説明

自動倉庫

【課題】ラックユニットやレールユニットに過大な負荷がかかるのを防ぐとともに、コストを低減することができる自動倉庫を提供する。
【解決手段】収納物を収納するためのラックユニット2と、ラックユニット2の天井に敷設されたレールユニット3と、レールユニット3上を走行して収納物Rを搬入および搬出する台車4と、を含む自動倉庫1であって、レールユニット3は、第1レール3aと、第1レール3aと直交する方向に延びた第2レール3bと、第1レール3aと第2レール3bとが交差する部分に旋回自在に設けられたターンレール3dと、を備え、台車4は、四角形の頂点をなすように隣接した4つのターンレール3dに対応した位置に設けられた、レールユニット3上を転動する4つの車輪と、車輪を90度旋回させて走行方向を切り替える走行制御装置と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納物を収納するためのラックユニットと、該ラックユニットの天井に敷設されたレールユニットと、該レールユニット上を走行して収納物を搬入および搬出する台車と、を含む自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。図6に示すように、この自動倉庫11は、ロール状物品(収納物)Rを収納するための多段ラック12a〜12dが並設されたラックユニット12と、ラックユニット12の天井に敷設された3本のレール13a〜13cからなるレールユニット13と、レールユニット13上を走行する親台車14と、親台車14に敷設されたレール14a上を走行してロール状物品Rを搬入および搬出する子台車15とを含んでいる。
【0003】
図7に示すように、親台車14は、レールユニット13上を転動する車輪14bと、レールユニット13の一側面または両側面に沿って転動するガイド車輪14cとを備え、多段ラック12a〜12dの並設方向と直交する方向(y方向)に走行する。
【0004】
子台車15は、親台車14に敷設されたレール14a上を転動する車輪15aを備え、多段ラック12a〜12dの並設方向(x方向)に走行する。また、子台車15は、車体中央において昇降可能に設けられたキャリア16aと、キャリア16aを挟むように車体に取り付けられた垂直ガイド16bと、垂直ガイド16bを挟むようにキャリア16aに取り付けられた垂直ガイド車輪16cとを備えている。
キャリア16aは、垂直ガイド車輪16cを垂直ガイド16bおよび、多段ラック12a〜12d間に立設されたガイド支柱17に沿って転動させることにより、ガイド支柱17の立設方向(z方向)に昇降する。
【0005】
この自動倉庫11によれば、ロール状物品Rを多段ラック12a〜12d内の所定の収納空間に搬入または該収納空間から搬出する場合、該収納空間の上方まで親台車14および子台車15を移動させた後に、該収納空間と同じ高さまでキャリア16aを下降させることで、ロール状物品Rを搬入および搬出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−129906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の自動倉庫11は、親台車14と子台車15の2台の台車を含んでいるので、これらの台車の重量によりラックユニット12やレールユニット13に過大な負荷がかかるおそれや、コストの増大を招くおそれがあった。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、ラックユニットやレールユニットに過大な負荷がかかるのを防ぐとともに、コストを低減することができる自動倉庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る自動倉庫は、収納物を収納するための多段ラックが並設されたラックユニットと、ラックユニットの天井に敷設されたレールユニットと、レールユニット上を走行して収納物を搬入および搬出する台車と、を含む自動倉庫であって、
レールユニットは、多段ラックの並設方向または該並設方向と直交する方向に延びた2本のレールからなる第1レールと、第1レールと直交する方向に延びた3本以上のレールからなる第2レールと、第1レールと第2レールとが交差する部分に旋回自在に設けられたターンレールと、を備え、
台車は、四角形の頂点をなすように隣接した4つのターンレールに対応した位置に設けられた、レールユニット上を転動する4つの車輪と、車輪を90度旋回させて走行方向を切り替える走行制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、レールユニットが旋回自在に設けられたターンレールを備え、台車が車輪を90度旋回させる走行制御装置を備えているので、走行制御装置により車輪を旋回させてターンレールを旋回させることにより、台車の走行方向を切り替えて、レールユニット上を自由に走行させることができる。
【0011】
本発明に係る自動倉庫において、上記車輪は、外周面から突出自在に設けられるとともに突出方向に付勢された複数の突起を有し、上記第1レールおよび第2レールは、突起よりも幅広かつ車輪よりも幅狭に形成されたガイド溝を有し、車輪から突出した突起がガイド溝によって案内されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、車輪から突出した突起がガイド溝によって案内されるので、台車がレールユニットから脱線するのを確実に防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る自動倉庫において、上記第1レールは、2本のレールの両方にガイド溝を有し、上記第2レールは、3本以上のレールにおいて1本おきにガイド溝を有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ガイド溝が設けられたレールの数を減らすことにより、レールユニットのコストを低減させることができる。
【0015】
さらに、本発明に係る自動倉庫において、上記ターンレールは、ガイド溝を有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ラックユニットやレールユニットに過大な負荷がかかるのを防ぐとともに、コストを低減することができる自動倉庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る自動倉庫の斜視図である。
【図2】本発明に係る自動倉庫をy方向から見た部分正面図である。
【図3】本発明におけるレールユニットをz方向から見た部分平面図である。
【図4】本発明における台車の車輪であって、(a)は側面図、(b)は(a)の線A−Aにおける断面図である。
【図5】本発明における台車の移動経路を説明するための図である。
【図6】従来の自動倉庫の斜視図である。
【図7】従来の自動倉庫をy方向から見た部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る自動倉庫の好ましい実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る自動倉庫1は、ロール状物品(収納物)Rを収納するためのラックユニット2と、ラックユニット2の天井に敷設されたレールユニット3と、レールユニット3上を走行してロール状物品Rを搬入および搬出する台車4とを含んでいる。
【0020】
ロール状物品Rは、芯管と、該芯管に巻き付けられたロールフイルムと、該芯管内に挿入されたシャフトとを備えている。
【0021】
ラックユニット2は、並設された4つの多段ラック2a〜2dを備えている。図2に示すように、多段ラック2aと多段ラック2bとの間および多段ラック2cと多段ラック2dとの間には、台車4に備えられたキャリア6aを昇降させるための隙間が設けられ、この隙間にはガイド支柱7が設けられている。一方、多段ラック2bと多段ラック2cは、隙間なく並設されている。
【0022】
各多段ラック2a〜2dには、ロール状物品Rを収納するための複数の収納空間が区画されており、各収納空間には、ロール状物品Rのシャフトを保持するための2つのシャフトホルダが設けられている。
【0023】
レールユニット3は、多段ラック2a〜2dの並設方向と直交する方向(y方向)に延びた2本のレール3a−1、3a−2からなる第1レール3aと、多段ラック2a〜2dの並設方向であって第1レール3aと直交する方向(x方向)に延びた8本のレール3b−1〜3b−8からなる第2レール3bと、第1レール3aと平行に延びた1本の第3レール3cと、第1レール3aと第2レール3bとが交差する部分に旋回自在に設けられたターンレール3dとを備えている。
【0024】
なお、図3に示すように、第3レール3cと、第1レール3aにおける第3レール3c側のレール3a−2との間隔は、第1レール3aにおける2本のレール3a−1、3a−2間の間隔と等しくなっている。
【0025】
また、第1レール3aおよび第2レール3bは、各レールの幅方向中央においてガイド溝8を有している。ガイド溝8は、後述する台車4の車輪5から突出した突起5bを案内するためのものであり、突起5bよりも幅広かつ車輪5よりも幅狭になるように断面凹形状に形成されている。
本実施形態の第1レール3aは、2本のレール3a−1、3a−2の両方にガイド溝8が形成され、第2レール3bは、8本のレール3b−1〜3b−8に対して1本おきにガイド溝8が形成されている。
【0026】
ガイド溝8は、ターンレール3dにも設けられている。このガイド溝8は、ターンレール3dが旋回することにより、第1レール3aに設けられたガイド溝8または第2レール3bに設けられたガイド溝8と連通する。
【0027】
再び図2を参照して、台車4は、車体下部の四隅に旋回可能に設けられた4つの車輪5と、車輪5の旋回および転動を制御する走行制御装置(不図示)と、車体中央に設けられたキャリア6aと、キャリア6aを挟むように車体に取り付けられた垂直ガイド6bと、垂直ガイド6bを挟むようにキャリア6aに取り付けられた垂直ガイド車輪6cと、を備えている。
【0028】
キャリア6aは、ロール状物品Rを搬入および搬出するためのもので、ロール状物品Rのシャフトを保持するための2本のスライドアームを備えている。このキャリア6aは、垂直ガイド車輪6cを垂直ガイド6bおよびガイド支柱7に沿って転動させることにより、垂直ガイド6bおよびガイド支柱7に沿って昇降する。
【0029】
4つの車輪5は、四角形の頂点をなすように隣接した4つのターンレール3dに対応した位置にそれぞれ設けられている。これらの4つの車輪5は、2つの駆動輪と2つの遊輪とからなり、駆動輪同士および遊輪同士がそれぞれ対角に位置している。
【0030】
また、これらの4つの車輪5には、それぞれ油圧シリンダのロッドが連結されており、ロッドの伸縮によって車輪5が90度旋回する。車輪5が90度旋回すると、車輪5につられてターンレール3dも90度旋回する。なお、ロッドの伸縮は、走行制御装置によって制御される。
【0031】
図4に示すように、車輪5は、2つの半割体からなる車輪本体5aと、車輪本体5aの外周面から突出自在に設けられた突起5bと、突起5bを突出方向に付勢するバネ等の付勢手段5cとを有している。
【0032】
突起5bは、車輪5がガイド溝8を有するレール上を転動する場合に、ガイド溝8内に突出した状態となる。一方、突起5bは、車輪5がガイド溝8を有しないレール(フラットレール)上を転動する場合に、台車4の自重により車輪本体5aに設けられた空間5dに押し込まれた状態(車輪本体5aの外周面から突出していない状態)となる。
【0033】
次に、図5を参照して、本実施形態における台車4の移動経路について具体的に説明する。
なお、本具体例では、レールユニット3上の領域1に停止している台車4が、外部からの指令を受信して、領域11の下方に位置する収納空間X1からロール状物品Rを搬出し、領域13の下方に位置する収納空間X2に該ロール状物品Rを搬入するものする。
【0034】
また、台車4が領域1に停止した初期状態において、ターンレール3dに設けられたガイド溝8は、それぞれ第1レール3aのレール3a−1およびレール3a−2に設けられたガイド溝8と連通し、各車輪5の突起5bは、ターンレール3dに設けられたガイド溝8内に突出した状態になっているものとする。
【0035】
台車4が上記指令を受信すると、まず、走行制御装置は油圧シリンダのロッドを伸長させて車輪5を90度旋回させる。車輪5が90度旋回すると、車輪5につられてターンレール3dも90度旋回し、ターンレール3dに設けられたガイド溝8と、レール3b−1に設けられたガイド溝8とが連通する。
【0036】
ガイド溝8が連通すると、走行制御装置は車輪5を転動させて、台車4を領域1から領域11に移動させる。このとき、レール3b−2上を転動する車輪5の突起5bは、レール3b−2がガイド溝8のないフラットレールであるため、車輪本体5aに設けられた空間5dに押し込まれた状態となる。一方、レール3b−1上を転動する車輪5の突起5bは、レール3b−1に設けられたガイド溝8内に突出した状態となる。
【0037】
台車4が領域11に移動すると、キャリア6aが垂直ガイド6bおよびガイド支柱7に沿って、領域11の下方に位置する多段ラック2d内の収納空間X1の前まで降下する。
収納空間X1の前まで降下すると、キャリア6aは、2本のスライドアームをスライドさせて収納空間X1からロール状物品Rを取り出し、取り出したロール状物品Rを保持した状態で、ガイド支柱7および垂直ガイド6bに沿って上昇してもとの位置(車体中央)に戻る。
【0038】
続いて、搬出したロール状物品Rを領域13の下方に位置する多段ラック2c内の収納空間X2に搬入するために、走行制御装置は台車4を領域11から領域1に移動させる。
【0039】
台車4が領域1に移動すると、走行制御装置は、油圧シリンダのロッドを縮長させて車輪5とともにターンレール3dを90度旋回させ、ターンレール3dに設けられたガイド溝8と、レール3a−1およびレール3a−2に設けられたガイド溝8とを連通させる。
【0040】
ガイド溝8が連通すると、走行制御装置は、台車4を領域1から領域3まで移動させて、再び車輪5を90度旋回させることにより、ターンレール3dに設けられたガイド溝8と、レール3b−3に設けられたガイド溝8とを連通させる。そして、走行制御装置は、台車4を領域3から領域13に移動させる。
【0041】
台車4が領域13に移動すると、キャリア6aが、ロール状物品Rを保持した状態で垂直ガイド6bおよびガイド支柱7に沿って、収納空間X2の前まで降下する。収納空間X2の前まで降下すると、キャリア6aは、2本のスライドアームをスライドさせてロール状物品Rを収納空間X2に収めた後に、ガイド支柱7および垂直ガイド6bに沿って上昇してもとの位置(車体中央)に戻る。
【0042】
結局、本実施形態に係る自動倉庫1によれば、走行制御装置により車輪5を旋回させてターンレール3dを旋回させることにより、台車4の走行方向を切り替えて、レールユニット3上を自由に走行させることができるので、1台の台車4でロール状物品(収納物)Rを搬入および搬出することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る自動倉庫1によれば、車輪5がガイド溝8を有するレール上を転動する場合は、突起5bがガイド溝8内に突出した状態となり、車輪5がガイド溝8を有しないフラットレール上を転動する場合は、突起5bが車輪本体5aの外周面から突出していない状態となるので、台車4がレールユニット3から脱線するのを確実に防ぐことができるとともに、ガイド溝8を有するレールの数を減らすことにより、レールユニット3のコストを低減させることができる。
【0044】
以上、本発明に係る自動倉庫の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の構成に限定されるものではない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、第1レール3aを構成する2本のレール3a−1、3a−2の両方にガイド溝8を設けているが、どちらか一方のレールにのみガイド溝8を設けてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、第2レール3bが8本のレール3b−1〜3b−8から構成されているが、第2レール3bのレールの数は、ラックユニット2の大きさに応じて任意に変更することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、第1レール3aのレール3a−2および第3レール3cに沿って台車4を走行させないので、第2レール3bと第3レール3cとが交差する部分にターンレール3dを設けていないが、この部分にターンレール3dを設けて、台車4をレール3a−2および第3レール3cに沿って走行させてもよい。なお、この場合は、ターンレール3dに設けられたガイド溝8の形状を、平面視において一文字形状から十文字形状に変更する必要がある。
【0048】
また、上記実施形態では、第3レール3cにガイド溝8が設けられていないが、ラックユニット2が並設された5つ以上の多段ラックから構成され、第3レール3cが複数本のレールから構成される場合は、該複数本のレールに対して1本おきにガイド溝8を設けることがレールユニット3のコストを低減させる上で好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 自動倉庫
2 ラックユニット
2a〜2d 多段ラック
3 レールユニット
3a 第1レール
3b 第2レール
3c 第3レール
3d ターンレール
4 台車
5 車輪
5a 車輪本体
5b 突起
5c 付勢手段
5d 空間
6a キャリア
6b 垂直ガイド
6c 垂直ガイド車輪
7 ガイド支柱
8 ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物を収納するための多段ラックが並設されたラックユニットと、前記ラックユニットの天井に敷設されたレールユニットと、前記レールユニット上を走行して前記収納物を搬入および搬出する台車と、を含む自動倉庫であって、
前記レールユニットは、
前記多段ラックの並設方向または該並設方向と直交する方向に延びた2本のレールからなる第1レールと、
前記第1レールと直交する方向に延びた3本以上のレールからなる第2レールと、
前記第1レールと前記第2レールとが交差する部分に旋回自在に設けられたターンレールと、
を備え、
前記台車は、
四角形の頂点をなすように隣接した4つの前記ターンレールに対応した位置に設けられた、前記レールユニット上を転動する4つの車輪と、
前記車輪を90度旋回させて走行方向を切り替える走行制御装置と、
を備えたことを特徴とする自動倉庫。
【請求項2】
前記車輪は、外周面から突出自在に設けられるとともに突出方向に付勢された複数の突起を有し、
前記第1レールおよび第2レールは、前記突起よりも幅広かつ前記車輪よりも幅狭に形成されたガイド溝を有し、
前記車輪から突出した前記突起が前記ガイド溝によって案内されることを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記第1レールは、前記2本のレールの両方に前記ガイド溝を有し、
前記第2レールは、前記3本以上のレールにおいて1本おきに前記ガイド溝を有することを特徴とする請求項2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記ターンレールは、前記ガイド溝を有することを特徴とする請求項2または3に記載の自動倉庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116651(P2012−116651A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270096(P2010−270096)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】