説明

膜電極接合体

【課題】長期耐久性及び、出力特性が良好な膜電極接合体を提供すること。
【解決手段】触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記親水部がスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を有する特定構造をもつことを特徴とする膜電極接合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜電極接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、発電効率が高く、環境性に優れており、現在、大きな課題となっている環境問題、エネルギ問題の解決に貢献可能な次世代の発電装置として期待されている。
この燃料電池の中でも固体高分子型燃料電池は、他のいずれの方式に比べても小型かつ高出力であり、小規模オンサイト型、移動体(車載)用、携帯用の燃料電池として次世代の主力とされている。
現状では、固体高分子型燃料電池はまだ実用段階に至っていないが、試作、あるいはテスト段階で用いられている燃料電池の高分子電解質膜としては、パーフルオロアルキレン基を主骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテル側鎖の末端にスルホン酸基、カルボン酸基等のイオン交換基を有するフッ素系の高分子電解質膜として「ナフィオン(R)」、「フレミオン(R)」等が知られている。
【0003】
しかし、現在用いられている燃料電池の高分子電解質膜である「ナフィオン(R)」等では、100℃を超える条件で運転しようとすると、高分子電解質膜の含水率が急激に落ちるほか、高分子電解質膜の軟化も顕著となる。特に将来が期待されている直接メタノール型燃料電池では、従来の「ナフィオン(R)」の様なフッ素系プロトン伝導性高分子材料を電解質として用いた場合、アノードを通リ抜けたメタノールが電解質中を拡散して、カソードに到達し、そこでカソード触媒上で酸化剤(O2)と直接反応するという短絡現象(クロスオーバー)を起こし、電池性能を著しく低下させることから十分な性能を発揮することができないという問題がある。
上記問題を解決するため、従来からフッ素系膜の代わりとなる耐熱性の芳香族ポリマーに、プロトン伝導性を付与するためのスルホン酸基を導入した高分子電解質膜の検討が種々行なわれている。例えば、高分子電解質膜の耐熱性や化学的安定性の観点から、スルホン化芳香族ポリエーテルケトン類、スルホン化芳香族ポリエーテルスルホン類、スルホン化ポリフェニレン類等が報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかし、上記炭化水素系電解質膜は、プロトン伝導率を向上させるためにイオン交換基組成を増加させると、長期耐久性が低下するといったトレードオフの関係にあることが一般的に知られている。この問題を解決するため、イオン交換基を含む親水部とイオン交換基を含まない疎水部からなるブロック電解質ポリマーが検討されている(特許文献4、5参照)。しかし、炭化水素系電解質膜は、フッ素系電解質膜に比べプロトン伝導率が低く、良好な出力特性を得るためには、イオン交換基組成を増加させる必要があり、膨潤を引き起こし、長期耐久性に劣ることが課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−93114号公報
【特許文献2】特許第3861367号公報
【特許文献3】特開2001−329053号公報
【特許文献4】特開2005−112985号公報
【特許文献5】特開2007−106986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、炭化水素系電解質膜が高プロトン伝導性、酸化耐性をあわせもつ電解質膜を架橋した電解質膜を用いることで、長期耐久性及び、出力特性が良好な膜電極接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記親水部が下記式(1)、(3)、(4)及び(5)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有し、及び/又は前記疎水部が下記式(6)、(8)、(9)及び(10)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する膜電極接合体により、上記目的が達成されることが見いだされた。
【0008】
すなわち、本発明は以下を提供する。
1.触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記親水部が下記式(1)、(3)、(4)及び(5)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する膜電極接合体。
【0009】
【化1】

式(1)
【0010】
[式中、Aは直接結合(あるいは単結合ともいう)、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−、または、
【0011】
【化2】

式(2)
【0012】
(Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
m'、n'はそれぞれ0〜4の置換基数を表す。ただし、m'+n'は1以上である。)を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜4の置換基数を表し、fは4−mの置換基数を表す。nは0〜4の置換基数を表し、jは4−nの置換基数を表す。ただし、m+nは1以上である。また、Aが式(2)で表される基である場合には、m+nは0でもよい。]
【0013】
【化3】

式(3)
【0014】
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜3の置換基数を表し、fは3−mの置換基数を表す。nは0〜3の置換基数を表し、jは3−nの置換基数を表す。m'は0〜4の置換基数を表し、f'は4−mの置換基数を表す。n'は0〜2の置換基数を表し、j'は2−n'の置換基数を表す。ただし、m+nは1以上であり、m'+n'は1以上である。]
【0015】
【化4】

式(4)
【0016】
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−または炭素数1〜10のアルキリデン基を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜5の置換基数を表し、fは5−mの置換基数を表す。nは0〜5の置換基数を表し、jは5−nの置換基数を表す。ただし、m+nは1以上である。]
【0017】
【化5】

式(5)
【0018】
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは1〜5の置換基数を表し、fは5−mの置換基数を表す。]
【0019】
2.触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記疎水部が下記式(6)、(8)、(9)及び(10)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する、上記1記載の膜電極接合体。
【0020】
【化6】

式(6)
【0021】
[式中、Aは−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−または
【化7】

式(7)
を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。
f、jはそれぞれ1〜4の置換基数を表す。]
【0022】
【化8】

式(8)
【0023】
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。
f、jはそれぞれ1〜3の置換基数を表し、f'は1〜4の置換基数を表し、j'は1〜2の置換基数を表す。]
【0024】
【化9】

式(9)
【0025】
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、または−C(C6H5)2−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
f及びjは1〜5の置換基数を表す。]
【0026】
【化10】

(式10)
【0027】
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
fは1〜5の置換基数を表す。]
3.触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記疎水部が上記2記載の式(6)、(8)、(9)及び(10)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する膜電極接合体。
4.炭化水素系電解質膜のプロトン酸基の総量の0.1〜30%が架橋されてなる上記1〜3のいずれか一に記載の膜電極接合体。
5.上記1〜4のいずれか一に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
【発明の効果】
【0028】
本発明の膜電極接合体によれば、炭化水素系電解質膜が高プロトン伝導性、酸化耐性をあわせもつ電解質膜を架橋した電解質膜を用いることで、膜電極接合体の長期耐久性及び、出力特性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】プロトン伝導率測定用セルの構造を示す図である。
【図2】燃料電池の構造を示す図である。
【図3】燃料電池の時間経過に対する最大出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明について詳述する。
本発明の膜電極接合体の構成を更に詳細に説明する。
<膜電極接合体>
本発明の膜電極接合体は、触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が特定構造の親水部及び疎水部を有し、更に架橋されていることを特徴とする。前記炭化水素系電解質膜を膜電極接合体化することにより、低抵抗・低膨潤が得られ、長期耐久性及び、良好な出力特性を示すことが可能である。
【0031】
本発明の膜電極接合体は、炭化水素系電解質膜上に、触媒層を含む電極を設けることにより製造される。好ましくは、炭化水素系電解質膜側に電極の触媒層側が接合されるように製造する。膜電極接合体の製造方法については後述する。
【0032】
<炭化水素系電解質膜>
架橋構造
本発明の炭化水素系電解質膜は架橋構造を有する。架橋構造とは、一般に原子やイオンまたは分子の間を、他の原子などが橋をかけるようにつないでいる結合をいい、共有結合、イオン結合、水素結合などが含まれるが、本発明では共重合体同士をつなぐ結合、好ましくは共有結合をいう。本発明における架橋構造には、少なくとも、炭化水素系電解質膜(共重合体膜)中の親水部に存在するプロトン酸基を共重合体膜中の他のポリマー鎖と反応させることにより形成された構造を含むことが好ましい。
【0033】
例えば、本発明の炭化水素系電解質膜の架橋としては、メタンスルホン酸とリン酸からなる溶液に電解質膜を含浸し、電解質膜中のスルホン酸基を架橋させる方法が好適に使用される。より具体的には、例えば、1〜30wt%五酸化二リンになるように調製したメタンスルホン酸溶液中に1〜48時間程度浸漬することにより行われる。この時、60〜180℃で加熱することが好ましい。また、上記の五酸化二リンの他に、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の酸類を用いることもできる。また、メタンスルホン酸の他に、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フルオロスルホン酸等のスルホン酸類を用いることもできる。架橋に用いる試薬の濃度や、溶液への浸漬時間、温度等は、後述する架橋密度を達成するように適宜設定することができる。
【0034】
例えば、親水部のスルホン酸基を五酸化二リンとメタンスルホン酸により架橋させた場合には、下記に示されるような架橋構造を形成していると考えられる。
【化11】

【0035】
また、他の架橋方法としては、3官能以上のフェノール性ヒドロキシル基またはメトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル等を有する化合物を用いることで架橋することができる。
【0036】
本発明の炭化水素系電解質膜の架橋密度としては、電解質中のプロトン酸基の総量の0.1%から30%を重合することが好ましく、さらに好ましくは、0.2%から20%であり、0.5%から15%が最も好ましい。0.1%以上であれば、電解質膜の膨潤を抑制でき、30%以下であれば、電解質膜のプロトン伝導率を損なうことがない。
本明細書において、プロトン酸基の重合率(架橋率)は、後述する「イオン交換当量重量の測定」に記載の測定算出方法により架橋前後のイオン交換容量をもとめ、架橋率を算出する。
【0037】
プロトン酸基
本発明の炭化水素系電解質膜のプロトン酸基量に特に制限は無いが、プロトン伝導性と耐久性の観点から、イオン交換当量重量(EW値)の値で、300以上1000以下が好ましく、400以上900以下がより好ましく、500以上800以下がさらに好ましい。ここでイオン交換当量重量(EW値)とは、プロトン酸基1モル当りの共重合体の重量(g)を言う。
EW値が300以上であれば、耐久性が低下することもなく、1000以下であれば、プロトン伝導性が良好となる
本発明のイオン交換当量重量(EW値)とは、導入されたイオン交換基単位当量あたりのポリマーの分子量を表し、値が小さいほどイオン交換基の導入度が大きいことを示す。イオン交換当量重量は、1H-NMRスペクトロスコピー、元素分析、特公平1-52866号明細書に記載の酸塩基滴定、非水酸塩基滴定(規定液はカリウムメトキシドのベンゼン・メタノール溶液)等により測定が可能である。
【0038】
親水部及び疎水部
本発明の炭化水素系電解質膜は特定構造の親水部及び疎水部を有する。
本発明の炭化水素系電解質膜の前記電解質膜の親水部としては、下記式(1)、(3)、(4)及び(5)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する。
式(1)または(3)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有することが好ましく、特に、式(1)から選ばれる構造単位を親水部に有することが好ましい。
【0039】
【化12】

式(1)
【0040】
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−、または、
【0041】
【化13】

式(2)
(Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
m'、n'はそれぞれ0〜4の置換基数を表す。ただし、m'+n'は1以上である。)を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜4の置換基数を表わし、fは4−mの置換基数を表わす。nは0〜4の置換基数を表わし、jは4−nの置換基数を表す。
ただし、m+nは1以上である。また、Aが式(2)で表される基である場合には、m+nは0であってもよい。]
【0042】
本明細書において、X2として挙げたフルオロアルキレン基、フルオロアルキレンオキシ基は、一部または全部の水素がフッ素置換されたアルキレン基を意味する。
本明細書において、X2として挙げた“アルキレンオキシ基”には、−O−CH2CH2−のような酸素原子が一つの基のみではなく、−O−CH2CH2−O−CH2CH2CH2CH2−O−CH2CH2−のように、合計炭素数が規定された範囲内であれば、2以上のアルキレンオキシ基が連鎖したものも含む。
フルオロアルキレンオキシ基も同様に、フルオロアルキレンオキシフルオロアルキレンオキシ基(例、−O−CF2CF2−O−CF2CF2−)あるいはフルオロアルキレンオキシアルキレンオキシ基(例、−O-CF2CF2−O−CH2CH2−)のように、合計炭素数が規定された範囲内であれば、2以上のフルオロアルキレンオキシ基が結合したもの、フルオロアルキレンオキシ基とアルキレンオキシ基が結合したものも含む。
【0043】
式(1)におけるAとして好ましくは、直接結合、−S(O)2−、−C(O)−、または式(2)で表される基が挙げられる。
式(1)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
式(1)におけるX1として好ましくはスルホン酸基が挙げられる。X2として好ましくは、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基または炭素数1〜10のフルオロアルキレンオキシ基が挙げられる。
式(1)におけるm+nは1〜2であることが好ましい。
【0044】
式(2)におけるX1として好ましくはスルホン酸基が挙げられる。X2として好ましくは、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基または炭素数1〜10のフルオロアルキレンオキシ基が挙げられる。
式(2)におけるm'+n'は1〜2であることが好ましい。
【0045】
式(1)及び(2)としては例えば、
【化14】

【0046】
【化15】

等が挙げられる。
【0047】
【化16】

式(3)
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜3の置換基数を表し、fは3−mの置換基数を表す。nは0〜3の置換基数を表し、jは3−nの置換基数を表す。m'は0〜4の置換基数を表し、f'は4−mの置換基数を表す。n'は0〜2の置換基数を表し、j'は2−n'の置換基数を表す。ただし、m+nは1以上であり、m'+n'は1以上である。]
【0048】
式(3)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
式(3)におけるX1として好ましくはスルホン酸基が挙げられる。X2として好ましくは、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基または炭素数1〜10のフルオロアルキレンオキシ基が挙げられる。
式(3)におけるm+nまたはm'+n'は1〜2であることが好ましい。
【0049】
式(3)としては例えば、
【化17】

等が挙げられる。
【0050】
【化18】

式(4)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−または炭素数1〜10のアルキリデン基を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜5の置換基数を表し、fは5−mの置換基数を表す。nは0〜5の置換基数を表し、jは5−nの置換基数を表す。ただし、m+nは1以上である。]
【0051】
式(4)におけるAとして好ましくは、直接結合が挙げられる。
式(4)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
式(4)におけるX1として好ましくはスルホン酸基が挙げられる。X2として好ましくは、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基または炭素数1〜10のフルオロアルキレンオキシ基が挙げられる。
式(4)におけるm+nは1〜2であることが好ましい。
【0052】
式(4)としては例えば、
【化19】

等が挙げられる。
【0053】
【化20】

式(5)
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは1〜5の置換基数を表し、fは5−mの置換基数を表す。]
【0054】
式(5)におけるZとして好ましくは、−NH−である。
式(5)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
式(5)におけるX1として好ましくはスルホン酸基が挙げられる。X2として好ましくは、直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のフルオロアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基または炭素数1〜10のフルオロアルキレンオキシ基が挙げられる。
式(5)におけるmは1〜2であることが好ましい。
【0055】
式(5)としては例えば、
【化21】

等が挙げられる。
【0056】
ここで、親水部に含まれる式(1)、(3)、(4)及び(5)の構造単位は、必ずしも一種類に限定されるものではなく、二種類以上の構造単位が含まれていてもよい。
【0057】
本発明の炭化水素系電解質膜の前記電解質膜の疎水部としては、下記式(6)、(8)、(9)及び(10)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する。
式(6)または(8)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有することが好ましく、特に、式(6)から選ばれる構造単位を親水部に有することが好ましい。
【化22】

式(6)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−、または
【0058】
【化23】

式(7)
を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。
f、jはそれぞれ1〜4の置換基数を表す。]
【0059】
式(6)におけるAとして好ましくは、直接結合、−S(O)2−、−C(O)−、または式(7)で表される基が挙げられる。
式(6)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
【0060】
式(6)及び(7)としては例えば、
【化24】

等が挙げられる。
【0061】
【化25】

式(8)
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。
f、jはそれぞれ1〜3の置換基数を表し、f'は1〜4の置換基数を表し、j'は1〜2の置換基数を表す。]
【0062】
式(8)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
【0063】
式(8)としては例えば、
【化26】

等が挙げられる。
【0064】
前記電解質膜の疎水部としては、下記の式(9)及び/または、式(10)及の(δ)複素環を有する構造単位を含んでいることが好ましい。
【化27】

式(9)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−または炭素数1〜10のアルキリデン基を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
f及びjは1〜5の置換基数を表す。]
【0065】
式(9)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
式(9)におけるAとして好ましくは、直接結合である。
【0066】
式(9)としては例えば、
【化28】

等が挙げられる。
【0067】
【化29】

(式10)
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
fは1〜5の置換基数を表す。]
【0068】
式(10)におけるZとして好ましくは、−NH−である。
式(10)におけるRとして好ましくは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、フェニルカルボニル基、またはフッ素が挙げられ、より好ましくは、水素またはフッ素が挙げられる。
【0069】
式(10)としては例えば、
【化30】

等が挙げられる。
【0070】
ここで、式(6)〜(10)の構造単位は、必ずしも一種類に限定されるものではなく、二種類以上の構造単位が含まれていてもよい。
【0071】
次に、電解質膜の作製方法について説明する。
電解質膜は、前記親水部及び疎水部の構造単位を少なくとも一つ含む共重合体から作製される。共重合体の種類としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。
本発明では、ブロック共重合体の方がランダム共重合体より好ましい。より高いプロトン伝導率を示すからである。
ブロック共重合体である場合には、前記親水部を含む親水性セグメントと前記疎水部を含む疎水性セグメントからなるブロック共重合体であることが好ましい。
親水性セグメントは、前記式(1)、(3)、(4)または(5)で表される少なくとも一つの親水性の構造単位からなっていてもよい。親水性セグメントは更に、前記親水性の構造単位と、前記式(6)、(8)、(9)または(10)で表される少なくとも一つの疎水性の構造単位とを含む構造単位からなっていてもよい。なお、各構造単位は、式(1)のAで表される基により結合していてもよい。
疎水性セグメントは、前記式(6)、(8)、(9)または(10)で表される少なくとも一つの構造単位からなっていてもよく、更に前記疎水性の構造単位が少なくとも二つ結合した構造単位からなっていてもよい。なお、各構造単位は、式(1)のAで表される基により結合していてもよい。
【0072】
ランダム共重合体の合成法としては、親水部前駆体モノマーと疎水部前駆体モノマーを化学結合させて共重合体とすることにより好適に合成される。ここで共重合体を製造する方法には特に制限はなく、それぞれの構造単位の組合せに応じた適切な公知の方法を用いることができる。
例えば、親水部前駆体モノマー及び疎水部前駆体モノマーを縮合反応することにより合成することができる。
【0073】
ブロック共重合体の合成法としては、まず、親水部前駆体モノマーまたは疎水部前駆体モノマーを各々化学結合させて親水部セグメント及び疎水部セグメントを合成する。その後、親水部セグメントと疎水部セグメントとを化学結合させてブロック共重合体とすることにより好適に合成される。ここでブロック共重合体を合成する方法には特に制限はなく、それぞれの構造単位の組合せに応じた適切な公知の方法を用いることができる。
例えば、親水部モノマー及び疎水部前駆体モノマーを各々縮合反応することにより親水部セグメント及び、疎水部セグメントを合成し、親水部セグメント及び、疎水部セグメントを縮合反応することにより合成することができる。
親水部セグメント及び疎水部セグメントの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜200,000であり、より好ましくは8,000〜150,000であり、さらに好ましくは10,000〜100,000である。
【0074】
前記ランダム共重合体及び、ブロック共重合体の合成は、触媒存在下溶媒中で行うことができる。
触媒としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム等のアルカリ触媒やフッ化セシウム等の金属ハロゲン化物が使用できる。触媒量は、反応させるモノマーの全モル数に対して、0.1から100倍で使用できる。
【0075】
反応溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミド、ウ−ブチロラクトン等の非プロトン極性溶媒から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。
これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。
【0076】
溶媒量は、反応させるモノマーおよび触媒の総重量に対して0.1〜100倍の範囲で用いることができ、好ましくは1〜80倍の範囲であり、より好ましくは5〜50倍の範囲である。0.1倍以上であれば、モノマーが溶解することができ、100倍以下であれば反応が進行しないこともない。
【0077】
反応温度は0℃〜350℃であり、好ましくは40℃〜260℃である。
反応時間は、2時間〜500時間で行うことができる。
【0078】
さらに、前記共重合体は、親水部及び疎水部以外の繰返し単位が含まれていてもよい。親水部及び疎水部以外の繰返し単位以外の繰返し単位は、特に制限はないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシド等のアルキレンエーテル、パーフルオロアルキレンエーテル、芳香族イミド、アミド等の結合を有する芳香族エーテル等がある。
【0079】
得られた共重合体の重量平均分子量は50,000〜800,000程度であることが好ましく、100,000〜600,000であることがより好ましく、200,000〜500,000であることが更に好ましい。この範囲内であると、成膜性がよくフィルム化しやすい傾向がある。
【0080】
また、本発明の膜電極接合体には、その特性を著しく低下しない範囲で、上記共重合体に加え、構造の異なる他の種類の樹脂を含有していてもよい。
この樹脂の種類としては、具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂およびAS樹脂等の汎用樹脂、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック、ならびにポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)及び各種液晶ポリマー(LCP)等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
また、この場合には、前記共重合体が、樹脂組成物全体の50質量%以上100質量%以下含まれていることが好ましい。より好ましくは70質量%以上100質量%未満である。共重合体の含有量が樹脂組成物全体の50質量%未満の場合には、この樹脂組成物を含む電解質膜の樹脂組成物中のプロトン酸基濃度が低くなり良好なプロトン伝導性が得られない傾向にあり、また、プロトン酸基を含有するユニットが非連続相となり伝導するプロトンの移動度が低下する傾向にある。
【0082】
なお、共重合体樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0083】
次に、電解質膜の作製方法を説明する。
上記共重合体またはその樹脂組成物から電解質膜を作製することができる。電解質膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去して電解質膜を得ることができる。
この溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミド等の非プロトン極性溶媒や、メタノール、エタノールな等のアルコール類から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。
これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。
【0084】
電解質膜塗布溶液中の化合物濃度は0.1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、3質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
溶液中の化合物濃度が0.1質量%未満である場合には成形性が悪化する傾向にあり、50質量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。
【0085】
溶媒の除去は、乾燥によることが電解質膜の均一性からは好ましい。
また、化合物や溶媒の分解や変質をさけるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。
【0086】
キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上750μm以下である。
溶液の厚みが10μmよりも薄いと電解質膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、1000μmよりも厚いと不均一な電解質膜ができやすくなる傾向にある。
溶液のキャスト厚を制御する方法としては従来から公知の方法を用いることができる。
例えば、アプリケータ、ドクターブレード等を用いて一定の厚みに制御することができ、或いは、ガラスシャーレ等を用いてキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。
【0087】
キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な電解質膜を得ることができる。
例えば、加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。
【0088】
また、水等に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておく等して化合物の凝固速度を調整することができる。
電解質膜は目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、プロトン伝導率の面からはできるだけ薄いことが好ましい。
具体的には5〜200μm以下であることが好ましく、5〜75μm以下であることがさらに好ましく、5〜50μm以下であることが最も好ましい。
電解質膜の厚みが5μmより薄いと電解質膜の取り扱いが困難となり燃料電池を作製した場合に短絡等が起こる傾向にあり、200μmよりも厚いと電解質膜の電気抵抗値が高くなり燃料電池の発電性能が低下する傾向にある。
【0089】
また、本発明の電解質膜のプロトン伝導率は0.01S/cm以上であることが好ましく、更に0.03S/cm以上であることが好ましい。プロトン伝導率は、後述する測定方法により測定することができる。
プロトン伝導率が0.01S/cm以上である場合には、その高分子電解質膜を用いた燃料電池において良好な出力が得られる傾向にあり、0.01S/cm未満である場合には燃料電池の出力低下が起こる傾向にある。
【0090】
<電極>
本発明の膜電極接合体に用いる電極は、好ましくは、ガス拡散層と、このガス拡散層上及び/または内部に設けた触媒層とを有する。
得られる電極は、多孔質である。電極の平均孔直径は、例えば、0.01〜50μm、好ましくは0.1〜40μmであることが適当である。さらに、電極の間隙率は、例えば、10〜99%、好適には10〜60%であることが適当である。
また、本発明の電極は、電極の中及び/または表面に結着剤を有するものが好ましい。このような結着剤は、上記ガス拡散層と触媒層との結合、及び電極と電解質膜との結合を促進する。結着剤としては、例えば、本発明で使用され得るすべてのポリマー、その他、ナフィオン(R)やフレミオン(R)などのフッ素系等の固体高分子電解質を使用することができる。
【0091】
<触媒層>
本発明において、触媒層に使用される触媒物質としては、例えば、白金,ロジウム,ルテニウム,イリジウム,パラジウム,オスニウムなどの白金族金属及びその合金が適している。これら触媒物質及び触媒物質の塩類を単独または混合して用いてもよい。中でも、金属塩や錯体、特に[Pt(NH3)4]X2または[Pt(NH3)6]X4(Xは1価の陰イオン)であらわされるアンミン錯体が好ましい。また、触媒として金属化合物を用いる場合、いくつかの化合物の混合物を用いても良いし、複塩でもよい。例えば、白金化合物とルテニウム化合物を混ぜて用いることで、還元工程により、白金−ルテニウム合金の形成が期待できる。
【0092】
触媒の粒径は、特に限定されないが、触媒活性の大きくなる適当な大きさの観点から平均粒径が0.5〜20nmであることが好ましい。なお、K. Kinoshita等の研究(J. Electrochem. Soc., 137, 845(1990))では、酸素の還元に対して活性の高い白金の粒径は3nm程度であることが報告されている。
【0093】
本発明で用いる触媒層の触媒には、更に助触媒を添加することができる。助触媒としては、微粉状炭素が挙げられる。微粉状炭素としては共存する触媒が高い活性を示すものが好ましく、例えば、触媒として白金族金属の化合物を用いる場合には、Denka Black, Valcan XC-72,Black Pearl 2000等の、アセチレンブラック等が適当である。
触媒の量は、付着方法等により異なるが、ガス拡散層の表面に例えば、約0.02〜約20mg/cm2の範囲、好ましくは約0.01〜約10mg/cm2の範囲で付着されていることが適当である。また、電極の総量に対し、例えば、0.01〜10質量%、好ましくは、0.3〜5質量%の量で存在することが適当である。
【0094】
<ガス拡散層>
ガス拡散層としては、例えば、カーボン繊維織布、カーボンペーパー等、通気性を有する既知の基体が使用され得る。好ましくは、これらの基体等を撥水処理したものが使用される。撥水処理は、例えば、これら基体を、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂等からなる撥水剤の水溶液中に浸漬し、乾燥し、焼成することにより行われる。
【0095】
<膜電極接合体の製造方法>
本発明の膜電極接合体は、電解質膜上に、上記電極を設けることにより製造される。好ましくは、電解質膜側に電極の触媒層側が接合される。膜電極接合体の製造方法としては、たとえば以下の3つの方法が挙げられる。
【0096】
(1)スプレーコート法:電解質膜上に、直接触媒物質を適用して触媒層を形成し、さらに形成した触媒層上にガス拡散層を形成する方法。例えば、特表2000-516014号公報に記載の方法によりイオン交換基を有するパーフルオロカーボンポリマー、白金族触媒、微粉状炭素(カーボンブラック)その他添加物を含む触媒物質を電解質膜上に塗布、噴霧、印刷等することにより適用して触媒層を形成し、この触媒層上に、ガス拡散層を熱プレス等により加熱圧着する方法がある。
【0097】
(2)GDEの接合: ガス拡散層を触媒物質の溶液に浸漬等させてあらかじめ電極を作成し、得られた電極を電解質膜上に設ける方法。例えば、可溶性白金族塩の溶液(ペースト)に、ガス拡散層を浸漬し、可溶性白金族塩をガス拡散層上及び内に吸着(イオン交換)させる。次いで、ヒドラジン、Na2BO4のような還元剤溶液に浸漬してガス拡散層上に触媒となる金属を析出させる方法がある。
【0098】
(3)転写法:あらかじめ基板上に触媒物質を適用して触媒層を作成し、得られた触媒層を電解質膜上に転写し、さらに形成した触媒層上にガス拡散層を形成する方法。例えば、あらかじめポリ四弗化エチレンと、トーマス法等で合成した白金黒とを均一に混合し、テフロン(登録商標)シート基板上に適用して加圧成型した後、電解質膜上に転写し、さらにガス拡散層を配置し、得られた積層物を加圧圧着する方法がある。
【0099】
より好ましい本発明の膜電極接合体の製造方法としては、触媒物質とガス拡散層材料とを含む電極材料を直接電解質膜上に適用する方法が挙げられる。具体的には、触媒物質として、白金−ルテニウム(Pt-Ru)白金(Pt)等の触媒物質を担持した触媒担持カーボン粒子または触媒黒を用い、この触媒物質を、水のような溶媒、電解質のような結着剤、及び任意にガス拡散層の製造に使用されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のような撥水剤と共に混合して触媒スラリーを作成する。この触媒スラリーを直接本発明の電解質膜上に塗布あるいは噴霧により適用して製膜し、その後加熱乾燥して、電解質膜上に触媒層(撥水剤を含む場合はガス拡散層の一部をなす撥水性層を含む)を形成する。この触媒層上に、任意に撥水処理されたカーボンペーパー等のガス拡散層を熱プレス等することによって電極が作製される。
【0100】
このときの触媒層の厚さは、例えば、0.1〜1000μm、好ましくは、1〜500μm、より好ましくは2〜200μmであることが適当である。
上記触媒スラリーは、粘度を0.1〜1000Pa・Sの範囲に調節しておくことが望ましい。この粘度は、(i)各粒子サイズを選択するか、(ii)触媒の粒子と結着剤との組成を調節するか、(iii)水の含有量を調節するか、或は(iv)好適には粘度調節剤、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびセルロースなど、およびポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリメチルビニルエーテルなどを添加することなどで調節可能である。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例で得られた炭化水素系電解質膜及び膜電極接合体の評価方法を以下に示す。
<測定方法および評価方法>
(1)膨潤率の評価
膨潤率は、3cm×3cmに切り出した厚さ50〜150μmの高分子電解質膜を、80℃の水に1時間浸漬させて、その前後の面積変化を下記式1から求めた。
浸漬後の面積は、電解質膜表面を濾紙(5A)にて軽く拭き取り、縦と横の辺の長さを測定し、その積より求めた。
膨潤率(%)={試験後膜面積(cm2)−試験前膜面積(cm2)}/ 試験前膜面積(cm2)×100 (式1)
【0102】
(2)プロトン伝導率の測定
プロトン伝導率の測定用に図1に示す評価セルを作製した。電極には白金電極を用い、電極間隔は1cmとした。恒温恒湿相に評価セルを入れ、任意の温度、湿度に設定し、交流インピーダンス法により、電解質膜の抵抗を測定した。評価法は、セルをSolartron社製、1260FREQUENCY RESPONSE ANALYSERに四端子により接続し、交流周波数を1.0kHzから0.1Hzへと任意に変化させたとき検出される総インピーダンスの実数部分と虚数部分を、複素面にプロットしたCole-Coleプロットの直線部分数点についてカーブフィッティングを行い、その切片の値から電解質膜の抵抗を得た。
これを式1に代入してプロトン伝導率を算出した。
σ=L/(R×S) (式2)
σ:プロトン伝導率(S/cm)、L:電極間距離(cm)、R:抵抗(Ω)、
S:膜断面積(cm2
【0103】
(3)耐酸化性の評価
耐酸化性は、2cm×2cmに切り出した電解質膜を、120℃の送風乾燥機で20分乾燥後秤量し、それを耐圧密閉容器中で3%過酸化水素水に3ppm FeSO4を加えて調製した50℃の溶液中に浸し、1〜15時間浸漬した。その後、1時間毎に120℃の送風乾燥機で20分乾燥後、秤量し、その前後の重量変化を下記式から求め、試験後の膜残存率を得た。
Wr(%)=(Wa/Wb) ×100
Wr:膜残存率(%)
Wb:試験前の膜重量(kg)
Wa:試験後の膜重量(kg)
【0104】
(4)イオン交換当量重量の測定
スルホン酸型にした電解質膜を100℃で24時間減圧乾燥後、アルゴン雰囲気のグローブボックス中に移し30分放置してから重量を測定した。これを1.0 mol/lの食塩水中に加え、水酸化カリウムの0.05mol/lエタノール溶液で滴定を行った。pH7になった時点を当量点とし、そのとき加えた水酸化カリウムの量からイオン交換容量を算出した。
イオン交換容量の計算式:イオン交換容量[meq/g]=0.05[mmol/ml]×水酸化カリウムの滴定量[ml]/電解質膜の重量[g]
【0105】
〔実施例1〕
<第一の芳香族高分子化合物(親水セグメント)の合成>
ディーンスタークトラップ、コンデンサー、撹拌機および窒素供給管を備えた1000mlの4つ口セパラブルフラスコに、4,4'−ジクロロ−3,3'−ジスルホン酸ナトリウムジフェニルスルホン1水和物(SDCDPS, 分子量509.25, 15.00g, 0.0295モル, 1.00当量)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル(Biphenol, 分子量186.21, 5.76g, 0.0309モル, 1.05当量)、炭酸カリウム(K2CO3, 分子量138.21, 4.92g, 0.0356モル, 1.21当量)、N−メチルピロリドン70ml、トルエン50mlを入れ、160℃で1時間、180℃で1時間加熱攪拌してトルエンを留去したのち、200℃に昇温して24時間加熱した。反応液を室温に冷却後、デカフルオロビフェニル(DFBP, 分子量334.11, 0.98g, 0.0029モル, 0.10当量)を加え、130℃で2時間加熱攪拌して、第一の芳香族高分子化合物の反応液を得た。得られた第一の芳香族高分子化合物の分子量は、数平均分子量34600、重量平均分子量84800であった。
【0106】
<第二の芳香族高分子化合物(疎水セグメント)の合成>
ディーンスタークトラップ、コンデンサー、マグネティックスタラーおよび窒素供給管を備えた500mlのナスフラスコに、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS, 分子量287.16, 13.53g, 0.0471モル, 1.60当量)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル(Biphenol, 分子量186.21, 9.05g, 0.0486モル, 1.65当量)、炭酸カリウム(K2CO3, 分子量138.21,7.72g, 0.0559モル, 1.90当量)、N−メチルピロリドン140ml、トルエン100mlを入れ、160℃で1時間、180℃で1時間加熱攪拌してトルエンを留去したのち、200℃に昇温して12時間加熱攪拌して、第二の芳香族高分子化合物の反応液を得た。得られた第二の芳香族高分子化合物の分子量は、数平均分子量20100、重量平均分子量43800であった。
【0107】
<ブロック共重合体の合成、ブロック共重合体の精製、及びブロック共重合体膜の作製>
第一の芳香族高分子化合物の反応容器と、第二の芳香族高分子化合物の反応容器をシリコンチューブで繋ぎ、窒素雰囲気下、室温で第二の芳香族高分子化合物の反応液を全て第一の芳香族高分子化合物の反応容器へ注いだ。この時、無水N−メチルピロリドン200mlで第二の芳香族高分子化合物の反応容器を窒素雰囲気下洗浄し、洗浄液も全て第一の芳香族高分子化合物の反応容器へ注いだ。反応混合液を140℃で1時間加熱攪拌した。室温に冷却後、反応液を2000mlの水中に注ぎ、ブロック共重合体を析出させた。ブロック共重合体を濾過した後、3000mlのビーカーに移し、蒸留水1500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、3000mlのビーカーに移し、10%硫酸水溶液1500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、精製水で十分に洗浄し、3000mlのビーカーに移し、蒸留水1500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、精製水で十分に洗浄し、3000mlのビーカーに移し、蒸留水1500mlと5%炭酸ナトリウム水溶液500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、精製水で十分に洗浄し140℃の熱風乾燥機で6時間乾燥することで目的物であるブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体の構造式、収量、収率、重量平均分子量、分散度、及びイオン交換当量重量(EW値)は以下に示すとおりである。
【0108】
構造式:
【化31】

【0109】
収量:34.2g, 収率:89%, 数平均分子量185000,重量平均分子量450000, 分散度2.4, イオン交換当量重量値(EW値)757
【0110】
<ブロック共重合体膜の作製>
ブロック共重合体の評価を行うために膜を作製した。
実施例1で得られたブロック共重合体15gをN−メチルピロリドン85gに溶解させた後、1000メッシュのフィルターを用いて加圧濾過し、さらに遊星攪拌型の脱泡装置で脱泡した。この溶液をガラス板上にギャップ400μmのバーコーターを用いて流延した後、熱風型乾燥機で60℃15分、80℃15分、100℃15分乾燥させた。乾燥機から取り出した後、膜をガラス板から剥離し、ステンレス製の枠に固定して、再び乾燥機の中に投じ、160℃30分、200℃30分乾燥した。室温に冷却後、膜を枠から取り外し、10%硫酸水溶液に12時間室温で含浸した。蒸留水で洗浄した後、膜に付着した水分を濾紙(5A)で拭き取りブロック共重合体膜1を作製した。
【0111】
数平均分子量測定に用いたGPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル濾過クロマトグラフィー)の測定条件は以下のとおりである。
GPC装置:東ソ−株式会社HLC−8220GPC
カラム:東ソー株式会社製 TSKgel SuperAWM−H×2本
溶離液:N−メチル−2−ピロリドン(NMP、10mmol/L臭化リチウム添加)
【0112】
<電解質膜の架橋>
得られたブロック共重合体膜1を10wt%五酸化二リンになるように調製したメタンスルホン酸溶液に含浸し、120℃、10時間加熱した。その後、架橋した電解質膜を溶液から取り出し、純水でpHが7になるまで洗浄し、膜に付着した水分を濾紙(5A)で拭き取り架橋したブロック共重合体膜1を作製した。
【0113】
<膜電極接合体の調製>
白金担持量が50質量%である触媒担持カーボン粒子(田中貴金属株式会社製、TEC10V50E)1.0gを水に湿らせた後に、ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製、「ナフィオン(登録商標)」溶液5%)10gを、均一になるように混合分散することによって、触媒ペーストA(粘度3.0Pa・s)を調製した。次いで、スプレーコーター(ノードソン社製、スラリー塗布装置III(登録商標))を用いて、この触媒ペーストAを実施例1で得られた架橋したブロック共重合体膜1上の片側に塗布、乾燥することにより触媒層Aを形成した。また、白金担持量が30質量%、ルテニウム担持量が24重量%である触媒担持カーボン粒子(田中貴金属株式会社製、TEC61E54)1.0gを水に湿らせた後に、ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製、「ナフィオン(登録商標)」溶液5%)12gを、均一になるように混合分散することによって、触媒ペーストB(粘度3.5Pa・s)を調製した。この触媒ペーストBをスプレーコーターを用いて塗布、乾燥することにより、実施例1で得られた架橋したブロック共重合体膜1上の触媒層Aの反対側に触媒層Bを形成し、実施例1で得られた架橋したブロック共重合体膜1の両側に触媒層A及びBを形成し、膜電極接合体を得た。続けて、平板プレスのプレス板の間に、調製した膜電極接合体を挟持し、120℃、5MPaの条件で3分間挟持することで膜電極接合体1(触媒層A膜厚150μm、触媒層B膜厚150μm)を調製した。
【0114】
<燃料電池の作製>
実施例1で得られた膜電極接合体1の両側に燃料漏れ防止用のテフロン(登録商標)シート、アノードセル、カソードセル、及び集電板を図2に示したように配置する。最後に全体を専用のボルトで固定し燃料電池(Electrochem, Inc. 社製 FC05-01SP-REF、電極面積5cm2、電極平均細孔径2μm、電極間隙率40%、サーペンタインフロー)を作製した。
【0115】
〔実施例2〕
<ランダム共重合体の合成>
ディーンスタークトラップ、コンデンサー、撹拌機および窒素供給管を備えた500mlの4つ口セパラブルフラスコに、4,4'−ジクロロ−3,3'−ジスルホン酸ナトリウムジフェニルスルホン1水和物(SDCDPS, 分子量509.25, 67.90g, 0.1333モル, 1.00当量)、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS, 分子量287.16, 47.86g, 0.1667モル, 1.25当量)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル(Biphenol, 分子量186.21, 40.97g, 0.3333モル, 2.50当量)、炭酸カリウム(K2CO3, 分子量138.21, 55.27g, 0.400モル, 3.00当量)、N−メチルピロリドン380ml、トルエン300mlを入れ、160℃で1時間、180℃で1時間加熱攪拌してトルエンを留去したのち、200℃38時間加熱した。反応液を室温に冷却後、デカフルオロビフェニル(DFBP, 分子量334.11,11.14g, 0.0333モル, 0.25当量)を加え、140℃で7時間加熱攪拌して、ランダム共重合体の反応液を得た。
【0116】
<ランダム共重合体の精製>
室温に冷却後、反応液を2000mlの水中に注ぎ、ブロック共重合体を析出させた。ブロック共重合体を濾過した後、3000mlのビーカーに移し、蒸留水1500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、3000mlのビーカーに移し、10%硫酸水溶液1500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、精製水で十分に洗浄し、3000mlのビーカーに移し、蒸留水1500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、精製水で十分に洗浄し、3000mlのビーカーに移し、蒸留水1500mlと5%炭酸ナトリウム水溶液500mlを加えて、室温から70℃に加熱した。ブロック共重合体を濾過した後、精製水で十分に洗浄し140℃の熱風乾燥機で6時間乾燥することで目的物であるブロック共重合体を得た。
【0117】
<ランダム共重合体膜の作製>
ランダム共重合体の評価を行うために膜を作製した。
得られたランダム共重合体15gをN−メチルピロリドン85gに溶解させた後、1000メッシュのフィルターを用いて加圧濾過し、さらに遊星攪拌型の脱泡装置で脱泡した。この溶液をガラス板上にギャップ400μmのバーコーターを用いて流延した後、熱風型乾燥機で60℃15分、80℃15分、100℃15分乾燥させた。乾燥機から取り出した後、膜をガラス板から剥離し、ステンレス製の枠に固定して、再び乾燥機の中に投じ、160℃30分、200℃30分乾燥した。室温に冷却後、膜を枠から取り外し、10%硫酸水溶液に12時間室温で含浸した。蒸留水で洗浄した後、膜に付着した水分を濾紙(5A)で拭き取りランダム共重合体膜1を作製した。
得られたランダム共重合体の構造式、収量、収率、重量平均分子量、分散度、及びイオン交換当量重量(EW値)は以下に示すとおりである。
【0118】
構造式:
【化32】

【0119】
収量:170g, 収率:97%, 重量平均分子量424000, 分散度6.4, イオン交換当量重量値(EW値)605
【0120】
<電解質膜の架橋>
得られたランダム共重合体膜1を10wt%五酸化二リンになるように調製したメタンスルホン酸溶液に含浸し、120℃、10時間加熱した。その後、架橋した電解質膜を溶液から取り出し、純水でpHが7になるまで洗浄し、膜に付着した水分を濾紙(5A)で拭き取り架橋したランダム共重合体膜1を作製した。
【0121】
<膜電極接合体の調製>
実施例2で得られた架橋したランダム重合体膜を用いた以外は、実施例1と同様にして巻く電極接合体2を作製した。
【0122】
<燃料電池の作製>
実施例2で得られた膜電極接合体2両側に燃料漏れ防止用のテフロン(登録商標)シート、アノードセル、カソードセル、及び集電板を図2に示したように配置する。最後に全体を専用のボルトで固定し燃料電池(Electrochem, Inc. 社製 FC05-01SP-REF、電極面積5cm2、電極平均細孔径2μm、電極間隙率40%、サーペンタインフロー)を作製した。
【0123】
〔比較例1〕
<ブロック共重合体膜の作製>
実施例1で得られたブロック共重合体1を用いて、実施例1と同様にしてブロック共重合体膜2を作製した。
【0124】
<膜電極接合体の調製>
実施例1で得られた架橋したブロック共重合体膜の替わりに比較例1で得られたブロック共重合体膜2を用いた以外は実施例1と同様にして、膜電極接合体3を作製した。
【0125】
<燃料電池の作製>
比較例1で得られた膜電極接合体3を用いた以外は実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
【0126】
〔比較例2〕
<ランダム共重合体膜の作製>
実施例2で得られたランダム共重合体を用いて、実施例2と同様にしてランダム共重合体膜2を作製した。
【0127】
<膜電極接合体の調製>
実施例1で得られた架橋したブロック共重合体膜の替わりに比較例2で得られたランダム共重合体膜を用いた以外は実施例1と同様にして、膜電極接合体4を作製した。
【0128】
<燃料電池の作製>
比較例2で得られた膜電極接合体4を用いた以外は実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
【0129】
表1に実施例1、2及び比較例1、2のプロトン伝導率(60℃、90%RH)、膨潤率及び耐酸化性の結果をまとめて示す。
図3に実施例1、2及び比較例1の膜電極接合体を用いた燃料電池について、アノード側に水素を100ml/分、カソード側に空気を300ml/分、セル温度60℃の条件下での時間経過に対する出力特性を示す。
【0130】
【表1】

【0131】
表1より、電解質膜の架橋により、実施例1、2は、高いプロトン伝導度を維持したまま、膨潤を抑制し、高い耐酸化性を示すことが判明した。また、ブロック共重合体を用いることで、ランダム共重合体と比較して、高いプロトン伝導率を示すことが判明した。
図3より、電解質膜の架橋により、実施例1、2の膜電極接合体は、良好な時間経過に対する出力特性を示すことが判明した。特に、ブロック共重合体膜を用いた実施例1は、良好な高い出力特性を示すことが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記親水部が下記式(1)、(3)、(4)及び(5)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する膜電極接合体。
【化1】

式(1)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−、または、
【化2】

式(2)
(Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
m'、n'はそれぞれ0〜4の置換基数を表す。ただし、m'+n'は1以上である。)を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基、または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜4の置換基数を表し、fは4−mの置換基数を表す。nは0〜4の置換基数を表し、jは4−nの置換基数を表す。ただし、m+nは1以上である。また、Aが式(2)で表される基である場合には、m+nは0でもよい。]
【化3】

式(3)
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜3の置換基数を表し、fは3−mの置換基数を表す。nは0〜3の置換基数を表し、jは3−nの置換基数を表す。m'は0〜4の置換基数を表し、f'は4−mの置換基数を表す。n'は0〜2の置換基数を表し、j'は2−n'の置換基数を表す。ただし、m+nは1以上であり、m'+n'は1以上である。]
【化4】

式(4)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−または炭素数1〜10のアルキリデン基を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは0〜5の置換基数を表し、fは5−mの置換基数を表す。nは0〜5の置換基数を表し、jは5−nの置換基数を表す。ただし、m+nは1以上である。]
【化5】

式(5)
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
Xはそれぞれ独立に、−X2-X1を表し、X1はスルホン酸基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H2)から成る群より選択されるプロトン酸基を表し、X2は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のフルオロアルキレン基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基または炭素数1〜20のフルオロアルキレンオキシ基を表す。
mは1〜5の置換基数を表し、fは5−mの置換基数を表す。]
【請求項2】
触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記疎水部が下記式(6)、(8)、(9)及び(10)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する、請求項1記載の膜電極接合体。
【化6】

式(6)
[式中、Aは−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−、または
【化7】

式(7)
を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。f、jはそれぞれ1〜4の置換基数を表す。]
【化8】

式(8)
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。
f、jはそれぞれ1〜3の置換基数を表し、f'は1〜4の置換基数を表し、j'は1〜2の置換基数を表す。]
【化9】

式(9)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、または−C(C6H5)2−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
f及びjは1〜5の置換基数を表す。]
【化10】

(式10)
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
fは1〜5の置換基数を表す。]
【請求項3】
触媒層及び炭化水素系電解質膜を含む膜電極接合体であって、前記炭化水素系電解質膜が親水部及び疎水部、並びに架橋構造を有し、前記疎水部が下記式(6)、(8)、(9)及び(10)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する膜電極接合体。
【化11】

式(6)
[式中、Aは−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(C6H5)2−、または
【化12】

式(7)
を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。f、jはそれぞれ1〜4の置換基数を表す。]
【化13】

式(8)
[式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、シアノ基、またはフッ素を表す。
f、jはそれぞれ1〜3の置換基数を表し、f'は1〜4の置換基数を表し、j'は1〜2の置換基数を表す。]
【化14】

式(9)
[式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C6H5)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、または−C(C6H5)2−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
f及びjは1〜5の置換基数を表す。]
【化15】

(式10)
[式中、Zは直接結合、−NR'−(R'は、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基を表す)、−O−、または−S−を表す。
Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、またはフッ素を表す。
fは1〜5の置換基数を表す。]
【請求項4】
炭化水素系電解質膜のプロトン酸基の総量の0.1〜30%が架橋されてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−59406(P2012−59406A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199047(P2010−199047)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】