説明

膨軟圃場への密植用連続鉢苗移植機

【課題】膨軟な圃場への密植を可能とする連続鉢苗移植機の構成を提供する。
【解決手段】進行方向前側から順に、連結片で連結された連続鉢苗を載置する鉢苗載置部と、該鉢苗載置部から引き出した鉢苗を一列に整列して案内する鉢苗案内部と、該鉢苗案内部から畑面に鉢苗を連続に繰り出す鉢苗繰出し部とを連接した機体を有し、前記機体には畑面に植付け溝を形成するオープナーを設けた連続鉢苗移植機において、前記オープナーの前端に回動可能にチゼルを設ける。また、オープナーの前方に移植機側方への土の移動量を減少させる作用を有する部材を設けることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨軟に調整された圃場へ苗を移植する移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
株間の短い作物に適した移植機に特許文献1〜4に開示されているような連続鉢苗移植機がある。紙筒のような鉢体に土詰し播種して育苗の完了した苗について、鉢を付けたままの状態が鉢苗であり、連続鉢苗とは鉢苗を連結片で連結したもののことである。連続鉢苗移植機は連結片で連結された連続鉢苗を一端から連続して引き出して順次植付する移植機である。 この種の移植機は、予め株間の決定された連続鉢苗を引き出して順次植え付けていくので、移植機に苗の取出機構及び株間調節機構を設ける必要がなく、移植機全体の機構を大幅に簡素化することができる。そのため移植機本体の重量も軽くすることができる。
【0003】
連続鉢苗移植機は、極めて簡易な構造で高精度に短い株間での移植が可能であるため、ネギ、水菜、花などのような短い株間で植えられる作物に広く用いられている。
この連続鉢体は、特許文献5に記載の連続鉢などにより、従来の連続鉢よりも広い株間での移植も可能となってきているので、その適用範囲も広がっている。
【0004】
花や野菜の栽培において、ベンチ栽培やベッド栽培がある。ベンチ栽培とは、施設内に地面から離して囲いを設け、その中に土などの培地を充填して栽培する方法である。ベッド栽培とは、圃場に、複数の作物列の栽培が可能なベッドと呼ばれる高畦を形成し、そこへ播種や移植をして栽培する方法である。ベッド栽培は、ビニールハウスなどの施設内や露地で行われている。
【0005】
ベンチについては作物が植付される面は表面が均平されているのみであり、鎮圧されることは少ない。ベッドについても、高畦成型用の専用ロータリ耕耘機にて形成され、耕耘機のカバーにより均平にされるのみで、鎮圧などはなされない。ベンチとベッドいずれについても、圃場としては膨軟であり、作業者や作業機械の支持力は極めて弱い。
【0006】
このような膨軟な圃場に、栽植密度を高めて、すなわち株間(移植機進行方向についての苗と苗との間隔)を短く、条間(移植された苗列と苗列との間隔)を狭くして移植する場合(密植)、短い株間での移植が高精度で可能で、移植機本体の重量が軽い連続鉢苗移植機は有利である。
【特許文献1】特開平8−308329号
【特許文献2】特許第2717626号
【特許文献3】特許第3025858号
【特許文献4】特開2000−316324号
【特許文献5】国際公開2006/070738号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の移植機では、けん引する作業者の走行軌跡を移植機が追従し、苗を納めた育苗箱を載置した機体全体が植付面に接地するため、条間は機体全体の幅の制約を受ける(機体の幅より狭い条間にすることは不可能となる)。特許文献2の移植機も同様であり、実質的にこれらの移植機(特許文献1、特許文献2)では連続集合鉢苗が収められた育苗箱の幅(短辺方向の長さ)よりは条間は狭くはならないことになる。
特許文献3は、接地面が機体全体ではなく植付部分のみであり、植付部分の幅の条間は理論上可能である。しかしながら、これも作業者又は作業機械(歩行用トラクタ)の走行軌跡を移植機が追従することになるため、狭い条間のときは移植を進行させる際に移植済みの苗列を踏む可能性もある。そのため作業者の足幅又は作業機の車輪よりも狭い条間は不可能となる(密植の場合、人間の足幅よりも狭い条間で植えることもある)。
特許文献4は高畦に適用するものである。リヤカー式の台車上に連続鉢苗移植機が設けられた構成となっている。この構成では車軸を支点に移植機全体がシーソーのような挙動をすることが避けらない。移植の進捗に従って機体前方に載置してある苗は少なくなり機体全体の重量バランスは絶えず変化することと、膨軟な圃場では設置滑走面の支持力も十分ではないことから、膨軟な圃場へこの移植機を供する場合、機体の安定に作業者は難渋することになる。進行中に設置滑走面が大きく沈んだ場合は、それにより押しのけられた土が隣の移植済みの苗列を乱すことになるので、この構成も膨軟な圃場への密植には適していない。
【0008】
また、特許文献1と特許文献3の移植機には、オープナーの進行方向先端にチゼルが機体に対する角度固定で取り付けてある。このチゼルは機体の浮き上がりを防止する作用を有する。圃場の状態(特に膨軟な場合)によっては、この作用が過剰となり、むしろ機体が圃場へ沈むこともある。機体が沈むことにより、機体前方の土が側方へ押しのけられ、その土が移植済みの苗列へ被さったり、苗列を乱したりすることがある。
【0009】
本発明は上記の現状に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、膨軟な圃場への密植を可能とする連続鉢苗移植機の構成を提供することにある。また、第2の目的は、この構成を利用した新たな作物の栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のうち請求項1〜請求項5の発明は、第1の目的を達成するためのものである。 請求項1の発明は、進行方向前側から順に、連結片で連結された連続鉢苗を載置する鉢苗載置部と、該鉢苗載置部から引き出した鉢苗を一列に整列して案内する鉢苗案内部と、該鉢苗案内部から畑面に鉢苗を連続に繰り出す鉢苗繰出し部とを連接した機体を有し、前記機体には畑面に植付け溝を形成するオープナーを設けた連続鉢苗移植機において、前記オープナーの前端に回動可能にチゼルを設けたことを特徴とする連続鉢苗移植機を提供するものである。
【0011】
請求項2の発明は、前記オープナーの進行方向前方に、移植機側方への土の移動量を減少させる作用を有する部材を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、連続鉢苗移植機の機体に複数の鉢苗繰出部が進行方向に対して並列に配置し、且つ該機体に複数の鉢苗載置部が進行方向に対し直列に配置していることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記の移植機本体の前方にソリ状の滑走体を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、前記の移植機本体の前方に装着したハンドルが中空の把手を有し、該把手へ棒状の補助把手を挿入可能になっていることを特徴とする。
【0015】
本発明のうち請求項6の発明は第2の目的を達成するためのものであり、上記のいずれかに記載の移植機にて苗を移植する作物の生産方法である。
【発明の効果】
【0016】
膨軟に調整された圃場へ、条間と株間を狭くして苗を移植することが可能になる。しかも、それを簡易な構成で、高精度に実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図30に基づいて説明する。以下の実施形態については、その構成要素を適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の適用対象となる作物には特に限定はなく、花や野菜など、この発明の適用が可能なもの全てが含まれる。
【0018】
なお、本発明においてベンチとは、施設内で栽培するための囲いをした箱状の栽培床を意味することとし、高床式のように地面と離れて設置されるものに加えて、地面に栽培床が直接設置される形態をも含むこととする。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。
図1は本発明に係る連続鉢苗移植機の全体的な構造を示したものであり、鉢苗を連結片で連結してなる連続鉢苗34を、一回の進行で、同時に2条移植できるように構成されている。図1(a)が側面図であり、図1(b)が平面図である。
【0020】
移植機本体1は、進行方向Fに対する後側の下面を接地面19とした機体2上に、その進行方向Fに対して前側から順に、連結片で連結された連続鉢苗34を納めた育苗箱35を載置する鉢苗載置部7と、この鉢苗載置部7から引き出した連続鉢苗34を一列に整列して案内する鉢苗案内部8と、この鉢苗案内部8からベンチ圃場3の畑面に連続鉢苗34を連続して繰り出す鉢苗繰出し部9とを連接している。機体2について圃場の畑面に接地する部分は、側板43a及び43b並びに底板44で略箱状となっており、ベンチ圃場3の畑面上を滑らかに進行方向Fへ進むことができるよう前方にソリ状の湾曲部分37を有している。また、前記機体2には、前記ベンチ圃場3の畑面に植付け溝(図示略)を形成するオープナー10が進行方向Fに対して並列に2台設けてある。
【0021】
機体2には鉢苗載置部7、鉢苗案内部8、鉢苗繰出し部9がそれぞれ1セットずつの計2セット設けられている。これにより、2条分の連続鉢苗を、一回の進行で同時に植えることができるようになっている。
すなわち、鉢苗載置部7a(移植機前方側)に載置された連続集合鉢苗33aより連続鉢苗34aが鉢苗案内部8aを通り鉢苗繰出し部9aへと繰り出され、鉢苗載置部7b(移植機後方側)に載置された連続集合鉢苗33bより連続鉢苗34bが鉢苗案内部8bを通り鉢苗繰出し部9bへと繰り出され、それぞれベンチ圃場3に植付されることになる。
このとき、鉢苗載置部7aより引き出される連続鉢苗34aは、鉢苗載置部7bの下を通過して鉢苗繰出し部9aへと案内されるようになっている。
【0022】
鉢苗載置部7は2段となっており、鉢苗載置部7a(移植機前方側)へ鉢苗載置部7b(移植機後方側)が被さるように配列している。すなわち、進行方向Fに対して直列に配置してある。このように配列することによって、移植機本体1の幅は、図3に示すように育苗箱35を2冊載置できるにもかかわらず、育苗箱35の幅とほぼ同じになっている。鉢苗載置部7aは機体2の接地部分前方に、連続鉢苗34aの引き出しに適当となる傾斜を有するように結合している。鉢苗載置部7bは、ヒンジ17により回動可能に機体2に結合しており、鉢苗載置部7aと同様に傾斜している。
【0023】
鉢苗案内部8bは、連続鉢苗34bの滑動面を提供する案内部底板28bと、この案内部底板28b上に突設した左右一対の苗案内板11bとにより構成されている。鉢苗案内部7aは、連続鉢苗34aの滑動面を提供する案内部底板28aと底板44と、この案内部底板28a及び底板44上に突設した苗案内板11aとにより構成される。
鉢苗案内部8を形成する苗案内板11は、鉢苗載置部7側から鉢苗繰出し部9側へ向けてY字形に絞った案内路38を提供しており、鉢苗繰出し部9側における前記案内路38の間隔は、連続鉢苗34が一列に整列して通過できる大きさとなっている。
【0024】
鉢苗繰出し部9は、機体2の底面を切り欠いた切欠部として構成されている。鉢苗繰出し部9a及び9bは、機体2の後方に図3に示すWpの間隔を開けて配置している。
前記機体2の接地面19に設けられているオープナー10は、ベンチ圃場3の畑面に植付け溝(図示略)を形成するものである。このオープナー10は、先端部を鋭角に閉じかつ後端を開放した箱形をなし、その上部開口が前記鉢苗繰出し部9の切欠部に臨むように位置固定されている。オープナー10の左右壁の間隔は鉢苗繰出し部9の切欠部の幅よりやや広くされており、鉢苗繰出し部9から繰り出された連続鉢苗34は、このオープナー10の側壁にも案内されながら、前記植付け溝内に繰り出されるようになっている。前記鉢苗繰出し部9の切欠内に落し込まれた連続鉢苗34は、そのままオープナー10内に入り、その後部開口から前記植付け溝に連続して繰り出されるようになる。鉢苗繰出し部9の切り欠き部分には、左右1対の苗誘導板12が取り付けられている。また、オープナー10には、その先端下部に可動チゼル30がチゼルヒンジ32で回動可能に装着されている。
【0025】
ガイド部分20は、ベンチ4に沿って移植機本体1の位置決めができるようにするためのものであり、機体2の後方に設けられ、ガイドローラー21、ロッド22、アーム23及び固定フレーム24により構成されている。アーム23は、固定フレーム24上端の中空部材に、移植機本体1の進行方向Fに対して直角の方向へ移動かつ固定可能に挿入されている。ガイドローラー21はロッド22を軸として回転可能に装着されている。固定フレーム24の高さは連続鉢苗34がその真下を通過しても、幼植物(苗)の生育量では接触しないような高さに設定してある。ロッド22はアーム23に、機体2に対する高さ方向の調節が可能に取り付けられている。
【0026】
機体2の後端には、植付け溝に繰り出された連続鉢苗34へ周辺の土を掻き寄せるよう作用する、湾曲した板からなる一対の土寄せ体13が設けられている。
【0027】
機体2の前側には、把手15を有するコの字型のハンドル14が鉢苗載置部7bに結合するハンドル固定部材39に、機体2に対する角度を変更可能に取り付けされている。把手15は中空部材で形成され、棒状の補助把手26が伸長短縮可能に挿入されている。ロックボルト32にて伸長した補助把手26の位置を固定する。鉢苗載置部7bには、さらに車輪スタンド27がそのベンチ圃場3側の先端に車輪16を有して、機体2に対する角度を変更可能に取り付けされている。また、車輪16と湾曲部分37との間には一対の制御板31が、移植機本体1の中心線に相当する部分を、オープナー10aと10bとの間隔分開けるようにして取り付けられている。制御板31は、さらに長穴72により移植機本体1に対してその位置を前後又は上下に調整可能となっている。
【0028】
次に、本実施形態における作業の一例を説明する。
本実施形態が適用される栽培用ハウス6内のベンチ配置を図2に示す。栽培用ハウス6には図面の上側から順に4a、4b、4cと3台のベンチ4が配列している。
ベンチ4は、鋼板により形成された箱であり、地面に固定されている。おおよそ作業者の腰までの高さである。ベンチ4には、必要量の肥料及び土壌改良剤が混合された土が充填されている。
ベンチ4aとハウス側壁41aとの間隔、及びベンチ4cとハウス側壁41bとの間隔は、それぞれ作業者一人がかろうじて通過できる程度であり、移植機けん引などの作業をすることは極めて困難である。作業は作業用通路42a及び42bにて行うことになる。
以下、 図4の中で、最も上に配置されているベンチ4aにて移植作業する場合を例示する。
【0029】
図3は、図2におけるベンチ4aで移植作業する例を示したものである。作業者は作業用通路42aを通り移植機本体1を進行させる。
移植に際しては、予め、図3(a)のように、ガイドローラー21をベンチ側壁5aに接触させ、移植機本体1についても機体2が側壁5aに接する程度にまで近づける。そして、補助把手26を作業用通路42a側へ伸ばし適当な位置で固定する。
【0030】
苗の移植機本体への載置を図4に示す。移植機本体1の鉢苗載置部7bを後方へ回動し、鉢苗載置部7aに連続鉢苗集合体33aを収めた育苗箱35aを載置する。そして、鉢苗載置部7aから最先端の連続鉢苗34aを手に持って引き出し、これを鉢苗案内部8aから鉢苗繰出し部9aに移送して、ベンチ圃場3の畑面に植付け、その位置を固定する(初期位置固定)。そして鉢苗載置部7bを前方へ回動して、連続鉢苗集合体33bを収めた育苗箱35bを載置し、連続鉢苗34bについても同様に初期位置固定を行う。
【0031】
次に、作業者40は補助把手26を持ち作業用通路42aにて移植機本体1を進行方向Fへ進行させる。すると、育苗箱35a(及び35b)内の連続鉢苗34a(及び34b)は、順次引き出されて鉢苗案内部8a(及び8b)と鉢苗繰出し部9a(及び9b)とを経て、オープナー10a(及び10b)によって形成された植付け溝に整列状態を維持して載置される。この植付け溝に載置された連続鉢苗35は、土寄せ体13による土の掻き寄せによってその位置が順次固定され、植付けられる。
【0032】
作業者40は、図5(a)に示すように進行方向Fを向いて移植機本体1を押すようにしてもよく、図5(b)に示すように進行方向Fの反対方向を向いて引くようにしてもよい。このとき作業者40は、ベンチ圃場3よりも平坦で堅く歩きやすい通路42a上を歩いて作業することになり、疲労度を少なく作業できる。また、ベンチ圃場3の上を歩かないので、移植済みの苗列を踏むこともない。
【0033】
図2におけるベンチ4aの右端まで行き、2条分の移植が終了すると、最初の位置、すなわち図3(a)での作業を開始した位置まで戻り、図3(b)に示すように、W1=Wpとなるようにアーム23をベンチ側壁5aの方へ伸ばし、ガイドローラー21をベンチ側壁5aに接触させ、上述と同様に移植機本体1を進行させる。このとき、作業者40が操作しやすいように、補助把手26は適当な長さを設定する。
【0034】
そして図2におけるベンチ4aの右端に到達し計4条分の移植が終了すると、ベンチ4aの右端にて図3(c)のように移植機本体1を反転させる。そして、W2=Wpとなるように移植機本体1を移動させ、これまでと同様にガイドローラー21をベンチ側壁5bに接触させ、移植機本体1を進行方向Fへ進行させる。このとき、図3(a)及び図3(b)とは反対の進行方向となる。
【0035】
なお、移植の順番は、図3に例示した(a)(b)(c)の順に一方向(この例では図3における5a側)からベンチ圃場3を埋めていくほか、図3において(a)(c)(b)の順のようにして両方向から埋めていくようにしてもよい。
【0036】
本例では、全幅Wのベンチ4へ条間Wpで6条移植している。これについては、移植条数や条間は必要に応じて適宜変更してもよいことはもちろんである。ベンチ4の大きさや必要な栽植密度に合わせて適宜変更してよい。
【0037】
ガイドローラー21が側壁5(5a又は5b)に沿うようにして作業者40が移植機本体1を進行させることにより、進行方向Fへの直進が安定することになる。これは、図3(b)に示すように、ガイド部分20の効果により側壁5と移植機本体1との距離Dを一定に保つことが可能になるためである。
【0038】
ガイド部分20がない場合の作業を図6に示す。ガイドローラー21がないと、距離Dを一定に保ちつつ移植機本体1を進行させることが困難となり、移植機本体1が蛇行することになる。このとき、植付けされた連続鉢苗34の苗列も蛇行することになり、条間の精度を維持することができなくなる。そのため、所定の栽植密度(条数)で移植できなくなる可能性がある。蛇行が甚だしい場合は移植作業をやり直さなければならなくなる
【0039】
ガイド部分20については、設置位置、数量、形状などを適宜設定することができる。機体2に設けられ、ベンチの側壁、又はベンチに設けられたレールなどに沿うようなものであればよい。
例えば、図7(a)に示すように、機体2の中央部分(鉢苗案内部8bの真上部分)に設けてもよい。また、図7(b)に示すようにベンチ3を横断し両側壁5に接触するようにしてもよく、図7(c)に示すように機体2の中央及び後方に設けてもよい。ガイド部分20は、図8に示すように(a)ソリ状(回転体ではなく滑動体)、(b)複数のローラー配設、とすることも可能である。図9に示すようにベンチ4の側壁5にガイドレール59を設け、ガイドレールにかみ合うような溝付車輪45を設けてもよい。さらには、図10に示すようにベンチ4を縦断するようにガイドレール59を設けてもよい。
【0040】
オープナー10の先端には可動チゼル30が設けてある。可動チゼル30は先端に向けて細くなるように形成された板と、該板を固定する板からなり、進行方向Fへ下方傾斜してオープナー10に取り付けてある。オープナー30に先行して、可動チゼル30が土中(又は培地中)にくい込むことで、機体2の浮き上がりが防止される。
可動チゼル30が地中深くへくい込もうとすればするほど、機体2も沈むことになり、その分機体2の進行方向前方の土を機体2の側方へ押しのけることになる。条間が広い場合は、この押しのけられた土の影響は無視できる。しかし、本発明における育苗箱の幅の半分以下のような狭い条間では、影響は無視できない場合がある。すなわち、移植済み苗列へ土がかかり、すでに植えたものの姿勢が乱れたり、甚だしい場合には埋もれるなどの不具合が発生することがある。図16に示す機体の接地面19と可動チゼル30とのなす角度θが大きくなればなるほど、可動チゼル30につれてオープナー10は地中深くへくい込もうとする。また、角度θが同じ場合は、圃場が膨軟になるほど地中深くへくい込もうとする。そこで、オープナー10の可動チゼル30は、条件に応じてこの角度θを変えることができ、これによりくい込みの程度を調整できるようになっている。
図15(a)はオープナー10と可動チゼル30とを分解した状態を示す側面図であり、図15(b)はオープナー10と可動チゼル30とを分解した状態を示す平面図である。図15(a)に示すように、オープナーの10の先端には切り欠きがあり、図15(c)に示すように可動チゼル30はチゼルヒンジ32を中心に回動可能になっている。そして、適当な角度θとなるように角度調節穴69aと69bとを符合させ、ボルト(図示略)で固定するようになっている。
そして、ベンチ圃場3が固い場合などくい込みが不十分な場合は図16(a)のように角度θを大きくし、ベンチ圃場3が膨軟で柔らかく機体2の沈む量が大きい場合は図16(b)のように角度θを小さくする。
【0041】
制御板31の作用も、移植機本体1の進行方向Fの前方にある土が移植機本体1の側方へ押しのけられることによる不具合を解消するものであり、前方の土(又は培土)を移植済み苗列とは反対の方向へ寄せるものである。図11(a)は移植機進行中の状態を示す側面図であり、図11(b)はこのときの土(又は培地)の流れ(土の移動)を模式した平面図である。Vfは移植機本体1の前方からの土の流れ(土の移動)、Vbは移植機本体1の後方について側方への土の流れ(土の移動)、Vcは移植機本体1の後方について移植機中心側への土の流れ(土の移動)をそれぞれ示している。図11(b)に示すように、一対の制御板31の作用により、本来であればVbへと流れることになる斜線部分Hの土がVcへと流れることになる。そのため、Vbは移植済み苗列Pへ悪影響を与えるほどの量とはならなくなる。したがって、進行方向前方の土が側方へ押しのけられ、移植済みの苗列Pへ、土がかけられてしまうことや、移植済み苗列Pが乱れることの防止が可能となる。
制御板31は本実施例では平面図である図11(b)において、くの字の形状をなし、互いに向き合うように配置してあるが、この形状や数量は適宜変更可能である。また、制御板31相互の間隔Whも変更してよい。
例えば、圃場の左側からのみ順に植えて行くときは、移植機の進行方向の右側には移植済みの苗列は存在しないことになるので、そのような場合は移植機の進行方向の左側へ流れる(移動する)土の量を減らすような形状及び配置とすればよい。
【0042】
本実施形態では、ベンチへの密植を実現するために2個のオープナー10aと10bとの間隔を育苗箱の幅の半分程度に狭く設定してある。すなわち標準的な育苗箱35の短辺の長さの内に2個のオープナーが収まるようになっている。そのため、図12(a)に示すようにその間隔に土塊や作物残渣などの夾雑物62がはさまり、移植機進行の抵抗となったり、連続鉢苗への土寄せが不安定になる可能性がある。そこで、図12(b)に示すように、オープナー10の進行方向前方に、夾雑物除去部材63を取り付けると、このような夾雑物を除けることができる。夾雑物除去部材63は、図12(c)に示すように車輪16の代わりに取り付けてもよく、図12(d)に示すように機体2の底板44を前方へ延長して取り付けるようにしてもよい。
【0043】
図13に一例を示すように案内部底板28について、斜線部で示したような穴を開けておくと、その上を連続鉢苗が通過するときに、余分な土が落ち、鉢苗案内部8の案内路38への土の付着を少なくすることができる。さらには、これにより育苗時の土詰・播種時に必要以上に詰められた余剰土を除去することもできる。
【0044】
本実施形態では、一回の進行で2条移植可能なように、鉢苗載置部、鉢苗案内部、及び鉢苗繰出し部のセットが2セットある構成となっている。図14(a)に示すように1セットの構成としてもよく、図14(b)に示すように3セットの構成としてもよく、さらにそれ以上でもよい。
【0045】
図16に示すように、土寄せ体13の後方に位置するように、機体2に一対の鎮圧ローラー29を設けてもよい。
【0046】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図18〜図26に基づいて説明する。なお、上述した第1実施形態と同一又は相当する形態には同一の名称及び符号を付与して、重複する詳細な説明を省く。
【0047】
図18は移植機本体1の全景を示し、図18(a)が平面図、図18(b)が側面図である。移植機本体1の主な構成要素は、移植ユニット60、フレーム46、移動バー51、スライド用バー52、溝付車輪45である。移植機本体1には2台の移植ユニット60が設置されている。移植ユニット60は鉢苗載置部7、鉢苗案内部8、鉢苗繰出し部9から構成されている。鉢苗載置部8には鉢苗案内ローラー47が取り付けられている。移植ユニット後部には、下側に先端にチゼル48を有するオープナー10が取り付けてあり(なお、このチゼル48については第1実施形態と同様の可動チゼルとしてもよい)、上側には位置決めブラケット76が取り付けてある。また、移植ユニット60の後尾には後進用オープナー54がヒンジ55により回動可能に取り付けられている。
【0048】
位置決めブラケット76に取り付けられている位置決めボルト61を上方から締め込むことにより、移動バー51の移植ユニット60に対する位置が固定される。また、移動バー51には複数個の条間位置決めカラー50が等間隔で取り付けてある。フレーム46はパイプ部材を格子状に組み合わせて形成してあり、四隅に把手15を有し、6個の溝付車輪45が取り付けられている。フレーム46上には、移動バー51を受ける形状を有する(例えば半円形上の凹み)、移動バー受け部53a及び53bがあり、移動バー受け部53bは特に条間位置決めカラー50の嵌り込みが可能な形状を有している。1条の移植完了後、次の条への移植ユニット60の移動は、移動バー51を左右に動かすことにより行う。
【0049】
鉢苗載置部7の真下には、一対のスライド用ローラー49が回動自在に装着してある。スライド用ローラー49は溝付のローラーであり、円形パイプ部材よりなるスライド用バー52を両側から挟み込むように配置している。
移植機本体1の回送時(移植の作業を行わず移植機本体1の移動のみ)に移植ユニット60のオープナー10がベンチ圃場3より上に位置するよう、高さ調節部56でフレーム46を上下することができる。高さ調節部56は、フレームヒンジ73により回動可能で、フレーム46に取り付けてあるロックボルト74を高さ調節長穴75の任意の位置で締結し固定(ロック)することにより、フレーム46及び移植ユニット60のベンチ圃場3に対する高さを変更できるようになっている。
【0050】
図19は移植機本体1をベンチ4に装着した状態を示す。本実施形態ではベンチ4の側壁5がガイドレール59の役割をしており、ベンチの側壁5上に溝付車輪45が嵌り転動する。作業者40は、図5と同様に進行方向Fへ向けて把手15を押すか引くことにより、移植機本体1を滑らかに進行させることができる。
【0051】
本実施形態における作業の概略を図20に示す。移植機本体1をベンチ4の幅方向の最初に移植する位置に合わせる。そして、第1実施形態と同様に連続鉢苗34の初期位置固定を行う。
図20(a)は1条目の移植作業を示すものである。作業者40は進行方向Fへ移植機本体1を進行させる。すると、育苗箱35内の連続鉢苗34は、順次引き出されて鉢苗案内部8と鉢苗繰出し部9とを経て、オープナー10によって形成された植付け溝に整列状態を維持して載置される。この植付け溝に載置された連続鉢苗35は、土寄せ体13による土の掻き寄せによってその位置が順次固定され、ベンチ圃場3の畑面に植付けられる。
【0052】
ここでは、図20において左側から右側へ進行させるものとし、この時の移植ユニット60とフレーム46との位置関係を図21(a)に示す。ベンチ3の右端まで到達すると、高さ調節部56でのロックを緩め、図21(b)に示す状態になるように、すなわち移植ユニット60のオープナー10がベンチ圃場3よりも上に位置するようにフレーム46を上げ、その状態で再び高さ調節部56にてロックし、ベンチ3の左端まで回送する。ベンチ左端まで戻ると移動バー51を持ち上げる。すると、図21(c)又は図21(d)に示すように、スライド用バー52を支点にして持ち上げることができるので、その状態で所定の位置だけベンチ4の幅方向について移植ユニット60を移動させた(スライドさせた)後に、フレーム46を下げ条間位置決めカラー50を移動バー受け部51へ嵌め込む。スライド用ローラー49がスライドバー52に沿って転動するので、この移動は滑らかに行うことができる。なお、図21(c)はフレーム46が上がった状態、図21(d)はフレーム46が下がった状態である。そして、図21(a)の状態、すなわち移植ユニット60が移植可能な位置まで下がるようにして、連続鉢苗34を引き出し初期位置固定を行い、再び移植機本体1を進行方向Fへ進行させる。順次、この作業を繰り返し、必要な条数を植える。図20(b)は所定の条数の半分以上の移植を行った状態を示したものである。
【0053】
フレーム46上の移植ユニット60の台数には制限はなく、1台でもよく、図22に示すように、3台でもよい。なお、側壁5とガイドレール59を兼用せずに、ベンチ4に別途レールを設けてもよく、図23に示すようにベンチを縦断するようにガイドレール59を設けてもよい。
【0054】
また、移植ユニット60はフレーム46によりその機体が支持されているため、第1実施形態のように圃場により支持を受ける接地面を移植機本体1に設ける必要はない。したがって図23(a)に示すように、オープナー10に直接、土寄せ体10、苗誘導板12を取り付けて植付する部分(二点鎖線の円内)を構成してもよい。図23(b)は植付する部分(円内)を拡大したものである。
【0055】
本実施形態においては、ベンチ全体を有効に利用することができるように、可能な限りベンチの端から端まで移植できるような移植機の構成としている。図25に詳細を示すオープナー10及び後進用オープナー54からなる構成は、これを具現化するものである。
図25に示すように後進用オープナー54はヒンジ55、土寄せ体13はヒンジ57を中心に回動可能になっている。進行方向Fへと進んで移植するときは図25(a)の状態に固定し、後進用オープナー54を使用するときは、土寄せ体13を上げ図25(b)の状態に固定する。
【0056】
図26は、後進用オープナー54による一連の作業を模式するものである。図26(a)は植え始めのオープナー10をベンチ圃場3に入れる直前の状態であり、オープナーの長さに加えて土寄せ体13の長さ分、移植機本体1を前進させる必要がある。図26(b)は機体を前進させオープナー10が完全にベンチ圃場3に完全に入った状態であり、オープナー10の全長分以上の未移植部分が発生する。図26(c)に示すように、オープナー10が完全にベンチ圃場3に入った時点で、土寄せ体13を上げ、後進用オープナー54を下げ圃場内へ入れる。その後、図26(d)に示すように、移植機本体1を後進させ(B方向)ベンチ圃場3の端部まで植付け溝を作り、連続鉢苗34を引き出し、植付け溝へ入れ初期位置固定を行う。初期位置固定を行った後、後進用オープナー54を上げ、土寄せ体13を下ろし、移植機本体1をFへ進行させると図26(e)に示すように植付され、ベンチ3の端から植付けされた状態となる。
【0057】
なお、後進用オープナー54は、本発明のような連続鉢苗移植機のみではなくオープナー又はオープナーに相当する構成要素を有することを特徴とする各種の移植機に適用することが可能である(例えば特開2002−305920号公報に開示されている野菜移植機など)。このように構成した場合、枕地や圃場の端へ植えることが容易にできるようになり、補植作業の労力を軽減することができる。
【0058】
本実施形態においては特別の動力源を必要としない。しかしながら、モーターやエンジンなどの動力源を使用して移植機を進行させてもよい。フレームにモーターを装備して車輪を駆動してもよく、たとえば、フレームにワイヤーを取り付け、ベンチ端に巻取り機を設け、該ワイヤーを巻き取りながら移植機本体を進行させるよう構成してもよい。
【0059】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図27〜図30に基づいて説明する。なお、上述した第1実施形態と同一又は相当する形態には同一の名称及び符号を付与して、重複する詳細な説明を省く。第3実施形態は、膨軟に成形されたベッド(高畦)に1条移植する形態である。
【0060】
図27は移植機本体1の全景を示し、図27(a)が側面図、図27(b)が平面図である。移植機本体1は、進行方向Fの後側の下面を接地面19とした機体2上に、その進行方向Fの前側から順に、連結片で連結された連続鉢苗34を載置する鉢苗載置部7と、この鉢苗載置部7から引き出した連続鉢苗34を一列に整列して案内する鉢苗案内部8と、この鉢苗案内部8から圃場に連続鉢苗34を連続に繰り出す鉢苗繰出し部9とを連接している。鉢苗載置部7と鉢苗案内部8との間には連接板58が設けられている。また、前記機体2の接地面19に、圃場の畑面に植付け溝(図示略)を形成するオープナー10を設けるとともに、前記鉢苗載置部7について進行方向最前方に相当する位置にブラケット66が設けられている。ブラケット66にはハンドル14とスタンド67が取り付けてある。スタンド66の下端には、前方が湾曲したソリ状の板である滑走体65が、ヒンジ71にて回動可能に取り付けられている。オープナー10の進行方向Fの前方には一対の制御板31が取り付けてある。一対の制御板31は、移植機本体1の中心線に相当する部分を、オープナー10の幅よりも広く開けるようにして取り付けられている。制御板31は、さらに長穴72により移植機本体1に対してその位置を前後又は上下に調整可能となっている。オープナー10へは可動チゼル30が取り付けてある。機体2の後端には土寄せ体13及び鎮圧ローラー29をそれぞれ1対取り付けてある。ハンドル14の上端には、中空の円筒状部材よりなる把手15が設けてあり、棒状の補助把手26が内挿可能且つロックボルト36で固定可能となっている。
【0061】
本実施形態における作業の概略を図28に示す。
移植に際しては、予め移植機本体1の鉢苗載置部7の上に連続鉢集合鉢苗33を納めた育苗箱35を載置する。そして先ず、連接板58を鉢苗載置部7側へ倒し、その先端部を育苗箱35内の連続集合鉢苗33の下側に潜らせる。次に、移植機本体1の鉢苗載置部7から最先端の連続鉢苗34を手に持って引き出し、これを鉢苗案内部8から鉢苗繰出し部9に移送して、植付け溝に植付け、その位置を固定する(初期位置固定)。次に、ベッド(高畦)70の両側に配置する作業者40が、補助把手26をけん引し、移植機本体1を進行方向Fへベッド70の畑面の上を進行させる。すると、育苗箱35内の連続鉢苗33は、連接板58の上面を滑動して、順次引き出されて鉢苗案内部8と鉢苗繰出し部9とを経て、オープナー10によって形成された植付け溝に整列状態を維持して載置されることになる。なお、この植付け溝に載置された連続鉢苗33は、土寄せ体13による土の掻き寄せと鎮圧ローラー29による鎮圧とによってその位置が順次固定され、植付けされる。
1条の移植が終わると、所定の条間となるように移植機本体1を移動させ、上述の作業を所定の条数(栽植密度)になるまで繰り返す。
【0062】
図29に可動チゼル30及び制御板31を示す。これらの作用及び機能は第1実施形態で記載したものと同様である。
図29(a)に示すように、ベッド70への機体2の沈む量が大きい場合は角度θが小さくなるように可動チゼル30を調整し、ベッド70に対して機体が浮き上がるようであれば、角度θが大きくなるように可動チゼル30を調整するとよい。
図29(b)は図28に示すように移植機本体1がFへ進行しているときの土(又は培地)の流れ(土の移動)を模式した平面図である。Vfは移植機本体1の前方からの土の流れ(土の移動)、Vbは移植機本体1の後方について側方への土の流れ(土の移動)、Vcは移植機本体1の後方について移植機中心側への土の流れ(土の移動)をそれぞれ示している。制御板31の作用により、本来であればVbへと流れることになる斜線部分Hの土がVcへと流れることになる。そのため、Vbは移植済み苗列Pへ悪影響を与えるほどの量とはならなくなる。
制御板31については、間隔Wh、その形状など変更可能であるのは第1実施形態と同様である。
【0063】
なお、本実施形態は、ネギの植溝へも適用可能のほか、鎮圧が十分になされ移植機及び作業者を支持可能な、いわゆる堅い圃場にも適用可能である。そのような場合は、作業者はハンドルを持って進行方向Fへ引っ張るように(特許文献3に示されているように)作業することができる。このとき、植機本体1の植付部分(機体2)が浮き上がるようならば、可動チゼル30について、図29(a)に示す角度θが大きくなるよう調整するとよい。
【0064】
また、第3実施形態は変形例として、図30(a)に示すように一回の進行で2条同時に移植、図30(b)に示すように一回の進行で3条同時に移植、など複数の条を同時に移植できるような構成とすることも可能である。
なお、滑走体65については、栽植密度、条間、圃場の状態などを勘案して、適宜大きさや形状を定めることができる。

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施形態の機体図であり、(a)左側面図、(b)平面図である。
【図2】第1実施形態の適用される栽培ハウス内の配置を示す平面図である。
【図3】第1実施形態の作業状態を示す平面図である。
【図4】鉢苗載置部7aへ育苗箱を載置する動作を表す右側面図である。
【図5】作業時の姿勢を模式する右側面図である。
【図6】ガイド部分がない場合の移植機の蛇行する様子を模式する平面図である。
【図7】ガイド部分の配置例を示す平面図である。
【図8】ほかのガイド部分の例を示す平面図である。
【図9】ベンチにガイドレールを設け移植機のガイド部分を溝付車輪とした例を示す図であり、(a)平面図、(b)側面図である。
【図10】ベンチ中央にレールを設けた例を示す平面図である。
【図11】制御板の作用を模式する図であり、(a)右側面図、(b)平面図である。
【図12】夾雑物除去部材の作用を模式する図であり、(a)平面図、(b)平面図、(c)右側面図、(d)右側面図である。
【図13】連続鉢苗の案内路に穴を開けた状態を示す平面図である。
【図14】第1実施形態の変形例を示す平面図であり、(a)1条植、(b)3条植である。
【図15】オープナーの可動チゼルの構造を示す右側面図である。
【図16】可動チゼルの機体に対する角度を表す右側面図である。
【図17】鎮圧ローラーを取り付けた状態を示す(a)平面図、(b)右側面図である。
【図18】第2実施形態の機体図であり、(a)平面図、(b)右側面図である。
【図19】第2実施形態の概要を表し、ベンチに装着した状態を示す(a)平面図及び(b)右側面図である。
【図20】第2実施形態の作業状態を表す平面図である。
【図21】移植機本体の移動する状態を示す右側面図である。
【図22】第2実施形態の変形例であり、フレームに移植ユニットを3台取り付けた状態を示す平面図である。
【図23】第2実施形態の変形例であり、ベンチ中央にガイドレールを設けた例を示す平面図である。
【図24】第2実施形態の変形例であり、オープナーに直接土寄せ体及び苗誘導板を取り付けた状態を表す平面図であり、(a)全体図、(b)植付する部分の拡大図(二点鎖線の円内を拡大)である。
【図25】オープナー及び後進用オープナーの構造を示す右側面図である。
【図26】後進用オープナーを利用してベンチの端まで植付けする様子を模式した右側面図である。
【図27】第3実施形態の機体図であり、(a)右側面図、(b)平面図である。
【図28】第3実施形態の作業の概要を表す(a)右側面図及び(b)平面図である。
【図29】第3実施形態における可動チゼル及び制御板についての図であって、(a)可動チゼルと機体との角度θを示す右側面図、(b)制御板の作用を模式する平面図である。
【図30】第3実施形態の変形例を示す平面図であり、(a)2条植の形態、(b)3条植の形態である。
【符号の説明】
【0066】
1 移植機本体、2 機体、3 ベンチ圃場、4 ベンチ、5 側壁、
7 鉢苗載置部、8 鉢苗案内部、9 鉢苗繰出し部、10 オープナー、
11 苗案内板、12 苗誘導板、14 ハンドル、15 把手、20 ガイド部分、
21 ガイドローラー、22 ロッド、23 アーム、24 固定フレーム、
26 補助把手、29 鎮圧ローラー、30 可動チゼル、31 制御板、
33 連続集合鉢苗、34 連続鉢苗、35 育苗箱、40 作業者、
45 溝付車輪、46 フレーム、54 後進用オープナー、60 移植ユニット、
65 滑走体、70 ベッド(高畦)、F 進行方向、G 地面、P 移植済み苗列


【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向前側から順に、連結片で連結された連続鉢苗を載置する鉢苗載置部と、該鉢苗載置部から引き出した鉢苗を一列に整列して案内する鉢苗案内部と、該鉢苗案内部から畑面に鉢苗を連続に繰り出す鉢苗繰出し部とを連接した機体を有し、前記機体には畑面に植付け溝を形成するオープナーを設けた連続鉢苗移植機において、
前記オープナーの前端に回動可能にチゼルを設けたことを特徴とする連続鉢苗移植機。
【請求項2】
前記オープナーの進行方向前方に、移植機側方への土の移動量を減少させる作用を有する部材を設けたこと、
を特徴とする請求項1に記載の連続鉢苗移植機。
【請求項3】
移植機の機体に複数の鉢苗繰出部が進行方向に対して並列に配置し、
且つ該機体に複数の鉢苗載置部が進行方向に対し直列に配置していること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の連続鉢苗移植機。
【請求項4】
移植機本体の前方にソリ状の滑走体を設けたこと、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鉢苗移植機。
【請求項5】
移植機本体の前方に装着したハンドルが中空の把手を有し、
該把手へ棒状の補助把手を挿入可能になっていること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連続鉢苗移植機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の移植機にて苗を移植することを特徴とする作物の生産方法


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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