説明

膜ろ過システムとその運転方法

【課題】 運転の効率を高めるとともに効果的に膜を洗浄することの可能な膜ろ過システムを提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、膜ろ過システムは、原水を一時的に貯水する原水槽と、原水をろ過する膜モジュールと、原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプと、膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプとを具備する。そして膜モジュールの洗浄工程において、原水の回収率の設定値に基づいて、膜ろ過運転の差圧上昇率別の、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線を用いて、洗浄工程の差圧上昇率および膜ろ過透過流速を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水処理分野においてイオンや塩類などの溶質を含む海水、汽水、地下水などを膜モジュールによりろ過するシステムと、その運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造水プラントにおいて、イオンや塩類などの溶質を含む海水、汽水、地下水などから生活用水、工業用水、農業用水を得る方法として、逆浸透膜モジュールによるろ過が用いられている。逆浸透(reverse osmosis : RO)膜は、水を透過させイオンや塩類など水以外の不純物は透過させない性質を持つ膜である。逆浸透膜に接する被処理水に、溶質の濃度に応じた浸透圧以上の圧力をかけることで水と溶質とを分離することができる。
【0003】
逆浸透膜モジュールを用いた膜ろ過システムでは、被処理水に含まれる不溶解性成分を除去するために前処理が実施される。例えば海水を精製して真水を造るには、取水した海水中に含まれる濁質、藻類、微生物などを前処理で除去する。前処理により、逆浸透膜への汚濁負荷を低減し、逆浸透膜の薬品洗浄のインターバルを長くし、長期間にわたり安定してシステムを運転することが可能となる。
【0004】
近年、この前処理には、精密ろ過膜(MF膜)及び限外ろ過膜(UF膜)などの膜モジュールが用いられる。しかしながら海水中の濁質、溶存有機物、微生物、微生物が放出する粘性の高い有機物、無機イオンなどが原因となってMF膜またはUF膜自体の膜表面に汚れが蓄積する。このため一定の透過流速(通称Flux、フラックス)を維持するための原水供給ポンプの出力が増大し、膜入口側の圧力が上昇していく。これは膜が目詰まりすることで起こる。一般に目詰まりの程度は、膜ろ過を行っている際の、膜入口の圧力と膜出口の圧力との差で評価する。この圧力差を差圧と称する。
【0005】
膜ろ過においては、30分〜60分程度の膜ろ過を行った後に、洗浄工程として膜の逆側(出口側)から洗浄水を送水して膜面に付着した汚れを除去する。この洗浄を一般に逆洗(逆洗浄)工程と呼ぶ。逆洗では通常、ろ過流量と同程度か、その2〜3倍の流量で通水される。洗浄時間としては数10秒から数分程度が一般的である。逆洗工程を実施することで膜前後の圧力の差(膜の差圧)が低下する。これを差圧が回復するという。
【0006】
膜ろ過システムの運転にあたっては、使用する膜モジュールに応じて上限となる差圧の値が設けられている。その差圧に達すれば、差圧を回復させるために薬品洗浄を実施することとなる。薬品洗浄の洗浄効果は高いが、薬品に関するコストも高く、膜モジュールが薬品に暴露されるので膜が劣化したりもする。よって膜ろ過システムの運転では、薬品洗浄の間隔を長くとれるように、できる限り差圧を上昇させない工夫が重要である。
【0007】
逆洗工程で使用する洗浄水には、同膜ろ過においてろ過されたろ過水か、ろ過水を逆浸透膜を透過させた脱塩水が用いられる。多量の水を用いて洗浄すると逆洗浄効果が高まり、膜の差圧を回復させる観点からみると効果的ではある。しかしながら使用する洗浄水が多くなるので、単位時間当たりの造水プラントの生産水量が低下することにつながる。
【0008】
造水プラントにおいて、使用する原水に対して生産される生産水の割合を回収率と呼ぶ。回収率が高いほうが効率の良いプラントとなる。プラントにおける個々のプロセス、例えば前処理の膜ろ過において、使用する原水に対して生産される膜ろ過水の割合を、その膜ろ過工程における回収率とよぶ。
【0009】
回収率が低くなると、目的とする生産水量に対して設備規模が大きくなり、イニシャル費用の増加と、動力費や薬品費などのランニング費用の増加につながる。逆洗工程において使用する水量が増加するということは回収率が低下することにつながるので、逆洗における差圧の回復率と膜ろ過工程の回収率はトレードオフの関係にある。
【0010】
逆洗工程における差圧の回復率は、原水中に存在する濁質や有機物質の量や、膜表面と濁質等との付着状態、および使用する膜の素材により様々である。これは、原水中の濁質などの性質上、可逆的な汚れと、不可逆的な汚れを持つ物質が存在し、その割合が地域的、季節的に様々であるからである。このため同じ洗浄流量と洗浄時間で逆洗工程を実施しても、差圧の回復率が異なることは良く見られる。しかしながら既存の技術において、逆洗工程における洗浄流量と洗浄時間に関しては、おおよそ推奨される固定の洗浄条件で逆洗を行っている場合が多く、回収率や膜透過流速をも考慮した効率的な逆洗方法は用いられていない。
【0011】
洗浄効果を高めて差圧を回復させる方法として、逆洗工程に付加する形で、様々な方法が考案されている。例えば、逆洗浄と空気による洗浄を同時に行うことで洗浄効果を高める方法が提案されている。また、洗浄水中に次亜塩素酸ナトリウムといった酸化剤などの薬品を添加し、洗浄効果を高める方法が提案されている。さらに、洗浄水の温度を上げることによって洗浄効果を高める方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−289940号公報
【特許文献2】特開2009−240903号公報
【特許文献3】特開2007−289899号公報
【特許文献4】特開2008−289959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
種々の洗浄方法が提案されており、それぞれの洗浄を採用することで、差圧を回復させ差圧上昇率を低くしたり、透過流速を増加させたりすることが可能ではある。しかしながら長期的な膜ろ過システムの運転において、通常の逆洗と、さらに効果が高められた洗浄方法の効果的な組み合わせに関する選択方法や、膜ろ過工程の回収率と、膜ろ過における差圧上昇率、および膜ろ過における透過流速の相関に関しては十分な検討がなされているとはいえない。
【0014】
本願発明者らの研究により、膜ろ過工程の回収率、膜ろ過における透過流速、および膜ろ過における差圧上昇率の関係は特性曲線で表すことができ、この関係を用いることで、差圧上昇率を増減させるために回収率および透過流速を調整したりする、膜ろ過の運転方法を選択できることが分かってきた。
【0015】
また、逆洗工程における洗浄時間と洗浄流量に関して、差圧を回復させるために最も適切な条件が選択できること、およびその条件は膜ろ過の透過流速や、対象としている原水中の水質に影響を受けることが分かってきた。さらに、逆洗の効果を高めるために考案された付加する形の洗浄に関しても、洗浄の効果を上記特性曲線に設けることで、追加の洗浄効果の効率的な利用を選択できることもわかってきた。
【0016】
目的は、運転の効率を高めるとともに効果的に膜を洗浄することの可能な膜ろ過システムとその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
実施形態によれば、膜ろ過システムは、原水を一時的に貯水する原水槽と、原水をろ過する膜モジュールと、原水槽の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプと、膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、処理水を洗浄水として膜モジュールに供給する逆洗水ポンプとを具備する。そして膜モジュールの洗浄工程において、原水の回収率の設定値に基づいて、膜ろ過運転の差圧上昇率別の、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線を用いて、洗浄工程の差圧上昇率および膜ろ過透過流速を選択する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】膜ろ過における差圧の上昇と逆洗による差圧の回復を示す概念図。
【図2】逆洗における洗浄流量(L/min)と差圧回復率との関係を示す図。
【図3】膜ろ過における差圧の回復率と差圧上昇率を示す概念図。
【図4】膜ろ過における洗浄時間と差圧回復率の関係を示す図。
【図5】或る透過流速(Flux)における差圧上昇率と回収率の関係を示す図。
【図6】膜ろ過における差圧回復率の違いによる差圧上昇率のシフトを表す概念図。
【図7】特性曲線における同じ差圧上昇率を結んだ関係を示す概念図。
【図8】特性曲線における同じ差圧上昇率を結んだ関係を示す概念図。
【図9】特性曲線における限界フラックスラインの傾きを表す概念図。
【図10】実施形態に係わる膜ろ過システムの一例を示す図。
【図11】第1の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図12】第1の実施形態における薬品洗浄の間隔と差圧上昇率の関係を示す図。
【図13】第2の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図14】第2の実施形態の変形例に係わり、最適な洗浄条件がシフトすることを示す概念図。
【図15】第3の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図16】第3の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図17】第3の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図18】第4の実施形態係わる、追加的な洗浄プロセスによる差圧回復の度合いを示す概念図。
【図19】第4の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図20】第4の実施形態に係わる特性曲線を示す図。
【図21】第4の実施形態における透過流速(Flux)と差圧上昇率の関係を表す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施形態につき説明する。先ず基本的な概念について説明する。図1は、膜ろ過における差圧の上昇と逆洗による差圧の回復を示す概念図である。図1においては、膜ろ過における差圧の上昇と、逆洗工程による差圧の回復、および逆洗では回復しない膜の汚れによって徐々に差圧が上昇している差圧上昇率について示される。
【0020】
図1における膜ろ過の膜の透過流速(Flux、フラックス)をF1(m/日)と設定することにする。通常、インターバルの膜ろ過は、数10分から1時間程度の時間で行われる。その次の工程として、膜の逆側から洗浄する逆洗工程が実施される。逆洗浄の効果により差圧が回復するが、逆洗では除去されない汚れが蓄積しているので逆洗による差圧回復率は100%とはならない。よってインターバルの膜ろ過を繰り返すことにより徐々にベースとなる膜の差圧は上昇してゆく。これを差圧上昇率(KPa/日)と表す。
【0021】
図2は、逆洗における洗浄流量(L/min)と差圧回復率との関係を示す図である。図2(a)は膜ろ過における差圧の上昇と逆洗による差圧の回復を示す概念を示し、図2(b)は洗浄流量と差圧回復率との関係を示す。
図2(a)において、インターバルの膜ろ過において差圧がA(KPa)上昇したのち、逆洗工程に入ったとすると、最も差圧の回復した逆洗においてB(KPa)回復したと示す。この時の洗浄流量をQmaxとして図2(b)に示す。ここでは、これ以上洗浄流量を増やしても差圧は回復しない。これは逆洗では除去できない汚れが付着しているからである。図2では差圧回復率90%が差圧回復率の限界である。
【0022】
図2(b)において洗浄流量をQ2、Q1と少なくしていくと差圧の回復率も減少する。図2(b)では洗浄流量Q2のとき差圧回復率75%、洗浄流量Q1のとき差圧回復率50%である。差圧の回復率が小さいということは使用する洗浄水量は少ないことを意味し、膜ろ過工程の回収率は高くなる。その一方で、繰り返しの膜ろ過による差圧上昇率は大きくなる。
【0023】
図3は、膜ろ過における差圧の回復率と差圧上昇率を示す概念図である。図3において透過流速(Flux、フラックス)をF1(m/日)と固定した場合、差圧上昇率δは種々の値をとり得る。図3には次式(1)の状態が示される。
δB<δC<δD ・・・ (1)
差圧上昇率δが大きいほど膜の目詰まりの度合いが大きいことになる。
【0024】
図4は、膜ろ過における洗浄時間と差圧回復率の関係を示す図である。図4は図2を洗浄の条件における洗浄時間で示すものであり、横軸に洗浄時間を取っている。洗浄時間をTmaxとした場合に最も差圧が回復するが、洗浄時間をTmax以上にしても差圧はこれ以上回復しないことが示される。洗浄時間をT2、T1と短くすることで洗浄に使用する洗浄水量は減少するが、差圧の回復率が小さくなるので、図3に示すベースの差圧上昇率δは大きくなる。
【0025】
図5は、或る透過流速(Flux)における差圧上昇率と回収率の関係を示す図である。図5には、図2、図3に示される差圧上昇率、透過流速(Flux)、および回収率の関係が示される。一定の透過流速(F1)においては洗浄水量が多いほうが回収率は低くなり、それに伴って差圧の上昇率は小さくなる。すなわち図5の差圧上昇率には式(1)の関係が示される。
【0026】
図6は、膜ろ過における差圧回復率の違いによる差圧上昇率のシフトを表す概念図である。図6(a)は膜の透過流速(Flux)をF1(m/日)より小さくした場合について示すもので、小さくしたFluxをF2とする。透過流速が小さくなるとインターバルの膜ろ過の差圧上昇が小さくなるので、図6(a)に示すように差圧上昇率も低く抑えられる。このときの差圧上昇率をδEとする。
図6(a)から、FluxをF2のままで、逆洗工程における洗浄水量を少なくすると差圧回復率が小さくなり、これにより差圧上昇率が増加する。洗浄水量を少なくしていくと、図6(b)に示すように、差圧上昇率(δB)と重なる上昇率になる差圧回復率が存在する。
【0027】
図7は、特性曲線における同じ差圧上昇率を結んだ関係を示す概念図である。すなわち図7は、図6における透過流速、F1とF2のそれぞれにおける差圧上昇率を図5にプロットしたものである。
【0028】
図7の透過流速F2において、逆洗工程における洗浄水量を少なくすることで回収率が増加し(回収率(B)から回収率(X)となる)、その一方で、差圧回復率が小さくなり、差圧上昇率が増加する(δEからδBとなる)。この状態を点Xで示す。点Xにおける差圧上昇率は上記したようにδBであるので、透過流速F1かつ回収率(B)における差圧上昇率と同じである。つまり図7の太い破線は同じ差圧上昇率になる運転状態を結ぶものである。
【0029】
ここで、透過流速F1においては、回収率(B)で使用した以上に洗浄を行ったとしても差圧は回復しない。これは、図2(b)に示すQmaxで洗浄を行っているからである。つまり、差圧上昇率δBを維持している状態においては、透過流速をF1以上に設定できないことを示す。この状態を図7では限界フラックスとし、各差圧上昇率における限界フラックスを結んだラインを限界フラックスラインと称する。
【0030】
図8は、特性曲線における同じ差圧上昇率を結んだ関係を示す概念図である。図8では、図5における差圧上昇率δCおよびδDにおいて、当該差圧上昇率を維持しながら透過流速を増加させ、洗浄水量を増加させていく状態(その結果として回収率が低下する)を太い破線で表す。ここでも、これ以上は透過流速を増加できない限界フラックスが存在する。
【0031】
図9は、特性曲線における限界フラックスラインの傾きを表す概念図である。限界フラックスを結んだラインは厳密には、図8に示すように、透過流速において回収率が一定(横軸に平行)にはならない。すなわち限界フラックスを結んだラインは、図9に示すように透過流速が増加するにつれて回収率が増加するようになる。
【0032】
つまり、透過流速が増加するにつれて、限界フラックスにおける回収率が上がる(使用する洗浄水量が少なくて済む)ような状態になることが分かってきている。これは、透過流速が大きいため、単位時間あたりに生産するろ過水量が多くなり、同じ回収率であっても、透過流速が大きいほど洗浄で使用する洗浄水量が多く確保されることになり、確保されている洗浄水量を全て使用する前に差圧が回復しない状態(限界フラックスライン上)に達するからである。次に、実施形態につき詳細に説明する。
【0033】
[第1の実施形態]
以下、本発明の膜ろ過システムの実施形態について図面を参照して説明する。
図10は、実施形態に係わる膜ろ過システムの一例を示す図である。
膜ろ過システムは、図示しない導水ポンプによって導かれた原水を一時的に貯水する原水槽1と、原水をろ過する,例えば中空糸型の膜モジュール2と、原水槽1の原水を膜モジュールに供給する原水ポンプ3と、膜モジュール2でろ過された処理水を貯水する処理水槽4と、膜モジュール2内に加圧空気を供給するコンプレッサ5と、処理水を洗浄水として膜モジュール2に供給する逆洗水ポンプ6と、処理水槽4内に貯水された処理水の一部を洗浄水として導入して貯水する洗浄水槽9とを備えている。ここで、洗浄水槽9は、ヒータ10を備えている。
【0034】
図10中の71〜710は夫々配管を示し、8a〜8k及び8m,8nは夫々バルブを示す。配管71は原水槽1の下部側と膜モジュール2の底部を結ぶ配管で、バルブ8a,8bが介装されている。配管72は膜モジュール2の上部と処理水槽4の上部を接続する配管で、バルブ8c,8dが介装されている。配管73は膜モジュール2の底部に接続された配管で、バルブ8eが介装されている。配管74は膜モジュール2の上部側に接続された配管で、バルブ8fが介装されている。配管75は配管74に接続された配管で、バルブ8が介装されている。配管76はコンプレッサ5と膜モジュール2の下部側を接続する配管で、バルブ8hが介装されている。配管77はコンプレッサ5に接続する配管76から分岐して配管72に接続する配管で、バルブ8iが介装されている。配管78は処理水槽4の底部と配管72とを接続する配管で、バルブ8kが介装されている。配管79は処理水槽4の下部側と洗浄水槽9の下部側とを接続する配管で、バルブ8mが介装されている。配管710は処理水槽9の底部と前記配管78とを接続する配管で、バルブ8nが介装されている。
【0035】
図10の膜ろ過システムの作用は、次の通りである。
同膜ろ過システムにおいて、原水は図示しない導水ポンプによって原水槽1へ導かれている。そして、原水ポンプ3の加圧によって膜モジュール2に原水が導入され、膜モジュール2を透過した処理水は処理水槽4に貯留される。通常の洗浄は、下記の手順の(1)の逆圧水工程と(2)の原水すすぎ工程により実施する。
【0036】
(1)逆圧水工程
バルブ8b,8d,8g,8i,8nを閉め、バルブ8c,8j,8kが開いた状態で処理水槽4内の処理水を逆洗水ポンプ6により膜モジュール2の処理水側から逆流させ、膜モジュール2の下部の原水側の配管73か、あるいは膜モジュール2上部の原水側の配管74から排出する。このとき、コンプレッサ5によって膜モジュール2の配管76の原水側から加圧空気を流して膜モジュール2を揺動させる。このときの逆圧水洗浄と加圧空気の注入は同時に行っても良いし、順番に行っても良い。
【0037】
(2)原水すすぎ工程
バルブ8a,8b及び膜モジュール2の上部のバルブ8fを開け、原水ポンプ3を起動し、膜モジュール2のすすぎを行う。このとき、すすぎ水は原水槽1へ循環しても構わない。このときコンプレッサ5から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0038】
図10に示す膜ろ過システムにおけるろ過処理では、原水は図示しない導水ポンプによって原水槽1へ導かれている。そして、ある程度の頻度で、以下の(3)、(4)の手順により洗浄水を温度調整した温水で洗浄を行う。
【0039】
(3)逆圧水工程
バルブ8b,8d,8g,8i,8jを閉め、バルブ8c,8k,8nが開いた状態でヒータ10により温度調整した洗浄水槽9内の処理水を、逆水洗ポンプ6で膜モジュール2の処理水側から供給する。このとき、逆圧水工程と同様に、コンプレッサ5によって膜モジュール2の配管76の原水側から加圧空気を流して膜モジュール2を揺動させる。このときの逆圧水洗浄と加圧空気の注入は同時に行っても良いし、順番に行っても良い。
【0040】
(4)原水すすぎ工程
バルブ8a,8b及び膜モジュール2の上部のバルブ8fを開け、原水ポンプ3を起動し、膜モジュール2のすすぎを行う。このとき、すすぎ水は原水槽1へ循環しても構わない。このときコンプレッサ5から加圧空気を流したままの方がより効果的にすすぎを行うことができるが、電力費を削減するために加圧空気を停止しても構わない。
【0041】
図11は、第1の実施形態に係わる特性曲線を示す図である。図11は、差圧上昇率、透過流速(Flux)、および回収率の関係を示す特性曲線である。第1の実施形態ではこの特性曲線を用いて、設定された回収率を元にして、膜ろ過における透過流速(Flux)を選択する。
【0042】
第1の実施形態では、まず、前処理である膜ろ過工程における回収率が設定される。回収率は、造水プラント全体において、必要とされる生産水量から逆算される。必要な生産水量が決められたとき、RO膜の運転における回収率から、RO膜の入口に必要な水量が求められる。この水量を図11中のQ2に示す。
【0043】
次に、前処理の膜ろ過工程において、膜ろ過設備の規模や運転コストなどをもとに、膜ろ過工程の回収率が設定される。この回収率を図11中のQ2/Q1に示す。第1の実施形態ではこの回収率を設定値として、図11の特性曲線から、膜ろ過工程における差圧上昇率と、膜の透過流速を設定する。
【0044】
図12は、第1の実施形態における薬品洗浄の間隔と差圧上昇率の関係を示す図である。図12に示すように、差圧上昇率は、大幅に膜の差圧が回復する薬品を用いた洗浄の間隔に基づいて選択する。図12における要薬品洗浄差圧レベルとは、この差圧に達すれば薬品洗浄を実施するというレベルを表す。
【0045】
差圧上昇率が小さいほど、要薬品洗浄差圧レベルに達するまでの期間が長くなる。第1の実施形態では、薬品洗浄の間隔が短くてもよい場合には、図11において高い差圧上昇率を選択し、その差圧上昇率に基づいて、より大きな膜の透過流速を選択するようにする。また、薬品洗浄の間隔を長くとりたい場合には、低い差圧上昇率を選択し、その差圧上昇率を元により小さな透過流速を選択するようにする。
【0046】
第1実施形態では、図11および図12に示すように、膜ろ過工程における回収率が設定されることによって、膜ろ過運転の差圧上昇率別の膜ろ過透過流速の最適値を選択することができる。さらに差圧の上昇率は、薬品洗浄の間隔をもとに設定することで、膜ろ過運転における透過流速を選択することができる。このようにしたので、効率的な運転を実施でき、高い洗浄効果を得ることが可能になる。
【0047】
すなわち第1の実施形態によれば、原水槽1と、膜モジュール2と、原水ポンプ3と、処理水槽4と、コンプレッサ5と、逆洗水ポンプ6と、洗浄水槽9とを備えた膜ろ過システムにおいて、膜ろ過運転の差圧上昇率別の、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線から、差圧上昇率と膜ろ過透過流速を選択するようにしている。従って第1の実施形態によれば、運転の効率を高めるとともに効果的に膜を洗浄することの可能な膜ろ過システムとその運転方法を提供することが可能になる。
【0048】
[第2の実施形態]
図13は、第2の実施形態に係わる特性曲線を示す図である。図13において、洗浄時間と差圧回復率および洗浄流量との関係が示される。
第1の実施形態において述べたように、膜ろ過工程の回収率が設定されると、1回の逆洗工程あたりの使用洗浄水量(Q(L))が決められる。逆洗工程においては、使用する洗浄水量が与えられたとき、洗浄水量は、洗浄流量と洗浄時間の積で表わされる。ここでは、長時間で比較的遅い流量で洗浄する場合と、短時間に速い流量で洗浄する場合と、それらの中間の場合とが存在する。図13の洗浄時間と洗浄流量のグラフは両者の関係を示すものである。
【0049】
本願発明者らの研究により、この洗浄時間×洗浄流量において、最も効果が表れるのは、比較的速い流量で洗浄を行った時であることがわかってきている。すなわち図13における洗浄時間と差圧回復率の関係を示す図にあるように、最も差圧が回復する洗浄時間と洗浄流量の条件が存在することがわかってきている。
【0050】
そこで第2の実施形態においては、洗浄時間と差圧回復率との関係を示す特性曲線をもとに、最も差圧が回復する洗浄時間と洗浄流量を選択するようにする。すなわち膜ろ過工程の回収率をもとにして1回の逆洗工程で使用する洗浄水量が求められ、さらに、洗浄時間と洗浄流量の関係と、両者と差圧回復率の関係とから、最も差圧の回復する洗浄条件を選択することが可能となる。従って第2の実施形態によっても、運転の効率を高めるとともに効果的に膜を洗浄することの可能な膜ろ過システムとその運転方法を提供することが可能になる。
【0051】
[第2の実施形態の変形例]
図14は、第2の実施形態の変形例に係わり、最適な洗浄条件がシフトすることを示す概念図である。第2の実施形態で述べた最も差圧の回復率が大きくなる洗浄条件は、膜の透過流速や原水の水質変動をうけて変化する。第2の実施形態の変形例では、この変化を考慮して洗浄条件を調整する。
【0052】
膜の透過流速が大きな場合は、単位時間に使用可能な洗浄水量が多く確保されるので、短い時間で比較的速い流量で洗浄を行うほうが効果は高くなる。一方で、膜の透過流速が小さな場合は、透過流速が大きな場合と比較すると、単位時間に使用可能な洗浄水量が少なくなるので、速い流量で洗浄すると洗浄時間が短くなりすぎてしまう。よって洗浄効果も低くなる。従って、透過流速が小さな場合は、洗浄流量を落として洗浄時間を長くするほうが洗浄効果は高まる。この様な事実をもとにこの変形例では、洗浄流量を落として、洗浄時間を長くする調整を行う。
【0053】
また、原水の水質変動が起こると、膜に付着しやすい物質の割合や、逆洗工程において膜面から除去されにくい物質の割合などが変動する。このため、同じ洗浄条件で洗浄を行っても、洗浄効果が低くなる場合も存在する。原水の水質変動を把握するための水質指標として、原水の濁度、水温、pH、アルカリ度、全有機炭素濃度、紫外線吸光度、蛍光強度、シルト濃度指数(SDI)、および、修正ファウリング指数(Modified Fouling Index:MFI)などが用いることができる。
【0054】
特に、蛍光強度の測定によって間接的に定量される、水中のフミン物質などの疎水性物質の割合や、多糖類やタンパクなどの親水性物質の割合などから、膜面から除去されにくい物質の存在量を把握することができる。この変形例では、これらの物質の存在割合に応じて、洗浄条件における洗浄流量と洗浄時間を調整する。
【0055】
第2の実施形態の変形例においては、洗浄時間と差圧回復率との関係を示す特性図をもとに、最も差圧が回復する洗浄時間と洗浄流量を、膜の透過流速や原水の水質変動に応じて調整するようにする。このようにしたので、システムの運転効率をさらに高めることが可能になる。
【0056】
[第3の実施形態]
図15、図16、図17は、第3の実施形態に係わる特性曲線を示す図である。第3の実施形態においては、差圧上昇率、透過流速(Flux)、および回収率の関係を示す特性曲線を用いて、膜ろ過運転における差圧上昇率を制御する(増減させる)ために、透過流速を調整したり、回収率を調整したり、その両者を併せて調整したりするようにする。
【0057】
図15の点Xの状態で膜ろ過を行っている場合、この膜ろ過における回収率はKbであり、差圧上昇率はδBであり、透過流速(Flux)はFbである。例えば、差圧上昇率が予想よりも高くなってきている場合、次の薬品洗浄までの期間を考慮して差圧上昇率を下げる操作を行う状況が発生することがある。このような場合、差圧上昇率、透過流速(Flux)、および回収率の関係を示す特性曲線を用いて、透過流速を調整することで差圧の上昇率を下げることが可能となる。ここでは、差圧上昇率をδEとなるように調整する場合、この特性曲線を用いることで、透過流速Feを選択することができる。
【0058】
逆に、生産水量を多く確保しなくてはならないような状況が発生した場合、差圧上昇率の許容範囲を考慮することで、透過流速をどの程度上げることができるかを、この特性曲線から選択することができる。ここでは、差圧上昇率をδCまで上げることが許容されるとすると、同特性曲線を用いることで、透過流速Fcと選択することができる。
【0059】
図16の点Xの状態で膜ろ過を行っている場合、同様に、この膜ろ過における回収率はKbであり、差圧上昇率はδBであり、透過流速(Flux)はFbである。例えば、透過流速は変化させないで、膜ろ過工程の回収率を上昇させる状況が発生したとき、どの程度回収率を上げると、どの程度差圧上昇率が上昇するかを、この特性曲線から算出することができる。ここでは、回収率をKcとなるように調整する場合、この特性曲線を用いることで、差圧上昇率はδCと求められる。
【0060】
逆に、透過流速は変化させないで、差圧上昇率を下げる状況が発生した場合、回収率低下の許容範囲を考慮することで、差圧上昇率をどの程度下げることができるのかを、この特性曲線から選択することができる。ここでは、回収率をKeまで下げることが許容されるとすると、この特性曲線を用いることで、差圧上昇率をδEと選択することができる。
【0061】
図17は、図15および図16で説明した調整を、併せて実施する場合を示す。
第3の実施形態においては、差圧上昇率、透過流速(Flux)、および回収率の関係を示す特性曲線を用いて、膜ろ過運転における差圧上昇率を増減させることを目的として、透過流速を調整したり、回収率を調整したり、その両者を併せて調整したりするようにしている。これにより、さらに効率的な運転方法を実現することができる。このような手法は、透過流速を増減させることを目的とする場合においても、回収率を増減させることを目的とする場合においても利用可能である。
【0062】
[第4の実施形態]
図18は、第4の実施形態係わる、追加的な洗浄プロセスによる差圧回復の度合いを示す概念図である。第4の実施形態においては、通常の逆洗方法に付加する形で、洗浄効果を上げるための方法を追加的に用いた場合において、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線に新たに作成された、追加洗浄方法の効果を示す特性曲線を用いて、膜ろ過透過流速を増加させたり、回収率を上げたりする調整を行うようにする。
【0063】
図18に、ベース差圧上昇率δBで膜ろ過を行っている場合と、差圧上昇率δCで膜ろ過を行っている場合の2つのケースを示す。差圧上昇率δCで膜ろ過を行っているほうが透過流速(Flux)は大きく、そのためインターバルの膜ろ過における差圧の上昇が大きくなっている。これに伴って差圧上昇率δCは、δBよりも大きくなっている。
【0064】
ここで、通常の逆洗方法に付加する形で、洗浄効果を上げるための方法を用いることを考える。例えば温水を用いて逆洗浄を行うことで洗浄効果を高め、大きな差圧回復率が得られる洗浄方法を或る頻度で定期的に行った場合、図18の(追加の洗浄の効果)で示すような差圧の回復を示す。
このように定期的に洗浄効果を高める方法を組み込むことによって、長期間の膜ろ過における差圧の上昇率を下げることができる。図18においては、膜の透過流速が大きいにもかかわらず、差圧上昇率はδBと同程度の差圧上昇率を示していることがわかる。
【0065】
図19および図20は、第4の実施形態に係わる特性曲線を示す図である。これらの図は、差圧上昇率、透過流速(Flux)、および回収率の関係を示す特性曲線に、追加的洗浄工程の効果を組み込んだものである。
通常の逆洗工程のみの差圧上昇率に対して、洗浄効果を高める方法を追加して組み込んだ膜ろ過においては、差圧上昇率は同じのままで、膜の透過流速(Flux)を大きくすることが可能である。つまり、洗浄効果を高める方法を追加することによって、回収率と差圧上昇率を変化させることなく膜の透過流速を上げることが可能となる。例えば図19における点Yで膜ろ過を行っていた状況において、透過流速(Flux)をF1からFhに増加させることができる。
【0066】
図20には、膜の透過流速を変化させずに、洗浄効果を高める方法を追加的に組み込んだ場合が示される。この場合、差圧上昇率の低かったδAの膜ろ過において、膜透過流速をFLからF1まで上げることが可能となる。よって、点Yの運転においては、透過流速F1のままで、差圧上昇率をδBからδAに落とすことが可能となる。
【0067】
図21は、第4の実施形態における透過流速(Flux)と差圧上昇率の関係を表す概念図である。図21には、限界フラックスラインにおける、膜の透過流速(Flux)と差圧上昇率の関係が、通常の逆洗工程のみの場合と、洗浄効果を高める方法を組み込んだ場合との双方につき示される。図21の特性曲線を用いることで、洗浄効果を高める方法を追加的に組み込んだ場合、膜の透過流速をどの程度上げることが可能かを求めることができる。また、透過流速を一定とすると、差圧上昇率をどの程度下げることが可能かを選択することができる。
【0068】
第4の実施形態においては、通常の逆洗方法に付加する形で、洗浄効果を上げるための方法を用いた場合において、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線に新たに作成された、追加洗浄方法の効果を示す特性曲線を用いて、膜ろ過透過流速を増加させたり、回収率を上げたりする調整を行うようにした。これによりシステムの運転効率をさらに高めることが可能になる。
【0069】
以上述べたように第1乃至第4の実施形態によれば、イオンや塩類などの溶質を含む海水、汽水、地下水などを膜モジュールによりろ過を行う膜ろ過システムにおいて、膜ろ過運転の差圧上昇率別の、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線、および、逆洗浄工程における洗浄時間と洗浄流量と差圧回復率の関係を用いて、効率的な運転方法と、高い洗浄効果を得ることの可能な、膜ろ過の運転方法を選択することができる。
【0070】
さらに、通常の逆洗方法に付加する形で、洗浄効果を上げるための方法を用いた場合においても、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線に新たに作成された、追加の洗浄方法の特性曲線を用いて、膜ろ過透過流速および回収率を調整することができる。従って、運転の効率を高めるとともに効果的に膜を洗浄することの可能な膜ろ過システムとその運転方法を提供することが可能になる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…原水槽、2…膜モジュール、3…原水ポンプ、4…処理水槽、5…コンプレッサ、6…逆洗水ポンプ、71〜710…配管、8a〜8k,8m,8n…バルブ、9…洗浄水槽、10…ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を一時的に貯水する原水槽と、
前記原水をろ過する膜モジュールと、
前記原水槽の前記原水を前記膜モジュールに供給する原水ポンプと、
前記膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、
前記膜モジュールの逆洗工程において、前記処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給する逆洗水ポンプとを具備し、
前記逆洗工程において、前記原水の回収率の設定値に基づいて、膜ろ過運転の差圧上昇率別の、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線を用いて、当該逆洗工程の差圧上昇率および膜ろ過透過流速を選択する、膜ろ過システム。
【請求項2】
前記逆洗工程において、前記原水の回収率の設定値に基づいて、当該逆洗工程における使用水量と膜ろ過透過流速から、この逆洗工程における洗浄時間と洗浄流量を選択する、請求項1に記載の膜ろ過システム。
【請求項3】
前記膜ろ過透過流速に応じて、前記洗浄時間と洗浄流量を調整する、請求項2に記載の膜ろ過システム。
【請求項4】
前記原水の水質変動に応じて、前記洗浄時間と洗浄流量を調整する、請求項2および3のいずれか1項に記載の膜ろ過システム。
【請求項5】
前記原水の水質を、当該原水の濁度、水温、pH、アルカリ度、全有機炭素濃度、紫外線吸光度、蛍光強度、シルト濃度指数(SDI)、および、修正ファウリング指数(Modified Fouling Index:MFI)のうち、少なくともいずれか1つに基づいて把握する、請求項4に記載の膜ろ過システム。
【請求項6】
前記膜ろ過透過流速を調整して前記逆洗工程の差圧上昇率を制御する、請求項1に記載の膜ろ過システム。
【請求項7】
前記回収率を調整して前記逆洗工程の差圧上昇率を制御する、請求項1に記載の膜ろ過システム。
【請求項8】
前記膜ろ過透過流速と前記回収率とを併せて調整して前記逆洗工程の差圧上昇率を制御する、請求項1に記載の膜ろ過システム。
【請求項9】
前記逆洗工程に対し追加的に実施される追加的洗浄工程を実施する手段をさらに具備し、
前記逆洗工程において、前記追加的洗浄工程の効果を示す特性曲線を用いて前記膜ろ過透過流速および前記回収率を調整する、請求項1に記載の膜ろ過システム。
【請求項10】
原水を一時的に貯水する原水槽と、前記原水をろ過する膜モジュールと、前記原水槽の前記原水を前記膜モジュールに供給する原水ポンプと、前記膜モジュールでろ過された処理水を貯水する処理水槽と、前記膜モジュールの逆洗工程において、前記処理水を洗浄水として前記膜モジュールに供給する逆洗水ポンプとを具備する膜ろ過システムの運転方法であって、
前記逆洗工程において、前記原水の回収率の設定値に基づいて、膜ろ過運転の差圧上昇率別の、膜ろ過透過流速と回収率の特性曲線を用いて、当該逆洗工程の差圧上昇率および膜ろ過透過流速を選択する、運転方法。
【請求項11】
前記逆洗工程において、前記原水の回収率の設定値に基づいて、当該逆洗工程における使用水量と膜ろ過透過流速から、この逆洗工程における洗浄時間と洗浄流量を選択する、請求項10に記載の運転方法。
【請求項12】
前記膜ろ過透過流速に応じて、前記洗浄時間と洗浄流量を調整する、請求項11に記載の運転方法。
【請求項13】
前記原水の水質変動に応じて、前記洗浄時間と洗浄流量を調整する、請求項11および12のいずれか1項に記載の運転方法。
【請求項14】
前記原水の水質を、当該原水の濁度、水温、pH、アルカリ度、全有機炭素濃度、紫外線吸光度、蛍光強度、シルト濃度指数(SDI)、および、修正ファウリング指数(Modified Fouling Index:MFI)のうち、少なくともいずれか1つに基づいて把握する、請求項13に記載の運転方法。
【請求項15】
前記膜ろ過透過流速を調整して前記逆洗工程の差圧上昇率を制御する、請求項10に記載の運転方法。
【請求項16】
前記回収率を調整して前記逆洗工程の差圧上昇率を制御する、請求項10に記載の運転方法。
【請求項17】
前記膜ろ過透過流速と前記回収率とを併せて調整して前記逆洗工程の差圧上昇率を制御する、請求項10に記載の運転方法。
【請求項18】
前記膜ろ過システムは、前記逆洗工程に対し追加的に実施される追加的洗浄工程を実施する手段をさらに具備し、
前記逆洗工程において、前記追加的洗浄工程の効果を示す特性曲線を用いて前記膜ろ過透過流速および前記回収率を調整する、請求項10に記載の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−192380(P2012−192380A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59930(P2011−59930)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】