説明

自動再生式エアフィルタのろ材再生方法

【課題】自動再生式エアフィルタにおいてろ過面部の清浄更新の際に生じるろ材の捕集効率の低下を防止できるろ材再生方法を提供する。
【解決手段】ろ材のろ過面部の圧損抵抗が所定値以上に上昇、若しくは所定の再生タイマーセット時間に達したら、装置本体の通風部前面側に付設したろ材再生駆動部の再生口を上下・左右に移動しながら、ろ材のろ過面部の捕集ダストを除去清掃しろ材の寿命を延ばすようにしたもので、特にろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合で、再生運転、運転停止、除去清掃、運転停止、再生運転を細切れで行うことを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下街、地下鉄駅構内、デパートおよび工場などの汚染空気をろ過集塵する自動再生式エアフィルタのろ材再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の自動再生式エアフィルタは装置本体の前後方向に開口する通風部にその全面を遮るようにろ材をセットし、ろ材のろ過面部で前方から送通される汚染空気ろ過集塵を行っている。特にこうした自動再生式エアフィルタでは比較的含塵濃度の高い地下街や地下鉄駅構内、デパートおよび工場排気ガスなどの汚染空気をろ過集塵する場合、そのガス中のダストやリント量が多いことからろ材に目詰まりを起こし、ろ過面部の圧損抵抗が直ぐに上昇して通過風量の低下を招き、ろ過面部の清浄を頻繁に行わざるをえなかった。
【0003】
しかし、ろ過面部の清浄を行うと通過風量の低下を防げるが、ろ過面部の清浄更新の都度、汚染空気の通過が良くなり、ろ材の捕集効率の低下が生じて細かなダストが通過する懸念があった。そのため、これを防ぐ目的でより捕集効率の高いろ材を使用せざるを得なかったが、ますまする過面部の目詰まりが早まり、清浄を頻繁に行わねばならないといった問題が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような問題点を解決しょうとしたもので、まず本発明の目的は、ろ過面部の清浄更新の際に生じるろ材の捕集効率の低下を防止しょうとしたものである。
【0005】
また、本発明の目的は、ろ過面部の通過風量の低下、変動を防止しょうとしたものである。
【0006】
さらに、本発明の目的は、ろ材再生駆動部の損傷を削減し、部品寿命の向上を図ろうとしたものである。
【0007】
さらに、本発明の目的は、ろ過面部の清掃時期を延ばしてランニングコストなどの維持費削減を狙うと共にろ材の寿命が長寿命となるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決手段は、装置本体の前後方向に開口する通風部にその全面を遮るようにろ材をセットし、ろ過面部で前方から送通される汚染空気ろ過集塵を行うようにしたものである。
【0009】
本発明のもう一つの解決手段は、ろ材のろ過面部の圧損抵抗が所定値以上に上昇、若しくは所定の再生タイマーセット時間に達したら、装置本体の通風部前面側に付設したろ材再生駆動部の再生口を上下・左右に移動しながら、ろ材のろ過面部の捕集ダストを除去清掃してろ材の寿命を延ばすようにしたものである。
【0010】
本発明のもう一つの解決手段はろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合で行うようにしたものである。
【0011】
本発明のもう一つの解決手段はろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合で再生運転、運転停止、除去清掃、運転停止、再生運転を細切れで行うようにしたものである。
【0012】
ここで、装置本体の前後方向に開口する通風部にその全面を遮るようにしたろ材は特に限定されるものではないが、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、レーヨン、塩化ビニリデンなどの合成繊維の織布あるいは不織布あるいはガラス繊維を網目構造の基布に網み立て植毛し、パイルが抜け落ちないようにアクリルなどのバインダーで固定するか、または電気植毛などでパイルを植え付け固定したものが使用される。
【0013】
ろ材再生駆動部はろ材の通風部前面上を這うように走行するダスト再生口とダスト再生口を搭載した再生フレームと再生フレームを上下動させる駆動モーターとダスト再生口を左右方向に移動させるテンションスプロケットと駆動モーターと再生フレームを連動させるドライブチエーンとから構成されている。
【0014】
そしてその作用は次の通りである。すなわち空調機の吸気運転により吸入される汚染空気中のダストはろ材で捕集され清浄空気として装置本体を通過する。
このような運転を繰り返すことによりろ材表面にダストが堆積し圧損抵抗の上昇が生じてくる。ろ材のろ過面部の圧損抵抗が所定値以上に上昇したら、若しくは所定の再生タイマーセット時間に達したら、装置本体の通風部前面側に付設したろ材再生駆動部の再生口を上下・左右に移動しながらろ過面部の捕集ダストを除去するように吸引除去される。
【0015】
そして、本発明では、ろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合となるように、再生運転、運転停止、除去清掃、運転停止、再生運転を細切れで行うようにしたので、ろ過面部の清浄更新の際に生じるろ材の捕集効率の低下やろ過面部の通過風量の低下を防止できるものである。
【0016】
さらに、ろ材再生駆動部の作動時間を短くしたので、ろ材再生駆動部の損傷を削減し、部品寿命の向上が図れるものである。
【0017】
また、ろ過面部の清掃時期を延ばしたので、ランニングコストなどの維持費削減が図れる共にろ材の寿命が長寿命となるものである。
【発明の効果】
【0018】
(1)ろ過面部の圧損抵抗の急激な上昇を抑え、常時通風運転を可能にしたので、ろ過面部の清浄更新時に生じるろ材の捕集効率の低下やろ過面部の通過風量の低下を防止できる。
(2)ろ材再生駆動部の損傷を削減し、部品寿命の向上が図れるものである。
(3)ランニングコストなどの維持費削減が図れる共にろ材の寿命が長寿命となる。
(4)ろ材の堆積粉じん層確保での捕集効率を向上したので、ろ過面部の後方を通過した清浄空気中にはダストの粒径はより細かなものとなっている上ダスト量もかなり少なくなっているので後段に設置した機器の保護による機器の長寿命化および熱効率などの性能維持を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を示す正面図である。
【図2】図1のA矢視からみた側面図である。
【図3】本発明を示す背面図である。
【図4】本発明のろ材再生方法による運転時および従来のろ材再生方法による運転時に測定した質量法捕集率と圧力損失の測定結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、自動再生式エアフィルタの構造について図1〜3を参照して説明する。
1は自動再生式エアフィルタの装置本体を示し、この装置本体1は全体が縦型で前後幅の狭いUチャンネル枠状をなし、その中央部が前後方向に大きく開口する通風部とされている。この装置本体1の後面側に網目状の基布に繊維径15〜40μm長さ15mm程度の繊維を織毛によって織り込んだろ材が貼り付け固定されている。さらにろ材の下流側にはろ材が気流によって吹き飛ばされるのを防止する網目状の金具すなわちグレーチングが取り付けられている。
【0021】
装置本体1の通風部の前面側に上下、左右に移動しながらろ材に付着したダスト除去を行うろ材再生駆動部が付設されている。
【0022】
すなわち、装置本体1の通風部の前面両側2に再生フレームドライブチエーン3a,3b,再生口ドライブチエーン3cが掛装されている。そして再生フレームドライブチエーン3a,3b,再生口ドライブチエーン3cが一連の状態で往復回転するようになっている。さらにダスト再生口4が前記再生口ドライブチエーン3cと連結した状態で配設されて、このダスト再生口4は再生口ドライブチエーン3cの往復回転により左右方向に移動せしめられる構成となっている。また、ダスト再生口4はタイマにより起動されるノズル駆動装置(図示せず)によって起動され、ろ材に捕集されたダストは吸引除去される。そしてダスト再生口4はフレキシブルホース5を介してサイクロンまたは小型バッグなどの再生集塵機(図示せず)に接続されている。
【0023】
次に、本発明の自動再生式エアフィルタのろ材再生方法の実施例と従来方法の比較例についてそれぞれ詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
まず、自動再生式エアフィルタの運転により、装置本体1の前方から通風部に送通される汚染空気はろ材のろ過面部によりろ過集塵され汚染空気中のダストがろ過面部に捕集される。一方、清浄化された空気は後方に通過して行き清浄空気として放出される。こうした集塵稼動中ろ材のろ過面部の圧損抵抗が所定値以上に上昇、若しくは所定の再生タイマーセット時間に達した時点で、ろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合でろ材再生駆動部の再生口を上下・左右に移動しながら、再生運転、運転停止、除去清掃、運転停止、再生運転を細切れで繰り返し行うようになっている。
【0025】
上記に述べた運転方法は4分再生、2分停止、1分払い落とし、2分停止を繰り返し、14日間かけてろ過面部の再生を行い、質量法捕集率と圧力損失の測定を行った。結果は図4に示す如くであった。
【比較例】
【0026】
実施例と同じ自動再生式エアフィルタを用い、ろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を1時間の割合でI日に2回行うようにした従来の運転方法による運転時の質量法捕集率と圧力損失の測定を行った。結果は図4に示す如くであった。
【0027】
以上述べた如く図4のグラフから分かるとおり、本発明の運転方法は従来の運転方法に比べ、清浄更新時に生じるろ材の捕集効率の低下はなく、圧力損失の急激な上昇が抑えられていることが明白である。
【0028】
なお、上記実施例では1実施例を述べただけで、これに限定されることなく種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は装置本体の通風部前面側に付設したろ材再生駆動部の再生口を上下・左右に移動しながらろ材のろ過面部の捕集ダストを除去清掃する自動再生式エアフィルタにおいて、本発明の新規な運転方法でろ過面部の清浄更新の際に生じるろ材の捕集効率の低下やろ過面部の通過風量の低下を防止できるようにしたもので実用上甚だ大なるものである。
【符号の説明】
【0030】
1・・・装置本体 2・・・前面両側
3a,3b・・・再生フレームドライブチエーン
3c・・・再生口ドライブチエーン 4・・・ダスト再生口
5・・・フレキシブルホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の前後方向に開口する通風部にその全面を遮るようにろ材をセットし、ろ材のろ過面部で前方から送通される汚染空気のろ過集塵を行うと共にそのろ材のろ過面部の圧損抵抗が所定値以上に上昇、若しくは所定の再生タイマーセット時間に達したら、装置本体の通風部前面側に付設したろ材再生駆動部の再生口を上下・左右に移動しながら、ろ材のろ過面部の捕集ダストを除去清掃してろ材の寿命を延ばすように構成した自動再生式エアフィルタにおいて、ろ材のろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合で行うようにし、高効率で風量変動および部品消耗を抑えたことを特徴とする自動再生式エアフィルタのろ材再生方法。
【請求項2】
ろ材のろ過面部全体の捕集ダストの除去清掃を数日〜数週間に1回の割合で再生運転、運転停止、除去清掃、運転停止、再生運転を細切れで行うようにしたことで、効果として粉じん捕集率の向上と、ろ材再生駆動部の損傷削減し、部品寿命の向上、維持費削減を狙ったことを特徴とする請求項1の自動再生式エアフィルタのろ材再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−45535(P2012−45535A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202424(P2010−202424)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】