説明

臨床的に重要な真菌病原体を検出するための核酸プローブおよび方法

【課題】臨床的に重要な真菌の検出および同定法を提供する。
【解決手段】臨床試料中のCandida albicans,Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Candida kefyr、Candida krusei、Candida glabrata、Candidadubliniensis、Aspergillus flavus、Aspergillus versicolor、Aspergillus nidulans、Aspergillus fumigatus、Cryptococcus neoformansおよびPneumocystis cariniのごとき真菌種を検出するための、rDNAの内部転写スペーサー(Internal Transcribed Spacer)(ITS)領域に由来する種特異的プローブ、ならびに該プローブの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、臨床的に重要な真菌の検出および同定の分野に関する。より詳細には、本発明は、臨床試料中のCandida albicans、Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Candida kefyr、Candida krusei、Candida glabrata、Candida dubliniensis、Aspergillus flavus、Aspergillus versicolor、Aspergillus nidulans、Aspergillus fumigatus、Cryptococcus neoformans および Pneumocystis cariniのごとき真菌種を検出するための、rDNAの内部転写スペーサー(Internal Transcribed Spacer)(ITS)領域に由来する種特異的プローブ、ならびに該プローブの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
真菌感染は罹病および死亡の重大な原因となりつつある。1980年代には、Candida albicansによる血流感染率が48%上昇した。特定の真菌症の危険性のある患者は免疫防御が低下した患者であり、彼らは器官移植患者または強力な癌治療を受けている患者のみならず糖尿病患者または体内カテーテルを有する患者である。
真菌感染は多くのAIDS決定診断の基礎であり、大部分のHIV疾患の患者の合併症となっている。WHOは2000年には2000万人以上のHIV感染成人が存在するであろうと推定している。再発するという性質のため、AIDS患者における真菌疾患の衝撃は莫大なものである。AIDSを決定する症例を構成する25の症状のうち、7つの症状が真菌病原体により引き起こされる。ホモセクシュアル/バイセクシュアルのヒトに発生する大部分の頻繁に生じるAIDS表示疾患のうち、70%が真菌感染であり、Pneumocystis carinii肺炎(PCP)はすべての疾患のなかで最もありふれたものである。
【0003】
真菌は種々の形態であり、酵母(出芽により生殖する単細胞生物)やカビ(菌糸として知られる長い糸状体を生じる)から、1の環境においては酵母として挙動し、別の環境においてはカビとして挙動する能力を有するカメレオン様の二形性真菌までがある。
多くの異なるタイプの真菌のなかでも、疾病を引き起こす潜在能力のあるのはごくわずかであり、それらの影響の程度は様々である。体表面(皮膚、爪または毛髪)上に増殖するエピダーモフィトン(Epidermophyton)、ミクロスポルム(Microsporum)、トリコフィトン(Trichophyton)またはスポロスリックス(Sporothrix)のごとき真菌により引き起こされる表在性真菌症は歓迎されないが、通常は穏やかな感染力を有する。
内部器官に及ぶ深部真菌症はしばしば生命を脅かすものである。真菌アスペルギルス(Aspergillus)、ブラストミセス(Blastomyces)、カンジダ(Candida)、コッキジオイデス(Coccidioides)、クロプトコッカス(Cryptococcus)、ヒストプラスマ(Histoplasma)は深部真菌症の原因であり、臨床医に対して脅威となっている。臨床的には、カンジダ症およびアスペルギルス症は免疫無防備状態患者における全身的真菌感染の80%ないし90%を占める。最近になって、ニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii)により引き起こされる感染がAIDS患者においてより頻繁に見出されている。
【0004】
Pneumocystis cariniiは免疫無防備状態の患者における主要な日和見感染病原体であり、患者を正しく処置しない場合には高い死亡率を有する肺炎を引き起こす(Stringer J.R., 1996)。それゆえ、P. carinii肺炎(PCP)のタイムリーな診断は患者の管理にとり重要である。現在では、PCPの診断は、通常気管支肺胞洗浄(BAL)液、痰、または開放性の肺生検中の生物の形態面により行われている(Cregan et al., 1990)。形態学的診断は迅速であるが、高度の熟練者および良好な標本を必要する。P. cariniiをインビトロで培養できる場合には、この病原体を検出し、P. cariniiの表皮学的性質を研究するために分子生物学に基づく方法が用いられている(Lu et al., 1995)。
カンジダ症は、急性あるいは慢性の形態として発症するヒトの日和見感染の一定範囲を占める。カンジダ感染は、しばしば、口腔または膣の粘膜表面上に生じる。口腔粘膜の慢性過形成カンジダ症は、扁平細胞癌腫の発生に関連しているので、特に重要である。表在性傷害に加えて、食道炎および心内膜炎のごときより深部のカンジダ症が、特に、免疫無防備状態の個体において生じうる(Heimdahl et al., 1990)。
【0005】
過去において、カンジダ症に関する多くの研究はカンジダ単離体を種レベルで同定することはなかった。実際、慢性過形成カジダ症の場合には、報告は通常、傷害組織の組織学的試験後のカンジダ菌糸を含む構造の存在に限定されている。しかしながら、カンジダの種および亜種の両方が疾病を引き起こす能力において異なっていることが認識されることが多くなってきた。カンジダの臨床単離体の同定およびタイピングに使用される伝統的な方法は形態学的および生化学的分析(Williamson et al., 1986)、コロニー形態タイピング(Soll, D.R., 1992)、レジストグラムタイピング(Sobczak, H., 1985)、およびセロタイピング(Brawner, D.L., 1991)を包含する。これらの方法は時間のかかるものであり、それらの表現型発現への依存性はかかる方法の信頼性を潜在的に低くしている。別法は遺伝子型特性に基づくものであろう。遺伝子型による方法はカンジダ株の検出およびタイピングに使用されているが(Bart-Delabesse et al., 1993; Holmes et al., 1994)、種の分別にはあまり使用されていない。
【0006】
C. albicansの次に最もよく単離される医学的に重要な他のカンジダ種はC. glabrata、C. krusei および C. tropicalisである。
【0007】
クリプトコッカス属は多くの種を含み、その中でクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)は唯一のヒトの病原体であると考えられている。初期のクリプトコッカス感染は肺中への菌の吸入により始まり、通常には、その後血流により脳に広がり、髄膜に広がる。皮膚、骨、および関節が侵され、Cryptococcus neoformansはしばしば散在性感染の患者の尿から培養される。HIV感染を有しない患者において、クリプトコッカス症は特にクリプトコッカス髄膜炎であり、通常には、エリテマトーデス、サルコイドーシス、白血病、リンパ種、およびCushing症候群のごとき隠れた症状に関連して見られる(Chuck et al., 1989)。
クリプトコッカス症はAIDS関連疾患を決定する1の症状である。クリプトコッカス症でHIV感染の血清学的証拠を有する患者はAIDSを有すると考えられる。AIDS患者の約45%において、クリプトコッカス症が最初のAIDS決定疾患として報告されている。クリプトコッカス髄膜炎とAIDS患者に生じる他の感染症とを区別するためのクリプトコッカス髄膜炎を示す徴候または症状(頭痛、発熱、および倦怠感のごとき)は十分に特徴付けられていないので、クリプトコッカス抗原力価を決定し、血液および脳脊髄液を培養することは診断を行う際に有用である(Chuck et al., 1989)。
隠れた疾病のない患者における肺クリプトコッカス症の臨床診断は一般的に困難である。肺生検標本から得た組織を試験することによってのみ診断が確立されることがしばしばあるので、簡単で迅速な真菌の検出にはより高感度で特異的な他の方法が必要である。1のかかるアプローチは血清中の真菌抗原の検出を包含する(Kohno et al., 1993)。しかしながら、クリプトコッカス抗原を検出するための血清学的アッセイの評価は、Trichosporon beigeliiに感染した患者から得た血清と擬陽性反応を示した(Kohno et al., 1993)。
【0008】
現在、アスペルギルス症は、入院を要する2番目にありふれた真菌症と考えられている。陽性の真菌培養物を有する患者において、アスペルギルス(Aspergillus)種はカンジダ(Candida)種に次いでありふれた単離体である(Goodwin et al., 1992)。アスペルギルス属のメンバーにより引き起こされる病理学的応答は重さおよび臨床経過が様々であり、一次感染および二次感染の両方として生じうる(Rinaldi, M.G., 1988)。
侵襲性アスペルギルス症(IA)は、免疫無防備状態の患者において、特に血液学的に悪性の病気に対する化学療法を受けている患者あるいは高用量のコルチコステロイドを投与されている患者にいおて生命を脅かす症状である(Fisher et al., 1981)。アスペルギルス症の早期診断は非常に重要である。なぜなら早期治療はこの潜在的に致命的な感染を回復させるからである。不幸なことに、IAの診断は困難なままであり、時々、剖検によってのみ確認される。現在、開放性の肺生検の間に得られた組織試料を組織学的に試験することならびに臨床試料中の病原性真菌を検出することにより確実な診断が確立されている。免疫無防備状態の患者における抗体応答が乏しいので、アスペルギルス種に対する抗体の検出を必要とする試験のごとき血清学的試験はあまり有用でない。さらに、循環しているアスペルギルス抗原を検出するために使用される方法、例えばラジオイムノアッセイ、イムノブロッティングアッセイ、酵素イムノアッセイ、およびラテックス凝集試験は乏しい感度しか有していない(Rogers et al., 1990; Sabetta et al., 1985)。
【0009】
最近になって、IA診断用に、PCRを用いてIA患者から得た気管支肺胞洗浄(BAL)液中のアスペルギルス種に特異的なDNAが検出されている(Bretage et al., 1995)。
【0010】
真菌感染の研究室的診断はしばしば問題を含んでいる。真菌は容易にアクセスできる試料、例えば患者の尿、血液または痰からの培養がしばしば困難である。そのうえ、真菌は自然界に普遍的に存在しているので、尿または痰からの単一の陽性培養物は臨床的価値が限られている。研究室の結果を解釈する場合に、コンタミネーションの可能性は常に現実の問題である。痰中のアスペルギルスの発見は、例えば、限定された価値を有する単離におけるものであり、患者の臨床的徴候および症状に照らして評価されなければならない。確定的な診断には組織生検(肺または脳からの)が必要なことが多く、すべての患者に関して血液培養を行うべきである。血液からのカンジダのごとき酵母の単離は侵襲性真菌疾患を高い確率で予想できる。しかしながら、散在性カンジダ症患者の20%未満の血液からカンジダが培養されるにすぎない。
【0011】
培養法に限界があるため、多くの研究者は、診断の判断基準としての抗体力価によって、血清中のカンジダおよびアスペルギルスに対する特異的抗体を見つける試みを行っている。しかしながら、これらのアッセイの感度は非常に低く、しばしば50%未満であり、多くの免疫無防備状態の患者が十分な免疫応答を生じさせることが困難なためである。感度が低いため、真菌感染の免疫診断はコスト的に有効でない。免疫診断はしばしば擬陽性の結果を生じ、真菌が存在しない場合に真菌感染であるとして不適切な抗真菌剤を投与することとなる。
抗体検出の短所のゆえに、体液中の真菌抗原または代謝物を検出する試験に多くの注意が向けられている。主要な問題は血清中の抗原が一時的なものであるという性質である。大部分の抗原検出試験に関して、相対的な感度は許容できないほど低いが、多数の血清をサンプリングすることにより抗原血症の検出が改善される。
そのうえ、上で引用した方法は種レベルの真菌の同定を可能にするものではない。真菌性疾患に対する有効な治療規則には種レベルでの正しい真菌の同定が必要である。例えば、C. glabrataおよびC. kruseiのごときある種のカンジダ種は古典的なアゾール薬剤にはあまり感受性でない。
【0012】
真菌症の診断は、新たな洗練された方法に対する必要性の大きい領域である。ウイルス学において、そしてある程度は細菌学においてすでに見られるように、真菌感染の診断のためのDNAまたはRNA増幅系を伴う特異的DNAプローブの使用は有用である可能性があり、研究室での診断および重症の真菌性疾患を有する患者の管理において革命を起こす可能性がある。
最近、DNA法を用いて真菌病原体を検出するいくつかの方法が記載された。rRNAをコードする遺伝子、特に18Sおよび28S rRNA遺伝子が種特異的プローブを開発するための標的としてしばしば用いられている(例えば、米国特許第5827651号;Einsele et al. 1997)。他の研究者は18S rRNAと28S rRNA遺伝子との間に存在する内部転写スペーサー(ITS)領域の、真菌の特異的検出用標的領域としての使用について報告している。Luら(1995年)は、ITS領域に由来するプローブを用いてPneumocystis carinii株をサブタイピングすることを記載している。Williamsら(1995年)は、PCR増幅によるカンジダ種の同定ならびにITS増幅領域の制限長多型性分析を示している。KumedaおよびAsao(1996年)は、アスペルギルスの種を分別するためにPCR増幅ならびにITS領域の1本鎖コンホーメーション多型性(sscp)分析を用いている。米国特許第5693051号には、Histoplasma capsulatum検出用のITS−1領域由来の種特異的プライマーが記載されている。多くの特許出願(WO98/50584;WO95/29260;US5814463;US5955274)には、ITS領域配列の特異的増幅またはハイブリダイゼーションに基づく異なった植物真菌病原体の特異的検出および分別が記載されている。
【0013】
ITS−2領域配列に基づくカンジダ種の検出がいくつかのグループにより記載されている。Fujitaら(1995年)は、異なるカンジダ種用のITS−2プローブならびにユニバーサルプライマーITS3およびITS4を用いる一般的増幅工程後の検出および分別方法を記載している。Elieら(1998年)およびいくつかの関連特許出願(WO98/11257;WO99/06596;US5426027)は、ITS−2領域に由来する18個のカンジダ特異的プローブのセットを記載している。Shinら(1999年)は、ユニバーサルプライマーITS3およびITS4ならびにITS−2プローブへのハイブリダイゼーションを使用する増幅を用いる、1本の試験管中における3種のカンジダの検出および分別を記載している。BotelloおよびPlanta(1994年)は、ITS−1またはITS−2領域由来のCandida albicans用プローブを記載している。そのITS−2領域のプローブがより良好な種特異性を示す。
【0014】
Aspergillus、Cryptococcus、またはPneumocystisに属する種のごとき他の医学的に重要な真菌種のITS領域由来の種特異的プローブはまだ記載されていない。そのうえ、臨床的重要性のある広範な真菌種の同時検出および分別方法もまだ記載されていない。かかる方法は、臨床試料中の真菌病原体の非常に高感度な種特異的検出に対する必要性に応えるものであり、効果的な治療規則を迅速に打ち立て、患者の経過を緊密にモニタリングすることを可能にする。
【0015】
発明の概要および目的
本発明は、臨床的重要性を有する異なる真菌種のITS領域に特異的にハイブリダイゼーションする核酸分子(オリゴヌクレオチドプローブ)を記載する。より詳細には、いくつかのカンジダ種、アスペルギルス種、クロプトコッカス・ネオフォルマンスおよびニューモシスチス・カリニイのITS−1および/またはITS−2領域に選択的にハイブリダイゼーションするプローブを記載する。本発明の最も好ましいプローブはITS−1領域中に存在するものであり、それは18S rRNA遺伝子と5.8S rRNA領域とを分けている。
さらに、これらの真菌病原性種の迅速、高感度かつ特異的検出および分別のための方法が記載される。詳細には、単一のハイブリダイゼーションアッセイにおいて異なる真菌種の同時検出および分別を行う方法が記載される。かかる多パラメーター検出法は、器官移植患者、強力な抗癌治療を受けている患者、糖尿病またはAIDS患者のごとき損傷を受けた免疫系を有する患者における日和見感染の検出に特に有用である可能性がある。
記載された方法およびプローブは真菌感染の臨床診断における有用な道具である。そのうえ、該方法およびプローブを用いて疾病をモニターし、適切な抗真菌治療を行うことができる。記載されたプローブおよび方法を研究室の研究道具として用いて、異なる真菌生物およびそれらの系統発生学的関連性を研究することもできる。
【0016】
本発明のプローブおよび方法により検出され同定される真菌種は、Candida albicans、Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Candida kefyr、Candida krusei、Candida glabrata、Candida dubliniensis、Aspergillus flavus、Aspergillus versicolor、Aspergillus nidulans、Aspergillus fumigatus、Cryptococcus neoformans および Pneumocystis cariniiを包含する。本発明の方法は、適用されるプローブのセットに応じて、上記の種のいずれかを、単独または他の種と組合せて検出することを可能にする。すべてのプローブは、同一のハイブリダイゼーション条件下にて機能するように設計されており、かくして、いずれの組合せも可能である。ある方法において組み合わされた特定のプローブのセットは、試料のタイプ(呼吸管、尿管生殖管、胃腸管、脳脊髄液、血液試料、皮膚または組織生検....)、患者の臨床的徴候、特異性の所望レベル(属、種、株)、適用のタイプ(スクリーニングアッセイ、確認アッセイ、治療モニタリング、株の特徴付けのための研究道具、表皮科学...)のごときいくつかの特別なパラメーターに応じたものとすることができる。
【0017】
かくして、本発明の目的は、臨床的に重要ないくつかの真菌病原体の特異的検出および同定にための核酸プローブおよびプライマーを提供することである。
より詳細には、本発明の目的は、異なる真菌病原体のITS(内部転写スペーサー)領域に特異的にハイブリダイゼーションする核酸プローブを提供することである。本発明において開示されたプローブはITS−1またはITS−2領域、最も好ましくはITS−1領域にハイブリダイゼーションする。
詳細には、本発明の目的は、C. albicans、C. parapsilosis、C. tropicalis、C. kefyr、C. krusei、C. glabrata および C. dubliniensisを包含するいくつかのカンジダ種、A. flavus、A. versicolor、A. nidulans および A. fumigatusを包含するいくつかのアスペルギルス種、Cryptococcus neoformans および Pneumocystis cariniiの検出および同定のためのプローブを提供することである。
【0018】
さらに、本発明の目的は、臨床試料または培養物中のこれらの真菌病原体を検出し同定する迅速、高感度かつ特異的な方法を提供することである。
また、本発明の目的は、血液試料中に存在する真菌細胞から核酸を遊離させ、血液試料中に存在する可能性のあるPCR阻害物質を除去する、血液試料の迅速かつ効果的な処理方法を提供することである。
さらにそのうえ、本発明の目的は、単一のアッセイにおいて、試料中に存在する可能性のあるこれらの真菌種の同時検出および同定を可能にする方法を提供することである。
さらに本発明の目的は、真菌性疾患の臨床的診断、モニタリングおよび治療的管理のための方法を提供することである。
本発明の特別な利点および特徴を含め、これらの目的および他の目的は、後で示すいくつかの具体例についての詳細な説明において明らかになるであろう。
【0019】
定義
用語「プローブ」は、検出すべき標的配列に対して相補的な配列を有する単離された1本鎖の配列特異的オリゴヌクレオチドをいう。標的配列に対するプローブ配列の相補性は必須であり、プローブ中央部(=プローブのコア)に対しては完全なものであり、そこでは標的配列に対するミスマッチは許されない。プローブの末端(3’または5’)方向に向かって、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響を及ぼさない場合にはプローブ配列中の小さな変化が時々存在してもよい。プローブの「コア配列」は中央部であり、全プローブ配列の70%よりも多く、好ましくは80%よりも多く、最も頻繁には90%よりも多くを占める。本発明のプローブは、目的の真菌種に特異的にハイブリダイゼーションするよう設計されている。この種特異的ハイブリダイゼーション挙動は実施例部分において示される増幅であろう。本発明全体において、プローブの配列は常に5’末端から3’末端へと示される。それらは1本鎖DNA分子として示される。しかしながら、これらのプローブをそれらのRNA形態として(TがUにより置換される)、あるいはそれらの相補的形態として使用してもよいことが理解されるべきである。
対応ヌクレオチド配列を含むインサートを含有する組み換えプラスミドをクローニングすることにより、本発明のプローブを得てもよく、必要ならば十分なヌクレアーゼを用いてクローン化プラスミドから対応ヌクレオチド配列を開裂させ、そして例えば分子量による分画により回収することができる。例えば、慣用的なホスホ−トリエステル法により本発明のプローブを化学合成することもできる。
好ましくは、本発明のプローブは約10ないし約30ヌクレオチドの長さを有する。プローブの長さのバリエーションが可能であり、プローブの中央部がそのハイブリダイゼーション特性に必須であるので、特に長いプローブ配列を用いる場合には標的配列からのプローブ配列の逸脱がプローブの頭部および尾部方向に向かって可能であることは明らかなはずである。これらの変種プローブは当該分野の通常の知識から思いつくことができるが、それらが元のプローブと比較して同等のハイブリダイゼーション特性を生じるかどうかをチェックするために常に実験的に評価すべきである。
【0020】
本発明の用語「単離」は、本発明のオリゴヌクレオチドが、それらが本来存在する環境から単離されていることを意味する。詳細には、該用語は、それらがもはや個々の真菌種のゲノムの一部でなく、かくして該真菌種のITS領域中の残りの隣接ヌクレオチドから遊離されていることを意味する。対照的に、新たな(=異種)隣接領域をプローブの3’および/または5’末端に付加して、その機能を向上させてもよい。おそらく該異種隣接配列により提供される機能的特性は、例えば、固体支持体への結合容易性、合成容易性、精製容易性、標識機能等である。
【0021】
本明細書の用語「相補的」核酸は、本発明において、核酸配列が互いに完全な塩基対合した二重らせんを形成しうることを意味する。
【0022】
用語「種特異的ハイブリダイゼーション」は、検出すべき種(=標的生物)の核酸に対する本発明のプローブの選択的ハイブリダイゼーションをいい、他の種に属する株(=非標的生物)に由来する核酸には選択的にハイブリダイゼーションしないことをいう。本発明に関しては、種特異的ハイブリダイゼーションは、検出すべき生物のITS領域(=標的領域)に対する本発明のプローブの選択的ハイブリダイゼーションも意味し、他のゲノム配列に対して時々生じる「ランダム」なハイブリダイゼーションを制限する。種特異性は実験的に決定されるべき特徴である。種特異性は時々理論的に予想可能であるが、種特異性は、実験的に試験された非標的生物についてのみ言及することができる。
【0023】
用語「プライマー」は、コピーされるべき核酸鎖に対して相補的なプライマー伸長生成物合成のための開始点として作用しうる単離された1本鎖オリゴヌクレオチド配列をいう。プライマーの長さおよび配列は、それらが伸長生成物の合成を開始できるようなものでなくてはならない。好ましくは、プライマーは約5−50ヌクレオチドの長さであり、より好ましくは10ないし40ヌクレオチドの長さである。個々の長さおよび配列は必要なDNAまたはRNA標的の複雑さならびに温度およびイオン強度のごときプライマー使用条件に依存する。
プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドはホスホロチオエート(Matsukura et al., 1987)、アルキルホスホロチオエート(Miller et al., 1979)またはペプチド核酸(Nielsen et al., 1991; Nielsen et al., 1993)のごときヌクレオチドアナログを含んでいてもよく、あるいは挿入剤(Asseline et al., 1984)を含んでいてもよい。
【0024】
多くの他の変更または修飾が本発明の元のDNA配列中に導入される場合、これらの変更は、オリゴヌクレオチドを使用して必要な特異性および感度を得るべき条件に適合することを要する。しかしながら、ハイブリダイゼーションの最終的な結果は必然的に未修飾オリゴヌクレオチドを用いて得られる結果と同じであろう。
これらの修飾の導入は、ハイブリダイゼーションキネティクス、ハイブリッド形成の可逆性、オリゴヌクレオチド分子の生物学的安定性等のごとき特性に正の影響を及ぼす利点を有する可能性がある。
【0025】
用語「試料」は、細胞から遊離されるべき真菌核酸を含む可能性のある材料を表す。好ましくは、用語「試料」は、血液、呼吸管(痰、気管支肺胞洗浄(BAL)液)、脳脊髄液(CSF)、尿生殖管(膣分泌物、尿)、胃腸管(唾液、便)または器官、組織、皮膚等からの生検より取られた試料のごとき臨床試料をいう。用語「試料」は、液体培地または固体培地のいずれかで培養された真菌細胞の試料もいう。該試料中に存在する真菌DNAを、当該分野で知られた方法により調製あるいは抽出することができる。
【0026】
用語「ITS」は、真菌種の核DNAのtRNAオペロン中の18 rRNA遺伝子と28S rRNA遺伝子との間に存在する内部転写スペーサー(Internal Transcribed Spacer)の略称である。ITS領域は、18S rRNA遺伝子と5.8S rRNA遺伝子とを分離しているITS−1領域、ならびに5.8S rRNA遺伝子と28S rRNA遺伝子とを分離しているITS−2領域にさらに分けられる。
【0027】
これらの試料中の「標的」物質は、検出すべき生物(=標的生物)ゲノムDNA、前駆体リボソームRNA、あるいはそれらの増幅されたバージョンであってもよい。より詳細には、ゲノム中の標的核酸は内部転写領域(ITS)である。好ましい具体例によれば、ゲノム中の標的領域はITS−1領域である。標的配列は、プローブのコア部分に対して十分に相補的なITS配列の部分である。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、その最も一般的な形態において、試料中の真菌病原体種を検出し同定する方法に関し、該方法は少なくとも下記工程を含む:
(i)試料中に存在する可能性のある真菌病原体の核酸を遊離させ、単離し、そして/あるいは濃縮すること、
(ii)必要ならば、該核酸の内部転写スペーサー領域(ITS)を、少なくとも1の真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いて増幅すること、
(iii)工程(i)または(ii)の核酸を、下記の種特異的プローブ:
GTCTAAACTTACAACCAATT (配列番号: 1)、
TGTCACACCAGATTATTACT (配列番号: 2)、
TATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 3)、
GTAGGCCTTCTATATGGG (配列番号: 4)、
TGCCAGAGATTAAACTCAAC (配列番号: 5)、
GGTTATAACTAAACCAAACT (配列番号: 6)、
TTTTCCCTATGAACTACTTC (配列番号: 7)、
AGAGCTCGTCTCTCCAGT (配列番号: 8)、
GGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 9)、
GAGCTCGGAGAGAGACATC (配列番号: 10)、
TAGTGGTATAAGGCGGAGAT (配列番号: 11)、
CTAAGGCGGTCTCTGGC (配列番号: 12)、
GTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 13)、
CTTCTAAATGTAATGAATGT (配列番号: 14)、
CATCTACACCTGTGAACTGT (配列番号: 15)、
GGACAGTAGAGAATATTGG (配列番号: 16)、
GGACTTGGATTTGGGTGT (配列番号: 17)、
GTTTACTGTACCTTAGTTGCT (配列番号: 18)、
CCGCCATTCATGGCC (配列番号: 19)、
CGGGGGCTCTCAGCC (配列番号: 20)、
CCTCTCGGGGGCGAGCC (配列番号: 21)、
CCGAGTGCGGCTGCCTC (配列番号: 22)、
CCGAGTGCGGGCTGC (配列番号: 23)、
GAGCCTGAATACCAAATCAG (配列番号: 24)、
GAGCCTGAATACAAATCAG (配列番号: 25)、
GTTGATTATCGTAATCAGT (配列番号: 26)、
GCGACACCCAACTTTATT (配列番号: 27)、
ATGCTAGTCTGAAATTCAAAAG (配列番号: 28)、
GGATTGGGCTTTGCAAATATT (配列番号: 29)、
TTCGCTGGGAAAGAAGG (配列番号: 30)、
GCTTGCCTCGCCAAAGGTG (配列番号: 31)、
TAAATTGAATTTCAGTTTTAGAATT (配列番号: 32)、
TTGTCACACCAGATTATTACTT (配列番号: 33)、
GGTTTATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 34)、
GGTATCAACTTGTCACACCAGATT (配列番号: 35)、
GGTTATAACTAAACCAAACTTTTT (配列番号: 36)、
GGGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 37)、
GGTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 38)、
CATCTACACCTGTGAACTGTTT (配列番号: 39)、
CCGACACCCAACTTTATTTTT (配列番号: 40)、
GTTGATTATCGTAATCAGTT (配列番号: 41)、
GAACTCTGTCTGATCTAGT (配列番号: 42)、
GTCTGAATATAAAATCAGTCA (配列番号: 43)、
あるいはヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響しない1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている該プローブの変種、
あるいはTがUにより置換されている該プローブのRNA同等物、
あるいは該プローブの相補的核酸
からなる群から選択される少なくとも1つのプローブにハイブリダイゼーションさせること、次いで
(iv)工程(iii)で形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること。
【0029】
上記の真菌病原体検出方法に使用されるプローブはすべて、真菌種の内部転写スペーサー領域にハイブリダイゼーションするものである。より詳細には、実施例においてさらに説明するように(表1参照)、上記プローブは下記の標的領域に選択的にハイブリダイゼーションする:Candida albicansのITS−1領域(配列番号:1、2、3、33、34、35により示されるプローブ)、C. parapsilosisのITS−1領域(配列番号:4、5により示されるプローブ)、C. tropicalisのITS−1領域(配列番号:6、36により示されるプローブ)、C. kefyrのITS−1領域(配列番号:7、8により示されるプローブ)、C. kruseiのITS−1領域(配列番号:9、37により示されるプローブ)、C. glabrataのITS−1領域(配列番号:10により示されるプローブ)、C. dubliniensisのITS−1領域(配列番号:13、38により示されるプローブ)、C. dubliniensisのITS−2領域(配列番号:11、12により示されるプローブ)、Cryptococcus neoformansのITS−1領域(配列番号:14、15、16、39により示されるプローブ)、Cryptococcus neoformansのITS−2領域(配列番号:17により示されるプローブ)、Aspergillus flavusのITS−1領域(配列番号:18、19、20、42により示されるプローブ)、Aspergillus versicolorのITS−1領域(配列番号:21、43により示されるプローブ)、Aspergillus nidulansのITS−1領域(配列番号:22、23、24、25により示されるプローブ)、Aspergillus fumigatusのITS−1領域(配列番号:26、41により示されるプローブ)、Aspergillus fumigatusのITS−2領域(配列番号:27、40により示されるプローブ)、Pneumocystis cariniiのITS−1領域(配列番号:31、21により示されるプローブ)、およびPneumocystis cariniiのITS−2領域(配列番号:28、29、30により示されるプローブ)。
【0030】
プローブの「変種」なる表現は、プローブ配列の3’および/または5’末端部分における1または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている変異配列により示されるプローブを包含するが、ただし、かかる欠失または付加は個々のプローブの種特異的な性質を変化させないものである。プローブ末端部分における1または2個のヌクレオチドの付加は、通常には、当該プローブが単離されたITS領域中の標的配列に隣接した配列に応じて行われる。このことは、通常には、プローブ配列を伸長させるために「いずれかの」ヌクレオチドを選択するのではなく、ITS領域中のプローブ配列に隣接するヌクレオチドのみを選択することを意味する。プローブの隣接配列に関する情報を、プローブ配列をITS配列と並置比較することにより容易に得ることができる。クローニング後、あるいは例えば、真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いてITS領域をPCR増幅した後に、ITS領域を配列決定することによりITS配列自体を得ることができ、あるいは公に利用可能なソースからITS配列自体を引き出すこともできる。
上記のプローブおよび変種プローブを、3’および/または5’末端において非ITS(=異種)隣接配列を用いて伸長させてもよい。プローブ固有のハイブリダイゼーション挙動に影響することなく、この異種テイリング法はプローブ分子にいくつかのさらなる特性、例えば、実施例部分でさらに説明するポリTテイリングによる表面への付着のごとき特性を与える可能性がある。
【0031】
上記方法を、例えば、マイクロタイタープレートにおける単一の真菌種の検出、いわゆる「単一分析対象検出」に、あるいは例えば、ラインプローブアッセイ(LiPA)におけるいわゆる「マルチパラメーター検出」に適用してもよい。記載されたプローブは、それらがすべて同じハイブリダイゼーションおよび洗浄条件において機能的(すなわち、所望の種特異性を示す)であるように選択されたものである。このことは、単一のハイブリダイゼーションアッセイにおいていくつかの種を同時検出および分別するために使用される方法を可能にする。
【0032】
用語「真菌ユニバーサルプライマーペアー」は、そのプライマーペアーが、すべてではないとしても大部分の真菌種の内部転写スペーサー領域を増幅することを意味する。「真菌ユニバーサルプライマーペアー」の配列は、異なる真菌種における増幅を可能にするために系統発生学的に保存されている。それらはITS領域に隣接するrRNA遺伝子中、すなわち、18S、5.8Sまたは28S rRNA遺伝子中に存在する。全ITS領域、ITS−1またはITS−2領域の増幅が企図されてもよい。本発明に記載の方法に適した「真菌ユニバーサルプライマーペアー」は、例えば、White et al. (1990)に記載されている。
【0033】
好ましい具体例において、上記方法は、White et al. (1990)に記載されたようなプライマーペアーの下記群から選択される真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いた増幅工程を包含する:
ITS5 (順方向): GGAAGTAAAAGTCGTAACAAGG および
ITS4 (逆方向): TCCTCCGCTTATTGATATGC、

ITS5 (順方向): GGAAGTAAAAGTCGTAACAAGG および
ITS2 (逆方向): GCTGCGTTCTTCATCGATGC、

ITS1 (順方向): TCCGTAGGTGAACCTGCGG および
ITS4 (逆方向): TCCTCCGCTTATTGATATGC、

ITS1 (順方向): TCCGTAGGTGAACCTGCGG および
ITS2 (逆方向): GCTGCGTTCTTCATCGATGC、

ITS3 (順方向): GCATCGATGAAGAACGCAGC および
ITS4 (逆方向): TCCTCCGCTTATTGATATGC。
【0034】
ITS1およびITS4プライマーの組合せ、あるいはITS5およびITS4プライマーの組合せを用いて全ITS領域を増幅してもよい。ITS1およびITS2プライマーの組合せ、あるいはITS5およびITS2プライマーの組合せを用いてITS−1領域を増幅してもよく、ITS3およびITS4プライマーの組合せを用いてITS−2領域を増幅してもよい。
好ましい具体例によれば、ITS−1領域の増幅が企図され、プローブはITS−1領域から選択されるであろう。実施例部分でさらに示されるように、本発明によれば、ITS−1領域の増幅およびITS−1領域へのハイブリダイゼーションに基づく方法は、通常には、全ITS領域の増幅および全ITS領域へのハイブリダイゼーションあるいはITS−2増幅領域に基づく方法よりも高い感度を示すことが示される。さらにそのうえ本発明は、すべてではないとしても大部分の挙げられた異なる真菌種の同定および分別を、ITS−1領域のみに由来するプローブ配列を用いることにより行えることが示される。
かくして、好ましい具体例によれば、本発明は、試料中の真菌病原体種を検出および同定するための方法を提供し、該方法は少なくとも下記工程を含む:
(i)試料中に存在する可能性のある真菌病原体の核酸を遊離させ、単離し、そして/あるいは濃縮すること、
(ii)Whiteら(1990年)による下記プライマーペアー:
(ITS5およびITS2)または(ITS1およびITS2)
のうち少なくとも1つを用いて該核酸のITS領域を増幅すること、
(iii)工程(i)または(ii)の核酸を、下記の種特異的プローブ:
GTCTAAACTTACAACCAATT (配列番号: 1)、
TGTCACACCAGATTATTACT (配列番号: 2)、
TATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 3)、
GTAGGCCTTCTATATGGG (配列番号: 4)、
TGCCAGAGATTAAACTCAAC (配列番号: 5)、
GGTTATAACTAAACCAAACT (配列番号: 6)、
TTTTCCCTATGAACTACTTC (配列番号: 7)、
AGAGCTCGTCTCTCCAGT (配列番号: 8)、
GGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 9)、
GAGCTCGGAGAGAGACATC (配列番号: 10)、
TAGTGGTATAAGGCGGAGAT (配列番号: 11)、
CTAAGGCGGTCTCTGGC (配列番号: 12)、
GTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 13)、
CTTCTAAATGTAATGAATGT (配列番号: 14)、
CATCTACACCTGTGAACTGT (配列番号: 15)、
GGACAGTAGAGAATATTGG (配列番号: 16)、
GGACTTGGATTTGGGTGT (配列番号: 17)、
GTTTACTGTACCTTAGTTGCT (配列番号: 18)、
CCGCCATTCATGGCC (配列番号: 19)、
CGGGGGCTCTCAGCC (配列番号: 20)、
CCTCTCGGGGGCGAGCC (配列番号: 21)、
CCGAGTGCGGCTGCCTC (配列番号: 22)、
CCGAGTGCGGGCTGC (配列番号: 23)、
GAGCCTGAATACCAAATCAG (配列番号: 24)、
GAGCCTGAATACAAATCAG (配列番号: 25)、
GTTGATTATCGTAATCAGT (配列番号: 26)、
GCGACACCCAACTTTATT (配列番号: 27)、
ATGCTAGTCTGAAATTCAAAAG (配列番号: 28)、
GGATTGGGCTTTGCAAATATT (配列番号: 29)、
TTCGCTGGGAAAGAAGG (配列番号: 30)、
GCTTGCCTCGCCAAAGGTG (配列番号: 31)、
TAAATTGAATTTCAGTTTTAGAATT (配列番号: 32)、
TTGTCACACCAGATTATTACTT (配列番号: 33)、
GGTTTATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 34)、
GGTATCAACTTGTCACACCAGATT (配列番号: 35)、
GGTTATAACTAAACCAAACTTTTT (配列番号: 36)、
GGGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 37)、
GGTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 38)、
CATCTACACCTGTGAACTGTTT (配列番号: 39)、
CCGACACCCAACTTTATTTTT (配列番号: 40)、
GTTGATTATCGTAATCAGTT (配列番号: 41)、
GAACTCTGTCTGATCTAGT (配列番号: 42)、
GTCTGAATATAAAATCAGTCA (配列番号: 43)、
あるいはヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響しない1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている該プローブの変種、
あるいはTがUにより置換されている該プローブのRNA同等物、
あるいは該プローブの相補的核酸
からなる群より選択される少なくとも1つのプローブにハイブリダイゼーションさせること、次いで
(iv)工程(iii)で形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること。
【0035】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR; Saiki et al., 1988)、リガーゼ連鎖反応(LCR; Landgren et al., 1988)、核酸配列に基づく増幅(NASBA; Guatelli et al., 1990)、転写に基づく増幅系(TAS; Kwoh et al., 1989)、鎖置換増幅(SDA; Duck, 1990)またはQβレプリカーゼを用いる増幅(Lomeli et al., 1989)あるいは当該分野で知られた核酸分子を増幅する他の適当な方法を包含する当該分野で知られたいずれの方法を用いて核酸の増幅を行ってもよい。
【0036】
もちろん、検出すべき核酸の増幅は検出感度を高めるという利点を有する。そのうえ、真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いて、いくつかの真菌種のITS領域の同時増幅、次いで、種特異的ハイブリダイゼーションを用いる同時検出方法を開発することができる。増幅は増幅核酸中への標識の取りこみを可能にし、そのことは、形成されたハイブリダイゼーション複合体の異なった検出方法を可能にし、さらに検出感度を上昇させることができる。例えば、Bej et al. (1990)により説明されたように増幅ポリメラーゼ工程を行っている間に取り込まれた標識ヌクレオチドを用いることにより、または標識プライマーを用いることにより、あるいは当業者に知られた他の方法により標識化を行ってもよい。標識の性質はアイソトープ性(32P、35S等)または非アイソトープ性(ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン等)であってよい。別法として、もちろん、本発明のプローブを標識してもよい。
【0037】
標準的方法により核酸のハイブリダイゼーションを行う。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件、すなわち、わずか1個のヌクレオチドが異なっている核酸間のハイブリダイゼーションによる分別を可能にするハイブリダイゼーション条件を用いる。本発明のプローブに適用可能なストリンジェントな条件の例は、ハイブリダイゼーション温度50℃における2xSSC(クエン酸ナトリウムセイライン)のハイブリダイゼーションバッファーおよび0.1% SDSである。本発明のすべてのプローブは、ハイブリダイゼーション温度50℃における2xSSCのハイブリダイゼーションバッファーおよび0.1% SDSにより定義されるストリンジェンシーの条件において所望の(=種特異的)ハイブリダイゼーション挙動を示すように設計されている。もちろん、同程度のストリンジェンシーを生じる他のいずれのハイブリダイゼーション条件(すなわち、他のいずれのハイブリダイゼーションバッファーおよびハイブリダイゼーション温度の組合せ)であっても本発明のプローブに適する。特定のストリンジェンシー判断基準に合致させるためのハイブリダイゼーション条件の設計はハイブリダイゼーションの分野における通常の知識である。
【0038】
溶液中または固体支持体上でハイブリダイゼーションを行ってもく、プローブを固体支持体上に固定化してもよく、あるいは検出すべき核酸を固定化してもよい。固体支持体への核酸の固定化を、共有結合力により、あるいは非共有結合力により行ってもよい。
好ましい具体例によれば、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは固体支持体に固定化され、逆ハイブリダイゼーションが行われる。
本発明における用語「固体支持体」は、オリゴヌクレオチドを結合できる基材をいうが、ただし、そのハイブリダイゼーション特性が保持され、ハイブリダイゼーションのバックグラウンドが低いままであることが条件である。通常には、固体支持体はマイクロタイタープレート、膜(例えば、ナイロンまたはニトロセルロース)または微小球(ビーズ)であろう。膜への適用または固定の前に、核酸プローブを修飾して固定を容易にし、あるいはハイブリダイゼーション効率を改善することは都合のよいことかもしれない。かかる修飾は、ホモポリマーテイリング、脂肪族基、NH2基、SH基、カルボキシル基のごとき異なる反応性基とのカップリング、あるいはビオチン、ハプテンまたは蛋白とのカップリングを包含する。
【0039】
好ましい具体例によれば、上記検出方法に使用されるオリゴヌクレオチドは、プローブの3’または5’末端部分に付加されるホモポリマーテイリング配列(例えば、ポリT)により固体支持体に固定化される。オリゴヌクレオチドの化学合成中に該テイリングを行って、通常には5’ポリTテイルを生じさせてもよく、あるいは合成後に、例えばターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Pharmacia)を用いる酵素的テイリングにより3’ポリTテイルを生じさせてもよい。
当該分野で知られたいずれかの方法を用いて、形成されたハイブリダイゼーション複合体の検出を行ってもよく、もちろん、検出のタイプは使用標識のタイプによる。ビオチンを標識として用いる場合、例えば、青色沈殿シグナルを生じるストレプトアビジン抱合アルカリホスファターゼ、あるいは溶液中に発色反応を生じさせるストレプトアビジン抱合セイヨウワサビペルオキシダーゼのごときストレプトアビジン抱合検出剤を用いてもよい。
【0040】
特別な具体例によれば、本発明は、後の実施例部分に示すように、試料中の真菌病原体を検出および同定するためのLiPA(ラインプローブアッセイ)法を提供する。LiPAは、固体支持体片上に平行線として固定化されたオリゴヌクレオチドプローブを用いる逆ハイブリダイゼーションアッセイである(Stuyver et al. (1993)およびWO 94/12670により記載されている)。LiPAは行うのが迅速かつ簡単なので、LiPAは特に有利である。そのうえ、この方法は、オートメーション化に適し(オートLiPA,Innogenetics, Zwijnaarde, Belgium)、それゆえ多数の試料を同時に処理できる臨床的状況に特に適する。しかしながら、さらに説明するように、いずれかの選択されたプローブを用いる他のいずれのタイプのハイブリダイゼーションアッセイまたはフォーマットであっても本発明によりカバーされる。
【0041】
好ましい具体例によれば、上記方法を、特定タイプの試料中に存在する真菌病原体の同時検出および分別に適用してもよい。例えば、試料が血液または血清試料である場合、本発明の方法はカンジダ種、アスペルギルス種、およびクリプトコッカス種の検出および分別を含んでいてもよい。試料が呼吸管由来である場合(例えば、痰試料、BAL試料)、本発明の方法は、カンジダ種、最も頻繁にはCandida albicans以外のカンジダ種、アスペルギルス種、クリプトコッカス種およびPneumocystis cariniiの検出および分別を含んでいてもよい。試料がCSF由来である場合、本発明の方法は、カンジダ種、アスペルギルス種、クロプトコッカス種およびPneumocystis cariniiの検出および分別を含んでいてもよい。試料が皮膚または傷害組織由来である場合、本発明の方法はアスペルギルス種、カンジダ種、クリプトコッカス種の検出および分別を含んでいてもよい。試料が尿生殖管由来である場合、本発明の方法は異なるタイプのカンジダ種の検出および分別を可能にする。
【0042】
さらなる具体例によれば、本発明は、上記真菌種を検出し同定するための方法を提供し、該真菌病原体はカンジダ種であり、工程(iii)のプローブは、C. albicans用には配列番号:1、2、3、33、34および35、C. parapsilosis用には配列番号:4および5、C. tropicalis用には配列番号:6および36、C. kefyr用には配列番号:7および8、C. crusei用には配列番号:9および37、C. glabrata用には配列番号:10、ならびにC. dubliniensis用には配列番号:11、12、13および38のなかから選択される。
【0043】
より特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:1、2、3、33、34および35により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. albicansの存在を示すものである。
【0044】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:4および5により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. parapsilosisの存在を示すものである。
【0045】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:6および36により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. tropicalisの存在を示すものである。
【0046】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・ケフィル(Candida kefyr)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:7および8により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. kefyrの存在を示すものである。
【0047】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・クルセイ(Candida krusei)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:9および37により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. kruseiの存在を示すものである。
【0048】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:10により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. glabrataの存在を示すものである。
【0049】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のカンジダ・ドゥブリニエンシス(Candida dubliniensis)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:11、12、13および38により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. dubliniensisの存在を示すものである。
【0050】
さらなる具体例によれば、本発明は、上記真菌種を検出し同定するための方法を提供し、該真菌病原体はアスペルギルス種であり、工程(iii)のプローブは、A. flavus用には配列番号:18、19、20および42、A. versicolor用には配列番号:21および43、A. nidulans用には配列番号:22、23、24、および25、ならびにA. fumigatus用には配列番号:26、27、40および41のなかから選択される。
【0051】
より特別な具体例によれば、本発明は、試料中のアスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:18、19、20および42により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. flavusの存在を示すものである。
【0052】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のアスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:21および43により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. versicolorの存在を示すものである。
【0053】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のアスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:22、23、24および25により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. nidulansの存在を示すものである。
【0054】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のアスペルギルス・フミガトゥス(Aspergillus fumigatus)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:26、27、40および41により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. fumigatusの存在を示すものである。
【0055】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:14、15、16、17および39により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がのC. neoformansの存在を示すものである。
【0056】
もう1つの特別な具体例によれば、本発明は、試料中のニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii)を検出するための方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:28、29、30、31および32により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がのP. cariniiの存在を示すものである。
【0057】
好ましい具体例によれば、上記検出方法に使用されるオリゴヌクレオチドプローブは固体支持体に固定化される。
特に好ましい具体例によれば、本発明は、上記試料中の真菌病原体の検出および同定のための方法を提供し、該方法によれば工程(ii)の増幅は必須であり、該方法には検出すべき核酸の標識が含まれる。
【0058】
特に有利な具体例によれば、本発明は、単一のアッセイにおいて少なくとも2種の真菌病原体種を同時に検出および分別する方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する可能性のある真菌病原体の核酸を遊離させ、単離し、そして/あるいは濃縮すること、
(ii)少なくとも1の真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いて該核酸の内部転写スペーサー領域(ITS)を増幅すること、
(iii)工程(i)または(ii)の核酸を、下記の種特異的オリゴヌクレオチドプローブ:
GTCTAAACTTACAACCAATT (配列番号: 1)、
TGTCACACCAGATTATTACT (配列番号: 2)、
TATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 3)、
GTAGGCCTTCTATATGGG (配列番号: 4)、
TGCCAGAGATTAAACTCAAC (配列番号: 5)、
GGTTATAACTAAACCAAACT (配列番号: 6)、
TTTTCCCTATGAACTACTTC (配列番号: 7)、
AGAGCTCGTCTCTCCAGT (配列番号: 8)、
GGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 9)、
GAGCTCGGAGAGAGACATC (配列番号: 10)、
TAGTGGTATAAGGCGGAGAT (配列番号: 11)、
CTAAGGCGGTCTCTGGC (配列番号: 12)、
GTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 13)、
CTTCTAAATGTAATGAATGT (配列番号: 14)、
CATCTACACCTGTGAACTGT (配列番号: 15)、
GGACAGTAGAGAATATTGG (配列番号: 16)、
GGACTTGGATTTGGGTGT (配列番号: 17)、
GTTTACTGTACCTTAGTTGCT (配列番号: 18)、
CCGCCATTCATGGCC (配列番号: 19)、
CGGGGGCTCTCAGCC (配列番号: 20)、
CCTCTCGGGGGCGAGCC (配列番号: 21)、
CCGAGTGCGGCTGCCTC (配列番号: 22)、
CCGAGTGCGGGCTGC (配列番号: 23)、
GAGCCTGAATACCAAATCAG (配列番号: 24)、
GAGCCTGAATACAAATCAG (配列番号: 25)、
GTTGATTATCGTAATCAGT (配列番号: 26)、
GCGACACCCAACTTTATT (配列番号: 27)、
ATGCTAGTCTGAAATTCAAAAG (配列番号: 28)、
GGATTGGGCTTTGCAAATATT (配列番号: 29)、
TTCGCTGGGAAAGAAGG (配列番号: 30)、
GCTTGCCTCGCCAAAGGTG (配列番号: 31)、
TAAATTGAATTTCAGTTTTAGAATT (配列番号: 32)、
TTGTCACACCAGATTATTACTT (配列番号: 33)、
GGTTTATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 34)、
GGTATCAACTTGTCACACCAGATT (配列番号: 35)、
GGTTATAACTAAACCAAACTTTTT (配列番号: 36)、
GGGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 37)、
GGTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 38)、
CATCTACACCTGTGAACTGTTT (配列番号: 39)、
CCGACACCCAACTTTATTTTT (配列番号: 40)、
GTTGATTATCGTAATCAGTT (配列番号: 41)、
GAACTCTGTCTGATCTAGT (配列番号: 42)、
GTCTGAATATAAAATCAGTCA (配列番号: 43)、
あるいはヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響しない1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている該プローブの変種、
あるいはTがUにより置換されている該プローブのRNA同等物、
あるいは該プローブの相補的核酸
のうちの少なくとも2つとハイブリダイゼーションさせること、
ここに上記プローブは固体支持体の特定位置に固定化されており、
(iv)工程(iii)において形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
(v)固体支持体上のハイブリダイゼーションシグナルの位置により試料中に存在する種を同定すること
を含む。
【0059】
上記具体例において、本発明のプローブは固体支持体の特定位置、例えば、膜片上の別個の平行線またはスポットとして、あるいはマイクロタイタープレートの異なるウェル中に固定化される。各位置は一定量の少なくとも1の種特異的プローブを含み、それゆえ、「種特異的位置」とみなすことができる。必要ならば、同じ種にハイブリダイゼーションするいくつかのプローブを1つの位置において組合せてもよい。固体支持体上で得られたハイブリダイゼーションシグナルの位置を知ることにより、試料中に存在する真菌種を同定することができる(上記方法の工程(v))。
【0060】
好ましい具体例によれば、実施例部分に示されるように、プローブの末端部分の1つに結合されたポリTテイルの非共有結合を介して固体支持体へのプローブの固定化を行う。酵素的テイリングを行う場合、ポリTテイルは3’末端に付加される。合成テイリング(SGS)を行う場合、通常にはポリTテイルは5’末端に付加される。両タイプのテイリングを本発明のプローブに適用することができる。異なるタイプのテイリングがプローブの異なるハイブリダイゼーション挙動を生じさせる場合には、オリゴヌクレオチド配列をわずかに変更すべきである。かかるわずかな変更の例は表1に記載されており、表中において特定タイプのプローブが2回出現してもよく、例えば、Calb2(配列番号:2)およびCalb2(SGS)(配列番号:33)であり、前者のプローブは3’ポリTテイルを伴って機能的であり、後者のプローブは5’ポリTテイルを伴って機能的である。
【0061】
もう1つの具体例によれば、本発明は、配列番号:1から43までのいずれかの配列により示されるヌクレオチド配列を有する単離オリゴヌクレオチド分子、または該プローブの変種(該変種はヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっているが、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動には影響していない)、あるいは該プローブのRNA同等物(TがUにより置換されている)あるいは該プローブの相補的核酸も提供する。
【0062】
本発明の好ましい核酸は配列番号:1−43のいずれかにより示されるヌクレオチド配列からなる。上記のごとく、5’および/または3’末端部分における1または2個のヌクレオチドの付加および/または欠失は機能的に同等の分子を生じさせるものであり、それらも本発明に包含される。そのうえ、上述のごとく、核酸プローブを修飾して固定を容易にし、あるいはハイブリダイゼーション効率を改善することが望ましいかもしれない(例えば、ホモポリマーテイリング、異なる反応性基とのカップリング...)。かかる修飾された核酸分子も本発明の一部である。
【0063】
より詳細には、本発明は、下記の真菌病原体種の1つを検出する際の種特異的プライマーまたはプローブとして使用される上記の単離オリゴヌクレオチド分子を提供する:Candida albicans、Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Candida kefyr、Candida krusei、Candida glabrata、Candida dubliniensis、Aspergillus flavus、Aspergillus versicolor、Aspergillus nidulans、Aspergillus fumigatus、Cryptococcus neoformans または Pneumocystis carinii。
【0064】
また本発明は、試料が血液試料であり、工程(i)が
−溶解バッファー(10 mM Tris-HCl, pH 7.5、10 mM EDTA、50mM NaCl)とともに血液試料をインキュベーションし、ついで遠心分離し、上清を除去すること、次いで
再懸濁された細胞ペレットを−ガラスビーズの存在下においてボルテックスにかけること
を含むものである上記方法を提供する。
上記の試料前処理は実施例部分においてさらに説明され、広範な真菌種に適用可能であることが示される。
【0065】
図面のリジェンド
図1.全ITS、ITS−1またはITS−2アンプリコンの、種特異的プローブを有するLiPA片へのハイブリダイゼーション結果
レーン:
レーン 1: PCR ブランク (すなわち、このレーンにはPCRアンプリコンを添加しない)
レーン 2,3 : C. albicans (2: 全ITS, 3: ITS-1)
レーン 4,5 : C. parapsilosis (4: 全ITS, 5: ITS-1)
レーン 6,7 : C. glabrata (6: 全ITS, 7: ITS-1)
レーン 8,9 : C. tropicalis (8: 全ITS, 9: ITS-1)
レーン 10,11 : C. krusei (10: 全ITS, 11: ITS-1)
レーン 12,13 : C. dubliniensis (12: 全ITS, 13: ITS-2)
レーン 14,15 : Cr. neoformans (14: 全ITS, 15: ITS-1)
レーン 16,17 : A. fumigatus (16: 全ITS, 17: ITS-1)
レーン 18 : A. nidulans (全ITS)
レーン 19 : A. flavus (全ITS)
レーン 20 : オリゴ-dA-ビオチン (固定化プローブの(ポリ-T)テイルにハイブリダイゼーションする)

プローブ線:
発色反応対照線 (異種ビオチン化オリゴヌクレオチド)
列 1: Calb1
列 2: Calb2
列 3: Calb3
列 4: Cpara2
列 5: Cglab
列 6: Ctrop
列 7: Ckrus
列 8: Cdub1
列 9: Cdub2
列 10: Crneo2
列 11: Crneo4
列 12: Afum1
列 13: Afum2
列 14: Anid1
列 15: Afla1
列 16: Aver
列 17: Aver
【0066】
図2:臨床単離体に関するLiPA評価
レーン 1-15: 異なる臨床単離体, 以下のように同定
レーン 1-4, 6, 7, 10: C. albicans
レーン 5: C. glabrata
レーン 8, 9, 11, 12, 14, 15: A. fumigatus
レーン 13: A. flavus
: 図1参照
【0067】
【表1】

【表2】

【0068】
【表3】

【表4】

【0069】
実施例
1.オリゴヌクレオチドプローブの特異性試験
1.1.核酸抽出
真菌細胞の物理的破壊、次いでゲノムDNAからの細胞残さの分離に基づく迅速抽出法を、酵母の単一コロニーからのDNAの製造に使用した(Roberts, 1997)。糸状菌に関しては、ビーズによる破壊およびGuSCNバッファーでの溶解の組合せ、次いで、シリカ上でのDNAの捕捉に基づくより丹念な試料調製法を用いた。
【0070】
1.2.PCR増幅
20−50μgのゲノムDNAまたは上記迅速抽出法により抽出された5μlのDNAをPCR反応に供した。PCR反応物は100μlあたり200 μM の各 dNTP、1 x Taq バッファー、3 mM MgCl2、 15% グリセロール、40 pmol の各ビオチン化プライマーr (全ITS領域の増幅にはITS5およびITS4、ITS-1のみの増幅にはITS5およびITS2)、1Uウラシル Nグリコシラーゼ ならびに 2.5 U Taq ポリメラーゼを含んでいた。PCRサーマルサイクリング条件は下記のとおり:95℃ で 10 分 を 1 サイクル (ホットスタート)、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で2分を30サイクル、次いで、72℃で10分を1サイクルの最終伸長。
【0071】
1.3.LiPA片の製造
標準バッファー中でターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Pharmacia)を用いて3’末端にポリTテイルを合成プローブに酵素的に付加した。1時間インキュベーション後、反応を停止させ、テイルを付加したプローブを沈殿させ、氷冷エタノールで洗浄した。本発明のオリゴヌクレオチドプローブ配列を表1に示す。
化学合成によりテイリングを行う場合には、ポリTテイルはオリゴヌクレオチドプローブの5’末端に付加される。化学的にテイル付加されたプローブは、酵素的にテイル付加されたプローブとは異なり、プローブ配列を少し修飾(末端部分の一方または両方における少しのヌクレオチドの欠失および/または付加)して、同等のハイブリダイゼーション特性を示すようにする必要があるかもしれない。化学的にテイル付加された修飾プローブは、表1において伸長「(SGS)」を用いて表示され、修飾がヌクレオチドの付加である場合には、それが太字で示される。
プローブを、それぞれの濃度で6xSSCに溶解させ、膜片上に横線として適用する。ビオチン化DNAを横に並べて適用し、陽性対照とした。80℃で12時間ベイキングすることによりオリゴヌクレオチドを膜に固定した。次いで、膜を4mmの片にスライスした。
【0072】
1.4.LiPA試験の品質
同体積(5ないし10μl)のビオチン化PCRフラグメントおよび変性溶液(400 mM NaOH/10mM EDTA)を試験容器中で混合し、室温で5分間インキュベーションした。次いで、2mlの50に前もって温めておいた溶液(2x SSC/ 0.1% SDS)を添加し、次いで、1の試験容器につき1の片を入れた。密閉振盪ウォーターバス中50℃で1時間ハイブリダイゼーションを行った。片を2mlのストリンジェント溶液(2x SSC/ 0.1% SDS)で室温にて20秒間2回洗浄し、さらに50℃で15分間1回洗浄した。ストリンジェントな洗浄後、片を2mlのInnogeneticsの標準 Rinse Solution (RS)で2回すすいだ。回転プラットフォーム上でアルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン抱合体とともに片をインキュベーションし、室温において標準Conjugate Solution (CS)で3分間希釈した。次いで、片を2mlのRSで2回、そして標準Substrate Buffer (SB)で1回洗浄し、PCIPおよびNBTをSBに添加することにより発色反応を開始させた。室温において30分後、発色化合物を蒸留水により置きかえることにより発色反応を停止させた。乾燥後即座に片を解釈した。上記の完全な手順を標準的なInno-LiPAオートメーションデバイス(Auto-LiPA, Innogenetics N.V., Zwijnaarde, Belgium)により置きかえることもできる。すべての上記バッファー(RS, CS, SB)をInnogenetics N.V. (Zwijnaarde, Belgium)から得てもよい。
【0073】
1.5.ハイブリダイゼーションの結果
表1のプローブのセットに関する特定のハイブリダイゼーション結果を表2にまとめる。使用したハイブリダイゼーション条件下において個々の真菌種に属するすべての株が陽性のハイブリダイゼーション(+)を示し、試験した他の真菌種が種特異的プローブと交差反応を示さない場合に種特異性が生じる。
図1は、LiPA片の一例を示す。レーン3、9、11、15および17をそれぞれレーン2、8、10、14および16と比較することにより、全ITS領域の増幅よりもITS−1領域のみを増幅した場合のほうが検出感度が高いことが明らかである。
【0074】
2.PCR増幅に関する感度試験
2.1.核酸の抽出
文献に記載された大規模DNA抽出法(Holmes et al. 1994, Nho et al. 1997, Weig et al. 1997)に少し変更を加えて、カンジダ、クリプトコッカスおよびアスペルギルス種からゲノムDNAを抽出し、長期保存に適した高純度DNAを得た。
【0075】
2.2.感度試験
系列希釈されたゲノムDNA(50または100ngから50または100fgまで)に関して、異なるプライマーセット(ITS−1領域のみを増幅するITS5/ITS2あるいは全ITS領域を増幅するITS5/ITS4のいずれかの組合せ)を用いて増幅実験を行った。得られたアンプリコンを臭化エチジウム染色ゲル上で可視化し、適当なプローブを含むLiPA片にハイブリダイゼーションさせた。
2.3.結果
表3は、下記の生物から単離されたゲノムDNA系列希釈物を用いて得られた検出限界をまとめたものである:C. albicans、C. neoformans および A. fumigatus。
【0076】
【表5】

【0077】
アンプリコンを臭化エチジウム染色アガロースゲル上で可視化した場合に、全ITS領域の増幅はより良好な感度を示す(A. fumigatusを除く)。小さいアンプリコンの不十分な染色によりこの現象を説明できるであろう。
LiPA片上に固定化されたプローブにハイブリダイゼーションされた場合(例えば、図1参照)、ITS−1領域のアンプリコン(より小型のアンプリコン)は全ITSの増幅と比較してより高感度な検出限界を示すことが明らかである。LiPAは100fgまでのC. albicans DNA、1pgまでのCryptococcus neoformans DNA、および50fgまでのA. fumigatus DNAを特異的に検出することができた。
【0078】
3.スパイクされた痰試料における感度試験
3.1.核酸の抽出
C. albicans細胞希釈物(10−1個/ml)または量を減少させつつA. fumigatus菌糸希釈物(定量不可能)を200μlの痰標本にスパイクした。Boomら(1990年)により記載された方法を修飾して用いて真菌DNAをこれらの痰試料から単離した。15種の痰標本を処理するのに合計2時間を要した。
【0079】
3.2.増幅
5μlの抽出されたDNAをPCR(100μl)における標的物質として使用した。PCR反応を上で説明したように行った。ITS5+ITS2のプライマー組合せを用いてITS−1増幅を行い、ITS5およびITS4プライマーを用いて全ITS領域の増幅を行った。
3.3.結果
得られたアンプリコンのLiPAハイブリダイゼーション後、C. albicansに関して10−100個/ml痰の検出限界が得られた。A. fumigatus菌糸をスパイクされた痰標本のアンプリコンは、A. fumigatus菌糸の最低レベルの検出を示した。
【0080】
4.スパイクされた血液試料における感度試験
血液からの真菌DNAの抽出のための異なる方法の評価がすでに報告されている(Loffler et al. 1997)。評価された大部分の方法は、いくつかの変更点を伴った既知の酵素を用いるアプローチを含む。しかしながら、これらの方法は一貫して高い品質のDNAを得ることができず、実験間で検出限界が様々となってしまう(データ示さず)。これらの方法を用いてA. fumigatusから抽出されたDNAは、抽出DNAの高感度PCR増幅を行うためには「ホットスタート」PCRアプローチが必要であることに注意すべきであった(データ示さず)。結果として、以下に説明するように、血液試料用の新たな試料の前処理方法が本発明により開発された。
【0081】
4.1.核酸の抽出
200μl、1mlおよび5mlの血液試料に、濃度を減少させつつC. albicans細胞(10−10個)を接種した。接種された血液試料を前処理して溶解させ、赤血球を除去した。200μlの血液試料を800μlの溶解バッファー(10 mM Tris-HCl, [pH 7.5], 10 mM EDTA, 50 mM NaCl)中に室温にて10分間溶解させ、13000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、ペレットを100μlの滅菌HO中に再懸濁した。1mlおよび5mlの血液試料を3mlの溶解バッファー中で溶解させ、2000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、ペレットを100μlの滅菌HO中に再懸濁した。ガラスビーズ(0.2% SDS中に保存された0.5mmジルコニウムガラスビーズ)を再懸濁ペレットに添加し、mini-bead beater中、最高速度で190秒間試料をボルテックスして、酵母細胞を機械的に破壊した。次いで、例えばBoom et al. (1999)により記載された方法あるいはthe QIAmp Tissue kit (Qiagen, Los Angeles, California)のごとき既知方法を用いてDNAを抽出した。
これと同じ方法が、アスペルギルスおよびクリプトコッカスsppのごとき他の真菌種にも適用可能であることが証明された。
【0082】
4.2.増幅
血液試料から抽出された20μlのDNA(5mlの血液試料から抽出されたDNAに関して、20μlの1/10希釈物がPCR反応系に含まれた)を、最終濃度 0.25 mM のデオキシヌクレオチドトリホスフェート (DU/dNTP's[2:1])、1x 反応バッファー (Promega, USA)、3 mM MgCl2、1 ユニットのウラシルDNAグリコシラーゼ (Longo et al. 1990; Roche-Boehringer Mannheim, Germany)、それぞれ40 pmol の順方向 ITS5 プライマー (5’−GAAAGTAAAAGTCGTAACAAGG−3’) および逆方向プライマー ITS4 (5’−TCCTCCGCTTATTGATATGC−3’)、2.5 ユニットの Taq ポリメラーゼ (Promega, USA)(ヌクレアーゼ不含水(Sigma-Aldrich Ltd, UK)中最終体積100μlとした)を含有するPCR反応系に添加して、100μlの体積中においてITS領域のPCR増幅を行った。
下記のサイクリング条件を用いてTouchdowTM Thermocycler (Hybaid, UK)においてPCR増幅を行った:37℃で10分を1サイクル、次いで、94℃で2分を1サイクル、次いで、94℃で30秒のDNA変性を40サイクル、55℃で30秒のプライマーアニーリング、次いで、72℃で2分のDNA伸長、そして72℃で10分の最終伸長。上記のごとく抽出された50ngのC.albicansDNAをPCR反応における陽性対照とし、各PCR反応に鋳型を含まない陰性対照を付した。
【0083】
4.3.LiPAハイブリダイゼーション結果および試験性能の評価
得られたアンプリコンのLiPAハイブリダイゼーション後、Candida albicansに関して2−10個/ml血液の検出限界が一貫して得られた(データ示さず)。PCR−LiPAおよびそれに関連した血液試料からの真菌DNAの抽出を1日で行うことができるが、方法自体は、特別な機器を必要としないので、すでにPCRを使用している臨床試験の研究室に取り入れることができる。
血中のカンジダを検出するためのPCRに基づくアッセイに関する初期の報告は、半−ネステッド法(Rand et al. 1994)を記載し、あるいはPCR後の検出のための煩わしい研究室的手法(Holmes et al., 1994; Jordan et al. 1994)に依存するものであり、それらは大規模な試料スクリーニングには適さない。より最近の報告には、血中の真菌病原体を検出するための多くの異なるアプローチが記載されている。これらは、特定の感染性物質の同定を行わないが非放射性汎真菌DNAプローブを用いたハイブリダイゼーション後に4個/mlの検出感度である広スペクトルのPCRに基づくアプローチを包含する(Van Burik et al., 1998)。その著者らは、骨髄移植患者のグループから得た試料中の真菌感染の検出にこのアッセイをうまく適用したことを記載している。最も臨床的に重要な5種のカンジダ種を検出するためのマイクロタイタープレートに基づくアッセイも記載されており(Shin-Ichi et al. 1995)、その著者らは200μlの血液中2個の細胞という検出感度を報告しているが、そのアッセイ法は、PCR後にマイクロ遠心管中でアンプリコンを種特異的プローブにハイブリダイゼーションさせ、次いで、検出工程のためにマイクロタイタープレートに移すので、少し煩雑である。より最近の刊行物(Hee Shin et al. 1999)には、異なる蛍光タグで標識されたDNAプローブを用いることによる1本の反応試験管中で3種までのカンジダ種を検出するための非常にエレガントなアッセイが記載されている。このアッセイは2工程系であり、PCR増幅およびPCR後の検出が1本のチューブ中で行われ、アッセイ時間が7時間から5時間に短縮されている。その著者らは、真菌感染の存在が陽性である血液培養ビン中のカンジダの検出への、当該アッセイ法の適用について記載している。
1つのLiPA膜は広範な異なるカンジダ種の検出用のDNAプローブを含むので、本発明に記載されたPCR−LiPAアッセイもやはり多パラメーター試験である。それゆえ、それは混合カンジダ感染を検出し同定する潜在能力を有する。そのうえ、血液および/または呼吸器標本中のカンジダ、クリプトコッカスおよびアスペルギルスsspから真菌DNAを調製するための普遍的アプローチが上記のごとく開発された(4.1参照)。
【0084】
5.臨床単離体の試験
上記方法を用いて、臨床単離体の培養物に対して真菌DNA抽出を行った。上記のようにPCR反応を行い、全ITS増幅にはプライマーコンビネーションITS5+ITS4を使用した。
100個の臨床単離体に関して真菌病原体用のLiPA片を評価した。75個の二形性酵母臨床単離体から全ITS領域を増幅し、次いで、単一コロニーからの迅速調製法を適用した(Roberts et al. 1997)。25個の糸状菌臨床単離体から全ITS領域を増幅し、次いで、Boomらの方法を改変して用いてDNAを調製した。
得られたPCR生成物のLiPA片へのハイブリダイゼーションにより、2個の単離体がC. parapsilosisと、2個の単離体がC. glabrataと、15個の単離体がA. fumigatusと、3個の単離体がA. nidulansと同定され、5個が未同定単離体(=LiPA片上に対応プローブがないが、真菌ユニバーサルPCR反応の間にアンプリコンが得られた他の真菌種)であった。残りのすべての単離体はC. albicansと同定され、これらは生化学的診断キット“Murex C.albicans” (Murex Diagnostica)を用いて確認された。15個の臨床単離体に関して得られたLiPAハイブリダイゼーション結果の例を図2に示す。
上記結果は、本発明のプローブが元々検出できるように設計された研究室の真菌株の検出に適用可能であるのみならず、それらが高い特異性および感度をもって臨床的に存在する真菌種の株を検出することを、説得力をもって示す。それゆえ、本発明に記載された方法は、所望ならば1のアッセイにおいて臨床試料中の真菌病原体の検出を大幅に容易化させる。
【0085】
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【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】全ITS、ITS−1またはITS−2アンプリコンの、種特異的プローブを有するLiPA片へのハイブリダイゼーション結果を示す。レーン: レーン 1: PCR ブランク (すなわち、このレーンにはPCRアンプリコンを添加しない)レーン 2,3 : C. albicans (2: 全 ITS, 3: ITS-1)レーン 4,5 : C. parapsilosis (4: 全 ITS, 5: ITS-1)レーン 6,7 : C. glabrata (6: 全 ITS, 7: ITS-1)レーン 8,9 : C. tropicalis (8: 全 ITS, 9: ITS-1)レーン 10,11 : C. krusei (10: 全 ITS, 11: ITS-1)レーン 12,13 : C. dubliniensis (12: 全 ITS, 13: ITS-2)レーン 14,15 : Cr. neoformans (14: 全 ITS, 15: ITS-1)レーン 16,17 : A. fumigatus (16: 全 ITS, 17: ITS-1)レーン 18 : A. nidulans (全 ITS)レーン 19 : A. flavus (全 ITS)レーン 20 : オリゴ-dA-ビオチン (固定化プローブの(poly-T)テイルにハイブリダイゼーションする)プローブ線: 発色反応対照線 (異種ビオチン化オリゴヌクレオチド)列 1: Calb1列 2: Calb2列 3: Calb3列 4: Cpara2列 5: Cglab列 6: Ctrop列 7: Ckrus列 8: Cdub1列 9: Cdub2列 10: Crneo2列 11: Crneo4列 12: Afum1列 13: Afum2列 14: Anid1列 15: Afla1列 16: Aver列 17: Aver
【図2】臨床単離体に関するLiPA評価を示す。レーン 1-15: 異なる臨床単離体, 以下のように同定 レーン 1-4, 6, 7, 10: C. albicansレーン 5: C. glabrataレーン 8, 9, 11, 12, 14, 15: A. fumigatusレーン 13: A. flavus: 図1参照

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の真菌病原体種を検出し同定する方法であって、少なくとも下記工程を含む方法:
(i)試料中に存在する可能性のある真菌病原体の核酸を遊離させ、単離し、そして/あるいは濃縮すること、
(ii)必要ならば、該核酸の内部転写スペーサー領域(ITS)を、少なくとも1の真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いて増幅すること、
(iii)工程(i)または(ii)の核酸を、下記の種特異的プローブ:
GTCTAAACTTACAACCAATT (配列番号: 1)、
TGTCACACCAGATTATTACT (配列番号: 2)、
TATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 3)、
GTAGGCCTTCTATATGGG (配列番号: 4)、
TGCCAGAGATTAAACTCAAC (配列番号: 5)、
GGTTATAACTAAACCAAACT (配列番号: 6)、
TTTTCCCTATGAACTACTTC (配列番号: 7)、
AGAGCTCGTCTCTCCAGT (配列番号: 8)、
GGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 9)、
GAGCTCGGAGAGAGACATC (配列番号: 10)、
TAGTGGTATAAGGCGGAGAT (配列番号: 11)、
CTAAGGCGGTCTCTGGC (配列番号: 12)、
GTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 13)、
CTTCTAAATGTAATGAATGT (配列番号: 14)、
CATCTACACCTGTGAACTGT (配列番号: 15)、
GGACAGTAGAGAATATTGG (配列番号: 16)、
GGACTTGGATTTGGGTGT (配列番号: 17)、
GTTTACTGTACCTTAGTTGCT (配列番号: 18)、
CCGCCATTCATGGCC (配列番号: 19)、
CGGGGGCTCTCAGCC (配列番号: 20)、
CCTCTCGGGGGCGAGCC (配列番号: 21)、
CCGAGTGCGGCTGCCTC (配列番号: 22)、
CCGAGTGCGGGCTGC (配列番号: 23)、
GAGCCTGAATACCAAATCAG (配列番号: 24)、
GAGCCTGAATACAAATCAG (配列番号: 25)、
GTTGATTATCGTAATCAGT (配列番号: 26)、
GCGACACCCAACTTTATT (配列番号: 27)、
ATGCTAGTCTGAAATTCAAAAG (配列番号: 28)、
GGATTGGGCTTTGCAAATATT (配列番号: 29)、
TTCGCTGGGAAAGAAGG (配列番号: 30)、
GCTTGCCTCGCCAAAGGTG (配列番号: 31)、
TAAATTGAATTTCAGTTTTAGAATT (配列番号: 32)、
TTGTCACACCAGATTATTACTT (配列番号: 33)、
GGTTTATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 34)、
GGTATCAACTTGTCACACCAGATT (配列番号: 35)、
GGTTATAACTAAACCAAACTTTTT (配列番号: 36)、
GGGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 37)、
GGTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 38)、
CATCTACACCTGTGAACTGTTT (配列番号: 39)、
CCGACACCCAACTTTATTTTT (配列番号: 40)、
GTTGATTATCGTAATCAGTT (配列番号: 41)、
GAACTCTGTCTGATCTAGT (配列番号: 42)、
GTCTGAATATAAAATCAGTCA (配列番号: 43)、
あるいはヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響しない1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている該プローブの変種、
あるいはTがUにより置換されている該プローブのRNA同等物、
あるいは該プローブの相補的核酸
のうちの少なくとも1つにハイブリダイゼーションさせること、次いで
(iv)工程(iii)で形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること。
【請求項2】
工程(ii)のITS領域がITS−1領域に限られ、工程(iii)のプローブが下記のプローブのセットから選択されるものである請求項1記載の方法:
GTCTAAACTTACAACCAATT (配列番号: 1)、
TGTCACACCAGATTATTACT (配列番号: 2)、
TATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 3)、
GTAGGCCTTCTATATGGG (配列番号: 4)、
TGCCAGAGATTAAACTCAAC (配列番号: 5)、
GGTTATAACTAAACCAAACT (配列番号: 6)、
TTTTCCCTATGAACTACTTC (配列番号: 7)、
AGAGCTCGTCTCTCCAGT (配列番号: 8)、
GGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 9)、
GAGCTCGGAGAGAGACATC (配列番号: 10)、
TAGTGGTATAAGGCGGAGAT (配列番号: 11)、
CTAAGGCGGTCTCTGGC (配列番号: 12)、
GTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 13)、
CTTCTAAATGTAATGAATGT (配列番号: 14)、
CATCTACACCTGTGAACTGT (配列番号: 15)、
GGACAGTAGAGAATATTGG (配列番号: 16)、
GGACTTGGATTTGGGTGT (配列番号: 17)、
GTTTACTGTACCTTAGTTGCT (配列番号: 18)、
CCGCCATTCATGGCC (配列番号: 19)、
CGGGGGCTCTCAGCC (配列番号: 20)、
CCTCTCGGGGGCGAGCC (配列番号: 21)、
CCGAGTGCGGCTGCCTC (配列番号: 22)、
CCGAGTGCGGGCTGC (配列番号: 23)、
GAGCCTGAATACCAAATCAG (配列番号: 24)、
GAGCCTGAATACAAATCAG (配列番号: 25)、
GTTGATTATCGTAATCAGT (配列番号: 26)、
GCGACACCCAACTTTATT (配列番号: 27)、
ATGCTAGTCTGAAATTCAAAAG (配列番号: 28)、
GGATTGGGCTTTGCAAATATT (配列番号: 29)、
TTCGCTGGGAAAGAAGG (配列番号: 30)、
GCTTGCCTCGCCAAAGGTG (配列番号: 31)、
TAAATTGAATTTCAGTTTTAGAATT (配列番号: 32)、
TTGTCACACCAGATTATTACTT (配列番号: 33)、
GGTTTATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 34)、
GGTATCAACTTGTCACACCAGATT (配列番号: 35)、
GGTTATAACTAAACCAAACTTTTT (配列番号: 36)、
GGGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 37)、
GGTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 38)、
CATCTACACCTGTGAACTGTTT (配列番号: 39)、
CCGACACCCAACTTTATTTTT (配列番号: 40)、
GTTGATTATCGTAATCAGTT (配列番号: 41)、
GAACTCTGTCTGATCTAGT (配列番号: 42)、
GTCTGAATATAAAATCAGTCA (配列番号: 43)、
あるいはヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響しない1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている該プローブの変種、
あるいはTがUにより置換されている該プローブのRNA同等物、
あるいは該プローブの相補的核酸。
【請求項3】
該真菌ユニバーサルプライマーペアーが下記のプラーマーペアーの群から選択されるものである請求項1記載の方法:
ITS5: GGAAGTAAAAGTCGTAACAAGG および
ITS4: TCCTCCGCTTATTGATATGC、

ITS5: GGAAGTAAAAGTCGTAACAAGG および
ITS2: GCTGCGTTCTTCATCGATGC、

ITS1: TCCGTAGGTGAACCTGCGG および
ITS4: TCCTCCGCTTATTGATATGC、

ITS1: TCCGTAGGTGAACCTGCGG および
ITS2: GCTGCGTTCTTCATCGATGC、

ITS3: GCATCGATGAAGAACGCAGC および
ITS4: TCCTCCGCTTATTGATATGC。
【請求項4】
該真菌病原体がカンジダ種であり、工程(iii)のプローブが、C. albicans用には配列番号:1、2および3、C. parapsilosis用には配列番号:4および5、C. tropicalis用には配列番号:6、C. kefyr用には配列番号:7および8、C. crusei用には配列番号:9、C. glabrata用には配列番号:10、ならびにC. dubliniensis用には配列番号:11、12および13のなかから選択されるものである、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
試料中のCandida albicansを検出するための請求項4記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:1、2、3、33、34および35により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. albicansの存在を示すものである方法。
【請求項6】
試料中のCandida parapsilosisを検出するための請求項4記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:4および5により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. parapsilosisの存在を示すものである方法。
【請求項7】
試料中のCandida tropicalisを検出するための請求項4記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:6および36により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. tropicalisの存在を示すものである方法。
【請求項8】
試料中のCandida kefyrを検出するための請求項4の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:7および8により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. kefyrの存在を示すものである方法。
【請求項9】
試料中のCandida kruseiを検出するための請求項4記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:9および37により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. kruseiの存在を示すものである方法。
【請求項10】
試料中のCandida glabrataを検出するための請求項4記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:10により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. glabrataの存在を示すものである方法。
【請求項11】
試料中のCandida dubliniensisを検出するための請求項4記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:11、12、13および38により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がC. dubliniensisの存在を示すものである方法。
【請求項12】
該真菌病原体がアスペルギルス種であり、工程(iii)のプローブが、A. flavus用には配列番号:18、19および20、A. versicolor用には配列番号:21、A. nidulans用には配列番号:22、23、24および25、ならびにA. fumigatus用には配列番号:26および27のなかから選択されるものである、請求項1ないし3記載の方法。
【請求項13】
試料中のAspergillus flavusを検出するための請求項12記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:18、19、20および42により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. flavusの存在を示すものである方法。
【請求項14】
試料中のAspergillus versicolorを検出するための請求項12記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:21および43により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. versicolorの存在を示すものである方法。
【請求項15】
試料中のAspergillus nidulansを検出するための請求項12記載の方法を提供し、該方法は、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:22、23、24および25により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. nidulansの存在を示すものである方法。
【請求項16】
試料中のAspergillus fumigatusを検出するための請求項12記載の方法であって、
(i)試料中に存在する核酸を、配列番号:26、27、40および41により示されるプローブの少なくとも1つとハイブリダイゼーションさせること、ついで
(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること
を含み、該ハイブリダイゼーション複合体の存在がA. fumigatusの存在を示すものである方法。
【請求項17】
該真菌病原体がCryptococcus neoformansであり、工程(iii)のプローブが配列番号:14、15、16および17のなかから選択されるものである、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
該真菌病原体がPneumocystis cariniiであり、工程(iii)のプローブが配列番号:28、29、30、31および32のなかから選択されるものである、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
工程(iii)のプローブが固体支持体に固定化される請求項1ないし18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
単一のアッセイにおいて少なくとも2種の真菌病原体種を同時に検出し分別する方法であって、
(i)試料中に存在する可能性のある真菌病原体の核酸を遊離させ、単離し、そして/あるいは濃縮すること、
(ii)少なくとも1の真菌ユニバーサルプライマーペアーを用いて該核酸の内部転写スペーサー領域(ITS)を増幅すること、
(iii)工程(i)または(ii)の核酸を、下記の種特異的オリゴヌクレオチドプローブ:
GTCTAAACTTACAACCAATT (配列番号: 1)、
TGTCACACCAGATTATTACT (配列番号: 2)、
TATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 3)、
GTAGGCCTTCTATATGGG (配列番号: 4)、
TGCCAGAGATTAAACTCAAC (配列番号: 5)、
GGTTATAACTAAACCAAACT (配列番号: 6)、
TTTTCCCTATGAACTACTTC (配列番号: 7)、
AGAGCTCGTCTCTCCAGT (配列番号: 8)、
GGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 9)、
GAGCTCGGAGAGAGACATC (配列番号: 10)、
TAGTGGTATAAGGCGGAGAT (配列番号: 11)、
CTAAGGCGGTCTCTGGC (配列番号: 12)、
GTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 13)、
CTTCTAAATGTAATGAATGT (配列番号: 14)、
CATCTACACCTGTGAACTGT (配列番号: 15)、
GGACAGTAGAGAATATTGG (配列番号: 16)、
GGACTTGGATTTGGGTGT (配列番号: 17)、
GTTTACTGTACCTTAGTTGCT (配列番号: 18)、
CCGCCATTCATGGCC (配列番号: 19)、
CGGGGGCTCTCAGCC (配列番号: 20)、
CCTCTCGGGGGCGAGCC (配列番号: 21)、
CCGAGTGCGGCTGCCTC (配列番号: 22)、
CCGAGTGCGGGCTGC (配列番号: 23)、
GAGCCTGAATACCAAATCAG (配列番号: 24)、
GAGCCTGAATACAAATCAG (配列番号: 25)、
GTTGATTATCGTAATCAGT (配列番号: 26)、
GCGACACCCAACTTTATT (配列番号: 27)、
ATGCTAGTCTGAAATTCAAAAG (配列番号: 28)、
GGATTGGGCTTTGCAAATATT (配列番号: 29)、
TTCGCTGGGAAAGAAGG (配列番号: 30)、
GCTTGCCTCGCCAAAGGTG (配列番号: 31)、
TAAATTGAATTTCAGTTTTAGAATT (配列番号: 32)、
TTGTCACACCAGATTATTACTT (配列番号: 33)、
GGTTTATCAACTTGTCACACCAGA (配列番号: 34)、
GGTATCAACTTGTCACACCAGATT (配列番号: 35)、
GGTTATAACTAAACCAAACTTTTT (配列番号: 36)、
GGGAATATAGCATATAGTCGA (配列番号: 37)、
GGTTTTGTTCTGGACAAACTT (配列番号: 38)、
CATCTACACCTGTGAACTGTTT (配列番号: 39)、
CCGACACCCAACTTTATTTTT (配列番号: 40)、
GTTGATTATCGTAATCAGTT (配列番号: 41)、
GAACTCTGTCTGATCTAGT (配列番号: 42)、
GTCTGAATATAAAATCAGTCA (配列番号: 43)、
あるいはヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における、プローブの種特異的ハイブリダイゼーション挙動に影響しない1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加により上記配列とは異なっている該プローブの変種、
あるいはTがUにより置換されている該プローブのRNA同等物、
あるいは該プローブの相補的核酸
のうちの少なくとも2つとハイブリダイゼーションさせること、
ここに上記プローブは固体支持体の特定位置に固定化されており、
(iv)工程(iii)において形成されたハイブリダイゼーション複合体を検出すること、
(v)固体支持体上のハイブリダイゼーションシグナルの位置により試料中に存在する種を同定すること
を含む方法。
【請求項21】
配列番号:1から43までのいずれかにより示されるヌクレオチド配列または変種配列を有する単離オリゴヌクレオチド分子であって、ここに、前記変種配列は、上記ヌクレオチド配列の5’および/または3’末端部分における1個または2個のヌクレオチドの欠失および/または付加によって、前記配列を含む分子の種特異的ハイブリダイゼーション挙動には影響を与えずに上記配列と異なっている、単離オリゴヌクレオチド分子。
【請求項22】
下記の真菌病原体の1つを検出する際の種特異的プライマーまたはプローブとして使用するための請求項21記載の単離オリゴヌクレオチド分子:Candida albicans、Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Candida kefyr、Candida krusei、Candida glabrata、Candida dubliniensis、Aspergillus flavus、Aspergillus versicolor、Aspergillus nidulans、Aspergillus fumigatus、Cryptococcus neoformans および Pneumocystis carinii。
【請求項23】
試料が血液試料であり、工程(i)が
−溶解バッファー(10 mM Tris-HCl, pH 7.5、10 mM EDTA、50mM NaCl)とともに血液試料をインキュベーションし、次いで、遠心分離し、上清を除去すること、そして
−再懸濁された細胞ペレットをガラスビーズの存在下においてボルテックスにかけること
を含むものである請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−120535(P2012−120535A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−14151(P2012−14151)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2001−500809(P2001−500809)の分割
【原出願日】平成12年5月24日(2000.5.24)
【出願人】(399044160)イノジェネティックス・ナムローゼ・フェンノートシャップ (17)
【氏名又は名称原語表記】INNOGENETICS N.V.
【出願人】(501283645)エンタープライズ・アイルランド(トレイディング・アズ・バイオリサーチ・アイルランド) (1)
【出願人】(506333923)ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ゴルウェイ (5)
【氏名又は名称原語表記】National University of Ireland Galway
【Fターム(参考)】