自動分析システム
【課題】本発明は、キャリブレーションの依頼に対し、投入された標準検体の不足等によりキャリブレーションが実施できない場合に、標準検体の分析が成功することを期待し、当該標準検体に続けて連続投入した検体がキャンセルされずに分析されることにより、意図しない試料及び試薬が消費されてしまうことを課題とした。
【解決手段】投入された標準検体の分析可否にあわせて、当該標準検体及び、以降に搬入された検体の分析スケジュールを調整する手段を提供する。
【解決手段】投入された標準検体の分析可否にあわせて、当該標準検体及び、以降に搬入された検体の分析スケジュールを調整する手段を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿等の生体試料の定量,定性分析を行う自動分析装置に係り、特に試料容器を分析装置に搬送する搬送装置を備えた自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿の如き生体試料の定量,定性分析を自動で行う自動分析装置は、多くの患者検体を短時間で処理する必要のある大病院,臨床検査センターを中心に普及が著しく、処理能力により、大型,中型,小型の各種の自動分析装置が開発されている。特に多数の検体を分析処理する大型の装置の場合には、検体の入った検体容器を複数、検体ラックと呼称されるホルダーに保持した状態で、搬送ライン(搬送装置)を介して複数の分析装置に搬送するものもある。このような装置では、検査技師は検体ラック投入口に検体ラックを投入するだけで、分析結果の出力まで自動で実行する。
【0003】
その場合、検体ラックはベルトコンベア状の搬送ラインで検体ラック投入口に投入されたラックを搬送される途中で、搬送ライン上のバーコード読取装置により、ラック種別、および検体を認識し、分析される。このような自動分析システムとして例えば特許文献1記載のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−325839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動分析装置は測定精度を維持するため、濃度の違う複数個の標準試料(キャリブレータ)を用いて装置の較正(キャリブレーション)を行う必要がある。例えば試料と試薬を反応させ、試料中の目的成分の濃度による試薬の色の変化を吸光度変化として測定する原理(比色分析法)を用いた生化学自動分析装置では、複数の標準試料で測定した吸光度と濃度の関係を示す較正曲線を作成して未知の試料の濃度を演算する。更に、標準試料を定期的に測定することにより、較正曲線の補正を行うと共に、精度管理試料(コントロール)を用いて、定期的な精度保証用の測定を併せて行うことで、分析結果の精度管理を行う。
【0006】
通常、これらの標準試料,精度管理試料は検体ラック投入口に投入された順番に従い分析が実施される。標準試料及び精度管理試料の測定が完了するまで、患者試料の測定は中断される。
【0007】
オペレータはしばしば、この中断される時間を短縮するために、標準試料の測定結果が正常に得られることを仮定し、標準試料と、対応する精度管理試料を連続して分析装置に投入する運用を行っている。
【0008】
これにより、標準試料と精度管理試料の分析時間の重なりが発生し、分析時間の重なり分だけ、患者検体の測定中断時間は短縮されることとなる。この場合、精度管理試料の測定結果は、先に投入された標準試料のキャリブレーション結果が適用される。
【0009】
特に、搬送ラインを用いてラックを分析装置に搬送する方式の大型の自動分析装置では、複数の検体ラックを設置して分析を行うことが可能である。上述の、患者検体の測定中断時間を短縮した場合の運用を、大型の自動分析装置で行う場合、標準試料や精度管理試料を収容する検体容器を搭載した検体ラックは、オペレータが自ら設置し分析を指示することとなる。
【0010】
しかし、分析を予定しているキャリブレーションに対して、オペレータが標準試料の設置ミスや、設置した検体の認識ミスに起因した設置する標準試料の本数誤り、検体ラックへの標準試料の載置順番の誤り、依頼していない検体の投入等の要因で、標準試料が正しく測定できず、校正曲線が作成できない場合がある。特に、搬送ラインを用いて検体ラックを分析装置に搬送する大型の自動分析装置は分析可能な測定項目が多く、それに伴い、各項目に対してキャリブレーションを実施する上で必要な標準検体の本数も多くなる。これらの標準検体が複数の検体ラックに跨って設置されると、上記のようなミスが発生しやすいと言える。
【0011】
これらの要因で標準試料が測定できず、結果として校正曲線が作成されない場合であっても、標準試料に連続して投入された一般検体や精度管理試料の測定は実施されるため、不要な測定による時間的な損失及び、意図しない試料及び試薬の損失が発生してしまう恐れがある。
【0012】
本発明の目的は、投入された標準試料の分析可否を診断し、その診断結果に基づいて、当該標準検体以降に連続投入された一般検体や精度管理試料の分析スケジュールを調整する自動分析装置を提供することである。これによって、標準試料の設置ミスなどをキャリブレーションの測定開始に先立って検知することができ、設置ミスが検知された場合には、その後の測定をストップさせるため、無用な測定による時間的損失及び意図しない試料及び試薬の使用を抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0014】
サンプルの分析を行う複数の分析ユニットと、生体サンプル,試料等が収容された試料容器を搭載したラックの投入部を備えた自動分析装置において、ラック投入部に標準検体を搭載したラックが投入された場合に、当該検体を用いたキャリブレーションの実行可否を判断する判断部と、前記判断部の判断に基づいて、当該標準検体ラックが投入された以降の搬送スケジュールを制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0015】
判断部では、当該標準検体に対応する依頼が登録されているか、また依頼された分析を行うために必要十分な数のキャリブレータが装置内にあるかを判断しても良いし、当該標準検体の投入順序が、依頼された分析を行うことが可能な順序で投入されたかを判断しても良い。
【0016】
上記において、好ましくは、前記判断部における判断結果を通知するか否かに関する条件を事前に指定可能であることを特徴とする。条件は、前記チェック結果を常に通知するとしても良いし、前記チェック結果で異常が発生した場合のみ通知するとしても良い。
【0017】
また、上記において好ましくは、前記判断部において、投入された標準検体による分析ができないと判断した場合は、当該標準検体及び当該標準検体以降に投入された検体の分析を中止することを特徴とする。中止された標準検体については、オペレータに対処方法の指示を求めても良いし、自動的に装置外に搬出しても良い。
【0018】
また、上記において好ましくは、前記判断部における判断結果をオペレータに通知し、この通知に対する応答を受信するまでは、当該標準検体及び以降に投入された検体を前記バッファに待機させ続けることを特徴とする。
【0019】
また、上記において好ましくは、前記判断部における判断対象となった標準検体の情報を表示部に表示することを特徴とする。表示対象としては、前記判断対象となった標準検体以降にラック待機部に搬入され待機中である全ての検体の情報を表示しても良い。
【0020】
また、上記において好ましくは、前記表示部から少なくとも、待機中の検体に対しての回収指示、又は、分析の再開指示が可能であることを特徴とする。
【0021】
また、上記において好ましくは、前記表示部からの指示により追加投入された標準検体の分析順序を、追加投入の要因となった前記バッファに待機中の標準検体と連続して測定するように搬送スケジューリングを構築することを特徴とする。
【0022】
また、上記において好ましくは、前記表示部からの指示により搬出及び再投入された標準検体の分析順序を、バッファに待機中の標準検体以外の検体より先に分析するように分析スケジューリングを構築することを特徴とする。
【0023】
また、上記において好ましくは、待機中の検体及び未投入の検体に対して依頼の追加,変更,削除が可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば上記構成により、標準試料の設置ミスや投入不足があった場合に、キャリブレーションの実行可否を事前に判断してオペレータにその旨通知することで、当該標準検体以降に投入された、一般検体や精度管理試料の測定を中止して、無用な測定による時間的損失,試料や試薬のロスを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図。
【図2】本発明の一実施形態である投入された標準検体のチェックに関する設定を登録するための画面。
【図3】本発明の一実施形態である自動分析装置の状態遷移を示す図。
【図4】本発明の一実施形態である標準検体搬入終了時の処理フローを示す図。
【図5】本発明の一実施形態である標準検体のチェック結果を表示し、次の指示を行うための画面。
【図6】本発明の一実施形態である標準検体情報及び状況を確認するための画面。
【図7】本発明の一実施形態である再投入の実施待ち画面。
【図8】本発明の一実施形態であるラックに内部的な搬入順を割り当てるための処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、実施例を示す図1〜図8を引用して説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態である自動分析装置の全体概略構成図である。
【0028】
本実施形態による自動分析システムは、検体ラック投入部1と、ID読取部2と、搬送ライン3と、検体ラック待機部4と、分析モジュール5,6,7と、検体ラック回収部8と、全体管理用コンピュータ9を備えている。
【0029】
検体ラック投入部1は、それぞれ複数個の検体(試料)を保持する複数個の検体ラックを投入する部分である。本実施例では、検体ラック投入部1には、少なくとも検体ラックの投入を検知する機能が備わっている。また、望ましくは、投入された検体ラックに搭載されている検体の種別を識別する機能があっても良い。例えば、検体ラックがバーコードやRFIDなどの情報記憶媒体を有する場合には、これらの情報記憶媒体を読み取る読取手段を備えることで、検体ラックが投入された時刻や、検体ラックの種別、ひいては検体ラックに搭載された検体種別などの情報を識別することができる。図1では検体ラック投入部1の近傍に備わるID読取部2が同様の機能を果たす。
【0030】
分析モジュール5,6,7は、搬送ライン3に沿って配置されているとともに、搬送ライン3に取り外し可能な接続になっている。これらの分析モジュールの数は任意に設定でき、本実施形態では、モジュール数3個の場合を示している。
【0031】
搬送ライン3は、検体ラック投入部1に投入された検体ラックを、分析依頼に従って分析モジュール5,6,7へ搬送する。また、分析モジュール5,6,7での分析が終了した検体を保持する検体ラックを、検体ラック待機部4へ搬送する。また、分析依頼がなかった検体ラックを、検体ラック回収部8に搬送する。
【0032】
標準検体,精度管理試料や一般検体を搭載したラックが搬送される搬送ライン3上に設置される検体ラック待機部4は、1つ以上の検体ラックを保持できるライン機構であり、搬送ライン3により搬送される任意の試料を搭載したラックを任意の時間保持し、任意のタイミングにて再び分析モジュール若しくは検体ラック回収部8に対して供給することができる。つまり、検体ラック待機部4は、複数の検体を収納可能で、且つ、ランダムアクセスできるものであれば良い。構造としては、例えば、複数のラックを収納可能なディスクタイプのバッファであっても良いし、ラックを載せる複数のラインを備え、それらのライン上に複数のラックを収容し、任意のラックを搬出するタイプのバッファであっても良い。
【0033】
検体ラック投入部1,ID読取部2,搬送ライン3,検体ラック待機部4および検体ラック回収部8内の必要な制御を行う全体管理用コンピュータ9を備えている。全体管理用コンピュータ9は、更に記憶装置を備えている。記憶装置は、検体に関する属性情報(検体ID,受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)や、検量線情報,精度管理情報,キャリブレーション情報などを記憶している。また、必要な情報を入力する操作部10および分析結果を表示する表示部11が接続されている。
【0034】
検体ラックによって保持された検体に関する属性情報(受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)を示す検体IDは、バーコードやRFID等の情報記憶媒体に記憶される。更に、検体ラックに関するラック番号等のラック識別情報を示すラックIDも、情報記憶媒体に記憶される。これらの情報記憶媒体は、検体容器や検体ラックなどに付されており、搬送ライン3上のID読取部2で読み取られ、全体管理用コンピュータ9に送られる。全体管理用コンピュータ9は、検体IDや検体ラックIDに基づいて、記憶装置内に記憶された検体に関する属性情報を特定する。更に全体管理用コンピュータ9は、その属性情報に基づいて、それぞれの検体がどの分析モジュールで分析されるかを決定する。また、全体管理用コンピュータは後述するフローにしたがって、検体ラックをどの順序で搬送するかを決定する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態である、投入された標準検体のチェックに関する設定を登録するための画面である。
【0036】
本画面では、少なくとも投入された標準検体のチェック結果を通知する条件を、標準検体チェック時の通知条件画面201により選択することを可能とする。
【0037】
図2の実施例では、標準検体のチェック結果の通知を、エラー時にのみ行うか、常に通知するかをオペレータが選択することができる。エラー時にのみ行うことを選択した場合には、以降に述べるチェックフローを経て、標準検体のチェックにエラーが発生した場合に、表示画面を通じてオペレータにエラーの発生及びエラー内容を通知することができる。また、常に通知することを選択した場合には、標準検体のチェックが正常である場合にも、その旨がオペレータに通知されるため、オペレータは安心して精度管理試料の投入を行うことができる。登録ボタン202を押下すると、上記で選択した内容が登録される。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態である自動分析装置の状態遷移を示す図である。
【0039】
測定状態301は、搬入されたラックの搬送スケジュールを決定し、決定された搬送スケジュールを実行することが可能な状態を示す。搬送スケジュールは投入されたラックの順番に構築される。
【0040】
また、標準検体搬入終了状態303から測定状態301に遷移することで、標準検体搬入開始状態302以降に搬入され、検体ラック待機部4で待機中のラックが、搬送スケジュールの構築対象となる。この場合、後述する図8に示す処理フローで決定されるラックの搬入順に従って、検体ラック待機部4内の検体ラックの搬送スケジュールが決定され、実行される。また、他の状態から測定状態301へ遷移した場合には、標準検体搬入終了状態303以降に、それまで中止していた検体ラック投入部1からのラックの搬入を再開する。
【0041】
標準検体搬入開始状態302への遷移は、測定状態301において検体ラック投入部1に標準検体用のラックが投入されることで行われる。この状態は、標準検体用のラックの搬入が終了するまで継続し、その間に搬入されたラックは、搬送スケジュールをすぐには決定せずに、検体ラック待機部4で待機する。
【0042】
標準検体搬入終了状態303は、標準検体用ラックの搬入が終了した状態を示す。本状態への遷移条件は、検体ラック投入部1から標準検体以外のラックが搬入されたことを検出した時点にしても良いし、搬入予定のラックが全て搬入されたことを装置が確認した時点にしても良いし、標準検体用ラックの搬入終了をオペレータ側で指示しても良い。本状態になったことを契機として標準検体搬入開始状態302から標準検体搬入終了状態303の間に搬入された標準検体と、当該標準検体への依頼を照合して分析可能であるかの評価を行う。また、この状態から測定状態301、又は待機(再投入中)状態306に遷移するまでの間は、新たな一般検体/緊急検体/再検検体/標準検体/精度管理試料用の検
体ラックをラック投入部1からラック待機部4に搬入することはできない。この状態に遷移した場合の処理、及び次の状態への遷移条件について後述する図4の処理フローに示す。
【0043】
待機(指示待ち)状態304は、搬入された標準検体に対して、分析可能であるか否かの評価が完了し、次の状態に遷移するためのオペレータの指示を待っている状態を示す。また、この状態のときは、標準検体のチェック結果を確認する画面として、後述する図5で示す画面が表示部11に表示され、次の状態に遷移するための指示は、この画面を通じて行われる。また、本状態では、検体ラック待機部4に待機中の一般検体/緊急検体/再検検体/標準検体/精度管理試料及び、ラック投入部1に投入されたものの未だラック待機部4に搬入されていない検体に対して、従来備える自動分析装置の画面から依頼を再登録することができる。その場合、図5に示す画面の情報は再依頼した内容によって更新される。
【0044】
待機(回収指示実行中)状態305は、オペレータの指示により、検体ラック待機部4に待機中のラックを装置外へ回収している状態を示す。ラックが回収されることにより、待機中のラックが存在しなくなった場合は測定状態301に遷移する。回収後も待機中のラックが存在する場合は、標準検体搬入終了状態303に遷移する。
【0045】
待機(再投入中)状態306は、オペレータから再投入指示を受け、検体ラック投入部1に投入された標準検体用ラックが、ラック待機部4への搬入待ちである状態を示す。次の状態に遷移するまでの間、表示部11に後述する図7に示す再投入待ち画面を表示する。また、本状態の間は、中止していた検体ラック投入部1からラック待機部4へのラックの搬入を再開する。標準検体搬入終了状態303への遷移は、標準検体用ラックの搬入が終了したことを契機として行う。また、標準検体搬入終了状態303に遷移した場合には、再投入待ち画面の表示を終了する。また、本状態から標準検体搬入終了状態303の間にラック投入部1に投入され、ラック待機部4に搬送された標準検体用ラックを、各分析ユニットに搬入する搬入順は、後述する図8の処理フローに従って最適化する。この最適化は標準検体搬入終了状態303に遷移する前に行われる。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態である、標準検体搬入終了時の処理フローを示す図である。
【0047】
予定されていた標準検体用ラックの搬入が全て終了すると、全体管理用コンピュータ9に標準検体搬入の終了が報告される(ステップ401)。標準検体用ラック搬入終了の判断は、標準検体搬入開始状態302又は待機(再投入中)状態306において、検体ラック投入部1へ新たなラックの搬入が一定時間以上ないことを基準にしても良いし、標準検体用ラック以外のラックが搬入されたことを基準にしても良い。また、図7で示す再投入待ち画面で、オペレータが中止ボタン701を押下した場合にも同様の報告が実施されるものとする。この場合には、標準検体ラックの搬入終了を全体管理用コンピュータ9に報告するタイミングをオペレータの任意のタイミングとすることができる。
【0048】
ステップ402では、ステップ401の報告を受けて、装置状態を標準検体搬入終了状態303に遷移させる。標準検体搬入終了状態303では搬入された標準検体の分析が可能か否かを判断するため、新たな検体ラックの搬入は受け付けない。よって、ステップ403にて、投入部1から新たなラックが搬入されるのを抑止する。
【0049】
ステップ404は、標準検体搬入開始状態302から標準検体搬入終了状態303、又は、待機(再投入中)状態306から標準検体搬入終了状態303へと遷移する間に、ラック投入部1から搬入され、ラック待機部4で待機している全ての標準検体に対して、依頼された分析項目を分析するための条件を満たしているかをチェックする。チェックは、ラック待機部4で待機している標準検体の検体IDと、全体管理用コンピュータ9の記憶装置が保持するキャリブレーション情報を照合することで行う。照合する内容は、当該標準検体に依頼が登録されているか、依頼に対して必要な標準検体が全て搬入されているか、搬入された標準検体のラック上の設置順が登録された濃度の順番に従っているか、ラックの投入順が登録された濃度の順番であるか、など、キャリブレーションを正しく測定するために必要な事項をチェックする。これによって、ラック,検体などの単体ではなく、キャリブレーションのまとまり毎に依頼情報をチェックすることができる。
【0050】
チェックした結果、待機している全ての標準検体に対して依頼された項目の分析が可能であると判断した場合は、ステップ405以降の処理を行う。一方で、依頼された分析が実行不可能な標準検体が一つ以上ある場合は、ステップ406以降の処理を行う。
【0051】
ステップ405では、標準検体のチェックに関する設定画面(図2)で設定した標準検体チェック時の通知条件201に従い処理を振り分ける。標準検体チェック時の通知条件201で、「常に通知」が選択されていた場合は、ステップ406以降の処理を行う。標準検体チェック時の通知条件201で、「エラー発生時のみ通知」が選択されていた場合は、ステップ408以降の処理を行う。
【0052】
ステップ406は、上記ステップ404のチェック結果を表示部11に表示してオペレータに通知する。
【0053】
ステップ407は、待機(指示待ち)状態304に遷移する処理である。待機(指示待ち)状態に遷移すると、例えば図5にあるような標準検体チェック結果表示画面が表示される。この場合、標準検体についての分析が可能であるため、オペレータは本画面を通じて分析の開始を指示することができる。
【0054】
ステップ408は、ステップ403におけるラック搬入の中止処理を解除し、検体ラック投入部1に投入された新たなラックをラック待機部4へ再び搬入するための処理である。
【0055】
ステップ409は、測定状態301に遷移する処理である。測定状態301へ遷移することによって、ラック待機部4で待機中であって、分析可能であると判断された標準検体が、各分析ユニットへ搬送され、測定が開始される。
【0056】
図5は、本発明の一実施形態である、標準検体のチェック結果を表示し次の指示を行うための、標準検体チェック結果表示画面である。
【0057】
本画面は、1ラックに5検体が載置可能な場合の一例を示しているが、ラック上に載置可能な検体数が5検体以外の場合、例えば1本搬送である場合や、バッチ搬送される場合であっても適用可能であることはいうまでもない。
【0058】
本画面は、待機(指示待ち)状態304における表示装置11に表示され、ラック待機部4で待機中の一般検体/緊急検体/再検検体/標準検体/精度管理試料用の検体ラックに関する情報を表示し、次の状態への遷移要求を指示することができる。
【0059】
本画面は、ラック待機部4で待機中の各検体ラックの情報を確認し、待機中のラックに対して、回収や全回収といった指示を行うための待機中ラック情報表示エリア510と、待機中ラック情報表示エリア510で選択したラックに載置された検体の詳細情報(例えば、ラック上のポジションや検体情報など)を確認するためのラック詳細情報表示エリア520と、ラック詳細情報表示エリア520で選択した検体に依頼された分析項目を確認するための依頼項目情報表示エリア530と、その他の情報を表示する。
【0060】
待機中ラック情報表示エリア510は、検体ラック待機部4に待機中のラックの情報を表示する。待機中ラック情報一覧511は、待機中のラック情報をラック単位に一覧で表示する。一覧には少なくとも、ラックを特定する情報、ラック毎に分析が可能であるかの情報を表示する。ラックを特定するための情報としては、ラック種別,ラック番号などが考えられる。また、分析不可と判断されたラックに対して要因,対処方法を表示しても良い。これらの情報は、装置側で判断して表示してもよいし、オペレータが入力できるようにしても良い。分析不可と判断された要因や対処方法を表示することで、オペレータは当該ラックに対してどのような処置を実施すれば良いのかを知ることができる。また、待機中ラック情報一覧511の分析が可能なラックと不可能なラックの区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0061】
待機中のラックの回収を指示する手段として、部分回収指示用ボタン512及び、全回収指示用ボタン513を備える。部分回収指示用ボタン512は、待機中ラック情報一覧511の回収欄にチェックされたラックを回収対象とし、選択されたラックを装置外へ排出する。特定のラックのみが測定「不可」と表示されている場合には、オペレータは該当するラックを選択した上で部分回収指示用ボタン512を入力してラックを回収し、測定不可となっていた要因を解消してラック投入部1から再投入すれば、測定状態へ遷移することができる。全回収指示用ボタン513は、待機中ラック情報一覧511に表示されている全てのラックを回収対象とする。回収ラックが多い場合に有効である。いずれの回収ボタンを押下した場合であっても、本画面は終了し、待機(回収指示実行中)状態305へ遷移する。
【0062】
ラック詳細情報表示エリア520は、待機中ラック情報一覧511で選択したラックの詳細情報として、当該ラックに載置された検体の情報を表示する。ラック情報表示エリア521に、当該ラックを特定する情報を表示する。特定する情報としては、ラックの種別及び、ラック番号などが考えられる。ラック情報表示522には当該ラックに載置された検体に関する情報を表示する。検体に関する情報としては、少なくとも、検体を特定する検体情報と、ラック上の各ポジションにおける検体の載置有無,各検体の分析可否などを表示することが望ましい。検体情報としては、ラック上のポジションや検体ID,検体の名称や、血清,尿といった検体の種別を表示しても良い。また、分析が可能な検体と不可能な検体の区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0063】
ここでは、ラック番号00002を選択した場合を表示している。ラック番号00002は順序異常により測定不可と判断されている。このラックを待機中ラック情報一覧511上で選択すると、ラック情報表示522にラックに搭載された検体の内訳が詳細に表示される。これらの情報から、ラック番号00002は、ラック上のポジション4とポジション5に搭載されている検体の順序が逆転している(順序異常)ために、測定不可と判断されていることが分かる。よってオペレータはラック番号00002をラック待機部4から回収し、ラックポジション4と5に搭載された検体の位置を入れ替えて、ラック投入部1から再投入すれば、当該ラックに対する分析不可状態は解消される。
【0064】
依頼項目情報表示エリア530には、ラック情報表示522の一覧で選択した検体に依頼された分析項目の情報を表示する。検体情報表示エリア531には検体を特定する情報を表示する。特定するための情報としては、ラック上のポジションを表示してもよいし、載置された検体のIDや、標準検体の名称,血清,尿といった検体の種別を表示しても良い。依頼項目情報表示532には、当該検体に依頼されている分析項目の一覧を表示する。分析項目を特定するための情報として、依頼項目の名称や、その依頼項目の分析可否などが考えられる。また、各依頼項目に対して使用する試薬が特定されている場合は、その試薬種別や試薬容器に貼付されたロットナンバーなどの、試薬に関する情報を表示しても良い。分析が可能な項目と不可能な項目の区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0065】
また、依頼項目情報表示532で選択した項目が使用する標準検体について、標準検体情報や状況を確認するために、標準液情報表示用ボタン533を備えていることも考えられる。標準液情報表示用ボタン533は、当該検体が標準検体の場合に有効とし、当該検体が標準検体以外の場合は無効となるように制御する。標準液情報表示用ボタン533を押下すると、後述する図6で示す標準検体情報および状況確認画面を表示する。
【0066】
ここでは、ラック情報表示522で、ラック番号00002上のポジション1における検体(検体情報S001)を選択した場合を表示する。検体S001は分析項目としてT
estA〜Eが依頼されている。TestB〜Dについては何らかの理由で分析実行不可能であることが分かる。一方で、TestAおよびEについては分析実行可能であるため、TestAおよびEについてキャリブレーションの測定を急ぐ場合には、TestB,C,Dに対する分析依頼を取り消せば、測定状態に移行可能であることが分かる。
【0067】
再投入ボタン540は、ラックの再投入(追加投入)を指示するためのボタンである。本ボタンを押下すると、標準検体チェック結果表示画面を終了して、再投入実施待ち画面を表示し、待機(再投入中)状態306に遷移する。本ボタンを備えることにより、例えば、検体が不足しているラック番号00004の場合には、不足している検体を別ラックに搭載して追加投入すれば、検体不足による分析「不可」の評価を解消することができる。
【0068】
分析再開ボタン550は、検体ラック待機部4に待機中のラックに対して分析の再開を指示するためのボタンである。本ボタンを押下すると、標準検体チェック結果表示画面を終了し、測定状態301に遷移する。これにより、待機中のラックに対して搬送スケジュールが構築され、構築された搬送スケジュールに従って待機中のラックが順次分析されることとなる。
【0069】
閉じるボタン560は、標準検体チェック結果表示画面を終了し、従来備える自動分析装置の画面に戻ることを可能とする。また、逆に、従来の画面が、本画面を表示するための手段を備えていることが望ましい。ただし、待機(指示待ち)状態304の場合のみ、従来の画面から本画面を表示することを可能とする。
【0070】
一覧511,522,521に表示された内容は、一覧の見出しに従い並べ替えを可能とする。これによって、多数の検体ラックが一覧に表示されている場合であっても、探したい検体ラックまたは検体を即座に見つけることができる。
【0071】
図6は、本発明の一実施形態である、標準検体の情報及び状況を確認するための画面である。本画面は、上述した図5の画面中の標準液情報表示用ボタン533を選択した場合に表示される。依頼項目情報表示532で選択された分析項目が分析で使用する全ての標準検体の情報及び、状況を表示する。
【0072】
項目情報表示エリア601は、選択された分析項目の情報として、少なくとも分析項目の名称を表示する。また、分析項目に付随する情報として使用する試薬の種別や試薬のロットナンバー等の試薬情報を表示しても良い。
【0073】
標準検体情報及び状況一覧602は、選択された分析項目が使用する標準検体の情報を表示する。本実施例では、6つの標準検体を表示しているが、必要な標準検体の本数に合わせて可変行にすることが望ましい。標準検体情報及び状況一覧602は、少なくとも当該項目が分析で使用する標準検体を特定する情報(標準検体情報)や、装置内への搬入状況(ラック投入状況)を表示する。さらに標準検体を特定する情報として、ラック上のポジション,ラックに搭載されている標準検体の濃度,標準検体の名称を表示しても良い。また、検体が載置されたラックの情報を表示しても良い。また、標準検体情報及び状況一覧602には、分析が可能な標準検体と不可能な標準検体の区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0074】
ここでは、依頼項目情報表示エリア530の依頼項目情報表示532で分析項目TestAを選択した場合を表示している。TestAのキャリブレーションを測定する際には、標準検体として、XXXX1〜XXXX5の5つが必要である。本画面を参照すれば、必要な5つの標準検体のうち、どの標準検体を追加投入し、どの標準検体を回収して再投入すれば良いかを一目で知ることができる。標準検体情報及び状況一覧602には、標準検体XXXX3が未投入であることが表示されているため、オペレータは標準検体XXXX3の追加投入を行う必要があることが分かる。また、標準検体XXXX4およびXXXX5が投入順異常であることが表示されているため、オペレータはこれらの標準検体を一旦回収して順序を正した上で再投入する必要があることを知ることができる。これらの処理を完了させれば、Test Aについてのキャリブレーションを実行することができる。
【0075】
図7は、本発明の一実施形態である再投入の実施待ち画面である。本画面は、図5で示した画面で、再投入ボタン540が押下されると表示される。
【0076】
本画面は、待機(再投入中)状態306から標準検体搬入終了状態303遷移するまでの間表示され、オペレータに対してラックの再投入を促すとともに、現在は測定の実施が不可能であることを通知する。
【0077】
中止ボタン701は、任意のタイミングで標準検体搬入終了状態303に遷移することを可能とする。
【0078】
図8は、本発明の一実施形態であるラックに搬入順を割り当てるための処理フローを示す図である。本処理フローは、新規に搬入されたラックに対して、一意な搬入順を付与するためのものである。本処理フローで付与する搬入順に基づいて、ラックに対して搬送スケジューリングが決定される。このため、測定状態301の下で搬入された検体ラックが分析スケジューリングされる場合のみならず、標準検体搬入開始状態302以降に投入され、検体ラック待機部4で待機しているラックについても、測定状態301へと移行することによって分析スケジューリングの構築が再開されれば、本処理フローで設定された搬入順に従って搬送スケジュールが構築されて分析が開始される。
【0079】
本処理フローにおいては、各分析ユニットにおいて、標準検体の分析より後に、標準検体以外の検体の分析がされるように制御される。よって、ラック待機部4内に、標準検体用ラックと、それ以外のラックが混在して待機している場合には、標準検体ラックを優先して搬入し、標準検体ラック以外のラック(一般検体/緊急検体/再検検体/精度管理試料用ラック)の搬入順は、必ず標準検体ラックの搬入順より後になるように制御される。
【0080】
本処理フローにおいて“待機ラック数”とは、検体ラック待機部4で待機中のラックであって、搬送スケジューリングが未完了のラック数を意味する。ラック待機部4に待機しているラックがない場合には、待機ラック数は0となる。また、ラック待機部4に複数のラックが待機している場合であっても、待機中のラック全てに対して搬送スケジュールの構築が完了している場合には、同じく待機ラック数は0となる。
【0081】
また、“搬入順”とは、搬入されたラックに割り当てられた当該装置へのラック搬入順序を意味する。
【0082】
また、“割込み順”とは、ラック投入部1から新たに投入されたラックを、現在ラック待機部4で待機中のラックに先んじて搬送させたい場合に、搬入順を割り込ませるために一時的に格納された値を意味する。
【0083】
まず、ラック投入部1に新たなラックが投入されたことを検知すると、ステップ801で、ラックが搬入されたことが管理用コンピュータ9に報告される。
【0084】
その後、ステップ802において、現時点における装置状態をチェックする。装置状態とは、図3で示した各状態を意味し、測定状態301の場合は、ステップ803以降の処理を行う。標準検体搬入開始状態302の場合は、ステップ805以降の処理を行う。その他の状態(標準検体搬入終了状態や待機状態)であれば、807以降の処理を行う。
【0085】
最初に、装置状態が測定状態301にある場合の処理を説明する。測定状態301ではラック投入部1に投入されたラックに対して搬送スケジュールを決定し、その搬送スケジュールに従って各分析ユニットへの搬送を実行することができるため、基本的に搬入されたラックは搬入された順序に従って搬送されることとなる。
【0086】
新たな検体ラックの投入が報告されると(ステップ801)、ステップ803において待機ラック数を1に設定する。仮に、ラック待機部4中にラックが存在していたとしても、装置が測定状態301にあるため、これらのラックに対する搬送スケジュールが完了しているためである。ステップ804にて、搬入された当該ラックの搬入順を1と登録し、処理を終了する。これによって、搬入されたラックは搬入された順に搬送スケジューリングされることとなる。
【0087】
次に、装置状態が標準検体搬入開始状態302にある場合の処理を説明する。
【0088】
この状態の下で、ラック投入部1から新たな標準検体用ラックの投入が報告されると(ステップ801)、ステップ805において、検体ラック待機部4で待機している待機ラック数をインクリメントし、待機ラック数を1つ増やす。
【0089】
搬入された当該ラックの搬入順に、ステップ805で算出した待機ラック数を登録して処理を終了する(ステップ806)。これによって、新たに投入された標準検体用ラックは、検体ラック待機部4に待機しており、搬送スケジューリングが完了していない標準検体ラックに対する搬送スケジュールの構築が終了した後にスケジューリングされることとなる。
【0090】
また、本状態の下で、ラック投入部1から標準検体以外の試料を搭載したラックの投入が報告されると、装置状態は標準検体搬入終了状態303へ遷移し、ラック投入部1からラック待機部4へのラック搬入が中止されるため(図4のステップ403)、標準検体以外の検体の搬送順が、標準検体より前に設定されることはない。
【0091】
装置状態が測定状態301や標準検体搬入開始状態302以外の状態であって、ラック投入部1に投入されたラックがラック待機部4まで搬入される場合としては、待機(再投入中)状態306が考えられる。
【0092】
この状態においては、投入されたラックが標準検体用ラックであって、当該標準検体と関連する標準検体が検体ラック待機部4で待機している場合には、その標準検体の後に搬送されるよう制御される。また、投入されたラックが一般検体用ラックや精度管理用ラックなど、標準検体以外の検体を設置したラックである場合には、当該ラックに先んじて投入された標準検体用ラックの搬送が終了した後に搬送されるよう、制御される。
【0093】
新たな検体ラックの投入が報告されると(ステップ801)、ステップ807において、ラック待機部で待機している待機ラック数をインクリメントし、待機ラック数を1つ増やす。
【0094】
次に、搬入されたラックの種類をチェックする(ステップ808)。ラックの種類が標準検体以外の場合(例えば、一般検体ラックや精度管理ラック等)は、ステップ806以降の処理を行う。これによって、新たに投入された検体ラックの搬送順には待機ラック数が割り当てられる。新たに投入された検体ラックは、当該ラックに先んじて投入され、検体ラック待機部4で搬送スケジューリング待ちしている他のラックに対して、搬送スケジューリングが完了した後に、搬送スケジュールが構築されることとなる。
【0095】
ラックの種類が標準検体ラックの場合は、ステップ809以降の処理を行う。
【0096】
この場合、ステップ809にて、既に搬入され検体ラック待機部4で待機している他の標準検体ラックをチェックし、待機ラックに載置された標準検体と、搬入されたラックに載置された標準検体の関連性をチェックする。関連性とは、例えば待機中のラックに載置された標準検体が、搬入されたラックに載置された標準検体と同じ項目を測定するために用いられるものであるか否かなどである。
【0097】
関連性があるラックが待機ラック中にある場合は、当該待機中のラックは搬入されたラックの関連ラックであると判断される。装置は割込み順に、上記ステップ809で関連ラックと判断された待機ラックに登録されている搬入順の値を設定する(ステップ810)。関連ラックが複数存在する場合には、その中で一番大きい搬入順を設定する。
【0098】
一方、関連する標準検体が待機中のラックに存在しない場合は、搬入されたラックに対する関連ラックは無い、と判断される。装置は、待機中の複数の標準検体用ラックが保持する搬入順の中から一番大きい搬入順の値を検索し、それを割込み順に設定する(ステップ811)。
【0099】
ステップ812では、待機中のラックが保持する搬入順をインクリメントする。インクリメントの対象は、上記ステップ810又はステップ811で決定した割込み順よりも大きい値の搬入順を保持するラック全てである。これによって、搬入順が割り込まれた検体ラックの搬入順序は繰り上がることとなる。
【0100】
ステップ813では、搬入された当該ラックの搬入順に、上記ステップ810又はステップ811により設定した割込み順を登録することによって、投入されたラックの搬送順序が決定する。
【符号の説明】
【0101】
1 検体ラック投入部
2 ID読取部
3 搬送ライン
4 検体ラック待機部
5,6,7 分析モジュール
8 検体ラック回収部
9 全体管理用コンピュータ
10 操作部
11 表示部
201 設定条件の一例
202 登録ボタン
301〜306 装置状態の一例
510 待機中ラック情報表示エリア
511 待機中ラック情報一覧
512 部分回収指示用ボタン
513 全回収指示用ボタン
520 ラック詳細情報表示エリア
521 ラック情報表示エリア
522 ラック情報表示
530 依頼項目情報表示エリア
531 検体情報表示エリア
532 依頼項目情報表示
533 標準液情報表示用ボタン
540 再投入ボタン
550 分析再開ボタン
560 閉じるボタン
601 項目情報表示エリア
602 標準検体情報及び状況一覧
701 中止ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿等の生体試料の定量,定性分析を行う自動分析装置に係り、特に試料容器を分析装置に搬送する搬送装置を備えた自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿の如き生体試料の定量,定性分析を自動で行う自動分析装置は、多くの患者検体を短時間で処理する必要のある大病院,臨床検査センターを中心に普及が著しく、処理能力により、大型,中型,小型の各種の自動分析装置が開発されている。特に多数の検体を分析処理する大型の装置の場合には、検体の入った検体容器を複数、検体ラックと呼称されるホルダーに保持した状態で、搬送ライン(搬送装置)を介して複数の分析装置に搬送するものもある。このような装置では、検査技師は検体ラック投入口に検体ラックを投入するだけで、分析結果の出力まで自動で実行する。
【0003】
その場合、検体ラックはベルトコンベア状の搬送ラインで検体ラック投入口に投入されたラックを搬送される途中で、搬送ライン上のバーコード読取装置により、ラック種別、および検体を認識し、分析される。このような自動分析システムとして例えば特許文献1記載のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−325839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動分析装置は測定精度を維持するため、濃度の違う複数個の標準試料(キャリブレータ)を用いて装置の較正(キャリブレーション)を行う必要がある。例えば試料と試薬を反応させ、試料中の目的成分の濃度による試薬の色の変化を吸光度変化として測定する原理(比色分析法)を用いた生化学自動分析装置では、複数の標準試料で測定した吸光度と濃度の関係を示す較正曲線を作成して未知の試料の濃度を演算する。更に、標準試料を定期的に測定することにより、較正曲線の補正を行うと共に、精度管理試料(コントロール)を用いて、定期的な精度保証用の測定を併せて行うことで、分析結果の精度管理を行う。
【0006】
通常、これらの標準試料,精度管理試料は検体ラック投入口に投入された順番に従い分析が実施される。標準試料及び精度管理試料の測定が完了するまで、患者試料の測定は中断される。
【0007】
オペレータはしばしば、この中断される時間を短縮するために、標準試料の測定結果が正常に得られることを仮定し、標準試料と、対応する精度管理試料を連続して分析装置に投入する運用を行っている。
【0008】
これにより、標準試料と精度管理試料の分析時間の重なりが発生し、分析時間の重なり分だけ、患者検体の測定中断時間は短縮されることとなる。この場合、精度管理試料の測定結果は、先に投入された標準試料のキャリブレーション結果が適用される。
【0009】
特に、搬送ラインを用いてラックを分析装置に搬送する方式の大型の自動分析装置では、複数の検体ラックを設置して分析を行うことが可能である。上述の、患者検体の測定中断時間を短縮した場合の運用を、大型の自動分析装置で行う場合、標準試料や精度管理試料を収容する検体容器を搭載した検体ラックは、オペレータが自ら設置し分析を指示することとなる。
【0010】
しかし、分析を予定しているキャリブレーションに対して、オペレータが標準試料の設置ミスや、設置した検体の認識ミスに起因した設置する標準試料の本数誤り、検体ラックへの標準試料の載置順番の誤り、依頼していない検体の投入等の要因で、標準試料が正しく測定できず、校正曲線が作成できない場合がある。特に、搬送ラインを用いて検体ラックを分析装置に搬送する大型の自動分析装置は分析可能な測定項目が多く、それに伴い、各項目に対してキャリブレーションを実施する上で必要な標準検体の本数も多くなる。これらの標準検体が複数の検体ラックに跨って設置されると、上記のようなミスが発生しやすいと言える。
【0011】
これらの要因で標準試料が測定できず、結果として校正曲線が作成されない場合であっても、標準試料に連続して投入された一般検体や精度管理試料の測定は実施されるため、不要な測定による時間的な損失及び、意図しない試料及び試薬の損失が発生してしまう恐れがある。
【0012】
本発明の目的は、投入された標準試料の分析可否を診断し、その診断結果に基づいて、当該標準検体以降に連続投入された一般検体や精度管理試料の分析スケジュールを調整する自動分析装置を提供することである。これによって、標準試料の設置ミスなどをキャリブレーションの測定開始に先立って検知することができ、設置ミスが検知された場合には、その後の測定をストップさせるため、無用な測定による時間的損失及び意図しない試料及び試薬の使用を抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0014】
サンプルの分析を行う複数の分析ユニットと、生体サンプル,試料等が収容された試料容器を搭載したラックの投入部を備えた自動分析装置において、ラック投入部に標準検体を搭載したラックが投入された場合に、当該検体を用いたキャリブレーションの実行可否を判断する判断部と、前記判断部の判断に基づいて、当該標準検体ラックが投入された以降の搬送スケジュールを制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0015】
判断部では、当該標準検体に対応する依頼が登録されているか、また依頼された分析を行うために必要十分な数のキャリブレータが装置内にあるかを判断しても良いし、当該標準検体の投入順序が、依頼された分析を行うことが可能な順序で投入されたかを判断しても良い。
【0016】
上記において、好ましくは、前記判断部における判断結果を通知するか否かに関する条件を事前に指定可能であることを特徴とする。条件は、前記チェック結果を常に通知するとしても良いし、前記チェック結果で異常が発生した場合のみ通知するとしても良い。
【0017】
また、上記において好ましくは、前記判断部において、投入された標準検体による分析ができないと判断した場合は、当該標準検体及び当該標準検体以降に投入された検体の分析を中止することを特徴とする。中止された標準検体については、オペレータに対処方法の指示を求めても良いし、自動的に装置外に搬出しても良い。
【0018】
また、上記において好ましくは、前記判断部における判断結果をオペレータに通知し、この通知に対する応答を受信するまでは、当該標準検体及び以降に投入された検体を前記バッファに待機させ続けることを特徴とする。
【0019】
また、上記において好ましくは、前記判断部における判断対象となった標準検体の情報を表示部に表示することを特徴とする。表示対象としては、前記判断対象となった標準検体以降にラック待機部に搬入され待機中である全ての検体の情報を表示しても良い。
【0020】
また、上記において好ましくは、前記表示部から少なくとも、待機中の検体に対しての回収指示、又は、分析の再開指示が可能であることを特徴とする。
【0021】
また、上記において好ましくは、前記表示部からの指示により追加投入された標準検体の分析順序を、追加投入の要因となった前記バッファに待機中の標準検体と連続して測定するように搬送スケジューリングを構築することを特徴とする。
【0022】
また、上記において好ましくは、前記表示部からの指示により搬出及び再投入された標準検体の分析順序を、バッファに待機中の標準検体以外の検体より先に分析するように分析スケジューリングを構築することを特徴とする。
【0023】
また、上記において好ましくは、待機中の検体及び未投入の検体に対して依頼の追加,変更,削除が可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば上記構成により、標準試料の設置ミスや投入不足があった場合に、キャリブレーションの実行可否を事前に判断してオペレータにその旨通知することで、当該標準検体以降に投入された、一般検体や精度管理試料の測定を中止して、無用な測定による時間的損失,試料や試薬のロスを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図。
【図2】本発明の一実施形態である投入された標準検体のチェックに関する設定を登録するための画面。
【図3】本発明の一実施形態である自動分析装置の状態遷移を示す図。
【図4】本発明の一実施形態である標準検体搬入終了時の処理フローを示す図。
【図5】本発明の一実施形態である標準検体のチェック結果を表示し、次の指示を行うための画面。
【図6】本発明の一実施形態である標準検体情報及び状況を確認するための画面。
【図7】本発明の一実施形態である再投入の実施待ち画面。
【図8】本発明の一実施形態であるラックに内部的な搬入順を割り当てるための処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、実施例を示す図1〜図8を引用して説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態である自動分析装置の全体概略構成図である。
【0028】
本実施形態による自動分析システムは、検体ラック投入部1と、ID読取部2と、搬送ライン3と、検体ラック待機部4と、分析モジュール5,6,7と、検体ラック回収部8と、全体管理用コンピュータ9を備えている。
【0029】
検体ラック投入部1は、それぞれ複数個の検体(試料)を保持する複数個の検体ラックを投入する部分である。本実施例では、検体ラック投入部1には、少なくとも検体ラックの投入を検知する機能が備わっている。また、望ましくは、投入された検体ラックに搭載されている検体の種別を識別する機能があっても良い。例えば、検体ラックがバーコードやRFIDなどの情報記憶媒体を有する場合には、これらの情報記憶媒体を読み取る読取手段を備えることで、検体ラックが投入された時刻や、検体ラックの種別、ひいては検体ラックに搭載された検体種別などの情報を識別することができる。図1では検体ラック投入部1の近傍に備わるID読取部2が同様の機能を果たす。
【0030】
分析モジュール5,6,7は、搬送ライン3に沿って配置されているとともに、搬送ライン3に取り外し可能な接続になっている。これらの分析モジュールの数は任意に設定でき、本実施形態では、モジュール数3個の場合を示している。
【0031】
搬送ライン3は、検体ラック投入部1に投入された検体ラックを、分析依頼に従って分析モジュール5,6,7へ搬送する。また、分析モジュール5,6,7での分析が終了した検体を保持する検体ラックを、検体ラック待機部4へ搬送する。また、分析依頼がなかった検体ラックを、検体ラック回収部8に搬送する。
【0032】
標準検体,精度管理試料や一般検体を搭載したラックが搬送される搬送ライン3上に設置される検体ラック待機部4は、1つ以上の検体ラックを保持できるライン機構であり、搬送ライン3により搬送される任意の試料を搭載したラックを任意の時間保持し、任意のタイミングにて再び分析モジュール若しくは検体ラック回収部8に対して供給することができる。つまり、検体ラック待機部4は、複数の検体を収納可能で、且つ、ランダムアクセスできるものであれば良い。構造としては、例えば、複数のラックを収納可能なディスクタイプのバッファであっても良いし、ラックを載せる複数のラインを備え、それらのライン上に複数のラックを収容し、任意のラックを搬出するタイプのバッファであっても良い。
【0033】
検体ラック投入部1,ID読取部2,搬送ライン3,検体ラック待機部4および検体ラック回収部8内の必要な制御を行う全体管理用コンピュータ9を備えている。全体管理用コンピュータ9は、更に記憶装置を備えている。記憶装置は、検体に関する属性情報(検体ID,受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)や、検量線情報,精度管理情報,キャリブレーション情報などを記憶している。また、必要な情報を入力する操作部10および分析結果を表示する表示部11が接続されている。
【0034】
検体ラックによって保持された検体に関する属性情報(受付番号,患者氏名,依頼分析項目等)を示す検体IDは、バーコードやRFID等の情報記憶媒体に記憶される。更に、検体ラックに関するラック番号等のラック識別情報を示すラックIDも、情報記憶媒体に記憶される。これらの情報記憶媒体は、検体容器や検体ラックなどに付されており、搬送ライン3上のID読取部2で読み取られ、全体管理用コンピュータ9に送られる。全体管理用コンピュータ9は、検体IDや検体ラックIDに基づいて、記憶装置内に記憶された検体に関する属性情報を特定する。更に全体管理用コンピュータ9は、その属性情報に基づいて、それぞれの検体がどの分析モジュールで分析されるかを決定する。また、全体管理用コンピュータは後述するフローにしたがって、検体ラックをどの順序で搬送するかを決定する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態である、投入された標準検体のチェックに関する設定を登録するための画面である。
【0036】
本画面では、少なくとも投入された標準検体のチェック結果を通知する条件を、標準検体チェック時の通知条件画面201により選択することを可能とする。
【0037】
図2の実施例では、標準検体のチェック結果の通知を、エラー時にのみ行うか、常に通知するかをオペレータが選択することができる。エラー時にのみ行うことを選択した場合には、以降に述べるチェックフローを経て、標準検体のチェックにエラーが発生した場合に、表示画面を通じてオペレータにエラーの発生及びエラー内容を通知することができる。また、常に通知することを選択した場合には、標準検体のチェックが正常である場合にも、その旨がオペレータに通知されるため、オペレータは安心して精度管理試料の投入を行うことができる。登録ボタン202を押下すると、上記で選択した内容が登録される。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態である自動分析装置の状態遷移を示す図である。
【0039】
測定状態301は、搬入されたラックの搬送スケジュールを決定し、決定された搬送スケジュールを実行することが可能な状態を示す。搬送スケジュールは投入されたラックの順番に構築される。
【0040】
また、標準検体搬入終了状態303から測定状態301に遷移することで、標準検体搬入開始状態302以降に搬入され、検体ラック待機部4で待機中のラックが、搬送スケジュールの構築対象となる。この場合、後述する図8に示す処理フローで決定されるラックの搬入順に従って、検体ラック待機部4内の検体ラックの搬送スケジュールが決定され、実行される。また、他の状態から測定状態301へ遷移した場合には、標準検体搬入終了状態303以降に、それまで中止していた検体ラック投入部1からのラックの搬入を再開する。
【0041】
標準検体搬入開始状態302への遷移は、測定状態301において検体ラック投入部1に標準検体用のラックが投入されることで行われる。この状態は、標準検体用のラックの搬入が終了するまで継続し、その間に搬入されたラックは、搬送スケジュールをすぐには決定せずに、検体ラック待機部4で待機する。
【0042】
標準検体搬入終了状態303は、標準検体用ラックの搬入が終了した状態を示す。本状態への遷移条件は、検体ラック投入部1から標準検体以外のラックが搬入されたことを検出した時点にしても良いし、搬入予定のラックが全て搬入されたことを装置が確認した時点にしても良いし、標準検体用ラックの搬入終了をオペレータ側で指示しても良い。本状態になったことを契機として標準検体搬入開始状態302から標準検体搬入終了状態303の間に搬入された標準検体と、当該標準検体への依頼を照合して分析可能であるかの評価を行う。また、この状態から測定状態301、又は待機(再投入中)状態306に遷移するまでの間は、新たな一般検体/緊急検体/再検検体/標準検体/精度管理試料用の検
体ラックをラック投入部1からラック待機部4に搬入することはできない。この状態に遷移した場合の処理、及び次の状態への遷移条件について後述する図4の処理フローに示す。
【0043】
待機(指示待ち)状態304は、搬入された標準検体に対して、分析可能であるか否かの評価が完了し、次の状態に遷移するためのオペレータの指示を待っている状態を示す。また、この状態のときは、標準検体のチェック結果を確認する画面として、後述する図5で示す画面が表示部11に表示され、次の状態に遷移するための指示は、この画面を通じて行われる。また、本状態では、検体ラック待機部4に待機中の一般検体/緊急検体/再検検体/標準検体/精度管理試料及び、ラック投入部1に投入されたものの未だラック待機部4に搬入されていない検体に対して、従来備える自動分析装置の画面から依頼を再登録することができる。その場合、図5に示す画面の情報は再依頼した内容によって更新される。
【0044】
待機(回収指示実行中)状態305は、オペレータの指示により、検体ラック待機部4に待機中のラックを装置外へ回収している状態を示す。ラックが回収されることにより、待機中のラックが存在しなくなった場合は測定状態301に遷移する。回収後も待機中のラックが存在する場合は、標準検体搬入終了状態303に遷移する。
【0045】
待機(再投入中)状態306は、オペレータから再投入指示を受け、検体ラック投入部1に投入された標準検体用ラックが、ラック待機部4への搬入待ちである状態を示す。次の状態に遷移するまでの間、表示部11に後述する図7に示す再投入待ち画面を表示する。また、本状態の間は、中止していた検体ラック投入部1からラック待機部4へのラックの搬入を再開する。標準検体搬入終了状態303への遷移は、標準検体用ラックの搬入が終了したことを契機として行う。また、標準検体搬入終了状態303に遷移した場合には、再投入待ち画面の表示を終了する。また、本状態から標準検体搬入終了状態303の間にラック投入部1に投入され、ラック待機部4に搬送された標準検体用ラックを、各分析ユニットに搬入する搬入順は、後述する図8の処理フローに従って最適化する。この最適化は標準検体搬入終了状態303に遷移する前に行われる。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態である、標準検体搬入終了時の処理フローを示す図である。
【0047】
予定されていた標準検体用ラックの搬入が全て終了すると、全体管理用コンピュータ9に標準検体搬入の終了が報告される(ステップ401)。標準検体用ラック搬入終了の判断は、標準検体搬入開始状態302又は待機(再投入中)状態306において、検体ラック投入部1へ新たなラックの搬入が一定時間以上ないことを基準にしても良いし、標準検体用ラック以外のラックが搬入されたことを基準にしても良い。また、図7で示す再投入待ち画面で、オペレータが中止ボタン701を押下した場合にも同様の報告が実施されるものとする。この場合には、標準検体ラックの搬入終了を全体管理用コンピュータ9に報告するタイミングをオペレータの任意のタイミングとすることができる。
【0048】
ステップ402では、ステップ401の報告を受けて、装置状態を標準検体搬入終了状態303に遷移させる。標準検体搬入終了状態303では搬入された標準検体の分析が可能か否かを判断するため、新たな検体ラックの搬入は受け付けない。よって、ステップ403にて、投入部1から新たなラックが搬入されるのを抑止する。
【0049】
ステップ404は、標準検体搬入開始状態302から標準検体搬入終了状態303、又は、待機(再投入中)状態306から標準検体搬入終了状態303へと遷移する間に、ラック投入部1から搬入され、ラック待機部4で待機している全ての標準検体に対して、依頼された分析項目を分析するための条件を満たしているかをチェックする。チェックは、ラック待機部4で待機している標準検体の検体IDと、全体管理用コンピュータ9の記憶装置が保持するキャリブレーション情報を照合することで行う。照合する内容は、当該標準検体に依頼が登録されているか、依頼に対して必要な標準検体が全て搬入されているか、搬入された標準検体のラック上の設置順が登録された濃度の順番に従っているか、ラックの投入順が登録された濃度の順番であるか、など、キャリブレーションを正しく測定するために必要な事項をチェックする。これによって、ラック,検体などの単体ではなく、キャリブレーションのまとまり毎に依頼情報をチェックすることができる。
【0050】
チェックした結果、待機している全ての標準検体に対して依頼された項目の分析が可能であると判断した場合は、ステップ405以降の処理を行う。一方で、依頼された分析が実行不可能な標準検体が一つ以上ある場合は、ステップ406以降の処理を行う。
【0051】
ステップ405では、標準検体のチェックに関する設定画面(図2)で設定した標準検体チェック時の通知条件201に従い処理を振り分ける。標準検体チェック時の通知条件201で、「常に通知」が選択されていた場合は、ステップ406以降の処理を行う。標準検体チェック時の通知条件201で、「エラー発生時のみ通知」が選択されていた場合は、ステップ408以降の処理を行う。
【0052】
ステップ406は、上記ステップ404のチェック結果を表示部11に表示してオペレータに通知する。
【0053】
ステップ407は、待機(指示待ち)状態304に遷移する処理である。待機(指示待ち)状態に遷移すると、例えば図5にあるような標準検体チェック結果表示画面が表示される。この場合、標準検体についての分析が可能であるため、オペレータは本画面を通じて分析の開始を指示することができる。
【0054】
ステップ408は、ステップ403におけるラック搬入の中止処理を解除し、検体ラック投入部1に投入された新たなラックをラック待機部4へ再び搬入するための処理である。
【0055】
ステップ409は、測定状態301に遷移する処理である。測定状態301へ遷移することによって、ラック待機部4で待機中であって、分析可能であると判断された標準検体が、各分析ユニットへ搬送され、測定が開始される。
【0056】
図5は、本発明の一実施形態である、標準検体のチェック結果を表示し次の指示を行うための、標準検体チェック結果表示画面である。
【0057】
本画面は、1ラックに5検体が載置可能な場合の一例を示しているが、ラック上に載置可能な検体数が5検体以外の場合、例えば1本搬送である場合や、バッチ搬送される場合であっても適用可能であることはいうまでもない。
【0058】
本画面は、待機(指示待ち)状態304における表示装置11に表示され、ラック待機部4で待機中の一般検体/緊急検体/再検検体/標準検体/精度管理試料用の検体ラックに関する情報を表示し、次の状態への遷移要求を指示することができる。
【0059】
本画面は、ラック待機部4で待機中の各検体ラックの情報を確認し、待機中のラックに対して、回収や全回収といった指示を行うための待機中ラック情報表示エリア510と、待機中ラック情報表示エリア510で選択したラックに載置された検体の詳細情報(例えば、ラック上のポジションや検体情報など)を確認するためのラック詳細情報表示エリア520と、ラック詳細情報表示エリア520で選択した検体に依頼された分析項目を確認するための依頼項目情報表示エリア530と、その他の情報を表示する。
【0060】
待機中ラック情報表示エリア510は、検体ラック待機部4に待機中のラックの情報を表示する。待機中ラック情報一覧511は、待機中のラック情報をラック単位に一覧で表示する。一覧には少なくとも、ラックを特定する情報、ラック毎に分析が可能であるかの情報を表示する。ラックを特定するための情報としては、ラック種別,ラック番号などが考えられる。また、分析不可と判断されたラックに対して要因,対処方法を表示しても良い。これらの情報は、装置側で判断して表示してもよいし、オペレータが入力できるようにしても良い。分析不可と判断された要因や対処方法を表示することで、オペレータは当該ラックに対してどのような処置を実施すれば良いのかを知ることができる。また、待機中ラック情報一覧511の分析が可能なラックと不可能なラックの区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0061】
待機中のラックの回収を指示する手段として、部分回収指示用ボタン512及び、全回収指示用ボタン513を備える。部分回収指示用ボタン512は、待機中ラック情報一覧511の回収欄にチェックされたラックを回収対象とし、選択されたラックを装置外へ排出する。特定のラックのみが測定「不可」と表示されている場合には、オペレータは該当するラックを選択した上で部分回収指示用ボタン512を入力してラックを回収し、測定不可となっていた要因を解消してラック投入部1から再投入すれば、測定状態へ遷移することができる。全回収指示用ボタン513は、待機中ラック情報一覧511に表示されている全てのラックを回収対象とする。回収ラックが多い場合に有効である。いずれの回収ボタンを押下した場合であっても、本画面は終了し、待機(回収指示実行中)状態305へ遷移する。
【0062】
ラック詳細情報表示エリア520は、待機中ラック情報一覧511で選択したラックの詳細情報として、当該ラックに載置された検体の情報を表示する。ラック情報表示エリア521に、当該ラックを特定する情報を表示する。特定する情報としては、ラックの種別及び、ラック番号などが考えられる。ラック情報表示522には当該ラックに載置された検体に関する情報を表示する。検体に関する情報としては、少なくとも、検体を特定する検体情報と、ラック上の各ポジションにおける検体の載置有無,各検体の分析可否などを表示することが望ましい。検体情報としては、ラック上のポジションや検体ID,検体の名称や、血清,尿といった検体の種別を表示しても良い。また、分析が可能な検体と不可能な検体の区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0063】
ここでは、ラック番号00002を選択した場合を表示している。ラック番号00002は順序異常により測定不可と判断されている。このラックを待機中ラック情報一覧511上で選択すると、ラック情報表示522にラックに搭載された検体の内訳が詳細に表示される。これらの情報から、ラック番号00002は、ラック上のポジション4とポジション5に搭載されている検体の順序が逆転している(順序異常)ために、測定不可と判断されていることが分かる。よってオペレータはラック番号00002をラック待機部4から回収し、ラックポジション4と5に搭載された検体の位置を入れ替えて、ラック投入部1から再投入すれば、当該ラックに対する分析不可状態は解消される。
【0064】
依頼項目情報表示エリア530には、ラック情報表示522の一覧で選択した検体に依頼された分析項目の情報を表示する。検体情報表示エリア531には検体を特定する情報を表示する。特定するための情報としては、ラック上のポジションを表示してもよいし、載置された検体のIDや、標準検体の名称,血清,尿といった検体の種別を表示しても良い。依頼項目情報表示532には、当該検体に依頼されている分析項目の一覧を表示する。分析項目を特定するための情報として、依頼項目の名称や、その依頼項目の分析可否などが考えられる。また、各依頼項目に対して使用する試薬が特定されている場合は、その試薬種別や試薬容器に貼付されたロットナンバーなどの、試薬に関する情報を表示しても良い。分析が可能な項目と不可能な項目の区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0065】
また、依頼項目情報表示532で選択した項目が使用する標準検体について、標準検体情報や状況を確認するために、標準液情報表示用ボタン533を備えていることも考えられる。標準液情報表示用ボタン533は、当該検体が標準検体の場合に有効とし、当該検体が標準検体以外の場合は無効となるように制御する。標準液情報表示用ボタン533を押下すると、後述する図6で示す標準検体情報および状況確認画面を表示する。
【0066】
ここでは、ラック情報表示522で、ラック番号00002上のポジション1における検体(検体情報S001)を選択した場合を表示する。検体S001は分析項目としてT
estA〜Eが依頼されている。TestB〜Dについては何らかの理由で分析実行不可能であることが分かる。一方で、TestAおよびEについては分析実行可能であるため、TestAおよびEについてキャリブレーションの測定を急ぐ場合には、TestB,C,Dに対する分析依頼を取り消せば、測定状態に移行可能であることが分かる。
【0067】
再投入ボタン540は、ラックの再投入(追加投入)を指示するためのボタンである。本ボタンを押下すると、標準検体チェック結果表示画面を終了して、再投入実施待ち画面を表示し、待機(再投入中)状態306に遷移する。本ボタンを備えることにより、例えば、検体が不足しているラック番号00004の場合には、不足している検体を別ラックに搭載して追加投入すれば、検体不足による分析「不可」の評価を解消することができる。
【0068】
分析再開ボタン550は、検体ラック待機部4に待機中のラックに対して分析の再開を指示するためのボタンである。本ボタンを押下すると、標準検体チェック結果表示画面を終了し、測定状態301に遷移する。これにより、待機中のラックに対して搬送スケジュールが構築され、構築された搬送スケジュールに従って待機中のラックが順次分析されることとなる。
【0069】
閉じるボタン560は、標準検体チェック結果表示画面を終了し、従来備える自動分析装置の画面に戻ることを可能とする。また、逆に、従来の画面が、本画面を表示するための手段を備えていることが望ましい。ただし、待機(指示待ち)状態304の場合のみ、従来の画面から本画面を表示することを可能とする。
【0070】
一覧511,522,521に表示された内容は、一覧の見出しに従い並べ替えを可能とする。これによって、多数の検体ラックが一覧に表示されている場合であっても、探したい検体ラックまたは検体を即座に見つけることができる。
【0071】
図6は、本発明の一実施形態である、標準検体の情報及び状況を確認するための画面である。本画面は、上述した図5の画面中の標準液情報表示用ボタン533を選択した場合に表示される。依頼項目情報表示532で選択された分析項目が分析で使用する全ての標準検体の情報及び、状況を表示する。
【0072】
項目情報表示エリア601は、選択された分析項目の情報として、少なくとも分析項目の名称を表示する。また、分析項目に付随する情報として使用する試薬の種別や試薬のロットナンバー等の試薬情報を表示しても良い。
【0073】
標準検体情報及び状況一覧602は、選択された分析項目が使用する標準検体の情報を表示する。本実施例では、6つの標準検体を表示しているが、必要な標準検体の本数に合わせて可変行にすることが望ましい。標準検体情報及び状況一覧602は、少なくとも当該項目が分析で使用する標準検体を特定する情報(標準検体情報)や、装置内への搬入状況(ラック投入状況)を表示する。さらに標準検体を特定する情報として、ラック上のポジション,ラックに搭載されている標準検体の濃度,標準検体の名称を表示しても良い。また、検体が載置されたラックの情報を表示しても良い。また、標準検体情報及び状況一覧602には、分析が可能な標準検体と不可能な標準検体の区別を背景色の色分けで示しても良い。
【0074】
ここでは、依頼項目情報表示エリア530の依頼項目情報表示532で分析項目TestAを選択した場合を表示している。TestAのキャリブレーションを測定する際には、標準検体として、XXXX1〜XXXX5の5つが必要である。本画面を参照すれば、必要な5つの標準検体のうち、どの標準検体を追加投入し、どの標準検体を回収して再投入すれば良いかを一目で知ることができる。標準検体情報及び状況一覧602には、標準検体XXXX3が未投入であることが表示されているため、オペレータは標準検体XXXX3の追加投入を行う必要があることが分かる。また、標準検体XXXX4およびXXXX5が投入順異常であることが表示されているため、オペレータはこれらの標準検体を一旦回収して順序を正した上で再投入する必要があることを知ることができる。これらの処理を完了させれば、Test Aについてのキャリブレーションを実行することができる。
【0075】
図7は、本発明の一実施形態である再投入の実施待ち画面である。本画面は、図5で示した画面で、再投入ボタン540が押下されると表示される。
【0076】
本画面は、待機(再投入中)状態306から標準検体搬入終了状態303遷移するまでの間表示され、オペレータに対してラックの再投入を促すとともに、現在は測定の実施が不可能であることを通知する。
【0077】
中止ボタン701は、任意のタイミングで標準検体搬入終了状態303に遷移することを可能とする。
【0078】
図8は、本発明の一実施形態であるラックに搬入順を割り当てるための処理フローを示す図である。本処理フローは、新規に搬入されたラックに対して、一意な搬入順を付与するためのものである。本処理フローで付与する搬入順に基づいて、ラックに対して搬送スケジューリングが決定される。このため、測定状態301の下で搬入された検体ラックが分析スケジューリングされる場合のみならず、標準検体搬入開始状態302以降に投入され、検体ラック待機部4で待機しているラックについても、測定状態301へと移行することによって分析スケジューリングの構築が再開されれば、本処理フローで設定された搬入順に従って搬送スケジュールが構築されて分析が開始される。
【0079】
本処理フローにおいては、各分析ユニットにおいて、標準検体の分析より後に、標準検体以外の検体の分析がされるように制御される。よって、ラック待機部4内に、標準検体用ラックと、それ以外のラックが混在して待機している場合には、標準検体ラックを優先して搬入し、標準検体ラック以外のラック(一般検体/緊急検体/再検検体/精度管理試料用ラック)の搬入順は、必ず標準検体ラックの搬入順より後になるように制御される。
【0080】
本処理フローにおいて“待機ラック数”とは、検体ラック待機部4で待機中のラックであって、搬送スケジューリングが未完了のラック数を意味する。ラック待機部4に待機しているラックがない場合には、待機ラック数は0となる。また、ラック待機部4に複数のラックが待機している場合であっても、待機中のラック全てに対して搬送スケジュールの構築が完了している場合には、同じく待機ラック数は0となる。
【0081】
また、“搬入順”とは、搬入されたラックに割り当てられた当該装置へのラック搬入順序を意味する。
【0082】
また、“割込み順”とは、ラック投入部1から新たに投入されたラックを、現在ラック待機部4で待機中のラックに先んじて搬送させたい場合に、搬入順を割り込ませるために一時的に格納された値を意味する。
【0083】
まず、ラック投入部1に新たなラックが投入されたことを検知すると、ステップ801で、ラックが搬入されたことが管理用コンピュータ9に報告される。
【0084】
その後、ステップ802において、現時点における装置状態をチェックする。装置状態とは、図3で示した各状態を意味し、測定状態301の場合は、ステップ803以降の処理を行う。標準検体搬入開始状態302の場合は、ステップ805以降の処理を行う。その他の状態(標準検体搬入終了状態や待機状態)であれば、807以降の処理を行う。
【0085】
最初に、装置状態が測定状態301にある場合の処理を説明する。測定状態301ではラック投入部1に投入されたラックに対して搬送スケジュールを決定し、その搬送スケジュールに従って各分析ユニットへの搬送を実行することができるため、基本的に搬入されたラックは搬入された順序に従って搬送されることとなる。
【0086】
新たな検体ラックの投入が報告されると(ステップ801)、ステップ803において待機ラック数を1に設定する。仮に、ラック待機部4中にラックが存在していたとしても、装置が測定状態301にあるため、これらのラックに対する搬送スケジュールが完了しているためである。ステップ804にて、搬入された当該ラックの搬入順を1と登録し、処理を終了する。これによって、搬入されたラックは搬入された順に搬送スケジューリングされることとなる。
【0087】
次に、装置状態が標準検体搬入開始状態302にある場合の処理を説明する。
【0088】
この状態の下で、ラック投入部1から新たな標準検体用ラックの投入が報告されると(ステップ801)、ステップ805において、検体ラック待機部4で待機している待機ラック数をインクリメントし、待機ラック数を1つ増やす。
【0089】
搬入された当該ラックの搬入順に、ステップ805で算出した待機ラック数を登録して処理を終了する(ステップ806)。これによって、新たに投入された標準検体用ラックは、検体ラック待機部4に待機しており、搬送スケジューリングが完了していない標準検体ラックに対する搬送スケジュールの構築が終了した後にスケジューリングされることとなる。
【0090】
また、本状態の下で、ラック投入部1から標準検体以外の試料を搭載したラックの投入が報告されると、装置状態は標準検体搬入終了状態303へ遷移し、ラック投入部1からラック待機部4へのラック搬入が中止されるため(図4のステップ403)、標準検体以外の検体の搬送順が、標準検体より前に設定されることはない。
【0091】
装置状態が測定状態301や標準検体搬入開始状態302以外の状態であって、ラック投入部1に投入されたラックがラック待機部4まで搬入される場合としては、待機(再投入中)状態306が考えられる。
【0092】
この状態においては、投入されたラックが標準検体用ラックであって、当該標準検体と関連する標準検体が検体ラック待機部4で待機している場合には、その標準検体の後に搬送されるよう制御される。また、投入されたラックが一般検体用ラックや精度管理用ラックなど、標準検体以外の検体を設置したラックである場合には、当該ラックに先んじて投入された標準検体用ラックの搬送が終了した後に搬送されるよう、制御される。
【0093】
新たな検体ラックの投入が報告されると(ステップ801)、ステップ807において、ラック待機部で待機している待機ラック数をインクリメントし、待機ラック数を1つ増やす。
【0094】
次に、搬入されたラックの種類をチェックする(ステップ808)。ラックの種類が標準検体以外の場合(例えば、一般検体ラックや精度管理ラック等)は、ステップ806以降の処理を行う。これによって、新たに投入された検体ラックの搬送順には待機ラック数が割り当てられる。新たに投入された検体ラックは、当該ラックに先んじて投入され、検体ラック待機部4で搬送スケジューリング待ちしている他のラックに対して、搬送スケジューリングが完了した後に、搬送スケジュールが構築されることとなる。
【0095】
ラックの種類が標準検体ラックの場合は、ステップ809以降の処理を行う。
【0096】
この場合、ステップ809にて、既に搬入され検体ラック待機部4で待機している他の標準検体ラックをチェックし、待機ラックに載置された標準検体と、搬入されたラックに載置された標準検体の関連性をチェックする。関連性とは、例えば待機中のラックに載置された標準検体が、搬入されたラックに載置された標準検体と同じ項目を測定するために用いられるものであるか否かなどである。
【0097】
関連性があるラックが待機ラック中にある場合は、当該待機中のラックは搬入されたラックの関連ラックであると判断される。装置は割込み順に、上記ステップ809で関連ラックと判断された待機ラックに登録されている搬入順の値を設定する(ステップ810)。関連ラックが複数存在する場合には、その中で一番大きい搬入順を設定する。
【0098】
一方、関連する標準検体が待機中のラックに存在しない場合は、搬入されたラックに対する関連ラックは無い、と判断される。装置は、待機中の複数の標準検体用ラックが保持する搬入順の中から一番大きい搬入順の値を検索し、それを割込み順に設定する(ステップ811)。
【0099】
ステップ812では、待機中のラックが保持する搬入順をインクリメントする。インクリメントの対象は、上記ステップ810又はステップ811で決定した割込み順よりも大きい値の搬入順を保持するラック全てである。これによって、搬入順が割り込まれた検体ラックの搬入順序は繰り上がることとなる。
【0100】
ステップ813では、搬入された当該ラックの搬入順に、上記ステップ810又はステップ811により設定した割込み順を登録することによって、投入されたラックの搬送順序が決定する。
【符号の説明】
【0101】
1 検体ラック投入部
2 ID読取部
3 搬送ライン
4 検体ラック待機部
5,6,7 分析モジュール
8 検体ラック回収部
9 全体管理用コンピュータ
10 操作部
11 表示部
201 設定条件の一例
202 登録ボタン
301〜306 装置状態の一例
510 待機中ラック情報表示エリア
511 待機中ラック情報一覧
512 部分回収指示用ボタン
513 全回収指示用ボタン
520 ラック詳細情報表示エリア
521 ラック情報表示エリア
522 ラック情報表示
530 依頼項目情報表示エリア
531 検体情報表示エリア
532 依頼項目情報表示
533 標準液情報表示用ボタン
540 再投入ボタン
550 分析再開ボタン
560 閉じるボタン
601 項目情報表示エリア
602 標準検体情報及び状況一覧
701 中止ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析ユニットと、
ラック投入部から投入されたラックを前記分析ユニットへ搬送するラック搬送装置と、
ラックに搭載された検体の種別を含む識別情報を読み取る読取装置と、
を備えた自動分析装置において、
前記ラック投入部に標準検体を搭載したラックが投入された場合に、当該検体を用いたキャリブレーションの実行可否を判断する判断部と、
前記判断部の判断に基づいて、当該標準検体ラックが投入された以降の搬送スケジュールを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
投入された標準検体が、前記判断部によって分析不可と判断された場合には、
前記制御部は、当該標準検体および当該標準検体以降に投入された検体の分析を中止するよう制御することを特徴とする自動分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析システムにおいて、
前記判断部が分析不可と判断した検体を特定する情報、もしくは当該検体を搭載したラックを特定する情報の、少なくともいずれかを表示する表示手段を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項4】
請求項3記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック投入部から投入されたラックを待機させるラック待機部と、
前記表示装置が表示する検体もしくは当該検体を搭載したラックに対して実行する処理を指示する指示手段と、を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項5】
請求項4記載の自動分析システムにおいて、
検体を搭載したラックを回収するラック回収部を備え、
前記指示手段は、前記ラック回収部へのラック搬送、もしくは前記分析ユニットへのラック搬送、の少なくともいずれかを指示可能であることを特徴とする自動分析システム。
【請求項6】
請求項4記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック投入部と前記分析ユニットの間に位置し、投入されたラックを待機させることができるラック待機部を備え、
前記制御部は、前記指示手段からの指示を受信するまで、前記標準検体および当該標準検体以降に投入された検体を搭載したラックを前記ラック待機部に待機させることを特徴とする自動分析システム。
【請求項7】
分析ユニットと、
ラック投入部から投入されたラックを前記分析ユニットへ搬送するラック搬送装置と、
ラックに搭載された検体の種別を含む識別情報を読み取る読取装置と、
前記ラック投入部から投入されたラックを待機させるラック待機部と、
を備えた自動分析システムにおいて、
前記読取装置が、標準検体を搭載した標準検体ラックが前記ラック投入部から投入されたことを認識した場合には、
当該標準検体ラックおよびそれ以後に投入されたラックを前記ラック待機部にて待機させることを特徴とする自動分析システム。
【請求項8】
請求項7記載の自動分析システムにおいて、
前記標準検体ラックおよびそれ以後に投入されたラックを前記ラック待機部に待機させ、
前記ラック待機部に待機しているラックの搬送スケジューリングを決定することを特徴とする自動分析システム。
【請求項9】
請求項7記載の自動分析システムにおいて、
予め定められたトリガを検知した場合には、
前記ラック待機部に待機している標準検体を用いた分析の可否に基づき、
少なくとも分析不可と判断された標準検体に関する情報を画面表示することを特徴とする自動分析システム。
【請求項10】
請求項9記載の自動分析システムにおいて、
前記トリガは、最後の標準検体ラックが投入された時刻から所定の時間が経過したこと、前記読取装置が標準検体ラック以外の投入を検知したこと、もしくは、オペレータからの状態遷移指示があったこと、のいずれかであることを特徴とする自動分析システム。
【請求項11】
請求項7記載の自動分析システムにおいて、
前記読取装置が標準検体ラックの投入を検知せず、ラックが前記ラック待機部に待機していない状態において、新たに投入されたラックが標準検体ラックでない場合には、
当該ラックは前記ラック待機部に待機せずに前記分析ユニットへ搬送されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項12】
請求項9記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック待機部中にラックが待機している状態で、一度当該ラック待機部から前記ラック回収部に搬送された後、前記ラック投入部から再投入された標準検体ラックに保持された標準検体は、
前記ラック待機部中の標準検体以外の検体を保持するラックよりも優先して分析されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項13】
請求項12記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック待機部にラックが待機している状態で再投入された標準検体ラックは、
更に前記ラック待機部内に当該標準検体ラックに搭載されている検体と関連する検体を搭載している関連ラックの有無を判断し、
前記関連ラックがある場合には、当該関連ラックと連続して前記標準検体ラックを前記分析ユニットへと搬送することを特徴とする自動分析システム。
【請求項1】
分析ユニットと、
ラック投入部から投入されたラックを前記分析ユニットへ搬送するラック搬送装置と、
ラックに搭載された検体の種別を含む識別情報を読み取る読取装置と、
を備えた自動分析装置において、
前記ラック投入部に標準検体を搭載したラックが投入された場合に、当該検体を用いたキャリブレーションの実行可否を判断する判断部と、
前記判断部の判断に基づいて、当該標準検体ラックが投入された以降の搬送スケジュールを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
投入された標準検体が、前記判断部によって分析不可と判断された場合には、
前記制御部は、当該標準検体および当該標準検体以降に投入された検体の分析を中止するよう制御することを特徴とする自動分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析システムにおいて、
前記判断部が分析不可と判断した検体を特定する情報、もしくは当該検体を搭載したラックを特定する情報の、少なくともいずれかを表示する表示手段を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項4】
請求項3記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック投入部から投入されたラックを待機させるラック待機部と、
前記表示装置が表示する検体もしくは当該検体を搭載したラックに対して実行する処理を指示する指示手段と、を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項5】
請求項4記載の自動分析システムにおいて、
検体を搭載したラックを回収するラック回収部を備え、
前記指示手段は、前記ラック回収部へのラック搬送、もしくは前記分析ユニットへのラック搬送、の少なくともいずれかを指示可能であることを特徴とする自動分析システム。
【請求項6】
請求項4記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック投入部と前記分析ユニットの間に位置し、投入されたラックを待機させることができるラック待機部を備え、
前記制御部は、前記指示手段からの指示を受信するまで、前記標準検体および当該標準検体以降に投入された検体を搭載したラックを前記ラック待機部に待機させることを特徴とする自動分析システム。
【請求項7】
分析ユニットと、
ラック投入部から投入されたラックを前記分析ユニットへ搬送するラック搬送装置と、
ラックに搭載された検体の種別を含む識別情報を読み取る読取装置と、
前記ラック投入部から投入されたラックを待機させるラック待機部と、
を備えた自動分析システムにおいて、
前記読取装置が、標準検体を搭載した標準検体ラックが前記ラック投入部から投入されたことを認識した場合には、
当該標準検体ラックおよびそれ以後に投入されたラックを前記ラック待機部にて待機させることを特徴とする自動分析システム。
【請求項8】
請求項7記載の自動分析システムにおいて、
前記標準検体ラックおよびそれ以後に投入されたラックを前記ラック待機部に待機させ、
前記ラック待機部に待機しているラックの搬送スケジューリングを決定することを特徴とする自動分析システム。
【請求項9】
請求項7記載の自動分析システムにおいて、
予め定められたトリガを検知した場合には、
前記ラック待機部に待機している標準検体を用いた分析の可否に基づき、
少なくとも分析不可と判断された標準検体に関する情報を画面表示することを特徴とする自動分析システム。
【請求項10】
請求項9記載の自動分析システムにおいて、
前記トリガは、最後の標準検体ラックが投入された時刻から所定の時間が経過したこと、前記読取装置が標準検体ラック以外の投入を検知したこと、もしくは、オペレータからの状態遷移指示があったこと、のいずれかであることを特徴とする自動分析システム。
【請求項11】
請求項7記載の自動分析システムにおいて、
前記読取装置が標準検体ラックの投入を検知せず、ラックが前記ラック待機部に待機していない状態において、新たに投入されたラックが標準検体ラックでない場合には、
当該ラックは前記ラック待機部に待機せずに前記分析ユニットへ搬送されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項12】
請求項9記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック待機部中にラックが待機している状態で、一度当該ラック待機部から前記ラック回収部に搬送された後、前記ラック投入部から再投入された標準検体ラックに保持された標準検体は、
前記ラック待機部中の標準検体以外の検体を保持するラックよりも優先して分析されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項13】
請求項12記載の自動分析システムにおいて、
前記ラック待機部にラックが待機している状態で再投入された標準検体ラックは、
更に前記ラック待機部内に当該標準検体ラックに搭載されている検体と関連する検体を搭載している関連ラックの有無を判断し、
前記関連ラックがある場合には、当該関連ラックと連続して前記標準検体ラックを前記分析ユニットへと搬送することを特徴とする自動分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−122865(P2012−122865A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274185(P2010−274185)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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