説明

本発明は細胞、特にRPE細胞を支持するための膜に関する。該膜は加齢黄斑変性等の疾患の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞の増殖を支持するための膜に関する。また、本発明は該細胞の増殖、該膜の製造および該細胞の使用のための方法にも関する。特に、該細胞は加齢黄斑変性の治療に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
加齢黄斑変性(AMD)は高齢者に見られる疾患であり、網膜の黄斑部の菲薄化、萎縮および出血を伴う。その結果、視覚の中心部の視力が喪失し、特に、細部を見ることや、読むこと、または顔の認識を行うことが不可能となる。
【0003】
AMDは、萎縮型(非新生血管型)または滲出型(新生血管型)のいずれかに分類される。滲出型AMDは、本来と異なる領域における新生血管の成長を伴う。萎縮型は滲出型よりも一般的であり、AMD患者の約85〜90%が萎縮型AMDと診断される。通常、滲出型のこの疾患は、より深刻な視力の喪失につながる。
【0004】
萎縮型AMDはこの疾患の初期段階にあたり、黄斑組織の老化および菲薄化、黄斑内の色素沈着、またはこれら2つの過程の組み合わせに起因する場合がある。萎縮型黄斑変性は、主に黄斑部領域における変質しつつある組織に由来する沈着物または組織片により、ドルーゼンとして知られる黄色がかった斑点が蓄積し始めた際に診断される。萎縮型黄斑変性により、中心視力の喪失が徐々に起こりうる。
【0005】
萎縮型AMDは滲出型AMDに進行する場合があり、後者においては新生血管が網膜下で成長し、血液及び体液が漏出する。この漏出が光感受性網膜細胞に恒久的な損傷を与え、その細胞の死滅によって中心視力に盲点が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、AMDに対する治療は限定的であるが、一部の治療によってその進行を遅らせたり視力を改善させたりすることができる場合がある。黄斑変性の治療は、その疾患が初期段階、すなわち萎縮型であるか、またはより進行している、すなわち深刻な視力の喪失に至りうる滲出型であるかによって異なる。治療方法の1つは、萎縮型AMDを患っている患者の目の健康な周辺部分に由来する細胞を患部に移植することである。ただし、これは有効ではあるが、治療可能な患部の大きさには限界があり、また、手術が長く、多くの高齢患者にとって不適当である。AMDの両型に対する改良された治療を提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、必要な細胞を特に幹細胞を用いて製造することにより、置換用網膜上皮細胞を得て移植を行う方法を研究した。本願発明者らはこのような細胞をその上で増殖させることができ、その細胞とともに眼に移植することのできる膜を開発した。該膜は、網膜色素上皮(RPE)細胞とその派生細胞の増殖に対して特に有用であるが、他の細胞型も増殖させることができる。
【0008】
これまで、細胞の増殖は膜上で行われてきた。Williamsほか(Journal
of Materials Science: Materials in Medicine 16(2005)1087−1092)はポリウレタン膜を用いてRPE細胞を培養したが、通常、該膜の表面に細胞の付着を可能にするための処理が必要であることが明らかになった。他のグループはポリエステル膜を用いた。
【0009】
本発明により、細胞の増殖を支持するための膜であって、実質的に非生物分解性かつ多孔性であり、該孔の径が約0.2μm〜0.5μmである膜が提供される。好ましくは、孔径は0.3μm〜0.45μmである。
【0010】
前記膜は眼に移植された際に細胞を確実に支持し続けるようにするため、非生物分解性である。実質的に非生物分解性であるという語は、前記膜が体内への挿入後少なくとも5年間、より好ましくは少なくとも10年間、さらにより好ましくは少なくとも15年間分解しないことを意味する。
【0011】
前記孔がこの径を有することにより、全ての栄養素およびタンパク質の拡散が可能である一方で、前記ポリマーを通り抜けて細胞が移動することが妨げられる。
【0012】
孔密度は好ましくは約1×107〜3×108孔/cm、より好ましくは5×107〜1×108孔/cmである。この密度により、所望の水準の透過性が得られ、血管新生も可能となる。特に、前記孔の径および密度は、前記膜の一方の側から他方の側への栄養素の移動を可能にし、また該膜を介した血管新生を可能にする上で重要である。これは移植後に特に重要である。前記ポリマー体はリッチな脈絡膜(rich choroidal bed)からの血管新生を受容することができる。これは眼の外側のリッチな血管床(rich vascular beds)において示されているが(Cassell et
al, 2002; Patrick et al, 1999; Saxena et al, 1999; Peter et al, 1998)、多孔性が十分である場合にのみ起こり得る(Menger et al, 1990)。
【0013】
好ましくは、水力学的膜コンダクタンスは50×10-10m sec-1 Pa-1超である。特に、前記膜の水力学的膜コンダクタンスは好ましくは約33mL/min/cm2である。これは801.21×10-10m sec-1 Pa-1に等しく、若年黄斑死体ブルッフ膜(young macular cadaveric Bruch’s membrane)の水力学的透過性の
8倍である。前記人工膜は受動的な過程に完全に依存していることから、この余剰の透過性は有用である。前記膜は上を覆っている細胞の栄養素に関する要求を満たすことができるとともに、RPE層の基底側からの液体輸送の障害にならない必要もあり、そうでなければ該RPEはポリマー表面から剥離してしまう。このことは、高齢者のブルッフ膜の水力学的透過性の減少がAMDにおいて色素上皮剥離を引き起こすと仮説が立てられていることと矛盾しない(Bird & Marshall, 1986)。
【0014】
好ましくは、前記膜は、分解されることなく、ガンマ線照射、エチレンオキシド、オートクレーブまたはUV滅菌により滅菌されてよい。
【0015】
好ましくは、前記膜は、超音波シール、高周波シールまたはインサート成形により密封されてよい。これにより、他の層を該膜に付着させることができ、例えば、薬剤または被覆層を該膜に付着させることができる。例えば、PLGA等のより強固な生物分解性の層を付着させ、該膜に硬さを与えてそのデリバリーを補助したい場合があるかもしれない。あるいは、薬理学的または生物学的作用物質を含有する層、または他の細胞を支持する層を付着させてもよい。
【0016】
前記膜は好ましくは約11μmの最大厚を有する。より好ましくは、膜厚は9μm〜11μmである。前記膜の厚さは栄養素の拡散を可能にし、血管新生を可能にし、また、該膜を眼に容易に挿入し得るように選択される。
【0017】
従って、実質的に非生物分解性かつ多孔性であって約11μmの最大厚を有する、細胞の増殖を支持するための膜が提供される。該膜は好ましくは実質的に平面であり、その最小寸法は好ましくは約11μm未満である。その寸法における厚さは様々であってよいが、好ましくは9μm〜11μm厚である。
【0018】
前記膜は好ましくは約1.5mg/cm2の最大重量を有する。より好ましくは、該膜の重量は1.0mg/cm2〜1.4mg/cm2である。該膜の最小引っ張り強さは好ましくは100barであり、これによって手術中に適切であるように十分な強度が提供される。最大引っ張り強さは好ましくは300barであり、同様に、これによって手術中に膜を容易に扱うことができる。前記膜の破裂強度は好ましくは少なくとも10psiである。
【0019】
好ましくは、前記膜は親水性である。これにより、膜に良好な湿潤性が与えられ、細胞や他の望ましい被覆を容易に付着させることができる。
【0020】
前記膜は好ましくは4〜8のpHを有しており、これは生理学的に許容されるpHである。
【0021】
前記膜は好ましくは少なくとも一方の面に被覆を有する。該被覆は好ましくは、ラミニン、マトリゲル、コラーゲン、フィブロネクチンおよびPLGA乳酸・グリコール酸共重合体等の、タンパク質または糖タンパク質である。該被覆はまた、被覆成分に結合した薬理学的または生物学的作用物質も有していてよい。例えば、該被覆は、神経栄養物質、抗炎症薬または血管新生阻害剤を含有していてもよい。
【0022】
特に前記被覆は、好ましくはラミニン、特にラミニン−1またはその断片、例えばIgVAVを含有する。特に該被覆は、好ましくは他のタンパク質または糖タンパク質よりも多くのラミニン−1を含有する。該被覆は、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%のラミニン、特にラミニン−1を有する。該被覆は、膜上で好ましくは約40〜45μg/cm2のラミニン−1濃度となるように塗布される。
【0023】
従って、ラミニン−1を含有する被覆により少なくとも一方の面がコーティングされた、実質的に非生物分解性かつ多孔性の支持層を有する、細胞の増殖を支持するための膜が提供される。
【0024】
前記膜は、好ましくは親水性ポリマーより製造される。UV光をポリマー上に照射することによって疎水性ポリマーを親水性にしたものも用いてよい。特に、好ましいポリマーの例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ポリウレタン類およびポリウレア−ウレタン類、特にポリカーボネートおよびポリシロキサンを含有するもの、およびポリエステルまたはポリエーテルを基盤としたもの;ナイロン等のポリアミド類;Sympatex等のポリエーテル−エステル類;Makrolon等のポリカーボネート類;Perspex等のポリアクリレート類;ポリ(テトラフルオロエテン)(PTFE);ポリシロキサン類;ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン類;ならびに、DuPont社の商標名がDelrin(登録商標)として一般的に知られるポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。前記膜はポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートから製造されることが特に好ましい。他の好ましい態様において、前記膜はポリエステルから製造される。
【0025】
前記膜は細胞の層を成長させるために有用である。該膜は好ましくは膜上に細胞の層を有する。該細胞は該膜および細胞の用途に応じて選択されたどのような細胞であってもよい。細胞の種類は単層で増殖し得るものであればどのような細胞であってもよく、網膜細胞、皮膚細胞および内皮細胞、ならびに人工多能性幹細胞等が挙げられる。該細胞は各種の供給源に由来するものであってよく、例えば個人から採取された自家細胞であって、その個人へ移植し戻すものであってよく、またはその用途に対して特異的に増殖させた細胞であってもよい。前記細胞は幹細胞、特にヒト胚性幹細胞に由来したものであってよい。細胞が胚性幹細胞に由来したものである場合、該細胞は非胚性の供給源、例えば細胞バンク等から入手可能であることが好ましい。好ましい一態様において、ヒト胚性幹細胞は胚性多能性幹細胞である。より好ましくは、本発明のヒト胚性幹細胞はヒト胚の破壊以外の手段、例えばLonza et al, Nature, 444:481−485, Nov. 2006に開示されているhESCの単離の方法によって得られる。細胞はARP−19細胞等の不死化細胞であってよい。特に、本発明は変性疾患、特に網膜の変性疾患の治療に対して有用である。従って、前記細胞は網膜色素上皮細胞(RPE細胞)または関連する細胞、例えば分化してRPE細胞を形成する細胞、もしくはRPE細胞(網膜派生細胞)の分化により形成される細胞、またはそれらの前駆細胞であってよい。このような細胞には光受容細胞、水平細胞、アマクリン細胞または網膜神経節細胞が含まれ得る。それら以外の高度に分化した細胞を用いてもよい。
【0026】
前記の膜および細胞層は好ましくは少なくとも3mm×5mmの長さおよび幅を有する。好ましくは該膜および細胞層は少なくとも4mm×6mmである。
【0027】
前記細胞を前記膜に付着させる際には、細胞を高密度で播種することが、細胞の脱分化の可能性を減ずるために有利である。理想的には、細胞は少なくとも200000細胞/cm2、より好ましくはおよそ250000細胞/cm2の密度、または例えば300000もしくは350000細胞/cm2等の高密度で播種されるべきである。
【0028】
従って、細胞のコロニーを支持するための多孔性かつ非生物分解性の膜であって、該膜が少なくとも一方の面に細胞の層を有し、該細胞が少なくとも200000細胞/cm2の密度で播種される膜が提供される。
【0029】
また、膜上に細胞を播種する方法であって、該細胞を該膜上に200000細胞/cm2以上の密度で播種する工程を含む方法が提供される。
【0030】
前記膜は好ましくは本発明の膜である。さらに、前記細胞は好ましくはRPE細胞等の高度に分化した細胞である。
【0031】
また、細胞のコロニーを支持するための本発明の膜の使用が本発明により提供される。
【0032】
さらに、治療における使用のための本発明の膜が提供される。特に、加齢黄斑変性、網膜裂孔、黄斑変性、コロイデレミア(choroidemia)、レーバー先天黒内障(Leber Congenital Amarosis)、およびシュタルガルト病の治療における前記膜の使用が提供される。
【0033】
また、
a)ヒト胚性幹細胞をマイトマイシンCで不活性化したマウス胎児線維芽細胞(MEF)フィーダーとともに少なくとも1.2×104/cm2の播種密度で播種するか、またはヒト線維芽細胞フィーダーとともに少なくとも6×103/cm2の播種密度で播種する工程;および
b)前記細胞を次の成分またはその同等物を含有する培地内で維持する工程:20%ノックアウト血清代替物(Invitrogen)添加高グルコース(4.8g/L)ノックアウトダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogen)、1%非必須アミノ酸溶液、1mM L−グルタミン(Invitrogen)、4ng/ml ヒトbFGF(Invitrogen)および0.1mM β−メルカプトエタノール(Sigma);
を含む、細胞培養のための方法が提供される。
【0034】
増殖中の細胞には好ましくは1日おきに培地を供給する。好ましくは継代後10日目に培地の供給様式を毎日の供給ルーチンに変え、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子を含まない培地を用いる。
【0035】
増殖中の細胞は好ましくは少なくとも30日間、より好ましくは少なくとも35日間培養する。
【0036】
前記培地は好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも18%、または少なくとも20%のKSRを含有する。さらに、該培地は好ましくはプラスマネート、ヒトLIFおよび/またはbFGFを含有しない。
【0037】
細胞は色素性病巣(pigmented foci)を形成する。好ましくは該病巣を取り出し、細胞外マトリクス上に配置して、その単層を付着させ、展開させる。
【0038】
以下、本発明を、例として図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1に、移植後1ヶ月のブタの眼のin situにおけるHESC−RPEを用いた生体高分子パッチを示す(A)。B:Aの光学マイクロ写真であって、生体高分子上のHESC−RPEに隣接する内部/外部セグメントを有する光受容体を示す。C:ポリマーのみをブタの眼に移植した場合を示し、光受容体は変性している。染色:クレジルバイオレット。スケールバー:A,1mm;B,100μm。これは、前記高分子のin vivoにおける生体適合性と、生存可能な光受容体を維持するのにRPE細胞の前記単層が必須であることとを示している。
【図2】図2は、生存1ヶ月のブタの眼における生体高分子上のHESC−RPEの共焦点像である。HESC−RPEは、均一な色素性のシートを、ブタ光受容体(ロドプシン、FITC)に隣接してブタRPEを覆うように形成している。一部の光受容物質がHESC−RPE細胞内に存在する(A)。Bは、ドナーRPE細胞がRPE65(TRITC)を発現することを示す。これは、移植されたHESC−RPEがin vivoで正常に機能することを示している。
【図3】3週齢のジストロフィーRCSラットに移植されたHESC−RPEを、5週間のシクロスポリン投与後に分離したものを示す。移植されたヒト細胞は独自の抗ヒト表面マーカー(HSM)抗体で赤く標識されている。HESC−RPE由来細胞の標識された突起(processes)は外境界膜を通過し、宿主のシナプス層と一体となっている。Aの枠内の部分を拡大したものをBに示す。これは、移植された細胞が、移植を受けた眼において、(同種の動物の移植を受けていない眼と比較して)良好な水準の視覚機能を維持し得たということを示している。本願発明者らの視線運動性装置(optokinetic equipment)を用いた視力についてはサイクル/度(c/d)で表されている。
【図4】各種の膜上における細胞の増殖を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0040】
膜の作製
ポリエステルの薄膜を原子炉からの平行な荷電粒子(collimated, charged particles)に曝露する。これらの粒子が該ポリエステル材料を通過する際、感光跡(sensitized tracks)が残る。次いで、これらのポリマー上の跡をエッチング液で溶解し、円筒形の孔を形成する。該エッチング液の温度および強度、およびそれに対する曝露時間を変え、孔径を正確に調節する。
【0041】
その結果得られる膜は薄く、半透明で、微小孔を有するポリエステルフィルムであり、径および数が調節された孔を持つ、滑らかで平坦な表面を有している。
【0042】
ヒト胚性幹細胞(hESC)からのヒト網膜色素上皮細胞(hRPE)の製造
細胞培養
hESCを、0.1%ゼラチンで被覆されたフラスコ内で維持し、マイトマイシンC不活性化マウス胎児線維芽細胞(MEF)フィーダー(1.2×104/cm2の播種密度)または同等のヒト線維芽細胞フィーダーとともに播種する。細胞を、次の成分からなる塩基性HESC培地内で維持する:20%ノックアウト血清代替物(Invitrogen)添加高グルコース(4.8g/L)ノックアウトダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogen)、1%非必須アミノ酸溶液、1mM L−グルタミン(Invitrogen)、4ng/ml ヒトbFGF(Invitrogen)および0.1mM β−メルカプトエタノール(Sigma)。HESC株は凍結保存から取り出したらすぐに、74継代まで、1日おきに培地を替えながら維持する。細胞は定期的に分割し(1:5)、未分化HESCのコロニーを維持する。(これはSSEA3、SSEA4,TRA−1−60およびTRA−181のマーカーに対する染色によって評価した。シェフィールド大学におけるルーチンのスクリーニングにより、使用したHESCが正常な核型(Shef1(46XY)およびShef7(46XX))のものであることを確認した。
【0043】
HESC−RPEの分化および展開
本願発明者らは、MEF上でhESCコロニーが超コンフルエント(superconfluent)になればhESC−hRPEが確実に形成されることを見出した。個々のhESCコロニーの境界が融合したら(継代10日後)、培地の交換様式を1日おきから毎日へと変更し、前記に詳細を示した塩基性hESC培地を用いる(bFGF非含有)。この因子を培地から取り除いたのは、bFGFとRPEの特異化の抑制との間に関連が報告されているためである。色素性病巣は、超コンフルエントなhESC培養物内に、培地供給様式を毎日にしてから1〜2週間後に現れる。
【0044】
色素性病巣が形成されたら、それをガラス製パスツールピペットの先端およびマイクロ手術用の刃を使用して機械的に切除する。この手法は病巣が少なくとも1mmの直径で得られた場合にのみ実用的である。この手順においては周囲の非色素性材料を切り離すことに最大限の努力を払い、その後、色素性病巣を、増殖因子を減少させたマトリゲル(登録商標)(BD Biosciences、1:30希釈)またはラミニンで被覆された35mmの組織培養皿上に配置する。各皿に計10個の色素性病巣を配置し、RPE細胞をマトリゲル上でさらに35日間(すなわち、bFGFを含まない塩基性HESC培地内で5週間)展開させる。この段階において、培地の交換は2〜3日ごとに行う。この時間枠は2〜3mmの範囲の色素性細胞の単層のシートを生ずるのに十分である。この方法を用い、RPEのシート(1cmに近い)を、本願発明者らの研究室においてin vitroで4ヶ月間まで維持した。
【0045】
当該分野で公知の他の分化法および技術を用いて対象とする細胞を製造してもよく、その例としてRPE細胞をkhES−1およびkhES−3細胞株から得る方法(Osakada et al., (2008) Nat Biotechnol, 26, 215−224)およびRPE細胞をH1、H7およびH9細胞から得る方法(Klimanskaya et al., (2004) Cloning and stem cells, 6, 217−245)が挙げられる。
【0046】
ヒトES細胞の膜上への播種およびその後の培養の方法
細胞の回収:
滅菌したメスを用いて組織培養フラスコ内で色素性細胞塊周辺を切断し、それらを非色素性細胞集団から分離する。次いで、該細胞塊をピペットチップまたは滅菌済ガラスピペットを用いて取り出す。一部の例では、これを行う際に同時に吸引を行うことにより、細胞塊を掻き裂いて取り易くする。
【0047】
次いで色素性細胞塊をその増殖培地とともにエッペンドルフチューブに回収する。細胞塊がしっかりと沈殿するように12,000rpm〜13,500rpmで3〜5分間遠心分離を行い、その後、培地を分離溶液に交換する。該分離溶液は次のように構成される:90%非酵素的細胞分離溶液(PBS中;カルシウムまたはマグネシウム非含有)(Sigma−Aldrich)、および0.25%トリプシン。残余はカルシウムまたはマグネシウム非含有のダルベッコリン酸緩衝食塩水である。細胞塊をこの分離溶液中で37℃において5〜15分間インキュベートする。
【0048】
ピペットを用いて、色素性細胞塊が分解するまで細胞塊を細かく粉砕する。12,000rpm〜13,500rpmで5分間、再度遠心分離を行う。ペレットを巻き上げないようにしながら分離溶液を吸引する。ここで増殖培地を添加し、細胞ペレットを粉砕により再懸濁する。この段階で細胞密度を、血球計算機を用いて測定し、それにより播種密度を計算する。
【0049】
膜の作製:
層流フードUVランプ(laminar flow hood UV lamp)を片面に対して用いて膜を滅菌する。その後、膜を培養皿内に配置し、適切なインサートを用いてそれを押さえる。次いで、この構成を用い、膜を1:30マトリゲル(BD Biosciences)で37℃にて30分間(厚ゲル法)または4℃にて一晩(薄ゲル法)被覆する。ラミニンも表面濃度1〜10μg/cm2でうまく用いた。ラミニンの利点は、ヒトラミニンが市販されており、臨床グレードの規格(Lei et al, 2007)を達成するために重要な異種成分不含(xeno−free)法が可能なことである。
【0050】
前記膜のパッチをブタの眼およびラットの目に移植した。移植の結果を図1〜3に示す。図1に、移植後1ヶ月のブタの眼のin situにおけるHESC−RPEを用いた生体高分子パッチを示す。これは、前記高分子のin vivoにおける生体適合性と、生存可能な光受容体を維持するのにRPE細胞の前記単層が必須であることとを示している。
【0051】
図2に、生存1ヶ月のブタの眼における生体高分子上のHESC−RPEの像を示す。これは、移植されたHESC−RPEがin vivoで正常に機能することを示している。
【0052】
図3に、3週齢のジストロフィーRCSラットに移植されたHESC−RPEを、5週間のシクロスポリン投与後に分離したものを示す。これは、移植された細胞が、移植を受けた眼において、(同種の動物の移植を受けていない眼と比較して)良好な水準の視覚機能を維持し得たということを示している。視力は本願発明者らの視線運動性装置(optokinetic equipment)を用いて測定され、サイクル/度(c/d)で表されている。
【実施例2】
【0053】
膜への播種
RPE細胞を膜上に各種密度で播種し、高度に分化した細胞の播種の最適密度を調べた。細胞は、色素形成や敷石状形態等のRPE細胞の特徴について観察した。結果を次の表に示す。
【0054】
【表1】

【実施例3】
【0055】
各種膜上における細胞の増殖
多数の異なる膜について、細胞の増殖を支持する能力を試験した。結果を次の表に示す。
【0056】
【表2】

【実施例4】
【0057】
RPE細胞の増殖
形態:透明ポリマーについては、形態を、位相差機能付倒立顕微鏡(phase contrast enabled inverted microscope)上での生細胞像キャプチャを用いて評価した。不透明ポリマーについては、形態を、結合マーカー(junctional markers)(通常はZO−1)に対する免疫染色により評価した。
【0058】
細胞増殖の試験:
光学顕微鏡検査、共焦点顕微鏡を用いた免疫化学、電子顕微鏡検査、および細胞生死判別試験を併用して、細胞増殖を評価した。
【0059】
細胞生死判別試験(Alamar Blueアッセイ):
PLGAについては各種ポリウレタンポリマーを組織培養用の市販のインサートに結合させた。簡単に述べると、もとのフィルターを切り出し、残余の材料をサンドペーパーで取り除いた。PBSで十分にすすぎ、実験用ポリマーを家庭用シアノアクリレート接着剤(Loctite、Henkel社、Avon、Ohio)でインサート上にマウントした。ポリウレタンを基盤としたポリマーの適合性を試験するために、Almar blue細胞生死判別試験を行い、生細胞の密度を次のように測定した。このアッセイは次のように行われた。細胞を血清添加培地を用いて低密度で各表面上に播種し、最適に付着させる。細胞を37℃で24時間インキュベートして十分に付着させる。それを無血清培地で2回リンスして付着していない細胞を洗い落とし、次いで無血清培地中で少なくとも12〜24時間インキュベートして細胞を同期(synchronise)させる。そして、該培養物を所望の時間増殖させる。測定を行うため、培養物をフェノールレッドを含まないHankの平衡塩類溶液(PRF−HBSS)で一度リンスした後、PRF−HBSS中のAlamar Blueの10%溶液を一定量適用する。該培養物を37℃で45分間インキュベートする。上清は生細胞の数に応じて青から蛍光赤色に変化する。上清を96穴プレートに回収し、プレートリーダーで蛍光(励起530〜560nm、発光590nm)を分析した。各種材料のAlmar blue細胞生死判別試験の結果を下表に示す。さらに、ポリウレタン類およびポリエステル上における細胞増殖を比較した結果を図4に示す。ポリウレタンを基盤とした全ての前記ポリマーは、本願発明者らのポリエステルフィルターと比べ、細胞増殖の減少を示した。
【0060】
【表3】

【0061】
免疫細胞化学および共焦点顕微鏡検査により、ポリウレタンを基盤としたポリマー類のほとんどにおいて細胞が極めてまばらにしか存在しないことが示され、これらの発見が確認された。前記のポリウレタンを基盤としたポリマー類(固体ポリマー)のうちの1つでは良好な細胞増殖と結合染色(junctional staining)が見られたが、細胞のシートがポリマー表面から容易に剥がれた。
【0062】
前記アッセイの結果から明らかなのは、上記の表に示されるように、前記ポリエステルが他の考えうる膜材料に対して有意な利点を有しているということである。
【0063】
PLGA法:
PLGA膜はE.B.LavikおよびR.Langer(Department of Chemical Engineering,MIT,Cambridge,Massachusetts)より快く提供していただいた。PLGA材料は最初にResomer(登録商標)503H(ベーリンガーインゲルハイム、インゲルハイム、ドイツ)として購入され、非対称PLGA膜がこれらの著者らの記載(Lu et al, 2000a and 2000b; Lavik et al, 2001 and 2002)の通り合成された。この非対称プロファイルにより、平滑な上面への細胞の付着が可能でありながらも、細胞がポリマーの多孔性の下面を介して基底部の環境とやりとりを行うことが可能となる。
【0064】
もとの膜を除いた後、PLGA非対称膜を6.5mm Corning Transwell(登録商標)インサートにマウントした。マウントは家庭用シアノアクリレート接着剤(Loctite、Henkel社、Avon、Ohio)を用いて達成された。各面を層流フード(laminar flow hood)内でUVランプに30〜60分間曝露することによりこれらのインサートを滅菌した。継代28のARPE−19細胞を膜上に90,000細胞/cm2の密度で播種した。
【0065】
他のシリーズでは、非対象PLGA膜を空のインサート上にマウントした(上記同様)。該インサートおよび組織培養ポリスチレン皿(コントロール用)を標準的な使用濃度のラミニン(Sigma−Aldrich、マウスEngelbreth−Holm−Swarm腫瘍由来)で被覆した。次いで、皿およびインサートの両者にp30 ARPE19を180,000細胞/cm2のより高密度で播種し、コンフルエントになるまでの時間を短縮した。培養を、週2回のDMEM高グルコースを基盤としたRPE培地で維持した。
【実施例5】
【0066】
被覆
HESC培養法:
HESC株Shef1およびShef7を0.1%ゼラチンで被覆されたフラスコ内で維持し、不活性化マウス胎児線維芽細胞(MEF)フィーダー(Draper et al, 2002)を播種した。細胞を、20%ノックアウト血清代替物(Invitrogen)添加高グルコースノックアウトダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogen)、1%非必須アミノ酸溶液、1mM L−グルタミン(Invitrogen)、4ng/ml ヒトbFGF(Invitrogen)および0.1mM β−メルカプトエタノール(Sigma)を基盤とした塩基性HESC培地中で維持した。HESC株は凍結保存から取り出したらすぐに、74継代まで、1日おきに培地を替えながら維持した。細胞は定期的に分割し(1:4)、未分化HESCのコロニーを維持した。
【0067】
次の被覆を、特に断りが無い限りそれらの製造者の標準的なプロトコルに従って施した:マトリゲル(1:30)、ラミニン、コラーゲンIV、ヒトコラーゲンI、Puramatrix(登録商標)、プラスマネート、ポリ−L−リジン、およびコントロールとして非被覆。簡単に述べると、各被覆を4℃で解凍し、PBSまたは無血清培地中で希釈した。各製造者のガイドラインに従い、プレート/インサートを4℃、室温または37℃で被覆した。次いでマトリクス溶液を除去し、標準的な手順に従ってプレートを洗浄または空気乾燥した。HESC−RPEコロニー(一次コロニー)を培養フラスコから切り出し、培地中に入れ、次いでそれを該プレート/インサート上に播種した。
【0068】
培養物の直接的な観察によりHESCコロニーの付着およびその展開を評価した。播種後24時間から72時間までの新しく播種されたHESCを観察したところ、マトリゲルおよびラミニンのみでHESC−RPEコロニーの付着が起こったことが明らかになった。すなわち、コロニーがよく固定され、培地で激しくリンスしてもコロニーが剥がれる傾向が見られなかった。ヒトのペプシン処理済胎盤ラミニンのバッチの1つではHESC−RPEコロニーの固定化が達成されたが、他のバッチでは失敗した。他の全ての被覆(コラーゲンIV、ヒトコラーゲンI、ポリ−L−リジン、Puramatrix(登録商標)、プラスマネート)は、これに関して完全に失敗であった。
【実施例6】
【0069】
Shelf1 HESCからのRPEの培養
細胞培養
Shelf1 HESCを0.1%ゼラチンで被覆されたT25フラスコ内で維持し、ヒト線維芽細胞フィーダー(T25(9×103/cm2)あたり最適播種密度:2.25×105細胞)を播種する。細胞を、次の成分からなる塩基性HESC培地内で維持する:20%ノックアウト血清代替物(Invitrogen)添加高グルコース(4.8g/L)ノックアウトダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、Invitrogen)、1%非必須アミノ酸溶液、1mM L−グルタミン(Invitrogen)、4ng/ml ヒトbFGF(Invitrogen)および0.1mM β−メルカプトエタノール(Sigma)。Shelf1 HESCを凍結保存から取り出した後は1日おきに培地を替え、定期的に分割し(1:4)、未分化HESCのコロニー(SSEA3、SSEA4,TRA−1−60およびTRA−181のマーカーに対する染色によって評価)を維持した。
【0070】
HESC−RPEの分化および展開
本願発明者らは、Shelf1 HESCコロニーをフィーダー上で超コンフルエントにするとHESC−RPEが確実に形成されることを見出した。個々のHESCコロニーの境界が融合したら(継代約10日後)、培地の交換様式を1日おきから毎日へと変更し、前記に詳細を示した塩基性HESC培地を用いる(bFGF非含有)。この因子を培地から取り除いたのは、bFGFとRPEの特異化の抑制との間に関連が報告されているためである。色素性病巣は、超コンフルエントなHESC培養物内に、培地供給様式を毎日にしてから1〜2週間後に現れる。
【0071】
細胞をさらに5週間培養後、色素性病巣をガラス製パスツールピペットの先端およびマイクロ手術用の刃を使用して機械的に切除する。この手法は病巣が少なくとも1mmの直径で得られた場合にのみ実用的であるため、5週間よりも長く培養した細胞に対して有利であると思われる。この手順においては周囲の非色素性材料を切り離すことに最大限の努力を払い、その後、色素性病巣を、ラミニン−1で被覆された35mmの組織培養皿上に配置する。各皿に計10〜20個の色素性病巣を配置することができ、RPE細胞を2mlの培地内でさらに35日間(すなわち、bFGFを含まない塩基性HESC培地内で5週間)展開させる。この段階において、培地の交換は2〜3日ごとに行う。この時間枠は2〜3mmの範囲の色素性細胞の単層のシートを生ずるのに十分である。
【0072】
この方法は他の発表済のプロトコルと次の点で異なる:1.本願発明者らはより高度に標準化された濃度のKSR(Lanzaのグループによる8〜15%の各種濃度に対して本発明においては20%)STATEMENTを用いる。2.本願発明者らは、超コンフルエントなHESC培養物からのRPE細胞の製造において、プラスマネート、ヒトLIFまたはbFGFを使用しない。
【0073】
HESC−RPEの分離および懸濁
色素性HESC−RPEを、フィーダー上のHESC−RPEコロニー(継代0)を含むT25フラスコ、またはフィーダー上の展開しつつあるHESC−RPEシート(継代1)のいずれかから回収した。細胞を移す際にはその周囲を滅菌済マイクロブレードで切断し、滅菌済ピペットチップで細胞を取り外した。その後、HESCコロニー/シートを吸引し、さらなる使用の際までHES培地 −bFGF(bFGF非含有)中に懸濁した。
【0074】
所望の量の塊をその増殖培地とともにチューブ内に入れ、2400〜3600rpmで5分間遠心分離することで、上清培地の除去を可能にした。遠心分離を必要に応じて繰り返し、次のように溶液を交換できるようにした:細胞をPBSで2回洗浄し、次いで37℃で20分間、90%非酵素的分離溶液(PBS中;Sigma #C5914)および10%トリプシン 10×(PBS中;ブタ膵臓由来トリプシン,Sigma;最終トリプシン濃度0.25%)の中でインキュベートした。このインキュベート期間の後、細胞を十分に粉砕して完全に懸濁する。すなわち、視認できる細胞塊が無い状態にする。さらに遠心分離を行って分離バッファーを除去できるようにし、その後細胞をHES培地 −bFGF中に再懸濁し、さらなる使用の際まで37℃のインキュベーター中に置いた。
【0075】
ポリマーシートの培養インサート上への設置
孔径0.4μm、孔密度約1×108孔/cm2の13mmのポリエステルフィルターディスクを、もとのフィルターの代わりに、Transwellインサートに生物学グレードのビニルを基盤としたシリコーンエラストマー(Kwik−Sil,World Precision Instruments Inc.,Sarasota,Florida)を用いて付着させた。インサートは5〜12μm厚の範囲であった。ポリエステルは1.2mg/cm2の重量であった。インサートはPBS中で1回洗浄し、風乾し、層流フード内でUVランプによる30分間の照射を各面に対して行って滅菌した。次いで、滅菌済インサートを無菌層流フード内に貯蔵した。
【0076】
作製した培養インサートの被覆、および該培養インサートへの播種
滅菌済インサートを、1:30希釈したラミニン−1により、30分間37℃で被覆した。ラミニン(43μg/cm2の濃度で37℃、30分間インキュベート)。ラミニンは細胞播種直前に吸引した。HESC−RPE懸濁液の細胞密度は、Naubauer(登録商標)Haemocytometerを1:1希釈Trypan Blueとともに用いて測定した。Trypan Blue染色を用いて細胞の生死を確認したところ、どのケースにおいても93%超であった。細胞を200,000〜400,000細胞/cm2の最適密度で播種した。播種した細胞を少なくとも24時間、典型的には48時間付着させてから最初の培地交換を行った。以降は培地を毎週3回交換した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の増殖を支持するための膜であって、前記膜は非生物分解性かつ多孔性であり、孔の径が約0.2μm〜0.5μmである、
細胞の増殖を支持するための膜。
【請求項2】
孔密度が約1×107〜3×108孔/cmである、請求項1記載の膜。
【請求項3】
前記膜の水力学的膜コンダクタンスが50×10-10m sec-1 Pa-1超である、請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
前記膜が、分解されることなく、ガンマ線照射、エチレンオキシド、オートクレーブまたはUV滅菌により滅菌されてよい、請求項1〜3の何れか1項に記載の膜。
【請求項5】
前記膜が、超音波シール、高周波シールまたはインサート成形により密封されてよい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項6】
約11μmの最大厚を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜。
【請求項7】
約1.5mg/cm2の最大重量を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜。
【請求項8】
前記膜が親水性である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜。
【請求項9】
前記膜が4〜8のpHを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の膜。
【請求項10】
前記膜が少なくとも一方の面において被覆を有する、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の膜。
【請求項11】
前記被膜がラミニン、マトリゲルフィブロネクチンまたはPLGAである、請求項10記載の膜。
【請求項12】
前記被覆成分に結合した薬理学的または生物学的作用物質を有する、請求項10または11記載の膜。
【請求項13】
前記膜上にさらに細胞の層を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の膜。
【請求項14】
前記細胞が網膜派生細胞である、請求項13記載の膜。
【請求項15】
前記細胞がヒト網膜色素上皮細胞である、請求項14記載の膜。
【請求項16】
前記細胞が不死化細胞である、請求項13記載の膜。
【請求項17】
前記細胞が自己由来である、請求項13〜15のうちいずれかに記載の膜。
【請求項18】
前記膜がポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア−ウレタン、ポリアミド、ポリエーテル−エステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ(テトラフルオロエテン)、ポリシロキサン、ポリオレフィンおよびポリオキシメチレンから選択される親水性ポリマーより製造される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の膜。
【請求項19】
細胞のコロニーを支持するための、請求項1〜11のうちいずれかに記載の膜の使用。
【請求項20】
治療における使用のための、請求項1〜13のうちいずれかに記載の膜。
【請求項21】
加齢黄斑変性の治療における使用のための、請求項13記載の膜。
【請求項22】
細胞の増殖を支持するための膜であって、前記膜は、実質的に非生物分解性かつ多孔性であって、約11μmの最大厚を有する、
細胞の増殖を支持するための膜。
【請求項23】
ラミニン−1を含有する被覆により少なくとも一方の面がコーティングされた、実質的に非生物分解性かつ多孔性の支持層を有する、細胞の増殖を支持するための膜。
【請求項24】
膜上に細胞を播種する方法であって、該細胞を該膜上に200000細胞/cm2以上の密度で播種する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−517696(P2011−517696A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504521(P2011−504521)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000917
【国際公開番号】WO2009/127809
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506417186)ユーシーエル ビジネス パブリック リミテッド カンパニー (14)
【Fターム(参考)】