説明

膝蓋ドリルガイドのクランプ

【課題】膝蓋ドリルガイドを提供する。
【解決手段】膝蓋ドリルガイドは、平坦な膝蓋骨に面する表面を備えるベース部と、このベース部を通じて延在するドリルガイド穴と、カンチレバーバネ部材と、骨把持部材と、を含む。カンチレバーバネ部材は、骨把持部材及び平坦な膝蓋骨に面する表面を互いに向かって付勢する。カンチレバーバネ部材を曲げることは、ドリルガイドが膝蓋上に配置され得るように、骨把持部材を、平坦な膝蓋骨に面する表面から離して移動させる。カンチレバーバネ部材が解放されたとき、膝蓋骨は、骨把持部材と平坦な膝蓋骨に面する表面との間にクランプされる。ドリルガイドは寸法表示を有してもよく、並びにドリルガイドに実装される、試験用構成要素を含むキットの一部であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/540049号(2011年9月28日出願)、表題「Clamping Patella Drill Guide」に対して優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、整形外科用手術器具に関し、より具体的には、膝蓋ドリルガイドに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の生涯において、例えば、病気又は外傷の結果として、患者の関節置換手術を行う必要がある場合がある。膝置換手術は、1つ以上の患者の骨に移植されるプロテーゼの使用を伴い得る。膝蓋置換術の場合、整形外科用義足が患者の膝蓋の中に埋め込まれる。特に、義足の膝蓋インプラント構成要素は、その後方表面が膝の伸展及び屈曲の間に大腿骨構成要素と関節接合をなすように、患者の天然の膝蓋に固定される。
【0004】
天然の膝蓋の関節表面を人工の膝蓋と交換するのを促進するために、整形外科医は様々な整形外科手術器具、例えば鋸、ドリル、ミル、又はリーマーを使用して、膝蓋の後方表面を切除し、次いで、この切除された表面を、人工膝蓋インプラント構成要素の固定のために準備する。
【0005】
人工膝蓋のための一般的な固定構成要素は、骨に面した(前方)表面から外に延在し、相補的な凹部、又は膝蓋内に開けられるか、若しくはリーマーを通される穴に受容される1つ以上のペグを含む。膝蓋を準備して、人工膝蓋などを受容するために、外科医は一般的に、膝蓋の後方部分を切除し、平坦な表面を画定し、次いでドリルガイド及びドリルを使用して、膝蓋の切除された表面に穴を開ける。しかしながら、ドリルで穴を開けている間、特に膝蓋が裏返されるときは、膝蓋ドリルガイドを、膝蓋に対して固定して保持することは難しく、この外科工程は、一方の手で膝蓋を保持し、他方の手でドリルガイドを保持し、第3の手でドリルで穴を開けることを必要とする場合がある。
【0006】
いくつかの人工膝蓋インプラントでは、人工膝蓋インプラント構成要素の関節表面は、米国特許第5,593,450号にあるように、ドーム形状である。人工膝蓋インプラントの他のタイプでは、関節表面は、人工大腿骨インプラント構成要素内の膝蓋溝内に受容され、追随するための非対称の形状を有する。そのような非対象の形状の人工膝蓋インプラント構成要素の実施例は、米国特許第6,074,425号に開示されている。そのような非対称の膝蓋インプラントを用いて、インプラントの回転位置合わせは、膝蓋インプラントが、大腿骨インプラントの滑車神経溝部内を追随する方式に影響を与える。そのような非対称の膝蓋インプラントは典型的に、膝蓋表面にドリルで開けられた相補穴に受容されるべき前方表面から外に延在する複数のペグを含む。しかしながら、外科医は典型的に、試験用膝蓋構成要素及び大腿骨構成要素が定位置にくるまで、大腿骨構成要素の膝蓋溝部内の膝蓋インプラント構成要素の追随を十分に評価することができず、これは一般的に、試験品が、切除された膝蓋上に配置される前に、相補穴がドリルで穴を開けられることを必要とする。この膝蓋試験品が正しく追随しないということを外科医が決定した場合、切除された膝蓋表面内に実装穴が既にドリルで開けられているため、調整する機会はほとんどない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外科医が膝蓋及び膝蓋ドリルガイドを片手で保持しながら、他方の手でドリルで穴を開けることを可能にする、膝蓋ドリルガイドを提供する。いくつかの実施形態はまた、外科医が、実装穴をドリルで開ける前に、膝蓋追跡を評価することも可能にする。
【0008】
例示的な実施形態では、切除された膝蓋骨面を準備して人工膝蓋インプラントを受容するのに使用する膝蓋ドリルガイドを提供し、この膝蓋ドリルガイドは、ハンドル、ベース部、カンチレバーバネ部材、及び骨把持部材を含む。ベース部は、ハンドルから、平坦な膝蓋骨に面する表面を有する自由端まで延在する。ドリルガイド穴は、ベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する。カンチレバーバネ部材は、ハンドルに固定された1つの端部と、ベース部の平坦な膝蓋骨に面する表面と位置合わせされた、反対側の自由端と、を有する。骨把持部材は、カンチレバーバネ部材の自由端にあり、かつカンチレバーバネ部材から、ベース部の平坦な膝蓋骨に面する表面に向かって外側に延在する。膝蓋ドリルガイドはまた、このハンドルに接続される偏向板も含む。この偏向板は、2つの端部の間でカンチレバーバネ部材の一部分を係合する。カンチレバーバネ部材は弛緩した位置を有し、骨把持部材と平坦な膝蓋骨に面する表面との間に第1距離が存在する。カンチレバーバネ部材はまた、撓んだ位置を有し、骨把持部材は、平坦な膝蓋骨に面する表面から離れた第2距離だけ離間されている。第2距離は第1距離よりも長い。偏向板の作動は、カンチレバーバネ部材の骨把持部材を前記弛緩した位置から前記撓んだ位置まで移動させる。
【0009】
より具体的な実施形態では、ベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数のドリルガイド穴が存在する。
【0010】
別の、より具体的な実施形態では、ベースは、その周辺の一部の周囲に縁部を有し、この縁部は、離間された複数の凹部を含む。この実施形態では、ベース部は、平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側の上面を有し、この上面は、離間された凹部に隣接する寸法表示を含んでもよい。
【0011】
この実施形態では、ベース部の厚さは、ドリルガイド穴の周囲で、離間した凹部よりも大きい場合がある。
【0012】
更に他の具体的な実施形態では、試験用関節表面は、平坦な膝蓋骨に面する表面とは反対側であり、かつこれから離間される。この試験用関節表面は湾曲した輪郭を有する。いくつかの実施形態では、複数の離間したドリルガイド穴は、試験用関節表面からベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する。
【0013】
この実施形態では、試験用関節表面及び平坦な膝蓋骨に面する表面は、膝蓋ドリルガイド及び試験品の組み合わせ画定するように組み立てられた別個の構成要素を含むことができるか、又は別の方法としては単一の一体型の構成要素を含み得る。
【0014】
本実施形態では、膝蓋ドリルガイドが膝蓋上に実装されたとき、膝蓋ドリルガイドは、骨把持部材及びベース部を通じて延びる軸を中心として、膝蓋に対して回転可能であり得る。
【0015】
本実施形態では、回転の軸は平坦な膝蓋骨に面する表面の面に実質的に垂直であってもよく、ドリルガイド穴の中心長手方向軸に実質的に平行であってもよい。
【0016】
本実施形態では、膝蓋ドリルガイドは、ベース部と共に組み立てられる骨把持構成要素を更に含んでもよく、このベース部は、骨把持構成要素に対して回転可能であってもよい。
【0017】
本実施形態では、ベース部上の骨把持構成要素は複数のスパイクを含み得る。
【0018】
本実施形態では、カンチレバーバネ部材の自由端における骨把持部材はまた、複数のスパイクを含み得る。
【0019】
他の実施形態では、カンチレバーバネ部材の自由端における骨把持部材は、軸受台及びこの軸受台から外側に延在する複数のスパイクを有する。この実施形態では、カンチレバーバネ部材は、ハンドル、ベース部の自由端、及びカンチレバーバネ部材が、骨把持部材に対して枢動可能であるように、骨把持部材に枢動可能に接続される。
【0020】
この実施形態では、ベース部は、平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側であり、かつこの面から離間された上面を有してもよい。この上面は、湾曲した輪郭を有する試験用関節表面を含み得る。本実施形態では、ドリルガイド穴は、試験用関節表面からベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在し得る。
【0021】
この実施形態では、試験用関節表面からベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数の離間したドリルガイド穴が存在し得る。
【0022】
具体的な実施形態では、骨把持部材と平坦な膝蓋骨に面する表面との間の第1距離は、ゼロより大きい。別の具体的な実施形態では、骨把持部材と平坦な膝蓋骨に面する表面との間の第1距離は、ゼロである。
【0023】
他の例示的な実施形態では、本発明は、切除された膝蓋骨面を準備して人工膝蓋インプラントを受容するのに使用する膝蓋ドリルガイドを提供する。この例示的な実施形態では、膝蓋ドリルガイドはベース部と、カンチレバーバネ部材と、骨把持部材と、を含む。ベース部は平坦な膝蓋骨に面する表面を有し、ドリルガイド穴は、ベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する。骨把持部材は、ベース部の平坦な膝蓋骨に面する表面の方を向く。カンチレバーバネ部材は、骨把持部材及び平坦な膝蓋骨に面する表面のうちの少なくとも1つを一方向に付勢する。カンチレバーバネ部材を曲げることは、付勢された要素を別の方向に移動させる。
【0024】
より具体的な実施形態では、ベース部を通じて、平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数のドリルガイド穴が存在する。
【0025】
具体的な実施形態では、ベース部は、その周辺の一部の周囲に縁部を有し、この縁部は、離間された複数の凹部を含む。
【0026】
この実施形態では、離間された凹部に隣接するベース部の上面上に寸法表示が存在し得る。具体的な実施例では、ベース部の厚さは、離間した凹部よりも、ドリルガイド穴の周囲で、より大きくてもよい。
【0027】
具体的な実施形態では、第1アームはベース部から端部まで外側に延在し、第2アームは骨把持部材から端部まで外側に延在する。この実施形態では、第1アーム及び第2アームはヒンジによって接続され、カンチレバーバネ部材は、アームの1つに固定された1つの端部を有し、カンチレバーバネ部材の他方の部分は、他方のアームの一部分を支える。したがって、カンチレバーバネ部材は、骨把持部材及び平坦な膝蓋骨に面する表面を互い向かって付勢する。カンチレバーバネ部材は、2つのアームの端部を一緒に絞ることにより曲げられる。
【0028】
他の具体的な実施形態では、膝蓋ドリルガイドは、ハンドル及び偏向板を更に含む。本実施形態では、カンチレバーバネ部材は、ハンドルに実装された1つの端部及び反対側の自由端を有する。骨把持部材はカンチレバーバネ部材の自由端にある。偏向板は、ハンドルに接続され、かつ2つの端部の間でカンチレバーバネ部材の一部分を係合する。偏向板の作動は、カンチレバーバネ部材を曲げ、骨把持部材を、膝蓋骨に面する表面から離して移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
「発明を実施するための形態」においては、特に以下の図面を参照する。
【図1】本発明の原理を組み込む膝蓋ドリルガイドの一実施形態の斜視図。
【図2】図1の膝蓋ドリルガイドの側面図。
【図3】切除された膝蓋のクランプを示す、図1及び2の膝蓋ドリルガイドの側面図。
【図4】切除された膝蓋のクランプを示す、図1〜3の膝蓋ドリルガイドの側面図。
【図5】本発明の原理を組み込む膝蓋ドリルガイドの1つの端部の別の実施形態の平面図。
【図6】本発明の原理を組み込む膝蓋ドリルガイドの1つの端部の別の実施形態の斜視図。
【図7】切除された膝蓋のクランプを示す、図6の膝蓋ドリルガイドの実施形態の側面図。
【図8】膝蓋ドリルガイドが、膝蓋に対して90度枢動されている、図6及び7の膝蓋ドリルガイドの実施形態の側面図。
【図9】切除された膝蓋のクランプを示す、本発明の原理を組み込む膝蓋ドリルガイドの1つの端部の別の実施形態の側面図。
【図10】本発明の原理を組み込む膝蓋ドリルガイドのクランプの他の代替的な実施形態の側面図。
【図11】追加の機構と共に、図5の実施形態の機構を組み込む膝蓋ドリルガイドの他の代替的な端部の側面図。
【図12】図10の膝蓋ドリルガイドのベース端部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点を理解すべきである。
【0031】
解剖学的参照を表す前方、後方等の用語は、本明細書全体において、本明細書に記載する整形外科用インプラント及び手術器具、並びに患者の天然の解剖学的形態に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野の両方において広く理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に断らない限りは、それらの広く理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0032】
図1を参照し、膝蓋ドリルガイド10のクランプの第1の実施形態が示されている。示されている膝蓋ドリルガイド10は、ハンドル12と、ベース部14と、カンチレバーバネ部材16と、骨把持部材18と、偏向板20と、を含む。
【0033】
ベース部14は、ハンドル12に接続され、かつハンドル12から自由端22まで延在する。自由端22は、平坦な膝蓋骨に面する表面24、及びこの膝蓋骨に面する表面24から離間された上面25を有し、第1の例示された実施形態では、上面25及び膝蓋骨に面する表面24は平行な平面に位置する。複数の円筒ドリルガイド穴26、28、30は、上面25からベース部14を通じて、膝蓋骨に面する表面24まで、かつこれを通じて延在する。縁部32は、上面25と膝蓋骨に面する表面24との間に延在する。
【0034】
図1に見られるように、例示の実施形態の穴26、28、30は、自由端22上で三角形のパターンに離間されている。穴の数、及び穴26、28、30の間の間隔は、膝蓋インプラント構成要素上の実装ペグの数及び空間に一致する。穴の直径は一般的に、膝蓋インプラント構成要素上の実装ペグの直径に一致する。膝蓋インプラント構成要素上の実装ペグの数、間隔及び寸法によって、穴の数、間隔及び寸法は、例示の実施形態から調節され得るということを理解する必要がある。
【0035】
図4は、ドリルビット34と共に膝蓋ドリルガイドをクランプする第1の実施形態を示す。ドリルビット34は、膝蓋構成要素上の実装ペグの直径と一致する直径を有する波型部分36を有し、波型部分36は、膝蓋に座ぐり穴を形成するための円錐台形状部分を含んでもよい。例示のドリルビットはまた、穴26、28、30の直径よりも大きい直径を有するカラー部38も有する。使用時には、穴26、28、30を包囲するベース部の上面25は、ドリルビット34のカラー部38の停止部として機能し、ドリルビットのカラー部38、ベース部34(base portion 14)の厚さ、及び波型部分36の長さはしたがって、膝蓋内にドリルで開けられる穴の深さを制御する。深さは一般的に、膝蓋インプラント構成要素上の実装ペグの長さに一致する。
【0036】
図1〜4に示されるように、ベース部14の膝蓋骨に面する表面24は、カンチレバーバネ部材16の自由端40において、骨把持部材18と重なる。カンチレバーバネ部材16の反対側の端部42はハンドル12に固定される。図1〜4に例示される実施形態では、骨把持部材18は、ベース部14の膝蓋骨に面する表面24に向けて延在する単一の円錐状のスパイクを含む。このスパイクは、その先端が膝蓋の前方表面内にわずかに押され、膝蓋を膝蓋ドリルガイド10のベース部14の端部22にしっかりクランプすることができるような十分な形状であり得る。例示の実施形態では、カンチレバーバネ部材16は、スパイクが膝蓋骨に面する表面24の面を交差する軸に沿って位置合わせされるような形状である。
【0037】
図1及び2に示されるように、カンチレバーバネ部材16は弛緩位置を有し、ここでは骨把持部材18は、膝蓋骨に面する表面24から、第1距離だけ離離間される。この第1距離は、図2においてdで示される。カンチレバーバネ部材16は、骨把持部材18を平坦な膝蓋骨に面する表面24に向かって付勢するような形状である。カンチレバーバネ部材16の自由端40は、カンチレバーバネ部材を曲げることによって様々な位置に撓ませることができる。例えば、自由端40は、図3には44で示されている膝蓋の全部の厚さだけ撓ませることができ、これによって骨把持部材18は、膝蓋骨に面する表面24から、より大きな距離だけ離間される。この距離は、図3においてdで示される。カンチレバーバネ部材16の自由端40は、図4に示されている中間位置まで撓ませることができ、ここでは、膝蓋骨に面する表面24は、膝蓋44の切除された後方表面46に対して平坦であり、骨把持部材18は、膝蓋44の前方表面48に対して密接に押し付けられる。この中間位置では、骨把持部材18は、膝蓋骨に面する表面24から中間距離だけ離間される。この中間距離は図4においてdで示される。図2〜4を比較して分かるように、dは、dよりも小さく、これはdよりも小さい。dは、例示の実施形態ではゼロよりも大きく、本発明の原理を組み込む膝蓋ドリルガイドにおいては、dはゼロであってもよく、すなわちカンチレバーバネ部材16がその弛緩した位置にあるときに、骨把持部材18の先端部は、ベース部14の膝蓋骨に面する表面24と接触し得る。また、距離d及びdの絶対値は患者から患者へと様々であるということは理解する必要がある。
【0038】
第1の例示の実施形態では、カンチレバーバネ部材16の自由端40における骨把持部材18は、図1及び2に示される弛緩位置と、図3及び4に示される、撓んだ位置との間で、偏向板20の作動及びカンチレバーバネ部材16の得られる曲げによって動かされる。例示の偏向板20は、カンチレバーバネ部材16の表面に対して置かれる部分50を有し、ハンドル12の外側の位置からハンドル12内に延在する。例示の偏向板20はまた、分岐部分52も有し、これはカンチレバーバネ部材16から外に分岐する。第1の例示の実施形態では、分岐部分52は、ベース部16における開口部56(図1に示す)を通じて、ベース部16の上面25の面から離間され、かつこの上にある動作フランジ54まで延在する。使用時に、屈折体20は、フランジ54に対して押し付けることによって作動し、骨把持部材18を膝蓋骨に面する表面24に向かって付勢するカンチレバーバネ部材16のバネ力を克服する。偏光板20は、カンチレバーバネ部材16を曲げ、これによって、骨把持部材18と平坦な膝蓋骨に面する表面24との間の距離を増加させる。いったん膝蓋ドリルガイドが、膝蓋に対して正しく位置決めされると、フランジ54は解放され、カンチレバーバネ部材16のバネ力は、骨把持部材18及び膝蓋骨に面する表面24を互いに向かって押し付け、これによって、骨把持部材18と膝蓋骨に面する表面24との間で膝蓋をクランプする。
【0039】
第1の例示のクランプしている膝蓋ドリルガイド10が、図4に示されるように、切除された膝蓋上に実装されるとき、単一のスパイクが有する把持部材18と膝蓋44の前方表面48との間の単一の接触位置、及び膝蓋44の切除された後方表面46に対して働く、いずれの骨把持スパイクもないこととが、膝蓋44と、クランプしている膝蓋ドリルガイド10との間の相対的回転、すなわち枢動を可能にする。この相対的回転、すなわち枢動は、骨把持部材18及びベース部14を通じて延在する軸を中心とし、例示の実施形態では、骨把持部材は、この回転の軸が(図4において58で示されるように)、ベース部14の膝蓋骨に面する表面24の面に垂直であるように方向付けられる。
【0040】
膝蓋に対して位置合わせされた穴26、28、30の向きは、ベース部14が、軸56を中心として枢動するにつれて変化するため、並びに、穴26、28、30は、インプラント構成要素上の実装ペグの位置に一致するため、ベース部の枢動、すなわち回転のオプションは、それが膝蓋にクランされている間、特に解剖若しくは非対称の関節表面を有する膝蓋インプラント構成要素にとって有利である。外科医は、手術中に穴26、28、30の向きを調整することができ、これによって、膝蓋インプラント構成要素の関節表面の向きを最適化することができる。この利点を最大にするために、クランプしているドリルガイド10のベース部14の上面25上に選択的に実装され得る、膝蓋試験用構成要素を提供することが望ましい場合がある。かかるアセンブリでは、外科医は、実装ペグを受容するための穴をドリルで開ける前に、試験を通じて関節表面の向きが最適化されているということを確実にすることができる。
【0041】
上記の構造体の変形例は、本発明の利点を達成するために利用可能である。いくつかの変形例が、図5〜12に代替の実施形態で示されている。これらの実施形態では、第1の実施形態に関して上記のものと類似の部分は、上記及び図1〜4で使用されたものと同じ参照番号で標識されており、第2の実施形態に関しては文字「A」が続き、第3の実施形態に関しては文字「B」が続き、第4の実施形態に関しては文字「C」が続き、第5の実施形態に関しては文字「D」が続き、第6の実施形態に関しては文字「E」が続く、特定の構造体が以下に記載されない限り、上記は、同様に番号が振られた部分に適用するということが想定されるべきである。
【0042】
図5に示される第2の例示の実施形態では、ベース部14Aの自由端22Aの上面25A及び縁部32Aは、同じ追加の機構を含む。この実施形態では、自由端22Aの縁部32Aは、複数の離間された切り取り、すなわち凹部60、62、64、65を含み、これを通じて、膝蓋44Aの切除された後方表面46Aを観察することができる。ベース部14Aの上面25Aは、寸法表示66を含み、これによって、外科医は寸法表示66と並置された、切除された膝蓋表面46Aを見て、移植されるべき膝蓋インプラント構成要素の最適な寸法を決定することができる。膝蓋インプラント構成要素の複数の寸法が、共通して寸法決めされ、かつ位置決めされた実装ペグを有し、これによって同じドリルガイド10Aは、膝蓋インプラント構成要素の複数の寸法に関して使用され得る場合、この実施形態は特に有益である。
【0043】
図11及び12に示される第6の実施形態は、図5の実施形態と類似である。図5の実施形態では、ベース部14Aは、上面25Aと膝蓋骨に面する表面24との間に一定の厚さを有する。図11及び12の代替の実施形態では、ベース部14の厚さは切り取り、すなわち凹部60E、62E、64E、65E周辺で変化し、ベース部14Eの厚さは、ドリルガイド穴26E、28E、30E周辺の厚さよりも小さく、切り取り、すなわち凹部60E、62E、64E周辺のベース部14Eの厚さは約2mmであってもよく、一方で、ドリルガイド穴26E、28E、30E周辺のベース部14Eの厚さは約6mmであってもよい。ベース部の変動する厚さは、切り取り、すなわち凹部60E、62E、64E、65E周辺の比較的薄い領域は、寸法表示66Eを、膝蓋骨表面44Eに、より近接させ、これによってより読みやすくするということで有利であり得る。更に、ドリルガイド穴26E、28E、30E周辺の、より厚い中央区分は、機器セットに含まれるドリルビットの数を低減するのに有用であり得る。典型的に、機器セットは、適切な深さで穴をドリルで開け、他の構成要素(例えば大腿骨インプラント構成要素)のペグを受容するための深さ停止部を備えるドリルビットを含む。ベース部14Eのより厚い中央区分は、同じ深さ停止部を備えた、この同じドリルビットが使用されて、膝蓋インプラント構成要素のための穴を、膝蓋インプラント構成要素のための適切な深さで、ドリルで開けれるようにする。
【0044】
図11〜12の実施形態はまた、ベース部14Eも図11〜12の実施形態において骨把持構成要素67を含むということとで、図5のものとは異なる。この骨把持構成要素67は、ベース部14Eに固定され、カンチレバーバネ部材16Eの端部上の骨把持部材18Eに向かって延在する単一のスパイクを含む。この実施形態では、スパイク67が、膝蓋44Eの切除された後方表面に押され、スパイク18Eが、膝蓋の固有の前方表面内に押されたとき、全体のアセンブリは、2つの骨把持要素67、18Eを通じて、長手方向軸を中心とするユニットとして回転する。膝蓋上でベース部の回転を可能にしながら、ベース部を、膝蓋の切除された後方表面に固定する他の要素が使用され得、このような代替的な回転可能な取り付け要素は、第3の例示の実施形態に示される。
【0045】
図6〜8に示される例示の実施形態では、上面25Bは、湾曲した輪郭を有する試験用関節表面を含む。この実施形態では、ドリルガイド穴26B、28B、30Bは、関節表面25Bから、ベース部の本体を通じて、膝蓋骨に面する表面24Bまで延在する。凹凸のある関節表面25Bは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,074,425号に開示のように解剖学的なものであってもよい。凹凸のある関節表面25Bは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7972383(B2)号、及び米国特許出願公開第2009−0326661(A1)号に開示のような形状であってもよい。凹凸のある関節表面はまた、ソンブレロ形状の、又は半ソンブレロ形状の表面を含み得る。広くは、関節表面25Bは、膝蓋インプラント構成要素と一致する寸法の形状と似た形状であるように凹凸がつけられてもよい。
【0046】
ドリルガイド穴26B、28B、30Bは、第3の例示の実施形態では試験用部分を通じて延在するが、変形例も可能である。例えば、ベース部1、14A、14D、14Eの厚さを占める低減された厚さを備える試験品が、図1〜5及び10〜12に示される実施形態を採用する手術用キットに提供され得る。そのような試験品は、ドリルガイド穴26、28、30、26A、28A、30A、26D、28D、30D、26E、28E、30Eに受容されるような寸法にされ、かつ位置決めされているペグを含み得る。かかる実施形態を用いて、適切な寸法にされた試験品が選択されて、ベース部14、14A、14D、14Eの上面25、25A、25D、25E上に実装することができ、その実装ペグは、ドリルガイド穴26、28、30 26A、28A、30A、26D、28D、30D、26E、28E、30E、及び膝蓋骨に面する表面24と反対側に露出したその関節表面に受容される。外科医が試験を完了し、ドリルガイド穴の正しい向きを確保した後、試験品は取り除かれ、実装穴を、ドリルガイド穴を通じて膝蓋内にドリルで開けることができる。
【0047】
第3の例示の実施形態は、Richard Spencer Jones、Martin W.Roche、及びAbraham P.Wrightによって、ここに同時に出願され(DEP6334USPSP)、本明細書にその全体が組み込まれる米国特許仮出願、表題「Rotatable Patella Drill Guide」に、より詳細に記載されている。したがって、第3の例示の実施形態は、図6〜8において70で示されている追加の骨把持構成要素含んでもよく、これは、ベース部14Bの自由端部分22Bにおいて円筒形穴に回転可能に実装される、実質的に円筒形の軸受台部分72と、カンチレバーバネ部材16Bの自由端40Bにおいて、骨把持部材18Bに向かって外側に延在する複数の円錐形のスパイク74と、を含む。
【0048】
その米国特許仮出願に開示されるように、ドリルガイド穴26B、28B、30Bは、2つのオプション:膝蓋試験用部分を通じる、より大きな直径部分と、ベース部14Bを通じる、より小さな直径の位置合わせされた部分と、を含むことができ、これによって、環状ショルダー部は、より小さな直径部及びより大きな直径部接点として定義される。環状ショルダー部の直径は、深さ制御ビットのカラー部(例えば、図4に示されるドリルビット34のカラー38など)の直径と一致し得る。使用時に、環状ショルダー部は、ドリルビット34のカラー部38のための停止部として機能することによって、膝蓋内へのドリルビット34の移動を制限し、この実施形態におけるドリルガイド穴26B、28B、30Bの、より小さな直径部分の長さは、ドリルビット34の波型部分36の長さ一緒になり、これによって膝蓋にドリルで開けられる穴の深さを制御する。深さは一般的に、膝蓋インプラント構成要素上の実装ペグの長さに一致する。
【0049】
図6〜8の実施形態では、外科医は、膝蓋内へ実装穴をドリルで開ける前に、膝蓋関節を試験し、ドリルガイド穴26B、28B、30Bの向きを調節する利益を有する。ドリルガイド穴26B、28B、30Bの向きは、膝蓋44Bの切除された後方表面46Bに固定されている、追加の骨把持構成要素70を中心として、枢動、すなわち回転しているベース部14Bによって調整されてもよく、関節表面25B、ドリルガイド穴26B、28B、30B、ハンドル12B、カンチレバーバネ部材16B、及び骨把持部材18は、全て枢動軸58Bを中心として、ベース部14Bと共に全て枢動、すなわち回転する。例えば、関節表面25B、ベース部14B、ドリルガイド穴26B、28B、30B、ハンドル12B、カンチレバーバネ部材16B、及び骨把持部材18は、図7に示される位置から枢動軸58Bを中心として、図8に示されるものまで、並びに他の位置まで、関節表面25Bの向きが最適化されるまで、枢動されてもよい。試験用の関節表面25Bのこの最適化は、ドリルガイド穴26B、28B、30Bの向きの最適化となり、これによって、実装ペグ、及び膝蓋インプラント構成要素の関節表面は試験プロセスを通じて決定されるように最適に方向付けられる。
【0050】
同様な利点は、図9に例示される第4の代替の実施形態に提供される。図9の実施形態のクランプしているドリルガイド10Cにおいて、カンチレバーバネ部材16Cの自由端40Cにおける骨把持部材18は、軸受台80と、軸受台80から外側に、ベース部14Cの膝蓋骨に面する表面24Cに向かって延在する複数の円錐形のスパイク82と、を含む。この実施形態では、軸受台は、カンチレバーバネ部材16Cの自由端40Cに対して固定されないが、相補スピンドル84及び凹部86を通じてそこに回転可能に実装され、この付近に、関節表面関節表面25C、ベース部14C、ドリルガイド穴26C、28C、30C、ハンドル12C、及びカンチレバーバネ部材16Cが全て、枢動軸58Cを中心として全て枢動、すなわち回転する。
【0051】
図6〜9の実施形態では、ベース部14B、14C、及び最上の関節表面25B、25Cは、アセンブリを画定するのに接続される、別個の独立した構成要素である。図示されていないが、任意の好適な接続機構が使用されて、これらの構成要素(例えばスナップ嵌め構成のための相補凸部及び凹部)を組み立てることができるということが理解される必要がある。異なる寸法又は形状の関節表面が同じベース部14B、14C上で試験され得るように、外科医が、関節上面25B、25Cを画定する膝蓋試験用部分を手術中に変更できるようにすることが望ましい場合がある。外科医はまた、膝蓋ドリルガイドを通じてドリルで穴を開ける前に、関節上面を画定する前に試験品と取り除くことを好む場合がある。膝蓋骨に面する表面24B、24Cから関節上面25B、25Cへのベース部14B、14Cは、代わりに単一の一体化した、すなわち一体型構成要素を含んでもよい。
【0052】
図10の実施形態では、クランプする膝蓋ドリルガイド10Dは、ヒンジ94によって接続される2つのアーム部90、92を含む。カンチレバーバネ部材16Dの一方の端部は、1つのアーム92に固定され、カンチレバーバネ部材16Dの他方の部分は、他方のアーム90の一部分を支え、骨把持部材18Dを、膝蓋骨に面する表面24に向かって付勢する。この実施形態では、カンチレバーバネ部材16は、アーム90、92の端部を一緒に絞ることによって曲げられ、これによって、膝蓋骨に面する表面24Dから外に骨把持部材18Dを枢動する。
【0053】
使用時に、外科医はまず、膝蓋の後方表面を切除して、平坦な平面状の表面、例えば膝蓋44、44B、44C、44Eの表面46、46B、46C、46Eなどを作ることによって膝蓋を準備する。第1の例示の実施形態及び実施形態A〜C、及びEにおいて、外科医は次いで、クランプしている膝蓋ドリルガイド(例えばクランプしているドリルガイド10、10A、10B、10C、10E)選択し、膝蓋骨に面する表面24、24A、24B、24C、24Eを切除された後方表面46、46B、46C、46Eに対して配置し、一方で、フランジ54、54B、54C(図11及び12に図示されない)を押しつけてカンチレバーバネ部材16、16B、16C、16Eを曲げ、これによって、自由端40、40B、40C、40Eは、膝蓋の厚さが膝蓋骨に面する表面24、24B、24C、24Eと、カンチレバーバネ部材16、16B、16C、16E上の骨把持部材18、18B、18C、18Eとの間でフィットすることができるように屈折される。フランジ54、54B、54Cを次いで解放することができる。いったんフランジが解放されると、カンチレバーバネ部材16、16B、16C、16Eのバネ作用は、骨把持部材18、18B、18C、18Eを、膝蓋骨に面する表面24、24B、24C、24Eに向かって駆動し、膝蓋をこれらの要素18、18B、18C、18E、24、24B、24C、24Eの間(並びに、図6〜8及び11〜12の実施形態におけるスパイク67及び74)でクランプする。
【0054】
図10の第5の例示の実施形態を使用する際に、外科医は、ハンドル90、92の端部上を押し、骨把持部材18D及び膝蓋骨に面する表面24Dを分離し、これによってカンチレバーバネ部材16Dを曲げる。骨に面する表面28Dは、膝蓋の切除された後方表面及び解放されたハンドル上に配置されてもよく、これによってカンチレバーバネ部材16Dのバネ作用は、要素18D、24Dの間で膝蓋をクランプしながら、骨把持部材18Dを、それが膝蓋の前方表面に係合するまで膝蓋骨に面する表面24Dに向かって駆動させる。
【0055】
所望される場合、外科医は次いで、外科医がドリルガイド穴26、26A、26B、26C、26D、28、28A、28B、28C、28D、30、30A、30B、30C、30D、26E、28E、30Eの向きに満足するまで、ベース部14、14A、14B、14C、14D、14Eを枢動軸58、58B、58C、58D、58Eを中心として枢動させてもよい。この枢動作用は、ハンドル12、12B、12C(図11及び12に示されない)又はアーム90、92によって達成されてもよい。外科医は次いで一方の手でハンドル12、12A、12B、12C又はアーム部90、92を一方の手で保持することができ(これによって、膝蓋及びドリルガイドの両方を1つの手で保持する)、その自由な手を膝蓋に穴をドリルで開けるために使用する。したがって、一人の人間が膝蓋を安定させ、ドリルガイドを保持し、ドリルで穴を開けることができる。膝蓋への各穴の深さは、ドリルビットがカラー(例えば図4に示されるカラー38)を有する場合、設定され得る。
【0056】
穴がドリルで開けられたとき、クランプ力は、フランジ54、54B、54Cを押すことによって、又はアーム90、92を絞って、カンチレバーバネ部材16、16B、16C、16D、16Eを曲げ、骨把持部材18、18B、18C、18D、18Eを膝蓋44、44A、44B、44C、44Eの前方表面48、48B、48C(図11及び12には示さず)から外へ偏向させる。膝蓋インプラント構成要素は、ドリルで開けられた穴内に受容されるこの実装ペグを用いて、かつ、大腿骨インプラント構成要素と正しい追随のために最適化されたその向きでインプラントされてもよい。
【0057】
例示された実施形態の全ては、外科用器具の分野において使用される標準的なポリマー又は金属材料で作製することができ、そのような材料の異なるアセンブリを含み得る。従来の製造プロセスが使用され得る。本発明は、特許請求の範囲において明示的に指定されない限り、いずれかの特定の材料又は製造プロセスに限定されない。
【0058】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変は全て保護されることが望ましい点は理解されるであろう。他の機構、例えばRaymond E.Randle、Martin W.Roche及びAbraham P.Wrightにより出願された米国特許仮出願第61/540053号、表題「Patella Drilling System」(代理人番号DEP6429USPSP)に開示されている機構などが本発明に組み込まれ得る。その特許出願の完全な開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
本開示は、本明細書において述べた方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく多くの利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした特徴の利点の少なくとも一部から利益を享受するものであることに留意されよう。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、「特許請求の範囲」において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に実施することが容易に可能であろう。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 切除された膝蓋骨面を準備して人工膝蓋インプラントを受容するのに使用する、膝蓋ドリルガイドであって、前記膝蓋ドリルガイドは、
ハンドルと、
前記ハンドルから、平坦な膝蓋骨に面する表面を有する自由端まで延在する、ベース部と、
前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、ドリルガイド穴と、
前記ハンドルに固定された1つの端部と、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と位置合わせされた反対側の自由端と、を有する、カンチレバーバネ部材と、
前記カンチレバーバネ部材の前記自由端にある骨把持部材であって、前記カンチレバーバネ部材から、前記ベース部の前記平坦な膝蓋骨に面する表面に向かって外側に延在する部分を有する、骨把持部材と、
前記ハンドルに接続され、かつ前記2つの端部の間で前記カンチレバーバネ部材の一部分を係合する、偏向板と、を含み、
前記カンチレバーバネ部材は弛緩した位置を有し、前記弛緩した位置では、前記骨把持部材と前記平坦な膝蓋骨に面する表面との間に第1距離が存在し、
前記カンチレバーバネ部材は、撓んだ位置を有し、前記撓んだ位置では、前記骨把持部材は、前記平坦な膝蓋骨に面する表面から離れた第2距離だけ離間されており、
前記第2距離は、前記第1距離よりも大きく、
前記偏向板の作動は、前記カンチレバーバネ部材の前記骨把持部材を前記弛緩した位置から前記撓んだ位置まで移動させる、膝蓋ドリルガイド。
(2) 前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数のドリルガイド穴が存在する、実施態様1に記載の膝蓋ドリルガイド。
(3) 前記ベース部が、その周辺の一部の周囲に縁部を有し、この縁部は、複数の離間された凹部を含む、実施態様1に記載の膝蓋ドリルガイド。
(4) 前記ベース部が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側の上面を有し、前記上面は、前記離間された凹部に隣接する寸法表示を含む、実施態様3に記載の膝蓋ドリルガイド。
(5) 前記ベース部が、前記上面と前記平坦な膝蓋骨に面する表面との間の厚さを有し、
前記ドリルガイド穴に隣接する前記ベース部の前記厚さは、前記離間した凹部に隣接する前記ベース部の厚さよりも大きい、実施態様4に記載の膝蓋ドリルガイド。
(6) 前記平坦な膝蓋骨に面する表面とは反対側であり、かつこれから離間される試験用関節表面を更に含み、前記試験用関節表面は湾曲した輪郭を有する、実施態様1に記載の膝蓋ドリルガイド。
(7) 前記試験用関節表面から前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数の離間したドリルガイド穴が存在する、実施態様6に記載の膝蓋ドリルガイド。
(8) 前記膝蓋ドリルガイドが膝蓋上に実装されたとき、前記膝蓋ドリルガイドは、前記骨把持部材及び前記ベース部を通じて延在する軸を中心として、前記膝蓋に対して回転可能である、実施態様6に記載の膝蓋ドリルガイド。
(9) 前記回転の軸が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面の平面に実質的に垂直であり、前記ドリルガイド穴の中心長手方向軸に実質的に平行である、実施態様8に記載の膝蓋ドリルガイド。
(10) 前記ベース部と共に組み立てられる骨把持構成要素を更に含み、前記ベース部は、前記骨把持構成要素に対して回転可能である、実施態様9に記載の膝蓋ドリルガイド。
【0061】
(11) 前記ベース部上の前記骨把持構成要素が複数のスパイクを含む、実施態様10に記載の膝蓋ドリルガイド。
(12) 前記カンチレバーバネ部材の前記自由端における前記骨把持部材が、複数のスパイクを含む、実施態様11に記載の膝蓋ドリルガイド。
(13) 前記試験用関節表面及び前記平坦な膝蓋骨に面する表面が、前記膝蓋ドリルガイドと試験品の組み合わせを画定するように組み立てられた別個の構成要素を含む、実施態様6に記載の膝蓋ドリルガイド。
(14) 前記カンチレバーバネ部材の前記自由端における前記骨把持部材は、軸受台、及び該軸受台から外側に延在する複数のスパイクを含み、
前記カンチレバーバネ部材は、前記ハンドル、前記ベース部の前記自由端、及び前記カンチレバーバネ部材が、前記骨把持部材に対して枢動可能であるように、前記骨把持部材に枢動可能に接続される、実施態様1に記載の膝蓋ドリルガイド。
(15) 前記ベース部が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側で、かつこれから離間される上面を有し、
前記上面は、湾曲した輪郭を有する試験用関節表面を含み、
前記ドリルガイド穴は、前記試験用関節表面から前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、実施態様14に記載の膝蓋ドリルガイド。
(16) 前記試験用関節表面から前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数の離間したドリルガイド穴が存在する、実施態様15に記載の膝蓋ドリルガイド。
(17) 前記第1距離がゼロより大きい、実施態様1に記載の膝蓋ドリルガイド。
(18) 前記第1距離がゼロである、実施態様1に記載の膝蓋ドリルガイド。
(19) 切除された膝蓋骨面を準備して人工膝蓋インプラントを受容するのに使用する、膝蓋ドリルガイドであって、前記膝蓋ドリルガイドは、
平坦な膝蓋骨に面する表面を有するベース部と、
前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、ドリルガイド穴と、
バネ部材と、
前記ベース部の前記平坦な膝蓋骨に面する表面の方を向く、骨把持部材と、を含み、
前記バネ部材は、前記骨把持部材及び前記平坦な膝蓋骨に面する表面のうちの少なくとも1つを一方向に付勢し、
前記バネ部材を曲げることは、前記付勢された要素を別の方向に移動させる、膝蓋ドリルガイド。
(20) 前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数のドリルガイド穴が存在する、実施態様19に記載の膝蓋ドリルガイド。
【0062】
(21) 前記ベース部が、その周辺の一部の周囲に縁部を有し、この縁部は、複数の離間された凹部を含む、実施態様19に記載の膝蓋ドリルガイド。
(22) 前記ベース部が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側の上面を有し、前記上面は、前記離間された凹部に隣接する寸法表示を含む、実施態様21に記載の膝蓋ドリルガイド。
(23) 前記ベース部が、前記上面と前記平坦な膝蓋骨に面する表面との間の厚さを有し、
前記ドリルガイド穴に隣接する前記ベース部の前記厚さは、前記離間した凹部に隣接する前記ベース部の厚さよりも大きい、実施態様22に記載の膝蓋ドリルガイド。
(24) 前記バネ部材がカンチレバーバネを含む、実施態様19に記載の膝蓋ドリルガイド。
(25) 前記ベース部から端部まで外側に延在する第1アーム、及び前記骨把持部材から端部まで外側に延在する第2アームを含み、
前記第1アーム及び前記第2アームはヒンジによって接続され、
前記カンチレバーバネ部材は、前記アームのうちの1つに固定された1つの端部を有し、前記カンチレバーバネ部材の他の部分は、他方のアームの一部分に位置し、前記骨把持部材を、前記平坦な膝蓋骨に面する表面に向かって付勢し、
前記カンチレバーバネ部材は、前記2つのアームの前記端部を一緒に絞ることにより曲げられる、実施態様24に記載の膝蓋ドリルガイド。
(26) 前記膝蓋ドリルガイドが、ハンドル及び偏向板を更に含み、
前記カンチレバーバネ部材が、前記ハンドルに実装された1つの端部、及び反対側の自由端を有し、
前記骨把持部材が前記カンチレバーバネ部材の前記自由端にあり、
前記偏向板は、前記ハンドルに接続され、かつ前記2つの端部の間で前記カンチレバーバネ部材の一部分を係合し、
前記偏向板の作動が、前記カンチレバーバネ部材を曲げ、前記骨把持部材を、前記膝蓋骨に面する表面から離して移動させる、実施態様24に記載の膝蓋ドリルガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切除された膝蓋骨面を準備して人工膝蓋インプラントを受容するのに使用する、膝蓋ドリルガイドであって、前記膝蓋ドリルガイドは、
ハンドルと、
前記ハンドルから、平坦な膝蓋骨に面する表面を有する自由端まで延在する、ベース部と、
前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、ドリルガイド穴と、
前記ハンドルに固定された1つの端部と、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と位置合わせされた反対側の自由端と、を有する、カンチレバーバネ部材と、
前記カンチレバーバネ部材の前記自由端にある骨把持部材であって、前記カンチレバーバネ部材から、前記ベース部の前記平坦な膝蓋骨に面する表面に向かって外側に延在する部分を有する、骨把持部材と、
前記ハンドルに接続され、かつ前記2つの端部の間で前記カンチレバーバネ部材の一部分を係合する、偏向板と、を含み、
前記カンチレバーバネ部材は弛緩した位置を有し、前記弛緩した位置では、前記骨把持部材と前記平坦な膝蓋骨に面する表面との間に第1距離が存在し、
前記カンチレバーバネ部材は、撓んだ位置を有し、前記撓んだ位置では、前記骨把持部材は、前記平坦な膝蓋骨に面する表面から離れた第2距離だけ離間されており、
前記第2距離は、前記第1距離よりも大きく、
前記偏向板の作動は、前記カンチレバーバネ部材の前記骨把持部材を前記弛緩した位置から前記撓んだ位置まで移動させる、膝蓋ドリルガイド。
【請求項2】
前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数のドリルガイド穴が存在する、請求項1に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項3】
前記ベース部が、その周辺の一部の周囲に縁部を有し、この縁部は、複数の離間された凹部を含む、請求項1に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項4】
前記ベース部が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側の上面を有し、前記上面は、前記離間された凹部に隣接する寸法表示を含む、請求項3に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項5】
前記ベース部が、前記上面と前記平坦な膝蓋骨に面する表面との間の厚さを有し、
前記ドリルガイド穴に隣接する前記ベース部の前記厚さは、前記離間した凹部に隣接する前記ベース部の厚さよりも大きい、請求項4に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項6】
前記平坦な膝蓋骨に面する表面とは反対側であり、かつこれから離間される試験用関節表面を更に含み、前記試験用関節表面は湾曲した輪郭を有する、請求項1に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項7】
前記試験用関節表面から前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数の離間したドリルガイド穴が存在する、請求項6に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項8】
前記膝蓋ドリルガイドが膝蓋上に実装されたとき、前記膝蓋ドリルガイドは、前記骨把持部材及び前記ベース部を通じて延在する軸を中心として、前記膝蓋に対して回転可能である、請求項6に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項9】
前記回転の軸が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面の平面に実質的に垂直であり、前記ドリルガイド穴の中心長手方向軸に実質的に平行である、請求項8に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項10】
前記ベース部と共に組み立てられる骨把持構成要素を更に含み、前記ベース部は、前記骨把持構成要素に対して回転可能である、請求項9に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項11】
前記ベース部上の前記骨把持構成要素が複数のスパイクを含む、請求項10に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項12】
前記カンチレバーバネ部材の前記自由端における前記骨把持部材が、複数のスパイクを含む、請求項11に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項13】
前記試験用関節表面及び前記平坦な膝蓋骨に面する表面が、前記膝蓋ドリルガイドと試験品の組み合わせを画定するように組み立てられた別個の構成要素を含む、請求項6に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項14】
前記カンチレバーバネ部材の前記自由端における前記骨把持部材は、軸受台、及び該軸受台から外側に延在する複数のスパイクを含み、
前記カンチレバーバネ部材は、前記ハンドル、前記ベース部の前記自由端、及び前記カンチレバーバネ部材が、前記骨把持部材に対して枢動可能であるように、前記骨把持部材に枢動可能に接続される、請求項1に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項15】
前記ベース部が、前記平坦な膝蓋骨に面する表面と反対側で、かつこれから離間される上面を有し、
前記上面は、湾曲した輪郭を有する試験用関節表面を含み、
前記ドリルガイド穴は、前記試験用関節表面から前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、請求項14に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項16】
前記試験用関節表面から前記ベース部を通じて、前記平坦な膝蓋骨に面する表面まで、かつこれを通じて延在する、複数の離間したドリルガイド穴が存在する、請求項15に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項17】
前記第1距離がゼロより大きい、請求項1に記載の膝蓋ドリルガイド。
【請求項18】
前記第1距離がゼロである、請求項1に記載の膝蓋ドリルガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−71011(P2013−71011A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−213826(P2012−213826)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】