説明

膣の疾患の同定および治療のためのデバイスおよび方法

【課題】膣の疾患、例えば、感染症、具体的には、細菌性膣疾患、または膣炎の存在の可能性を示すレポーター物質を担持するpH試験グローブであって、使用が簡便であり、正確であり、かつそれを使用する女性にとって安全であるグローブの提供。
【解決手段】pH検出のための第一手段および膣のサンプルを収集するための第二手段を備えていることを特徴とする、膣の疾患の存在を示すレポーター物質を担持するグローブ、ならびに該グローブと膣の疾患を治療するための婦人科用組成物とを含むパッケージ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性において同定可能な指標を使用することによる、膣の疾患、例えば、感染症、特に細菌性膣疾患、または膣炎の診断のためのデバイスおよび該デバイスを使用する方法に関する。具体的には、本発明は膣の疾患の存在の可能性を示すレポーター物質を担持するpH試験グローブに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、膣の疾患を有する女性の健康状態の向上および膣の疾患の存在を判定する手順および、疾患が存在する場合には、好ましくは、ラクトバシルス属(Lactobacillus)の株および/またはビフィズス菌(Bifidobacteria)を含む、婦人科用組成物の局所使用に関する。好ましい側面において、本発明は同定可能な指標を用いて対象における膣の疾患の存在を判定する方法に関し、もし指標が陽性であれば、膣の疾患の治療に有効な量局所投与される、1以上のラクトバシルス属の株および/またはビフィズス菌を含む婦人科用組成物の使用に関する。また、プローブまたはツール、例えば、疾患の存在を示すレポーター物質を担持するグローブが、疾患が存在することが見いだされた場合に膣の疾患を治療するための婦人科用組成物とともに包装された、パッケージまたはキットについても記載する。
【0003】
本明細書において用いる「膣の疾患」という表現は、膣感染症、例えば、細菌性膣疾患、真菌およびウイルス感染症、および膣炎を含む。膣の疾患の存在は、膣液のpHの変化、膣分泌物、指標細胞の存在の可能性または強い臭気または悪臭、膣の不快感、例えば、痒みおよび痛みによって示されうる。本発明の婦人科用組成物はまた、膣感染症が一因である性交疼痛症の予防または治療にも有益である。
【0004】
膣炎は膣の内面の炎症であり、物理的、化学的または生物学的媒介物の結果であり得る。本発明はいずれの形態の膣炎にも適用される。
【0005】
細菌性膣疾患 (BV)は、生殖年齢の女性のもっとも一般的な膣の障害であり、全女性集団において有病率は10%〜40%であり、妊婦では5%〜50%である。
【0006】
BVは1つの特定の病原性微生物によって起こるのではなく、むしろ、膣の菌叢のアンバランスによって起こる。
【0007】
健康なヒトの膣によくみられる微生物である乳酸菌(Lactobacilli)、特にH2O2-産生株はBVにおいて低減しているか存在しておらず、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)およびその他の嫌気性微生物、例えば、バクテロイデス属(Bacteroides spp)、モビルンカス属(Mobiluncus spp)、プレボテラ属(Prevotella spp)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus spp)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、および マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)によって取って代わられており、これらのほとんどは健康な膣には通常少量しかみられないものである。
【0008】
膣の疾患、特にBVを患う女性は典型的には膣の不快感および臨床症状、例えば、避妊していない性交の後により顕著である悪臭のひどい均質な(homogeneous)膣分泌物を訴えるが、BVを患う女性には無症候性のものもいる。
【0009】
従来は無視または過小評価されることが多かったが、その他の健康面を維持するうえでの膣の菌叢の重要性が、現在ではよりよく理解されるようになってきている。
【0010】
膣の微生物菌叢における有意な変化、例えば、BVにおいて起こるものは、骨盤内炎症性疾患および産科の合併症を含む上行性感染症、例えば、前期破水、羊膜炎、産後子宮内膜炎、後期流産、および早産のリスクの上昇に関連している。
【0011】
異常な膣の菌叢は反復性尿路感染症の危険因子であり得、BVに伴う合併症にはヒト免疫不全ウイルスなどの性行為感染症のリスクの上昇が含まれるということを示唆するデータが増えてきている。
【0012】
乳酸菌、特にH2O2産生性のものは、膣の微生物環境の制御および病原性である可能性のある生物の異常増殖の阻害において中心的役割を果たしている。この保護の可能性のある機構には、様々な乳酸菌の代謝副産物(乳酸、H2O2、バクテリオシン)による病原菌の不活性化、上皮細胞付着部位に関する競合および局所免疫系の刺激が含まれる。乳酸菌のH2O2-産生株は正常な菌叢を有する健康な女性の70-96%にみられるが、BVの女性では5%にしかみられない。
【0013】
BV 感染症は以下の5つの基準の3つの存在によって特徴づけられる:アミンの魚臭の放出、10%水酸化カリウム溶液の添加後のアミン臭の放出、4.5より高い膣の pH、ここで正常な pHは3.8〜4.5である、膣液中のクルーセル(clue cell)の存在、および乳状の均質な(homogeneous)膣分泌物。
【0014】
多くの場合、膣のpHが感染症の進行をしばしば促進する膣の環境のあらゆる異常の初期の指標を提供する。
【0015】
感染性細菌による膣の定着はしばしば妊婦に気づかれずに進行する。この種の感染症が初期に検出されれば、迅速な治療を行うことが出来、早産の危険性が低下するであろう。
【0016】
かかる理由により妊娠中に可能な限り初期から定期的に膣のpHの測定を開始すること、および膣のpHが3.8〜4.5であることを確認するのが非常に重要である。
【0017】
この目的のための様々な製品が市販されている。
【0018】
pH-感受性試験指標を表面に備える使い捨て婦人科検査グローブ、例えば、Selfcare Inc により上市されているCarePlan(登録商標) VpH 婦人科検査グローブなどのかかる製品が市販されている。あるいはpHおよびアミンを組み合わせて試験するカードであるFemExam(登録商標)がCooperSurgical、Incにより市販されている。
【0019】
CarePlan(登録商標) VpH検査は膣の環境の酸性度を測定するように設計されている。このグローブは人差し指表面がpH指示薬で被覆されており、パッケージの裏側に検査結果を示すカラースケールが備えられている。この製品の問題点は、pH指示薬で被覆されている人差し指が膣に挿入されるため、化学物質が膣に入って炎症および/または毒性の傷害を引き起こしうるということである。さらに、膣にしばしば存在する過剰の粘液および/または分泌物がグローブの指の上に残り、この過剰によりpH検査の結果が変化しうる。
【0020】
CarePlan(登録商標) VpH検査は低品質材料であるポリエチレンでできており、この材料は使用者の手の大きさが違うと付着しないことがあり、それゆえ膣における正確なサンプリングには不適である。
【0021】
FemExam(登録商標)は、pHが4.7より高いか低いかを識別するため、および揮発性アミンの存在を調べるための比色試験円形部を有するクレジットカード大のデバイスであり、pHとアミンの両方は細菌性の膣感染症の指標である。
【0022】
このデバイスの使用においては、綿棒または類似の用具を用いて膣液サンプルを集め、検査領域に塗布する。存在する場合は、膣のpHの上昇が検知され、別の検査領域において揮発性アミンの存在も報告される。
【0023】
デバイスにおける様々な部材、即ち綿棒および検査領域を有するカードの使用により、デバイスの使用は困難となりうる。さらに、綿棒は尿道の外口に損傷を与える可能性があり、あるいは誤って膣に残ってしまう可能性がある。
【0024】
さらに、pH 4.5が既にBVの存在の徴候であるのに、FemExam(登録商標)はpHが4.7より高いか低いかを識別するだけであるため、感染症の徴候は自己診断を行う対象に気づかれない可能性がある。
【0025】
pH 4.5が生理的状態と病的状態を識別するための重要な指標であることを知ることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
それゆえ、使用が容易であり、安全かつ正確であり、疾患の存在の初期の徴候を検出することができる、膣の疾患を検出するための自己診断用のデバイスがいまだに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、容易で危険が無く、痛みを伴わない膣のpHの測定手段を提供する。膣のpH は膣における異常、ならびに、膣の疾患、例えば、膣感染症および膣炎、特に細菌性膣疾患感染症の存在および進行を調べるためのもっとも重要な指標の1つである。
【0028】
本発明は、膣の疾患の存在を示すレポーター物質を備えるグローブを提供し、該グローブは、pH検出のための第一手段および膣のサンプルを収集するための第二手段を表面に備えていることを特徴とする。
【0029】
本発明によるグローブの構成により、自己診断を容易かつ快適に行うことが出来、もっとも重要なことに、例えば、従来技術のグローブの構成によるpH検出手段において存在するような、化学物質が膣に導入されることがない。さらに、pH検出手段は膣にしばしば存在する過剰な粘液および/または分泌物の存在の可能性によって変化を受けない。膣を傷つける危険はなく、外来物質が腟内に残される可能性もない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明によると、グローブは、pH検出のための第一手段および膣のサンプルを収集するための第二手段を備え、該手段は、収集する手段がpH検出のための手段に干渉せずに用いることが出来るように、そして、膣のサンプルを表面に有する該収集する手段がその後、該pH検出のための手段と接触しうるように、グローブにおいて別々に配置される。
【0031】
本発明によると、「備える」という用語は第一および第二手段がグローブの上に位置するという意味で用いられ、「位置する」とは、「〜の上にある」または「〜に挿入されている」または「〜を被覆している」または「〜に封入されている」という意味である。
【0032】
本発明の一つの態様において、該第二手段はグローブの一つの指、好ましくは人差し指または中指に位置するかまたはその上を被覆しており、該第一手段はグローブのいずれかの位置に位置しており、それは該第二手段を担持する指によって接触され得る位置である。例えば、該第一手段は、該第二手段を担持する指が該第一手段と、例えば手のひらまたはその他の向かい合わせにできる指の上で接触できるように、親指またはグローブの表面上に位置しうる。
【0033】
その他のいずれの配置も該第一および第二手段が膣のサンプリングの後に接触可能である限り実施することが出来る。
【0034】
好ましい態様では、親指に該第一手段が位置し、人差し指または中指に該第二手段が位置する。
【0035】
親指に位置するいずれの通常入手可能なpH-検出手段も本発明のグローブに用いることが出来、例えば、通常のリトマス試験紙が挙げられる。
【0036】
pH検出手段は全pH範囲を包含しうる。便宜には、pH検出手段はpH 範囲3.8〜4.5を包含するよう設定する。
【0037】
より便宜には、該pH検出手段はpH 4.5を超える値を検出するよう設定する。
【0038】
本発明の好ましい態様は1:5 (w/w)比の メチルオレンジ(Methylorange)およびブロモクレゾールグリーン(Bromocresol Green)からなるpH指示薬の混合物を提供する。色変化範囲は pH 3.8〜4.5である。
【0039】
pH 読み取りに関するいかなる情報を本発明のグローブに添付してもよく、例えば、カラースケールが挙げられる。かかる情報にはそれを超えると医師の診察が示唆されるpH範囲または値に関する警告も含まれうる。4.5以上のpH 値は疾患、特にBVの警告である。
【0040】
向かい合わせにできる指上の膣のサンプルを収集する手段は、膣液および/または粘液の収集に好適な材料でできたものである。本発明の好ましい態様において材料は、吸収性の不織布の単層ガーゼである。
【0041】
本発明の可能な態様の一つにおいて、膣のサンプルを収集する手段は人差し指に位置する。
【0042】
本発明の別の可能な態様において、グローブは5本指グローブ以外のいずれの異なる形状であってもよい。グローブが pH検出手段と膣のサンプルを収集する手段を別々に担持していることが重要であり、即ち、収集する手段および検出手段がサンプリング操作の際には接触しないが、その後に接触できるようになっていることが重要である。例えば親指と残りのすべての指のための一つの部分である2本指形状のグローブが便宜な態様である。
【0043】
膣のサンプルを収集する手段とpH検出のための手段が離れているために、前者は過剰のサンプルから排出することが出来、それによってより正確な pH検出が可能となる。
【0044】
グローブはいずれの適合性材料でできていてもよい。好適な材料は低密度ポリエチレン (LDPE)であるが、ビニルまたはラテックスも好ましい材料である。便宜には、無菌のグローブを提供する必要はなく、好ましくは、グローブは一回使用のためのものである。
【0045】
本発明の可能な態様において、グローブはパッケージされ、各パッケージは2つの衛生的にパッケージされた試験グローブを含み、ここで試験紙のpH 検出範囲は3.8〜4.5である。
【0046】
本発明によるグローブは同じサンプルを用いることによって膣の疾患の存在を判定する有用なその他の試験を行うのに好適なその他のデバイスを備えていてもよい。例えば、グローブは同じグローブまたは別のデバイスに、揮発性アミンの試験、例えば、FemExam(登録商標)によるものを備えていてもよい。代替的または付加的に、その他の試験デバイスを備えていてもよく、例えば乳酸量を判定するため、および/または、病理状態のマーカーとして目的の酵素(シアリダーゼ、プロリダーゼなど)活性、および/または、感染症 (ウイルス、細菌、真菌)のその他の生物学的指標(例えば、サイトカイン、カルプロテクチン(calprotectin))またはマーカーを試験するためのデバイスを備えていてもよい。該試験は当業者に周知であり臨床慣行において通常入手可能なものである。例示的な試験として、酸化還元活性物質としてテトラゾリウム塩を用いるものが挙げられる。
【0047】
本発明によると、グローブは膣の疾患の検出のために好適である。本発明の好ましい態様において、検出される膣の疾患は、膣感染症、例えば、細菌性膣疾患、好気性膣炎、真菌感染症またはウイルス感染症、または膣炎である。
【0048】
本発明の別の目的は膣の疾患の検出方法であり、該方法は以下の工程を含む:
(a)上記のグローブの収集する手段により膣のサンプルを確保する工程、
(b)該収集する手段をpH 検出手段と接触させる工程、
(c)現れた指標シグナル物質を読み取り、膣の疾患の予測される存在を判定する工程。
【0049】
この方法によると、例えば人差し指に位置する収集する手段は、膣に挿入し、迅速に親指に位置する検出手段に適用しなければならない。pH指示薬は膣のpHに応じてその色が変化し、結果をすぐに各パッケージに含まれていてもよい試験紙と比較すべきである。人差し指の吸収性ガーゼは試験片に適用される過剰の粘液を吸収するのに有用である。このようにして、化学物質が膣に入ることはなく、アレルギーまたは炎症の危険はない。
【0050】
正常な pHは完全な保護を意味するわけではないが、本発明による方法は女性が膣感染症を経験している場合に特に有益であり、自分の膣の酸性度が正常であるか、医師に検査を受ける間に確認することが可能となる。
【0051】
本発明によるデバイスは有用であり、簡便であり、特にpH検査紙が膣と近接するために、化学物質が膣に導入されることがなく、アレルギーまたは炎症の危険がないという点で、その他の入手可能な製品、例えば、 上記の CarePlan(登録商標) VpH およびFemExam(登録商標)と比べてより有効である。結果はパッケージ内のカラースケールによって迅速に読み取られる。
【0052】
異常または状態の変化が観察されると、明らかに治療が推奨され、治療が始められる。
【0053】
本発明のさらなる目的は、以下の工程を含む膣の疾患の治療方法である:
a)上記のグローブの手段により膣の疾患の存在を判定する工程、そして疾患が存在するならば、
b)患部に婦人科用組成物を局所投与する工程。
【0054】
当該技術分野において知られており、膣の疾患の治療に好適ないずれの婦人科用組成物も本発明のグローブとともに用いることが出来るが、本発明の好ましい態様は疾患と闘う活性成分は広範な乳酸菌および/またはビフィズス菌(Bifidobacteria)から選択されうることを提供する。例えば、 ラクトバシラス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブチネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・ジェセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・レイチェマンニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌタス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロゴサエ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラタム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティアム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エリクソニ(Bifidobacterium eriksonii)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・プランタラム(Bifidobacterium plantarum)、ビフィドバクテリウム・シュード-カテヌラタム(Bifidobacterium pseudo-catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス(Streptococcus raffinolactis)、アシダミノコッカス・フェルメンタ(Acidaminococcus fermenta)、サイトファーガ・フェルメンタス(Cytophaga fermentans)、ロドフェラックス・フェルメンタス(Rhodoferax fermentans)、セルロモナス・フェルメンタス(Cellulomonas fermentans)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、およびストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)が挙げられる。
【0055】
本発明の一つの態様によると、好ましいものは、ラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種(subsp.)・サリシニウス(salicinius) 種から選択され、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリバリウス(salivarius)、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・ミヌタス、ラクトバシラス・ガッセリおよびラクトバシラス・プランタルムから選択される1以上の乳酸菌の種と組み合わせて用いてもよい。もっとも好ましいのは、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・プランタルムから実質的になる組合せである。
【0056】
別の好ましい組合せは、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・サリバリウス亜種(subs.)サリシニウスおよびラクトバシラス・ガッセリ種から実質的になるものである。
【0057】
好ましくは、医薬組成物に用いられる細菌の集団(association)はラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・ガッセリを含むかまたはそれらから実質的になる。使用される乳酸菌の具体例は、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・ガッセリである。
【0058】
好ましくは、本発明により用いられる細菌の集団において、細菌の濃度は、107〜1013 CFU/g、より好ましくは 108〜1012 CFU/g、もっとも好ましくは109〜1012 CFU/gを超える。好ましくは、細菌の集団において、各種は108〜1012 CFU/gの濃度にて存在する。細菌培養物は好ましくは凍結乾燥された形態である。
【0059】
本発明において用いられる乳酸菌含有組成物は、あらゆる形態の膣炎、特に、これらに限定されないが、アレルギー性膣炎、好気性膣炎またはその他の真菌膣炎の治療にも用いることが出来る。
【0060】
本発明の好ましい態様において、上記のグローブおよび婦人科用組成物を含むパッケージは細菌性膣炎または膣疾患に既に罹患しており、常套の治療法で治療された女性における細菌性膣炎または膣疾患の再発の予防に用いられる。この態様において、対象は定期的に膣の pHを確認し、細菌性疾患が検出された場合には、パッケージに備えられた指示書にしたがって、または、対象の独自の経験にしたがって、適当な治療を開始する。いずれの常套の治療法を利用することもできる。抗細菌薬および抗真菌薬による併用薬物治療の利用が周知である。膣の環境の死滅(Sterilization)またはその他のなんらかの天然の膣の菌叢の変化がこの種の治療の副作用でありうる。特に膣に天然に存在する乳酸菌は抗細菌薬の存在に屈してしまうことがある。さらに、乳酸菌がBVに典型的な嫌気性菌以外の細菌に取って変わられると、異なるタイプの膣炎がみられ得る。この状態は、非特異的膣炎、原因不明の膣炎、剥離性膣炎として知られており、または最近では、好気性膣炎 (AV) として知られている。AVの場合、好気性菌、例えば、大腸菌(Escherichia coli)およびB 群溶連菌 (Group B streptococci)(GBS)がしばしば単離され、重篤な膣の白血球増加症に汚臭と粘着性分泌物が伴う。
【0061】
経口および膣内投与の両方のための適当な治療方法が古典的な嫌気性細菌性膣疾患の場合には入手可能である。85〜95 %の初期治癒率が達成されるが、長期治癒率は低く、1年以内に80%までの再発を伴う。膣の菌叢の破壊による膣炎(AV)には、一定の有効な治療方法は存在せず、疾患は通常数ヶ月から数年続く。経口ペニシリンおよびマクロライドにより短期軽減がもたらされるが、抗生物質治療をやめると再発してしまう。
【0062】
両方のタイプの膣炎にラクトバシラス(Lactobacillus)菌叢の重篤な破壊が伴う。それゆえ、膣のラクトバシラス・アシドフィラスの再導入がかかる症状の再発の予防の合理的な代替法であり得る。乳酸菌は、その他の同様の細菌、共生生物および病原菌による感染症に対する膣の抵抗力の主な因子であると考えられている。ラクトバシラス菌叢の喪失が、膣炎の症候、性行為感染症、特にHIVへの感染危険性の上昇、および妊娠合併症、例えば、早産に関連していることが判明した。感染症および早産の高い可能性がある症例のさらなる調査を可能とするために、ラクトバシラスの程度(Lactobacillary grades)が妊娠中のプレスクリーニング手段として利用できる。
【0063】
予備的証拠によると、膣の破壊された微生物菌叢は、プロバイオティクスを含む膣用錠剤の適用によりその生理的平衡に回復しうることが示唆されている。しかしながら、どのタイプのプロバイオティクス製品を使用すべきかはまったく不明であり、再発の防止のためにかかる製品を適用する理想的な方法もほとんど知られていない。
【0064】
本発明によると、いったん膣の疾患が検出されたら、適切な治療を開始する。好ましい態様において、治療は、抗細菌薬と抗真菌薬、例えばそれぞれ メトロニダゾールとフルコナゾールの併用投与を含む。好適な治療は、例えば 2 gの経口メトロニダゾールと200 mg の経口フルコナゾールである。その他の種の投与も利用でき、例えば、局所投与、例えば、クリーム、軟膏、腟坐薬、錠剤、オブラエ(ovulae)が利用できる。治療後、医師の診察または対象の独自の経験にしたがって判断して、好適な再定着(re-colonization)治療を本発明による上記の乳酸菌を含む組成物を用いて開始する。治療の間、膣の pHが正常なpH、即ち約 3.8 〜約 4.5に回復するまで定期的に本発明のグローブ手段により自己確認する。好適な治療の一例は1日おきに1錠の本発明による生乳酸菌を含む膣用錠剤を8日間(計4 錠)である。挿入は月経後、または無月経の女性の場合は月に一度、夜寝る前に行うべきである。月経が治療期間中に起こったら、治療は中断し、月経が終わってから再開すべきである。治療は膣のpHがいったん生理的範囲(約 3.8 〜約 4.5)に落ち着いたら中止してもよい。
【0065】
それゆえ、本発明のさらなる目的は膣の環境の治療および再定着のための方法であり、該方法は以下を含む:
a)上記のグローブ手段により膣の疾患の存在を判定すること、そして疾患が存在したら、
b)膣の疾患を治療するために婦人科用組成物を患部に局所投与すること、
c)膣の疾患の消滅を確認すること、および、
d)乳酸菌を含む婦人科用組成物を局所投与し、上記のグローブ手段により膣の pHを確認すること。
【0066】
乳酸菌および/またはビフィズス菌(Bifidobacteria)を含む婦人科用組成物は本発明にて開示するいずれの組成物であってもよい。好ましい組成物の一つは以下の株の組合せを含む: ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・サリバリウス亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・プランタルム。
【0067】
この態様によると、本発明は以下を含むパッケージも提供する:
a) 少なくとも1つのグローブ;
b)膣の疾患の治療のための婦人科用組成物;
c)乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む婦人科用組成物;および、
d)グローブ a) 、組成物 b) および組成物 c)を使用するための指示書。
【0068】
本発明の便宜な態様は以下を含むパッケージを提供する:
a)抗生物質、例えばメトロニダゾールと、抗真菌薬、例えばフルコナゾールの組合せを含み、膣の疾患、例えば、細菌性膣疾患または好気性膣炎の治療に好適な剤形である組成物;
b)乳酸菌および/またはビフィズス菌を含み、膣の環境の再定着(re-colonizing)に好適な剤形である局所投与用婦人科用組成物;
c) 膣の疾患を検出し、a)による組成物によって開始した治療の有効性を確認し、b)による組成物によって開始した治療の有効性を確認するための、本発明による十分な数のグローブ;および
d)パッケージを使用するための指示書。
【0069】
この形態のパッケージは膣の疾患を経験しており自己治療を行うことを希望する女性に好適である。このパッケージは、旅行中の女性またはあまり医師の診察を受けることが出来ない、または 、再発性の膣の疾患を経験しており、自己診断および自己治療の十分な経験を有する女性にとって非常に便利であり得る。
【0070】
膣の症状、特に膣感染症の治療に有用な別の治療用製品は、Melaleuca Alternifoliaの葉から抽出された天然物であり、ツピネン-4-オールを含む蒸留抽出されたオイルであるティーツリーオイル(tea tree oil)である。ティーツリーオイルは溶解させた水溶液として経口摂取してもよいし、局所投与してもよいし、適当な製剤用物質に含めて膣用錠剤として投与してもよい。
【0071】
膣の障害に使用されるその他の製品はダイズおよびその誘導体である。ダイズはフィトエストロゲン、天然ポリフェノールを含み、閉経後ホルモン障害、例えば、骨粗鬆症の治療に役立ちうる。
【0072】
実用のためには、婦人科用、美容用および医薬組成物を含む本発明に用いられる組成物は、局所投与のためのあらゆる便宜な形態に調製され、例えば、液体形態、クリームまたは軟膏の形態、または固体形態、即ち、腟坐薬または腟用錠剤、パケット等が挙げられる。膣用錠剤の形態に作られた組成物は少なくとも1層または異なる放出時間を有する少なくとも2層からなっていてもよい。
【0073】
本発明の一つの態様において、本発明の組成物は2以上の層で作られた錠剤の形態に調製してもよい。ティーツリーオイルおよび/またはダイズを錠剤の一方または両方の層に含めてもよい。共に乳酸菌種を含んでおり、通常の賦形剤および添加剤と結合しているかかる2層は、外側層の細菌が経過時間 10-25 分間、例えば約 15-20 分間にて放出され、内側層の細菌が次いで経過時間25-50 分間、例えば約 30-40 分間にて放出されるように配置すればよい。
【0074】
組成物はまた、膣内の pH を投与後数時間は3〜5.5の範囲に安定化させて維持させることが出来る緩衝剤を含んでいてもよい。緩衝剤は、いずれかの医薬上許容される無機または有機弱酸から選択される弱酸、例えば、ホウ酸、乳酸、アスコルビン酸、クエン酸または酢酸と例えば組合せた、用いた弱酸の共役塩基のそれぞれのナトリウム塩またはその他の医薬上許容される塩からなる緩衝系である。好ましくは、pHは4.2〜4.5の範囲に緩衝され、好ましくは用いられる緩衝剤は、乳酸と乳酸ナトリウムまたはアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムからできた緩衝系である。これらおよび関連組成物はDe Simone et al U.S. 6,277,370 に記載されており、その内容全体を引用により本出願に含める。
【0075】
本発明の別の好ましい態様において、本明細書において治療に用いられる医薬組成物はDe Simone WO 00/78322 A2 および2001年12月21日出願のその対応米国出願番号10/024,199に記載されており、その内容全体を引用により本出願に含める。この態様は、(a) H2O2-産生乳酸菌の少なくとも1つの 株からなる第一成分および(b)アルギニン利用細菌株からなる第二成分を含む乳酸菌の組合せを用いる。
【0076】
成分(b)における乳酸菌はブダペスト条約に基づいて受託番号DSM 11988として寄託されたラクトバシラス・ブレビス CD2 株である。成分(a):(b)における細菌の量比は100:1〜1:100、好ましくは 1:5〜5:1の範囲であり、望ましくは 比1:1に実質的に等しい。一般に単位用量は成分(a)の1 x 102 〜5 x 1011 細菌および成分(b)の1 x 102〜5 x 1011 細菌を含み、好ましい量は成分(a)が1 x 109 細菌であり成分(b)が3 x 109 細菌である。
【0077】
乳酸菌の好ましい組合せは、 (a) 少なくとも1つのH2O2-産生乳酸菌株からなる第一成分、および (b)少なくとも1つのアルギニン利用乳酸菌株からなる第二成分を含み、ここで成分(a)は、種ラクトバシラス・クリスパタス、ラクトバシラス・サリバリウス、好ましくは 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・カゼイの株から選択され、成分(b)は種ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・ガッセリおよびラクトバシラス・フェルメンタムの株から選択される。
【0078】
H2O2-産生乳酸菌とアルギニン利用細菌とのこの特定の組合せは1以上の以下の株を含んでいてもよい:ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリバリウス、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・ミヌタス、およびラクトバシラス・プランタルム。
【0079】
特に好ましい組成物は、成分(a)がラクトバシラス・クリスパタスであって成分(b)がラクトバシラス・ブレビスであるものか、成分(a)がラクトバシラス・サリバリウスであって成分(b)がラクトバシラス・ブレビスであるものである。
【0080】
さらにビタミン、四級アンモニウム塩基、無機塩、ティーツリーオイル、ダイズおよびその誘導体、抗酸化剤、抗炎症、抗ヒスタミン およびNO-放出物質 (例えば、シルデナフィル) も存在していてもよい。
【0081】
本発明の別の目的は、以下の工程を含む膣の疾患の同定および治療方法である:
(a)膣液のサンプルを確保する工程、
(b)収集した液を指標シグナル物質に曝す工程、
(c) 現れた指標シグナル物質を読み取り、該サンプルにおける膣の疾患の予測される存在を判定する工程、
ここで工程(a)-(c)は本明細書に開示するグローブ手段によって行い、疾患が存在する場合は、
(d)婦人科用組成物を疾患領域に適用する工程。
【0082】
好ましい組成物は上記のように乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む。
【0083】
本発明の産業上の利用可能性に関する限り、上記グローブおよび婦人科用組成物は以下を含むパッケージの形態で提供してもよい:
a)少なくとも1つのグローブ;
b)婦人科用組成物;
c)グローブ a)および組成物 b)を使用するための指示書。
【0084】
パッケージにおけるa)の「グローブ」は一つのグローブであってもよいしグローブのセットであってもよいと意図される。グローブの数は、膣の疾患の検出方法の実施、および、存在するならば、組成物 b)による疾患の治療の開始、そして、正常な pH、例えば、4.5を超えるとして検出される疾患の消滅まで治療の有効性を確認するための残りのグローブの定期的な使用のために好適に判断すればよい。
【0085】
c)の指示書は特定の形態に拘束されるものではない。それらはグローブに備えられた収集する手段により確保された膣サンプルと接触された後の指標物質によって与えられる結果を使用者が解釈するためのガイダンスを必須に提供する。
【0086】
指示書の第一項はpHの読み取りの説明であり、便宜にはカラースケール手段によるものである。
【0087】
指示書の第二項はpHの読みと健康状態または疾患の存在の可能性との相関である。
【0088】
例えば、pH3.8〜4.5は、症状または症候がなければ正常および健康状態を意味する。3.8より低いpHは、白っぽい分泌物および/または症候、例えば、痛みおよび痒みとともに、カンジダ膣感染症の可能性を意味する。4.5より高いpHは、症状または症候がなければ、膣感染症の進展に好ましい可能性がある膣の微生物環境を意味する。4.5より高いpHは、おそらくは悪臭のひどい膣分泌物とともに、H2O2-産生乳酸菌が低下または消失した微生物不全(dismicrobism) (細菌性膣疾患)を意味する。4.5より高いpHは、おそらくは悪臭のひどい膣分泌物および/または刺激、痒みとともに、トリコモナス膣炎による感染症の可能性を意味する。
【0089】
いったん疾患が同定されたら、婦人科用組成物の手段、特に上記の乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む婦人科用組成物による治療を開始するとよい。場合によっては、例えば、カンジダ・アルビカンスまたはトリコモナス膣炎感染症が予測される場合は、医師の診察が示唆される。
【0090】
通常は使用者は医師の診察を受け、医師が組成物を使用するための薬量学を決定する。しかしながら、膣の疾患を既に経験している女性は、自己の経験にしたがってパッケージに備えられている婦人科用組成物を自分で投与することが出来る。
【0091】
可能性のある治療は、例えば1日1回の1錠の錠剤の膣への適用を8日間、あるいは、2日に1回の膣への適用を16日間である。
【0092】
典型的には、パッケージは8錠の膣用錠剤、2つのグローブおよび使用指示書を含みうる。
【0093】
産業上の利用可能性の目的で、本発明はまた、上記のグローブおよび乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む組成物の、膣の疾患の検出および治療のための医薬の調製のための使用にも関する。本発明のさらなる目的は、上記のグローブおよび乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む組成物および上記の細菌性膣炎または好気性膣炎の治療に用いるさらなる組成物の、膣の疾患の検出および治療そして膣の環境の再定着のための医薬の調製のための使用である。
【0094】
本発明を現在もっとも実践的で好ましい態様と考えられるものに関して記載してきたが、本発明は開示された態様に限定されるものではなく、その逆に、添付の請求の範囲の精神および枠内に含まれる様々な改変および同等の修飾も包含する意図であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH検出のための第一手段および膣のサンプルを収集するための第二手段を備えていることを特徴とする、膣の疾患の存在を示すレポーター物質を担持するグローブ。
【請求項2】
該膣のサンプルを収集するための第二手段がグローブの1つの指に位置しており、該第一手段が、該第二手段を担持する指と接触することが出来るグローブのいずれかの部分に位置している、請求項 1のグローブ。
【請求項3】
該pH検出のための手段が親指に位置しており、該第二手段が人差し指または中指に位置している、請求項1-2のいずれかのグローブ。
【請求項4】
該pH検出のための手段が3.8〜4.5のpH範囲を含むよう設定されている請求項1-3のいずれかのグローブ。
【請求項5】
該pH検出のための手段がメチルオレンジとブロモクレゾールグリーンとの1:5 (w/w)の比の混合物である、請求項 4のグローブ。
【請求項6】
該pH検出のための手段が4.5以上のpH 値を検出するよう設定されている、請求項1-3のいずれかのグローブ。
【請求項7】
pHの読みに関する情報が封入されている請求項1-6のいずれかのグローブ。
【請求項8】
該情報がカラースケールである請求項 7のグローブ。
【請求項9】
4.5以上の該値が警告として設定されている請求項 6のグローブ。
【請求項10】
該膣のサンプルを収集する手段が膣液および/または粘液を収集するのに好適な材料でできている、請求項1-9のいずれかのグローブ。
【請求項11】
該手段の材料が吸収性不織布の単層ガーゼである請求項 10のグローブ。
【請求項12】
ビニルまたはラテックスでできている請求項1-11のいずれかのグローブ。
【請求項13】
膣の疾患の存在の判定に有用なさらなる試験の判定のための別のデバイスをさらに含む請求項1-12のいずれかのグローブ。
【請求項14】
該さらなる試験が、揮発性アミンについての試験、乳酸量を判定する試験、病理状態および/またはその他の生物学的指標のマーカーとして注目される酵素の活性を判定する試験、および、感染症のマーカーの存在を判定する試験からなる群から選択される、請求項 13のグローブ。
【請求項15】
膣感染症および膣炎からなる群から選択される膣の疾患の存在の判定に有用である、請求項1-14のいずれかのグローブ。
【請求項16】
該膣感染症が、細菌性膣疾患、好気性膣炎、真菌感染症およびウイルス感染症からなる群から選択される、請求項 15のグローブ。
【請求項17】
a) 請求項1-16のいずれかの少なくとも1つのグローブ;
b)婦人科用組成物; および所望により、
c)グローブ a) および組成物 b)を使用するための指示書、
を含むパッケージ。
【請求項18】
該組成物 (b)が、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・ブチネリ、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・セロビオサス、ラクトバシラス・クリスパタス、ラクトバシラス・クルヴァタス、ラクトバシラス・デルブルエッキ、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・レイチェマンニ、ラクトバシラス・ミヌタス、ラクトバシラス・パラカゼイ、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロゴサエ、ラクトバシラス・サリバリウス、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・ガッセリ、ラクトバシラス・フェルメンタム、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ビフィドバクテリウム・アングラタム、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレベ、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・デンティアム、ビフィドバクテリウム・エリクソニ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・プランタラム、ビフィドバクテリウム・シュード-カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ストレプトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス、アシダミノコッカス・フェルメンタ、サイトファーガ・フェルメンタス、ロドフェラックス・フェルメンタス、セルロモナス・フェルメンタス、ザイモモナス・モビリス、およびストレプトコッカス・サーモフィラスからなる群から選択される乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む、請求項 17のパッケージ。
【請求項19】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウス種からなる群から選択され、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリバリウス、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・ミヌタス、ラクトバシラス・ガッセリおよびラクトバシラス・プランタルムからなる群から選択される乳酸菌の1以上の種と組合されていてもよい、請求項 18のパッケージ。
【請求項20】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・プランタルムからなる組合せである、請求項 19のパッケージ。
【請求項21】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウス種の組合せである、請求項 18のパッケージ。
【請求項22】
該乳酸菌が、(a)少なくとも1つの H2O2-産生乳酸菌株からなる第一成分、および(b)少なくとも1つのアルギニン利用乳酸菌株からなる第二成分の組合せである、請求項 18のパッケージ。
【請求項23】
該乳酸菌が、ラクトバシラス・クリスパタス、ラクトバシラス・サリバリウスおよびラクトバシラス・カゼイからなる群から選択される成分(a)、および種ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・ガッセリおよびラクトバシラス・フェルメンタムの株から選択される成分(b)である、請求項 22のパッケージ。
【請求項24】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウス 種の組合せである請求項 22のパッケージ。
【請求項25】
乳酸菌がラクトバシラス・ブレビス CD2 DSM 11988である、請求項18-24のいずれかのパッケージ。
【請求項26】
該組成物がさらに、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリバリウス、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・ミヌタス、およびラクトバシラス・プランタルムからなる群から選択される1以上の種の乳酸菌を含む、請求項22-25のいずれかのパッケージ。
【請求項27】
該乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・ガッセリ 種からなる請求項 18のパッケージ。
【請求項28】
該乳酸菌が107〜1013 CFU/gの濃度で存在する請求項18-27のいずれかのパッケージ。
【請求項29】
組成物が、ビタミン、四級アンモニウム塩基、無機塩、ティーツリーオイル、ダイズおよびその誘導体、抗酸化剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤およびNO-放出物質からなる群から選択される少なくとも1つの物質をさらに含む、請求項18-28のいずれかのパッケージ。
【請求項30】
組成物 (b) がティーツリーオイルおよび/またはダイズおよびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項 18のパッケージ。
【請求項31】
組成物が、ビタミン、四級アンモニウム塩基、無機塩および抗酸化剤からなる群から選択される少なくとも1つの物質をさらに含む、請求項 30のパッケージ。
【請求項32】
該組成物が、液体形態またはクリーム、軟膏、腟坐薬、膣用錠剤またはパケットである請求項18-31のいずれかのパッケージ。
【請求項33】
該膣用錠剤が、細菌の放出速度を制御するために結合形態で少なくとも1層の乳酸菌を含む、請求項 32のパッケージ。
【請求項34】
該錠剤が少なくとも2層を含み、最も外側の層の細菌の放出速度が最も内側の層の細菌の放出速度よりも大きくなるよう、該乳酸菌種を含む最も外側の層および最も内側の層が結合形態にある、請求項 33のパッケージ。
【請求項35】
該錠剤において、最も外側の層の細菌が経過時間約 10-25 分間にて放出され、内側層の細菌が続いて経過時間約 25-50 分間にて放出される、請求項 34のパッケージ。
【請求項36】
(d)細菌性膣疾患または好気性膣炎の治療のための組成物をさらに含む、請求項17-35のいずれかのパッケージ。
【請求項37】
該組成物 (d)が抗細菌薬と抗真菌薬との組合せを含む、請求項 36のパッケージ。
【請求項38】
該抗細菌薬がメトロニダゾールであり、該抗真菌薬がフルコナゾールである、請求項 37のパッケージ。
【請求項39】
グローブ (a)、組成物 (b)および組成物 (d)の使用のための指示書をさらに含む、請求項36-38のいずれかのパッケージ。
【請求項40】
請求項1-16のいずれかのグローブおよびその使用のための指示書を含むパッケージ。
【請求項41】
膣の疾患の検出および治療のための医薬の調製のための、請求項1-16のいずれかのグローブおよび請求項17-35のいずれかの組成物の使用。
【請求項42】
膣の疾患の検出および治療ならびに膣の環境の再定着のための医薬の調製のための、請求項1-16のいずれかのグローブおよび請求項17-39のいずれかの組成物の使用。
【請求項43】
以下の工程を含む膣の疾患の存在を判定する方法:
(a)請求項1-16のいずれかのグローブの収集する手段により膣のサンプルを確保する工程、
(b)該収集する手段とpH 検出手段とを接触させる工程、
(c)現れた指標シグナル物質を読み取り、該膣の疾患の予測される存在を判定する工程。
【請求項44】
該疾患が、膣感染症、膣炎および性交疼痛症からなる群から選択される請求項 43の方法。
【請求項45】
該感染症が、細菌性膣疾患、好気性膣炎、真菌感染症およびウイルス感染症からなる群から選択される、請求項 44の方法。
【請求項46】
以下の工程を含む膣の疾患を治療する方法:
(a)請求項 1のグローブの手段により膣の疾患の存在を判定する工程、そして疾患が存在すれば、
(b)患部に婦人科用組成物を局所投与する工程。
【請求項47】
該疾患が、膣感染症、膣炎および性交疼痛症からなる群から選択される、請求項 46の方法。
【請求項48】
該感染症が、細菌性膣疾患、好気性膣炎、真菌感染症およびウイルス感染症からなる群から選択される、請求項 47の方法。
【請求項49】
以下の工程を含む膣の疾患を同定および治療する方法:
(a)膣液のサンプルを確保する工程、
(b)収集した液を指標シグナル物質に曝す工程、
(c)現れた指標シグナル物質を読み取り、該サンプルにおける膣の疾患の予測される存在を判定する工程、
ここで工程(a)-(c)は請求項 1のグローブの手段によりなされ、疾患が存在すれば、
(d)疾患領域に婦人科用組成物を適用する工程。
【請求項50】
該疾患が、膣感染症、膣炎および性交疼痛症からなる群から選択される、請求項 49の方法。
【請求項51】
該感染症が、細菌性膣疾患、好気性膣炎、真菌感染症およびウイルス感染症からなる群から選択される、請求項 50の方法。
【請求項52】
工程(d)において適用される組成物が、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・ブチネリ、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・セロビオサス、ラクトバシラス・クリスパタス、ラクトバシラス・クルヴァタス、ラクトバシラス・デルブルエッキ、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・レイチェマンニ、ラクトバシラス・ミヌタス、ラクトバシラス・パラカゼイ、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロゴサエ、ラクトバシラス・サリバリウス、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・ガッセリ、ラクトバシラス・フェルメンタム、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ビフィドバクテリウム・アングラタム、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレベ、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・デンティアム、ビフィドバクテリウム・エリクソニ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・プランタラム、ビフィドバクテリウム・シュード-カテヌラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ストレプトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・ラフィノラクティス、アシダミノコッカス・フェルメンタ、サイトファーガ・フェルメンタス、ロドフェラックス・フェルメンタス、セルロモナス・フェルメンタス、ザイモモナス・モビリス、およびストレプトコッカス・サーモフィラスからなる群から選択される乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む、請求項 49の方法。
【請求項53】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウス 種からなる群から選択され、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリバリウス、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・ミヌタス、ラクトバシラス・ガッセリおよびラクトバシラス・プランタルムからなる群から選択される1以上の乳酸菌種と組合せられていてもよい、請求項 52の方法。
【請求項54】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよびラクトバシラス・プランタルムからなる組合せである、請求項 52の方法。
【請求項55】
乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウス 種の組合せである、請求項 52の方法。
【請求項56】
該乳酸菌が、(a)少なくとも1つのH2O2-産生乳酸菌株からなる第一成分、および、 (b) 少なくとも1つのアルギニン利用乳酸菌株からなる第二成分の組合せである、請求項 53の方法。
【請求項57】
該乳酸菌(a)がラクトバシラス・クリスパタスまたはラクトバシラス・サリバリウスであり(b) がラクトバシラス・ブレビスである請求項 52の方法。
【請求項58】
乳酸菌がラクトバシラス・ブレビス CD2 DSM 11988である、請求項 52の方法。
【請求項59】
組成物が、ビタミン、四級アンモニウム塩基、無機塩、ティーツリーオイル、ダイズおよびその誘導体、抗酸化剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤およびNO-放出物質からなる群から選択される少なくとも1つの物質をさらに含む請求項 52の方法。
【請求項60】
乳酸菌がラクトバシラス・ブレビスおよびラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウス 種の組合せである請求項 52の方法。
【請求項61】
該組成物が、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリバリウス、ラクトバシラス・ジェセニ、ラクトバシラス・カテナフォルメ、ラクトバシラス・ミヌタス、ラクトバシラス・ガッセリ、ラクトバシラス・カゼイおよびラクトバシラス・プランタルムからなる群から選択される1以上の種の乳酸菌をさらに含む請求項 56の方法。
【請求項62】
該乳酸菌が、ラクトバシラス・ブレビス、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・サリバリウス 亜種・サリシニウスおよび ラクトバシラス・ガッセリ 種からなる請求項 52の方法。
【請求項63】
該乳酸菌が 107〜1013 CFU/gの濃度で存在する、請求項52の方法。
【請求項64】
該組成物が、液体組成物またはクリーム、軟膏、腟坐薬、膣用錠剤またはパケットの形態である、請求項 52の方法。
【請求項65】
該膣用錠剤が、細菌の放出速度を制御するために少なくとも1層の乳酸菌を結合形態にて含む請求項 60の方法。
【請求項66】
該錠剤が少なくとも2層を含み、最も外側の層および最も内側の層が、最も外側の層の細菌の放出速度が最も内側の層の細菌の放出速度よりも大きくなるように結合形態にある該乳酸菌種を含む、請求項 61の方法。
【請求項67】
該錠剤において、最も外側の層における細菌が経過時間約 10-25 分間にて放出され、内側層の細菌が次いで経過時間約 25-50 分間にて放出される、請求項 62の方法。
【請求項68】
乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む婦人科用組成物の有効量を患部に適用することを含む、膣炎の治療方法。
【請求項69】
乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む婦人科用組成物を患部に適用することを含む、性交疼痛症の予防または治療方法。
【請求項70】
以下の工程を含む、膣の疾患を治療し、膣の環境を再定着させる方法:
(a)請求項 1のグローブの手段により膣の疾患の存在を判定する工程、そして疾患が存在すれば、
(b)疾患を治療する工程; そして疾患が治療されたら;
(c) 乳酸菌および/またはビフィズス菌を含む婦人科用組成物を患部に局所投与する工程;および、
(d)工程(c)の間に、請求項 1のグローブの手段により、 膣のpHが正常となるまで膣のpHを確認する工程。
【請求項71】
以下の工程を含む膣の疾患の治療方法:
(a) 膣の疾患の存在を判定する工程、および存在すれば、
(b)ティーツリーオイルおよび/または ダイズおよびその誘導体を含む組成物を患部に局所投与する工程。

【公開番号】特開2011−156392(P2011−156392A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−111566(P2011−111566)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【分割の表示】特願2007−547797(P2007−547797)の分割
【原出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(503220679)アクティアル・ファルマセウティカ・ソシエダデ・ポル・クオタス・デ・レスポンサビリダデ・リミターダ (10)
【Fターム(参考)】