説明

膜、膜モジュール、および膜ろ過システム

【課題】温水洗浄の効果を向上させるとともに、通水時に良好な透水能を得ることができる膜、膜モジュール、および膜ろ過システムを提供する。
【解決手段】膜ろ過システム100は、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料を付加した孔径調整材を膜基体の外表面側、膜孔内面、および内表面側に有する膜を用い、供給された原水を膜ろ過して処理水を排出する膜モジュール13を備え、孔径調整材の周囲の流体の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることにより孔径調整材を可逆的に膨張/収縮させ、孔径調整材の周囲の流体の排出とともに膜基体および孔径調整材への付着物を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表流水・地下水などの淡水、雨水貯水・産業廃水・下水などの汚水、バラスト水などの海水、などの水処理に適した膜、膜モジュール、および膜ろ過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理分野において、原水(表流水・地下水などの淡水、雨水貯水・産業廃水・下水などの汚水、バラスト水などの海水など)をろ過して、生活用水、工業用水、農業用水を得る方法として、例えば、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などの膜が用いられている。
【0003】
膜は、原水中の微生物、藻類、粘土などの固形分に対して高い分離性能を有しており、水処理分野での適用が拡大している。近年では、膜の素材として親水性材料を用いるのが一般的である。また、疎水性材料を用いる場合でも、膜面を重クロム酸カリの硫酸溶液等で親水化処理することで、ろ過性能を向上させることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、膜は、継続的に原水を通水することによって、膜外表面や膜孔内に原水中の溶質が堆積してろ過抵抗が増加し、ろ過性能が低下することがある。
【0005】
そこで、このような膜ろ過システムでは、予め設定された周期、あるいは膜が所定の差圧上昇を示した時点で、ろ過した処理水や圧縮空気などによる物理洗浄を行い、膜外表面や膜孔内の付着物のうち、可逆的なものを取り除いている。
【0006】
一方、膜外表面や膜孔内には、このような物理洗浄で除去し難い付着物が徐々に蓄積するため、膜差圧が予め設定されている上限値を越えた時点で、膜ろ過処理を停止して薬品洗浄を行い、物理洗浄で除去できなかった付着物を除去している。
【0007】
そして、薬品洗浄を行っても、膜表面や内部などの付着物が取り除けなくなり、膜差圧の回復が認められなくなった場合、あるいは、膜の使用期間がある一定期間を超えた場合には、膜が寿命に達したと判断して交換を行っている。
【特許文献1】特開平5−23553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような膜ろ過システムでは、薬品洗浄や膜交換に要する費用を抑制するために、膜基体の外表面側に所定の温度で可逆的に膨張/収縮する高分子材料を付加した膜を用いて、膜外表面あるいは膜孔内の付着物を温水で洗浄することが検討されている。
【0009】
しかしながら、このような膜ろ過システムでは、所定の温度で可逆的に膨張/収縮する高分子材料の大部分が膜外表面に付加されており、膜孔内および膜内表面への原水中の溶質の侵入を防ぐ、または、侵入した溶質を膜孔内および膜内表面で捕捉することができないため、温水洗浄の効果を十分に得られなかった。また、膜基体が疎水性の材料の場合、膜外表面のみが親水化されており、膜孔内および膜内表面が疎水性のため、対象とする原水を通水する際に、十分な透水能が得られないという問題があった。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、温水洗浄の効果を向上させるとともに、通水時に良好な透水能を得ることができる膜、膜モジュール、および膜ろ過システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の膜は、請求項1に記載のように、複数の貫通孔を有する膜基体と、前記膜基体の外表面側および前記各貫通孔の内面に物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料を付加した孔径調整材とを備え、前記高分子材料は、少なくとも以下の(1)〜(7)の中から選択された一の材料からなることを特徴とする。
【0012】
(1)N−イソプロピルアクリルアミドに、アクリル酸、2-カルボキシイソプロピルアクリルアミド、3-カルボキシ-n-プロピルアクリルアミドを共重合した高分子、(2)N−ビニルイソ酪酸アミド系重合体、(3)ポリ−N−アルキルアクリルアミド誘導体、(4)ポリイソプロピルアクリルアミドに代表されるポリアクリルアミド誘導体とポリビニル誘導体との共重合体、(5)N−ビニルイソ酪酸アミドなどのN−ビニルC3−9アシルアミドと、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルC1−3アシルアミドとの共重合体、(6)ポリアクリルアミド誘導体およびポリ−N−ビニルアシルアミド、(7)N−イソプロピルアクリルアミドで構成された単量体の重合体、およびN−ビニルイソ酪酸アミドで構成された単量体の重合体。
【0013】
また、本発明の膜は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の膜において、前記孔径調整材を前記膜基体の内表面側にも備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の膜モジュールは、請求項3に記載のように、請求項1または2に記載の膜を複数、平面状または円筒状に成型し、容器に充填して一体化したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項4に記載のように、請求項1または2に記載の膜を複数、平面状または円筒状に成型し、容器に充填して一体化してなり、供給された原水を膜ろ過し、処理水として排出する膜モジュールを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項5に記載のように、請求項1または2に記載の膜を複数、円筒状に成型し、容器に充填して一体化してなり、供給された原水を膜ろ過し、処理水として排出する膜モジュールを備える膜ろ過システムにおいて、前記孔径調整材の周囲の流体の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることにより前記孔径調整材を可逆的に膨張/収縮させる条件可変手段を備え、この条件可変手段により前記孔径調整材を可逆的に収縮させ、前記孔径調整材の周囲の流体とともに前記膜基体および前記孔径調整材への付着物を排出することにより前記膜の洗浄を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項6に記載のように、請求項5に記載の膜ろ過システムにおいて、前記条件可変手段は、前記原水側から供給する流体によって、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項7に記載のように、請求項5に記載の膜ろ過システムにおいて、前記条件可変手段は、前記処理水側から供給する流体によって、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項8に記載のように、請求項5に記載の膜ろ過システムにおいて、前記条件可変手段は、前記膜モジュール外部の温度調整によって前記孔径調整材の周囲の温度を変化させるとともに、前記原水側または前記処理水側の少なくともいずれか一方から供給する流体によって前記孔径調整材の周囲のpHを変化させることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項9に記載のように、請求項8に記載の膜ろ過システムにおいて、前記条件可変手段は、前記原水側または前記処理水側の少なくともいずれか一方から供給する流体によって前記膜モジュール外部の温度調整を行うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項10に記載のように、請求項5〜9のいずれか1項に記載の膜ろ過システムにおいて、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を検知する検知手段と、この検知手段による検知結果に応じて、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方が所定の目標値になるように前記条件可変手段を制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項11に記載のように、請求項10に記載の膜ろ過システムにおいて、前記制御手段は、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を所定の目標値とするために、温度を変化させるために要する費用とpHを変化させるために要する費用との和が最小となるように前記条件可変手段を制御することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の膜ろ過システムは、請求項12に記載のように、請求項1または2に記載の膜を複数、平面状に成型し、原水が流入している槽に浸漬させてなり、供給された原水を膜ろ過し、処理水として排出する温度応答性膜モジュールを備える膜ろ過システムにおいて、前記孔径調整材の周囲の流体の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることにより前記孔径調整材を可逆的に膨張/収縮させる条件可変手段を備え、この条件可変手段により前記孔径調整材を可逆的に収縮させ、前記孔径調整材の周囲の流体とともに前記膜基体および前記孔径調整材への付着物を排出することにより前記膜の洗浄を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、原水中の溶質が膜孔内および膜内表面へ侵入することを防ぐとともに、侵入した溶質を膜孔内および膜内表面で捕捉することで、温水洗浄の効果を向上させ、さらに原水が通過する膜外表面、膜孔内、膜内表面を親水化することで、通水時に良好な透水能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
<膜の第1実施形態>
図1は本発明に係る膜の第1実施形態を示している。
【0027】
図1に示すように、この実施形態に係る膜10Aは、ポリエチレン等の高分子材料からなり、複数の貫通孔(膜孔)を有する膜基体1と、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料を付加した孔径調整材2とで構成される。孔径調整材2の一例としては、N−イソプロピルアクリルアミドがある。
【0028】
膜基体1、孔径調整材2は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子から構成され、図3に示すように、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する。この実施形態では、図1に示すように、孔径調整材2が膜基体1の外表面1a側に付加されている。
【0029】
図1(a)に示すように、固形分などの溶質3を含む原水(河川水・地下水・湖沼水などの淡水、雨水貯水・産業廃水・下水などの汚水、バラスト水などの海水、など)、100μm以下の細孔を有する膜10Aのふるい作用により、細孔よりも大きな物質は膜面および孔径調整材2に捕捉される。原水中に含まれる溶質3としては、例えば、シリカコロイド、ベントナイト、粘土などの無機物のほか、大腸菌などのバクテリア、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫、プランクトンが挙げられる。これら溶質3は、カルボキシル基、アミノ基、水酸基などを有している。
【0030】
本実施形態では、物理的または化学的な環境変化に応答したN−イソプロピルアクリルアミドの高分子鎖の膨張/収縮の変化を利用して、ろ過および逆洗を行う。すなわち、膜10Aを用いて、固形分などの溶質3を含む原水を膜の外表面1a側から通水して、膜基体1にある孔によるふるい作用により原水から溶質3を分離する。特に膜基体1の外表面1aの孔付近の孔径調整材2によって、膜孔内部に侵入する溶質3を捕捉する。
【0031】
逆洗時においては、図1(b)に示すように、膜面下方から上方に逆洗する際に、膜面上方に滞留している原水、あるいは膜面下方から供給される洗浄水の温度調整またはpH調整の少なくともいずれか一方を行うことにより孔径調整材2の高分子材料を膨張/収縮させる。
【0032】
上述したように、N−イソプロピルアクリルアミドは温度およびpHに対して応答性を示す。
【0033】
このような物理的または化学的な環境変化に対応したN−イソプロピルアクリルアミドの高分子鎖の膨張/収縮の変化を利用して、ろ過および逆洗を行うようにする。すなわち、本実施形態の膜10Aを用いて、原水を膜の外表面1a側から内表面1c側に通水して外表面1a側に原水中の溶質3を捕捉する。この後、膜10Aの内表面1c側から外表面1a側に逆洗する際に、外表面1a側に滞留している原水に対して温度調整またはpH調整の少なくともいずれか一方を行うことにより、N−イソプロピルアクリルアミドの高分子鎖を収縮させる。このとき、高分子鎖の収縮にともなって、膜孔の孔径が拡張(開口)する。
【0034】
N−イソプロピルアクリルアミドは、その性状が変化する下限臨界溶液温度(LCST:Lower Critical Solution Temperature)以下では、アミド基と水との強い相互作用によって膨張するが、温度の上昇によりアミド基と水との水素結合が不安定になるにともない収縮する。
【0035】
N−イソプロピルアクリルアミドの孔径調整材2はその側鎖にアミド基を持ち、図3(a)に示すように、LCSTである約32℃以下において膨張する。しかし、図2および図3(b)に示すように、約25℃を超えると収縮を開始し、40℃付近では収縮もほぼ飽和状態となる。
【0036】
また、N−イソプロピルアクリルアミドの孔径調整材2は、pHが酸性領域になるにともない収縮し、中性あるいはアルカリ性領域になるにしたがい膨張する。したがって、洗浄水のpH調整を行う場合は、洗浄水のpHを酸性領域とすることで、孔径調整材2を収縮させるのがよい。
【0037】
また、このときの膜差圧は通常5〜30kPa程度であるが、(財)水道技術研究センターの「小規模水道における膜ろ過施設導入ガイドライン」によると、「精密ろ過膜の場合は最大150kPa、限外ろ過膜の場合は300kPa以下であること」とされていることから同程度以下であることが望ましい。
【0038】
以上説明したように、従来の膜では、カルボキシル基、アミノ基、水酸基などを有している溶質3が水素結合により膜面に付着するため、単に逆洗するだけでは除去し難い。このため、逆洗時に、洗浄水の温度調整またはpH調整の少なくともいずれか一方を行うことで、固形分3と膜表面との結合力を弱めて剥離しやすくすることができる。
【0039】
本実施形態の膜10Aによれば、外表面1aに付加した孔径調整材2により、膜基体1にある孔によるふるい作用に加え、膜基体1の外表面1aで付着物を捕捉するとともに、膜基体1の膜孔内への原水中の溶質3の侵入を防ぐことができ、温水洗浄の効果を向上することができる。
【0040】
なお、孔径調整材2の高分子材料としては、(1)N−イソプロピルアクリルアミドに、アクリル酸、2-カルボキシイソプロピルアクリルアミド、3-カルボキシ-n-プロピルアクリルアミドを共重合した高分子、(2)N−ビニルイソ酪酸アミド系重合体、(3)ポリ−N−アルキルアクリルアミド誘導体、(4)ポリイソプロピルアクリルアミドに代表されるポリアクリルアミド誘導体とポリビニル誘導体との共重合体、(5)N−ビニルイソ酪酸アミドなどのN−ビニルC3−9アシルアミドと、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルC1−3アシルアミドとの共重合体、(6)ポリアクリルアミド誘導体およびポリ−N−ビニルアシルアミド、(7)N−イソプロピルアクリルアミドで構成された単量体の重合体、およびN−ビニルイソ酪酸アミドで構成された単量体の重合体、などが考えられる。なお、孔径調整材2としては、これらの高分子に限定されるものではなく、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料であればよい。
【0041】
<膜の第2実施形態>
図4は本発明に係る膜の第2実施形態を示している。
【0042】
図4に示すように、この実施形態に係る膜10Bは、図1に示した膜10Aに対し、孔径調整材2が膜基体1の膜孔内面1bにも付加された構成である。
【0043】
本実施形態においても、物理的または化学的な環境変化に応答したN−イソプロピルアクリルアミドの高分子鎖の膨張/収縮の変化を利用して、ろ過および逆洗を行う。すなわち、膜10Bを用いて、固形分などの溶質3を含む原水を膜の外表面1a側から通水して、膜基体1にある孔によるふるい作用により原水から溶質3を分離する。特に、図4(a)に示すように、膜基体1の膜孔内面1bの孔径調整材2によって、孔内部に侵入した固形分などの溶質3を捕捉する。
【0044】
逆洗時においては、図4(b)に示すように、膜面下方から上方に逆洗する際に、膜面上方に滞留している原水、あるいは膜面下方から供給される洗浄水の温度調整またはpH調整の少なくともいずれか一方を行うことにより高分子材料を膨張/収縮させる。
【0045】
本実施形態の膜10Bによれば、外表面1aおよび膜孔内面1bに付加した孔径調整材2により、膜基体1にある孔によるふるい作用に加え、膜基体1の外表面1aで付着物を捕捉するとともに、膜基体1の膜孔内で侵入を捕捉することができ、温水洗浄の効果を向上することができる。さらに、膜孔内が孔径調整材2によって親水化し、通水時の透水能を向上することができる。
【0046】
<膜の第3実施形態>
図5は本発明に係る膜の第3実施形態を示している。
【0047】
図5に示すように、この実施形態に係る膜10Cは、図4に示した膜10Bに対し、孔径調整材2が膜基体1の内表面1c側にも付加された構成である。
【0048】
本実施形態においても、物理的または化学的な環境変化に応答したN−イソプロピルアクリルアミドの高分子鎖の膨張/収縮の変化を利用して、ろ過および逆洗を行う。すなわち、膜10Cを用いて、固形分などの溶質3を含む原水を膜の外表面1a側から通水して、膜基体1にある孔によるふるい作用により原水から溶質3を分離する。特に、図5(a)に示すように、内表面1c側の孔径調整材2によって、内表面1c側に侵入した固形分などの溶質3を捕捉する。
【0049】
逆洗時においては、図5(b)に示すように、膜面下方から上方に逆洗する際に、膜面上方に滞留している原水、あるいは膜面下方から供給される洗浄水の温度調整またはpH調整の少なくともいずれか一方を行うことにより高分子材料を膨張/収縮させる。
【0050】
本実施形態の膜10Cによれば、外表面1a、膜孔内面1b、および内表面1cに付加した孔径調整材2により、膜基体1の内表面1c側へ侵入した原水中の溶質3を捕捉することができ、温水洗浄の効果を向上することができる。さらに、内表面1c側が孔径調整材2によって親水化し、通水時の透水能を向上することができる。
【0051】
<膜モジュールの実施形態>
次に、本発明に係る膜モジュールの実施形態を説明する。
【0052】
膜の形状とモジュール形状を系統化すると図6に示すように分類できる。なお、この分類は、(財)水道技術研究センター、「水道用膜ろ過技術の新しい展開」より引用したものである。
【0053】
図6に示すように、膜モジュールの形状は、ケーシング収納型と槽浸漬型に大別される。さらに、各膜モジュールに装填されるモジュール形状は円筒状膜と平膜とに分けられる。ケーシング収納型の円筒状膜は中空糸型、管状型、モノリス型に分けられ、平膜はスパイラル型、プレードアンドフレーム型、振動式円盤型、プリーツ型に分けられる。槽浸漬型の円筒状膜は、中空糸型、管状型に分かられ、平膜はプレートアンドフレーム型、回転式円盤型に分けられる。
【0054】
<膜モジュールの第1実施形態>
図7は、本発明に係る膜モジュールの第1実施形態を示している。
【0055】
図7に示すように、円筒状のケーシング内には、円筒軸方向に多数の膜が装填されている。本実施形態の膜モジュールに装填される膜としては、図1、図4、図5に示した膜10A,10B,10Cのうちの少なくともいずれか1つが用いられる。原水がこの膜を通過する間にろ過され、膜ろ過水(処理水)と濃縮水(排水)とに分離される。
【0056】
この場合、固形分などの溶質3(図1参照)を含む原水(河川水・地下水・湖沼水などの淡水、雨水貯水・産業廃水・下水などの汚水、バラスト水などの海水、など)は、100μm以下の細孔を有する膜のふるい作用により細孔よりも大きな物質は膜面および孔径調整材2に捕捉される。容器に一体化した場合は、原水を膜面に沿って流し、処理水が原水とは直角方向に流れ、原水の一部が循環するクロスフローろ過方式か、原水を循環させることなく全量ろ過する全量ろ過方式によってろ過を行うことが可能となる。
【0057】
<膜モジュールの第2実施形態>
図8は、本発明に係る膜モジュールの第2実施形態を示している。
【0058】
図8に示すように、この膜モジュールは、平面状に形成された膜モジュールを複数積層して構成したものであり、図8(a)に示すように、原水が平板面からモジュール内に流入すると、図8(b)に示すように、膜内を通過して膜ろ過水(処理水)となる。本実施形態の膜モジュールに装填される膜としては、図1、図4、図5に示した膜10A,10B,10Cのうちの少なくともいずれか1つが用いられる。この膜モジュールは、原水が流入している槽(開放型または密閉型)に浸漬させた状態で使用することができる。
【0059】
このように、膜モジュールの第1、第2実施形態によれば、膜を円筒状または平面状に成形し、容器と充填一体化することによって、膜ろ過面積を増大させることができる。また、円筒状または平面状に成形し、膜を原水が流入している槽(開放型または密閉型)に浸漬させることによって、システムが簡素で膜の交換が容易となり、膜供給水の濁度が高くても安定して運転することができる。
【0060】
なお、本発明では、膜を平面状または円筒状に成形し、容器に充填一体化するようにしたが、これに限定されるものではない。一体化した形状の例としては、中空糸型、管状型、モノリス型、スパイラル型、プレートアンドフレーム型、振動円盤型、プリーツ型等、種々のものがあり、さらにこれらの形状に限定されるものでもない。
【0061】
また、本発明では、膜が平面状または円筒状に成形され、原水が流入している槽(開放型または密閉型)に浸漬されている。形状の例としては、中空糸型、管状型、プレートアンドフレーム型、回転式円盤型があるがこれらの形状に限定されるものではない。
【0062】
<膜ろ過システムの第1実施形態>
図9は本発明に係る膜ろ過システムの第1実施形態を示す構成図である。
【0063】
図9に示す膜ろ過システム100は、図7に示した構成の膜モジュール13を用いたもので、図示しない導水ポンプによって導かれた原水を一時貯水する原水槽11と、原水槽11内の原水を膜モジュール13に供給する原水ポンプ12と、原水ポンプ12によって導かれた原水を膜ろ過する膜モジュール13と、膜モジュール13で膜ろ過された処理水を貯水する処理水槽14とを備えている。また、原水槽11内に貯水された原水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽15と、この洗浄水槽15内に貯水された原水を所定温度に加熱するヒータ16と、原水槽11および洗浄水槽15にpH調整のための薬品を注入する薬品注入設備17とを備えている。さらに、洗浄時に加圧空気を供給するコンプレッサ18も備えている。なお、図中V1〜V12は各配管に設けられたバルブを示す。
【0064】
図10は本発明に係る膜ろ過システムにおけるろ過処理を説明するための図、図11は本発明に係る膜ろ過システムにおける物理洗浄の一例を説明するための図である。図10および図11では、図9に示す膜ろ過システム100におけるろ過処理および物理洗浄を説明するために必要な部分のみを図示している。
【0065】
図10において、原水は図示しない導水ポンプによって原水槽11へ導かれている。そして、原水ポンプ12の加圧によって膜モジュール13に原水が導入され、膜モジュール13を透過した処理水は処理水槽14に貯留される。
【0066】
通常の洗浄は、図11を用いて説明する以下の手順により実施する。
【0067】
(1)逆圧工程
バルブV9を開け、コンプレッサ18によって膜の処理水側から加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。
【0068】
(2)逆流工程
)膜モジュール13上部のバルブV6を開け、膜モジュール13の上部(2次側)の処理水を原水側に押し出して排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0069】
(3)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0070】
(4)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0071】
(5)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部のバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0072】
(6)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0073】
図9に示す膜ろ過システム100では、通常の洗浄は上記手順により行い、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0074】
(1)ドレン工程
バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0075】
(2)温水工程
薬品注入設備17により、原水槽11、あるいは洗浄水槽15に導入した原水に薬品を添加し、ヒータ16により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽15内の原水の一部を、原水ポンプ12で膜モジュール13内の原水側を介して循環させる。このようにして、膜モジュール13内の原水の温度調整または原水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。
【0076】
(3)逆圧・逆流工程
バルブV9を開け、膜モジュール13の処理水側からコンプレッサ18からの加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。さらに膜モジュール13上部のバルブV6を開け、膜モジュール13の上部(2次側)の処理水を原水の循環ラインへ押し出す。
【0077】
(4)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0078】
(5)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0079】
(6)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部の循環ラインのバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。すすいだ水は、上記の図11を用いて説明した手順における原水すすぎ工程と同様に、系外に排出しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0080】
(7)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0081】
本実施形態によれば、膜モジュール13へ流入する原水の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0082】
<膜ろ過システムの第1実施形態の変形例>
図12は本発明に係る膜ろ過システムの第1実施形態の変形例を示す構成図である。
【0083】
図12に示す膜ろ過システム110は、図9に示した膜ろ過システム100に対し、洗浄水槽15内の原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ19と、膜モジュール13の内部の温度、pH値等を検知するためのセンサ20と、センサ19,20で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0084】
膜ろ過システム110における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム100と同様であるが、監視制御装置21は、上記温水工程において、センサ19,20の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ16および薬品注入設備17を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0085】
本変形例によれば、膜モジュール13へ流入する原水の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0086】
<膜ろ過システムの第2実施形態>
図13は本発明に係る膜ろ過システムの第2実施形態を示す構成図である。
【0087】
図13に示す膜ろ過システム120は、図9に示した膜ろ過システム100に対し、膜モジュール13の周囲を所定の空間を介して覆うように設けられた外筒13aと、洗浄水槽15に貯水された原水を外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる原水ポンプ22とを追加した構成である。また、薬品注入設備17は原水槽11に薬品を注入するが、洗浄水槽15には注入しないようになっている。
【0088】
膜ろ過システム120におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム100と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0089】
(1)ドレン工程
バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0090】
(2)温水工程
原水槽11に薬品を添加した原水を膜モジュール13内に供給する。また、ヒータ16により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽15内の原水の一部を、原水ポンプ22で外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる。このようにして、膜モジュール13内の原水の温度調整または原水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。なお、膜モジュール13内の温度が以下の工程中でLCST以上を確保できる時点で、循環は停止して構わない。
【0091】
(3)逆圧・逆流工程
バルブV9を開け、膜モジュール13の処理水側からコンプレッサ18からの加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。さらに膜モジュール13上部のバルブV6を開け、膜モジュール13の上部(2次側)の処理水を原水の循環ラインへ押し出す。
【0092】
(4)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0093】
(5)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0094】
(6)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部の循環ラインのバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。すすいだ水は回収率を向上させるため、洗浄水槽15に戻しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0095】
(7)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0096】
本実施形態によれば、膜モジュール13内の原水の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0097】
また、ヒータ16により温めた原水を膜モジュール13の外側を介して循環させることで膜モジュール13内の温度調整を行うので、温めた原水を有効に利用することができ、温める原水の量を節約することができる。
【0098】
なお、上記説明では、温度調整した原水を膜モジュール13の外側を介して循環することで膜モジュール13内の温度調整を行っているが、膜モジュール13自体を外部から温度調整する方法であれば、上記説明の温度調整方法に限定するものではない。
【0099】
<膜ろ過システムの第2実施形態の変形例>
図14は本発明に係る膜ろ過システムの第2実施形態の変形例を示す構成図である。
【0100】
図14に示す膜ろ過システム130は、図13に示した膜ろ過システム120に対し、洗浄水槽15内の原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ19と、膜モジュール13の外側を循環する原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ23と、センサ19,23で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0101】
膜ろ過システム130における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム120と同様であるが、監視制御装置21は、上記温水工程において、センサ19,23の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ16および薬品注入設備17を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0102】
本変形例によれば、膜モジュール13内の原水の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0103】
<膜ろ過システムの第3実施形態>
図15は本発明に係る膜ろ過システムの第3実施形態を示す構成図である。
【0104】
図15に示す膜ろ過システム140は、図13に示した膜ろ過システム120に対し、処理水槽14内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽25と、この洗浄水槽25内の洗浄水を膜モジュール13に処理水側から供給する逆洗水ポンプ26とを追加した構成である。また、原水槽11に薬品を注入する薬品注入設備17が、洗浄水槽25に薬品を注入する薬品注入設備27に置き換えられている。
【0105】
図16は本発明に係る膜ろ過システムにおける物理洗浄の他の一例を説明するための図である。図16では、図15に示す膜ろ過システム140における物理洗浄を説明するために必要な部分のみを図示している。
【0106】
膜ろ過システム140におけるろ過処理は、上述した膜ろ過システム100と同様の手順で行われるが、通常の洗浄は、図16を用いて説明する以下の手順により実施する。
【0107】
(1)逆圧水工程
処理水槽14内の処理水を逆洗水ポンプ26により膜モジュール13の処理水側から逆流させ、膜モジュール13下部の原水側か、あるいは膜モジュール13上部の原水側から排出する。このとき、コンプレッサ18によって膜モジュール13下部の原水側から加圧空気を供給して膜モジュール13を揺動させる。
【0108】
(2)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部のバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0109】
(3)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。このときコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0110】
図15に示す膜ろ過システム140では、通常の洗浄は、図16を用いて説明した手順、または前述の図11を用いて説明した手順の少なくともいずれか一方により行い、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0111】
(1)逆圧水工程
洗浄水槽25に導入された処理水に薬品注入設備27により薬品を添加し、逆洗水ポンプ26により膜の処理水側から逆流させ、膜モジュール13下部の原水側か、あるいは膜モジュール13上部の原水側から排出する。このとき、コンプレッサ18によって膜モジュール13下部の原水側から加圧空気を供給して膜モジュール13を揺動させる。
【0112】
同時に、ヒータ16により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽15内の原水を、原水ポンプ22で外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる。このようにして、膜モジュール13内の原水の温度調整または処理水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。なお、膜モジュール13内の温度が以下の工程中でLCST以上を確保できる時点で、循環は停止して構わない。
【0113】
(2)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部のバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。このとき、すすぎ水は原水側の洗浄水槽15へ循環しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0114】
(3)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0115】
本実施形態によれば、膜モジュール13内の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0116】
また、ヒータ16により温めた原水を膜モジュール13の外側を介して循環させることで膜モジュール13内の温度調整を行うので、温めた原水を有効に利用することができ、温める原水の量を節約することができる。
【0117】
なお、上記説明では、温度調整した原水を膜モジュール13の外側を介して循環することで膜モジュール13内の温度調整を行っているが、膜モジュール13自体を外部から温度調整する方法であれば、上記説明の温度調整方法に限定するものではない。
【0118】
<膜ろ過システムの第3実施形態の変形例>
図17は本発明に係る膜ろ過システムの第3実施形態の変形例を示す構成図である。
【0119】
図17に示す膜ろ過システム150は、図15に示した膜ろ過システム140に対し、洗浄水槽15内の原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ19と、膜モジュール13の外側を循環する原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ23と、センサ19,23で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0120】
膜ろ過システム150における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム140と同様であるが、監視制御装置21は、上記逆圧水工程において、センサ19,23の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ16および薬品注入設備27を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0121】
本変形例によれば、膜モジュール13内の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0122】
<膜ろ過システムの第4実施形態>
図18は本発明に係る膜ろ過システムの第4実施形態を示す構成図である。
【0123】
図18に示す膜ろ過システム160は、図15に示した膜ろ過システム140に対し、外筒13aと、洗浄水槽15と、ヒータ16と、原水ポンプ22とを省略し、洗浄水槽25にヒータ29を追加した構成である。
【0124】
膜ろ過システム160におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム140と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0125】
(1)逆圧水工程
洗浄水槽25に導入された処理水に薬品注入設備27により薬品を添加し、逆洗水ポンプ26により膜の処理水側から逆流させ、膜モジュール13下部の原水側か、あるいは膜モジュール13上部の原水側から排出する。このとき、コンプレッサ18によって膜モジュール13下部の原水側から加圧空気を供給して膜モジュール13を揺動させる。
【0126】
同時に、ヒータ29により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽25内の処理水を、逆洗水ポンプ26で膜モジュール13の処理水側から供給する。このようにして、膜モジュール13内の温度調整あるいは処理水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。
【0127】
(2)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部のバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。このとき、すすぎ水は原水槽11へ循環しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0128】
(3)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。このときコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0129】
本実施形態によれば、膜モジュール13内の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0130】
<膜ろ過システムの第4実施形態の変形例>
図19は本発明に係る膜ろ過システムの第4実施形態の変形例を示す構成図である。
【0131】
図19に示す膜ろ過システム170は、図18に示した膜ろ過システム160に対し、膜モジュール13内部の温度、pH値等を検知するためのセンサ20と、洗浄水槽25内の処理水の温度、pH値等を検知するためのセンサ30と、センサ20,30で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0132】
膜ろ過システム170における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム160と同様であるが、監視制御装置21は、上記逆圧水工程において、センサ20,30の検出結果により、膜モジュール13内の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ29および薬品注入設備27を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0133】
本変形例によれば、膜モジュール13へ流入する処理水の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0134】
<膜ろ過システムの第5実施形態>
図20は本発明に係る膜ろ過システムの第5実施形態を示す構成図である。
【0135】
図20に示す膜ろ過システム180は、図18に示した膜ろ過システム160と同様の構成である。
【0136】
膜ろ過システム180におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム160と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0137】
(1)ドレン工程
バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0138】
(2)温水工程
洗浄水槽25に導入された処理水に薬品注入設備27により薬品を添加し、ヒータ29により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽25内の処理水を逆洗水ポンプ26で膜モジュール13の処理水側から供給し、膜モジュール13内を薬品を添加した温水で満たす。回収率を向上させるため、膜モジュール13から排出される薬品を添加した温水は原水槽11に戻しても構わない。このようにして、膜モジュール13内の温度調整あるいは処理水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。
【0139】
(3)逆圧・逆流工程
バルブV9を開け、膜モジュール13の処理水側からコンプレッサ18からの加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。さらに膜モジュール13上部のバルブV6を開け、膜モジュール13の上部(2次側)の処理水を押し出す。このとき、回収率を向上させるため、排出水を原水槽11に戻しても構わない。
【0140】
(4)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0141】
(5)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0142】
(6)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部の循環ラインのバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。すすいだ水は、原水槽11に戻しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0143】
(7)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0144】
本実施形態によれば、膜モジュール13へ供給する処理水の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0145】
<膜ろ過システムの第5実施形態の変形例>
図21は本発明に係る膜ろ過システムの第5実施形態の変形例を示す構成図である。
【0146】
図21に示す膜ろ過システム190は、図20に示した膜ろ過システム180に対し、膜モジュール13の内部の温度、pH値等を検知するためのセンサ20と、洗浄水槽25内の処理水の温度、pH値等を検知するためのセンサ30と、センサ20,30で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0147】
膜ろ過システム190における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム180と同様であるが、監視制御装置21は、上記温水工程において、センサ20,30の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ29および薬品注入設備27を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0148】
本変形例によれば、膜モジュール13へ流入する処理水の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0149】
<膜ろ過システムの第6実施形態>
図22は本発明に係る膜ろ過システムの第6実施形態を示す構成図である。
【0150】
図22に示す膜ろ過システム200において、図20に示した膜ろ過システム180と異なる点は、逆洗水ポンプ26が、洗浄水槽25内の洗浄水を膜モジュール13に原水側から供給するようにした点である。
【0151】
膜ろ過システム200におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム100と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0152】
(1)ドレン工程
バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0153】
(2)温水工程
洗浄水槽25に導入された処理水に薬品注入設備27により薬品を添加し、ヒータ29により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽25内の処理水を逆洗水ポンプ26で膜モジュール13の原水側から供給し、膜モジュール13内を薬品を添加した温水で満たす。回収率を向上させるため、膜モジュール13から排出される薬品を添加した温水は原水槽11に戻しても構わない。このようにして、膜モジュール13内の温度調整あるいは処理水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。
【0154】
(3)逆圧・逆流工程
バルブV9を開け、膜モジュール13の処理水側からコンプレッサ18からの加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。さらに膜モジュール13上部のバルブV6を開け、膜モジュール13の上部(2次側)の処理水を押し出す。このとき、回収率を向上させるため、排出水を原水槽11に戻しても構わない。
【0155】
(4)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0156】
(5)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0157】
(6)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部の循環ラインのバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。すすいだ水は、原水槽11に戻しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0158】
(7)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0159】
本実施形態によれば、膜モジュール13へ流入する処理水の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0160】
<膜ろ過システムの第6実施形態の変形例>
図23は本発明に係る膜ろ過システムの第6実施形態の変形例を示す構成図である。
【0161】
図23に示す膜ろ過システム210は、図22に示した膜ろ過システム200に対し、洗浄水槽25内の処理水の温度、pH値等を検知するためのセンサ30と、膜モジュール13の内部の温度、pH値等を検知するためのセンサ20と、センサ30,20で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0162】
膜ろ過システム210における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム200と同様であるが、監視制御装置21は、上記温水工程において、センサ20,30の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ29および薬品注入設備27を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0163】
本変形例によれば、膜モジュール13へ流入する処理水の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0164】
<膜ろ過システムの第7実施形態>
図24は本発明に係る膜ろ過システムの第7実施形態を示す構成図である。
【0165】
図24に示す膜ろ過システム220は、図13に示した膜ろ過システム120に対し、処理水槽14内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽25と、この洗浄水槽25内に貯水された処理水を所定温度に加熱するヒータ29と、洗浄水槽25内の洗浄水を外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる逆洗水ポンプ26とを追加し、洗浄水槽15と、ヒータ16と、原水ポンプ22とを省略した構成である。また、薬品注入設備17は原水槽11および洗浄水槽15に薬品を注入するようになっている。
【0166】
膜ろ過システム220におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム100と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0167】
(1)ドレン工程
バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0168】
(2)温水工程
ヒータ29により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽25内の処理水を逆洗水ポンプ26で外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる。同時に、原水槽11および洗浄水槽15において薬品を添加した原水を原水ポンプ11で膜モジュール13に供給する。このようにして、膜モジュール13内の温度調整あるいは原水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。
【0169】
(3)逆圧・逆流工程
バルブV9を開け、膜モジュール13の処理水側からコンプレッサ18からの加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。さらに膜モジュール13上部のバルブV6を開け、膜モジュール13の上部(2次側)の処理水を原水の循環ラインへ押し出す。
【0170】
(4)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0171】
(5)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0172】
(6)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール上部の循環ラインのバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。すすいだ水は系外に排出しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0173】
(7)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0174】
本実施形態によれば、膜モジュール13内の原水の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0175】
また、ヒータ29により温めた処理水を膜モジュール13の外側を介して循環させることで膜モジュール13内の温度調整を行うので、温めた原水を有効に利用することができ、温める原水の量を節約することができる。
【0176】
なお、上記説明では、温度調整した処理水を膜モジュール13の外側を介して循環することで膜モジュール13内の温度調整を行っているが、膜モジュール13自体を外部から温度調整する方法であれば、上記説明の温度調整方法に限定するものではない。
【0177】
<膜ろ過システムの第7実施形態の変形例>
図25は本発明に係る膜ろ過システムの第7実施形態の変形例を示す構成図である。
【0178】
図25に示す膜ろ過システム230は、図24に示した膜ろ過システム220に対し、洗浄水槽15内の原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ19と、膜モジュール13の外側を循環する原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ23と、センサ19,23で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0179】
膜ろ過システム230における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム220と同様であるが、監視制御装置21は、上記温水工程において、センサ19,23の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ29および薬品注入設備17を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0180】
本変形例によれば、膜モジュール13内の原水の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0181】
<膜ろ過システムの第8実施形態>
図26は本発明に係る膜ろ過システムの第8実施形態を示す構成図である。
【0182】
図26に示す膜ろ過システム240は、図15に示した膜ろ過システム140に対し、洗浄水槽25内に貯水された処理水を所定温度に加熱するヒータ29と、洗浄水槽25内の洗浄水を外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる逆洗水ポンプ31とを追加し、洗浄水槽15と、ヒータ16と、原水ポンプ22とを省略した構成である。
【0183】
膜ろ過システム240におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム140と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0184】
(1)逆圧水工程
洗浄水槽25に導入された処理水に薬品注入設備27により薬品を添加し、逆洗水ポンプ26により膜の処理水側から逆流させ、膜モジュール13下部の原水側か、あるいは膜モジュール13上部の原水側から排出する。このとき、コンプレッサ18によって膜モジュール13下部の原水側から加圧空気を供給して膜モジュール13を揺動させる。
【0185】
同時に、ヒータ29により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽25内の処理水を、逆洗水ポンプ31で外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる。このようにして、膜モジュール13内の処理水の温度調整または処理水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面、膜孔内面、内表面に付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。なお、膜モジュール13内の温度が以下の工程中でLCST以上を確保できる時点で、循環は停止して構わない。
【0186】
(2)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール13上部のバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。このとき、すすぎ水は原水槽11へ循環しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0187】
(3)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。このときコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0188】
本実施形態によれば、膜モジュール13内の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cの孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0189】
また、ヒータ29により温めた処理水を膜モジュール13の外側を介して循環させることで膜モジュール13内の温度調整を行うので、温めた原水を有効に利用することができ、温める原水の量を節約することができる。
【0190】
なお、上記説明では、温度調整した処理水を膜モジュール13の外側を介して循環することで膜モジュール13内の温度調整を行っているが、膜モジュール13自体を外部から温度調整する方法であれば、上記説明の温度調整方法に限定するものではない。
【0191】
<膜ろ過システムの第8実施形態の変形例>
図27は本発明に係る膜ろ過システムの第8実施形態の変形例を示す構成図である。
【0192】
図27に示す膜ろ過システム250は、図26に示した膜ろ過システム240に対し、膜モジュール13の外側を循環する原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ23と、処理水槽25内の処理水の温度、pH値等を検知するためのセンサ30と、センサ23,30で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0193】
膜ろ過システム250における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム240と同様であるが、監視制御装置21は、上記逆圧水工程において、センサ23,30の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ29および薬品注入設備27を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0194】
本変形例によれば、膜モジュール13内の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0195】
<膜ろ過システムの第9実施形態>
図28は本発明に係る膜ろ過システムの第9実施形態を示す構成図である。
【0196】
図28に示す膜ろ過システム260は、図26に示した膜ろ過システム240と同様の構成である。
【0197】
膜ろ過システム260におけるろ過処理および通常の洗浄は、上述した膜ろ過システム140と同様の手順で行われる。そして、ある所定の頻度で、以下の手順により、温度調整または薬品添加によるpH調整の少なくともいずれか一方を用いて洗浄を行う。
【0198】
(1)ドレン工程
バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。排出した水は回収率を向上させるため、原水槽11へ戻してもよい。
【0199】
(2)温水工程
ヒータ29により孔径調整材2の高分子材料のLCSTまで温度調整した洗浄水槽25内の処理水を逆洗水ポンプ31で外筒13aに供給し、膜モジュール13の外側を介して循環させる。同時に、洗浄水槽25において薬品を添加した処理水を、逆洗水ポンプ26で膜モジュール13の処理水側から供給し、膜モジュール13内を薬品を添加した処理水で満たす。薬品を添加した処理水は、回収率を向上させるため原水槽11に戻しても構わない。このようにして、膜モジュール13内の温度調整あるいは処理水への薬品添加の少なくともいずれか一方の手段により、膜の外表面1a、膜孔内面1b、内表面1cに付加した孔径調整材2を可逆的に収縮させる。
【0200】
(3)逆圧・逆流工程
バルブV9を開け、膜モジュール13の処理水側からコンプレッサ18からの加圧空気を供給して膜の内表面側に圧力をかける。さらに、膜モジュール13の上部(2次側)のV6を開け、処理水を原水の循環ラインへ押し出す。このとき、押し出した水を原水槽11へ戻してもよい。
【0201】
(4)エアスクラビング工程
圧力を保持したまま、バルブV8を開けて一定時間だけ膜モジュール13の原水側下部からコンプレッサ18により加圧空気を供給し、膜モジュール13を空気によって揺動させる。
【0202】
(5)ドレン工程
一定時間エアスクラビングを行った後、バルブV12および膜モジュール13下部のバルブV5を開けて膜モジュール13内の水を排出する。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的に付着物を排出することができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0203】
(6)原水すすぎ
バルブV1,V4、および膜モジュール上部の循環ラインのバルブV6を開け、原水ポンプ12を起動し、膜モジュール13のすすぎを行う。すすいだ水は系外に排出しても構わない。このときコンプレッサ18から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0204】
(7)ろ過
膜モジュール13上部のバルブV6を閉め、ろ過側のバルブV7を開けてろ過を再開する。前工程でコンプレッサ18が動いている場合には停止する。
【0205】
本実施形態によれば、膜モジュール13内の温度またはpHの少なくともいずれか一方の条件を変化させることにより、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性によって、膜モジュール13における膜の外表面、膜孔内面、内表面の孔径調整材2で捕捉した溶質3を系外へ、効果的に排出することができる。
【0206】
また、ヒータ29により温めた処理水を膜モジュール13の外側を介して循環させることで膜モジュール13内の温度調整を行うので、温めた原水を有効に利用することができ、温める原水の量を節約することができる。
【0207】
なお、上記説明では、温度調整した処理水を膜モジュール13の外側を介して循環することで膜モジュール13内の温度調整を行っているが、膜モジュール13自体を外部から温度調整する方法であれば、上記説明の温度調整方法に限定するものではない。
【0208】
<膜ろ過システムの第9実施形態の変形例>
図29は本発明に係る膜ろ過システムの第9実施形態の変形例を示す構成図である。
【0209】
図29に示す膜ろ過システム270は、図28に示した膜ろ過システム260に対し、膜モジュール13の外側を循環する原水の温度、pH値等を検知するためのセンサ23と、処理水槽25内の処理水の温度、pH値等を検知するためのセンサ30と、センサ23,30で検知した値に応じて温度、pH値等を制御するための監視制御装置21とを追加した構成である。
【0210】
膜ろ過システム270における洗浄の手順は、上記膜ろ過システム260と同様であるが、監視制御装置21は、上記温水工程において、センサ23,30の検出結果により、膜モジュール13内(孔径調整材の周囲)の温度またはpHの少なくともいずれか一つが所定の目標値になるように、ヒータ29および薬品注入設備27を制御する。ここで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用との和が最小となるように温度または薬品添加量の少なくともいずれか一つを制御することが好ましい。
【0211】
本変形例によれば、膜モジュール13内の温度およびpHに応じて、温度または薬品添加量の少なくともいずれか一方を制御することで、温度を変化させる費用と薬品添加に要する費用を抑制しながら、物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料の特性を生かした効果的なろ過と洗浄を行うことができる。
【0212】
<膜ろ過システムの第10実施形態>
図30は本発明に係る膜ろ過システムの第10実施形態を示す構成図である。
【0213】
図30に示す膜ろ過システム280は、図8に示した構成の膜モジュール55を、原水が流入している槽(開放型または密閉型)に浸漬させた構成を示しており、原水を導く導水ポンプ51と、導水ポンプ51によって導かれた原水を一時貯水する原水槽52と、原水槽52内の原水を膜浸漬槽54に供給する原水ポンプ53と、原水ポンプ53によって導水された原水をろ過する膜浸漬槽54と、この膜浸漬槽54内に浸漬された膜モジュール55と、膜ろ過後の処理水を吸引する吸引ポンプ56と、吸引ポンプ56で吸引された処理水を貯水する処理水槽57と、処理水槽57内の原水を所定温度に加熱するためのヒータ58とを備えている。また、原水槽52の原水温度を測定する温度計59と、原水槽52内の原水を所定温度に加熱するためのヒータ60とを備えている。さらに、処理水槽57内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽61と、この洗浄水槽61内の洗浄水の温度を測定する温度計62と、洗浄水槽61内に貯水された洗浄水を所定温度に加熱するヒータ63と、洗浄水槽61内の洗浄水を膜モジュール55に供給する逆洗水ポンプ64とを備えている。さらに、膜浸漬槽54内の原水を加熱するヒータ65と、膜浸漬槽54に導入される原水自体を加熱するヒータ66と、逆洗時に洗浄水を加熱するヒータ67とを備えている。加えて、原水槽52にpH調整のための薬品を注入する薬品注入設備68も備えている。なお、図中V31〜V41は各配管に設けられたバルブを示す。
【0214】
図30に示す膜ろ過システム280において、原水は導水ポンプ51によって原水槽52へ導かれている。原水ポンプ53によって膜浸漬槽54へ原水が導入され、膜モジュール55を透過した処理水は、槽外に配置された吸引ポンプ56によって処理水槽57内に吸引される。この場合、原水は、水位差方式または吸引方式、およびこれらの併用により生じる膜差圧により、膜を透過する。
【0215】
そして、洗浄時には、原水槽52に薬品を添加し、ヒータ60,65,66のいずれか、またはそれらの組み合わせによって膜浸漬槽54内の原水温度を加温した後、逆洗水ポンプ64から供給される洗浄水をヒータ58,63,67のいずれかまたはそれらの組み合わせで25〜60℃に加温して膜モジュール55に供給して洗浄処理を実行する。すなわち、原水側での加熱は、ヒータ60,65,66のいずれかあるいはそれらの組み合わせで行い、処理水側での加熱はヒータ58,63,67のいずれかあるいはそれらの組み合わせで行う。
【0216】
このように、物理的または化学的な環境変化に応答性を有する膜から構成された膜モジュール55を原水が流入している膜浸漬槽54に浸漬させることによって、簡素なシステムを構成でき、また膜の交換が容易となり、膜供給水の濁度が高い場合にあっても安定した運転を実行することができる。
【0217】
なお、図30においては、原水側での加熱は、ヒータ60,65,66で構成し、処理水側での加熱はヒータ58,63,67で構成するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、原水側では原水槽52内の原水を加熱するヒータ60、原水槽52から膜浸漬槽54に供給される原水を加熱するヒータ66、または膜浸漬槽54内の原水を加熱するヒータ65の少なくともいずれかを備える構成であればよい。また、処理水側では、洗浄水槽61内の処理水を加熱するヒータ63、処理水槽57内の処理水を加熱するヒータ58、または膜浸漬槽54に供給される処理水を加熱するヒータ67の少なくともいずれかを備える構成であればよい。また、薬品注入設備68が原水槽52の替わりに洗浄水槽61に薬品を注入するように構成してもよい。
【0218】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】本発明に係る膜の第1実施形態を示す断面構成図である。
【図2】本発明に係る膜における伸縮率と液温との関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る膜の表面構成を示す模式図である。
【図4】本発明に係る膜の第2実施形態を示す断面構成図である。
【図5】本発明に係る膜の第3実施形態を示す断面構成図である。
【図6】膜モジュールの種別を示す説明図である。
【図7】本発明に係る膜モジュールの一例であるケーシング収納型・円筒状膜モジュールの概略構成図である。
【図8】本発明に係る膜モジュールの一例である平膜モジュールの概略構成図である。
【図9】本発明に係る膜ろ過システムの第1実施形態を示す構成図である。
【図10】本発明に係る膜ろ過システムにおけるろ過処理を説明するための図である。
【図11】本発明に係る膜ろ過システムにおける物理洗浄の一例を説明するための図である。
【図12】本発明に係る膜ろ過システムの第1実施形態の変形例を示す構成図である。
【図13】本発明に係る膜ろ過システムの第2実施形態を示す構成図である。
【図14】本発明に係る膜ろ過システムの第2実施形態の変形例を示す構成図である。
【図15】本発明に係る膜ろ過システムの第3実施形態を示す構成図である。
【図16】本発明に係る膜ろ過システムにおける物理洗浄の他の一例を説明するための図である。
【図17】本発明に係る膜ろ過システムの第3実施形態の変形例を示す構成図である。
【図18】本発明に係る膜ろ過システムの第4実施形態を示す構成図である。
【図19】本発明に係る膜ろ過システムの第4実施形態の変形例を示す構成図である。
【図20】本発明に係る膜ろ過システムの第5実施形態を示す構成図である。
【図21】本発明に係る膜ろ過システムの第5実施形態の変形例を示す構成図である。
【図22】本発明に係る膜ろ過システムの第6実施形態を示す構成図である。
【図23】本発明に係る膜ろ過システムの第6実施形態の変形例を示す構成図である。
【図24】本発明に係る膜ろ過システムの第7実施形態を示す構成図である。
【図25】本発明に係る膜ろ過システムの第7実施形態の変形例を示す構成図である。
【図26】本発明に係る膜ろ過システムの第8実施形態を示す構成図である。
【図27】本発明に係る膜ろ過システムの第8実施形態の変形例を示す構成図である。
【図28】本発明に係る膜ろ過システムの第9実施形態を示す構成図である。
【図29】本発明に係る膜ろ過システムの第9実施形態の変形例を示す構成図である。
【図30】本発明に係る膜ろ過システムの第10実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0220】
1 膜基体
2 孔径調整材
3 溶質
10A〜10C 膜
11 原水槽
12,22 原水ポンプ
13 膜モジュール
14 処理水槽
15,25 洗浄水槽
16,29 ヒータ
17,27 薬品注入設備
18 コンプレッサ
19,20,23,30 センサ
21 監視制御装置
26,31 逆洗水ポンプ
51 導水ポンプ
52 原水槽
53 原水ポンプ
54 膜浸漬槽
55 膜モジュール
56 吸引ポンプ
57 処理水槽
58,60,63,65〜67 ヒータ
59,62 温度計
61 洗浄水槽
64 逆洗水ポンプ
68 薬品注入設備
100〜280 膜ろ過システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔を有する膜基体と、
前記膜基体の外表面側および前記各貫通孔の内面に物理的または化学的な環境変化に応答して可逆的に膨張/収縮する高分子材料を付加した孔径調整材とを備え、
前記高分子材料は、少なくとも以下の(1)〜(7)の中から選択された一の材料からなることを特徴とする膜。
(1)N−イソプロピルアクリルアミドに、アクリル酸、2-カルボキシイソプロピルアクリルアミド、3-カルボキシ-n-プロピルアクリルアミドを共重合した高分子、
(2)N−ビニルイソ酪酸アミド系重合体、
(3)ポリ−N−アルキルアクリルアミド誘導体、
(4)ポリイソプロピルアクリルアミドに代表されるポリアクリルアミド誘導体とポリビニル誘導体との共重合体、
(5)N−ビニルイソ酪酸アミドなどのN−ビニルC3−9アシルアミドと、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルC1−3アシルアミドとの共重合体、
(6)ポリアクリルアミド誘導体およびポリ−N−ビニルアシルアミド、
(7)N−イソプロピルアクリルアミドで構成された単量体の重合体、およびN−ビニルイソ酪酸アミドで構成された単量体の重合体。
【請求項2】
前記孔径調整材を前記膜基体の内表面側にも備えることを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項3】
請求項1または2に記載の膜を複数、平面状または円筒状に成型し、容器に充填して一体化したことを特徴とする膜モジュール。
【請求項4】
請求項1または2に記載の膜を複数、平面状または円筒状に成型し、容器に充填して一体化してなり、供給された原水を膜ろ過し、処理水として排出する膜モジュールを備えることを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の膜を複数、円筒状に成型し、容器に充填して一体化してなり、供給された原水を膜ろ過し、処理水として排出する膜モジュールを備える膜ろ過システムにおいて、
前記孔径調整材の周囲の流体の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることにより前記孔径調整材を可逆的に膨張/収縮させる条件可変手段を備え、
この条件可変手段により前記孔径調整材を可逆的に収縮させ、前記孔径調整材の周囲の流体とともに前記膜基体および前記孔径調整材への付着物を排出することにより前記膜の洗浄を行うことを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項6】
前記条件可変手段は、前記原水側から供給する流体によって、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることを特徴とする請求項5に記載の膜ろ過システム。
【請求項7】
前記条件可変手段は、前記処理水側から供給する流体によって、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることを特徴とする請求項5に記載の膜ろ過システム。
【請求項8】
前記条件可変手段は、前記膜モジュール外部の温度調整によって前記孔径調整材の周囲の温度を変化させるとともに、前記原水側または前記処理水側の少なくともいずれか一方から供給する流体によって前記孔径調整材の周囲のpHを変化させることを特徴とする請求項5に記載の膜ろ過システム。
【請求項9】
前記条件可変手段は、前記原水側または前記処理水側の少なくともいずれか一方から供給する流体によって前記膜モジュール外部の温度調整を行うことを特徴とする請求項8に記載の膜ろ過システム。
【請求項10】
前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を検知する検知手段と、
この検知手段による検知結果に応じて、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方が所定の目標値になるように前記条件可変手段を制御する制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の膜ろ過システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記孔径調整材の周囲の温度またはpHの少なくともいずれか一方を所定の目標値とするために、温度を変化させるために要する費用とpHを変化させるために要する費用との和が最小となるように前記条件可変手段を制御することを特徴とする請求項10に記載の膜ろ過システム。
【請求項12】
請求項1または2に記載の膜を複数、平面状に成型し、原水が流入している槽に浸漬させてなり、供給された原水を膜ろ過し、処理水として排出する温度応答性膜モジュールを備える膜ろ過システムにおいて、
前記孔径調整材の周囲の流体の温度またはpHの少なくともいずれか一方を変化させることにより前記孔径調整材を可逆的に膨張/収縮させる条件可変手段を備え、
この条件可変手段により前記孔径調整材を可逆的に収縮させ、前記孔径調整材の周囲の流体とともに前記膜基体および前記孔径調整材への付着物を排出することにより前記膜の洗浄を行うことを特徴とする膜ろ過システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−229503(P2008−229503A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73038(P2007−73038)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】