説明

膜濾過設備の制御装置

【課題】膜濾過設備を運用する際の意思決定の支援機能、自動化運用機能を強化して、当日の運用計画を最適化し、膜濾過設備を構成している各機器の運転を効率化して、電気料金を抑えるとともに、各膜モジュール等の交換年数を延命して、膜濾過設備のランニングコストを最小化する。
【解決手段】 水需要実績記億部28に記憶されている過去の水需要実績に基づき、水需要予測部29が当日の水需要を予測するとともに、この水需要量に基づき、遺伝的アルゴリズム実行部30、または数理計画方実行部31が膜濾過設備5の運用計画を求めるとともに、運用計画に基づき、膜濾過設備制御部33が膜濾過設備5を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密濾過膜(MF)、限外濾過膜(UF)、ナノ濾過膜(NF)、逆浸透膜(R0)などの膜エレメントにより構成される膜モジュール、複数本の膜モジュールから構成される膜ユニット、あるいは膜ユニットを複数台有する膜濾過設備を用いて、浄水処理、下水処理、産業排水処理、食品排水処理などの水処理を行う膜濾過設備の制御装置に係わり、特に膜濾過設備の各機器を効率良く運転して、膜濾過設備の消費電力、ランニングコストを低く抑える膜濾過設備の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場では、河川や貯水池などの水源から原水を取水し、凝集、フロック形成、沈殿、濾過および殺菌の5つの単位プロセスによって、懸濁質、コロイド質の除去、および細菌等の無害化などを行い、需要家に清澄な水道水を供給している。
【0003】
凝集、フロック形成、沈殿、濾過による一連の除濁処理には、凝集剤を用いる方法が一般的であり、凝集剤には鉄やアルミニウム等の無機金属塩が通常用いられる。凝集剤の効果はさまざまな物理的、生物化学的な影響を受け、最適凝集条件は、多くの因子によって定まる複雑な平衡の上に成り立っているため、一定の処理水質を確保するには熟練を要する。
【0004】
一方、平成8年10月に厚生省(現厚生労働省)より通達された「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」によって、濾過池出口の濁度を常時把握し、濾過池出口の濁度を“0.1度”以下に維持することが制定され、浄水場における濁度管理が重要な課題となっている。
【0005】
このような背景のもと、膜濾過技術に関する研究開発が進み、我が国の浄水場において、膜濾過システムが急速に普及し始めており、海外においては既に日量数十万トン規模の膜濾過システムが稼動している。
【特許文献1】特開平11−19485号公報
【特許文献2】特開平11−61893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような膜濾過システムでは、確実に濁質物を除去できるため、良質な処理水質を確実に得られるという利点がある一方、ポンプやバルブ等の動力機器に係る電力料金や膜モジュール交換に要する費用等、ランニングコストが従来の浄水方式よりも高いという欠点がある。
【0007】
そして、平成14年4月から「エネルギー使用の合理化に関する法律」が改正され、電力の使用量が一定規模を超える水道事業者は「年平均1%以上の改善」を目標に削減計画を作成することが求められることから、膜濾過システムをより効率良く運転することが求められている。
【0008】
これまで、膜濾過システムの運転効率化を目指し、特許文献1に記載されているように、個々の膜モジュールあるいは膜ユニット単位で制御することは行われている。しかし、今後、我が国でも導入が期待されている日量数十万トン日規模の膜濾過システムは、ユニット数が数十〜数百台のオーダーとなるため、特許文献1で開示された技術をそのまま、適応することはできない。
【0009】
一方、特許文献2に記載されているように、大規模上水道プラントの運転効率化を目指して、遺伝的アルゴリズムによる制御装置を上水道プラントヘ適応した例もある。しかし、この例は、従来の凝集、フロック形成、沈殿、濾過および殺菌の5つの単位プロセスを前提としたものであり、膜濾過システムの特徴を踏まえた制御装置ではなかった。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑み、膜濾過設備の運用計画を最適化して、膜濾過設備の消費電力、ランニングコストを低く抑えることができる膜濾過設備の制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
また、膜濾過設備に隣接した場所のみならず、遠隔地点から膜濾過設備を制御することができ、これによって各地に点在する膜濾過設備を一括制御して、各膜濾過設備、制御装置を運転する際に必要なオペレータを削減して、人件費などを大幅に削減することができる膜濾過設備の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために本発明は、複数本の膜モジュールから構成される膜ユニットを有する膜濾過設備を制御する膜濾過設備の制御装置において、過去の水需要実績を記憶する水需要実績記憶部と、この水需要実績記憶部に記憶されている水需要実績に基づいて、これからの水需要を予測する水需要予測部と、この水需要予測部により予測された水需要量に基づいて、前記膜濾過設備の運用計画を求める運用計画作成部と、この運用計画作成部により求められた運用計画に基づいて前記膜濾過設備を制御する濾過膜設備制御部とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明による膜濾過システムによれば、需要家側で必要とした過去の水需要に応じて、膜濾過設備の運用計画を最適化して、膜濾過設備の消費電力、ランニングコストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
《第1実施形態》
図1は本発明による膜濾過設備の制御装置の第1実施形態である膜濾過システムを示すブロック図である。
【0015】
<全体説明>
この図に示す膜濾過システム1aは、複数の膜ユニット2を使用して、水道水源3から取水した水を濾過し、需要家4へ送水する膜濾過設備5と、遺伝的アルゴリズムなどを用いて、需要家4に供給された濾過水に関する過去の情報(過去の水需要実績、曜日情報)、各膜ユニット2に供給される膜供給水、または各膜ユニット2から排出される膜濾過水、あるいは各膜ユニット2を逆洗浄処理したとき排出される逆洗浄水などの水質情報、各膜ユニット2の破断有無情報、目詰まり有無情報などに応じた最適な運用計画を作成して膜濾過設備5の運転を制御する制御装置6とを備えている。
【0016】
<膜濾過設備5の説明>
膜濾過設備5は、膜ユニット2と、センサ7と、複数の前処理装置8と、膜供給水槽9と、膜供給水ポンプ10と、流量計11と、流量計13と、バルブ14と、流量計15と、薬品貯留槽16と、バルブ17と、膜濾過水槽18と、流量計19と、逆洗浄水ポンプ20と、流量計21とを備えている。
【0017】
膜ユニット2は、各流量計11を介して供給される膜供給水を各膜モジュール(例えば、精密濾過膜(MF)、限外濾過膜(UF)、ナノ濾過膜(NF)、逆浸透膜(R0)などを持つ膜モジュール)12に導いて、クロスフロー方式(膜面に沿って膜供給水を流し、膜供給水の流れと、直角な方向に濾過水を吐出する膜濾過方式)で、膜供給水を濾過し、濾過水を吐出しながら、膜供給水、膜濾過水などの水質、膜間差圧などを測定し、測定信号を出力する。
【0018】
センサ7は、膜ユニット2の前後のライン(通常運転時)および膜ユニット2から排出されるライン(逆洗浄時)の所定箇所に配設されている。具体的には、蛍光を使用して、膜供給水や膜濾過水などの水質を測定する蛍光分析計、膜供給水や膜濾過水などの濁度を測定する濁度計、膜供給水や膜濾過水などの吸光度を測定する吸光度計、膜供給水や膜濾過水などの全有機炭素濃度を測定する全有機炭素計、膜供給水や膜濾過水などの溶解性成分濃度を測定する液体クロマトグラフィ、および膜にかかる圧力差(膜間差圧)を測定する差圧計などから構成されている。
【0019】
センサ7を構成する蛍光分析計は、膜供給水、膜濾過水などの水質を最も良く測定できる波長の励起光、例えば波長“340〜350nm”の間にある特定波長の励起光と、波長“420〜430nm”の間にある特定の蛍光を使用して、膜供給水、膜濾過水などの蛍光強度を測定するものが使用され、またセンサ7を構成する吸光度計は、膜供給水、膜濾過水などの水質を最も良く測定できる特定波長、例えば波長“250〜270nm”の間にある特定波長あるいは、波長“380〜400nm”の間にある特定波長の光に対する吸光度を使用して、膜供給水、膜濾過水などの吸光度を測定するものが使用される。
【0020】
各前処理装置8は、水道水源3から取水した水(原水)を前処理して、濁質、スケール、シリカ、金属酸化物、有機物、微生物などのファウリング物質を除去し、各膜ユニット2内の各膜モジュール12の目詰まり、ファウリングなどを抑制する。
【0021】
膜供給水槽9は、各前処理装置8で前処理された水(膜供給水)を貯留する。膜供給水ポンプ10は、制御装置6からの制御信号に基づき、各膜供給水槽9から膜供給水を取り込む。流量計11は、各膜供給水ポンプ10から吐出される膜供給水の流量を測定する。流量計13は、各膜ユニット2から排出される膜濾過水の流量、または各膜ユニット2に供給される膜濾過水、薬品の流量などを測定する。
【0022】
バルブ14は、制御装置5から供給される制御信号で指定された流量だけ、各膜ユニット2に供給された膜供給水の一部を通過し、各膜供給水槽9に戻す。流量計15は、バルブ14を介して、膜供給水槽9に戻される膜供給水の流量を測定する。
【0023】
薬品貯留槽16は、ファウリング物質を除去するのに必要な水酸化ナトリウムのようなアルカリ剤や硫酸、塩酸などの無機酸、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤、シュウ酸、クエン酸のような有機酸を貯留する。
【0024】
バルブ17は、制御装置6から供給される制御信号によって、通常運転が指示されているとき、各流量計13を介して、各膜ユニット2から吐出される濾過水を取り込み、流量を調整しながら、通過し、また逆洗浄運転が指示されているとき、濾過水の流れを逆にして、各流量計13に濾過水(逆洗浄水)を供給し、各膜ユニット2の各膜モジュール12を逆洗浄し、また各膜ユニット2の各膜モジュール12を物理洗浄しても、各膜モジュール12の膜濾過機能が回復せず、逆洗浄運転が指示されたとき、薬品貯留槽16に貯留されている薬品を取り込んで、各流量計13に供給し、各膜ユニット2の各膜モジュール12を薬品洗浄する。
【0025】
膜濾過水槽18は、各バルブ17を介して、各膜ユニット2で濾過された濾過水を取り込んで、貯留する。流量計19は、各膜濾過水槽18から需要家4に供給される濾過水の流量を測定する。
【0026】
逆洗浄水ポンプ20は、制御装置6から供給される制御信号によって、逆洗浄運転が指示されているとき、各膜濾過水槽18に貯留されている濾過水の一部を取り込んで、逆洗浄水として、各バルブ17に戻し、各膜ユニット2の各膜モジュール12を物理洗浄する。
【0027】
流量計21は、各膜ユニット2の各膜モジュール12が逆洗浄されているとき、または薬品洗浄されているとき、各膜ユニット2から排出される逆洗浄水、薬品の流量を測定する。
【0028】
以上の構成の膜濾過設備5においては、制御装置6から供給される制御信号によって、通常運転が指示されているとき、各膜ユニット2毎に、水道水源3から取水し、前処理装置8で前処理を行い、濁質、スケール、シリカ、金属酸化物、有機物、微生物などのファウリング物質を除去する。除去後、膜供給水として膜供給水槽9に貯留するとともに、膜供給水ポンプ10が動作して、膜供給水槽9→膜供給水ポンプ10→流量計11→膜ユニット2の各膜モジュール12→バルブ14→流量計15→膜供給水槽9なる経路で、膜供給水の一部を循環して、膜間差圧、濾過水生成量などを調整しながら、膜ユニット2の各膜モジュール12→流量計13→バルブ17→膜濾過水槽18→流量計19→需要家4なる経路で、膜ユニット2の各膜モジュール12によって生成された濾過水を需要家に供給する。また、この動作と並行し、各流量計11、15、13、19によって、膜供給水槽9→流量計11→膜ユニット2なる経路で、膜ユニット2に供給される膜供給水の流量、膜ユニット2→バルブ14→流量計15→膜供給水槽9に戻される膜供給水の流量、膜ユニット2→流量計13→バルブ17→膜濾過水槽18なる経路で、膜濾過水槽18に供給される濾過水の流量、膜濾過水槽18→流量計19→需要家4なる経路で、需要家4に供給される濾過水の流量を各々測定して、測定結果(計測信号)を制御装置6に供給する。また、各膜ユニット2に設けられた各センサ7によって、膜供給水や膜濾過水などの水質、膜間差圧などを測定し、測定信号を制御装置6に供給する。
【0029】
また、制御装置6から供給される制御信号によって、逆洗浄運転が指示されているとき、逆洗浄運転に指定された膜ユニット2の膜供給水ポンプ10を運転停止するとともに、バルブ14を閉状態にした後、バルブ17の流入、吐出方向を切り替えて、逆洗浄水ポンプ20を運転する。これにより、膜濾過水槽18→逆洗浄水ポンプ20→バルブ17→流量計13→膜ユニット2の各膜モジュール12なる経路で、逆洗浄運転が指示された膜ユニット2の各膜モジュール12に濾過水(逆洗浄水)が供給されて、膜ユニット2の各膜モジュール12が逆洗浄され、膜ユニット2の各膜モジュール12→流量計21→排水槽22なる経路で、膜ユニット2から出る逆洗浄水が排出される。また、この動作と並行し、各流量計13、21によって、膜ユニット2に供給された逆洗浄水の流量、膜ユニット2から排出される逆洗浄水の流量が各々、測定されるとともに、膜ユニット2に設けられた各センサ7によって、逆洗浄水などの水質や膜間差圧などが測定され、これらの各測定動作で得られた測定信号が制御装置6に供給される。
【0030】
また、制御装置6から供給される制御信号によって、薬品洗浄運転が指示されているとき、薬品洗浄運転に指定された膜ユニット2の膜供給水ポンプ10を運転停止するとともに、バルブ14を閉状態にした後、バルブ17の流入、吐出方向を切り替える。これにより、薬品貯留槽16→バルブ17→流量計13→膜ユニット2の各膜モジュール12なる経路で、薬品洗浄運転が指示された膜ユニット2の各膜モジュール12に薬品が供給されて、膜ユニット2の各膜モジュール12が薬品洗浄され、膜ユニット2の各膜モジュール12→流量計21→排水槽22なる経路で、薬品洗浄運転が指示された膜ユニット2から出る薬品が排出される。また、この動作と並行し、各流量計13、21によって、膜ユニット2に供給された薬品の流量、膜ユニット2から排出される薬品の流量が各々、測定されるとともに、膜ユニット2に設けられた各センサ7によって、薬品などの水質などが測定され、これらの各測定動作で得られた測定信号が制御装置6に供給される。
【0031】
<制御装置6の説明>
《制御装置6の構成》
制御装置6は、プロセス入出力部23と、水質検知部24と、破断検知部25と、目詰まり検知部26と、ヒューマン・インタフェース部27と、水需要実績記憶部28と、水需要予測部29と、遺伝的アルゴリズム実行部30と、数理計画法実行部31と、運用計画部32と、膜濾過設備制御部33とを備えている。
【0032】
プロセス入出力部23は、膜濾過設備5に対し、計測信号の取り込み、制御信号の供給を行う。
【0033】
水質検知部24と、プロセス入出力部23で取り込まれた計測信号に基づき、膜濾過設備5で処理される膜供給水、膜濾過水、逆洗浄水などの水質を検知する。
【0034】
破断検知部25では、膜の出口側から空気を供給し、出口側に設置した流量計を流れる空気の流量が破断しきい値以上になっているかどうかをチェックし、しきい値以上になっている膜モジュール12を破断と判定する判定アルゴリズムなどを用いて各膜モジュール12の破断有無を判定する。具体的には、特開2003−210949号や特開2004−329980号に開示された方法により破断を検知する。
【0035】
目詰まり検知部26は、プロセス入出力部23で取り込まれた計測信号に基づき、予め設定されている判定アルゴリズム、例えば膜濾過設備5に設けられた各膜モジュール12の膜間差圧が目詰まりしきい値以上になっているかどうかをチェックし、膜間差圧が目詰まりしきい値以上になっている膜モジュール12を目詰まりと判定する判定アルゴリズムなどを用いて各膜モジュール12の目詰まり有無を検知する。
【0036】
ヒューマン・インタフェース部27は、膜濾過設備5の稼働状況を画面表示しながら、オペレータが入力した当日の曜日情報、指示情報などを取り込む。
【0037】
水需要実績記憶部28は、プロセス入出力部23で取り込まれた計測信号に基づき、膜濾過設備5から需要家に供給された膜濾過水の水需要実績(温度、圧力、流量などの実績情報)を曜日情報とともに記憶するとともに、水質検知部24の検知結果、破断検知部25の検知結果、目詰まり検知部26の検知結果などを記憶する。
【0038】
水需要予測部29は、ヒューマン・インタフェース部27から出力される当日の曜日情報、指示情報に基づき、水需要実績記憶部28に記憶されている各曜日別の水需要実績(過去の水需要実績)などを統計処理して、当日の水需要を予測し、水需要予測値を算出する。
【0039】
遺伝的アルゴリズム実行部30は、遺伝的アルゴリズムを用いて水需要予測部29から出力される水需要予測値で指定された流量の膜濾過水を生成するのに必要な運用計画(準最適解)を算出する。
【0040】
数理計画法実行部31は、数理処理を用いて、水需要予測部29から出力される水需要予測値で指定された水需要予測値で指定された流量の膜濾過水を生成するのに必要な運用計画(最適解)を算出する処理、あるいは遺伝的アルゴリズム実行部30から出力される運用計画(準最適解)を初期値として、最適解となる運用計画を算出する処理などを行う。
【0041】
運用計画部32は、遺伝的アルゴリズム実行部30から出力される運用計画、または数理計画法実行部31から出力される運用計画のいずれか一方を選択するとともに、水需要実績記憶部28に記憶されている水質検知部24の検知結果、破断検知部25の検知結果、目詰まり検知部26の検知結果などに基づき、運用計画を修正する。
【0042】
膜濾過設備制御部33は、プロセス入出力部23で取り込まれた計測信号に基づき、膜濾過設備5に設けられた各膜供給水ポンプ10、各逆洗浄水ポンプ20、各バルブ14、17などの運転内容を判断するとともに、運用計画部32から出力される運用計画を実現するのに必要な制御信号を生成して、プロセス入出力部23から膜濾過設備5に供給し、膜濾過設備5に設けられた各膜供給水ポンプ10、各逆洗浄水ポンプ20、各バルブ14、17などの運転を制御する。
【0043】
《制御装置6の作用》
プロセス入出力部23は、膜濾過設備5に設けられた各センサ7、各流量計11、13、15、21などから出力される計測信号を取り込み、各曜日毎の水需要実績(温度、圧力、流量などの実績情報)を水需要実績記憶部28に記憶する。また、水質検知部24、破断検知部25、目詰まり検知部26などでは、計測信号を各々、解析し、解析処理で得られる水質検知結果、破断有無、目詰まり有無などを水需要実績記憶部28に記憶する。また、この動作と並行し、ヒューマン・インタフェース部27では、膜濾過設備5の稼働内容などを画面表示しながら、ヒューマン・インタフェース部27に入力された当日の曜日情報、指示内容などに基づき、水需要実績記憶部28に記憶されている曜日毎の水需要実績(過去の水需要実績)のうち、当日の曜日に対応する過去の水需要実績と、過去数十日〜数百日分の水需要実績とを読み出す。水需要予測部29は統計処理し、当日の水需要予測値を算出する。また、算出された水需要予測値に基づき、遺伝的アルゴリズム部30、数理計画法実行部31のいずれか一方、または両方は、所定時間毎、例えば1時間毎の運用計画を作成する。その後、水需要実績記憶部28に記憶されている水質検知結果、破断有無、目詰まり有無などに応じて、運用計画部32は、遺伝的アルゴリズム部30で作成された運用計画、または数理計画法実行部31で作成された運用計画を修正する。
【0044】
また、この動作と並行し、膜濾過設備制御部33は、プロセス入出力部23を介して取り込まれた計測信号を解析し、膜濾過設備5に設けられた各膜供給水ポンプ10、各逆洗浄水ポンプ20、各バルブ14、17などの運転内容を判断する。また、運用計画部32から出力される運用計画を実現するのに必要な制御信号を生成して、プロセス入出力部23から膜濾過設備5に供給する。これにより、膜濾過設備5に設けられた各膜供給水ポンプ10、各逆洗浄水ポンプ20、各バルブ14、17などの運転内容を制御し、濾過水生成運転、物理洗浄運転、薬品洗浄運転などを行わせる。
【0045】
《第1実施形態の詳細な動作説明》
次に、図1に示すブロック図、図2、図3に示す各模式図、図4に示すフローチャートを参照しながら、上述した水需要予測部29、遺伝的アルゴリズム実行部30、数理計画法実行部31、運用計画部32について、さらに説明する。なお、以下の説明では、1日分の運用計画を一度に求めると、制御装置6の計算量が膨大になることから、実用的な計算量となる範囲、例えば“1時間”毎に、“1時間”分の運用計画を求めるものとする。
【0046】
まず、ヒューマン・インタフェース入力部27に当日の日付“k”と、曜日“W”とが入力されると、水需要予測部29によって、水需要実績記憶部28に記憶されている過去の水需要実績値、例えば平日、休日、休日明け、特殊日別にファイルされた水需要実績値のうち、ヒューマン・インタフェース入力部27に入力された曜日“W”に対応する水需要実績値が読み出されて、1時間毎の平均値パターン“y(i)”(但し、i=1〜24)が求められる。
【0047】
次いで、水需要予測部28によって、水需要実績記憶部28に記憶されている過去の水需要実績値のうち、“N”日前から、“k−1”日までの水需要実績値が読み出され、自己回帰モデルを用いた、次式に示す演算が行われ、当日(k日)の水需要予測変化分が求められる。
【0048】
△y(k)=a1・(y(k-1)-yAVE)+a2・(y(k-2)-yAVE)+
… +aN・(y(k-N)-yAVE) …(1)
但し、△y(k):当日の水需要予測変化分[m3/h]
a1、a2、…、aN:自己回帰のパラメータであり、実時間で逐次最小2乗 推定(カルマンフィルタ)にすることも可能。
【数1】

【0049】
この後、水需要予測部29によって、(1)式で得られた“k”日の水需要予測変化分“△y(k)”と、“k−1”日までの平均実績値“yAVE”とが用いられて、次式に示す演算が行われ、“k”日の水需要予測値“y(k)”が求められる。
【0050】
y(k)=△y(k)+yAVE …(2)
この後、水需要予測部29によって、(2)式で得られた当日(k日)の水需要予測値“y(k)”に対して、その曜日“W”の水需要実績の平均値パターン“y(i)”から得られる各時間帯(1時間単位)の比“w(i)”が乗じられて、次式に示す当日(k日)における24時間分(1時間単位)の水需要予測値“Qout-j(i)”が求められる。
【0051】
Qout-j(i)=w(i)・y(k)(k,i)(i=1〜24) …(3)
なお、上述した方法はあくまでも予測方法の一例として挙げたものであり、当日の水需要を予測する方法として、これ以外の予測方法、例えば重回帰モデルなどを用いた予測方法など、各種の予測方法を用いても良い。
【0052】
次いで、水需要予測部29によって、前回までの予測動作で得られた水需要予測値“Qout-j(i)”と、前回までに得られた実際の水需要実績値との累積誤差が求められ、水需要予測の累積誤差が許容範囲内で推移しているかどうか、許容範囲を超えているかどうかなどに応じて、(3)式で求められた水需要予測値“Qout-j(i)”が修正され、遺伝的アルゴリズム実行部30と、数理計画法実行部31とに供給される。
【0053】
また、遺伝的アルゴリズム実行部30は、ヒューマン・インタフェース部27から入力された運転条件、運転パラメータなどに基づき、下記に示す項目を考慮した運用計画を作成する。
【0054】
[項目]
(a) エネルギーコストの低減(電気料金やガス料金等の低減)
(b) 濾過流量変動抑制(膜モジュール12の目詰まり防止および延命化)
(c) 膜濾過水槽水位目標値への追従(膜濾過システムの安定運転)
(d) 膜供給水槽水位目標値への追従(膜濾過システムの安定運転)
そして、これらの項目を満たす運用計画を作成する方法は、最適化問題を解くことに他ならないことから、遺伝的アルゴリズムの具体的な説明に先立ち、ここで最適化問題について簡単に説明する。
【0055】
まず、上述した項目を満たす最適な運用計画を作成することは、離散時間“i”において、各膜ユニット2の台数を“k”、各膜濾過水槽18の数を“J”、各膜供給水槽9の数を“M”、水需要予測部29で得られた水需要予測値を“Qout-j(i)”とすると、各膜ユニット2に供給される膜供給水の水量(量膜供給水量)“Q(i)”、各膜ユニット2から各膜供給水槽9に戻される膜供給水の膜循環水量“Qkr(i)”、各膜濾過水槽18の水位(膜濾過水槽水位)“hj(i)”、各膜供給水槽9の水位(膜供給水槽水位)“Hm(i)”を用いて、次式で示される目的関数“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”の和“Jov”を最小化する最適化問題として定式化される。
【数2】

【0056】
ここで、(4)式において、右辺の各項“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”は、それぞれ上述した4つの項目に対応していることから、次式で表すことができる。
【数3】

【0057】
但し、W1k(i):時間“i”における、エネルギーコスト低減率に対する重み係数
W2k(i):時間“i”における、濾過流量変動抑制率に対する重み係数
W3j(i):時間“i”における、膜濾過水槽水位目標値に対する重み係数
W4m(i):時間“i”における、膜供給水槽水位目標値に対する重み係数
(i):時間“i”において、各膜ユニット2に供給される膜供給水量 [m3/h]
(i-1):時間“i-1”において、各膜ユニット2に供給される膜供給水 量[m3/h]
hj-SV(i):時間“i”における膜濾過水槽水位目標値[m]
hj(i):時間“i”における膜濾過水槽水位[m]
Hm-SV(i):時間“i”における膜供給水槽水位目標値[m]
Hm(i):時間“i”における膜供給水槽水位[m]
この際、(4)式〜(8)式で使用される各数値のうち、各膜ユニット2に供給される膜供給水の水量(膜供給水量)“Q(i)”、各膜ユニット2から膜供給水槽9に戻される膜供給水の膜循環水量“Qkr(i)”、膜濾過水槽水位“hj(i)”、膜供給水槽水位“Hm(i)”は、次のような制約条件を満たしていないければならない。
【0058】
まず、各膜ユニット2に供給される膜供給水の水量(膜供給水量)“Q(i)”は、次式に示す制約条件を満たしていなければならない。
【0059】
k-lo(i)≦Q(i)≦Qk-hi(i) …(9)
但し、Qk-lo(i):時間“i”における膜供給水量“Q(i)”の下限値[m3/h]
k-hi(i):時間“i”における膜供給水量“Q(i)”の上限値[m3/h]
さらに、物理洗浄および薬品洗浄時には、各膜ユニット2に供給される膜供給水の水量(膜供給水量)“Q(i)”が“0”になることから、物理洗浄および薬品洗浄時に、次式に示す条件を満たしていなければならない。
【0060】
k-lo(i)=Qk-hi(i)=0
但し、i:物理洗浄および薬品洗浄を行っている時間
また、各膜ユニット2から膜供給水槽9に戻される膜供給水の膜循環水量“Qkr(i)”は、次式に示す制約条件を満たしていなければならない。
【0061】
rk-lo(i)≦Qrk(i)≦Qrk-hi(i) …(10)
但し、Qrk-lo(i):時間“i”における膜循環水量“Qkr(i)”の下限値[m3/h]
rk-hi(i):時間“i”における膜循環水量“Qkr(i)”の上限値[m3/h]
そして、バルブ14の開度制御などで、膜循環水量“Qkr(i)”が流量制御されるとき、(10)式を有効化し、また流量制御しないときには、オペレータによって指定された膜循環流量設定値“Qkr-op(i)”を用いて、次式を満たすようにしなければならない。
【0062】
rk-lo(i)=Qrk-hi(i)=Qkr-op(i)
但し、i:オペレータによって自動流量制御が解除されている時間
さらに、各膜ユニット2を透過した膜濾過水の水量(膜濾過水量)を“QkO(i)”としたとき、膜供給水量“Q(i)”、膜循環水量“Qkr(i)”とが次式を満たさなければならない。
【0063】
QkO(i)=Q(i)-Qkr(i) …(11)
なお、これら(10)式、(11)式で示される条件は、膜供給水の一部が膜供給水槽9に戻されるクロスフロー方式を前提としていることから、膜供給水を循環することなく全量濾過する全量濾過方式の場合には、膜供給槽9への循環ラインを省略することができ、膜循環水量“Qkr(i)”に関する条件を省略することができる。
【0064】
また、膜濾過水槽水位“hj(i)”、膜供給水槽水位“Hm(i)”は、次式に示す制約条件を満たしていなければならない。
【0065】
hj-lo(i)≦hj(i)≦hj-hi(i) …(12)
【数4】

【0066】
Hm-lo(i)≦Hm(i)≦Hm-hi(i) …(14)
【数5】

【0067】
但し、hj-lo(i):時間“i”における膜濾過水槽水位“hj(i)”の下限値[m]
hj-hi(i):時間“i”における膜濾過水槽水位“hj(i)”の上限値[m]
hj(i-1):時間“i-1”における膜濾過水槽水位[m]
Qout-j(i):時間“i”における水需要予測値[m3/h]
QkO(i):時間“i”における各膜ユニット2の膜濾過水量[m3/h]
Aj:膜濾過水槽18の底面積[m2
Hm-lo(i):時間“i”における膜供給水槽水位“Hm(i)”の下限値[m]
Hm-hi(i):時間“i”における膜供給水槽水位“Hm(i)”の上限値[m]
Q(i):時間“i”において、各膜ユニット2に供給される膜供給水の 水量(量膜供給水量)[m3/h]
Qkr(i):時間“i”において、各膜ユニット2から膜供給水槽9に戻され る膜供給水の水量(膜循環水量)[m3/h]
QI(i):時間“i”において、水道水源3から膜供給水槽9に供給される膜 供給水の水量[m3/h]
Hm(i-1):時間“i-1”における膜供給水槽水位[m]
A:膜供給水槽9の底面積[m2
つまり、(9)式〜(15)式に示す各条件を満たし、(4)式に示す各目的関数“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”の和“Jov”を最小化するように、(5)式〜(8)式に示す各目的関数“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”の各値を求めることができれば、上述した4つの項目を満たし、膜濾過設備5の運用効率、安定率を高めることができる運用計画を作成することができる。
【0068】
次に、遺伝的アルゴリズムを用いて、このような定式化された最適化問題を解くときときの手順について説明する。
【0069】
まず、遺伝的アルゴリズムは、生物進化の過程を模したアルゴリズムであり、各種の遺伝子列を持つ個体に対して淘汰、増殖、交叉および突然変異などの処理を複数回(複数世代)にわたって施し、適応度が最大の遺伝子列を求めるときに使用される。
【0070】
この際、遺伝的アルゴリズムでは、例えば(4)式に示すような目的関数“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”の逆数を適応度として定義できることから、実際の演算を開始する前に、図2に示す如く所定時間(1時間)単位で、各膜ユニット2の膜供給水側の入出力特性を“gk(i)”、膜循環水側の入出力特性を“gkr(i)”とし、次式に示す如くこれらの入出力特性“g(i)”、入出力特性“gkr(i)”を“N”段階、“Npr”段階に分割したものを用意する。
【0071】
gk(i)=(1、2、…、Np)
gkr(i)=(1、2、…、Npr)
さらに、図3に示す如くこれらの入出力特性“g(i)”に対応し、可変速ポンプによって調整可能な水量“Q(i)”のマトリックス表34と、入出力特性“gkr(i)”に対応し、可変速ポンプによって調整可能な水量“QTr(i)”のマトリックス表35とを用意する。
【0072】
これにより、次式に示す演算を行うだけで、各膜供給水槽9から各膜ユニット2に供給される膜供給水量“Q(i)”と、各膜ユニット2から各膜供給水槽9に戻される膜循環水量“QIk(i)”とを求めることができる。
【0073】
Q(i)=Q(gkr(i)) …(16)
QIk(i)=QTr(gkr(i)) …(17)
そして、このような準備が終了し、ヒューマン・インタフェース部27から運転条件、運転パラメータなどが入力され、水需要予測部29の予測動作で、当日(k日)における24時間分(1時間単位)の水需要予測値“Qout−j(i)”が得られたとき、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、水需要予測部29で得られた水需要予測値“Qout−j(i)”が取り込まれ、図4のフローチャートに示す手順で、最大の適応度を持つ遺伝子列が求められる。
【0074】
まず、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、各膜ユニット2毎にランダムな遺伝子列を持つ“n”個の個体を発生し、これらの各個体を初期個体群として、メモリに記憶するとともに、メモリに記憶した初期個体群に含まれる“n”個の個体が(9)式〜(15)式の制約条件を満たしているかどうかをチェックし、(9)式〜(15)式を満たさない個体があれば、個体に含まれる各遺伝子の状態のうち、制約条件を満たさない遺伝子の状態を変更する(ステップS2)。
【0075】
そして、(9)式〜(15)式の制約条件を満たす個体が“n”個、生成できたとき、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、目的関数計算を行って、各個体の適応度、およびその世代での適応度の平均値を計算する(ステップS3)。
【0076】
次に、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、各個体のうち、最大の適応度を持つ個体に比べ、所定の比率よりも小さい適応度(目的関数の値が大きいもの)しか持たない個体があるかどうかをチェックし、最大の適応度を持つ個体列に比べ、所定の比率よりも小さい適応度の個体があれば、これを淘汰するとともに、各個体のうち、制約条件を満たさない個体があるかどうかをチェックし、制約条件を満たさない個体があれば、これを淘汰する(ステップS4)。
【0077】
この後、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、淘汰されずに残っている各個体のうち、適応度が最大の個体を選択し、淘汰された個体の数だけ、選択した個体を増殖し、メモリに記憶する(ステップS5)。
【0078】
次いで、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、メモリに記憶されている各個体同士を所定の交叉確率分(全個体数に対する割合)だけ、ランダムにペアリングした後、ペアリングされた組毎にランダムに遺伝子座を選び、各個体の同一の遺伝子座同士を互いに一点交叉する(ステップS6)。
【0079】
なお、一点交叉とは、連続した一連の遺伝子列の場合には、連続した2つの遺伝子列同士を互いに交叉するこという。交叉の方法はこれに限定されるものではなく、複数個所で一連の遺伝子列を互いに交叉するようにしても良い。
【0080】
次に、遺伝的アルゴリズム実行部30によって、所定の突然変異率分(全個体数に対する割合)だけ、ランダムに個体を選び、これら各個体の任意の遺伝子座にある遺伝子を変異する(ステップS7)。
【0081】
以下、遺伝的アルゴリズム実行部30は、上述した初期個体群の生成処理、目的関数計算処理、淘汰処理、増殖処理、交叉処理、突然変異処理を順次、繰り返す。
【0082】
そして、その世代における適応度の平均値が前回および前々回の適応度の平均値と比較して所定値以下となったとき、あるいはあらかじめ定められた繰返し回数を越えたとき、遺伝的アルゴリズム実行部30は、上述した処理を終了し、最後に残った世代の各個体のうち、最大の適応度を持つ個体に基づき、運用計画を求める。
【0083】
これにより、実用上、差し支えない比較的短い処理時間で、(9)式〜(15)式に示す各条件を満たし、(4)式に示す各目的関数“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”の和“Jov”を最小化することができる実用上問題のない、準最適解を非常に高速に求めることができ、上述した4つの項目をほぼ満たし、膜濾過設備5の運用効率、安定率を高めることができる運用計画を作成することができる。
【0084】
また、数理計画法実行部31は、遺伝的アルゴリズム実行部30で作成された運用計画、すなわち準最適解に対応する運用計画ではなく、多少時間がかかっても、最適解に対応する運用計画を求める必要がある場合、例えばオペレータなどにより、遺伝的アルゴリズム実行部30で作成された運用計画より、良い運用計画が必要であると判断され、ヒューマン・インタフェース部27から最適解算出指示が入力されたとき、水需要予測部29で得られた、当日(k日)における24時間分(1時間単位)の水需要予測値“Qout−j(i)”を用いて、数理処理を行い、最適な運用計画を作成する処理、または遺伝的アルゴリズム実行部30で得られた運用計画(準最適解)を初期値として、数理処理を行い、最適な運用計画を作成する処理などを行い、これらの数理処理で得られた膜濾過設備の運用計画(最適解)を運用計画部32に供給する。
【0085】
運用計画部32は、膜濾過設備5の規模や特性等に応じて、必要とされる解の厳密性、および解を求めるのに要する時問等が異なるので、これらの点を考慮して、ヒューマン・インタフェース部27に入力されたオペレータの指示に基づき、下記に示す各運用計画のうち、指定された運用計画を選択する。
【0086】
(1)遺伝的アルゴリズム実行部30のみにより求められた運用計画、
(2)数理計画法実行部31のみにより求められた運用計画、
(3)遺伝的アルゴリズム実行部30により求められた運用計画を初期値として数理計画法実行部31により求められた運用計画、
この後、運用計画部32は、水需要実績記憶部28に記憶されている水質検知結果、破断有無、目詰まり有無などに応じて、遺伝的アルゴリズム実行部30で作成された運用計画、または数理計画法実行部31で作成された運用計画のうち、ヒューマン・インタフェース部27から指定された方の運用計画を修正する。
【0087】
この際、運用計画部32は、水質検知部24から出力される現在の水質検知結果、水需要実績記憶部28に記憶されている水質検知部24の検知結果、各膜ユニット2に供給される膜供給水の水質情報、各膜ユニット2で生成される膜濾過水の水質情報、各膜ユニット2から排出される逆洗浄水の水質情報などを指標にして、各膜ユニット2の各膜モジュール12を透過する膜濾過水の流量を最適化する。また、膜間差圧の上昇を抑えつつ、物理洗浄の回数、薬品洗浄の回数、濾過膜の交換回数を低減し、膜濾過設備5の運転コストを低く抑えながら、膜濾過水量を多くし、膜濾過設備5の稼働率を高めるように、遺伝的アルゴリズム実行部30で作成された運用計画、または数理計画法実行部31で作成された運用計画のうち、ヒューマン・インタフェース部27から指定された方の運用計画を修正する。
【0088】
また、運用計画部32は、破断検知部25から出力される現在の検知結果、水需要実績記憶部28に記憶されている破断検知部25の検知結果などに基づき、破断している膜モジュール12が配置された膜ユニット2の使用を一時的に停止し、他の正常な各膜ユニット2に対する膜供給水の流量を増加するように、遺伝的アルゴリズム実行部30で作成された運用計画、または数理計画法実行部31で作成された運用計画のうち、ヒューマン・インタフェース部27から指定された方の運用計画を修正する。
【0089】
さらに、運用計画部32は、目詰まり検知部26から出力される現在の目詰まり検知結果、水需要実績記憶部28に記憶されている目詰まり検知部26の検知結果などに基づき、各膜モジュール12を使用する前の測定データ、または薬液によって再生処理した直後の測定データを初期値にして、各測定データと初期値との差分を求める。そして、各差分の経時変化に基づき、各膜モジュール12を最適な状態に保持し、各膜モジュール2の膜濾過水量が最適値となるように、遺伝的アルゴリズム実行部30で作成された運用計画、または数理計画法実行部31で作成された運用計画のうち、ヒューマン・インタフェース部27から指定された方の運用計画を修正する。
【0090】
運用計画部32は、これらの各修正が終了した運用計画を膜濾過設備制御部33に供給し、膜濾過設備5の運転を制御する。
【0091】
<効果の説明>
このように、第1実施形態では、水需要実績記億部28に記憶されている過去の水需要実績に基づき、水需要予測部29が当日の水需要を予測するとともに、この水需要量に基づき、遺伝的アルゴリズム実行部30、または数理計画方実行部31が膜濾過設備5の運用計画を求め、この運用計画に基づき、膜濾過設備制御部33が膜濾過設備5を制御するようにしている。このため、膜濾過設備5を運用する際の意思決定の支援機能、自動化運用機能を強化することができるとともに、過去の水需要実績などに基づき、当日の運用計画を最適化して、膜濾過設備5を構成している各膜供給水ポンプ10、各膜洗浄ポンプ20、各バルブ14、17などの運転を効率化して、電気料金を抑えることができるとともに、各膜モジュール12等の交換年数を延命して、膜濾過設備5のランニングコストを最小化することができる。
【0092】
また、この第1実施形態では、遺伝的アルゴリズム実行部30が膜濾過設備5の運用計画を求める際、遺伝的アルゴリズムを使用して、膜濾過設備5を構成している各膜供給水ポンプ10、各膜洗浄ポンプ20、各バルブ14、17などの運転コスト低減、長寿命化、安定運転に関する各目的関数“J1(k)”、“J2(k)”、“J3(j)”、“J4(m)”の和“Jov”を最小にする運用計画を求めるようにしている。このため、実用上、問題が生じない準最適解を高速に求めて、運用計画を作成し、膜濾過設備5を構成している各膜供給水ポンプ10、各膜洗浄ポンプ20、各バルブ14、17などの運転コストを低減することができるとともに、これら各膜供給水ポンプ10、各膜洗浄ポンプ20、各バルブ14、17などの長寿命化を達成することができ、さらに膜濾過設備5の運転を安定化することができる。
【0093】
また、この第1実施形態では、水需要実績記憶部28に過去の水需要実績と、曜日情報とを対応させて記憶し、水需要予測部29に、当日の曜日情報が入力されたとき、過去の水需要実績のうち、当日の曜日に対応する水需要実績を参照して、当日の水需要を予測するようにしている。このため、曜日情報、例えば、平日、休日、休日明け、特殊日別に記億された過去の水需要実績のうち、当日の曜日に対応する過去の水需要実績をより強く反映した運用計画を作成して、一層効果的に膜濾過設備5を構成している各膜供給水ポンプ10、各膜洗浄ポンプ20、各バルブ14、17などの運転コストを低減することができるとともに、これら各膜供給水ポンプ10、各膜洗浄ポンプ20、各バルブ14、17などの長寿命化を達成することができ、さらに膜濾過設備5の運転を安定化することができる。
【0094】
また、この第1実施形態では、水質検知部24が、各膜ユニット2の各センサ7を構成している蛍光分析計、濁度計、吸光度計、全有機炭素計、液体クロマトグラフィ、その他の分析計などから出力される測定信号を分析して、膜ユニット2に供給される膜供給水および膜濾過水、あるいは膜ユニット2の逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報(蛍光強度、濁度、全有機炭素濃度、溶解性成分濃度など)などを検知するとともに、検知結果に応じて、当日の運用計画を修正するようにしている。このため、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜ユニット2の逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を指標にして、各膜ユニット2の膜濾過水量を最適化し、これによって膜間差圧上昇を抑えつつ、物理洗浄の回数、薬品洗浄の回数、濾過膜の交換回数を低減して、膜濾過設備5の運転コストを低く抑えるとともに、膜濾過水量を多くして、膜濾過設備5の稼働率を高くすることができる。
【0095】
この際、蛍光分析計を使用して、水質情報を検知するとき、波長“340〜350nm”の間にある特定波長の励起光と、波長“420〜430nm”の間にある特定の蛍光を使用して、膜供給水、膜濾過水、逆洗浄水の蛍光強度を測定するようにしている。このため、膜供給水、膜濾過水、逆洗浄水の蛍光強度の測定精度を高め、運用計画の精度を高めることができる。
【0096】
また、吸光度計を使用して、水質情報を検知するとき、波長“250〜270nm”の間にある特定波長あるいは、波長“380〜400nm”の間にある特定波長の光に対する吸光度を使用して、膜供給水、膜濾過水、逆洗浄水の吸光度を測定するようにしている。このため、膜供給水、膜濾過水、逆洗浄水の吸光度を正確に測定し、運用計画の精度を高めることができる。
【0097】
また、目詰まり検知部26によって、各膜モジュール12の目詰まりを検知し、検知結果を水需要実績記憶部28に記憶するとともに、運用計画部32によって、各膜モジュール12を使用する前の測定データ、または薬液によって再生処理した直後の測定データを初期値として、各測定データと初期値との差分を求め、各差分の経時変化に基づき、運用計画部32が運用計画を修正するようにしている。このため、各膜モジュール12の目詰まり程度を定量化して、各膜モジュール12の汚染有無、目詰まり有無を正確に検知し、各膜モジュール12を最適な状態で運転することができるとともに、膜の延命化を促進することができる。
【0098】
また、この第1実施形態では、破断検知部25によって、各膜モジュール12が破断しているかどうかをチェックし、各膜モジュール12のいずれかが破断しているとき、運用計画部32によって、破断した膜モジュール12が配置された膜ユニット2の運転を一時的に停止し、正常な各膜ユニット2の透過流量が増加するように、運用計画を修正するようにしている。このため、需要家4側で必要とした過去の水需要に応じて、膜濾過設備5の運用計画を算出するとき、膜モジュール12の破断有無に応じて、運用計画を最適化して、各膜ユニット2の透過流量を最適化し、膜濾過設備5の消費電力、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0099】
また、この第1実施形態では、水需要予測部29によって、今後所定時間後の水需要予測の累積誤差を求め、水需要予測の累積誤差が最小になるように、水需要予測値を修正し、膜濾過設備制御部33によって、膜濾過設備5を構成している各機器の運転を制御するようにしている。このため、需要家4側で必要とした過去の水需要に応じて、膜濾過設備5の運用計画を算出するとき、水需要予測の累積誤差が許容範囲内で推移しているかどうか、許容範囲を超えているかどうかなどに応じて、膜濾過設備5の運転内容を最適化し、膜濾過設備5の消費電力、ランニングコストを低く抑えながら、需要家4に必要な水量の膜濾過水を供給することができる。
【0100】
また、この第1実施形態では、遺伝的アルゴリズム実行部30、数理計画法実行部31によって、1日を複数に分割した所定の時間帯毎、例えば15分毎、30分毎、または1時間毎、あるいは2時間毎に、運用計画を求めるようにしている。このため、需要家4側で必要とした過去の水需要に応じて、膜濾過設備5の運用計画を算出するとき、計算量を最適化し、ほぼリアルタイムで、1日を複数に分割した所定時間毎に、最適な運用計画を算出し、膜濾過設備5の消費電力、ランニングコストをより一層、低く抑えることができる。
【0101】
《第2実施形態》
図5は本発明による膜濾過設備の制御装置の第2実施形態である膜濾過システムを示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0102】
この図に示す膜濾過システム1bが図1に示す膜濾過システム1aと異なる点は、一般回線、専用回線などによって構成される通信回線36を用いて、膜濾過設備5と、制御装置6とを接続し、膜濾過設備5で得られた各測定信号を膜濾過設備5→通信回線36→制御装置6なる経路で、制御装置6に供給するとともに、制御装置6から出力される制御信号を制御装置6→通信回線36→膜濾過設備5なる経路で、膜濾過設備5に供給するようにしたことである。
【0103】
これにより、膜濾過設備5と、制御装置6とを離し、制御装置6をASP(Application Service Provider)として機能させ、1台の制御装置6で、複数の膜濾過設備5を遠隔制御することができる。
【0104】
このように、この第2実施形態では、公衆電話回線、または専用回線などの通信回線36を用いて、膜濾過設備5と、前記制御装置6とを接続し、膜濾過設備5→通信回線36→制御装置6なる経路で、計測信号を供給するとともに、制御装置6→通信回線36→膜濾過設備5なる経路で、制御信号を供給し、膜濾過設備5を遠隔制御するようにしている。このため、膜濾過設備5に隣接した場所のみならず、遠隔地点から複数の膜濾過設備5を遠隔制御することができ、これによって膜濾過設備5を運転する際の人件費などを大幅に削減することができる。
【0105】
《他の実施形態》
また、上述した実施の各実施形態においては、1日を複数に分割した所定の時間帯ごとに運用計画を求めるようにしているが、膜濾過システム20の規模が大きくなく、計算量が少ないときには、1日の始まりに、1日分の運用計画を求め、各時間毎に、運用計画と、実際の運用内容との誤差を検知し、この検知結果に基づき、運用計画を修正するようにしても良い。
【0106】
また、上述した実施形態では、各膜ユニット2に供給した膜供給水の一部を各膜供給水槽9に戻すようにしているが、各膜ユニット2に供給した膜供給水の全量を濾過する全量濾過方式で膜供給水を濾過するようにしても良い。この場合、各膜供給水槽9への循環ラインを省略して、膜濾過設備5を簡素化することができる。
【0107】
また、上述した各実施形態では、各膜ユニット2の各膜モジュール12の表面にファウリング物質が付着したとき、各逆洗浄水ポンプ20を動作して、濾過時の通水方向とは逆方向から各膜ユニット2に膜濾過水を流し、各膜モジュール12の表面に付着したファウリング物質を剥離するようにしているが、他の物理洗浄法、例えばエアスクラビング法、フラッシング法、機械的洗浄法などを用いて、各膜モジュール12の表面に付着したファウリング物質を剥離するようにしても良い。
【0108】
また、上述した各実施形態では、大規模な膜濾過システム、または中規模な膜濾過システムで通常、使用されているオンサイト/オンライン方式で、各膜モジュール12を物理洗浄、薬品洗浄するようにしているが、小規模な膜濾過システムなどのように各膜モジュール12の数が少ないときには、膜濾過設備5から各膜モジュール12を取り外し、膜濾過設備5内、あるいは膜濾過設備5外で、各膜モジュール12を物理洗浄、薬品洗浄するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明による膜濾過設備の制御装置の第1実施形態である膜濾過システムを示すブロック図。
【図2】図1に示す遺伝的アルゴリズム実行部が運用計画を作成するとき、使用する各膜ユニットの入出力特性例を示す模式図。
【図3】図1に示す遺伝的アルゴリズム実行部が運用計画を作成するとき、使用するマトリックス表の一例を示す模式図。
【図4】図1に示す遺伝的アルゴリズム実行部の運用計画動作例を示すフローチャート。
【図5】本発明による膜濾過設備の制御装置の第2実施形態である膜濾過システムを示すブロック図。
【符号の説明】
【0110】
1a、1b:膜濾過システム
2:膜ユニット
3:水道水源
4:需要家
5:膜濾過設備
6:制御装置
7:センサ(蛍光分析計、濁度計、吸光度計、全有機炭素計、液体クロマトグラフィ)
8:前処理装置
9:膜供給水槽
10:膜供給水ポンプ
11、13、15、19、21:流量計
12:膜モジュール
14、17:バルブ
16:薬品貯留槽
18:膜濾過水槽
20:逆洗浄水ポンプ
23:プロセス入出力部
24:水質検知部
25:破断検知部
26:目詰まり検知部
27:ヒューマン・インタフェース部
28:水需要実績記憶部
29:水需要予測部
30:遺伝的アルゴリズム実行部(運用計画作成部)
31:数理計画法実行部(運用計画作成部)
32:運用計画部(運用計画作成部)
33:膜濾過設備制御部
34、35:マトリックス表
36:通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の膜モジュールから構成される膜ユニットを有する膜濾過設備を制御する装置において、
過去の水需要実績を記憶する水需要実績記憶部と、
この水需要実績記憶部に記憶されている水需要実績に基づいて、これからの水需要を予測する水需要予測部と、
この水需要予測部により予測された水需要量に基づいて、前記膜濾過設備の運用計画を求める運用計画作成部と、
この運用計画作成部により求められた運用計画に基づいて前記膜濾過設備を制御する濾過膜設備制御部と、
を備えたことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記運用計画作成部に遺伝的アルゴリズムを使用して、前記膜濾過設備を構成している各機器の運転コスト低減、長寿命化、安定運転に関する目的関数の和を最小化するのに必要なパラメータを求め、このパラメータを用いて、運用計画を算出する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記水需要実績記憶部は、過去の水需要実績と曜日情報とを対応して記憶し、
前記水需要予測部は、前記水需要実績記憶部に記憶された過去の水需要実績のうち、当日の曜日情報に対応する過去の水需要実績を使用して当日の水需要を予測する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記膜モジュールに供給される膜供給水および膜濾過水、あるいは前記膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を検知する水質検知部を設け、
前記水需要実績記憶部は、前記水質検知部で得られた過去の水質情報を記憶し、
前記運用計画作成部は、前記水質検知部で検知された膜供給水、膜濾過水の水質情報、前記水需要実績記憶部に記憶されている過去の水質情報のうち、少なくともいずれか1つ以上の水質情報を使用して運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記各膜ユニット内に、膜供給水および膜濾過水、または膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の蛍光強度を測定する蛍光分析計を配置し、
前記水質検知部は、前記蛍光分析計の測定結果に基づき、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を検知し、
前記運用計画作成部は、前記水質検知部で得られた水質情報を使用して運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記蛍光分析計は、波長“340〜350nm”の間にある特定波長の励起光と、波長“420〜430nm”の間にある特定の蛍光を使用して、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の蛍光強度を測定する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記各膜ユニット内に、膜供給永および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の濁度を測定する濁度計を配置し、
前記水質検知部は、前記濁度計の測定結果に基づき、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を検知し、
前記運用計画作成部は、前記水質検知部で得られた水質情報を使用して運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記各膜ユニット内に、膜供給水および膜濾過水、あるいは前記膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の吸光度を測定する吸光度計を配置し、
前記水質検知部は、前記吸光度計の測定結果に基づき、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を検知し、
前記運用計画作成部は、前記水質検知部で得られた水質情報を使用して運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記吸光度計は、波長“250〜270nm”の間にある特定波長あるいは、波長“380〜400nm”の間にある特定波長の光に対する吸光度を使用して吸光度を測定する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記各膜ユニット内に、膜供給水および膜濾過水、あるいは前記膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の全有機炭素を測定する全有機炭素計を配置し、
前記水質検知部は、前記全有機炭素計の測定結果に基づき、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を検知し、
前記運用計画作成部は、前記水質検知部で得られた水質情報を使用して運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記各膜ユニット内に、膜供給水および膜濾過水、あるいは前記膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の溶解性成分濃度を測定する液体クロマトグラフィを配置し、
前記水質検知部は、前記液体クロマトグラフィ濁度計の測定結果に基づき、膜供給水および膜濾過水、あるいは膜モジュールの逆洗浄処理によって排出される逆洗浄水の水質情報を検知し、
前記運用計画作成部は、前記水質検知部で得られた水質情報を使用して運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記膜モジュールの目詰まりを検知する検知部を配置し、
前記水需要実績記憶部は、前記検知部で検知したデータに記憶するとともに、前記運用計画作成部は、前記膜モジュールを使用する前の測定データ、または薬液によって再生処理した直後の測定データを初期値として、各測定データと初期値との差分を求め、各差分の経時変化に基づき、運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記膜モジュールが破断したことを検知する破断検知部を配置し、
記運用計画作成部は、この破断検知部の検知結果に基づき、前運用計画を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記水需要予測部に、今後所定時間後の水需要予測の累積誤差を求める機能を持たせ、
前記水需要予測部で得られた所定時間後の水需要予測の累積誤差に基づいて、水需要予測を修正する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記運用計画作成部は、1日を複数に分割した所定の時間帯毎に、前記膜濾過設備の運用計画を求める、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の膜濾過設備の制御装置において、
前記膜濾過設備と通信回線で接続され、ASP(Application Service Provider)として動作して前記膜濾過設備を遠隔制御する、
ことを特徴とする膜濾過設備の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−281092(P2006−281092A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104458(P2005−104458)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】