説明

膠原病診断方法

【課題】高い精度で早期に診断でき、例えば末梢血などの、サイトカインの含有量が微量な検体でも診断可能な、膠原病診断方法を提供すること。
【解決手段】(a)採取された末梢血に含まれるTh17と、Th1及びTh2の少なくとも1つとを刺激する工程と、(b)刺激された前記Th17と、Th1及びTh2の少なくとも1つとにより産生されるサイトカインの発現量として、前記サイトカインのmRNAレベルの発現量を測定する工程と、(c)測定された前記Th17により産生されるサイトカインの発現量と、測定された前記Th1及びTh2の少なくとも1つにより産生されるサイトカインの発現量との比率を算出し、前記比率を指標として膠原病であるか否かを診断する工程と、を含むことを特徴とする膠原病診断方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、ベーチェット病、全身性硬化症(強皮症)、皮膚筋炎、結節性動脈周囲炎などの膠原病及び膠原病類縁疾患を診断する膠原病診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膠原病及び膠原病類縁疾患(以下、「膠原病」には膠原病類縁疾患も含むものとする。)は、全身の血管結合組織に炎症性病変が現れる自己免疫疾患であり、例えば、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、混合性結合組織病(MCTD)、ベーチェット病、全身性硬化症(強皮症)、皮膚筋炎、結節性動脈周囲炎などが挙げられる。
【0003】
前記関節リウマチは、末梢関節に対称的に炎症を起こし、骨や軟骨などの関節構造に進行性の破壊を生じる疾患であり、通常は全身症状を伴う。
関節リウマチの治療法としては、従来では鎮痛薬など効果の穏やかな薬が優先して用いられていたが、近年になって一般的な治療方針が大きく転換し、関節の破壊を遅らせるために、早い段階から抗リウマチ薬などの効果の強い薬が積極的に用いられるようになった。また、最近では、前記抗リウマチ薬よりも効果の高い薬として、モノクローナル抗体や、サイトカイン受容体と抗体とのキメラタンパクなどからなる生物製剤が用いられている。
【0004】
また、前記全身性エリテマトーデスは、慢性、多臓器性、自己免疫性病因の可能性の高い炎症性疾患であり、主に若い女性に発病する。
全身性エリテマトーデスは、かつては原因不明の難病であって、生存率の低い疾患であったが、副腎皮質ステロイドが治療に利用されるようになって症状の進行を抑制できるようになり、生存率も飛躍的に高まった。
【0005】
このように、膠原病の治療においては、できるだけ早期に診断を確定し、早期に治療を開始することが重要である。さらに、前記抗リウマチ薬や副腎皮質ステロイドのような膠原病の治療薬は、比較的副作用が強いことが知られている。したがって、早期に診断できる上に、高い精度で診断可能な膠原病診断方法が、望まれているのが現状である。
【0006】
一方、獲得免疫の中心的役割を担うヘルパーT細胞(Th)は、産生するサイトカインの違いなどから、細胞性免疫を促進するTh1(タイプ1ヘルパーT細胞)と液性免疫を促進するTh2(タイプ2ヘルパーT細胞)とに分類される。従来から、Th1/Th2バランスの異常は様々な免疫関連疾患の発症に関与すると考えられている。例えば、Th1細胞へのバランス偏向は、臓器特異的自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、I型糖尿病など)に関与すると考えられており、また、Th2細胞へのバランス偏向は、全身性自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス)に関与すると考えられている。しかしながら、Th1/Th2バランスという概念では、免疫関連疾患の発症を説明できないことも多く、臨床の現場では利用されていない。
【0007】
近年、複数の論文により、新たなThサブセットであるTh17が報告された(例えば、非特許文献1〜3参照)。この細胞はもっぱらIL−17を産生することにより、自己免疫性炎症の増悪に関与している。
ここで、前記膠原病を診断する方法として、採血した血液又は関節液中のインターロイキン−17(IL−17)の含量を測定してその数値により慢性関節リウマチ疾病を診断する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、通常、IL−17などのサイトカインは、関節液中には豊富に存在するが、血液中には微量しか含まれていないことが知られている。前記特許文献1に開示される方法では、関節液中のIL−17を測定することはできても、血液中のIL−17を定量することは困難であるという問題があった。
さらに、前記特許文献1に開示される方法により診断可能な膠原病は、関節リウマチ(RA)のみであって、例えば全身性エリテマトーデスやベーチェット病などの他の膠原病については、診断方法が提供されていないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2000−186046号公報
【非特許文献1】Harrington et al.Nature Immunology,2005 Nov;6(11):1123−32
【非特許文献2】Park et al.Nature Immunology,2005 Nov;6(11):1133−41
【非特許文献3】Sato et al.Journal of Experimental Medicine,2006 Nov 27;203(12):2673−82
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い精度で早期に診断でき、例えば末梢血などの、サイトカインの含有量が微量な検体でも診断可能な、膠原病診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、膠原病患者及び健常者から採取された末梢血由来の単核球(Th1、2、17を含む)を刺激し、刺激されたTh1、2、17がそれぞれ産生するIFN−γ、IL−4及びIL−17の発現量を測定し、IL−17/IFN−γや、IL−17/IL−4といった比率を算出して、膠原病患者と健常者との比率を比較したところ、膠原病患者の比率では特有の傾向が示された、という知見である。
【0011】
前記したように、採取した血液又は関節液中のIL−17の含量を測定してその数値により関節リウマチ(RA)を診断する方法が開示されている。
しかしながら、末梢血中のサイトカインを直接測定するのではなく、末梢血中の単核球(Th1、2、17を含む)を刺激した後に、前記Th1、2、17がそれぞれ産生するサイトカインの発現量を測定することで、初めて末梢血を検体とした膠原病の診断が可能となること、及び、Th17やその産物であるIL−17のみを指標とするのではなく、Th17を含むThサブセット間の比率(例えば、IL−17/IFN−γ、IL−17/IL−4など)を指標とすることで、初めて高い精度で膠原病の診断が可能となることは従来全く知られておらず、本発明者らの新たな知見である。
【0012】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (a)採取された末梢血に含まれるTh17と、Th1及びTh2の少なくとも1つとを刺激する工程と、
(b)刺激された前記Th17と、Th1及びTh2の少なくとも1つとにより産生されるサイトカインの発現量として、前記サイトカインのmRNAレベルの発現量を測定する工程と、
(c)前記Th17により産生されるサイトカインの発現量と、前記Th1及びTh2の少なくとも1つにより産生されるサイトカインの発現量との比率を算出し、前記比率を指標として膠原病であるか否かを診断する工程と、
を含むことを特徴とする膠原病診断方法である。
<2> mRNAレベルの発現量の測定が、定量RT−PCRにより行われる<1>に記載の方法である。
<3> Th1により産生されるサイトカインとして、IFN−γの発現量を測定する<1>から<2>のいずれかに記載の方法である。
<4>(a)採取された末梢血に含まれるTh17とTh2とを刺激する工程と、
(b)刺激された前記Th17とTh2とにより産生されるサイトカインの発現量として、前記サイトカインのタンパクレベルの発現量を測定する工程と、
(c)前記Th17により産生されるサイトカインの発現量と、前記Th2により産生されるサイトカインの発現量との比率を算出し、前記比率を指標として膠原病であるか否かを診断する工程と、
を含むことを特徴とする膠原病診断方法である。
<5> Th17により産生されるサイトカインとして、IL−17の発現量を測定する<1>から<4>のいずれかに記載の方法である。
<6> Th2により産生されるサイトカインとして、IL−4の発現量を測定する<1>から<5>のいずれかに記載の方法である。
<7> (a)工程において、末梢血から分取された単核球画分を刺激する<1>から<6>のいずれかに記載の方法である。
<8> 比重遠心法により単核球画分が分取される請求項7に記載の方法。
<9> 刺激が、酢酸ミリスチン酸ホルボール及びイオノマイシンを添加することにより行われる<1>から<8>のいずれかに記載の方法である。
<10> 膠原病が、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデスのうちいずれかである<1>から<9>のいずれかに記載の方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、高い精度で早期に診断でき、例えば末梢血などの、サイトカインの含有量が微量な検体でも診断可能な、膠原病診断方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(膠原病診断方法)
本発明の膠原病診断方法は、下記工程(a)乃至(c)を含んでなり、必要に応じてその他の工程を含む。
なお、下記工程(a)乃至(c)は、少なくとも被検者から採取された末梢血を検体として行われ、更に必要に応じて健常者群や患者群から採取された末梢血を検体として行われる。
【0015】
<工程(a)>
前記診断方法においては、まず、採取された末梢血に含まれるTh17(タイプ17ヘルパーT細胞)と、Th1(タイプ1ヘルパーT細胞)及びTh2(タイプ2ヘルパーT細胞)の少なくとも1つとを刺激する(工程(a))。
【0016】
前記Th17とは、近年、複数の論文により、新たに報告されたTh(ヘルパーT細胞)サブセットである。Th17は、もっぱらサイトカインであるIL−17を産生することにより、膠原病のような自己免疫性疾患において、重要な役割を果たすことが知られている。
【0017】
前記Th1とは、Thサブセットの1つであり、細胞性免疫を促進することが知られている。また、前記Th1は、IFN(Interferon)−γ、TNF(Tumor Necrosis Factor)−αなどのサイトカインを産生することが知られている。
前記Th2とは、Thサブセットの1つであり、液性免疫を促進することが知られている。また、前記Th2は、IL−4、5、10、13などのサイトカインを産生することが知られている。
以下、前記「Th17と、Th1及びTh2の少なくとも1つと」を含む群を、適宜、「Th群」と称する。
【0018】
前記末梢血の採取方法としては、特に制限はなく、常法により採取することができ、例えば、静脈採血や動脈採血が挙げられる。また、前記末梢血が採取される部位としても、特に制限はなく、体のどの部位から採取された末梢血であっても好適に利用できる。
【0019】
−刺激−
前記工程(a)における「刺激」とは、前記Th群に刺激物質を接触させることにより、前記Th群が産生するサイトカインの発現量を増加させることを意味する。
【0020】
前記Th群に刺激物質を接触させる方法としては、特に制限はないが、通常、Th群を含む溶液に対して、刺激物質を含有する溶液を添加することで、前記Th群及び/又は前記刺激物質が溶液中を拡散してお互いを接触させることができる。
【0021】
前記刺激物質としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PMA(Phorbol 12−myristate 13−acetate、酢酸ミリスチン酸ホルボール)及びイオノマイシン(Ionomycin)の併用、コンカナバリン A(ConA)、フィトヘムアグルチニン(PHA)などの抗原非特異的な刺激物質;抗CD3抗体及び抗CD28抗体の併用などの抗原特異的な刺激物質が挙げられる。中でも、刺激が強力で、多量のサイトカインを産生させることができる点で、PMA及びイオノマイシンの併用が好ましい。前記刺激物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、Th1、2、17のそれぞれに対し、異なる刺激物質を添加してもよい。
【0022】
前記刺激物質の添加量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、例えばPMA及びイオノマイシンを併用する場合には、PMA及びイオノマイシンの終濃度として、それぞれ、12〜50ng/ml及び0.25〜1μg/mlが好ましく、25〜40ng/ml及び0.5〜1μg/mlがより好ましく、40ng/ml及び1μg/mlが特に好ましい。
前記PMA及びイオノマイシンの添加量が、それぞれ12ng/ml未満及び0.25μg/ml未満、あるいは、それぞれ50ng/mlを超過及び1μg/mlを超過する場合には、サイトカイン産生が低下する可能性がある。
【0023】
刺激される際のTh群の状態としては、後記する比率の算出に用いるThサブセット間での細胞数比が、末梢血中の細胞数比と変わらない限り、特に制限はなく、例えば、末梢血そのものに含有された状態であってもよく、末梢血から分取された画分に含有された状態であってもよい。ただし、末梢血から赤血球が除去されていない場合には、赤血球由来のタンパクやmRNAが混入し、正確な測定が阻害されるおそれが生じるため、前記末梢血から分取された画分に含有された状態が好ましい。さらに、これらに対して、例えば、培地や緩衝液などの、その他の成分が添加されていてもよい。
【0024】
前記末梢血から分取された画分としては、特に制限はなく、例えば、単核球画分、T細胞画分、Th群のみを単離された画分などが挙げられる。中でも、簡便に分取できる点で、単核球画分が好ましい。
前記単核球画分の分取方法としては、特に制限はなく、例えば、比重遠心法(フィコール・コンレイ比重遠心法など);低浸透圧の溶液中で赤血球を選択的に溶血させる方法;などが挙げられる。中でも、簡便に分取できる点で、比重遠心法が好ましい。
前記T細胞画分は、CD4陽性細胞及びCD8陽性細胞を含む。前記T細胞画分の分取方法としては、特に制限はなく、例えば、イムノビーズ(MACS、Dynaビーズなど)を利用して分取する方法が挙げられる。
前記Th群のみを単離された画分の分取方法としては、特に制限はなく、例えば、セルソーターを用いて単離する方法、イムノビーズを利用して単離する方法が挙げられる。
【0025】
また、必要に応じて、Th群及び刺激物質を充分に反応させるためのインキュベーション工程や攪拌工程など、その他の工程を含んでいてもよい。前記インキュベーション工程の諸条件、例えば、温度条件、時間条件、雰囲気条件などについては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、前記温度条件としては37℃が好ましく、前記時間条件としては、5時間が好ましく、前記雰囲気条件としては、5%炭酸ガスが好ましい。
【0026】
<工程(b)>
前記診断方法においては、次いで、刺激されたTh17と、Th1及びTh2の少なくとも1つと(Th群)により産生されるサイトカインの発現量を測定する(工程(b))。
【0027】
Th17により産生されるサイトカインのうち、発現量が測定されるサイトカインとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IL−17が挙げられる。
Th1により産生されるサイトカインのうち、発現量が測定されるサイトカインとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IFN−γ、TNF−αなどが挙げられる。中でも、Th1から産生されるサイトカインの中で最も代表的であり、知見が豊富に蓄積されている点で、IFN−γが好ましい。
Th2により産生されるサイトカインのうち、発現量が測定されるサイトカインとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IL−4、5、10、13などが挙げられる。中でも、Th1から産生されるサイトカインの中で最も代表的であり、知見が豊富に蓄積されている点で、IL−4が好ましい。
また、1種類のThサブセットにつき1種類のサイトカインの発現量を測定してもよく、2種類以上のサイトカインの発現量を測定してもよい。
【0028】
前記工程(b)におけるサイトカインの発現量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、例えば、前記サイトカインの遺伝子から転写されるmRNAの発現量(以下、「mRNAレベルの発現量」と称する)、又は、前記mRNAから翻訳されるタンパク質の発現量(以下、「タンパクレベルの発現量」と称する)が挙げられる。中でも、膠原病の診断に利用できるサイトカインの種類が多い点で、mRNAレベルの発現量が好ましい。
前記mRNAレベルの発現量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、RT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)法、定量RT−PCR法、マイクロアレイ法、RNaseプロテクションアッセイ法、ノーザンブロット法などが挙げられる。中でも、定量精度が高い点で、定量RT−PCR法が好ましい。
【0029】
前記定量RT−PCRとは、RT−PCRにおけるPCR反応を、定量リアルタイムPCRにより行うものである。前記定量RT−PCRの試薬、プライマーの塩基配列、反応条件としては、特に制限はなく、例えば、各種メーカより提供される定量RT―PCR用のキットやサーマルサイクラーで推奨されるものを好適に利用することができる。
【0030】
前記定量リアルタイムPCR法としては、例えば、TaqManプローブ法、サイクリングプローブ法、Molecular Beacon法、FRET法などが挙げられる。中でも、プローブ類を含み試薬類が手に入りやすく、多くの技術的積み重ねがあり問題点をクリアしやすく、対応可能なサーマルサイクラーが多くのメーカより発売されているなどの点で、TaqManプローブ法が好ましい。
【0031】
前記TaqManプローブ法では、増幅産物を検出するためのプローブとして、一端を蛍光物質で、他端を消光物質で修飾されたプローブを用いる。
そして、前記TaqManプローブ法は、増幅産物にハイブリダイズした前記プローブが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによって分解されたときに、蛍光物質が消光物質から遊離することで発する蛍光をリアルタイムで検出する方法である。
【0032】
前記サイクリングプローブ法は、増幅産物を検出するためのプローブとして、RNA塩基を含む核酸鎖において、一端を蛍光物質で、他端をクエンチャー物質で修飾されたプローブを用いる。
そして、前記サイクリングプローブ法は、増幅産物にハイブリダイズした前記プローブが反応液中に共存されたRNaseHによって分解されたときに、蛍光物質が消光物質から遊離することで発する蛍光をリアルタイムで検出する方法である。
【0033】
前記Molecular Beacon法は、増幅産物を検出するためのプローブとして、ヘアピン型二次構造をとりうるプローブにおいて、一端を蛍光物質で、他端をクエンチャー物質で修飾されたプローブを用いる。
そして、前記サイクリングプローブ法は、前記プローブが増幅産物にハイブリダイズすることでヘアピン型二次構造が解除されたときに、蛍光物質と消光物質との距離が離れることで発する蛍光をリアルタイムで検出する方法である。
【0034】
前記FRET法は、増幅産物を検出するためのプローブとして、一端を第一の蛍光物質で修飾され、他端を第二の蛍光物質で修飾されたプローブを用いる。なお、前記第二の蛍光物質は、前記第一の蛍光物質の蛍光波長により励起される性質を有する。
そして、前記FRET法は、第一の蛍光物質を励起させる励起光を照射して、第二の蛍光物質が発する蛍光をリアルタイムで検出する方法であって、増幅産物にハイブリダイズした前記プローブが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼによって分解されたときに、第一の蛍光物質が第二の蛍光物質から遊離することで、第二の蛍光物質が発する蛍光強度が低下することを指標とする。
【0035】
前記インターカレーター法では、PCRの反応液中に、二本鎖DNAに挿入されることで蛍光を発する蛍光物質(インターカレーター)が添加される。前記インターカレーターとしては、例えば、SYBR Green Iなどが挙げられる。
そして、前記インターカレーター法は、ポリメラーゼ反応によって合成された二本鎖DNA中にインターカレーターが挿入されることで発する蛍光をリアルタイムで検出する方法である。
【0036】
前記タンパクレベルの発現量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay、酵素免疫吸着測定)法、RIA(ラジオイムノアッセイ)法、ウェスタンブロット法、ドットブロット法などが挙げられる。中でも、検出感度が高い点で、ELISA法が好ましい。
【0037】
前記ELISA法とは、抗体を酵素などで標識し、抗体と結合する物質を検出する方法である。前記ELISA法としては、特に制限はなく、例えば、直接吸着法、サンドイッチ法、競合法などが挙げられる。前記ELISA法の試薬、抗体の結合部位、反応条件としては、特に制限はなく、例えば、各種メーカより提供されるELISA用のキットで推奨されるものを好適に利用することができる。
【0038】
<工程(c)>
前記診断方法においては、次いで、測定された前記Th17により産生されるサイトカインの発現量と、測定された前記Th1及びTh2の少なくとも1つにより産生されるサイトカインの発現量との比率を算出し、前記比率を指標として膠原病であるか否かを診断する(工程(c))。
前記「比率」とは、例えば、「Th17により産生されるサイトカインの発現量/Th1により産生されるサイトカインの発現量」、「Th17により産生されるサイトカインの発現量/Th2により産生されるサイトカインの発現量」などの式により算出することができる。また、例えば、前記「Th17により産生されるサイトカインの発現量/Th1により産生されるサイトカインの発現量」と「Th17により産生されるサイトカインの発現量/Th2により産生されるサイトカインの発現量」との平均なども、前記「比率」に含まれる。
さらに、前記工程(b)において、1つのThサブセットにつき、複数のサイトカインの発現量を測定した場合には、前記複数のサイトカインの発現量に基づいて各Th1、2、17により産生されるサイトカインの発現量を算出し、これらの値に基づいて前記比率を算出してもよい。
なお、Th17により産生されるIL−17の発現量のみを指標としても膠原病を診断することはできず、前記「比率」によって初めて膠原病を診断できることは、従来全く知られておらず、後記する実施例で示されるように、本発明者らの新たな知見である。
【0039】
前記膠原病であるか否かを診断する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、健常者群と比較して、被検者の比率が有意に異なる場合には、膠原病であると診断することができる。また、例えば、患者群と比較して、被検者の比率が同等であると判断される場合にも、膠原病であると診断することができる。ここで、前記健常者群及び患者群は、被検者の比較対象となるものであるから、末梢血の採取、Th群の刺激、比率の算出式などにおいて、同じ条件で行うことが好ましいことは言うまでもない。
なお、本発明者らにより、後記する実施例において、前記比率としての「Th17により産生されるサイトカインの発現量/Th1により産生されるサイトカインの発現量」や、「Th17により産生されるサイトカインの発現量/Th2により産生されるサイトカインの発現量」は、健常者よりも膠原病患者の方が高いことが示されている。
【0040】
<対象疾患>
本発明の診断方法は、高い精度で早期に診断でき、例えば末梢血などの、サイトカインの含有量が微量な検体でも診断可能であるので、膠原病及び膠原病類縁疾患の診断に好適に利用することができる。
前記膠原病及び膠原病類縁疾患としては、特に制限はなく、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、ベーチェット病、全身性硬化症(強皮症)、皮膚筋炎、結節性動脈周囲炎などが挙げられる。中でも、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデスが好ましく、全身性エリテマトーデスがより好ましい。
【0041】
診断対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、サルなどが挙げられる。
診断時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膠原病と診断されていない被検者に対して診断してもよく、既に臨床所見などで膠原病と診断された患者に対して確認のために診断してもよく、治療後の患者に対してその予後を調べるために診断してもよい。
【実施例】
【0042】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
実施例1は、刺激されたTh群が産生するサイトカインの発現量として、mRNAレベルの発現量を評価した実施例である。
なお、実施例1において、Th1が産生するサイトカインとしてIFN−γを、Th2が産生するサイトカインとしてIL−4を、Th17が産生するサイトカインとしてIL−17を、それぞれ評価した。
【0044】
<方法>
−末梢血の採取、単核球の分取−
測定対象は、関節リウマチ(RA)患者7人、全身性エリテマトーデス(SLE)患者4人、及び、健常者3人である。
まず、前記患者及び健常者から、静脈血(末梢血)を5mlヘパリン添加採血管に採取した。前記末梢血からの単核球の分取は、フィコール・コンレイ比重遠心法に従って行った。フィコール・コンレイ比重遠心法の具体的な手順は、以下の通りである。
【0045】
50mlの遠心管にフィコール・コンレイ溶液(比重1.077)を20ml入れた。そして、前記末梢血をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2倍に希釈した後に、前記フィコール・コンレイ溶液の上に、界面を崩さないように静かに重層した。400×gにて室温で30分間遠心後、中間層(単核球)を分取し、PBSにて3回洗浄した。前記単核球は、Th1、2、17を含む。
【0046】
−単核球の培養−
洗浄された前記単核球を、0.5mlの10%ウシ胎仔血清(FCS)添加RPMI−1640培地(Gibco社製)内で培養した。抗原非特異的に単核球を刺激するために、PMA及びイオノマイシン(いずれも、Invitrogen社製)を、終濃度がそれぞれ40ng/ml及び1μg/mlとなるように添加し、5時間培養した。
【0047】
−サイトカインmRNAの定量−
単核球培養後の培養液を1.5mlエッペンドルフチューブに移し、1,500回転/分(rpm)で1分間の遠心により上清とペレットとに分け、前記ペレットに含まれる単核球からRNAを精製した。前記RNAの精製は、RNAeasy(キアゲン社製)を用いて、キットに添付されているプロトコールに従って行った。
そして、精製したRNAを定量し、300ngを逆転写反応に用いた。前記逆転写反応は、緩衝液、MgCl,dNTP,Ologo dT,RNase阻害薬及び逆転写酵素の存在下(合計40μl)で、48℃で10分間反応させ、続いて95℃で5分間反応させることで行った。前記逆転写反応後のサンプルから1/10(v/v)を分取し、定量リアルタイムPCRに供した。
【0048】
定量リアルタイムPCRにおける反応液は、TaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステム社製)と、各サイトカインに対応したプライマー及びTaqManプローブのセット(human IFN−γ HS99999041,human IL−4HS00174122,human IL−17 HS00174383、いずれも(アプライドバイオシステム社製))とを用いて、添付されるプロトコールに従って調製した。また、定量リアルタイムPCRの反応乃至検出には、アプライドバイオシステム 7000 Sequence Detection Systemを用いた。反応条件としては、50℃で2分間、95℃で10分間処理した後、95℃で15秒、62度で1分間のサイクルを40サイクル行った。
これにより、刺激されたTh1、2、17がそれぞれ産生するIFN−γ、IL−4、IL−17のmRNAレベルの発現量が測定された。
なお、定量のための標準サンプルとしては、ヒトIFN−γ、IL−4、IL−17の各サイトカインのcDNAをTAクローニングベクターに組み込んだプラスミドを、段階希釈して用いた。また、GAPDH(グリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素)についても同様に発現量を測定し、前記IFN−γ、IL−4、IL−17の発現量を、GAPDHの発現量で補正した。GAPDHは、刺激の有無によらず恒常的に発現するため、一般に陽性対照として用いられる。
【0049】
<結果>
図1は、IL−17とIFN−γとのmRNAレベルの発現量の関係を示す散布図である。図1に示すように、健常者群は、IL−17が少なくIFN−γが多い領域(右下)に分布し、一方で、膠原病患者(特にSLE患者)は、IL−17が少なくIFN−γが多い領域(左上)に分布していた。即ち、刺激されたTh17及びTh1により産生されるIL−17及びIFN−γの比率により、膠原病が診断できることが示された。
一方、IL−17の発現量(縦軸)のみを指標としても、膠原病を区別することができないことが示唆された。
【0050】
図2は、IL−17とIL−4とのmRNAレベルの発現量の関係を示す散布図である。図2に示すように、健常者群は、IL−17が少なくIL−4が多い領域(右下)に分布し、一方で、膠原病患者(特にSLE患者)は、IL−17が少なくIL−4が多い領域(左上)に分布していた。即ち、刺激されたTh17及びTh2により産生されるIL−17及びIL−4の比率により、膠原病が診断できることが示された。
一方、IL−17の発現量(縦軸)のみを指標としても、膠原病を区別することができないことが示唆された。
【0051】
図3は、IFN−γとIL−4とのmRNAレベルの発現量の関係を示す散布図である。図3においては、図1及び図2と異なり、健常者と膠原病患者との分布に差が見られなかった。即ち、Th1とTh2との比率だけでは、膠原病が診断できないことが示され、従来のTh1/Th2バランスで免疫関連疾患を説明できるという仮説が、有効ではないことが示された。
【0052】
ここで、IL−17とIFN−γとのmRNAレベルの発現量の関係(図1参照)と、IL−17とIL−4とのmRNAレベルの発現量の関係(図2参照)とを比較し、いずれの指標が、膠原病患者の診断により有効であるかを検討した。
【0053】
図4は、IL−17とIFN−γとのmRNAレベルの発現量の比率(IL−17/IFN−γ)を示す図である。図4に示すように、IL−17/IFN−γでは、値を0.0015(区画線1)で区切ることにより、感度90%(RAでは83%,SLEでは100%)、特異度100%を得た。
【0054】
図5は、IL−17とIL−4とのmRNAレベルの発現量の比率(IL−17/IL−4)を示す図である。図5に示すように、IL−17/IL−4でも、値を0.15(区画線2)で区切ることにより、全く同じ感度・特異度を得た。さらに、図5においては、区切る値を0.15−0.18の間で動かしても、同じ感度・特異度を得ることができた。
【0055】
即ち、図5に示すIL−17/IL−4は、図4に示すIL−17/IFN−γと感度・特異度が同じで、そのうえで、安全域が広い。したがって、IL−17/IL−4(図5参照)を指標とする方が、膠原病の診断に対して、より有効であると考えられる。
【0056】
(実施例2)
実施例2は、刺激されたTh群が産生するサイトカインの発現量として、タンパクレベルの発現量を評価した実施例である。
なお、実施例2において、実施例1と同様に、Th1が産生するサイトカインとしてIFN−γを、Th2が産生するサイトカインとしてIL−4を、Th17が産生するサイトカインとしてIL−17を、それぞれ評価した。
【0057】
<方法>
測定対象は、関節リウマチ(RA)患者15人、全身性エリテマトーデス(SLE)患者4人、混合性結合組織病(MCTD)患者1人、ベーチェット病患者5人、及び、健常者6人である。
そして、実施例1と同様に、末梢血の採取、単核球の分取、単核球の培養を行った。
【0058】
−サイトカインタンパクの定量−
単核球培養後の培養液を1.5mlエッペンドルフチューブに移し、5,000回転/分(rpm)で1分間の遠心を行い上清とペレットに分けた。
前記培養上清中のサイトカイン(IFN−γ,IL−4,IL−17)の量を、ELISA法により測定した。前記サイトカイン量の測定としては、Peprotec社製のELISAキットを用い、キットに添付されているプロトコールに従って行った。
【0059】
<結果>
図6は、IL−17とIFN−γとのタンパクレベルの発現量の関係を示す散布図である。図6においては、健常者と膠原病患者との分布に差が見られなかった。即ち、IL−17とIFN−γとの比率を指標として膠原病を診断する場合には、タンパクレベルの発現量(図6参照)を評価するよりも、mRNAレベルの発現量(図1参照)を評価する方が、好適であることが示された。
【0060】
図7は、IL−17とIL−4とのタンパクレベルの発現量の関係を示す散布図である。図7に示すように、健常者群は、IL−17が少なくIL−4が多い領域(右下)に分布し、一方で、膠原病患者(特にSLE患者)は、IL−17が少なくIL−4が多い領域(左上)に分布していた。ここで、x軸、y軸をそれぞれIL−17,IL−4の値とし、y>1.7xという簡単な式を考えると、SLE患者は全員がその領域に入り、健常者は1人も入らない。即ち感度、特異度共100%となる。RAにおいては前記領域に12人が含まれ、3人がy<1.7xとなるため感度は80%,特異度100%となる。ベーチェット病でも領域に4人入り、1人が入らないため感度80%,特異度100%となる。即ち、図2と同様に、刺激されたTh17及びTh2により産生されるIL−17及びIL−4の比率により、膠原病が診断できることが示された。
一方、IL−17の発現量(縦軸)のみを指標としても、膠原病を区別することができないことが示唆された。
【0061】
図8は、IFN−γとIL−4とのタンパクレベルの発現量の関係を示す散布図である。図8に示すように、健常者と膠原病患者との分布に差が見られなかった。即ち、図3と同様に、Th1とTh2との比率だけでは、膠原病が診断できないことが示され、従来のTh1/Th2バランスで免疫関連疾患を説明できるという仮説が、有効ではないことが示された。
【0062】
本実施例(実施例1、実施例2)の結果によれば、タンパクレベルの発現量、mRNAレベルの発現量いずれにおいても、IL−17とIL−4との比率(Th17により産生されるサイトカインとTh2により産生されるサイトカインとの比率に対応)が、健常者と膠原病患者(特にSLE患者)とを区別する際に有用であることが示された。また、mRNAレベルの発現量においては、IL−17とIFN−γとの比率(Th17により産生されるサイトカインとTh1により産生されるサイトカインとの比率に対応)が、健常者と膠原病患者(特にSLE患者)とを区別する際に有用であることが示された。
一方で、図1、図2及び図7に示すように、IL−17の発現量(縦軸)のみを指標としても、膠原病を区別することはできない。
これまで末梢血由来のサイトカインを定量する方法が一般化されていなかったためこれらの比率を測定することは困難であったが、単核球画分に含まれるTh群を刺激することによって測定が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の膠原病診断方法は、高い精度で早期に診断でき、例えば末梢血などの、サイトカインの含有量が微量な検体でも診断可能なので、例えば、膠原病の診断キットとして好適に利用することができる。また、前記膠原病診断方法は、膠原病の発症や治療に関する研究や、膠原病の治療薬のスクリーニングに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、実施例1における、IL−17とIFN−γとのmRNAレベルの発現量の関係を示す散布図である。
【図2】図2は、実施例1における、IL−17とIL−4とのmRNAレベルの発現量の関係を示す散布図である。
【図3】図3は、実施例1における、IFN−γとIL−4とのmRNAレベルの発現量の関係を示す散布図である。
【図4】図4は、実施例1における、IL−17とIFN−γとのmRNAレベルの発現量の比率(IL−17/IFN−γ)を示す図である。
【図5】図5は、実施例1における、IL−17とIL−4とのmRNAレベルの発現量の比率(IL−17/IL−4)を示す図である。
【図6】図6は、実施例2における、IL−17とIFN−γとのタンパクレベルの発現量の関係を示す散布図である。
【図7】図7は、実施例2における、IL−17とIL−4とのタンパクレベルの発現量の関係を示す散布図である。
【図8】図8は、実施例2における、IFN−γIL−4とのタンパクレベルの発現量の関係を示す散布図である。
【符号の説明】
【0065】
1 区画線
2 区画線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)採取された末梢血に含まれるTh17と、Th1及びTh2の少なくとも1つとを刺激する工程と、
(b)刺激された前記Th17と、Th1及びTh2の少なくとも1つとにより産生されるサイトカインの発現量として、前記サイトカインのmRNAレベルの発現量を測定する工程と、
(c)前記Th17により産生されるサイトカインの発現量と、前記Th1及びTh2の少なくとも1つにより産生されるサイトカインの発現量との比率を算出し、前記比率を指標として膠原病であるか否かを診断する工程と、
を含むことを特徴とする膠原病診断方法。
【請求項2】
mRNAレベルの発現量の測定が、定量RT−PCRにより行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Th1により産生されるサイトカインとして、IFN−γの発現量を測定する請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
(a)採取された末梢血に含まれるTh17とTh2とを刺激する工程と、
(b)刺激された前記Th17とTh2とにより産生されるサイトカインの発現量として、前記サイトカインのタンパクレベルの発現量を測定する工程と、
(c)前記Th17により産生されるサイトカインの発現量と、前記Th2により産生されるサイトカインの発現量との比率を算出し、前記比率を指標として膠原病であるか否かを診断する工程と、
を含むことを特徴とする膠原病診断方法。
【請求項5】
Th17により産生されるサイトカインとして、IL−17の発現量を測定する請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Th2により産生されるサイトカインとして、IL−4の発現量を測定する請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
(a)工程において、末梢血から分取された単核球画分を刺激する請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
比重遠心法により単核球画分が分取される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
刺激が、酢酸ミリスチン酸ホルボール及びイオノマイシンを添加することにより行われる請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
膠原病が、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデスのうちいずれかである請求項1から9のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−50232(P2009−50232A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222082(P2007−222082)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(504013775)学校法人 埼玉医科大学 (39)
【Fターム(参考)】