説明

自動クロマトグラフ装置によるルムブロキナーゼ含有蛋白の製造方法と用途

【課題】高純度で安全性が高いルムブロキナーゼ含有蛋白を提供することを目的とする。
【解決手段】自動クロマトグラフ装置を用いることにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白を高純度で提供する。また、高純度のルムブロキナーゼ含有蛋白を含有することにより、副作用がなく安全性が高い薬剤および機能性食品が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動クロマトグラフ装置によるルムブロキナーゼ含有蛋白の製造方法と用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ミミズ乾燥粉末の製造方法としては、例えば、水による洗浄工程および低温凍結操作による分別工程を含む方法が開示されている(特開平01−47720号公報参照)。
【0003】
しかしながら、原料であるミミズの体表面に付着している土壌細菌、消化管内の排泄糞土、分泌物、大腸菌、一般細菌などを水による洗浄工程のみで取り除くことは難しいのが実情である。また、懸濁液を凍結乾燥により分別する工程のみでは、低分子物質および不純物などを取り除いて有効成分を精密に分離精製することは困難である。
したがって、従来の製造方法で得られるミミズ乾燥粉末は、衛生上の観点から経口服用するには必ずしも満足のいくものとは言えない。また、残留する不純物などによって副作用が引き起こされうることから、安全性の観点からも問題が残る。さらに、不純物などが残留することにより、ミミズ乾燥粉末の長期の安定性にも問題が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−47720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題を解決すべくなされたものであり、洗浄・殺菌・除菌を行うことにより衛生上の問題を解決することを目的とする。また本発明は、不純物を取り除いて有効成分であるルムブロキナーゼ含有蛋白を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の製造方法は、
ミミズをオゾン水で洗浄、殺菌し(前処理工程);
それぞれ10〜50重量%の糖類もしくは塩類またはそれらの混合物を添加し、溶解、均一化して放置し、ミミズの消化管内の土壌、糞土および分泌物を排泄させ、オゾン水で除去、洗浄、殺菌(後工程処理)した後;
ミミズを湿式粉砕し;
均質化された懸濁液を高速遠心分離機にて固液分離した後;
メンブランフィルターで濾過し;
弱アニオンイオン交換カラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、メンブランフィルターで濾過した溶液を分離溶出させてルムブロキナーゼ含有蛋白の活性部分を分取し;
透析分離装置を用いて、得られた活性部分溶液を脱塩、濃縮した後;
濾過膜除菌装置を用いて細菌を除去し;
除菌された精製溶液を真空凍結乾燥装置または噴霧乾燥機を用いて乾燥させることにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白を高純度で得ることを特徴とする。
【0007】
本発明の薬剤および機能性食品は、分子量が23,000〜50,000であり、酵素活性が14,000〜28,000IU/mgである、本発明の製造方法により得られるルムブロキナーゼ含有蛋白を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の薬剤および機能性食品は、本発明の製造方法により得られるルムブロキナーゼ含有蛋白を含有することを特徴とし、脳梗塞、心筋梗塞、血小板凝集率の低下、脳卒中、脳血栓、眼底血管血栓、虚血性脳血管障害、深部静脈血栓症、四肢動脈血栓症、塞栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症、冠動脈血栓症、脳血栓症、心筋梗塞、急性心不全、卒中発作の治療、改善、予防、ならびに生体内の線溶系、高脂血症、血流の指標となる数値の改善、血管性痴呆症などに適用されることを特徴とする。
【0009】
本発明の製造方法はまた、前記糖類が単糖、多糖および複合多糖から選択され、前記塩類が塩化ナトリウムおよび塩化カリウムから選択されることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の製造方法は、前記自動クロマトグラフ装置がイオン交換クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーであることを特徴とする。
【0011】
また本発明の製造方法は、前記脱塩・濃縮する工程において、溶液の導電率≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩終了として脱塩濃縮液を得、この脱塩濃縮液を0.1〜0.2μmのメンブランフィルターを装填した装置を用いて除菌処理することにより高純度濃縮精製液を得ることを特徴とする。
【0012】
本発明の製造方法はさらに、クロマトグラフ装置による前記精製工程、前記脱塩・濃縮する工程および前記細菌を除去する工程を自動システムにすることにより、人的操作による汚染および酵素の失活または活性低下を起こさず、高純度のルムブロキナーゼ含有蛋白を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法は、洗浄・殺菌・除菌を行う工程を採用したことにより、ミミズの体表面に付着している土壌細菌、消化管内の排泄糞土、分泌物、大腸菌、一般細菌などを除去・殺菌・除菌することができ、これにより衛生上の問題を解決することができる。
【0014】
また本発明の製造方法は、自動クロマトグラフ装置による分離精製工程を採用したことにより、高純度で且つ副作用がなく安全性の高いルムブロキナーゼ含有蛋白を得ることができる。したがって、高純度で、副作用がなく安全性が高い、安定した薬剤および機能性食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の製造方法における自動システムを模式的に示した図である。
【図2】図2は、クロマトグラフ装置を用いて分離溶出させた場合におけるクロマトグラムの一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の対象となるミミズは、例えばアカミミズ、イトミミズ、ツマミミズなどであるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書におけるルムブロキナーゼ含有蛋白は、ミミズを材料として製造された一種の酵素製剤である。ルムブロキナーゼ含有蛋白は、プラスミンとプラスミノーゲンアクチベータを含み、繊維蛋白を直接溶解する作用およびプラスミノーゲンを活性化して間接的に蛋白を溶解する作用を持つ。したがって、虚血性脳血管障害、脳梗塞、血管性痴呆症、糖尿病、高脂血症などを治療し、心臓、および脳の血栓症やフィブリノゲナーゼの増加と血小板凝集率の上昇などを予防するのに適用される。
【0018】
ルムブロキナーゼ含有蛋白の活性成分は、分子量が23,000〜50,000である。また、本発明の製造方法により、酵素活性が14,000〜28,000IU/mgであるルムブロキナーゼ含有蛋白が得られる。
【0019】
本明細書における糖類には、単糖、多糖および複合多糖が含まれる。単糖はケトースまたはアルドースのいずれであってもよい。多糖は、加水分解によって2分子以上の単糖を生じるすべての炭水化物を意味し、例えば二糖、三糖および四糖などを含むが、これらに限定されない。本明細書における複合多糖には、種々の多糖またはその誘導体からなる多糖が含まれる。本発明の製造方法においては、1種以上の糖類を用いることができる。
【0020】
本明細書における塩類は、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の製造方法においては、原料となる土壌を含むミミズの重量に対し、好ましくはそれぞれ10〜50重量%の糖類もしくは塩類、またはそれらの混合物を添加することができる。前記糖類もしくは塩類またはそれらの混合物を添加した後、好ましくは5〜25℃にて、さらに好ましくは18℃にて、均一に撹拌することができる。その後、好ましくは0.2〜2時間、さらに好ましくは20分間、30分間または40分間、撹拌した混合物を放置することができる。これらの操作により、ミミズの消化管内に存在する土壌、糞土および分泌物を排泄させることができる。
【0022】
本発明の製造方法は、従来の水による洗浄工程に代えて、オゾン水による洗浄・殺菌工程を含む。本発明の製造方法においては、原料ミミズをオゾン水で洗浄・殺菌する「前処理工程」と、糖類もしくは塩類またはそれらの混合物を添加してミミズの消化管内の土壌、糞土および排泄物を排泄させた後にミミズをオゾン水で洗浄・殺菌する「後処理工程」とを行う。これらの2段階の洗浄・殺菌工程により、原料であるミミズの体表面に付着している土壌細菌、消化管内の排泄糞土、分泌物、大腸菌、一般細菌などを効果的に取り除くことができる。オゾン水による洗浄・殺菌工程は、温オゾン水を用いて行うことができる。温オゾン水の温度は、好ましくは30℃、40℃または50℃などであってよい。
【0023】
オゾン水による洗浄・殺菌工程の効果については、実施例において後述する。
【0024】
本発明における湿式粉砕は、例えばホモジナイザーを用いて行うことができる。これにより、ミミズの均質化された懸濁液を得ることができる。この湿式粉砕の工程は、好ましくは10〜50分間、さらに好ましくは30分間、行うことができる。これにより、ミミズの細胞が粉砕され、均質化された懸濁液を得ることができる。
【0025】
本発明の製造方法においては、当業者が通常用いる高速遠心分離機を用いて、前記ミミズの均質化された懸濁液から固形分および夾雑物を除去する工程を含む。
【0026】
本発明の製造方法においては、高速遠心分離機を用いて懸濁液から固形分および夾雑物を除去した後、メンブランフィルターで精密濾過する工程を含む。
【0027】
本発明の製造方法においては、クロマトグラフ装置を用いて溶出させ、第1のピーク(図2に示すピークI)と第2のピーク(図2に示すピークII)に分離する工程を含む。これにより、ピークIIに含まれているルムブロキナーゼ含有蛋白の活性成分を分取することができる。図2において、Vは無保持容量、Ve1はピークI成分の保持容量、Ve2はピークII成分の保持容量、WはピークI成分のピーク幅、WはピークII成分のピーク幅をそれぞれ示す。
【0028】
本発明の製造方法においては、弱アニオンイオン交換カラムを用いることができる。弱アニオンイオン交換カラムとしては、例えばDEAE−弱アニオンイオン交換カラムおよび弱アニオンDEAE−blue triazineカラムなどがあるが、これらに限定されない。移動相としては、酢酸ナトリウム水溶液、酢酸カリウム水溶液、リン酸水素二ナトリウム水溶液または塩化ナトリウム水溶液などを用いることができる。
【0029】
本発明の製造方法においては、前記クロマトグラフ装置を用いて分取したルムブロキナーゼ含有蛋白溶液から、透析分離装置による膜分離技術を用いて低分子物質および本発明の製造方法に用いる塩類(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなど)を除去することができる。透析分離は、例えば限外濾過装置などの、当業者が通常用いる技術により行うことができる。この脱塩・濃縮工程は、ルムブロキナーゼ含有蛋白の濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が0.15×10μs/cm以下になるまで行う。これにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白の脱塩濃縮精製溶液を得ることができる。
【0030】
本発明の製造方法においては、メンブランフィルターを装填し滅菌処理された濾過膜除菌装置を用いて、前記脱塩・濃縮工程で得られた脱塩濃縮精製溶液から細菌を除去する工程を含む。濾過膜除菌装置に装填されたメンブランフィルターの孔径は、好ましくは0.1〜0.2μm、より好ましくは0.1μmである。
【0031】
本発明の製造方法においては、真空凍結乾燥装置または噴霧乾燥機を用いて、前記除菌工程後の精製溶液を乾燥させる工程を含む。真空凍結乾燥および噴霧乾燥は、当業者が通常用いる技術により行うことができる。これにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量を、好ましくは10%以下、より好ましくは4〜8.5%にすることができる。
【0032】
本発明の製造方法においては、クロマトグラフ装置による前記精製工程、前記脱塩・濃縮する工程および前記細菌を除去する工程を自動システムにすることができる。これにより、人的操作による汚染および酵素の失活または活性低下を防ぐことができ、高純度のルムブロキナーゼ含有蛋白を得ることができる。
【0033】
本発明の製造方法における自動システムについて、図1に基づき詳述する。
【0034】
オゾン水による前処理工程と後処理工程との2段階の洗浄・殺菌工程および湿式粉砕工程を経て得られた懸濁液は、高速遠心分離機(図1 1−S)により固液分離され、残渣はW−1に廃棄される。このとき高速遠心分離機(1−S)の回転数、分離速度の最適条件は、制御ユニットを用いてコンピュータ制御する。
【0035】
次いで、高速遠心分離機(1−S)により得られた上清は、粗分離液送液ポンプ(P1)の制御により、ロールフィルター装置(2−FL)へ送液される。その後、精製溶液タンク(3−ST)に一時貯蔵されたルムブロキナーゼ含有蛋白精製溶液は、溶液注入ポンプ(P−3)の制御により、溶液注入装置(SPV−1)に送液される。
【0036】
溶液注入装置(SPV−1)に送液されたルムブロキナーゼ含有蛋白精製溶液は、溶液注入装置(SPV−1)の制御により、充填カラム(4−C1)または充填カラム(4−C2)に注入される。ここで、充填カラム(4−C1)および充填カラム(4−C2)の2本を装填することにより、交換用予備カラムを準備しておき、カラムの分離効率を最適条件に維持して、ルムブロキナーゼ含有蛋白の高活性部位を高純度、高回収率で得ることができる。下記式1においてR(分離度)=1になったとき、即ち分離能が98%以下になったときにカラムが自動的に交換されるように、あらかじめ設定しておく(図2参照)。分離度による充填カラム交換は、紫外線検出器および示差屈折計(5−De)を用いて検出される特定の信号に基づき制御される。
【数1】

【0037】
2本の充填カラムとしては同種のものを用いてもよいが、異種のものを組み合わせて、イオン交換クロマトグラフィー分離系カラム、逆相クロマトグラフィー分離系カラム、ゲル浸透クロマトグラフィー分離系カラムなどを切り替えて用いることもできる。
【0038】
移動相溶媒は、移動相溶媒タンク(8−MP)から移動相溶媒送液ポンプ(P−2)を通って、充填カラム(4−C1)または充填カラム(4−C2)に供給される。充填カラム(4−C1)または充填カラム(4−C2)のうち一方の使用後カラムは、移動相溶媒(9−WS)のコンピュータ制御された送液により、自動的に洗浄・再生される。このとき、不要物質および残留物質は切り替え廃棄バルブ(SV−3)から廃棄される。
【0039】
紫外線検出器および示差屈折計(5−Ds)により得られた成分濃度を示す信号はパーソナルコンピュータ(PC)に送られ、PC制御により、ルムブロキナーゼ含有蛋白の活性成分(ピークII)が分取される。分取された溶液は、分離精製溶液ストックタンク(6−ST)に貯蔵され、一方ピークII以外の不要な分離ピークは、切り替え残留物他バルブ(SV−4)の制御によりW−2に廃棄される。
【0040】
分離精製溶液ストックタンク(6−ST)に貯蔵された分離精製ルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、透析分離装置(7−Ds)に送液され、脱塩・濃縮される。ここで、透析分離装置(7−Ds)にセットされた紫外分光検出器により吸光度を検出して濃縮度を算出することにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白の所定の濃度(20g/L)を達成する。脱塩は、透析分離装置(7−Ds)にセットされた導電率計により制御し、設定導電率≦0.15×10μs/cmになったとき、溶液の脱塩を終了させる。
【0041】
さらに、脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、孔径0.1〜0.2μmのロールフィルター(2−FL1)を用いて濾過・除菌され、温度制御した製品ストックタンク(10−F/ST)に無菌貯蔵される。濾過・除菌後の精製溶液は、無菌条件下において真空凍結乾燥装置または噴霧乾燥機を用いて乾燥される。
【0042】
以上の工程により、ルムブロキナーゼ含有蛋白の有効成分を特定して分離精製することができ、高純度のルムブロキナーゼ含有蛋白を得ることができる。
【0043】
したがって、本発明の製造方法により得られるルムブロキナーゼ含有蛋白は、副作用を起こしうる不純物を含まず、また高い酵素活性を達成することができる。
【0044】
本発明の製造方法により得られるルムブロキナーゼ含有蛋白は、これを有効成分とする薬剤および食品とすることができる。本明細書における食品には、一般的な飲食物に加えて、機能性食品、健康食品、栄養補助食品(サプリメントを含む)、栄養機能食品、特定保健用食品などが含まれる。薬剤および食品は、製薬上または薬理学上許容されうる物質を含有することができる。
【実施例】
【0045】
〔実施例1〕
ミミズ10kgを採取し、オゾン水による前処理工程を行った後、採取したミミズに対して20重量%のパウダーシュガーを添加し、18℃で均一に撹拌し、40分間放置してミミズを刺激し、消化管内の土壌、糞土、分泌物を排泄させた。
【0046】
次いで、30℃の温水オゾン水でミミズ体表面に付着している糖および分泌排泄物を洗浄、殺菌する後処理工程を行った後、ミミズの採取所定体積の2倍に当たる精製水を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間細胞粉砕し、懸濁液とした。
【0047】
ステンレス製のストレナー、開口部5mmのフィルターを用いて、この懸濁液を濾過して粗固形分を除去し、次いで、高速遠心分離機で固液分離し、得られた溶液を1〜0.45μmのメンブランフィルターで精密濾過した。
【0048】
弱アニオンイオン交換クロマトグラフィーカラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、得られた精製溶液を分離精製した。クロマトグラフィーの移動相溶媒には0.01M 酢酸ナトリウム水溶液を用い、分離ピークの第2のピーク(ピークII、図2を参照)を分取した。
【0049】
さらに、分離精製された分取溶液は連続して次の工程へ準備される。分画分子量が0.5Kである透析膜を装填した透析分離装置を用いて、分取溶液を濾過し、低分子物質および無機塩を除去した。このとき、ルムブロキナーゼ含有蛋白濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩は終了とした。
【0050】
脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、0.1μmのメンブランフィルターを装填し滅菌処理された濾過膜除菌装置を用いて濾過した後、真空凍結乾燥を行い、65gのルムブロキナーゼ含有蛋白を得た。得られたルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量は4〜8.5%で、酵素活性は15000IU/mgであった。
【0051】
〔実施例2〕
ミミズ10kgを採取し、オゾン水による前処理工程を行った後、採取したミミズに対して、それぞれ30重量%の塩化ナトリウムと砂糖とを混合添加し、18℃で均一に撹拌し、40分間放置してミミズを刺激し、消化管内の土壌、糞土、分泌物を排泄させた。
【0052】
次いで、40℃の温オゾン水でミミズ体表面に付着している砂糖、塩化ナトリウムおよび分泌排泄物を洗浄、殺菌する後処理工程を行った後、ミミズの採取所定体積の8倍に当たる精製水を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間細胞粉砕し、懸濁液とした。
【0053】
ステンレス製のストレナー、開口部5mmのフィルターを用いて、この懸濁液を濾過して粗固形分を除去し、次いで、高速遠心分離機で固液分離し、得られた溶液を1〜0.45μmのメンブランフィルターで精密濾過した。
【0054】
弱アニオンイオン交換クロマトグラフィーカラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、得られた精製溶液を分離精製した。クロマトグラフィーの移動相溶媒には0.01M 酢酸カリウム水溶液を用い、分離ピークの第2のピーク(ピークII、図2を参照)を分取した。
【0055】
さらに、分離精製された分取溶液は連続して次の工程へ準備される。分画分子量が50Kである透析膜を装填した透析分離装置を用いて、分取溶液を濾過し、低分子物質および無機塩を除去した。このとき、ルムブロキナーゼ含有蛋白濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩は終了とした。
【0056】
脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、0.1μmのメンブランフィルターを装填し滅菌処置された濾過膜除菌装置を用いて濾過した後、真空凍結乾燥を行い、65gのルムブロキナーゼ含有蛋白を得た。得られたルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量は7.6%で、酵素活性は16000IU/mgであった。
【0057】
〔実施例3〕
ミミズ10kgを採取し、オゾン水による前処理工程を行った後、採取したミミズに対して30重量%のパウダーシュガーを添加し、18℃で均一に撹拌し、20分間放置してミミズを刺激し、消化管内の土壌、糞土、分泌物を排泄させた。
【0058】
次いで、50℃の温オゾン水でミミズ体表面に付着しているパウダーシュガーおよび分泌排泄物を洗浄、殺菌する後処理工程を行った後、ミミズの採取所定体積の6倍に当たる精製水を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間細胞粉砕し、懸濁液とした。
【0059】
ステンレス製のストレナー、開口部5mmのフィルターを用いて、この懸濁液を濾過して粗固形分を除去し、次いで、高速遠心分離機で固液分離し、得られた溶液を1〜0.45μmのメンブランフィルターで精密濾過した。
【0060】
弱アニオンDEAE−blue triazineカラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、得られた精製溶液を分離精製した。クロマトグラフィーの移動相溶媒には0.5M 酢酸ナトリウム水溶液を用い、分離ピークの第2のピーク(ピークII、図2を参照)を分取した。
【0061】
さらに、分離精製された分取溶液は連続して次の工程へ準備される。分画分子20Kである透析膜を装填した透析分離装置を用いて、分取溶液を濾過し、低分子物質および無機塩を除去した。このとき、ルムブロキナーゼ含有蛋白濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩は終了とした。
【0062】
脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、0.1μmのメンブランフィルターを装填し滅菌処置された濾過膜除菌装置を用いて濾過した後、真空凍結乾燥を行い、65gのルムブロキナーゼ含有蛋白を得た。得られたルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量は7.3%で、酵素活性は17000IU/mgであった。
【0063】
〔実施例4〕
ミミズ10kgを採取し、オゾン水による前処理工程を行った後、採取したミミズに対して10重量%の氷砂糖を添加し、18℃で均一に撹拌し、30分間放置してミミズを刺激し、消化管内の土壌、糞土、分泌物を排泄させた。
【0064】
次いで、40℃の温オゾン水でミミズ体表面に付着している砂糖、分泌排泄物を洗浄、殺菌する後処理工程を行った後、ミミズの採取所定体積の5倍に当たる精製水を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間細胞粉砕し、懸濁液とした。
【0065】
ステンレス製のストレナー、開口部5mmのフィルターを用いて、この懸濁液を濾過して粗固形分を除去し、次いで、高速遠心分離機で固液分離し、得られた溶液を1〜0.45μmのメンブランフィルターで精密濾過した。
【0066】
弱アニオンDEAE−blue−triazineカラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、得られた精製溶液を分離精製した。クロマトグラフィーの移動相溶媒には0.8M リン酸水素二ナトリウム水溶液を用い、分離ピークの第2のピーク(ピークII、図2を参照)を分取した。
【0067】
さらに、分離精製された分取溶液は連続して次の工程へ準備される。分画分子量20Kである透析膜を装填した透析分離装置を用いて、分取溶液を濾過し、低分子物質および無機塩を除去した。このとき、ルムブロキナーゼ含有蛋白濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩は終了とした。
【0068】
脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、0.1μmのメンブランフィルターを装填し滅菌処置された濾過膜除菌装置を用いて濾過した後、150℃に設定された噴霧乾燥機で処理して、65gのルムブロキナーゼ含有蛋白を得た。得られたルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量は7.5%で、酵素活性は16500IU/mgであった。
【0069】
〔実施例5〕
ミミズ10kgを採取し、オゾン水による前処理工程を行った後、採取したミミズに対して40重量%の塩化ナトリウムを添加し、18℃で均一に撹拌し、20分間放置してミミズを刺激し、消化管内の土壌、糞土、分泌物を排泄させた。
【0070】
次いで、50℃の温オゾン水でミミズ体表面に付着している塩化ナトリウムおよび分泌排泄物を洗浄、殺菌する後処理を行った後、ミミズの採取所定体積の4倍に当たる精製水を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間細胞粉砕し、懸濁液とした。
【0071】
ステンレス製のストレナー、開口部5mmのフィルターを用いて、この懸濁液を濾過して粗固形分を除去し、次いで、高速遠心分離機で固液分離し、得られた溶液を1〜0.45μmのメンブランフィルターで精密濾過した。
【0072】
弱アニオンDEAE−blue triazineカラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、得られた精製溶液を分離精製した。クロマトグラフィーの移動相溶媒には0.8M 塩化ナトリウム水溶液を用い、分離ピークの第2のピーク(ピークII、図2を参照)を分取した。
【0073】
さらに、分離精製された分取溶液は連続して次の工程へ準備される。分画分子量20Kである透析膜を装填した透析分離装置を用いて、分取溶液を濾過し、低分子物質および無機塩を除去した。このとき、ルムブロキナーゼ含有蛋白濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩は終了とした。
【0074】
脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、0.1μmのメンブランフィルターを装填し滅菌処置された濾過膜除菌装置を用いて濾過した後、250℃に設定された噴霧乾燥機で処理して、65gのルムブロキナーゼ含有蛋白を得た。得られたルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量は7.1%で、酵素活性は16500IU/mgであった。
【0075】
〔実施例6〕
ミミズ10kgを採取し、オゾン水による前処理工程を行った後、採取したミミズに対して、それぞれ20重量%の塩化ナトリウムと砂糖とを混合添加し、18℃で均一に撹拌し、40分間放置してミミズを刺激し、消化管内の土壌、糞土、分泌物を排泄させた。
【0076】
次いで、30℃の温オゾン水でミミズ体表面に付着している砂糖、塩化ナトリウムおよび分泌排泄物を洗浄、殺菌する後処理工程を行った後、ミミズの採取所定体積の2倍に当たる精製水を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間細胞粉砕し、懸濁液とした。
【0077】
ステンレス製のストレナー、開口部5mmのフィルターを用いて、この懸濁液を濾過して粗固形分を除去し、次いで、高速遠心分離機で固液分離し、得られた溶液を1〜0.45μmのメンブランフィルターで精密濾過した。
【0078】
弱アニオンイオン交換クロマトグラフィーカラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、得られた精製溶液を分離精製した。クロマトグラフィーの移動相溶媒には0.01M 塩化ナトリウム水溶液を用い、分離ピークの第2のピーク(ピークII、図2を参照)を分取した。
【0079】
さらに、分離精製された分取溶液は連続して次の工程へ準備される。分画分子量15Kである透析膜を装填した透析分離装置を用いて、分取溶液を濾過し、低分子物質および無機塩を除去した。このとき、ルムブロキナーゼ含有蛋白濃度が20g/Lになり、濃縮液の導電率が≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩は終了とした。
【0080】
脱塩・濃縮されたルムブロキナーゼ含有蛋白溶液は、0.1μmのメンブランフィルターを装填し滅菌処置された濾過膜除菌装置で濾過した後、200℃に設定された噴霧乾燥機で処理して、62gのルムブロキナーゼ含有蛋白を得た。得られたルムブロキナーゼ含有蛋白の含水量は7.0%で、酵素活性は16800IU/mgであった。
【0081】
〔実施例7〕血小板凝集率抑制効果実験
本発明の製造方法により得られたルムブロキナーゼ含有蛋白を用い、血小板凝集率抑制効果実験を行った。実験動物にはSDラット(8週齢、体重200−250g、雄12匹および雌12匹)を用い、無作為に1群当たり6匹の4群に分け下記に示すように前処理を行った。
【0082】
1群:in vivo治療群(6匹)
ルムブロキナーゼ含有蛋白を2.5mg/mL/体重100g、1日2回、2日間経口投与した。2日間の投与後、腹腔内注射にて麻酔し、血液の高凝固度ラットモデルを作製した。モデル作製後ただちに頚部動脈から3mLを採血し、PRP(Platelet Rich Plasma、多血小板血漿)とPPP(Platelet Poor Plasma、乏血小板血漿)を作製した。
【0083】
2群:in vivo対照群(6匹)
ルムブロキナーゼ含有蛋白の代わりに生理食塩水を使い、in vivo治療群と同様に操作を行った。
【0084】
3群:in vitro治療群(6匹)
正常ラット血液でPRPおよびPPPを作製し、ルムブロキナーゼ含有蛋白2.5mg/mLをPRPおよびPPPに加え、37℃で15分間培養した。
【0085】
4群:in vitro対照群(6匹)
ルムブロキナーゼ含有蛋白の代わりに生理食塩水を使い、in vitro治療群と同様に操作を行った。
【0086】
in vitro正常ラット(3群および4群)のPRPにルムブロキナーゼ含有蛋白を1.25、2.5、5.0mg/mLの濃度で加え、37℃で10分間培養し、連続3回血小板凝集率を測定した。
【0087】
血小板凝集率は、血小板凝集促進剤にADP(アデノシン二リン酸、10μmol/L)を用いて測定した。表1には、1分間の血小板凝集率(A1)、最大血小板凝集率(Amax)、最大血小板凝集時間(Tmax)を示す。
【表1】

【0088】
次いで、1群および2群のラットから血液4mLを採り、125Iにて標識し、血漿中のTXB2(トロンボキサンB2)および6−PGF1a(6−ケト−プロスタグランジン F1α)の濃度を測定した。正常のTXB2を100とし、TXB2の変化と最大血小板凝集率との関連を検討した。血漿t−PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)活性および血漿t−PAとAmaxとの関連も検討した。
【表2】

【0089】
表1および表2の結果から、ルムブロキナーゼ含有蛋白は、高凝固度血漿ラットおよび正常ラットの両方において、またin vivo群およびin vitro群の両方において、血小板凝集を抑制した。また、この血小板凝集抑制効果は用量依存性であることがわかった。さらに表1と表2との関連性から、TXB2の濃度が減少すると血小板凝集率が抑えられることがわかった。以上の結果から、ルムブロキナーゼ含有蛋白は血小板凝集抑制作用を有することが判明した。
【0090】
〔実施例8〕
本発明の製造方法により得られたルムブロキナーゼ含有蛋白のカプセル製剤を用いて、脳梗塞患者に対する治療効果についての臨床試験を実施した。
【0091】
多施設共同無作為二重盲検対照試験(multi−center randomized, double blind control study)法を用い、臨床試験を行った。CTとMRIにて確認した発病3週間後の脳梗塞患者73名を、無作為に治療群50例と対照群23例に分けた。治療群にはルムブロキナーゼ含有蛋白カプセル2個(30万IU/個)を1日3回、28日間投与した。対照群にはプラセボを同様に1日3回、28日間投与した。
【0092】
治療開始前および終了後において、生化学的検査(PT(プロトロンビン時間)、TT(トロンボテスト)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、t−PA、PAI(プラスミノーゲンアクチベータ インヒビター)、D−dimer(D−ダイマー)、Fg(フィブリノーゲン)、ADP、肝機能および腎機能の検査)を行った。
【0093】
表3に、治療群および対照群について、年齢、性別、発病から治療までの時間、脳梗塞評価点数(CSS)、生活能力評価、および血液標本の値を示す。表3に示すように、これらの値には統計的な差がなく(P>0.05)、両実験群の評価ができることが示された。
【表3】

【0094】
臨床的指標としては、治療前後のCSS(中国の脳梗塞評価点数)と生活能力を評価した。CSS評価においては、評価点数が90−100%改善(減少)した患者を「直った」、46−89%改善した患者を「明らかに改善」、18−45%改善した患者を「改善」、<18%改善した患者を「変わらない」、評価点数が増加する患者を「悪化」とし、「直った」、「明らかに改善」および「改善」を臨床的に有効であるものとして評価した。生活能力は、8段階のレベルにて評価した。
【0095】
表4に、治療前後における生化学的検査の値および神経機能の欠損についての比較を示す。また、表5に、28日にわたる治療後における臨床的CSS評価を示す。2群の比較にはStudentのt検定およびX検定を用いた。
【0096】
これらの結果から、治療群では、治療前と比べ、28日後PT(P<0.01)およびAPTT(P<0.05)が延長し、Fg(P<0.01)が低下し、D−dimer(P<0.01)が増加し、t−PAが上がり、PAIが減少し、血漿比粘度、全血還元粘度、全血比粘度および血小板凝集率が低下した(表4)。さらに神経機能の欠損については、28日にわたる治療後において、治療群は対照群に比べて有意によい結果を示した(表4)。また、28日にわたる治療後の臨床的CSS評価は、それぞれ、治療群では88.0%、対照群では47.8%であり、対照群と比べ治療群のほうが高い効果が得られることを示した(P<0.01)(表5)。
【表4】

【表5】

【0097】
これらの結果から、ルムブロキナーゼ含有蛋白は脳梗塞患者の治療に有効であり、神経機能の欠損を抑えられることが示唆された。
【0098】
〔実施例9〕
飼育土壌から土壌を含むミミズを500g採取し、30メッシュ上で、オゾン水生成装置(オゾン発生量1.5g/hr)により生成させたオゾン水を用いて土壌を除去した後、30メッシュ上で連続的にオゾン水を流して30分間洗浄することにより、除菌、殺菌の前処理をした。対照として水洗浄(水道水)についてもオゾン水洗浄と同様の操作を行い、オゾン水洗浄および水洗浄の場合について細菌試験を行った。得られた結果を表6に示す。
【0099】
上述のようにして前処理をしたミミズに塩化ナトリウムと砂糖(実施例2を参照のこと)を混合添加して、ミミズ消化管内から土壌、糞便などの分泌物を排泄させた後、オゾン水または水を用いて洗浄操作を行い、細菌試験を行った。得られた結果を表7に示す。
【表6】

【表7】

【0100】
前処理においては、本発明によるオゾン水洗浄を用いた場合と水洗浄を用いた場合を比較したところ、オゾン水洗浄ミミズは水洗浄ミミズに比べて、一般細菌群:99.6%、大腸菌群:94.3%、Asupergillus glaucus:99.6%の顕著な除去効果を呈した(表6)。
【0101】
後処理においては、一般細菌群:99.7%、大腸菌群:96.3%、Asupergillus glaucus:99.6%の顕著な効果を呈し(表7)、本発明のオゾン水洗浄によるミミズの細菌類の低減、殺菌除去に効果のあることが確認された。
【符号の説明】
【0102】
1−S 高速遠心分離機
2−FL ロールフィルター装置
2−FL1 ロールフィルター(精密濾過装置)
3−ST 精製溶液タンク
4−C1 装填(充填)カラム
4−C2 装填(充填)カラム
5−De 紫外線検出器および示差屈折計
6−ST 分離精製溶液ストックタンク
7−Ds 透析分離装置
8−MP 移動相溶媒タンク
9−WS 移動相溶媒(洗浄・再生用)および交換用
10−F/ST 製品ストックタンク
SPV−1 溶液注入装置
SV−1 切り替えバルブ
SV−2 切り替えバルブ
SV−3 切り替え廃棄バルブ
SV−4 切り替え残留物他バルブ
P−1 粗分離液送液ポンプ
P−2 移動相溶媒送液ポンプ
P−3 溶液注入ポンプ
P−4 9−WS用ポンプ
P−5 7Ds注入制御ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルムブロキナーゼ含有蛋白の製造方法であって、
ミミズをオゾン水で洗浄、殺菌し;
それぞれ10〜50重量%の糖類もしくは塩類またはそれらの混合物を添加し、溶解、均一化して放置し、ミミズの消化管内の土壌、糞土および分泌物を排泄させ、オゾン水で除去、洗浄、殺菌した後;
ミミズを湿式粉砕し;
均質化された懸濁液を高速遠心分離機にて固液分離した後;
メンブランフィルターで濾過し;
弱アニオンイオン交換カラムを装填した自動クロマトグラフ装置を用いて、メンブランフィルターで濾過した溶液を分離溶出させてルムブロキナーゼ含有蛋白の活性部分を分取し;
透析分離装置を用いて、得られた活性部分溶液を脱塩、濃縮した後;
濾過膜除菌装置を用いて細菌を除去し;
除菌された精製溶液を真空凍結乾燥装置または噴霧乾燥機を用いて乾燥させることにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白を得る、
前記製造方法。
【請求項2】
分子量が23,000〜50,000であり、酵素活性が14,000〜28,000IU/mgである、請求項1に記載の製造方法により得られるルムブロキナーゼ含有蛋白を含有することを特徴とする薬剤および機能性食品。
【請求項3】
脳梗塞、心筋梗塞、血小板凝集率の低下、脳卒中、脳血栓、眼底血管血栓、虚血性脳血管障害、深部静脈血栓症、四肢動脈血栓症、塞栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症、冠動脈血栓症、脳血栓症、心筋梗塞、急性心不全、卒中発作の治療、改善、予防、ならびに生体内の線溶系、高脂血症、血流の指標となる数値の改善、血管性痴呆症に適用される、請求項1に記載の製造方法により得られるルムブロキナーゼ含有蛋白を含有する薬剤および機能性食品。
【請求項4】
前記糖類が複合多糖であり、前記塩類が塩化ナトリウムおよび塩化カリウムから選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記自動クロマトグラフ装置がイオン交換クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記脱塩・濃縮する工程において、溶液の導電率≦0.15×10μs/cmになる時、脱塩終了として脱塩濃縮液を得、この脱塩濃縮液を0.1〜0.2μmのメンブランフィルターを装填した装置を用いて除菌処理することにより濃縮精製液を得ることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
クロマトグラフ装置による前記精製工程、前記脱塩・濃縮する工程および前記細菌を除去する工程を自動システムにすることにより、ルムブロキナーゼ含有蛋白を得ることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−158596(P2012−158596A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68666(P2012−68666)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【分割の表示】特願2005−227470(P2005−227470)の分割
【原出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(399015207)株式会社 皇漢薬品研究所 (4)
【出願人】(505063706)ペキン バイアオ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド (2)
【出願人】(505063717)インスティテュート オブ バイオフィジクス アカデミア シニカ (2)
【Fターム(参考)】