説明

自動コップ給水方法

【課題】 飲み残しの水がコップに残っている場合には、空のコップを置いた場合の正常なピーク値波形が異なるため給水を開始することができず、また、外乱(電気的、振動等のパルス波形)による誤動作も考えられ、さらに、個々人のコップの起き方は様々であって正常なコップが置かれた際のピーク値波形を決定することが困難であるといった問題があった。
【解決手段】 歪みゲージセンサによりコップ置き台に載置されたコップの重量を検出し、該コップに供給可能な水量を予め時間で設定し、前記コップがコップ置き台に載置されると前記予め設定された時間分だけタイマーにて水の供給が行われるようにしたことを特徴とする自動コップ給水方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療室におけるデンタル椅子の近傍に設置され、患者が治療中や治療後に嗽を行う時に使用するコップに、予め設定した量の水をコップの材質や重量に関係なく供給することができる自動コップ給水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の自動コップ給水装置としては、例えば、コップがコップ受けに載置されたことを光センサで検出すると給水が開始され、静電容量センサで設定された量まで給水が行われると給水を停止し、あるいは、予め設定した時間だけ給水を行うというものであった。
【0003】
ところで、前記し従来例の前者にあっては、予め静電容量センサで設定した量に達すると給水を停止するものであることから、静電容量センサでの検知が困難なコップの材質(例えば金属コップ)によっては使用できないという問題があり、また静電容量センサとコップの位置関係によって給水量が変化するという問題があった。
【0004】
また、後者にあっては、予め設定した時間に達すると給水を停止するものであることから、飲み残しの水がコップ内に残っているような場合にはコップから水が溢れ出るといった問題があった。
【0005】
さらにコップがコップ受けに載置されたことを光センサで検出する場合においては、光を透過してしまう透明コップを使用することができないという問題があった。
【0006】
これらの問題点を解決するものとして特開平5−146460号公報に開示されている発明がある。この発明は、歪みゲージを用い時間的変化を微分した値を変化量として監視することで給水開始と停止を行う、すなわち、コップが置かれた場合の正常なピーク値波形を記憶しておき、歪み量の時間的変化を微分した変化量がパルス状に変化したことを検出した時、その波形がコップが置かれた際の正常なピーク値波形と同様な場合に給水を開始し、そして、歪み量の時間的変化を微分した値である変化量が一定でなくなった場合に給水を停止するというものである。
【特許文献1】特開平5−146460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記した給水開始の動作において、例えば、飲み残しの水がコップに残っている場合には、空のコップを置いた場合の正常なピーク値波形が異なるため給水を開始することができず、また、外乱(電気的、振動等のパルス波形)による誤動作も考えられ、さらに、個々人のコップの起き方は様々であって正常なコップが置かれた際のピーク値波形を決定することが困難であるといった問題があった。
【0008】
また、前記した給水停止の動作において、歪み量の時間的変化を微分した値である変化量が一定でなくなった場合に給水を停止するとあるが、一般的に患者が着座する椅子と給水装置とは一体的に構成されているものであることから、人が椅子に着座している場合には何らかの振動が発生するものであり、従って、誤動作により給水停止を誤停止する可能性が高いといった問題があった。
【0009】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、コップ内に飲み残しの水があっても、コップ内に所定量の給水が行われ、また、コップの種類を問わずコップが置かれたことを確実に検知でき、さらに、コップの置かれた位置に関係なく、また振動が発生した場合にもコップ内の水量が所定量に至るまで給水が行える自動コップ給水装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の自動コップ給水方法は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、歪みゲージセンサによりコップ置き台に載置されたコップの重量を検出し、該コップに供給可能な水量を予め時間で設定し、前記コップがコップ置き台に載置されると前記予め設定された時間分だけタイマーにて水の供給が行われるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記コップへの給水途中においてコップが取り上げられコップの重量を前記歪みゲージセンサが検出しなくなると給水を停止するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記コップ置き台に載置されたコップの重量が予め記憶されている水が入っていない空のコップの重量より重いと判断した場合には、前記タイマーによる給水時間を前記空コップの重量より重い水の分だけ減算して給水して水が溢れないようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の手段は、前記した請求項3において、前記コップ置き台に載置されたコップの重量が予め記憶されている水が入っていない空のコップの重量より重く、水を給水すると水撥ねが発生する予め設定した値より重いと判断した場合には、コップへの給水を行わないようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の手段は、前記した請求項1において、コップが前記コップ置き台に載置されていない状態においての前記歪みゲージセンサの出力をゼロ点データとして検出し、電源投入時や予め設定された時間毎にゼロ点データを更新し、該更新したゼロ点データを基準にコップの有無を判断するようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の手段は、前記した請求項1において、コップが前記コップ置き台に載置されていない状態において前記歪みゲージセンサの出力をゼロ点データとして検出し、電源投入時や予め設定された時間毎に検出したゼロ点データの値が、予め設定されたゼロ点データの範囲を越えた場合に、ブリッジ回路のバランス調整を自動的に行うようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項7の手段は、前記した請求項1において、前記歪みゲージセンサは、一端が支柱に固定され他端が支持柱に湾曲可能に取付けられた2枚の板と、前記支持柱に取付けられたコップ置き台と、前記2枚の板におけるそれぞれの板の伸び方向に変位する部位と縮み方向に変位する部位のどちらか一方又は両方に取付けられた歪みゲージによってブリッジ回路を構成し、このブリッジ回路のバランス変化を検出することでコップが前記コップ置き台の如何なる場所に載せられても正確にコップの重量変化を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、歪みゲージセンサによりコップの重量を検出し、該コップに供給可能な水量を予め時間で設定し、前記コップがコップ置き台に載置されると前記予め設定された時間分だけタイマーにて水の供給が行われるようにしたので、コップの種類、例えば、紙コップや金属コップに変更した場合に、各コップの空のコップ重量と各コップの種類に応じた給水時間を設定することで、所定量の水を正確に満たすことができる。
【0018】
さらに、患者が使用するコップごとに、空のコップの重量と供給可能な時間を予め記憶させることで、例えば陶器製のコップなど患者が自分専用のコップを使用することができ、満足度の向上と感染予防をはかることができる。
【0019】
また、給水途中でコップが取り上げられたことを歪みゲージセンサが検出すると給水を停止するようにしたので、何らかの理由で給水中にコップが取り上げられても水によって周囲が水浸しになることがない。
【0020】
さらに、コップ置き台に載置されたコップの重量が予め記憶されている水が入っていない空のコップの重量より重いと判断した場合には、前記タイマーによる給水時間を前記空コップの重量より重い水の分だけ減算して給水量を調整することで、水がコップより溢れ出るのを防止することができる。
【0021】
また、コップ置き台に載置されたコップの重量が予め記憶されている水が入っていない空のコップの重量より重く、水を給水すると水撥ねが発生する予め設定した値より重いと判断した場合にはコップへの給水を行わないようにすることで、水撥ねによって患者の衣服を濡らしたり治療台や床面が濡れるのを防止することができる。
【0022】
また、コップが載せられていない状態の歪みゲージセンサの出力をゼロ点データとして常に検出し、温度変化等によってゼロ点データが変わった場合には該ゼロ点データを更新することで、コップが載せられていない状態のコップ置き台の正確な重量を記憶していることで、コップの重量や水の量を正確に把握して予め設定した水量をコップに給水することができる等の効果を有するものである。
【0023】
さらに、置き台部分の構造をロバーバル機構と類した構造とすることで、コップをコップ置き台の如何なる場所に載せても正確にコップのみの重量や水の重量を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、歪みゲージセンサによりコップの重量を検出し、該コップに供給可能な水量を予め時間で設定し、前記コープがコップ置き台に載置されると前記予め設定された時間分だけタイマーにて水の供給が行われるようにした。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明に係る自動コップ給水装置の一実施例を図面と共に説明する。
図1は本発明に係る自動コップ給水装置におけるコップを載置しコップの重量を検出するための重量検出構造1の概略を示す側面図にして、基台11に起立固定された支柱12に対して所望の間隔を隔てて基台11と平行に2枚の板13,14の一端が取付けられている。一方、前記板13,14の他端には該板13,14を平行に保つための支持柱15が取付けられ、この支持柱15にコップ置き台16が取付けられている。
【0026】
そして、前記支柱12側に近い板13の上面には第1の歪みゲージR1が、支柱12側に近い板14の下面には第2の歪みゲージR2が接着固定されている。また、支持柱15側に近い板13の上面には第3の歪みゲージR3が、支持柱15に近い板14の下面には第4の歪みゲージR4が接着固定されている。
【0027】
そして、コップ置き台16にコップを載せると板13,14が下方に向かって湾曲変形するので、第1の歪みゲージR1と第4の歪みゲージR4は伸び、一方、第2の歪ゲージR2と第3の歪みゲージR3は縮み、それぞれ異なる抵抗値を示すことになる。そして、各歪みゲージR1〜R4は図2に示すブリッジ回路を構成している。なお、第1〜第4の歪ゲージは、第1と第4の歪みゲージR1,R4および第2と第3の歪みゲージR2,R3が対となって板13,14の縮みと伸びの何れかとなる位置に取付ければよい。
【0028】
このような構成にすることで、重量検出構造はロバーバル機構と類した構造となり、コップ置き台16に対してコップを載せる位置が中央位置であろうと、偏った位置であろうと前記図2に示すブリッジ回路の出力は等しくなる。
【0029】
次に、図2の回路ブロックについて説明する。
S1はコップ置き台16にコップを載せない状態においてゼロ点歪みデータ、及び満水状態のコップを含む全体の重量による歪みゲージの変化量データ、コップへの給水開始から満水までの給水時間を取得するためのストアスイッチ、S2はコップへの給水量を歯科医等が設定するモードと通常の給水を行うモードとの切り換えを行うための設定スイッチ、S3は実際にコップへの給水を開始する時に操作する給水スイッチである。
【0030】
Bは前記した板13,14に取付けられた歪みゲージR1〜R4をブリッジ状に接続したブリッジ回路にして伸びを検出する歪みゲージR1,R4と縮みを検出する歪みゲージR2,R3がそれぞれ対向するように接続されている。Aは該ブリッジ回路Bで生じる2つの電圧出力の差を増幅する増幅回路、Vは前記給水スイッチS3を操作することにより電磁弁が開放され、前記ブリッジ回路Bで生じる2つの電圧出力の差が予め設定された値に、あるいは、タイマーが予め設定した時間に達すると電磁弁が閉鎖される給水電磁弁、Pは前記3つのスイッチS1〜S3および前記増幅回路Aの出力が入力され、かつ、後述するフローチャートの動作を制御するマイクロプロセッサ(CPU)である。なお、該CPUにはEEPROMとRAMが接続されている。
【0031】
次に、歯科医等が電源を投入した状態の動作を図3(a)のフローチャートと共に説明する。
先ず、歯科医院の開店時に電源を投入すると、EEPROMからRAMにコップのみの歪みデータ、満水時の歪みデータ、満水までの給水時間のデータが読み出される(ステップ01)。次にコップを載せていない状態でのハード的0点補正を行う(ステップ02)。すなわち、コップが載置されていない状態においての歪みゲージ平均データをゼロ点データとして検出し、ゼロ点データの値が、予め設定されたゼロ点データの範囲を越えている場合にはブリッジ回路のバランス調整を自動的に行う。
【0032】
そして次にコップが載置されていない状態においての歪みゲージ平均データをゼロ点データとしてRAM に記憶させる(ステップ03)。歪みゲージセンサの出力は、ブリッジ回路Bに電圧を加えて、該ブリッジ回路Bで生じる2つの電圧出力の差を増幅回路Aで増幅して得る。この歪みゲージセンサの出力を、例えば、図3(b)で示すように0.05秒間隔で5つ取得し、この5つの出力データの最高値と最低値を削除し、残り3つの出力データの平均値を歪みゲージ平均データとする。
【0033】
その後に、設定スイッチS2を選択して設定モード(ステップ05)にするか、給水モード(ステップ06)にするかを選択する(ステップ04)。ここで、設定モードとは、コップが載せられていない状態の歪みゲージセンサの出力をゼロ点データとして設定し、また空のコップを載せた時の歪みゲージセンサの出力から前記ゼロ点データを差し引いたデータを空のコップ重量として設定し、さらに、コップが満水状態での歪みゲージセンサの出力から前記ゼロ点データを差し引いたデータを満水状態のコップ重量として設定し、さらに、コップへの給水を開始してから所望量に達するまでの時間を設定するモードを言い、一方、給水モードとは、前記コップを載せない状態での設定と、空のコップを載せた状態での設定と、コップが満水状態での設定およびコップに所望量給水が行われるまでの時間の設定が終了した後に、実際の診療等においてコップに給水を行うモードを言う。
【0034】
次に、前記設定スイッチS2を実際の診療を開始する前等において操作を行い設定モードにした場合の動作を図4と共に説明する。コップが載せられていないことを確認した状態において(ステップS1)、ストアスイッチS1を操作すると(ステップS2)、コップが載せられていない状態での歪みゲージ平均データの取得が前記したと同じ動作によってゼロ点歪みデータであるデータ0としてEEPROM及びRAMに記憶する(ステップS3)。
【0035】
次いで、空のコップをコップ置き台16に載せて(ステップS4)ストアスイッチS1を操作すると(ステップS5)、CPUは(コップが載せられた時の歪みゲージセンサの出力をA/D変換した出力)−(コップが載せられていない時の歪みゲージセンサの出力をA/D変換した出力)を演算し(ステップS6)、データAとして空のコップ重量による歪みゲージの変化量をEEPROM及びRAMに記憶する(ステップS7)。
【0036】
さらに、給水スイッチS3を押して歯科医が希望する水量まで給水を行う(ステップS8)。この状態においてストアスイッチS1を操作すると(ステップS9)、CPUは(コップが満水状態での歪みゲージセンサの出力をA/D変換した出力)−(コップが載せられていない時の歪みゲージセンサの出力をA/D変換した出力)を演算し記憶し、また、歯科医が希望する水量までの給水時間も記憶する(ステップS10)。そして、データBとして、満水状態のコップを含む全体の重量による歪みゲージの変化量を求める(ステップS11)と共にデータTとしてコップへの給水開始から満水までの給水時間(ステップS12)をEEPROM及びRAMに記憶する。
【0037】
前記したデータ0,A,B,Tの関係は図5に示すグラフとなり、従って、
必要給水時間=〔{(データB)−(現在のデータ)−(データ0)}/{(データB)−(データA)}〕×データT・・・数式(1)
が得られる。すなわち、コップ内の水が空の場合や、飲み残しの水がある場合にも前記した計算式をCPUが演算するとことで、歯科医が設定した給水量を得ることができることとなる。
【0038】
次に、診療時におけるコップへの給水動作を図6、図7のフローチャートと共に説明する。
前記した設定スイッチS2を給水モード側に切り換えると、CPUはコップがコップ置き台16に置かれているか否かを監視し(ステップS21)、コップが置かれていないと判断すると後述するサブフローチャート(図7)の動作に移行し、コップが置かれていると判断すると歪みゲージ出力の平均データを取得する(ステップS22)。
【0039】
そして、平均データが取得されると、必要給水時間の給水が行われたか(前記した歯科医等が設定モードによって設定した給水時間がゼロになったか)否かの監視が行われ(ステップS23)、該給水時間に達していない場合にはコップが取り上げられたかの判断基準〔ゼロ点歪みデータ+(コップのみの歪みデータ×2/3)〕の演算を行い(ステップS24)、また、前記ステップS23において給水時間がゼロになったと判断した場合には、コップが取り上げられたかの判断基準〔ゼロ点歪みデータ+(満水時の歪みデータ×1/2)〕の演算を行う(ステップS25)。ここで、前記演算式のステップS24におけるコップのみの歪みデータに2/3の値を乗算し、また、ステップS25の満水時の歪みデータに1/2の値を乗算するのは、判断基準に余裕を持たせるためであり、これらの値を乗算することは必ずしも必要ではない。
【0040】
次いで、前記ステップS24,25における演算の結果、歪みゲージ平均データ<コップ取り上げ判断基準である条件か否か、又は給水時間が終了しているか否かの判断を行い(ステップS26)、その条件に該当しない場合(コップは取り上げられていない、また給水時間は終了していない)にはステップS21に進む。一方、ステップS26の判断結果が条件に合致したと判断した場合(コップが取り上げられた、又は給水時間が終了した)には給水を停止する( ステップS27) 。
【0041】
次にステップS28において、振動等によるコップ取り上げの誤検知を避けるため、コップが取り上げられた状態が、例えば1.5秒以上継続したか否かを監視し、継続したとの判断が行われるとコップの取り上げ状態が確定し(ステップS29)、また継続していないとの判断が行われるとステップS21に進む。
【0042】
次に、前記したステップS21においてコップ置き台16にコップが載せられていないと判断した場合には、図7のステップS41に進み、歪みゲージ出力の平均データを取得し(ステップS41)、次いで、歪みゲージ平均データ>ゼロ点歪みデータ+(コップのみの歪みデータ/2)か否かを監視し(ステップS42)、この監視においてコップがコップ置き台16に無いと判断した場合には、1秒に1回ハード的ゼロ点の補正およびゼロ点歪みデータを更新し(現在の歪みゲージ平均データをゼロ点歪みデータとする)(ステップS43)、その後、前記した図5のステップS21に戻す。なお、前記したコップのみの歪みデータを2で割っているが、これは判断基準に余裕をもたせるものであり、必ずしも2で割る必要はない。
【0043】
前記したステップS42においてコップがコップ置き台16にコップが置かれた可能性があると判断した場合には、その状態が所定時間(例えば1秒間)継続したか否か、すなわち、振動等によってコップ有りと判断誤検知を避けるための時間を継続したか否かを判断し(ステップS44)、誤検知であると判断するとステップS21に戻り、コップ有り(所定時間継続した)と判断すると、コップが置かれていると確定する(ステップS45)。
【0044】
次に満水時の歪みデータ×2/3>(歪みゲージ平均データ−ゼロ点歪みデータ)の条件であるか否か、すなわち、コップ内にコップ満水給水量の2/3以上の水が給水されている場合に、この状態から給水を行うと水がはねて患者の衣服等を汚す可能性があるので、前記条件であるか否かを監視する(ステップS46)。なお、給水されている水(残り水)がコップ満水量の2/3か否かの数値は、コップの形状等によって異なるので、使用するコップや他の環境等によって適宜設定することが可能である。
【0045】
このステップS46において、コップ満水量の2/3に達していると判断すると必要給水時間を0(ステップS47)としてステップS21に戻り、コップ満水量の2/3未満であると判断すると、前記した数式(1)
必要給水時間=〔{(データB)−(現在のデータ)−(データ0)}/{(データB)−(データA)}〕×データT
の演算式から必要給水時間を算出して給水を開始すると共に給水時間の減算を開始する(ステップS48)。次いで、前記した図6のステップS21に戻り前記した動作を監視しながらコップへの給水を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る自動コップ給水方法に使用する歪みゲージセンサの構成例を示す図である。
【図2】本発明の自動コップ給水方法を実施するための回路ブロック図である。
【図3】(a)は電源を投入した状態におけるフローチャートであり、(b)は歪みゲージ平均データの取得法を示す説明図である。
【図4】初期設定を行うためのフローチャートである。
【図5】給水時間に対する給水量(歪みゲージデータ)を示す特性図である。
【図6】コップへの給水動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】同上のサブフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
11 基台
12 支柱
13,14 板
15 支持柱
16 コップ置き台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪みゲージセンサによりコップ置き台に載置されたコップの重量を検出し、該コップに供給可能な水量を予め時間で設定し、前記コップがコップ置き台に載置されると前記予め設定された時間分だけタイマーにて水の供給が行われるようにしたことを特徴とする自動コップ給水方法。
【請求項2】
前記コップへの給水途中においてコップが取り上げられコップの重量を前記歪みゲージセンサが検出しなくなると給水を停止するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動コップ給水方法。
【請求項3】
前記コップ置き台に載置されたコップの重量が予め記憶されている水が入っていない空のコップの重量より重いと判断した場合には、前記タイマーによる給水時間を前記空コップの重量より重い水の分だけ減算して給水して水が溢れないようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動コップ給水方法。
【請求項4】
前記コップ置き台に載置されたコップの重量が予め記憶されている水が入っていない空のコップの重量より重く、水を給水すると水撥ねが発生する予め設定した値より重いと判断した場合には、コップへの給水を行わないようにしたことを特徴とする請求項3記載の自動コップ給水方法。
【請求項5】
コップが前記コップ置き台に載置されていない状態においての前記歪みゲージセンサの出力をゼロ点データとして検出し、電源投入時や予め設定された時間毎にゼロ点データを更新し、該更新したゼロ点データを基準にコップの有無を判断するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動コップ給水方法。
【請求項6】
コップが前記コップ置き台に載置されていない状態においての前記歪みゲージセンサの出力をゼロ点データとして検出し、電源投入時や予め設定された時間毎に検出したゼロ点データの値が、予め設定されたゼロ点データの範囲を越えた場合に、ブリッジ回路のバランス調整を自動的に行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動コップ給水方法。
【請求項7】
前記歪みゲージセンサは、一端が支柱に固定され他端が支持柱に湾曲可能に取付けられた2枚の板と、前記支持柱に取付けられたコップ置き台と、前記2枚の板におけるそれぞれの板の伸び方向に変位する部位と縮み方向に変位する部位のどちらか一方または両方に取付けられた歪みゲージによってブリッジ回路を構成し、このブリッジ回路のバランスの変化を検出することでコップが前記コップ置き台の如何なる場所に載せられても正確にコップの重量変化を検出することを特徴とする請求項1記載の自動コップ給水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−245972(P2008−245972A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91629(P2007−91629)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)