており、(3)機械的に堅固で、(4)長期間用いても熱起電力が安定的であり、(5)損傷と摩耗が少なく、(6)同種の熱電対で常に同一特性を有し、(7)互換性があり、(8)高温測定の場合に電気抵抗および温度係数の小さい金属を用いることが好ましい。
【0046】
このような膀胱容積の測定センサ100の内部構成については図2aおよび図2bを参照して以下で説明する。
RFIDチップは、本発明の実施形態においてIC(Integrated Circuit)チップの形で備えられる。しかし、RFIDチップは、これに限定されることなく、ICタグの形やICカードの形で備えられることもできる。
【0047】
膀胱RFID読み取り機110は、本発明の実施形態において周期的に電波を発生させ、それを膀胱容積の測定センサ100に出力する機能をする。そこで、膀胱容積の測定センサ100に出力される電波は膀胱容積に関する情報を要請するというメッセージを含んでいる。すると、膀胱容積の測定センサ100は電波を受信して電源を生産し、前記メッセージを解釈してそれに対し適切な措置を取ることになる。
【0048】
膀胱RFID読み取り機110は、膀胱容積の測定センサ100からユーザの膀胱容積に関する情報が含まれた信号が到達すればその信号を受信する機能をする。次に、膀胱RFID読み取り機110は、受信した情報を解釈してユーザの膀胱がいかなる状態であるかを判別する。この時、膀胱RFID読み取り機110は、ユーザの膀胱状態に異常が発生したと判断すれば(すなわち、ユーザの膀胱容積が飽和状態に達したと判断すれば)、そのことをユーザまたは看病人に通知する機能をする。そのために膀胱RFID読み取り機110は、ユーザや看病人が認識できるように警報音装置、音声装置、ディスプレイ装置、発光ダイオード装置などを備える。
【0049】
一方、膀胱RFID読み取り機110は、フラッシュメモリのような記憶装置を備えて膀胱容積の測定センサ100から伝えられる情報を格納することもできる。この場合、膀胱RFID読み取り機110はユーザの膀胱状態に対する履歴を構成することができる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態における膀胱RFID読み取り機110はユーザや看病人が携帯する移動式機器として構成される。しかし、本発明の実施における膀胱RFID読み取り機110は壁や天井などに固定する固定式機器として構成することもできる。膀胱RFID読み取り機110を固定式機器として構成すれば、移動式の場合より認識可能な距離が拡大する効果をもたらすことができる。しかし、膀胱RFID読み取り機110を固定式機器として構成すれば、得られた膀胱容積に関する情報が誰のものであるかを判別することができない。したがって、膀胱RFID読み取り機110が固定式機器として構成する場合、膀胱RFID読み取り機110は、膀胱容積の測定センサ100から膀胱容積に関する情報を得る時に膀胱容積の測定センサ100に含まれたユーザに関する情報も共に獲得することが好ましい。そうすると、膀胱RFID読み取り機110は、獲得した膀胱容積に関する情報が誰のものであるかを判別し、それに対して適切な措置を取ることができる。
【0051】
一方、本発明に係る膀胱RFID読み取り機110は、複数の膀胱容積の測定センサ100を同時に読み取りできる衝突防止システム、設置密度が高い空間で用いることのできる読み取り通信モードなど、システム運用を高度化し得る装置を付け加えて実現することもできる。
【0052】
このような膀胱RFID読み取り機110の具体的な実施形態については図3a〜図3cを参照して後述する。
膀胱管理サーバ120は、本発明の実施形態において膀胱RFID読み取り機110が生成したユーザの膀胱容積に関する情報を受信し、それを膀胱管理データベース122に格納する機能をする。すると、膀胱管理サーバ120は、膀胱管理データベース122に格納された情報に基づき、ユーザの膀胱状態に対する履歴を生成および管理することができる。また、膀胱管理サーバ120は、膀胱管理データベース122に格納されている前記履歴に基づき、ユーザの膀胱状態を予測することもできる。この場合には、膀胱管理サーバ120が膀胱状態予測システムをさらに備えることができる。膀胱状態予測システムは、ユーザの膀胱状態に対する履歴の他に時や時間に関する情報、ユーザの習慣や体質に関する情報(例えば、ユーザが特定時間に飲み物を沢山飲む場合、それに関する情報など)などを参考にしてユーザの膀胱状態を予測する。すると、非常時(例えば、膀胱RFID読み取り機110が作動しない場合など)に膀胱管理サーバ120が予測値をユーザや看病人などに通知して適切な措置が取られ得る。
【0053】
膀胱管理サーバ120は、膀胱RFID読み取り機110からユーザの膀胱状態に異常が発生したことが通知されれば、それを看病人の端末機130に通知する機能をする。そのために、膀胱管理サーバ120はCDMA網、GPS網、インターネット網などの各種有無線通信網に接続される装置を備える。すると、看病人がユーザから遠く離れていても連絡を取り、ユーザまたはユーザの近くに位置する他の人(例えば、看護師や家族など)が適切な措置を取ることができる。一方、本発明では膀胱RFID読み取り機110が上記の異常発生に関する情報を看病人の端末機130に直接通知することもできる。この時、膀胱RFID読み取り機110が有無線通信網に接続される装置を備えることは勿論である。
膀胱管理サーバ120には本発明の実施形態における膀胱RFID読み取り機110から膀胱容積に関する情報が伝送され、それを解釈することもできる。
【0054】
本発明に係る膀胱容積の測定センサ100は、通常、入院する患者や老人に備えられ得る。したがって、本発明の実施形態における膀胱管理サーバ120は患者や老人が群がる病院に備えられ得る。しかし、本発明の実施において膀胱管理サーバ120が備えられる場所はそれに限定されるものではない。
【0055】
このような膀胱管理サーバ120は、サービスを要請するクライアントとクライアントの要請を処理するサーバとの協同作業によってクライアントが所望する好ましい結果を得ることができるよう、1つ以上のアプリケーションプログラムを相互協力的な環境で運用する分散処理型クライアント/サーバ方式で、有無線通信網を介して膀胱RFID読み取り機110や看病人の端末機130の要請を処理して提供する。このような膀胱管理サーバ120は、通常用いられるサーバプログラムの他にも、本発明による各種サービスを提供するための一連のアプリケーションプログラムを含むことができる。
【0056】
膀胱管理データベース122は、膀胱管理サーバ120が行う情報を記録および格納したり、格納された情報を含んでいるデータベースを提供したりする。本発明に係る膀胱管理データベース122は、ユーザの膀胱容積に関する情報、ユーザの膀胱状態に対する履歴、時や時間に関する情報、ユーザの習慣や体質に関する情報、ユーザの膀胱容積に関する情報などを格納する。しかし、本発明の実施形態において、膀胱管理データベース122に格納される情報はそれに限定されるものではない。
【0057】
看病人の端末機130はユーザを看護する者が接続する端末機である。このような看病人の端末機130は通常の携帯電話であり得るが、本発明の実施ではそれに限定されるものではない。例えば、看病人の端末機130はパーソナルコンピュータであり得る。一方、上記においてユーザを看護する者は看護師や家族を示す。
【0058】
次に、膀胱容積の測定センサ100の内部構成について詳細に説明する。
図2aは本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱容積の測定センサの内部構成を概略的に示すブロック図である。図2aに示すように、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱容積の測定センサ100は通信部200、電源生産部202、膀胱容積測定部204、メモリ部206、電源供給部208、制御部210、および膀胱容積解釈部212を含む。
【0059】
通信部200は、膀胱RFID読み取り機110が周期的に発散する電波を受信する機能をする。このために通信部200はアンテナを備える。
また、通信部200は、膀胱容積測定部204がユーザの膀胱容積に関する情報を導き出せば、それを膀胱RFID読み取り機110に伝送する機能をする。この時、通信部200は、制御部210を介してメモリ部206に格納されているユーザに関する情報を獲得し、それを共に伝送することもできる。
【0060】
電源生産部202は、通信部200が電波を受信する時、通信部200のアンテナに入射される電磁場(またはRFフィールド)を用いて電源を生産する機能をする。このような電源生産部202は人体から発散される熱を用いて電源を生産することもできる。その場合には、電源生産部202が人体の熱発電素子を備える。
【0061】
膀胱容積測定部204は周期的にまたは随時に弾性波や電磁波を発生させる機能をする。その次、膀胱容積測定部204は膀胱との相互作用後戻ってくる前記波を受信する機能をする。すると、膀胱容積測定部204はそこから膀胱容積に関する情報を導き出すことができる。
膀胱容積解釈部212は、膀胱容積測定部204が受信した波に基づいて膀胱容積に関する情報を生成する。
【0062】
メモリ部206は、膀胱容積測定部204が導き出したユーザの膀胱容積に関する情報、ユーザに関する情報やユーザを識別できる固有情報などを格納する機能をする。
【0063】
電源供給部208は、電源生産部202から電源が提供され、膀胱容積の測定センサ100が円滑に作動することができるようにそれを供給する機能をする。
制御部210は膀胱容積の測定センサ100の全体的な作動を制御する機能をする。
ところで、本発明の好ましい実施形態において上記のような膀胱容積の測定センサ100は次のように実現され得る。
【0064】
図2bは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱容積の測定センサを具体的に実現した詳細図である。図2bに示すように、膀胱容積の測定センサ100はトランスデューサ250、アンテナ252、およびRFIDチップ254を含む。
上記の各装置(250〜254)に関する機能の説明は、図1で既に説明しており、以下ではその詳細な説明は省略する。
【0065】
トランスデューサ250は、膀胱容積を調べるために弾性波または電磁波を発生させる機能をする。このようなトランスデューサ250は、広帯域のパルスや1つ以上の狭帯域周波数を用いて弾性波または電磁波を発生させることができる。本発明の実施形態では、図2aの膀胱容積測定部204が図2bのトランスデューサ250に含まれ得る。
【0066】
RFIDチップ254は、膀胱RFID読み取り機110から発生してアンテナ252に入射される電磁場を用いて電源を生産する機能をする。すると、RFIDチップ254は自身を駆動させるのに前記電源を用いる。それだけでなく、RFIDチップ254は生産された電源をトランスデューサ250にも供給して、トランスデューサ250が正常に作動するのに役に立つ。このようなRFIDチップ254は、各々固有IDを有しており、同時に複数の膀胱容積の測定センサ100が用いられても膀胱RFID読み取り機110がユーザ1人1人の膀胱状態を分別することができる。
【0067】
本発明の実施形態では、図2aの通信部200、電源生産部202、メモリ部206、電源供給部208、制御部210、および膀胱容積解釈部212が図2bのRFIDチップ254およびアンテナ252に含まれ得る。そこで、アンテナ252は、本発明の実施形態では電波受信率を向上させるためにRFIDチップ254の両側に備えられているが、一側のみに備えられることもできる。
【0068】
次に、膀胱RFID読み取り機110の具体的な実施形態について説明する。
図3aは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱RFID読み取り機の具体的な第1実施形態を示す例示図である。そして、図3bは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱RFID読み取り機の具体的な第2実施形態を示す例示図である。また、図3cは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱RFID読み取り機の具体的な第3実施形態を示す例示図である。
【0069】
まず図3aに示すように、膀胱容積の測定センサ100はユーザの膀胱辺りの下腹部の肌にステッカーの形で貼り付けられる。そして、膀胱RFID読み取り機110は看護師(看病人)が携帯できる機器として形成される。すると、看護師は周期的にまたは必要に応じて膀胱RFID読み取り機110を作動させ、膀胱容積の測定センサ100から得られた情報に基づいてユーザの膀胱がいかなる状態であるかを把握する。
【0070】
一方、図3bに示すように、膀胱RFID読み取り機110は病院や一般家庭の天井、柱、壁などに取り付けられる固定式機器として形成される。このような膀胱RFID読み取り機110は、内蔵されたプログラムに基づき、周期的にまたは特定人の要求に応じて膀胱容積の測定センサ100から情報を獲得する。すると、膀胱RFID読み取り機110は、それに基づいて看病人やユーザにユーザの膀胱がいかなる状態であるかを通知する。そのために膀胱RFID読み取り機110は、警報音装置、音声装置、ディスプレイ装置などを備える。しかし、膀胱RFID読み取り機110はこのような装置を備えることに限定されるものではない。例えば、膀胱RFID読み取り機110は、インターネット網やイントラネット網のような各種の有無線通信網に接続できる装置を備え、それを介して看病人やユーザに通知することもできる。
【0071】
このような膀胱RFID読み取り機110は、周辺に備えられる1つ以上の膀胱容積の測定センサ100から情報を得ることができる。また、膀胱RFID読み取り機110は、各種の有無線ネットワークに接続され、膀胱管理サーバ120、看病人の端末機130、ユーザが接続するユーザの端末機などを介して制御され得る。この場合、膀胱容積の測定センサ100は図3aに示すように貼り付けられることは勿論である。
【0072】
一方、図3cに示すように、膀胱RFID読み取り機110はユーザが携帯することができる。すると、ユーザは周期的にまたは必要に応じて膀胱RFID読み取り機110を作動させる。膀胱RFID読み取り機110がユーザの膀胱容積に関する情報を獲得すれば、それをユーザに通知してユーザが適切な措置を取ることができるようにする。また、膀胱RFID読み取り機110は、図3aまたは図3bに示す膀胱RFID読み取り機110と通信して、看病人がそれを確認できるようにすることもできる。
一方、このような膀胱RFID読み取り機110はユーザの人体に付けられる他の目的のセンサから特定情報を獲得することもできる。
【0073】
次に、このように構成された本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムの運用方法について説明する。図4は、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムの運用方法を示すフローチャートである。
【0074】
図4に示すように、膀胱RFID読み取り機110は周期的にまたは特定人の要求に応じて電波を発生させる。このような電波には、ユーザの膀胱容積に関する情報を要請するというメッセージが含まれている(S400)。
【0075】
膀胱容積の測定センサの制御部210は通信部200を介して前記電波を受信する。この時、制御部210は、電源生産部202を駆動させ、通信部200のアンテナを介して入射される電磁場を用いて電源を生産する(S402)。一方、制御部210は、駆動に必要な電源を十分確保するために電源生産部202に備えられる人体の熱発電素子を随時に稼動させることもできる。このように生産された電源は電源供給部208に格納され、電源供給部208は膀胱容積の測定センサ100を駆動させるのにそれを用いる。その次、制御部210は膀胱容積測定部204を用いて弾性波または電磁波を発生させる。その次、制御部210は膀胱容積測定部204を介してこのような波をユーザの膀胱方向に出力する(S404)。
【0076】
弾性波または電磁波が膀胱との相互作用後反射して戻ってくると、膀胱容積測定部204はこれを受信する。このように受信した信号には膀胱容積に関する情報が含まれている。すると、 膀胱容積解釈部212はそれに基づいて膀胱容積に関する情報を導き出す(S406)。その次、制御部210は通信部200を介して膀胱容積に関する情報を膀胱RFID読み取り機110に伝送する(S408)。この時、制御部210はメモリ部206に格納されたユーザに関する情報またはユーザを識別できる固有情報を読み出し、通信部200がそれを共に伝送することもできる。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、膀胱容積の測定センサ100が膀胱RFID読み取り機110の発散した電波を受信した後、膀胱容積に関する情報を膀胱RFID読み取り機110に伝送する。しかし、本発明の実施形態における膀胱容積の測定センサ100は、周期的にまたは随時に膀胱容積に関する情報を獲得し、直ちにそれを膀胱RFID読み取り機110に伝送することもできる。
【0078】
膀胱RFID読み取り機110は、膀胱容積に関する情報を受信すれば、その情報からユーザの膀胱がいかなる状態であるかを判別する(S410)。ユーザの膀胱状態が良くないと判断すれば、膀胱RFID読み取り機110はそのことを看病人やユーザに通知する(S412)。
【0079】
一方、膀胱RFID読み取り機110は前記判別したことやユーザの膀胱容積に関する情報を膀胱管理サーバ120に伝送することもできる。すると、膀胱管理サーバ120は、看病人の端末機130またはユーザの端末機に膀胱RFID読み取り機110が判別したことを通知することができる。また、膀胱管理サーバ120は膀胱容積に関する情報に基づいてユーザの膀胱状態に対する履歴を備えることができる。この場合、膀胱管理サーバ120はそれに基づいて非常時にユーザの膀胱状態に対して予測した結果を看病人やユーザに通知することができる。
【0080】
以上の説明は本発明の技術的思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から脱しない範囲内で多様な修正、変更および置き換えが可能である。よって、本発明で開示する実施形態および添付する図面は本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであって、このような実施形態および添付する図面によって本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は上記の請求範囲によって解釈されるべきであり、同等な範囲内にある全ての技術的思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈しなければならない。
【0081】
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムを概略的に説明した概念図である。
【図2】図2aは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱容積の測定センサの内部構成を概略的に示すブロック図である。図2bは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱容積の測定センサを具体的に実現した詳細図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱RFID読み取り機の具体的な第1実施形態を示す例示図である。図3bは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱RFID読み取り機の具体的な第2実施形態を示す例示図である。図3cは、本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムにおいて、膀胱RFID読み取り機の具体的な第3実施形態を示す例示図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態に係る膀胱管理システムの運用方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
100:膀胱容積の測定センサ
110:膀胱RFID読み取り機 120:膀胱管理サーバ
122:膀胱管理データベース 130:看病人の端末機
200:通信部 202:電源生産部
204:膀胱容積測定部 212:膀胱容積解釈部
206:メモリ部 208:電源供給部
210:制御部 250:トランスデューサ
252:アンテナ 254:RFIDチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱の容積を測定する膀胱容積の測定センサにおいて、
電波を受信するアンテナと;
特定波を発生させ、前記特定波を用いて前記膀胱のサイズを示す膀胱の容積値を測定するトランスデューサと;
前記アンテナに受信された電波を用いて電源を生産および供給し、前記膀胱の容積値から膀胱容積に関する情報を生成し、生成した前記情報を前記アンテナを介して外部に送り出すRFIDチップと;
を含み、
前記膀胱容積の測定センサはユーザの下腹部の肌に貼り付けられることを特徴とする、膀胱容積の測定センサ。
【請求項2】
前記トランスデューサが発生させる前記特定波は、弾性波または電磁波であることを特徴とする、請求項1に記載の膀胱容積の測定センサ。
【請求項3】
前記RFIDチップは、体温を用いて前記電源を生産する人体の熱発電素子を備えることを特徴とする、請求項1に記載の膀胱容積の測定センサ。
【請求項4】
前記RFIDチップは、前記ユーザに関する情報、前記ユーザを識別する情報、固有IDのうちいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の膀胱容積の測定センサ。
【請求項5】
膀胱の容積を測定する膀胱容積の測定センサを用いるシステムにおいて、
周期的にまたは随時に電波を送信し、ユーザの膀胱サイズを示す膀胱容積に関する情報を受信し、その情報を解釈してユーザまたは前記ユーザを看護する看病人に通知する膀胱RFID読み取り機と;
前記電波によって入射される電磁場を用いて電源を生産し、特定波を用いて前記膀胱容積に関する情報を生成し、その情報を前記膀胱RFID読み取り機110に伝送する膀胱容積の測定センサと;
を含む、膀胱管理システム。
【請求項6】
前記膀胱RFID読み取り機は、前記電波に前記膀胱容積に関する情報を要請するというメッセージを含ませることを特徴とする、請求項5に記載の膀胱管理システム。
【請求項7】
前記膀胱RFID読み取り機は、警報音装置、音声装置、ディスプレイ装置、発光ダイオード装置のうちいずれか1つを備えることを特徴とする、請求項5に記載の膀胱管理システム。
【請求項8】
前記膀胱RFID読み取り機は、前記ユーザまたは前記看病人が携帯する移動式機器であるか、壁や柱、天井のうちいずれか1ヶ所に取り付けられる固定式機器であることを特徴とする、請求項5に記載の膀胱管理システム。
【請求項9】
前記膀胱容積の測定センサは、体温を用いて前記電源を生産する人体の熱発電素子を備えることを特徴とする、請求項5に記載の膀胱管理システム。
【請求項10】
前記膀胱容積の測定センサは、前記ユーザに関する情報、前記ユーザを識別する情報、固有IDのうちいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項5〜請求項9のうちいずれか1項に記載の膀胱管理システム。
【請求項11】
前記膀胱容積の測定センサには、バッテリを用いて前記電源が供給されることを特徴とする、請求項8に記載の膀胱管理システム。
【請求項12】
前記膀胱RFID読み取り機から前記ユーザの膀胱容積に関する情報が提供され、それを用いて前記ユーザの膀胱状態に対する履歴を管理し、非常時に前記ユーザの膀胱状態を予測して、それを前記ユーザまたは前記看病人に通知する膀胱管理サーバと;
前記膀胱管理サーバに連動し、前記膀胱管理サーバが受信したり行ったりする情報を格納する膀胱管理データベースと;
をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の膀胱管理システム。
【請求項13】
前記看病人が接続する機器であって、前記膀胱RFID読み取り機または前記膀胱管理サーバから前記ユーザの膀胱がいかなる状態であるかに関する報告を受ける看病人の端末機をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の膀胱管理システム。
【請求項14】
前記膀胱容積の測定センサは、
アンテナを備えて前記電波を受信し、前記膀胱容積に関する情報を外部に送り出す通信部と;
前記通信部を介して入射される前記電磁場または人体から発散される熱を用いて前記電源を生産する電源生産部と;
周期的にまたは随時に前記特定波である弾性波や電磁波を発生させ、前記弾性波や電磁波が反射して戻ってくると、それを受信する膀胱容積測定部と;
前記膀胱容積測定部が受信した値に基づいて前記膀胱容積に関する情報を生成する膀胱容積解釈部と;
前記電源生産部が生産した電源を格納し、前記膀胱容積の測定センサが作動できるように前記電源を供給する電源供給部と;
前記膀胱容積の測定センサの全体的な作動を制御する制御部と;
前記膀胱容積に関する情報、前記ユーザに関する情報、前記ユーザを識別する情報、固有IDのうち1つ以上を格納するメモリ部と;
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の膀胱管理システム。
【請求項15】
膀胱の容積を測定する膀胱容積の測定センサを用いるシステムの運用方法において、
(a)膀胱RFID読み取り機が、周期的にまたは特定人の要求に応じて電波を発生させるステップと;
(b)膀胱容積の測定センサが、前記電波を受信して電源を生産し、弾性波または電磁波を発生させ、それをユーザの膀胱方向に出力するステップと;
(c)前記膀胱容積の測定センサが、前記膀胱に反射して戻ってくる前記弾性波または前記電磁波を受信して、その波から前記ユーザの膀胱容積に関する情報を生成するステップと;
(d)前記膀胱容積の測定センサが、前記膀胱容積に関する情報が含まれた信号を前記膀胱RFID読み取り機に伝送するステップと;
(e)前記膀胱RFID読み取り機が、前記ユーザの膀胱がいかなる状態であるかを前記ユーザまたは前記ユーザを看護する看病人に通知するステップと;
を含むことを特徴とする、膀胱管理システムの運用方法。
【請求項16】
前記(a)ステップは、
(a1)前記膀胱RFID読み取り機が、前記電波に前記ユーザの膀胱がいかなる状態であるかに関する情報を要請するというメッセージを含ませるステップを含むことを特徴とする、請求項15に記載の膀胱管理システムの運用方法。
【請求項17】
前記(b)ステップは、
(a2)前記膀胱容積の測定センサが、格納された前記膀胱容積に関する情報を前記膀胱RFID読み取り機に伝送するステップを含むことを特徴とする、請求項15に記載の膀胱管理システムの運用方法。
【請求項18】
前記(d)ステップは、
(a3)前記膀胱容積の測定センサが、格納された前記ユーザに関する情報、前記ユーザを識別する情報、固有IDのうちいずれか1つを前記信号に含ませるステップを含むことを特徴とする、請求項15に記載の膀胱管理システムの運用方法。
【請求項19】
前記(a)ステップ〜前記(e)ステップのうちいずれか1つのステップは、
(a4)前記膀胱容積の測定センサが、人体から発散される熱を用いて前記電源を生産する人体の熱発電素子を駆動させるステップを含むことを特徴とする、請求項15に記載の膀胱管理システムの運用方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−55154(P2008−55154A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210698(P2007−210698)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(504308969)クヮンジュ インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (1)
【氏名又は名称原語表記】Gwangju Institute of Science Technology
【住所又は居所原語表記】1 Oryong−dong, Buk−gu, Gwangju 500−712, Korea
【Fターム(参考)】