説明

自動冷蔵試料在庫管理システム

処理の分析前、進行中または分析後段階にあることができる、封止された、および/または開口しているサンプル/試料管および/または容器を保持する自動冷蔵試料管理システム(ARSIMS)。ARSIMSは、各サンプル/試料管が封止されているか、蓋がされているか、閉じられているか、開口しているかを問わず、処理の具体的段階により、サンプル/試料の種類と試験される分析対象物との組み合わせに適当な理想保管温度で保管できることを確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2009年11月24日に提出された米国仮出願第61/263,842号の恩典を主張する。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に係わる記述
【0004】
該当せず
【0005】
発明の背景
【0006】
日常的に患者の試料を分析する研究室は、管/容器に入ったサンプル/試料が研究室に到着した際のサンプル/試料の受け取り、取り扱いおよび保管に関連する特別な要望を有する。特別な取り扱いおよび/または保管要件は、試験前すなわち「分析前」、試験の間および/または試験後すなわち「分析後」に必要となる。特別な要件のいくつかは、人間または動物のサンプル/試料に対して行われる試験の品質、正確さおよび/または精度に影響する。他の特別な要件は、すべての試験が完了した、またはサンプル/試料が試験での使用に適さなくなった際に、サンプル/試料を安全に処分することを図るものである。
【0007】
研究室で受け取ったすべてのまたは大半のサンプル/試料に使用される最も汎用的な手順は、当初は、来入したサンプル/試料を周囲室温にさらしたままにするものである。より詳細には、サンプル/試料は、通常、典型的な研究室の作業フローでは二つの過程で周囲温度のまま残存する。第一の過程は、サンプル/試料が分析および/または再分析への待機をしている間に発生し、これには数時間かかることがある。第二の過程は、試験が完了した後に発生し、この間サンプル/試料は、通常、周囲室温にさらされたままにされるか、冷却された待機用保管領域に設置されるか、処分され、これらは現在の作業シフトの最後または一日の最後のいずれかに発生する。
【0008】
分析前に各サンプル/試料を保管すべき最適な温度は、行われる試験の種類および/またはサンプル/試料の種類、例えば、血液、漿液、血漿、脳骨髄液、尿、精液等によって変動する。実際、試験を行う機器および/または試験に関係する方法シートには、通例、分析のためにサンプル/試料を機器に渡す際の理想温度が表示されている。このことが試験を複雑化させている。例として、冷蔵環境で保管されたサンプル/試料が機器に望ましい温度よりも低い温度で保管されていた場合、不正確な結果を生じさせる可能性がある。逆に、サンプル/試料は、特定の機器に望ましい温度よりも温度が高くなる場所に保管される場合がある。
【0009】
それゆえに、方法シートの、機器にとっての最適温度または理想温度で各サンプル/試料が特定の機器に到着することを確実にするための、複数個の制御可能な温度ゾーンを有する自動冷蔵試料管理システム(ARSIMS)を提供することが望ましい。
【0010】
発明の概要
【0011】
自動冷蔵試料管理システム(ARSIMS)が開示される。ARSIMSは、処理の分析前、進行中または分析後段階にあることができる、封止された、および/または開口しているサンプル/試料管および/または容器を保持するように構造化および配置される。各サンプル/試料管は、封止されているか、蓋がされているか、閉じられているか、開口しているかを問わず、処理の具体的段階により、サンプル/試料の種類と試験される分析対象物との組み合わせに適当な理想保管温度で保管することができる。
【0012】
各サンプル/試料は、任意の時に、段階に関連なく、周囲室温から冷蔵庫温度までの範囲、およびその間の任意の温度にある環境でARSIMS内に保管することができる。要するに、ARSIMSは、ARSIMSのサンプル保管部分内の保管空間の合計利用可能固定量のうち、各日で変化する作業量を取り扱うために必要な、無数の要求温度の分析前および進行中の保管空間の量を動的に割り当てるように適応される。さらに、随意で、分析前および/または進行中の保管空間を、ユーザによって定義される複数個の密閉された温度ゾーン間に動的に割り当てることができ、各温度ゾーンは少なくとも一つのトレー箱からなり、トレー箱は単一または複数のサンプル/試料保持トレーを保持することができる。
【0013】
ARSIMSは、サンプル/試料が処理の分析前にあるか、進行中にあるか、分析後段階にあるかを問わず、開口している、すなわち封止されていない管に保管されたサンプル/試料から発生する蒸発を最小化するようにも構造化および配置される。蒸発の防止または最小化は、開口しているか封止されていない管または容器を上部区画に設置することで達成することができ、上部区画内には、サンプル/試料を物理的に保持する適切に定置されたトレーと、そのトレーを物理的に保持するトレー箱とが非常に近接および/または密着していることによって封止が作成される。
【0014】
有利には、ARSISMSは、サンプル/試料または試験に特有の保管時間が過ぎた後およびその直後に、バイオハザード容器にサンプル/試料管を自動的かつ安全に処分することも可能である。
【0015】
ARSIMSは、サンプル/試料を研究室内で自動的に移動させることがそれ自体で可能なより大きいシステムに接続するか接続しないことができ、サンプル/試料が研究室に到着した直後および/またはサンプル/試料が受け入れおよび/または受け取り領域を通った後に、管および/または容器に保管されたサンプル/試料を受け付けまたは受け取るように構造化および配置される。ARSIMSが自動研究室システム(LAS)に動作可能に連結されている場合、サンプル/試料は、LASの任意の送路または搬送部分に設置される前にARSIMSによって受け付けまたは受け取ることができる。ARSIMSによる最初のサンプル/試料の受け取り/確認は、遠心分離の前および/または後に発生することができる。
【0016】
好ましくは、一括して、またはオペレータが手動で個々の管をARSIMSの中に設置することによってホッパーに投入または設置される複数の管および/または容器を保持するように構造化および配置された、複数のトレーまたは他の装置の任意のものまたはそれらの組み合わせを使用して、サンプル/試料をARSIMSに積載することができる。
【0017】
有利には、ARSIMSは、ユーザが複数の一意の個別の密閉された温度ゾーンを定義することを許し、温度ゾーン内では、サンプル/試料の種類および/または試験の特定の組み合わせの分析前保管温度要件に合致するように、温度および/または湿度を設定することができる。密閉された各温度ゾーンには、一つ以上のトレーに保管された一つまたは複数の試料/サンプルを保管することができる。
【0018】
各一意の温度設定は、サンプル/試料の種類および/または次にサンプル/試料に実施される試験に基づく。サンプル/試料の種類と要求される試験に基づいて、ARSIMSは、適当な、密閉された、温度および/または湿度が制御されたゾーンに自動的にサンプル/試料を含有する管および/または容器を保管して次の処理工程まで待機し、次の処理工程は、以下の任意のものを非限定的に包含することができる:サンプル/試料をゾーンから自動的に引き出し、自動的に適当な分析器に運搬するために自動的にLAS送路に設置する工程;研究室の環境との温度平衡に達するために、および/または後続の試験で要求される温度平衡に達するためにサンプル/試料が保管されるARSIMS内の領域である温度平衡化領域に設置する工程;特別な領域に運搬し、その領域からオペレータが手動で管および/または容器を取り出し、手動で取り出したサンプル/試料を分析用機器に導入する、および/または取り出しと最終的な処分のために封止可能なバイオハザード廃棄物容器に安全に設置するいずれかの工程。
【0019】
ARSIMSは、管および/または容器がこれまでに記載した手段の任意の手段によってARSIMSに積載または渡された直後に、各管および/または容器に取り付けられたバーコードおよび/またはRFIDタグを読み取ることが可能である。それゆえに、ARSIMSは、コード化された管および/または容器が現時点でどこにあるか、次の処理段階の前にその管および/または容器をシステム内のどこに保管すべきかを判断することが可能である。管および/または容器内の新しいサンプル/試料を確認することに関係するバーコードリーダおよび/またはRFIDリーダは、ARSIMSに組み込むか、外付けの独立した機器であることができる。外付けの場合、リーダは、配線、光ファイバーケーブル、ワイヤレス接続等の少なくとも一つを使用してARSIMSに連結することができる。
【0020】
有利には、ARSIMSは、各所望の温度ゾーンに利用可能な保管空間の量(容積)を動的に再構成、すなわち増減して、現在のリアルタイムのサンプル/試料の保管要件に対処するように適応される。温度ゾーンは、密閉された領域、トレー箱などの少なくとも一つに関連することができる。各ゾーンを一意の温度/湿度設定に維持するか、複数個のゾーンを同時に同じ温度/湿度設定に設定することができる。
【0021】
サンプル/試料は、個々に封止することが可能なサンプル/試料管および/または容器、封止されていないサンプル/試料管および/または容器ならびに/またはそれらのトレーに保管することができる。個々のトレーカバー、トレーを密閉/封止されたトレー箱内に設置すること、またはトレーを封止された上部区画に設置することを非限定的に包含する無数の手段のうち任意の一つの手段により、サンプル/試料の群全体を集合的にカバーおよび/または封止することができる。トレーは、伝導を介した熱損失を最小化するために断熱性を有する材料で構築することができる。トレー箱および/または任意のトレー箱扉も断熱性を有する材料で構築することができる。
【0022】
ARSIMSの各種態様は、あらゆるサイズ、形状および容量のトレーならびに任意のサイズ、形状および容量の個々のトレー箱を包含する。トレー箱および/またはトレーカバーと組み合わせたトレーは、管/容器を二つの区画:封止された上部区画と下部区画とに区分するように設計される。トレーが完全にトレー箱に挿入され適切に定置された時に、封止された上部区画と下部区画との間に気密封止を実現すること、または二つの区画間の空気流を最小化することが望ましい。好ましくは、管および/または容器を保持するトレーの頂部部分は、空気が一つの区画から他の区画に流れ込むことを防止する中実材料で作製することができる。あるいは、空気流を限定または排除するトレーライナーを使用して、封止された上部区画の底を形成することができる。
【0023】
トレーの側面も、トレーがトレー箱の中に押し込まれるかトレー箱から引き抜かれる際にトレーが摺動することを許す、トレー箱の内部壁上の一対のトレースライドと共に気密封止を形成するように構造化および配置されることができる。もう一つの代替実施態様では、トレーの前面および/または後面は、それぞれのトレー箱開口部のサイズおよび形状に合致するように構造化および配置され、トレー箱に入る制御されない空気流の量を限定し、空気が下部区画から封止上部区画に達することを防止することができる。トレーの各面とトレー箱の開口部との間に可能な限り密な気密封止を実現することが望ましい。
【0024】
代替態様では、トレー箱の一端が中実面を有する場合、トレー箱の反対側の端にあるトレー面にのみ、トレーがトレー箱に挿入される際に通る開口部とともに適正な空気封止/バリアを形成する必要がある。他方、トレー箱の両端が開口しており、第一の端が冷蔵または周囲側のいずれかである第一の環境にさらされており、第二の端が第一の環境と異なる第二の環境にさらされている場合には、トレーは、前面および後面を有することができ、各面は、対応するトレー箱開口部とともに空気封止/バリアを形成しなければならない。
【0025】
支持を提供することに加えて、トレーおよび/またはトレー箱は、一つ以上の空気孔および手動または自動で制御可能な一つ以上の空気レジスタも含有することができる。トレーがトレー箱に挿入され適切に定置されると、空気レジスタを手動または自動で移動させることにより、下部区画への/からの空気流を制御する。有利には、各トレー箱の温度は、トレー箱の下部区画に入ることを許される所与の温度の空気の量を制御するために、空気レジスタを手動で開閉または調整することによって制御することができる。空気レジスタの調整は、一つまたは複数のコンピュータプロセッサおよび/または個別の電子コンポーネントで制御することもできる。単一または複数のトレー箱に作用する空気レジスタは、まとめてまたは個々に変更することができる。
【0026】
トレー箱への空気流を制御する空気レジスタおよび/または空気孔は、トレー箱の六つの面の任意の一つまたはそれらの組み合わせに位置することができる。本発明の一態様では、空気レジスタおよび/または空気孔は、トレーおよびトレー箱の前面と後面の両方に位置する。
【0027】
封止された上部区画と下部区画とでは空気流の量が異なる。トレー頂部より上方に配設される封止された上部区画は、例えば、その中に保持される開口している管および/または容器からの蒸発を最小化するために空気流を排除または減少させる区画である。トレー頂部より下方にある下部区画は、空気の自由な流れと交換を許し、管および/または容器に含有されるサンプル/試料を下部区画内の空気の温度と平衡させるように構造化および配置される。
【0028】
温度が制御された、下部区画を通る冷却媒体、例えば、空気、水、気体および類似の流体の流動は、少なくとも一つの受動的または能動的に(例えば、揚水)促進された流体の移動、または空気流、空気の対流など、および、例えば、ファン、送風機などを使用した能動的に促進された空気の移動/流動によって発生することができる。空気ダクトを提供して、任意表面、例えば、空気ダクトに最も近いトレーおよび/またはトレー箱の前面および/または後面に配設された空気孔および/または空気レジスタに空気を直接送り込むか、その有効作動距離内に空気を送り込むかいずれかを行うことができる。ARSIMS内の空気ダクトを通って流れる空気の温度の制御と変更を使用して、下部区画の個々の温度を制御することができる。
【0029】
管および/または容器が閉じられている/封止されている場合、独立した上部区画および下部区画を作成または維持する必要がないため、空気レジスタおよび/または空気孔は、トレーの前面または後面のどこかに位置することができ、トレー頂部の下方に限定されない。
【0030】
トレー箱中のトレーは、空気封止または空気バリアで意図的に分離した区画を形成しなくてよい。代わりに、制御された特定の温度の空気は、封止または蓋がされた管および/または容器の長さ全体にわたって流れることができる。しかし、トレー箱および/またはトレーへの/からの空気流は、封止された上部区画を伴う異なる態様または構成の各態様または構成において、機構および説明の各々を介して発生する。
【0031】
好ましくは、ARSIMSは、マスタ試験メニューおよび/またはマスタサンプル/試料種類メニューをサポートするように適応され、これらのメニューでは、ユーザがサンプル/試料の種類と要求される試験との各一意の組み合わせに望ましい、所望の分析前および分析後保管温度を特定する。ARSIMSは、ARSIMSが連結された研究室情報システム(LIS)に問い合わせることによって、またはARSIMSと通信することが可能な任意の他のシステムから、所与のサンプル/試料の理想保管温度を知ることもできる。
【0032】
ARSIMSは、少なくとも一つの温度平衡化領域(TEA)包含することもできる。TEAを使用して、サンプル/試料が送路に設置される前に、ARSIMS内で保管されていた時の温度またはARSIMSに導入される前の温度から、サンプル/試料が分析のために到着する時に分析器が求める温度にすることができる。独立したTEAに加えて、管および/またはサンプル/試料の加温および/または冷却は、制御された速度で温度を、第一の温度、例えば、冷蔵温度から、第二の温度、例えば、周囲温度にすることによってトレー箱で達成することができる。
【0033】
全体的な冷蔵温度を多数の場所で事前に設定された値に制御することに加えて、ARSIMSは、湿度を事前に設定された値に制御、維持することもでき、および/またはサンプル/試料の冷却または加温に使用される空気を濾過および/または浄化することができる。
【0034】
任意的に、ARSIMSは、例として、管が封止されているか否か、管に蓋がされているか否か、管が転回済みか否か、サンプル/試料が高脂血、黄疸血、および/または溶血であるか否か、管にまだある使用可能なサンプル/試料の分量、管の頂部の色等を判断するために使用する、視覚ベースのサブシステムを包含することができる。
【0035】
本発明のさらなる効果は、サンプル/試料が自動的に破棄される前にシステムに残存する期間をユーザが定義できることである。個別のサンプル/試料を保管する一意の期間を、例として、サンプルの種類、採取/収集地、採取/収集の日時、要求元の医師、サンプル/試料に行われる試験、サンプル/試料が初めにARSIMS内に設置された時間に基づいて決定することができる。好ましくは、ARSIMSは、指定された保管時間が経過すると、各サンプル/試料に該当する基準に基づいて、サンプル/試料が保管されている管および/または容器を自動的にバイオハザード廃棄物容器の中に処分する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面と併せて用いられる、その好ましい態様の以下の説明および請求項から明らかになる:
【図1】本発明に従った多階層試料カルーセル保管庫を有する自動冷蔵試料在庫管理システムを示す。
【図2】本発明に従った二重棚構成試料保管庫を有する自動冷蔵試料在庫管理システムを示す。
【図3A】前部開口部、中実後部壁およびトレースライドを持つトレー箱を示す。
【図3B】図3Aに示すトレー箱のための、中実前面および開口後面を有するトレーの等角図を示す。
【図3C】図3Aに示すトレー箱のための、中実前面および開口後面を有するトレーの底部等角図を示す。
【図3D】図3Aのトレー箱に挿入され定置された図3Bおよび図3Cのトレーを示す。
【図3E】図3Dの等角断面図を示す。
【図3F】トレースライドのないトレー箱に部分的に挿入された図3Bおよび図3Cのトレーの底部等角図を示す。
【図3G】図3Fのトレー箱に挿入され定置された図3Bおよび図3Cのトレーを示す。
【図4】本発明に従った二重棚構成保管庫を有する自動冷蔵試料在庫管理システムを示す。
【図5A】前部開口部、通気後部壁およびトレースライドを持つトレー箱を示す。
【図5B】図5Aのトレー箱に挿入され定置された図3Bおよび図3Cのトレーを示す。
【図5C】図5Bの等角断面図を示す。
【図5D】トレースライドのないトレー箱に挿入され定置された図3Bおよび図3Cのトレーを示す。
【図6】本発明に従った後部通気式の二重棚構成保管庫を有する自動冷蔵試料在庫管理システムを示す。
【図7A】前部開口部および後部開口部を持つトレー箱を示す。
【図7B】図7Aに示すトレー箱のための、通気前面および通気後面ならびに空気調節器を有するトレーの等角図を示す。
【図7C】図7Bに示すトレーの底部等角図を示す。
【図7D】図7Aのトレー箱に挿入され定置された図7Bおよび図7Cのトレーを示す。
【図7E】図7Dの等角断面図を示す。
【図7F】図7Bのトレーの後面および空気調節器の立面図を示す。
【図7G】図7Bのトレーの前面および空気調節器の立面図を示す。
【図8】本発明に従った通気前面および通気後面ならびに空気調節器を持つトレーのための開口トレー箱を持つ二重棚構成保管庫を有する自動冷蔵試料在庫管理システムを示す。
【図9A】トレーをカバーするためのトレーカバーの等角図を示す。
【図9B】トレーカバーを持つトレーの等角図を示す。
【図9C】トレーカバーを持つトレーの底部等角図を示す。
【図9D】図9Bおよび図9Cのカバーされたトレーの立面図を示す。
【図9E】図9Dの等角断面図を示す。
【図9F】トレースライドのないトレー箱に挿入され定置された図9Bおよび図9Cのカバーされたトレーの等角図を示す。
【図9G】トレースライドのないトレー箱に挿入され定置された図9Bおよび図9Cのカバーされたトレーの立面図を示す。
【図10】本発明に従った代替二重棚構成保管ユニットの等角図を示す。
【図11】断熱された外部スキン内に密閉された、図10に示す保管ユニットの等角図を示す。
【図12A】弓形保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図12B】ペグボード式保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図12C】二重の観覧車式保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図12D】単一の観覧車式保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図12E】入れ替え型保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図12F】可動書棚型保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図12G】蛇行型保管ユニットの平面図、等角図および立面図を示す。
【図13】本発明に従った二つの多階層試料カルーセルを有する自動冷蔵試料在庫管理システムを示す。
【図14A】多階層入れ替え型保管ユニットの代表的な階層の平面図を示す。
【図14B】多階層入れ替え型保管ユニットの等角図を示す。
【図15】本発明に従った分割保管ユニットを示す。
【図16】可動書棚型保管ユニットの等角図を示す。
【図17】棚の間に空間を持たない閉じた状態の図16に示す可動書棚型保管ユニットの等角図を示す。
【0037】
発明の好ましい態様の詳細な説明
【0038】
優先権の恩典が主張される米国仮出願第61/263,842号は、全体を参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
例えば、処理の分析前段階、進行中段階および/または分析後段階において、被験サンプル/試料を含有する複数の容器を保持するための自動冷蔵試料在庫管理システム(ARSIMS)が開示される。ARSIMSは、容器を温度および/または湿度が制御された個別のゾーンに保持し、ゾーンは、試験およびそのゾーンに保管された管および/または容器の処理段階に適当な保管温度に維持される。ARSIMSは、温度制御ユニットと、サンプルまたは試料を含有する複数の管および/または容器と、管および/または容器受取・取出領域と、各ゾーンが個別の数の管および/または容器を所望の制御された温度および/または制御された湿度に保持するように構造化および配置される複数の制御可能温度ゾーンを有する領域と;温度平衡化領域と;コントローラとを包含する。
【0040】
温度制御ユニットは、選択された場所に合わせて制御された温度および/または制御された湿度を有する冷却流体または加温流体を生じさせる。容器受取・取出領域は、管および/または容器に含有されたサンプル/試料と処理段階に応じて適当な、温度および/または湿度が制御された領域に管および/または容器を挿入すると共に、処分または分析のために、温度および湿度が制御された領域から容器を取り出すように構造化および配置される。温度平衡化領域は、次の行き先の温度に応じ、管および/または容器が温度平衡に達することを可能にするように適応される。コントローラは、複数の管および/または容器の各管および/または容器の移動、場所および保管温度を制御し;共通の温度で管および/または容器を共に保管するための個別の制御された温度ゾーンを自動的かつ動的に作成し;システムの他の機能要素をすべて制御するように適応される。
【0041】
本発明では空気を流体として使用して記載するが、流体は、液体または気体もしくは気体の混合物であることもできる。流体が液体の場合、気密性であるか、気密封止を提供すると本明細書において後に記載されるフィーチャは、水密性であるか、水密封止を提供するものでなければならない。
【0042】
トレー箱およびサンプル/試料トレー
【0043】
図3A〜図3G、図5A〜図5Dおよび図7A〜図7Gを参照して、トレー箱10およびトレー15の各種態様を記載する。トレー箱10は、蓋がされているか蓋がされていない、カバーされているかカバーされていない、開口しているか閉じられた、サンプル/試料を含有する複数の管および/または容器20を保持するトレー15を保持するように構造化および配置されたARSIMS100内の個別の場所である。
【0044】
図3A、図5Aおよび図7Aは、単一のトレー箱10の可能な態様の一部破断等角図を示す。トレー箱10が一般的に長方形の形状を有するものと示すが、本発明は、そのように限定するわけではない。実際、図1に示すように、トレー箱10は、台形形状、弓形形状等を有することができる。さらに、トレー箱10が単一のトレー15を収納するものとして示すが、本発明は、そのように限定するわけではない。実際、トレー箱10は、一つまたは複数のトレー15を保持するように構造化および配置されることができる。
【0045】
トレー箱10は、トレー箱10がその一部である保管ユニット、例として、左棚構成ユニット、右棚構成ユニット、サンプルカルーセル保管ユニット等の一体部分として製造または組み立てることができ、これについては下記でより詳しく記載する。あるいは、トレー箱10は、保管ユニットに対して挿入可能かつ脱着可能とすることができる。
【0046】
トレー箱10は、頂部部分11(図では破断されている)、底部分12、左側壁13、右側壁14を包含する。図3Aは、開口前端16および後部壁17を包含する前部開口トレー箱10を示し、開口前端16を通してトレー15を挿入または取り出すことができる。図3Aのトレー箱10は、トレー15が挿入された後にトレー15を完全に密閉し、隔離するための中実後部壁17を包含する。有利には、中実後部壁17は、トレー箱10の内部部分19への空気流をほとんどまたは全く許さない。
【0047】
場合により、図3Aは、一対のトレースライド18、例えば、レールを包含し、これらは場合によりトレー箱10の内側の左側壁13および右側壁14の内部表面上に形成または装着される。図3Fは、一対のトレースライドを包含しないトレー箱10を示す。トレースライド18は、トレー箱10の内側部分19にトレー15が挿入されるか取り出される時に、トレー15の設置および移動を促進するために提供される。トレースライドは、下部区画28と封止された上部区画29との間の気密封止の一部も形成する。トレースライド18を一対のレールとして示すが、これは例示のみを目的とする。トレースライド18は、トレー15のトレー頂部21と共に、トレー箱10を封止された上部区画29と下部区画28とに分離するいくつかのコンポーネント、部品または構造を包含することができる。
【0048】
代表的な中実前面トレー15を図3Bおよび図3Cに示す。これらの図はトレー15が50本の管および/または容器20を保持する容量を有することを示すが、本発明がそのように限定されると解釈されるべきでなく、トレー15は、50本より多いか少ない管および/または容器20を保持するように製造することができる。トレー15は、形状およびサイズがトレー箱10の内部部分19と適合する限り、任意の形状、サイズおよび/または管容量を有することができる。当業者は、トレー箱10が二つ以上のトレー15を保持するよう寸法取りすることもできることを認識できる。
【0049】
図3Bおよび図3Cに示すトレー15は、対応する複数のトレーウェル24を有する複数の開口部26を提供するトレー頂部部分21を包含し、ウェル24は、サンプル/試料を含有する少なくとも一つの管および/または容器20を受け取り、収容するように構造化および配置される。トレー15は、トレー15の第一の前端27に構造化および配置された中実前面25も包含する。トレー頂部部分21および中実トレー前面25は、トレー15がトレー箱10の内部部分19に挿入された時に二つの独立した領域(または区画):封止された上部区画29と下部区画28とを提供するように構造化および配置される。
【0050】
封止された上部区画29は、封止された上部区画29への流体、例えば、空気の流動を最小化または排除するように動作する。この隔離により、蓋がされていない、開口している、および/またはカバーされていない管および/または容器20からの望ましくない蒸発を防止または最小化する。他方、下部区画28は、自由な流体の流動を促して、トレー15に保管された管および/または容器20に含有されたサンプル/試料の温度および/または湿度を制御するように適応される。好ましくは、温度は、冷却流体の流体対流によって制御され;よって、流体の流動を増加させると下部区画28内の温度が低減し、流体の流動を低減させると下部区画の温度が増加する。封止された上部区画29は気密性であるため、冷却流体の影響は減少する。
【0051】
トレー頂部21の開口部26およびウェル24は、各種サイズの管および/または任意形状および/またはサイズの容器を保持するように構造化および配置される。図3Bおよび図3Cのウェル24内に示す管および/または容器20は、「開口している管」、換言すれば、管20の頂部に蓋またはカバーがないか、管20の頂部に封止がないことを示す。封止された上部区画29は、開口している管20からの蒸発を防止または最小化するように適応される。「閉じられた管」20、例えば、蓋がされた管、封止された管または再封止された管を使用することもできる。有利には、閉じられた管20が気密性である場合、トレー箱10中のトレー15で封止された上部区画29を形成または作成する必要はない。しかし、制御された温度でトレー箱10の内部部分19を循環する流体、例えば、空気の流動の制御および調節はなお必要である。
【0052】
トレー15がトレー箱10の内部部分19に挿入された時にトレー20を二つの区画28と29とに分離することに加えて、トレー頂部21は、トレー箱10の内側および外側でトレー15ならびに管および/または容器20を構造的に支持する手段を提供する。例として、左トレー側壁22および右トレー側壁23は、ウェル24の深さよりも長く、トレー20が平坦または平面表面に設置された時にトレー側壁22および23がトレー20を支持するように構造化および配置される。図3Fおよび図3Gに示すように、トレーの側壁21および22は、トレー20がトレー箱10の内部部分19に挿入された時にトレー20を支持するために使用することもできる。あるいは、図3Dおよび図3Eに示すように、トレー頂部21のフランジ部分30を提供して、トレー箱10の側壁13、14の内側表面に形成または装着される一対のレール18に沿って摺動させることができる。後者の場合、一対のレール18とフランジ部分30の嵌合部分は、両者が密着した時に二つの区画28と29との間に実質的な気密封止を提供するように構造化および配置されるべきである。
【0053】
トレー15後面の形状をU字型として示すが、これは例示のみを目的とする。トレーの後面は、トレー15がトレー箱10に完全に挿入され適切に定置された時にトレーの後面および/またはトレー頂部21の後部表面がトレー箱10の中実後部壁17に当接して、トレー後面(図示せず)および/またはトレー頂部21の後面とトレー箱10の中実後部壁17との間の流体の流動を排除または減少させることが可能な封止または接続を形成するのであれば、任意のサイズ、形状および/または高さであることができる。
【0054】
トレー頂部21、トレーウェル24およびトレー頂部21の張り出し部分またはフランジ部分30は、流体、例えば、空気がトレー15の下側、すなわち下部区画28からトレー頂部21および/またはトレーウェル24を通ってトレー15の頂部側、すなわち封止された上部区画29に流れるのを防止できる材料から製造される。
【0055】
場合により、トレー10は、脱着可能、洗浄可能または使い捨てのトレーライナー(図示せず)を包含することができる。トレーライナーにより、トレー15およびトレーウェル24の浄化が促進される。液体がこぼれた場合に捕らえて含有するためにトレーライナーを液体不透性にすることができ、それにより、ライナーは、トレーライナーを通る空気流を排除または有意に減少させることも可能となる。それゆえに、下部区画28から封止された上部区画29への流体の流動を排除または有意に減少させることが可能なトレーライナーを使用する場合、トレー頂部21および/またはトレーウェル24は、より軽量および/または非中実材料および/またはワイヤラックで構築することができる。トレーライナーは、トレー頂部21の平坦部分を全体または部分的にカバーするように適応されると共に、トレーウェル24の中に収まって、管および/または容器20をライナーが張られたウェル24の内側に適切に収めることができる。
【0056】
図3D〜図3Gは、トレー箱10に対するトレー15の並置を示す。これらの図ではトレー15の後面が初めにトレー箱10の内部部分19に挿入される場合を示すが、トレー15の第一の前端27を初めに挿入することも等しく実現可能である。トレー頂部21より上方のトレー前面25の部分は、その部分を通って流れる流体を最小化または排除するようにも設計される。
【0057】
トレー前面25の全体的なサイズ、形状および縁部は、対応するトレー箱10の前部開口部16との間に緊密な収まりを提供するように設計および寸法取りされ、トレー15がトレー箱10の内部部分19に完全に挿入され適切に定置されると、トレー頂部21よりも上方に位置するトレー15の部分、すなわち封止された上部区画29と、それに対応する下部区画28との間を流れる流体を最小化または排除する。もしすべてではない場合、トレー頂部21よりも下方に位置するトレー15の第一の前端27の少なくとも一部は開口しており、ウェル24の底部分、ウェル24に含有された管および/または容器20ならびに管および/または容器20に含有されたサンプル/試料を包含する下部区画28を所望の温度にする目的で、制御された温度および制御された流量の空気が下部区画28に入ることができるようになっている。
【0058】
記載されたトレーのコンポーネントまたは構造のいずれかまたはすべては、一回の成形動作の部品として製造することができる。あるいは、トレーコンポーネントは、個別のコンポーネントの任意の組み合わせから作ることもでき、それらコンポーネントのすべてまたはいくらかは成形部品であり、またはいずれも成形部品ではない。
【0059】
各種コンポーネント、部品、部分ならびに/またはトレー15、トレー箱10、トレーカバーおよび/またはトレースライド18の組み合わせの構造の、各種表面および/または縁部は、一つまたは複数の封止された上部区画29の形成および/または作成に異なる形で寄与することができる。封止された上部区画29は、三次元の区画であり、その中に一つまたは複数の開口している管、蓋がされていない管ならびに/または封止されていない管および/または容器20を保管して、管および/または容器に含有されたサンプル/試料および/または分析対象物、希釈液などの蒸発を防止または最小化する。封止された上部区画29の各縁部および/または表面は、流体流動バリア(図示せず)を提供し、このバリアは封止された上部区画29への/からの流体の流動を排除および/または制限することに寄与する。互いと接するか接近することに加えて、封止された上部区画29を形成する嵌合表面および/または縁部は、下部区画28から封止された上部区画29に流れ込む流体からの追加的な保護を提供する、ゴム製の封止ならびに/または何らかの他の封止および/または押さえ機構(図示せず)を包含することができる。
【0060】
下記でより詳しく記載するように、トレー15が完全にトレー箱10に挿入され箱10内に適切に定置されると、ARSIMS100の温度制御ユニットは、トレー頂部21の下方のトレー箱10の第一の前端27に位置する開口部を通って下部区画28へ/から循環する、温度および/または湿度が制御された流体を生成する。あるいは、トレーの前部部分27をトレー箱10の内部部分19に初めに挿入した時、トレー箱10の後端は、例として、トレー箱扉43(図4)を使用して封止することができる。トレー箱扉43を開き、トレー15の挿入または取り出しを許すことができる。トレー箱扉43がトレー箱10の前部開口部16の開口部に対して閉じている時、扉43は、封止された上部区画29を形成すること、または形成するために使用することができる、もう一つのコンポーネントまたは構造または縁部となる。トレー箱扉43を使用してトレー箱10を封止する、またはトレー箱10に対する流体流動バリアを形成する事例では、トレー15の長さは、封止された上部区画29への流体の流動を最小化または排除することが可能な封止または流体流動バリアを形成するのに十分に緊密にトレー箱扉43を閉じられる長さであるべきである。
【0061】
好ましくは、トレー箱扉43の一部分は、トレー頂部21のレベルより下方に開口部を包含し、制御された温度および/または湿度で流体がトレー箱10の下部区画28に出入りし、下部区画28を通って循環することを許す。例として、トレー頂部21のレベルより下方のトレー箱扉43の部分に、空気レジスタを持つ、または持たない空気孔を提供することができる。場合により、トレー箱扉43をトレー箱10の両端に設けることができる。
【0062】
図5A〜図5Dは、トレー箱10の第二の態様を示す。この態様は、トレー箱10の中実後部壁17を、空気孔31を有する通気後部壁38に取り替えたことのみにおいて、図3A〜図3Gに示すトレー箱10と異なる。それゆえに、さらに記載する必要があるのは、通気後部壁38および空気孔31についてのみである。
【0063】
空気孔31は、任意のサイズ、形状またはサイズと形状の組み合わせであることができる。図5Cに示すように、空気孔31は、通気後部壁38に配設され、トレー15がトレー箱10に完全に挿入され適切に定置された時にトレー頂部21のレベルより下方にあるようにする。好ましくは、空気孔31は、流体経路41、例えば、空気ダクトまたは空気路をトレー箱10の下部区画28と流体的に連結して、流体が下部区画28に入り、その中を通って循環し、排気35として出られるようにする。図5Cは空気が通気後部壁38からトレー箱10の前部開口部16およびトレー15の前端27に向かって循環することを示すが、当業者は、流体が反対方向にも同様に容易に循環することができ、つまり、トレー箱10の前部開口部16から入り、空気孔31を通って排気されることもできることを認識できる。
【0064】
任意的に、手動でまたは自動的に制御可能な空気レジスタ(図示せず)をトレー箱10の通気後部壁38に装着して、空気孔31を全面的または部分的に選択的にカバーし、所望の制御された温度および/または湿度の流体によるトレー箱10の下部区画28への流動を制御することができる。ARSIMS100のコントローラは、トレー箱10の後部壁38上に装着された空気レジスタを個々に、または群で制御するように適応されることができる。空気レジスタについては、本明細書においてすぐ後に詳しく記載する。
【0065】
トレー箱10とそれに対応するトレー15のさらなる態様を図7A〜図7Gに示す。図7A〜図7Gに示すトレー箱10は、前部開口部16と後部開口部32の両方があることにおいて、これまでのトレー箱10と異なり;その結果、中実後部壁17も通気後部壁38もない。結果的に、トレー15がトレー箱10の内部部分19に完全に挿入されその中に適切に定置された時に二つの区画28と29とを提供するために、トレー15は通気前面33および通気後面34を包含し、各面は空気孔31を有し、空気孔31は手動または自動でカバーされ、空気レジスタ37を介して選択的に部分的または完全にカバーされることができる。
【0066】
前面33および後面34は、同一か、実質的に同一で、交換可能であるか、交換不能である。より好ましくは、トレー15がトレー15の後面34とトレー箱10の後部開口部32との間に封止および/または空気流に対するバリアを形成しながらトレー箱10内でより容易に摺動できるように、またさらに前面33が前部開口部16で空気流に対する封止および/またはバリアを形成するように、後者33は、前者34よりもわずかに大きくあるべきである。
【0067】
例として、図7Dを参照すると、トレー前面33は、トレー箱10の前部開口部16に対して定置され、封止される。したがって、トレー15がトレー箱10に完全に挿入されその中に適切に定置されると、トレー頂部21より上方に位置するトレー前面33の任意部分またはすべての部分の縁部がトレー箱10の前部開口部16と嵌合し重なって封止またはバリアを形成し、封止された上部区画29への空気の流動を防止または最小化する。トレー箱10の前部開口部16および後部開口部32の部分のそれぞれの縁部および表面と接触または近接し、トレー頂部21より上方に位置するトレー前面33およびトレー後面34両方の縁部および表面は、すべて、縁部および表面との間の空気流を排除または減少させることが可能な封止またはバリアを形成するのに十分な接触を各自の間になすように適応される。
【0068】
前面33および後面34は、封止された上部区画29と、後面34の外部側および/または前面33の外部側に接する環境との間に断熱バリアまたは熱バリアを形成する材料で構築することができる。
【0069】
前部および後部の空気レジスタ37は、トレー15の前面33および後面34に設けられる空気孔31のすぐ上方およびすぐ下方にある、前面33および後面34に形成または装着された一対のレール36に摺動可能に連結される。各空気レジスタ37は、空気孔31に対して位置付けることができる開口部39を包含し、トレー箱10の下部区画28に流体が入ることを選択的に防止または可能にする。図7Fは、空気レジスタ37の開口部39が空気孔31と完全に位置合わせされた、通気後面34の実例を示す。図7Gは、空気レジスタ37の開口部39が空気孔31と位置合わせされていない、通気後面34の実例を示す。当業者は、空気レジスタ37がこの二つの限定位置の間で移動可能であり、トレー箱10の下部区画28に所望の制御された温度および/または湿度を導入できることを認識することができる。さらに、前面33および後面34の空気孔31および開口部39を各図間で同一のものとして示すが、本発明がそのように限定されると解釈されるべきではない。例として、前面33および後面34の空気孔31および開口部39は、異なるように製造することができる。
【0070】
トレー15の前面33および後面34に異なるサイズ/形状の開口部39および空気孔31を有することは、特に第一の側が第一の環境、例えば、周囲に面しつつトレー15が挿入/取り出され、一方、異なる時には、反対側の面が第二の環境、例えば、制御された温度の強制空気に面しつつトレー15が挿入/取り出されなければならない場合に望ましい。第一の環境は、ARSIMS100外の温度、例えば、周囲室温や、ARSIMS100以外の手段で具体的に制御および維持されるもう一つの温度に維持することができる。第二の環境は、ARSIMS100内にあり、ARSIMS100によって制御される制御温度および/または制御湿度環境であることができる。あるいは、第一の環境と第二の環境は両方ともARSIMS100内にあり、ARSIMS100で制御することもでき、ARSIMS100は、二つの異なる環境を異なる温度および/または異なる湿度レベルに制御および維持することができる。
【0071】
空気孔31に対する空気レジスタ37の開口部39の位置を手動で調整するために、ハンドル部40を提供して、ユーザが空気レジスタ37を右または左に摺動させることを許すことができる。あるいは、軸を中心に空気レジスタ37を回転させる;複数個の帯片、例えば、ブラインドを閉じる;または流体の流動を制御するために汎用的に使用される他の機構により、空気レジスタ37を調整することができる。しかし、より好ましくは、空気レジスタ37は、コントローラにより機械的かつ自動的に位置付け可能である。
【0072】
トレー後面34上の空気レジスタ37を完全に閉じ、一方トレー前面33上の空気レジスタ37を完全または部分的に開けると(図7E)、下部区画28に入る流体の大部分またはすべてが第一の環境から来るようにすることを可能にし、それにより、ウェル24、管および/または容器20ならびに管および/または容器20に含有されたサンプル/試料の温度を第一の環境の温度にする。逆に、トレー前面33上の空気レジスタ37を完全に閉じ、一方トレー後面34上の空気レジスタ37を完全または部分的に開けると、下部区画28に入る空気の大部分またはすべてが第二の環境から来るようにすることを可能にし、それにより、ウェル24、管および/または容器20ならびに管および/または容器20内のサンプル/試料の温度を第二の環境の温度にする。
【0073】
それゆえに、各トレー箱10の下部区画28内で二つの環境供給源からの流体の相対的な混合を制御することにより、ARSIMS100のコントローラは、二つの環境の絶対温度間にある温度ゾーンの範囲にわたって、任意の所与の日の作業量に必要な保管容量を有する領域またはゾーンを動的に作成することができる。この範囲は、摂氏4〜6度以内に制御することができる。
【0074】
トレー後面34および/またはトレー前面33上の空気レジスタ37でカバーされるか、カバーされないままにされる空気孔31の量(面積)を個々に調整することにより、ARSIMS100のコントローラは、個別のトレー箱10または連続したトレー箱10の群内に、トレー15に保管されたサンプル/試料に対し、所望の温度および/または湿度が制御されたゾーンを作成することができる。
【0075】
任意的に、封止された上部区画29および/または下部区画28内に温度感知装置(図示せず)を配設し、コントローラにフィードバックループを提供して各下部区画28内の温度の制御を向上させることができる。
【0076】
トレー15内の開口している、封止されていない、および/または蓋がされていない管および/または容器20に入ったサンプル/試料、分析対象物、希釈液などの蒸発を防止または最小化するさらなる手段は、トレーカバーの提供である。図9A〜図9Gを参照すると、トレーカバー80の各種図が示される。例示のみの目的で、トレーカバー80は、長方形または丸みをつけた長方形形状を有するが;トレー15のトレー頂部21に対して有効な封止を提供できる任意の実際的な形状が許容できる。実際、トレーカバー開口部85は、封止された区画を形成するために、トレー15に保持されたすべての管および/または容器20の全体にわたって収まり、トレー頂部21と嵌合するように構造化および配置されなければならない。より具体的には、これは、封止された区画と、封止区画の外側の環境、例えば、トレー箱10内やトレー頂部21より下方等との間の空気流または空気の交換を排除または最小化することが可能な封止および/または空気流バリアを形成することを伴う。
【0077】
トレーカバー80は、トレーカバー頂部82、トレーカバー前部壁84、トレーカバー後部壁86ならびに左側壁81および右側壁83を包含する。トレーカバー80のすべてまたはいくらかの部分は、透明、曇り、半透明、遮光性、中実等の材料で作製することができる。トレーカバー80のすべてまたはいくらかの部分は、断熱性のある材料で作製することもできる。有利には、トレーカバー80は、不使用のトレーカバー80の保管に要する保管空間を最小化するために、相互の内側に積み重ねられるように構造化および配置される。
【0078】
トレーカバー80は、カバーされたトレー15がARSIMS100の内側にある時に、手動および/または自動でトレー15の上に設置すること、またはトレー15から取り外すことができる。その目標のために、任意的に、トレーカバー80は、装置、例えば、ロボットアームやグリッパなど、トレーカバー80を取り外すか、取り替えることを可能にする物理機能を備えることができる。トレーカバー80は、特定の向きでトレー頂部21およびトレー15と嵌合するように適応され、またはトレー15とトレーカバー80が適切に合わさって封止された区画を形成するために複数の面または縁部が合致することを要することができる。トレーカバー80がトレー頂部21に適切に設置されると、トレーカバー80は、空気流に対する封止またはバリアを形成し、それにより、トレー15の封止された区画に位置する管20の頂部にわたって通ることが可能な空気流を排除または有意に減少させる。
【0079】
開口しているか封止されていない管および/または容器20を取り扱う封止区画の形成に必要なのはトレー15とトレーカバー80のみであるため、組み合わされたトレー15とトレーカバー80を保持するために使用されるトレー箱10は、トレーカバー80でカバーされた一つまたは複数のトレー15を保持するのに適正である限り、任意のサイズおよび形状であることができる。
【0080】
温度制御保管ユニット、容器受取・取出領域および温度平衡化領域
【0081】
トレーおよびトレー箱の各種態様を記載したが、ここからはARSIMS100の温度および/または湿度制御保管ユニット50、容器受取・取出領域60および温度平衡化領域70について記載する。
【0082】
図1を参照すると、多階層カルーセル保管ユニット50を持つARSIMS100が示される。例示の目的で、台形形状を有するトレー15およびトレー箱10を示す。台形形状のトレーおよびトレー箱および/またはパイ−スライス形状のトレーおよびトレー箱は、円形または弓形の試料保管カルーセル52の収蔵密度を最大化する。10個の保管階層42および一階層当たり16個のトレー箱を有する単一の試料保管カルーセル52のみを示すが、当業者は、二つ以上のカルーセル52(図13に示す)があることができ、一カルーセル52当たりの階層42の数が10個より多いか少ないことができ、一階層当たりのトレー箱の数が16より多いか少ないことができることを認識できる。さらに、一階層42当たりのトレー箱の数は階層ごとに異なることができ、一カルーセル52当たりの階層42の数はカルーセルごとに変動することができる。
【0083】
好ましくは、多階層カルーセル保管ユニット内の各カルーセル52は、ARSIMS100が配設される研究室からARSIMS100の内部の作動を断熱する断熱外部(または内部)スキン51を有する、断熱筐体55内に包囲される。断熱筐体55の内部部分は、第二の環境59、例えば、周囲環境を提供するように適応されることができる。温度および湿度が制御可能である第一の環境58は、サンプルカルーセル52の内部(中央)部分57内に設けることができる。例として、サンプルカルーセル52は、制御された温度および/または制御された湿度の空気流をサンプルカルーセル52の中央部分57から少なくとも一つのトレー箱10に半径方向に強制的に流すように構造化および配置されることができる。有利には、各階層42上の各トレー箱10に流れる空気流とサンプルカルーセル52の各階層42に流れる空気流は、処理段階、サンプル/試料および次の試験に応じて個別温度での保管を要するサンプル/試料を保管するために、個別の制御温度ゾーンを作成できるように制御および適応される。
【0084】
サンプルカルーセル52は、一方向、例えば、時計回りもしくは反時計回りまたは二方向に回転するように適応されることができる。サンプルカルーセル52の回転は、特定のトレー箱を積載/荷卸位置65に移動させるために必要である。
【0085】
図1に示すトレー箱10の後部壁17は中実であるが、これは例示のみを目的とする。当業者は、本明細書において先に記載したトレー箱後部壁の任意のものを含めることができる。中実後部壁17は、完全に挿入され適切に定置されたトレー15の下部区画28への空気流を防止する。あるいは、カルーセル52は、一つ以上の空気孔31(空気レジスタ37を持つか持たない)および/または後部開口部32を持つ通気後部壁38を包含することができる。各階層42は、二つ以上の後部壁の組み合わせを有するトレー箱10を包含することができ、または特定の階層42を、中実後部壁17のみ、通気後部壁38のみ、後部開口部32のみ等の専用とすることができる。
【0086】
ARSIMS100は、容器受取・取出領域60および温度平衡化領域(TEA)70も包含する。TEA70は、ある温度にあるサンプル/試料が、さらなる処理または試験の前に、それらが他の温度に平衡化できるように設置される、独立した温度制御された領域である。TEA70は、サンプル/試料が送路に設置される前に、それらが、保管ユニット50内に保管されていた際の温度から、サンプル/試料が分析のために到着する時に分析器が求める温度になることを許容する。独立したTEA70に加えて、管および/または容器20ならびにサンプル/試料の加温および/または冷却は、制御された速度で温度を第一の温度、例えば、冷蔵温度から、第二の温度、例えば、周囲温度にすることによって、トレー箱10内で達成することができる。
【0087】
容器受取・取出領域60は、送路積載領域61および送路荷卸・処分領域62を包含することができる。複数のロボットアーム63が容器受取・取出領域60に備えられる。ロボットアーム63は、単一の管および/または容器20ならびに/または一つ以上のトレー15を移送するように適応される。例として、第一のロボットアーム63aは、個々の管および/または容器20をトレー15のウェル24に挿入するように構造化および配置されることができる。
【0088】
第二のロボットアーム63bは、送路積載領域61からトレー15全体を積み込み、それを、例として、サンプルカルーセル52の開口トレー箱10の前部開口部または温度平衡化領域(TEA)70に挿入するように構造化および配置されることができる。第二のロボットアーム63bは、さらに、トレー箱10からトレー15を取り出し、取り出したトレー15をもう一つのトレー箱10に再挿入する、または取り出したトレー15を送路荷卸・処分領域62に設置するように適応されることができる。
【0089】
図1に示す第二のロボットアーム63bは、ロボットアーム63bを送路積載領域61の近傍からサンプルカルーセル52の積載/荷卸位置65に移動させるために並進することが可能な可動軸64に装着される。第二のロボットアーム63bは、さらに、軸64を上下に動いて、サンプルカルーセル52の任意の階層42および/またはTEA70にアクセスするように適応される。
【0090】
第3のロボットアーム63cは、個々の管および/または容器20をトレー15から取り出し、取り出した管および/または容器20を処分する目的で、送路荷卸・処分領域62に備えられることができる。処分は、取り出した管および/または容器20を、例えば、送路荷卸・処分領域62の頂部表面の開口部66を介して一つ以上のバイオハザード廃棄物容器68に設置すること、またはサンプル保持領域67に設置することを包含することができる。ロボットアーム63の利点に関わらず、管および/または容器20ならびにトレー15は、研究室の職員によって手動で載置および取り出すこともできる。
【0091】
図1には示さないが、ARSIMS100は、サンプル/試料ならびに管および/または容器20が任意の手段でARSIMS100に積載または渡された直後に、各管および/または容器20に取り付けられたバーコードおよび/またはRFIDタグ、または管および/または容器20に含有されたサンプル/試料の他の標識を読み取る装置も包含する。それゆえに、ARSIMS100は、コード化された管および/または容器20の場所と、より重要なことには、それらに含有されたサンプル/試料とを任意の時点で判断し、さらに次の処理段階の前にその管および/または容器をシステム内のどこに保管すべきかを判断することが可能である。管および/または容器20内の新しいサンプル/試料を確認することに関係するバーコードリーダおよび/またはRFIDリーダは、ARSIMS100に組み込むか、外付けの独立した装置であることができる。外付けの場合、リーダは、配線、光ファイバーケーブル、ワイヤレス接続等の少なくとも一つを使用してARSIMS100に連結することができる。
【0092】
これもまた図1には示さないが、例として、管および/または容器20が封止されているか、封止されていないか、蓋がされているか、蓋がされていないか、カバーされているか、カバーされていないか;管および/または容器20が転回済みか否か;管および/または容器20に含有されたサンプル/試料が高脂血、黄疸血、および/または溶血であるか否か;管および/または容器20に残存する使用可能なサンプル/試料の分量;管および/または容器20の頂部の色;等を判断するために、任意の視覚ベースのサブシステムを使用することができる。
【0093】
多階層カルーセルARSIMS100について、トレー箱の積載/荷卸がサンプルカルーセル52の外径で発生し、温度制御がサンプルカルーセル52の内径で提供されるものとして記載したが、多階層カルーセルARSIMS100は、トレー箱の積載/荷卸がサンプルカルーセル52の内径で発生し、温度制御がサンプルカルーセル52の外径で提供されるように構成することもできる。
【0094】
図2、図4、図6および図8を参照すると、ARSIMS100のための二重棚構成サンプル保管ユニット50が示される。二重棚構成サンプル保管ARSIMS100のコンポーネントは、サンプルカルーセル52が一対の棚53および54に置き換えられ、各棚53、54が複数のトレー箱10を有することを除いて、多階層カルーセル保管ユニット50に関して本明細書において先に記載したコンポーネントと本質的に同じである。より具体的には、図2は、後部開口部17(図7A)を持つトレー箱10と、それらに対応する、図7B〜図7Gに関して記載したような、場合により空気レジスタ37を包含する通気前部壁・通気後部壁トレー10とを示す。図4は、断熱カバー51が提供され、任意のトレー箱扉43をトレー箱10のいくらかまたはすべてと併せて包含できることを除いて、図2と同じである。図6は、通気後部壁38(図5A)を有するトレー箱10と、それらに対応する、図5B〜図5Dに関して記載したようなトレー15とを示す。図8は、後部開口部32(図7A)を持つトレー箱10と、それらに対応する、図7B〜図7Gに関して記載したような空気レジスタ37を包含するトレー15とを示す。
【0095】
少なくとも一つの第二のロボットアーム63b、軸64および任意の台67を、トレー箱10へのトレーの挿入および取り出しのために、一対の棚53と54との間に配設することができる。各棚53および54のトレー箱10の前部開口部16が第二のロボットアーム63bおよびその周辺環境に最も接近しており、一方、トレー箱10の後部壁17もしくは38または後部開口部32は、第二の環境59に隣接するか、断熱スキン51内に入れられる。よって、各トレー箱10の前部開口部16は互いに面している。各棚構成ユニット53、54は、全体が断熱スキン51内に収容されることができ、それらのすべて、または任意の一部は、制御された温度に維持されることができる。
【0096】
図に示す、各階層42のトレー箱10の数および各棚53および54の階層の数は、例示的なものである。実際、各階層42のトレー箱10の数ならびに各棚53および54の階層の数は、異なることができる。
【0097】
図2、図4、図6および図8は、互いに対向する棚53と54との間の領域からトレー15が積載される二重棚構成ARSIMS100を提案するが、これは例示のみを目的とする。他の態様では、棚構成ユニット53、54間の空間に面していない棚側から、または棚53、54の両側から、トレー15をトレー箱10の中に積載することができる。
【0098】
図4は、任意のフィーチャである扉43を有するトレー箱10を示す。トレー箱扉43は、例えば、上下の摺動、左右の摺動、固定軸を中心とした回転等により、個別のトレー箱10の前部開口部16(図4に示す)および/または個別のトレー箱10の後部開口部32のいずれかを閉じるために使用することができる。トレー箱扉43は、手動でまたは自動的に開閉されるように構造化および配置され、ロボットアーム63cの使用によることを包含することができる。図4には前部開口部16全体をカバーするトレー箱扉43を示すが、あるいは、トレー箱扉43は、トレー頂部21のレベルより下方の領域のみをカバーすることができ、ならびに/または図7B以下に関して記載した空気孔および空気レジスタと似た、空気孔31および/または空気レジスタ37を包含することができる。
【0099】
好ましくは、トレー箱扉43は、閉じられた時に、トレー箱扉43と、それと対になるトレー箱10の前部開口部16または後部開口部32との間の空気流を排除または減少させる封止上部区画29を維持することに役立つ。トレー頂部21のレベルより上方のトレー箱扉43の部分のみ、トレー箱扉43のその部分を通る空気流を防止または最小化する材料で作製しなければならない。トレー箱扉43は、断熱材料で作製することができる。
【0100】
任意的に、複数のトレー箱10および/または任意サイズもしくは形状の一つもしくは複数のトレー15を保持することが可能な他の種類の密閉された容積をカバーするように、単一のトレー箱扉43が構造化および配置されることができる。
【0101】
これもまた図4に示すが、枠44が二つの棚53と54との間に設けられ、横方向の支持を提供し、棚53および54を互いに固定された距離に維持する。
【0102】
図6に示すように、第二の環境59、例えば、周囲室温は、二重の棚53、54の断熱外面部分(スキン)51をすっかり取り囲み、一方、温度が制御された第一の環境は、断熱外部スキン51とトレー箱10の通気後部壁38または後部開口部32との間に提供される。制御された温度および/または湿度の加圧空気41を、トレー箱10の通気後部壁38上に位置する空気孔31(図6の細部AおよびBを参照)を通してトレー箱10の下部区画28に強制的に送ることができる。温度が制御された強制空気41は、下部区画28を通って循環し、対流によって管および/または容器20内のサンプル/試料を冷却した後、トレー頂部21のレベルより下方にあるトレー箱10の前部開口部16部分を介して下部区画28から出る。排気された空気35は、戻り空気ダクト(図示せず)が空気の冷却、加熱、濾過などをすることができる、二重棚構成ユニット53と54と間の空間に導入され、その後、再度、トレー箱10の後部壁38または後部開口部32に空気を再循環させる。図6について、温度が制御された強制空気がトレー箱10の通気後部壁38または後部開口部32からトレー箱10の前部開口部16に向かって動くものとして記載したが、当業者は、温度が制御された強制空気が同様に容易に前部開口部16から通気後部壁38または後部開口部32に向けて移送可能であることを認識することができる。
【0103】
有利には、トレー箱10のすべてのまたは任意のサブセットを、対応するトレー15およびそのトレー15に保管されるサンプル/試料に合わせた個別の温度の強制空気を送るように適応された専用の空気ダクト(図示せず)に連結することができる。規定された温度および湿度の循環空気は、個々のトレー箱10またはトレー箱10の群に送られることもできる。要約すると、一つの棚33、34または棚33、34の一部分を第一の流体の流れで第一の温度に冷却することができ、もう一つの棚33、34または同棚33、34の一部分を第二の流体の流れで第二の異なる温度に冷却することができる。送り込まれる流体の流れの温度、湿度、圧力等は異なることができ、あるいは、下部室28に入り循環することが許される送り込まれた流体の量を制御して、異なる棚33、34または同棚33、34の異なる部分に異なる温度を提供することができる。
【0104】
任意的に、図6にトレー箱扉43を追加して、トレー箱10の前部開口部16および/または後部開口部32と嵌合することで空気流を封止し、または空気流に対するバリアを作成して、封止された上部区画29の作成に役立つことができる。空気レジスタ37を追加して、空気孔31を通る空気流を手動および/または自動で制御することもできる。
【0105】
図8は、後部開口部32を持つ複数のトレー箱10と図7A〜図7Eに関して本明細書において先に記載したトレー15とを有する、例示的な二重棚構成ARSIMS100を示す。図8に示す例示的態様では、温度が制御された第一の環境58が二つの棚53と54との間の空間に提供され、第二の環境(周囲)59が棚53および54の反対側に提供される。この例示的態様によると、各棚53、54のトレー箱10の前部開口部16および完全に挿入され適切に定置されたトレー10の通気前面33は、第一の環境58に隣接し、一方、各棚53、54のトレー箱10の後部開口部32および完全に挿入され適切に定置されたトレー15の通気後面34は、第二の環境59に隣接する。当業者は、環境58と59とを差し替えることができ、環境58および59に対する、トレー15の通気前面33および通気後面34の場所が示されたものと異なることができることを認識できる。
【0106】
後部空気孔37およびそれに関係した空気レジスタ37へのアクセスは、外部スキンの孔もしくは切り欠き(図示せず)および/または空気ダクト(図示せず)を通じて行うことができる。あるいは、通気後面34自体を断熱材料で製造し、外部スキンのすべてまたは一部分を形成することができるため、独立した断熱外部スキンは必要でないかもしれない。
【0107】
任意的に、トレー箱10の前部開口部16または後部開口部32は、トレー箱扉43を包含することができる。空気レジスタ37を追加して、空気孔31を通る空気流を手動および/または自動で制御することもできる。図8については、トレー箱10および図7A〜図7Eに示すトレー15に関して使用する場合を記載したが、ARSIMS100は、例えば、図3A以下および図5A以下に示すようなトレー箱10およびトレー15を包含することもできる。
【0108】
図10および図11は、それぞれ、他の代替二重棚構成保管ユニットと、前記二重棚構成保管ユニットを断熱筐体55に入れたものを示す。図11は、容器受取・処分領域68を示す。トレー15は、送路111を介してARSIMS100の容器受取・処分領域60に到着する。ロボットアーム112または他のハンドリング装置が送路111からトレー15を取り出す。トレー15に保管された管および/または容器20が処分できる状況にある場合、管および/または容器20ならびに/またはトレー15全体をバイオハザード廃棄物用の廃棄物箱68に積み下ろすことができる。管および/または容器20がさらなる処理を要し、特定の時間にわたって特定の温度で保管する必要がある場合、ロボットアーム112がトレー15をARSIMS110に導入し、トレー15は、TEA70内に設置され、ならびに/または温度および湿度を制御できる個別のトレー箱10に設置される。容器受取・処分領域60は、入出力装置113、例えば、タッチスクリーンモニタを包含することができるオペレータインタフェースも提供することができる。
【0109】
図10に示す二重棚構成保管ユニットは、トレー箱10がより大きな開口領域を有し、それにより複数のトレー15を一度にトレー箱10に完全に挿入し適切に定置することがより容易であることにおいて、これまでに示し記載した保管ユニットと異なる。図10のトレー箱10は五つのトレー15を保管することが可能であるが、これは例示のみを目的とする。
【0110】
図12A〜図12Gは、ARSISM100の温度制御保管ユニット50の追加的な非排他的態様を提供する。弧型の概念(図12A)は、図1に関して本明細書において先に記載した多階層サンプルカルーセルユニットの変形である。図12Aは各階層42が八つのトレー15を保持することが可能であることを示すが、これは例示のみを目的とする。さらに、図12Aはトレー15がカバーされておらずトレー箱10が開口していることを示すが、当業者は、トレーカバー80を採用して管および/または容器20からの蒸発を防止または最小化できることを認識することができる。
【0111】
図12Bは、ペグボード式温度制御保管ユニットを示し、個々の、蓋がされた、封止された、ならびに/または閉じられた管および/または容器20が「ペグボード」91の開口部87に挿入される。一つ以上のペグボード91は、枠89に支持された上部および下部棒88から片持ち梁式に支えることができる。好ましくは、ペグボード91は、上部および下部棒88に沿って摺動可能である。
【0112】
図12Cおよび図12Dは、二重および単一の観覧車式温度制御保管ユニットを示し、これは、第一の「観覧車」71または第二の「観覧車」72の閉じた回転可能送路73に動作的に連結された複数のトレー箱75を包含する。図12Gは蛇行制御保管ユニットを示しており、蛇行制御保管ユニットは複数のトレー箱75も包含し、トレー箱75は、観覧車式の概念の場合のような円形または楕円形の経路ではなく、蛇行経路に沿って動く閉じた回転可能送路73に動作的に連結される。
【0113】
図12Eは、入れ替えの概念を使用した、温度および湿度が制御された保管ユニットを示す。図12Fは、可動書棚の概念を使用した、温度および湿度が制御された保管ユニットを示す。入れ替えの概念は、ルービックキューブのように三つの直交軸を中心に回転可能となるように構造化および配置されることができる複数のトレー箱75を提供する。可動書棚の概念は、複数のトレー箱75を包含する複数の棚列74を包含する。棚列74は、一つの面内で直交する方向に移動可能であり、二つの棚列74の間に常に開放空間76が提供される。
【0114】
可動書棚の概念のより大きなバージョンを図16および図17に示す。このバージョンは、個々に移動する単一の棚列74と、一つのユニットとして移動する背中合わせになった棚列77とを包含する。開放空間76は、対象とする棚列74と77との間に設けられることができる。好ましくは、回転するロボットアームまたはピッカー(図示せず)は、開放空間76に入り、その中を移動し、任意の所望のトレー箱75まで上昇し、トレー箱10からトレー15を積み下ろすか、引き出すように構造化および配置される。各棚列74、77は、棚列74、77を移動させることができる独立した専用のモーター手段を包含することができる。モーター手段は、限定の目的ではなく例として、車輪またはベルト/送路システムを包含することができる。
【0115】
図14Aおよび図14Bを参照して多階層入れ替え保管ユニットを記載する。図14Aは、単一の運転中の棚42を示し、図14Bは、複数の階層42と、階層42間でトレー15を移送するように構造化および配置された昇降機/エレベータ99とを示す。
【0116】
各階層42は、トレー15を階層42上の任意の所望の場所まで移送するように適応された複数の搬送表面94、例えば、搬送ベルトを包含する。各階層42上に保管できるトレー15の数は変動することができる。少なくとも一つの空間96は、昇降機/エレベータ99のための積み込み/積み下ろし点である。あるいは、または追加として、ロボットアーム(図示せず)を積み込み/積み下ろし点96に提供することができる。
【0117】
当技術分野で公知の任意の手段により、二次元の二方向移動を提供することができる。図14Aおよび図14Bは、二次元で移動するための搬送ベルト94を使用する。ベルト94に歯、歯車、車輪、スプロケットなどを追加して、複数のトレー15の外部壁の一つと係合させること、または対応する一部を歯、歯車、スプロケットなどと係合させることができる。
【0118】
図15は、研究室の職員が試料保管の機能を少なくとも二つの保管モジュール101と102との間で分離することを許す、分割保管庫を有するARSIMS100を示す。第一の保管モジュール101は、ARSIMS100とインタフェース接続するためのオペレータインタフェースを包含し、短期のうちに処理されるトレー15ならびに個々の管および/または容器20の「ローカルな」保管を提供し;第二の保管モジュール101は、後まで処理されないトレー15ならびに個々の管および/または容器20のための「リモートの」より長期の保管を提供することができる。図15に示す第二の保管モジュール102には、本明細書において先に記載した保管ユニットの任意のものまたはそれらの組み合わせを採用することができる。
【0119】
第一の保管モジュール101および第二の保管モジュール102は、第一の保管モジュール101から第二の保管モジュール102へ、およびその逆に、トレー15を移送するように構造化および配置された複数の移送路103および104によって連結される。移送の手段は、搬送ベルト、空気圧等によることができる。トレー15が第二の保管モジュール102に到着すると、ロボットアーム、昇降機など(図示せず)が移送路103からトレー15を取り出し、トレー15を個別の所定のトレー箱10に挿入するように適応される。好ましくは、ロボットアーム、昇降機などは横方向に移動し、上下方向に移動するように適応される。
【0120】
第一の保管モジュール101のオペレータインタフェースには、複数の入出力用穴が提供される。例として、複数の管および/または容器20を含有するトレー15は、積載口106を介して第一の保管モジュールの中に積載され、荷卸口107を介して第一の保管モジュール101から荷卸されることができる。一つのトレー15全体または複数個のトレー15のための積載口106に加えて、オペレータインタフェースは、単一の管および/または容器20のための入力口105も包含する。個々の管および/または容器20が第一の保管モジュール101に挿入されると、その管および/または容器は、例えば、ロボットアームなどを使用して、類似の管および/または容器20を含有するトレー15に自動的に挿入することができる。
【0121】
完了したおよび/または期限が切れたサンプル/試料ならびに管および/または容器20を迅速かつ安全に処分するために、バイオハザード廃棄物用の少なくとも一つの廃棄物箱108が荷卸口107の近傍に提供される。
【0122】
本発明の主要な温度および湿度が制御された保管ユニットの他の態様は、本明細書において先に述べた保管ユニットおよび保管の概念の任意のものまたはそれらの組み合わせを包含することができる。
【0123】
コントローラ
【0124】
ARSMIS100のコントローラは、複数の管および/または容器20ならびにトレー15の各管および/または容器20ならびにトレー15の移動、場所および温度を制御すると共に、複数の管および/または容器20ならびにトレー15を保持する複数の容器(トレー箱)10内および/または周りの環境の温度および/または湿度を制御するように構造化および配置される。この目的のために、コントローラは、サンプル/試料が分析器に渡され、導入される時に、管および/または容器20に含有された各サンプル/試料、各サンプル/試料に行われる試験、サンプル/試料の所望のおよび/または好ましい温度を特定および追跡するスケジュールを使用する。
【0125】
コントローラは、入出力インタフェースと、適正なメモリ、例えば、揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)および不揮発性読み出し専用メモリ(ROM)とを有する、プロセッサ、マイクロプロセッサ、パーソナルコンピュータなどを使用して具現化することができる。コントローラのROMは、データ保管のすべてまたはいくらかの部分を包含することができ、送路113、温度制御保管ユニット50、TEA70、試料受取・処分領域60、ロボットアーム63、各種の他のサブシステムを操作するためのアプリケーション、アルゴリズム、ドライバプログラムなどを包含する、ソフトウェアまたはハードウェアを包含することができる。コントローラのRAMで実行される任意のプログラムは、コントローラROMに保管されたドライバプログラム、アプリケーション、アルゴリズムなどを選択的に呼び出し、呼び出したものを実行するように適応される。
【0126】
有利には、コントローラは、各所望の温度ゾーンに利用可能な保管空間の量(容積)を動的に再構成、すなわち増減して、現在のリアルタイムのサンプル/試料の保管要件に対処するように適応される。温度ゾーンは、密閉された領域、トレー箱10などの少なくとも一つに関連することができる。各ゾーンを一意の温度/湿度設定に維持すること、または複数個のゾーンを同時に同じ温度/湿度設定に設定することができる。
【0127】
本発明のさらなる効果は、サンプル/試料が自動的に破棄される前にシステムに残存する期間をユーザが定義できることである。個別のサンプル/試料を保管する一意の期間を、例として、サンプルの種類、採取/収集地、採取/収集の日時、要求元の医師、サンプル/試料に行われる試験、サンプル/試料が初めにARSIMS100内に設置された時間等に基づいて決定することができる。好ましくは、ARSIMS100は、指定された保管時間が経過すると、各サンプル/試料に適用できる基準に基づいて、サンプル/試料が保管されている管および/または容器20を自動的にバイオハザード廃棄物容器68の中に処分する。
【0128】
当業者は、本明細書において先に含有される教示に照らして、本明細書に記載および例示される部品および工程の詳細、材料および配置に多くの変更を加えることができる。それゆえに、以下の請求項は、本明細書に開示される態様に限定されず、具体的に記載される実施以外の実施を包含することができ、法律の下で許される限り広く解釈されるべきであることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理の分析前段階、進行中段階および分析後段階の少なくとも一つにおいて、被験サンプルを含有する複数の容器を被験サンプルおよび処理段階に適当な保管温度に保持するための試料在庫管理システムであって、
制御された温度を有する冷却流体または加温流体を選択的な場所に提供するための供給源、
複数の温度ゾーンを有し、個別の数の複数の容器を所望の制御された温度および/または制御された湿度に保持するように前記複数の温度ゾーンの各ゾーンが構造化および配置される、少なくとも一つの領域、
複数の容器の各容器を受け取り、前記各容器を複数の温度ゾーンの一つに挿入し、処分または分析のためにそれぞれの温度ゾーンから複数の容器の各容器を取り出すための容器受取・取出領域、
次の行き先の温度に応じ、容器が温度平衡に達することを可能にするように適応された温度平衡化領域、および
複数の容器の各容器の移動、保管場所および保管温度を特定するためのコントローラ
を含む、システム。
【請求項2】
さらに、温度ゾーンに配設され、コントローラに温度データを提供するように適応された複数の温度感知装置を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
さらに、最大保管時間に達した被験サンプルを含有する個別の容器を処分するための容器処分装置を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
複数の容器内において、第一の被験サンプルまたは第一の処理段階に適当な保管温度が第二の被験サンプルまたは第二の処理段階に適当な保管温度と異なる、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
さらに、個別の場所にある複数の容器の各容器、容器の群または容器のトレーに提供または取り付けられたサンプル特定コードを読み取り、サンプル特定コードおよび複数の容器の各容器の個別の場所の少なくとも一つをコントローラに提供するように適応されたコード読み取り装置を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
サンプル特定コード、処理段階および前記サンプル特定コードのための分析プロトコルに基づき、複数の容器の各容器の保管場所および保管温度の少なくとも一つを特定するようにコントローラが適応される、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
複数の温度ゾーンの各温度ゾーンを動的に再構成し、それぞれの温度ゾーンに保管できる複数の容器の数を変更するようにコントローラが適応される、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
容器、複数個の容器、運搬装置内の容器の群、および容器のトレーの少なくとも一つを保管するように複数の温度ゾーンの各温度ゾーンが構造化および配置される、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
複数の温度ゾーンの各温度ゾーンが、少なくとも一つのトレー箱部分と、少なくとも一つのトレー箱部分に挿入され、取り出されるように適応された対応する脱着可能なトレー部分とを包含する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
脱着可能なトレー部分が、封止可能な上部区画と、選択的に封止可能な下部区画および開口している下部区画の少なくとも一つとを包含する、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
トレー箱部分が多階層カルーセル内に構造化および配置され、各階層が少なくとも一つの脱着可能なトレー部分のための空間を提供する、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
各トレー部分が、
複数の容器を保持するための複数の開口部を有し、トレー箱部分に完全に挿入され適切に定置された時にトレー箱部分と実質的な気密封止を提供する、トレー頂部部分、
トレー頂部部分に取り付けられた一対の側壁部分、
開口している前端部分、部分的に開口している前端部分、および閉じられた前端部分のうちの一つ、および
開口している後端部分、部分的に開口している後端部分、および閉じられた後端部分のうちの一つ
を包含するように構造化および配置される、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
トレー部分の下部区画への加温流体または冷却流体の流量を制御するため、前端部分、後端部分および任意のトレー部分の少なくとも一つが空気レジスタおよび空気孔の少なくとも一つを包含する、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
流体流量を選択的に増加させるまたは選択的に低減するため、空気レジスタが手動または自動で制御可能である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも一つの容器、複数個の容器または容器の群を保持するために適応された脱着可能なトレー部分を受け取り、収容するように構造化および配置された、固定または脱着可能なトレー箱部分を含む群から各温度ゾーンが選択される、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
脱着可能なトレー部分が封止可能な上部区画と、開口している下部区画および部分的に開口している下部区画の少なくとも一つとを包含する、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
脱着可能なトレー部分が脱着可能なトレー箱部分に完全に挿入され適切に定置された時に、トレー部分の中実トレー面部分がトレー箱部分の前部開口部の外周部分と封止またはバリアを生じさせ、封止可能な上部区画への、又は、封止可能な上部区画からの流体流動を防止または最小化するように、脱着可能なトレー部分および脱着可能なトレー箱部分が構造化および配置される、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
脱着可能なトレー部分に配設された少なくとも一つの任意の容器の周囲において、制御された温度の流体が循環することを可能にするように下部区画が構造化および配置される、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
上部区画への又は上部区画からの流体流動を防止または最小化するため、固定または脱着可能なトレー箱部分が封止可能な上部区画に対して封止またはバリアを生じさせるように構造化および配置された封止扉を包含する、請求項16記載のシステム。
【請求項20】
制御された温度の流体を強制的に下部区画に入れるか又は通過させるように供給源が構造化および配置される、請求項16記載のシステム。
【請求項21】
複数の温度ゾーンが複数の水平方向の横列および複数の垂直方向の縦列を含む配列として構造化および配置された少なくとも一つの多階層棚を包含し、トレー箱部分を形成する隣接した横列および隣接した縦列によって各温度ゾーンが画定される、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
さらに、
第一の多階層棚のアクセス開口部が、第二の多階層棚のアクセス開口部に面する、互いに対向して配設された一対の多階層棚、および
第一の棚または第二の棚のいずれかのトレー箱部分にトレー部分を積載するため、第一の棚と第二の棚との間に配設された積載装置
を含む、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
複数の温度ゾーンが、弓形配置に配設された複数の多階層棚を包含する、請求項1記載のシステム。
【請求項24】
トレー部分が、脱着可能なトレーカバーを包含する、請求項9記載のシステム。
【請求項25】
複数の温度ゾーンが、観覧車方式で変位されるように適応された複数の多階層棚を包含する、請求項1記載のシステム。
【請求項26】
複数の温度ゾーンが、複数の多階層棚を包含し、各棚が垂直方向の縦列および水平方向の横列の配列として配置され、各多階層棚が隣接した棚に対し、縦列および横列の面に直交または実質的に直交する方向に可動である、請求項1記載のシステム。
【請求項27】
複数の温度ゾーンが蛇行方式で変位されるように適応された複数の多階層棚を包含する、請求項1記載のシステム。
【請求項28】
トレー箱部分が供給源に隣接した少なくとも一つの面を包含し、面が開口しているか、閉じられるか、部分的に開口している、請求項9記載のシステム。
【請求項29】
面が少なくとも一つの流体孔開口部または空気レジスタを持つ少なくとも一つの流体孔開口部を包含する、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
トレー箱部分が一対のトレースライドレールを包含し、トレー部分のトレー頂部が一対のスライドと位置合わせされ、一対のスライドと実質的な気密封止を形成するようにトレー部分のトレー頂部が構造化および配置される、請求項9記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−512437(P2013−512437A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541158(P2012−541158)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057771
【国際公開番号】WO2011/066269
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【Fターム(参考)】