説明

臓器および組織を撮像および処置するための方法

本発明は、哺乳動物における悪性の組織、臓器または細胞を検出および処置するための方法ならびに組成物を提供する。本方法は、標的とされる臓器、組織または細胞に対して特異的に結合する、蛍光体によってタグ付けされた抗体/断片と治療的同位元素分子とを含む組成物を、組織または臓器に対するアクセスを提供する部位においてまたは経路によって、哺乳動物被験体に非経口的に注射する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、疾患組織のより正確な除去を可能にするために哺乳動物の体の体腔または内部臓器の状態を検視するための方法に関し、より詳しくは可視光範囲の光によって励起される蛍光ターゲティング構築物を用いて体内部位で腫瘍組織を検出するための方法、およびそのような組織を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
多くの固体および液体の物質は、紫外光、可視光、または近赤外光によって照射された場合に蛍光を自然に放射する。しかし、この放射は、低強度の広い波長帯域内に入る場合がある。多くの天然物の場合、観察は、診査中の試料に存在する多くの異なる化合物から同時に発散する天然の蛍光によって部分的に曖昧となる。ゆえに、顕微鏡などの撮像デバイスでは、観察中の物体から発散する望ましくない蛍光を篩いのけるために、選択された波長の光に関するフィルターを使用することが知られている。
【0003】
医学での応用において、腫瘍および健康な組織は、異なる波長ではあるが、いずれも自然に蛍光を発することから、類似の問題が生じる。その結果、UV活性化蛍光を用いて、健康な組織のバックグラウンドに対して腫瘍を検出する場合、腫瘍の同定は難しい。しかし、体のほとんどの他の組織とは異なり、腫瘍細胞は、本来ヘマトポルフィリン誘導体色素を濃縮して保持する能力を保有する場合がある。この発見に基づいて、ヘマトポルフィリン誘導体蛍光色素を投与して、診査される腫瘍において濃縮させて、健康なバックグラウンド組織の蛍光と比較して腫瘍からの蛍光を増加させる技術が開発された。ヘマトポルフィリン色素は、検出が容易なスペクトルである610〜700 nmのあいだの蛍光スペクトル内で蛍光を発する。しかし、健康な細胞からの天然の蛍光は、色素からの蛍光よりなおもかなり強く、より広い蛍光スペクトルを有する。このように、腫瘍の診断において蛍光色素を用いることは、完全には成功していない。
【0004】
内視鏡システムにおいて、目に見える画像を得るために、可視光線によって内部臓器を放射して、一定期間腫瘍において濃縮する蛍光色素を内部臓器に適用することが同様に知られている。色素を濃縮させて、内部臓器を色素に対する励起放射によって照射して第二の蛍光画像を得る。癌などの異常なまたは疾患組織を有する体部分は、可視光線によって産生された内部臓器の画像を蛍光によって産生された画像と比較することによって同定されることができる。受像する画像の可視化を助けるために、内視鏡システムは一般的に、外部放射源から内部臓器までビームを誘導するためのオプティカルガイドファイバーと、罹患領域の蛍光画像を検視用テレビモニターに転送するための別のオプティカルガイドファイバーとを有するファイバーオプティックスコープに取り付けられたテレビカメラを用いる。これらの2つのアプローチは、米国特許第4,821,117号(特許文献1)において開示されるタイプの方法において組み合わせられており、この場合、検査される対象に蛍光色素を適用して、腫瘍において濃縮させ、次に罹患部位に可視光と蛍光体の励起波長での放射とを交互に照射する。TVカメラを用いて可視光および蛍光によって独立して得られた対象の画像をメモリーに保存して、体部分の罹患領域を健康なバックグラウンド組織と視覚的に識別するためにテレビモニターにおいて同時に表示する。
【0005】
米国特許第4,786,813号(特許文献2)において記述されるような別のタイプの手法において、ビーム分割システムは、オプティカルシステムの中を通過する蛍光放射を少なくとも3つの部分に分割して、その各々が受光される波長領域の各々に対応する対象のそれぞれの画像を形成する。検出器は、対象における1つの点に対応する各々の画像点に関する累積加重シグナルを産生する。対象における様々な点の加重シグナル値から、改善されたコントラストを有する対象の画像が産生される。この技術は、罹患組織からの蛍光と、正常組織によって産生される蛍光との識別を助けるために用いられる。
【0006】
内視鏡デバイスからの画像を可視化するさらにより複雑な方法は、テレビ走査アプローチを用いる。たとえば、米国特許第4,719,508号(特許文献3)は、画像シグナルを保存するための第一フレームメモリーおよび第一フレームメモリーから連続的に読まれた画像シグナルを飛越しさせて保存するための第二フレームメモリーに供給される画像シグナルを連続的に生成するための画像センサーが内視鏡に含まれる、内視鏡写真撮影装置を用いる方法を開示する。保存された飛越し画像シグナルは、罹患した体部分の可視化を助けるために表示用TVモニターに送られる。
【0007】
これらの先行技術の内視鏡システムは、関心対象領域の画像の写真処理に頼っており(すなわち、TVモニターを通して)、有効であるが、歴史的にますます複雑で高価な機器に頼っており、画像処理を行わずに罹患した体部分を直接検視する代わりに、任意のタイプのカメラまたは画像処理デバイスによる診断画像を構築するための画像処理(すなわち間接的に検視する)を用いている。これらの先行技術のシステムの主に足りない点は、それらが全て、専門のオペレーターの訓練および専門技術、高価で複雑で技術的に精巧な機器を必要として、地域の医療施設では一般的に入手できない点である。加えて、これらの先行技術のシステムは、外科的手技を完了するまでに必要な時間を増加させて、それによって患者の麻酔時間を増大させて、麻酔によるその後のリスクを増大させる。最後に、技術が失敗すれば直接可視化に勝る利点はない。
【0008】
天然の身体過程による腫瘍において濃縮する一定の蛍光色素は、診断および治療目的を成就するためにレーザーによって産生された波長に対応する波長で励起させることができる。その結果、レーザーはまた、腫瘍を撮像して処置するために蛍光色素に関連して内視鏡システムを使用する手法においても用いられている。この一般的方法の1つの態様において、異なる2つの波長および/またはレーザーパワーでレーザー光を吸収する色素が用いられ、このレーザー光は、組織において損傷性の熱を生成することなく蛍光を励起し、かつ周辺組織を破壊するために色素において十分な熱を生成する。たとえば、米国特許第4,768,513号(特許文献4)は、通常局所注射によって、腫瘍を含有することが疑われる体部分に色素を適用する手法を開示している。色素を腫瘍において濃縮させて、一定の日数のあいだ健康な組織から消失させた後、体部分を2つの光源である公知の強度の白色光と蛍光励起レーザー光の交互のパルスによって照射する。入射光の角度の変動に起因する蛍光強度の変動等を代償するために、腫瘍の可視化は、白色光の公知の強度に対して蛍光の強度を計算することによってコンピューターによって増強される。この方法を用いて検出された腫瘍の切断は、蛍光体が収集される癌性組織を破壊するために、レーザーを熱生成波長に切り換えることによって成就される。
【0009】
腫瘍を診断および処置するために有効であるが、そのような方法は、2つの主な欠点を有する。腫瘍以外の疾患状態を診断することができず、正常組織から色素を消失させるために、蛍光色素の投与後2日またはそれより長い期間レーザー可視化を遅らせなければならない。
【0010】
腫瘍に対して特異的なモノクローナル抗体および他のリガンドが、組織試料およびインビボの双方において腫瘍の診断において用いるために開発されている。そのようなリガンドに加えて、一定の腫瘍親和性(tumor-avid)部分は偏って取り込まれる(および任意でまたは腫瘍細胞によって代謝される)。いくつかの周知の腫瘍親和性化合物は、腫瘍細胞の糖分解において有効な役割を果たすデオキシグルコース;腫瘍細胞、特に内分泌腫瘍におけるソマトスタチン受容体に結合するおよび/または取り込まれるソマトスタチン;ならびに広範囲の組織において代謝のための基質として用いられるメチオニンである。
【0011】
そのような研究において、デオキシグルコースは、様々なタイプの腫瘍を検出するためにフルオロデオキシグルコース(18F-デオキシグルコース)などの放射性タグ付き部分として用いられる。腫瘍細胞は、嫌気性糖分解が頼らなければならないグルコース消費とグルコース送達のあいだのそのようなミスマッチを経験して、それによって腫瘍組織における放射活性タグ濃度を上昇させると考えられる。同様に、悪性腫瘍におけるデオキシグルコース濃度の上昇は、本来のグルコースまたはその類似体に対して異常な親和性を有するヘキソキナーゼイソ酵素の存在によって引き起こされる可能性もある(A. Gjedde, Chapter 6: ''Glucose Metabolism,'' Principles of Nuclear Medicine, 2nd Ed., W.B. Saunders Company, Philadelphia, Pa., pages 54-69(非特許文献1))。同様に、腫瘍組織におけるメチオニンおよびソマトスタチンの濃度により、放射性タグ付きメチオニンおよびソマトスタチンならびにその断片または類似体は、様々な腫瘍タイプの非侵襲的撮像のために当技術分野において用いられている。そのような1つの手法は、ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(SRS)として知られている。
【0012】
これらの技術は、腫瘍組織の存在の決定においてかなりの成功を収めたが、シンチグラフィー技術は、放射性同位元素によって提供された画像を検視するために必要な機器のために、外科的手技の際に応用することは困難である。それでも、これは、外科医が切開部を作製するまたは体腔に入るのとまさに同時であり、リアルタイムでしかも時間のかかる高価な画像処理機器を必要とすることなく、疾患組織の輪郭を「見る」ために最も有用であると考えられる。加えて、たとえ最善の外科的手技を用いても、悪性組織の外科的切除後に顕微鏡的残留細胞集塊が残ることがあり、かつしばしば残っていることは周知である。
【0013】
このように、画像処理機器を用いる必要がなく、広範囲の推定の疾患部位を直接可視化するためと共に、裸眼には見えないが、悪性疾患の局所または遠位再発に至りうる顕微鏡的残留疾患細胞または集塊を消失させるために用いることができる改善された方法が当技術分野において必要である。リアルタイムでの可視化を内視鏡デバイスによって行う場合、直接可視化(画像処理機器によって作製される画像に対して)は、必要な機器の使用が比較的単純であり、画像を処理するためにまたはそのような画像から写真表示を作製するために必要な機器より安価であり、および追加の時間を画像処理において費やすことがないという追加の長所を提供する。加えて、外科医が疾患または異常な組織の輪郭を「見ながら」、同定された組織の即時切除または生検を行うことができるように、外科的手技の際に疾患または異常な組織を同定する方法が当技術分野において必要である。最後に、治療的放射性同位元素を蛍光タグ付き腫瘍特異的構築物に連結させることによっていかなる顕微鏡的残留疾患も破壊できることは、広く多様な悪性疾患の治癒率を改善するための機会を提供すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,821,117号
【特許文献2】米国特許第4,786,813号
【特許文献3】米国特許第4,719,508号
【特許文献4】米国特許第4,768,513号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】A. Gjedde, Chapter 6: ''Glucose Metabolism,'' Principles of Nuclear Medicine, 2nd Ed., W.B. Saunders Company, Philadelphia, Pa., pages 54-69
【発明の概要】
【0016】
本発明は、必要としている被験体における疾患組織のインビボ同定のための方法を提供することによって、当技術分野におけるこれらの問題の多くを克服する。そのため、本発明は、全ての疾患組織がより正確に除去されるように、可視光範囲(すなわち、350〜500 nm)の光によって励起される腫瘍特異的蛍光ターゲティング構築物を用いて内部または外部の体部位で腫瘍組織を視覚的に検出するための方法、および腫瘍特異的蛍光ターゲティング構築物に付着した治療的放射性同位元素によって顕微鏡的または肉眼的残留腫瘍組織を処置するための方法に関する。
【0017】
本発明の方法には、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって、疾患組織を含有する被験体のインビボでの体部分を照射する段階が含まれる。被験体に投与されかつ体の部分における疾患組織に特異的に結合したおよび/または疾患組織によって取り込まれた、蛍光ターゲティング構築物から、少なくとも1つの励起波長に応答して発散する蛍光を、被験体における疾患組織の位置および/または表面積を決定するために直接検視する。
【0018】
1つの態様において、蛍光ターゲティング組成物は、蛍光体タグ付き抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分と治療的同位元素分子とを含む。蛍光体タグ付き抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分は、被験体に投与される励起波長に対して応答性である。別の態様において、治療的同位元素は、電子エミッターおよび陽電子(+)βエミッターであり、悪性物の局所または遠位再発を防止するために疾患細胞の顕微鏡的集塊の破壊を可能にする。
【0019】
別の態様において、本発明は、必要としている被験体において手術時に診断手順(diagnostic procedure)を用いるための方法を提供する。本発明の診断法のこの態様において、疾患組織を含有する被験体のインビボでの体部分(たとえば、組織または臓器)を、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって照射する。少なくとも1つの励起波長に応答して蛍光を発し、体の部分における疾患組織に特異的に結合したおよび/または疾患組織によって取り込まれた、被験体に予め投与された蛍光ターゲティング構築物を直接検視して、被験体における疾患組織の位置および/または表面積を決定して、ターゲティング構築物からの蛍光を直接検視することによって決定して、疾患組織の全てまたは少なくとも一部を除去する。目に見える全ての悪性組織の切除後(誘導された腫瘍の蛍光の助けを借りて)、顕微鏡的癌細胞集塊(最小残留疾患)は、β放射放射性同位元素によって消失すると考えられる。ターゲティング構築物は、蛍光体タグ付き抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分と、治療的同位元素分子とを含む。
【0020】
なお別の態様において、本発明は、必要としている被験体における腫瘍組織のインビボ診断のための方法を提供する。この態様において、本発明の方法には、どの化合物が試料腫瘍細胞に結合するかまたは取り込まれるかを決定するために、そのそれぞれが別個の腫瘍タイプに結合するまたは選択的に取り込まれる検出可能に標識された複数の化合物を、インビトロで被験体から得られた腫瘍細胞試料に接触させる段階が含まれる。生物学的に適合性の蛍光発光ターゲティング構築物は、試料腫瘍細胞に結合するおよび/または取り込まれ、治療的同位元素分子によってタグ付けされるこのプロセスによって決定される、および約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光に応答して蛍光を発する、化合物を含有するように製作される。インビボでの体部分における腫瘍組織の位置および/または表面積は、ターゲティング構築物の診断的有効量を被験体に投与する段階、ターゲティング構築物をインビボ腫瘍細胞に結合させるまたは取り込ませる段階、および必要な励起波長を提供する光による腫瘍組織の照射に応答して腫瘍組織に結合したまたは取り込まれたターゲティング構築物から発散する蛍光を直接検視する段階によって診断される。
【0021】
そのため、本発明はまた、体部分における疾患組織に特異的に結合することができるおよび/または取り込まれることができる、蛍光体タグ付き腫瘍特異的抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分と治療的同位元素分子とを、必要としている被験体における残留疾患組織のインビボ診断、可視化、または治療のための組成物の製造において用いることを提供する。疾患組織を含有する被験体のインビボ体部分を、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって照射して、体部分における疾患組織に特異的に結合したおよび/または取り込まれた蛍光体タグ付き腫瘍特異的抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分から光に応答して放射された蛍光を直接検視して、ターゲティング構築物によって提供された蛍光から被験体における疾患組織の位置および/または表面積を決定する。
【0022】
一定の態様において、本発明の方法には、それに付着する蛍光ターゲティング構築物を有する腫瘍塊を同定するために術前に行われ、それによって体腔または臓器における疾患組織の位置に関する情報を提供する、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)スキャンが含まれる。
【0023】
別の態様において、本発明は、裸眼または標準的な拡大デバイスでは目に見えない悪性細胞の顕微鏡的に小さい集塊を、蛍光ターゲティング構築物内の治療的同位元素分子によって消失させる手段を提供する。治療的同位元素は電子エミッターおよび陽電子(+)βエミッターであり、悪性物の局所または遠位再発を防止するために疾患細胞の顕微鏡的集塊を消失させる。
【0024】
そのため、本発明はまた、裸眼または標準的な拡大デバイスでは目に見えない悪性細胞の顕微鏡的に小さい集塊を消失させるための組成物の製造において、体部分における疾患組織に特異的に結合することができるおよび/または取り込まれることができる、蛍光体タグ付き腫瘍特異的抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分と治療的同位元素分子とを用いることを提供する。治療的同位元素は、電子エミッターおよび陽電子(+)βエミッターであり、悪性物の局所または遠位再発を防止するために疾患細胞の顕微鏡的集塊を消失させる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、必要としている被験体における疾患組織のインビボ同定、診断、および治療のための方法を提供する。本発明の方法には、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって、疾患組織を含有する被験体のインビボ体部分を照射する段階が含まれる。被験体に投与されかつ体部分における疾患組織に特異的に結合したおよび/または取り込まれた、蛍光ターゲティング構築物から、少なくとも1つの励起波長に応答して発散する蛍光を直接検視して、被験体における疾患組織の位置および/または表面積を決定する。治療のための放射性同位元素を抗体に付着させて用いることに関する追加の情報に関しては、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,444,744号、同第4,932,412号、同第5,697,902号および同第7,011,812号を参照されたい。
【0026】
401 nm〜510 nmの波長範囲を有する光は、スペクトルの可視光範囲内に存在し、これに対しUV光は約4 nm〜約400 nmの非可視範囲内に存在する。そのため、本発明の診断法の実践において用いられる励起光は、周辺組織を照射すると共に、本発明の方法の実践において用いられる蛍光ターゲティング構築物からの蛍光を励起する光の少なくとも1つの波長を含有すると考えられる。励起光は、単色光または多色光であってもよい。望ましい可視化を曖昧にするそのようなバックグラウンド効果の傾向を代償するために、フィルターを用いて、励起光における約510 nmより上の波長を篩いのけて、それによって、蛍光画像の分解能の損失を引き起こすように健康な組織によって反射される波長を消失させてもよい。または、用いる蛍光体のピーク放射波長以外の波長を実質的に篩いのけるフィルターを通して診断部位を検視することが可能である。たとえば、蛍光ターゲティング構築物が、約520 nmの公知のピーク放射波長で蛍光を放射する場合、約520 nm未満の光の波長を実質的に消失させるようにフィルターを選択することができる。本発明の診断法の実践におけるフィルターの使用は、本発明の診断法によって応用される「直接検視する」という用語に包含されると明白に意図される。
【0027】
選択された波長帯域における光の波長を篩いのけるため、または狭帯域の波長を除く全ての波長を篩いのけるために1つまたは複数のフィルターを用いることは、当技術分野において周知であり、診断者または医師が着用するフィルタリング眼鏡、および/または診断手順のあいだに用いられる内視鏡デバイスのためのフィルター付きビューレンズのような単純なデバイスを用いることを包含する。
【0028】
手術室は、青色LEDなどの本発明の診断法の実践において有用な光学スペクトルの光の波長を放射する頭上からの光を備えることができる。そのような光は、手術室における他の光を単に消す(試験中の体部分における組織から目に見えるように反射される無関係な光を消失させるために)ことによって、および観察者(たとえば、外科医)の眼に直接受像される蛍光画像が主に視野における蛍光体から発散する蛍光画像であるように、体腔または外科的に作製された開口部の中で励起光を光らせることによって、本発明の診断法の実践において用いることができる。401〜510 nm範囲の光源から発散する光は、蛍光発光部分からの光以外の体部分からの反射光が最小限となるようにまたは消失するように、観察者による直接可視化という目標の成就において助けとなるようにフィルタリングされうる。
【0029】
350 nm〜510 nm、401 nm〜510 nm、または470 nm〜500 nmの波長範囲の光は、組織において容易に吸収される。したがって、本発明の診断法において、疾患組織(および結合したまたは取り込まれたターゲティング構築物)は、励起光に「露出」される(たとえば、外科的に作製された開口部または内部の位置への光の内視鏡による送達によって)。本発明の方法は、天然の体腔または外科的に作製された開口部内などの被験体における内部部位に位置する疾患組織のインビボ検出にとって特に適しており、この場合疾患組織は、生検または外科的切除の手技を容易にするために「明瞭な視野に」あるが(すなわち、ヒトの眼に露出される)、皮膚または付属物の悪性組織を可視化するためにも等しく応用可能であると考えられる。腫瘍組織の正確な位置および/または表面積は、本発明の診断手順によって容易に決定されることから、本発明の方法は、手術が進行するにつれて切除される塊の正確な輪郭、大きさ等をリアルタイムで「見る」必要がある外科医に対して貴重なガイドである。一旦疾患組織が除去されると、放射標識腫瘍特異的構築物が付着しているいかなる顕微鏡的細胞集塊も、蛍光ターゲティング構築物内に含有される治療的同位元素分子によって破壊されると考えられる。
【0030】
推定の疾患部位が天然の体腔または外科的に産生された内部部位である場合、内視鏡デバイスを用いて、励起光をその部位に送達して、体腔内の部位から発散する蛍光を受光して、および疾患組織からの蛍光の直接画像の形成の助けとすることができる。たとえば、内視鏡デバイスにおけるレンズを用いて、疾患組織の可視化を助けるために検出された蛍光に焦点を当てることができる。本明細書において用いられる場合、本発明の診断手順において用いられる光は、近赤外範囲の波長などの組織を貫通する光の波長を含有しないことから、そのような内視鏡によって送達される蛍光は、医師によって「直接検視される」と言われ、ターゲティング構築物が結合するまたはその中に取り込まれる組織または臓器は、内視鏡に対して「明瞭な視野に」ある必要がある。または、先に記述したように、励起光は、携帯型LEDまたは固定型光源などの任意の簡便な手段によって、本明細書において記述されるように投与されるターゲティング構築物を含有する体腔または外科的開口部に向けられてもよく、そのように産生された蛍光画像は、内視鏡からの助けがなくとも観察者の眼によって直接可視化されうる。任意のタイプの内視鏡デバイスの助けを借りてまたは助けを借りずに、本発明の方法によって産生される蛍光は、CCDカメラ、TVモニター、光子収集デバイス等などの画像処理デバイスの助けがなくとも検視することができるような蛍光である。
【0031】
本発明の診断法の1つの態様において、疾患または異常な組織または臓器は、生検または外科的切除の手技を容易にするために外科的開口部を通して同時に検視される。疾患組織または臓器の位置および/または表面積は本発明の診断手順によって容易に決定されることから、本発明の方法は、たとえば手術が進行する際に切除のために塊の正確な輪郭、大きさ等を知る必要がある外科医に対して貴重なガイドである。
【0032】
したがって、本態様において、本発明は、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって、疾患組織を含有する被験体のインビボ体部分を照射する段階、ターゲティング構築物が少なくとも1つの励起波長に応答して蛍光を発する、被験体に投与され、体部分の疾患組織に特異的に結合したおよび/または取り込まれたターゲティング構築物から発散する蛍光を直接検視する段階、被験体における疾患組織の位置および/または表面積を決定する段階、ならびに腫瘍組織の少なくとも一部を除去する段階によって、必要としている被験体における手術時に診断手順を用いるための方法を提供する。
【0033】
別の態様において、方法はさらに、付着した蛍光ターゲティング構築物を有する腫瘍塊を同定するために、術前にポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)スキャンを行う段階を提供する。そのような術前スキャンは、ユーザー(たとえば、外科医)に体腔または臓器における疾患組織の位置に関する追加の情報を提供する。
【0034】
なお別の態様において、本発明は、必要としている被験体における腫瘍組織のインビボ診断のための方法を提供する。この態様において、本発明の方法は、各々が別個の腫瘍タイプに結合するまたは選択的に取り込まれる検出可能に標識された複数の化合物を、インビトロで被験体から得られた腫瘍細胞試料に接触させる段階、どの化合物が試料腫瘍細胞に結合するまたは取り込まれるかを決定する段階、治療的同位元素分子および約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の少なくとも1つの波長の光に応答性の蛍光体によってタグ付けされている試料腫瘍細胞に結合するおよび/または取り込まれることが決定された化合物を含有する少なくとも1つの生物学的に適合性の蛍光発光ターゲティング構築物の診断的有効量を投与する段階、ならびに蛍光ターゲティング構築物の少なくとも1つの励起波長を提供する光によるその照射時に、腫瘍組織に結合したまたは取り込まれたターゲティング構築物から発散する蛍光を直接検視することによって、インビボでの体部分における腫瘍組織の位置および/または表面積を診断する段階を含む。
【0035】
本明細書において用いられるように、「試料」および「生物学的試料」という用語は、本発明によって提供された方法にとって適した任意の試料を指す。1つの態様において、本発明の生物学的試料は、組織試料、たとえば針生検からの試料などの生検標本である。別の態様において、本発明の生物学的試料は、体液試料、たとえば、血清、血漿、尿、および射精液である。
【0036】
本発明の方法の1つの態様において、1つのタイプの蛍光部分は、照射された体部分(すなわち、疾患組織に結合するまたは取り込まれる蛍光ターゲティング構築物から)から発散する蛍光を生成することを頼りにしている。一定のタイプの健康な組織は自然に蛍光を発することから、そのような場合には、周辺の健康な組織を目に見えるようにして、このように疾患組織の分解を阻害するほど可視光範囲において十分な波長を含有しない優勢な励起波長を有する蛍光部分を、ターゲティング構築物のために選択することが重要である。ゆえに、本発明のこの態様の実践において用いられる光源は、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の光を放射する。このように、本発明の方法は、蛍光ターゲティング構築物を疾患組織に接触させる段階を伴う。
【0037】
例示的な蛍光ターゲティング構築物には、抗腫瘍抗原抗体(たとえば、FAB断片、二重特異性抗体、ディアボディ、または抗体断片)、または腫瘍親和性化合物および生物学的に適合性の蛍光発光部分が含まれる。本明細書において用いられるように、「蛍光体タグ付き抗体」および「蛍光体タグ付き腫瘍親和性化合物」という用語はそれぞれ、本発明の方法を必要とする被験体に投与される特異的励起波長に応答するそのような蛍光ターゲティング構築物を指す。
【0038】
別の態様において、蛍光ターゲティング構築物は、電子エミッターと陽電子(+)「β」エミッターの双方である治療的同位元素分子によって追加でタグ付けされる。治療的に使用するためにαまたはβエミッターを用いることに関する追加の情報に関しては、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,667,024号を参照されたい。治療的同位元素分子を含める長所は、蛍光体タグ付き抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性化合物に付着させた場合に、治療的同位元素分子が、(i)追加の情報を提供するためにおよび/または腫瘍もしくは疾患組織の位置を正確に決定するために手術担当外科医のガイドを提供するために、被験体のポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)スキャナによる術前の外部撮像を行うことができる、および(ii)小さすぎて外科医には見えないが、疾患/癌の局所および/または遠位再発源でありうる疾患組織または細胞の任意の顕微鏡的集塊の術後の「清掃」を提供する、という二重の役割を提供する点である。二重エミッター治療的同位元素は、短い半減期を有するという追加の利益を提供して、それによって、手技中に外科医に対する放射曝露のリスクを最小限にする。例示的な治療的同位元素には、以下の表1において示される同位元素が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0039】
【表1】

【0040】
PETは、サイクロトロンにおいて産生された同位元素を用いるより正確で精巧な技術である。陽電子放出放射性核種は、通常注射によって被験体に導入されて、標的組織に蓄積する。これが崩壊すると陽電子を放出して、これは直ちに近くの電子と化合してそれによって2つの同定可能なγ線を反対方向に同時に放出する。これらの放出は、PETカメラによって検出されて、その起源を非常に正確に指示する。
【0041】
代わりの態様において、本発明の方法は、標的組織から発散する蛍光を強化するために、最初の蛍光ターゲティング構築物におよび/または互いに結合する1つまたは複数の補助的な蛍光発光ターゲティング構築物(たとえば、蛍光体が付着した抗体またはその生物活性断片)を被験体に投与する段階を追加で含んでもよい。例として、蛍光発光タグ付き抗蛍光体抗体は、任意の先に投与された蛍光タグ付き抗体または腫瘍親和性分子に結合するように投与されてもよい。補助蛍光発光ターゲティング構築物の目的は、最初に投与されたターゲティング構築物のターゲティングリガンドからの蛍光強度を増加させて、それによって体部分における疾患または異常な組織の検出を助けることである。
【0042】
ターゲティング構築物を、試験中の部位に存在する可能性がある任意の標的組織に結合させておよび/または取り込ませて、次に、補助蛍光発光ターゲティング構築物の投与前に、補助蛍光発光ターゲティング構築物からの蛍光が体部分に存在する任意の標的組織の存在の検出を助ける機会を最大限にするために、体部分からいかなる未結合のターゲティング構築物も実質的に除去する(たとえば、洗浄する)ことは、一般的によい実践である。通常、補助蛍光発光ターゲティング構築物は、標的組織からの蛍光シグナルを構築するために連続的に投与される。たとえば、蛍光ターゲティング構築物が、乳癌抗原に対して特異的なヒト化IgGモノクローナル抗体を含む場合、次に投与される蛍光発光ターゲティング構築物は、抗フルオレセインなどの抗蛍光体抗体を含んでもよく、および第三に投与される蛍光発光ターゲティング構築物は、抗イディオタイプ抗体を含んでもよい。当業者は、連続的に投与される蛍光発光ターゲティング構築物の各々がターゲティング構築物にまたは先に投与された補助蛍光発光ターゲティング構築物の1つもしくは複数に特異的に結合する、連続的に投与される蛍光発光ターゲティング構築物の組み合わせを考案することができると考えられる。現在のところ、本発明の方法の実践において用いられる異なるターゲティング構築物の全てから同時の蛍光を励起するために使用される必要がある異なる光源数を最小限にするために、標的組織を同定するために用いられる蛍光発光ターゲティング構築物の全てが、最初に投与されたターゲティング構築物(たとえば、最初に投与されたターゲティング構築物における光の本発明の波長に感知して蛍光を発する)と同じ波長帯域内または同じ波長で蛍光を発する蛍光体を含むことが好ましい。
【0043】
なお別の態様において、本発明の方法は、照射した光に応答する補助蛍光ターゲティング構築物からの蛍光が、標的組織に結合するまたは取り込まれるように選択された蛍光ターゲティング構築物とは異なる(すなわち、異なる波長を有する)、体部位において正常組織または構築物に特異的に結合するまたは取り込まれる少なくとも1つの補助蛍光ターゲティング構築物(たとえば、付着した蛍光体を有する抗体またはその生物活性断片を含む)を被験体に投与する段階をさらに含む。正常および疾患または異常な標的組織を標的とするターゲティング構築物における蛍光体から発散する蛍光の色の差は、観察者が標的組織の位置および大きさを決定するために助けとなる。補助蛍光体を用いることは、正常組織から発散された任意の天然の蛍光が、体部分の正常組織を標的とする補助ターゲティング構築物における蛍光体から発散する蛍光によって曖昧になるという長所を有する。正常および標的組織から発散する蛍光の色の差が大きければ大きいほど、観察者が標的組織の輪郭および大きさを可視化することが容易になる。例として、赤色を産生する蛍光体を含む蛍光発光ターゲティング構築物を標的組織(すなわち、異常な組織)に標的化して、健康な組織に緑色光を産生する蛍光体を標的化すると、観察者が標的組織を正常組織と識別するために助けとなる。当業者は、明瞭な視覚的な色の対比を提示する蛍光体の組み合わせを容易に選択することができる。
【0044】
本発明の方法の実践において用いられる光のスペクトルは、ターゲティング構築物、またはターゲティング構築物内に含まれる生物学的に適合性の蛍光発光部分(たとえば、蛍光体タグ付き抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性化合物)の優勢な励起波長に対応する少なくとも1つの波長を含有するように選択される。一般的に、本発明の方法の実践において用いられる励起光は、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの波長範囲の光の少なくとも1つの励起波長の光を含む。
【0045】
しかし、異なる波長で蛍光を発するターゲティングリガンドの組み合わせを本発明の実践において用いる場合、励起光のスペクトルは、用いられる蛍光体のそれぞれに関して少なくとも1つの励起波長を提供するために十分に広くなければならない。たとえば、正常組織と疾患組織とを識別するために異なる色の蛍光体が選択される場合には、光の励起スペクトルに正常および標的組織に標的化される蛍光体の励起波長が含まれることが特に重要である。
【0046】
ターゲティング構築物または補助蛍光発光ターゲティンリガンドの蛍光発光部分は、生物学的に適合性であり(たとえば、インビボでの投与に適している)、本明細書において記述されるように励起光に応答して蛍光を発する任意の化学またはタンパク質部分でありうる。ターゲティングリガンドは、生きている組織に投与されることから、投与される用量で、全身投与される場合には個体の全身に対してまたは局所投与される場合には標的組織に対して、実質的な毒性効果を有しないことが、生物学的適合性には含まれる。本発明の実践において用いることができる蛍光体の非制限的な例には、フルオレセイン、ミスラマイシン、オレゴングリーン、およびカスケードブルー等、ならびにその2つまたはそれより多い任意のものの組み合わせが含まれる。
【0047】
350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の励起波長に応答して蛍光を発する蛍光化合物の追加の非制限的な例は、以下の表2において見いだされる。
【0048】
【表2】



【0049】
生物学的に適合性の蛍光体の蛍光特性は周知であることから、または当業者によって容易に決定されうることから、当業者の医師は、有用な蛍光体または蛍光体の有用な組み合わせを容易に選択することができ、蛍光体に対して励起光の波長を適合させることができる。フルオレセインは、何年ものあいだヒトにおいてインビボで安全に用いられていることからその毒性は最少であるが、追加の有用な蛍光体の毒性は、当技術分野において公知の動物試験を用いて決定することができる。
【0050】
好ましくは、ターゲティング構築物(たとえば、本発明のターゲティング構築物のリガンド部分)は、関心対象の標的組織、たとえば標的組織における疾患または異常な状態を特徴付けする細胞上にまたは細胞内に含有される抗原または他の表面特色に特異的に結合および/または取り込まれるように選択される。他の診断アッセイにおけるように、ターゲティング構築物は、標的組織に選択的に結合するおよび/または取り込まれるか、または疾患もしくは異常な状態に関連する抗原に結合するおよび/または取り込まれることが望ましい。しかし、健康な組織もしくは細胞構造にも結合するまたは取り込まれるリガンド部分を含有するターゲティング構築物は、標的組織を表す蛍光画像が視野における健康な組織または構造に由来するいかなる蛍光とも別個であると明らかに可視化されうるように、標的組織における抗原濃度または標的組織に関するターゲティング構築物の親和性が、視野における健康な組織より十分に大きい限り、本発明の方法の実践において用いることができる。たとえば、結腸癌はしばしば癌胎児抗原(CEA)の存在を特徴とするが、この抗原はまた、健康な個体における一定の組織にも関連する。しかし、癌性結腸組織におけるCEAの濃度は、健康な組織において見いだされる濃度よりしばしば大きく、そのため、抗CEA抗体は本発明の実践におけるリガンド部分として用いることができる。別の例として、デオキシグルコースは、健康な組織に様々な程度に取り込まれて用いられるが、健康な組織におけるその代謝は、心臓などの一定の公知の臓器を除き、腫瘍より実質的に低い。ゆえに、体内の公知のデオキシグルコース消費パターンは、デオキシグルコースの予想外に高い取り込みが腫瘍細胞の存在を知らせる、それらの領域の決定を助けるために用いることができる。
【0051】
このように、1つの態様において、本発明の方法によって検出される疾患または異常な状態は、特異的結合リガンドが知られている公知の標的組織の存在を特徴とする任意のタイプの状態でありうる。たとえば、様々な心臓の状態は、壊死もしくは虚血組織の産生、またはアテローム性動脈硬化組織の産生を特徴とし、それらに対する特異的結合リガンドが知られている。別の例示的な例として、乳癌は、CA15-3、CA19-9、CEA、またはHER2/neuに対するモノクローナル抗体によって同定された癌性組織の産生を特徴とする。多くのターゲティング構築物は細胞膜を貫通することから、標的組織は、それに対する結合リガンドが知られている表面抗原または細胞内マーカー(すなわち抗原)のいずれかを産生する細胞を特徴としてもよいと企図される。本発明の方法を用いて同定されうる代表的な疾患状態には、異なるタイプの腫瘍、細菌、真菌、およびウイルス感染症等のような様々な状態が含まれる。本明細書において用いられる「異常な組織」には、前癌状態、癌、壊死または虚血組織、および結合組織疾患に関連する組織、ならびに自己免疫障害等が含まれる。
【0052】
本明細書において用いられる「癌」という用語には、癌腫、肉腫、およびリンパ腫が含まれるがこれらに限定されるわけではない任意の悪性腫瘍が含まれる。癌は、制御されないおよび/または異常な細胞分裂から生じ、次に周辺組織に浸潤してこれを破壊する。本明細書において用いられるように、「増殖する」および「増殖」は、分裂を経験している細胞を指す。本明細書において用いられるように、「転移」は、その起源部位からの悪性腫瘍の遠位散布を指す。癌細胞は、血流を通して、リンパ系を通して、体腔を超えて、またはその任意の組み合わせによって転移する可能性がある。本発明の方法を用いる診断または診査にとって適した標的組織のタイプの例には、乳癌、肺癌、結腸癌、前立腺癌、膵臓癌、皮膚癌、胃癌、小腸癌、精巣癌、頭頚部癌、甲状腺癌、胆嚢癌、脳癌、内分泌組織癌等と共にその2つまたはそれより多い任意のものの組み合わせが含まれる。
【0053】
いくつかの一般的な悪性疾患に関する抗原の代表的な例およびそれらが一般的に見いだされる体の位置を、以下の表3に示す。これらの抗原に対する抗体などのターゲティングリガンドは、当技術分野において公知である。
【0054】
【表3】

【0055】
本発明の方法の1つの態様において、ターゲティング構築物のリガンド部分は、抗体、その生物活性断片などのタンパク質またはポリペプチド、好ましくはモノクローナル抗体である。本発明の方法の実践において用いられる補助蛍光発光ターゲティング構築物はまた、蛍光体によってタグ付けされたポリクローナルまたはモノクローナル抗体であってもよく、またはそれらを含んでもよい。本発明において用いられる「抗体」という用語には、無傷の分子と共に、エピトープ決定因子に結合することができるFab、F(ab')2、およびFvなどのその機能的断片が含まれる。これらの機能的抗体断片は、そのそれぞれの抗原または受容体に対する何らかの選択的結合能を保持しており、以下のように定義される。
(1)Fab、抗体分子の一価の抗原結合断片を含有する断片は、酵素パパインによる抗体全体の消化によって産生することができ、無傷の軽鎖と1つの重鎖の一部とを生じる。
(2)Fab'、抗体全体のペプシンによる処置後に還元によって得ることができる抗体分子の断片であり、無傷の軽鎖と重鎖の一部を生じる。抗体1分子あたり2つのFab'断片が得られる。
(3)(Fab')2、抗体全体の酵素ペプシンによる処置の後に還元を行わずに得ることができる抗体断片;F(ab')2は、2つのFab'断片が2つのジスルフィド結合によって共に支持される二量体である。
(4)Fv、2つの鎖として発現される軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含有する遺伝子操作断片として定義される。および
(5)一本鎖抗体(「SCA」)、遺伝子融合された一本鎖分子として、適したポリペプチドリンカーによって連結された軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含有する遺伝子操作分子。
【0056】
これらの断片を作出する方法は当技術分野において公知である(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、HarlowおよびLane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988を参照されたい)。本発明において用いられるように、「エピトープ」という用語は、それに対して抗体のパラトープが結合する抗原上の任意の抗原性決定基を意味する。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、通常特異的三次元構造特徴と共に特異的電荷特徴を有する。
【0057】
本発明の抗体断片は、抗体のタンパク質分解的加水分解によって、または断片をコードするDNAの大腸菌(E. coli)における発現によって調製することができる。抗体断片は、従来の方法によって抗体全体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。たとえば、抗体断片は、抗体のペプシンによる酵素的切断によって産生することができ、F(ab')2と呼ばれる5S断片を提供する。この断片を、チオール還元剤および任意でジスルフィド連結の切断に起因するスルフヒドリル基のブロッキング基を用いてさらに切断することができ、3.5 S Fab'一価断片を産生する。またはペプシンを用いる酵素的切断は2つの一価のFab'断片とFc断片を直接産生する。これらの方法は、たとえばその特許が参照によりその全内容物が本明細書に組み入れられる、Goldenberg、米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号ならびにその中に含有される参考文献によって記述されている。同様に、Nisonhoff et al., Arch. Biochem. Biophys. 89:230, 1960;Porter, Biochem, J. 73: 119, 1959;Edelman et al., Methods in Enzymology, Vol. 1, page 422 Academic Press, 1967;およびColigan et al. at sections 2.8.1-2.8.10 and 2.10.1-2.10.4を参照されたい。重鎖を分離して一価の軽鎖重鎖断片を形成する、断片のさらなる切断、または他の酵素的、化学的、もしくは遺伝的技術などの抗体を切断する他の方法も同様に、断片が無傷の抗体によって認識される抗原に結合する限り、用いてもよい。
【0058】
Fv断片は、VH鎖とVL鎖との結合を含む。この結合は、Inbar et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 69:2659, 1972において記述されるように非共有結合であってもよい。または、可変鎖を分子間ジスルフィド結合によって連結することができ、またはグルタルアルデヒドなどの化学物質によってクロスリンクすることができる。たとえばSandhu、前記を参照されたい。好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーによって接続されたVHおよびVL鎖を含む。これらの一本鎖抗原結合タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドによって接続されたVHおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。構造遺伝子を発現ベクターに挿入して、これをその後大腸菌などの宿主細胞に導入する。組換え型宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドと共に1つのポリペプチド鎖を合成する。sFvを産生する方法は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Whitlow et al., Methods: a Companion to Methods in Enzymology, 2:97, 1991;Bird et al., Science 242:423-426, 1988;Pack et al., Bio/Technology 11:1271-77, 1993;Sandhu、前記、およびLadner et al、米国特許第4,946,778号によって記述されている。
【0059】
抗体断片の別の型は、1つの相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、関心対象抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。そのような遺伝子は、たとえば抗体産生細胞のRNAからの可変領域を合成するためにポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって調製される。たとえば、Larrick et al., Methods : a Companion to Methods in Enzymology, 2: 106, 1991を参照されたい。
【0060】
腫瘍細胞に結合する抗体は、免疫抗原として関心対象の低分子ペプチドを含有する無傷のポリペプチドまたは生物学的に機能的な断片を用いて調製することができる。動物を免疫するために用いられるポリペプチドまたはペプチド(たとえば、翻訳されたcDNAまたは化学合成に由来する)を、必要に応じて担体タンパク質に共役させることができる。ペプチドに化学的にカップリングされる一般的に用いられる担体には、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、および破傷風トキソイド等が含まれる。次に、カップリングされたペプチドを用いて動物(たとえば、マウス、ラット、またはウサギ)を免疫する。
【0061】
そのようなモノクローナル抗体の調製は慣例的である。たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、KohlerおよびMilstein, Nature 256:495, 1975;Coligan et al., sections 2.5.1-2.6.7;およびHarlow et al., : Antibodies: a Laboratory Manual, page 726 (Cold Spring Harbor Pub., 1988)を参照されたい。簡単に説明すると、モノクローナル抗体は、マウスに抗原を含む組成物を注射する段階、血清試料を採取することによって抗体産生の有無を確認する段階、脾臓を摘出してBリンパ球を得る段階、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生する段階、ハイブリドーマをクローニングする段階、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択する段階、およびハイブリドーマ培養物から抗体を単離する段階によって得ることができる。モノクローナル抗体は、多様な十分に確立された技術によってハイブリドーマ培養物から単離および精製されうる。そのような単離技術には、プロテイン-Aセファロースによるアフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが含まれる。たとえば、Coligan et al., sections 2.7.1-2.7.12 and sections 2.9.1-2.9.3;Barnes et al., Purification of Immunoglobulin G (IgG), : Methods in Molecular Biology, Vol. 10, pages 79-104 (Humana Press, 1992)を参照されたい。
【0062】
本発明の抗体はまた、ヒトより下の霊長類抗体に由来してもよい。ヒヒにおいて治療的に有用な抗体を生じる一般的な方法は、たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Goldenberg et al., 国際特許公開WO 91/11465 (1991)およびLosman et al., 1990, Int. J. Cancer 46:310において見いだされうる。または、治療的に有用な抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体に由来してもよい。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの可変重鎖および軽鎖からのマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに移して、ネズミ相対物のフレームワーク領域においてヒト残基を代わりに用いることによって産生される。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分を用いることは、ネズミの定常領域の免疫原性に関連する起こりうる問題を回避する。ネズミ免疫グロブリン可変ドメインをクローニングする一般的な技術は、たとえば、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Orlandi et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:3833, 1989によって記述される。ヒト化モノクローナル抗体を産生するための技術はたとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Jones et al., Nature 321:522, 1986;Riechmann et al., Nature 332:323, 1988;Verhoeyen et al., Science 239:1534, 1988;Carter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89:4285, 1992;Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 12:437, 1992;およびSinger et al., J. Immunol 150:2844, 1993によって記述される。
【0063】
エピトープを模倣するモノクローナル抗体を産生するために抗イディオタイプ技術を用いることも同様に可能である。たとえば、第一のモノクローナル抗体に対して作出された抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第一のモノクローナル抗体によって結合されるエピトープの「よく似たもの(image)」である超可変領域における結合ドメインを有すると考えられる。
【0064】
本発明の方法の現在好ましい態様において、本発明の実践において用いられる蛍光ターゲティング構築物におけるリガンド部分は、受容体に対して特異的に結合するおよび/または腫瘍細胞によって優先的に取り込まれる、多くの生物学的に適合性の腫瘍親和性部分から選択することができ、本発明のターゲティング構築物におけるリガンド部分として用いることができる。腫瘍細胞によって優先的に「取り込まれる」腫瘍親和性部分は、表面または核受容体(たとえば、ホルモン受容体)、孔、細胞の脂質二重層における親水性「ウィンドウ」等を通して細胞に入る可能性がある。
【0065】
このクラスの腫瘍親和性部分の例は、ソマトスタチン、ソマトスタチン受容体結合ペプチド、デオキシグルコース、メチオニン、ヒスチジン等である。特に有用なソマトスタチン受容体結合ペプチドは、オクトレオチド(D-フェニルアラニル-L-システイニル-L-フェニルアラニル-D-トリプトフィル-L-リジル-L-トレオニル-N-[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)プロピル]-L-システインアミド環状(2.fwdarw.7)-ジスルフィド)として知られるソマトスタチンの長時間作用型のオクタペプチド類似体、ランレオチド、オクトレオチドの経口製剤、P829、P587等である。ソマトスタチン結合ペプチドは、米国特許第5,871,711号において開示され、そのようなペプチドをそのカルボキシル末端アミノ酸を通して還元条件で放射性同位元素に共有的に連結させるための方法は、米国特許第5,843,401号において開示され、それらはいずれもその全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。当業者は、本発明の蛍光発光部分を放射性同位元素の代わりに用いることによって、蛍光感受性ソマトスタチン受容体結合ペプチドを調製するためにそのような教示を容易に適応させることができる。
【0066】
ソマトスタチンおよびソマトスタチン受容体結合ペプチドは、疾患状態が神経内分泌腫瘍または内分泌腫瘍である場合に、本発明の診断手順においてターゲティング構築物における腫瘍親和性部分として用いるために有効である。本発明の方法を用いて診断することができる神経内分泌腫瘍の例には、腺腫(GH産生およびTSH産生)、島細胞腫瘍、カルチノイド、未分化神経内分泌癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、神経内分泌および/または中間細胞癌、卵巣、子宮頚部、子宮内膜、乳房、腎臓、喉頭、副鼻腔、および唾液腺の神経内分泌腫瘍、髄膜腫、十分に分化したグリア由来腫瘍、褐色細胞腫、神経芽腫、節(芽)細胞腫、パラガングリオーマ、甲状腺細胞の乳頭状、濾胞状、および髄様癌、メルケル細胞癌、および黒色腫と共に、肉芽腫およびリンパ腫が含まれる。これらの腫瘍細胞は、ソマトスタチン受容体を有することが知られ、本発明の蛍光ターゲティング構築物における腫瘍親和性部分としてソマトスタチンまたはソマトスタチン受容体結合ペプチドを用いて標的化されうる。
【0067】
VIP受容体シンチグラフィー(I. Virgolini, Eur J. Clin. Invest. 27(10):793-800, 1997)において用いられる血管腸管ペプチド(VIP)も同様に、小さい原発性腺癌、肝転移、および消化管の一定の内分泌腫瘍の診断のために本発明の方法において有用である。
【0068】
腫瘍によって優先的に取り込まれる腫瘍親和性部分の別の分子の例は、デオキシグルコースであり、これは多様な異なるタイプの腫瘍に優先的に取り込まれることが知られている。本明細書において開示される蛍光ターゲティング構築物における腫瘍親和性リガンド部分としてデオキシグルコースを用いて検出されうる腫瘍のタイプの例には、デオキシグルコースの好ましい腫瘍標的には、黒色腫、結腸直腸腫瘍、および膵臓腫瘍、リンパ腫(HDおよびNHLの双方)、頭頚部腫瘍、骨髄腫、卵巣癌、乳癌、および脳癌(高グレードおよび下垂体腺腫)、肉腫(グレード依存的)、肝腫、精巣癌、甲状腺(グレード依存的)、小細胞肺癌、膀胱癌および子宮癌等が含まれる。
【0069】
本発明の蛍光発光ターゲティング構築物におけるターゲティングリガンドとして用いることができるなお他の腫瘍親和性化合物は、1-アミノ-シクロブタン-1-カルボン酸およびL-メチオニンである。L-メチオニンは、タンパク質合成のために必要な必須アミノ酸である。悪性腫瘍は、メチオニン代謝が変更されており、メチオニンの外部起源を必要とすることが知られている。
【0070】
腫瘍受容体に特異的に結合する、および/または腫瘍細胞に優先的に取り込まれる生物学的に適合性の腫瘍親和性化合物の追加の例には、哺乳動物ホルモン、特に性ホルモン、神経伝達物質、およびクローン内での転位または逆位などの染色体異常によって生じる新規分泌タンパク質構築物などの、腫瘍細胞によって優先的に取り込まれて、互いに連絡するために腫瘍細胞によって発現される化合物が含まれる。
【0071】
「ホルモン」という用語は、本明細書において、離れた位置で作用するために哺乳動物内で発現される化合物を指すために用いられ、これには性ホルモン、細胞成長ホルモン、サイトカイン、内分泌ホルモン、エリスロポエチン等のような化合物が含まれる。当技術分野において公知であるように、多くの腫瘍タイプがホルモン、たとえばエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどのアンドロゲン等の受容体を発現している。そのようなホルモンは、たとえば特異的受容体を通して腫瘍細胞によって優先的に取り込まれる。腫瘍細胞によって発現される特定のタイプの受容体は時間と共に変化する可能性があり、たとえば、同じ細胞または細胞塊がある時点でエストロゲン受容体を発現して、別の時点ではエストロゲン受容体がアンドロゲン受容体に実質的に交換されていることもまた、当技術分野において公知である。
【0072】
ゆえに、本発明による別の態様において、本発明の診断法は、どの受容体が標的細胞によって現在発現されているかを決定するために、標的腫瘍細胞のプレスクリーニングを含む。この態様において、本発明の診断法は、複数の検出可能に標識された腫瘍親和性化合物をインビトロで被験体から得られた腫瘍細胞試料に接触させる段階、および腫瘍親和性化合物のどれが試料細胞に結合するまたは取り込まれるかを決定する段階を含む。本発明の診断法はさらに、各々が腫瘍組織によってインビボで蛍光発光ターゲティング構築物を選択的に結合させるおよび/または取り込ませるために、腫瘍細胞によって結合および/または取り込まれることが決定された腫瘍親和性化合物の少なくとも1つをリガンド部分として含む、1つまたは複数の生物学的適合性の蛍光発光ターゲティング構築物の診断的有効量を被験体に投与する段階、インビボでの体部分に対する外部の光を実質的に消失させる条件でターゲティング構築物の励起スペクトルにおける少なくとも1つの波長を有する光によって、腫瘍組織を含有することが疑われる被験体のインビボ体部分を照射する段階、ならびにインビボ体部分における腫瘍組織の位置および/または表面積を決定するために、腫瘍組織に結合したまたは取り込まれた蛍光発光ターゲティング構築物から発散する蛍光を直接検視する段階を含む。当然、試験が、腫瘍細胞が複数の腫瘍親和性化合物を実質的な比率で現在取り込んでいるか否かを決定する場合(たとえば、エストロゲンおよびプロゲステロンの双方)、そのように決定された複数の腫瘍親和性化合物を本発明の診断法におけるターゲティング構築物における腫瘍親和性リガンド部分として用いることができる。
【0073】
現在取り込まれている腫瘍親和性化合物のタイプを決定するために(たとえば、腫瘍細胞によって発現される特異的受容体によって)プレスクリーニングするための試験腫瘍細胞を得るための方法は、当技術分野において周知である。たとえば、細針吸引液、ブラシ生検、コア針生検、胸膜滲出液、腹水、尿、および喀痰の細胞学、骨髄生検および吸引液、擦過標本、切除生検等のような技術は、多くの例において、比較的非侵襲的に試験腫瘍細胞を得るために用いられうる。
【0074】
試験腫瘍細胞によって取り込まれている腫瘍親和性化合物を決定するために有用なインビトロ試験は無数にあり、当技術分野において周知である。そのようなインビトロ試験は一般的に、異なる複数の腫瘍親和性化合物を試験細胞に連続的にまたは同時に接触させる段階を伴う。たとえば、検出可能に標識された化合物のどれが試験細胞に結合するかおよび/または取り込まれるかを決定するために、試験細胞に、検出可能に標識されたホルモンおよび/または他の公知の腫瘍親和性化合物のパネルまたはライブラリを接触させることができる。
【0075】
本発明の実践において、リガンド部分に対するリンカー部分の付着が、標的組織に対するターゲティング構築物の結合および/または腫瘍細胞、たとえば細胞上の受容体による取り込みを、実質的に妨害しない限り、約350 nm〜約510 nm、約401 nm〜約510 nm、または約470 nm〜約500 nmの範囲の励起波長に対して感受性がある蛍光部分は、2つの部分を付着させるために当技術分野において現在公知の任意の方法によって、ターゲティング構築物におけるリガンド部分として用いられる腫瘍親和性化合物に、連結させることができる。当業者は、この必要条件を満たすリガンド/リンカー対を選択する方法を知っていると考えられる。たとえば、オクトレオチドに関して、オクトレオチドのTyr3またはPhe1に対するリンカーのカップリングは、ソマトスタチン受容体に対する結合後のオクトレオチドのインターナリゼーションを防止しないことが示されている(L. J. Hofland et al., Proc. Assoc. Am. Physicians 111:63-9, 1999)。同様に、1-アミノ-シクロブタン-1-カルボン酸を環の3位の炭素でタグをつけることができることも公知である。
【0076】
任意のリンカー部分の長さは、抗原または受容体などの標的に対するリガンド部分の結合によって誘導される任意のコンフォメーションの変化が含まれる、リガンド結合の速度論および特異性を最適にするように、選ばれる。リンカー部分は、リガンド部分および標的が自由に相互作用できるように十分に長く、十分に柔軟であるべきであり、タンパク質様リガンド部分と標的とのあいだに立体妨害を引き起こすほど短くてはならない。
【0077】
1つの態様において、リンカー部分は、N-スクシニミジル(4-ヨードアセチル)-アミノベンゾエート;スルホスクシニミジル(4-ヨードアセチル)-アミノベンゾエート;4-スクシニミジル-オキシカルボニル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン;スルホスクシニミジル-6-[α-メチル-α-(ピリジルジチオール)-トルアミド]ヘキサノエート;N-スクシニミジル-3-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオネート;スクシニミジル-6-[3(-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート;スルホスクシニミジル-6-[3(-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート;3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオニルヒドラジド、エルマン試薬、ジクロロトリアジン酸、S-(2-チオピリジル)-L-システイン等などのヘテロ二官能の切断可能なクロスリンク剤である。さらなる二官能連結化合物は、そのそれぞれの全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,349,066号、同第5,618,528号、同第4,569,789号、同第4,952,394号、および同第5,137,877号において開示されている。
【0078】
これらの化学リンカーは、Pierce Chemicals ''Solutions, Cross-linking of Proteins: Basic Concepts and Strategies,'' Seminar #12, Rockford, Illにおいて記述されるプロトコールなどの当技術分野において公知の多数のプロトコールを用いて精製されたリガンドに付着させることができる。
【0079】
現在好ましい別の態様において、リンカー部分は、アミノ酸残基約2個〜約60個、たとえばアミノ酸残基約5個〜約40個、または約10個〜約30個を有するペプチドである。この代替物は、リガンド部分がタンパク質様である場合には特に有利である。たとえば、リンカー部分は、一本鎖抗体の研究において公知である配列などの柔軟なスペーサーアミノ酸配列であり得る。そのような公知のリンカー部分の例には、

等が含まれる。配列AMGRSGGGCAGNRVGSSLSCGGLNLQAM(SEQ ID NO: 11)を有するジフテリア毒素トリプシン感受性リンカーも、同様に有用である。または、ペプチドリンカー部分は、VMもしくはAMでありうるか、または
式:AM(G2から4S)xQAM
によって記述される構造を有し;
式中Qは、任意のアミノ酸から選択され、およびXは1〜11までの整数である(SEQ ID NO:12)。追加の連結部分はたとえば、Huston et al., PNAS 85:5879-5883, 1988;Whitlow, M., et al., Protein Engineering 6:989-995, 1993;Newton et al., Biochemistry 35:545-553, 1996;A. J. Cumber et at., Bioconj. Chem. 3:397-401, 1992;Ladurner et al., J. Mol. Biol. 273:330-337, 1997;および米国特許第4,894,443号において記述され、後者はその全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。
【0080】
本発明の方法の実践において用いられるターゲティング構築物および補助ターゲティング構築物は、当業者に公知の任意の経路によって投与されうる。本明細書において用いられるように、「投与」または「投与する」という用語には、本発明の方法を行うために被験体に本発明の化合物または薬学的組成物を提供する行為が含まれると定義される。例示的な投与経路には、静脈内、関節内、槽内、眼内、心室内、鞘内、筋肉内、腹腔内、皮内、腔内等と共に、その2つまたはそれより多い任意のものの組み合わせが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0081】
最も適した投与経路は、静脈内であるが、処置される疾患状態、または疑われる状態もしくは診断される腫瘍の位置に応じて変更してもよい。
【0082】
ターゲティング構築物は、「診断的有効量」で投与される。本明細書において用いられるように、「診断的有効量」は、被験体において試験中の体部分に位置する任意の標的組織の直接可視化を助けるために必要なターゲティング構築物の量を指す。本明細書において用いられるように、「被験体」という用語は、飼い慣らされたペット、農場動物、または動物園の動物などの任意の哺乳動物を指すが、好ましくはヒトである。診断的使用にとって有効な量は、当然、試験される体部分の大きさおよび位置、標的組織に対するターゲティング構築物の親和性、標的組織のタイプと共に投与経路に依存する。
【0083】
個々の被験体は、症状の重症度に広い変動を表す可能性があり、各々のターゲティング構築物は、標的に対するターゲティング構築物の親和性、身体過程によるターゲティング構築物の排泄速度、その中に含有される蛍光体の特性等が含まれるその独自の診断特徴を有することから、当業者の医師は、要因を考量して、それに従って用量を変更する。
【0084】
本発明の組成物はまた、適した分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って滅菌注射用懸濁剤として製剤化されうる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口許容性の希釈剤または溶媒における滅菌注射可能溶液または懸濁剤、たとえば1-4ブタンジオール溶液であってもよい。滅菌の固定油は、溶媒または懸濁培地として従来から使用されている。この目的に関して、合成モノまたはジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸が含まれる)、ゴマ油、ココナツ油、落花生油、綿実油等のような天然に存在する植物油、またはオレイン酸エチルのような合成脂肪媒体等が含まれる任意の刺激の低い固定油を使用してもよい。緩衝剤、保存剤、抗酸化剤等を必要に応じて組み入れることができ、または製剤を含みうる。
【0085】
本発明の蛍光発光ターゲティング構築物は、周知の技術によって産生されうる。たとえば、成分のアミノ酸配列が公知である場合、または配列を必要であれば周知の方法によって最初に決定することができる場合、タンパク質合成に関する周知の技術を用いて、ターゲティング構築物のタンパク質様成分を得ることができる。リガンド遺伝子のいくつかは現在市販されている。市販の遺伝子を得る長所は、それらが一般的に大腸菌における発現に関して最適化されている点である。タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ペプチド、または関心対象のポリヌクレオチドを、DNA合成技術を用いて産生することができる。入手できない遺伝子をコードするDNAを得るための方法、およびそこから遺伝産物を発現させるための方法は周知であり、本明細書において詳細に記述しない。
【0086】
タンパク質様リガンド部分、タンパク質様リンカー部分、およびタンパク質様蛍光体を含む蛍光ターゲティング構築物はまた、宿主細胞に、融合タンパク質の発現をコードする核酸配列に機能的に連結した発現制御配列を含有する発現ベクターがトランスフェクトされる、周知の技術を用いて融合タンパク質として産生することができる(Molecular Cloning A Laboratory Manual, Sambrook et al., eds., 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, N. Y., 1989)。
【0087】
本明細書において用いられるように、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、モノマーが、アミド結合を通して互いに接合されているアミノ酸残基であるポリマーを指し、またはポリペプチドとも呼ばれる。アミノ酸がαアミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかを用いることができ、L-異性体が好ましい。加えて、β-アラニン、フェニルグリシン、およびホモアルギニンなどの非天然アミノ酸が含まれると意味される。遺伝的にコードされないが一般的に遭遇されるアミノ酸も同様に本発明において用いることができるが、好ましいアミノ酸はコード可能なアミノ酸である。一般的な論評に関しては、たとえばSpatola, A. F., Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, B. Weinstein, ed., Marcel Dekker, New York, p. 267, 1983を参照されたい。
【0088】
本発明は、上記の実施例を参照して記述してきたが、改変および変更が本発明の趣旨および範囲に包含されると理解されると考えられる。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲に限って限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、必要としている被験体における残留疾患組織のインビボ診断、可視化、または治療のための方法:
(a)約350 nm〜約510 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって、疾患組織を含有する被験体のインビボで露出された体腔、外皮、または臓器を照射する段階;
(b)蛍光ターゲティング構築物からの光に応答して、体腔または臓器から放射された蛍光について内視鏡の助けを借りてまたは借りずに、照射された体腔、外皮、または臓器を直接検視する段階であって、
該蛍光ターゲティング構築物が、被験体に投与される励起波長に対して応答性である蛍光体タグ付き腫瘍特異的抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性(tumor-avid)部分と、治療的同位元素分子とを含み、かつ露出された体腔または臓器における疾患組織に特異的に結合しているおよび/または取り込まれている、段階;ならびに
(c)該ターゲティング構築物によって提供された蛍光から被験体における疾患組織の位置および/または表面積を、捕捉装置の助けを借りずに直接可視化することによって決定する段階。
【請求項2】
前記蛍光体タグ付き抗体が、抗腫瘍抗原抗体、FAB断片、二重特異性抗体、またはその機能的断片である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
治療的同位元素分子が電子エミッターおよび陽電子(+)βエミッターである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
治療的同位元素分子がサマリウム-153、レニウム-188、または銅-64である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
治療的同位元素分子が、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)スキャンデバイスによる外部撮像を可能にする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
電子エミッターが局所放射療法のための短い放射場を提供する、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記光が、約510 nmより大きい波長を実質的に欠損する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記光が約401 nm〜510 nm、または約470nm〜500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記腫瘍親和性部分が、ホルモン、ホルモン受容体結合ペプチド、デオキシグルコース、ソマトスタチン、ソマトスタチン受容体結合ペプチド、またはその2つもしくはそれより多い任意のものの組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ホルモン受容体結合ペプチドが、HER2 neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、TSH受容体、またはカルシウム感知受容体である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍親和性部分が、クロマグラニン(chromaggranin)、ソマトスタチン、またはソマトスタチン受容体結合ペプチドである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記疾患組織が神経内分泌腫瘍または内分泌腫瘍である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍が、甲状腺癌、副甲状腺腺腫、副腎癌、島細胞癌、または下垂体腺腫である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記腫瘍が、悪性黒色腫、インスリノーマ、頭頚部癌、肝臓癌、乳癌、膵臓癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、またはファロピー管癌、下垂体癌もしくは副腎癌、脳腫瘍、食道癌、胃癌、小腸癌もしくは結腸直腸癌、肛門癌、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、上皮癌、カルチノイド腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、外陰および精巣の生殖細胞腫瘍、乳癌、ユーイング肉腫、軟組織肉腫、または骨肉腫である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
ソマトスタチン受容体結合ペプチドが、オクトレオチド、ランレオチド、P587、またはP829である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記腫瘍親和性部分がデオキシグルコースである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
疾患組織が、脳腫瘍、食道癌、胃癌、小腸癌、膵臓癌、肝臓癌もしくは結腸直腸癌、悪性黒色腫、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、上皮腫瘍、肺癌、精巣生殖細胞腫瘍、乳癌、軟組織肉腫、ユーイング肉腫、または骨肉腫である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍親和性部分が、1-アミノ-シクロブタン-1-カルボン酸、メチオニン、メチオニン誘導体、またはヒスチジンである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
照射された腔、外皮、または臓器を直接検視しながら疾患組織の少なくとも一部を外科的に切除する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
決定された表面積が、蛍光強度に基づく、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記光が実質的に単色性であり、かつ
前記波長が蛍光ターゲティング構築物の優勢な励起波長に適合されている、
請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記波長が約400〜510 nmであり、かつ
前記蛍光ターゲティング構築物がフルオレセインを含む、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
露出された体腔が天然の体腔である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
露出された臓器が、筋肉腫瘍、骨腫瘍、悪性母斑、甲状腺腫瘤、脳腫瘍、精巣癌、または前立腺癌である、請求項1記載の方法。
【請求項25】
露出された体腔が外科的に作られる、請求項1記載の方法。
【請求項26】
光源が被験体の体外に位置する、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記検視する段階が、疾患状態の過程をモニターするためである、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記検視する段階が、外科的介入のために疾患組織を同定する、請求項1記載の方法。
【請求項29】
疾患組織の全てまたは少なくとも一部を外科的に除去する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項30】
蛍光を強化するために、ターゲティング構築物に結合する少なくとも1つの補助蛍光発光ターゲティング構築物を被験体に投与する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの補助蛍光発光ターゲティング構築物が、モノクローナル抗体またはその生物活性断片を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記疾患組織が、腫瘍、前癌性状態、または壊死状態および虚血状態からなる群より選択される状態に関連する、請求項1記載の方法。
【請求項33】
励起光に応答した補助蛍光発光ターゲティング構築物からの蛍光が、ターゲティング構築物からの蛍光と異なる色であり、かつ
該異なる色が、腫瘍組織を体部分における正常組織と識別する、
インビボで露出された体腔または臓器における正常組織と特異的に結合する該補助蛍光発光ターゲティング構築物を、被験体に投与する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記蛍光発光ターゲティング構築物が、抗体または腫瘍親和性部分を蛍光発光部分に付着させるためのリンカー部分をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記腫瘍親和性部分が、ホルモン、デオキシグルコース、ソマトスタチン、ソマトスタチン受容体結合ペプチド、メチオニン、メチオニン誘導体、ヒスチジン、またはその2つもしくはそれより多い任意のものの組み合わせである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記ターゲティング構築物が、静脈内、筋肉内、関節内、槽内、眼内、心室内、鞘内、腔内、腹腔内、皮内、およびその2つもしくはそれより多い任意のものの組み合わせからなる群より選択される方法によって投与される、請求項1記載の方法。
【請求項37】
前記ターゲティング構築物が局所注射によって投与される、請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記ターゲティング構築物が全身投与される、請求項1記載の方法。
【請求項39】
以下の段階を含む、必要としている被験体における手術時に診断手順(diagnostic procedure)を用いるための方法:
(a)手術によって露出されかつ疾患組織を含有する、被験体のインビボで露出された体腔または臓器を、約350 nm〜約510 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光によって照射する段階;
(b)蛍光ターゲティング構築物から発散する蛍光を、内視鏡または捕捉装置の助けを借りずに直接検視する段階であって、
該蛍光ターゲティング構築物が、被験体に投与される励起波長に対して応答性である蛍光体タグ付き抗体または蛍光体タグ付き腫瘍親和性部分と、治療的同位元素分子とを含み、かつ体腔または臓器における疾患組織に特異的に結合しており/または取り込まれており、かつ該ターゲティング構築物が、少なくとも1つの励起波長に応答して蛍光を発する、段階;
(c)該ターゲティング構築物からの直接検視された蛍光から、被験体における疾患組織の位置および/または表面積を決定する段階;ならびに
(d)疾患組織の全てまたは少なくとも一部を除去する段階。
【請求項40】
PETスキャンが、付着した前記蛍光ターゲティング構築物を有する腫瘍塊を同定するために術前に行われ、それによって体腔または臓器における疾患組織の位置に関する情報を提供する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記光が、約510 nmより大きい波長を有する光を実質的に欠損する、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記光が、約401 nm〜510 nm、または約470 nm〜500 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記の蛍光を検視する段階および腫瘍組織を除去する段階が実質的に同時に行われる、請求項39記載の方法。
【請求項44】
以下の段階を含む、必要としている被験体における腫瘍細胞のインビボ診断のための方法:
(a)検出可能に標識された複数の化合物の各々が、1つもしくは複数の細胞表面腫瘍抗原に結合するか、または別個の腫瘍タイプによって選択的に取り込まれる、
検出可能に標識された複数の化合物を、被験体から得られた腫瘍細胞試料にインビトロで接触させる段階;
(b)どの化合物が、細胞表面腫瘍抗原に結合しているかまたは試料腫瘍細胞によって取り込まれているかを決定する段階;
(c)少なくとも1つの生物学的に適合性の蛍光発光ターゲティング構築物の診断的有効量を被験体に投与する段階であって、
該蛍光発光ターゲティング構築物が、試料腫瘍細胞に適合する露出された腫瘍組織または臓器に結合するおよび/または取り込まれる、治療的同位元素によってタグ付けされている(b)において決定された化合物を含有し、該ターゲティング構築物が、約350 nm〜約510 nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光に応答して蛍光を発する、段階;ならびに
(d)光による照射に応答して露出された腫瘍組織または臓器に結合するまたは取り込まれる該ターゲティング構築物から発散する蛍光を、撮像するための内視鏡または捕捉装置の助けを借りずに、直接検視することによって、インビボ体腔または臓器における露出された腫瘍組織の位置および/または表面積を診断する段階。
【請求項45】
PETスキャンが、付着した前記蛍光ターゲティング構築物を有する腫瘍塊を同定するために、段階(d)の前に行われ、それによって体腔または臓器における疾患組織の位置に関する情報を提供する、請求項42記載の方法。

【公表番号】特表2010−538798(P2010−538798A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525928(P2010−525928)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/076722
【国際公開番号】WO2009/039207
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(503370907)オンコフルーア インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】