膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具
【課題】腹部から足先までの下半身を包み込み、包み込んだまま立位がとれ自由に歩け、座面から座面への移乗が出来る膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具の提供。
【解決手段】座位で着脱する膝掛け1と、座位でそれぞれの足に着脱するレッグウォーマー2の、2つの部位に分割した事で、背面から前腹部を覆い、腹部、腰、上下肢を完全に包み込む衣服の形状を成し使用中にずり落ちず、使用中の歩行、立位、座位から座位への移乗を阻害せず、座面との不具合を無くし危急な要件及び排泄状況に対応し洗濯ができる。前記、膝掛け1及びレッグウォーマー2を併用又は単独で使用する。
【解決手段】座位で着脱する膝掛け1と、座位でそれぞれの足に着脱するレッグウォーマー2の、2つの部位に分割した事で、背面から前腹部を覆い、腹部、腰、上下肢を完全に包み込む衣服の形状を成し使用中にずり落ちず、使用中の歩行、立位、座位から座位への移乗を阻害せず、座面との不具合を無くし危急な要件及び排泄状況に対応し洗濯ができる。前記、膝掛け1及びレッグウォーマー2を併用又は単独で使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服の形状を成し、人の腹部から足先までの下半身を包み込み、包み込んだまま立位がとれ自由に歩け、座面から座面への移乗が出来る膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
座位で長時間の仕事を強いられる一般事務職、銀行や保険会社その他窓口業務、ドライバー、座り仕事の技術者、芸術家その他の職業上座位で仕事をする人々、高齢者や病人の椅子や車椅子での生活や車椅子で移動する場合に使用される下半身用の防寒及び保温具が開発されている。そのような下半身用防寒具として一般に使用される製品は、(I)腰から足部の前側のみに掛ける幅広の前掛け状。(II)足の後ろ側の冷えを予防するために足部のみ袋状や巻き込む形状を成し腰部は前掛け状。(III)あるいは下半身全体を袋の中に収める袋状。(IV)毛布その他保温力のある布類を使い下半身全体を巻く形状であった。しかし、それらを使用中に呼びかけられた場合は、それらを身につけたまま立ち上がり、それらを外さずに歩行することは困難であった。また、下半身に毛布様や各種キルティング状の布などを巻き付けると、椅子の座面での安定を取りにくく車の運転などには不向きで、車椅子などでは滑落する危険があり注意を要した。
【0003】
そこで、従来、下半身専用の防寒具が幾つか提案されて来ている。例えば、次のようなものがある。
(1)第1の従来技術…特開平10−251909号公報
これは、前面で開き体を出し入れできる車椅子用・介護用あしぶくろである。その構造は、背部及び胸部から足先までをあしぶくろに収め、車椅子に背面を固定し上半身が車椅子に固定される形を持ち、胴から足先までを保温する機能を持つ。
【0004】
(2)第2の従来技術…特開2001−146612号公報
着座状態での着易さ、着せ易さ、又脱ぎ易さ脱がせ易さ動き易さを付与するために、大腿部から下腿部を覆う膝掛けの下部に下腿部の前後を覆う保温布を持ち、下腿部を巻き止めるのみで背面と座面は覆われない構造である。
【0005】
(3)第3の従来技術…特開2003−89908号公報
腰や足を、冷えや寒さから守るために膝掛けの下部を折り返し足を収める袋状を現出させ、マジックテープを使用して背面布を背側から止め付ける形状の膝掛けである為、座面は覆わない構造で、外来者の呼びかけに対しすぐ立てる事を技術開発の課題にしている。
【0006】
(4)第4の従来技術…特開2002−309415号公報
使用したまま歩き回ることを技術開発の課題にし、膝掛けの様に人前で着脱出来るズボン状を目標に、ズボン丈になる2枚の布の上端を股上の長さのみ縫い止め、使用に際し体に巻き付けゴムや面ファスナー及び紐やボタンを止める事で、ズボン状にして人前で脱ぎ着が出来る。広げれば通常のズボンの倍以上の幅を持つズボン型の生地になり、膝掛け、敷物、クッションに使用する。旅行や屋外活動を意識して考案されたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の技術には、次のような問題点があった。第1の従来技術は、胸部から足先までを包み込む袋状になっており、靴やスリッパを履いたままで使用すると、内部が不潔になると共に袋が破れる恐れがある。着用時は車椅子に上体が固定されるため滑落の心配は無いが、あしぶくろを装着したまま車椅子から他の座面への移乗・立位・歩行は不可能である。袋状に下半身を覆う形のものは他にも案件があるが、袋本体が車椅子へ紐あるいは固定具により固定されるので着用したままでの歩行や立位を取る、あるいは他の座面への移乗及び歩行は不可能な構造にある。これら袋状の従来技術は車椅子での使用を目的としており、事務職、銀行や保険会社その他窓口業務者、ドライバー、絵描き及び座り仕事の技術者、芸術家の職業上の足腰の冷えに関しては考慮されておらず、着衣に見える事は想定されていない。
【0008】
第2の従来技術は、足首から膝までを包むのみなので足首から先は露出され、座面及び背面は空いているので足先や腰は寒い。下腿部を保温布で巻き係止具で止めている為、移乗は難しく立位は可能であるが歩行は不可能である。又通常の着衣の外見とは異なる。
【0009】
第3の従来技術は、膝掛けとして使える長方形の布地を加工したもので着用したまま立ち、歩行は出来るが身につけた状態は通常の衣服とは異なる。従って足先を袋から抜き背面布を外してから膝掛け布を外し立ち上がり接客するという問題点があった。
【0010】
第4の従来技術は外出時などの急な冷え込みに衣服に見える事を主眼に、布を巻き付けてズボンの形状を成すのみで恒常的ではなく、着座での脱ぎ着は不可能であり、足首足先の保温については考慮されていない。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は座位で着脱し、使用中に滑り落ちない膝掛け(1)とレッグウォーマー(2)の2つの部位に分割した事により衣服の形状を成し、課題である着座のままの脱ぎ着が来客等の人目があってもカーディガンを脱ぐほどの気軽さで出来る。つまり、着座した後は余り動けない状況の窓口業務、事務職、タクシードライバー、車椅子使用者その他の、家庭を含めた広く一般的な屋内及び車内等における座位時の下半身の保温及び保護、屋外及び車外での保温・防寒・防塵・風雨除けを成す。
【0013】
衣服の形状を成すが為に、抗菌・耐水・耐熱・難燃・防寒・防臭・防塵・防電磁波・保温などの機能を持つ衣服部材を用いて、下半身の防寒・保温・保護・防塵・風雨除け具を成し、着用する事で立位・歩行・座面から座面への移乗を妨げず排泄行動を阻害せず、加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット(1g)を、必要個所に自由に取り付けられる。
【0014】
衣服の形状を成すが為に、衣服同様に洗濯出来る。
【0015】
衣服の形状を成すが為に、着用しない時の持ち歩きが楽である。
【0016】
衣服の形状を成すが為に、衣服と同様に収納し易い。
【0017】
衣服の形状を成すが為に、病気あるいは高齢により下肢の不自由な使用者の椅子での座位、車椅子での座位姿勢の崩れや足首のねじれやひねり等の不具合を見つけ易い。
【発明の効果】
【0018】
座位で着衣の上に羽織る程度の気楽さで着脱が簡便であり、使用中に立ち上がり歩行出来る本発明を使用する事により、これまで下半身の防寒・保温を解消できなかった職種の人々の下半身の冷えを解消する。
【0019】
又、車椅子を使用して生活する人々の下半身の冷えを解消し、外出する際の下半身の防寒・防塵・風雨除けを確実にし、着用中に座面から座面への移乗、トイレの利用を可能にした事で生活範囲が広がり気軽に外出が出来る。
【発明を実施するため最良の形態】
【0020】
前記課題を解決する為に、本発明では、次のような膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具を提供する事とした。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0022】
図5においては、膝掛け(1)は、冷えに弱い臓器と人体の冷えるツボが集中する腹部及び腰部から上肢を包み込む為に腹部と腰部を覆う腰部(1c)から膝掛け部(1a)が伸び、着座した状態で頭から被るか背中側から前に着用する前掛け状を成し、座位時に腹部を圧迫しない腹部繰り下げ部(1e)を設けるが、使用目的及び形状を形成する素材によっては繰り下げなくても良い図4、図6、図7、図8。
【0023】
又、腰部(1c)は身体背部の必要寸法を覆うが図5の臀部切り欠き部(1f)に示すように座面を覆わず、上肢の前部から側部を覆う膝掛け部(1a)は、座面に僅か巻き込む形状を持ち座面と膝掛けの隙間を作らず、上肢部と膝を覆う長さを持つ。
【0024】
臀部切り欠き部(1f)は、使用目的及び形状を形成する素材によっては、切り欠きせず、スリット(1f’))でも良い図9。
【0025】
前部中央開閉部(1b)は必要によりファスナー、ボタン、面ファスナーその他の係止具により開閉される。添付した各図で、前中央開きのものは係止具にオープンファスナーを剥き出しに使用した例であるが、使用状況に応じてはファスナーを見せない仕立てにする等の工夫が出来る。
【0026】
開閉部位は使用状況に合わせ移動し図4、図6、使用者の状況とニットその他柔軟性及び伸縮性の有る素材の場合は前開きや腹部の繰り下げを無くしても腹部を圧迫せず簡単に着脱出来る図4、図6、図7、図8。
【0027】
又、素早い着脱とサイズ調整の簡便化の為には腹部前面の打ち合わせを深くし図6、図9、必要によりファスナー、ボタン、面ファスナーその他の係止具により開閉する。そして、素材及び使用者の要件によっては腹部を上に伸ばす事で腹巻き様にも出来る図8。
【0028】
それぞれの膝掛けは単独で使用しても腹部及び腰部と上肢の防寒保温機能を損なわない図6、図7、図9。
【0029】
それぞれの膝掛けは、マントやショールのように肩に羽織る事ができ、加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット(1g)が有るため、風邪予防などのツボを温めることができる図10。
【0030】
レッグウォーマー(2)は着座でズボンの上から簡単に履け、自ら着用できない場合でも簡単に履かせ易い形状を成し、太もも最上部あるいは椅子の座面と隙間の空かない部位から足首までの長さを持つ。
【0031】
図11に示すように、足の甲部の防寒・保温・防塵・風雨よけ機能を持つ足首カバー(2a)を持つ(A)、足首カバー(2a)を必要としない(B)、足先全体を包み込む袋状の(C)、あるいは靴型の(D)等の様に使用者の使用状況に対応する。又、様々な係止法により開閉出来る。
【0032】
又、(C)、(D)の様に閉ざされた足先部に対しても開閉するなど個別の要件に従い調整が可能である。
【0033】
各図はオープンファスナー及びファスナーを剥き出しに使用した例であり、使用状況に応じてはファスナーを見せない仕立てにする等の工夫が出来る。
【0034】
尚、レッグウォーマーは従来バレエやダンスを練習する際に足首を保温、保護するために用いられて来た足先が無い靴下様の筒状ニットであるが、近年オシャレと保温を兼ね下肢部や足首に着用される事が多くなった。本発明のレッグウォーマー(2)は通常のレッグウォーマーより長大ではあるが、通常の衣服にも、とけ込む形状を成す。
【0035】
以上の様に本発明の膝掛け(1)及び、レッグウォーマー(2)は使用者の使用要件に合わせてきめ細かく調整可能な構造を持ち、その使用状況により各種係止具で連結も出来る。
【0036】
図3の(1d)及び図11の(2b)は面ファスナーによる連結を示すが前部及び側面部で紐結びその他各種係止具で簡単に連結出来る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具を立位で着用した状態を正面から見た図である。
【図2】本発明を立位で着用した状態を左斜め後ろから見た図である。
【図3】本発明を座位で着用した状態を左斜め前面から見た図である。膝掛け(1)の裏側に付けた面ファスナー(1d)と、レッグウォーマー(2)の面ファスナー(2b)が合わさり(1)と(2)が連結される。
【図4】本発明の膝掛け(1)の腰部(1c)を長く、膝掛け部(1a)を短くしギャルソンエプロン状に成し、足の甲の防寒、保温、防塵、風雨除け足首カバー(2a)の無いレッグウォーマー(2)と合わせ立位で着用した状態を左斜め後ろから見た図である。(A)は両脇で開閉しサイズを調整する。(B)は開閉部位を無くした状態。
【図5】本発明を座位で長時間使用する場合有用な特徴である膝掛け(1)の腹部繰り下げ部(1e)を正面から見た図と、座面を覆わない臀部の切り欠き部(1f)及び加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット(1g)を必要部位に設置した状態を背面から見た図である。
【図6】本発明の膝掛け(1)を、素早い着脱とサイズ調整の簡便化の為に腹部打ち合わせを深くし座位で着用した状態と、男性と女性が立位で着用した状態を左横から見た図である。
【図7】本発明の膝掛け(1)を、使用要件により柔軟性及び伸縮性の有る素材を使い、前部に開閉部を持たせずに座位で着用した状態と、男性と女性が立位で着用した状態を左横から見た図である。
【図8】本発明の膝掛け(1)を、使用要件により柔軟性及び伸縮性の有る素材を使い、腹部繰り下げ部(1e)を上に伸ばす事でより腹巻き状に成し、開閉部を持たせた(A)と開閉部の無い(B)を立位で着用した状態を正面から見た図である。
【図9】本発明の膝掛け(1)の特徴である、後ろから前へ羽織る要件である臀部の切り欠き部(1f)を、素材と使用要件によりスリット(1f’)に置き換え着用した状態の背面及び前面、座位で使用する様子を斜め前面から見た図である。
【図10】本発明の膝掛け(1)に、加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケットを背面に付け、マントやショールのように肩に羽織った状態を正面と背面から見た図である。
【図11】本発明のレッグウォーマー(2)に、膝掛け(1)と連結をする為の面ファスナーを付けた状態を左斜め前面から見た図である。
【図12】本発明のレッグウォーマー(2)を、使用要件により加工した状態をそれぞれの前面上方より見た図である。
【符号の説明】
【0038】
1 膝掛け
1a 膝掛け部
1b 前部中央開閉部
1c 腰部
1d 膝掛け(1)の裏面の面ファスナー
1e 腹部繰り下げ部
1f 膝掛け(1)の臀部切り欠き部
1g 加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット
2 レッグウォーマー
2a 足の甲の防寒、保温、防塵、風雨除け足首カバー
2b 膝掛け(1)の裏面の面ファスナー(1d)と対応する面ファスナー
s 膝掛け(1)とレッグウォーマー(2)を着用し、立位の時に出来る空隙部
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服の形状を成し、人の腹部から足先までの下半身を包み込み、包み込んだまま立位がとれ自由に歩け、座面から座面への移乗が出来る膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
座位で長時間の仕事を強いられる一般事務職、銀行や保険会社その他窓口業務、ドライバー、座り仕事の技術者、芸術家その他の職業上座位で仕事をする人々、高齢者や病人の椅子や車椅子での生活や車椅子で移動する場合に使用される下半身用の防寒及び保温具が開発されている。そのような下半身用防寒具として一般に使用される製品は、(I)腰から足部の前側のみに掛ける幅広の前掛け状。(II)足の後ろ側の冷えを予防するために足部のみ袋状や巻き込む形状を成し腰部は前掛け状。(III)あるいは下半身全体を袋の中に収める袋状。(IV)毛布その他保温力のある布類を使い下半身全体を巻く形状であった。しかし、それらを使用中に呼びかけられた場合は、それらを身につけたまま立ち上がり、それらを外さずに歩行することは困難であった。また、下半身に毛布様や各種キルティング状の布などを巻き付けると、椅子の座面での安定を取りにくく車の運転などには不向きで、車椅子などでは滑落する危険があり注意を要した。
【0003】
そこで、従来、下半身専用の防寒具が幾つか提案されて来ている。例えば、次のようなものがある。
(1)第1の従来技術…特開平10−251909号公報
これは、前面で開き体を出し入れできる車椅子用・介護用あしぶくろである。その構造は、背部及び胸部から足先までをあしぶくろに収め、車椅子に背面を固定し上半身が車椅子に固定される形を持ち、胴から足先までを保温する機能を持つ。
【0004】
(2)第2の従来技術…特開2001−146612号公報
着座状態での着易さ、着せ易さ、又脱ぎ易さ脱がせ易さ動き易さを付与するために、大腿部から下腿部を覆う膝掛けの下部に下腿部の前後を覆う保温布を持ち、下腿部を巻き止めるのみで背面と座面は覆われない構造である。
【0005】
(3)第3の従来技術…特開2003−89908号公報
腰や足を、冷えや寒さから守るために膝掛けの下部を折り返し足を収める袋状を現出させ、マジックテープを使用して背面布を背側から止め付ける形状の膝掛けである為、座面は覆わない構造で、外来者の呼びかけに対しすぐ立てる事を技術開発の課題にしている。
【0006】
(4)第4の従来技術…特開2002−309415号公報
使用したまま歩き回ることを技術開発の課題にし、膝掛けの様に人前で着脱出来るズボン状を目標に、ズボン丈になる2枚の布の上端を股上の長さのみ縫い止め、使用に際し体に巻き付けゴムや面ファスナー及び紐やボタンを止める事で、ズボン状にして人前で脱ぎ着が出来る。広げれば通常のズボンの倍以上の幅を持つズボン型の生地になり、膝掛け、敷物、クッションに使用する。旅行や屋外活動を意識して考案されたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の技術には、次のような問題点があった。第1の従来技術は、胸部から足先までを包み込む袋状になっており、靴やスリッパを履いたままで使用すると、内部が不潔になると共に袋が破れる恐れがある。着用時は車椅子に上体が固定されるため滑落の心配は無いが、あしぶくろを装着したまま車椅子から他の座面への移乗・立位・歩行は不可能である。袋状に下半身を覆う形のものは他にも案件があるが、袋本体が車椅子へ紐あるいは固定具により固定されるので着用したままでの歩行や立位を取る、あるいは他の座面への移乗及び歩行は不可能な構造にある。これら袋状の従来技術は車椅子での使用を目的としており、事務職、銀行や保険会社その他窓口業務者、ドライバー、絵描き及び座り仕事の技術者、芸術家の職業上の足腰の冷えに関しては考慮されておらず、着衣に見える事は想定されていない。
【0008】
第2の従来技術は、足首から膝までを包むのみなので足首から先は露出され、座面及び背面は空いているので足先や腰は寒い。下腿部を保温布で巻き係止具で止めている為、移乗は難しく立位は可能であるが歩行は不可能である。又通常の着衣の外見とは異なる。
【0009】
第3の従来技術は、膝掛けとして使える長方形の布地を加工したもので着用したまま立ち、歩行は出来るが身につけた状態は通常の衣服とは異なる。従って足先を袋から抜き背面布を外してから膝掛け布を外し立ち上がり接客するという問題点があった。
【0010】
第4の従来技術は外出時などの急な冷え込みに衣服に見える事を主眼に、布を巻き付けてズボンの形状を成すのみで恒常的ではなく、着座での脱ぎ着は不可能であり、足首足先の保温については考慮されていない。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は座位で着脱し、使用中に滑り落ちない膝掛け(1)とレッグウォーマー(2)の2つの部位に分割した事により衣服の形状を成し、課題である着座のままの脱ぎ着が来客等の人目があってもカーディガンを脱ぐほどの気軽さで出来る。つまり、着座した後は余り動けない状況の窓口業務、事務職、タクシードライバー、車椅子使用者その他の、家庭を含めた広く一般的な屋内及び車内等における座位時の下半身の保温及び保護、屋外及び車外での保温・防寒・防塵・風雨除けを成す。
【0013】
衣服の形状を成すが為に、抗菌・耐水・耐熱・難燃・防寒・防臭・防塵・防電磁波・保温などの機能を持つ衣服部材を用いて、下半身の防寒・保温・保護・防塵・風雨除け具を成し、着用する事で立位・歩行・座面から座面への移乗を妨げず排泄行動を阻害せず、加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット(1g)を、必要個所に自由に取り付けられる。
【0014】
衣服の形状を成すが為に、衣服同様に洗濯出来る。
【0015】
衣服の形状を成すが為に、着用しない時の持ち歩きが楽である。
【0016】
衣服の形状を成すが為に、衣服と同様に収納し易い。
【0017】
衣服の形状を成すが為に、病気あるいは高齢により下肢の不自由な使用者の椅子での座位、車椅子での座位姿勢の崩れや足首のねじれやひねり等の不具合を見つけ易い。
【発明の効果】
【0018】
座位で着衣の上に羽織る程度の気楽さで着脱が簡便であり、使用中に立ち上がり歩行出来る本発明を使用する事により、これまで下半身の防寒・保温を解消できなかった職種の人々の下半身の冷えを解消する。
【0019】
又、車椅子を使用して生活する人々の下半身の冷えを解消し、外出する際の下半身の防寒・防塵・風雨除けを確実にし、着用中に座面から座面への移乗、トイレの利用を可能にした事で生活範囲が広がり気軽に外出が出来る。
【発明を実施するため最良の形態】
【0020】
前記課題を解決する為に、本発明では、次のような膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具を提供する事とした。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0022】
図5においては、膝掛け(1)は、冷えに弱い臓器と人体の冷えるツボが集中する腹部及び腰部から上肢を包み込む為に腹部と腰部を覆う腰部(1c)から膝掛け部(1a)が伸び、着座した状態で頭から被るか背中側から前に着用する前掛け状を成し、座位時に腹部を圧迫しない腹部繰り下げ部(1e)を設けるが、使用目的及び形状を形成する素材によっては繰り下げなくても良い図4、図6、図7、図8。
【0023】
又、腰部(1c)は身体背部の必要寸法を覆うが図5の臀部切り欠き部(1f)に示すように座面を覆わず、上肢の前部から側部を覆う膝掛け部(1a)は、座面に僅か巻き込む形状を持ち座面と膝掛けの隙間を作らず、上肢部と膝を覆う長さを持つ。
【0024】
臀部切り欠き部(1f)は、使用目的及び形状を形成する素材によっては、切り欠きせず、スリット(1f’))でも良い図9。
【0025】
前部中央開閉部(1b)は必要によりファスナー、ボタン、面ファスナーその他の係止具により開閉される。添付した各図で、前中央開きのものは係止具にオープンファスナーを剥き出しに使用した例であるが、使用状況に応じてはファスナーを見せない仕立てにする等の工夫が出来る。
【0026】
開閉部位は使用状況に合わせ移動し図4、図6、使用者の状況とニットその他柔軟性及び伸縮性の有る素材の場合は前開きや腹部の繰り下げを無くしても腹部を圧迫せず簡単に着脱出来る図4、図6、図7、図8。
【0027】
又、素早い着脱とサイズ調整の簡便化の為には腹部前面の打ち合わせを深くし図6、図9、必要によりファスナー、ボタン、面ファスナーその他の係止具により開閉する。そして、素材及び使用者の要件によっては腹部を上に伸ばす事で腹巻き様にも出来る図8。
【0028】
それぞれの膝掛けは単独で使用しても腹部及び腰部と上肢の防寒保温機能を損なわない図6、図7、図9。
【0029】
それぞれの膝掛けは、マントやショールのように肩に羽織る事ができ、加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット(1g)が有るため、風邪予防などのツボを温めることができる図10。
【0030】
レッグウォーマー(2)は着座でズボンの上から簡単に履け、自ら着用できない場合でも簡単に履かせ易い形状を成し、太もも最上部あるいは椅子の座面と隙間の空かない部位から足首までの長さを持つ。
【0031】
図11に示すように、足の甲部の防寒・保温・防塵・風雨よけ機能を持つ足首カバー(2a)を持つ(A)、足首カバー(2a)を必要としない(B)、足先全体を包み込む袋状の(C)、あるいは靴型の(D)等の様に使用者の使用状況に対応する。又、様々な係止法により開閉出来る。
【0032】
又、(C)、(D)の様に閉ざされた足先部に対しても開閉するなど個別の要件に従い調整が可能である。
【0033】
各図はオープンファスナー及びファスナーを剥き出しに使用した例であり、使用状況に応じてはファスナーを見せない仕立てにする等の工夫が出来る。
【0034】
尚、レッグウォーマーは従来バレエやダンスを練習する際に足首を保温、保護するために用いられて来た足先が無い靴下様の筒状ニットであるが、近年オシャレと保温を兼ね下肢部や足首に着用される事が多くなった。本発明のレッグウォーマー(2)は通常のレッグウォーマーより長大ではあるが、通常の衣服にも、とけ込む形状を成す。
【0035】
以上の様に本発明の膝掛け(1)及び、レッグウォーマー(2)は使用者の使用要件に合わせてきめ細かく調整可能な構造を持ち、その使用状況により各種係止具で連結も出来る。
【0036】
図3の(1d)及び図11の(2b)は面ファスナーによる連結を示すが前部及び側面部で紐結びその他各種係止具で簡単に連結出来る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具を立位で着用した状態を正面から見た図である。
【図2】本発明を立位で着用した状態を左斜め後ろから見た図である。
【図3】本発明を座位で着用した状態を左斜め前面から見た図である。膝掛け(1)の裏側に付けた面ファスナー(1d)と、レッグウォーマー(2)の面ファスナー(2b)が合わさり(1)と(2)が連結される。
【図4】本発明の膝掛け(1)の腰部(1c)を長く、膝掛け部(1a)を短くしギャルソンエプロン状に成し、足の甲の防寒、保温、防塵、風雨除け足首カバー(2a)の無いレッグウォーマー(2)と合わせ立位で着用した状態を左斜め後ろから見た図である。(A)は両脇で開閉しサイズを調整する。(B)は開閉部位を無くした状態。
【図5】本発明を座位で長時間使用する場合有用な特徴である膝掛け(1)の腹部繰り下げ部(1e)を正面から見た図と、座面を覆わない臀部の切り欠き部(1f)及び加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット(1g)を必要部位に設置した状態を背面から見た図である。
【図6】本発明の膝掛け(1)を、素早い着脱とサイズ調整の簡便化の為に腹部打ち合わせを深くし座位で着用した状態と、男性と女性が立位で着用した状態を左横から見た図である。
【図7】本発明の膝掛け(1)を、使用要件により柔軟性及び伸縮性の有る素材を使い、前部に開閉部を持たせずに座位で着用した状態と、男性と女性が立位で着用した状態を左横から見た図である。
【図8】本発明の膝掛け(1)を、使用要件により柔軟性及び伸縮性の有る素材を使い、腹部繰り下げ部(1e)を上に伸ばす事でより腹巻き状に成し、開閉部を持たせた(A)と開閉部の無い(B)を立位で着用した状態を正面から見た図である。
【図9】本発明の膝掛け(1)の特徴である、後ろから前へ羽織る要件である臀部の切り欠き部(1f)を、素材と使用要件によりスリット(1f’)に置き換え着用した状態の背面及び前面、座位で使用する様子を斜め前面から見た図である。
【図10】本発明の膝掛け(1)に、加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケットを背面に付け、マントやショールのように肩に羽織った状態を正面と背面から見た図である。
【図11】本発明のレッグウォーマー(2)に、膝掛け(1)と連結をする為の面ファスナーを付けた状態を左斜め前面から見た図である。
【図12】本発明のレッグウォーマー(2)を、使用要件により加工した状態をそれぞれの前面上方より見た図である。
【符号の説明】
【0038】
1 膝掛け
1a 膝掛け部
1b 前部中央開閉部
1c 腰部
1d 膝掛け(1)の裏面の面ファスナー
1e 腹部繰り下げ部
1f 膝掛け(1)の臀部切り欠き部
1g 加温用発熱体・蓄熱帯・保温帯を入れるポケット
2 レッグウォーマー
2a 足の甲の防寒、保温、防塵、風雨除け足首カバー
2b 膝掛け(1)の裏面の面ファスナー(1d)と対応する面ファスナー
s 膝掛け(1)とレッグウォーマー(2)を着用し、立位の時に出来る空隙部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
季節や用途に合わせ、抗菌・耐水・耐熱・難燃・防臭・防塵・防電磁波等の加工を施された薄手や厚手のニットや織物素材、あるいは毛布様の素材、又は表地と裏地との間に保温材を挟み、1枚の布として扱えるよう適宜にミシン線を入れたキルティング、その他衣服として成型可能な素材を使用し衣服の形状を成す為に、膝掛け(1)は腰巻きを着用したように腹部と腰を包み込み、腰部背面を覆う長さは椅子の座面に達して僅かに回り込み椅子との境目に空隙が無く、膝掛け部分は座位で膝を包み込むあたりまでの長さを有し側面は上肢部を包み込み椅子との境目に空隙が無いが座面は覆わず、座位のまま後ろから前に着脱するので滑り落ちない。レッグウォーマー(2)は太ももの最上部、或いは膝掛けと椅子の座面により包まれている部位に対して隙間の空かない程度の部位から足首までの長さを持つ事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項2】
請求項1記載の膝掛け(1)は、少なくとも下半身に座位で後ろから前へ、或いは頭から被る事で着用し、背面を繋げてはいるが座面は覆わず排泄状況への対応を簡便にすると共に座面との不具合を無くし、膝掛け及び前掛け部の長さを使用要件により上肢の上方から足首までの長さに成し、単独でも使用出来る事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項3】
前記膝掛け(1)の腹部と腰を包み込む部分に人体の冷えのツボを対照し、加温のための発熱体・蓄熱体・保温体等を入れる場所を設け(1g)、体熱の保持に重要な腰部及び腰椎、そして腹部が加温出来る事を特徴とする請求項1記載の膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項4】
請求項1記載のレッグウォーマー(2)は、少なくとも足を別々に包み込み、長さ及び形状は図12に示すように、使用要件により変化出来る。又、長靴や靴、地下足袋等と繋げることが出来る。車椅子使用の場合は履物や足の状態に合わせて足先まで包み込める為、使用者に半身麻痺或いは意識及び感覚障害などがある場合に、介護者が足の状態を把握し易く、単独でも使用出来る事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項5】
請求項2の座面部の空間は立位では過小になり、太ももの最上部までの長さのレッグウォーマー(2)を着用することで、図2空隙部(s)に示した様にほとんど隙間が無い。ドライバーが運転席から降り立位で作業をする場合は、座位を阻害しない程度に腰部(1c)を延長する事で下半身の防寒・保温・防塵・風雨除けを計れ、コンベアーなどへの巻き込み防止の為膝掛け部を短くした場合でも図4、その機能を損なわず使用者の使用目的に従い調整出来る事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項1】
季節や用途に合わせ、抗菌・耐水・耐熱・難燃・防臭・防塵・防電磁波等の加工を施された薄手や厚手のニットや織物素材、あるいは毛布様の素材、又は表地と裏地との間に保温材を挟み、1枚の布として扱えるよう適宜にミシン線を入れたキルティング、その他衣服として成型可能な素材を使用し衣服の形状を成す為に、膝掛け(1)は腰巻きを着用したように腹部と腰を包み込み、腰部背面を覆う長さは椅子の座面に達して僅かに回り込み椅子との境目に空隙が無く、膝掛け部分は座位で膝を包み込むあたりまでの長さを有し側面は上肢部を包み込み椅子との境目に空隙が無いが座面は覆わず、座位のまま後ろから前に着脱するので滑り落ちない。レッグウォーマー(2)は太ももの最上部、或いは膝掛けと椅子の座面により包まれている部位に対して隙間の空かない程度の部位から足首までの長さを持つ事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項2】
請求項1記載の膝掛け(1)は、少なくとも下半身に座位で後ろから前へ、或いは頭から被る事で着用し、背面を繋げてはいるが座面は覆わず排泄状況への対応を簡便にすると共に座面との不具合を無くし、膝掛け及び前掛け部の長さを使用要件により上肢の上方から足首までの長さに成し、単独でも使用出来る事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項3】
前記膝掛け(1)の腹部と腰を包み込む部分に人体の冷えのツボを対照し、加温のための発熱体・蓄熱体・保温体等を入れる場所を設け(1g)、体熱の保持に重要な腰部及び腰椎、そして腹部が加温出来る事を特徴とする請求項1記載の膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項4】
請求項1記載のレッグウォーマー(2)は、少なくとも足を別々に包み込み、長さ及び形状は図12に示すように、使用要件により変化出来る。又、長靴や靴、地下足袋等と繋げることが出来る。車椅子使用の場合は履物や足の状態に合わせて足先まで包み込める為、使用者に半身麻痺或いは意識及び感覚障害などがある場合に、介護者が足の状態を把握し易く、単独でも使用出来る事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【請求項5】
請求項2の座面部の空間は立位では過小になり、太ももの最上部までの長さのレッグウォーマー(2)を着用することで、図2空隙部(s)に示した様にほとんど隙間が無い。ドライバーが運転席から降り立位で作業をする場合は、座位を阻害しない程度に腰部(1c)を延長する事で下半身の防寒・保温・防塵・風雨除けを計れ、コンベアーなどへの巻き込み防止の為膝掛け部を短くした場合でも図4、その機能を損なわず使用者の使用目的に従い調整出来る事を特徴とする膝掛け及び前掛けを含む下半身防寒保温・耐水・防護具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−314922(P2007−314922A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169280(P2006−169280)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(506210381)株式会社カドウ・ジャパン (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(506210381)株式会社カドウ・ジャパン (2)
【Fターム(参考)】
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