膜形成方法、半導体膜、及び積層絶縁膜
【課題】 基板にダメージを与えることなく酸化亜鉛等の膜を形成することができる膜形成方法等を提供する。
【解決手段】 成膜室124内で、対向して配置され、少なくともその一方が高純度の亜鉛からなる一組のターゲットA,Bに、DC電圧を印加し、両ターゲットA,B間に発生させたプラズマによりスパッタリングする。スパッタリングされたターゲットA,BのZn粒子を、酸素ガスと反応させつつ、対向するターゲットの軸方向からずらされて配置された基板上に堆積し、該基板表面にZnO膜を形成する。
【解決手段】 成膜室124内で、対向して配置され、少なくともその一方が高純度の亜鉛からなる一組のターゲットA,Bに、DC電圧を印加し、両ターゲットA,B間に発生させたプラズマによりスパッタリングする。スパッタリングされたターゲットA,BのZn粒子を、酸素ガスと反応させつつ、対向するターゲットの軸方向からずらされて配置された基板上に堆積し、該基板表面にZnO膜を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜形成方法、半導体膜、及び積層絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティブマトリックス液晶TFT(Thin Film Transistor)のチャネル層(活性層)にはアモルファスシリコン膜が広く用いられてきた。
アモルファスシリコン膜の移動度は、略1cm2/(V・s)と小さく、要求されるTFT素子のON/OFF特性を確保するために、配線線幅を細くすることができない。そのため、高精細、高輝度、高速応答等の性能が求められる次世代液晶TFTとして、アモルファスシリコンに代わって、より結晶性が高く、移動度が大きい低温ポリシリコンを使用した低温ポリシリコンTFTが開発され、小型液晶装置等に導入されている。
【0003】
低温ポリシリコンの結晶化を促進し、移動度を向上させるために、エキシマレーザ装置を用いたアニール等の処理が行われる。TFT素子のソース・ドレイン間隔(略数μm)と低温ポリシリコンの結晶粒子のサイズ(略1μm)とが近接するため、ソース電極とドレイン電極との間における結晶粒界の密度にばらつきが生じ易い。そのため、低温ポリシリコンを用いた場合には、面内で均一な動作特性を有するTFT素子を作成することが難しく、従って、歩留まりが低い。また、エキシマレーザ装置等の製造装置が高価であり、低温ポリシリコンに比較して、製造原価が高い。このため、現状では、低温ポリシリコンTFTへの投資効果は小さい。
【0004】
一方、上述したアモルファスシリコン及び低温ポリシリコン以外の半導体材料を用いてTFT素子を作成することが、実験室規模で試みられている。酸化亜鉛(ZnO)は、エネルギー準位の間隔(バンドギャップ)が広いこと、移動度が大きいこと、室温においても結晶化することなどの利点を有するため、近時注目されている。
【0005】
酸化亜鉛膜は、例えば、分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy)あるいは有機金属気相成長(Metalorganic Vapour Phase Epitaxy)等の方法により形成可能である。従来、酸化亜鉛の成膜は、サファイヤ基板上やプラスチック基板上で行われているが、レーザによる励起が必要であり、大面積基板上への成膜には適さない。そのため、この成膜方法は、生産性が低く、工業的に行われる成膜には適用できない。酸化亜鉛膜を大面積基板上に成膜できる方法としてマグネトロンスパッタリング法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−87833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マグネトロンスパッタリング法は、4インチのガラス基板上に半導体膜を形成することが可能であり、大型のターゲットを用いて、さらに大面積の成膜も検討されている。開発が進められているZnO−TFTでは、マグネトロンスパッタリング法を用いて、略1000Å以下の厚さを有するZnO活性層が形成されている。
【0007】
しかし、マグネトロンスパッタリング法によるZnO薄膜の成膜では、成膜速度が略20Å/minと小さいという問題があった。さらに、基板がプラズマに曝されるため、基板上に形成されたゲート絶縁膜が損傷されるという問題があった。例えば、P.F.Carciaらは、Mat.Res.Soc.Symp.vol1769(2003)に、従来のマグネトロンスパッタリング法により活性層を作成したZnO−TFT素子では、プラズマがゲート絶縁膜及び活性層自体にダメージを与えるため、移動度が略5cm2/(V・s)に止まることを開示する。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、基板にダメージを与えることなく酸化亜鉛等の膜を形成することができる膜形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、酸化亜鉛等の膜を高速かつ大面積に形成することができる膜形成方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る膜形成方法は、
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間にプラズマを発生させ、発生したプラズマで生成された粒子により前記一組のターゲットをスパッタリングし、
スパッタリングされた亜鉛粒子を酸化するとともに、生成した酸化亜鉛を含む生成物を、前記プラズマから離間された位置に堆積して半導体膜を形成する、
ことを特徴とする。
【0010】
亜鉛粒子を、堆積位置近傍にて、反応性ガスと反応させて酸化するとともに、堆積するようにしてもよい。
反応性ガスは、酸素、活性化酸素、オゾン、原子状酸素、酸素ラジカルのいずれかを含むことが望ましい。
【0011】
一組のターゲットは、同一の材料で形成されていることが望ましい。
磁界を印加して誘起されるプラズマ中に生成された荷電粒子より、電圧が印加された一組のターゲットをスパッタリングするようにしてもよい。
【0012】
ゲート電極、ゲート絶縁膜が形成された基板を、プラズマから離隔して、前記ゲート絶縁膜を介した基板表面近傍に半導体膜を形成することが望ましい。
【0013】
一方のターゲットは、少なくとも5N純度以上の純度を有する亜鉛から構成されることが望ましい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る半導体膜は、
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間に形成されたプラズマによるスパッタリングにより発生した亜鉛粒子が酸化されて生成した酸化亜鉛を含んだ生成物が、前記プラズマから離間された基板に、堆積されて形成された、
ことを特徴とする。
【0015】
一組のターゲットは同一の材料で形成されていることが望ましい。
半導体膜は、真性、n型またはp型の酸化亜鉛とすることができる。
半導体膜は、そのグレインサイズは20nm以下であることが望ましい。
また、一組のターゲットは異なる材料で形成されたものとすることができる。
半導体膜は、プラズマから鉛直方向に離間された基板に形成されることが望ましい。
【0016】
略100nmの厚さ近傍でX線回折法により測定された(002)方位のピークの半値幅が、0.50°以下であることが望ましい。
【0017】
半導体膜は、III族の金属から構成される他のターゲットと導電性亜鉛金属を含むターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子が、亜鉛粒子が酸化されて生成された酸化亜鉛と結合されて、基板に堆積されて形成することも可能である。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る積層絶縁膜は、
II族、III族若しくはIV族の別の金属から構成される対向ターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子を、反応性ガスと反応させて生成した反応生成物を、基板に順次堆積して形成された、
ことを特徴とする。
【0019】
反応生成物は、一方の金属粒子と酸素または窒素と反応して生成した酸化物または窒化物と他の金属の酸化物または窒化物との混合物であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板にダメージを与えることなく酸化亜鉛等の膜を形成することができる膜形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態にかかる透明導電膜が形成されたTFT素子及び透明導電膜の形成方法について、以下図面を参照して説明する。
【0022】
図1−(a),(b)は、それぞれ、本発明の実施形態にかかるTFT素子の構造を示す拡大平面図及び拡大断面図である。
図示されるように、メタルマスクを介したEB(Electron Beam)蒸着により形成されたAl等の金属からなるゲート電極11を覆うように、市販のガラス基板10上に、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により250℃の処理温度にて成膜された窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜12が形成されている。このゲート絶縁膜12上に、後述するように、対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタ法により、メタルマスクを介して略60Å/minの成膜速度にて成膜された、略1000Åの厚さを有する酸化亜鉛(ZnO)チャネル層(活性層)13が成膜形成されている。このZnO活性層13を介して対向するソース/ドレイン電極14が、メタルマスクを介したAl等の金属のEB蒸着により形成されて、ボトムゲート構造のZnO−TFT(Thin Film Transistor)素子1が製造される。ここで、SD電極間隔Lは、100μmであり、SD電極幅Wは、1.5mmである。
【0023】
図2に、半導体パラメータアナライザを用いて測定されたTFT素子1のON/OFF特性の一例を示す。SD電極間に10Vの電圧が印加されたときのON/OFF比は、3×107以上であった。なお、図示されるように、ゲート電圧Vgが印加されない時(Vg=0V)のSD電極間のOFF電流は、測定器の検出感度5×10−15A以下であった。ゲート電圧10Vが印加された時(Vg=10V)のSD電極間のON電流は、4×10−8Aであった。
【0024】
図3に、図2に示されるTFT素子のON/OFF特性のヒステリシス曲線を示す。図示されるように、繰り返し測定では、SD電極間のOFF電流は、略5×10−13Aであり、SD電極間のON電流は、8×10−7Aであった。
【0025】
図4に、XRD(X-ray Diffraction)を用いて測定されたTFT素子のZnO活性層13の回折スペクトルの一例を示す。図示されるように、このZnO活性層13は、c軸(002)方向のピーク強度1555.6cps、半値幅(FWHM)0.44により表される結晶性を有している。
【0026】
次に、図5を参照して、ZnO活性層の成膜方法について簡単に説明する。
同一の高純度のZnからなる1組(実施例では2個)のターゲットA、ターゲットBを、対向した配置されたアースシールド121内に配置する。
永久磁石122が配置された電極板123に、DC電源128により負電圧を印加して、形成された電磁場の作用により対向するターゲットA,Bの間に発生させたプラズマで、成膜室124上部から導入されたアルゴンガスを励起して、励起されたアルゴンイオンで、ターゲットA,Bをスパッタリングする。
このとき、成膜室124内の下部側の載置台126に載置された基板125近傍に、ガス供給ラインから、酸素ガスを所定の流量にて供給し、該基板125の表面近傍にて、スパッタリングされたZn粒子を酸素と反応させて、ゲート絶縁膜上に所定の膜厚のZnO膜を堆積する。
ここで、基板125は、成膜中、RF電源129の印加により発生したプラズマから鉛直下方に離間された位置に載置されており、プラズマの影響を実質的に受けない。
また、アースシールド121が配置される成膜室124上部に供給されるアルゴンガスに対して、酸素ガスは、基板125が配置される成膜室124下部に対して供給される。アルゴンガスは、成膜室124上部にて確保され、基板125近傍に供給された酸素ガスは、成膜室124下部に滞留する。成膜室124上部に発生するプラズマは成膜室124上部に閉じ込められ、成膜室124下部には発生しない。したがって、対向するターゲットA,Bの間に生成したプラズマは、アルゴンガスを励起するが、基板125近傍の酸素ガスは励起しない。
なお、ガラス基板は、図示しない駆動装置により旋回可能であるが、ZnOの成膜中には静止されており、バイアス電圧は印加されず、基板温度は室温である。
従って、載置台126の下方に備えられたヒータ127は、使用しないか、あるいはガラス基板が室温になるように加熱する。
【0027】
対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタでは、プラズマが基板125上方の対向するターゲットA,B間に形成され、直接基板125に作用しないため、ZnO活性層13は、ゲート電極11及びゲート絶縁膜12にダメージを加えずに形成される。
図1に戻って、ZnO活性層13では、ゲート電極11に印加される電圧により誘起されるキャリアがSD電極間を移動する。c軸(002)方向への優先配向を示す結晶性の良好なZnO活性層13は、上記キャリアの移動度を相対的に高く維持する。そのため、TFT素子1は、ゲート電極及びチャネル層を細線化しても相対的に高いON/OFF電流比を有し、スイッチングに対して高速に応答する。
【0028】
以下、実施例を用いて、本発明の実施形態にかかるZnO膜及び積層絶縁膜の製膜条件についてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
成膜室内に配置されたコーニング#1737と同等のガラス基板上に、表1に示す成膜条件にて、図5に示す対向ターゲット方式のスパッタリング装置の成膜室124内に5N純度のZnからなる一組のターゲットA,Bを配置して、略1000ÅのZnO膜を形成した。
(成膜条件)
【表1】
【0029】
XRDを用いて、このZnO膜と比較例1にて成膜されたZnO膜との回折スペクトルを測定した。図6に、両者の回折スペクトルを示す。実施例1のZnO膜は、比較例1のZnO膜に比して、(002)方位に略6倍のピーク強度を有し、その半値幅(FWHM)も、比較例1のZnO膜より小さい。
【0030】
形成されたZnO膜の一部を傷つけ、その断面を露出させて、45度斜めの角度からSEM観察を行った。図7に、表面のSEM観察像を示す。点線で示された領域の表面は、平滑である。また、その領域には、20nm以下のグレインが観察された。
【0031】
(実施例2)
5N純度Tiと5N純度Siとを対向ターゲットに用いて、基板温度を70℃とした以外は、表1に記載された条件に設定して、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(TiOx/SiOy)z積層絶縁膜を形成した。表2に示すように、SEM観察によれば、(TiOx/SiOy)z積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
(形成された各種積層膜のSEM観察結果)
【表2】
【0032】
(実施例3)
O2ガスの代わりにN2ガスを供給し、その流量を50sccmとし、基板温度を150℃とした以外は、実施例2と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(TiNx/SiNy)z積層絶縁膜を形成した。表2に示したように、SEM観察によれば、(TiNx/SiNy)z積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0033】
(実施例4)
実施例3で用いた5N純度Siの代わりに、5N純度Alを対向ターゲットに使用して、基板温度を100℃とした以外は、実施例3と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(TiNx/AlNy)z積層絶縁膜を形成した。表2に示したように、SEM観察によれば、(TiNx/AlNy)z積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0034】
(実施例5)
intrinsic-ZnOと5N純度Mgとを対向ターゲットに用いて、O2ガスの流量をゼロとし、N2ガスを25sccmの流量で供給した以外は実施例1と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜を形成した。表2に示したように、SEM観察によれば、(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0035】
(実施例6)
亜鉛とマグネシウムとの共酸化物(ZnMgO)、及び、窒素が配位した亜鉛酸化物(ZnO:N)を対向ターゲットに用いて、N2流量をゼロとした以外は、実施例5と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜を形成した。SEM観察によれば、(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0036】
(実施例7)
断面の長軸の大きさが300mmのサイズの5N純度の金属亜鉛ターゲットを用いた以外は、実施例1と同様の成膜条件にて、2枚の4インチガラス基板に、ZnO膜を形成した。形成されたZnO膜の平均厚さは、略1000Åであり、それぞれの基板の膜厚の面内のばらつきは、略10%以下であった。
【0037】
(比較例1)
被処理基板がターゲットに対面して配置される周知の高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いて、表3に示す成膜条件にて、コーニング#1737と同等のガラス基板上に略1000Åの膜厚を有するZnO膜を形成した。ZnO膜が形成された基板には、損傷が観察された。
(高周波マグネトロンスパッタによる成膜条件)
【表3】
図7に示したように、比較例1のZnO膜は、(002)方位に247.1cpsのピーク強度を有し、その半値幅(FWHM)は、0.51であった。
実施例1と同様にして、ZnO膜のSEM観察を行った。図8に、表面のSEM観察像を示す。膜の表面は、実施例1に比較して粗く、その表面には、略50nmのグレインが観察された。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ZnO活性層を対向ターゲット方式の反応性スパッタリング法を用いて形成するため、ボトムゲート構造のZnO−TFT素子において、ゲート電極及びゲート絶縁膜にプラズマダメージを加えずに、ZnO活性層を形成することができる。
【0039】
比較例1に示した条件で作成されたZnO活性層を有する、ボトムゲート構造(逆スタガ構造)のTFT素子では、ゲート絶縁膜のダメージが観察され、TFT素子の動作に関して、移動度の低下、OFF電流の上昇などの望ましくない結果が得られた。
【0040】
このことは、被処理基板がターゲットに対面していることにより引き起こされたと考えられる。
被処理基板の位置がターゲットの軸方向からずらされた状態(オフアクシス)となる、対向ターゲット方式のマグネトロンスパッタリング法を用いて、ZnO薄膜を被処理基板上に成膜することにより、基板へのプラズマダメージが大幅に低減された。
【0041】
また、上記の実施形態によれば、基板を加熱することなく、ZnO活性層を形成できる。このとき、ZnO活性層の試料温度は、略70℃以下である。
【0042】
さらに、上記の実施形態によれば、略150Å/min以上の高い成膜速度を実現することができる。
従来の高抵抗酸化亜鉛ターゲットを用いた高周波マグネトロンスパッタリング法によるZnO薄膜の形成では、成膜速度は、略20Å/minであった。上記の高純度の導電性金属亜鉛ターゲットを用いて、酸素ガスが導入された反応性DCマグネトロンスパッタリング法により、ZnO薄膜は、略150Å/min以上の高い成膜速度にて、形成可能である。
【0043】
上記の実施形態によれば、従来の高周波マグネトロンスパッタリングに比較して、ZnO膜の結晶性が向上する。
【0044】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、その応用及び変形等は任意である。
上記の実施形態では、ゲートが形成されたTFT素子にZnO活性層を成膜し、ボトムゲート構造のTFT素子を得ると説明した。しかし、ZnO活性層を成膜した後、ゲート電極を形成してもよい。例えば、図9に示すように、ガラス基板21上に、対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタリングにより、略1000Åの厚さを有するZnO活性層22を成膜する。このZnO活性層22上に、ソース/ドレイン電極23、ゲート絶縁膜24、ゲート電極25を順次形成して、トップゲート構造のTFT素子20が得られる。
この場合には、ゲート絶縁膜24を形成するときに、その処理温度で、ZnO活性層22がアニールされる。そのため、ZnO活性層22の結晶性がさらに向上し、その結果、移動度も上昇する。
【0045】
上記の実施形態では、Alゲート電極に対応するように形成されたZnO活性層を挟むようにして、対向するSD電極を形成すると説明した。しかし、図10−(a)に示すように、ゲート絶縁膜12上に形成されたZnO活性層13上に、その下面全体がZnO活性層13に接するように、互いに対向するSD電極14を形成してもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、n+領域については特に説明しなかったが、TFT素子のON電流特性を向上させるため、n+領域を形成することが望ましい。
図10−(b)に示すように、ゲート絶縁膜12上に形成されたZnO活性層13上に、対向ターゲット方式のDCマグネトロンスパッタリング法を用いて、例えばインジウム及び亜鉛をターゲットとして、若しくは、ガリウム及び亜鉛をターゲットとして、酸素ガスを用いた反応性スパッタリングにより、抵抗の低い透明導電膜をn+領域として形成することが好ましい。この場合、インジウム−亜鉛酸化物(InZnO)またはガリウム−亜鉛酸化物(GaZnO)等の同一の材料からなる一組のターゲットを用いて、実施例1と同様にDCマグネトロンスパッタリングによりn型の酸化亜鉛膜を形成することもできる。なお、n+領域として、AlZnO、ZnO:F等のZnOの他の金属との共酸化物や非金属原子の配位したZnO酸化物膜を使用することもできる。
また、対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタリング法によりp型の酸化亜鉛半導体膜を形成することも可能である。この場合、酸化亜鉛を主材料とし、Ga、In、Al等のドナーを含む同一の材料からなる複数のターゲットを一組として、対向ターゲット方式のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、N2ガスを供給することにより、ドナーおよびNを含むP型の酸化亜鉛半導体を形成することができる。
【0047】
上記の実施形態では、基板温度は室温に設定されると説明したが、ZnO薄膜の結晶性を向上させるため、基板上に堆積された未反応のZn粒子と、O2等の反応性ガスとの反応性を促進するため、及びZnO薄膜の成膜速度を向上させるために、基板の表面を、ヒータ等により加熱して、昇温してもよい。
【0048】
上記の実施形態では、ガラス基板にバイアス電圧を印加することについては特に説明しなかった。しかし、さらにZnO膜の結晶性を向上させるため、DC、パルスもしくは高周波電圧のバイアス電圧(電界)を印加してもよい。この場合、バイアス電圧を制御することにより、電極板に印加される電圧が相対的に小さくても、ガラス基板表面に、イオン成分の運動エネルギーをコントロールして、従来の高周波マグネトロンスパッタリングと同等な入射エネルギーにて、スパッタリングされた粒子を堆積することが可能となる。一方、従来法によるZnO膜の形成では、プラズマダメージを最小限にするために、基板に自己バイアス電圧を印加することができない。そのため、高い運動エネルギー成分を有するスパッタリングされた粒子のイオンエネルギーを制御することができなかった。
【0049】
上記の実施形態では、静止された2枚の4インチ被処理基板に、10%以内の面内均一性で、同時に成膜可能であると説明した。さらに、成膜中にガラス基板を順次旋回させることにより、連続して幅300mmの成膜を行うことができる。また、断面の長軸が300mmより大きいターゲットを使用することにより、幅300mm以上の成膜も可能である。このように、ガラス基板の移動とターゲットサイズの変更により、さらに大面積のZnO膜を同時に成膜することもできる。
【0050】
上記の実施形態では、成膜時、酸素ガス等を導入すると説明したが、成膜速度の向上、反応性の向上のために、活性化した酸素、オゾン、原子状酸素、酸素ラジカル等を導入してもよい。
【0051】
上記の実施形態では、定電流DC電源から電極板に電圧を印加すると説明したが、パルス電源あるいは高周波電源を用いて電極板に電圧を印加するようにしてもよい。この場合、パルス電源にはパルス同調回路、高周波電源にはマッチングボックス等の所定の整合装置が含まれる。
【0052】
上記の実施形態では、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜は、PE−CVDにより250℃の処理温度にて形成されると説明したが、高周波の電界成分も利用されるICP(inductive coupled plasma)−CVDにより、例えば150℃以下の処理温度にてゲート絶縁膜を成膜してもよい。
【0053】
上記の実施形態では、ゲート絶縁膜をPE−CVDにより形成すると説明したが、ゲート絶縁膜は窒化シリコン膜に限定されない。例えば、図11に示すように、対向ターゲット方式のスパッタリングにより、ガラス基板31上に形成されたゲート電極32を覆うように、(TiOx/SiOy)z積層膜、(TiNx/SiNy)z積層膜、(ZnMgO/ZnO:N)x積層膜等のいずれかからなるゲート絶縁膜33を形成してもよい。この場合、この積層膜からなるゲート絶縁膜33上にZnO活性層34およびSD電極35を形成してTFT素子30が得られる。
なお、実施例では、上記金属のターゲットから構成される一組のターゲット、若しくは、上記金属の酸化物または窒化物から構成される一組のターゲットのスパッタリングにより、上記絶縁膜を形成すると説明した。しかし、一方が金属ターゲットで、他方が金属酸化物または金属窒化物から構成される一組のターゲットをスパッタリングして、上記絶縁膜を形成することもできる。
【0054】
上記の実施形態では、TFT素子1は、ガラス基板10上に構成されると説明した。しかし、ゲート絶縁膜を150℃以下の処理温度で、ZnO活性層を室温にて成膜することができるので、TFT素子をプラスチック基板上に構成することが可能である。
また、プラスチック基板上に構成される素子は、TFTに限定されず、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、MESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)等の薄膜トランジスタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る透明導電膜が形成されたTFT素子の構造を示す模式図である。 (a)は拡大平面図である。(b)は拡大断面図である。
【図2】半導体パラメータアナライザを用いて測定された図1のTFT素子のON/OFF特性の例を示す測定チャートである。
【図3】半導体パラメータアナライザを用いて測定された図1のTFT素子のON/OFF特性の別の例を示す測定チャートである。
【図4】XRDにより測定されたZnO活性層の回折スペクトルの例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る対向ターゲット方式のマグネトロンスパッタリング装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】実施例1及び比較例1で形成されたZnO活性層のXRDにより測定された回折スペクトルの例を示す模式図である。
【図7】実施例1で形成されたZnO活性層の膜表面を示すSEM画像である。
【図8】比較例1のZnO活性層の膜表面を示すSEM画像である。
【図9】本発明の実施形態に係るゲート絶縁膜が形成されたTFT素子の概略構造を示す模式図である。
【図10】(a)は、透明導電膜が形成されたTFT素子の他の構造を示す模式図である。 (b)は、n+領域が形成されたTFT素子の概略構造を示す模式図である。
【図11】別のゲート構造を有するTFT素子の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 TFT素子
10 ガラス基板
11 Alゲート電極
12 SiNゲート絶縁膜
13 ZnO活性層
14 ソース/ドレイン電極
20 TFT素子
21 ガラス基板
22 ZnO活性層
23 ソース/ドレイン電極
24 SiNゲート絶縁膜
25 Alゲート電極
30 TFT素子
31 基板
32 Alゲート電極
33 ゲート絶縁膜
34 ZnO活性層
35 ソース/ドレイン電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜形成方法、半導体膜、及び積層絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティブマトリックス液晶TFT(Thin Film Transistor)のチャネル層(活性層)にはアモルファスシリコン膜が広く用いられてきた。
アモルファスシリコン膜の移動度は、略1cm2/(V・s)と小さく、要求されるTFT素子のON/OFF特性を確保するために、配線線幅を細くすることができない。そのため、高精細、高輝度、高速応答等の性能が求められる次世代液晶TFTとして、アモルファスシリコンに代わって、より結晶性が高く、移動度が大きい低温ポリシリコンを使用した低温ポリシリコンTFTが開発され、小型液晶装置等に導入されている。
【0003】
低温ポリシリコンの結晶化を促進し、移動度を向上させるために、エキシマレーザ装置を用いたアニール等の処理が行われる。TFT素子のソース・ドレイン間隔(略数μm)と低温ポリシリコンの結晶粒子のサイズ(略1μm)とが近接するため、ソース電極とドレイン電極との間における結晶粒界の密度にばらつきが生じ易い。そのため、低温ポリシリコンを用いた場合には、面内で均一な動作特性を有するTFT素子を作成することが難しく、従って、歩留まりが低い。また、エキシマレーザ装置等の製造装置が高価であり、低温ポリシリコンに比較して、製造原価が高い。このため、現状では、低温ポリシリコンTFTへの投資効果は小さい。
【0004】
一方、上述したアモルファスシリコン及び低温ポリシリコン以外の半導体材料を用いてTFT素子を作成することが、実験室規模で試みられている。酸化亜鉛(ZnO)は、エネルギー準位の間隔(バンドギャップ)が広いこと、移動度が大きいこと、室温においても結晶化することなどの利点を有するため、近時注目されている。
【0005】
酸化亜鉛膜は、例えば、分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy)あるいは有機金属気相成長(Metalorganic Vapour Phase Epitaxy)等の方法により形成可能である。従来、酸化亜鉛の成膜は、サファイヤ基板上やプラスチック基板上で行われているが、レーザによる励起が必要であり、大面積基板上への成膜には適さない。そのため、この成膜方法は、生産性が低く、工業的に行われる成膜には適用できない。酸化亜鉛膜を大面積基板上に成膜できる方法としてマグネトロンスパッタリング法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−87833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マグネトロンスパッタリング法は、4インチのガラス基板上に半導体膜を形成することが可能であり、大型のターゲットを用いて、さらに大面積の成膜も検討されている。開発が進められているZnO−TFTでは、マグネトロンスパッタリング法を用いて、略1000Å以下の厚さを有するZnO活性層が形成されている。
【0007】
しかし、マグネトロンスパッタリング法によるZnO薄膜の成膜では、成膜速度が略20Å/minと小さいという問題があった。さらに、基板がプラズマに曝されるため、基板上に形成されたゲート絶縁膜が損傷されるという問題があった。例えば、P.F.Carciaらは、Mat.Res.Soc.Symp.vol1769(2003)に、従来のマグネトロンスパッタリング法により活性層を作成したZnO−TFT素子では、プラズマがゲート絶縁膜及び活性層自体にダメージを与えるため、移動度が略5cm2/(V・s)に止まることを開示する。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、基板にダメージを与えることなく酸化亜鉛等の膜を形成することができる膜形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、酸化亜鉛等の膜を高速かつ大面積に形成することができる膜形成方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る膜形成方法は、
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間にプラズマを発生させ、発生したプラズマで生成された粒子により前記一組のターゲットをスパッタリングし、
スパッタリングされた亜鉛粒子を酸化するとともに、生成した酸化亜鉛を含む生成物を、前記プラズマから離間された位置に堆積して半導体膜を形成する、
ことを特徴とする。
【0010】
亜鉛粒子を、堆積位置近傍にて、反応性ガスと反応させて酸化するとともに、堆積するようにしてもよい。
反応性ガスは、酸素、活性化酸素、オゾン、原子状酸素、酸素ラジカルのいずれかを含むことが望ましい。
【0011】
一組のターゲットは、同一の材料で形成されていることが望ましい。
磁界を印加して誘起されるプラズマ中に生成された荷電粒子より、電圧が印加された一組のターゲットをスパッタリングするようにしてもよい。
【0012】
ゲート電極、ゲート絶縁膜が形成された基板を、プラズマから離隔して、前記ゲート絶縁膜を介した基板表面近傍に半導体膜を形成することが望ましい。
【0013】
一方のターゲットは、少なくとも5N純度以上の純度を有する亜鉛から構成されることが望ましい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る半導体膜は、
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間に形成されたプラズマによるスパッタリングにより発生した亜鉛粒子が酸化されて生成した酸化亜鉛を含んだ生成物が、前記プラズマから離間された基板に、堆積されて形成された、
ことを特徴とする。
【0015】
一組のターゲットは同一の材料で形成されていることが望ましい。
半導体膜は、真性、n型またはp型の酸化亜鉛とすることができる。
半導体膜は、そのグレインサイズは20nm以下であることが望ましい。
また、一組のターゲットは異なる材料で形成されたものとすることができる。
半導体膜は、プラズマから鉛直方向に離間された基板に形成されることが望ましい。
【0016】
略100nmの厚さ近傍でX線回折法により測定された(002)方位のピークの半値幅が、0.50°以下であることが望ましい。
【0017】
半導体膜は、III族の金属から構成される他のターゲットと導電性亜鉛金属を含むターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子が、亜鉛粒子が酸化されて生成された酸化亜鉛と結合されて、基板に堆積されて形成することも可能である。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る積層絶縁膜は、
II族、III族若しくはIV族の別の金属から構成される対向ターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子を、反応性ガスと反応させて生成した反応生成物を、基板に順次堆積して形成された、
ことを特徴とする。
【0019】
反応生成物は、一方の金属粒子と酸素または窒素と反応して生成した酸化物または窒化物と他の金属の酸化物または窒化物との混合物であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板にダメージを与えることなく酸化亜鉛等の膜を形成することができる膜形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態にかかる透明導電膜が形成されたTFT素子及び透明導電膜の形成方法について、以下図面を参照して説明する。
【0022】
図1−(a),(b)は、それぞれ、本発明の実施形態にかかるTFT素子の構造を示す拡大平面図及び拡大断面図である。
図示されるように、メタルマスクを介したEB(Electron Beam)蒸着により形成されたAl等の金属からなるゲート電極11を覆うように、市販のガラス基板10上に、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により250℃の処理温度にて成膜された窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜12が形成されている。このゲート絶縁膜12上に、後述するように、対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタ法により、メタルマスクを介して略60Å/minの成膜速度にて成膜された、略1000Åの厚さを有する酸化亜鉛(ZnO)チャネル層(活性層)13が成膜形成されている。このZnO活性層13を介して対向するソース/ドレイン電極14が、メタルマスクを介したAl等の金属のEB蒸着により形成されて、ボトムゲート構造のZnO−TFT(Thin Film Transistor)素子1が製造される。ここで、SD電極間隔Lは、100μmであり、SD電極幅Wは、1.5mmである。
【0023】
図2に、半導体パラメータアナライザを用いて測定されたTFT素子1のON/OFF特性の一例を示す。SD電極間に10Vの電圧が印加されたときのON/OFF比は、3×107以上であった。なお、図示されるように、ゲート電圧Vgが印加されない時(Vg=0V)のSD電極間のOFF電流は、測定器の検出感度5×10−15A以下であった。ゲート電圧10Vが印加された時(Vg=10V)のSD電極間のON電流は、4×10−8Aであった。
【0024】
図3に、図2に示されるTFT素子のON/OFF特性のヒステリシス曲線を示す。図示されるように、繰り返し測定では、SD電極間のOFF電流は、略5×10−13Aであり、SD電極間のON電流は、8×10−7Aであった。
【0025】
図4に、XRD(X-ray Diffraction)を用いて測定されたTFT素子のZnO活性層13の回折スペクトルの一例を示す。図示されるように、このZnO活性層13は、c軸(002)方向のピーク強度1555.6cps、半値幅(FWHM)0.44により表される結晶性を有している。
【0026】
次に、図5を参照して、ZnO活性層の成膜方法について簡単に説明する。
同一の高純度のZnからなる1組(実施例では2個)のターゲットA、ターゲットBを、対向した配置されたアースシールド121内に配置する。
永久磁石122が配置された電極板123に、DC電源128により負電圧を印加して、形成された電磁場の作用により対向するターゲットA,Bの間に発生させたプラズマで、成膜室124上部から導入されたアルゴンガスを励起して、励起されたアルゴンイオンで、ターゲットA,Bをスパッタリングする。
このとき、成膜室124内の下部側の載置台126に載置された基板125近傍に、ガス供給ラインから、酸素ガスを所定の流量にて供給し、該基板125の表面近傍にて、スパッタリングされたZn粒子を酸素と反応させて、ゲート絶縁膜上に所定の膜厚のZnO膜を堆積する。
ここで、基板125は、成膜中、RF電源129の印加により発生したプラズマから鉛直下方に離間された位置に載置されており、プラズマの影響を実質的に受けない。
また、アースシールド121が配置される成膜室124上部に供給されるアルゴンガスに対して、酸素ガスは、基板125が配置される成膜室124下部に対して供給される。アルゴンガスは、成膜室124上部にて確保され、基板125近傍に供給された酸素ガスは、成膜室124下部に滞留する。成膜室124上部に発生するプラズマは成膜室124上部に閉じ込められ、成膜室124下部には発生しない。したがって、対向するターゲットA,Bの間に生成したプラズマは、アルゴンガスを励起するが、基板125近傍の酸素ガスは励起しない。
なお、ガラス基板は、図示しない駆動装置により旋回可能であるが、ZnOの成膜中には静止されており、バイアス電圧は印加されず、基板温度は室温である。
従って、載置台126の下方に備えられたヒータ127は、使用しないか、あるいはガラス基板が室温になるように加熱する。
【0027】
対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタでは、プラズマが基板125上方の対向するターゲットA,B間に形成され、直接基板125に作用しないため、ZnO活性層13は、ゲート電極11及びゲート絶縁膜12にダメージを加えずに形成される。
図1に戻って、ZnO活性層13では、ゲート電極11に印加される電圧により誘起されるキャリアがSD電極間を移動する。c軸(002)方向への優先配向を示す結晶性の良好なZnO活性層13は、上記キャリアの移動度を相対的に高く維持する。そのため、TFT素子1は、ゲート電極及びチャネル層を細線化しても相対的に高いON/OFF電流比を有し、スイッチングに対して高速に応答する。
【0028】
以下、実施例を用いて、本発明の実施形態にかかるZnO膜及び積層絶縁膜の製膜条件についてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
成膜室内に配置されたコーニング#1737と同等のガラス基板上に、表1に示す成膜条件にて、図5に示す対向ターゲット方式のスパッタリング装置の成膜室124内に5N純度のZnからなる一組のターゲットA,Bを配置して、略1000ÅのZnO膜を形成した。
(成膜条件)
【表1】
【0029】
XRDを用いて、このZnO膜と比較例1にて成膜されたZnO膜との回折スペクトルを測定した。図6に、両者の回折スペクトルを示す。実施例1のZnO膜は、比較例1のZnO膜に比して、(002)方位に略6倍のピーク強度を有し、その半値幅(FWHM)も、比較例1のZnO膜より小さい。
【0030】
形成されたZnO膜の一部を傷つけ、その断面を露出させて、45度斜めの角度からSEM観察を行った。図7に、表面のSEM観察像を示す。点線で示された領域の表面は、平滑である。また、その領域には、20nm以下のグレインが観察された。
【0031】
(実施例2)
5N純度Tiと5N純度Siとを対向ターゲットに用いて、基板温度を70℃とした以外は、表1に記載された条件に設定して、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(TiOx/SiOy)z積層絶縁膜を形成した。表2に示すように、SEM観察によれば、(TiOx/SiOy)z積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
(形成された各種積層膜のSEM観察結果)
【表2】
【0032】
(実施例3)
O2ガスの代わりにN2ガスを供給し、その流量を50sccmとし、基板温度を150℃とした以外は、実施例2と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(TiNx/SiNy)z積層絶縁膜を形成した。表2に示したように、SEM観察によれば、(TiNx/SiNy)z積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0033】
(実施例4)
実施例3で用いた5N純度Siの代わりに、5N純度Alを対向ターゲットに使用して、基板温度を100℃とした以外は、実施例3と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(TiNx/AlNy)z積層絶縁膜を形成した。表2に示したように、SEM観察によれば、(TiNx/AlNy)z積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0034】
(実施例5)
intrinsic-ZnOと5N純度Mgとを対向ターゲットに用いて、O2ガスの流量をゼロとし、N2ガスを25sccmの流量で供給した以外は実施例1と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜を形成した。表2に示したように、SEM観察によれば、(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0035】
(実施例6)
亜鉛とマグネシウムとの共酸化物(ZnMgO)、及び、窒素が配位した亜鉛酸化物(ZnO:N)を対向ターゲットに用いて、N2流量をゼロとした以外は、実施例5と同様にして、コーニング#1737と同等のガラス基板上に(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜を形成した。SEM観察によれば、(ZnMgO/ZnO:N)x積層絶縁膜は、平滑な表面を有していた。
【0036】
(実施例7)
断面の長軸の大きさが300mmのサイズの5N純度の金属亜鉛ターゲットを用いた以外は、実施例1と同様の成膜条件にて、2枚の4インチガラス基板に、ZnO膜を形成した。形成されたZnO膜の平均厚さは、略1000Åであり、それぞれの基板の膜厚の面内のばらつきは、略10%以下であった。
【0037】
(比較例1)
被処理基板がターゲットに対面して配置される周知の高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いて、表3に示す成膜条件にて、コーニング#1737と同等のガラス基板上に略1000Åの膜厚を有するZnO膜を形成した。ZnO膜が形成された基板には、損傷が観察された。
(高周波マグネトロンスパッタによる成膜条件)
【表3】
図7に示したように、比較例1のZnO膜は、(002)方位に247.1cpsのピーク強度を有し、その半値幅(FWHM)は、0.51であった。
実施例1と同様にして、ZnO膜のSEM観察を行った。図8に、表面のSEM観察像を示す。膜の表面は、実施例1に比較して粗く、その表面には、略50nmのグレインが観察された。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ZnO活性層を対向ターゲット方式の反応性スパッタリング法を用いて形成するため、ボトムゲート構造のZnO−TFT素子において、ゲート電極及びゲート絶縁膜にプラズマダメージを加えずに、ZnO活性層を形成することができる。
【0039】
比較例1に示した条件で作成されたZnO活性層を有する、ボトムゲート構造(逆スタガ構造)のTFT素子では、ゲート絶縁膜のダメージが観察され、TFT素子の動作に関して、移動度の低下、OFF電流の上昇などの望ましくない結果が得られた。
【0040】
このことは、被処理基板がターゲットに対面していることにより引き起こされたと考えられる。
被処理基板の位置がターゲットの軸方向からずらされた状態(オフアクシス)となる、対向ターゲット方式のマグネトロンスパッタリング法を用いて、ZnO薄膜を被処理基板上に成膜することにより、基板へのプラズマダメージが大幅に低減された。
【0041】
また、上記の実施形態によれば、基板を加熱することなく、ZnO活性層を形成できる。このとき、ZnO活性層の試料温度は、略70℃以下である。
【0042】
さらに、上記の実施形態によれば、略150Å/min以上の高い成膜速度を実現することができる。
従来の高抵抗酸化亜鉛ターゲットを用いた高周波マグネトロンスパッタリング法によるZnO薄膜の形成では、成膜速度は、略20Å/minであった。上記の高純度の導電性金属亜鉛ターゲットを用いて、酸素ガスが導入された反応性DCマグネトロンスパッタリング法により、ZnO薄膜は、略150Å/min以上の高い成膜速度にて、形成可能である。
【0043】
上記の実施形態によれば、従来の高周波マグネトロンスパッタリングに比較して、ZnO膜の結晶性が向上する。
【0044】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、その応用及び変形等は任意である。
上記の実施形態では、ゲートが形成されたTFT素子にZnO活性層を成膜し、ボトムゲート構造のTFT素子を得ると説明した。しかし、ZnO活性層を成膜した後、ゲート電極を形成してもよい。例えば、図9に示すように、ガラス基板21上に、対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタリングにより、略1000Åの厚さを有するZnO活性層22を成膜する。このZnO活性層22上に、ソース/ドレイン電極23、ゲート絶縁膜24、ゲート電極25を順次形成して、トップゲート構造のTFT素子20が得られる。
この場合には、ゲート絶縁膜24を形成するときに、その処理温度で、ZnO活性層22がアニールされる。そのため、ZnO活性層22の結晶性がさらに向上し、その結果、移動度も上昇する。
【0045】
上記の実施形態では、Alゲート電極に対応するように形成されたZnO活性層を挟むようにして、対向するSD電極を形成すると説明した。しかし、図10−(a)に示すように、ゲート絶縁膜12上に形成されたZnO活性層13上に、その下面全体がZnO活性層13に接するように、互いに対向するSD電極14を形成してもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、n+領域については特に説明しなかったが、TFT素子のON電流特性を向上させるため、n+領域を形成することが望ましい。
図10−(b)に示すように、ゲート絶縁膜12上に形成されたZnO活性層13上に、対向ターゲット方式のDCマグネトロンスパッタリング法を用いて、例えばインジウム及び亜鉛をターゲットとして、若しくは、ガリウム及び亜鉛をターゲットとして、酸素ガスを用いた反応性スパッタリングにより、抵抗の低い透明導電膜をn+領域として形成することが好ましい。この場合、インジウム−亜鉛酸化物(InZnO)またはガリウム−亜鉛酸化物(GaZnO)等の同一の材料からなる一組のターゲットを用いて、実施例1と同様にDCマグネトロンスパッタリングによりn型の酸化亜鉛膜を形成することもできる。なお、n+領域として、AlZnO、ZnO:F等のZnOの他の金属との共酸化物や非金属原子の配位したZnO酸化物膜を使用することもできる。
また、対向ターゲット方式の反応性DCマグネトロンスパッタリング法によりp型の酸化亜鉛半導体膜を形成することも可能である。この場合、酸化亜鉛を主材料とし、Ga、In、Al等のドナーを含む同一の材料からなる複数のターゲットを一組として、対向ターゲット方式のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、N2ガスを供給することにより、ドナーおよびNを含むP型の酸化亜鉛半導体を形成することができる。
【0047】
上記の実施形態では、基板温度は室温に設定されると説明したが、ZnO薄膜の結晶性を向上させるため、基板上に堆積された未反応のZn粒子と、O2等の反応性ガスとの反応性を促進するため、及びZnO薄膜の成膜速度を向上させるために、基板の表面を、ヒータ等により加熱して、昇温してもよい。
【0048】
上記の実施形態では、ガラス基板にバイアス電圧を印加することについては特に説明しなかった。しかし、さらにZnO膜の結晶性を向上させるため、DC、パルスもしくは高周波電圧のバイアス電圧(電界)を印加してもよい。この場合、バイアス電圧を制御することにより、電極板に印加される電圧が相対的に小さくても、ガラス基板表面に、イオン成分の運動エネルギーをコントロールして、従来の高周波マグネトロンスパッタリングと同等な入射エネルギーにて、スパッタリングされた粒子を堆積することが可能となる。一方、従来法によるZnO膜の形成では、プラズマダメージを最小限にするために、基板に自己バイアス電圧を印加することができない。そのため、高い運動エネルギー成分を有するスパッタリングされた粒子のイオンエネルギーを制御することができなかった。
【0049】
上記の実施形態では、静止された2枚の4インチ被処理基板に、10%以内の面内均一性で、同時に成膜可能であると説明した。さらに、成膜中にガラス基板を順次旋回させることにより、連続して幅300mmの成膜を行うことができる。また、断面の長軸が300mmより大きいターゲットを使用することにより、幅300mm以上の成膜も可能である。このように、ガラス基板の移動とターゲットサイズの変更により、さらに大面積のZnO膜を同時に成膜することもできる。
【0050】
上記の実施形態では、成膜時、酸素ガス等を導入すると説明したが、成膜速度の向上、反応性の向上のために、活性化した酸素、オゾン、原子状酸素、酸素ラジカル等を導入してもよい。
【0051】
上記の実施形態では、定電流DC電源から電極板に電圧を印加すると説明したが、パルス電源あるいは高周波電源を用いて電極板に電圧を印加するようにしてもよい。この場合、パルス電源にはパルス同調回路、高周波電源にはマッチングボックス等の所定の整合装置が含まれる。
【0052】
上記の実施形態では、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜は、PE−CVDにより250℃の処理温度にて形成されると説明したが、高周波の電界成分も利用されるICP(inductive coupled plasma)−CVDにより、例えば150℃以下の処理温度にてゲート絶縁膜を成膜してもよい。
【0053】
上記の実施形態では、ゲート絶縁膜をPE−CVDにより形成すると説明したが、ゲート絶縁膜は窒化シリコン膜に限定されない。例えば、図11に示すように、対向ターゲット方式のスパッタリングにより、ガラス基板31上に形成されたゲート電極32を覆うように、(TiOx/SiOy)z積層膜、(TiNx/SiNy)z積層膜、(ZnMgO/ZnO:N)x積層膜等のいずれかからなるゲート絶縁膜33を形成してもよい。この場合、この積層膜からなるゲート絶縁膜33上にZnO活性層34およびSD電極35を形成してTFT素子30が得られる。
なお、実施例では、上記金属のターゲットから構成される一組のターゲット、若しくは、上記金属の酸化物または窒化物から構成される一組のターゲットのスパッタリングにより、上記絶縁膜を形成すると説明した。しかし、一方が金属ターゲットで、他方が金属酸化物または金属窒化物から構成される一組のターゲットをスパッタリングして、上記絶縁膜を形成することもできる。
【0054】
上記の実施形態では、TFT素子1は、ガラス基板10上に構成されると説明した。しかし、ゲート絶縁膜を150℃以下の処理温度で、ZnO活性層を室温にて成膜することができるので、TFT素子をプラスチック基板上に構成することが可能である。
また、プラスチック基板上に構成される素子は、TFTに限定されず、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、MESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)等の薄膜トランジスタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る透明導電膜が形成されたTFT素子の構造を示す模式図である。 (a)は拡大平面図である。(b)は拡大断面図である。
【図2】半導体パラメータアナライザを用いて測定された図1のTFT素子のON/OFF特性の例を示す測定チャートである。
【図3】半導体パラメータアナライザを用いて測定された図1のTFT素子のON/OFF特性の別の例を示す測定チャートである。
【図4】XRDにより測定されたZnO活性層の回折スペクトルの例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る対向ターゲット方式のマグネトロンスパッタリング装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】実施例1及び比較例1で形成されたZnO活性層のXRDにより測定された回折スペクトルの例を示す模式図である。
【図7】実施例1で形成されたZnO活性層の膜表面を示すSEM画像である。
【図8】比較例1のZnO活性層の膜表面を示すSEM画像である。
【図9】本発明の実施形態に係るゲート絶縁膜が形成されたTFT素子の概略構造を示す模式図である。
【図10】(a)は、透明導電膜が形成されたTFT素子の他の構造を示す模式図である。 (b)は、n+領域が形成されたTFT素子の概略構造を示す模式図である。
【図11】別のゲート構造を有するTFT素子の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 TFT素子
10 ガラス基板
11 Alゲート電極
12 SiNゲート絶縁膜
13 ZnO活性層
14 ソース/ドレイン電極
20 TFT素子
21 ガラス基板
22 ZnO活性層
23 ソース/ドレイン電極
24 SiNゲート絶縁膜
25 Alゲート電極
30 TFT素子
31 基板
32 Alゲート電極
33 ゲート絶縁膜
34 ZnO活性層
35 ソース/ドレイン電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間にプラズマを発生させ、発生したプラズマで生成された粒子により前記一組のターゲットをスパッタリングし、
スパッタリングされた亜鉛粒子を酸化するとともに、生成した酸化亜鉛を含む生成物を、前記プラズマから離間された位置に堆積して半導体膜を形成する、
ことを特徴とする膜形成方法。
【請求項2】
前記亜鉛粒子を、堆積位置近傍にて、反応性ガスと反応させて酸化するとともに、堆積する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項3】
前記反応性ガスは、酸素、活性化酸素、オゾン、原子状酸素、酸素ラジカルのいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の膜形成方法。
【請求項4】
前記一組のターゲットは同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項5】
磁界を印加して誘起されるプラズマ中に生成された荷電粒子により、電圧が印加された前記一組のターゲットをスパッタリングする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の膜形成方法。
【請求項6】
ゲート電極、ゲート絶縁膜が形成された基板を、前記プラズマから離隔して、前記ゲート絶縁膜を介した基板表面近傍に半導体膜を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項7】
前記一方のターゲットは、少なくとも5N純度以上の純度を有する亜鉛から構成される、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の膜形成方法。
【請求項8】
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間に形成されたプラズマによるスパッタリングにより発生した亜鉛粒子が酸化されて生成した酸化亜鉛を含んだ生成物が、前記プラズマから離間された基板に、堆積されて形成された、
ことを特徴とする半導体膜。
【請求項9】
前記一組のターゲットは同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項10】
前記半導体膜は、真性、n型またはp型の酸化亜鉛であることを特徴とする請求項9に記載の半導体膜。
【請求項11】
前記半導体膜は、そのグレインサイズが20nm以下であることを特徴とする請求項10に記載の半導体膜。
【請求項12】
前記一組のターゲットは異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項13】
前記プラズマから、鉛直方向に離間された前記基板に形成された、ことを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項14】
略100nmの厚さ近傍でX線回折法により測定された(002)方位のピークの半値幅が、0.50°以下である、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項15】
III族の金属から構成される他のターゲットと前記導電性亜鉛金属を含むターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子が、亜鉛粒子が酸化されて生成された酸化亜鉛と結合されて、前記基板に堆積されて形成された、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項16】
II族、III族若しくはIV族の別の金属から構成される対向ターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子を、反応性ガスと反応させて生成した反応生成物を、基板に順次堆積して形成された、
ことを特徴とする積層絶縁膜。
【請求項17】
前記反応生成物は、一方の金属粒子と酸素または窒素と反応して生成した一方の金属の酸化物または窒化物と他の金属の酸化物または窒化物との混合物である、ことを特徴とする請求項16に記載の積層絶縁膜。
【請求項1】
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間にプラズマを発生させ、発生したプラズマで生成された粒子により前記一組のターゲットをスパッタリングし、
スパッタリングされた亜鉛粒子を酸化するとともに、生成した酸化亜鉛を含む生成物を、前記プラズマから離間された位置に堆積して半導体膜を形成する、
ことを特徴とする膜形成方法。
【請求項2】
前記亜鉛粒子を、堆積位置近傍にて、反応性ガスと反応させて酸化するとともに、堆積する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項3】
前記反応性ガスは、酸素、活性化酸素、オゾン、原子状酸素、酸素ラジカルのいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の膜形成方法。
【請求項4】
前記一組のターゲットは同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項5】
磁界を印加して誘起されるプラズマ中に生成された荷電粒子により、電圧が印加された前記一組のターゲットをスパッタリングする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の膜形成方法。
【請求項6】
ゲート電極、ゲート絶縁膜が形成された基板を、前記プラズマから離隔して、前記ゲート絶縁膜を介した基板表面近傍に半導体膜を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項7】
前記一方のターゲットは、少なくとも5N純度以上の純度を有する亜鉛から構成される、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の膜形成方法。
【請求項8】
対向して配置された、少なくともその一方が導電性亜鉛金属を含む一組のターゲットの間に形成されたプラズマによるスパッタリングにより発生した亜鉛粒子が酸化されて生成した酸化亜鉛を含んだ生成物が、前記プラズマから離間された基板に、堆積されて形成された、
ことを特徴とする半導体膜。
【請求項9】
前記一組のターゲットは同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項10】
前記半導体膜は、真性、n型またはp型の酸化亜鉛であることを特徴とする請求項9に記載の半導体膜。
【請求項11】
前記半導体膜は、そのグレインサイズが20nm以下であることを特徴とする請求項10に記載の半導体膜。
【請求項12】
前記一組のターゲットは異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項13】
前記プラズマから、鉛直方向に離間された前記基板に形成された、ことを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項14】
略100nmの厚さ近傍でX線回折法により測定された(002)方位のピークの半値幅が、0.50°以下である、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項15】
III族の金属から構成される他のターゲットと前記導電性亜鉛金属を含むターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子が、亜鉛粒子が酸化されて生成された酸化亜鉛と結合されて、前記基板に堆積されて形成された、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体膜。
【請求項16】
II族、III族若しくはIV族の別の金属から構成される対向ターゲットのスパッタリングにより発生した金属粒子を、反応性ガスと反応させて生成した反応生成物を、基板に順次堆積して形成された、
ことを特徴とする積層絶縁膜。
【請求項17】
前記反応生成物は、一方の金属粒子と酸素または窒素と反応して生成した一方の金属の酸化物または窒化物と他の金属の酸化物または窒化物との混合物である、ことを特徴とする請求項16に記載の積層絶縁膜。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−5116(P2006−5116A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179227(P2004−179227)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(397070439)財団法人高知県産業振興センター (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(397070439)財団法人高知県産業振興センター (47)
【Fターム(参考)】
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