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膜分離処理装置および該装置の運転方法
説明

膜分離処理装置および該装置の運転方法

【課題】インライン洗浄の頻度を適正に制御し、薬剤コストを抑制できる膜分離処理装置および該装置の運転方法の提供。
【解決手段】分離膜12が浸漬され、被処理水を膜処理する膜分離槽13と、分離膜12に接続された吸引ポンプ15と、分離膜12をインライン洗浄する洗浄手段と、吸引ポンプ15が一定時間の運転とその後の停止とを交互に繰り返すように、吸引ポンプ15を制御する吸引ポンプ制御手段C1と、吸引ポンプ15の運転が所定回数に到達するごとに、洗浄手段を作動させる洗浄制御手段C2とを有する膜分離処理装置10を使用する。洗浄制御手段C2は、吸引ポンプ15の下流で測定される積算ろ過流量が所定値に到達するごとに、洗浄手段を作動させるものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜により被処理水を処理する膜分離処理装置および該装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分離膜が浸漬された膜分離槽において、被処理水を固液分離する水処理方法が広く実施されている。そのうち、工場排水、生活排水などの有機性排水の処理方法として、活性汚泥中の微生物の作用により、汚濁物質を生物分解する生物処理と、膜分離槽による膜処理とを組み合わせて、浮遊物のない処理水を得る膜分離活性汚泥処理法がある。
この処理方法に用いられる膜分離活性汚泥処理装置としては、例えば、活性汚泥による生物処理が行われる生物反応槽内に分離膜を浸漬する浸漬型(一体型)の処理装置や、生物処理が行われる生物反応槽と、分離膜を浸漬した膜分離槽とをそれぞれ設け、反応槽での生物処理後に膜分離槽で膜分離を行うようにした、いわゆる槽外型(別置型)の処理装置などがある。
【0003】
このような膜処理では、分離膜に接続された吸引ポンプを間欠的に作動させて固液分離する吸引ろ過が広く採用されている。
通常、膜分離槽内の被処理水の水位が所定水位以上である場合には、吸引ポンプは、所定の一定周期で運転と停止とを繰り返すように制御される。一方、被処理水の水位が所定水位に満たなくなった場合には、吸引ポンプは、被処理水の水位が回復するまで停止するように制御される。
【0004】
ところで、膜処理においては、運転の継続に伴って、被処理水中の固形分、懸濁物質などが膜表面に堆積、吸着し、膜のろ過効率が低下する。そのため、薬液を用いた膜洗浄が行われている。薬液を用いた膜洗浄の方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、分離膜に対して、ろ液側から次亜塩素酸ナトリウム水溶液などの薬液を逆通液するインライン洗浄(逆洗)がある。従来、インライン洗浄は、例えば1週間に1回の頻度などで定期的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−193132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インライン洗浄を定期的に行う方法では、例えば、上述のように、被処理水の水位が低下して吸引ポンプが停止し、膜処理が行われない期間があったとしても、あらかじめ決められた時間が経過するごとに洗浄が行われていた。すなわち、従来の方法では、インライン洗浄は、積算ろ過流量とは無関係に行われ、そのため、膜の汚染度合いが低い場合でも単に所定時間が経過すると強制的にインライン洗浄が行われて、薬剤が無駄に消費され、薬剤コストが嵩むことがあった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、インライン洗浄の頻度を適正に制御し、薬剤コストを抑制できる膜分離処理装置および該装置の運転方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の膜分離処理装置は、分離膜が浸漬され、被処理水を膜処理する膜分離槽と、前記分離膜に接続された吸引ポンプと、前記分離膜をインライン洗浄する洗浄手段と、前記吸引ポンプが一定時間の運転とその後の停止とを交互に繰り返すように、該吸引ポンプを制御する吸引ポンプ制御手段と、前記被処理水の積算ろ過流量を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された測定値が所定値に到達するごとに、前記洗浄手段を作動させる洗浄制御手段とを有することを特徴とする。
前記測定手段が、前記吸引ポンプの運転回数を測定する手段であり、前記測定値が、前記吸引ポンプの運転回数であることが好ましい。
または、前記測定手段が、前記吸引ポンプの下流側で前記積算ろ過流量を測定する積算流量測定手段であり、前記測定値が、前記積算ろ過流量であることが好ましい。
前記洗浄制御手段は、所定時間内における前記測定値が前記所定値未満であった場合に、前記洗浄手段を作動させることが好ましい。
前記洗浄制御手段は、前記吸引ポンプの吸引圧力が所定値以上となった場合に、前記洗浄手段を作動させることが好ましい。
本発明の膜分離処理装置の運転方法は、分離膜が浸漬され、被処理水を膜処理する膜分離槽と、前記分離膜に接続された吸引ポンプと、前記分離膜を薬液洗浄する洗浄手段と、前記吸引ポンプが一定時間の運転とその後の停止とを交互に繰り返すように、該吸引ポンプを制御する吸引ポンプ制御手段と、前記被処理水の積算ろ過流量を測定する測定手段とを備えた膜分離処理装置の運転方法であって、前記測定手段によって測定された測定値が所定値に到達するごとに、前記洗浄手段を作動させることを特徴とする。
前記測定手段が、前記吸引ポンプの運転回数を測定する手段であり、前記測定値が、前記吸引ポンプの運転回数であることが好ましい。
または、前記測定手段が、前記吸引ポンプの下流側で前記積算ろ過流量を測定する積算流量測定手段であり、前記測定値が、前記積算ろ過流量であることが好ましい。
所定時間内における前記測定値が前記所定値未満であった場合に、前記洗浄手段を作動させることが好ましい。
前記吸引ポンプの吸引圧力が所定値以上となった場合に、前記洗浄手段を作動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インライン洗浄の頻度を適正に制御し、薬剤コストを抑制できる膜分離処理装置および該装置の運転方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の膜分離処理装置の一例である膜分離活性汚泥処理装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の膜分離処理装置の他の一例である膜分離活性汚泥処理装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
(第1実施形態例)
図1は、第1実施形態例として、本発明の膜分離処理装置の一例である膜分離活性汚泥処理装置(以下、処理装置という場合がある。)を示す概略構成図である。
図1の処理装置10は、活性汚泥の作用により、工場排水などの原水を生物処理する生物反応槽11と、生物反応槽11から引き抜かれた活性汚泥を含む被処理水を分離膜12で膜処理する膜分離槽13とを別々に備える、いわゆる槽外型(別置型)の処理装置10である。
【0012】
生物反応槽11には、定流量ポンプなどの原水ポンプ14が接続され、この原水ポンプ14により、生物反応槽11から、生物処理された被処理水が活性汚泥とともに引き抜かれ、膜分離槽13へと送液される。膜分離槽13に浸漬された分離膜12には、吸引ポンプ15が接続され、この吸引ポンプ15が作動することにより、分離膜12の膜面で被処理水が吸引ろ過され、処理水が得られる。
【0013】
分離膜12としては、精密ろ過膜または限外ろ過膜が好ましい。また、フラックスが高く取れること、取り扱い性が容易であることからは、精密ろ過膜がより好ましい。精密ろ過膜の孔径は、通常0.1〜0.4μm程度が好適である。
分離膜12の形態としては、中空糸膜、平膜、管状膜などが挙げられる。これらのうちでは、容積ベースで比較した場合に、膜面積の高集積が可能であることから、中空糸膜がより好ましい。中空糸膜の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0014】
この処理装置10は、吸引ポンプ15の作動を制御する手段として、吸引ポンプ15を間欠的に作動させる吸引ポンプ制御手段C1を備えている。
吸引ポンプ制御手段C1は、膜分離槽13の水位を検知するレベルセンサ28および吸引ポンプ15と電気的に接続されているとともに、タイマー機能を有しており、膜分離槽13の水位に応じて、吸引ポンプ15を制御できるようになっている。
具体的には、膜分離槽13の水位が所定水位以上である場合には、所定の一定周期で運転と停止とを繰り返すように、吸引ポンプ15を制御する。一方、膜分離槽13の水位が所定水位に満たなくなった場合には、水位が回復するまで吸引ポンプ15を停止するように、吸引ポンプ15を制御する。
【0015】
また、この処理装置10は、分離膜12を洗浄する洗浄手段として、薬液が貯留された薬液タンク16と、薬液タンク16内の薬液を分離膜12にろ液側から送液する薬液ポンプ17とを備え、分離膜12をインライン洗浄できるようになっている。インライン洗浄とは、分離膜12を膜分離槽13に浸漬したまま、分離膜12に対して薬液をろ過側から逆通液することにより、分離膜12を洗浄する方法である。
この例では、分離膜12に向けて薬液が送液される薬液ライン18は、分離膜12と吸引ポンプ15とを接続する吸引ライン19に合流している。そのため、分離膜12による吸引ろ過が行われるか、または、分離膜12のインライン洗浄が行われるかに応じて、吸引ライン19に設けられた開閉バルブ20と薬液ライン18に設けられた開閉バルブ21がそれぞれ開または閉に適宜切り換わるようになっている。
【0016】
薬液としては、薬剤が溶解した水溶液が使用される。薬剤としては、有機性物質の洗浄に対しては、例えば次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩が使用され、無機性物質の洗浄に対しては、例えばシュウ酸、クエン酸、硫酸、塩酸などの酸性物質が使用されることが好ましい。
薬液中の薬剤濃度は適宜設定でき、例えば100〜5000mg/L程度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液、0.1〜1N程度の塩酸および硫酸、0.2〜2%程度のシュウ酸およびクエン酸などが好適に使用される。
【0017】
そして、この処理装置10は、被処理水の積算ろ過流量を測定する測定手段として、吸引ポンプ15の運転回数を測定する測定手段Sを備えているとともに、洗浄手段の作動を制御する洗浄制御手段として、測定手段Sにより測定された測定値(吸引ポンプ15の運転回数)が所定回数(所定値)に到達するごとに、洗浄手段の薬液ポンプ17を作動させる洗浄制御手段C2を有している。
洗浄制御手段C2は、測定手段S、開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17と電気的に接続され、これにより、吸引ポンプ15の運転回数が所定回数となるごとに、開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、洗浄を開始するようになっている。
【0018】
また、この例の洗浄制御手段C2はタイマー機能を有し、所定時間内における吸引ポンプ15の運転回数が、上述の所定回数未満であった場合には、洗浄手段を強制的に作動させるようになっている。
【0019】
また、この例の洗浄制御手段C2は、吸引ポンプ15の吸引圧力を測定する負圧計47にも電気的に接続され、負圧計47により測定される吸引圧力(絶対値)が所定値以上となった場合には、洗浄手段を強制的に作動させるようになっている。
洗浄手段を強制的に作動させる際の吸引圧力は、例えば分離膜の種類、孔径などに応じて適宜設定できるが、絶対値として25〜45kPaを目安にすることが好ましい。
【0020】
また、この処理装置10においては、膜処理の継続に伴って活性汚泥が濃縮された膜分離槽13内の被処理水の一部を生物反応槽11に返送するための汚泥返送手段として、膜分離槽13の側壁面に、所定水位を超えた被処理水を活性汚泥とともにオーバーフローさせる溢流口49が設けられている。さらに、汚泥返送手段は、溢流口49よりも下方に設置され、溢流口49から排出された活性汚泥および被処理水を一旦貯留する活性汚泥貯留槽24と、レベルセンサ27で検知される活性汚泥貯留槽24内の水位が所定水位以上になると、活性汚泥貯留槽24内の活性汚泥および被処理水を反生物応槽11へ送液する汚泥排出ポンプ25とを備えている。
【0021】
また、この処理装置10は、分離膜12のエアスクラビング(バブリング)手段として、膜分離槽13内の分離膜12の下方に設置され、分離膜12に向けて気泡を放出する散気装置22と、散気装置22に接続された曝気ブロア23とを備えている。
【0022】
なお、図1中、符号26、29は水位を検知するレベルセンサ、符号30は空気を逃がしエアスクラビング手段の音を抑制するサイレンサ、符号31はサイホン止めチャッキ弁、符号32は処理水の水質確認用のサンプリングコック、符号33は可変式定流量弁、符号34は薬液流量チェック用コックである。符号35、36は流量計、符号38〜46は開閉バルブ、符号47は負圧計、符号48は逆止弁である。膜分離槽13の底部の開閉バルブ40、膜分離槽13と活性汚泥貯留槽24との間の開閉バルブ39は、いずれも、膜分離槽13および活性汚泥貯留槽24内の被処理水および活性汚泥をすべて排出する必要がある際に開放されるバルブである。
【0023】
次に図1の処理装置10の運転方法について説明する。
生物反応槽11においては、工場排水などの原水を活性汚泥により生物処理する。生物反応槽11に設置されたレベルセンサ26で検知される水位が所定水位以上の場合には、原水ポンプ14が作動し、生物反応槽11での生物処理後の原水、すなわち被処理水が、活性汚泥を含んだ状態で膜分離槽13へと送液される。
【0024】
膜分離槽13においては、レベルセンサ28により検知される膜分離槽13の水位が所定水位以上の場合には、吸引ポンプ制御手段C1からの信号により、吸引ポンプ15は所定の一定周期で運転と停止とを繰り返し、分離膜12による間欠的な吸引ろ過が行われる。例えば、吸引ポンプ15は、7分間の運転と1分間の停止とを交互に繰り返す。
また、エアスクラビング洗浄手段によるバブリングが開始される。
【0025】
その後、工場排水量の低下などにより生物反応槽11の水位が低下し、それに伴って膜分離槽13の水位が所定水位未満となった場合には、吸引ポンプ制御手段C1からの信号により、吸引ポンプ15は停止する。そして、膜分離槽13の水位が回復して所定水位以上となると、吸引ポンプ制御手段C1からの信号により、吸引ポンプ15は運転を再開し、膜分離槽13の水位が所定水位以上である限り、上述の所定の一定周期で運転と停止とを交互に繰り返す。
【0026】
一方、測定手段Sは、吸引ポンプ15が上述のように膜分離槽13の水位に応じた間欠的な作動をしている間、吸引ポンプ15の運転回数をカウントする。そして、洗浄制御手段C2は、運転回数が所定回数(例えば1260回。)に到達するごとに、開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を実施する。洗浄制御手段C2からの信号は、吸引ポンプ15を停止、開閉バルブ21を開、開閉バルブ20を閉、薬液ポンプ17を起動の順に出される。インライン洗浄時間は、分離膜12の汚染度合い、薬液の薬剤濃度、薬液の種類などに応じて、適宜設定できる。
【0027】
インライン洗浄が終了すると、薬液ポンプ17が停止、開閉バルブ21が閉、開閉バルブ20が開に切り換わり、吸引ろ過が再開され、吸引ポンプ15は再び上述の所定の一定周期で運転と停止とを交互に繰り返す。測定手段Sは、吸引ポンプ15の運転回数のカウントを再開し、洗浄制御手段C2は、再開後の運転回数が所定回数(例えば1260回。)となるごとに、開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を実施する。
【0028】
ここで仮に、所定時間(例えば2週間。)内における吸引ポンプ15の運転回数が所定回数(例えば1260回。)未満であった場合には、その時点で、洗浄制御手段C2は開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を強制的に実施する。
【0029】
また、吸引ポンプ15の運転回数にかかわらず、負圧計47が示す吸引ポンプ15の吸引圧力(絶対値)が所定値(例えば40kPa。)以上となった場合には、その時点で、洗浄制御手段C2は開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を強制的に実施する。
【0030】
なお、このように膜処理が行われている間に、膜分離槽13の水位が上昇して溢流口49の設置位置に到達すると、膜分離槽13内の活性汚泥を含む被処理水が溢流口49から排出される。そして、排出された活性汚泥を含む被処理水は、活性汚泥貯留槽24に貯留され、レベルセンサ27により検知される活性汚泥貯留槽24内の水位が所定水位以上になると、汚泥排出ポンプ25により、生物反応槽11に返送される。
【0031】
以上説明したように、吸引ポンプ15の運転が所定回数に到達するごとに、洗浄制御手段C2が開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、インライン洗浄を実施する方法によれば、インライン洗浄の頻度が積算ろ過流量に応じて適正に制御され、薬剤のコストを抑制できる。
【0032】
すなわち、吸引ポンプ15の1回の運転時間が一定であれば、吸引ポンプ15の運転回数と分離膜12の積算ろ過流量とはほぼ比例関係となる。また、積算ろ過流量が増加するにしたがって、分離膜12の汚染度合いは増す関係にある。よって、吸引ポンプ15の運転が所定回数に到達するごとに、洗浄手段を作動させる洗浄制御手段C2を採用することにより、分離膜12の実際の汚染度合いに対応した適正な頻度で、インライン洗浄が実施されることになる。ここで従来のように、定期的に(例えば1週間に1回。)インライン洗浄する方法では、例えば工場の一時操業停止などに起因して被処理水量が低下し、吸引ポンプ15が長期間運転休止となって積算ろ過流量が少ない場合でも、それとは無関係に、予め決められた時間の経過によりインライン洗浄が強制的に実施され、薬液が無駄に消費される。これに対して、吸引ポンプ15の運転が所定回数に到達するごとに、洗浄手段を作動させる方法を採用すれば、薬液が無駄に消費されることがない。なお、積算ろ過流量は、積算流量計37により測定できる。
また、インライン洗浄が適正な頻度で行われることにより、薬液による活性汚泥の死滅を最低限に抑えることもできる。
【0033】
また、所定時間内における吸引ポンプ15の運転回数が所定回数未満であった場合には、その時点で洗浄制御手段C2が開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、インライン洗浄を強制的に実施することにより、分離膜12の透過性を高く維持することができる。
【0034】
また、吸引ポンプ15の運転回数にかかわらず、吸引ポンプの吸引圧力が所定値以上となると、その時点で洗浄制御手段C2が開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、インライン洗浄を強制的に実施することにより、被処理水の水質変化などで急激に分離膜12の目詰まりが顕著になった場合などでも、迅速に分離膜12をインライン洗浄することができる。
【0035】
(第2実施形態例)
上述した第1実施形態例では、測定手段Sは、吸引ポンプ15の運転回数を測定する手段であり、洗浄制御手段C2は、測定された測定値(吸引ポンプ15の運転回数)が所定回数(所定値)に到達するごとに、洗浄手段を作動させる手段であった。これに対して、第2実施形態例では、図2に示すように、測定手段は、吸引ポンプ15の下流側に設置され、積算ろ過流量を測定する積算流量計(積算流量測定手段)37であり、洗浄制御手段C2は、積算流量測定手段によって測定された測定値(積算ろ過流量)が所定値に到達するごとに、洗浄手段を作動させる手段である点で、相違している。
【0036】
図2の処理装置10の運転方法について説明する。
図2は、吸引ポンプ15の運転回数の測定に代えて、吸引ポンプ15より下流側流路に対して接した積算流量計37による測定により、インライン洗浄を制御するものである。
生物反応槽11においては、工場排水などの原水を活性汚泥により生物処理する。生物反応槽11に設置されたレベルセンサ26で検知される水位が所定水位以上の場合には、原水ポンプ14が作動し、生物反応槽11での生物処理後の原水、すなわち被処理水が、活性汚泥を含んだ状態で膜分離槽13へと送液される。
【0037】
膜分離槽13においては、レベルセンサ28により検知される膜分離槽13の水位が所定水位以上の場合には、吸引ポンプ制御手段C1からの信号により、吸引ポンプ15は所定の一定周期で運転と停止とを繰り返し、分離膜12による間欠的な吸引ろ過が行われる。例えば、吸引ポンプ15は、7分間の運転と1分間の停止とを交互に繰り返す。
また、エアスクラビング洗浄手段によるバブリングが開始される。
【0038】
その後、工場排水量の低下などにより生物反応槽11の水位が低下し、それに伴って膜分離槽13の水位が所定水位未満となった場合には、吸引ポンプ制御手段C1からの信号により、吸引ポンプ15は停止する。そして、膜分離槽13の水位が回復して所定水位以上となると、吸引ポンプ制御手段C1からの信号により、吸引ポンプ15は運転を再開し、膜分離槽13の水位が所定水位以上である限り、上述の所定の一定周期で運転と停止とを交互に繰り返す。
【0039】
一方、洗浄制御手段C2は、積算流量計(測定手段)37と電気的に接続され、吸引ポンプ15が上述のように膜分離槽13の水位に応じて吸引ろ過を行う際に、積算流量計37により測定される積算ろ過流量の測定値が所定値に到達するごとに、開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を実施する。洗浄制御手段C2からの信号は、吸引ポンプ15を停止、開閉バルブ21を開、開閉バルブ20を閉、薬液ポンプ17を起動の順に出される。インライン洗浄時間は、分離膜12の汚染度合い、薬液の薬剤濃度、薬液の種類などに応じて、適宜設定できる。
【0040】
インライン洗浄が終了すると、洗浄制御手段C2からの信号により、薬液ポンプ17が停止、開閉バルブ21が閉、開閉バルブ20が開に切り換わり、吸引ポンプ15が起動し、吸引ろ過が再開される。再開後の積算ろ過流量が所定値となるごとに、開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を実施する。
【0041】
ここで仮に、所定時間(例えば2週間。)内における積算流量計37の積算ろ過流量が所定値未満であった場合には、その時点で、洗浄制御手段C2は開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を強制的に実施する。
【0042】
また、積算流量計37の積算ろ過流量にかかわらず、負圧計47が示す吸引ポンプ15の吸引圧力(絶対値)が所定値(例えば40kPa。)以上となった場合には、その時点で、洗浄制御手段C2は開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、薬液ポンプ17を作動させてインライン洗浄を強制的に実施する。
【0043】
なお、このように膜処理が行われている間に、膜分離槽13の水位が上昇して溢流口49の設置位置に到達すると、膜分離槽13内の活性汚泥を含む被処理水が溢流口49から排出される。そして、排出された活性汚泥を含む被処理水は、活性汚泥貯留槽24に貯留され、レベルセンサ27により検知される活性汚泥貯留槽24内の水位が所定水位以上になると、汚泥排出ポンプ25により、生物反応槽11に返送される。
【0044】
以上説明したように、積算流量計37による積算ろ過流量が所定値に到達するごとに、洗浄制御手段C2が開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、インライン洗浄を実施する方法によれば、インライン洗浄の頻度が積算ろ過流量に応じて適正に制御され、薬剤のコストを抑制できる。
【0045】
積算ろ過流量が増加するにしたがって、分離膜12の汚染度合いは増す関係にある。よって、積算流量計37の積算ろ過流量が所定値に到達するごとに、洗浄手段を作動させる洗浄制御手段C2を採用することにより、分離膜12の実際の汚染度合いに対応した適正な頻度で、インライン洗浄が実施されることになる。ここで従来のように、定期的に(例えば1週間に1回。)インライン洗浄する方法では、例えば工場の一時操業停止などに起因して被処理水量が低下し、吸引ポンプ15が長期間運転休止となって積算ろ過流量が少ない場合でも、それとは無関係に、予め決められた時間の経過によりインライン洗浄が強制的に実施され、薬液が無駄に消費される。これに対して、積算流量計37の積算ろ過流量が所定値に到達するごとに、洗浄手段を作動させる方法を採用すれば、薬液が無駄に消費されることがない。
また、インライン洗浄が適正な頻度で行われることにより、薬液による活性汚泥の死滅を最低限に抑えることもできる。
【0046】
また、所定時間内における積算流量計37の積算ろ過流量が所定値未満であった場合には、その時点で洗浄制御手段C2が開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、インライン洗浄を強制的に実施することにより、分離膜12の透過性を高く維持することができる。
【0047】
また、積算流量計37の積算ろ過流量にかかわらず、吸引ポンプの吸引圧力が所定値以上となると、その時点で洗浄制御手段C2が開閉バルブ20、開閉バルブ21、吸引ポンプ15、薬液ポンプ17に信号を送り、インライン洗浄を強制的に実施することにより、被処理水の水質変化などで急激に分離膜12の目詰まりが顕著になった場合などでも、迅速に分離膜12をインライン洗浄することができる。
【0048】
また、図1および図2の例では、汚泥返送手段が、膜分離槽13に設けられた溢流口49を有しているため、膜分離槽13からは、オーバーフローした分だけ、活性汚泥を含む被処理水が膜分離槽13から排出される。よって、このような汚泥返送操作に伴う膜分離槽13の水位変動を抑制できる。そのため、膜処理を安定に継続できる。また、膜分離槽13の濃縮倍率(活性汚泥濃度)が安定し、分離膜12の目詰まりも低減される。また、このようにオーバーフローさせる方法は、膜分離槽13に溢流口49を設けるだけで実施でき、処理装置10の構成を複雑にすることなく、シンプルに維持できる。
【0049】
また、オーバーフローした活性汚泥および被処理水は、重力により生物反応槽11に直接返送されてもよいが、この例のように、汚泥返送手段が活性汚泥貯留槽24と汚泥排出ポンプ25とをさらに備え、活性汚泥貯留槽24を介して生物反応槽11に返送される形態であると、生物反応槽11の設置位置が膜分離槽13よりも上方であって、重力による返送ができない場合でも、何ら問題なく、生物反応槽11に返送することができる。
【0050】
なお、図1および図2に示された洗浄手段は、薬液タンク16と薬液ポンプ17とを1ずつ備え、1種類の薬液によりインライン洗浄が行われる形態を示しているが、例えば、薬液タンクを2以上備え、2種類以上の薬液によりインライン洗浄を実施できる形態としてもよい。具体的な形態としては、複数の薬液タンクに、薬剤濃度が異なる薬液がそれぞれ投入されている形態、薬剤の種類が異なる薬液がそれぞれ投入されている形態などが挙げられる。薬液ポンプは、各薬液タンクごとに設けてもよいし、複数の薬液タンクに対して1台設け、バルブの切り換え操作などにより、逆通液する薬液を選択できるようにしてもよい。
【0051】
また、2種類以上の薬液によりインライン洗浄を実施できる形態とする場合には、各薬液によるインライン洗浄それぞれが、吸引ポンプの所定の運転回数ごとに実施されるように、洗浄制御手段により制御することができる。具体的には、低濃度の薬液が投入された薬液タンクと、高濃度の薬液が投入された薬液タンクとを設置し、低濃度の薬液によるインライン洗浄は、吸引ポンプの運転が例えば1000回に到達するごとに実施され、高濃度の薬液によるインライン洗浄は、吸引ポンプの運転が例えば2万回程度に到達するごとに実施されるように制御できる。また、インライン洗浄時には、薬液を逆通液するだけでなく、必要に応じて、膜に薬液を含ませた状態で一定時間保持してもよい。
【0052】
また、図1および図2の処理装置10は、生物処理を行う生物反応槽11とは別に膜分離槽13を備えた別置型の膜分離活性汚泥処理装置であるが、本発明の膜分離処理装置は、分離膜が浸漬された膜分離槽内で生物処理を行う浸漬型(一体型)の膜分離活性汚泥処理装置であってもよい。さらには、本発明の膜分離処理装置は、生物処理を行わない膜分離処理装置、すなわち生物処理を行う生物反応槽を備えず、かつ、膜分離槽内で生物処理を行わない膜分離処理装置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 膜分離活性汚泥処理装置
12 分離膜
13 膜分離槽
15 吸引ポンプ
16 薬液タンク
17 薬液ポンプ
37 積算流量計(積算流量測定手段)
C1 吸引ポンプ制御手段
C2 洗浄制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜が浸漬され、被処理水を膜処理する膜分離槽と、
前記分離膜に接続された吸引ポンプと、
前記分離膜をインライン洗浄する洗浄手段と、
前記吸引ポンプが一定時間の運転とその後の停止とを交互に繰り返すように、該吸引ポンプを制御する吸引ポンプ制御手段と、
前記被処理水の積算ろ過流量を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された測定値が所定値に到達するごとに、前記洗浄手段を作動させる洗浄制御手段とを有する、膜分離処理装置。
【請求項2】
前記測定手段が、前記吸引ポンプの運転回数を測定する手段であり、
前記測定値が、前記吸引ポンプの運転回数である、請求項1に記載の膜分離処理装置。
【請求項3】
前記測定手段が、前記吸引ポンプの下流側で前記積算ろ過流量を測定する積算流量測定手段であり、
前記測定値が、前記積算ろ過流量である、請求項1に記載の膜分離処理装置。
【請求項4】
前記洗浄制御手段は、所定時間内における前記測定値が前記所定値未満であった場合に、前記洗浄手段を作動させる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の膜分離処理装置。
【請求項5】
前記洗浄制御手段は、前記吸引ポンプの吸引圧力が所定値以上となった場合に、前記洗浄手段を作動させる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の膜分離処理装置。
【請求項6】
分離膜が浸漬され、被処理水を膜処理する膜分離槽と、
前記分離膜に接続された吸引ポンプと、
前記分離膜を薬液洗浄する洗浄手段と、
前記吸引ポンプが一定時間の運転とその後の停止とを交互に繰り返すように、該吸引ポンプを制御する吸引ポンプ制御手段と、
前記被処理水の積算ろ過流量を測定する測定手段とを備えた膜分離処理装置の運転方法であって、
前記測定手段によって測定された測定値が所定値に到達するごとに、前記洗浄手段を作動させる、膜分離処理装置の運転方法。
【請求項7】
前記測定手段が、前記吸引ポンプの運転回数を測定する手段であり、
前記測定値が、前記吸引ポンプの運転回数である、請求項6に記載の膜分離処理装置の運転方法。
【請求項8】
前記測定手段が、前記吸引ポンプの下流側で前記積算ろ過流量を測定する積算流量測定手段であり、
前記測定値が、前記積算ろ過流量である、請求項6に記載の膜分離処理装置の運転方法。
【請求項9】
所定時間内における前記測定値が前記所定値未満であった場合に、前記洗浄手段を作動させる、請求項6ないし8のいずれか一項に記載の膜分離処理装置の運転方法。
【請求項10】
前記吸引ポンプの吸引圧力が所定値以上となった場合に、前記洗浄手段を作動させる、請求項6ないし9のいずれか一項に記載の膜分離処理装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−170894(P2012−170894A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35632(P2011−35632)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】