説明

膨潤性の制御放出経口剤形の胃における滞留性を増強するための錠剤の形状

【課題】新規な制御放出薬物剤形の提供。
【解決手段】幽門を通過しにくいように成型された膨潤可能な剤形。好ましい剤形として,胃及び上部胃腸管に限定される領域の少なくとも一部に薬物を放出させるための制御放出経口薬物剤形であって、その中に含まれる前記薬物と共に固形のモノリシックなマトリックスを含んで成り、当該マトリックスが水の吸収によって膨潤し、非環状の形状であり、等しくない長さの第一及び第二の直交軸を有し、軸の長い方が、前記マトリックスが膨潤していない場合に最大3.0cmの長さであり、そして軸の短い方が、水中に浸してから1時間以内に最大1.2cmの長さに達する、剤形。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.本発明の分野
本発明は一般的な医薬の分野にあり、そして特に胃及び上部胃腸(GI)管における長期間の制御放出から、そして胃及びGI管の下部よりもむしろ上部GI管における増大した吸収の機会から恩恵を受ける薬物のための製剤に関する。本発明の1つの目的として、制御された様式で、長期間に及んで薬物を放出することが挙げられる。別の目的には、GI管で優先的に高度に吸収される薬物の、胃の中への送達時間を延長し、そしてそれによって潜在的に副作用が減少した、より大きな、かつ更に延長された治療効果を達成することが挙げられる。このことは、必要とされる投与回数を減少させ、そして当該薬物の更に効果的な使用及び局所的な胃の障害の更に効果的な処置を達成し得る。第3の目的として、当該薬物の下気道(lower-GI tract)不活性化及び下部腸管内菌叢に対する薬物効果の両方を最小化することがある。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術の説明
多くの薬物は、胃で放出された場合、特に当該放出が連続的に制御されるように延長される場合、最大の治療効果を示す。この様に送達された薬物は、より低レベルの副作用を示し、そして繰り返し投与する必要無しに、又は少ない投与頻度で治療効果を示す。胃における薬物送達の局在化は、胃の局所的疾患、例えば食道逆流疾患の処置にとって、胃粘膜において潰瘍を引き起こす細菌の撲滅にとって、そして酸を中和する働きの維持を必要とする疾患の処置にとって有利である。胃における持続放出が、胃が容易に吸収しない治療物質にとって有用であるのは、持続放出が、吸収が起こり、且つ接触時間が制限される場合に、胃又は小腸の上部における当該物質の接触時間を延長するためである。正常な、又は平均的な条件下で、例えば、材料は1〜3時間程度で小腸を通過する。ほぼ例外なく小腸で吸収される薬物、例えばカプトプリル及びセファロスポリンにとって、この短い接触時間は、特に当該薬物が制御放出剤形で投与される場合、これらの薬物の生物学的利用性を限定する。
【0003】
物質の胃の通過は、消化状態、食後状態、又は「給餌状態」(後者の用語は、便宜上本明細書の後文において使用される)として様々に言及される生理的条件によって、正常な消化過程において遅れることがある。胃がこの状態にない場合、消化間状態又は「絶食」状態にある。この2つの状態の差異は、胃十二指腸運動活性のパターンにある。
【0004】
絶食状態において、胃は、消化間欠伝播性収縮(interdigestive migrating motor complex)(IMMC)と称される周期活性を示す。この活性は4つの相で起こる:
第I相は、45〜60分間持続し、且つ最も平穏であり、収縮をほとんど又は全く引き起こさない。
第II相では、徐々に大きさが増大する、非規則な間欠性の、掃除目的(sweeping)の収縮が起こる。
第III相では、胃と小腸の両方に関与している蠕動の激しい突発波が起こる。これは5〜15分持続する。
第IV相は、次の周期が開始するまで持続する、活性が減少する移行期間である。
【0005】
合計の周期時間は約90分であり、そして、胃の内容物は、第III相で起こる強力な蠕動の波によって一掃される。従って、IMMCは、腸のハウスキーパーとして、飲み込まれた唾液、胃の分泌物を、そして特に残骸を小腸及び結腸へと一掃し、そして次の食事まで上気道を整え、同時に細菌の過増殖を防ぐ様に機能する。膵臓のペプチド及びモチリンの膵外分泌も、これらの運動性パターンとともに循環する。
【0006】
給餌状態は、食物摂取直後に栄養素によって誘導され、そして上部胃腸(GI)管の運動パターンの素速く且つ著しい変化であって、30秒から1分の期間に及んで起こる変化とともに開始する。当該変化は、胃の内容物が遠位小腸に達する前にGI管の全ての部位でほぼ同時に起こる。一度給餌状態が確立されると、胃は、1分当たり3〜4回の連続的且つ規則的な収縮を発生させ、これは絶食状態のものと類似しているが、振幅は約半分である。幽門は、液体及び小さい粒子が、部分的に開いた幽門を通過する様なふるい効果を引き起こすが、幽門のサイズ以上の消化しにくい粒子は後退し(retropell)、そして胃で保持される。従って、このふるい効果は、約1cmのサイズ以上の粒子を約4〜6時間胃に保持させる。
【0007】
従って、胃で保持される最小の粒子サイズは、給餌状態では、絶食状態におけるものより実質的に小さい。絶食状態で維持されるほど大きい粒子は、多くの患者における実際の投与にとって大きすぎる。より小さいサイズの粒子は、それらが給餌状態にある患者に投与される場合に、胃で保持されることができ、そして胃におけるこれらの粒子の滞留時間を延長するのに有効で且つ実現可能な手段として役割を果たす。
【0008】
対象者が給餌状態又は絶食状態にある場合、胃における粒子の滞留時間を延長する更なる手段は、最初は快適に摂食できるほど十分小さいが、胃の中で胃液と接触してより大きなサイズへと膨潤する粒子を使用することである。当該膨潤は、胃液からの水の吸収時の粒子材料の水和の結果として、又は例えば胃液と剤形との接触による、二酸化炭素のような、膜の袋の中で又は剤形内の他のもので発生するガスの産生の結果として生じることがある。膨潤はまた、胃液と接触した場合に錠剤を放出し、その結果放出された錠剤がその完全に広がったサイズに膨張することを可能にする小さいカプセルの内側に、機械的な緊張度のもと圧縮条件下で、大きな錠剤を据えることによって達成される。
【0009】
胃における滞留時間を延長するサイズに膨潤する経口剤形の開示は、米国特許第5,007,790号("Sustained-Release Oral Drug Dosage Form;" 発明者;Shell,1991年4月16日)、米国特許第5,582,837号("Alkyl-Substituted Cellulose-Based Sustained-Release Oral Drug Dosage Forms;", 発明者;Shell:1996年12月10日):米国特許第5,972, 389号("Gastirc-Retentive Oral Drug Dosage Forms for the Controlled Release of Sparingly Soluble Drugs and Insoluble Matter;" 発明者Shell等;1999年10月26日);国際特許出願(PCT)WO 98/55107("Gastirc-Retensive Oral Drug Dosage Forms for Controlled Release of Highly Soluble Drugs;"発明者Shell等;1998年12月10日);及び国際特許出願(PCT)WO 96/26718("Controlled Release Tablet;" 発明者Kim, 公開日1996年9月6日)において見られる。
【0010】
膨潤しても、一定の比率の粒子が、対象が給餌状態又は絶食状態にあることに関係なく幽門を通過しうるのは、当該粒子が幽門付近にある際に、最長の寸法が幽門の軸と一列となるように粒子が配向し始めた場合である。これは特に、膨潤しやすいような形状に引き伸ばされた錠剤又はカプセル(末端が丸みをおびた円筒状の錠剤)にとって事実である。これらの様な剤形が水の吸収によって膨潤する場合、一方の寸法が幽門口を超えるほど大きい長さを達成することがあり、一方、他方のものは有意により小さい。従って、剤形は、長い寸法が幽門口に対して横断となるように配向される場合にのみ胃で保持される。従って、これらの膨潤した剤形の数パーセントの投与単位のために、胃における延長された保持が達成されず、且つ膨潤の有益な効果が失われる。このように、膨潤が胃における剤形の保持をもたらすというわずかに限定された保証が存在する。
【0011】
本発明の要約
現在、特定の形状の、固体の水膨潤性剤形を用いることによって、幽門における幸運な配向により幽門を通過するこれらの剤形の比率は、容易に飲み込みやすい剤形を有したまま、全体的に減少し、又は排除されうることが発見されている。この結果を達成する形状は、平面上に投影した場合に、異なる長さの2つの直交軸を有する非環状及び非球状の形状であり、より長い方の軸は、当該剤形が非膨潤状態にある場合、最大3.0cm、好ましくは2.5cm又はそれ未満の長さであり、そしてより短い方の軸は、最初の1時間、そして好ましくは30分の膨潤時間内に少なくとも1.2cm,好ましくは少なくとも1.3cmの長さを達成するほどの長さである。胃における保持を増強することに加えて、非環状及び非球状の形状は本発明の錠剤を飲み込みやすくする。当該錠剤はまた、同様の効果のために設計された従来技術の多くの錠剤よりも小さく、そしてこのことは、錠剤を飲み込むことを試みる場合に、心理的な問題に苦しむ人々にとっての利益をもたらす。
【0012】
本発明によって与えられる向上は、多くの薬物の型に対する利益を提供し、これは、胃及び小腸の上部領域の下流にある胃腸管の領域を一旦通過すると様々な理由で効果が弱められるもの、並びにこれらの領域において有害な生理学的作用をもたらすものを含む。これらの薬物は、溶解度において、水に多少溶けにくいものから高度に可溶性のあるものに及ぶ。
【0013】
当該剤形は、膨潤性のある物体、好ましくは薬物が分散したポリマーマトリックスである。当該ポリマーは、水の吸収で、そしてそれにより、胃に達した場合には胃液との接触で膨潤する。本発明のある態様において、当該ポリマーは浸蝕性もある。浸蝕性ポリマーが使用される場合、当該ポリマーは、浸食速度が膨潤速度よりも実質的に遅いものである。幾つかの場合において、当該ポリマーの浸食は、胃に薬物を放出する手段として使用され、そして時には浸食と溶解/拡散の組み合わせが使用される。
【0014】
本発明のある態様において、剤形は、1又は複数の層が膨潤するが、他のものが膨潤しない多層錠剤である。本発明の更なる態様において、剤形はシェルによって覆われたコアを有する錠剤であり、そしてコアは膨潤するが、シェルは比較的寸法が安定しており、あるいはその反対でもよい。
【0015】
本発明のこれらの及び他の特徴、特性、及び態様は、以下の説明から明らかとなるだろう。
【0016】
本発明の詳細な説明及び特定の態様
上文で述べた因子のなかで、本明細書で便宜上「錠剤」と言及する(しかしながら他の剤形も考えられる)本発明の剤形は、形状が変化しうる。可能性のある形状のいくつかには、楕円形、三角、アーモンド形、ピーナッツ形、「蝶ネクタイ形」、平行四辺形、台形、五角形、及び六角形があり、但し(上文で述べた通り)、当該形状の最大平面投影は、少なくとも2つの直交する面積を有しており、このうち一方が他方のものより大きい。好ましい形状は、楕円形及び平行四辺形である(特に、ダイアモンド形、すなわち、対する辺が平行であり、そして隣接する辺が直角にはない四辺形)。ある態様において、これらの形状の辺又は角、特に平行四辺形のものは若干丸い。特に好ましい形状は、飲み込むのを補助するための対称性のある3つの(直交)面を有するものである。
【0017】
当該錠剤は、水の浸潤によって(そしてそれ故に胃液によって)、且つ1時間、好ましくは30分の膨潤時間内に徐々に膨潤し、当該錠剤のより短い軸は、1.2cm以上、好ましくは1.3cm以上の長さに広がる。このことは、少なくとも1.2cmのより短い軸の面が幽門の軸に対して横軸となり、そして幽門の通過に耐えるほど大きいので、膨潤状態の錠剤が、その長い軸を幽門の軸に平行にして配向される場合に幽門を通過する可能性を減らし、又は排除する。錠剤の膨潤の前に、より短い軸は0.7cmほどの長さが短いものであってもよく、好ましくは0.7cm〜1.5cmの長さであり、そして好ましくは0.75cm〜1.2cmの長さであり、そして最も好ましくは0.8cm〜1.0cmの長さである。2つの直交軸のより長い方は、錠剤が膨潤する場合により長い長さに達するが、それは非膨潤状態で錠剤を容易に飲み込めるほど小さくあるべきである。従って、膨潤する前の、錠剤のより長い方の軸は、3.0m以下、好ましくは2.5cm以下、そして最も好ましくは1.5cm〜2.5cmである。これらの記載に合致する錠剤の一例は、ダイアモンド形の錠剤(すなわち、平面の投影が、他方のものより一方の対角線の寸法がより短い平行四辺形である錠剤)であって、より短い対角線が0.9cmであり、そしてより長い対角線が1.5cmであるものである。この例において、これらの寸法のうち両方が実質的に錠剤の厚さより大きい。
【0018】
本発明の剤形の調製において有用な水膨潤性ポリマーは、非毒性であって、且つ水の吸収時に、そしてそれ故に胃液の吸収時に寸法の制限無く膨潤するポリマーを含む。これらの記載に合致するポリマーの例は、セルロースポリマー及びそれらの誘導体、例えば、限定しないがヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び微結晶性セルロース
多糖類及びそれらの誘導体
ポリアルキレンオキシド
ポリエチレングリコール
キトサン
ポリビニルアルコール
キサンタンガム
無水マレイン酸コポリマー
ポリビニルピロリドン
デンプン及びデンプンを基にしたポリマー
マルトデキストリン
ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)
ポリエチレンイミン
ポリウレタンヒドロゲル
架橋型ポリアクリル酸及びその誘導体
である。
【0019】
更なる例は、上文に列記したポリマーのコポリマーであり、例えばブロックコポリマー及びグラフトポリマーである。コポリマーの具体例はPLURONIC(商標)及びTECTONIC(商標)であり、これらはBASF Corporation, Chemicals Div. (Wyandotte, Michigan, USA)から入手可能なポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーである。更なる例は、加水分解されたデンプンポリアクリロニトリルグラフトコポリマーであり、これは一般に「Super Slurper」として知られ、そしてIllinois Corn Growers Association (Bloomington Illinois, USA)から入手可能である。
【0020】
用語「セルロース」は、アンヒドログルコースの直鎖ポリマーを表すために本明細書で使用される。好ましいセルロース性ポリマーは、予想通りに徐放性の様式で胃腸管内で最終的に溶解するアルキル置換セルロース性ポリマーである。好ましいアルキル置換セルロース誘導体は、1〜3個の炭素原子のアルキル基のそれぞれが置換されているものである。それらの粘性に関して、好ましいアルキル置換セルロースの1つのクラスは、粘性が、2%水溶液の場合に25℃で約3〜約110,000センチポアズの範囲内のものである。別のクラスとして、2%水溶液の場合に25℃で約1,000〜約5,000センチポアズの範囲内のものがある。特に好ましいアルキル置換セルロースは、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。現段階で好ましいヒドロキシエチルセルロースは、Aqualon Company (Wilmington, Delaware, USA)から入手可能なNATRASOL(商標)250HX及び250HHX NF(国民医薬品集)である。
【0021】
本発明の剤形において有用なポリアルキレンオキシドの中で、特に好ましい例はポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドである。ポリエチレンオキシドは、非置換エチレンオキシドの直鎖ポリマーである。約2,000,000、そしてそれ以上の粘度−平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーが使用され得る。市販のポリエチレンオキシドの例として:
POLYOX(商標)NF、等級WSR凝集剤、分子量500万
POLYOX(商標)等級WSR301、分子量400万
POLYOX(商標)等級WSR303、分子量700万、
POLYOX(商標)等級WSR N−60K、分子量200万、
がある。4つとも全て、Union Carbide Chemicals and Plastics Company Inc. (Danbury, Connecticut, USA)の製品である。
【0022】
多糖ガムは、天然であっても修飾型(半合成)であってもよい。例としてデキストラン、キサンタンガム、ゲラン(gellan)ガム、ウエラン(welan)ガム、ラムサン(rhamsan)ガムがある。キサンタンガムが好ましい。アルギン酸塩、例えば限定しないがアルギン酸ナトリウム及びカルシウムも使用され得る。
【0023】
架橋型ポリアクリル酸の中で好ましい型は、0.5%水溶液の場合に、25℃で約4,000〜約40,000センチポアズに及ぶ粘度を有するものである。3つの現時点で好ましい例は、CARBOPOL(商標)NF等級971P,974P及び934P(BF Goodrich Co., Speciality Polymers and Chemicals Div., Cleveland, Ohio, USA )である。更なる例はWATER LOCK(商標)として知られているポリマーであり、これはGrain Processing Corporation (Muscatine, Iowa, USA)から入手可能なデンプン/アクリラート/アクリルアミドコポリマーである。
【0024】
比較的高溶解度の薬物にとって好ましいポリマーマトリックスは、比較的高分子量のものである。そのようなマトリックスを用いた薬物の放出は、胃液をマトリックス内に拡散させることによって達成され、この中で、胃液はマトリックスを保持した薬物を溶解し、そして次に外部に拡散させ、同時にマトリックスはその完全性を保持するか、又は薬物がマトリックスから溶解する速度よりかなり遅い速度で崩壊する。このように、制御された放出は、マトリックスの完全性及び薬物に達するために胃液がマトリックス内に拡散する必要性によって達成される。比較的低い溶解度の薬物にとって好ましいポリマーマトリックスが、浸食し、同時に薬物が放出されるものであるのは、拡散及び溶解が、有効な薬物放出速度にとって発生するのが遅すぎ、そして浸食が放出速度を増すためである。このように、制御放出は、マトリックスの浸食の制御された速度及び多くの薬物を放出するためにマトリックスが浸食する必要性によって少なくとも部分的に達成される。
【0025】
ポリエチレンオキシドマトリックスについて、比較的高分子量の薬物にとって好ましいものは、約2,000,000〜約7,000,000の範囲内の粘度−平均分子量を有するものであり、そして好ましくは、約4,000,000〜約7,000,000の範囲内の粘度−平均分子量を有するものである。比較的低溶解度の薬物にとって好ましいポリエチレンオキシドは、約200,000〜約2,000,000の範囲内の粘度−平均分子量を有するものである。好ましい粘度範囲は、2%水溶液の場合に25℃で約50〜約100,000センチポアズである。
【0026】
比較的高溶解度の薬物は、37℃の水の中での溶解度が、20重量部の水において1重量部以上の薬物であるものと通常考えられる。別の好ましい定義は、37℃の水での溶解度が10重量部の水において1重量部以上の薬物であり、そして更に別のより更に好ましい定義は、3重量部の水において1重量部以上の薬物である。比較的低溶解度の薬物は、一般的に37℃の水での溶解度が重量当たり約0.005%〜約10%のものであり、そして好ましくは37℃の水での溶解度が重量当たり約0.01%〜約5%のものである。
【0027】
本発明に従う錠剤は、常用の技術、例えば一般的な錠剤化方法によって調製され得る。これらの方法は、薬物製剤を製造する業界の者によって通常実施され、そしてそれらの者に周知な混合、微粉砕、及び成形加工段階を含む。その様な技術の例は、
(1)適当なパンチ及び金型、例えばElizadeth Carbide Die Company, Inc. (McKeesport, Pennsylvania, USA)から入手可能なものを用いる直接圧縮。前記のパンチ及び金型は、適当な回転式錠剤化プレス、例えば15,18又は22の場を有し、そしてElizabeth-Hata International, Inc. (North Huntington, Pennsylvania, USA )から入手可能なものに適合する。
(2)圧縮単位に適合した適当な型、例えばCincinnati Milacron, Plastics Machinery Division (Batavia, Ohio, USA)から入手可能なものを用いる射出成形又は圧縮成形、
(3)顆粒化、例えば限定しないが流動床又は高剪断顆粒化又は転圧、続いて圧縮;及び
(4)型の中へのペーストの押し出し又は全長を切り揃えるべき押し出し物への押し出し、
である。
【0028】
錠剤が直接圧縮によって作製される場合、潤滑剤の添加が有用なことがあり、そして圧力が軽減された場合に、時に粉末の流動を促進し、そして粒子のキャッピング(錠剤の一部の除去(breaking off))を防ぐのに重要である。有用な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム(パウダーミックス中重量当たり0.25%〜3%、好ましくは重量当たり約1%未満の濃度)、及び硬化植物油(好ましくは水素化され、そして精製された、重量当たり約1%〜5%、最も好ましくは重量当たり約2%のステアリン酸とパルミチン酸のトリグリセリド)である。追加の賦形剤が、粉末の流動性、錠剤の硬さ、及び錠剤の破砕性を増強し、そして金型の壁面に対する粘着性を低下させるために加えられることがある。
【0029】
上文で示唆した様に、本発明の剤形は、給餌状態又は絶食状態にある対象者に投与される場合に有用性がある。給餌状態の間の投与が好ましいのは、給餌状態で起こる幽門口の狭窄が、より広範囲なより小さい剤形のサイズを保持することによって胃液の保持を促進する更なる手段として役割を果たすためである。2つの状態を互いに区別する胃十二指腸活性のパターンは上文の通りである。
【0030】
給餌状態は通常食物摂取によって達成されるが、薬理学的に食事のものと同一又は類似の効果を有する薬理学的物質の投与によっても誘導され得る。これらの給餌状態を誘導する物質は別々に投与されてもよく、あるいは剤形中に分散した成分として剤形中に、又は外側の即時放出コーティング内にに含まれてもよい。薬理学的な給餌状態誘導物質の例は、引用によってその内容が本明細書に組み入れられる、同時係属米国特許出願番号第09/432,881号(出願日:1999年10月2日、発明の名称「Pharmacological Inducement of the Fed Mode for Enhanced Drug Administration to the Stomach」、発明者 Markey, Shell, and Berner)において開示されている。
【0031】
制御放出のための剤形に含まれる薬物は、投与に適し、且つ疾患又は異常な生理学的症状の処置において有益な生物学的効果、好ましくは治療効果を有する任意の化合物、複合体又は組成物であってもよい。本発明が適用され得る比較的高溶解度薬物の例は、塩酸メトホルミン、塩酸バンコマイシン、カプトプリル、リジノプリル、ラクトビオン酸エリスロマイシン、塩酸ラニチジン、塩酸セルトラリン、塩酸チクロピジン、バクロフェン、アモキシシリン、セフロキシムアクセチル、セファクロル、クリンダマイシン、レボドパ、ドキシフルリジン、トラマドール、塩酸フルオキシチン、ブプロピオン、塩化カリウム、及びアンピシリンエステルである。本発明が適用され得る低溶解度薬物は、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、チアンフェニコール、シプロフロキサシン、炭酸カルシウム、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、セフタジジム、アシクロビル、ガンシクロビル、シクロスポリン、ジゴキシン、パクリタクセル、鉄塩、トピラメート、及びケトコナゾールである。使用に適し、且つ上述の溶解度の基準を満たす他の薬物は、当業者にとって明らかである。本発明は、通常抗生物質について特に注目すべきものである。本発明はまた、アンギオテンシン変換阻害剤、特にリジノプリル、エナラプリル、カプトプリル、及びベナゼプリルについて注目すべきものである。特に好ましい薬物群は、リジノプリル、アシクロビル、塩酸メトホルミン、バクロフェン、シプロフロキサシン、フロセミド、シクロスポリン、塩酸セルトラリン、及び炭酸カルシウムである。
【0032】
本発明はまた、胃液中への薬物の放出速度を更に遅らせる、わずかな疎水性特性を付与する添加剤を含む様に調製された薬物を用いる使用に関する。その様な放出速度遅延剤の一例としてモノステアリン酸グリセリルがある。他の例として、脂肪酸及び脂肪酸塩があり、この一例としてミリスチン酸ナトリウムがある。これらの添加剤が存在している場合の量は変化することがあり、そして多くの場合、薬物に対する添加剤の重量比は約1:20〜約1:1、そして好ましくは約1:8〜約1:2に及ぶであろう。
【0033】
本発明の複数の態様において、剤形は、当該剤形の外面上の素速く溶解するコーティングとして適用される追加量の薬物を含むことがある。このコーティングは、「負荷量」として言及され、そしてその目的は、当該薬物がポリマーマトリックスを通過して拡散することを最初に必要とすることなく、当該剤形の摂取による、患者の血液中への即時放出を提供することにある。最適な負荷量は、薬物の血液濃度を素速く上昇せしめるほど多いが、制御放出製剤で投与されない、高度に溶解性の薬物を特徴とする、一過性の過剰摂取を生むほど多くはないものである。
【0034】
フィルムコーティングは、負荷量以外の理由で剤形の外面上に含まれることがある。当該コーティングは、この様に審美的機能又は保護的機能を果たすことがあり、あるいは、それは薬物を飲み込みやすくし、又は薬物の味を隠すことがある。
【0035】
剤形中の薬物負荷は本発明にとって必須ではなく、そして広範に変化することがあるが、薬物負荷の選択は放出速度に影響を及ぼし、そして時に長時間の放出速度プロファイルに影響を及ぼす。多くの場合、薬物は剤形の重量当たり約1%〜約98%を構成する。好ましい態様において、薬物は剤形の重量当たり約5%〜約95%を構成し、そして最も好ましい態様において、薬物は剤形の重量当たり約50%〜約93%を構成する。高度に強力で、それ故に少量投与される薬物の場合、錠剤の重量パーセンテージとしての薬剤負荷がかなりより低いことがあるのは、錠剤が胃液での保持を達成するために、本発明のサイズ限定を満たすほど大きくなければならないためである。
【0036】
上文で述べたように、本発明の錠剤の形状は、経口投与される薬物にとって有利な様々な型のものを提供し、これらは全て胃における剤形の保持の向上によるものである。特定の薬物に依存するこれらの利点として、薬物の生物学的利用性及び薬理学的作用のそれぞれの向上、並びに副作用の緩和がある。多くの場合において、胃から小腸への薬物の通過は、薬物がその後もなおも錠剤又は他の剤形内にある間、薬物の治療作用の低下をもたらすが、これは小腸が胃の中に存在する好ましい条件を欠いているか、又は結腸中に好ましくない条件にあるためであり、あるいはその両方が原因である。
【0037】
例えば、多くの経口投与される抗生物質は、胃腸管の正常な微生物叢、そして特に結腸の微生物叢を変化させ得る。これらの変化のうちの1つの結果は、危険な毒素を放出する生物クロストリジウム・ジフィシル(Clostridium difficile )の過成長である。これらの毒素の濃度の増大は、胃から胃腸管を通過して小腸に達する抗生物質の通過に起因する多くの抗生物質の使用の副作用として報告されている症状の、偽膜性大腸炎を引き起こすことがある。そのより穏やかな状態で、偽膜性大腸炎は悪心及び下痢を引き起こすことがあり、一方、そのより強力な状態で、それは命にかかわるか、又は致命的なことがある。このタイプの脅威を引き起こす抗生物質の例は、アモキシシリン、セフロキシムアクセチル(axetil)、及びクリンダマイシンである。セフロキシムアクセチル(すなわちセフロキシムのアクセチルエステル)は、例えば遊離セフロキシムに加水分解された場合には活性になるが、これが吸収前に起こると、必須の細菌叢に対する損害が生じ得る。活性型への加水分解は、典型的に前記エステルが吸収された組織で生じるが、前記エステルが腸の下部に達する場合、腸の下部にある酵素は、腸内で起こる様に加水分解を引き起こし、これは当該薬物を吸収不可能なものにするだけでなく、当該薬物を活性型に変換し、その結果当該活性が前記微生物叢を変化させる。更なる例に、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、セフタジジム、シプロフロキサシン、及びセファクロールである。本発明の錠剤の形状の使用は、溶解度のレベルに関係なく胃及び上部小腸に対する抗生物質の送達に限定することを助けることによって、腸の下部の微生物叢の抗生物質誘導型過成長の回避を助ける。
【0038】
本発明の錠剤の形状から利益を受ける薬物の別のクラスは、上部胃腸管でのみ吸収されるが、不完全な吸収を受け、又は単一の患者における、そして異なる患者間での幅広い吸収の差異を受けるものである。その様な薬物の一例として、移植手術における臓器拒絶反応を低下させるための免疫抑制剤として使用される低溶解性の薬物、シクロスポリンがある。その低溶解性に加えて、シクロスポリンは、ある患者において最小で5%、そして別の患者において最大で98%に及ぶ広範な吸収変性と一緒に、平均約30%の低吸収速度を有する。この変化性は、当該薬物が投与される患者に存在する様々な病状の間の差異に一部起因し、そして移植手術と薬物の投与との間の時間の長さの差異に一部起因する。しかしながら、当該変化性はまた、胃と結腸との間の腸の通過に必要とされる時間の長さの変化、及び幸運な錠剤の配向による幽門を通過する錠剤の比率の可能性に起因することがある。これらの差異は、本発明の錠剤の形状の使用によって減少されうる。
【0039】
本発明の利益を受ける薬物の別のクラスは、腸の酵素によって分解されやすい薬物である。この分解は、当該薬物が腸壁を通過して吸収される前に生じ、意図される治療作用にとって利用可能な投与量の画分のみがそのままの状態で留まる。その様な薬物の例は、プロドラッグであるドキシフルリジン(5′−デオキシ−5−フルオウリジン(dFUR))である。このプロドラッグの活性は、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼによる、5−フルオロウラシルに対するその活性化に依存する。これらの酵素は、腫瘍及び正常な組織で見られ、そして腫瘍細胞におけるそれらの活性は、正常組織におけるそれらの活性の2倍以上である。更に、これらの酵素は、大腸において最大の活性を示す。ドキシフルリジンが経口投与される場合、それは、腫瘍に到達する前に、小腸で5−フルオロウラシルに変換される危険性がある。5−フルオロウラシルはドキシフルリジンよりも更に毒性があり、そして悪心及び下痢をもたらし、そして腸のウイルスに対して深刻な損害を与える。結腸に到達することによって類似の効果を生むことがある他の薬物は、シクロスポリン及びジゴキシンである。これらの作用は、本発明の錠剤の形状の使用によって軽減されうる。
【0040】
薬物を大腸へと通過せしめた場合に有効性が低下する薬物の更なるクラスは、下部胃腸管の腸細胞に存在する薬物輸送体による不活性化を受けやすいものである。この不活性化は、薬物が腸壁を通過する前に生じ、意図される治療作用にとって利用可能な投与量の画分のみがそのままの状態で留まる。薬物輸送体の一例として、P糖タンパク質が、P糖タンパク質の基質である任意の薬物に対する吸収障壁として働く、P糖タンパク質流出系がある。当該障壁は、これらの薬物に付着し、そしてそれらを輸送して、それらが吸収された管腔、例えば十二指腸、空腸/回腸又は結腸に薬物を戻し、あるいはそれらが完全に吸収されることを防ぐことによって働く。胃腸管の内部に対するこの薬物の制限は、薬物が有効である様に胃腸管から血流に消え去らねばならない場合に、薬物の有効な不活性化である。この様に、P糖タンパク質流出系が多くの観点で、例えば毒性化合物の脳への侵入を防ぐのに有用である場合、それは治療効果を達成するのに必要とされる任意の薬物の効果を妨害する。P糖タンパク質濃度は胃で最も低く、そして胃腸管から、P糖タンパク質が最も優勢な結腸へと低下するにつれて濃度が増大する。シクロスポリンは、P糖タンパク質流出系による不活性化を受けやすく、更に結腸の細菌性酵素による分解を受けやすい、低溶解性薬物の一例である。P糖タンパク質流出系に影響を受けやすい薬物の他の例は、抗ガン剤パクリタキセル、シプロフロキサシン、及びHIVプロテアーゼ阻害剤サキナビル、リトナビル、及びネルフィナビルである。P糖タンパク質流出系のために、これらの薬物は、P糖タンパク質が最も少ない上部胃腸管に当該薬物が放出される可能性を上昇させることによって、本発明の錠剤の形状から恩恵を受ける。
【0041】
本発明から恩恵を受ける更に別のクラスは、有効な生物学的利用能のために酸性環境を必要とする薬物である。いくつかの薬物にとって、胃腸管内の所定の部位でのpHが、薬物の生物学的利用能の必須の決定要因であるのは、薬物の溶解性がpHによって変化するためである。胃は低いpHを有しており、そしてその結果酸性環境を形成し、一方、小腸はより高いpHを有し、わずかに酸性からアルカリ性の環境を形成する。いくつかの薬物は、胃の酸性環境によってイオン化された場合にのみ生物学的利用能を達成する。他の薬物は非イオン化状態で更に生物学的利用能がある。低pKを有する、例えば胃で中性型である酸性薬物、及びこの状態で更に生物学的利用能があるものは、胃又は上部十二指腸で優先的に吸収される。この説明に合致する高度に溶解性の薬物の例は、アンピシリンエステルである。同様に振る舞う低溶解性薬物の例は、鉄塩、ジゴキシン、ケトコナゾール、フルコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、及びミココナゾール(micoconazole)である。鉄塩は、様々な形態の貧血の処置に使用され、ジゴキシンは心疾患の処置に使用され、そしてケトコナゾールは全身性真菌感染、例えばカンジダ症、カンデュリア(canduria)、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、ヒストプラスマ症、クロノ真菌症(chrono mycosis)、及びパココクシジオ真菌症(pacococcidiomycosis)の処置に使用される。低pHで維持される、中性型で更に吸収性のある更に他の薬物は、分子構造が、小腸及び結腸移行部の領域で遭遇するpH範囲にある、5〜8のpH範囲でイオン化される少なくとも1つの基を含むものである。更に、両性イオン薬物は、胃及び十二指腸球部の酸性環境で存在する荷電型で、より良好に吸収され得る。これら全ての薬物の生物学的利用能は、当該剤形の偶然の配向により幽門を通過する可能性を低下させることによって最大化され得る。
【0042】
本発明の錠剤の形状から恩恵を受ける薬物のより更なる群は、十二指腸及び空腸で吸収されるが、結腸からはあまり吸収されないものである。
【0043】
本発明の錠剤の形状から恩恵を受ける薬物の更に別の群は、酸性環境下で可溶であるが、アルカリ性又は中性環境で不溶性の薬物である。HIVプロテアーゼ阻害剤、ネルフィナビルメシラートは、その様な薬物の一例である。溶解されない薬物の一部は吸収され得ない。胃から小腸へと通過する際に溶解されるが吸収されない部分は、沈澱及びそれらの治療的利益の損失を被ることがある。このことは、胃腸管中の食物の存在が経口投与されたネルフィナビルの吸収を実質的に増大せしめるという事実によって確認されている。ネルフィナビルのピーク血漿濃度及び血漿濃度−時間曲線下面積は、投与量が食事と一緒に又はその後に投与された場合、2〜3倍以上である。このことは、胃の中の薬物の長期間保持に少なくとも部分的に起因していると思われる。
【0044】
前述のものは、主に例示のために提供される。当業者にとっては、更なる薬物が含まれることがあり、そして本明細書に記載の形状、成分、添加物、比率、調製方法、及び他のパラメーターが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な方法で更に修飾され、又は置換され得ることは自明であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃及び上部胃腸管に限定される領域の少なくとも一部に薬物を放出させるための制御放出経口薬物剤形であって、その中に含まれる前記薬物と共に固形のモノリシックなマトリックスを含んで成り、当該マトリックスが水の吸収によって膨潤し、非環状の形状であり、等しくない長さの第一及び第二の直交軸を有し、軸の長い方が、前記マトリックスが膨潤していない場合に最大3.0cmの長さであり、そして軸の短い方が、水中に浸してから1時間以内に最大1.2cmの長さに達する、剤形。
【請求項2】
短い方の軸が、水中に浸してから30分以内に最小1.2cmの長さに達する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項3】
短い方の軸が、水中に浸してから1時間以内に最小1.3cmの長さに達する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項4】
短い方の軸が、水中に浸してから30分以内に最小1.3cmの長さに達する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項5】
短い方の軸が、マトリックスが膨潤していない場合に0.7cm〜1.5cmの長さを有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項6】
短い方の軸が、マトリックスが膨潤していない場合に0.75cm〜1.2cmの長さを有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項7】
短い方の軸が、マトリックスが膨潤していない場合に0.8cm〜1.0cmの長さを有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項8】
長い方の軸が、マトリックスが膨潤していない場合に最大2.5cmの長さを有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項9】
長い方の軸が、マトリックスが膨潤していない場合に1.5cm〜2.5cmの長さを有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項10】
前記マトリックスが、平面に投影された場合に楕円形の形状を有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項11】
前記マトリックスが、平面に投影された場合に平行四辺形の形状を有する、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項12】
前記マトリックスが水膨潤性ポリマーである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項13】
前記水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、セルロース、アルキル置換セルロース、ヒドロキシアルキル置換セルロース、架橋ポリアクリル酸、及びキサンタンガムから成る群から選択されるメンバーである、請求項12に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項14】
前記水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースから成る群から選択されるメンバーである、請求項12に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項15】
前記水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースから成る群から選択されるメンバーである、請求項12に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項16】
前記水膨潤性ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項12に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項17】
前記薬物が、少なくとも1重量部の前記薬物/20重量部の水で、37℃の水での溶解性を有し、そして前記マトリックスが約2,000,000〜約7,000,000の粘度−平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項18】
前記薬物が、少なくとも1重量部の前記薬物/10重量部の水で、37℃の水での溶解性を有し、そして前記マトリックスが約2,000,000〜約7,000,000の粘度−平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項19】
前記薬物が、少なくとも1重量部の前記薬物/3重量部の水で、37℃の水での溶解性を有し、そして前記マトリックスが約2,000,000〜約7,000,000の粘度−平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項20】
前記薬物が、重量当たり約0.005%〜約10%での、37℃の水での溶解性を有し、そして前記マトリックスが約200,000〜約2,000,000の粘度−平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項21】
前記薬物が、重量当たり約0.01%〜約5%での、37℃の水での溶解性を有し、そして前記マトリックスが約200,000〜約2,000,000の粘度−平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項22】
前記薬物が、リジノプリル、アシクロビル、塩酸メトホルミン、バクロフェン、シプロフロキサシン、フロセミド、シクロスポリン、塩酸セルトラリン、及び炭酸カルシウムから成る群から選択されるメンバーである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項23】
前記薬物が抗生物質である、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項24】
前記薬物がアンギオテンシン変換阻害剤である、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項25】
前記薬物が、リジノプリル、エナラプリル、カプトプリル、及びベナゼプリルから成る群から選択されるメンバーである、請求項24に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項26】
前記薬物がアシクロビルである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項27】
前記薬物が塩酸メトホルミンである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項28】
前記薬物がバクロフェンである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。
【請求項29】
前記薬物がシプロフロキサシンである、請求項1に記載の制御放出経口薬物剤形。

【公開番号】特開2009−40787(P2009−40787A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213240(P2008−213240)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【分割の表示】特願2002−503260(P2002−503260)の分割
【原出願日】平成13年2月26日(2001.2.26)
【出願人】(502202937)ディポメド,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】