説明

自動ホワイトバランス誤動作防止回路

【目的】 本発明は、自動バックバランス回路を備えたカメラ(カムコーダ,業務用カメラ,放送用カメラなど)に関し、特に逆光補正をするために絞りを調整したり、分離された映像信号中で増幅単位での増幅利得を調整しようとする場合に、周囲の色温度の変化を認識してホワイトバランスを調整することにより、色再現性の劣化する現像を防止するようにした自動ホワイトバランス誤動作防止回路を提供する。
【構成】 自動ホワイトバランス回路が備えられたカメラにおいて、逆光を補正する逆光補正手段と、前記逆光補正手段から出力される逆光補正電圧が基準値以上の場合に制御信号を出力して、ホワイトバランスの状態を保つ比較手段とを備えることを特徴とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、自動ホワイトバランス回路を備えたカメラ(カムコーダ,業務用カメラ,放送用カメラなど)に関し、特に逆光補正をするために絞りを調整したり、分離された映像信号中で増幅単位での増幅利得を調整しようとする場合に、周囲の色温度の変化を認識してホワイトバランスを調整することにより、色再現性が劣化する現像を防止するようにした自動ホワイトバランス誤動作防止回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、カメラ技術の発達にともなって色再現が驚くほどに発展した。特に、被写体のうける照明に応じて変わる色温度信号を映像信号の処理過程中に補正して被写体固有の色に再現するためのホワイトバランス調整技術の発達は、色再現性を高めることに大きな影響を与えた。
【0003】
しかし、上記技術においては、ユーザが逆光を補正するために、絞りの開き基準電圧を変えたり、分離された映像信号の処理過程中に増幅単位での増幅利得を調整しようとすると、実際には色温度が変わっていないにもかかわらず、逆光補正による信号の変化をカメラでは色温度が変化したものと判断し、ユーザの望まないホワイトバランスの調整をして、色再現性が悪くなる現象が生じる問題点があった。
【0004】
特開昭62−175090号のカラービデオカメラでは、絞り装置の絞り状態を検出し、検出された絞り状態に応じてホワイトバランス回路の利得を制御して、ホワイトバランスを補正する技術が紹介されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭62−175090号の場合には、絞りの状態に応じてホワイトバランスを補正することにより色再現性があるほどには改善されるが、根本的な解決策とはならない。つまり、逆光補正時にもホワイトバランス補正が続けられて色再現性が低下する問題点が残る。
【0006】
したがって、本考案の目的は、逆光を補正するときにはホワイトバランス動作を中断し、カムコーダの色再現性を高めることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本考案の自動ホワイトバランス誤動作防止回路は、自動ホワイトバランス回路が備えられたカメラにおいて、逆光を補正する逆光補正手段と、前記逆光補正手段から出力される逆光補正電圧が基準値以上の場合に制御信号を出力して、ホワイトバランスの状態を保つ比較手段とを備える。
【0008】
【実施例】
図1は本実施例の自動ホワイトバランス誤動作防止回路の構成を示すブロック図である。
図1によれば、本考案の回路は、明るい背景により被写体が暗く現われた現象を補正する逆光補正手段100と、上記逆光補正手段100から出力される逆光補正電圧が基準値以上のときに制御信号を出力し、ホワイトバランス回路300の動作状態を保つ比較手段200とから構成される。
【0009】
つまり、逆光補正手段100からは、明るい背景により被写体が暗く現われる現像を補正するための電圧が出力されて、比較手段200に入力される。比較手段200は上記電圧と基準電圧Vref とを比べる。この際、比較手段200は上記電圧が基準電圧以上のとき制御信号を出力し、ホワイトバランス回路300に入力されると、ホワイトバランス回路300は現在のホワイトバランスの補正状態を保ちつつ入力映像信号(Input) を補正して出力(Output)する。
【0010】
上記の如く、本考案の自動ホワイトバランス誤動作防止回路は、逆光補正のため出力される電圧が基準電圧以上になると、ホワイトバランス補正を現状態に保つことによって誤動作が防止される。つまり、逆光補正のための絞りの調整や増幅利得の調整時に変換した画面周囲の色温度によるホワイトバランス誤動作が防止できる。
【0011】
一方、図2は、絞り調整により逆光を補正するカメラに本実施例を適用させた回路の構成を示すブロック図である。
図2によれば、被写体から入射される光はレンズ10と絞り20とを通って撮像部30に送られて、映像信号に変換されて出力される。上記映像信号がホワイトバランス回路300に入力されると、ホワイトバランス回路300は被写体固有の色に再現するため、被写体のうける照明に応じてかわるよう色温度信号を補正する。ホワイトバランス補正された映像信号は、映像信号処理部400で処理され複合映像信号として出力される。
【0012】
このとき、逆光補正手段110は逆光補正電圧aを出力するとともに、この電圧aによる絞り調整信号bを出力する。比較手段200は上記逆光補正電圧aと基準電圧Vref とを比べ、逆光補正電圧aが基準電圧以上になると比較手段200は制御信号を出力して、ホワイトバランス回路300の補正状態が現状態に保たれる。このように、ホワイトバランス回路300は、比較手段200から制御信号が入力されると、現在のホワイトバランスの補正状態を保ちつつ入力映像信号を補正,出力する。また、絞り20は絞り調整信号bにより開き状態が調整されて逆光を補正するようになる。
【0013】
したがって、本考案の自動ホワイトバランス誤動作防止回路は、逆光補正のときにカメラで色温度が変化したものと判断してホワイトバランスを調整することによる誤動作を防止できる。
図3は図2の逆光補正手段110の構成例を示すブロック図である。
図3によれば、逆光補正電圧を出力する逆光補正電圧部112と、上記逆光補正電圧部112から出力される逆光補正電圧aに応じて、絞りの開き状態を調整するための制御信号bを出力する絞り調整部114とから構成される。
【0014】
逆光補正電圧部112からは逆光により絞りの開きを調整するための逆光補正電圧aが出力されて、図2の比較手段200に入力されるとともに、絞り調整部114に入力される。このとき、比較手段200では逆光補正電圧aと絞り基準電圧とを比べて、逆光補正電圧aが基準電圧以上になると、ホワイトバランス補正を現状態に保たせる。また、絞り調整部114では、上記逆光補正電圧aに応じて絞り20の開き状態を調整する制御信号bを出力する。
【0015】
よって、図2のごとき、回路で構成されたカメラは,逆光補正時にホワイトバランス誤動作が防止される。
図4は、映像信号の処理過程中に増幅単位での増幅利得を調整して逆光補正をするカメラに本実施例を適用した回路の構成を示す図である。
図4によれば、映像信号(Input) はホワイトバランス回路300に入力される。ホワイトバランス回路300では、被写体のうける照明によりかわる色温度信号を補正し、被写体固有の色に再現して出力し、映像信号処理部400に入力される。入力された信号は、増幅器410,420,430で増幅されてエンコーダ440に入力され、この映像信号が処理されて複合映像として出力される。
【0016】
このとき、逆光補正手段120では、可変抵抗VR1,VR2,VR3により変換する逆光補正電圧が出力されて、映像処理部400の増幅器410,420,430に入力される。増幅器410,420,430は上記逆光補正電圧により増幅利得が調整され逆光が補正される。つまり、信号のレベルを高めると絞りの開きと同じ効果を得るため、映像信号(たとえば、R−y,B−y,y信号)
を増幅する増幅器410,420,430の利得を調整して逆光を補正する。このときの増幅器410,420,430の利得は、可変抵抗VR1,VR2,VR3により制御される。
【0017】
一方、可変抵抗VR1により変化する逆光補正電圧は、比較手段200に入力されて逆光補正電圧と基準電圧Vref とが比べられる。比較結果から逆光補正電圧が基準電圧以上になると、比較手段200は制御信号を出力し、ホワイトバランス回路300に入力する。上記制御信号が入力されると、ホワイトバランス回路300はホワイトバランスの補正状態を現状態に保ちつつ、入力映像信号を補正,出力(Output)する。つまり、ホワイトバランス回路300は、逆光補正電圧aが基準電圧以上になると、ホワイトバランスK補正状態を現状態に保つ。
【0018】
ここでは、逆光補正電圧の場合として、可変抵抗VR1から出力する電圧についてのみ述べたが、逆光補正のときは可変抵抗VR2,VR3による電圧も変化するため、任意の可変抵抗から出力される電圧と基準電圧とを比べて、ホワイトバランス回路の動作を制御しても同じ効果を得ることができる。
【0019】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案による自動ホワイトバランス誤動作防止回路は、逆光補正のときにカメラで色温度が変化すると判断してホワイトバランスを調整することによって生じるホワイトバランスの誤動作を防止し、色再現性の向上がはかれる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の自動ホワイトバランス誤動作防止回路のブロック図である。
【図2】本実施例の自動ホワイトバランス誤動作防止回路を適用する一実施例回路のブロック図である。
【図3】逆光補正手段の具体的ブロック図である。
【図4】線実施例の自動ホワイトバランス誤動作防止回路を適用する他実施例回路のブロック図である。
【符号の説明】
10…レンズ、20…絞り、100…逆光補正手段、112…逆光補正電圧部、114…絞り調整部、200…比較手段、300…ホワイトバランス回路、400…映像信号処理部、410,420,430…増幅器

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 自動ホワイトバランス回路が備えられたカメラにおいて、逆光を補正する逆光補正手段と、前記逆光補正手段から出力される逆光補正電圧が基準値以上の場合に制御信号を出力して、ホワイトバランスの状態を保つ比較手段とを備えることを特徴とする自動ホワイトバランス誤動作防止回路。
【請求項2】 前記逆光補正手段は、逆光補正電圧を出力する逆光補正電圧部と、前記逆光補正電圧部から出力される逆光補正電圧に応じて絞りの開き状態を調整するための制御信号を出力する絞り調整部とを備えることを特徴とする請求項1記載の自動ホワイトバランス誤動作防止回路。
【請求項3】 前記逆光補正手段は、映像信号を増幅する増幅器の増幅利得を調整する可変抵抗から構成されることを特徴とする請求項1記載のホワイトバランス誤動作防止回路。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】実開平5−60064
【公開日】平成5年(1993)8月6日
【考案の名称】自動ホワイトバランス誤動作防止回路
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−81987
【出願日】平成4年(1992)11月27日
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)