説明

自動二輪車用の走行情報表示方法および走行情報表示システム

【課題】 バンク角等の走行条件を容易に把握することができる自動二輪車用の走行情報表示方法を提供する。
【解決手段】 自動二輪車のバンク角を取得する工程(S10)と、バンク角(152,154)を自動二輪車の走行コース150に沿って表示する工程(S20)とを包含する自動二輪車用の走行情報表示方法であり、工程(S20)において、バンク角(152,154)の度合いは、走行コース150から外れる度合いによって表示されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用の走行情報表示方法に関する。特に、自動二輪車の走行を支援するための走行情報を表示する方法に関する。本発明はまた、自動二輪車用の走行情報表示システムおよびそのシステムを備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の走行を支援するために、道路状況と車両の走行状態に応じて必要な警告をライダーに与える自動二輪車の情報提供装置が提案されており、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された情報提供装置では、通信によって得られた道路情報と各種センサによって検出された車両情報(例えば、車速Vなど)の取り出しが開始される。そして、ECUは、車速Vとカーブの半径R及び重力加速度gを用いて、式 θ=tan−1(V/(g・R))によって車体のバンク角θを算出し、次いで、求められたバンク角θの大きさを判定する。
【0004】
θ<10°の場合は、ランプ番号LNUMを1(青)に設定して、青のLEDランプを点灯し、バンク角θが10°≦θ<20°である場合は、ランプ番号LNUMを2(黄)に設定するとともに、音声信号VoiceNを1(「ピッ注意!」)に設定する。バンク角θが20°≦θである場合は、ランプ番号LNUMを3(赤)に設定し、音声信号VoiceNを2(「ピピ危険!」)に設定すると同時に、リヤブレーキランプを点灯し、バンク角θが10°≦θである場合には、車速Vが判定され、車速Vに応じてそれぞれの色(黄又は赤)のランプの点滅間隔と音声信号の長さ及び音量が設定される。
【0005】
このように、道路状況と車両の走行状況に応じて必要な警告がライダーに所定のタイミングで自動的に与えられるため、ライダーは車両を常に適切に運転することができ、これによってライダーの運転の負担を軽減することができる。
【特許文献1】特開2002−140800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、バンク角θを算出し、バンク角θの大きさに応じて必要な警告をライダーに与えるようにしている。しかしながら、自動二輪車におけるバンク角というのは、他の条件(例えば、カーブの曲率、ライダーの技量)に影響されることが大きく、単に、バンク角θの大きさを測定しても、実際には役に立たないことが多い。特に、ある標準的なバンク限界(適正バンク角)を定めて、それをライダーに情報提供しても、技量のあるライダーには甘い設定となってしまい、役に立たず、適切な走行支援に結びつかない。またそれ以前に、バンク角を単に数値でライダーに通知しても、それを瞬時に理解することはライダーにとっては難しく、したがって、そのままでは適切な走行支援に結びつかないことが多い。
【0007】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、自動二輪車の走行支援を適切に行うためにバンク角等の走行条件を容易に把握することができる自動二輪車用の走行情報表示方法を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような走行情報表示方法を実現するのに好適な自動二輪車用の走行情報表示システム、および、そのシステムを備えた自動二輪車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自動二輪車用の走行情報表示方法は、自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、自動二輪車のバンク角を取得する工程(a)と、前記バンク角を前記自動二輪車の走行コースに沿って表示する工程(b)とを包含し、前記工程(b)において、前記バンク角の度合いは、前記走行コースから外れる度合いによって表示されることを特徴とするものである。
【0009】
ある好適な実施形態では、前記工程(a)において、前記自動二輪車のバンク角は、左のバンク角と右のバンク角とがそれぞれ別に計測されることによって取得されたものであり、前記工程(b)において、左のバンク角と右のバンク角とがそれぞれ逆の方向に前記走行コースから外れるように表示される。
【0010】
前記走行コースは、地図表示にて表されることが好ましい。
【0011】
前記走行コースは、直線表示にて表されてもよい。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記工程(b)では、ブレーキポイントおよびカーブ曲率が表示される。
【0013】
ある好適な実施形態において、前記工程(b)では、第1のライダーのバンク角と、第2のライダーのバンク角とが同時に表示される。
【0014】
前記第1のライダーと前記第2のライダーとは同一人物であってもよい。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記第1のライダーのバンク角は、単独で走行している場合のものであり、前記第2のライダーのバンク角は、二人乗りで走行している場合のものである。
【0016】
本発明の他の自動二輪車用の走行情報表示方法は、自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、自動二輪車の車速を取得する工程と、走行時の車速を前記自動二輪車の走行コースに沿って表示する工程とを包含し、前記表示工程において、前記車速の度合いは、前記走行コースを基準として、当該走行コースからの高さの度合いによって表示されることを特徴とするものである。
【0017】
前記走行コースは、地図表示にて表されることが好ましい。
【0018】
前記走行コースは、直線表示にて表されてもよい。
【0019】
本発明の更に他の自動二輪車用の走行情報表示方法は、自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、自車が位置する領域を含む地図データ上に走行コースを表示する工程と、前記地図データ上に前記自車の位置を表示する工程とを包含し、前記自車のマークが走行コース上を走行している画像とともに、当該自車の左右バンク角が表示されているものである。
【0020】
ある好適な実施形態では、さらに、前記左右バンク角とともに、前記自車の加速減速度、及び、前記走行コースにおけるカーブの曲率が表示される。
【0021】
ある好適な実施形態では、さらに、前記左右バンク角とともに、前記走行コースにおける勾配の表示、及び、前記走行コースにおけるカーブアイコンの表示の少なくとも一方が行われる。
【0022】
ある好適な実施形態では、さらに、前記自車のマークが走行コース上を走行している画像とともに、前記自車が走行している時の前方映像が表示される。
【0023】
本発明の別の自動二輪車用の走行情報表示方法は、自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、自動二輪車のバンク角を取得する工程と、前記自動二輪車の走行コースにおけるカーブ曲率を取得する工程と、前記カーブ曲率を複数の区分のグループに分類するとともに、当該カーブ曲率のグループごとに前記バンク角を表示する工程とを包含するものである。
【0024】
ある好適な実施形態では、前記バンク角とともに、前記カーブ曲率のグループごとに、車速および加減速値の少なくとも一方が表示される。
ある好適な実施形態では、前記バンク角とともに、前記カーブ曲率のグループごとに車速が表示され、前記バンク角と前記車速は、それらの走行適正値が表示される。
前記バンク角は、左のバンク角と右のバンク角とがそれぞれ別々に表示されることが好ましい。
【0025】
本発明の自動二輪車用の走行情報表示システムは、自動二輪車の走行情報を表示するシステムであって、自動二輪車の走行情報が格納された記憶装置と、前記記憶装置に接続され、前記走行情報をデータ処理する演算処理装置と、前記演算処理装置に接続され、画像を表示する画像表示装置とを備え、前記記憶装置には、前記走行情報として、走行コースおよび左右バンク角のデータが格納されており、前記演算処理装置は、前記左右バンク角の度合いを、前記走行コースから外れる度合いにて前記画像表示装置に表示する処理を行うものである。
【0026】
ある好適な実施形態では、前記走行情報として、車速のデータが前記記憶装置に格納されており、前記演算処理装置は、前記車速の度合いを、前記走行コースを基準として、当該走行コースからの高さの度合いにて前記画像処理装置に表示する処理を行う。
【0027】
ある好適な実施形態では、前記走行情報として、さらに、地図データが前記記憶装置に格納されている。
【0028】
本発明の他の自動二輪車用の走行情報表示システムは、自動二輪車の走行情報を表示するシステムであって、自動二輪車の走行情報が格納された記憶装置と、前記記憶装置に接続され、前記走行情報をデータ処理する演算処理装置と、前記演算処理装置に接続され、画像を表示する画像表示装置とを備え、前記記憶装置には、前記走行情報として、地図データ、走行コース、自車の位置および左右バンク角のデータが格納されており、前記演算処理装置は、前記地図データ内の前記走行コースと前記自車の位置とを前記画像処理装置に表示する処理を行い、そして、前記地図データとともに、前記左右バンク角を前記画像処理装置に表示する処理を行うものである。
【0029】
ある好適な実施形態では、さらに、前記自動二輪車の走行情報を記憶可能な外部記憶装置が設けられている。
【0030】
ある好適な実施形態において、前記自動二輪車用の走行情報表示システムは、インターネットに接続可能な構成を有しており、前記演算処理装置は、前記インターネットを通じて、前記自動二輪車の走行情報をアップロードおよびダウンロードする処理を実行する機能を有している。
【0031】
ある好適な実施形態において、前記自動二輪車用の走行情報表示システムは、自動二輪車同士の通信システムに接続可能な構成を有しており、前記演算処理装置は、前記自動二輪車同士の通信システムを通じて、前記自動二輪車の走行情報をアップロードおよびダウンロードする処理を実行する機能を有している。
【0032】
本発明の自動二輪車は、上記自動二輪車用の走行情報表示システムを備えた自動二輪車である。
【0033】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の走行情報表示システムは、車体の走行状態を検出するセンサと;このセンサ出力に基づいて、左右バンク角、加減速値、車速及び車体の加減速ポイントの少なくとも一つからなる走行特性値に関連するデータを得、このデータの所定時間毎の値を順次記録して、当該データの履歴を蓄積するデータ処理手段と;この蓄積データに基づき、車体の走行結果に対応させて走行特性値を表示手段に表示するための情報処理を実行する表示処理手段とを備えている。
【0034】
ある実施形態において、前記走行結果は車体が走行した走行経路、又は車体が走行した走行経路のカーブ曲率である。
【0035】
ある実施形態において、前記表示処理手段は、前記走行経路に沿って前記走行特性値を表示するように構成されている。
【0036】
ある実施形態において、前記表示処理手段は、前記走行経路を地図データに重ねて表示するように構成されている。
【0037】
ある実施形態において、前記表示処理手段は、前記走行特性値を比較用走行特性値と隣接させて表示手段に表示可能に構成されている。
【0038】
ある実施形態において、前記比較用走行特性値は、通信手段を介して外部データベースから前記表示処理手段の記憶領域に保存可能に構成されてなるものである。
【0039】
ある実施形態において、前記比較用走行特性値は、標準値、又は同一ドライバの過去の走行限界値、又は他のドライバの走行限界値である。
【0040】
ある実施形態において、前記データ処理手段は、車体の走行軌跡に対応した座標データから走行経路を得るように構成されている。
【0041】
ある実施形態において、前記座標データは、GPSから得られる。
【0042】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のライダーへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、車載センサからの出力情報をメモリに順次記憶するとともに、この記憶値と車体の位置情報とから、車体が走行した走行経路に関する左右のバンク角のメモリマップを形成し、このマップデータに基づいてライダーに対して前記走行経路に対するバンク角を表示手段に表示するように構成されている。
【0043】
ある実施形態において、前記バンク角は、前記ライダーの運転能力に依存した限界バンク角である。
【0044】
ある実施形態において、前記メモリマップは、前記走行路のカーブ曲率に対するバンク角のメモリ領域を備えている。
【0045】
ある実施形態において、前記メモリマップは、前記走行路の座標データに対するバンク角のメモリ領域を備えている。
【0046】
ある実施形態において、前記情報伝達処理手段は、車体の現在のバンク角とメモリマップ上の対応バンク角とを比較し、その比較結果に基づいて、対応バンク角を最新のバンク角によって更新記憶するようにするものである。
【0047】
ある実施形態において、前記情報伝達処理手段は、最新のバンク角が対応する走行路の物理的な限界バンク角を超える場合には、前記メモリマップ上の対応バンク角を更新しないか、又は前記物理的なバンク値以下の範囲で更新するようにするものである。
【0048】
ある実施形態において、前記情報伝達処理手段は、最新のバンク角が前記限界バンク角の近傍にあるときには、前記表示手段に警告表示を行うものである。
【0049】
ある実施形態において、前記限界バンク角は、路面状況、天候状況、運転者の要求の少なくとも一つによって補正される。
【0050】
ある実施形態において、前記限界バンク角は、車載用の地図データによって設定される。
【0051】
ある実施形態において、前記限界バンク角は、通信手段を介して外部のデータベースから前記情報伝達処理手段に設定される。
【0052】
ある実施形態において、前記補正用パラメータは、車載スイッチによって前記情報伝達処理手段に設定可能である。
【0053】
ある実施形態において、前記補正用パラメータは、前記データベースに設定され、前記通信手段を介して前記情報伝達処理手段に設定可能である。
【0054】
ある実施形態において、前記メモリマップは、通信手段を介して前記データベースに設定可能に構成されている。
【0055】
ある実施形態において、前記メモリマップには、前記走行路に対する最高車速が設定されている。
【0056】
ある実施形態において、前記メモリマップには、車体が走行した走行路のコーナー毎に限界バンク角が設定されている。
【0057】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のドライバへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、車載センサからの出力情報をメモリに順次記憶するとともに、この記憶値と車体の位置情報とから、車体が走行した走行経路に関する走行限界値のメモリマップを形成し、このマップデータに基づいてライダーに対して前記走行経路に対する走行限界値を表示手段に表示するように構成されている。
【0058】
ある実施形態において、測定値が前記走行限界値を超える場合には、この走行限界値を測定値で更新記憶するようにされている。
【0059】
ある実施形態において、前記走行経路に対する走行限界値は、走行路毎にそれぞれ記憶される。
【0060】
ある実施形態において、前記走行経路に対する走行限界値は、ライダー毎にそれぞれ記憶される。
【0061】
ある実施形態において、前記走行限界値には、カーブ路における車速、バンク角、減速度、加速度の各最大値の少なくとも一つが含まれている。
【0062】
ある実施形態において、前記メモリマップの同一走行経路に対する走行限界値は、複数記憶されている。
【0063】
ある実施形態において、前記情報伝達処理手段は、前記メモリマップの記憶データを編集できる機能を備えている。
【0064】
ある実施形態において、前記メモリマップの記憶データは、車外の情報処理装置によって編集可能に構成されている。
【0065】
ある実施形態では、同一走行経路に対する複数の記憶データを編集して最適値を設定可能な手段を備えている。
【0066】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報提示方法は、自動二輪車の走行の際に、バンク角を所定間隔毎にメモリに継続的に記憶し、このバンク角の記憶値から運転熟練度を決定し、運転熟練度毎にバンク角を決め、カーブ半径とバンク角と車体のバンク限界から前記熟練度毎に限界車速を決め、カーブ進入前の走行車体が前記限界車速まで減速されていない場合には、ライダーに対して警告告知をする。
【0067】
ある実施形態において、前記限界車速値は、走行路の特徴、車体の状態、路面状態の少なくとも一つによって補正される。
【0068】
ある実施形態において、前記車体の状態には、車輪の空気圧が含まれる。
【0069】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のドライバへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、車体の走行路の走行限界値を記憶するメモリマップを備えている。
【0070】
ある実施形態において、前記走行限界値は、限界バンク角である。
【0071】
ある実施形態において、前記車体の状態には、車輪の空気圧が含まれる。
【0072】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のドライバへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、車体の走行路での運転状態を継続的に取得し、当該走行路での最大の車体運転特性を求め、これを限界走行値として、走行路と対応させてメモリマップを形成する。
【0073】
ある実施形態において、前記走行限界値は、限界バンク角又は限界車速である。
【0074】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のライダーへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、パラメータを読み込むステップと、ライダーの走行限界値を外部メモリ媒体から読み込むステップと、実測値が走行限界値を超える際には、実測値で走行限界値を書き換えて、これを外部メモリに登録するステップと、を実行するように構成されている。
【0075】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のライダーへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、パラメータを読み込む第1ステップと、ライダーの走行限界値を外部メモリから読み込む第2ステップと、実測値が走行限界値を超える際には、実測値で走行限界値を書き換えて、これを外部メモリに登録する第3ステップと、を実行するように構成されている。
【0076】
ある実施形態において、前記情報伝達処理手段は、前記外部メモリからコーナーの限界車速値を読み込み、実測値がこの限界車速値以上のとき、前記第3ステップを実行するように構成されている。
【0077】
本発明の実施形態に係る自動二輪車の情報表示システムは、自動二輪車のライダーへの情報伝達処理手段と、処理結果を表示する表示手段とを備えてなり、前記情報伝達処理手段は、路線のコーナーに対する当該ライダーの限界バンク角のメモリマップを外部メモリから読み込み、この限界バンク角に基づいて限界車速を求め、この限界車速値と実測車速値とを比較して、その比較結果を前記表示手段に表示するように構成されている。
【0078】
本発明の実施形態に係るプログラムは、上記各手段を自動二輪車の制御用車載マイコンに実施させるためのプログラムである。
【0079】
本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上記プログラムが記憶された記憶媒体である。
【発明の効果】
【0080】
本発明の自動二輪車用の走行情報表示方法によれば、自動二輪車のバンク角を取得するとともに、バンク角を自動二輪車の走行コースに沿って表示し、さらに、そのバンク角の度合いは、走行コースから外れる度合いによって表示されるので、自動二輪車の走行支援を適切に行うためにバンク角を容易に把握することができる。また、自動二輪車の車速を取得するとともに、走行時の車速を前記自動二輪車の走行コースに沿って表示し、その車速の度合いが、走行コースを基準として当該走行コースからの高さの度合いによって表示されるようにすると、車速も容易に把握することができる。加えて、自車が位置する領域を含む地図データ上に走行コースを表示するとともに、地図データ上に自車の位置を表示し、さらに、自車のマークが走行コース上を走行している画像とともに、当該自車の左右バンク角が表示されるようにすれば、自車位置とともに、バンク角を把握することができ、新たな走行支援情報を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法の表示例である。
【図3】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法の表示例である。
【図4】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法の表示例である。
【図5】自動二輪車用の走行情報表示システム100を示すブロック図である。
【図6】(a)および(b)は、バンク角θの算出方法を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法の表示例である。
【図8】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法の表示例である。
【図9】本発明の実施形態に係る走行情報表示方法の表示例である。
【図10】自動二輪車の走行コース150を作成する工程を説明するための図である。
【図11】走行コース150のカーブ曲率118を算出する工程を説明するための図である。
【図12】テストコースにおける走行コース150の表示例である。
【図13】走行状態の変化点を表示したイベントマップ形式の表示例である。
【図14】カーブ曲率のグループ毎に各種走行適正値を振り分けた図(テーブル)である。
【図15】カーブ曲率のグループ毎に各種走行適正値を振り分けた図(テーブル)である。
【図16】本発明の実施形態に係る自動二輪車用の走行情報表示システムを備えた自動二輪車200を模式的に示す側面図である。
【図17】自動二輪車用の走行情報表示システム100を示すブロック図である。
【図18】自動二輪車用の走行情報表示システム100を示すブロック図である。
【図19】自動二輪車用の走行情報表示システム100を示すブロック図である。
【図20】バンク角データ、加速度データなどの統合データの表示例を示す図である。
【図21】バンク角データの表示例を示す図である。
【図22】カメラウインド66と地図情報ウインド111等とを融合した表示例を示す図である。
【図23】走行時の画像データ66を含むデータを対比結果として通知させる表示例を示す図である。
【図24】ライダー側から見たハンドル・モニター周りの構造図である。
【図25】(a)は、表示器216の構成を示す正面図であり、(b)は、その側面断面図である。
【図26】表示器216およびその周囲の構成を示す斜視図である。
【図27】コースの走行中の走行特性値を示す画面例である。
【図28】コースの走行中の走行特性値を示す画面例である。
【図29】データを表示させる際の各種パラメータの設定を説明するための図である。
【図30】本発明の実施形態に係る自動二輪車用の走行支援方法を含むフローについて説明するためのフローチャートである。
【図31】本発明の実施形態に係る自動二輪車用の走行支援方法を含むフローについて説明するためのフローチャートである。
【図32】本発明の実施形態に係る自動二輪車用の走行支援方法を含むフローについて説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
20 演算処理装置
22 センサ
24 画像表示装置
25 座標特定装置
28 記憶装置
30 データ処理部
32 メモリ
34 表示処理装置
42 センサ
42a ヨーレートセンサ
42b 各種センサ
46 設定スイッチ
46a データ記録スイッチ
46b 車両情報書き出しスイッチ
46c 設定変更スイッチ
48 外部メモリ
50 電源
54 カメラ、マイク入力部
56 AV出力部
60 バンク角表示
61 減速度アイコン
62 減速度表示
63 車速アイコン
64 カーブ指示アイコン
65 ライダーアイコン
66 カメラウインド(画像データ)
68 簡略表記
69 時間アイコン
70 画面
80 バンク角アイコン
82 ブレーキポイント
82a 車速
83 アクセルポイント
84 車速アイコン
86 車速表示
87 シフトポジション
90 車両アイコン
95 道路アイコン
100 走行情報表示システム
111 ウインド画面(地図情報ウインド)
112 座標データ
113 取得番号
115 方位マーク
116 ウインドバー
117 自車位置
118 カーブ曲率
122 受信機
150 走行コース
200 自動二輪車
202 前輪
203 後輪
204 ハンドル
205 スクリーン
206 エンジン
207 シート
208 ヘルメット
209 アンテナ
210 DSRC受信機
212 検出器
213 受信機
215 映像回路(音声ユニット)
216 ディスプレイ
217 トランスミッタ
218 路側マーカー
219 路側アンテナ
220 ナビゲーション装置
222 音声受信機
224 スピーカ
230 メインスイッチ
232 サイドミラー
240 メーターユニット
242 車速計
244 油温計
250 シェード
252 ボタン式スイッチ
254 バネ
256 ストッパ
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
本願発明者は、自動二輪車の適切な走行支援を行うためには、ライダーにとってバンク角を視覚的に瞬時に把握できるような表示を行うことが大きな技術的意義を有すると考え、鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0084】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0085】
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る自動二輪車の走行情報を表示する方法(自動二輪車用の走行情報表示方法)について説明する。図1は、本実施形態の走行情報表示方法を説明するためのフローチャートである。
【0086】
本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示方法では、自動二輪車のバンク角を取得する工程(S10)と、バンク角を自動二輪車の走行コースに沿って表示する工程(S20)とを実行する。そして、この工程S20では、バンク角の度合いは、走行コースから外れる度合いによって表示される。
【0087】
工程S20の表示は、例えば、図2に示すようにして行うことができる。図2は、走行路の軌跡の映像に重ねて、左右のバンク角の値を連続的に表示したものであり、バンク角の度合いは、走行コース150から外れる度合いによって表示される。
【0088】
ここで、ライン150は、車体の走行コース(走行軌跡)であり、ライン152は、ライダー1のバンク角の変化であり、ライン154は、ライダー2のバンク角の変化である。バンク角の変化曲線と走行経路の進行方向との間の座標的な差がバンク角の大きさに相当し、その幅が走行経路の左右のどちらにあるかによってバンク角の方向が判別される。
【0089】
なお、図2に示した例では、ライン150、152、154を表示するウインド111には、バンク角の大きさを表すバンク角アイコン80と、方位マーク115と、バンク角表示であることを示すマークが位置するウインドバー116も設けられている。さらには、走行コース150の所定カーブ毎にカーブ曲率118アイコンも表示されている。加えて、各ライダーのブレーキポイント82も示されている。また、これに加えて、走行コース150の勾配を表示することも可能である。
【0090】
従来、このような走行コース150とバンク角とを同時に視覚的に表示するような走行情報表示方法は開発されておらず、そして、このような表示は、視覚的に、ライダーにバンク角とカーブ(走行経路)との情報をわかりやすく提供できるので非常に技術的意義が大きい。
【0091】
本実施形態の構成では、二人のライダーを同時に表示できるようにされている。ここでのライダー1と、ライダー2は、同一人物のものを表示してもよいし、あるいは、ライダー1のバンク角は、単独で走行している場合のものとし、ライダー2のバンク角は、二人乗り(タンデム)で走行している場合のものとしてもよい。
【0092】
また、図3に示すように、ライダー1とライダー2との表示がわかりやすいように、異なるものにしてもよい。ライダー1とライダー2との表示(バンク角、ブレーキポイントなどの表示)の差は、色の違い、線種の違いなどによって変えることができる。表示の好みや、認知のしやすさは、個人差があるので、表示形式は、数種のパターンから選択可能なものにすると好ましい。さらに、バンク角が深い場合を黄色、浅い場合を緑色のように色の違い等によって一瞬で判断できるような単純な表現を採用することも好ましい。
【0093】
加えて、ライダー1、ライダー2の2名分だけでなく、さらに多くのバンク角を同時に表示することも可能である。データの数が多ければ、バンク角のなぞり線(152、154)が帯状のようになり、それによって、分布、平均値、傾向などの情報を読み取ることもできる。
【0094】
図2および図3に示した例では、走行コース150を地図表示で表したが、走行コース150は、図4に示すように直線表示にすることも可能である。図4に示した例では、走行コース150が直線表示で簡略化されているものの、ライン152、154によって左右のバンク角とその大きさを把握することができる。また、各カーブは、走行コース150にあわせてアイコン(R1、R2)118’で表すようにすればよい。この例の場合、表示ウインド111をコンパクトにすることができるメリットも得られる。
【0095】
次に、図5を参照しながら、上述した自動二輪車用の走行情報表示方法を実行するためのシステムについて説明する。図5は、本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示システム100の構成を示すブロック図である。
【0096】
図5に示した自動二輪車用の走行情報表示システム100は、自動二輪車の走行情報が格納された記憶装置28と、記憶装置28に接続され、走行情報をデータ処理する演算処理装置20と、演算処理装置20に接続され、画像を表示する画像表示装置24とから構成されている。記憶装置28には、走行情報として、走行コース(150)および左右バンク角(152、154)のデータが格納されている。そして、演算処理装置20は、図2から図4に示したように、左右バンク角(152、154)の度合いを、走行コース(150)から外れる度合いにて画像表示装置24に表示する処理を行うことができる。
【0097】
左右バンク角などの走行情報を直接取得するには、演算処理装置20にセンサ22を接続し、そのセンサ22からのデータを演算処理装置20で処理して、記憶装置28に格納することが好ましい。また、演算処理装置20に、自動二輪車の座標データを取得する座標特定装置(例えば、GPS装置)25を接続して、ナビゲーションシステムの機能を付与してもよい。
【0098】
演算処理装置20は、例えば、マイクロ・プロセッサ・ユニットから構成されており、画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイから構成されている。記憶装置(メモリ)28には、外部記憶装置も用いることが可能である。自動二輪車のバンク角を測定する場合、センサ22としては、自動二輪車の車速を測定する車速センサと、自動二輪車のヨーレートを測定するヨーレートセンサを用いることができる。
【0099】
車速センサとヨーレートセンサを用いてバンク角を取得する方法について、図6(a)および(b)を参照しながら簡単に説明する。
【0100】
まず、図6(a)に示すように、車両200がバンク角θで走行している場合、図6(b)に示すように、車両200(ライダーも含む)の質量をMとすると、車両200の重心に加わる重力(Mg)と遠心力(MV/R)との間には、以下のような関係が成り立つ。
【0101】
Mgtanθ=MV/R(Vは車速、Rは旋回半径)・・・(1)
ここで、車両200の水平面内での回転角速度(ヨーレート)をωとすると、
V=Rω ・・・(2)
と表すことができるので、式(1)(2)より、バンク角θは、
θ=tan−1(Vω/g) ・・・(3)
となる。すなわち、バンク角θは、式(3)を用いて、車両200の車速Vとヨーレートωとの値から自動的に求めることができる。本実施形態では、車速センサおよびヨーレートセンサから、車速Vとヨーレートωを取得して、それを演算処理装置20にて演算してバンク角θを求める。
【0102】
なお、図5に示した自動二輪車用の走行情報表示システム100には、座標特定装置25が設けられているので、自車の位置を座標にて特定することが可能となっている。本実施形態では、座標の特定は、GPS(Global Positioning System)を利用して自車の位置データを得ることによって実行される。GPSは、地球の周回軌道を回る衛星から発信される信号の到達時間から、現在地の緯度・経度を特定するシステムである。衛星からの三角測量がシステムの基本となっており、正確な位置を特定するには4衛星以上が必要となる。また、GPSの誤差を補正して小さくするために、ディファレンシャルGPSサービス(位置情報補正サービス)により、高精度での位置データを得ることが好ましい。
【0103】
座標特定装置25を設けていることにより、図5に示した走行情報表示システム100にはナビゲーションシステムの機能も付加されており、その場合、バンク角θを求めるには、上記式(3)を用いずに、式(1)から、車両200の車速Vと旋回半径Rを求めてバンク角θを得ることもできる。ここで、旋回半径Rは、ナビゲーションシステムによるマップデータから求めることができる。
【0104】
座標特定装置25は、インフラの環境を考慮すると、GPS信号を受信するGPS受信機を用いることが好ましく、また便利であるが、座標データを取得するための座標特定装置25としては、GPS受信機の他に、他のものを使用することができる。例えば、インフラが整っていれば、携帯電話通信、無線LAN通信、路車間通信の受信機を用いて座標位置を特定することができる。
【0105】
加えて、画像認識装置を座標特定装置25として働かせることも可能である。例えば、白線や周囲の建物などでコースまたはポイントを識別して、その識別によって座標を特定することができる。基点となる看板・標識などがあれば、更に識別は容易になる。また、一本道であれば、スタート位置さえ確認することができれば、積算計算でおおよその地図上の位置を特定することができる。さらに、ヨーレートからもコーナーのどの位置にいるかを容易に推定することができる。なお、ライダー自身が基点位置をスイッチで入力することで、座標位置を特定する手法もある。
【0106】
図2等に示した例では、走行コース150とバンク角152、154とを同時に表示するようにしたが、走行コース150と車速とを同時に表示することもできる。その場合、自動二輪車の車速を取得した後、その取得した車速を走行コースに沿って表示するようにすればよい。本実施形態では、図7に示すように、車速156の度合いを、走行コース150を基準として、走行コース150からの高さの度合いによって表示する。このように表示すると、車速も容易に把握することができる。
【0107】
さらに説明すると、図7は、図2等に示したバンク角に代えて車速を、走行コース150にインポーズさせている。図7に示した画像では、車速の変化グラフ156と走行コース150との差が車速に対応しており、その大きさは、車速アイコン84によって確認することができる。また、車速表示86によってデジタルに認識することもできる。
【0108】
また、図8に示すように、カーブごとに車速表示86を出すこともできるし、そして、図9に示すように、図4と同様に、走行コース150を直線表示にて簡略化することも可能である。
【0109】
図7等に示した表示は、図5に示した走行情報表示システム100において、記憶装置28に走行コース150に沿った車速データを格納しておき、それを演算処理装置20の処理により、画像表示装置24に表示するようにして実行することができる。そして、車速を直接取得する際には、センサ22として車速センサを用いればよい。
【0110】
また、図5に示した構成のように座標特定装置25を設けていれば、座標特定装置25から取得した座標データを用いて自動二輪車の走行コース150を作成したり、走行経路150のカーブ曲率を算出したりすることもできる。
【0111】
図10は、自動二輪車の走行コース150からなる走行地図110を作成する工程を説明するための図であり、図11は、走行コース150中のカーブの曲率118を算出する工程を説明するための図である。
【0112】
自動二輪車が走行している場合、図10に示すように所定時間毎(例えば、100ミリ秒毎)に座標データ(GPS座標データ)112を取得し、その点(ノード)を時系列的に結ぶと(または、GPS座標データ112の取得番号113の順に結ぶと)、自動二輪車の走行コース150が得られ、そして、走行コース150からなる走行地図110が作成される。
【0113】
図10に示した例では、所定の取得番号113が付されたGPS座標データ112が、ウインド画面111内に表示されており、ウインド画面111には、方位マーク115が配置されているとともに、画像編集用のウインドバー116が設けられている。
【0114】
図11に示した走行地図110の点(ノード)112を画像処理により修正して、走行コース150を滑らかにすると、図11に示す走行地図110が得られる。そして、この走行地図110の走行経路150からカーブ曲率118を求めることができる。また、GPS座標データ112から下り勾配・上り勾配の情報も求めることができるので、勾配情報(この例では、下り)119を表示させることも可能である。
【0115】
この走行コース150は、実際に自動二輪車が走行した経路であるので、カーブ曲率118は、ナビゲーションシステムに用いられる電子地図から求めたカーブ曲率よりも正確である。また、そもそも電子地図には正確なカーブ曲率データは含まれていないことが多いので、本実施形態の手法によって、カーブ曲率を自動的に求めることができるのはそれ自体で技術的価値を有している。そして、この走行地図110に基づくカーブ曲率118は、自動二輪車の走行特性を反映したものとなっている。すなわち、乗用車等の四輪車の場合、車幅と道路幅の関係から考えて電子地図から概算で算出したカーブ曲率と実際のカーブ曲率との差が大きな問題となることはないが、自動二輪車の場合には、実際に走行するルートによってカーブ曲率が異なるものとなるので、それゆえ、自動二輪車の走行特性を反映したカーブ曲率118が得られることは技術的意義が大きい。
【0116】
また、走行コース150の自動作成手法(またはカーブ曲率118の自動算出手法)を用いると、通常のナビゲーションシステムの電子地図では得られないテストコースやレースコースなどの走行コース150(またはカーブ曲率118)を得ることができる。図12に示した例では、あるテストコースの走行コース150を表示している。この走行コース150のデータを利用して、図2や図7に示した表示を行うことができる。また、この例では、走行コース150上にブレーキポイント82およびアクセルポイント83を表示するとともに、走行コース150を車速グループに応じて区分け(例えば、色分け、パターン分け、線種分け)して、走行状態を視覚的に表すようにしている。なお、図12に示した走行コース150は、テストコース全体を表示するだけでなく、テストコースの一部を部分的に拡大表示するようにしてもよい。
【0117】
さらに、図13に示すように、走行コース150上に走行状態の変化点(82、83、86、87)を表示したイベントマップ形式にしてもよい。図13に示した例では、ブレーキポイント82、アクセルポイント83、車速86の他、ブレーキ前後の車速82a、シフトポジション87の表示も行われている。なお、変化点としては、エンジン回転数の変化点や、ハンドル切角の変化点などを含めることもできる。
【0118】
また、カーブ曲率(118)を複数の区分のグループに分類するとともに、そのカーブ曲率のグループごとにバンク角を表示するような走行情報表示を行うことも可能である。図14は、所定のカーブのカーブ曲率(R)を複数の区分のグループに分類し、カーブ曲率のグループ毎に、各種走行適正値(車速V、バンク角θ、減速度α1、加速度α2)を振り分けたテーブルの一例である。各種走行適正値は、実際に走行したデータに基づいている。なお、図14に示した例では、カーブ曲率が50m単位ごとのグループとなるように分けている。
【0119】
図14におけるカーブ曲率のグループは、<R50(R50m未満)、<R100(R50m以上R100m未満)、<R150(R100m以上R150m未満)、<R200(R150m以上R200m未満)、<R300(R200m以上R300m未満)、R300≦(R300m以上)に分けられている。なお、R200以上は、50m単位を複数重ねており(この例では、50m×2)、R300以上は、全ての50m単位のものを一つのグループにまとめている。
【0120】
図14に示したテーブルでは、例えば、各曲率グループにおいて、最も大きいバンク角θが表示されている。そして、このデータからは、所定の曲率のカーブにおいてどれくらい大きくバンクすることができるかということ(すなわち、最大適正バンク角)を把握することができる。また、図14に示したテーブルには、バンク角θの他に、自動二輪車の車速(V)、減速度(α1)、加速度(α2)も記載されている。これらの項目も、各曲率グループで最も大きい値のもの(例えば、最大適正車速)を表示させている。
【0121】
本実施形態において、50m単位ごとのグループで分けたのは、次の理由による。まず、ライダーの識別能力上、カーブ曲率を細かくしてもその差異を判断できないことが経験的に知られており、現在の道路などの曲率の表示単位が10mであるので、それを考慮して、50m程度の分類が適当と判断したことによる。また、道路幅を3.5mとして考えても、通り方によっては実際の曲率には幅が出てしまうし、コース取りはカーブの深さ、40°(40度)、90°(90度)、135°(135度)などにも影響を受け、さらに、多段階カーブなども考えると大雑把な傾向を掴んで比較するレベルで十分だからという理由もある。
【0122】
このテーブルの値と、実際の走行状態の値(実際値)とを対比して、その結果をライダーに通知すれば、自動二輪車の走行支援を行うことができ、また、それに基づいて警告も行うこともできる。警告は、画面表示の他、音声通知を用いることも可能である。
【0123】
バンク角や車速などの走行適正値(例えば、最大適正バンク角や最大適正車速)は、異なる路面ごとに区別して処理することが可能であり、図14に示した例では、路面Aと路面Bとに分けて処理することができる。例えば、路面Aをドライとし、路面Bをウエットとすることができる。路面の区別は、さらに細かく分類することができ、例えば、アスファルト、ダート、雨路面、雪路面、凍結路面などである。
【0124】
さらに、異なるライダーごとに区別して表示することもできる。図14に示した例では、ライダー1とライダー2とを分けて表示している。ライダー1とライダー2とは、異なる人物であるのが典型例であるが、自動二輪車を運転するライダーが同じでも、ライダー1とライダー2と区別して表示してもよい。例えば、ライダーが単独の場合と、ライダーが二人乗りで走行している場合とに区別して表示することができる。
【0125】
加えて、バンク角θは、左バンク角と右バンク角とに分けて表示することができる。図15は、左バンク角Lと右バンク角Rとを分けた例を示している。これは、ライダーによっては、左バンクと右バンクとで得手・不得手があり、それを反映するために、左と右とを別々に表示するものである。
【0126】
なお、図14および図15に示したデータは、テーブル形式で表示したが、これをグラフ形式(例えば、三次元グラフ)にして、走行の癖をひとつのグラフで表現するようにしてもよい。さらに、他の走行データのグラフと比べると、走行の強み・弱みなどが一目瞭然となるので、非常に便利である。
【0127】
次に、図16および図17を参照しながら、本実施形態の構成をさらに詳述する。図16は、本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示システム100を備えた自動二輪車200の一例を模式的に示す図であり、図17は、本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示システム100の一例を示すブロック図である。
【0128】
図16に示した自動二輪車200は、スクータ型の自動二輪車であり、前輪202、後輪203、ハンドル204、スクリーン205、駆動源であるユニットスイング式エンジン206、およびシート207から構成されている。シート207上には、頭部にヘルメット208を装着したライダーが座っている。なお、本実施形態では、自動二輪車200として、スクータ型自動二輪車を例示したが、スクータ型に限らず、他の自動二輪車でもよい。また、本明細書において「自動二輪車」とは、モーターサイクルの意味であり、具体的には、車体を傾動させて旋回可能な車両のことをいう。したがって、前輪および後輪の少なくとも一方を2輪以上にして、タイヤの数のカウントで三輪車・四輪車(またはそれ以上)としても、それは「自動二輪車」に含まれ得、また、それについてバンク角θを計測・算出することが可能である。
【0129】
自動二輪車200には、本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示システム100の制御部(図5中の演算処理装置20)となるエレクトロニックコントロールユニット(ECU)120と、座標特定装置25となるGPS受信機122が設けられている。
【0130】
さらに自動二輪車200には、アンテナ209、DSRC(Dedicated Short−Range Communication)アンテナ210、検出器212及びDSRC受信機213と、音声・映像回路215、ディスプレイ装置216、トランスミッタ217も設けられている。
【0131】
アンテナ209は、道路上に設置された路側マーカー218からの信号を受信するものであり、車体後部に設置された検出器212を介してDSRC受信機213に電気的に接続されている。DSRCアンテナ210は、電柱等に設置されたDSRC路側アンテナ219からの信号を受信するものであり、DSRC受信機213に接続されている。
【0132】
DSRC受信機213とGPS受信機122とは、ECU120に電気的に接続されている。本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示システム100の制御部の動作は、ECU120によって行うことができる。ECU120は、車体前部に設置された音声・映像回路215にも接続されている。また、ECU120には、自動二輪車200の走行状態を検出する車載のセンサ(例えば、エンジン回転数を検出する回転センサ、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、ブレーキレバーの開度を検出するブレーキセンサ、車体の傾斜角を検出するためのヨーレートセンサ等)及び車載のナビゲーション装置220が接続されている。
【0133】
音声・映像回路215には、各種メータ類と共に車体前部に配置されたディスプレイ装置216と、車体前部に配置されたトランスミッタ217とが接続されている。ヘルメット208には、音声受信機222、および、音声受信機222に接続された左右のスピーカ224が内蔵されている。
【0134】
まず、上述したように、ECU120は、自動二輪車200の位置情報をGPS受信機122によって得ることができる。さらに、図16に示した構成では、自動二輪車200はDSRCの機能も備えており、それにより道路情報も得ることが可能である。以下、それについて簡単に説明する。
【0135】
スクータ型自動二輪車200が路側マーカー218を通過した場合、アンテナ209が路側マーカー218からの信号を受信して、これを検出器212を介してDSRC受信機213に送信する。次いで、DSRC受信機213は、その信号をECU120に対して出力する。路側マーカー218から発信される信号は、道路情報の提供の開始位置と終了位置をECU120に知らせる。ECU120は、情報提供の開始を検知すると、DSRC路側アンテナ219から発信される各種道路情報を受け取る。DSRC路側アンテナ219から発信される交差点、横断歩道、カーブや坂道等の存在を示す信号は、DSRCアンテナ210によって受信されて、DSRC受信機213に送信される。次いで、DSRC受信機213から、各種道路情報がECU120に入力される。
【0136】
ECU120は、GPS受信機122から入力された情報(位置情報)、DSRC受信機213から入力された道路情報、または、ナビゲーション装置220によって検出された車体の走行状態とから、車体の走行経過に対応する車体の走行特性値を求めてメモリマップを作成することができ、これをECUのメモリに設定記憶している。
図17に示した例では、ECU120は、データ処理部30とメモリ32と表示処理装置34から構成されている。ECU120内のデータ処理部30には、センサ42からの検出信号と、GPSやDSRC44からの路線・道路・位置信号とが入力される。データ処理部30の処理結果は、メモリマップとしてメモリ32内に設定記憶される。なお、図17中のセンサ42およびGPS44は、図5に示したセンサ22および座標特定装置25に対応し、そして、ECU120内のデータ処理部30およびメモリ32は、図5中の演算処理装置20および記憶装置28に対応する。
【0137】
メモリ32内のデータは、表示処理装置34によって表示処理されてディスプレイ216に表示され、あるいは、音声処理されてヘルメット208の音声出力手段224に音声出力される。メモリ32内のデータ(走行情報データ)としては、例えば、走行コースおよび左右バンク角のデータ、あるいは、地図データ、走行コース、自車の位置および左右バンク角のデータが格納されている。なお、データ処理部30に表示処理や音声処理の機能を持たせることも可能である。
【0138】
さらに、データ処理部30には、各種設定スイッチ46を接続しておくことができる。また、データ処理部30は、外部メモリ48(CDROM、CD−RW、フラッシュメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、あるいは、通信手段を介して接続可能なサーバやデータベースなど)に接続することが可能である。
【0139】
ECU120を含むシステムによって、データライブラリを作成することができる。換言すると、自動二輪車の走行情報蓄積を行うことができる。データ処理部30は、センサ42からの各種データを単位時間毎(例えば、100msec毎)にサンプリングし、このサンプリング値からリアルタイム或いは走行終了後に、バンク角、車速、加減速のポイントを含む車体走行特性値を求めこれをメモリ32に記録する。また、車体の走行経路の走行軌跡(座標データ)の所定間隔毎に、バンク角、加速又は減速がされたポイント、車速、加速値、減速値が記憶される。車体の位置情報はGPS44(122)から得られる。さらに、ナビゲーション装置220の地図データと重ねて、路線に対応させた形での車体走行特性値が記録されたメモリマップ(ライブラリ)を得ることも可能である。
【0140】
本実施形態では、路線のコーナー曲率毎に車体走行特性値を定めるようにしている。具体的には、○○○高速道路の×××丁目のコーナ(R<100)の限界バンク値(適正バンク値)、加減速値、限界車速(適正車速)、加減速位置をメモリマップに設定する。限界バンク値の限界と表記したのは、二輪者のライダーはコーナーを自身の最良の運転技術で曲がろうとしていることを前提としたためであり、その意味では、適正バンク角と言い直しても良い。この説明は、限界車速についても同様に当てはまる。
【0141】
このメモリマップは、ECU120内のメモリ32に記憶され、または外部メモリ48に記憶される。同一経路を再走行した場合で、限界バンク角(適正バンク角)などの走行結果値が走行前の値を超える場合には、走行後の値で記憶値を更新するようにすることができる。また、外部メモリ48がサーバを備える運転支援センターである場合には、複数の運転者毎の限界走行値(適正走行値)をこれに登録できる。そして、運転支援センターは、様々なサービスをライダーに提供可能である。例えば、最優秀ライダーの限界値(適正値)をドライバに発信可能である。また、運転支援センターは、気候や路面状況や道路混雑状況によって限界値(適正値)を補正して、これをドライバに発信することも可能である。運転支援センターは、路線のコーナーの曲率やバイクの構造上から定まる物理的な限界値(適正値)をドライバに発信することも可能である。
【0142】
次に、図16および図17に示した本実施形態の構成をブロック図で表すと、図18に示すようになる。図18に示した構成例では、設定スイッチ46として、GPSデータ記録スイッチ46a、車両情報書き出しスイッチ46b、設定変更スイッチ46cが表記されており、また、センサ42として、ヨーレートセンサ42a、車速センサなどの各種センサ42bが表記されている。さらに、電源50、CCDカメラ(撮像素子)やマイク入力部54、AV出力部56も表記されている。なお、画像・音声ユニット215と図17中の表示処理装置34とを同一の装置で兼ねることも可能である。
【0143】
また、本実施形態の走行支援方法を実現する上では、DSRC受信機210は特に必要ないので、その場合には、図18に示した構成は、図19に示した構成にすることができる。加えて、CCDカメラ(または、CMOSイメージセンサのような他の撮像素子)54、マイク入力部54、音声送受信機217、222などもオプションとして扱うことができる。ここで、音声送受信機217、222を双方向なものにして、ライダーからの音声もデータとして記憶できるようにしてもよい。
【0144】
また、本実施形態の構成によれば、GPSによって得られた座標データを用いて自動二輪車の走行経路からなる走行地図を作成したり、走行地図から走行経路のカーブ曲率を算出したりすることも可能である。
【0145】
さらに、走行コース150、バンク角データ、加速度データなどを統合した走行情報表示を行うことも可能である。そのような統合データの表示例を図20に示す。図20に示した表示例では、走行コース150、自車位置117、方位マーク115等が表示された地図情報ウインド111と、バンク角表示60、加速・減速度表示62が表されている。加えて、カーブ指示アイコン64も表示されている。勿論、車速を併記することも可能である。
【0146】
このように、各データを数値またはグラフ・チャートの形で統合すると、お互いの情報の関係が一目でわかるので、自動二輪車の走行支援にとってより適切な走行情報表示をライダーに行うことが可能となる。
【0147】
なお、バンク角表示60は、図21に示すように、車両アイコン90を基準にして、道路アイコン95の傾きで表現することも可能である。この表示によれば、実際のバンク時に道路の水平状態と、画像表示装置メータ(液晶メータ)のバンク表示の水平とが一致するので、ライダーに理解しやすいという利点がある。
【0148】
そして、図20に示したようなデータと、走行時の画像データ(撮像データ)とを融合させて蓄積することもできる。図22は、図18および図19中のCCDカメラ54で撮像した走行時の画像データを表示するカメラウインド66と、地図情報ウインド111等とを融合したものの表示例である。走行時の画像データは、動画データに限らず、静止画データであっても構わない。なお、図22に示した例では、バンク角表示60、加速・減速度表示62は、車速表示も含めて簡略表記68で表されている。
【0149】
このように、走行時の画像データ(66)もリンクすると、走行時画像と測定データの数値・グラフ・チャートとを組み合わせて、ライダーに提供することができるので、自動二輪車の走行支援のための情報の質を向上させることができ、また、走行時の画像があることによって、数値等だけの提供よりもさらに直感的にライダーに有用な情報を伝えることが可能となる。さらに、走行時の画像データがあれば、ライダーの技量の検証もより容易になる。
【0150】
図23は、走行時の画像データ66も対比結果として示した例を表している。図23に示した例では、加速度・減速度アイコン61も表示されており、表示されている「B」はブレーキポイントで、一方が「A」が表示されるとアクセルポイントとなる。また、車速アイコン63、ライダーアイコン65、距離・時間アイコン69も対比して表示されている。
【0151】
なお、図2、図7、図13、図20、図22、図23などに示した走行情報表示データは、通信手段を介して、リアルタイムでインターネット等に配信することが可能であり、特に、走行時画像をリアルタイムで配信すると、より臨場感ある走行情報表示データを提供することができる。さらに、本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示システム100が自動二輪車同士の通信システム(例えば、ブルーツース、無線LANなど)に接続可能な構成を有している場合には、そのような走行情報表示データを他の自動二輪車(先行車、対向車など)から受け取り、それを利用することもできる。対向車の情報を得る場合には、走行方向の向きをデータ反転させる等の処理を行って利用することができる。いままさに走行してきた直前の走行情報を利用できるメリットは大きい。なお、一緒に走行する場合には、停車した時点で外部記憶媒体の交換によって走行情報の転送を行うことができる。
【0152】
自動二輪車用の走行支援システム(または、自動二輪車用の走行情報表示システム)のスイッチ配置等は、図24のようにすることができる。図24は、ライダー側から見たハンドル・モニター周りの構造図である。図24に示した例では、ハンドル204の奥に、表示器(モニター)216が設けられている。表示器216の周りの車体には、スクリーン(風よけスクリーン)205およびサイドミラー232が取り付けられている。表示器216の下側に、GPSデータ記録スイッチ46aおよび車両情報書き出しスイッチ(ドライブレコーダ機能をオン・オフするための車両情報データ取得スイッチ)46bが設けられている。なお、その周囲には、エンジンをオン・オフするためのメインスイッチキー230も配置されている。
【0153】
表示器(モニター)216は、例えば、図25(a)に示すような構成にすることができる。表示器216は、メーターユニット240として構成されており、液晶表示装置216と、車速計242、燃料計・油温計244とを含んでいる。なお、液晶表示装置216は、有機EL表示装置のような他の画像表示装置であってもよい。液晶表示装置216の周囲には、ボタン式スイッチ252が設けられている。ここでのスイッチ252は、例えば、メニュー送りスイッチ252a、ライダー1・2選択スイッチ/カーブサービスオン・オフスイッチ252b、音声モード切替スイッチ252c、路面選択スイッチ252d、データ表示/決定スイッチ252eなどであり得る。
【0154】
図25(a)に示した例では、液晶表示装置216を覆うようなシェード250が設けられている。その斜視図を模式的に示すと、図26に示すようになる。シェード250は、図25(b)に示すように可動式となっており、シェード250を矢印251の方に押すと、回転中心点258を中心として回転して、液晶表示装置216の表示画面部分を覆うことができる。シェード250の固定・開放は、切り欠き253a、バネ254、ストッパ256によって行われている。なお、切り欠き253bは、途中で保持するために使うものである。
【0155】
自動二輪車の場合、メータ表示部が直接露出しているので、ライダーの身長により視点も異なり、通常のメータカウル(メータカバー)では太陽光の入射を遮る範囲が狭く、光が当たると液晶画面表示内容が見えにくくなることが多い。本実施形態の構成では、液晶表示装置216の周囲にシェード250を設けているので、そのような見えにくさを抑制することができる。また、本実施形態のシェード(表示ディスプレイ用カバー)250は、横からの太陽光の入射も効果的に防ぐことができる。
【0156】
さらに、本実施形態のストッパ256は、シェード250が閉じた時にロックする機能を有しており、例えば、メインスイッチキー230の回転と連動させたものにすることができる。すなわち、シートロックなどと同様な機構によりシェード250のロックおよびロック解除を行うことができる。このようにシェード250をメインスイッチ230と連動させると、液晶表示面へのいたずらを防止する機能も持たせることができる。
【0157】
また、本実施形態の走行情報表示方法は次のように使用することもできる。例えば、図2に示した例において、ライダー1のデータを実際値とし、ライダー2のデータを走行適正値とすれば、走行適正値との対比を行うことができる。もちろん、これ以外に走行適正値を表示させて、ライダー1、ライダー2のデータを実際値や参考値として、対比結果を表示(通知)させることも可能である。
【0158】
このような対比表示は、視覚的に、ライダーにバンク角とカーブ(走行経路)との情報をわかりやすく理解させることができるので非常に技術的意義が大きい。バンク角のデータは、同一走行路を車体が走行した際には、順次メモリに更新されても良いし、走行日時毎のバンク角のデータをメモリに設定しておくようにしても良い。また、例えば図7に示した例でも、走行適正値(最大適正車速)を併記して、対比表示を行うことができる。
【0159】
なお、ライダーは走行中だけでなく、走行後にも、ディスプレイ装置を走行情報表示のモードにすることによって、今の走りの精度または熟練度を当該表示にて画面に表示させることができる。この時、過去の走行結果を今の走行結果に重ねて表示させれば、運転向上度を認識することもできる。これらの走行軌跡を地図データと重ねれば、ナビゲーション装置の画面に走行結果を重ねて表示することが可能となる。また、走行前に路線の限界値データ(適正値データ)を確認することもできる。
【0160】
図27は、他の表示形態を示す画面例であり、コースが特定され、このコースの走行中の走行特性値(限界走行値)が数字として示されている。なお、ライダー1とライダー2との区別をわかりやすくするために色をわけて表示してもよい。また、ライダー1及びライダー2は別人であっても、本人であっても良い。この数値は車体のメモリから読み出しても、外部メモリから読み出すようにしても良い。上述したように、ライダー2を走行適正値にすることができ、図27では、標準値(最大値)とライダー1とのデータが比較されている。したがって、自分の限界値が標準値と比較してどうであったかを確認することができる。
【0161】
上述したように、データ処理部(例えば、図17中の「30」)は、ライダー毎とコーナーの曲率毎に走行限界値をメモリマップから読み出し、これをデータ表示処理部を介してディスプレイに表示することができる。バンク角は前記特性式に基づいてカーブ曲率Rより計算される。加減速値は車速値より計算される。カーブ曲率は、ナビ、GPSデータMAPより計算することも可能である。
【0162】
データを表示させる際の各種パラメータの設定は、例えば、図29に示すように行うことができる。画面70は、タッチパネルの例であり、画面70中の「表示」は、データ(例えば、図21や図22に対応)を表示するためのボタンであり、一方、「設定」は、メモリマップに登録されている限界走行値(適正走行値)を補正するパラメータを設定するためのボタンである。
【0163】
表示ボタンを押すと、例えば、表示画面71がディスプレイ装置に表示される。一方、設定ボタンを押すと、まず、画面72が表示されて、「ピー」という単音にするか、「右カーブあり」というような音声にするかが選択される。
【0164】
次いで、「次」のボタンを押すとライダー2名分の設定が可能な画面74が表示される。ここで「ライダー2」を2名乗車(タンデム)の設定にする等の使い分けも可能である。次に、画面76が表示されて、路面設定パラメータを選択することができる。例えば、オンロード・オフロード、または、ドライ・ウエットなどのように路面状況によってパラメータを設定できる。パラメータとしては、昼夜、薄暮などの時間要素も設定可能である。
【0165】
その後、画面78が表示されて、パラメータで補正された走行限界値で書き換えるか、これをクリアするかが選択される。補正パラメータには、カーブの深さ、タイヤ空気圧、温度、下り勾配、凍結の有無などがある。
【0166】
また、メモリマップの更新は、次のようにして実行することができる。
【0167】
ライダーが二輪車を走行させようとする際に、ディスプレイに既述の表示画面を表示させる。次いで必要な設定を行い、二輪車を始動させるとナビゲーション画面が表示され、現在のバンク角が計算されて、地図の画面中に左右のバンク角値が表示される。その時の画面例は、例えば、図20のようなものであり得、車体の走行位置、バンク角、曲率半径、勾配、カーブの方向(カーブアイコン)、加速・減速度などが地図情報とともに表示される。
【0168】
二輪車の現在の走行位置が走行限界値のマップに近い場合には、マップを表示して現在値をディスプレイに映し出す。マップのカーブから現在地の進行方向でもっとも近いカーブの開始点との距離、到達時間を計算し、この到達時間が数秒以内であればディスプレイにカーブのアイコンを表示して、運転者にカーブの到達を予告する。マップから限界車速値(適正車速値)が読み出され、必要に応じて補正係数を乗じる。これはカーブの深さなどによって補正される。
【0169】
次いで、限界車速値(最大適正走行値)と実測値が比較されて、実測値がこれを超える場合には、アイコンを点滅したり、音声情報によって運転者にこれを告知する。データ処理手段は、メモリのワークRAM内にあるマップデータから走行している道路のRでの走行限界値(バンク角など)を読み込み、走行限界値を実測値が上回っていれば、ワークRAMの限界値テーブルを更新する。
【0170】
次いで、車両がマップの終点まで到達したら、データ処理手段はECUのワークメモリのデータを外部メモリのテーブルに書き込む。車両の停止が数分以上、又は車両が終点より10m以上過ぎていることのいずれかの条件が成立したら、この書き込み動作を行う。一方、この条件が成立しない場合には、走行限界値の実測を継続する。このようにして、カーブの途中でサンプリングが終了しないようにしている。
【0171】
実測車速値が限界車速値以下の場合には、実測走行性値が限界走行値を超えていることは無いので、外部メモリの更新を行わない。たとえ実測車速値が限界車速値を越えても、バンク角が限界バンク角を超えていなければ外部メモリの更新は行わない。
【0172】
データ処理手段は、メモリマップ上の限界走行値を利用することにより、運転者に種々の警告・予告を与える処理を実行可能である。たとえば、路線に登録されている走行限界値と実測値とを比較して、実測値が限界値に近づいていることの告知、限界走行値がそもそも理論的な限界値以下である場合には、運転者には実測値よりもより大きなバンク角・車速での走行が可能である旨の告知などである。また、未走行のルートであれば、ナビゲーションの地図データからコーナーの曲率を求め、データマップ上の同一曲率の限界走行値を未走行ルートに対して仮設定することもできる。
【0173】
なお、マップデータは、パソコンなどで編集し、これを外部メモリに登録することもできる。また、インターネット回線を通じて、運転支援センターのホームページにアクセスすることによって、必要なメモリマップを二輪車のコントローラにダウンロードすることができる。また、車−車間通信を利用して、他の車両に転送することもできる。
【0174】
次に、図30から図32を参照しながら、本実施形態の自動二輪車用の走行情報表示方法を利用する走行支援方法のフローについて説明する。
【0175】
図30は、フロー全体の概略を説明するためのフローチャートであり、一方、図31および図32は、図30のフローを詳細にしたフローチャートである。
【0176】
まず、フロー開始(START)の後、パラメータ設定(S100)を行う。パラメータ設定では、上述したように、タッチパネルやボタンスイッチを用いて、ライダー、路面などのパラメータの設定を行う。次に、車両データを書き込みを実行する場合(S110)、車両に搭載している各種センサによる計測値を取得して、取得データの書き込みを行う(S111)。次いで、地図データを取得するときには(S120)、GPSカーブサービスのためのデータ取得を実行し、GPSデータに基づく地図データを作成する(S121)。最後に、カーブサービスを実行したい場合に(S130)、上述したようなカーブ支援サービス(自動二輪車用の走行支援方法)を提供する(S131)。走行が終了すれば、あるいは、任意にサービスを停止した場合に、フローは終了する(END)。
【0177】
次に、図31および図32による詳細な例を説明する。
【0178】
まず、図31に示すように、開始後(START)、パラメータの読み込みを行う(S200)。ここでは、ライダー、路面、音声の種別を行う。次に、ライダーの走行限界値(適正限界値)を外部メモリ媒体から読み込む(S210)。例えば、図14および図15に示したようなテーブルを読み込む。ここには最高適正車速(Vmax)データも含まれている。なお、外部メモリ媒体からの読み込みは通信を利用して行ってもよい。
【0179】
その後、タイヤ空気圧/温度の検出、および、気温の検出を行う(S220)。この検出により、タイヤ補正値を決定したり、気温による補正値を決定したりする。例えば、タイヤ空気圧P1<90kPaの場合、または、温度t1<20℃や温度t1≧80℃の場合、タイヤ補正係数として90%(通常は100%)を決定する。あるいは、凍結判定を行って、0℃以下の時に、気温凍結補正データとして80%(通常は100%)を設定する。
【0180】
さらに、現在の車速V1を検出し(S221)、GPS経度x、緯度yを検出したりする(S222)。そして、現在位置に最も近い道路線形マップの取り出し(S223)とともに、バンク角、加速度を計算して表示する(S230)。ここで、マップのノード(構成点)を結ぶ線、または、カーブ上から所定距離内(例えば、10m以内)かどうかにより、現在位置がマップ上に近いかどうか判断する(S240)。そして、近い場合には、マップを表示して現在位置を示す(S241)。
【0181】
次いで、マップのカーブR1〜Rnから現在位置の進行方向で最も近いカーブ開始点との距離、到達時間を計算する(S242)。ここで、到達時間が所定時間内(例えば、5秒前以内)の場合かどうかを判断し(S250)、その場合、カーブアイコンを表示する(S260)。そして、Vmaxに補正係数を掛けたV2を算出する(S270)。補正係数は、例えば、カーブの深さ補正(C2)、タイヤ補正(C3)、下り勾配補正(C4)、気温補正(C5)などを挙げることができる。上述したタイヤ補正(C3)および気温補正(C4)以外のカーブの深さ補正(C2)の場合、カーブの深さが≦45°のときは補正係数100%で、≦90°、≦135°、135°<のときは補正係数をそれぞれ95%、90%、80%のように設定することができ、一方、下り勾配補正(C4)の場合、下り勾配5%以上の時、95%(通常は100%)のように設定することができる。
【0182】
その後、図32に示すように、補正後の限界車速V2と現在の車速V1とを比較する(S300)。V2<V1であれば、アイコン点滅、音声情報提供などによりライダーに通知する(S310)。次いで、一時メモリに存在する現在サービス中の走行限界値(走行適正値)を取り出し(S320)、走行限界値が計測値を上回っているか判断する(S330)。上回っている場合(yes)、一時メモリの限界値テーブルを更新する(S340)。なお、ここで一時メモリとは、適宜書換が行われるメモリのことを意味している。
【0183】
限界値テーブルの更新(S340)とともに、S300およびS330において「no」の場合、マップの終点まで到達したかを判断する(S350)。到達していない場合には、車速0の停止が5分以上か?又はマップから10m以上遠いか?を判断する(S360)。S350およびS360で「yes」の場合、取得した限界値データを外部メモリのテーブルに書き込む(S370)。S370の後、および、S360で「no」の場合、再び、図22の「B」の位置からスタートすることができる。なお、図31および図32中の「A」「B」「C」は互いのものに飛ぶ印として表している。
【0184】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明によれば、自動二輪車の走行支援を適切に行うためのバンク角等の走行条件を容易に把握することができる自動二輪車用の走行情報表示方法を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、
自動二輪車のバンク角を取得する工程(a)と、
前記バンク角を前記自動二輪車の走行コースに沿って表示する工程(b)と
を包含し、
前記工程(b)において、前記バンク角の度合いは、前記走行コースから外れる度合いによって表示されることを特徴とする、自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項2】
前記工程(a)において、前記自動二輪車のバンク角は、左のバンク角と右のバンク角とがそれぞれ別に計測されることによって取得されたものであり、
前記工程(b)において、左のバンク角と右のバンク角とがそれぞれ逆の方向に前記走行コースから外れるように表示される、請求項1に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項3】
前記走行コースは、地図表示にて表される、請求項1または2に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項4】
前記走行コースは、直線表示にて表される、請求項1または2に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項5】
前記工程(b)では、ブレーキポイントおよびカーブ曲率が表示される、請求項1または2に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項6】
前記工程(b)では、第1のライダーのバンク角と、第2のライダーのバンク角とが同時に表示される、請求項1に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項7】
前記第1のライダーと前記第2のライダーとは同一人物である、請求項6に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項8】
前記第1のライダーのバンク角は、単独で走行している場合のものであり、前記第2のライダーのバンク角は、二人乗りで走行している場合のものである、請求項7に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項9】
自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、
自動二輪車の車速を取得する工程と、
走行時の車速を前記自動二輪車の走行コースに沿って表示する工程と
を包含し、
前記表示工程において、前記車速の度合いは、前記走行コースを基準として、当該走行コースからの高さの度合いによって表示されることを特徴とする、自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項10】
前記走行コースは、地図表示にて表される、請求項9に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項11】
前記走行コースは、直線表示にて表される、請求項9に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項12】
自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、
自車が位置する領域を含む地図データ上に走行コースを表示する工程と、
前記地図データ上に前記自車の位置を表示する工程と
を包含し、
前記自車のマークが走行コース上を走行している画像とともに、当該自車の左右バンク角が表示されている、自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項13】
さらに、前記左右バンク角とともに、前記自車の加速減速度、及び、前記走行コースにおけるカーブの曲率が表示される、請求項12に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項14】
さらに、前記左右バンク角とともに、前記走行コースにおける勾配の表示、及び、前記走行コースにおけるカーブアイコンの表示の少なくとも一方が行われる、請求項12または13に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項15】
さらに、前記自車のマークが走行コース上を走行している画像とともに、前記自車が走行している時の前方映像が表示される、請求項12から14の何れか一つに記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項16】
自動二輪車の走行情報を表示する方法であって、
自動二輪車のバンク角を取得する工程と、
前記自動二輪車の走行コースにおけるカーブ曲率を取得する工程と、
前記カーブ曲率を複数の区分のグループに分類するとともに、当該カーブ曲率のグループごとに前記バンク角を表示する工程と
を包含する、自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項17】
前記バンク角とともに、前記カーブ曲率のグループごとに、車速および加減速値の少なくとも一方が表示される、請求項16に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項18】
前記バンク角とともに、前記カーブ曲率のグループごとに車速が表示され、
前記バンク角と前記車速は、それらの走行適正値が表示される、請求項16に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項19】
前記バンク角は、左のバンク角と右のバンク角とがそれぞれ別々に表示される、請求項16から18の何れか一つに記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項20】
自動二輪車の走行情報を表示するシステムであって、
自動二輪車の走行情報が格納された記憶装置と、
前記記憶装置に接続され、前記走行情報をデータ処理する演算処理装置と、
前記演算処理装置に接続され、画像を表示する画像表示装置と
を備え、
前記記憶装置には、前記走行情報として、走行コースおよび左右バンク角のデータが格納されており、
前記演算処理装置は、前記左右バンク角の度合いを、前記走行コースから外れる度合いにて前記画像表示装置に表示する処理を行う、自動二輪車用の走行情報表示システム。
【請求項21】
前記走行情報として、車速のデータが前記記憶装置に格納されており、
前記演算処理装置は、前記車速の度合いを、前記走行コースを基準として、当該走行コースからの高さの度合いにて前記画像処理装置に表示する処理を行う、請求項20に記載の自動二輪車用の走行情報表示システム。
【請求項22】
前記走行情報として、さらに、地図データが前記記憶装置に格納されている、請求項20または21に記載の自動二輪車用の走行支援システム。
【請求項23】
自動二輪車の走行情報を表示するシステムであって、
自動二輪車の走行情報が格納された記憶装置と、
前記記憶装置に接続され、前記走行情報をデータ処理する演算処理装置と、
前記演算処理装置に接続され、画像を表示する画像表示装置と、
を備え、
前記記憶装置には、前記走行情報として、地図データ、走行コース、自車の位置および左右バンク角のデータが格納されており、
前記演算処理装置は、前記地図データ内の前記走行コースと前記自車の位置とを前記画像処理装置に表示する処理を行い、そして、前記地図データとともに、前記左右バンク角を前記画像処理装置に表示する処理を行う、自動二輪車用の走行情報表示システム。
【請求項24】
さらに、前記自動二輪車の走行情報を記憶可能な外部記憶装置が設けられている、請求項20から23の何れか一つに記載の自動二輪車用の走行情報表示システム。
【請求項25】
前記自動二輪車用の走行情報表示システムは、インターネットに接続可能な構成を有しており、
前記演算処理装置は、前記インターネットを通じて、前記自動二輪車の走行情報をアップロードおよびダウンロードする処理を実行する機能を有している、請求項20から23の何れか一つに記載の自動二輪車用の走行情報表示システム。
【請求項26】
前記自動二輪車用の走行情報表示システムは、自動二輪車同士の通信システムに接続可能な構成を有しており、
前記演算処理装置は、前記自動二輪車同士の通信システムを通じて、前記自動二輪車の走行情報をアップロードおよびダウンロードする処理を実行する機能を有している、請求項20から23の何れか一つに記載の自動二輪車用の走行情報表示システム。
【請求項27】
請求項20から26の何れか一つに記載の自動二輪車用の走行情報表示システムを備えた自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【国際公開番号】WO2005/038747
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514741(P2005−514741)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014655
【国際出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】