説明

自動倉庫

【課題】自動倉庫において、作業者が物品を容易に出し入れできるようにする。
【解決手段】自動倉庫10は、複数の固定棚24と、移載装置26と、スライド棚25と、を備えている。複数の固定棚24は、カセットCを載置可能である。移載装置26は、複数の固定棚24に沿って移動し、複数の固定棚24の間でカセットCを移載する。スライド棚25は、カセットCを載置可能な載置台78と、載置台78が設けられるとともに載置台78を移載装置26が移載可能な位置に対して接近及び離反する水平方向に移動可能な伸縮する伸縮レール76と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫、特に、搬送装置と処理装置との間で物品を保管する自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造工場では、シリコンウェハやガラスプレート等の基板上に薄膜形成、酸化、エッチング等の種々の処理構成を経て基板上に半導体デバイスや液晶デバイスが形成される。この種の処理装置の間では、カセット(物品の一例)に基板が収納されてカセット単位で自動搬送台車により搬送される。処理装置と搬送装置との受け渡し場所には、運搬装置と処理装置との間の処理時間を調整するために装置前自動倉庫と呼ばれるバッファが設けられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の装置前自動倉庫は、上下に間隔を隔てて配置されたカセット保管用の複数の固定棚と、各固定棚の間で物品を受け渡し可能な移載装置と、を備えている。固定棚は上下に間隔を隔てて配置されており、最も上の固定棚が搬送装置である自動搬送台車とのカセット受け渡し場所になっている。そして、最も下の固定棚の下方に処理装置とのカセット受け渡しポートが配置されている。この受け渡しポートで処理装置によりカセット内から基板が取り出され、処理装置で基板が処理される。
【0004】
移載装置は、固定棚の処理装置と逆側に面して配置され、各固定棚間及び各固定棚と受け渡しポートとの間でカセットを移載する。このような装置前自動倉庫を設けることにより、処理装置や搬送装置のトラブルによりカセットの供給又は搬出が滞ってもシステムダウンすることなく連続して物品を搬入及び搬出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−298069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような自動倉庫において、試作品や特急品に対応するために、人手により固定棚にカセットを受け渡し可能なマニュアルポートを設けることが考えられる。しかし、前記従来の自動倉庫では、固定棚の前面を移載装置が移動するので、固定棚までの距離が長くなる。このため、作業者が腕を延ばして物品を出し入れしなければならず、物品の出し入れを行いにくい。
【0007】
本発明の課題は、自動倉庫において、作業者が物品を容易に出し入れできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動倉庫は、複数の固定棚と、移載装置と、スライド棚と、を備えている。複数の固定棚は、物品を載置可能である。移載装置は、複数の固定棚に沿って移動し、複数の固定棚の間で物品を移載する。スライド棚は、物品を載置可能な載置台と、載置台が設けられるとともに載置台を移載装置が移載可能な位置に対して接近及び離反する水平方向に移動可能な伸縮レールと、を有する。
この自動倉庫では、搬送装置から固定棚に物品が供給され、固定棚に移載される。また、各固定棚の間で移載装置により物品が移載される。そして、試作品や特急品などの物品が発生すると、スライド棚の載置台を引き出す。すると、載置台が伸縮レールにより移載装置が移載可能な位置から離反する方向に移動する。これより、物品を作業者に近づけることができる。ここでは、物品を載置可能な載置台を移載可能な位置に対して接近及び離反するように構成したので、載置台を自動倉庫との間で出し入れして物品を出庫及び入庫することができる。このため、作業者が物品を容易に出し入れできるようになる。
【0009】
自動倉庫は、物品に関連する処理を行う処理装置の外周に面しかつ処理装置との受け渡し部付近に複数の固定棚が配置され、移載装置が受け渡し部に物品を移載可能な装置前自動倉庫であってもよい。伸縮レールは、受け渡し部と複数の固定棚とを結ぶ移載装置の移動経路を横断して伸縮するようにしてもよい。
この場合には、載置台が移載装置の移動経路を横断するので、自動倉庫内の移載装置がアクセス可能な位置に載置台を配置しても、載置台を作業者に近づけることができる。
【0010】
固定棚及び移載装置を囲むように配置され、かつ伸縮レール及び物品が載置された載置台が通過可能な開口を有する外壁パネルをさらに備えてもよい。
この場合には、物品を保護するために外壁パネルを設けても、そこに形成する開口を最小限の大きさにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物品を載置可能な載置台を移載可能な位置に対して接近及び離反するように構成したので、載置台を自動倉庫との間で出し入れして物品を出庫及び入庫することができる。このため、作業者が物品を容易に出し入れできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による自動倉庫の斜視図。
【図2】その外壁パネルを除いた正面図。
【図3】その側面断面図。
【図4】移載装置の正面拡大図。
【図5】スライド棚の斜視図。
【図6】自動倉庫の制御系のブロック図。
【図7】スライド棚処理のフローチャート。
【図8】カセット割り込み処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)自動倉庫の全体構成
図1から図3において、本発明の一実施形態による自動倉庫10は、たとえば、図示しない天井走行の自動搬送台車と処理装置の一例である半導体処理装置12(図3)との間に配置される装置前自動倉庫である。自動倉庫10は、半導体処理装置12の外周に配置された受け渡しポート(受け渡し部の一例)14に重なるように配置されている。受け渡しポート14は、たとえば、4個のカセット載置台14aを有している。
【0014】
自動倉庫10は、自動搬送台車から搬入され半導体処理装置12で処理される処理前の複数枚の基板を収納するカセット(物品の一例)Cを保管する。また、半導体処理装置12で処理され自動搬送台車で搬出される処理済みの基板が収納されたカセットCを保管する。自動倉庫10は、フレーム20と、フレーム20の外側面を囲むように配置された外壁パネル22と、カセットC載置用の固定棚24と、スライド棚25と、移載装置26と、を備えている。スライド棚25は、作業者が人手によりカセットCを自動倉庫10に搬入及び搬出するために使用される。移載装置26は、図6に示す倉庫制御部100により制御される。移載装置26は、カセットCを、複数の固定棚24と、スライド棚25と、複数のカセット載置台14aとの間で搬送する。
【0015】
(2)フレーム及び外壁パネルの構成
フレーム20は、図2に示すように、たとえば、四隅に配置された4本の柱部材20aと、柱部材20aを前後左右に連結する連結部材20bと、を有している。図2の手前左側の柱部材20aには、スライド棚25を使用する場合、その旨を倉庫制御部100に出力するための扉開指令ボタン102が設けられている。なお、左右をつなぐ連結部材20bは、主に半導体処理装置12側の背面に配置されており、正面には配置されていない。フレーム20の左右のそれぞれ2本の柱部材20aは、床面に固定可能である。フレーム20の下部に半導体処理装置12の受け渡しポート14が配置されている。受け渡しポート14は、カセットCを載置可能である。半導体処理装置12では、カセットCを開けて、内部に収納された、たとえば円形の基板に処理を施し、処理済みの基板をカセットCに収納する。
【0016】
外壁パネル22は、自動倉庫10の正面及び左右の側面を覆うとともに、背面の上部を覆うように形成されている。外壁パネル22の正面の下部には、スライド棚25及びそれに載置されるカセットCを通過させるための開口22aが形成されている。開口22aは、手動により開閉可能な左右にスライド扉28により塞がれている。スライド扉28は、図6に示す扉センサ90により開状態が検出される。また、電磁式の扉ロック92によりロック及びロック解除される。スライド扉28は内部を視認可能な透明の窓を有している。これにより、スライド棚25にカセットCが移載されているか否かを作業者が判断できる。
【0017】
(3)固定棚の構成
固定棚24は、上下方向及び左右方向に配置されている。この実施形態では、左右に4列、上下に3段の合計12個設けられている。固定棚24は、上面にカセットCを位置決めして載置可能である。固定棚24は、フレーム20の左右の連結部材20bに固定されている。左右方向において、固定棚24の間に移載装置26が上下に通過可能な鉛直通路30aが設けられている。この実施形態では、固定棚24は、左右方向において、固定棚24,鉛直通路30a,固定棚24,固定棚24、鉛直通路30a,固定棚24の順に並んでおり、すべての固定棚24が鉛直通路30aに面している。これにより、移載装置26がすべての固定棚24及び受け渡しポート14との間でカセットCを移載できる。固定棚24には、カセットCを識別するカセット読み取り器(図示せず)が設けられている。最上段の固定棚24は、自動搬送台車とのカセットCの受け渡しに使用される。最下段の固定棚24と受け渡しポート14との間は、水平通路30bとなっている。
【0018】
(4)スライド棚の構成
スライド棚25は、図5に示すように、床面に固定可能な架台部74と、架台部74に設けられた伸縮レール76と、伸縮レール76上に設けられた載置台78と、を有している。架台部74は、4本の脚部74aを有する直方体枠形状に形成されている。
伸縮レール76は、載置台78を移載装置26が移載可能な位置に対して接近及び離反する水平方向に伸縮する。また、移載装置26の水平通路(移載経路の一例)30bを横断して水平方向(前後方向)に伸縮する。伸縮レール76は、第1レール部80と、第1レール部80に進退自在に支持された第2レール部82と、を有している。第1レール部80は、架台部74を上面に固定される2本の第1レール部材84と、第1レール部材84に水平移動自在に装着された可動台86と、を有している。第1レール部材84は、架台部74の上面に固定されており、前後方向に沿って配置されている。第1レール部材84は、たとえば、断面がC字状の部材である。可動台86は、板状の部材であり、第1レール部材84に案内される複数のローラ(図示せず)を下面に有している。
【0019】
第2レール部82は、可動台86に左右方向に間隔を隔てて配置された2本の第2レール部材88を有している。第2レール部材88は、たとえば断面がC字状の部材であり、第2レール部材88に載置台78が前後方向に移動自在に案内される。
【0020】
載置台78は、作業員が搬出及び搬入するためのカセットCを載置するための台である。載置台78は、図5に示すフレーム20外に引き出された第1位置と、図3に示すフレーム20内に配置された第2位置と、の間で伸縮レール76に移動自在に案内される。載置台78は、第2レール部材88に案内される複数のローラを内側面に有している。載置台の上面の高さは、受け渡しポート14のカセット載置台14aと同じ高さとなるように調整されている。また、載置台78には、カセットCを位置決めする、たとえば3つの位置決めピン78aが設けられている。なお位置決めピン78aは固定棚24にも設けられている。
【0021】
スライド棚25には、第1位置と第2位置とで載置台78をそれぞれ移動しにくくなるように係止する機械的な2つのラッチ(図示せず)が設けられている。また、スライド棚25には、図6に示すように、閉まった位置にあることを検出する棚センサ94と、閉まった位置で載置台78をロック及びロック解除可能な電磁式の棚ロック96が設けられている。さらに、載置台78には、カセットCが正常に載置されているか否かを判断するための第1カセットセンサ98が設けられている。また、架台部74には、第2位置で載置台78上にカセットCがあるか否かを検出す第2カセットセンサ99が設けられている。第1カセットセンサ98は、第1位置及び第2位置のいずれの位置にあってもカセットCが正しく載置台78上にあるか否かを判断する。第2カセットセンサ99は、第2位置において、位置決めされているか否かに関わらず、フレーム20内にカセットCがあるか否かを大まかに検出する。
【0022】
(5)移載装置の構成
移載装置26は、水平レール32と、水平レール32に沿って移動する鉛直レール34と、鉛直レール34に沿って各別に移動する移載ヘッド36と、を備えている。水平レール32は、固定棚24の正面側に固定棚24と隙間を空けて水平方向に配置されている。移載装置26は、左右方向に沿った水平軸及び鉛直軸の二軸を有する装置であり、カセットCを水平軸方向の移動で保持可能である。
【0023】
図2に示すように、水平レール32は、左右方向に沿って配置されている。水平レール32は、図4に示すように、上レール部材40a及び下レール部材40bと、鉛直レール34を水平方向に駆動するための水平駆動モータ44と、上駆動プーリ46a及び下駆動プーリ46bと、上従動プーリ48a及び下従動プーリ48bと、上歯付きベルト50a及び下歯付きベルト50bと、を有している。上レール部材40a及び下レール部材40bは、両端部で上下方向に配置された接続部材41によりつながれている。
水平駆動モータ44は、上レール部材40aの図4左端(図2右端)に固定された減速機付きのモータであり、90度曲げて回転を出力可能である。水平駆動モータ44の出力は、水平駆動プーリ46に伝達され、かつ連結軸54を介して下駆動プーリ46bに伝達される。上駆動プーリ46a及び下駆動プーリ46bは、上レール部材40a及び下レール部材40bの図2右端(図4の左端)に配置されている。上従動プーリ48a及び下従動プーリ48bは、上レール部材40a及び下レール部材40bの図2左端(図4の右端)に配置されている。上歯付きベルト50aは、上駆動プーリ46aと上従動プーリ48aに巻回されている。上歯付きベルト50aには、上レール部材40aに水平方向に案内される上スライダ52aが固定されている。下歯付きベルト50bには、下レール部材40bに水平方向に案内される下スライダ52bが固定されている。上スライダ52a及び下スライダ52bに鉛直レール34が固定されている。
【0024】
鉛直レール34は、図4に示すように、鉛直レール部材60と、移載ヘッド36を鉛直方向に駆動するための鉛直駆動モータ64と、駆動プーリ66と、従動プーリ68と、歯付きベルト70と、を有している。これらの構造は、水平レール32の上レール部材40aと同様である。移載ヘッド36は、歯付きベルト70に固定されたスライダ72に固定されている。
【0025】
移載ヘッド36には、図3に示すように、カセットCの上面に突出して形成された突起部C1を保持可能な1対の保持部36aが左右方向(図3紙面直交方向)に開閉可能に配置されている。また、移載ヘッド36のカセットCに対向可能な位置には、カセットCを識別するためのカセット識別センサ36bが設けられている。移載ヘッド36は、保持部36aを開閉するヘッドモータ104(図6)を有している。移載ヘッド36は、固定棚24に対する搬入時及び搬出時には、保持部36aを開閉して突起部C1を保持解除及び保持する。移載ヘッド36は、水平レール32及び鉛直レール34に案内されて、2つの鉛直通路30a及び水平通路30bを移動する。
【0026】
(6)制御系の構成
倉庫制御部100は、たとえば、マイクロコンピュータを有するものである。倉庫制御部100は、ソフトウェアにより、移載装置26の水平駆動モータ44、鉛直駆動モータ64及びヘッドモータ104を制御する。また、倉庫制御部100は、フレーム20の扉ロック92及びスライド棚25の棚ロック96を制御する。このため、倉庫制御部100には、図6に示すように、扉開指令ボタン102と、扉センサ90と、棚センサ94と、第1カセットセンサ98と、第2カセットセンサ99と、が接続されている。また、倉庫制御部100には、水平駆動モータ44と、鉛直駆動モータ64と、ヘッドモータ104と、カセット識別センサ36b等のその他のセンサ及び半導体処理装置12等の外部装置とのデータの入出力を行う他の入出力部106と、が接続されている。
【0027】
(7)自動倉庫の動作
このように構成された自動倉庫10では、図示しない自動搬送台車がカセットCを最上段の固定棚24のいずれかに搬入する。搬入されたカセットCは、搬入された最上段の固定棚24が面する鉛直通路30aから下方の2列の2段の固定棚24のいずれかに移載される。そして半導体処理装置12からの要求により、受け渡しポート14又はスライド棚25にさらに移載される。この移載時には、移載ヘッド36を、保持部36aを開けた状態で移載対象のカセットCの中心の上方に移動させる。このとき、移載ヘッド36を移載対象のカセットCが面する鉛直通路30aに移動させ、鉛直レール34に沿って昇降させる。そしてカセットCの上方に到達すると、水平レール32に沿って水平にカセットCの中心に移動させる。そして、移載ヘッド36を下降させ、ヘッドモータ104により保持部36aを閉じて突起部C1を保持部36aで保持する。これにより突起部C1が保持され、カセットCを移載することができる。そして、最上段の固定棚24からその下方の2段の固定棚24のいずれかにカセットCを移載する。また、移載命令によっては、受け渡しポート14のカセット載置台14a又はスライド棚25に直接移載する。スライド棚25に搬入されたカセットCをカセット載置台14aに移載することもある。逆に、カセット載置台14a又はスライド棚25から搬出する場合は、逆の手順でそれぞれの固定棚24に移載される。
【0028】
一方、作業者が手動でスライド棚25へのカセットCの搬入及びスライド棚25からの搬出を行う場合、扉開指令ボタン102を押圧操作する。このスライド棚25に関連する倉庫制御部100のスライド棚処理を図7及び図8に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0029】
図7のステップS1では、カセットCをスライド棚25から搬出するカセット搬出指令を受けたか否かを判断する。このカセット搬出指令は、半導体処理装置12や自動倉庫10の図示しない操作盤等から出力される。ステップS2では、扉開指令ボタン102が操作されたか否かを判断する。作業者は、搬出指令がある場合は、スライド扉28からスライド棚25にカセットCがあるときに、この扉開指令ボタン102を操作する。また、搬入指令がある場合には、搬入指令を確認すると作業者は扉開指令ボタン102を操作する。ステップS3では、DOフラグがセットされているか否かを判断する。このDOフラグは、扉開指令ボタン102が操作されると、スライド扉28が開いて再度閉じるまでセットされる。
【0030】
カセット搬出指令を受けるとステップS1からステップS10に移行する。ステップS10では、第1カセットセンサ98及び第2カセットセンサ99のいずれもがオフしているか否かを判断する。すなわち、スライド棚25にカセットCがあるか否かを判断する。スライド棚25にカセットCがある場合はステップS2に移行する。スライド棚25にカセットCがない場合には、ステップS10からステップS11に移行し、指令されたカセットCを固定棚24又はカセット載置台14aに取りに行き、それをスライド棚25に移載する。
【0031】
扉開指令ボタン102が操作されるとステップS2からステップS12に移行する。ステップS12では、DOフラグをセットする。ステップS13では、図8に示すカセット割り込み処理を実行する。ステップS3及びステップS13が終わるとステップS1に戻る。
【0032】
ステップS13のカセット割り込み処理では、図8のステップS21で現在動作が終了しているか否かを判断する。現在動作とは、現在処理中の移載動作である。ステップS22では、スライド扉28が開いているか否かを判断する。この判断は扉センサ90がオフしているか否かにより判断する。ステップS23では、棚センサ23がオフしているか否かを判断する。最初は載置台78が第2位置に配置されているので、この判断はNoになる。
【0033】
現在動作が終了している場合は、ステップS21からステップS25に移行する。ステップS25では、鉛直レール34をスライド棚25と干渉しない所定位置、たとえば、図2右側の鉛直通路30aの位置に移動させる退避処理を行う。ステップS26では、扉ロック92を解除し、スライド扉28を開けられるようにする。ステップS27では、作業者にランプ等の適宜の手段にスライド扉28を開けられることを報知し、ステップS22に移行する。作業者は、その報知により、スライド扉28を開ける。そのことがステップS22で判断される。
【0034】
スライド扉28が開けられて扉センサ90がオフすると、ステップS22からステップS28に移行する。ステップS29では、棚ロック96をロック解除し、ステップS23に移行する。
【0035】
ステップS23では、作業者がスライド棚25を引き出しため棚センサ94がオフしているか否かを判断する。作業者がスライド棚25を引き出して棚センサ94がオフするとステップS28に移行し、オンしているとスライド棚処理に戻る。ステップS28では、棚センサ94がオンしたか否かを判断する。棚センサ94がオフしてからオンするのは、作業者がカセットCを載置台78から運び出した後又は載置台78にカセットCを載置した後に載置台78を第2位置に操作したときである。棚センサ94がオンしたと判断すると、ステップS30に移行し、オンしていない場合はスライド棚処理に戻る。ステップS30では、扉センサ90がオンしてスライド扉28が閉まったか否かを判断する。カセットCの移載を終わると、作業者がスライド扉28を閉めるので、これによりカセットCが移載されスライド扉28が閉まったことを判断できる。扉センサ90がオンするとステップS30からステップS31に移行し、オフしているとスライド棚処理に戻る。ステップS31では、DOフラグをリセットし、スライド棚処理を終了し、ステップS32に移行する。ステップS32では、通常の移載処理に戻る。
【0036】
(8)特徴
(A)自動倉庫10は、複数の固定棚24と、移載装置26と、スライド棚25と、を備えている。複数の固定棚24は、カセットCを載置可能である。移載装置26は、複数の固定棚24に沿って移動し、複数の固定棚24の間でカセットCを移載する。スライド棚25は、カセットCを載置可能な載置台78と、載置台78が設けられるとともに載置台78を移載装置26が移載可能な位置に対して接近及び離反する水平方向に伸縮する伸縮レール76と、を有している。
この自動倉庫10では、自動搬送台車から固定棚24にカセットCが供給され、固定棚24に移載される。また、各固定棚24の間で移載装置26によりカセットCが移載される。そして、試作品や特急品などのカセットCが発生すると、スライド棚25の載置台78を引き出す。すると、載置台78が伸縮レール76により移載装置26が移載可能な位置から離反する方向にスライドする。これより、カセットCを作業者に近づけることができる。ここでは、カセットCを載置可能な載置台78を移載可能な位置に対して接近及び離反してスライドするように構成したので、載置台78を自動倉庫10との間で出し入れしてカセットCを出庫及び入庫することができる。このため、作業者がカセットCを容易に出し入れできるようになる。
【0037】
(B)自動倉庫10は、カセットCに関連する処理を行う半導体処理装置12の外周に面しかつ半導体処理装置12との受け渡しポート14付近に複数の固定棚24が配置され、移載装置26が受け渡しポート14にカセットCを移載可能な装置前自動倉庫であり、伸縮レール76は、受け渡しポート14と複数の固定棚24とを結ぶ移載装置26の水平通路30bを横断して伸縮するようにしている。
このため、載置台78が移載装置26の水平通路30bを横断するので、自動倉庫10内の移載装置26がアクセス可能な位置に載置台78を配置しても、載置台78を作業者に近づけることができる。
【0038】
(C)固定棚24及び移載装置26を囲むように配置され、かつ伸縮レール76及びカセットCが載置された載置台78が通過可能な開口22aを有する外壁パネル22をさらに備えている。
この場合には、カセットCを保護するために外壁パネル22を設けても、そこに形成する開口22aを最小限の大きさにすることができる。
【0039】
(9)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
(a)本発明は、半導体処理装置に移載する装置前自動倉庫に限定されず、スライド棚を有するすべての自動倉庫に適用できる。
(b)スライド棚のレール部材の構成は前記実施形態に限定されない。たとえば、筒状のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、固定棚と移載装置とを有し、物品を保管する自動倉庫に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 自動倉庫
12 半導体処理装置
14 受け渡しポート
14a カセット載置台
20 フレーム
20a 柱部材
20b 連結部材
22 外壁パネル
22a 開口
24 固定棚
25 スライド棚
26 移載装置
28 スライド扉
30a 鉛直通路
30b 水平通路
32 水平レール
34 鉛直レール
36 移載ヘッド
36a 保持部
36b カセット識別センサ
40a 上レール部材
40b 下レール部材
41 接続部材
44 水平駆動モータ
46a 上駆動プーリ
46b 下駆動プーリ
48a 上従動プーリ
48b 下従動プーリ
50a 上歯付きベルト
50b 下歯付きベルト
52a 上スライダ
52b 下スライダ
54 連結軸
60 鉛直レール部材
64 鉛直駆動モータ
66 駆動プーリ
68 従動プーリ
70 歯付きベルト
72 スライダ
74 架台部
74a 脚部
76 伸縮レール
78 載置台
78a 位置決めピン
80 第1レール部
82 第2レール部
84 第1レール部材
86 可動台
88 第2レール部材
90 扉センサ
92 扉ロック
94 棚センサ
96 棚ロック
98 第1カセットセンサ
99 第2カセットセンサ
100 倉庫制御部
102 扉開指令ボタン
104 ヘッドモータ
106 他の入出力部
C カセット
C1 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な複数の固定棚と、
前記複数の固定棚に沿って移動し、前記複数の固定棚の間で前記物品を移載する移載装置と、
前記物品を載置可能な載置台と、前記載置台が設けられるとともに前記載置台を前記移載装置が移載可能な位置に対して接近及び離反する水平方向に移動可能な伸縮レールと、を有するスライド棚と、
を備えた自動倉庫。
【請求項2】
前記自動倉庫は、前記物品に関連する処理を行う処理装置の外周に面しかつ前記処理装置との受け渡し部付近に前記複数の固定棚が配置され、前記移載装置が前記受け渡し部に前記物品を移載可能な装置前自動倉庫であり、
前記伸縮レールは、前記受け渡し部と前記複数の固定棚とを結ぶ前記移載装置の移動経路を横断して伸縮する、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記固定棚及び前記移載装置を囲むように配置され、かつ前記伸縮レール及び前記物品が載置された前記載置台が通過可能な開口を有する外壁パネルをさらに備える、請求項1又は2に記載の自動倉庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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