説明

膵臓癌の治療

本発明は、腫瘍学の分野に関し、膵臓癌を治療するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド、その多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はそれらを含む医薬組成物の使用に関する。さらに、本発明は、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はそれらの多形体若しくは薬学的に許容され得る塩、又はそれらを含む医薬組成物を、それが必要な個体に投与する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
膵臓癌は、米国において、癌による死亡の四番目に多い原因である。現在、外科手術(膵臓の切除)が膵臓癌の主要な治療法となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
明細書に開示されるように、第一の態様において、本発明の一実施形態は、複数の膵臓細胞の増殖性疾患を治療するための方法であって、それが必要な個体に、治療有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せを投与することを含む方法である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓癌である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓の前癌症状である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓の過形成である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓の化生である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓の異形成である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は導管細胞癌、多形巨細胞癌、巨細胞癌(破骨細胞型)、癌、腺扁平上皮癌、粘液性(膠様)癌、嚢胞癌、腺房細胞癌、乳頭癌、小細胞(燕麦細胞)癌、膵芽腫、混合型細胞癌、未分化癌、膵臓の過形成、膵臓の化生、膵臓の異形成、粘液性嚢胞腺腫、導管内乳頭状腫瘍、漿液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞性腫瘍、異形成を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍、異形成を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍、充実性偽乳頭状腫瘍又はそれらの組合せである。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は転移性膵臓癌である。幾つかの実施形態において、投与は非経口、注射、静脈内、経口、局所又はそれらの組合せで行われる。幾つかの実施形態において、投与は経口で行われる。
【0003】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、膵臓腫瘍を治療する方法であって、膵臓腫瘍を保有する対象に、治療有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せを投与することを含む方法である。幾つかの実施形態において、腫瘍は良性である。幾つかの実施形態において、腫瘍は悪性である。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖速度が低減する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズの増大が抑制される。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍容積の増大が抑制される。幾つかの実施形態において、腫瘍容積が縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖が抑制される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖が低減する。幾つかの実施形態において、細胞死が誘導される。幾つかの実施形態において、アポトーシスが誘導される。
【0004】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、膵臓癌細胞を退化させるための、膵臓癌細胞の成長を阻害するための、膵臓癌細胞の増殖を阻害するための又は膵臓癌細胞を死滅させるための方法であって、膵臓癌細胞を、ある量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せと接触させることを含む方法である。
【0005】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、対象において膵臓癌発症の進行を遅延させるための、膵臓癌発症を逆行させるための又は膵臓癌発症を阻害するための方法であって、対象に、有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド又はその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む方法である。
【0006】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、浸潤性膵臓癌の発症リスクを低下させるための方法であって、それが必要な個体に、有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せを投与することを含む方法である。幾つかの実施形態において、個体は浸潤性膵臓癌を発症しやすい疾患又は症状に罹患している。幾つかの実施形態において、個体は糖尿病又は膵臓炎に罹患している。幾つかの実施形態において、個体は遺伝性症候群に罹患している。幾つかの実施形態において、個体は遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)又は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)に罹患している。幾つかの実施形態において、個体は遺伝子突然変異を保有する。幾つかの実施形態において、個体はMSH2、MSH6、MLH1又はAPC遺伝子に遺伝子突然変異を保有する。
【0007】
第二の態様において、本発明は、個体において複数の膵臓細胞の増殖性疾患を治療するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくは薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用に関する。
【0008】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が膵臓癌である、上記使用に関する。
【0009】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が膵臓の前癌症状である、上記使用に関する。
【0010】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が膵臓の過形成である、上記使用に関する。
【0011】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が膵臓の化生である、上記使用に関する。
【0012】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が膵臓の異形成である、上記使用に関する。
【0013】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が導管細胞癌、多形巨細胞癌、巨細胞癌(破骨細胞型)、癌、腺扁平上皮癌、粘液性(膠様)癌、嚢胞癌、腺房細胞癌、乳頭癌、小細胞(燕麦細胞)癌、膵芽腫、混合型細胞癌、未分化癌、膵臓の過形成、膵臓の化生、膵臓の異形成、粘液性嚢胞腺腫、導管内乳頭状腫瘍、漿液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞性腫瘍、異形成を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍、異形成を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍、充実性偽乳頭状腫瘍又はそれらの組合せである、上記使用に関する。
【0014】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、増殖性疾患が転移性膵臓癌である、上記使用に関する。
【0015】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、投与が非経口、注射、静脈内、経口、局所又はそれらの組合せで行われる、上記使用に関する。
【0016】
第二の態様に係る一実施形態において、本発明は、投与が経口で行われる、上記使用に関する。
【0017】
第三の態様において、本発明は、個体において膵臓腫瘍を治療するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくは薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用に関する。
【0018】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍が良性である、上記使用に関する。
【0019】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍が悪性である、上記使用に関する。
【0020】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍増殖速度を低減させる、上記使用に関する。
【0021】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍サイズの増大を抑制する、上記使用に関する。
【0022】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍サイズを縮小させる、上記使用に関する。
【0023】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍容積の増大を抑制する、上記使用に関する。
【0024】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍容積を縮小させる、上記使用に関する。
【0025】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍増殖を抑制する、上記使用に関する。
【0026】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、腫瘍増殖を低減させる、上記使用に関する。
【0027】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、細胞死を誘導する、上記使用に関する。
【0028】
第三の態様に係る一実施形態において、本発明は、アポトーシスを誘導する、上記使用に関する。
【0029】
第四の態様において、本発明は、個体において膵臓癌細胞の増殖を阻害するための又は膵臓癌細胞を死滅させるための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用に関する。
【0030】
第五の態様において、本発明は、個体において膵臓癌発症の進行を遅延させるための、膵臓癌発症を逆行させるための又は膵臓癌発症を阻害するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用に関する。
【0031】
第六の態様において、本発明は、個体において浸潤性膵臓癌の発症リスクを低下させるための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用に関する。
【0032】
第六の態様に係る一実施形態において、本発明は、個体が浸潤性膵臓癌を発症しやすい疾患又は症状に罹患している、上記使用に関する。
【0033】
第六の態様に係る一実施形態において、本発明は、個体が糖尿病又は膵臓炎に罹患している、上記使用に関する。
【0034】
第六の態様に係る一実施形態において、本発明は、個体が遺伝性症候群に罹患している、上記使用に関する。
【0035】
第六の態様に係る一実施形態において、本発明は、個体が遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)又は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)に罹患している、上記使用に関する。
【0036】
第六の態様に係る一実施形態において、本発明は、個体が遺伝子突然変異を保有する、上記使用に関する。
【0037】
第六の態様に係る一実施形態において、本発明は、個体がMSH2、MSH6、MLH1又はAPC遺伝子に遺伝子突然変異を保有する、上記使用に関する。
【0038】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、それが必要な個体において複数の膵臓細胞の増殖性疾患を治療するためのキットであって、
(a)(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せ;並びに
(b)(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せの投与に関する説明書
を含むキットである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、各群の腫瘍容積中央値を時間(日)の関数として示す腫瘍増殖曲線である。
【図2】図2は、各群の%体重変化中央値を時間(日)の関数として示す体重変化曲線である。
【図3】図3は、化合物A投与後の腫瘍容積の減少を時間の関数として示す図である。
【図4】図4は、化合物A投与後の腫瘍容積の減少を時間の関数として示す図である。
【図5】図5は、実施例2に記載される、化合物Aを用いた膵臓癌細胞株MIA−PaCa−2中でのインビトロ抗増殖アッセイの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の新規な構成は、特に、特許請求の範囲に記載されている。本発明の構成及び効果に関するさらなる理解は、以下の詳細な説明及び図面を参酌することによって可能となるであろう。以下の詳細な説明には、本発明の基本原理が利用される例示的な実施形態が記載される。
【0041】
定義
明細書中で用いられる「対象」又は「個体」という用語には、哺乳動物及び非哺乳動物が含まれる。いずれの用語も、医療専門家(例えば、医師、看護師、病棟勤務者、ホスピス勤務者)の監視が必要であるという意味に解釈されるべきではない。哺乳動物の具体例としては、これらに限定されるわけではないが、哺乳類に属する任意の動物:ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、並びにその他の種の類人猿及びサル);家畜(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ);愛玩動物(例えば、ウサギ、イヌ及びネコ);齧歯動物等の実験動物(例えば、ラット、マウス及びモルモット)等が挙げられる。非哺乳動物の具体例としては、これらに限定されるわけではないが、鳥類、魚類等が挙げられる。本発明の方法及び組成物の一実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0042】
「治療する」、「治療すること」又は「治療」という用語及びその他の文法的同義語は、疾患の進行を遅延又は停止させることを意味し、それによって、疾患の退行、疾患の症状の改善、別の症状の進行又は発症の抑制、症状の根底にある原因の改善及び/又は抑制、あるいは、それらの組合せが可能となる。さらに、当該用語には、予防効果を達成することが含まれる。予防効果に関して、本発明の化合物又は組成物は、ある特定の疾患の発症リスクがあり、ある特定の疾患を発症しやすい個体に、あるいは、疾患の1又は2以上の生理的症状が報告されている個体に、投与される。
【0043】
明細書中で用いられる「有効量」、「治療有効量」又は「薬学的有効量」という用語は、疾患を治療するために十分な薬剤又は化合物の量を意味する。幾つかの実施形態において、その結果として、疾患の徴候、症状又は原因の軽減又は緩和、あるいは、生体系におけるその他の所望の変化が生じる。例えば、治療用途での「有効量」は、本発明の化合物を含む組成物の、疾患の臨床的に有意な減少を得るために必要な量である。各症例における好適な「有効」量は、任意の適当な方法(例えば、用量漸増試験)を用いて決定される。
【0044】
明細書中で用いられる「薬学的に許容され得る」という用語は、本発明の化合物の生物学的活性又は特性を無効化しない比較的無毒性な物質(例えば担体又は希釈剤)を意味する(すなわち、当該物質は、望ましくない生物学的効果を生じることなく、又は当該物質を含有する組成物のいかなる成分とも有害な相互作用を生じることなく、個体に投与される)。
【0045】
明細書中で用いられる「増殖性疾患」という用語は、細胞集団の成長が、周囲の細胞の成長を上回り、周囲の細胞の成長と協調していない疾患を意味する。ある場合、増殖性疾患は腫瘍の形成を引き起こす。幾つかの実施形態において、腫瘍は良性、前癌状態又は悪性である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓癌である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓の前癌状態の腫瘍である。
【0046】
明細書中で用いられる「選択的」という用語は、ある集団において、別の集団よりも高頻度に生じる傾向があることを意味する。
【0047】
膵臓細胞の増殖性疾患
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、増殖性疾患を治療する方法である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は複数の膵臓細胞の増殖性疾患である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は腫瘍である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は良性である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は悪性である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓癌である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は前癌状態である。
【0048】
明細書中で用いられる「複数の膵臓細胞の増殖性疾患」という表現には、これらに限定されるわけではないが、膵臓の過形成、化生及び異形成が含まれる。また、この表現には、粘液性嚢胞腺腫、導管内乳頭状腫瘍、漿液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞性腫瘍、異形成を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍、異形成を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍、及び充実性偽乳頭状腫瘍も含まれる。
【0049】
ある場合、糖尿病又は膵臓炎は、個体を複数の膵臓細胞の増殖性疾患に進行させやすい。ある場合、個体は、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)及び家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)からなる群より選択される遺伝性症候群に起因して、複数の膵臓細胞の増殖性疾患を発症するリスクが増加している。ある場合、個体は、MSH2、MSH6、MLH1及びAPCからなる群より選択される遺伝子における突然変異に起因して、複数の膵臓細胞の増殖性疾患を発症するリスクが増加している。
【0050】
膵臓
膵臓は、上腹部(後腹膜)に位置し、消化器系及び内分泌系の2つの機能をもつ腺である。ある場合、膵臓は、内分泌腺として機能する(例えば幾つかの重要なホルモンを産生する)。ある場合、膵臓は、外分泌腺として機能する(例えば小腸に移行する消化酵素を含有する体液を分泌する)。
【0051】
膵臓癌
膵臓癌は、米国において、癌による死亡の4番目に多い原因であり(肺癌、大腸癌及び乳癌に続く)、癌に関連する全ての死亡の6%を占める。2008年、米国において、37,680人が新たに膵臓癌と診断され、34,290人が死亡する推定されている。この疾患の発生率は、50歳以降に直線的に増加し、その唯一の確定的なリスク因子は喫煙である(喫煙者は、非喫煙者よりも4倍、この疾患を発症しやすい)。浸潤性膵臓癌は、ほとんどの場合、致命的である。全ての患者の生存期間の中央値は4−6ヶ月である。1年相対生存率は24%であり、5年全生存率は<5%である。
【0052】
膵臓癌は、初期段階では無症状であり、数ヶ月間診断されないままである場合がある(症状発現の2ヶ月以内に診断される患者のうちの3分の1未満)。ある場合、診断の遅延によって、癌細胞の肝臓又はリンパ節への(部分的な又は完全な)転移が生じる。
【0053】
現在、外科手術(膵臓の切除)が、主要かつ唯一の膵臓癌の根治的療法となっている。しかしながら、診断時に切除可能である腫瘍は15−25%にすぎず、外科手術を受けて2年以上生存する患者は10−20%にすぎない。腫瘍浸潤が生じて他の組織を侵すと、外科手術はもはや不可能となる。
【0054】
理想的には、膵臓癌の効果的な治療には、(i)原発腫瘍塊の初期及びそれ以降の両方におけるコントロール、並びに(ii)転移性腫瘍細胞の処置が求められる。化学的予防(薬物、生物剤、栄養素等の薬剤の投与)は、発癌の進行遅延、退行又は阻害を可能とし、それによって、侵襲性疾患又は臨床上重大な疾患の発症リスクを低下させる。
【0055】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、膵臓癌を治療する方法である。明細書中で用いられる「膵臓癌」という用語には、複数の形態の膵臓癌が含まれる。幾つかの実施形態において、膵臓癌は転移性膵臓癌である。幾つかの実施形態において、膵臓癌はカルシノーマ、サルコーマ、癌、又はそれらの組合せである。幾つかの実施形態において、治療されるべき膵臓癌には、散発性及び遺伝性の膵臓癌が含まれる。幾つかの実施形態において、膵臓癌は導管細胞癌、腺房細胞癌、乳頭粘液性癌、印環細胞癌、腺扁平上皮癌、未分化癌、粘液性癌、巨細胞癌、小細胞癌、嚢胞癌、漿液性嚢胞癌、粘液嚢胞癌、未分類膵臓癌、膵芽腫、又はそれらの組合せである。
【0056】
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、30歳以上の年齢である。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、30歳未満の年齢である。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、50歳以上の年齢である。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、50歳未満の年齢である。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、70歳以上の年齢である。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、70歳未満の年齢である。
【0057】
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、膵臓の限局性腫瘍を呈する。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、陰性所属リンパ節生検を呈する。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、陽性所属リンパ節生検を呈する。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、リンパ節に広がっていない(nodal negative)膵臓腫瘍を呈する(例えば、リンパ節陰性)。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、リンパ節に広がっている(nodal positive)腫瘍を呈する(例えば、リンパ節陽性)。
【0058】
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体における膵臓癌は、体内の別の部位に転移している。幾つかの実施形態において、膵臓癌は、リンパ節、胃、胆管、肝臓、骨、卵巣、腹膜及び脳からなる群より選択される部位に転移している。
【0059】
幾つかの実施形態において、膵臓腫瘍、癌性膵臓細胞又は前癌状態の膵臓細胞を同定及び/又は分類するために、任意の適当な方法が用いられる。
【0060】
幾つかの実施形態において、癌細胞又は前癌状態の細胞は、組織サンプル(例えば生検サンプル)の組織学的タイプ又はグレードによって同定される。幾つかの実施形態において、癌細胞又は前癌状態の細胞は、適当な分子マーカーを用いて同定される。
【0061】
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体における膵臓癌は、転移性、限局期、進行期、切除不能、切除可能、局所進行性、限局性、局所性、限局−局所性(local-regional)、局所進行性、遠位、多中心性、両側性(bilateral)、同側性(ipsilateral)、対側性(contralateral)、新たな診断、再発性及び手術不能からなる群より選択された特性に基づいて分類される。
【0062】
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体における膵臓癌は、米国癌合同委員会(AJCC)のTNM分類システムに基づいて段階分けされ、そこでは、腫瘍(T)がTx、T1、T2、T3、T4の段階に割り当てられ、所属リンパ節(N)がNX、N0、N1の段階に割り当てられ、遠隔転移(M)がMX、M0又はM1の段階に割り当てられる。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体における膵臓癌は、0期、I期、IA期、IB期、II期、IIA期、IIB期、III期及びIV期の膵臓癌として段階分けされる。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体における膵臓癌は、グレードGX(例えばグレード評価不能)、グレード1、グレード2、グレード3又はグレード4として段階分けされる。
【0063】
幾つかの実施形態において、膵臓癌には、直径約2cm又はそれ未満の腫瘍が含まれる。幾つかの実施形態において、膵臓癌には、直径約2cm〜約5cmの腫瘍が含まれる。幾つかの実施形態において、膵臓癌には、直径約2cm又はそれを超える腫瘍が含まれる。幾つかの実施形態において、膵臓癌には、直径5cmを超える腫瘍が含まれる。
【0064】
幾つかの実施形態において、膵臓癌は、顕微鏡像によって分類される。幾つかの実施形態において、膵臓癌は、高分化型、中分化型、低分化型又は未分化型として分類される。幾つかの実施形態において、膵臓癌は、有糸分裂数(例えば細胞分裂量)又は核多形性(例えば細胞変化)に関する顕微鏡像によって分類される。幾つかの実施形態において、膵臓癌は、壊死領域(例えば死滅又は変性細胞領域)に関連する顕微鏡像によって分類される。
【0065】
幾つかの実施形態において、膵臓癌細胞は、異常な核型を有する、異常な染色体数を有する、又は外見上異常である1又は2以上の染色体が存在すると分類される。幾つかの実施形態において、膵臓癌細胞は、異数性である、三倍体である、四倍体である、又は変化した倍数性を有すると分類される。幾つかの実施形態において、膵臓癌細胞は、染色体転座を有する、染色体全体が欠失又は重複する、あるいは、染色体の一部が欠失、重複又は増幅した領域を有すると分類される。
【0066】
幾つかの実施形態において、治療されるべき膵臓癌は、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリー又はイメージサイトメトリーによって評価される。幾つかの実施形態において、治療されるべき膵臓癌は、細胞分裂の合成段階(例えば細胞分裂のS期)にある10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%の細胞を有すると分類される。幾つかの実施形態において、治療されるべき膵臓癌は、低S期分画又は高S期分画を有すると分類される。
【0067】
膵臓癌発症の素因
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、p53、Rb、myc又はrasにおける家族性又は自然突然変異を同定して分類される。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、K−Ras、p53、BRCA2、p16(CDKN2A)、MADH4(DPC4)、STK11、MSH2、MSH6、MLH1及びAPCからなる群より選択された遺伝子における突然変異を有する。
【0068】
幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、EGF、TGFα、TGFβ1−3、aFGF及びbTGFからなる群より選択された成長因子の発現レベルの増加を示す。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、CEA(癌胎児性抗原)の血中レベルの増加を示す。幾つかの実施形態において、膵臓癌の治療が必要な個体は、腫瘍マーカーである糖鎖抗原19−9(CA19−9)の血中レベルの増加又は細胞発現の増加を示す。
【0069】
MEK
ある場合、複数の膵臓細胞の増殖性疾患は、発癌性Rasシグナル伝達及びそのサイクリンキナーゼ抑制因子(例えばp27kip1)に対する効果によって部分的に又は全体的に引き起こされる。
【0070】
ある場合、Rasはシグナル伝達タンパク質である。ある場合、RasはグアノシンヌクレオチドであるGTP(グアノシン三リン酸)又はGDP(グアノシン二リン酸)の結合によって活性化される。
【0071】
ある場合、Rasの活性化によって、セリン/トレオニンキナーゼカスケードの活性化が生じる。ある場合、活性化されたRasがRafタンパク質を活性化する。ある場合、活性化されたRafタンパク質が「MEK1」及び「MEK2」を活性化する。MEK1及びMEK2は、2つの機能をもつセリン/トレオニン及びチロシンタンパク質キナーゼであり、ある場合、MAPKを活性化する。ある場合、マイトジェンによるMAPキナーゼの活性化は細胞増殖を誘導する。ある場合、MAPKの構成的活性化は細胞形質転換を誘導する。ある場合、ドミナントネガティブRaf−1タンパク質の使用によって引き起こされるような、下流Rasシグナル伝達の遮断は、細胞表面受容体から誘導されたものであっても発癌性Ras変異体から誘導されたものであっても、有糸分裂誘発を阻害する。
【0072】
ある場合、Raf−MEK−ERKシグナル伝達経路の阻害は、p27の発現誘導を通じて、膵臓癌細胞周期の停止を引き起こす。
【0073】
使用方法
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、増殖性疾患を治療する方法であって、それが必要な個体に、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せを投与することを含む方法である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓癌である。幾つかの実施形態において、膵臓癌は転移性膵臓癌である。幾つかの実施形態において、増殖性疾患は膵臓における前癌状態の腫瘍である。
【0074】
幾つかの実施形態において、有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩は、正常細胞に対して有意な細胞毒性を示さない。治療有効量の投与によって正常細胞の10%を超える部分に対してアポトーシスが誘導されない場合、治療有効量は正常細胞に対して有意な細胞毒性を示さない。治療有効量の投与によって正常細胞の10%を超える部分に対して細胞死が誘導されない場合、治療有効量は正常細胞の生存に対して有意な影響を及ぼさない。
【0075】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与すると、膵臓癌細胞において選択的に細胞死が誘導又は活性化される。幾つかの実施形態において、それが必要な個体に投与すると、膵臓癌細胞において選択的に細胞死が誘導又は活性化される。幾つかの実施形態において、細胞を本発明の化合物と接触させると、膵臓の細胞増殖性疾患によって影響を受ける1又は2以上の細胞において選択的に細胞死が誘導される。幾つかの実施形態において、投与すると、膵臓の細胞増殖性疾患によって影響を受ける1又は2以上の細胞において選択的に細胞死が誘導される。
【0076】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は分子標的の活性を調節する。幾つかの実施形態において、調節は、分子標的の活性の亢進又は阻害を意味する。幾つかの実施形態において、本発明の化合物が存在しない点を除き同一の条件下での分子標的の活性と比較して、分子標的の活性が少なくとも10%亢進又は阻害されるように、本発明の化合物は分子標的の活性を調節する。幾つかの実施形態において、本発明の化合物が存在しない点を除き同一の条件下での分子標的の活性と比較して、分子標的の活性が少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍亢進又は阻害されるように、本発明の化合物は分子標的の活性を調節する。幾つかの実施形態において、分子標的の活性は再現性のある方法で測定される。幾つかの実施形態において、分子標的の活性はインビトロ又はインビボで測定される。例えば、分子標的の活性は酵素活性アッセイ又はDNA結合アッセイによってインビトロで測定されるか、あるいは、分子標的の活性はレポーター遺伝子の発現アッセイによってインビボで測定される。
【0077】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物が存在しない点を除き同一の条件下での分子標的の活性と比較して、分子標的の活性が10%未満しか亢進又は阻害されないのであれば、本発明の化合物は、分子標的の活性を有意に調節しない。
【0078】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、細胞死が生じる。幾つかの実施形態において、細胞死はアポトーシスによって生じる。幾つかの実施形態において、細胞死によって、集団における細胞数が少なくとも10%減少する。細胞死は、幾つかの実施形態では少なくとも20%の減少、幾つかの実施形態では少なくとも30%の減少、幾つかの実施形態では少なくとも40%の減少、幾つかの実施形態では少なくとも50%の減少、幾つかの実施形態では少なくとも75%の減少を意味する。
【0079】
幾つかの実施形態において、集団における細胞数は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、集団における細胞数は蛍光活性化セルソーター(FACS)によって測定される。幾つかの実施形態において、集団における細胞数は免疫蛍光顕微鏡検査法によって測定される。幾つかの実施形態において、集団における細胞数は光学顕微鏡検査法によって測定される。
【0080】
幾つかの実施形態において、比較される集団は細胞集団である。幾つかの実施形態において、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩は、癌又は前癌状態の細胞に対して選択的に作用するが、正常細胞に対しては作用しない。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、ある分子標的を調節するが別の分子標的を有意に調節しないように、選択的に作用する。幾つかの実施形態において、本発明は、酵素(例えばキナーゼ)の活性を選択的に阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態において、事象(イベント)は、集団Aにおいて集団Bと比較して2倍を超える頻度で生じるように、集団Bよりも集団Aで選択的に生じる。幾つかの実施形態において、事象は、集団Aにおいて集団Bと比較して5倍を超える頻度で生じるように、選択的に生じる。事象は、集団Aにおいて集団Bと比較して、幾つかの実施形態では10倍、幾つかの実施形態では50倍、幾つかの実施形態では100倍、幾つかの実施形態では1000倍を超える頻度で生じるように、選択的に生じる。例えば、細胞死が癌細胞において正常細胞と比較して2倍を超える頻度で生じる場合、細胞死は癌細胞において選択的に生じるものといえる。
【0081】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、腫瘍サイズの縮小(すなわち「腫瘍退縮」)が生じる。幾つかの実施形態において、治療後に、腫瘍サイズは、治療前のサイズと比較して5%以上縮小する。腫瘍サイズは、幾つかの実施形態では10%以上、幾つかの実施形態では20%以上、幾つかの実施形態では30%以上、幾つかの実施形態では40%以上、幾つかの実施形態では50%以上、幾つかの実施形態では75%以上縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズは、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズは腫瘍の直径として測定される。
【0082】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、腫瘍容積の縮小が生じる。幾つかの実施形態において、治療後に、腫瘍容積が治療前のサイズと比較して5%以上縮小する。腫瘍容積は、幾つかの実施形態では10%以上、幾つかの実施形態では20%以上、幾つかの実施形態では30%以上、幾つかの実施形態では40%以上、幾つかの実施形態では50%以上、幾つかの実施形態では75%以上縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍容積は、適当な任意の方法によって測定される。
【0083】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、腫瘍数の減少が生じる。幾つかの実施形態において、治療後に、腫瘍数は治療前の数と比較して5%以上減少する。腫瘍数は、幾つかの実施形態では10%以上、幾つかの実施形態では20%以上、幾つかの実施形態では30%以上、幾つかの実施形態では40%以上、幾つかの実施形態では50%以上、幾つかの実施形態では75%以上減少する。腫瘍数は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、腫瘍数は、裸眼又は特定の拡大倍率で見える腫瘍をカウントすることによって測定される。幾つかの実施形態において、特定の拡大倍率は2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又は50倍である。
【0084】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、原発腫瘍部位から離れた別の組織又は器官における転移性病変数の減少が生じる。幾つかの実施形態において、治療後に、転移性病変数は治療前の数と比較して5%以上減少する。転移性病変数は、幾つかの実施形態では10%以上、幾つかの実施形態では20%以上、幾つかの実施形態では30%以上、幾つかの実施形態では40%以上、幾つかの実施形態では50%以上、幾つかの実施形態では75%以上減少する。転移性病変数は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、転移性病変数は、裸眼又は特定の拡大倍率で見える転移性病変をカウントすることによって測定される。幾つかの実施形態において、特定の拡大倍率は2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又は50倍である。
【0085】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、治療を受けた対象の集団において、担体のみの投与を受けた集団と比較して平均生存期間の増加が生じる。平均生存期間の増加は、幾つかの実施形態では30日を上回り、幾つかの実施形態では60日を上回り、幾つかの実施形態では90日を上回り、幾つかの実施形態では120日を上回る。集団の平均生存期間の増加は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、集団の平均生存期間の増加は、例えば、治療開始後の平均生存時間の長さを集団に関して算出することによって測定される。別の態様において、集団の平均生存期間の増加は、例えば、第1段階の治療の完了後に、平均生存時間の長さを集団に関して算出することによって測定される。
【0086】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、治療を受けた対象の集団において、治療を受けていない対象の集団と比較して、平均生存期間の増加が生じる。平均生存期間の増加は、幾つかの実施形態では30日を上回り、幾つかの実施形態では60日を上回り、幾つかの実施形態では90日を上回り、幾つかの実施形態では120日を上回る。集団の平均生存期間の増加は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性化合物を用いた治療の開始後に、平均生存時間の長さを集団に関して算出することによって測定される。別の態様において、集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性化合物を用いた第1段階の治療の完了後に、平均生存時間の長さを集団に関して算出することによって測定される。
【0087】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、治療を受けた対象の集団において、担体のみの投与を受けた集団と比較して死亡率の減少が生じる。幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、治療を受けた対象の集団において、治療を受けていない集団と比較して死亡率の減少が生じる。幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、治療を受けた対象の集団において、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩ではない薬物を用いた単剤治療を受けた集団と比較して死亡率の減少が生じる。死亡率の減少は、幾つかの実施形態では2%を上回り、幾つかの実施形態では5%を上回り、幾つかの実施形態では10%を上回り、幾つかの実施形態では25%を上回る。幾つかの実施形態において、治療を受けた対象の集団における死亡率の減少は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、集団における死亡率の減少は、集団に関して、活性化合物を用いた治療の開始後に、疾患に関連する平均死亡数を単位期間ごとに算出することによって測定される。さらに別の態様において、集団における死亡率の減少は、集団に関して、活性化合物を用いた第1段階の治療の完了後に、疾患に関連する平均死亡数を単位期間後ごとに算出することによって測定される。
【0088】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、腫瘍増殖速度の減少が生じる。幾つかの実施形態において、治療後に、腫瘍増殖速度は、治療前と比較して少なくとも5%減少する。腫瘍増殖速度は、幾つかの実施形態では少なくとも10%、幾つかの実施形態では少なくとも20%、幾つかの実施形態では少なくとも30%、幾つかの実施形態では少なくとも40%、幾つかの実施形態では少なくとも50%、幾つかの実施形態では少なくとも75%減少する。腫瘍増殖速度は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖速度は、単位時間あたりの腫瘍直径の変化に基づいて測定される。
【0089】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、腫瘍再増殖の減少が生じる。治療後に、腫瘍再増殖は、幾つかの実施形態では5%未満、幾つかの実施形態では10%未満、幾つかの実施形態では20%未満、幾つかの実施形態では30%未満、幾つかの実施形態では40%未満、幾つかの実施形態では50%未満、幾つかの実施形態では75%未満である。腫瘍再増殖は、再現性のある任意の方法によって測定される。幾つかの実施形態において、腫瘍再増殖は、例えば、以前の治療によって縮小した腫瘍におけるその後の直径の増加を測定することによって測定される。幾つかの実施形態において、腫瘍再増殖の減少は、治療停止後に腫瘍が再発しないことによって示される。
【0090】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、細胞増殖速度の低減が生じる。治療後に、細胞増殖速度は、幾つかの実施形態では少なくとも5%、幾つかの実施形態では少なくとも10%、幾つかの実施形態では少なくとも20%、幾つかの実施形態では少なくとも30%、幾つかの実施形態では少なくとも40%、幾つかの実施形態では少なくとも50%、幾つかの実施形態では少なくとも75%低減する。細胞増殖速度は、再現性のある任意の測定方法によって測定される。幾つかの実施形態において、細胞増殖速度は、組織サンプルにおける単位時間あたりの分裂細胞の数を計測することによって測定される。
【0091】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、増殖細胞の割合の減少が生じる。治療後に、増殖細胞の割合は、幾つかの実施形態では少なくとも5%、幾つかの実施形態では少なくとも10%、幾つかの実施形態では少なくとも20%、幾つかの実施形態では少なくとも30%、幾つかの実施形態では少なくとも40%、幾つかの実施形態では少なくとも50%、幾つかの実施形態では少なくとも75%減少する。増殖細胞の割合は、再現性のある任意の測定方法によって測定される。幾つかの実施形態において、増殖細胞の割合は、組織サンプル中の非分裂細胞数に対する分裂細胞数を計測することによって測定される。幾つかの実施形態において、増殖細胞の割合は分裂指数と等しい。
【0092】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、細胞増殖エリア又はゾーンのサイズの縮小が生じる。幾つかの実施形態において、治療後に、細胞増殖エリア又はゾーンのサイズは、治療前のサイズと比較して、幾つかの実施形態では少なくとも5%、幾つかの実施形態では少なくとも10%、幾つかの実施形態では少なくとも20%、幾つかの実施形態では少なくとも30%、幾つかの実施形態では少なくとも40%、幾つかの実施形態では少なくとも50%、幾つかの実施形態では少なくとも75%減少する。細胞増殖エリア又はゾーンのサイズは、再現性のある任意の測定方法によって測定される。幾つかの実施形態において、細胞増殖エリア又はゾーンのサイズは、細胞増殖エリア又はゾーンの直径又は幅として測定される。
【0093】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、異常外観又は形態を有する細胞の数又は割合の減少が生じる。治療後に、異常形態を有する細胞の数は、治療前と比較して、幾つかの実施形態では少なくとも5%、幾つかの実施形態では少なくとも10%、幾つかの実施形態では少なくとも20%、幾つかの実施形態では少なくとも30%、幾つかの実施形態では少なくとも40%、幾つかの実施形態では少なくとも50%、幾つかの実施形態では少なくとも75%減少する。異常な細胞外観又は形態は、再現性のある任意の測定方法によって測定される。幾つかの実施形態において、異常な細胞形態は、顕微鏡法によって、例えば倒立型組織培養顕微鏡を用いて測定される。幾つかの実施形態において、異常な細胞形態は、核多形性の形態をとる。
【0094】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物を、それが必要な個体に投与することによって、次のうち1又は2以上が生じる:細胞周期のうちG1期及び/又はS期にある細胞の蓄積、癌細胞に対しては発揮されるが正常細胞に対しては発揮されない細胞死を通じた細胞毒性、治療指数が少なくとも2である動物に対する抗腫瘍活性。ここで用いられる「治療指数」は、最大耐量を有効用量で割ったものである。
【0095】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、細胞を退化するために、細胞の増殖を阻害するために、又は細胞を死滅させるために投与される。幾つかの実施形態において、細胞は癌細胞である。幾つかの実施形態において、細胞は、脳腫瘍細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、腎臓癌細胞又は大腸癌細胞である。
【0096】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、標的細胞の増殖を阻害するために投与される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約1%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約2%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約3%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約4%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約5%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約10%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約20%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約25%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約30%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約40%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約50%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約60%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約70%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約75%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約80%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約90%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞の増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して約100%阻害される。幾つかの実施形態において、標的細胞は、異常増殖性(すなわち腫瘍性)膵臓細胞である。
【0097】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、標的細胞を退化させるために投与される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、複数の標的細胞を退化させるために投与される。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち1%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち2%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち3%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち4%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち5%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち10%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち20%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち25%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち30%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち40%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち50%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち60%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち70%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち75%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち80%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち90%が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち100%が退化させられる。幾つかの実施形態において、実質的に全ての標的細胞が退化させられる。幾つかの実施形態において、標的細胞は、異常増殖性(すなわち腫瘍性)膵臓細胞である。
【0098】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、標的細胞を死滅させるために投与される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、複数の標的細胞を死滅させるために投与される。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち1%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち2%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち3%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち4%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち5%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち10%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち20%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち25%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち30%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち40%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち50%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち60%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち70%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち75%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち80%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち90%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞のうち100%が死滅する。幾つかの実施形態において、標的細胞は、異常増殖性(すなわち腫瘍性)膵臓細胞である。
【0099】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、腫瘍サイズを縮小させるために、腫瘍増殖を阻害するために、転移を減少させるために、又は転移を予防するために、それが必要な個体に投与される。
【0100】
幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも1%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも2%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも3%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも4%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも5%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも10%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも20%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも25%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも30%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも40%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも50%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも60%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも70%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも75%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも80%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも85%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも90%縮小する。幾つかの実施形態において、腫瘍サイズが少なくとも95%縮小する。
【0101】
幾つかの実施形態において、腫瘍増殖が阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも1%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも2%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも3%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも4%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも5%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも6%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも10%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも20%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも30%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも40%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも50%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも60%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも70%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも75%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも80%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも90%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも95%阻害される。幾つかの実施形態において、腫瘍増殖は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも99%阻害される。
【0102】
幾つかの実施形態において、転移が阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも1%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも2%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも3%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも4%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも5%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも6%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも10%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも20%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも30%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも40%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも50%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも60%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも70%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも75%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも80%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも90%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも95%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は、本発明の化合物及び/又は組成物の投与前の増殖速度と比較して少なくとも99%阻害される。幾つかの実施形態において、転移は予防される。
【0103】
医薬組成物
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;その薬学的に許容され得る塩;又はそれらの組合せを含む医薬組成物である。幾つかの実施形態において、組成物は、増殖性疾患を治療するために投与される。幾つかの実施形態において、組成物は、膵臓癌を治療するために投与される。幾つかの実施形態において、組成物は、転移性膵臓癌を治療するために投与される。
【0104】
幾つかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、補助剤、賦形剤、保存剤、吸収遅延化剤、増量剤、結合剤、吸着剤、緩衝化剤、崩壊剤及び/又は可溶化剤をさらに含む。
【0105】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容され得る担体をさらに含む。好適な医薬担体としては、不活性な希釈剤又は増量剤、水及び/又は種々の有機溶媒が挙げられる。
【0106】
幾つかの実施形態において、組成物は、増量剤又は希釈剤を含む。種々の実施形態において、増量剤又は希釈剤は、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール、圧縮糖(compressible sugar)、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム及び/又はデンプンである。別の実施形態において、増量剤又は希釈剤は、微結晶性セルロースである。
【0107】
幾つかの実施形態において、組成物は崩壊剤を含む。種々の実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、メチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、ベントナイト及び/又はビーガムである。幾つかの実施形態において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0108】
幾つかの実施形態において、組成物は潤滑剤を含む。種々の実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸金属塩、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム及び/又はステアリン酸である。幾つかの実施形態において、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0109】
幾つかの実施形態において、組成物は湿潤剤又は界面活性剤を含む。種々の実施形態において、湿潤剤又は界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセロール、オレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、パルミテート、ステアレート、オレアート又はヘキサオレアート、ポリオキシエチレンステアリルアルコール及び/又はソルビタンラウリン酸モノエステルである。幾つかの実施形態において、湿潤剤又は界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0110】
さらなる添加剤(例えば、流動促進剤、香味剤及び/又は着色剤)を加えてもよい。さらなる添加剤に関しては、医薬添加剤ハンドブック(The Handbook of Pharmaceutical Excipients)(第5版,2005年)及び/又はFDA添加物データベースを参照のこと。
【0111】
幾つかの実施形態において、組成物は微結晶性セルロースを含む。幾つかの実施形態において、組成物はクロスカルメロースナトリウムを含む。幾つかの実施形態において、組成物はラウリル硫酸ナトリウムを含む。幾つかの実施形態において、組成物はステアリン酸マグネシウムを含む。
【0112】
幾つかの実施形態において、組成物は、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース、圧縮糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、アルファ化デンプン、マルトデキストリン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、デンプン及び/又はケイ酸カルシウムから選択された増量剤をさらに含む。幾つかの実施形態において、組成物は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、メチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、ベントナイト及び/又はビーガムから選択された崩壊剤をさらに含む。幾つかの実施形態において、組成物は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸金属塩、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム及び/又はステアリン酸から選択された潤滑剤をさらに含む。幾つかの実施形態において、組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセロール、オレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、パルミテート、ステアレート、オレアート又はヘキサオレアート、ポリオキシエチレンステアリルアルコール及び/又はソルビタンラウリン酸モノエステルから選択された湿潤剤又は界面活性剤をさらに含む。
【0113】
投与剤形
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、経口投与用に製剤化される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末剤、液剤、懸濁剤、ゲルカプセル、カプレット、ペレット剤又はビーズとして投与される。
【0114】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、錠剤として投与される。幾つかの実施形態において、錠剤は、不活性な希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び/又は崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン又はデンプングリコール酸ナトリウム);増量剤(例えば、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、ラクトース、第二リン酸カルシウム又は圧縮糖);結合剤(例えば、ヒプロメロース、ポビドン、デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン又はアカシア);界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)及び/又は潤滑剤及び/又は加工助剤(例えば、タルク、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン又はアルギン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、コロイド状二酸化ケイ素及び/又はラウリル硫酸ナトリウム)を含む。幾つかの実施形態において、錠剤は、甘味剤、香味剤、着色剤及び/又は保存剤をさらに含む。
【0115】
幾つかの実施形態において、錠剤は、クエン酸、崩壊剤(例えば、デンプン、アルギン酸及び/又はケイ酸複合体)及び/又は結合剤(例えば、スクロース、ゼラチン及び/又はアカシア)を含む。
【0116】
幾つかの実施形態において、錠剤は、コーティングされていないか又はコーティングされている。ある場合、コーティングは、組成物の味をマスクする。ある場合、コーティングは、胃腸管における崩壊及び/又は吸収を調節する。
【0117】
幾つかの実施形態において、錠剤は、適当な任意の方法によって調製される。幾つかの実施形態において、錠剤は、乾式混合によって調製される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、賦形剤と乾式混合した後に圧縮して錠剤化することによって投与剤形中に組み込まれる。幾つかの実施形態において、圧縮錠剤は、自由流動状態(例えば粉末又は顆粒)の活性成分を、必要に応じて結合剤、不活性な希釈剤及び/又は潤滑剤、表面活性剤又は分散剤と混合し、適当な装置で圧縮することによって調製される。
【0118】
幾つかの実施形態において、錠剤は、適当な任意の方法によって調製される。幾つかの実施形態において、錠剤は、湿式造粒法によって調製される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、乾燥した賦形剤に加えられ、結合剤溶液を加える前に混合されるか、又は、薬物が溶解され、造粒の一過程で溶液として加えられる。湿式造粒法において、界面活性剤が用いられる場合、界面活性剤は乾燥した賦形剤に加えられるか、又は結合剤溶液に加えられ、溶液に組み込まれる。
【0119】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、カプセル剤として投与される。幾つかの実施形態において、カプセル剤は硬カプセル剤である。幾つかの実施形態において、活性成分は不活性な固形希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合される。幾つかの実施形態において、カプセル剤は軟カプセル剤である。幾つかの実施形態において、活性成分は、水溶性担体(例えば、ポリエチレングリコール又は油媒体(例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブ油))と混合される。
【0120】
幾つかの実施形態において、カプセル剤は、適当な任意の方法によって調製される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、ある物質(例えば、溶融状態にある高分子量ポリエチレングリコール)中で溶解され、硬ゼラチンカプセルシェルに充填され、次いでバンドされて密閉される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、溶融状態にある高分子量ポリエチレングリコール中で溶解される。幾つかの実施形態において、混合物は、冷却され、次いでゼラチンカプセルに充填される。
【0121】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、カプセル剤又は錠剤の形態であり、及び/又は、約50mg〜約1000mgの総重量を有する。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、カプセル剤又は錠剤の形態であり、及び/又は、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg及び/又は500mgからなる群より選択された総重量を有する。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、カプセル剤又は錠剤の形態であり、及び/又は、約240mgの総重量を有する。
【0122】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、カプセル剤又は錠剤の形態であり、その投与剤形は本発明の化合物を約1〜約50mg含み、含量均一性に関するUSP合格判定値(約15未満)を満たす。
【0123】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、水性懸濁液として投与される。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、甘味剤、香味剤、着色剤又は染料、及び所望により乳化剤又は懸濁化剤を、希釈剤である水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン又はそれらの組合せとともに含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は懸濁化剤を含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及び/又はアカシアゴムを含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は分散剤又は湿潤剤を含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、天然のリン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、具体的には、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、ヘプタデカエチレン−オキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)から誘導される部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物(例えば、ポリオキシチレンソルビタンモノオレエート)から誘導される部分エステルとの縮合生成物を含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、保存剤を含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、エチルp−ヒドロキシベンゾエート又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートを含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、甘味剤を含む。幾つかの実施形態において、水性懸濁液は、スクロース、サッカリン又はアスパルテームを含む。
【0124】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、油性懸濁物として投与される。幾つかの実施形態において、油性懸濁物は、活性成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツオイル)中に、又は鉱油(例えば流動パラフィン)中に懸濁させることによって製剤化される。幾つかの実施形態において、油性懸濁物は増粘剤(例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコール)を含む。幾つかの実施形態において、油性懸濁物は甘味剤(例えば上記したもの)を含む。幾つかの実施形態において、油性懸濁物は酸化防止剤(例えばブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファトコフェロール)を含む。
【0125】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、非経口投与(例えば動脈内、心腔内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、髄腔内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外及び/又は皮下注射又は注入)用に製剤化される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、滅菌溶液、懸濁物又はエマルションとして投与される。
【0126】
幾つかの実施形態において、非経口投与用製剤としては、例えば、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び/又は製剤を投与対象者の血液と等張にする溶質を含有してもよい活性化合物の水性及び/又は非水性(油性)滅菌注射液;並びに/或いは、懸濁化剤及び/又は増粘剤を含有してもよい水性及び/又は非水性滅菌懸濁物が挙げられる。幾つかの実施形態において、非経口投与用製剤としては、適当な安定剤、又は化合物の溶解度を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする薬剤を含有してもよい。
【0127】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、水性懸濁物として投与される。幾つかの実施形態において、水性懸濁物は、水、リンガー溶液及び/又は等張性塩化ナトリウム溶液を含む。
【0128】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、活性成分が油性相に溶解している水中油型マイクロエマルションとして投与される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、脂肪油(例えばゴマ油)、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル又はトリグリセリド)又はリポソーム中に溶解している。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、大豆油及びレシチンの混合物に溶解している。幾つかの実施形態において、油性溶液は、水及びグリセロールの混合物に導入され、マクロエマルションが形成されるように処理される。
【0129】
幾つかの実施形態において、非経口投与用に製剤化された組成物は、単回ボーラス投与される。幾つかの実施形態において、非経口投与用に製剤化された組成物は、持続静脈内送達装置(例えばDeltec CADD−PLUS(商標)モデル5400静脈ポンプ)によって投与される。
【0130】
幾つかの実施形態において、注射用製剤は、単位用量剤型で、例えばアンプル中に又は複数回投与用容器中に、保存剤とともに加えられた形態をとる。幾つかの実施形態において、注射用製剤は、使用直前に滅菌液体担体(例えば、生理食塩水又は滅菌発熱性物質除去蒸留水)の添加のみが必要となる粉末形態又は凍結乾燥状態で保存される。
【0131】
幾つかの実施形態において、本発明の製剤は、持効性製剤として投与される。幾つかの実施形態において、持効性製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)によって又は筋肉内注射によって投与される。
【0132】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、局所投与用として製剤化される。本明細書において、局所投与とは、化合物が血流に有意には移行しないような組成物の適用を意味する。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、表皮、口腔、耳、眼及び/又は鼻に適用される。
【0133】
幾つかの実施形態において、局所投与用組成物は、ゲル、塗布剤、ローション、クリーム、軟膏又はペースト、溶液、懸濁物、エマルション又は粉末に製剤化される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、軟膏又はクリームとして投与される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、口内洗浄剤として投与される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、吸入によって投与される。
【0134】
幾つかの実施形態において、吸入投与用に製剤化された組成物は、吸入器、噴霧器、加圧型パック又はその他のエアゾールスプレーの送達手段によって送達される。加圧型パックは、適当な高圧ガス(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の適当なガス)を含んでもよい。加圧型エアゾールの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを利用することによって測定される。また、吸入又は吹送によって投与するために、医薬製剤は、乾燥粉末組成物の形態(例えば、本発明の化合物と適当な粉末基剤(例えばラクトース又はデンプン)との粉末混合物)をとってもよい。粉末組成物は、単位投与剤形(例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチン又はブリスターパック)で提供され、そこから粉末が吸入器又は吹送器を用いて投与される。口腔又は舌下投与のために、本発明の組成物は常法で製剤化された錠剤、ドロップ、トローチ又はゲルの形態をとってもよい。そのような組成物は、香味成分(例えば、スクロース及びアカシア又はトラガカント)中に活性成分を含んでいてもよい。
【0135】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は直腸投与用に製剤化される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は坐薬として投与される。幾つかの実施形態において、直腸投与に適する組成物は、本発明の化合物を適当な非刺激性賦形剤と混合することによって調製され、常温では固体であるが直腸温度では液体となるため直腸内で融解して薬物が放出される。幾つかの実施形態において、直腸投与に適する組成物は、本発明の化合物をココアバター、グリセロゼラチン、水添植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、又はポリエチレングリコールの脂肪酸エステルと混合することによって調製される。
【0136】
種々の医薬組成物の調製方法に関しては、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Company,Ester,Pa.,第18版,1990年)を参照のこと。
【0137】
幾つかの実施形態において、投与剤形は、米国薬局方(USP)に準拠して装置IIを50rpmで用い、溶解溶媒として1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を用いた場合、薬物の少なくとも60%を30分以内に放出する。幾つかの実施形態において、投与剤形は、米国薬局方(USP)に準拠して装置IIを50rpmで用い、溶解溶媒として1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を用いた場合、薬物の約60−100%を30分以内に放出する。幾つかの実施形態において、投与剤形は、米国薬局方(USP)に準拠して装置IIを50rpmで用い、溶解溶媒として1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を用いた場合、薬物の約60−90%を30分以内に放出する。幾つかの実施形態において、投与剤形は、米国薬局方(USP)に準拠して装置IIを50rpmで用い、溶解溶媒として1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を用いた場合、薬物の約60−80%を30分以内に放出する。
【0138】
用量
医薬組成物の投与量は、第一に、治療される哺乳動物に依存する。医薬組成物がヒトに投与される場合、1日あたりの投与量は、通常、処方医師によって決定され、該投与量は、一般的に、個体の年齢、性別、食事、体重、一般的健康状態及び応答性、個体の症状の重症度、治療される明確な徴候又は状態、治療される徴候又は状態の重症度、投与期間、投与経路、組成物の体内動態、排泄率、薬物の組合せ、並びに処方医師の裁量に応じて変化する。
【0139】
幾つかの実施形態において、投与量は、腫瘍の増殖の遅延及び/又は退縮、並びに/或いは癌の完全な退縮を生じさせるのに十分な量である。患者における腫瘍の退縮は、腫瘍の直径を基準として測定される。腫瘍の直径の減少は退縮の指標となる。また、治療停止後に腫瘍が再発しないことも退縮の指標となる。
【0140】
幾つかの実施形態において、治療有効量は、最初に、細胞培養アッセイ(例えば腫瘍細胞)において、又は動物モデル(通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ又はブタ)において推定される。幾つかの実施形態において、動物モデルは、投与の適当な濃度範囲及び経路を決定するために用いられる。次いで、そのような情報は、ヒトへの投与における有効な投与量及び経路を決定するために用いることができる。治療/予防効果及び毒性は、細胞培養物又は実験動物を用いた標準的な薬学的手法(例えば、ED5O(集団のうち50%に対する治療有効量)及びLD5O(集団のうち50%に対する致死量))によって測定される。治療効果と毒性効果との間の用量比は治療指数であり、ED50/LD50という比で表される。投与量は、使用される投与剤形、患者の重症度、及び投与経路に応じて、この範囲内で変化することができる。
【0141】
用量及び投与は、十分な活性薬剤レベルが達成されるように又は所望の効果が維持されるように調節される。考慮に入れられる因子としては、例えば、病状の重症度、対象の一般的健康状態、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与期間及び頻度、薬物の組合せ、反応感度、並びに治療に対する耐性/応答性が挙げられる。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、製剤の半減期及びクリアランス速度に応じて、3〜4日おきに、毎週又は2週間おきに1回、投与される。
【0142】
医薬組成物の投与量は、薬剤、投与を受ける患者の年齢、体重及び臨床状態、並びに治療を行う臨床医又は施術者の経験及び判断に応じて変化し得る。一般的に、投与量は、腫瘍の増殖の遅延及び/又は退縮、並びに/或いは癌の完全な退縮を生じさせるのに十分な量とすべきである。投与量は、1日あたり約0.01mg/kg〜1日あたり約3000mg/kgの範囲をとり得る。幾つかの実施形態において、投与量は、1日あたり約1mg/kg〜1日あたり約1000mg/kgの範囲をとり得る。ある態様では、投与量は、単回投与量、分割投与量又は持続投与量として、約0.1mg/日〜約70g/日;約0.1mg/日〜約25g/日;約0.1mg/日〜約10g/日;約0.1mg/日〜約3g/日;又は約0.1mg/日〜約1g/日の範囲をとる(該投与量は、患者の体重、体表面積及び年齢に応じて調節される)。有効量の医薬製剤は、臨床医又はその他の資格のある観察者が注目する客観的に確認可能な改善を実現する。例えば、患者における腫瘍の退縮は、腫瘍の直径に基づいて測定される。腫瘍の直径の減少は、退縮を示す。また、退縮は、治療停止後に腫瘍が再発しないことによっても示される。明細書中で用いられる「有効投与量」という用語は、対象又は細胞において所望の生物学的効果を生じる活性化合物の量を意味する。
【0143】
明細書に開示されるように、本発明の一実施形態は、増殖性疾患を治療する方法であって、それが必要な個体に、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体(例えば、米国特許出願番号第12/399,848号参照);又はそれらの組合せと、薬学的に許容され得る担体とを含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法である。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、約0.15μM〜約50μMという血漿濃度を維持し、増殖性疾患を治療する。幾つかの実施形態において、血漿濃度は、約0.1μM〜約100μM、約0.125μM〜約75μM、約0.15μM〜約50μM、約0.175μM〜約30μM、及び約0.2μM〜約20μMである。幾つかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、少なくとも1ヶ月、少なくとも1週間、少なくとも24時間、少なくとも12時間、少なくとも6時間、少なくとも1時間、適当な血漿濃度を維持する。幾つかの実施形態において、本発明の医薬組成物の適当な血漿濃度は、無期限に維持される。幾つかの実施形態において、本発明の組成物のAUC(濃度曲線下面積)は、約0.5μM−時間〜約100μM−時間、約0.5μM−時間〜約50μM−時間、約1μM−時間〜約25μM−時間、約1μM−時間〜約10μM−時間、約1.25μM−時間〜約6.75μM−時間、約1.5μM−時間〜約6.5μM−時間の範囲をとる。
【0144】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、1日あたり約2mg/m2〜5000mg/m2、1日あたり約20mg/m2〜2000mg/m2、1日あたり約20mg/m2〜500mg/m2、1日あたり約30〜300mg/m2という投与量で投与される。幾つかの実施形態において、ヒトへの投与量は、1日あたり2mg/m2〜5000mg/m2である。幾つかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約10〜1,000,000μg/kg体重(受容者)/日、約100〜500,000μg/kg体重(受容者)/日、約1000〜250,000μg/kg体重(受容者)/日、約10,000〜150,000μg/kg体重(受容者)/日という投与量で投与される。
【0145】
幾つかの実施形態において、明細書記載の量の化合物は、単回投与量で1日あたり1回投与される。幾つかの実施形態において、明細書記載の量の化合物は、複数回投与量で1日あたり2回以上投与される。幾つかの実施形態において、明細書記載の量の化合物は、1日あたり2回投与される。幾つかの実施形態において、明細書記載の量の化合物は、1日あたり3回投与される。幾つかの実施形態において、明細書記載の量の化合物は、1日あたり4回投与される。幾つかの実施形態において、明細書記載の量の化合物は、1日あたり5回以上投与される。
【0146】
幾つかの場合、上記範囲の下限値よりも小さい投与量レベルが十分以上である一方、その他の場合、上記範囲よりも大きい投与量が有害な副作用を生じることなく使用される(例えば、そのような大きい投与量は、幾つかの小さな投与量に分割され、1日を通じて投与される)。投与量は、使用される化合物のIC50に応じて変化する。本発明の化合物を単独療法ではなく併用療法で適用する場合、本発明の化合物の投与量をより小さくしても、治療又は予防効果を維持させることが可能である。
【0147】
併用療法
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、第2の治療薬と組み合わせて投与される。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、外科手術及び/又は放射線療法と組み合わせて投与される。
【0148】
幾つかの実施形態において、第2の治療薬は、細胞毒性薬、抗血管新生薬及び/又は抗腫瘍薬から選択される。幾つかの実施形態において、第2の治療薬は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin)、抗腫瘍性酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、プロカルバジン、ミトキサントロン、白金配位複合体、生物学的修飾剤及び増殖阻害剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血成長因子、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤、コルチコステロイド、ゴナドレリンアゴニスト、微小管活性剤、ニトロソウレア、脂質又はタンパク質キナーゼ標的化剤、IMiD、タンパク質又は脂質ホスファターゼ標的化剤、抗血管新生剤、Akt阻害剤、IGF−I阻害剤、FGF3修飾剤、mTOR阻害剤、Smac模倣剤、HDAC阻害剤、細胞分化誘導剤、ブラジキニン1受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤、リンホカイン阻害剤、サイトカイン阻害剤、IKK阻害剤、P38MAPK阻害剤、HSP90阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤、ビスホスホネート、ラパマイシン誘導体、抗アポトーシス経路阻害剤、アポトーシス経路アゴニスト、PPARアゴニスト、RARアゴニスト、Rasアイソフォーム阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、SHIP活性剤−AQX−MN100、Humax−CD20(オファツムマブ)、CD20アンタゴニスト、IL2−ジフテリア毒素融合体、又はそれらの組合せから選択される。
【0149】
別の態様では、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩が、化学療法剤と組み合わせて投与される。細胞増殖性疾患(例えば膵臓癌)に対して活性を有する化学療法剤の具体例は、当業者に公知であり、医師用添付文書集(第59版,Thomson PDR,2005年)等の参考テキストに記載されている。化学療法剤の具体例としては、これらに限定されるわけではないが、タキサン、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的化剤、トポイソメラーゼ毒、標的化モノクローナル若しくはポリクローナル抗体、分子標的若しくは酵素の阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、又はシチジン類似体が挙げられる。化学療法剤の具体例としては、これらに限定されるわけではないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、トラスツズマブ、イマタニブ(imatanib)、パクリタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、araC、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、ドセタキセル、ゴセレリン、ベバシズマブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポチロン、ナベルビン、カンプトセシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン又はイダルビシンが挙げられる。幾つかの実施形態において、化学療法剤は、サイトカイン(例えば、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子))である。幾つかの実施形態において、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩は、放射線療法と組み合わせて投与される。さらに別の態様では、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩は、標準的な併用化学療法と組み合わせて投与され、併用化学療法の具体例としては、これらに限定されるわけではないが、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシン及び5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシン及びシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシン及びシクロホスファミド)、ACT若しくはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド及びパクリタキセル)又はCMFP(シクロホスファミド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル及びプレドニゾン)が挙げられる。
【0150】
幾つかの実施形態において、併用療法は、本発明の化合物をタキソールとともに;本発明の化合物をドセタキセルとともに;本発明の化合物をビンクリスチンとともに;本発明の化合物をビンブラスチンとともに;本発明の化合物をノコダゾールとともに;本発明の化合物をテニポシドとともに;本発明の化合物をエトポシドとともに;本発明の化合物をアドリアマイシンとともに;本発明の化合物をエポチロンとともに;本発明の化合物をナベルビンとともに;本発明の化合物をカンプトセシンとともに;本発明の化合物をダウノルビシンとともに;本発明の化合物をダクチノマイシンとともに;本発明の化合物をミトキサントロンとともに;本発明の化合物をアムサクリンとともに;本発明の化合物をエピルビシンとともに;又は本発明の化合物をイダルビシンとともに投与することを含む。別の態様では、併用療法は、ゲムシタビンとともに本発明の化合物を含む。
【0151】
本発明の併用療法剤は、単独で及び連続して投与されるか、或いはカクテルとして又は該併用療法剤の両方又は一方とその他の治療薬(例えば、これらに限定されるわけではないが、免疫抑制剤、増強剤及び副作用軽減剤)とを含む組合せとして投与される。
【0152】
キット
本発明の化合物、組成物及び/又は方法が、疾患(例えば、明細書記載の疾患)の処置のためのキットを実現する。これらのキットは、本発明の1の化合物、2以上の化合物、又は組成物を容器中に含み、必要に応じて、明細書記載の種々の方法及び/又はアプローチに基づくキットの使用を説明する説明書を含む。そのようなキットは、情報(例えば、参考科学文献、添付文書資料、臨床試験結果及び/又はこれらの要約等)を含むことができ、該情報は、本発明の組成物の活性及び/又は効果を示す又は証明するものであるか、並びに/或いは投与量、投与、副作用、薬物相互作用、又はヘルスケア提供者にとって有用なその他の情報を記載するものである。そのような情報は、様々な研究(例えば、インビボモデルとして実験動物を用いた研究及び/又はヒト臨床試験に基づく研究)の結果に基づく。本発明のキットは、ヘルスケア提供者(例えば、医師、看護師、薬剤師、医薬品当局等)への提供、販売及び/又は売り込みがなされる。また、キットは、幾つかの実施形態では、消費者に直接販売される。
【実施例】
【0153】
単純化のために、以下の略語が用いられる。
【0154】
【表1】

【0155】
I.インビトロ活性
〔実施例1〕
化合物Aのインビトロ活性を、ヒト膵臓癌細胞株BxPC3(正常BTAF状態)を用いて測定した。EC50値の測定結果(1%FBS中、及びhSA45mg/mLを添加した1%FBS中)は次の通りである。
【0156】
【表2】

【0157】
〔実施例2〕
化合物Aのインビトロ抗増殖活性を、膵臓癌細胞株MIA−PaCa−2を用いて測定したところ、EC50=0.15μMを示した。化合物Aを用いて、膵臓癌細胞株Panc−1中で細胞増殖アッセイを行った。その結果を表3及び図5に示す。
【0158】
【表3】

【0159】
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc−1を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株AsPC−1を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株BxPC−3を用いて測定される。
【0160】
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株SU.86.86を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株CFPAC−1を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株HPAF−IIを用いて測定される。
【0161】
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株HPACを用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株SW1990を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc10.05を用いて測定される。
【0162】
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc03.27を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc08.13を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc02.03を用いて測定される。
【0163】
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc02.13を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc04.03を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc05.04を用いて測定される。
【0164】
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株PL45を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Capan−1を用いて測定される。
化合物Aのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Hs766Tを用いて測定される。
【0165】
〔実施例3〕
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株MIA−PaCa−2を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc−1を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株AsPC−1を用いて測定される。
【0166】
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株BxPC−3を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株SU.86.86を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株CFPAC−1を用いて測定される。
【0167】
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株HPAF−IIを用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株HPACを用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株SW1990を用いて測定される。
【0168】
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc10.05を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc03.27を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc08.13を用いて測定される。
【0169】
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc02.03を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc02.13を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc04.03を用いて測定される。
【0170】
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Panc05.04を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株PL45を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Capan−1を用いて測定される。
化合物Bのインビトロ活性は、膵臓癌細胞株Hs766Tを用いて測定される。
【0171】
II.インビボ活性
〔実施例4〕
化合物Bのインビボ活性:Bx−PC3−e242異種移植試験
Bx−PC3−e242細胞を11週齢雌(nu/nu)マウスに注射した。腫瘍のサイズ(23日)が115.5−116.7mm3(群平均腫瘍範囲);63−196mm3(個体の腫瘍範囲)に達したところで、マウスをランダムに6群(各群9匹)に分けた(体重範囲18.0−25.2g)。
マウスを表4に従って処置した。
【0172】
【表4】

【0173】
腫瘍測定
腫瘍をキャリパーで測定し、下記式に基づいて腫瘍容積を算出した。
腫瘍容積(mm3)=w2×l/2
[式中、wは腫瘍の幅(mm)であり、lは腫瘍の長さ(mm)である。]
腫瘍重量を、1mgが腫瘍容積1mm3に等しいと仮定して推定した。
中間(interim)の腫瘍容積中央値を表5に示す。
【0174】
【表5】

【0175】
各週の腫瘍容積中央値=所定日における動物の腫瘍容積中央値(mm3)(エンドポイントにある腫瘍容積を有する動物を含む)
なお、括弧内は動物数である。
様々な中間応答(Interim Responses)の要約を表6に示す。
【0176】
【表6】

【0177】
MTV(n)=TGD分析の日における所定動物数に関する腫瘍容積中央値(mm3)(エンドポイントに達する動物を除く)
TTE=エンドポイントまでの期間
T−C=処理群のTTE中央値(日)と対照群のTTE中央値(日)との差
%TGD=[(T−C)/C]×100
MTV(n)=TGI分析の日における所定動物数に関する腫瘍容積中央値(mm3)(エンドポイントにある腫瘍容積を有する動物を含む)
【0178】
%TGI=[1−(T/C)]×100=第1群と比較した腫瘍増殖阻害率(%)
PR=部分的退縮
平均BW最低値(nadir)=最低値の群における平均体重(1日目からの変化(%));なお、「---」は平均体重の減少が観察されなかったことを示す。
NTR=非治療関連死
完全な退縮は観察されなかった。
治療関連死は観察されなかった。
【0179】
エンドポイント測定
腫瘍がエンドポイントのサイズに達した時点又は試験終了時点のいずれか最初に訪れる時点で、各動物を安楽死させた。各マウスのエンドポイントまでの期間(TTE)は、下記式に基づいて算出される。
TTE(日)=(log10(エンドポイント容積,mm3)−b)/m
式中、bは切片(intercept)である。
54日間の試験期間のエンドポイントは1500mm3であった。
【0180】
退縮
治療によって、動物における腫瘍の部分的な退縮(PR)又は完全な退縮(CR)が生じ得る。PR反応において、試験期間中に3回連続して測定される腫瘍容積は、1日目の腫瘍容積の50%以下である。
【0181】
TGD分析
治療効果は、腫瘍増殖の遅延(TGD)によって評価され、TGDは、対照群に対する治療群のエンドポイントまでの期間(TTE)中央値の増加によって定義され、TGD=T−Cに基づいて算出される日数で示されるか、又は%TGD=(T−C)/C×100に基づいて算出されるTTE中央値のパーセンテージで示される。
各個体のTTE値を以下に示す。
【0182】
【表7】

【0183】
TGI分析
治療に対する応答は、腫瘍増殖阻害(TGI)に関しても評価され、TGIは、治療群及び対照群のマウス間の腫瘍容積中央値(MTV)の差によって定義され、%TGI=(対照群の腫瘍容積中央値−治療群の腫瘍容積中央値)/対照群の腫瘍容積中央値×100に基づいて算出される%TGIで示される。
【0184】
毒性
動物の体重について、試験開始後の最初の5日間は毎日、その後は1週間に2回、測定した。有害な治療関連副作用について、マウスの目立った症状を頻繁に観察し、観察された毒性の臨床症状を記録した。
【0185】
グラフ分析
各群の腫瘍容積中央値を時間(日)の関数として表す腫瘍増殖曲線を図1に示す。
各群の平均%体重変化を時間(日)の関数として表す体重変化曲線を図2に示す。
【0186】
本発明の好ましい実施形態が明細書に記載されるが、それらの実施形態は単に例示の目的で示されることは当業者に明らかである。当業者にとって、本発明の範囲から離れることなく、種々の変更、修正及び置換が可能であろう。本発明の実施にあたり明細書記載の本発明の実施形態に種々の変更を加え得ると理解されるべきである。特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、その範囲は、特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの等価物に及ぶことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において複数の膵臓細胞の増殖性疾患を治療するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項2】
前記増殖性疾患が膵臓癌である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記増殖性疾患が膵臓の前癌症状である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記増殖性疾患が膵臓の過形成である、請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記増殖性疾患が膵臓の化生である、請求項1記載の使用。
【請求項6】
前記増殖性疾患が膵臓の異形成である、請求項1記載の使用。
【請求項7】
前記増殖性疾患が、導管細胞癌、多形巨細胞癌、巨細胞癌(破骨細胞型)、癌、腺扁平上皮癌、粘液性(膠様)癌、嚢胞癌、腺房細胞癌、乳頭癌、小細胞(燕麦細胞)癌、膵芽腫、混合型細胞癌、未分化癌、膵臓の過形成、膵臓の化生、膵臓の異形成、粘液性嚢胞腺腫、導管内乳頭状腫瘍、漿液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞性腫瘍、異形成を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍、異形成を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍、充実性偽乳頭状腫瘍又はそれらの組合せである、請求項1記載の使用。
【請求項8】
前記増殖性疾患が転移性膵臓癌である、請求項1記載の使用。
【請求項9】
投与が非経口、注射、静脈内、経口、局所又はそれらの組合せで行われる、請求項1記載の使用。
【請求項10】
投与が経口で行われる、請求項1記載の使用。
【請求項11】
個体において膵臓腫瘍を治療するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項12】
前記腫瘍が良性である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
前記腫瘍が悪性である、請求項11記載の使用。
【請求項14】
腫瘍増殖速度を低減させる、請求項11記載の使用。
【請求項15】
腫瘍サイズの増大を抑制する、請求項11記載の使用。
【請求項16】
腫瘍サイズを縮小させる、請求項11記載の使用。
【請求項17】
腫瘍容積の増大を抑制する、請求項11記載の使用。
【請求項18】
腫瘍容積を縮小させる、請求項11記載の使用。
【請求項19】
腫瘍増殖を抑制する、請求項11記載の使用。
【請求項20】
腫瘍増殖を低減させる、請求項11記載の使用。
【請求項21】
細胞死を誘導する、請求項11記載の使用。
【請求項22】
アポトーシスを誘導する、請求項11記載の使用。
【請求項23】
個体において膵臓癌細胞の増殖を阻害するための又は膵臓癌細胞を死滅させるための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項24】
個体において膵臓癌発症の進行を遅延させるための、膵臓癌発症を逆行させるための又は膵臓癌発症を阻害するための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項25】
個体において浸潤性膵臓癌の発症リスクを低下させるための医薬を製造するための、(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又は(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用、又はN−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミドの多形体若しくはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項26】
前記個体が、浸潤性膵臓癌を発症しやすい疾患又は症状に罹患している、請求項25記載の使用。
【請求項27】
前記個体が糖尿病又は膵臓炎に罹患している、請求項25記載の使用。
【請求項28】
前記個体が遺伝性症候群に罹患している、請求項25記載の使用。
【請求項29】
前記個体が遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)又は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)に罹患している、請求項25記載の使用。
【請求項30】
前記個体が遺伝子突然変異を保有する、請求項25記載の使用。
【請求項31】
前記個体がMSH2、MSH6、MLH1又はAPC遺伝子に遺伝子突然変異を保有する、請求項25記載の使用。
【請求項32】
複数の膵臓細胞の増殖性疾患を治療するための方法であって、それが必要な個体に、治療有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体;又はそれらの組合せを投与することを含む方法。
【請求項33】
前記増殖性疾患が膵臓癌である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記増殖性疾患が膵臓の前癌症状である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記増殖性疾患が膵臓の過形成である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記増殖性疾患が膵臓の化生である、請求項32記載の方法。
【請求項37】
前記増殖性疾患が膵臓の異形成である、請求項32記載の方法。
【請求項38】
前記増殖性疾患が、導管細胞癌、多形巨細胞癌、巨細胞癌(破骨細胞型)、癌、腺扁平上皮癌、粘液性(膠様)癌、嚢胞癌、腺房細胞癌、乳頭癌、小細胞(燕麦細胞)癌、膵芽腫、混合型細胞癌、未分化癌、膵臓の過形成、膵臓の化生、膵臓の異形成、粘液性嚢胞腺腫、導管内乳頭状腫瘍、漿液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞性腫瘍、異形成を伴う膵粘液性嚢胞腫瘍、異形成を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍、充実性偽乳頭状腫瘍又はそれらの組合せである、請求項32記載の方法。
【請求項39】
前記増殖性疾患が転移性膵臓癌である、請求項32記載の方法。
【請求項40】
投与が非経口、注射、静脈内、経口、局所又はそれらの組合せで行われる、請求項32記載の方法。
【請求項41】
投与が経口で行われる、請求項32記載の方法。
【請求項42】
膵臓腫瘍を治療する方法であって、膵臓腫瘍を保有する対象に、治療有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体;又はそれらの組合せを投与することを含む方法。
【請求項43】
前記腫瘍が良性である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記腫瘍が悪性である、請求項42記載の方法。
【請求項45】
腫瘍増殖速度を低減させる、請求項42記載の方法。
【請求項46】
腫瘍サイズの増大を抑制する、請求項42記載の方法。
【請求項47】
腫瘍サイズを縮小させる、請求項42記載の方法。
【請求項48】
腫瘍容積の増大を抑制する、請求項42記載の方法。
【請求項49】
腫瘍容積を縮小させる、請求項42記載の方法。
【請求項50】
腫瘍増殖を抑制する、請求項42記載の方法。
【請求項51】
腫瘍増殖を低減させる、請求項42記載の方法。
【請求項52】
細胞死を誘導する、請求項42記載の方法。
【請求項53】
アポトーシスを誘導する、請求項42記載の方法。
【請求項54】
膵臓癌細胞を退化させるための、膵臓癌細胞の成長を阻害するための、膵臓癌細胞の増殖を阻害するための、又は膵臓癌細胞を死滅させるための方法であって、前記細胞を、ある量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体;又はそれらの組合せと接触させることを含む方法。
【請求項55】
対象において膵臓癌発症の進行を遅延させるための、膵臓癌発症を逆行させるための又は膵臓癌発症を阻害するための方法であって、前記対象に、有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド又はその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む方法。
【請求項56】
浸潤性膵臓癌の発症リスクを低下させるための方法であって、それが必要な個体に、有効量の(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体;又はそれらの組合せを投与することを含む方法。
【請求項57】
前記個体が、浸潤性膵臓癌を発症しやすい疾患又は症状に罹患している、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記個体が糖尿病又は膵臓炎に罹患している、請求項56記載の方法。
【請求項59】
前記個体が遺伝性症候群に罹患している、請求項56記載の方法。
【請求項60】
前記個体が遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)又は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)に罹患している、請求項56記載の方法。
【請求項61】
前記個体が遺伝子突然変異を保有する、請求項56記載の方法。
【請求項62】
前記個体がMSH2、MSH6、MLH1又はAPC遺伝子に遺伝子突然変異を保有する、請求項56記載の方法。
【請求項63】
個体において複数の膵臓細胞の増殖性疾患を治療するためのキットであって、
i)(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体;又はそれらの組合せ;並びに
ii)(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド;N−(4−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−1,5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)シクロプロパンスルホンアミド;各化合物の薬学的に許容され得る塩;各化合物の多形体;又はそれらの組合せの投与に関する説明書を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−520319(P2012−520319A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554208(P2011−554208)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/027021
【国際公開番号】WO2010/105082
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(509202949)アルデア バイオサイエンシズ,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】