説明

膨潤型吸油ポリマー粒子

【課題】 シワや毛穴をきれいに隠し、見た目や感触の違和感のない凹凸部隠し用化粧料や皮脂を吸収することによる皮脂対策化粧料に有用な膨潤型吸油ポリマー、及びそれを含有する化粧料の提供。
【解決手段】 (A)炭素数18〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(B)(A)成分と共重合可能な1個の重合性不飽和基を有するビニルモノマー及び(C)2個以上の重合性不飽和基を有する架橋性モノマーを含有するモノマー成分を共重合させて得られるポリマー粒子であって、(A)成分と(B)成分のモル比が、(A)/(B)=45/55〜95/5であり、(C)成分の割合が、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、膨潤前の平均粒径が1〜40μmである、膨潤型吸油ポリマー粒子、並びにこの膨潤型吸油ポリマー粒子を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の凹凸隠し用化粧料に好適に用いられる膨潤型吸油ポリマー粒子、及びそれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から女性の毛穴,シワに関する悩みは多く、肌の凹凸隠しに関する様々な化粧料が開発されてきた。例えば、特許文献1では、高重合度メチルポリシロキサンと揮発性油剤と半透明粉体を含有することを特徴とする、シワ隠し用の乳化化粧料を開示しており、不自然さのないシワ隠しを課題としている。また、特許文献2では、粉体、被膜形成剤、揮発性溶剤を含有し、一定の乾燥皮膚表面の表面粗さを有する化粧料を開示しており、肌上でのつきがよく、自然な仕上がりで、肌の凹凸を見えにくくすることができる。しかしこれらは、小さなシワは隠れるものの、女性が最も気にしている、例えば250μm以上の皮溝を有する大きなシワまで隠すことは困難であった。
【0003】
一方、室温においてオイルを吸収し膨潤する膨潤型吸油ポリマー粒子が、流出オイルの回収や工場での廃油処理に利用されつつあるが、この様な膨潤型吸油ポリマー粒子を肌の凹凸隠しに利用する試みはこれまでなされなかった。例えば特許文献3には、炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする架橋重合体からなる膨潤性吸油剤が開示されているが、化粧料に用いるには粒子の粘着力が強く、粒子が凝集してしまい、使用感が悪化する問題があった。
【0004】
また、特許文献4には、炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする自己膨潤型吸油性ポリマーが開示され、特許文献5には、炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする架橋型ポリマーが開示されている。しかし、これらのポリマーは、室温で化粧品油剤を吸収させ、肌の凹凸を隠すことは困難であった。
【特許文献1】特開2000−7551号公報
【特許文献2】特開2002−179530号公報
【特許文献3】特許2813224号公報
【特許文献4】特開平5−209017号公報
【特許文献5】特開2001−348407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、シワや毛穴をきれいに隠し、見た目や感触の違和感のない凹凸部隠し用化粧料や皮脂を吸収することによる皮脂対策化粧料に有用な膨潤型吸油ポリマー粒子、及びそれを含有する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)炭素数18〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(B)(A)成分と共重合可能な1個の重合性不飽和基を有するビニルモノマー及び(C)2個以上の重合性不飽和基を有する架橋性モノマーを含有するモノマー成分を共重合させて得られるポリマー粒子であって、(A)成分と(B)成分のモル比が、(A)/(B)=45/55〜95/5であり、(C)成分の割合が、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、膨潤前の平均粒径が1〜40μmである、膨潤型吸油ポリマー粒子、並びにこの膨潤型吸油ポリマー粒子を含有する化粧料を提供する。
【0007】
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む概念である。
【0008】
また、膨潤型吸油ポリマー粒子とは、25℃で少なくともスクアランを吸収して膨潤する(体積が増える)粒子をいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明の膨潤型吸油ポリマー粒子は、小ジワばかりか、250μm以上の大きなしわや毛穴、傷痕等も隠蔽することができ、また皮脂を吸収することにより、テカリを抑制することができ、凹凸部隠し用化粧料や皮脂対策化粧料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[モノマー成分]
本発明のモノマー成分は、(A)炭素数18〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(B)(A)成分と共重合可能な1個の重合性不飽和基を有するビニルモノマー及び(C)2個以上の重合性不飽和基を有する架橋性モノマーを含有する。
【0011】
(A)成分としては、例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数18〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0012】
(B)成分としては、例えばスチレン、炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドンや、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、クロロメチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を混合して共重合することができる。
【0013】
また、一般式(I)で表される化合物等の片末端にラジカル重合性基を有するポリシロキサン化合物や、一般式(II)で表される化合物等のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、
X:CH2=C(R1)COO−,CH2=C(R1)CONR5−又はCH2=CH−C64−で表される基を示す。ただし、R1=H又はCH3、R5=H又はCb2b+1(b=1〜4の整数)
Y:−(CH2O)c−Cd2d−(c=0又は1、d=1〜10の整数)で表される基を示す。
Z:Ce2e+1(e=1〜4の数)で表される基を示す。
a:3〜1500の数を示す。]
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R1はH又はCH3、R2は炭素数1〜4のアルキレン基又は−(CH2)n N(R3)SO2−(R3は炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子、nは1〜4の整数を示す)を示す。Rfは末端にパーフルオロアルキル基を有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基を示す。)
これら(B)成分の中では、スチレン、炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが更に好ましく、炭素数4〜16の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0018】
本発明に用いられる(C)成分の具体例としては、(1)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート残基を2つ以上有する多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物;(2)N−メチルアリル(メタ)アクリルアミド、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビス(メタ)アクリルアミド酢酸等の(メタ)アクリルアミド化合物;(3)ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;(4)ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;(5)ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら(C)成分の中では、上記(1)及び(3)が好ましく、特に(1)が好ましい。
【0019】
本発明のモノマー成分中の(A)成分と(B)成分のモル比は、膨潤型吸油ポリマー粒子が室温(25℃)で化粧品オイルを吸収するために、(A)/(B)=45/55〜95/5であり、好ましくは45/55〜90/10、更に好ましくは45/55〜65/35である。(A)/(B)のモル比が95/5以下の場合には、粒子の変形性が増加し膨潤が十分に起きるようになる。この結果、毛穴隠し及び小ジワ隠し効果が顕著に発現する。また、吸油性が増大するため、テカリ抑制効果が発現する。また(A)/(B)のモル比が45/55以上の場合には、吸油時の粒子の融着や凝集を抑制することができる。
【0020】
本発明のモノマー成分中の(C)成分の割合は、良好な膨潤性及び架橋性を得る観点から、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、0.1〜3重量部が好ましい。
【0021】
[膨潤型吸油ポリマー粒子の製造法]
本発明の膨潤型吸油ポリマー粒子は、懸濁重合法,分散重合法等によって合成される。懸濁重合の場合、モノマー成分を含む油相を水相に分散させる必要がある。分散には、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、ラインミキサー、ホモミキサー、マイルダー等の分散機が用いられる。
【0022】
懸濁重合のための分散・乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキル(メチル)タウリンナトリウム等のアニオン性界面活性剤、その他の、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の低分子の界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルキルエーテル等の高分子分散剤;硫酸バリウム、硫酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の難水溶性無機塩が挙げられる。
【0023】
本発明に用いられる重合開始剤としては、反応系に応じて決められるが、パーオキサイド系開始剤、有機又は無機過酸若しくはその塩、アゾビス系化合物の単独或いは還元剤との組合せによるレドックス系のものが挙げられる。
【0024】
例えば、t−ブチルパーオキサイド、t−アミルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ベンゾイルイソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド(LPO)、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、テトラリンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーベンゾエート、ビス(2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、フェニルアゾトリフェニルメタン、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過硫酸塩とトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアニリン等の第3級アミンとの組合せ等が挙げられる。
【0025】
重合開始剤の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、 0.1〜5重量部が更に好ましい。
【0026】
[膨潤型吸油ポリマー粒子]
本発明の膨潤型吸油ポリマー粒子の平均粒径は、良好な肌の凹凸隠し効果を発現し、良好な使用感を得る観点から、膨潤前のメジアン径で、1〜40μmであり、5〜30μmが好ましい。
【0027】
メジアン径は粒径測定装置、例えばHORIBA製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等を用いて、体積基準モードにて測定することができる。
【0028】
本発明の膨潤型吸油ポリマー粒子は、25℃で少なくともスクアランを吸収して膨潤する粒子であるが、以下で定義される膨潤倍率が1.30倍以上となる粒子が好ましい。上限は特に限定されないが、粒子強度を保つという観点より5倍以下が好ましく、3倍以下がより好ましい。
【0029】
膨潤倍率=r1/r2
ここで、r1は25℃においてスクアランを吸収してから3分後のポリマー粒子の平均粒径、r2はスクアラン吸収前のポリマー粒子の平均粒径を示し、以下の測定法で求めた。
【0030】
<膨潤倍率測定法>
25℃の測定室にて、スライドガラス上に、両面テープを貼り、その上に膨潤型吸油ポリマー粒子を1次粒子の状態で固定する。キーエンス社製超深度形状測定顕微鏡VK−8510を用いて、メジアン径近傍の粒子10個以上を選び、膨潤前の粒子の直径を計測する。次に、観察視野中の膨潤型吸油ポリマー粒子にマイクロシリンジを用いてスクアランを1滴垂らす。3分後に先程計測した粒子と同一の粒子の直径を計測する(この際、過剰量のスクアランはティッシュで拭き取る)。
【0031】
本発明の膨潤型吸油ポリマー粒子を膨潤させる油剤としては、スクアレン、スクアラン、オレイン酸等の炭化水素系オイルが好ましい。また、炭化水素系オイルに、皮脂成分(グリセリンエステル,コレステロールなど)や化粧品用エステル油(パルミチン酸イソプロピル,ミリスチン酸イソプロピルなど)が混合していても良い。
【0032】
[化粧料]
本発明の膨潤型吸油ポリマー粒子は、凹凸部隠し用化粧料や皮脂対策化粧料等に好適に配合することができる。具体的にはファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメイクアップ化粧料、下地化粧料が好ましい。化粧料中の膨潤型吸油ポリマー粒子の含有量は1〜60重量%が好ましく、1〜40重量%が更に好ましい。
【0033】
また更に化粧料には、通常の化粧料用原料として用いられる他の成分、例えば、白色顔料(酸化チタン等)、体質顔料(マイカ、タルク、セリサイト、硫酸バリウム等)、着色顔料(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、黄色401号、赤色226号、カプセル化有色顔料、有機色素等)、パール顔料、天然鉱物、有機粉末、油剤(ワセリン、パラフィン、ラノリン、セレシン、オリーブ油、ホホバ油、ひまし油、スクアラン、流動パラフィン、エステル油、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系オイル、フッ素変性シリコーン油、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル系オイル等)、紫外線防御剤、ゲル化剤、ワックス(マイクロクリスタリンワックス、高級脂肪酸や高級アルコール等の固形・半固形油分等)、金属石鹸、界面活性剤、保湿剤、防腐剤、香料、増粘剤、酸化防止剤、殺菌剤、制汗剤、美白剤、収斂剤、皮膚軟化剤、pH緩衝剤、その他各種添加剤を適宜選択して配合することができる。
【0034】
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。更に化粧料は、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3の低級アルコール;水等の溶媒を含有することが、剤の乾燥性を早めると共に、さっぱりした感触を与え、更に膨潤型吸油ポリマー粒子の膨潤を調節することもでき、好ましい。
【0035】
本発明の化粧料は固体化粧料,ワックス化粧料,乳化(O/W,W/O)化粧料,油性化粧料、スプレー化粧料、スティック状化粧料、ゲル状化粧料、水性化粧料等の製品形態で用いることができる。
【実施例】
【0036】
実施例1
ビーカーに、水2000g、ポリビニルアルコール(EG−30、日本合成(株)製)7.5gを入れ混合溶解した。別のビーカーにメタクリル酸ステアリルを350g(1.034モル)、メタクリル酸ラウリルを150g(0.590モル)、エチレングリコールジメタクリレートを5g、過酸化ラウロイルを20g入れ攪拌した。過酸化ラウロイルを溶解した後、前述のポリビニルアルコール水溶液と混合し、ラインミキサーにより乳化を行った(乳化粒径 21μm)。乳化液を5L反応容器に入れ、窒素ガスにより溶存酸素を除去した後、乳化液を70℃に昇温し、5時間重合を行い、更に80℃で4時間重合を続けた。冷却後、静置分離、デカンテーションを行い、固形分60%の粒子スラリーを得た(収率97%)。このスラリーを乾燥することにより、ポリマー粒子を得た。
【0037】
実施例2
ビーカーに、水2100g、5%ポリビニルアルコール(EG−30、日本合成(株)製)水溶液300gを入れ混合した。別のビーカーにメタクリル酸ステアリルを420g(1.240モル)、アクリル酸ブチルを180g(1.404モル)、エチレングリコールジメタクリレートを6g、過酸化ラウロイルを12g入れ攪拌した。過酸化ラウロイルを溶解した後、前述のポリビニルアルコール水溶液と混合し、ラインミキサーにより乳化を行った(乳化粒径 13μm)。乳化液を3L反応容器に入れ、窒素ガスにより溶存酸素を除去した後、乳化液を70℃に昇温し、6時間重合を続けた。冷却後、静置分離、デカンテーションを行い、固形分60%の粒子スラリーを得た(収率97%)。このスラリーを乾燥することにより、ポリマー粒子を得た。
【0038】
実施例3
ビーカーに、水2100g、5%ポリビニルアルコール(EG−30、日本合成(株)製)水溶液300gを入れ混合した。別のビーカーにメタクリル酸ステアリルを540g(1.595モル)、アクリル酸ブチルを60g(0.468モル)、エチレングリコールジメタクリレートを6g、過酸化ラウロイルを12g入れ攪拌した。過酸化ラウロイルを溶解した後、前述のポリビニルアルコール水溶液と混合し、ラインミキサーにより乳化を行った(乳化粒径 10μm)。乳化液を3L反応容器に入れ、窒素ガスにより溶存酸素を除去した後、乳化液を70℃に昇温し、6時間重合を続けた。冷却後、静置分離、デカンテーションを行い、固形分60%の粒子スラリーを得た(収率97%)。このスラリーを乾燥することにより、ポリマー粒子を得た。
【0039】
比較例1
ビーカーに、水175g、5%ポリビニルアルコール(217E、クラレ(株)製)水溶液25gを入れ混合した。別のビーカーにメタクリル酸ステアリルを50g、エチレングリコールジメタクリレートを0.5g、過酸化ラウロイルを1g入れ攪拌した。過酸化ラウロイルを溶解した後、前述のポリビニルアルコール水溶液と混合し、ラインミキサーにより乳化を行った(乳化粒径 19μm)。乳化液を500mL反応容器に入れ、窒素ガスにより溶存酸素を除去した後、乳化液を70℃に昇温し、6時間重合を行い、更に80℃で3時間重合を続けた。冷却後、静置分離、デカンテーションを行い、固形分60%の粒子スラリーを得た(収率97%)。このスラリーを乾燥することにより、ポリマー粒子を得た。
【0040】
比較例2
比較例1のモノマーをメタクリル酸ステアリルからメタクリル酸ラウリルに変更し合成を行ったが、粒子が融着/凝集し、評価不可能であった。
【0041】
実施例1〜3及び比較例1〜2のモノマー配合比、得られたポリマー粒子のスクアラン吸収前及び吸収3分後の平均粒径、並びに膨潤倍率をまとめて表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
処方例1〜3
実施例1、2又は比較例1で得られた固形分60%のポリマー粒子スラリー100gにエタノール12gを加え、撹拌した。次に、予め調製しておいたカーボポールゲル(カーボポール980(Goodrich製)1.134gをイオン交換水118.44gに分散後膨潤させたゲル)7.5gを撹拌下15分かけて添加した。最後に水酸化カリウム0.028gを加え、1時間撹拌し、下記組成の水性化粧料を調製した。この化粧料を、パネラー1名の顔に塗布し、毛穴隠し効果及びテカリ抑制効果を調べた。結果を表2に示す。
【0044】
<水性化粧料組成>
ポリマー粒子(実施例1〜2又は比較例1) 60g(固形分)
エタノール 12g
増粘剤(Goodrich製 カーボポール980) 0.071g
pH調整剤(水酸化カリウム) 0.028g
水 47.4g
【0045】
【表2】

【0046】
処方例4〜6
実施例1〜2又は比較例1の固形分60%のポリマー粒子スラリー45.8gに固形分55%のアクリル系エマルション(日本エヌエスシー(株)製、ヨドゾールGH41)12.5gを撹拌下滴下し加えた。次に、多孔性ポリスチレン(粒径10μm)6.9gを加え、バランス量のイオン交換水を加えた後、撹拌を30分続け、下記組成の水性化粧料を得た。この化粧料を、パネラー1名の目元の小ジワに塗布後、スクアランを小ジワに1滴垂らし、小ジワ隠し効果を調べた。結果を表3に示す。
【0047】
<水性化粧料組成>
ポリマー粒子(実施例1〜2又は比較例1) 37.6g(固形分)
固形分55%のアクリル系エマルション 6.9g(固形分)
(日本エヌエスシー(株)製ヨドゾールGH41)
多孔性ポリスチレン(粒径10μm) 6.9g
水 58.6g
【0048】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素数18〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(B)(A)成分と共重合可能な1個の重合性不飽和基を有するビニルモノマー及び(C)2個以上の重合性不飽和基を有する架橋性モノマーを含有するモノマー成分を共重合させて得られるポリマー粒子であって、(A)成分と(B)成分のモル比が、(A)/(B)=45/55〜95/5であり、(C)成分の割合が、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、膨潤前の平均粒径が1〜40μmである、膨潤型吸油ポリマー粒子。
【請求項2】
(B)成分が、炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである請求項1記載の膨潤型吸油ポリマー粒子。
【請求項3】
ポリマー粒子が、25℃においてスクアランを吸収してから3分後の平均粒径が吸収前の平均粒径の1.30倍以上となる粒子である請求項1又は2記載の膨潤型吸油ポリマー粒子
【請求項4】
化粧料用である、請求項1〜3いずれかに記載の膨潤型吸油ポリマー粒子
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の膨潤型吸油ポリマー粒子を含有する化粧料

【公開番号】特開2006−8757(P2006−8757A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184575(P2004−184575)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】