説明

膣内薬剤放出システム

本発明は、ドロスピレノンおよびエストロゲンを長時間に亘って制御放出するための膣内薬剤放出システムであって、所望により、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する1種または2種以上の治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有するシステムに関する。該薬剤放出システムは、1つまたは2つ以上のコンパートメント(2、4、5)からなり、各コンパートメントは、芯(7)と該芯を包む膜(3)とを含み、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になる。少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含み、少なくとも1つのコンパートメントはエストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含み、エストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含む該少なくとも1つのコンパートメントは、ドロスピレノンを含む該少なくとも1つのコンパートメントと同一であっても異なっていてもよい。膜もしくは膜の表面または少なくとも1つの芯は、該治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的に活性な物質またはそのプロドラッグを長時間に亘って制御放出するための改良された膣内薬剤放出システムに関する。本発明の薬剤放出システムは、1つまたは2つ以上のコンパートメントを包含し、該1つのまたは各コンパートメントは、芯と該芯を包む膜とを含み、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になるものであって、少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含み、少なくとも1つのコンパートメントはエストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含む。ドロスピレノンを含む該少なくとも1つのコンパートメントは、エストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含む該少なくとも1つのコンパートメントと同一であっても異なっていてもよい。該膜もしくは該膜の表面または少なくとも1つの芯はさらに、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有していてもよい。
【背景技術】
【0002】
2種または3種以上の治療的に活性な物質を長時間に亘ってほぼ一定の速さで放出することのできる膣内薬剤放出システムは、避妊、ホルモン補充治療などの特定の用途において極めて有用である。プロゲストーゲン様活性を有する物質とエストロゲン様活性を有する物質とを、好ましくはほぼ一定の比で、同時に投与することが広く行われている。避妊信頼性は、主としてプロゲストーゲン様成分によってもたらされる。エストロゲン成分は、プロゲスチンの排卵阻害効果を高め、サイクル安定性を確保するように作用する。
【0003】
多数の異なる膣リングの製造が文献において知られている。たとえば US 4,596,576 および US 4,237,885 を参照されたい。基本的には、放出システムは、単に、閉じたリングの形状をなす薬剤含有重合体の芯によって形成される。これを改変したものとして、薬剤を含有しない芯と該芯を取り囲む薬剤マトリクスとを包含する閉じたリングが挙げられる。この薬剤マトリクスは、所望により多数の異なる薬剤を含有し、さらに所望により最も外側に重合体の膜を含む。
【0004】
EP 876815 は、プロゲストーゲン様ステロイド化合物とエストロゲン様ステロイド化合物とを長時間に亘って一定の生理学的比で同時に放出するための膣内薬剤放出システムを開示している。この膣内薬剤放出システムは、好ましくはリング形状である。この薬剤放出システムは、プロゲストーゲン様化合物とエストロゲン様化合物との混合物を含有する熱可塑性重合体の芯と熱可塑性重合体の外皮とを含む少なくとも1つのコンパートメントを包含するものであって、該プロゲストーゲン様化合物は初めのうちは比較的低い程度の過飽和状態で芯である重合体材料に溶解している。この薬剤放出システムは、室温より低い温度で保管されているときにのみ物理的に安定である。EP 876815 に示されているように、プロゲストーゲンは最後には膣リングの外表面に晶出することもある。このようなプロゲストーゲンのシステムの外皮への晶出は、無制御で高バーストの放出をもたらす可能性がある。
【0005】
EP 836473 は、第1コンパートメント、第2コンパートメントおよび所望によりプラセボコンパートメントを包含するリング形状の装置を開示している。第1コンパートメントは、薬剤を含有しないエチレン/ビニルアセテート共重合体の芯、および該芯を取り囲む、ステロイドホルモンを含有するエチレン/ビニルアセテート共重合体の層、ならびに薬剤を含有しないエチレン/ビニルアセテート共重合体の外層を含む。第2コンパートメントは、ステロイドホルモンを含有するエチレン/ビニルアセテート共重合体の芯と、薬剤を含有しないエチレン/ビニルアセテート共重合体の外層とを含む。プラセボコンパートメントは、第1コンパートメントと第2コンパートメントとを隔てる熱可塑性物質のコンパートメントである。好ましい態様においては、該装置は2つのコンパートメントを包含する膣リングであって、第1コンパートメントは結晶状のエトノゲストレルを含み、第2コンパートメントはエトノゲストレルとエチニルエストラジオールとの(下)飽和混合物を含み、これら2つのコンパートメントは所望により互いに高密度ポリエチレンのプラセボコンパートメントによって隔てられている。
【0006】
WO 1995000199 は、可撓性支持手段と、該支持手段によって保持され且つ活性物質を含有する薬剤放出手段とを包含する膣内薬剤放出システムを開示している。支持手段は実質的に開環リング形状をなす芯部材からなり、薬剤放出手段は芯部材の長手部の一部をベルト状に取り囲む少なくとも1つのスリーブ状の重合体部材からなる。
【0007】
WO 2005089723 は、1つまたは2つ以上のコンパートメントからなり、熱可塑性ポリエチレン酢酸ビニル共重合体に溶解したプロゲストーゲン化合物を含有する薬剤放出システムを開示している。この薬剤放出システムがただ1つのコンパートメントからなる場合には、コンパートメントは、(i)熱可塑性ポリエチレン酢酸ビニル共重合体の芯であって、25℃における飽和濃度よりも低い濃度で該ポリエチレン酢酸ビニル共重合体に溶解したプロゲストーゲン化合物と、エストロゲン化合物とを含有する芯、および(ii)該芯を覆う熱可塑性ポリエチレン酢酸ビニル共重合体の外皮であって両方の化合物に対して透過性である外皮を含む。また、この薬剤放出システムが2つ以上のコンパートメントからなる場合には、1つのコンパートメントのみが、(iii)25℃における飽和濃度よりも低い濃度でポリエチレン酢酸ビニル共重合体の芯に溶解したプロゲストーゲン化合物、およびエストロゲン化合物、ならびに(iv)該芯を覆う熱可塑性ポリエチレン酢酸ビニル共重合体の外皮であって両方の化合物に対して透過性である外皮を含む。
【0008】
EP 862396 は、膣リング本体と薬剤を含有する芯とを包含する膣リングを開示している。膣リング本体は、少なくとも1つの中空の内部チャンネルを有する第1の重合体材料で形成され、該内部チャンネルは、該本体の外部へ通ずる開口を規定し、該開口から薬剤を含有する芯を収容することができるように構成されている。薬剤を含有する芯は、第2の重合体材料に分散してなる少なくとも1種の膣内投与可能な薬剤を含有するものであって、該内部チャンネルの中に配置されている。薬剤を含有する芯は、対象の組織への薬剤の初期バースト、および、それによって生ずる吐き気や嘔吐などの副作用を実質的に防ぐために、使用前に適当に膣リング本体に配置される。
【0009】
膣リングの一般的な利点は、女性が錠剤を毎日服用する必要から解放されることにある。リング形状の構造は、適用が簡単であって、よく耐えられ、いつでも女性自身が容易に外したり再挿入したりすることができる。1つの欠点は、細菌および真菌の感染及び/又は性行為感染症に対する防御性を与えないことにある。
【0010】
したがって、避妊やホルモン補充治療のために、ドロスピレノンを、特に毎日充分高い投与量で、エストロゲンと組み合わせて膣へ投与するために用いることができる改良された膣内薬剤放出システムが、今も求められている。このような膣内薬剤放出システムは、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質の充分量を放出できることが好ましい。
【0011】
常在微生物は、膣における生理学的な環境を維持し安定化させるための主要な因子であることが知られている。Lactobacillus は、膣内細菌として最も多く存在するものであって、泌尿生殖器官系を健康に保つ上で主要な役割を果たしている。Lactobacillus は、ある機序によって病原性微生物の付着や増加を防止することができる。この機序は、抗付着因子、過酸化水素および病原体にとって致命的なバクテロシンを分泌することや、萎縮性膣粘膜の減少に由来するグリコーゲンを乳酸に発酵させて水素イオンを放出し、最終的に最適なpH値を得ることを含むようである(Microb. Infect. 4,319 324 (2002))。
【0012】
膣のpHは、女性の一生の間に起こる卵巣ステロイドの変化に応じて、出生から閉経まで生理学的に変化する。適切なレベルのエストロゲンは膣粘膜の栄養において役割を果たし、エストロゲンは細胞内のグリコーゲン含有量を増加させる。性的活動、経口避妊薬、全身的または局部的治療などのいくつかの因子は、それぞれ異なる機序で膣のpHを増加させるかもしれない。pH値の変化は、全身的疾患や膣感染などの膣環境における不均衡の存在をも示すかもしれない。膣のpH値が4.0〜4.5を越えることは、Lactobacillus 細菌の生存にとっては有害であるが、他の微生物、特に病原性微生物にとっては有害でなく、Lactobacillus によって起こされる収縮がないために却って増殖に有利である。
【0013】
プロバイオティック物質は、膣の正常なpH値を調節したり維持したりするために用いられている。たとえば、WO 2006/65873 は、活性物質であるグルコン酸第一鉄またはアスコルビン酸第一鉄と、膣のpH値を6より小さい値、好ましくは3〜4.5に維持するためのアスコルビン酸やグリコール酸などの酸とを含有する繊維強化複合体リングを開示している。
【0014】
WO 2002/15832 は、ホルモンを含有しない膣内装置を開示している。この文献においては、アスコルビン酸をマトリクスであるヒドロゲルに添加することによって膣のpH値を約5〜6に維持している。WO 2006/17341 は、治療用薬剤とアスコルビン酸などの健康増進物質とを含む粘膜付着組成物で部分的にもしくは完全に塗布もしくは被覆された、または該粘膜付着組成物と組み合わせて用いる膣用装置を開示している。
【0015】
プロバイオティック物質や細菌などの生物学的物質の放出についての一般的なことは、下記の文献に記載されている。膨潤可能な重合体マトリクスに基づくものに関しては、WO 2003/26687、US 20050152966、US 20030096002など。ミルクタンパク質と関連する生体適合的なカーボハイドレート重合体に基づくものに関しては、WO 2002/94224 など。架橋されていないデンプンに基づくものに関しては、WO 2005/74976 など。
【0016】
発明の目的
本発明の目的は、治療的に活性な物質またはそのプロドラッグを長時間に亘って制御放出するための改良された膣内薬剤放出システムを提供することである。該システムは、少なくとも1つのコンパートメントを包含し、該1つのまたは各コンパートメントは、芯と該芯を包む膜とを含み、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になるものであって、少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含み、少なくとも1つのコンパートメントはエストロゲンを含み、エストロゲンを含む該少なくとも1つのコンパートメントは、ドロスピレノンを含む該少なくとも1つのコンパートメントと同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
本発明の別の目的は、ドロスピレノンおよびエストロゲン、ならびに、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する1種または2種以上の治療的に活性なまたは健康を増進する物質を制御放出するための改良された膣内薬剤放出システムを提供することである。そのような1つの膣内薬剤放出システムは、少なくとも1つのコンパートメントを包含し、該1つのまたは各コンパートメントは、芯と該芯を包む膜とを含み、少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含み、少なくとも1つのコンパートメントはエストロゲンを含み、エストロゲンを含む該少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含む該少なくとも1つのコンパートメントと同一であっても異なっていてもよく、膜の表面もしくは膜または少なくとも1つの芯は、該治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有している。
【0018】
本発明は、特に、ドロスピレノン(6β、7β;15β;16β−ジメチレン−3−オキソ−17α−プレグ−4−エン−21,17−カルボラクトン)、エストロゲン(好ましくはエストラジオール、エストラジオールヘミハイドレート、エストラジオールエステルまたはエチニルエストラジオール)、および所望により細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の治療的に活性なまたは健康を増進する物質(好ましくは Lactobacillus 種の代表的なもの)を、毎日充分大量に、同時に投与するための膣内薬剤放出システムを提供する。
【0019】
本発明の膣内薬剤放出システムは、女性の避妊およびホルモン補充治療の分野において特に好適に用いられる。本発明の膣内薬剤放出システムは、また、女性の自然閉経、閉経周辺期、閉経以後、性機能不全、一次卵胞不全などに伴う疾患、故障および兆候の治療に用いることができる。エストロゲンの量は、内因性エストロゲンの不足に伴う疾患、故障および兆候を治療するのに充分な量であり、ドロスピレノンの量は、エストロゲンの悪影響から子宮内膜を守るのに充分な量である。本発明の膣内薬剤放出システムはさらに、外因性のプロゲストーゲン効果と結びついた内因性の性ステロイドの産生の抑制に起因する子宮内膜症や子宮筋腫の治療に用いることができる。本発明はさらに、雌性の動物のための簡便で高度な適用性を有する薬剤放出システムを提供する。
【0020】
避妊およびホルモン補充治療に加え、本発明は、細菌および真菌の膣感染に対する防御性を与える及び/又は高めること、および、性行為感染症に対する防御性を高めることからなる群より選ばれる少なくとも1つのことを行うための方法であって、本発明の薬剤放出システムを雌性の膣内に配置する工程および該システムを雌性の膣内に長時間保持する工程を包含する方法を提供する。このように、本発明は、独立請求項に記載した薬剤放出システムおよび方法を提供する。
【0021】
発明の詳細な説明
以下、本発明の膣内薬剤放出システムの様々な製造方法を記載した実施例に参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【0022】
本発明の利点は、膣内薬剤放出システムであって、1つまたは2つ以上のコンパートメントを包含し、該1つのまたは各コンパートメントは、芯と該芯を包む膜とを含み、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になるものであって、少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含み、少なくとも1つのコンパートメントはエストロゲンを含み、エストロゲンを含む該少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含む該少なくとも1つのコンパートメントと同一であっても異なっていてもよいことを特徴とするシステムによってもたらされる。本発明のさらなる利点は、該膣内薬剤放出システムであって、少なくとも1つの芯または膜もしくは膜の表面は、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質をさらに含有していることを特徴とするシステムによってもたらされる。
【0023】
本発明の1つの態様においては、膣内薬剤放出システムは芯と該芯を包む膜とを含むただ1つのコンパートメントからなり、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になり、該芯はドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含有し、該膜は細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する。
【0024】
本発明の別の態様においては、膣内薬剤放出システムは芯と該芯を包む膜とを含む少なくとも2つのコンパートメントからなり、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になり、少なくとも1つの芯はドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含有し、1つの芯は上記の治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する。
【0025】
本発明のさらに別の態様においては、膣内薬剤放出システムは芯と該芯を包む膜とを含む少なくとも2つのコンパートメントからなり、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になり、1つの芯はドロスピレノンを含有し、別の1つの芯はエストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含有し、膜もしくは膜の表面または少なくとも1つの芯は、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する。
【0026】
本発明のさらに別の態様においては、膣内薬剤放出システムは芯と該芯を包む膜とを含む少なくとも2つのコンパートメントからなり、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になり、1つの芯はエストロゲンを含有し、別の1つの芯はドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含有し、膜もしくは膜の表面または少なくとも1つの芯は、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する。
【0027】
コンパートメントは、芯と該芯を包む膜とを含むものであるが、芯、膜またはそれら両方の中に、治療的に活性な物質を含有していてもよい。ドロスピレノン、エストロゲンまたはこれらの混合物は、芯の中に存在することが好ましい。膣内薬剤放出システムが細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する場合には、該物質は膜もしくは膜の表面または1つの芯に存在することが好ましい。
【0028】
膣内薬剤放出システムの適切なデザインや構造の任意の組合せは、当然なし得るものであって、本発明の範囲内である。
【0029】
芯は、重合体組成物から実質的になる。即ち、芯は、1種または2種以上の治療的に活性な物質が分散したエラストマーのマトリクスである。したがって、芯を包む膜が損傷しても、治療的に活性な物質が完全に無制御に放出して患者に副作用をもたらすということはない。したがって、芯が含有する重合体組成物は、治療的に活性な物質の放出が主として膜によって制御されるように選択することが好ましい。放出速度は一般に、膜だけで制御することもできるし、膜と芯との両方で制御することもできる。放出速度は主として芯によって制御することもできる。
【0030】
膣内薬剤放出システムが2つまたは3つ以上のコンパートメントからなる態様において、これらコンパートメントは互いに隣接していてもよい。また、これらコンパートメントは、US 4,822,616(Schering AG)、US 4,012,496(Schering AG)、WO 95/00199(Leiras Oy)などに記載されているように、並べて配置してもよいし、重ねて配置してもよい。たとえば、第1のコンパートメントを第2のコンパートメントの上にまたは第2のコンパートメントの表面を取り囲むように配置してもよいし、第1のコンパートメントを第2のコンパートメントの表面の溝の中に配置してもよい。これらコンパートメントの長さは、互いに同一であっても異なっていてもよい。コンパートメント同士は、隔膜または不活性なプラセボコンパートメントによって互いに隔てられていてもよいし、隔てられていなくてもよい。隔膜または不活性なプラセボコンパートメントによって互いに隔てられた複数のコンパートメントを用いることの利点は、活性物質の間の相互作用がないので放出速度をより容易に制御できることにある。
【0031】
膜は、膣内薬剤放出システムの全体を覆っていてもよいし、一部だけを覆っていてもよい。一部だけを覆う場合、覆う広さの程度は、膜に用いる材料の選択や活性物質の選択などの多くの要因に依存する。膜の厚さは、膜に用いる材料や用いる活性物質とともに所望の放出プロファイルに依存するが、通常、膜の厚さは芯の厚さより小さい。
【0032】
膜は、2つ以上の層からなっていてもよい。この場合、1つまたは複数の層は、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有していてもよい。各層はそれぞれ一定の厚さを有するが、層の厚さは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
膜または膜の外表面は、さらに、互いに異なる複数のデザイン、層、孔を有していてもよい。この場合、層または孔の1つは、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有していてもよい。各層はそれぞれ一定の厚さを有するが、層の厚さは互いに同一であっても異なっていてもよい。各孔はそれぞれ一定の深さを有する。デザイン、厚さもしくは材質またはこれらのうちの2つ以上が互いに異なる複数の層を有する膜を用いることは、活性物質の放出速度の制御に関してさらなる可能性を与える。少なくとも1つの芯または膜の表面は、顆粒形、粒子形、結晶形、微結晶形、粉末形、懸濁形などの形状を有する治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有していてもよい。膜に用いる重合体組成物は、治療的に活性な物質を所定の速度で放出することができるものである。
【0034】
芯、膜、および場合によっては隔膜または不活性なプラセボコンパートメントに用いる重合体組成物は、互いに同一であっても異なっていてもよく、単一の重合体でも重合体の混合物でもよい。さらに、重合体組成物は互いに混合された重合体で形成されていてもよい。
【0035】
原則として、重合体は、生物分解性であろうと生物非分解性であろうと、生体適合性である限り、どのようなものでも用いることができる。周知のように、重合体を含有する薬剤放出システムからの治療的に活性な物質の放出の動力学は、治療的に活性な物質の分子量、溶解性、拡散性および電荷、ならびに、重合体の特性、治療的に活性な物質の重合体に対する百分比、治療的に活性な物質がシステム本体を拡散してその表面に達するために必要な移動距離、およびマトリクスや膜の特性に依存する。
【0036】
ポリシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)は、薬剤の透過速度を制御する膜またはマトリクスとして特に好適に用いられる。ポリシロキサンは生理学的に不活性であり、広い範囲の薬剤が、必要な強度特性をも有するポリシロキサン膜を通り抜けることができる。薬剤の透過速度は、重合体材料を適当な方法で変性することによって、たとえば、重合体材料の親水性または疎水性を調節することによって、所望のレベルに調整することができる。たとえば、文献において知られているように、ポリエチレンオキシド基またはトリフルオロプロピル基をPDMSに付加することによって薬剤の透過速度を変えることができる。
【0037】
適切な材料のさらなる例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとの共重合体、エチレン/ビニルアセテート共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、アクリル酸重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリビニルクロライド、ポリビニルアセテート、ポリエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアンハイドライド、ポリオルトエステル、親水性ヒドロゲルなどの親水性重合体、架橋ポリビニルアルコール、ネオプレンゴム、ブチルゴム、硬化触媒の存在下で架橋剤を添加した後に室温で硬化してエラストマーになる、室温加硫型のヒドロキシル末端含有オルガノポリシロキサン、室温または高温下でのヒドロシリル化によって硬化される1成分型または2成分型のジメチルポリシロキサン組成物、およびこれらの混合物。
【0038】
材料の構造上の一体性は、シリカや珪藻土などの粒子状材料の添加によって高めることができる。エラストマーには他の添加剤を混合することもできる。たとえば、添加剤が生体適合性であって患者に無害であることを確認した上で混合することにより、エラストマーの親水性または疎水性を調整することができる。芯または膜も、1つまたは複数の治療用物質の放出速度を調整するためのさらなる材料を含有していてもよい。そのような材料の例として、物質の初期バーストを許容されるレベルまたは所望のレベルに調整するための、シクロデキストリンなどの複合体形成剤が挙げられる。界面活性剤、抗発泡剤、可溶化剤、吸収遅延剤、およびこれらの2種以上の混合物などから選ばれる補助物質も、膣内薬剤放出システムの本体に所望の物性を付与するために添加することができる。さらに、顔料、光沢付与剤、艶消剤、着色剤、雲母またはそれと同等の物質などの添加剤も、膣内薬剤放出システムに所望の外観を与えるために、膣内薬剤放出システムの本体もしくは膜またはその両方に添加することができる。
【0039】
本発明の1つの態様においては、芯と膜とは、少なくとも1つのエラストマーおよび場合によっては架橋されていない重合体を含むシロキサン主体エラストマー組成物で形成されている。
【0040】
「エラストマー組成物」という用語は、単一のエラストマーであって、応力によって変形されても応力が解除された後には一定の程度まで元の形状に戻るものを表すこともある。エラストマー組成物は、互いに混合された2種または3種以上のエラストマーによって形成されていてもよい。
【0041】
「シロキサン主体エラストマー」という用語は、ポリ(2置換シロキサン)であって、置換基が主として低級アルキル基(好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基)またはフェニル基であるものを表す。該アルキル基およびフェニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。この種の重合体の広く用いられる好ましい1例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0042】
エラストマー組成物は、
ポリジメチルシロキサンを含むエラストマー組成物(PDMS)、
シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体エラストマーを含むエラストマー組成物、
ポリアルキレンオキシド基を含むエラストマー組成物であって、該ポリアルキレンオキシ基は、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態またはこれらが混合した形態で存在している組成物、および
上記のうちの少なくとも2種の混合物
からなる群より選ばれるものであってもよい。
【0043】
本発明の1つの好ましい態様においては、シロキサン主体エラストマーにおいて、シロキサン単位のケイ素原子に結合した置換基の1〜約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基である。置換基における3,3,3−トリフルオロプロピル基の百分率は、5〜40%、10〜35%、1〜29%、15〜49.5%などであってもよい。この種の重合体であって、ケイ素原子に結合したメチル置換基の約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換されているものが、市販されている。「約50%」とは、3,3,3−トリフルオロプロピル基による置換の程度が実際には50%をやや下回ることを意味する。これは、重合体はビニル基やビニル末端基などの架橋性基を一定量(置換基の約0.15%)含まなければならないからである。
【0044】
本発明の1つの特に好ましい態様においては、シロキサン主体エラストマーはポリアルキレンオキシド基を含有し、該ポリアルキレンオキシド基はエラストマーにおいて、ポリシロキサン単位のアルコキシ末端含有グラフトまたはブロックの形態で存在しており、該グラフトおよびブロックはケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合している。好ましくは、該ポリアルキレンオキシド基はポリエチレンオキシド(PEO)基である。芯または膜を形成する重合体組成物において、ポリアルキレンオキシド基を含むポリシロキサン(たとえば、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトまたはブロックの形態でポリエチレンオキシド基を含むポリジメチルシロキサン(PEO−b−PDMS))の量は、重合体の総量の0〜80%であってよいが、当然、もっと多くてもよい。
【0045】
適切なエラストマーを製造する方法については、たとえば、WO 00/00550、WO 00/29464および WO 99/10412(いずれも Leiras Oy が保有)に記載されている。
【0046】
治療的に活性なまたは健康を増進する物質が、Lactobacillus 種、生物分解性重合体(たとえばヒドロゲル)などの比較的大きい分子である場合には、膜またはマトリクスの材料として特に好適である。
【0047】
ドロスピレノンに加えて、避妊を達成するのに充分な、または、ホルモン補充治療に役立つのに充分なプロゲストーゲン様活性を有する治療的に活性な任意の物質を用いることができる。適切なプロゲストーゲン化合物の例として、シプロテロンアセテート、デソゲストレル、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロキシプロゲステロンアセテート、ノレチステロン、ノレチステロンアセテート、ノルゲスチメート、ゲストデンなどの化合物が挙げられる。
【0048】
本発明においては、ドロスピレノンの代わりに、ドロスピレノンのエステルまたはプロドラッグ、たとえば WO 98/24801 に開示されているオキシイミノプレグナンカルボラクトンを用いてもよい。
【0049】
エストロゲンは、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストラジオールエステル、エストラジオールヘミハイドレート、エストラジオールサルファメート、エストロン、エストリオール、エストリオールサクシネートおよび結合型エストロゲンからなる群より選ばれてもよい。エストラジオールエステルは、エストラジオールバレレート、エストラジオールベンゾエート、エストラジオールサクシネートなどである。結合型エストロゲンは結合型エキンエストロゲンなどであって、該結合型エキンエストロゲンは、エストロンサルフェート、17β−エストラジオールサルフェート、17α−エストラジオールサルフェート、エキリンサルフェート、17β−ジヒドロエキリンサルフェート、17α−ジヒドロエキリンサルフェート、エキレニンサルフェート、17β−ジヒドロエキレニンサルフェート、17α−ジヒドロエキレニンサルフェート、およびこれらの混合物などである。特に興味深いエストロゲンは、エストラジオール、エストラジオールバレレート、エストラジオールサクシネート、エストラジオールベンゾエート、エストラジオールヘミハイドレート、エストラジオールサルファメート、エストロン、エストロンサルフェート、およびこれらの混合物からなる群より選ばれる。最も好ましい化合物は、エチニルエストラジオール、エストラジオール、エストラジオールヘミハイドレート、エストラジオールサクシネート、エストラジオールバレレートまたはエストラジオールベンゾエートである。
【0050】
適切な治療的に活性な物質のさらなる例として、細菌および真菌の感染及び/又は性行為感染症の治療及び/又は予防に用いることができる化合物が挙げられるが、これに限定されない。該化合物の例として、抗微生物物質、抗細菌物質(メトロニダゾール、クリンダマイシン、アンピシリン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンなど)、抗ウイルス物質(アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、サキナビル、バラシクロビル、AZTなど)、各種の抗生物質、抗真菌物質(たとえば、イトラコナゾール、ミコナゾール、ターコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ブトコナゾール、エコナゾールなどのコナゾール誘導体、クロトリマゾール、メトロニダゾール、クリンダマイシンおよび5−フルオロウラシル)、抗炎症物質が挙げられる。
【0051】
「健康を増進する物質」とは、健康を支える物質、健康を高める物質、または広く、健康を維持及び/又は改善するために、もしくは、病気を治療及び/又は防止するために用いられ、もしくは用いることのできる、純物質もしくは混合物質を意味する。このような物質の例として、ビタミン、ミネラル、酵素、補酵素、補因子、微生物、有機酸、プロバイオティック細菌、殺精子剤、洗浄剤、界面活性剤、天然物から抽出される分子(アミノ酸、多糖、ペプチド、天然ホルモン、生化学中間物質など)、化学的または生物学的手法によって合成される天然の分子など、広範囲のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
好ましい物質として、膣における生理学的な環境を維持し安定化させるために特に用いることができる化合物が挙げられるが、これに限定されない。このような化合物の例として、天然アミノ酸、乳酸、ポリ乳酸、グリコール酸、ポリグリコール酸、カーボポール、ポリカルボフィル、アスコルビン酸、D−パントテン酸、葉酸、葉酸還元物、フマル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、アルギン酸、ソルビン酸、酒石酸、エデト酸、これらの酸の塩、ニコチンアミド、Bifidobacterium 株、Lactobacillus 種、オクトキシノール−9、クロルヘキシジン、塩化ベンズアルコニウム、ノノキシノール−9、カラギーナン、シアノビリン−N、フゼオン、ヒドロキシエチルセルロース、メンフェゴール、デキストランサルフェート、シクロデキストリン誘導体、および上記のうちの少なくとも2種の混合物が挙げられる。葉酸および葉酸還元物の例としては、特にテトラヒドロ葉酸および葉酸代謝物、好ましくは5−メチル−6(S)−テトラヒドロ葉酸およびその塩、特にアルカリ土類金属塩、好ましくはカルシウム塩(メタフォリン)が挙げられる。Lactobacillus 種の例としては、Lactobacillus reuteriLactobacillus reuterii RC-14、Lactobacillus delbrueckiiLactobacillus gasseriLactobacillus jenseniiLactobacillus catenaformeLactobacillus paracaseiLactobacillus paracasei Lbp PB01、Lactobacillus caseiLactobacillus acidophilusLactobacillus acidophilus Lba EB01、Lactobacillus acidophilus Lba EB02、Lactobacillus crispatusLactobacillus crispatus CTV05、Lactobacillus salivariusLactobacillus brevisLactobacillus fermentumLactobacillus fermentum RC-14、Lactobacillus fermentum B-54、Lactobacillus plantarumLactobacillus plantarum Lbpl PB02、Lactobacillus Lbxx EB03、Lactobacillus Lbxx PB03、Lactobacillus rhamnosusLactobacillus rhamnosus GR-1、さらに、実質的に同一の性質を有する Lactobacillus の他の属または株が挙げられる。
【0053】
膣内薬剤放出システムに含まれる治療的に活性な物質の量は、用いる物質の種類、用途、期待される放出速度、および膣内薬剤放出システムが治療を提供すると期待される時間に依存する。種々の投与量で薬剤を投与するために様々な大きさを有する様々なシステムを製造することができるのであるから、膣内薬剤放出システムに含まれる治療的に活性な物質の量には絶対的な上限はない。治療的に活性な物質の量の下限は、治療的に活性な物質の活性度および期待される放出時間に依存する。当業者であれば、膣内薬剤放出システムの個々の特定の用途に応じて、治療的に活性な物質の必要量を容易に決定することができる。
【0054】
芯に含まれる治療的に活性な物質の量は、好ましくはほぼ0から60重量%までであり、治療的に活性な物質が重合体に混合される場合には、10〜40重量%が好ましい。治療的に活性な物質の量の他の可能な範囲は、0.5〜60重量%、5〜55重量%、10〜50重量%、25〜60重量%、40〜50重量%および15〜35重量%である。膜に含まれる治療的に活性なまたは健康を増進する物質の量は、ほぼ0から20重量%までであり、好ましくは1〜20重量%である。治療的に活性な物質の量の他の可能な範囲は、0.5〜15重量%、1〜10重量%、5〜20重量%および8〜15重量%である。
【0055】
治療すべき特定の病態および特定の人のために用いる治療的に活性な物質の毎日の投与量は、本発明の膣内薬剤放出システムを用いて、特に、マトリクスもしくは膜またはそれらの両方である重合体組成物を、たとえばポリシロキサンエラストマーが適正量のポリアルキレンオキシド基を含むように適宜変性することによって、達成することができる。エラストマーにおけるこのような基の含有量の増加は、薬剤の透過性を高める。エラストマーの変性に加えて、システムの大きさや形状、薬剤の量などの他の変数も、システムからの毎日の放出量に影響する。各々の組合せのための最適の変数を発見するために、過度ではないがいくらかの実験が必要であろう。
【0056】
膣内に放出する場合は、全身投与の場合における必要量より有意に少ない投与量で充分である。これらのより少ない投与量は、1日当たりの経口標的投与量と薬理学的に同等の範囲になければならない。毎日の経口投与量、即ち避妊に必要な1日当たりの放出量は、ドロスピレノンについては1〜5mg、エチニルエストラジオールについては0.005〜0.050mg、エストラジオールについては0.050〜0.200mgである。ドロスピレノンについては、1日当たりの放出量は、好ましくは2.0〜3.5mg、より好ましくは3mgである。ホルモン治療の場合には、1日当たりの放出量は、ドロスピレノンについては0.1〜10mg、エチニルエストラジオールについては0.001〜0.100mg、エストラジオールについては0.010〜0.500mgである。
【0057】
Lactobacillus 種については、泌尿生殖器官系への用途における治療上の細胞カウントに関する公認された要求範囲はない。膣内への用途においては、細胞カウントはシステム1個当たり106〜109cfuでよいであろうが、もっと高くてもよいであろう。
【0058】
膣内薬剤放出システムの用途に応じて、ドロスピレノンおよびエストロゲンの期待される放出時間は1週間ないし複数月に亘る。たとえば、1週間〜12ヶ月、好ましくは1週間〜6ヶ月、より好ましくは21日〜3ヶ月である。さらなる治療的に活性なまたは健康を増進する物質の放出時間は、より短くて1日ないし3ヶ月であってよく、好ましくは1日〜1ヶ月、より好ましくは1日〜3週間である。
【0059】
本発明の膣内薬剤放出システムは、女性の避妊、ホルモン補充治療、さらには、女性の自然閉経、閉経周辺期、閉経以後、性機能不全、一次卵胞不全などに伴う疾患、故障および兆候の治療、ならびに、内因性エストロゲンの不足に伴う故障および兆候の治療において特に好適に用いられる。本発明の膣内薬剤放出システムはさらに、外因性のプロゲストーゲン効果と結びついた内因性の性ステロイドの産生の抑制に起因する子宮内膜症や子宮筋腫の治療に用いることができる。
【0060】
好ましくは、本発明の膣内薬剤放出システムは、避妊またはホルモン補充治療及び/又はエストロゲンの悪影響からの子宮内膜の防御のための充分に高い毎日の投与量のドロスピレノンと組み合わせて、エストロゲン、特にエストラジオール、エストラジオール誘導体またはエチニルエストラジオールを投与することに用いられる。
【0061】
膣内薬剤放出システムは、所望により、好ましくは葉酸、葉酸還元物および Lactobacillus 株からなる群より選ばれる少なくとも1種の治療的に活性なまたは健康を増進する物質を含有する。葉酸および葉酸還元物の例としては、テトラヒドロ葉酸および葉酸代謝物、たとえば5−メチル−6(S)−テトラヒドロ葉酸およびその塩、特にカルシウム塩(メタフォリン)が挙げられる。Lactobacillus 種の例としては、特に Lactobacillus reuteriLactobacillus reuterii RC-14、Lactobacillus gasseriLactobacillus paracaseiLactobacillus paracasei Lbp PB01、Lactobacillus acidophilusLactobacillus acidophilus Lba EB01、Lactobacillus acidophilus Lba EB02、Lactobacillus crispatus CTV05、Lactobacillus fermentum RC-14、Lactobacillus fermentum B-54、Lactobacillus plantarumLactobacillus plantarum Lbpl PB02、Lactobacillus Lbxx EB03、Lactobacillus Lbxx PB03、Lactobacillus rhamnosus および Lactobacillus rhamnosus GR-1 が挙げられる。
【0062】
Lactobacillus のゆっくりとした放出は、月経終了時に膣内薬剤放出システムを挿入した後で行われる。こうして、このような健康を増進する物質を用いるための最も好ましい時間、および最適の治療効果が提供される。さらに、これらの物質のこのような周期的な使用が、最も効果的で最も臨床に適する使用であろう。
【0063】
システムの製造
本発明の膣内薬剤放出システムは、任意の公知の方法によって製造することができる。治療的に活性な物質は、芯または膜の材料に混合し、成形、射出成形、回転/射出成形、注入成形、押出(たとえば、同時押出、被覆押出、及び/又は混合押出)、または他の適切な方法を用いて成形することによって所望の形状に仕上げることができる。膜層は、公知の方法を用いて芯を覆うようにできる。たとえば、概成した管状の膜を加圧ガス(たとえば空気)を用いて物理的に伸長または伸展させることによって芯を覆うこともできるし、適切な溶媒(たとえばシクロヘキサン、ジグリム、プロパノール、イソプロパノールまたは溶媒混合物)の中で膨潤させることによって芯を覆うこともできるし、押出、成形、噴霧または浸漬によって芯を覆うこともできる。芯及び/又は膜の表面または1つの膜は、公知の方法を用いて、治療的に活性なまたは健康を増進する物質の顆粒、粒子、結晶、微結晶、粉末または懸濁液によって、包まれ、塗布され、振りかけられ、または滑らかにされる。そのような公知の方法の例として、該物質を適当な溶媒に懸濁させた液を放出システムの全体または一部(即ち、芯またはコンパートメント)に噴霧する方法や、そのような懸濁させた液に放出システムを浸漬させる方法を挙げることができる。治療的に活性なまたは健康を増進する物質はまた、公知の担体材料(たとえば、シリコーンオイル、ハードファットまたは他のカプセル化材料)に混合または懸濁させ、得られた混合液または懸濁液を、芯もしくは膜の表面に、または芯の表面に形成された溝に塗布し、必要があれば最後に外膜で覆ってもよい。
【0064】
特に好適な製造方法は、フィンランド国特許 FI 97947 に開示されている。この特許は、活性物質を含有する概成した棒を外膜によって覆うという押出技術を開示している。治療的に活性な物質は、芯のマトリクスである重合体組成物に混合され、公知の押出方法を用いて所望の形状および大きさに仕上げられる。その後、概成した芯を膜層で覆うことができる。これは、たとえば、該芯を押出装置に導入し、その後、別の芯または活性物質を含有しない芯(即ちプラセボコンパートメント)もしくは空気を満たした空のスペース(押出中は隔膜を形成するための膜材料に満たされている)を導入することによって行われる。薬剤を含有する芯と膜層とを、同時押出によって同時に製造することもできる。
【0065】
上記の方法によって得られる、芯または膜に包まれた芯を含む繊維または紐は、必要な長さを有する複数の小片に切り分けられ、各小片は任意の適切な方法によって膣に配置するのに適する形状、大きさおよび適合性を有するものに仕上げることができる。コンパートメントの大きさおよび長さは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。膣内薬剤放出システムが2つまたは3つ以上のコンパートメントからなる場合は、これらコンパートメントは互いに隣接するように配置してもよいし、並べて配置してもよいし、重ねて配置してもよい。第1のコンパートメントを、第2のコンパートメントの上にまたはその表面の上に配置してもよいが、これは特に第1のコンパートメントが第2のコンパートメントより小さい場合に行われる。第1のコンパートメントを、第2のコンパートメントの表面を取り囲むように配置してもよいし、第2のコンパートメントの表面の溝の中に配置してもよい。コンパートメント同士は、隔膜または不活性なプラセボコンパートメントによって互いに隔てられていてもよいし、隔てられていなくてもよい。膣内薬剤放出システムは様々な形状をとることができる。たとえば、環状(annular)、リング形、卵形、渦巻状、楕円形、環状(toroidal)などの各種の連続的な曲がった形状をとることができる。膣内薬剤放出システムの断面は、ほとんどどのような形状でもとることができ、円形、卵形、平坦状、楕円形、星形などの形状をとることができる。
【0066】
連結手段を用いて繊維またはセグメントの末端同士を連結することによって、膣内薬剤放出システムを形成することができる。この形成のためには、材料や構造体を接着または結合させるための公知の任意の方法、機構、装置および材料を用いることができる。連結の方法には、溶媒接着、接着剤結合、加熱融合、加熱結合、圧力を用いる方法などが含まれる。溶媒を用いる場合、セグメントの末端を、セグメントの末端の表面を粘着性にする有機溶媒で湿らせる。これにより、セグメントの末端の表面同士は、互いに接触すると、互いに結合・接着して流体密に一体化する。繊維の末端同士は、接着剤または封止剤を少なくとも1つのセグメントの末端に塗布してから末端同士を接触させる方法、繊維を高温(たとえば、約40℃を越える温度)の金型に入れ、溶融した高密度ポリエチレンを繊維の末端同士の間に射出し、形成されたリングを冷却する方法、または繊維の末端同士を溶接によって結合させる方法によって、互いに結合させることができる。
【0067】
管状コンパートメントは、活性物質を通過させない不活性で生体適合性を有する材料で形成されたプラグまたはストッパーを用いて、閉じたシステムに結合させることができる。適切な不透過性材料の例として、金属(金、銀、銀合金など)、ガラスまたはセラミック材料、および適当な重合体を挙げることができる。所望により、プラグまたはストッパーのコンパートメントへのよりよいシーリングまたは接着のために、生体適合性を有する接着剤を用いることができる。
【0068】
膣内薬剤放出システムは、生体適合性を有し且つ膣を取り巻く環境の下で充分な時間変化しないままである材料で形成された、実質的に不活性な支持手段を有していてもよい。ここで言う「実質的に不活性」とは、活性物質が、どのような実質的程度においても、芯から支持手段へ、拡散したりその他の仕方で移動したりすることがあり得ないことを意味する。適切な支持手段の例として、架橋ゴム(天然ゴム、ブチルゴム、ポリジメチルシロキサンエラストマーなど)、可撓性熱可塑性樹脂(エチルビニルアセテート(EVA)など)、熱可塑性重合体(スチレン共重合体、ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィンなど)および不活性で生体適合性を有する金属が挙げられる。
【0069】
支持手段は、簡単な公知の方法によって製造することができる。適切な重合体材料は、たとえば、金型に入れて圧縮してもよいし、押し出すことによって適切な直径を有する棒状部材を形成し、押出物を適切な長さを有する小片に切り分け、加硫することによって所望の、実質的に環状の物を得てもよい。支持手段は、中実の材料で形成されていてもよい、中空の材料で形成されていてもよい。
【0070】
1つまたは2つ以上のリングセクション、膜または芯は、層または被覆の形状を有する、概成した閉じた連続な支持手段の上に形成される。薬剤を含有する芯は、たとえば、細かく砕かれた(または微細化された)活性物質を重合体組成物に混合して懸濁液を形成し、この懸濁液を公知の方法(噴霧、浸漬、多重色相射出成形技術など)を用いて支持手段の上に層となるように塗布し、公知の方法を用いて加硫することによって製造される。1つまたは複数の膜は同様の方法で製造できる。
【0071】
一方、中空のスリーブ状の1つまたは複数の芯は、棒状の支持手段の上に載せられる。これは、好ましくは、まず直径をある程度拡大させ、その後、芯を支持手段の表面を滑らせて配置するか、支持手段を中空の芯に挿入することによって行われる。芯がシリコーンを主体とする重合体または架橋ゴムである場合には、直径の拡大は、たとえば、適当な有機溶媒中で膨潤させ、得られた膨潤物を支持手段の上に載せることによって行うことができる。溶媒が蒸発すれば、芯は支持手段に密着する。別の方法では、管状の芯は、適当な装置またはたとえば加圧ガスを用いて機械的に伸長し、伸長した状態で支持手段に載せることもできる。伸長力がなくなれば、スリーブ状の物体は、支持手段に密着する。1つまたは複数の膜は、たとえば溶媒膨潤または機械的伸長によって、適当な重合体の管を個々の芯または棒状の放出システムの上に載せることによって形成することができる。最後に、このようにして得られた棒または紐の末端同士を公知の技術を用いて結合する。
【0072】
本発明の膣内薬剤放出システムは、要求される任意の大きさに製造することができる。正確な大きさは、哺乳類の種類および用途に依存する。実用上、ヒトの雌性については、リングの外径は、典型的には35〜70mm、好ましくは35〜58mmまたは45〜65mm、より好ましくは50〜58mmである。断面直径は、典型的には1〜10mmである。断面直径は、特定の態様においては2〜6mm、さらに特定の態様においては約3.0〜5.5mm、さらに特定の態様においては約3.5〜4.5mm、さらに特定の態様においては4.0〜5.0mmである。
【0073】
膣内薬剤放出システムの芯の長さは、要求される性能を発揮するように選択される。芯同士の長さの比は、治療の用途(放出される薬剤の所望の量比および投与量を含む)に依存する。薬剤を含有するコンパートメントの長さは、たとえば3〜160mmであってよく、膣内薬剤放出システムの全長までの長さであってもよい。薬剤を含有する芯を隔てる各プラセボコンパートメントの長さは、通常は2〜110mmであってよく、材料の性質や活性物質の透過を防止する能力に依存する。最も理想的には、プラセボコンパートメントは活性物質同士が混ざり合うことを完全に防止するものであって、そうでなければ放出パターンが乱される恐れがある。
【0074】
隔膜の厚さは、約0.2〜5mmであってよい。活性物質を含有する層の厚さは、0.1〜5.0mmであってよく、好ましくは0.2〜3.5mmである。膜の厚さは、0.1〜1.0mmであり、好ましくは0.2〜0.6mmである。
【0075】
薬剤放出試験
放出システムからの薬剤の放出速度を in vitro で以下のようにして測定する。
ステンレススチール製のホルダーに放出システムを垂直に取付け、ホルダーと放出システムを、250ml以下の溶媒を含むガラス瓶に入れる。ガラス瓶を振動水槽にて100rpm、37℃で振動させる。所定の時間間隔を置いて溶媒を抜き出して、新鮮溶媒で置換し、放出された薬剤の量を標準HPLC法で分析する。溶媒濃度と溶媒交換(抜き出しと置換)の時間間隔は、試験中にシンク条件を維持するように選択する。サンプリング頻度は、溶媒中のシンク条件を維持するように選択する。
【0076】
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。期待されるレベルの放出速度測定結果が得られる。
【0077】
実施例で用いる放出システムは、本願明細書に記載される公知の標準的手法により作製する。治療的に活性な物質を重合体組成物と混合し、公知の方法で所望の形状に成形する。膜を製造し、公知の方法で芯の表面に取り付ける。膜を芯に取り付ける公知の方法としては、たとえば、管状に概成した膜を好適な溶媒(たとえばプロパノール、イソプロパノール)の中で膨潤させる方法や、フィンランド国特許 FI 97947 に記載される被覆押出又は同時押出法が挙げられる。後者の方法は、芯を押出機に供給し、その後に空気を満たした空のスペースを供給するか、活性物質を含まない別の芯を供給する。得られた棒状成形品(芯と膜からなる)の末端をプラグや封止剤を用いて接合する。シリカが充填剤として好ましく用いられる。
【実施例1】
【0078】
ドロスピレノン、エストラジオールおよびテトラヒドロ葉酸を同時に投与するための放出システム。
【0079】
目標放出速度1.6mg/日のドロスピレノンと目標放出速度120μg/日のエストラジオールを含有する放出システムを作成する。ドロスピレノンを含有する芯はPEO−b−PDMS共重合体(重合体の総量の25重量%)とPDMSとを含む組成物からなり、芯の長さは100mmである。エストラジオールを含有する第2の芯はPEO−b−PDMS共重合体(重合体の総量の24重量%)とPDMSからなり、芯の長さは25mmである。芯の外径は3.0mmである。薬剤を含有する芯を隔てるために加えた2つのプラセボコンパートメントはPDMSからなり、それらの長さはそれぞれ20mmと25mmである。芯におけるドロスピレノンとエストラジオールの量はそれぞれ40重量%と18重量%である。4重量%のテトラヒドロ葉酸を含有する膜を、PEO−b−PDMS共重合体(15重量%)とPDMS(85重量%)から製造する。管状膜の壁部は0.25mm、内径は2.85〜2.9mm、外径は3.35〜3.4mmである。芯と管状膜は押出によって製造する。膜を初めにプロパノール中で膨潤させることにより、芯を膜で包む。放出システムの末端をポリエチレンプラグを用いて接合して環状にする。
【実施例2】
【0080】
ドロスピレノン、エストラジオールヘミハイドレートおよびポリ乳酸を同時に投与するための放出システム。
【0081】
目標放出速度5.0mg/日のドロスピレノンと目標放出速度150μg/日のエストラジオールヘミハイドレートを含有する放出システムを作成する。ドロスピレノン(38重量%)を含有する第1の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の45重量%)とPDMSからなり、芯の長さは130mmである。エストラジオール(20重量%)を含有する第2の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の40重量%)とPDMSからなり、芯の長さは10mmである。芯の外径は3.6mmである。PDMSからなる不活性芯を加えて全長180mmの棒にする。PEO−b−PDMS/PDMS(比率60:40)からなり、10重量%ポリ乳酸を含有する膜で芯部材を包む。同時押出法により、概成した芯に膜層を適用する。薬剤を含有する芯の間に挿入される3mmの空のスペースは、製造中に膜材料で満たし、こうして隔膜を形成する。膜壁の厚さは0.3mm、管の内径は3.4mm、外径は4.0〜4.05mmである。
【実施例3】
【0082】
ドロスピレノンとエストラジオールを同時に投与するための放出システム。
【0083】
目標放出速度3.0mg/日のドロスピレノンと目標放出速度100μg/日のエストラジオールを含有する放出システムを作成する。ドロスピレノン(35重量%)を含有する第1の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の41重量%)とPDMSからなり、芯の長さは130mmである。エストラジオール(18重量%)を含有する第2の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の25重量%)とPDMSからなり、芯の長さは10mmである。芯の外径は3.6mmである。PDMSからなる不活性芯を加えて全長170mmの棒にする。PEO−b−PDMS/PDMS(比率35:65)からなる膜で芯部材を包む。同時押出法により、概成した芯に膜層を適用する。薬剤を含有する芯の間に挿入される3mmの空のスペースは、製造中に膜材料で満たし、こうして隔膜を形成する。膜壁の厚さは0.35mm、管の内径は3.45mm、外径は4.15〜4.2mmである。
【実施例4】
【0084】
ドロスピレノン、エチニルエストラジオールおよび Lactobacillus を同時に投与するための放出システム。
【0085】
目標放出速度0.5mg/日のドロスピレノンと目標放出速度20μg/日のエチニルエストラジオールを含有する放出システムを作成する。ドロスピレノン(28重量%)を含有する第1の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の34重量%)、PDMSおよびシリカからなり、芯の長さは80mmである。エチニルエストラジオールを含有する第2の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の10重量%)とPDMSからなり、芯の長さは15mmである。これらの芯を、シロキサンのケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基(トリフルオロプロピル置換度49.5%)を含有するシロキサン主体エラストマーからなる不活性プラセボ芯で隔てる。プラセボ芯の長さはそれぞれ10mmと60mmである。芯の外径は2.6〜2.7mmである。PEO−b−PDMS/PDMS(比率10:90)からなる膜で芯を包む。膜壁の厚さは0.32mm、管の内径は2.35mm、外径は約3mmである。放出システムの末端をシリコンのりを用いて接合して、閉じた環状システムを形成する。膜の外表面に Lactobacillus acidophilus の薄層を塗布する。
【実施例5】
【0086】
ドロスピレノン、エチニルエストラジオールおよび複数の Lactobacillus 株の組み合わせを同時に投与するための放出システム。
【0087】
ドロスピレノン(30重量%)を含有する第1の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の34重量%)、PDMS(重合体の総量の34重量%)およびシリカからなり、芯の長さは170mmである。PEO−b−PDMS/PDMS(比率50:50)からなる膜で芯を包む。膜壁の厚さは0.45mm、膜で包まれた芯の外径は4.9mmである。膜−芯システムの末端を接着剤を用いて接合して、閉じた放出システムを形成する。第2の芯は、PDMS膜で包まれたエチニルエストラジオールのディスクを含む。芯の直径は4mm、厚さは2mmである。膜壁の厚さは0.4mmである。この第2の芯をドロスピレノンのリングの表面に接着剤で固定する。最後に、放出システムを、Lactobacillus gasseri の粒子と Lactobacillus rhamnosus GR-1 の粒子の混合物をハードファット(Witepsol(登録商標))中に懸濁させた懸濁液で軽く被覆して、薄い塗膜を形成する。平均放出速度は、ドロスピレノンが2mg/日で、エチニルエストラジオールが14μg/日である。
【実施例6】
【0088】
ドロスピレノン、エチニルエストラジオールおよび Lactobacillus を同時に投与するための放出システム。
【0089】
目標放出速度2.5mg/日のドロスピレノンと目標放出速度15μg/日のエチニルエストラジオールを含有する放出システムを作成する。ドロスピレノン(30重量%)を含有する第1の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の45重量%)およびPDMSからなり、芯の長さは120mmである。エチニルエストラジオール(10重量%)を含有する第2の芯はPDMSからなり、芯の長さは20mmである。芯の外径は3.5mmである。PDMSからなる不活性芯(それぞれ8mm、10mm)を加えて、薬剤を含有する芯を隔てる。PEO−b−PDMS/PDMS(比率30:70)からなる膜で芯部材を包む。膜壁の厚さは0.3mm、管の内径は3.3〜3.35mm、外径は3.9〜3.95mmである。放出システムの末端をガラスプラグを用いて接合して、閉じたシステムを形成する。最後に、放出システムを、Lactobacillus reuterii RC-14 の懸濁液に浸漬して薄い塗膜を形成する。
【実施例7】
【0090】
ドロスピレノン、エストラジオールヘミハイドレートおよび Lactobacillus を同時に投与するための放出システム。
【0091】
ドロスピレノン(10重量%)を含有する第1の芯はPEO−b−PDMS(重合体の総量の36重量%)、PDMS(重合体の総量の30重量%)およびシリカからなり、芯の長さは160mmである。エストラジオールヘミハイドレート(10重量%)を含有する第2の芯はPDMSからなる。長さ160mm、直径2mmの芯を、ドロスピレノンを含有する芯の内表面に接合する。芯をPEO−b−PDMS/PDMS(比率55:45)からなる膜で包む。膜壁の厚さは0.45mm、膜で包まれた芯の外径は4.9mmである。膜−芯システムの末端をシリコーン接着剤を用いて接合して、閉じた放出システムを形成する。Lactobacillus reuterii RC-14 の粒子をハードファット(Witepsol(登録商標))中に懸濁させる。得られた懸濁液の20mg(これの10重量%は、凍結乾燥 Lactobacillus と賦形剤(たとえばリオプロテクタント)を放出システムの表面の溝に機械的に取付ける。平均放出速度は、ドロスピレノンが3mg/日で、エストラジオールが70μg/日である。Lactobacillus の放出速度は106cfuである。
【0092】
本発明を特定の態様と用途に関して説明したが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することも、本願請求の範囲を越えることもなく、上記の記載に基づいて、さらなる態様を加えたり変更を行なったりすることができる。したがって、上記の記載は、本発明の理解を容易にするために例を挙げて説明したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】膣内薬剤放出システムである。該システムは、活性物質を含有しない支持リング(1)または治療的に活性な物質を含有する第1コンパートメント(1)、支持リング(1)または第1コンパートメント(1)の外表面を被覆し且つ治療的に活性な物質を含有する第2コンパートメント(2)、および、該システムの全部または一部を包む膜(膜層)(3)を包含する。支持リング(1)または第1コンパートメント(1)は、少なくとも環状表面の部分に、対応する第2コンパートメント(2)に契合するように構成される溝を有していてもよい。
【図2a】2つのコンパートメント(4)および(5)を包含する膣内薬剤放出システムである。2つのコンパートメント(4)および(5)は、一方の上に他方が重ねられるように配置されている。コンパートメント(4)は、少なくとも環状表面の部分に、対応するコンパートメント(5)に契合するように構成されている溝を有している。各コンパートメントは、膜(3)に包まれていてもよい。コンパートメント(4)を包む膜とコンパートメント(5)を包む膜とは、同一であっても異なっていてもよい。
【図2b】図2aに記載の膣内薬剤放出システムの断面のいくつかの例である。
【図3】膜(3)に包まれた2つのコンパートメント(4、5)を包含する膣内薬剤放出システムである。2つのコンパートメントは互いに隣接して配置されている。
【図4】膜(3)に包まれた3つのコンパートメント(4、5、6)を包含する膣内薬剤放出システムである。コンパートメント(4)は隔膜(a、b)によって他のコンパートメント(5、6)と隔てられ、コンパートメント(5)とコンパートメント(6)とは互いに隣接して配置されている。
【図5】膜(3)に包まれた3つのコンパートメント(4、5、6)を包含する膣内薬剤放出システムである。不活性なプラセボコンパートメント(c)は、コンパートメント(4)とコンパートメント(6)とを隔てる。コンパートメント(4)とコンパートメント(5)とは互いに隣接して配置されており、コンパートメント(5)とコンパートメント(6)とは互いに隣接して配置されている。この態様において、3つのコンパートメント(4、5、6)は、治療的に活性な物質を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。各コンパートメントに含まれる治療的に活性な物質は、同一であっても異なっていてもよい。
【図6】芯(7)と該芯を包む膜(3)とを包含する膣内薬剤放出システムの一般的形態である。
【図7】芯(8)と該芯を包む膜(3)と不活性な支持手段(9)とを包含する膣内薬剤放出システムの別の一般的形態である。
【図8】2つのコンパートメント(4、5)を包含する膣内薬剤放出システムの一般的形態である。コンパートメント(5)は、コンパートメント(4)を囲んでいる。各コンパートメントはさらに、膜に包まれていてもよい。コンパートメント(4)を包む膜とコンパートメント(5)を包む膜とは、同一であっても異なっていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に活性な物質またはそのプロドラッグを長時間に亘って制御放出するための膣内薬剤放出システムであって、該システムは、少なくとも1つのコンパートメントを包含し、該1つのまたは各コンパートメントは、芯と該芯を包む膜とを含み、該芯と該膜とは互いに同一または異なる重合体組成物から実質的になるものであって、少なくとも1つのコンパートメントはドロスピレノンを含み、少なくとも1つのコンパートメントはエストロゲンを含み、エストロゲンを含む該少なくとも1つのコンパートメントは、ドロスピレノンを含む該少なくとも1つのコンパートメントと同一であっても異なっていてもよいことを特徴とするシステム。
【請求項2】
1つのコンパートメントがドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項3】
細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の物質を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項4】
該システムがドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含む1つのコンパートメントから実質的になり、該膜が、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の物質を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項5】
該システムがドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含む1つのコンパートメントから実質的になり、該芯が、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の物質を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項6】
該システムが2つまたは3つ以上のコンパートメントから実質的になり、
少なくとも1つのコンパートメントがドロスピレノンを含み、且つ、別の1つのコンパートメントがエストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含むか、
少なくとも1つのコンパートメントがエストロゲンを含み、且つ、別の1つのコンパートメントがドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含むかのどちらかであって、
少なくとも1つの芯の膜が、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の物質を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項7】
該システムが2つまたは3つ以上のコンパートメントから実質的になり、
少なくとも1つのコンパートメントがドロスピレノンを含み、且つ、別の1つのコンパートメントがエストロゲンまたはドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含むか、
少なくとも1つのコンパートメントがエストロゲンを含み、且つ、別の1つのコンパートメントがドロスピレノンとエストロゲンとの混合物を含むかのどちらかであって、
コンパートメントの少なくとも1つが、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する少なくとも1種の物質を含むことを特徴とする、請求項3に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項8】
該エストロゲンが、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストラジオールエステル、エストラジオールヘミハイドレート、エストラジオールサルファメート、エストリオールサクシネートおよび結合型エストロゲンからなる群より選ばれ、該結合型エストロゲンは結合型エキンエストロゲンなどであって、該結合型エキンエストロゲンは、エストロンサルフェート、17β−エストラジオールサルフェート、17α−エストラジオールサルフェート、エキリンサルフェート、17β−ジヒドロエキリンサルフェート、17α−ジヒドロエキリンサルフェート、エキレニンサルフェート、17β−ジヒドロエキレニンサルフェート、17α−ジヒドロエキレニンサルフェート、およびこれらの混合物などであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項9】
該エストロゲンが、エストラジオール、エストラジオールヘミハイドレート、エストラジオールバレレート、エストラジオールサクシネート、エストラジオールベンゾエート、エチニルエストラジオールまたはエストラジオールサルファメートであることを特徴とする、請求項8に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項10】
細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する該物質が、抗微生物物質、抗真菌物質、抗細菌物質、抗ウイルス物質、ビタミン、ミネラル、酵素、補酵素、補因子、微生物、有機酸、プロバイオティック細菌および天然物から抽出される分子からなる群より選ばれ、該天然物から抽出される分子は、アミノ酸、多糖、ペプチド、天然ホルモン、生化学中間物質などであることを特徴とする、請求項3〜9のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項11】
細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する該物質が、乳酸、ポリ乳酸、グリコール酸、ポリグリコール酸、カーボポール、ポリカルボフィル、アスコルビン酸、D−パントテン酸、葉酸、葉酸還元物、フマル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、アルギン酸、ソルビン酸、酒石酸、エデト酸、これらの酸の塩、ニコチンアミド、Bifidobacterium 株、Lactobacillus 種、オクトキシノール−9、クロルヘキシジン、塩化ベンズアルコニウム、ノノキシノール−9、および上記のうちの少なくとも2種の混合物からなる群より選ばれ、該葉酸および葉酸還元物は、特にテトラヒドロ葉酸および葉酸代謝物、好ましくは5−メチル−6(S)−テトラヒドロ葉酸およびその塩、たとえばアルカリ土類金属塩、特にカルシウム塩(メタフォリン)であり、該 Lactobacillus 種は、Lactobacillus reuteriLactobacillus reuterii RC-14、Lactobacillus delbrueckiiLactobacillus gasseriLactobacillus jenseniiLactobacillus catenaformeLactobacillus paracaseiLactobacillus paracasei Lbp PB01、Lactobacillus caseiLactobacillus acidophilusLactobacillus acidophilus Lba EB01、Lactobacillus acidophilus Lba EB02、Lactobacillus crispatusLactobacillus crispatus CTV05、Lactobacillus salivariusLactobacillus brevisLactobacillus fermentumLactobacillus fermentum RC-14、Lactobacillus fermentum B-54、Lactobacillus plantarumLactobacillus plantarum Lbpl PB02、Lactobacillus Lbxx EB03、Lactobacillus Lbxx PB03、Lactobacillus rhamnosusLactobacillus rhamnosus GR-1、さらに、実質的に同一の性質を有する Lactobacillus の他の属または株などであることを特徴とする、請求項10に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項12】
該重合体組成物が、ポリジメチルシロキサン、変性ポリジメチルシロキサン、エチレン/ビニルアセテート共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル酸重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、親水性ヒドロゲルなどの親水性重合体、架橋ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項13】
該重合体組成物が、
ポリジメチルシロキサンを含むエラストマー組成物、
シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体エラストマーを含むエラストマー組成物、
ポリアルキレンオキシド基を含むエラストマー組成物であって、該ポリアルキレンオキシ基は、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態またはこれらが混合した形態で存在している組成物、および
上記のうちの少なくとも2種の混合物
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項14】
該重合体組成物において、ポリアルキレンオキシド基を含むポリジメチルシロキサンの量が、重合体の総量の5〜80重量%であることを特徴とする、請求項13に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項15】
該ポリアルキレンオキシド基がポリエチレンオキシド基であることを特徴とする、請求項13または14に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項16】
該シロキサン主体エラストマーにおいて、シロキサン単位のケイ素原子に結合した置換基の1〜約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であることを特徴とする、請求項13に記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項17】
2つまたは3つ以上のコンパートメントを包含する該システムにおいて、少なくとも2つのコンパートメントが互いに隣接することを特徴とする、請求項1〜3および6〜16のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項18】
2つまたは3つ以上のコンパートメントを包含する該システムにおいて、少なくとも2つのコンパートメントが、それらと同一または異なる重合体組成物から実質的になる不活性スペースによって隔てられていることを特徴とする、請求項1〜3および6〜16のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項19】
2つまたは3つ以上のコンパートメントを包含する該システムにおいて、少なくとも2つのコンパートメントが、それらと同一または異なる重合体組成物から実質的になる隔膜によって隔てられていることを特徴とする、請求項1〜3および6〜16のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項20】
該膜が互いに同一または異なる重合体組成物からなる少なくとも2つの層を含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項21】
少なくとも1つの膜の表面が、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する物質を含有していることを特徴とする、請求項3〜20のいずれかに記載の膣内薬剤放出システム。
【請求項22】
細菌および真菌の膣感染に対する雌性の哺乳類の防御性を与える及び/又は高めること、および、性行為感染症に対する防御性を高めることからなる群より選ばれる少なくとも1つのことを、避妊またはホルモン補充治療において必要とされる量のドロスピレノンおよびエストロゲンを制御放出するための膣内薬剤放出システムを用いて行うための方法であって、該方法は次の工程
薬剤放出システムを雌性の膣内に配置する工程、および
該システムを雌性の膣内に長時間、好ましくは少なくとも約21日間、保持する工程
を包含し、
該薬剤放出システムは、細菌および真菌の感染に対する防御性を与える及び/又は高める能力、および、性行為感染症に対する防御性を高める能力からなる群より選ばれる少なくとも1つの能力を有する物質の充分量を所望により放出することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−504484(P2011−504484A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534512(P2010−534512)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050670
【国際公開番号】WO2009/066006
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(507331379)バイエル シェーリング ファーマ オイ (8)
【Fターム(参考)】