説明

自動二輪車の舵角センサ取付構造

【課題】舵角センサ及び舵角センサ取付構造の耐久性並びに検出精度を向上させる。
【解決手段】舵角センサ取付機構70は、ステアリングステム43の下部に取付けられたシャフト受け部材78と、シャフト受け部材78に連結されたシャフト81と、シャフト81の下端に連結された舵角センサ48のセンサ可動部102と、車体フレームに取付けられたロアケース74と、センサ可動部102が相対移動するようにロアケース74の内側に取付けられた舵角センサ48のセンサ固定部101と、上端がシャフト受け部材78とシャフト81との連結部81aの近傍に支持されるとともに下端がロアケース74に取付けられてシャフト81の周囲を覆うように配置されたアッパケース76とから構成され、このアッパケース76がシャフト受け部材78の内側に嵌合され、アッパケース76の筒状部76cが、その外径Dよりも上下に長く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の舵角センサ取付構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動二輪車の舵角センサ取付構造として、車体フレーム前端に備えるヘッドパイプに回動自在にステアリングステムが設けられ、このステアリングステム側であるフロントフォークのボトムブリッジと、車体フレーム側との間にポテンショメータ型の舵角センサが取付けられた構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭62−57550号公報
【0003】
特許文献1の第1図〜第3図を以下で説明する。
前輪6を懸架するフロントフォーク7は、左右がトップブリッジ3及びボトムブリッジ4で連結され、これらのトップブリッジ3とボトムブリッジ4とにステアリングステム5が渡され、ステアリングステム5が、車体フレーム1のヘッドパイプ2に回動自在に挿入されている。
【0004】
ボトムブリッジ4には取付アーム13を介してセンサー10を構成する筒状の本体11が取付けられ、この本体11がステアリングステム5の下端部の内側に配置されている。
また、車体フレーム1にはアーム16を介してシャフト15が取付けられ、シャフト15がセンサー10の本体11内に配置されるとともに、シャフト15の根本部分に軸受ブッシュ14を介して本体11が嵌合している。
【0005】
シャフト15の端部には摺動板23が取付けられ、本体11の端部には、摺動板23と摺動する抵抗体21が取付けられている。従って、ステアリングステム5の上端に取付けられたバーハンドル9を切ることで摺動板23に対して抵抗体21が摺動するため、センサー10の抵抗値が変化し、前輪の舵角が検出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサー10の本体11は、シャフト15の根本部分に軸受ブッシュ14を介して嵌合しているため、例えば、車体フレーム1に対してステアリングステム5が軸直角方向に変位した場合には、この変位による外力がシャフト15、軸受ブッシュ14、本体11に局部的に作用するので、これらの部品の耐久性の面で改善が望まれる。
【0007】
また、軸受ブッシュ14を支点として本体11とシャフト15との間で傾きが生じた場合、これに伴い、抵抗体21に対して摺動板23が傾いて、センサー10の検出精度が低下する。
本発明の目的は、舵角センサ及び舵角センサ取付構造の耐久性並びに検出精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体フレームを構成するヘッドパイプ内にステアリングステムが回動自在に挿入され、このステアリングステムの上端にバーハンドルが取付けられ、このバーハンドルの舵角を検出する舵角センサが車体フレームとステアリングステムとの間に取付けられた自動二輪車において、ステアリングステムの下部にステアリングステム内に延びるように取付けられたシャフト受け部材と、このシャフト受け部材の上端部に連結されたシャフトと、舵角センサを構成するために小径部の下端に取付けられた可動部と、車体フレームに取付けられた第1筒状ケースと、舵角センサを構成するために可動部が相対移動するように第1筒状ケースの内側に取付けられた固定部と、上端がシャフト受け部材とシャフトとの連結部近傍に支持されるとともに下端が第1筒状ケースに取付けられてシャフトの周囲を覆うように配置された第2筒状ケースとから構成され、この第2筒状ケースが、その外周面をシャフト受け部材の内周面に当接し得るようにシャフト受け部材の内側に嵌合されるとともに第2筒状ケースの筒状部が、その外径よりも上下に長く形成されていることを特徴とする。
【0009】
作用として、車体フレームに対してステアリングステムが変位したときに、ステアリングステムの下部に取付けられたシャフト受け部材と第2筒状ケースとの間に力が作用する。ここで、第2筒状ケースの筒状部は、外径より上下に長く形成されているので、変位に対して第2筒状ケースの広い面積で力を受けることができる。更に、シャフトのほぼ全長に亘って第2筒状ケースが配置されているので、シャフト受け部材と第2筒状ケースとの間の傾きが低減できる。
【0010】
請求項2に係る発明は、シャフトが、シャフト受け部材に連結された連結部と、この連結部よりも外径が小さくされた小径部とからなり、樹脂製であることを特徴とする。
作用として、樹脂製のシャフトは、例えば、金属製のシャフトに比べて撓みやすく、車体フレームに対するステアリングステムの変位が吸収しやすい。また、シャフトを小径部によって撓みやすくすることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、固定部が、可動部に設けられた摺動体と摺動する抵抗体であり、第1筒状ケースにおけるステアリングステムの軸線に対して直交する面に取付けられていることを特徴とする。
【0012】
作用として、ステアリングステムの軸線が上下に延び、この軸線に対して直交する第1筒状ケースの面に舵角センサを取付けることで、舵角センサの高さを小さくすることが可能になる。
【0013】
請求項4に係る発明は、シャフト受け部材と第2筒状ケースとの間に、弾性部材からなるシール部材が介在するとともに隙間が設けられていることを特徴とする。
作用として、車体フレームに対してステアリングステムが変位したときに、弾性部材と隙間による外力の吸収が可能になる。
【0014】
請求項5に係る発明は、舵角センサに接続されるカプラの接続方向が、第1筒状ケースの底面に対して平行であることを特徴とする。
作用として、第1筒状ケースの底面からカプラが大きく突出しない。
【0015】
請求項6に係る発明は、第1筒状ケースが、支持ステーを介して車体フレームに取付けられ、支持ステーに、カプラの両側を挟むように細長いスリットが設けられていることを特徴とする。
【0016】
作用として、カプラの両側を支持ステーによって保護することが可能になる。また、支持ステーのスリットにハーネスを通し、スリット内のスペースを有効活用するとともに、ハーネスを見栄え良く配線することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、ステアリングステムの下部にステアリングステム内に延びるように取付けられたシャフト受け部材と、このシャフト受け部材の上端部に連結されたシャフトと、舵角センサを構成するために小径部の下端に取付けられた可動部と、車体フレームに取付けられた第1筒状ケースと、舵角センサを構成するために可動部が相対移動するように第1筒状ケースの内側に取付けられた固定部と、上端がシャフト受け部材とシャフトとの連結部近傍に支持されるとともに下端が第1筒状ケースに取付けられてシャフトの周囲を覆うように配置された第2筒状ケースとから構成され、この第2筒状ケースが、その外周面をシャフト受け部材の内周面に当接し得るようにシャフト受け部材の内側に嵌合されるとともに第2筒状ケースの筒状部が、その外径よりも上下に長く形成されているので、車体フレームに対してステアリングステムが変位したときに、ステアリングステムの下部に取付けられたシャフト受け部材と第2筒状ケースとの間に作用する力を第2筒状ケースの広い面積で受けることができ、局部的な外力の集中を防いで舵角センサ取付構造の耐久性を向上させることができる。
【0018】
また、第2筒状ケースがシャフトのほぼ全長に亘ってシャフトの周囲を覆うように配置されているので、シャフト受け部材と第2筒状ケースとの間の傾きを低減することができ、シャフト自体の傾きを低減することができて、舵角センサの検出精度を向上させることができる。
【0019】
請求項2に係る発明では、シャフトが、シャフト受け部材に連結された連結部と、この連結部よりも外径が小さくされた小径部とからなり、樹脂製であるので、車体フレームに対してステアリングステムが変位した場合に、シャフトの小径部を更に撓みやすくすることができ、車体フレームに対するステアリングステムの変位をより一層吸収しやすくすることができる。また、シャフトを小径部によって撓みやすくすることができる。
【0020】
請求項3に係る発明では、固定部が、可動部に設けられた摺動体と摺動する抵抗体であり、第1筒状ケースにおけるステアリングステムの軸線に対して直交する面に取付けられているので、舵角センサの高さを小さくすることができ、ステアリングステムの下方に配置される前輪を覆うフロントフェンダと舵角センサとの距離を確保しやすくすることができる。
【0021】
請求項4に係る発明では、シャフト受け部材と第2筒状ケースとの間に、弾性部材からなるシール部材が介在するとともに隙間が設けられているので、車体フレームに対してステアリングステムが変位したときに、弾性部材と隙間により外力を吸収することができる。従って、舵角センサ取付構造の耐久性をより一層向上させることができる。
【0022】
請求項5に係る発明では、舵角センサに接続されるカプラの接続方向が、第1筒状ケースの底面に対して平行であるので、第1筒状ケースの底面からのカプラの突出量を小さくすることができ、スペースを有効に利用することができる。
【0023】
請求項6に係る発明では、第1筒状ケースが、支持ステーを介して車体フレームに取付けられ、支持ステーに、カプラの両側を挟むように細長いスリットが設けられているので、カプラの両側を支持ステーによって保護することができる。また、ハーネスを配置するスペースを確保することができ、スペースの有効利用を図ることができるとともに、ハーネスを見栄え良く配線することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る舵角センサ取付構造を備える自動二輪車の前部斜視図であり、自動二輪車10は、車体の前部に前輪11を支持するフロントフォーク12が設けられ、このフロントフォーク12を操舵するバーハンドル13がフロントフォーク12の上方に配置され、フロントフォーク12に舵角センサ(不図示。詳細は後述する。)が設けられている。
また、自動二輪車10には、上記した舵角センサを利用して盗難を防止する警報装置(不図示。詳細は後述する。)が設けられている。
【0025】
図中の符号21は前輪11の上方を覆うフロントフェンダ、22はフロントフォーク12の上部の周囲を覆うフロントカバー、23はフロントカバー22の上部に連続するように設けられたスクリーンガーニッシュ、24はスクリーンガーニッシュ23に連続するように設けられたウインドスクリーン、25はヘッドライト、26はウインカ、27はフロントカバー22の後方に配置されたインナカバー、28はシート、29はシート28の下方を覆うセンタカバー、31は乗員が足を載せるフロアステップ、32はフロアステップ31の下方を覆うフロアスカート、33は左右のフロアスカート32,32(手前側の符号32のみ示す。)の前端間に設けられたフロントロアカバーである。
【0026】
図2は本発明に係る自動二輪車のフロントフォーク及びその周囲を説明する斜視図であり、フロントフォーク12は、車体フレーム41の前端を構成するヘッドパイプ42に回動自在に取付けられたステアリングステム43と、このステアリングステム43の下端部に取付けられたブリッジ44と、このブリッジ44の両端部に取付けられた左右のフォークパイプ46,47とからなり、これらのフォークパイプ46,47の下端部に車軸を介して前輪11(図1参照)が取付けられ、ステアリングステム43の上端部にバーハンドル13が取付けられている。
【0027】
ブリッジ44の下部には舵角センサ48が設けられ、フロントカバー22(図1参照)に取付けられたメータ51内には、メータ51の制御、ウインカ26(図1参照)の作動を自動で解除するオートキャンセル機能などのためのECU(エレクトロニックコントロールユニット)52が設けられている。
【0028】
図中のイグニッションスイッチとしてのメインスイッチ53、警笛を鳴らすためにヘッドパイプ42に取付けられたブザー54は、自動二輪車10に備える補機部品であるが、警報装置の一部を構成する部品でもある。
【0029】
なお、55,56はヘッドパイプ42から後方斜め下方に延びる左右一対のメインフレーム、57,58はヘッドパイプ42からメインフレーム55,56の下方を後方斜め下方そして後方に延びる左右一対のダウンフレーム、61は前輪用ブレーキレバー、62は後輪用ブレーキレバーである。
【0030】
図3は本発明に係る舵角センサ取付構造を示す自動二輪車の要部正面図であり、固定側である車体フレーム41側と可動側であるフロントフォーク12側との間に、舵角センサ48(図2参照)を取付けるためのセンサ取付機構70が設けられている。
【0031】
センサ取付機構70は、ステアリングステム43の下方の延長上に設けられ、車体フレーム41側では、左右のダウンフレーム57,58に取付けられた補強プレート71(車体フレーム41を構成する部材である。)に取付けられた支持ステー72を備える。
【0032】
図4は本発明に係る舵角センサ取付構造を示す自動二輪車の前部側面図であり、センサ取付機構70は、フロントフォーク12のブリッジ44から下方に突出するとともに、フロントフェンダ21の上方に配置されている。
【0033】
図5は図4の5−5線断面図であり、センサ取付機構70は、車体フレーム41(図2参照)側に取付けられた支持ステー72と、この支持ステー72に支持された円盤状で内側に舵角センサ48を収納する凹部74aを備えるロアケース74と、このロアケース74で支持された筒状のアッパケース76と、ブリッジ44の下部に2本のボルト77,77で取付けられたシャフト受け部材78と、このシャフト受け部材78の内側に上端が取付けられるとともに下端が舵角センサ48に連結された樹脂製のシャフト81とからなる。なお、83〜85は内部に雨水、ダスト等が侵入するのを防ぐ弾性部材からなるOリングである。
【0034】
上記の支持ステー72、ロアケース74、アッパケース76は固定側、シャフト受け部材78、シャフト81は、ステアリングステム43及びブリッジ44と共に回動する可動側である。
【0035】
支持ステー72は、図3において、一端が車体フレーム41側の補強プレート71にボルト91で取付けられ、他端がフォーク状に形成されて2本のアーム部72a,72aの間にスリット72bが形成され、このスリット72bの間に舵角センサ48に接続されたハーネス92が通されている。なお、93はハーネス92の先端に備えるカプラであり、カプラ93がスリット72b内に配置されている、即ち、カプラ92の両側がアーム部72a,72aで挟まれている。
図4において、ハーネス92は、支持ステー72の上面上を車両後方に延び、ハーネス92の途中は支持ステー72にクランプ部材94でクランプされている。
【0036】
図5に戻って、ロアケース74は、支持ステー72のアーム部72a,72aに設けられた取付穴72c,72cに挿入される下方突出部74b,74bと、アッパケース76に形成されたフランジ76aが収納される円形状凹部74cと、アッパケース76に形成された環状突出部76bと嵌合するように円形状凹部74cの底面に形成された環状溝74dとを備える。なお、74gはロアケース74の底面である。
【0037】
アッパケース76は、シャフト81を囲むように設けられた筒状部76cと、この筒状部76cの下端に一体に形成されるとともに筒状部76cの外径よりも大きく形成されたフランジ76aと、このフランジ76aの下面から一体に突出する環状突出部76bとからなり、筒状部76cの底壁76dに開けられた底壁穴76eがシャフト81に嵌合している。
【0038】
ブリッジ44は、ステアリングステム43が圧入される貫通穴44aと、この貫通孔44aの両側の下面に突出形成されたボス部44b,44bと、ボルト77,77をねじ込むためにボス部44b,44bに形成されためねじ44c、44cとを備える。
【0039】
シャフト受け部材78は、有底筒状の上部筒部78aと、この上部筒状部78aの下部に上部筒状部78aよりも大径に一体に形成された下部筒状部78bと、この下部筒状部78bから左右に一体に突出する取付ステイ部78c,78cとからなり、上部筒状部78aと下部筒状部78bの上部とは、ステアリングステム43の中空部43a内に挿入されている。
取付ステイ部78cは、ボルト挿通穴78dが開けられ、このボルト挿通穴78dにボルト77が通される。なお、95はワッシャである。
【0040】
シャフト81は、シャフト受け部材78の上部筒状部78aに連結ピン97で連結された連結部81aと、この連結部81aの下部に一体に形成されるとともに下端が舵角センサ48に連結された小径部81bとからなる。
【0041】
連結部81aは、上部筒状部78aの内径よりもわずかに小さい外径を有する部分であり、連結部81aの下部に一体にフランジ部81cを備え、連結部81aがアッパケース76の底壁穴76eに回動自在に嵌合し、連結部81aと筒状部76cとの間の空間にはOリング83が配置されている。
【0042】
舵角センサ48は、ロアケース74の凹部74aの底面74eに取付けられたセンサ固定部101と、このセンサ固定部101に回動自在に設けられるとともにシャフト81の小径部81bが挿入されたセンサ可動部102とからなり、上下に偏平にされている。
舵角センサ48が取付けられる凹部74aの底面74eは、ステアリングステム43の軸線43bに直交する面である。
【0043】
図6は本発明に係る舵角センサ及びハーネスを示す斜視図であり、舵角センサ48は、ポテンショメータ型のものであり、センサ固定部101は、基部105と、この基部105の上面に設けられた抵抗体106と、基部105の側面から突出する3つの端子107〜109とからなる。
【0044】
抵抗体106は、環状部106aと、この環状部106aの両端に一体に形成された直線部106b,106cとからなる。
センサ可動部102は、シャフト81(図5参照)の小径部81b(図5参照)が挿入される可動本体111と、この可動本体111に取付けられた可動端子112とからなる。
【0045】
可動本体111は、小径部81bが挿入されるシャフト挿入穴111aを備え、シャフト挿入穴111aの内面111bは、円弧面111cと、回り止めのための平坦面111dとからなる。
【0046】
可動端子112は、端子基部112aと、この端子基部112aに取付けられるとともに抵抗体106と摺動する摺動片112bとからなり、抵抗体106に電気的に接続されている。
【0047】
端子107〜109は、ハーネス92のカプラ93が接続される。
端子107は抵抗体106の直線部106bに接続され、端子108は可動端子112、詳しくは、摺動片112bに接続され、端子109は抵抗体106の直線部106cに接続されている。従って、シャフト81の回動に伴って摺動片112bが回動すると、端子107,108間、あるいは端子108,109間の電気抵抗が変化する。
【0048】
カプラ93を、白抜き矢印で示すように、舵角センサ48の端子107〜109に接続する接続方向は、図5に示したロアケース74の底面74gに対して平行であるから、舵角センサ48の取付高さを小さくすることができ、ステアリングステム43の下方における舵角センサ取付機構70の占有スペースを小さくすることができて、自動二輪車のスペースを有効に利用することができる。
【0049】
以上に述べたセンサ取付機構70の作用を図2及び図5で説明する。
バーハンドル13を回動させると、これに伴って、ステアリングステム43及びブリッジ44が回動し、可動側であるシャフト受け部材78及びシャフト81が回動し、シャフト81の小径部81bが舵角センサ48のセンサ可動部102を回動させる。
この結果、舵角センサ48の電気抵抗が変化し、この変化が後述するECU52(図7参照)によって前輪の舵角に変換される。
【0050】
例えば、車体フレーム41に対してステアリングステム43が軸直角方向(図5の左右方向)に変位すると、これに伴ってブリッジ44及びシャフト受け部材78が軸直角方向に変位するため、シャフト81の連結部81aも軸直角方向に変位する。
【0051】
この結果、固定側であるロアケース74内の舵角センサ48に連結された小径部81bの下端に対して小径部81bの上端が連結部81aと共に変位するから、小径部81bが撓む。樹脂製の小径部81bは細軸にされているから容易に変形し、車体フレーム41に対するステアリングステム43の変位を吸収しやすい。
従って、シャフト81から舵角センサ48に大きな外力が作用しにくくなり、舵角センサ48及び舵角センサ取付機構70を構成する各部品の耐久性を高めることができる。
【0052】
また、アッパケース76の筒状部76cは上下に長く形成される(筒状部76cの外径をD、筒状部76cの長さをL1としたときに、L1>Dとなる。)ので、固定側であるロアケース74側のフランジ76aに対して底壁76dを、シャフト81の連結部81aと共に軸直角方向に変位させるような外力をアッパケース76の広い面積で受けることができる。従って、ステアリングステム43の変位時に、シャフト受け部材78の内面と、アッパケース76の外面とが当たった際、外力が局部的に集中するのを防ぐことができる。
【0053】
図中の符号L2はシャフト受け部材78の内面の高さであり、長さL1と略等しくなっている。符号Cはシャフト受け部材78の下部筒状部78bとアッパケース76の筒状部76cとの隙間であり、このように隙間Cを設けることで、この隙間Cと弾性部材であるOリング84とでシャフト受け部材78とアッパケース76との相対変位を吸収することができる。
【0054】
アッパケース76は、ロアケース74と共に舵角センサ48が収納される空間115を形成することで空間115内に雨水や土埃等が侵入しないように保護するための部材としても機能する。
【0055】
以上の図1、図2及び図5に示したように、本発明は第1に、車体フレーム41を構成するヘッドパイプ42内にステアリングステム43が回動自在に挿入され、このステアリングステム43の上端にバーハンドル13が取付けられ、このバーハンドル13の舵角を検出する舵角センサ48が車体フレーム41とステアリングステム43との間に取付けられた自動二輪車10において、ステアリングステム43の下部にステアリングステム43内に延びるように取付けられたシャフト受け部材78と、このシャフト受け部材78の上端部に連結された連結部81a及びこの連結部81aよりも外径が小さくされた小径部81bからなるシャフト81と、舵角センサ48を構成するために小径部81bの下端に取付けられた可動部としてのセンサ可動部102と、車体フレーム41に取付けられた第1筒状ケースとしてのロアケース74と、舵角センサ48を構成するためにセンサ可動部102が相対移動するようにロアケース74の内側に取付けられたセンサ固定部101と、上端がシャフト受け部材78とシャフト81との連結部81aの近傍に支持されるとともに下端がロアケース74に取付けられてシャフト81の周囲を覆うように配置された第2筒状ケースとしてのアッパケース76とから構成され、このアッパケース76が、その外周面をシャフト受け部材78の内周面に当接し得るようにシャフト受け部材78の内側に隙間Cを有して嵌合され、アッパケース76の筒状部76cが、その外径よりも上下に長く形成されているので、車体フレーム41に対してステアリングステム43が変位したときに、ステアリングステム43の下部に取付けられたシャフト受け部材78とアッパケース76との間に作用する力をアッパケース76の広い面積で受けることができ、局部的な外力の集中を防いで舵角センサ取付構造の耐久性を向上させることができる。
【0056】
また、アッパケース76がシャフト81のほぼ全長に亘ってシャフト81の周囲を覆うように配置されているので、シャフト受け部材78とアッパケース76との間の傾きを低減することができ、シャフト81自体の傾きを低減することができて、舵角センサ48の検出精度を向上させることができる。
【0057】
本発明は第2に、シャフト81が、シャフト受け部材78に連結された連結部81aと、この連結部81aよりも外径が小さくされた小径部81bとからなり、樹脂製であるので、車体フレーム41に対してステアリングステム43が変位した場合に、シャフト81の小径部81bを更に撓みやすくすることができ、車体フレーム41に対するステアリングステム43の変位をより一層吸収しやすくすることができる。また、シャフト81を小径部81bによって撓みやすくすることができる。
【0058】
本発明は第3に、図4〜図6に示したように、センサ固定部101が、センサ可動部102に設けられた摺動体としての摺動片112bと摺動する抵抗体106であり、ロアケース74におけるステアリングステム43の軸線43bに対して直交する面としての凹部74aの底面74eに取付けられているので、舵角センサ48の高さを小さくすることができ、ステアリングステム43の下方に配置される前輪11(図1参照)を覆うフロントフェンダ21と舵角センサ48との距離を確保しやすくすることができる。
【0059】
本発明は第4に、図5に示したように、シャフト受け部材78とアッパケース76との間に、弾性部材からなるシール部材としてのOリング84が介在するとともに隙間Cが設けられているので、車体フレーム41に対してステアリングステム43が変位したときに、Oリング84と隙間Cとで外力を吸収することができる。従って、舵角センサ取付構造の耐久性をより一層向上させることができる。
【0060】
本発明は第5に、図5、図6に示したように、舵角センサ48に接続されるカプラ93の接続方向が、ロアケース74の底面74gに対して平行であるので、ロアケース74の底面74gからのカプラ93の突出量を小さくすることができ、スペースを有効に利用することができる。
【0061】
本発明は第6に、図3〜図5に示したように、ロアケース74が、支持ステー72を介して車体フレーム41に取付けられ、支持ステー72に、カプラ93の両側を挟むように細長いスリット72bが設けられているので、カプラ93の両側を支持ステー72によって保護することができる。また、ハーネス92を配置するスペースを確保することができ、スペースの有効利用を図ることができるとともに、ハーネス92を見栄え良く配線することができる。
【0062】
図7は本発明に係る警報装置を示すブロック図であり、警報装置120は、イグニッションスイッチ53と、舵角センサ48と、サイドスタンドに設けられたサイドスタンドスイッチ121と、自動二輪車10(図1参照)に備える各種センサ122(詳細は後述する。)と、イグニッションスイッチ53がオフとなったときに出力されるオフ情報JOFF、舵角センサ48から出力される舵角信号SA、サイドスタンドが跳ね上げられたときにサイドスタンドスイッチ121から出力される跳ね上げ情報JH、各種センサ122から出力される検知信号SSを受けるCPU(中央処理装置)123と、このCPU123から出力される記憶情報J1〜J4(具体的には、各時刻毎の舵角である。)を記憶するとともに記憶された記憶情報J1〜J4をCPU123に出力する第1記憶部131、第2記憶部132、第3記憶部133及び第4記憶部134と、CPU123から出力される記憶情報J1〜J4を受け、これらの記憶情報の演算結果(具体的には、各時刻の舵角の差、即ち、舵角差)を記憶されている基準値(具体的には、基準舵角差)と比較して異常であるかどうか、即ち、バーハンドルが操作されているかどうか、換言すれば、盗難行為が行われているかどうかを判別する異常判別部136と、この異常判別部136で異常と判別されたときに出力される異常信号SABを受けて警報を発する警報装置(ブザー)54とからなる。
上記の第1記憶部131、第2記憶部132、第3記憶部133及び第4記憶部134は、記憶装置130を構成する部分である。
【0063】
上記のCPU123、第1記憶部131、第2記憶部132、第3記憶部133及び第4記憶部134及び異常判別部136は、制御装置138を構成する部分であり、制御装置138は、例えば、図2に示されたECU52でその機能を果たすことが可能である。
【0064】
各種センサ122としては、例えば、図2において、ステアリングステム43側と車体フレーム41側との間に設けられたハンドルロック部にこじりや打撃が加えられたときにその衝撃を検知するハンドルロック部衝撃検知センサ、イグニッションスイッチ(メインスイッチ)53にドライバ、はさみ等のキー以外の異物が挿入されたことを検知するイグニッションスイッチ異物挿入検知センサ、前輪又は後輪の車輪速度を検出する車輪速センサなどが挙げられる。
また、警報装置54としては、ブザーの他に、光を発するインジケータでもよい。
【0065】
上記の警報装置120の作用を簡単に説明する。
エンジンを停止させるためにイグニッションスイッチ53をOFFにすると、イグニッションスイッチ53からCPU123へオフ情報が入力される。これにより、CPU123は舵角センサ48からの舵角信号SAの入力を所定時間間隔で開始する。
【0066】
この状態で、所有者等が意図しない自動二輪車の移動が行われるような異常事態が発生し、バーハンドルの舵角が変化すると、CPU123は、変化後の舵角と変化前の舵角との比較値が所定値以下かどうかを異常判別部136に判別させる。
異常判別部136は、上記の比較値が所定値を越えている場合は警報装置54から警報を発するようにさせる。
【0067】
警報を発する処理には段階があり、第1段階で警報を発した後、更に舵角が変化し、舵角変化後と変化前との比較値が再度所定値を越えている場合には、第2段階として警報を発し、同様にして第3段階として警報を発する。
各段階の警報の度合(警報の長さ、警報の音の高さ、警報の光の強さなど)は、段階を進む毎に大きくなり、警報装置としての作用・効果を高める。
【0068】
また、CPU123が、サイドスタンドスイッチ121からの跳ね上げ情報JH、各種センサ122からの検知信号SSを受けると、CPU123は、イグニッションスイッチ53及び舵角センサ48から情報や信号を受けたときに比較して、異常の度合がより大きいことを示す異常信号を異常判断部136に送り、警報装置54から度合の大きい警報を発するようにさせる。
以下に警報装置120の作用を詳細に説明する。
【0069】
図8は本発明に係る警報装置の作動の流れを示す第1フローチャート、図9は本発明に係る警報装置の作動の流れを示す第2フローチャートであり、これらの第1フローチャートと第2フローチャートとは結合子C1,C2,C3で結合されている。なお、図中のSTXXはステップ番号を示している。
ST01…イグニッションスイッチをONからOFFにする。このとき、時刻tを時刻t0(ゼロ)とし、t=t0=0(ゼロ)とする。
【0070】
これにより、制御装置138(図7参照)が起動し、舵角センサ48(図7参照)からの舵角信号を入力するスタンバイ状態になる。
このとき、例えば、メータ内に設けられたインジケータが点灯し、スタンバイ状態であることを運転者に知らせる。
【0071】
また、イグニッションスイッチをON→OFFとした後、OFF→ON、続いてON→OFFとすることで、制御装置138を停止させ、スタンバイ状態を解除することも可能である。(このとき、上記のインジケータは消灯する。)
【0072】
ST02…ST01の処理終了から10sec(=10秒)後、即ち、t=t1=(t0+10)sec後の時点で舵角センサで検出された舵角A0(ゼロ)を第1記憶部に記憶させる。
ST03…ST02の処理終了から5sec後、即ち、t=t2=(t1+5)sec後の時点で舵角センサで検出された舵角A1を第2記憶部に記憶させる。
【0073】
ST04…舵角A1と舵角A0との差が基準舵角差AC1よりも小さいか、あるいは等しいか判断する。
(A1−A0)≦AC1である(YES)場合は、ST05に進む。
(A1−A0)≦AC1でない(NO)場合は、ST06に進む。
以上のST02〜ST04が第1段階である通常の監視段階である。
【0074】
ST05…舵角A1を消去し、ST02に進む。
ST06…0.5secの間、警報を発する。
ST07…ST03の処理終了から2.5sec後、即ち、ST06の処理終了から2sec後の時点で舵角センサで検出された舵角A2を第3記憶部に記憶させる。
【0075】
ST08…舵角A2と舵角A1との差が基準舵角差AC2よりも小さいか、あるいは等しいか判断する。
(A2−A1)≦AC2である(YES)場合は、ST09に進む。
(A2−A1)≦AC2でない(NO)場合は、結合子C1を介してST13に進む。
以上のST07〜ST08が第2段階である異常の検出段階である。
【0076】
ST09…舵角A2を消去する。
ST10…カウンタ数Vの初期値を0(ゼロ)にする(即ち、V=0)。V+1をVに代入する。
ST11…カウンタ数Vが10より小さいか、あるいは等しいか判断する。
V≦10である(YES)場合は、ST07に進む。
V≦10でない(NO)場合は、ST12に進む。
【0077】
ST12…0(ゼロ)をVに代入し、舵角A1を消去し、ST02に進む。
上記のST10のようにカウンタを設けることで、第1段階よりも警報の度合が強い第2段階の状態を所定時間維持して、警戒状態を長く保つことができる。
ST13…1secの間、警報を発する。このときの警報時間1secは、ST06での警報時間0.5secよりも長くなる。
ST14…ST13の処理終了から0.5sec後の時点で舵角センサで検出された舵角A3を第4記憶部に記憶させる。
【0078】
ST15…舵角A3と舵角A2との差が基準舵角差AC3よりも小さいか、あるいは等しいか判断する。
(A3−A2)≦AC3である(YES)場合は、ST16に進む。
(A3−A2)≦AC3でない(NO)場合は、ST20に進む。
【0079】
ST16…舵角A3を消去する。
ST17…カウンタ数Wの初期値を0(ゼロ)にする(即ち、W=0)。W+1をWに代入する。
ST18…カウンタ数Wが10より小さいか、あるいは等しいか判断する。
W≦10である(YES)場合は、ST14に進む。
W≦10でない(NO)場合は、ST19に進む。
【0080】
ST19…0(ゼロ)をVに代入し、0(ゼロ)をWに代入し、舵角A0,A1,A2を消去し、結合子C2を介してST02に進む。
ST20…A3をA2に代入し、舵角A3を消去する。
ST21…カウンタ数Xの初期値を0(ゼロ)にする(即ち、X=0)。X+1をXに代入する。
【0081】
ST22…カウンタ数Xが3より小さいか、あるいは等しいか判断する。
X≦3である(YES)場合は、ST14に進む。
X≦3でない(NO)場合は、ST23に進む。
以上のST14〜ST15及びST20〜ST22が第3段階である車両の異常の確定段階である。このように第3段階を設けることで、車両の異常を確実に識別することができる。
【0082】
上記のST22でX≦3である場合にST14に進んだときには、前回のST14での処理から0.5sec後に、新たな舵角A3を第4記憶部に記憶させる。そして、ST15では、新たな舵角A3と、舵角A2(前回のST14での処理に用いられた舵角A3である。)との差が基準舵角変化AC3よりも小さいか、あるいは等しいか判断する。
このように、第3段階では、カウンタ数X毎に新たな舵角変化が起こっているかどうかを連続して判断する。
【0083】
第3段階(最大警戒状態)では、舵角変化の異常を連続して検出した場合に車両に対する異常事態が発生している可能性が高いと判断し、ST23で最も長い警報(15secの警報)を発する。
ST22でのカウンタ数がX=4に達した場合は、直ちに警報を発することでより早く車両の周囲に異常事態が発生していることを知らせることができる。
【0084】
ST23…15secの間、警報を発する。このときの警報時間15secは、ST13での警報時間1secよりも一層長くなる。
ST24…カウンタ数Yの初期値を0(ゼロ)にする(即ち、Y=0)。Y+1をYに代入する。
ST25…カウンタ数Yが12より小さいか、あるいは等しいか判断する。
Y≦12である(YES)場合は、ST14に進む。
Y≦12でない(NO)場合は、ST26に進み、結合子3を介してST02に進む。
【0085】
ST26…0(ゼロ)をそれぞれV、W、X、Yに代入し、舵角A0,A1,A2,A3を消去する。
【0086】
上記の流れの途中に、イグニッションスイッチがOFFからONになったときには、警報装置における作動の流れの処理を終了する。
また、上記警報装置では、ハンドルロック部の構造が、車体フレーム側及びステアリングステム側の一方に設けられた穴部と、この穴部に抜き差し自在とするために他方に設けられたシャフトとから構成される場合に、穴部にシャフトを挿入してハンドルロックを行った状態でも、穴部とシャフトとの隙間による舵角変化を舵角センサで検出することができるため、ハンドルロックの実施、未実施にかかわらず、舵角センサによる車両の異常事態を検出することができる。
【0087】
図10は本発明に係る警報装置の作動を示すタイムチャートであり、バーハンドルの舵角を各段階で舵角センサで検出して警報を発する警報装置の主な作動を示している。縦軸はバーハンドル舵角、横軸はイグニッションスイッチがON→OFFにされたときを基準にした時間T(単位はsec)を表している。
【0088】
イグニッションスイッチをON→OFFにしてから10sec後(時間T=t1=10sec)に舵角A0(ゼロ)を検出し、第1記憶部に記憶する。
時間T=t2=15secでの舵角A1を検出し、第2記憶部に記憶する。そして、舵角変化(A1−A0)を算出し、基準舵角変化と比較する。ここまでが、第1段階である。
【0089】
舵角変化(A1−A0)が基準舵角変化よりも大きいと判断すれば、直ちに第1警報を0.5sec間、発する。
時間T=t3=17.5secでの舵角A2を検出し、第3記憶部に記憶する。そして、舵角変化(A2−A1)を算出し、基準舵角変化と比較する。ここまでが、第2段階である。
舵角変化(A2−A1)が基準舵角変化よりも大きいと判断すれば、直ちに第2警報を1sec間、発する。
【0090】
時間T=t4=19secでの舵角A3を検出し、第4記憶部に記憶する。そして、舵角変化(A3−A2)を算出し、基準舵角変化と比較する。
舵角変化(A3−A2)が基準舵角変化よりも大きいと判断したときには、舵角A3を舵角A21とする処理を行うとともに舵角A3を消去する。
【0091】
そして、0.5sec後のT=t5=19.5secで新たな舵角A31を検出し、第4記憶部に記憶する。そして、舵角変化(A31−A21)を算出し、基準舵角変化と比較する。
【0092】
再び、舵角変化(A31−A21)が基準舵角変化よりも大きいと判断したときには、上記と同様の処理を時間T=t6、時間T=t7で連続して行い、T=t7=20.5secでの舵角変化(A33−A23)が基準舵角変化よりも大きいと判断したとき(ここまでが、第3段階である。)には、直ちに第3警報を15sec間、発する。
【0093】
上記の第3段階で、連続して舵角変化の判断を行うことで、車両の異常事態の可能性が高いかどうかを精度良く見極めることができ、更に、所定値を越える舵角変化が続いたときには、車両の異常事態の可能性が高いと判断して、第1警報及び第2警報に比較して度合が強い第3警報、即ち、時間が15secというように長い警報を発することで、車両の異常事態が発生していることを自動二輪車の周囲に確実に知らせることができ、異常事態の早期終結を促すことができる。
【0094】
図11は本発明に係る舵角センサ用ハーネスの配置構造の別実施形態を示す自動二輪車の要部正面図であり、ハーネス92は、カプラ93から車体後方へ延びるときに、支持ステー72のスリット72b内を通され、更に、支持ステー72の下面72eに沿って配置されている。
【0095】
図12は本発明に係る舵角センサ用ハーネスの配置構造の別実施形態を示す自動二輪車の前部側面図であり、ハーネス92は、カプラ93に近い部分では、支持ステー72の上面72f側に配置され、更に車体後方に延びるときに、支持ステー72の下面72e側に移り、支持ステー72のダウンフレーム57近くでクランプ部材94により支持ステー72に固定されている。
【0096】
尚、本発明の舵角センサとして、抵抗体及び摺動体からなるポテンショメータ型としたが、これに限らず、静電容量型、電磁誘導型、エンコーダを採用しても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の舵角センサ取付構造は、自動二輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る舵角センサ取付構造を備える自動二輪車の前部斜視図である。
【図2】本発明に係る自動二輪車のフロントフォーク及びその周囲を説明する斜視図である。
【図3】本発明に係る舵角センサ取付構造を示す自動二輪車の要部正面図である。
【図4】本発明に係る舵角センサ取付構造を示す自動二輪車の前部側面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る舵角センサ及びハーネスを示す斜視図である。
【図7】本発明に係る警報装置を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る警報装置の作動の流れを示す第1フローチャートである。
【図9】本発明に係る警報装置の作動の流れを示す第2フローチャートである。
【図10】本発明に係る警報装置の作動を示すタイムチャートである。
【図11】本発明に係る舵角センサ用ハーネスの配置構造の別実施形態を示す自動二輪車の要部正面図である。
【図12】本発明に係る舵角センサ用ハーネスの配置構造の別実施形態を示す自動二輪車の前部側面図である。
【符号の説明】
【0099】
10…自動二輪車、13…バーハンドル、41…車体フレーム、42…ヘッドパイプ、43…ステアリングステム、43b…軸線、48…舵角センサ、72…支持ステー、72b…スリット、74…第1筒状ケース(ロアケース)、74e…ステアリングステムの軸線に対して直交する面(凹部の底面)、74g…第1筒状ケースの底面、76…第2筒状ケース(アッパケース)、78…シャフト受け部材、81a…連結部、81b…小径部、84…シール部材(Oリング)、92…ハーネス、93…カプラ、101…固定部(センサ固定部)、102…可動部(センサ可動部)、106…抵抗体、112b…摺動体(摺動片)、C…隙間、D…筒状部の外径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームを構成するヘッドパイプ内にステアリングステムが回動自在に挿入され、このステアリングステムの上端にバーハンドルが取付けられ、このバーハンドルの舵角を検出する舵角センサが前記車体フレームと前記ステアリングステムとの間に取付けられた自動二輪車において、
前記ステアリングステムの下部にステアリングステム内に延びるように取付けられたシャフト受け部材と、このシャフト受け部材の上端部に連結されたシャフトと、前記舵角センサを構成するために前記小径部の下端に取付けられた可動部と、前記車体フレームに取付けられた第1筒状ケースと、前記舵角センサを構成するために前記可動部が相対移動するように前記第1筒状ケースの内側に取付けられた固定部と、上端が前記シャフト受け部材と前記シャフトとの連結部近傍に支持されるとともに下端が前記第1筒状ケースに取付けられて前記シャフトの周囲を覆うように配置された第2筒状ケースとから構成され、この第2筒状ケースは、その外周面を前記シャフト受け部材の内周面に当接し得るように前記シャフト受け部材の内側に嵌合されるとともに第2筒状ケースの筒状部は、その外径よりも上下に長く形成されていることを特徴とする自動二輪車の舵角センサ取付構造。
【請求項2】
前記シャフトは、前記シャフト受け部材に連結された連結部と、この連結部よりも外径が小さくされた小径部とからなり、樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の舵角センサ取付構造。
【請求項3】
前記固定部は、前記可動部に設けられた摺動体と摺動する抵抗体であり、前記第1筒状ケースにおける前記ステアリングステムの軸線に対して直交する面に取付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車の舵角センサ取付構造。
【請求項4】
前記シャフト受け部材と前記第2筒状ケースとの間に、弾性部材からなるシール部材が介在するとともに隙間が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の自動二輪車の舵角センサ取付構造。
【請求項5】
前記舵角センサに接続されるカプラの接続方向は、前記第1筒状ケースの底面に対して平行であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の自動二輪車の舵角センサ取付構造。
【請求項6】
前記第1筒状ケースは、支持ステーを介して前記車体フレームに取付けられ、前記支持ステーに、前記カプラの両側を挟むように細長いスリットが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の自動二輪車の舵角センサ取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate