膀胱計測
【要約書】
(a)音響信号を患者の体内へ送信及び受信可能な超音波音響トランシーバユニットと、(b)周波数が時間とともに変化する信号で前記トランシーバユニットを駆動する周波数変調回路と、(c)前記トランシーバユニットによって検出された少なくとも1つの信号から、距離の表示を抽出する処理回路と、からなり、前記信号は前記時間的に変化する周波数信号によって駆動された前記トランシーバユニットの送信の反射である、測定装置。任意選択で、前記表示は膀胱の壁の間の距離である。
(a)音響信号を患者の体内へ送信及び受信可能な超音波音響トランシーバユニットと、(b)周波数が時間とともに変化する信号で前記トランシーバユニットを駆動する周波数変調回路と、(c)前記トランシーバユニットによって検出された少なくとも1つの信号から、距離の表示を抽出する処理回路と、からなり、前記信号は前記時間的に変化する周波数信号によって駆動された前記トランシーバユニットの送信の反射である、測定装置。任意選択で、前記表示は膀胱の壁の間の距離である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膀胱のパラメータ(例えば絶対的または相対的膨満)の計測に関連する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が、過活動膀胱、良性の前立腺肥大による高い残尿量、排尿を強制するための間欠的カテーテル挿入や、機能的容量を増加させるために一般に使用される人工括約筋その他の排尿調節装置の使用、幼児や膀胱制御を失った高齢者又は負傷や身体障害を患う人々の遺尿(調節されない排尿)、といった膀胱容量に関連する機能障害を患っている。さらに、かなりの人々が睡眠中又は無意識のうちの遺尿に苦しんでいる。
【0003】
膀胱が解放を必要とするレベルにあるときに、その人や介護者に知らせるために、人の膀胱を監視する多くの装置が提案されている。
【0004】
Gangulyらの米国特許第 4,926,871号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、複数の信号を膀胱の中へ送信して受信した反射から容量を計算する、超音波スキャナを使用して膀胱の容量を自動的に判断するためのシステムを開示している。
【0005】
McMorrowらの米国特許第 5,235,985号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱の三次元画像を形成して、膀胱容量を計算するための複数の変換器を使用するシステムを開示している。
【0006】
Barnardの米国特許第6,110,111号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱を複数の超音波信号で走査し、膀胱の容量を計算するシステムを開示している。
【0007】
Gangulyらの米国特許第6,213,949号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱の前壁及び後壁との交点を判断するために、複数の走査信号を膀胱の中へ送信するシステムを開示している。そのシステムは、これらの点を用いて膀胱の外形を判断して、膀胱容量を見積もる。
【0008】
おそらくは、膀胱が球形その他の単純な幾何学的形状と仮定して、膀胱の直径を前壁から後壁まで走査して、その容量を推定することは提案されていたであろう。しかしながら、この着想には幾つかの問題がある。
1.膀胱は単純な幾何学的形状を有しておらず、しばしば直径として測定されるものは実際は弦に過ぎない。
2.隣接する臓器によって影響を受けるため、膀胱の形状は不均一に膨張する。
3.隣接する臓器は雑音を持ち込むか、さもなければ戻り信号に影響を与えて、装置が膀胱の膨張を判断するのを誤らせる。
4.壁の検出は、常に自明なわけではない。
【0009】
Companionらの米国特許第5,058,591号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱の中へ送信される結果として反射信号を発生する超音波信号(例えば、 パルス)のタイミングとエネルギーを比較することによって、低い充満レベルにある膀胱の膨張を計算するシステムを開示している。より高い充満レベルにおいては、膀胱が動くため、膨張は十分な指標ではないことをCompanionは示唆している。
【0010】
Abramovitchらの米国特許第6,579,247号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱中の尿レベルを判断するための、安価で、おそらくは使い捨て可能な装置を開示している。Abramovitchは、装置に必要なパワーを最小限にするために、16Hz〜20KHzの可聴波または超低周波不可聴音(16Hz未満)を使用するが、超音波は使用しないことを開示している。Abramovitchは位相変化を測定する。
【0011】
RoeのWO03/039343号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる) は、上述の特許で説明されているような装置を用いた排尿調節訓練の方法を説明している。
【発明の開示】
【0012】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、周波数変調され超音波信号を使用したヒト膀胱の1つ以上のパラメータを測定することに関連する。本発明の例示的な実施形態において、異なる検出周波数を使用して異なる到着時間が決定されるように、超音波信号の周波数は掃引関数に従う。任意選択で、掃引関数は線形である。発明の一部の実施形態において、掃引関数はサイン波などの対称関数である。代替的に、掃引関数は鋸歯状などの非対称関数である。
【0013】
本発明の例示的な実施形態において、近い方と遠い方の膀胱壁の間の距離を判断するために検出信号が使用される。任意選択で、この距離は、膀胱充満レベル及び/又はその他の膀胱パラメータを推定するために使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、その他の膀胱測定結果及び/又はパラメータは、例えば膀胱壁厚や膀胱壁伸展性などの壁間距離に加えて又は代えて取得される。
【0014】
本発明の例示的な実施形態においてい、変換器それ自身が受信信号と送信信号とをヘテロダインさせて、検出器が周波数の差分を表現する信号を受信するために、単一の変換器が送信および受信に使用される。
【0015】
周波数掃引の潜在的な利点は、短パルスが使用される飛行時間式測定技術に比べて、比較的に長い積分時間(おそらくはミリ秒のオーダーで)を提供できることである。任意選択で、受信信号は連続信号である。長い積分時間の潜在的な利点は、超音波送信機を駆動するために、比較的に低い電圧を使用できることである。100ボルト以上の短パルス方式と比較して、任意選択で、電圧は15ボルト未満である。周波数掃引の潜在的な利点は、(例えばヘテロダイン後の)送信信号よりも低い周波数(例えば送信信号の30%、20%、10%又はそれより低く、例えば200kHz未満)で受信信号が検出され、処理されることである。
【0016】
周波数掃引式決定方法の使用の潜在的な利点は、比較的に雑音排除性があることと、膀胱などの器官(器官のほとんどの部分(例えば壁間にある尿)は反射しない))におけるより正確な距離の判断である。本発明の例示的な実施形態において、膀胱壁からの反射信号の間の振幅差と、尿からの反射が無いことが、信号検出を支援するために使用される。
【0017】
掃引信号を使用することの潜在的な利点は、関心の無い距離からの信号を周波数フィルタを使用して取り除くことができることである。任意選択で、掃引速度間で、処理の簡潔さと寸法精度とのトレードオフが与えられる。
【0018】
任意選択で、幾つかのデータ・タイプを抽出するための信号処理方法が使用される。任意選択で、一度壁までの距離が決定されると、これらの距離は、非掃引信号を検出して処理するための、又は掃引信号のより詳細な分析のための「到着時間窓」信号処理を設定するために使用される。別の周波数掃引信号の潜在的な利点は、(より短い信号に対して使用される)緩衝器の用意を回避し、おそらくはユニットのコスト及び/又は複雑さを低減できることである。短い信号の使用は、パルスモードの発生及び検出を支えるために、より複雑な電子技術を必要とする。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によれば、利用者(又は患者)の膀胱が(例えば、閾値を超えて)充満している、又はその充満レベルにあることを利用者に(例えば、聴覚的、視覚的、及び/又は触知的に)警告するために、膀胱監視装置が提供され、使用される。任意選択で、計量カップへの試験排尿を用いて装置は較正される。任意選択で、計量カップは容量を測定し、任意選択で直接装置に、報告する。
【0020】
充満レベル警報に代替して又は加えて、膀胱監視装置は、尿力学パラメータ及び/又はその他の膀胱生理学上のパラメータ(例えば、薬の作用(副作用を含む)の追跡、尿生成の追跡、膀胱状態の診断の追跡、脱水症の検出及び/又は監視、膀胱徐波の検出及び/又は監視)を提供するために、及び/又は(例えば、急迫性尿失禁のための、膀胱トレーニングのための、及び/又は、例えば人口括約筋又は間欠的カテーテル挿入で使用されるカテーテルなどの人口排尿制御装置の駆動された動作の容量のフィードバックとして)フィードバックを提供するために、任意選択で使用される。任意選択で、前壁と後壁との間の距離、膀胱壁厚、壁減衰、時間変化、履歴、排尿速度、及び/又は膀胱の充満速度、の1つ以上を使用して、追跡されるパラメータが決定される。本発明の例示的な実施形態において、例えば、これらのパラメータの1つ以上を抽出し及び/又は処理するようにプログラムされた従来技術の膀胱膨張装置を使用して、上記パラメータの1つ以上が決定される。
【0021】
発明の一部の実施形態において、信号を送信及び受信するために、単一の変換器が使用される。代替的に、装置の設置及び/又は膀胱の移動における許容差を提供するために、複数の位置をずらした変換器が使用される。発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置は連続して各変換器から信号を送信し、最も明瞭な結果に基づいて作動する。代替的に又は付加的に、複数の変換器が同時に又は重複する時間帯に送信することができる。様々な変換器からの信号は、異なる特性で送信することにより、任意選択で識別される。例えば、異なる周波数、及び/又は掃引関数、及び/又は瞬間の周波数(例えば、膀胱の遠方壁の距離に相当する範囲によって分けられる)、及び/又は掃引関数の反復周波数が、異なる変換器に対して使用される。代替的に又は付加的に、変換器のビームは相互に干渉しないように形成される。
【0022】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、膀胱充満レベルや容量を推定するために、膀胱膨張の個人の値を使用することに関連する。任意選択で、充満レベルを推定するために使用される唯一の測定は膨張の測定であり、任意選択で、膀胱の近方の壁と遠方の壁との間の距離である。
【0023】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、膀胱監視装置の較正方法に関連する。発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置は、較正モードで操作される。較正モードでは、膀胱膨張サイズと膀胱容量との相関関係を較正するために、膀胱膨張とユーザ入力が使用される。発明の一部の実施形態において、測定される距離と容量との間には関数関係が想定される。一部の実施形態において、自動測定装置が排尿量を表示する信号を発生する。
【0024】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、中心から外れた膀胱位置に対する測定値を補正するように構成された膀胱監視装置に関連する。本発明の例示的な実施形態において、この構成は膀胱の偏りの方向に配置されるセンサを含む。
【0025】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、壁の検出を支援するために尿を使用することに関連する。本発明の例示的な実施形態において、尿は全く反射が無いと想定され、従って尿の位置に相当する周波数で検出される信号は雑音として処理され、任意選択で雑音トリガー・レベルの設定に使用される。
【0026】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、身体及び/又は音響ユニットに取り付けるための接着層をもつ音響パッドに関連する。任意選択で、身体に取り付けるためのものと、ユニットに取り付けるためのものとの、2つの接着層が提供される。任意選択で、パッドは、凹状その他のユニットの形状に対応した形状に成形される。
【0027】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、膀胱解放の指標としての膀胱充満レベルを使用することに関連する。本発明の例示的な実施形態において、手動の膀胱解放を使用する人は、そのような解放を適用するための指標として、時間表示の代わりに、充満レベル信号を使用する。任意選択で、その人に充満レベル検出装置を使用すべきことを知らせるために、時間表示(例えば、2時間毎)が使用される。本発明の例示的な実施形態において、相当な期間(例えば、2日、1週間、2週間、1ヶ月、又はそれ以上)にわたって、膀胱解放事象の少なくとも 30%、50%、又はそれ以上について、膀胱充満レベルが使用される。本発明の例示的な実施形態において、充満レベル検出装置はその人によって使い切られる。任意選択で、充満の表示は利用者に提供される警報である。代替的に、充満レベルの判断が必要なときに、手動で利用される。
【0028】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は膀胱パラメータの連続測定に関連する。本発明の例示的な実施形態において、1つ以上膀胱パラメータが定期的に(例えば、数秒又は数分毎に)採取され、パラメータ値の変化が追跡される。追跡される例示的なパラメータには、壁厚、容量、充満速度、排尿 速度、及び徐波特性が含まれる。任意選択で、追跡されるパラメータは、排尿事象などの離散的なパラメータである。任意選択で、事象の詳細が比較的に高いサンプリング・レート(例えば、数秒毎、又は毎秒、又は数分の1秒毎)で追跡される。任意選択で、追跡された値は、後の分析のために(例えば診断のために)保存される。代替的に又は付加的に、追跡されたパラメータは、警戒事態(例えば、異常な濃度の利尿薬を示唆する、異常に高い膀胱充満速度の検出)を判断するために使用される。
【0029】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、変換器パラメータのデザインに関連する。本発明の例示的な実施形態において、関心領域(例えば膀胱)が超音波ビームのフレネル領域内に位置するように、変換器サイズと形状と動作周波数が選択される。任意選択で、近接場(例えば、通常は変換器約1つ分の長さ)が関心領域の手前にあり、遠視野(例えばフラウンホーファー領域)が関心領域の奥にある。
【0030】
本発明の例示的な実施形態において、凸面(例えば、膀胱前壁の外表面)に到達したビーム部が収束し、凹面(例えば、遠方の膀胱壁の内面)に到達したビームが発散するように、ビームは(任意選択で、フレネル領域内にあるという理由によって)収束するようにデザインされる。
【0031】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)音響信号を患者の体内へ送信及び受信可能な超音波音響トランシーバユニットと、
(b)周波数が時間とともに変化する信号で前記トランシーバユニットを駆動する周波数変調回路と、
(c)前記トランシーバユニットによって検出された少なくとも1つの信号から、距離の表示を抽出する処理回路とからなり、前記信号は前記時間的に変化する周波数信号によって駆動された前記トランシーバユニットの送信の反射である、測定装置が提供される。任意選択で、前記信号は周波数掃引である。任意選択で、前記掃引は非空間的である
【0032】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は膀胱の 近い方の壁と遠い方の壁との間の距離の表示からなる。任意選択で、前記処理回路は前記表示から前記膀胱の充満レベルを推定する。任意選択で、前記装置は前記処理回路によって使用される少なくとも1つの較正値をもつ記憶装置からなる。
【0033】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は少なくとも1つのユーザ入力制御を含む。任意選択で、前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が充満していることの表示を生成する。代替的に又は付加的に、前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が全く空であることの表示を生成する。
【0034】
本発明の例示的な実施形態において、前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、容量表示を受け取るように作動する。
【0035】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、時間をかけて充満レベルを追跡することによって、自動的に最大充満レベル状態を検出するように作動する。代替的に又は付加的に、前記処理回路は残留充満容量を推定するように作動する。
【0036】
本発明の例示的な実施形態において、前記距離の表示は、膀胱壁厚からなる。
【0037】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、前記表示に基づいて少なくとも膀胱充満速度を推定するように作動する。
【0038】
本発明の例示的な実施形態において、前記時間的に変化する周波数は、鋸歯状の線形掃引からなる。
【0039】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは単一の超音波素子からなる。
【0040】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、30mmと50mmとの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する。
【0041】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、50mmと90mmとの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する。
【0042】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、前記距離に対する可能な値の範囲を網羅するフレネル帯をもつビームを発生する。任意選択で、前記範囲は20mmと200mmとの間である。
【0043】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの別個の受信器とからなる。
【0044】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、少なくとも2つの送信機からなり、前記表示の抽出のために、前記処理回路は前記2つの送信機から受信した信号から選択する。任意選択で、前記少なくとも2つの送信機は、2つを直線上に並べ、1つを直線から外して配置した、少なくとも3つの送信機からなり、それぞれがビームを、互いに平行ではないが、同じ概略方向へ向けるように構成される。代替的に又は付加的に、前記2つの送信機は、互いに平行でない超音波ビームを送信する。
【0045】
本発明の例示的な実施形態において、前記ユニットは凹面上に取り付けられる。
【0046】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は、前記ユニットを膀胱の付近に取り付けるための、人間の胴の周りに取り付けるのに適した長さのストラップからなる。
【0047】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は前記変換器ユニットを人間の皮膚に結合させるのに適合した、接着式に取り外し可能なゲル・パッドからなる。
【0048】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は抽出した表示の履歴を保存する記憶装置からなる。任意選択で、前記装置は、前記記憶装置からのデータを送信するための送信機からなる。代替的に又は付加的に、前記記憶装置は排尿日誌記憶装置として機能する。
【0049】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は、前記表示に基づいて警報を発生する警報発生装置からなる。任意選択で、前記警報は触知性である。
【0050】
本発明の例示的な実施形態において、前記音響トランシーバユニットは、200kHzと2000kHzの間で信号を送信する。
【0051】
本発明の例示的な実施形態において、前記時間的に変化する周波数は、膨張した成人の膀胱の近い方の壁から遠い方の壁までの前記周波数における信号の移動時間よりも長い時間にわたって、下限周波数から上限周波数まで変化する。任意選択で、前記時間は少なくとも移動時間の10倍である。任意選択で、前記時間は少なくとも移動時間の20倍である。
【0052】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、200kHzより低い周波数のみを処理するように適合される。
【0053】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、150kHzより低い周波数のみを処理するように適合される。
【0054】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバは、13V未満で励起される圧電材料からなる
【0055】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバは、5V未満で励起される圧電材料からなる
【0056】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバは、送信機及び受信機の双方として動作し、受信信号を送信信号とヘテロダインさせる、少なくとも1つの変換器からなる。
【0057】
本発明の例示的な実施形態において、関心の無い距離に相当する周波数を除去する周波数フィルタからなる。
【0058】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、前記抽出のために、受信信号の少なくとも1ミリ秒の寄与を蓄積する。
【0059】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)時間的に変化する周波数変調された超音波信号を膀胱に送信することと、
(b)前記膀胱の少なくとも一部からの前記信号の反射を受信することと、
(c)前記反射の周波数から少なくとも距離の表示を抽出することと、からなる方法も提供される。
任意選択で、時間的に変化する信号を送信することは、複数の時間的に変化する信号を空間的に分離した変換器から送信することからなる。任意選択で、前記方法は最も良好な反射を選択することからなる。
【0060】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は、前記膀胱の遠い方の壁までの距離からなる。
【0061】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は壁厚からなる。
【0062】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は膀胱の 近い方の壁と遠い方の壁との間の距離からなる。任意選択で、前記方法は、前記表示を前記膀胱の充満レベルの推定に変換することからなる。任意選択で、前記充満レベルは、充満容量からなる。代替的に又は付加的に、前記方法は、前記充満レベルに応答して利用者への警報を発生することからなる。代替的に又は付加的に、前記方法は、充満レベルへの前記表示を較正することからなる。任意選択で、較正は利用者からの充満表示を受け取ることからなる。任意選択で、前記方法は、体外の測定装置において尿の排出量を測定することからなる。任意選択で、前記装置は尿容量を反映した電子信号を生成する
【0063】
本発明の例示的な実施形態において、較正は、前記膀胱が充満する挙動と空乏化する挙動とを自動的に追跡することからなる。
【0064】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は、膀胱壁の厚さからなる。任意選択で、前記方法は、前記膀胱における膀胱徐波の表示を抽出することからなる。
【0065】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、前記表示から膀胱充満速度を抽出することからなる。
【0066】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、前記表示から排尿速度を抽出することからなる。
【0067】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、前記表示から残尿量を抽出することからなる。
【0068】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、時間をかけて前記表示を追跡し、記憶することからなる。
【0069】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)排尿事象から尿量を計算することと、
(b)前記事象に従って膀胱の物理的パラメータを測定することと、
(c)前記容量と前記物理的パラメータとの間の対応を前記検出装置に保存することと、
からなる膀胱尿充満検出装置を較正する方法も提供される。
任意選択で、測定することは、周波数掃引法を使用して前記膀胱の膨張を測定することからなる。
【0070】
本発明の例示的な実施形態において、前記パラメータは尿の容量からなる。任意選択で、前記容量はセンサを使用して測定され、前記検出装置に自動的に供給される。
【0071】
本発明の例示的な実施形態において、前記パラメータは、膀胱壁厚からなる。
【0072】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)前記膀胱の1次元形状パラメータを測定するために、中心から外れた膀胱に測定信号を送ることと、
(b)前記測定されたパラメータから前記膀胱の膨張を推定することと、からなる方法も提供される。
【0073】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)表面上、尿から音響信号のレベルを検出することと、
(b)検出レベルよりも振幅の大きい膀胱壁からの信号を探索することと、からなる方法も提供される。
【0074】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)膀胱へ音響信号を送信することと、
(b)前記膀胱の1次元の膨張の表示を決定することと、
(c)少なくとも1つの個別の較正値を使用して、前記表示から、前記膀胱の充満レベルが約70%を超えることを判断すること、
からなる70%を超える膀胱充満レベルを推定する方法も提供される。任意選択で、前記音響信号は周波数掃引スカラー信号からなる。
【0075】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)選択可能な音響変換器形状と動作周波数の少なくとも1つを有する、身体形状における使用のための装置デザインを提供することと、
(b)前記周波数で動作する前記変換器のフレネル領域内に前記身体形状が位置するように、前記動作周波数と前記身体形状の少なくとも1つを選択することと、
からなる装置パラメータを選択する方法も提供される。
【0076】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱装置較正の方法は、カテーテルを用いて前記膀胱内の圧力を推定することと、距離の前記表示と前記圧力との間の対応を判断することと、からなる。
【0077】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱測定装置において、処理回路は、前記表示に基づいて少なくとも1つの尿力学パラメータを推定するように作動する。
【0078】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)体外からセンサを使用して膀胱の充満レベルを検出することと、
(b)前記充満レベルが排出を必要とするか決定することと、
(c)手動膀胱排尿機構を作動することと、
からなる排尿選択方法も提供される。任意選択で、前記排尿機構は間欠的カテーテル挿入からなる。任意選択で、前記検出は、掃引周波数変調されたスカラー音響信号を使用して検出することからなる。
【0079】
本発明の詳細な例示的実施形態を、図面に関連する以下の実施形態の解説を参照して説明する。ここで、1つ以上の図に現れる同一の構造、要素又は部分は、それが現れる全ての図において、一般に同一の又は類似の番号で標示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
[全体概要]
図1は、本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視の動作原理を説明する略図である。図1において、膀胱監視装置30から利用者の膀胱50へ超音波信号を送信できるように、装置は利用者の腹部40の上に配置される。任意選択で、膀胱監視装置30は信号を遮断する恥骨80よりも上側に配置される。本発明の一部の実施形態により、それを経て間欠的カテーテル挿入がなされることがある、尿道20も図示される。
【0081】
信号が膀胱50の前壁60に向かって送信されるとき、信号の一部は反射して装置30へ戻る。本発明の例示的な実施形態によれば、信号の一部は膀胱前壁60を突き抜けて膀胱内の尿を通過して膀胱50の後壁70へ進み続ける。後壁70において、信号の一部は壁を貫通し、信号の一部は反射して装置30へ戻る。一般に、最初の2つの大きな反射信号は、それぞれ膀胱前壁60及び膀胱後壁70からの反射に相当する。膀胱後壁70からの信号は、膀胱壁の凹凸(歪んでいる場合)のために、概して最も強い受信信号である。信号の時間差を分析することによって、以下に説明するように、(膀胱前壁60への)距離D1と(膀胱後壁70への)距離D2が決定される。
【0082】
壁間距離(膨張)Dは、D=D2−D1と計算される。代替的に、最初にD1とD2を決定することなく、距離を直接決定することもできる。一部の動作モードにおいて、装置30は膀胱の他のパラメータ(例えば、壁厚、徐波、充満速度、及び/又は排尿速度)を測定するために使用される。
【0083】
実験によって決定されたように、膀胱前壁60は一般に静止しており、膀胱が充満する間に3〜4mmを超えて動くことはない。一般的に、距離D1は同一人で20mmから50mmの間にある。D1の相対的な安定性と対照をなして、膀胱50の容量が25%から100%にまで増加する間に、膨張距離Dが一般的に30mmから110mmまで膨張するようにD2は変化する。
【0084】
膀胱50は概して単純な球状を有さず、全方向に均一に膨張しない。図1Bは、数人の異なる人を対象として、本発明の例示的な実施形態によって測定されるような、膀胱壁間距離と膀胱容量との間の関係を示すグラフである。この直線は予測される理論的な逆3乗の関係と、それからの偏差を示す。測定は「最大容量」で規格化される。図1Bに示されるように、(尿容量の測定によって測定されるような)実際の膀胱容量と膀胱膨張との関係は、特に膀胱が一度少なくとも20%充満すると、異なる人でも比較的に類似している。また、この関係は一般的に逆3乗であり、高い充満レベルにおいては略線形である。本発明の例示的な実施形態においては、拡張測定結果から膀胱容量を推定するために、図示の線形または準線形関係が用いられる。代替的に、関数の形式(例えば、多項式のような近似関数)や表の形式で表現された曲線が使用される。
【0085】
図1Aは女性における膀胱50の配置を図解的に示したものであるが、上述の手順や説明は男性にも適用されることに留意されたい。主な男女間の差は周辺臓器に関連するが、少なくとも本発明の一部の実施形態については、ここで説明する方法には実質的な影響は持たない。
【0086】
[信号および信号処理]
図2Aは、本発明の例示的な実施形態による、距離を計算するための周波数掃引法の使用を説明するグラフ200である。図2Aは、送信信号F1と、膀胱前壁などの所定の反射体に対する1つの反射(かつ受信)信号F2を示す。上方の1対のトレースは時間による周波数の変動を表し、下方のトレース250は送信信号と受信信号との間の周波数の瞬間的な差分である。続いて、複数の反射信号のトレースを図示する図2Bを説明する。
【0087】
本発明の例示的な実施形態により、超音波信号F1は、下限周波数(fmin)と上限周波数(fmax)との間にある周波数掃引信号である。この掃引信号は膀胱50の中へ送信される。重要な第1の反射信号は、一般に膀胱前壁60からの反射に由来する。正常な状態では膀胱前壁の動きは実質的に全く無いため、F2はF1と同じサイクル時間と波形をもつ信号であり、ドップラーシフトも無い。しかしながら、反射信号は往復を移動する間に前壁までの距離の2倍を移動するため、信号F2は信号F1に対して時間移動DTで検出される。
【0088】
DTの直接測定は現実的ではなく、及び/又は、容易ではない。しかしながら、(周波数領域にある)F1からF2を引くと、時間遅延に依存する周波数シフト(DF)が得られる。パルスF1の継続時間のほぼ全体について周波数シフトが一定のままであり、このためより多くの検出用信号を提供することに留意されたい。本発明の例示的な実施形態によれば、反射信号F2は任意選択で(送信信号で規格化するために)増幅され、送信信号F1から(周波数領域において)差し引かれて、最大値をもつ周波数シフトが求められる。トレース250は、掃引両端の切り替え点を除いては(一定距離に対応して)一定周波数となる、そのような減法の結果を示している。本発明の例示的な実施形態によれば、任意選択で送信及び受信のための数台の変換器を使用することにより、この周波数の減法はヘテロダインとして実行される。任意選択で、この検出は振幅検出器を使用することである。
【0089】
本発明の例示的な実施形態によれば、送信信号F1は、周波数シフトと距離との間に1対1の対応が取れるように、信号が膀胱を通過して戻る往復伝播時間よりも長いパルス幅PDで送信される。任意選択で、受信信号を相当の時間にわたって収集できるように、PDは往復伝播時間の何倍も長い。
【0090】
図2には線形掃引が図示されているが、本発明の多様な実施形態において様々な掃引関数を使用することができる。例えば、対称な又は非対称な、連続的な又は間欠的な掃引が使用できる。間欠掃引の潜在的な利点は、遠方の反射が近傍の反射によって比較的に圧倒されそうにないことである。例えば、アナログシステムにおいては、連続関数が使用されてもよい。対称掃引の潜在的な利点は、送信信号と受信信号との間の関係が(たとえ極性が変わったとしても)一定に保たれることである。非対称掃引の潜在的な利点は、復帰掃引を短縮できることである。別の潜在的な利点は、F1とF2との干渉時間を削減できることである。任意選択で、掃引関数の形状は(固定した周波数−時間関係を提供し、単一のトランシーバ要素におけるヘテロダインを支援する)線形であるが、正弦曲線等の他の形状が使用されてもよい。任意選択で、検出中の処理が受信周波数での非線形掃引の効果を修正する。任意選択で、掃引は線形でなければ、一定の極性の微分もつ。一部の掃引形状は、より簡素な電子技術につながり、及び/又は、音響ユニットの共鳴応答により適することがある。例えば、圧電およびPVDFの両材料は、特定の周波数及び/又は変調波形状で、より容易に駆動されることが知られている。
【0091】
図2Aには、対称鋸関数が図示されている。周波数にわたって連続的で滑らかな掃引が図示されている一方で、任意選択で、ステップ形の掃引が使用され、あるいは掃引は信号が飛ぶ不連続な周波数からなる。任意選択で、低振幅の期間は飛びの合間に与えられる。
【0092】
本発明の例示的な実施形態によれば、掃引が使用される。しかしながら、TOF(飛行時間)法を使用して膀胱の前壁及び後壁からの反射を検知してもよい。おそらくは周波数掃引関数の使用は緩衝器を使用する必要を回避する利点をもち、送信及び受信信号は、それらの周波数で(任意の所定の時間に)微分することができる。本発明の例示的な実施形態において、TOFパルスを基礎とする技術は、飛行時間を検出するために、送信信号とその反射との相関関係を使用する。
【0093】
掃引式検出に使用できる1つの処理方法は、(例えば、信号検出の一部として)送信信号から(増幅/規格化後の)受信信号を減じ、(例えば、信号処理の一部として)減じた信号の振幅にピークが存在する周波数を検出する。一部の場合において、2つの最も大きなピークは膀胱の前壁及び後壁からの反射である。任意選択で、距離窓が、これらの信号の同一性を検証するために使用される。例えば、(a)近方の膀胱壁が近づけない程に(又は最近の測定結果よりも)近く、及び/又は(b)最近遠方の壁が検出された距離ではなく、又は(c)一般に又はその患者に対して遠方の壁の距離範囲にある、信号は無視される。
【0094】
本発明の例示的な実施形態によれば、単一の変換器が送信および受信に使用される。この変換器は、変換器に接続されたAM検出回路がヘテロダイン信号(すなわち、差分信号)を受信するように、受信信号と送信信号とで自動的にヘテロダインを発生させることができる。本発明の例示的な実施形態によれば、AM検出回路は比較的に低周波数の回路(例えば、200kHz、100kHz、又はそれ未満)である。
【0095】
本発明の例示的な実施形態によれば、掃引時間は関心のある最長の時間(例えば、数十マイクロ秒のオーダーの150mm往復時間)よりも相当に長い、例えば、5倍、10倍、20倍、50倍、又はそれ以上に至る。本発明の例示的な実施形態において、関心のある距離よりも大きな距離に相当する周波数は、検出器により又は周波数フィルタの使用によって簡単に排除される(例えば、低周波数応答のために通過できない等)。本発明の例示的な実施形態によれば、1回の掃引の累積時間(例えば、ヘテロダイン信号が有効な時間)は、1ミリ秒、3ミリ秒、5ミリ秒、50ミリ秒、又はその前後か中間の値である。議論される周波数に対して、掃引時間はまた、その周波数のサイクルタイムよりも相当に長い(例えば、1MHzに対して1マイクロ秒)。
【0096】
本発明の例示的な実施形態において、掃引速度を時間に変換するために較正段階(例えば、内部較正)が用いられる。
【0097】
本発明の例示的な実施形態において、低い周波数と長い累積時間との組み合わせが、より単純な処理回路の使用、及び/又は、他の器官からの反射に由来する雑音の無視を含めたSNRの改善、を支援する。おそらくは、デジタル回路は全く使用されない。
【0098】
本発明の例示的な実施形態において、掃引中に使用される瞬間的なパワーは、パルスに使用されるものよりも小さいが、使用される全パワーは同程度かそれ以上になる。本発明の例示的な実施形態において、より低い瞬間的なパワーの使用は、より低い電圧(例えば、15ボルト未満 )で変換器が駆動できることを意味する。任意選択で、受信信号は数ミリボルトであり、例えば、1ミリボルトより大きく、又は10 ミリボルトより大きい。
【0099】
掃引速度(例えば、1mmあたり1kHz、1mmあたり0.5kHz、1mmあたり2kHz、又はその前後か中間の値)は、任意選択で、時間と距離の必要な分解能とのトレードオフに不可欠な要素となる。任意選択で、1mmの距離分解能で十分である。
【0100】
任意選択で、連続的な測定結果は、例えば、他の大部分の測定結果よりも(例えば、振幅やピーク位置において)標準偏差の2倍よりも大きな測定結果といった一部の測定結果を落とすのに向いている。任意選択で、測定の最も類似した90%のみが維持される。
【0101】
図2Bは、本発明の一部の実施形態による、周波数領域に変換された後の(単純化した)受信信号を示すグラフ260である。(周波数領域において、例えば、ベースライン/搬送波周波数として瞬間的な周波数を減じることにより)任意選択で瞬間的な送信周波数を減じた後で、この信号は任意選択でFFTやその他の方法を用いて受信信号を変換して生成される。信号は任意選択で平均化され、又は時間とともに累積される。第1のピーク262は、送信信号および人体表面からの反射に一般に対応する。なお、発明の一部の実施形態において、一部の受信信号が周波数においてfminより低くなるように、送信信号は比較的に広い。また、広い信号は極大を求めることによりピークの検出を知らせる。反射264は、皮膚と膀胱前壁との間の構造に由来する。反射266は膀胱前壁60に由来する。反射が無い周波数範囲268は、一般に界面や分散要素を含まない、尿からの反射の欠如を示す。反射270は膀胱後壁70からの反射である。しばしば、膀胱後壁の集束効果により、反射270は反射266よりもサイズが小さいか、大きくなる。任意選択で、遠方壁(又は近方壁)からの反射の変化に基づいて、充満レベルが推定される。反射は、一般に距離(遠方壁に対して)及び壁の曲率半径(非掃引信号に対しても)に依存する。本発明の例示的な実施形態によれば、膀胱壁からの反射266及び270は、無反射範囲268との対比に基づいて検出される。任意選択で、反響性−非反響性および非反響性−反響性媒体の典型的なパターンが壁の検出に使用される。代替的に又は付加的に、尿からの信号レベルが雑音フィルタの較正に使用され、この雑音フィルタは尿の領域を遮蔽する。反射272は、直腸、子宮頚部又は子宮からの反射であるが、任意選択で、その距離及び反射位置順のために無視される。
【0102】
本発明の例示的な実施形態おいて、当該技術において既知の他の信号処理技術のみならず、又はその代わりに、次の技術の1つ以上が、信号対雑音レベルの改善に使用される。
(a)アクティブ帯域通過フィルタ、これに先立って壁(又は他の関心事項)が特定された場所に対応する周波数帯域でのみ、検出された信号が検査される。(b)狭帯域フィルタ、壁の位置に対応する周波数以外の周波数を除去することによって、壁表面上の処理やその他の関心事項がより精密に行われる。(c)駆動信号のフィルタリング。例えば、変換器により適合し、又は変換器を補償する。(d)送信信号又は表面からの反射のフィルタリング、任意選択で振幅が任意のAGCに影響するのを抑制する方法による。及び(e)ノイズ閾値トリガー・レベル、任意選択で、最も大きい2つのピークよりも十分に小さな信号が弱められるように、2つの強いピークが存在するという予測に基づく。
【0103】
一般的な場合、後壁70が(皮膚から)約30mmの距離から約110mmの距離まで動く一方で、前壁60は膀胱が充満する間、皮膚から約20〜50mmの距離で、3mmと5mmの間で動く。任意選択で、例えば、後壁の動きは膀胱充満の変化および膀胱を空にすべき時間の接近の推定には十分なので、前壁からの測定結果は無視される。代替的に又は付加的に、膀胱前壁の位置の変化は遅いので、もし信号が検出されなければ、前回の測定結果が使用される。
【0104】
本発明の例示的な実施形態によれば、壁は周波数フィルタを使用して検出される。任意選択で、距離の範囲が検出される較正の間にフィルタの設定が決定される。本発明の例示的な実施形態によれば、近方壁フィルタが約50mmに相当する周波数を徐々に減衰させる。もし近方壁が(大多数の人に該当する)50mmに見つからなければ、禁忌の生理学的問題が存在する可能性がある。もし、遠方壁もこのフィルタで検出されれば、膀胱はおそらく空か、空に近い。第2の、遠方壁フィルタは、任意選択で50mmと150mmとの間の距離に相当する帯域幅を扱う。150より大きな距離は、任意選択で、膀胱の一部ではないものとして無視される。任意選択で、フィルタが固定されていない較正ステップの間に、様々な距離が検出される。
【0105】
本発明の例示的な実施形態において、例えば短い期間については、測定の欠落は外挿される。任意選択で、時間的に近傍の測定が無視されるように、測定の欠落または測定にお
【0106】
本発明の例示的な実施形態において、もし動き疑われれば、疑わしい動きが何であるか確認されるまで、より集中的な測定モードが適用される。例えば、疑わしい動きは、動きとして、意図的な排尿事象として、あるいは遺尿として確認されうる。
【0107】
代替的に又は付加的に、手動測定が提案されてもよい。手動測定においては、装置が人為的な動作なしに作動するように、利用者は静止して(かつ任意選択で息を止めて)、静止したときにスイッチを押す。任意選択で、利用者は計量カップを使用して排尿することが要求され、次いで排尿容量が調べられる。
【0108】
図2Bは略図であり、
(a)膀胱壁と周辺組織との間の境界や、
(b)膀胱壁と尿との境界、に対する個々の反射は示していない。
しかしながら、これらは任意選択で個々の反射として検出されるか、又は恐らくは壁によってピークの側に生じるノッチとして検出される。インピーダンスの変化(及び、この反射強度)は一般に界面(b)に対するものより大きい。一般に、膀胱の外側は起伏があり内面は滑らかであるため、膀胱の内面からの反射の方が集束される。しかしながら、近い方の膀胱壁に対して、膀胱壁は分散レンズとして機能する。従って、組織と前壁60との間の界面からの反射は、前壁60の尿との界面の反射と比較して著しい。近方の壁については、集光効果は壁によって提供されるため、反射は一般に内壁の方が高い。任意選択で、前壁60が壁厚の変化を検出するために使用される。例えば、圧力変化または徐波が原因の壁厚変化、あるいはDetruser緊張が原因のものは、薬物及び/又は人工膀胱制御装置(TENS)によって変化する。
【0109】
本発明の例示的な実施形態において、送信ビームは、前壁60によって反射されて準平行ビームになるように意図された集束ビームである。任意選択で、ビームは膀胱壁60の予想される距離で集束される。任意選択で、この集束距離は、複数の焦点距離が試されて、前壁60からの信号が最大となる距離が選択される、前壁60設定の間に検出される。代替的に、ビームは観察エリア(例えば、膀胱壁の間、又は遠方膀胱壁が中程度に充満したところ)の中央、あるいは高い充満レベルの後壁70が検出される位置(例えば、遠く、精度が重要になる)に集束される。
【0110】
任意選択で、信号処理は非掃引分析を含む。ある例では、一度2つの壁までの距離が検出されると、これらの距離は、その距離に相当する到達時間のみの信号を選択的に受信して処理するための時間窓を生成するために使用される。任意選択で、そのような分析は、壁からの再選択スペクトルに基づいた、膀胱壁部の外見の分析を含む。代替的に又は付加的に、短い掃引信号を送信し、その時間窓のみの反射を分析することによって、壁の2つの表面を区別するために、より正確な周波数掃引が使用される。
【0111】
[実験]
図4A及び4Bは、模型(水風船)で実施した実験の結果を示す。図4Aにおいて、グラフ400は送信された掃引402と受信信号 404を示す。
【0112】
図4Bにおいて、グラフ406は一般に図2Bに相当する。表面/送信機からのピーク408が図示されている。風船の壁からのピーク410が図示され、また風船の後壁からの第2のピーク412も図示されている。2つのピークまでの距離とピーク間の距離の測定結果は、風船のサイズに相当する。ピーク412におけるノッチ/摂動414は、風船の壁厚の効果と考えられる。
【0113】
[使用周波数]
本発明の例示的な実施形態において使用される周波数は、幾つかの事項を検討して決定される。なお、広範囲な周波数範囲を使用することができ、一部の検討事項は一部の実施に相当し、また、次の1つ以上が考慮される。
(a)測定距離の精度は測定で使用する波長によって制限される。
長い波長を使用するほど、精度の低い測定結果となる。
(b)短波長では吸収が比較的に大きい。
(c)遠視野で動作することが望ましいが、このことは関心領域(前壁60)が近接場外になるよう、周波数が十分に高いことを必要とする。
(d)短距離に焦点を合わせることは高周波数にとって容易である。
(e)使用される送信機および受信機は(電子機器と同様に)周波数応答が制限される。
(f)価格と複雑さの削減要求
(g)複合問題
【0114】
本発明の例示的な実施形態において、使用される典型的な周波数は500kHzから1.6 MHzまで変化し、おおよそ1〜3mmの波長を与える。より詳細には、範囲は800〜2.5kHz又は900〜1500kHzである。任意選択で、選択された範囲はより大きく、例えば、200kHzと4MHzの間である。任意選択で、掃引範囲はより小さく、例えば、200、300、400、500、600又は700kHz、若しくはその中間の値である。本発明の例示的な実施形態において、実際上の及び/又は解剖学上の考慮による場合、及び、任意選択で結合形状が関心領域を変換器のフレネル領域内に入れるという要求による場合を除いては、選択される実際の周波数は通常は制限されない。様々な掃引速度(例えば、0.1kHz/mmと10kHz/mmの間)を使用することができる。しかしながら、正確な選択された掃引速度は、分解能と積分時間及び/又は装置30のその他のパラメータ(例えば、検出器のダイナミックレンジや関心領域の深さなど)との間でのトレードオフになる場合がある。
【0115】
ある例では、時間−周波数関係が1Hz/マイクロ秒となるように、次のパラメータが送信に用いられる。800kHzの最低掃引周波数(fmin)、1200kHzの最大掃引周波数(fmax)及び400マイクロ秒のサイクル時間(CT)。従って、もしDFが60kHzだと分かった場合は、送信機から組織まで進んで戻るF2の伝播時間は60マイクロ秒であり、このことは信号が反射された場所の深さが60マイクロ秒/2×1500m/秒=45mmであることを意味する(信号は往復を進むため2で除して補正している)。任意選択で、軟組織中の音速は推定されるよりも、例えば当該技術の既知の方法で実測される。任意選択で、速度は人によって大きく変わらないと想定される。任意選択で、異なる推定速度が異なる組織タイプ(例えば、膀胱周辺の2つ以上の組織 、膀胱壁、脂肪及び尿)に対して提供される。任意選択で、温度変化に起因する誤差が修正される。例えば温度センサを使用して温度に基づき組織速度を補正する。任意選択で、関与する全ての組織に対して単一の値1540m/s(平均値)が使用される。
【0116】
本発明の例示的な実施形態において、変換器は Keramosコーポレーション(米国)製の型式K350/446であり、24mm(円形)の直径、約10〜20のQ値、及び15Mraylの音響インピーダンスをもつ。より小さいサイズ(例えば、10mm)や他の製造者のものを使用することもできる。任意選択で、動作中心付近で共振周波数(例えば1MHz)をもつために、形状(例えば正方形)及び/又は変換器のサイズなどの他の特性が選択される。本発明の例示的な実施形態において、より広い掃引周波数範囲を可能にするために、より低いQ値が使用される。
【0117】
[装置デザイン]
図6は、本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置30の略ブロック図である。本発明の例示的な実施形態において、膀胱監視装置30は、膀胱監視装置30の機能を制御するために制御装置620を含む。任意選択で、制御装置620は、監視される人へ送信する周波数掃引関数を用意する信号発生装置640に接続される。任意選択で、信号発生装置640は変換器680(例えば、監視される人へ超音波信号(F1)を送信する圧電変換器など)に接続される。本発明の例示的な実施形態において、変換器680は更に、送信された信号に応答してその人から反射される超音波信号(F2)を受信し、信号受信機650に転送するように適合されている。代替的に、別々の送信機と受信器が使用されてもよい。任意選択で、信号受信機650は受信信号を分析し(フィルタにかけて分離する)、分析結果を制御装置620に転送する。発明の一部の実施形態において、制御装置620は膀胱の膨張レベルを判断するために送信信号と受信信号とを比較し、その判断に基づいて応答する。代替的に、制御装置620は、以下に説明するような外部コンピュータに信号を転送する。
【0118】
任意選択で、制御装置620及びその中の他の回路はASICとして実現される。代替の実施形態において、アナログの分離された処理回路が使用される。
【0119】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、入力インターフェースとディスプレイを含むユーザインターフェース610から構成される。任意選択で、そのユーザインターフェースは装置のオン/オフを切り替える起動スイッチ660を含む。発明の一部の実施形態において、ユーザインターフェース610は様々な動作モード(例えば、較正モード、消音モード、取り込みモードの1つ以上)を選択する選択ダイヤル665から構成される。任意選択で、選択ダイヤル665は警報を起動する膨張レベルを選択する。例えば、充満レベルが50%、65%、80%又は90%を超えると膀胱監視装置30が警報を起動する。発明の一部の実施形態において、ユーザインターフェース610は、例えば、状態表示を提供し、及び/又はユーザからの行為を要求するため、ディスプレイ670を含む。
【0120】
任意選択で、スイッチ660又は別のスイッチが、尿の状態(例えば「膀胱充満」、「膀胱空乏」、及び「尿意逼迫」)を知らせるために利用者に使用される。代替的に又は付加的に、水分摂取量や身体位置などの指標を入力するユーザインターフェースを使用することができる。別のユーザインターフェース・デザイン(例えば、メニュー取込用ボタンやメニュー項目に対する値を入力するためのボタンを持つメニュー式デザインなど)を使用することもできる。
【0121】
発明の一部の実施形態において、ユーザインターフェース610は、その装置を外部装置(例えば、分析する測定データを転送するためのパーソナルコンピュータ等)に接続するために使用される通信インターフェース675(例えば、USB、シリアル、パラレル、Bluetooth、無線、IR、WiFi、携帯電話ユニット)から構成される。別の例では、インターフェース675は、(例えば、送信信号に使用する周波数範囲や掃引関数などの他のパラメータを特定するための)外部装置からの指示の受信に使用される。任意選択で、装置30はウェブサーバとして機能する。任意選択で、装置30はUSBソケットにプラグ接続することができる。任意選択で、例えば遠隔地から装置30へのリモートアクセスのために、装置30は携帯電話にプラグ接続することができる。任意選択で、そのようなアクセスにはBluetooth接続が使用される。任意選択で、警報信号を介護者等へ送信するために、インターフェース675が使用される。任意選択で、装置30は利用者が持ち込んだ標準的な電子機器(例えば、無線ヘッドセット、携帯電話、ポケベル、PDA、又は聴覚装置など)と通信する。任意選択で、例えば利用者に警報を出すために、イヤリング又は腕時計として着用される、専用の無線ユニットが提供される。
【0122】
任意選択で、インターフェース675は分離可能な処理装置(例えば、PDA)に接続される。任意選択で、処理装置は、装置30をプログラミングするために使用された後に、処理装置とユーザインターフェース(警報及び/又は装置30の一部を形成して終日着用される幾つかの最低限のユーザインターフェースのみを除いて)は取り除かれる。任意選択で、より複雑な入力のためのインターフェースを再装着する要望を利用者に知らせるためにも警報は使用される。任意選択で、装置30は最低限見えるように(例えば、30mm、20mm、10mm、又はそれより薄くなるよう)デザインされている。任意選択で、装置30は普段着の下で目立たない。本発明の例示的な実施形態によれば、装置30の重量は200gr未満、100gr未満又は50grにも満たない。任意選択で、装置30は100cc未満、50cc未満、20cc未満、又はそれよりも小さい容量をもつ。
【0123】
任意選択で、通信インターフェース675は較正情報を提供するために使用される。
【0124】
本体698(任意選択でメモリ付きである)を含む自動測定容器692が図示されている。容器692の充満レベルを表示する信号を発生するために、圧力センサ又はその他の充満センサ696が任意選択で用意される。装置30に測定容量を自動的に供給するように、ケーブル694又は無線インターフェースが任意選択で用意される。任意選択で、動的な排尿パラメータ(膀胱排出速度など)が追跡できるように、この供給はリアルタイムで、かつ十分に高いサンプリング(例えば、毎秒又はそれより早い)である。
【0125】
代替的に又は付加的に、既知の測定容器を使用して、測定結果を手動で又は自動的に装置30又は保存され値を処理するコンピュータに供給することもできる。
【0126】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、利用者及び/又は介護が必要な場合の介護者に、例えば膀胱50が予め選択した充満レベルに達して解放が必要なことを警報するための警報ユニット690を含む。任意選択で、警報ユニット690はサイレン等の音声表示を発する。代替的に又は付加的に、警報ユニット690は閃光灯などの視覚的表示を発する。代替的に又は付加的に、警報ユニット690は触覚表示(例えば、利用者を軽くたたく、振動を発生する、弱い電気ショックを与える(恐らくはチクチク感じるレベル)等)を発する。代替的に又は付加的に、例えば、介護者を呼び出したり(例えば、内蔵の携帯電話または無線送信機を使用して)又は外部装置に警報を鳴らすように通知することによって、警報ユニット690は外部装置と通信する。任意選択で、ユニット690は携帯電話の着信音のような音(任意選択で、携帯電話の技術で既知のようにプログラム可能である)を発生する。従って、解放が必要なときには、利用者は「呼び出し」を受け、排尿のためというよりも、話をするために退室するふりをすることができる。本発明の例示的な実施形態において、膀胱監視装置30は、上述の機能を可能にする電力を供給するためのバッテリー等の電源を含む。
【0127】
本発明の例示的な実施形態において、3AAAバッテリーは、数週間あるいは数ヶ月間の稼動に十分な電力を供給することができる。例えば、もし変換器 680が、例えば1秒間を4分毎に1度(例えば、任意選択で、10、50又は100などの複数の負荷サイクルを提供する)など、定期的にのみ動作されるのであれば、長期動作を提供することができる。更に、他の負荷サイクル、例えば10分毎に0.5秒、又は別の分数(例えば、1,3,5,7,10など)、又は別の秒数(例えば、0.1,1,4,6など)が提供されてもよい。任意選択で、膀胱が充満しているときには、排尿事象を高い時間分解能で捕捉できるようするために、より高いサンプリング・レート(例えば、毎分10,20,50又はそれ以上)が使用される。装置30によって検出及び/又は測定検出された排尿事象は、例えば、意図的排尿事象又は(例えば、自制できないことに原因する)意図的でない排尿事象である。代替的に、手動入力が用いられる。任意選択で、一度目的物(例えば、膀胱壁)までの概算距離が分かれば、掃引範囲はより狭く(かつ、掃引間隔をかなり長く)することができ、また比較的に狭い距離範囲のみからの反射を選択的に分析するための時間窓と連動して使用することができるようにするために、周波数窓を使用することによって電力が節約される。
【0128】
本発明の例示的な実施形態において、装置30はストラップ730(任意選択で、伸縮性のストラップ)によって身体に取り付けられる(図7B)。本発明の例示的な実施形態によれば、付け心地の良さ、衣類の中に装着しても見えない、比較的に位置安定性がある、の1つ以上の理由でストラップは選択される。おそらくは、様々体型や肥満レベルが様々なストラップのデザインを必要とする。代替的に又は付加的に、接着方式(テープや装置30の接着層など)が用いられる。超音波のための良好な音響的経路を提供するために、ゲル又はその他の音響結合材料が使用されてもよい。任意選択で、圧力による膀胱の歪みを防ぐため、比較的に低い接触圧力で取り付けられる。任意選択で、装置30は、接触圧力が高すぎると警報を発生する圧力センサを含む。
【0129】
本発明の例示的な実施形態において、装置30の凹面720(後述)に適合するように、及び/又は、利用者の身体の予想される曲面に適合するように任意選択で設計される、接着パッド760(図7B)が提供される。本発明の例示的な実施形態において、パッド760はゲル結合層769を含み、適切な音響特性を有している。身体に取り付けるための任意選択の接着層766が提供される。代替的に又は付加的に、凹面720への取り付けのための任意選択の接着層762が提供される。
【0130】
[変換器の配置]
本発明の例示的な実施形態において、変換器680は装置30の使い勝手を改善するようにデザインされている。本発明の例示的な実施形態において、変換器680は 膀胱50を捕捉しやすいように配置される。任意選択で、複数の変換器が使用され、最良もしくは合成(例えば平均)した信号が用いられる。任意選択で、電力を節約するために、5つ以上の変換器を使用するよりは、むしろ4つ、3つ、2つ又は1つの変換器が使用される。
【0131】
図7Aは、3つの変換器を含む例示的な実施形態における、膀胱監視装置30のための変 換器レイアウトの略図である。図7Bは、本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置30の側方断面図である。
【0132】
図示の実施形態において、装置30は3つの変換器を含む。しかしながら、例えば一列に並んだ4つの変換機など、2つ以上の変換器が使用できる。
【0133】
図7Aには、3つの変換器710(A,B及びC)が図示されている。任意選択で、変換器Aは利用者の腹部の最上部に配置され(わずかに下方に傾けて送信する)、変換器B本願で説明する最適位置に従って配置され、そして変換器Cは最適位置のわずかに右から送信するように配置される。本発明の例示的な実施形態において、この配置は一部の人々で見られる中心から外れた膀胱の位置をカバーし、装置30の照準合わせの困難を解決する。任意選択で、別の配置も用いられる。例えば、左側に位置のずれた膀胱をもつ人々に対しては、左側に配置した変換器 が使用される。本発明の例示的な実施形態において、用いられる配置は、へそと生殖器とを結ぶ直線に沿って配置された1つ以上の変換器と、この直線から外れた少なくとも1つの変換器を含む。本発明の例示的な実施形態において、変換器のアレイが使用され、較正中は1つの変換器(あるいは、そのような選択を模倣する電気的仕組み)が使用される。発明者が行った非公式な実験において、膀胱の80%は中心線上にある。80〜90%の人々において、2つのチャネル(即ち、変換機)の結果は1mmの範囲内で一致した。任意選択で、膀胱の可動範囲が捕捉できるように変換器が配置される。任意選択で、変換器の中の最大値が正しい値として受け入れられる。
【0134】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱50へ様々な角度で送信信号を供給するように、変換器710は様々な角度(例えば、図7A〜7Bに図示されるような10°のα)で凹面720上に配置される。本発明の例示的な実施形態において、目的物体の形状に基づいて、及び/又は、変換器の正しい照準を支援するために、凹面が選択される。任意選択で、表面720は円錐の表面であり、円筒の表面ではない。代替的に、円筒の表面であってもよい。任意選択で、変換器ケース(変換器は任意選択で平坦である)は、表面720上へ配置すると、自動的に正しい角度に照準を合わせるように設計される。代替的に又は付加的に、変換器を受け入れるために表面720内に適切な角度をもった凹所が形成される。任意選択で、2つの10mm変換器の間の距離は0.5mmである。本発明の例示的な実施形態において、恥骨80の上の変換器の不測の位置決めを補償するために、変換器はへそと生殖器との間の直線に沿って上下に配置される。任意選択で右に傾斜している膀胱をカバーするために、1つの変換器は側面に配置される。
【0135】
任意選択で、使用中に、変換器710は、任意選択で異なる周波数掃引関数を使用して又は交互に作動して、同時に信号を送信及び受信する。任意選択で、複数の変換器710の使用は、利用者の姿勢変化や移動などに起因する膀胱の移動の影響を克服するために、各サイクルに対して最も明瞭な信号の選択を可能にする。さらに、複数の変換器710は、単一の変換器からの測定結果の欠落を無視することを許容する。任意選択で、異なる変換器に対して異なる較正値が記憶される。
【0136】
発明の一部の実施形態において、配置後に、最も明瞭な信号をもつ単一の変換器710が将来の使用のために選択される。
【0137】
任意選択で、異なる変換器からのビームは、充満した膀胱の中央で交差するように設計される。代替的に、ビームは(分散した反射をより良好に受信するために)前壁60、又は、膀胱が充満した状態においては(遠方の信号をより良好に受信するために)後壁70で交差するように設計される。発明の一部の実施形態において、ビーム形状は膀胱半径の変化(ひいては、分散及び/又は焦点効果)が考慮されている。任意選択で、送信及び/又は受信ビームの集束は、例えば制御可能なレンズ(例えば、水の容量の変化(つまりは半径の変化)がレンズ形状を変化させる、水で満たされたレンズ)を使用して、膀胱が充満し空になるのにつれて変更される。
【0138】
本発明の例示的な実施形態において、送信及び/又は受信ビームの集束を制御するために、任意選択で可変焦点距離をもつ、音響レンズが使用される。代替的に又は付加的に、異なる変換器は異なる集束特性をもつ。ある例では、1つの変換器は前壁に対して最適化され、1つは中程度に充満した状態の後壁に対して最適化され、そして1つは完全に充満した状態の後壁に対して最適化される。
【0139】
本発明の例示的な実施形態によれば、変換器からのビームが近方の壁60に達するところで集束し、後壁70に達するところで発散するように、変換器デザインが選択される。本発明の例示的な実施形態において、両方の壁が変換器のフレネル帯の内部にある。本発明の例示的な実施形態において、この効果に対して変換器のサイズ、構造および周波数が選択される。ある例では、フレネル帯の起点を計算するために式「(長さ)=2*D2/(波長)」が使用される(2は実験的に決定されるパラメータであり、Dは変換器の寸法である)。任意選択で、素子サイズ及び波長を(例えば、製造後にでも)変更することよって、集束およびビーム幅を変えることができる。本発明の例示的な実施形態において、10mm正方の変換器が1MHzの中心周波数で使用される。
【0140】
図示のように、各変換器は送信及び受信に使用される。上述の通り、これは、追加の電子機器無しに、送信及び受信信号の物理的なヘテロダインを発生させるために用いられる。任意選択で、別々の送信器と受信器が使用される。ある例では、複数の送信機対して1つの比較的に無指向性の受信器が使用される。代替的に又は付加的に、1つの比較的に無指向性の送信器が、複数のより指向的な受信器又は1つの比較的に無指向性の受信器に対して使用される。任意選択で、ビームは10度と30度の間の角度広がりを持つ。
【0141】
発明の一部の実施形態において、画像センサ又はアレイ・センサが使用される。
【0142】
発明の一部の実施形態において、人の皮膚と膀胱モニタ装置30との最適な接触を実現するために、超音波装置に使用されるような音響性ゲルが、例えば凹面720にゲルを塗布することによって、使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、1日又はそれ以上(例えば、8,24,36時間又はそれ以上)にわたって音響的接触が持続するようにゲルは選択される。
【0143】
本発明の例示的な実施形態において、変換器710は500kHzから1500kHzまでの範囲の共鳴音(例えば1MHz)と40未満あるいは15未満のQファクターをもつ超音波信号を発生する。
【0144】
[較正]
異なる利用者は異なる最大サイズの膀胱をもつ。任意選択で、膀胱監視装置30は特定の利用者に対する最大値の百分率として、又はおそらくは容量の単位(例えばミリリットル)として充満値を与える。代替的に又は付加的に、装置30は音響特性について較正される。任意選択で、較正は医療提供者によって行われる。代替的に、較正は利用者又はその介護者によって行われ、適当に自動化され及び/又は簡易化される。
【0145】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、較正方法のフローチャート500である。次の行為の幾つかを省略した、他の較正方法が用いられても良い。
【0146】
510にて、膀胱監視装置30が配置される。本発明の例示的な実施形態において、第1の行為は、適切な音響信号が検出される位置を判断するものである。本発明の例示的な実施形態において、適切な音響信号は、反射の無い空間領域(尿)の前の反射及び後の反射を含む。任意選択で、較正のための配置は、重要な空間領域を確保するために、半分充満した又は完全に充満した膀胱の状態でなされる。任意選択で、装置30は適切な信号が検出されたことを示すLEDを含む。
【0147】
本発明の例示的な実施形態において、例えば入れ墨ペンを使って、入れ墨によって配置が印される。
【0148】
発明者による幾つかの実験は、(成人の母集団の全てではないが相当な割合に対する)適切な位置は生殖器とへそとを結ぶ直線に沿っていることを示した。一部の人々に対する最適な配置は、その直線の中心より約30mm下方であり、概して恥骨の上方約30mmである。一部の人々では、右側への0〜15mmのオフセットが用いられる。本発明の例示的な実施形態によれば、このオフセットは、中心線から装置の位置を動かすことによってはではなく、装置設計によって補正される。この位置は、一般的にへその約125mm下方である。なお、多くの人々(多少肥満であっても)は、この位置の腹部に平坦な表面をもつ。この位置は一般的に、膀胱の最も凸状の部分(そこでは充満中の変化が最大となる)へ信号を送信することを可能にする。なお、膀胱は充満している間に移動し及び/又は(例えば、重力が原因で)不均一に充満するため、膀胱が空の状態における最高の位置は充満した状態に対するものとは異なることがある。任意選択で、充満した膀胱に対する最適な配置が選択される。代替的に又は付加的に、異なる変換器が異なる充満レベルに対して最適に配置に配置される。
【0149】
一度、装置30が正しく配置されると、充満レベルの表示が較正される。本発明の例示的な実施形態において、利用者が強い尿意を催したときは、例えばダイヤル665を較正モードに設定することによって、利用者は装置の較正モード(520)を選択する。発明の一部の実施形態において、較正モードへの設定は膀胱充満を意味する。代替的に、利用者は、膀胱が充満していることを示す(530)ために、(較正モードのときに)例えばスイッチ660などのスイッチを押す。利用者は次いで膀胱を空にする(540)ために排尿する。発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は充満膀胱状態を記録した後に、膀胱が空の状態を自動的に最小値として検出する。代替的に、利用者は、膀胱が空の状態を示す(550)ために、スイッチを押す(例えばスイッチ660を2回押す)。
【0150】
本発明の例示的な実施形態において、測定結果は信号−充満レベル関数の較正に使用される。任意選択で、関数は線形である。代替的に又は付加的に、3次式その他の推定が用いられる。任意選択で、関数は表に保管される。任意選択で、より複雑な曲線(例えば、個人の曲線、人々の母集団に基づく曲線)が用いられ、較正結果は曲線の振幅を変更するために使用される。
【0151】
発明の一部の実施形態において、利用者は計量容器(例えば692)の中に排尿し、尿の容量を膀胱監視装置30によって測定される膨張の変化と比較することによって、絶対容量を決定することができる。任意選択で、計量容器は、尿の容量の表示を生成する圧力センサなどのセンサを含む。代替的に又は付加的に、例えば1回押す毎に10mlを表示する、ユーザ入力制御が使用される。
【0152】
なお、一部の応用にとって重要なことは、排尿を行うべきときの警告である。そのため、実際の容量は重要ではなく、単に膀胱が充満されたという事実が重要となる。
【0153】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、1セットの期間(例えば、1時間、12時間、24時間、36時間、又はそれ以上)にわたって最大及び最小の膨張を記録することにより、自動的に自己較正する。任意選択で、新しい最大値(又は排尿の際は最小値)が見つかった時には、再構成が行われる。
【0154】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、最初は膀胱50の正確な位置を判断するために超音波スキャナを用いて配置されており、そのため配置された膀胱監視装置30は一切の異常性を考慮していない。代替的に又は付加的に、膀胱の充満状態を検出するためにスキャナが使用されてもよい。
【0155】
本発明の例示的な実施形態において、較正値は膀胱監視装置30のスイッチを切るか、電源630から外すことによってリセットすることができる。代替的に又は付加的に、膀胱監視装置30は特別なスイッチ又は特別なメモリ消去方法(例えば、装置を起動中に一定の位置にスイッチを保持する)を含む。本発明の例示的な実施形態によれば、探知した数値、及び/又は較正値、及び/又は処理結果を記憶するために、装置30はフラッシュメモリを使用する。
【0156】
本発明の例示的な実施形態において、計量カップへの複数の排尿事象にわたる情報を収集することにより、中間の充満レベルが較正される。任意選択で、以前に計算されたものとは異なる充満レベルが検出されていて、利用者が排尿欲求を知らせたときに、利用者はカップを使用するように促される。
【0157】
本発明の例示的な実施形態において、適切な較正は0〜150mmの距離にわたって0.5mmの測定距離精度を提供する。より低い精度、例えば、1mm、2mm、5mm、又はそれより悪いものでも、多くの目的に対しては十分である。より高い精度、例えば、0.2mm又は0.1mm又はそれより良いものが提供されてもよい。任意選択で、少なくとも60%又は70%よりも高い充満レベルにおいて、充満レベル推定は、20%、10%、5%又はそれより良い精度である。任意選択で、少なくともより高い充満レベルに対しては、個人的な容量の較正をしなくても、容量推定(又は排尿容量)の精度は20%、10%、5% 又はそれよりも良い。
【0158】
もし複数のセンサが用意されれば、各センサは個別に較正されることもでき、又はたとえ異なる値であっても同時に較正されることもできる。
【0159】
任意選択で、異なる姿勢(例えば、立位や座位)に対して、特に低い膀胱容量(例えば20〜40%)について、別々の較正が行われる。「膀胱の形状および配置に与える体位の影響のMRI評価」と題するNiels Kristian Kristiansen,Steffen Ringgaard,Hans Nygaard及びJens Christian Djurhuusによる論文(Scand. J. Urol. Nephrol. 38: 53-61; 2004, DOI 10.1080/00365590310017325)(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、充満した膀胱については、体位の影響はほとんど無いことを示唆している。
【0160】
[装置の使用方法]
図3は、本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視方法のフローチャート300である。
【0161】
本発明の例示的な実施形態において、利用者は膀胱監視装置30を配置する(310)。しばしば、利用者はトレーニングを受けていない。任意選択で、装置30を配置する場所は入れ墨ペン、即ち消えないマーカーで印が付けられている。
【0162】
利用者はスイッチを入れることにより装置を起動する(320)。
【0163】
任意選択で、利用者は、利用者の膀胱50に基づいて、例えば上述の方法を用いて、較正を行う(330)。任意選択で、利用者が警告を受けたい体位(例えば、立位、座位、背臥位(例えば夜間のために))較正が行われる。任意選択で、利用者はインターフェースを用いてモード(どの較正を使用するか)を切り替えることができる。
【0164】
本発明の例示的な実施形態によれば、膀胱監視装置30は利用者の膀胱50に向けて連続的に信号を送信し(340)、装置に戻る信号を受信する。膀胱監視装置30は戻ってきた信号を分析し、利用者の膀胱50の膨張レベルを判断する。任意選択で、上述のように、エネルギー節約のため送信は定期的であり、充満レベルが以前に排尿が行われた充満レベルに近づいたときに送信頻度を増加させることもできる。任意選択で、排尿時間は充満レベルと充満速度に基づいて予測される。
【0165】
もし、判断(350)されたレベルが予め選択した充満率(例えば65%、70%、80%又は90%)よりも大きければ、膀胱監視装置30は利用者または介護者に行動を起こす(例えば膀胱を空にする)ように知らせるために、警報ユニット690を作動させる(360)。
【0166】
任意選択で、利用者は充満レベルの推定を装置に問い合わせる。そのような問い合わせが有益な一例は、利用者に充満レベルを認識させるトレーニングを目的としたものである。利用者に(排尿が不要であるという)正確なフィードバックを提供することにより、利用者は急迫性尿失禁及び/又は過緊張性膀胱を克服することを学習できる。
【0167】
一部の例では、例えば連続的な充満レベルの閾値が検出されるように、装置30は複数の警報を提供するように設定される。
【0168】
任意選択で、複数のパラメータ(例えば、充満レベル、1つ以上の壁厚、充満速度などを含む)が排尿の必要性を評価するために使用される。
【0169】
本発明の例示的な実施形態において、利用者は1日のうちに、例えばシャワーを浴びるために、装置30を取り外したり、取り替えたりすることができる。任意選択で、装置30は再較正を必要とする。代替的に又は付加的に、較正のために、装置30は経過時間を追跡し、その時間の間の定充満速度を推測する。代替的に又は付加的に、前回の較正が維持される。代替的に又は付加的に、例えば膀胱50以外の身体構造(例えば恥骨)からの反射に基づいて、装置30の位置が維持されているか検出するために、変換器が使用される。任意選択で、利用者は装置30を使用する前(例えば、就寝の前)に排尿する。
【0170】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は、例えば適切なサイズにすることで子供の使用に適合し、おむつトレーニングシステムの一部として、又はその後の夜尿症治療の補助に使用される。任意選択で、大人又は子供が目を覚ます必要があるため、この応用に対しては負荷警報が使用される。
【0171】
本発明の例示的な実施形態において、介護者に尿瓶が必要な時を知らせるために、及び/又は、おむつの交換を防ぐために、装置30は病院又は老人ホーム内で使用される。任意選択で、複数の装置30が、介護者が配置された単一の中央集中警報局に 接続される。
【0172】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は時計を持ち、その日の違う時刻に違う動作をする。ある例では、様々な充満レベルの警報用閾値は、夜間にはより低く又はより高くなる。別の例では、警報タイプ(例えば、触覚や音)又は警報レベルは夜間に異なる。任意選択で、それによって、もし利用者が閾値前の状態に対する低い警戒レベルに応答(例えば、ボタンを押して了解するなど)しなかった場合は、注意感知方法が使用され、閾値に達しているときに利用者が不注意であるか眠っていると見なされると、負荷警報が使用される。
【0173】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は失禁事象がある度に通知を受ける。任意選択で、失禁が発生した充満レベルよりも下になるよう警報閾値が再設定される。任意選択で、警報用閾値レベルは失禁レベルの統計的分析によって決定される。ある例では、閾値は標準偏差を計算し、平均値から標準偏差2つのところに閾値を設定することによって、閾値が決定される。代替的に又は付加的に、安全マージンが加えられ、例えば、マージンは充満の百分率として、絶対数として、及び/又は充満速度に基づいて計算される。
【0174】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置30は、例えば1日、1週間又は一ヶ月以上使用した後に経済的に使い捨てできるように、低コスト材料から作られる。発明の一部の実施形態において、この低コストは、低周波数と低品質材料を使用できることに起因し、特殊な高電圧及びパルス整形回路が無いことだけでなく、長い積分時間と低周波数の処理に起因している。任意選択で電池は交換不能である。そのため、一度電池を使い切ると装置は捨てられる。
【0175】
[実験結果]
図8は、実際の人での320分間にわたる膀胱測定を示すグラフ800である。線810は(装置30から)膀胱の後壁70までの距離であり、線820は前壁60までの距離である。複数の充満及び排尿事象が確認できる。さらに、排尿の間の残余膀胱充満レベルが確認できる。また、おそらくは膀胱徐波に起因する、明らかな振動を見ることができる。本発明の例示的な実施形態において、これは閉塞(末梢抵抗)及び/又は排尿筋活動による影響を受けた括約筋が開いた状態における排尿筋のプロフィールと解釈される。グラフ800において見られる充満速度の変化は、その人が期間の最初の部分で終始大量の水を飲むように言われたことが原因である。本発明の例示的な実施形態において、これは腎臓による尿生成のプロフィールであると解釈される。なお、時刻220において、その人が動いたことに起因して距離の上昇が生じた。なお、しかしながら、近方壁の同時に起こる動きは、動きに起因する誤差を少なくとも部分的に補正する。なお、また、そのような動きの効果は、一般に膀胱がほとんど空の時に顕著である。任意選択で、装置30は充満速度が低いときに人工的な動きより敏感なるよう設定される。
【0176】
図9Aは、排尿中にリアルタイムで取得した測定結果を示すグラフ900である。線902は装置30から膀胱後壁70までの距離を示し、線906は膀胱前壁60までの距離を示し、線904は膨張(壁間距離)を示し、線902から線906を減じて導きだされる。基準908は一般に排尿の時間を示す。この時間の前に、基準910において、排尿が開始する直前及び同時に、膀胱位置の変化が観察されている。おそらくは、これは腹腔内圧の上昇が先行した排尿を示している。基準912は膀胱形状の振動を示しており、おそらくは排尿後の筋肉弛緩を示している。
【0177】
図9Bは、図9Aと同一人における、かなりの残留尿量が膀胱内に残される、部分的な排尿事象922に関連する測定結果を示すグラフ920である。線902〜906は図8と同じ測定結果を指す。一連の振動924は、おそらくは排尿事象の中断の結果としての(強制された)膀胱の緩和を示している。本発明の例示的な実施形態において、これは括約筋が閉じた状態における排尿筋活動を示すものと解釈される。
【0178】
図9Cは2段階排尿事象を示すグラフ930である。線902〜906は上述と同様である。第1段階932は膀胱の膨張減少を示しているが、直後に回復934が発生しているように見える。この尿容量の回復と思われるものは、実際には膀胱内筋がまだ活動しながら排尿を停止している間の膀胱の形状の変化に起因する起因するものと仮説することができる。任意選択で、この理由から、不完全な排尿直後の測定は無視される。代替的に又は付加的に、そのような不自然な結果から、人の病的な行動が検出される。第2段階936は膀胱が空になることで完結する。
【0179】
一部の実験において、立位、座位、横臥位などの姿勢の変化は、測定のベースラインに影響を与える。しかしながら、もとの姿勢に戻ると、影響を残さずに元の状態に戻る。また、上述したように、影響は小さいものと予想される。
【0180】
[長期使用]
本発明の例示的な実施形態において、装置30は長期的な監視に使用される。本発明の例示的な実施形態において、装置30は、排尿事象を追跡することによって、排尿日誌として使用される。任意選択で、例えば一押し毎に1単位の液体の摂取を示すボタンを使用して、入力も知らせる。代替として、より複雑なインターフェースが使用される。
【0181】
任意選択で、例えば、装置30をコンピュータや電話に接続されたドッキングステーションに置くことにより、分析のために排尿データが定期的に送られる。
【0182】
本発明の例示的な実施形態において、長期的な監視及び/又は追跡は、例えば前立腺疾患や膀胱の調節の不具合の診断、及び/又は、どちらの薬が現在の不具合の治療に効果的かを判断するために使用される。
【0183】
[尿力学]
本発明の例示的な実施形態において、装置30は尿力学のために使用される。第1の使用において、装置30は排尿後の残尿量を推定するために使用される。精度は比較的に低いものの、それでもこの値は重要である。任意選択で、容積を測定/推定するために、低い膨張値について、画像センサ又はセンサを使用して残余容積は較正される。代替的に又は付加的に、膨張と容量変化との間の対応が最大充満レベルから逆算される、外挿法が使用される。代替的に又は付加的に、残尿量の変化が追跡される。なお、膀胱が空になるほど、膀胱で最大の変化を示す位置は変化する。任意選択で、例えば画像センサ又はアレイセンサを使用して、膀胱位置が追跡される。代替的に、センサ間の移行の影響を滑らかにするために任意選択で使用される較正処理をして、異なる充満速度に対して異なるセンサが指定される。
【0184】
任意選択で、低い充満レベルに対する較正は、膀胱容量の変化モデル(任意選択で画像を用いて決定される)が考慮される。
【0185】
本発明の例示的な実施形態において、排尿事象(例えば、図9Aに示されるような事象、)の間の放出速度の測定が行われる。任意選択で、そのような推定は、測定装置における尿収集速度を較正している間にリアルタイム・フィードバックを提供する測定装置(例えば、692)を使用して較正される。代替的に又は付加的に、排尿の前、最中、及び/又は後の膀胱変化が追跡される。代替的に又は付加的に、尿生成速度が追跡される。
【0186】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱内の圧力レベルが判断され、及び/又は監視される。本発明の例示的な実施形態において、膀胱壁厚又は剛性(例えば、その内部の音速)は、例えばカテーテルを使用する等、他の手段を用いて測定した圧力と相関する。一部の実施形態において、組織の厚さと音速は、引き離し難く絡み合っている場合もある。おそらくは、厚さと速度は、変化の速度を分析することにより切り離され、各厚さと速度について異なる変化速度を推定する。
【0187】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は治療計画を評価及び/又は調整するために使用される。ある例では、ステント作用または前立腺肥大への薬の効果が追跡される。任意選択で、服薬その他の治療を知らせるために、装置30に入力が与えられる。代替的に又は付加的に、装置30は、排尿への望ましい又は望ましくない効果に応答して、例えば薬を溶出又は低減して、薬の投与を管理する。任意選択で、制御された溶離又はその他の薬の提供が、例えば、利尿作用を提供するため、又は過緊張性膀胱をリラックスさせる薬を提供するためのみならず、他の病気に対しても使用される。
【0188】
本発明の例示的な実施形態において、装置30の長期の端綱様の使用は膀胱の充満および空乏化の動態、及び/又は(例えば、閉塞の問題に関連する及び/又は高い残尿量の問題に関連する)流動の問題を追跡するためである。
【0189】
[排尿調節]
当該技術において、例えば間欠的カテーテル挿入、TENS装置又は機械的括約筋などの手動排尿調節装置を必要とする人に提供することが知られている。通常、そのような装置の利用者は、装置をいつ作動させるかを決めるためにタイマーを使用している。これは無駄が多く及び/又は不便であろう。本発明の例示的な実施形態において、本願で説明する充満測定装置が使用される。
【0190】
図10は、本発明の例示的な実施形態による、排尿調節方法のフローチャート1000である。
【0191】
1002において、利用者は充満レベルを測定する。任意選択で、装置30は連続装着される。代替的に、(例えば時間表に基づいて)充満表示が要求されると腹部に押し付けられる、携帯型装置が使用される。
【0192】
1004において、もし充満レベルが排尿を提案すると、警報が任意選択で発生し、利用者は排尿しに行くかどうかを決めることができる。
【0193】
1006において、利用者は間欠的カテーテル挿入などの手動排尿技術を利用することができる。
【0194】
[生理学的監視及びその他の使用]
本発明の例示的な実施形態において、装置30は排尿の抑制又は支援以外の用途に使用される。
【0195】
本発明の例示的な実施形態において、過緊張性膀胱の治療のために装置30が使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、徐波の検出及びその変化の追跡のために装置30が使用される。任意選択で、徐波は壁厚及び/又は壁の位置の変化に基づいて発見され、任意選択で変化は壁の間で、(おそらくは互いに遅れて)時間に同期されている。代替的に又は付加的に、例えば、膀胱壁厚、徐波(つまりは、弛緩又は収縮した括約筋の脈動)、空乏化速度及び/又は空乏化プロフィール(例えば、閉塞情報を示すための)などの、その他の膀胱パラメータが追跡される。
【0196】
本発明の例示的な実施形態において、壁厚の振動及び/又は壁位置が追跡される。
【0197】
本発明の例示的な実施形態において、追跡したパラメータはテンプレート(例えば、同じ利用者又は別の利用者から、又は利用者のグループから生成されたテンプレート)と比較される。異なるテンプレート又は異なる周波数、振動数及び/又は振幅は、病的な又は正常な状態を示すことがある。代替的に又は付加的に、昼行性の及び/又は夜行性の機能的能力及び/又は活動が分析される。
【0198】
本発明の例示的な実施形態によれば、生体自己制御法が使用される。ここでは、装置30は利用者に周波数、振幅、及び/又は振動数を知らせ、利用者はそのフィードバックを自己制御の仕方を学習するために使用する。代替的に又は付加的に、排尿するために本当に必要と思われるものは実際には刺激だけであり、従って、そのような刺激を調節するための利用法を教えることだけであることを利用者に示すためにフィードバックが使用される。
【0199】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は、例えば薬の作用又は副作用(充満速度の作用や膀胱の膨満の感覚への作用など)を判断するために、臨床評価の目的で使用される。本発明の例示的な実施形態において、膀胱の充満速度は、尿活動を表示し、利尿薬及び抗利尿薬又は他の治療の作用を示すことがある。
【0200】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は流体管理のために使用される。本発明の例示的な実施形態において、装置30は充満速度を追跡し、(患者の状態に応じて)それが低すぎるか高すぎるかすると警報を発生する。任意選択で、装置30は利用者に、例えば、水分又は利尿薬又はその他の薬を摂取するように指示を与える。任意選択で、指示は装置30上のインターフェースを経由して、又は外部装置を経由して提供される。
【0201】
[変形及び総則]
以上の説明は簡単な(例えばイメージングに関する)装置に焦点を合わせているが、本発明の一部の実施形態は、2次元又は3次元イメージングを用いて実現される。
【0202】
任意選択で、3次元イメージング能力は慎重に使用され(例えば、特に利用者が移動する場合に、電力又は処理能力を節約するために)、また周波数掃引を使用した反射の検出が、ほとんど常に使用される。当然のことながら、上述の方法及び装置は、使用する信号の種類を変えることを含めて、さまざまに変化することができる。当然のことながら、上述の方法及び装置の記載は、方法を実行するための装置及び装置を使用する方法を含むと解釈されるべきものである。また、コンピュータにおける、汎用の超音波機構における、又は専用の超音波機構における、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアを含む種々の実現方法も含まれる。任意選択で、ソフトウェアはコンピュータで読み取り可能な媒体(例えば、CD−ROM、フラッシュメモリ、ディスケットなど)の上で提供される。また、本発明の範囲内には、1つ以上の使い捨て可能な装置及び/又は取り付けパッド(任意選択で殺菌され又は医療用に適合されている)を含むキットが含まれる。家庭用には、取り扱い説明書が任意選択で提供される。
【0203】
本発明の範囲を限定する目的ではなく、一例として提供された、本発明の実施形態の限定されない詳細な説明を用いて本発明を説明してきた。ある実施形態について記載された特徴及び/又は手段は他の実施形態と共に使用されてもよく、また、ある実施形態についての特定の図または説明に示された特徴及び/又は手段の全てを、必ずしも本発明の全ての実施形態が有するものではない。本発明の一部の実施形態の範囲内にある記載された実施形態の変形が当業者に想到されるであろう。
【0204】
なお、上述の実施形態の一部は発明者によって熟考されたベストモードを説明しており、従って本発明に本質的ではない構造、作用、又は構造及び作用の詳細を含み、また、それらは一例として説明されている。本願において説明される構造及び作用は、構造又は作用が異なっていても、同一の機能を果たす既知の均等物によって交換可能である。節の見出しは案内のために提供されており、必要な限定として解釈されるべきではない。本発明の範囲は請求項で用いられる要素及び限定によってのみ限定される。請求項において、用語“comprise”(〜からなる)、“include”(〜を含む)、“have”(〜をもつ、〜を有する)、及びそれらの同根語を使用するときは、これらは“including but not limited to”(〜を含んでいるが、それに限定されない)の意味をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0205】
本発明の詳細な例示的実施形態を、図面に関連する以下の実施形態の解説を参照して説明する。ここで、1つ以上の図に現れる同一の構造、要素又は部分は、それが現れる全ての図において、一般に同一の又は類似の番号で標示される。
【図1A】本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視装置の動作原理を説明する略図である。
【図1B】本発明の例示的な実施形態による、膀胱壁間距離と膀胱容量との間の測定された関係を示すグラフである。
【図2A】本発明の例示的な実施形態による、距離を判断するための周波数掃引法の使用を説明するグラフである。
【図2B】本発明の一部の実施形態による、処理されて周波数領域に変換された例示的な受信信号を説明するグラフである。
【図3】本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視方法のフローチャートである
【図4A】本発明の例示的な実施形態による、実験において実際に測定された信号を示すグラフである。
【図4B】本発明の例示的な実施形態による、実験において実際に測定された信号を示すグラフである。
【図5】本発明の例示的な実施形態による、較正方法のフローチャートである。
【図6】本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置の略ブロック図である。
【図7A】本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置のための複数変換器配置の略図である。
【図7B】本発明の例示的な実施形態による、図7Aの膀胱監視装置の側方断面図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態による、膀胱の測定結果を示すグラフである。
【図9A】本発明の例示的な実施形態による排尿中の測定結果を示すグラフである。
【図9B】本発明の例示的な実施形態による排尿中の測定結果を示すグラフである。
【図9C】本発明の例示的な実施形態による排尿中の測定結果を示すグラフである。
【図10】本発明の例示的な実施形態による、制御された膀胱解放の方法のフローチャートである
【技術分野】
【0001】
本発明は膀胱のパラメータ(例えば絶対的または相対的膨満)の計測に関連する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が、過活動膀胱、良性の前立腺肥大による高い残尿量、排尿を強制するための間欠的カテーテル挿入や、機能的容量を増加させるために一般に使用される人工括約筋その他の排尿調節装置の使用、幼児や膀胱制御を失った高齢者又は負傷や身体障害を患う人々の遺尿(調節されない排尿)、といった膀胱容量に関連する機能障害を患っている。さらに、かなりの人々が睡眠中又は無意識のうちの遺尿に苦しんでいる。
【0003】
膀胱が解放を必要とするレベルにあるときに、その人や介護者に知らせるために、人の膀胱を監視する多くの装置が提案されている。
【0004】
Gangulyらの米国特許第 4,926,871号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、複数の信号を膀胱の中へ送信して受信した反射から容量を計算する、超音波スキャナを使用して膀胱の容量を自動的に判断するためのシステムを開示している。
【0005】
McMorrowらの米国特許第 5,235,985号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱の三次元画像を形成して、膀胱容量を計算するための複数の変換器を使用するシステムを開示している。
【0006】
Barnardの米国特許第6,110,111号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱を複数の超音波信号で走査し、膀胱の容量を計算するシステムを開示している。
【0007】
Gangulyらの米国特許第6,213,949号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱の前壁及び後壁との交点を判断するために、複数の走査信号を膀胱の中へ送信するシステムを開示している。そのシステムは、これらの点を用いて膀胱の外形を判断して、膀胱容量を見積もる。
【0008】
おそらくは、膀胱が球形その他の単純な幾何学的形状と仮定して、膀胱の直径を前壁から後壁まで走査して、その容量を推定することは提案されていたであろう。しかしながら、この着想には幾つかの問題がある。
1.膀胱は単純な幾何学的形状を有しておらず、しばしば直径として測定されるものは実際は弦に過ぎない。
2.隣接する臓器によって影響を受けるため、膀胱の形状は不均一に膨張する。
3.隣接する臓器は雑音を持ち込むか、さもなければ戻り信号に影響を与えて、装置が膀胱の膨張を判断するのを誤らせる。
4.壁の検出は、常に自明なわけではない。
【0009】
Companionらの米国特許第5,058,591号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱の中へ送信される結果として反射信号を発生する超音波信号(例えば、 パルス)のタイミングとエネルギーを比較することによって、低い充満レベルにある膀胱の膨張を計算するシステムを開示している。より高い充満レベルにおいては、膀胱が動くため、膨張は十分な指標ではないことをCompanionは示唆している。
【0010】
Abramovitchらの米国特許第6,579,247号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、膀胱中の尿レベルを判断するための、安価で、おそらくは使い捨て可能な装置を開示している。Abramovitchは、装置に必要なパワーを最小限にするために、16Hz〜20KHzの可聴波または超低周波不可聴音(16Hz未満)を使用するが、超音波は使用しないことを開示している。Abramovitchは位相変化を測定する。
【0011】
RoeのWO03/039343号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる) は、上述の特許で説明されているような装置を用いた排尿調節訓練の方法を説明している。
【発明の開示】
【0012】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、周波数変調され超音波信号を使用したヒト膀胱の1つ以上のパラメータを測定することに関連する。本発明の例示的な実施形態において、異なる検出周波数を使用して異なる到着時間が決定されるように、超音波信号の周波数は掃引関数に従う。任意選択で、掃引関数は線形である。発明の一部の実施形態において、掃引関数はサイン波などの対称関数である。代替的に、掃引関数は鋸歯状などの非対称関数である。
【0013】
本発明の例示的な実施形態において、近い方と遠い方の膀胱壁の間の距離を判断するために検出信号が使用される。任意選択で、この距離は、膀胱充満レベル及び/又はその他の膀胱パラメータを推定するために使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、その他の膀胱測定結果及び/又はパラメータは、例えば膀胱壁厚や膀胱壁伸展性などの壁間距離に加えて又は代えて取得される。
【0014】
本発明の例示的な実施形態においてい、変換器それ自身が受信信号と送信信号とをヘテロダインさせて、検出器が周波数の差分を表現する信号を受信するために、単一の変換器が送信および受信に使用される。
【0015】
周波数掃引の潜在的な利点は、短パルスが使用される飛行時間式測定技術に比べて、比較的に長い積分時間(おそらくはミリ秒のオーダーで)を提供できることである。任意選択で、受信信号は連続信号である。長い積分時間の潜在的な利点は、超音波送信機を駆動するために、比較的に低い電圧を使用できることである。100ボルト以上の短パルス方式と比較して、任意選択で、電圧は15ボルト未満である。周波数掃引の潜在的な利点は、(例えばヘテロダイン後の)送信信号よりも低い周波数(例えば送信信号の30%、20%、10%又はそれより低く、例えば200kHz未満)で受信信号が検出され、処理されることである。
【0016】
周波数掃引式決定方法の使用の潜在的な利点は、比較的に雑音排除性があることと、膀胱などの器官(器官のほとんどの部分(例えば壁間にある尿)は反射しない))におけるより正確な距離の判断である。本発明の例示的な実施形態において、膀胱壁からの反射信号の間の振幅差と、尿からの反射が無いことが、信号検出を支援するために使用される。
【0017】
掃引信号を使用することの潜在的な利点は、関心の無い距離からの信号を周波数フィルタを使用して取り除くことができることである。任意選択で、掃引速度間で、処理の簡潔さと寸法精度とのトレードオフが与えられる。
【0018】
任意選択で、幾つかのデータ・タイプを抽出するための信号処理方法が使用される。任意選択で、一度壁までの距離が決定されると、これらの距離は、非掃引信号を検出して処理するための、又は掃引信号のより詳細な分析のための「到着時間窓」信号処理を設定するために使用される。別の周波数掃引信号の潜在的な利点は、(より短い信号に対して使用される)緩衝器の用意を回避し、おそらくはユニットのコスト及び/又は複雑さを低減できることである。短い信号の使用は、パルスモードの発生及び検出を支えるために、より複雑な電子技術を必要とする。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によれば、利用者(又は患者)の膀胱が(例えば、閾値を超えて)充満している、又はその充満レベルにあることを利用者に(例えば、聴覚的、視覚的、及び/又は触知的に)警告するために、膀胱監視装置が提供され、使用される。任意選択で、計量カップへの試験排尿を用いて装置は較正される。任意選択で、計量カップは容量を測定し、任意選択で直接装置に、報告する。
【0020】
充満レベル警報に代替して又は加えて、膀胱監視装置は、尿力学パラメータ及び/又はその他の膀胱生理学上のパラメータ(例えば、薬の作用(副作用を含む)の追跡、尿生成の追跡、膀胱状態の診断の追跡、脱水症の検出及び/又は監視、膀胱徐波の検出及び/又は監視)を提供するために、及び/又は(例えば、急迫性尿失禁のための、膀胱トレーニングのための、及び/又は、例えば人口括約筋又は間欠的カテーテル挿入で使用されるカテーテルなどの人口排尿制御装置の駆動された動作の容量のフィードバックとして)フィードバックを提供するために、任意選択で使用される。任意選択で、前壁と後壁との間の距離、膀胱壁厚、壁減衰、時間変化、履歴、排尿速度、及び/又は膀胱の充満速度、の1つ以上を使用して、追跡されるパラメータが決定される。本発明の例示的な実施形態において、例えば、これらのパラメータの1つ以上を抽出し及び/又は処理するようにプログラムされた従来技術の膀胱膨張装置を使用して、上記パラメータの1つ以上が決定される。
【0021】
発明の一部の実施形態において、信号を送信及び受信するために、単一の変換器が使用される。代替的に、装置の設置及び/又は膀胱の移動における許容差を提供するために、複数の位置をずらした変換器が使用される。発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置は連続して各変換器から信号を送信し、最も明瞭な結果に基づいて作動する。代替的に又は付加的に、複数の変換器が同時に又は重複する時間帯に送信することができる。様々な変換器からの信号は、異なる特性で送信することにより、任意選択で識別される。例えば、異なる周波数、及び/又は掃引関数、及び/又は瞬間の周波数(例えば、膀胱の遠方壁の距離に相当する範囲によって分けられる)、及び/又は掃引関数の反復周波数が、異なる変換器に対して使用される。代替的に又は付加的に、変換器のビームは相互に干渉しないように形成される。
【0022】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、膀胱充満レベルや容量を推定するために、膀胱膨張の個人の値を使用することに関連する。任意選択で、充満レベルを推定するために使用される唯一の測定は膨張の測定であり、任意選択で、膀胱の近方の壁と遠方の壁との間の距離である。
【0023】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、膀胱監視装置の較正方法に関連する。発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置は、較正モードで操作される。較正モードでは、膀胱膨張サイズと膀胱容量との相関関係を較正するために、膀胱膨張とユーザ入力が使用される。発明の一部の実施形態において、測定される距離と容量との間には関数関係が想定される。一部の実施形態において、自動測定装置が排尿量を表示する信号を発生する。
【0024】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、中心から外れた膀胱位置に対する測定値を補正するように構成された膀胱監視装置に関連する。本発明の例示的な実施形態において、この構成は膀胱の偏りの方向に配置されるセンサを含む。
【0025】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、壁の検出を支援するために尿を使用することに関連する。本発明の例示的な実施形態において、尿は全く反射が無いと想定され、従って尿の位置に相当する周波数で検出される信号は雑音として処理され、任意選択で雑音トリガー・レベルの設定に使用される。
【0026】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、身体及び/又は音響ユニットに取り付けるための接着層をもつ音響パッドに関連する。任意選択で、身体に取り付けるためのものと、ユニットに取り付けるためのものとの、2つの接着層が提供される。任意選択で、パッドは、凹状その他のユニットの形状に対応した形状に成形される。
【0027】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、膀胱解放の指標としての膀胱充満レベルを使用することに関連する。本発明の例示的な実施形態において、手動の膀胱解放を使用する人は、そのような解放を適用するための指標として、時間表示の代わりに、充満レベル信号を使用する。任意選択で、その人に充満レベル検出装置を使用すべきことを知らせるために、時間表示(例えば、2時間毎)が使用される。本発明の例示的な実施形態において、相当な期間(例えば、2日、1週間、2週間、1ヶ月、又はそれ以上)にわたって、膀胱解放事象の少なくとも 30%、50%、又はそれ以上について、膀胱充満レベルが使用される。本発明の例示的な実施形態において、充満レベル検出装置はその人によって使い切られる。任意選択で、充満の表示は利用者に提供される警報である。代替的に、充満レベルの判断が必要なときに、手動で利用される。
【0028】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は膀胱パラメータの連続測定に関連する。本発明の例示的な実施形態において、1つ以上膀胱パラメータが定期的に(例えば、数秒又は数分毎に)採取され、パラメータ値の変化が追跡される。追跡される例示的なパラメータには、壁厚、容量、充満速度、排尿 速度、及び徐波特性が含まれる。任意選択で、追跡されるパラメータは、排尿事象などの離散的なパラメータである。任意選択で、事象の詳細が比較的に高いサンプリング・レート(例えば、数秒毎、又は毎秒、又は数分の1秒毎)で追跡される。任意選択で、追跡された値は、後の分析のために(例えば診断のために)保存される。代替的に又は付加的に、追跡されたパラメータは、警戒事態(例えば、異常な濃度の利尿薬を示唆する、異常に高い膀胱充満速度の検出)を判断するために使用される。
【0029】
本発明の一部の実施形態の1つの態様は、変換器パラメータのデザインに関連する。本発明の例示的な実施形態において、関心領域(例えば膀胱)が超音波ビームのフレネル領域内に位置するように、変換器サイズと形状と動作周波数が選択される。任意選択で、近接場(例えば、通常は変換器約1つ分の長さ)が関心領域の手前にあり、遠視野(例えばフラウンホーファー領域)が関心領域の奥にある。
【0030】
本発明の例示的な実施形態において、凸面(例えば、膀胱前壁の外表面)に到達したビーム部が収束し、凹面(例えば、遠方の膀胱壁の内面)に到達したビームが発散するように、ビームは(任意選択で、フレネル領域内にあるという理由によって)収束するようにデザインされる。
【0031】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)音響信号を患者の体内へ送信及び受信可能な超音波音響トランシーバユニットと、
(b)周波数が時間とともに変化する信号で前記トランシーバユニットを駆動する周波数変調回路と、
(c)前記トランシーバユニットによって検出された少なくとも1つの信号から、距離の表示を抽出する処理回路とからなり、前記信号は前記時間的に変化する周波数信号によって駆動された前記トランシーバユニットの送信の反射である、測定装置が提供される。任意選択で、前記信号は周波数掃引である。任意選択で、前記掃引は非空間的である
【0032】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は膀胱の 近い方の壁と遠い方の壁との間の距離の表示からなる。任意選択で、前記処理回路は前記表示から前記膀胱の充満レベルを推定する。任意選択で、前記装置は前記処理回路によって使用される少なくとも1つの較正値をもつ記憶装置からなる。
【0033】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は少なくとも1つのユーザ入力制御を含む。任意選択で、前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が充満していることの表示を生成する。代替的に又は付加的に、前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が全く空であることの表示を生成する。
【0034】
本発明の例示的な実施形態において、前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、容量表示を受け取るように作動する。
【0035】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、時間をかけて充満レベルを追跡することによって、自動的に最大充満レベル状態を検出するように作動する。代替的に又は付加的に、前記処理回路は残留充満容量を推定するように作動する。
【0036】
本発明の例示的な実施形態において、前記距離の表示は、膀胱壁厚からなる。
【0037】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、前記表示に基づいて少なくとも膀胱充満速度を推定するように作動する。
【0038】
本発明の例示的な実施形態において、前記時間的に変化する周波数は、鋸歯状の線形掃引からなる。
【0039】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは単一の超音波素子からなる。
【0040】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、30mmと50mmとの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する。
【0041】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、50mmと90mmとの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する。
【0042】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、前記距離に対する可能な値の範囲を網羅するフレネル帯をもつビームを発生する。任意選択で、前記範囲は20mmと200mmとの間である。
【0043】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの別個の受信器とからなる。
【0044】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバユニットは、少なくとも2つの送信機からなり、前記表示の抽出のために、前記処理回路は前記2つの送信機から受信した信号から選択する。任意選択で、前記少なくとも2つの送信機は、2つを直線上に並べ、1つを直線から外して配置した、少なくとも3つの送信機からなり、それぞれがビームを、互いに平行ではないが、同じ概略方向へ向けるように構成される。代替的に又は付加的に、前記2つの送信機は、互いに平行でない超音波ビームを送信する。
【0045】
本発明の例示的な実施形態において、前記ユニットは凹面上に取り付けられる。
【0046】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は、前記ユニットを膀胱の付近に取り付けるための、人間の胴の周りに取り付けるのに適した長さのストラップからなる。
【0047】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は前記変換器ユニットを人間の皮膚に結合させるのに適合した、接着式に取り外し可能なゲル・パッドからなる。
【0048】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は抽出した表示の履歴を保存する記憶装置からなる。任意選択で、前記装置は、前記記憶装置からのデータを送信するための送信機からなる。代替的に又は付加的に、前記記憶装置は排尿日誌記憶装置として機能する。
【0049】
本発明の例示的な実施形態において、前記装置は、前記表示に基づいて警報を発生する警報発生装置からなる。任意選択で、前記警報は触知性である。
【0050】
本発明の例示的な実施形態において、前記音響トランシーバユニットは、200kHzと2000kHzの間で信号を送信する。
【0051】
本発明の例示的な実施形態において、前記時間的に変化する周波数は、膨張した成人の膀胱の近い方の壁から遠い方の壁までの前記周波数における信号の移動時間よりも長い時間にわたって、下限周波数から上限周波数まで変化する。任意選択で、前記時間は少なくとも移動時間の10倍である。任意選択で、前記時間は少なくとも移動時間の20倍である。
【0052】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、200kHzより低い周波数のみを処理するように適合される。
【0053】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、150kHzより低い周波数のみを処理するように適合される。
【0054】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバは、13V未満で励起される圧電材料からなる
【0055】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバは、5V未満で励起される圧電材料からなる
【0056】
本発明の例示的な実施形態において、前記トランシーバは、送信機及び受信機の双方として動作し、受信信号を送信信号とヘテロダインさせる、少なくとも1つの変換器からなる。
【0057】
本発明の例示的な実施形態において、関心の無い距離に相当する周波数を除去する周波数フィルタからなる。
【0058】
本発明の例示的な実施形態において、前記処理回路は、前記抽出のために、受信信号の少なくとも1ミリ秒の寄与を蓄積する。
【0059】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)時間的に変化する周波数変調された超音波信号を膀胱に送信することと、
(b)前記膀胱の少なくとも一部からの前記信号の反射を受信することと、
(c)前記反射の周波数から少なくとも距離の表示を抽出することと、からなる方法も提供される。
任意選択で、時間的に変化する信号を送信することは、複数の時間的に変化する信号を空間的に分離した変換器から送信することからなる。任意選択で、前記方法は最も良好な反射を選択することからなる。
【0060】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は、前記膀胱の遠い方の壁までの距離からなる。
【0061】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は壁厚からなる。
【0062】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は膀胱の 近い方の壁と遠い方の壁との間の距離からなる。任意選択で、前記方法は、前記表示を前記膀胱の充満レベルの推定に変換することからなる。任意選択で、前記充満レベルは、充満容量からなる。代替的に又は付加的に、前記方法は、前記充満レベルに応答して利用者への警報を発生することからなる。代替的に又は付加的に、前記方法は、充満レベルへの前記表示を較正することからなる。任意選択で、較正は利用者からの充満表示を受け取ることからなる。任意選択で、前記方法は、体外の測定装置において尿の排出量を測定することからなる。任意選択で、前記装置は尿容量を反映した電子信号を生成する
【0063】
本発明の例示的な実施形態において、較正は、前記膀胱が充満する挙動と空乏化する挙動とを自動的に追跡することからなる。
【0064】
本発明の例示的な実施形態において、前記表示は、膀胱壁の厚さからなる。任意選択で、前記方法は、前記膀胱における膀胱徐波の表示を抽出することからなる。
【0065】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、前記表示から膀胱充満速度を抽出することからなる。
【0066】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、前記表示から排尿速度を抽出することからなる。
【0067】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、前記表示から残尿量を抽出することからなる。
【0068】
本発明の例示的な実施形態において、前記方法は、時間をかけて前記表示を追跡し、記憶することからなる。
【0069】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)排尿事象から尿量を計算することと、
(b)前記事象に従って膀胱の物理的パラメータを測定することと、
(c)前記容量と前記物理的パラメータとの間の対応を前記検出装置に保存することと、
からなる膀胱尿充満検出装置を較正する方法も提供される。
任意選択で、測定することは、周波数掃引法を使用して前記膀胱の膨張を測定することからなる。
【0070】
本発明の例示的な実施形態において、前記パラメータは尿の容量からなる。任意選択で、前記容量はセンサを使用して測定され、前記検出装置に自動的に供給される。
【0071】
本発明の例示的な実施形態において、前記パラメータは、膀胱壁厚からなる。
【0072】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)前記膀胱の1次元形状パラメータを測定するために、中心から外れた膀胱に測定信号を送ることと、
(b)前記測定されたパラメータから前記膀胱の膨張を推定することと、からなる方法も提供される。
【0073】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)表面上、尿から音響信号のレベルを検出することと、
(b)検出レベルよりも振幅の大きい膀胱壁からの信号を探索することと、からなる方法も提供される。
【0074】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)膀胱へ音響信号を送信することと、
(b)前記膀胱の1次元の膨張の表示を決定することと、
(c)少なくとも1つの個別の較正値を使用して、前記表示から、前記膀胱の充満レベルが約70%を超えることを判断すること、
からなる70%を超える膀胱充満レベルを推定する方法も提供される。任意選択で、前記音響信号は周波数掃引スカラー信号からなる。
【0075】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)選択可能な音響変換器形状と動作周波数の少なくとも1つを有する、身体形状における使用のための装置デザインを提供することと、
(b)前記周波数で動作する前記変換器のフレネル領域内に前記身体形状が位置するように、前記動作周波数と前記身体形状の少なくとも1つを選択することと、
からなる装置パラメータを選択する方法も提供される。
【0076】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱装置較正の方法は、カテーテルを用いて前記膀胱内の圧力を推定することと、距離の前記表示と前記圧力との間の対応を判断することと、からなる。
【0077】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱測定装置において、処理回路は、前記表示に基づいて少なくとも1つの尿力学パラメータを推定するように作動する。
【0078】
また、本発明の例示的な実施形態により、
(a)体外からセンサを使用して膀胱の充満レベルを検出することと、
(b)前記充満レベルが排出を必要とするか決定することと、
(c)手動膀胱排尿機構を作動することと、
からなる排尿選択方法も提供される。任意選択で、前記排尿機構は間欠的カテーテル挿入からなる。任意選択で、前記検出は、掃引周波数変調されたスカラー音響信号を使用して検出することからなる。
【0079】
本発明の詳細な例示的実施形態を、図面に関連する以下の実施形態の解説を参照して説明する。ここで、1つ以上の図に現れる同一の構造、要素又は部分は、それが現れる全ての図において、一般に同一の又は類似の番号で標示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
[全体概要]
図1は、本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視の動作原理を説明する略図である。図1において、膀胱監視装置30から利用者の膀胱50へ超音波信号を送信できるように、装置は利用者の腹部40の上に配置される。任意選択で、膀胱監視装置30は信号を遮断する恥骨80よりも上側に配置される。本発明の一部の実施形態により、それを経て間欠的カテーテル挿入がなされることがある、尿道20も図示される。
【0081】
信号が膀胱50の前壁60に向かって送信されるとき、信号の一部は反射して装置30へ戻る。本発明の例示的な実施形態によれば、信号の一部は膀胱前壁60を突き抜けて膀胱内の尿を通過して膀胱50の後壁70へ進み続ける。後壁70において、信号の一部は壁を貫通し、信号の一部は反射して装置30へ戻る。一般に、最初の2つの大きな反射信号は、それぞれ膀胱前壁60及び膀胱後壁70からの反射に相当する。膀胱後壁70からの信号は、膀胱壁の凹凸(歪んでいる場合)のために、概して最も強い受信信号である。信号の時間差を分析することによって、以下に説明するように、(膀胱前壁60への)距離D1と(膀胱後壁70への)距離D2が決定される。
【0082】
壁間距離(膨張)Dは、D=D2−D1と計算される。代替的に、最初にD1とD2を決定することなく、距離を直接決定することもできる。一部の動作モードにおいて、装置30は膀胱の他のパラメータ(例えば、壁厚、徐波、充満速度、及び/又は排尿速度)を測定するために使用される。
【0083】
実験によって決定されたように、膀胱前壁60は一般に静止しており、膀胱が充満する間に3〜4mmを超えて動くことはない。一般的に、距離D1は同一人で20mmから50mmの間にある。D1の相対的な安定性と対照をなして、膀胱50の容量が25%から100%にまで増加する間に、膨張距離Dが一般的に30mmから110mmまで膨張するようにD2は変化する。
【0084】
膀胱50は概して単純な球状を有さず、全方向に均一に膨張しない。図1Bは、数人の異なる人を対象として、本発明の例示的な実施形態によって測定されるような、膀胱壁間距離と膀胱容量との間の関係を示すグラフである。この直線は予測される理論的な逆3乗の関係と、それからの偏差を示す。測定は「最大容量」で規格化される。図1Bに示されるように、(尿容量の測定によって測定されるような)実際の膀胱容量と膀胱膨張との関係は、特に膀胱が一度少なくとも20%充満すると、異なる人でも比較的に類似している。また、この関係は一般的に逆3乗であり、高い充満レベルにおいては略線形である。本発明の例示的な実施形態においては、拡張測定結果から膀胱容量を推定するために、図示の線形または準線形関係が用いられる。代替的に、関数の形式(例えば、多項式のような近似関数)や表の形式で表現された曲線が使用される。
【0085】
図1Aは女性における膀胱50の配置を図解的に示したものであるが、上述の手順や説明は男性にも適用されることに留意されたい。主な男女間の差は周辺臓器に関連するが、少なくとも本発明の一部の実施形態については、ここで説明する方法には実質的な影響は持たない。
【0086】
[信号および信号処理]
図2Aは、本発明の例示的な実施形態による、距離を計算するための周波数掃引法の使用を説明するグラフ200である。図2Aは、送信信号F1と、膀胱前壁などの所定の反射体に対する1つの反射(かつ受信)信号F2を示す。上方の1対のトレースは時間による周波数の変動を表し、下方のトレース250は送信信号と受信信号との間の周波数の瞬間的な差分である。続いて、複数の反射信号のトレースを図示する図2Bを説明する。
【0087】
本発明の例示的な実施形態により、超音波信号F1は、下限周波数(fmin)と上限周波数(fmax)との間にある周波数掃引信号である。この掃引信号は膀胱50の中へ送信される。重要な第1の反射信号は、一般に膀胱前壁60からの反射に由来する。正常な状態では膀胱前壁の動きは実質的に全く無いため、F2はF1と同じサイクル時間と波形をもつ信号であり、ドップラーシフトも無い。しかしながら、反射信号は往復を移動する間に前壁までの距離の2倍を移動するため、信号F2は信号F1に対して時間移動DTで検出される。
【0088】
DTの直接測定は現実的ではなく、及び/又は、容易ではない。しかしながら、(周波数領域にある)F1からF2を引くと、時間遅延に依存する周波数シフト(DF)が得られる。パルスF1の継続時間のほぼ全体について周波数シフトが一定のままであり、このためより多くの検出用信号を提供することに留意されたい。本発明の例示的な実施形態によれば、反射信号F2は任意選択で(送信信号で規格化するために)増幅され、送信信号F1から(周波数領域において)差し引かれて、最大値をもつ周波数シフトが求められる。トレース250は、掃引両端の切り替え点を除いては(一定距離に対応して)一定周波数となる、そのような減法の結果を示している。本発明の例示的な実施形態によれば、任意選択で送信及び受信のための数台の変換器を使用することにより、この周波数の減法はヘテロダインとして実行される。任意選択で、この検出は振幅検出器を使用することである。
【0089】
本発明の例示的な実施形態によれば、送信信号F1は、周波数シフトと距離との間に1対1の対応が取れるように、信号が膀胱を通過して戻る往復伝播時間よりも長いパルス幅PDで送信される。任意選択で、受信信号を相当の時間にわたって収集できるように、PDは往復伝播時間の何倍も長い。
【0090】
図2には線形掃引が図示されているが、本発明の多様な実施形態において様々な掃引関数を使用することができる。例えば、対称な又は非対称な、連続的な又は間欠的な掃引が使用できる。間欠掃引の潜在的な利点は、遠方の反射が近傍の反射によって比較的に圧倒されそうにないことである。例えば、アナログシステムにおいては、連続関数が使用されてもよい。対称掃引の潜在的な利点は、送信信号と受信信号との間の関係が(たとえ極性が変わったとしても)一定に保たれることである。非対称掃引の潜在的な利点は、復帰掃引を短縮できることである。別の潜在的な利点は、F1とF2との干渉時間を削減できることである。任意選択で、掃引関数の形状は(固定した周波数−時間関係を提供し、単一のトランシーバ要素におけるヘテロダインを支援する)線形であるが、正弦曲線等の他の形状が使用されてもよい。任意選択で、検出中の処理が受信周波数での非線形掃引の効果を修正する。任意選択で、掃引は線形でなければ、一定の極性の微分もつ。一部の掃引形状は、より簡素な電子技術につながり、及び/又は、音響ユニットの共鳴応答により適することがある。例えば、圧電およびPVDFの両材料は、特定の周波数及び/又は変調波形状で、より容易に駆動されることが知られている。
【0091】
図2Aには、対称鋸関数が図示されている。周波数にわたって連続的で滑らかな掃引が図示されている一方で、任意選択で、ステップ形の掃引が使用され、あるいは掃引は信号が飛ぶ不連続な周波数からなる。任意選択で、低振幅の期間は飛びの合間に与えられる。
【0092】
本発明の例示的な実施形態によれば、掃引が使用される。しかしながら、TOF(飛行時間)法を使用して膀胱の前壁及び後壁からの反射を検知してもよい。おそらくは周波数掃引関数の使用は緩衝器を使用する必要を回避する利点をもち、送信及び受信信号は、それらの周波数で(任意の所定の時間に)微分することができる。本発明の例示的な実施形態において、TOFパルスを基礎とする技術は、飛行時間を検出するために、送信信号とその反射との相関関係を使用する。
【0093】
掃引式検出に使用できる1つの処理方法は、(例えば、信号検出の一部として)送信信号から(増幅/規格化後の)受信信号を減じ、(例えば、信号処理の一部として)減じた信号の振幅にピークが存在する周波数を検出する。一部の場合において、2つの最も大きなピークは膀胱の前壁及び後壁からの反射である。任意選択で、距離窓が、これらの信号の同一性を検証するために使用される。例えば、(a)近方の膀胱壁が近づけない程に(又は最近の測定結果よりも)近く、及び/又は(b)最近遠方の壁が検出された距離ではなく、又は(c)一般に又はその患者に対して遠方の壁の距離範囲にある、信号は無視される。
【0094】
本発明の例示的な実施形態によれば、単一の変換器が送信および受信に使用される。この変換器は、変換器に接続されたAM検出回路がヘテロダイン信号(すなわち、差分信号)を受信するように、受信信号と送信信号とで自動的にヘテロダインを発生させることができる。本発明の例示的な実施形態によれば、AM検出回路は比較的に低周波数の回路(例えば、200kHz、100kHz、又はそれ未満)である。
【0095】
本発明の例示的な実施形態によれば、掃引時間は関心のある最長の時間(例えば、数十マイクロ秒のオーダーの150mm往復時間)よりも相当に長い、例えば、5倍、10倍、20倍、50倍、又はそれ以上に至る。本発明の例示的な実施形態において、関心のある距離よりも大きな距離に相当する周波数は、検出器により又は周波数フィルタの使用によって簡単に排除される(例えば、低周波数応答のために通過できない等)。本発明の例示的な実施形態によれば、1回の掃引の累積時間(例えば、ヘテロダイン信号が有効な時間)は、1ミリ秒、3ミリ秒、5ミリ秒、50ミリ秒、又はその前後か中間の値である。議論される周波数に対して、掃引時間はまた、その周波数のサイクルタイムよりも相当に長い(例えば、1MHzに対して1マイクロ秒)。
【0096】
本発明の例示的な実施形態において、掃引速度を時間に変換するために較正段階(例えば、内部較正)が用いられる。
【0097】
本発明の例示的な実施形態において、低い周波数と長い累積時間との組み合わせが、より単純な処理回路の使用、及び/又は、他の器官からの反射に由来する雑音の無視を含めたSNRの改善、を支援する。おそらくは、デジタル回路は全く使用されない。
【0098】
本発明の例示的な実施形態において、掃引中に使用される瞬間的なパワーは、パルスに使用されるものよりも小さいが、使用される全パワーは同程度かそれ以上になる。本発明の例示的な実施形態において、より低い瞬間的なパワーの使用は、より低い電圧(例えば、15ボルト未満 )で変換器が駆動できることを意味する。任意選択で、受信信号は数ミリボルトであり、例えば、1ミリボルトより大きく、又は10 ミリボルトより大きい。
【0099】
掃引速度(例えば、1mmあたり1kHz、1mmあたり0.5kHz、1mmあたり2kHz、又はその前後か中間の値)は、任意選択で、時間と距離の必要な分解能とのトレードオフに不可欠な要素となる。任意選択で、1mmの距離分解能で十分である。
【0100】
任意選択で、連続的な測定結果は、例えば、他の大部分の測定結果よりも(例えば、振幅やピーク位置において)標準偏差の2倍よりも大きな測定結果といった一部の測定結果を落とすのに向いている。任意選択で、測定の最も類似した90%のみが維持される。
【0101】
図2Bは、本発明の一部の実施形態による、周波数領域に変換された後の(単純化した)受信信号を示すグラフ260である。(周波数領域において、例えば、ベースライン/搬送波周波数として瞬間的な周波数を減じることにより)任意選択で瞬間的な送信周波数を減じた後で、この信号は任意選択でFFTやその他の方法を用いて受信信号を変換して生成される。信号は任意選択で平均化され、又は時間とともに累積される。第1のピーク262は、送信信号および人体表面からの反射に一般に対応する。なお、発明の一部の実施形態において、一部の受信信号が周波数においてfminより低くなるように、送信信号は比較的に広い。また、広い信号は極大を求めることによりピークの検出を知らせる。反射264は、皮膚と膀胱前壁との間の構造に由来する。反射266は膀胱前壁60に由来する。反射が無い周波数範囲268は、一般に界面や分散要素を含まない、尿からの反射の欠如を示す。反射270は膀胱後壁70からの反射である。しばしば、膀胱後壁の集束効果により、反射270は反射266よりもサイズが小さいか、大きくなる。任意選択で、遠方壁(又は近方壁)からの反射の変化に基づいて、充満レベルが推定される。反射は、一般に距離(遠方壁に対して)及び壁の曲率半径(非掃引信号に対しても)に依存する。本発明の例示的な実施形態によれば、膀胱壁からの反射266及び270は、無反射範囲268との対比に基づいて検出される。任意選択で、反響性−非反響性および非反響性−反響性媒体の典型的なパターンが壁の検出に使用される。代替的に又は付加的に、尿からの信号レベルが雑音フィルタの較正に使用され、この雑音フィルタは尿の領域を遮蔽する。反射272は、直腸、子宮頚部又は子宮からの反射であるが、任意選択で、その距離及び反射位置順のために無視される。
【0102】
本発明の例示的な実施形態おいて、当該技術において既知の他の信号処理技術のみならず、又はその代わりに、次の技術の1つ以上が、信号対雑音レベルの改善に使用される。
(a)アクティブ帯域通過フィルタ、これに先立って壁(又は他の関心事項)が特定された場所に対応する周波数帯域でのみ、検出された信号が検査される。(b)狭帯域フィルタ、壁の位置に対応する周波数以外の周波数を除去することによって、壁表面上の処理やその他の関心事項がより精密に行われる。(c)駆動信号のフィルタリング。例えば、変換器により適合し、又は変換器を補償する。(d)送信信号又は表面からの反射のフィルタリング、任意選択で振幅が任意のAGCに影響するのを抑制する方法による。及び(e)ノイズ閾値トリガー・レベル、任意選択で、最も大きい2つのピークよりも十分に小さな信号が弱められるように、2つの強いピークが存在するという予測に基づく。
【0103】
一般的な場合、後壁70が(皮膚から)約30mmの距離から約110mmの距離まで動く一方で、前壁60は膀胱が充満する間、皮膚から約20〜50mmの距離で、3mmと5mmの間で動く。任意選択で、例えば、後壁の動きは膀胱充満の変化および膀胱を空にすべき時間の接近の推定には十分なので、前壁からの測定結果は無視される。代替的に又は付加的に、膀胱前壁の位置の変化は遅いので、もし信号が検出されなければ、前回の測定結果が使用される。
【0104】
本発明の例示的な実施形態によれば、壁は周波数フィルタを使用して検出される。任意選択で、距離の範囲が検出される較正の間にフィルタの設定が決定される。本発明の例示的な実施形態によれば、近方壁フィルタが約50mmに相当する周波数を徐々に減衰させる。もし近方壁が(大多数の人に該当する)50mmに見つからなければ、禁忌の生理学的問題が存在する可能性がある。もし、遠方壁もこのフィルタで検出されれば、膀胱はおそらく空か、空に近い。第2の、遠方壁フィルタは、任意選択で50mmと150mmとの間の距離に相当する帯域幅を扱う。150より大きな距離は、任意選択で、膀胱の一部ではないものとして無視される。任意選択で、フィルタが固定されていない較正ステップの間に、様々な距離が検出される。
【0105】
本発明の例示的な実施形態において、例えば短い期間については、測定の欠落は外挿される。任意選択で、時間的に近傍の測定が無視されるように、測定の欠落または測定にお
【0106】
本発明の例示的な実施形態において、もし動き疑われれば、疑わしい動きが何であるか確認されるまで、より集中的な測定モードが適用される。例えば、疑わしい動きは、動きとして、意図的な排尿事象として、あるいは遺尿として確認されうる。
【0107】
代替的に又は付加的に、手動測定が提案されてもよい。手動測定においては、装置が人為的な動作なしに作動するように、利用者は静止して(かつ任意選択で息を止めて)、静止したときにスイッチを押す。任意選択で、利用者は計量カップを使用して排尿することが要求され、次いで排尿容量が調べられる。
【0108】
図2Bは略図であり、
(a)膀胱壁と周辺組織との間の境界や、
(b)膀胱壁と尿との境界、に対する個々の反射は示していない。
しかしながら、これらは任意選択で個々の反射として検出されるか、又は恐らくは壁によってピークの側に生じるノッチとして検出される。インピーダンスの変化(及び、この反射強度)は一般に界面(b)に対するものより大きい。一般に、膀胱の外側は起伏があり内面は滑らかであるため、膀胱の内面からの反射の方が集束される。しかしながら、近い方の膀胱壁に対して、膀胱壁は分散レンズとして機能する。従って、組織と前壁60との間の界面からの反射は、前壁60の尿との界面の反射と比較して著しい。近方の壁については、集光効果は壁によって提供されるため、反射は一般に内壁の方が高い。任意選択で、前壁60が壁厚の変化を検出するために使用される。例えば、圧力変化または徐波が原因の壁厚変化、あるいはDetruser緊張が原因のものは、薬物及び/又は人工膀胱制御装置(TENS)によって変化する。
【0109】
本発明の例示的な実施形態において、送信ビームは、前壁60によって反射されて準平行ビームになるように意図された集束ビームである。任意選択で、ビームは膀胱壁60の予想される距離で集束される。任意選択で、この集束距離は、複数の焦点距離が試されて、前壁60からの信号が最大となる距離が選択される、前壁60設定の間に検出される。代替的に、ビームは観察エリア(例えば、膀胱壁の間、又は遠方膀胱壁が中程度に充満したところ)の中央、あるいは高い充満レベルの後壁70が検出される位置(例えば、遠く、精度が重要になる)に集束される。
【0110】
任意選択で、信号処理は非掃引分析を含む。ある例では、一度2つの壁までの距離が検出されると、これらの距離は、その距離に相当する到達時間のみの信号を選択的に受信して処理するための時間窓を生成するために使用される。任意選択で、そのような分析は、壁からの再選択スペクトルに基づいた、膀胱壁部の外見の分析を含む。代替的に又は付加的に、短い掃引信号を送信し、その時間窓のみの反射を分析することによって、壁の2つの表面を区別するために、より正確な周波数掃引が使用される。
【0111】
[実験]
図4A及び4Bは、模型(水風船)で実施した実験の結果を示す。図4Aにおいて、グラフ400は送信された掃引402と受信信号 404を示す。
【0112】
図4Bにおいて、グラフ406は一般に図2Bに相当する。表面/送信機からのピーク408が図示されている。風船の壁からのピーク410が図示され、また風船の後壁からの第2のピーク412も図示されている。2つのピークまでの距離とピーク間の距離の測定結果は、風船のサイズに相当する。ピーク412におけるノッチ/摂動414は、風船の壁厚の効果と考えられる。
【0113】
[使用周波数]
本発明の例示的な実施形態において使用される周波数は、幾つかの事項を検討して決定される。なお、広範囲な周波数範囲を使用することができ、一部の検討事項は一部の実施に相当し、また、次の1つ以上が考慮される。
(a)測定距離の精度は測定で使用する波長によって制限される。
長い波長を使用するほど、精度の低い測定結果となる。
(b)短波長では吸収が比較的に大きい。
(c)遠視野で動作することが望ましいが、このことは関心領域(前壁60)が近接場外になるよう、周波数が十分に高いことを必要とする。
(d)短距離に焦点を合わせることは高周波数にとって容易である。
(e)使用される送信機および受信機は(電子機器と同様に)周波数応答が制限される。
(f)価格と複雑さの削減要求
(g)複合問題
【0114】
本発明の例示的な実施形態において、使用される典型的な周波数は500kHzから1.6 MHzまで変化し、おおよそ1〜3mmの波長を与える。より詳細には、範囲は800〜2.5kHz又は900〜1500kHzである。任意選択で、選択された範囲はより大きく、例えば、200kHzと4MHzの間である。任意選択で、掃引範囲はより小さく、例えば、200、300、400、500、600又は700kHz、若しくはその中間の値である。本発明の例示的な実施形態において、実際上の及び/又は解剖学上の考慮による場合、及び、任意選択で結合形状が関心領域を変換器のフレネル領域内に入れるという要求による場合を除いては、選択される実際の周波数は通常は制限されない。様々な掃引速度(例えば、0.1kHz/mmと10kHz/mmの間)を使用することができる。しかしながら、正確な選択された掃引速度は、分解能と積分時間及び/又は装置30のその他のパラメータ(例えば、検出器のダイナミックレンジや関心領域の深さなど)との間でのトレードオフになる場合がある。
【0115】
ある例では、時間−周波数関係が1Hz/マイクロ秒となるように、次のパラメータが送信に用いられる。800kHzの最低掃引周波数(fmin)、1200kHzの最大掃引周波数(fmax)及び400マイクロ秒のサイクル時間(CT)。従って、もしDFが60kHzだと分かった場合は、送信機から組織まで進んで戻るF2の伝播時間は60マイクロ秒であり、このことは信号が反射された場所の深さが60マイクロ秒/2×1500m/秒=45mmであることを意味する(信号は往復を進むため2で除して補正している)。任意選択で、軟組織中の音速は推定されるよりも、例えば当該技術の既知の方法で実測される。任意選択で、速度は人によって大きく変わらないと想定される。任意選択で、異なる推定速度が異なる組織タイプ(例えば、膀胱周辺の2つ以上の組織 、膀胱壁、脂肪及び尿)に対して提供される。任意選択で、温度変化に起因する誤差が修正される。例えば温度センサを使用して温度に基づき組織速度を補正する。任意選択で、関与する全ての組織に対して単一の値1540m/s(平均値)が使用される。
【0116】
本発明の例示的な実施形態において、変換器は Keramosコーポレーション(米国)製の型式K350/446であり、24mm(円形)の直径、約10〜20のQ値、及び15Mraylの音響インピーダンスをもつ。より小さいサイズ(例えば、10mm)や他の製造者のものを使用することもできる。任意選択で、動作中心付近で共振周波数(例えば1MHz)をもつために、形状(例えば正方形)及び/又は変換器のサイズなどの他の特性が選択される。本発明の例示的な実施形態において、より広い掃引周波数範囲を可能にするために、より低いQ値が使用される。
【0117】
[装置デザイン]
図6は、本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置30の略ブロック図である。本発明の例示的な実施形態において、膀胱監視装置30は、膀胱監視装置30の機能を制御するために制御装置620を含む。任意選択で、制御装置620は、監視される人へ送信する周波数掃引関数を用意する信号発生装置640に接続される。任意選択で、信号発生装置640は変換器680(例えば、監視される人へ超音波信号(F1)を送信する圧電変換器など)に接続される。本発明の例示的な実施形態において、変換器680は更に、送信された信号に応答してその人から反射される超音波信号(F2)を受信し、信号受信機650に転送するように適合されている。代替的に、別々の送信機と受信器が使用されてもよい。任意選択で、信号受信機650は受信信号を分析し(フィルタにかけて分離する)、分析結果を制御装置620に転送する。発明の一部の実施形態において、制御装置620は膀胱の膨張レベルを判断するために送信信号と受信信号とを比較し、その判断に基づいて応答する。代替的に、制御装置620は、以下に説明するような外部コンピュータに信号を転送する。
【0118】
任意選択で、制御装置620及びその中の他の回路はASICとして実現される。代替の実施形態において、アナログの分離された処理回路が使用される。
【0119】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、入力インターフェースとディスプレイを含むユーザインターフェース610から構成される。任意選択で、そのユーザインターフェースは装置のオン/オフを切り替える起動スイッチ660を含む。発明の一部の実施形態において、ユーザインターフェース610は様々な動作モード(例えば、較正モード、消音モード、取り込みモードの1つ以上)を選択する選択ダイヤル665から構成される。任意選択で、選択ダイヤル665は警報を起動する膨張レベルを選択する。例えば、充満レベルが50%、65%、80%又は90%を超えると膀胱監視装置30が警報を起動する。発明の一部の実施形態において、ユーザインターフェース610は、例えば、状態表示を提供し、及び/又はユーザからの行為を要求するため、ディスプレイ670を含む。
【0120】
任意選択で、スイッチ660又は別のスイッチが、尿の状態(例えば「膀胱充満」、「膀胱空乏」、及び「尿意逼迫」)を知らせるために利用者に使用される。代替的に又は付加的に、水分摂取量や身体位置などの指標を入力するユーザインターフェースを使用することができる。別のユーザインターフェース・デザイン(例えば、メニュー取込用ボタンやメニュー項目に対する値を入力するためのボタンを持つメニュー式デザインなど)を使用することもできる。
【0121】
発明の一部の実施形態において、ユーザインターフェース610は、その装置を外部装置(例えば、分析する測定データを転送するためのパーソナルコンピュータ等)に接続するために使用される通信インターフェース675(例えば、USB、シリアル、パラレル、Bluetooth、無線、IR、WiFi、携帯電話ユニット)から構成される。別の例では、インターフェース675は、(例えば、送信信号に使用する周波数範囲や掃引関数などの他のパラメータを特定するための)外部装置からの指示の受信に使用される。任意選択で、装置30はウェブサーバとして機能する。任意選択で、装置30はUSBソケットにプラグ接続することができる。任意選択で、例えば遠隔地から装置30へのリモートアクセスのために、装置30は携帯電話にプラグ接続することができる。任意選択で、そのようなアクセスにはBluetooth接続が使用される。任意選択で、警報信号を介護者等へ送信するために、インターフェース675が使用される。任意選択で、装置30は利用者が持ち込んだ標準的な電子機器(例えば、無線ヘッドセット、携帯電話、ポケベル、PDA、又は聴覚装置など)と通信する。任意選択で、例えば利用者に警報を出すために、イヤリング又は腕時計として着用される、専用の無線ユニットが提供される。
【0122】
任意選択で、インターフェース675は分離可能な処理装置(例えば、PDA)に接続される。任意選択で、処理装置は、装置30をプログラミングするために使用された後に、処理装置とユーザインターフェース(警報及び/又は装置30の一部を形成して終日着用される幾つかの最低限のユーザインターフェースのみを除いて)は取り除かれる。任意選択で、より複雑な入力のためのインターフェースを再装着する要望を利用者に知らせるためにも警報は使用される。任意選択で、装置30は最低限見えるように(例えば、30mm、20mm、10mm、又はそれより薄くなるよう)デザインされている。任意選択で、装置30は普段着の下で目立たない。本発明の例示的な実施形態によれば、装置30の重量は200gr未満、100gr未満又は50grにも満たない。任意選択で、装置30は100cc未満、50cc未満、20cc未満、又はそれよりも小さい容量をもつ。
【0123】
任意選択で、通信インターフェース675は較正情報を提供するために使用される。
【0124】
本体698(任意選択でメモリ付きである)を含む自動測定容器692が図示されている。容器692の充満レベルを表示する信号を発生するために、圧力センサ又はその他の充満センサ696が任意選択で用意される。装置30に測定容量を自動的に供給するように、ケーブル694又は無線インターフェースが任意選択で用意される。任意選択で、動的な排尿パラメータ(膀胱排出速度など)が追跡できるように、この供給はリアルタイムで、かつ十分に高いサンプリング(例えば、毎秒又はそれより早い)である。
【0125】
代替的に又は付加的に、既知の測定容器を使用して、測定結果を手動で又は自動的に装置30又は保存され値を処理するコンピュータに供給することもできる。
【0126】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、利用者及び/又は介護が必要な場合の介護者に、例えば膀胱50が予め選択した充満レベルに達して解放が必要なことを警報するための警報ユニット690を含む。任意選択で、警報ユニット690はサイレン等の音声表示を発する。代替的に又は付加的に、警報ユニット690は閃光灯などの視覚的表示を発する。代替的に又は付加的に、警報ユニット690は触覚表示(例えば、利用者を軽くたたく、振動を発生する、弱い電気ショックを与える(恐らくはチクチク感じるレベル)等)を発する。代替的に又は付加的に、例えば、介護者を呼び出したり(例えば、内蔵の携帯電話または無線送信機を使用して)又は外部装置に警報を鳴らすように通知することによって、警報ユニット690は外部装置と通信する。任意選択で、ユニット690は携帯電話の着信音のような音(任意選択で、携帯電話の技術で既知のようにプログラム可能である)を発生する。従って、解放が必要なときには、利用者は「呼び出し」を受け、排尿のためというよりも、話をするために退室するふりをすることができる。本発明の例示的な実施形態において、膀胱監視装置30は、上述の機能を可能にする電力を供給するためのバッテリー等の電源を含む。
【0127】
本発明の例示的な実施形態において、3AAAバッテリーは、数週間あるいは数ヶ月間の稼動に十分な電力を供給することができる。例えば、もし変換器 680が、例えば1秒間を4分毎に1度(例えば、任意選択で、10、50又は100などの複数の負荷サイクルを提供する)など、定期的にのみ動作されるのであれば、長期動作を提供することができる。更に、他の負荷サイクル、例えば10分毎に0.5秒、又は別の分数(例えば、1,3,5,7,10など)、又は別の秒数(例えば、0.1,1,4,6など)が提供されてもよい。任意選択で、膀胱が充満しているときには、排尿事象を高い時間分解能で捕捉できるようするために、より高いサンプリング・レート(例えば、毎分10,20,50又はそれ以上)が使用される。装置30によって検出及び/又は測定検出された排尿事象は、例えば、意図的排尿事象又は(例えば、自制できないことに原因する)意図的でない排尿事象である。代替的に、手動入力が用いられる。任意選択で、一度目的物(例えば、膀胱壁)までの概算距離が分かれば、掃引範囲はより狭く(かつ、掃引間隔をかなり長く)することができ、また比較的に狭い距離範囲のみからの反射を選択的に分析するための時間窓と連動して使用することができるようにするために、周波数窓を使用することによって電力が節約される。
【0128】
本発明の例示的な実施形態において、装置30はストラップ730(任意選択で、伸縮性のストラップ)によって身体に取り付けられる(図7B)。本発明の例示的な実施形態によれば、付け心地の良さ、衣類の中に装着しても見えない、比較的に位置安定性がある、の1つ以上の理由でストラップは選択される。おそらくは、様々体型や肥満レベルが様々なストラップのデザインを必要とする。代替的に又は付加的に、接着方式(テープや装置30の接着層など)が用いられる。超音波のための良好な音響的経路を提供するために、ゲル又はその他の音響結合材料が使用されてもよい。任意選択で、圧力による膀胱の歪みを防ぐため、比較的に低い接触圧力で取り付けられる。任意選択で、装置30は、接触圧力が高すぎると警報を発生する圧力センサを含む。
【0129】
本発明の例示的な実施形態において、装置30の凹面720(後述)に適合するように、及び/又は、利用者の身体の予想される曲面に適合するように任意選択で設計される、接着パッド760(図7B)が提供される。本発明の例示的な実施形態において、パッド760はゲル結合層769を含み、適切な音響特性を有している。身体に取り付けるための任意選択の接着層766が提供される。代替的に又は付加的に、凹面720への取り付けのための任意選択の接着層762が提供される。
【0130】
[変換器の配置]
本発明の例示的な実施形態において、変換器680は装置30の使い勝手を改善するようにデザインされている。本発明の例示的な実施形態において、変換器680は 膀胱50を捕捉しやすいように配置される。任意選択で、複数の変換器が使用され、最良もしくは合成(例えば平均)した信号が用いられる。任意選択で、電力を節約するために、5つ以上の変換器を使用するよりは、むしろ4つ、3つ、2つ又は1つの変換器が使用される。
【0131】
図7Aは、3つの変換器を含む例示的な実施形態における、膀胱監視装置30のための変 換器レイアウトの略図である。図7Bは、本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置30の側方断面図である。
【0132】
図示の実施形態において、装置30は3つの変換器を含む。しかしながら、例えば一列に並んだ4つの変換機など、2つ以上の変換器が使用できる。
【0133】
図7Aには、3つの変換器710(A,B及びC)が図示されている。任意選択で、変換器Aは利用者の腹部の最上部に配置され(わずかに下方に傾けて送信する)、変換器B本願で説明する最適位置に従って配置され、そして変換器Cは最適位置のわずかに右から送信するように配置される。本発明の例示的な実施形態において、この配置は一部の人々で見られる中心から外れた膀胱の位置をカバーし、装置30の照準合わせの困難を解決する。任意選択で、別の配置も用いられる。例えば、左側に位置のずれた膀胱をもつ人々に対しては、左側に配置した変換器 が使用される。本発明の例示的な実施形態において、用いられる配置は、へそと生殖器とを結ぶ直線に沿って配置された1つ以上の変換器と、この直線から外れた少なくとも1つの変換器を含む。本発明の例示的な実施形態において、変換器のアレイが使用され、較正中は1つの変換器(あるいは、そのような選択を模倣する電気的仕組み)が使用される。発明者が行った非公式な実験において、膀胱の80%は中心線上にある。80〜90%の人々において、2つのチャネル(即ち、変換機)の結果は1mmの範囲内で一致した。任意選択で、膀胱の可動範囲が捕捉できるように変換器が配置される。任意選択で、変換器の中の最大値が正しい値として受け入れられる。
【0134】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱50へ様々な角度で送信信号を供給するように、変換器710は様々な角度(例えば、図7A〜7Bに図示されるような10°のα)で凹面720上に配置される。本発明の例示的な実施形態において、目的物体の形状に基づいて、及び/又は、変換器の正しい照準を支援するために、凹面が選択される。任意選択で、表面720は円錐の表面であり、円筒の表面ではない。代替的に、円筒の表面であってもよい。任意選択で、変換器ケース(変換器は任意選択で平坦である)は、表面720上へ配置すると、自動的に正しい角度に照準を合わせるように設計される。代替的に又は付加的に、変換器を受け入れるために表面720内に適切な角度をもった凹所が形成される。任意選択で、2つの10mm変換器の間の距離は0.5mmである。本発明の例示的な実施形態において、恥骨80の上の変換器の不測の位置決めを補償するために、変換器はへそと生殖器との間の直線に沿って上下に配置される。任意選択で右に傾斜している膀胱をカバーするために、1つの変換器は側面に配置される。
【0135】
任意選択で、使用中に、変換器710は、任意選択で異なる周波数掃引関数を使用して又は交互に作動して、同時に信号を送信及び受信する。任意選択で、複数の変換器710の使用は、利用者の姿勢変化や移動などに起因する膀胱の移動の影響を克服するために、各サイクルに対して最も明瞭な信号の選択を可能にする。さらに、複数の変換器710は、単一の変換器からの測定結果の欠落を無視することを許容する。任意選択で、異なる変換器に対して異なる較正値が記憶される。
【0136】
発明の一部の実施形態において、配置後に、最も明瞭な信号をもつ単一の変換器710が将来の使用のために選択される。
【0137】
任意選択で、異なる変換器からのビームは、充満した膀胱の中央で交差するように設計される。代替的に、ビームは(分散した反射をより良好に受信するために)前壁60、又は、膀胱が充満した状態においては(遠方の信号をより良好に受信するために)後壁70で交差するように設計される。発明の一部の実施形態において、ビーム形状は膀胱半径の変化(ひいては、分散及び/又は焦点効果)が考慮されている。任意選択で、送信及び/又は受信ビームの集束は、例えば制御可能なレンズ(例えば、水の容量の変化(つまりは半径の変化)がレンズ形状を変化させる、水で満たされたレンズ)を使用して、膀胱が充満し空になるのにつれて変更される。
【0138】
本発明の例示的な実施形態において、送信及び/又は受信ビームの集束を制御するために、任意選択で可変焦点距離をもつ、音響レンズが使用される。代替的に又は付加的に、異なる変換器は異なる集束特性をもつ。ある例では、1つの変換器は前壁に対して最適化され、1つは中程度に充満した状態の後壁に対して最適化され、そして1つは完全に充満した状態の後壁に対して最適化される。
【0139】
本発明の例示的な実施形態によれば、変換器からのビームが近方の壁60に達するところで集束し、後壁70に達するところで発散するように、変換器デザインが選択される。本発明の例示的な実施形態において、両方の壁が変換器のフレネル帯の内部にある。本発明の例示的な実施形態において、この効果に対して変換器のサイズ、構造および周波数が選択される。ある例では、フレネル帯の起点を計算するために式「(長さ)=2*D2/(波長)」が使用される(2は実験的に決定されるパラメータであり、Dは変換器の寸法である)。任意選択で、素子サイズ及び波長を(例えば、製造後にでも)変更することよって、集束およびビーム幅を変えることができる。本発明の例示的な実施形態において、10mm正方の変換器が1MHzの中心周波数で使用される。
【0140】
図示のように、各変換器は送信及び受信に使用される。上述の通り、これは、追加の電子機器無しに、送信及び受信信号の物理的なヘテロダインを発生させるために用いられる。任意選択で、別々の送信器と受信器が使用される。ある例では、複数の送信機対して1つの比較的に無指向性の受信器が使用される。代替的に又は付加的に、1つの比較的に無指向性の送信器が、複数のより指向的な受信器又は1つの比較的に無指向性の受信器に対して使用される。任意選択で、ビームは10度と30度の間の角度広がりを持つ。
【0141】
発明の一部の実施形態において、画像センサ又はアレイ・センサが使用される。
【0142】
発明の一部の実施形態において、人の皮膚と膀胱モニタ装置30との最適な接触を実現するために、超音波装置に使用されるような音響性ゲルが、例えば凹面720にゲルを塗布することによって、使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、1日又はそれ以上(例えば、8,24,36時間又はそれ以上)にわたって音響的接触が持続するようにゲルは選択される。
【0143】
本発明の例示的な実施形態において、変換器710は500kHzから1500kHzまでの範囲の共鳴音(例えば1MHz)と40未満あるいは15未満のQファクターをもつ超音波信号を発生する。
【0144】
[較正]
異なる利用者は異なる最大サイズの膀胱をもつ。任意選択で、膀胱監視装置30は特定の利用者に対する最大値の百分率として、又はおそらくは容量の単位(例えばミリリットル)として充満値を与える。代替的に又は付加的に、装置30は音響特性について較正される。任意選択で、較正は医療提供者によって行われる。代替的に、較正は利用者又はその介護者によって行われ、適当に自動化され及び/又は簡易化される。
【0145】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、較正方法のフローチャート500である。次の行為の幾つかを省略した、他の較正方法が用いられても良い。
【0146】
510にて、膀胱監視装置30が配置される。本発明の例示的な実施形態において、第1の行為は、適切な音響信号が検出される位置を判断するものである。本発明の例示的な実施形態において、適切な音響信号は、反射の無い空間領域(尿)の前の反射及び後の反射を含む。任意選択で、較正のための配置は、重要な空間領域を確保するために、半分充満した又は完全に充満した膀胱の状態でなされる。任意選択で、装置30は適切な信号が検出されたことを示すLEDを含む。
【0147】
本発明の例示的な実施形態において、例えば入れ墨ペンを使って、入れ墨によって配置が印される。
【0148】
発明者による幾つかの実験は、(成人の母集団の全てではないが相当な割合に対する)適切な位置は生殖器とへそとを結ぶ直線に沿っていることを示した。一部の人々に対する最適な配置は、その直線の中心より約30mm下方であり、概して恥骨の上方約30mmである。一部の人々では、右側への0〜15mmのオフセットが用いられる。本発明の例示的な実施形態によれば、このオフセットは、中心線から装置の位置を動かすことによってはではなく、装置設計によって補正される。この位置は、一般的にへその約125mm下方である。なお、多くの人々(多少肥満であっても)は、この位置の腹部に平坦な表面をもつ。この位置は一般的に、膀胱の最も凸状の部分(そこでは充満中の変化が最大となる)へ信号を送信することを可能にする。なお、膀胱は充満している間に移動し及び/又は(例えば、重力が原因で)不均一に充満するため、膀胱が空の状態における最高の位置は充満した状態に対するものとは異なることがある。任意選択で、充満した膀胱に対する最適な配置が選択される。代替的に又は付加的に、異なる変換器が異なる充満レベルに対して最適に配置に配置される。
【0149】
一度、装置30が正しく配置されると、充満レベルの表示が較正される。本発明の例示的な実施形態において、利用者が強い尿意を催したときは、例えばダイヤル665を較正モードに設定することによって、利用者は装置の較正モード(520)を選択する。発明の一部の実施形態において、較正モードへの設定は膀胱充満を意味する。代替的に、利用者は、膀胱が充満していることを示す(530)ために、(較正モードのときに)例えばスイッチ660などのスイッチを押す。利用者は次いで膀胱を空にする(540)ために排尿する。発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は充満膀胱状態を記録した後に、膀胱が空の状態を自動的に最小値として検出する。代替的に、利用者は、膀胱が空の状態を示す(550)ために、スイッチを押す(例えばスイッチ660を2回押す)。
【0150】
本発明の例示的な実施形態において、測定結果は信号−充満レベル関数の較正に使用される。任意選択で、関数は線形である。代替的に又は付加的に、3次式その他の推定が用いられる。任意選択で、関数は表に保管される。任意選択で、より複雑な曲線(例えば、個人の曲線、人々の母集団に基づく曲線)が用いられ、較正結果は曲線の振幅を変更するために使用される。
【0151】
発明の一部の実施形態において、利用者は計量容器(例えば692)の中に排尿し、尿の容量を膀胱監視装置30によって測定される膨張の変化と比較することによって、絶対容量を決定することができる。任意選択で、計量容器は、尿の容量の表示を生成する圧力センサなどのセンサを含む。代替的に又は付加的に、例えば1回押す毎に10mlを表示する、ユーザ入力制御が使用される。
【0152】
なお、一部の応用にとって重要なことは、排尿を行うべきときの警告である。そのため、実際の容量は重要ではなく、単に膀胱が充満されたという事実が重要となる。
【0153】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、1セットの期間(例えば、1時間、12時間、24時間、36時間、又はそれ以上)にわたって最大及び最小の膨張を記録することにより、自動的に自己較正する。任意選択で、新しい最大値(又は排尿の際は最小値)が見つかった時には、再構成が行われる。
【0154】
発明の一部の実施形態において、膀胱監視装置30は、最初は膀胱50の正確な位置を判断するために超音波スキャナを用いて配置されており、そのため配置された膀胱監視装置30は一切の異常性を考慮していない。代替的に又は付加的に、膀胱の充満状態を検出するためにスキャナが使用されてもよい。
【0155】
本発明の例示的な実施形態において、較正値は膀胱監視装置30のスイッチを切るか、電源630から外すことによってリセットすることができる。代替的に又は付加的に、膀胱監視装置30は特別なスイッチ又は特別なメモリ消去方法(例えば、装置を起動中に一定の位置にスイッチを保持する)を含む。本発明の例示的な実施形態によれば、探知した数値、及び/又は較正値、及び/又は処理結果を記憶するために、装置30はフラッシュメモリを使用する。
【0156】
本発明の例示的な実施形態において、計量カップへの複数の排尿事象にわたる情報を収集することにより、中間の充満レベルが較正される。任意選択で、以前に計算されたものとは異なる充満レベルが検出されていて、利用者が排尿欲求を知らせたときに、利用者はカップを使用するように促される。
【0157】
本発明の例示的な実施形態において、適切な較正は0〜150mmの距離にわたって0.5mmの測定距離精度を提供する。より低い精度、例えば、1mm、2mm、5mm、又はそれより悪いものでも、多くの目的に対しては十分である。より高い精度、例えば、0.2mm又は0.1mm又はそれより良いものが提供されてもよい。任意選択で、少なくとも60%又は70%よりも高い充満レベルにおいて、充満レベル推定は、20%、10%、5%又はそれより良い精度である。任意選択で、少なくともより高い充満レベルに対しては、個人的な容量の較正をしなくても、容量推定(又は排尿容量)の精度は20%、10%、5% 又はそれよりも良い。
【0158】
もし複数のセンサが用意されれば、各センサは個別に較正されることもでき、又はたとえ異なる値であっても同時に較正されることもできる。
【0159】
任意選択で、異なる姿勢(例えば、立位や座位)に対して、特に低い膀胱容量(例えば20〜40%)について、別々の較正が行われる。「膀胱の形状および配置に与える体位の影響のMRI評価」と題するNiels Kristian Kristiansen,Steffen Ringgaard,Hans Nygaard及びJens Christian Djurhuusによる論文(Scand. J. Urol. Nephrol. 38: 53-61; 2004, DOI 10.1080/00365590310017325)(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、充満した膀胱については、体位の影響はほとんど無いことを示唆している。
【0160】
[装置の使用方法]
図3は、本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視方法のフローチャート300である。
【0161】
本発明の例示的な実施形態において、利用者は膀胱監視装置30を配置する(310)。しばしば、利用者はトレーニングを受けていない。任意選択で、装置30を配置する場所は入れ墨ペン、即ち消えないマーカーで印が付けられている。
【0162】
利用者はスイッチを入れることにより装置を起動する(320)。
【0163】
任意選択で、利用者は、利用者の膀胱50に基づいて、例えば上述の方法を用いて、較正を行う(330)。任意選択で、利用者が警告を受けたい体位(例えば、立位、座位、背臥位(例えば夜間のために))較正が行われる。任意選択で、利用者はインターフェースを用いてモード(どの較正を使用するか)を切り替えることができる。
【0164】
本発明の例示的な実施形態によれば、膀胱監視装置30は利用者の膀胱50に向けて連続的に信号を送信し(340)、装置に戻る信号を受信する。膀胱監視装置30は戻ってきた信号を分析し、利用者の膀胱50の膨張レベルを判断する。任意選択で、上述のように、エネルギー節約のため送信は定期的であり、充満レベルが以前に排尿が行われた充満レベルに近づいたときに送信頻度を増加させることもできる。任意選択で、排尿時間は充満レベルと充満速度に基づいて予測される。
【0165】
もし、判断(350)されたレベルが予め選択した充満率(例えば65%、70%、80%又は90%)よりも大きければ、膀胱監視装置30は利用者または介護者に行動を起こす(例えば膀胱を空にする)ように知らせるために、警報ユニット690を作動させる(360)。
【0166】
任意選択で、利用者は充満レベルの推定を装置に問い合わせる。そのような問い合わせが有益な一例は、利用者に充満レベルを認識させるトレーニングを目的としたものである。利用者に(排尿が不要であるという)正確なフィードバックを提供することにより、利用者は急迫性尿失禁及び/又は過緊張性膀胱を克服することを学習できる。
【0167】
一部の例では、例えば連続的な充満レベルの閾値が検出されるように、装置30は複数の警報を提供するように設定される。
【0168】
任意選択で、複数のパラメータ(例えば、充満レベル、1つ以上の壁厚、充満速度などを含む)が排尿の必要性を評価するために使用される。
【0169】
本発明の例示的な実施形態において、利用者は1日のうちに、例えばシャワーを浴びるために、装置30を取り外したり、取り替えたりすることができる。任意選択で、装置30は再較正を必要とする。代替的に又は付加的に、較正のために、装置30は経過時間を追跡し、その時間の間の定充満速度を推測する。代替的に又は付加的に、前回の較正が維持される。代替的に又は付加的に、例えば膀胱50以外の身体構造(例えば恥骨)からの反射に基づいて、装置30の位置が維持されているか検出するために、変換器が使用される。任意選択で、利用者は装置30を使用する前(例えば、就寝の前)に排尿する。
【0170】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は、例えば適切なサイズにすることで子供の使用に適合し、おむつトレーニングシステムの一部として、又はその後の夜尿症治療の補助に使用される。任意選択で、大人又は子供が目を覚ます必要があるため、この応用に対しては負荷警報が使用される。
【0171】
本発明の例示的な実施形態において、介護者に尿瓶が必要な時を知らせるために、及び/又は、おむつの交換を防ぐために、装置30は病院又は老人ホーム内で使用される。任意選択で、複数の装置30が、介護者が配置された単一の中央集中警報局に 接続される。
【0172】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は時計を持ち、その日の違う時刻に違う動作をする。ある例では、様々な充満レベルの警報用閾値は、夜間にはより低く又はより高くなる。別の例では、警報タイプ(例えば、触覚や音)又は警報レベルは夜間に異なる。任意選択で、それによって、もし利用者が閾値前の状態に対する低い警戒レベルに応答(例えば、ボタンを押して了解するなど)しなかった場合は、注意感知方法が使用され、閾値に達しているときに利用者が不注意であるか眠っていると見なされると、負荷警報が使用される。
【0173】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は失禁事象がある度に通知を受ける。任意選択で、失禁が発生した充満レベルよりも下になるよう警報閾値が再設定される。任意選択で、警報用閾値レベルは失禁レベルの統計的分析によって決定される。ある例では、閾値は標準偏差を計算し、平均値から標準偏差2つのところに閾値を設定することによって、閾値が決定される。代替的に又は付加的に、安全マージンが加えられ、例えば、マージンは充満の百分率として、絶対数として、及び/又は充満速度に基づいて計算される。
【0174】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置30は、例えば1日、1週間又は一ヶ月以上使用した後に経済的に使い捨てできるように、低コスト材料から作られる。発明の一部の実施形態において、この低コストは、低周波数と低品質材料を使用できることに起因し、特殊な高電圧及びパルス整形回路が無いことだけでなく、長い積分時間と低周波数の処理に起因している。任意選択で電池は交換不能である。そのため、一度電池を使い切ると装置は捨てられる。
【0175】
[実験結果]
図8は、実際の人での320分間にわたる膀胱測定を示すグラフ800である。線810は(装置30から)膀胱の後壁70までの距離であり、線820は前壁60までの距離である。複数の充満及び排尿事象が確認できる。さらに、排尿の間の残余膀胱充満レベルが確認できる。また、おそらくは膀胱徐波に起因する、明らかな振動を見ることができる。本発明の例示的な実施形態において、これは閉塞(末梢抵抗)及び/又は排尿筋活動による影響を受けた括約筋が開いた状態における排尿筋のプロフィールと解釈される。グラフ800において見られる充満速度の変化は、その人が期間の最初の部分で終始大量の水を飲むように言われたことが原因である。本発明の例示的な実施形態において、これは腎臓による尿生成のプロフィールであると解釈される。なお、時刻220において、その人が動いたことに起因して距離の上昇が生じた。なお、しかしながら、近方壁の同時に起こる動きは、動きに起因する誤差を少なくとも部分的に補正する。なお、また、そのような動きの効果は、一般に膀胱がほとんど空の時に顕著である。任意選択で、装置30は充満速度が低いときに人工的な動きより敏感なるよう設定される。
【0176】
図9Aは、排尿中にリアルタイムで取得した測定結果を示すグラフ900である。線902は装置30から膀胱後壁70までの距離を示し、線906は膀胱前壁60までの距離を示し、線904は膨張(壁間距離)を示し、線902から線906を減じて導きだされる。基準908は一般に排尿の時間を示す。この時間の前に、基準910において、排尿が開始する直前及び同時に、膀胱位置の変化が観察されている。おそらくは、これは腹腔内圧の上昇が先行した排尿を示している。基準912は膀胱形状の振動を示しており、おそらくは排尿後の筋肉弛緩を示している。
【0177】
図9Bは、図9Aと同一人における、かなりの残留尿量が膀胱内に残される、部分的な排尿事象922に関連する測定結果を示すグラフ920である。線902〜906は図8と同じ測定結果を指す。一連の振動924は、おそらくは排尿事象の中断の結果としての(強制された)膀胱の緩和を示している。本発明の例示的な実施形態において、これは括約筋が閉じた状態における排尿筋活動を示すものと解釈される。
【0178】
図9Cは2段階排尿事象を示すグラフ930である。線902〜906は上述と同様である。第1段階932は膀胱の膨張減少を示しているが、直後に回復934が発生しているように見える。この尿容量の回復と思われるものは、実際には膀胱内筋がまだ活動しながら排尿を停止している間の膀胱の形状の変化に起因する起因するものと仮説することができる。任意選択で、この理由から、不完全な排尿直後の測定は無視される。代替的に又は付加的に、そのような不自然な結果から、人の病的な行動が検出される。第2段階936は膀胱が空になることで完結する。
【0179】
一部の実験において、立位、座位、横臥位などの姿勢の変化は、測定のベースラインに影響を与える。しかしながら、もとの姿勢に戻ると、影響を残さずに元の状態に戻る。また、上述したように、影響は小さいものと予想される。
【0180】
[長期使用]
本発明の例示的な実施形態において、装置30は長期的な監視に使用される。本発明の例示的な実施形態において、装置30は、排尿事象を追跡することによって、排尿日誌として使用される。任意選択で、例えば一押し毎に1単位の液体の摂取を示すボタンを使用して、入力も知らせる。代替として、より複雑なインターフェースが使用される。
【0181】
任意選択で、例えば、装置30をコンピュータや電話に接続されたドッキングステーションに置くことにより、分析のために排尿データが定期的に送られる。
【0182】
本発明の例示的な実施形態において、長期的な監視及び/又は追跡は、例えば前立腺疾患や膀胱の調節の不具合の診断、及び/又は、どちらの薬が現在の不具合の治療に効果的かを判断するために使用される。
【0183】
[尿力学]
本発明の例示的な実施形態において、装置30は尿力学のために使用される。第1の使用において、装置30は排尿後の残尿量を推定するために使用される。精度は比較的に低いものの、それでもこの値は重要である。任意選択で、容積を測定/推定するために、低い膨張値について、画像センサ又はセンサを使用して残余容積は較正される。代替的に又は付加的に、膨張と容量変化との間の対応が最大充満レベルから逆算される、外挿法が使用される。代替的に又は付加的に、残尿量の変化が追跡される。なお、膀胱が空になるほど、膀胱で最大の変化を示す位置は変化する。任意選択で、例えば画像センサ又はアレイセンサを使用して、膀胱位置が追跡される。代替的に、センサ間の移行の影響を滑らかにするために任意選択で使用される較正処理をして、異なる充満速度に対して異なるセンサが指定される。
【0184】
任意選択で、低い充満レベルに対する較正は、膀胱容量の変化モデル(任意選択で画像を用いて決定される)が考慮される。
【0185】
本発明の例示的な実施形態において、排尿事象(例えば、図9Aに示されるような事象、)の間の放出速度の測定が行われる。任意選択で、そのような推定は、測定装置における尿収集速度を較正している間にリアルタイム・フィードバックを提供する測定装置(例えば、692)を使用して較正される。代替的に又は付加的に、排尿の前、最中、及び/又は後の膀胱変化が追跡される。代替的に又は付加的に、尿生成速度が追跡される。
【0186】
本発明の例示的な実施形態において、膀胱内の圧力レベルが判断され、及び/又は監視される。本発明の例示的な実施形態において、膀胱壁厚又は剛性(例えば、その内部の音速)は、例えばカテーテルを使用する等、他の手段を用いて測定した圧力と相関する。一部の実施形態において、組織の厚さと音速は、引き離し難く絡み合っている場合もある。おそらくは、厚さと速度は、変化の速度を分析することにより切り離され、各厚さと速度について異なる変化速度を推定する。
【0187】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は治療計画を評価及び/又は調整するために使用される。ある例では、ステント作用または前立腺肥大への薬の効果が追跡される。任意選択で、服薬その他の治療を知らせるために、装置30に入力が与えられる。代替的に又は付加的に、装置30は、排尿への望ましい又は望ましくない効果に応答して、例えば薬を溶出又は低減して、薬の投与を管理する。任意選択で、制御された溶離又はその他の薬の提供が、例えば、利尿作用を提供するため、又は過緊張性膀胱をリラックスさせる薬を提供するためのみならず、他の病気に対しても使用される。
【0188】
本発明の例示的な実施形態において、装置30の長期の端綱様の使用は膀胱の充満および空乏化の動態、及び/又は(例えば、閉塞の問題に関連する及び/又は高い残尿量の問題に関連する)流動の問題を追跡するためである。
【0189】
[排尿調節]
当該技術において、例えば間欠的カテーテル挿入、TENS装置又は機械的括約筋などの手動排尿調節装置を必要とする人に提供することが知られている。通常、そのような装置の利用者は、装置をいつ作動させるかを決めるためにタイマーを使用している。これは無駄が多く及び/又は不便であろう。本発明の例示的な実施形態において、本願で説明する充満測定装置が使用される。
【0190】
図10は、本発明の例示的な実施形態による、排尿調節方法のフローチャート1000である。
【0191】
1002において、利用者は充満レベルを測定する。任意選択で、装置30は連続装着される。代替的に、(例えば時間表に基づいて)充満表示が要求されると腹部に押し付けられる、携帯型装置が使用される。
【0192】
1004において、もし充満レベルが排尿を提案すると、警報が任意選択で発生し、利用者は排尿しに行くかどうかを決めることができる。
【0193】
1006において、利用者は間欠的カテーテル挿入などの手動排尿技術を利用することができる。
【0194】
[生理学的監視及びその他の使用]
本発明の例示的な実施形態において、装置30は排尿の抑制又は支援以外の用途に使用される。
【0195】
本発明の例示的な実施形態において、過緊張性膀胱の治療のために装置30が使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、徐波の検出及びその変化の追跡のために装置30が使用される。任意選択で、徐波は壁厚及び/又は壁の位置の変化に基づいて発見され、任意選択で変化は壁の間で、(おそらくは互いに遅れて)時間に同期されている。代替的に又は付加的に、例えば、膀胱壁厚、徐波(つまりは、弛緩又は収縮した括約筋の脈動)、空乏化速度及び/又は空乏化プロフィール(例えば、閉塞情報を示すための)などの、その他の膀胱パラメータが追跡される。
【0196】
本発明の例示的な実施形態において、壁厚の振動及び/又は壁位置が追跡される。
【0197】
本発明の例示的な実施形態において、追跡したパラメータはテンプレート(例えば、同じ利用者又は別の利用者から、又は利用者のグループから生成されたテンプレート)と比較される。異なるテンプレート又は異なる周波数、振動数及び/又は振幅は、病的な又は正常な状態を示すことがある。代替的に又は付加的に、昼行性の及び/又は夜行性の機能的能力及び/又は活動が分析される。
【0198】
本発明の例示的な実施形態によれば、生体自己制御法が使用される。ここでは、装置30は利用者に周波数、振幅、及び/又は振動数を知らせ、利用者はそのフィードバックを自己制御の仕方を学習するために使用する。代替的に又は付加的に、排尿するために本当に必要と思われるものは実際には刺激だけであり、従って、そのような刺激を調節するための利用法を教えることだけであることを利用者に示すためにフィードバックが使用される。
【0199】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は、例えば薬の作用又は副作用(充満速度の作用や膀胱の膨満の感覚への作用など)を判断するために、臨床評価の目的で使用される。本発明の例示的な実施形態において、膀胱の充満速度は、尿活動を表示し、利尿薬及び抗利尿薬又は他の治療の作用を示すことがある。
【0200】
本発明の例示的な実施形態において、装置30は流体管理のために使用される。本発明の例示的な実施形態において、装置30は充満速度を追跡し、(患者の状態に応じて)それが低すぎるか高すぎるかすると警報を発生する。任意選択で、装置30は利用者に、例えば、水分又は利尿薬又はその他の薬を摂取するように指示を与える。任意選択で、指示は装置30上のインターフェースを経由して、又は外部装置を経由して提供される。
【0201】
[変形及び総則]
以上の説明は簡単な(例えばイメージングに関する)装置に焦点を合わせているが、本発明の一部の実施形態は、2次元又は3次元イメージングを用いて実現される。
【0202】
任意選択で、3次元イメージング能力は慎重に使用され(例えば、特に利用者が移動する場合に、電力又は処理能力を節約するために)、また周波数掃引を使用した反射の検出が、ほとんど常に使用される。当然のことながら、上述の方法及び装置は、使用する信号の種類を変えることを含めて、さまざまに変化することができる。当然のことながら、上述の方法及び装置の記載は、方法を実行するための装置及び装置を使用する方法を含むと解釈されるべきものである。また、コンピュータにおける、汎用の超音波機構における、又は専用の超音波機構における、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアを含む種々の実現方法も含まれる。任意選択で、ソフトウェアはコンピュータで読み取り可能な媒体(例えば、CD−ROM、フラッシュメモリ、ディスケットなど)の上で提供される。また、本発明の範囲内には、1つ以上の使い捨て可能な装置及び/又は取り付けパッド(任意選択で殺菌され又は医療用に適合されている)を含むキットが含まれる。家庭用には、取り扱い説明書が任意選択で提供される。
【0203】
本発明の範囲を限定する目的ではなく、一例として提供された、本発明の実施形態の限定されない詳細な説明を用いて本発明を説明してきた。ある実施形態について記載された特徴及び/又は手段は他の実施形態と共に使用されてもよく、また、ある実施形態についての特定の図または説明に示された特徴及び/又は手段の全てを、必ずしも本発明の全ての実施形態が有するものではない。本発明の一部の実施形態の範囲内にある記載された実施形態の変形が当業者に想到されるであろう。
【0204】
なお、上述の実施形態の一部は発明者によって熟考されたベストモードを説明しており、従って本発明に本質的ではない構造、作用、又は構造及び作用の詳細を含み、また、それらは一例として説明されている。本願において説明される構造及び作用は、構造又は作用が異なっていても、同一の機能を果たす既知の均等物によって交換可能である。節の見出しは案内のために提供されており、必要な限定として解釈されるべきではない。本発明の範囲は請求項で用いられる要素及び限定によってのみ限定される。請求項において、用語“comprise”(〜からなる)、“include”(〜を含む)、“have”(〜をもつ、〜を有する)、及びそれらの同根語を使用するときは、これらは“including but not limited to”(〜を含んでいるが、それに限定されない)の意味をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0205】
本発明の詳細な例示的実施形態を、図面に関連する以下の実施形態の解説を参照して説明する。ここで、1つ以上の図に現れる同一の構造、要素又は部分は、それが現れる全ての図において、一般に同一の又は類似の番号で標示される。
【図1A】本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視装置の動作原理を説明する略図である。
【図1B】本発明の例示的な実施形態による、膀胱壁間距離と膀胱容量との間の測定された関係を示すグラフである。
【図2A】本発明の例示的な実施形態による、距離を判断するための周波数掃引法の使用を説明するグラフである。
【図2B】本発明の一部の実施形態による、処理されて周波数領域に変換された例示的な受信信号を説明するグラフである。
【図3】本発明の例示的な実施形態による、膀胱充満監視方法のフローチャートである
【図4A】本発明の例示的な実施形態による、実験において実際に測定された信号を示すグラフである。
【図4B】本発明の例示的な実施形態による、実験において実際に測定された信号を示すグラフである。
【図5】本発明の例示的な実施形態による、較正方法のフローチャートである。
【図6】本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置の略ブロック図である。
【図7A】本発明の例示的な実施形態による、膀胱監視装置のための複数変換器配置の略図である。
【図7B】本発明の例示的な実施形態による、図7Aの膀胱監視装置の側方断面図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態による、膀胱の測定結果を示すグラフである。
【図9A】本発明の例示的な実施形態による排尿中の測定結果を示すグラフである。
【図9B】本発明の例示的な実施形態による排尿中の測定結果を示すグラフである。
【図9C】本発明の例示的な実施形態による排尿中の測定結果を示すグラフである。
【図10】本発明の例示的な実施形態による、制御された膀胱解放の方法のフローチャートである
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)音響信号を患者の体内へ送信及び受信可能な超音波音響トランシーバユニットと、
(b)周波数が時間とともに変化する信号で前記トランシーバユニットを駆動する周波数変調回路と、
(c)前記トランシーバユニットによって検出された少なくとも1つの信号から、距離の表示を抽出する処理回路と、
からなり、前記信号は前記時間的に変化する周波数信号によって駆動された前記トランシーバユニットの送信の反射である、測定装置。
【請求項2】
前記信号は周波数掃引である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記掃引は非空間的である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記表示は膀胱の近い方の壁と遠い方の壁との間の距離の表示からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記処理回路は前記表示から前記膀胱の充満レベルを推定する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記処理回路によって使用される少なくとも1つの較正値をもつ記憶装置からなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つのユーザ入力制御を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が充満していることの表示を生成する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が全く空であることの表示を生成する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、容量表示を受け取るように作動する、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記処理回路は、時間をかけて充満レベルを追跡することによって、自動的に最大充満レベル状態を検出するように作動する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記処理回路は残留充満容量を推定するように作動する、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記距離の表示は膀胱壁厚からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記処理回路は、前記表示に基づいて少なくとも膀胱充満速度を推定するように作動する、請求項5に記載の装置。
【請求項15】
前記時間的に変化する周波数は、鋸歯状線形掃引からなる請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記トランシーバユニットは、単一の超音波素子からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記トランシーバユニットは、30mmと50mmの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記トランシーバユニットは、50mmと90mmの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記トランシーバユニットは、前記距離に対して可能な値の範囲を網羅するフレネル帯をもつビームを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記範囲は20mmと200mmの間である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記トランシーバユニットは、少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの別個の受信器とからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記トランシーバユニットは、少なくとも2つの送信機からなり、前記表示の抽出のために、前記処理回路は前記2つの送信機から受信した信号から選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも2つの送信機は、2つが直線に並び、1つが直線から外れて配置された、少なくとも3つの送信機からなり、それぞれがビームを、互いに平行ではないが、同じ概略の方向に向けるように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記2つの送信機は、互いに平行でない超音波ビームを送信する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記ユニットは凹面上に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記ユニットを膀胱の付近に取り付けるための、人間の胴の周りに取り付けるのに適した長さのストラップからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記変換器ユニットを人間の皮膚に結合させるように適合された、接着式で取り外し可能なゲル・パッドからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
抽出された表示の履歴を記憶する記憶装置からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記記憶装置からのデータを送信するための送信機からなる、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記記憶装置は排尿日誌記憶装置として機能する、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記表示に基づいて警報を発生する警報発生装置からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記警報は触知性である、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記音響トランシーバユニットは、200kHzと2000kHzの間で信号を送信する、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記時間的に変化する周波数は、膨張した成人の膀胱の近い方の壁から遠い方の壁までの前記周波数の信号の移動時間よりも長い時間にわたって、下限周波数から上限周波数まで変化する、請求項1に記載の装置
【請求項35】
前記時間は少なくとも移動時間の10倍である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記時間は少なくとも移動時間の20倍である、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記処理回路は、200kHzより低い周波数のみを処理するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記処理回路は、150kHzより低い周波数のみを処理するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項39】
前記トランシーバは、13V未満で励起される圧電材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項40】
前記トランシーバは、5V未満で励起される圧電材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項41】
前記トランシーバは、送信機及び受信機の双方として動作し、受信信号を送信信号とヘテロダインさせる、少なくとも1つの変換器からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項42】
関心の無い距離に相当する周波数を除去する周波数フィルタからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項43】
前記処理回路は、前記抽出のために、受信信号の少なくとも1ミリ秒の寄与を蓄積する、請求項1に記載の装置。
【請求項44】
(a)時間的に変化する周波数で変調された超音波信号を膀胱に送信することと、
(b)前記膀胱の少なくとも一部からの前記信号の反射を受信することと、
(c)前記反射の周波数から少なくとも距離の表示を抽出することと、
からなる、膀胱のパラメータを測定する方法。
【請求項45】
時間的に変化する信号を送信することは、複数の時間的に変化する信号を空間的に分離した変換器から送信することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
最良の反射を選択することからなる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記表示は、前記膀胱の遠い方の壁までの距離からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記表示は、壁厚からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記表示は前記膀胱の近い方の壁と遠い方の壁との間の距離からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記表示を前記膀胱の充満レベルの推定に変換することからなる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記充満レベルは、充満容量からなる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記充満レベルに応答して利用者への警報を発生することからなる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記表示を充満レベルへ較正することからなる、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
較正は利用者からの充満表示を受け取ることからなる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
体外の測定装置において尿の排出量を測定することからなる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記装置は尿容量を反映した電子信号を発生する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
較正は、前記膀胱が充満する挙動と空になる挙動とを自動的に追跡することからなる、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記表示は、膀胱壁の厚さからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
前記膀胱における膀胱徐波の表示を抽出することからなる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記表示から膀胱充満速度を抽出することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項61】
前記表示から排尿速度を抽出することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項62】
前記表示から残尿量を抽出することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項63】
時間をかけて前記表示を追跡して記憶することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項64】
(a)排尿事象から尿の容量を計算することと、
(b)前記事象に従って膀胱の物理的パラメータを測定することと、
(c)前記容量と前記物理的パラメータとの間の対応を前記検出装置に保存することと、
からなる膀胱尿充満検出装置を較正する方法。
【請求項65】
測定することは、周波数掃引法を使用して前記膀胱の膨張を測定することからなる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記パラメータは尿の容量からなる、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記容量はセンサを使用して測定され、前記検出装置に自動的に提供される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記パラメータは膀胱壁厚からなる、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
(a)前記膀胱の1次元形状パラメータを測定するために、中心から外れた膀胱へ測定信号を送ることと、
(b)前記測定されたパラメータから前記膀胱の膨張を推定することと、
からなる、膀胱膨張を測定する方法。
【請求項70】
(a)表面上、尿から音響信号のレベルを検出することと、
(b)検出レベルよりも振幅の大きな膀胱壁からの信号を探索することと、
からなる、膀胱の壁を検出する方法。
【請求項71】
(a)膀胱へ音響信号を送信することと、
(b)前記膀胱の膨張の表示を1次元で決定することと、
(c)少なくとも1つの個別の較正値を使用して、前記表示から、前記膀胱の充満レベルが約70%を超えると判断することと、
からなる、70%を超える膀胱充満レベルを推定する方法。
【請求項72】
前記音響信号は周波数掃引スカラー信号からなる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
(a)選択可能な音響変換器形状と動作周波数の少なくとも1つを有する、身体形状における使用のための装置デザインを提供することと、
(b)前記周波数で動作する前記変換器のフレネル領域内に前記身体形状が位置するように、前記動作周波数と前記身体形状の少なくとも1つを選択することと、
からなる、装置パラメータを選択する方法。
【請求項1】
(a)音響信号を患者の体内へ送信及び受信可能な超音波音響トランシーバユニットと、
(b)周波数が時間とともに変化する信号で前記トランシーバユニットを駆動する周波数変調回路と、
(c)前記トランシーバユニットによって検出された少なくとも1つの信号から、距離の表示を抽出する処理回路と、
からなり、前記信号は前記時間的に変化する周波数信号によって駆動された前記トランシーバユニットの送信の反射である、測定装置。
【請求項2】
前記信号は周波数掃引である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記掃引は非空間的である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記表示は膀胱の近い方の壁と遠い方の壁との間の距離の表示からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記処理回路は前記表示から前記膀胱の充満レベルを推定する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記処理回路によって使用される少なくとも1つの較正値をもつ記憶装置からなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つのユーザ入力制御を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が充満していることの表示を生成する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、膀胱が全く空であることの表示を生成する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのユーザ入力の少なくとも1つは、容量表示を受け取るように作動する、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記処理回路は、時間をかけて充満レベルを追跡することによって、自動的に最大充満レベル状態を検出するように作動する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記処理回路は残留充満容量を推定するように作動する、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記距離の表示は膀胱壁厚からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記処理回路は、前記表示に基づいて少なくとも膀胱充満速度を推定するように作動する、請求項5に記載の装置。
【請求項15】
前記時間的に変化する周波数は、鋸歯状線形掃引からなる請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記トランシーバユニットは、単一の超音波素子からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記トランシーバユニットは、30mmと50mmの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記トランシーバユニットは、50mmと90mmの間の距離に焦点の合った集束ビームを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記トランシーバユニットは、前記距離に対して可能な値の範囲を網羅するフレネル帯をもつビームを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記範囲は20mmと200mmの間である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記トランシーバユニットは、少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの別個の受信器とからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記トランシーバユニットは、少なくとも2つの送信機からなり、前記表示の抽出のために、前記処理回路は前記2つの送信機から受信した信号から選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも2つの送信機は、2つが直線に並び、1つが直線から外れて配置された、少なくとも3つの送信機からなり、それぞれがビームを、互いに平行ではないが、同じ概略の方向に向けるように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記2つの送信機は、互いに平行でない超音波ビームを送信する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記ユニットは凹面上に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記ユニットを膀胱の付近に取り付けるための、人間の胴の周りに取り付けるのに適した長さのストラップからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記変換器ユニットを人間の皮膚に結合させるように適合された、接着式で取り外し可能なゲル・パッドからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
抽出された表示の履歴を記憶する記憶装置からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記記憶装置からのデータを送信するための送信機からなる、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記記憶装置は排尿日誌記憶装置として機能する、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記表示に基づいて警報を発生する警報発生装置からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記警報は触知性である、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記音響トランシーバユニットは、200kHzと2000kHzの間で信号を送信する、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記時間的に変化する周波数は、膨張した成人の膀胱の近い方の壁から遠い方の壁までの前記周波数の信号の移動時間よりも長い時間にわたって、下限周波数から上限周波数まで変化する、請求項1に記載の装置
【請求項35】
前記時間は少なくとも移動時間の10倍である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記時間は少なくとも移動時間の20倍である、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記処理回路は、200kHzより低い周波数のみを処理するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記処理回路は、150kHzより低い周波数のみを処理するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項39】
前記トランシーバは、13V未満で励起される圧電材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項40】
前記トランシーバは、5V未満で励起される圧電材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項41】
前記トランシーバは、送信機及び受信機の双方として動作し、受信信号を送信信号とヘテロダインさせる、少なくとも1つの変換器からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項42】
関心の無い距離に相当する周波数を除去する周波数フィルタからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項43】
前記処理回路は、前記抽出のために、受信信号の少なくとも1ミリ秒の寄与を蓄積する、請求項1に記載の装置。
【請求項44】
(a)時間的に変化する周波数で変調された超音波信号を膀胱に送信することと、
(b)前記膀胱の少なくとも一部からの前記信号の反射を受信することと、
(c)前記反射の周波数から少なくとも距離の表示を抽出することと、
からなる、膀胱のパラメータを測定する方法。
【請求項45】
時間的に変化する信号を送信することは、複数の時間的に変化する信号を空間的に分離した変換器から送信することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
最良の反射を選択することからなる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記表示は、前記膀胱の遠い方の壁までの距離からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記表示は、壁厚からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記表示は前記膀胱の近い方の壁と遠い方の壁との間の距離からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記表示を前記膀胱の充満レベルの推定に変換することからなる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記充満レベルは、充満容量からなる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記充満レベルに応答して利用者への警報を発生することからなる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記表示を充満レベルへ較正することからなる、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
較正は利用者からの充満表示を受け取ることからなる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
体外の測定装置において尿の排出量を測定することからなる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記装置は尿容量を反映した電子信号を発生する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
較正は、前記膀胱が充満する挙動と空になる挙動とを自動的に追跡することからなる、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記表示は、膀胱壁の厚さからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
前記膀胱における膀胱徐波の表示を抽出することからなる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記表示から膀胱充満速度を抽出することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項61】
前記表示から排尿速度を抽出することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項62】
前記表示から残尿量を抽出することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項63】
時間をかけて前記表示を追跡して記憶することからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項64】
(a)排尿事象から尿の容量を計算することと、
(b)前記事象に従って膀胱の物理的パラメータを測定することと、
(c)前記容量と前記物理的パラメータとの間の対応を前記検出装置に保存することと、
からなる膀胱尿充満検出装置を較正する方法。
【請求項65】
測定することは、周波数掃引法を使用して前記膀胱の膨張を測定することからなる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記パラメータは尿の容量からなる、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記容量はセンサを使用して測定され、前記検出装置に自動的に提供される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記パラメータは膀胱壁厚からなる、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
(a)前記膀胱の1次元形状パラメータを測定するために、中心から外れた膀胱へ測定信号を送ることと、
(b)前記測定されたパラメータから前記膀胱の膨張を推定することと、
からなる、膀胱膨張を測定する方法。
【請求項70】
(a)表面上、尿から音響信号のレベルを検出することと、
(b)検出レベルよりも振幅の大きな膀胱壁からの信号を探索することと、
からなる、膀胱の壁を検出する方法。
【請求項71】
(a)膀胱へ音響信号を送信することと、
(b)前記膀胱の膨張の表示を1次元で決定することと、
(c)少なくとも1つの個別の較正値を使用して、前記表示から、前記膀胱の充満レベルが約70%を超えると判断することと、
からなる、70%を超える膀胱充満レベルを推定する方法。
【請求項72】
前記音響信号は周波数掃引スカラー信号からなる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
(a)選択可能な音響変換器形状と動作周波数の少なくとも1つを有する、身体形状における使用のための装置デザインを提供することと、
(b)前記周波数で動作する前記変換器のフレネル領域内に前記身体形状が位置するように、前記動作周波数と前記身体形状の少なくとも1つを選択することと、
からなる、装置パラメータを選択する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公表番号】特表2007−508857(P2007−508857A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534906(P2006−534906)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000940
【国際公開番号】WO2005/034717
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506124424)ヴォルリネ イスラエル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000940
【国際公開番号】WO2005/034717
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506124424)ヴォルリネ イスラエル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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