自動分析システム
【課題】精度管理における管理幅の決め方は過去のデータの蓄積によるところが大きく、蓄積データが少ない場合やロット番号が更新された直後は管理幅が適切に算出されないことが多く、過去の経験から求められ、やや客観性に欠けていた。また、精度管理試料,患者検体分析時のデータ不良時の原因究明に関しても客観的な比較参照データがないため対策が遅くなることが多かった。
【解決手段】試薬キット発売時に基礎データである精度管理物質に再現性データ,キャリブレーションの安定性,試薬直線性,共存物質の影響度,機種間相関,クロスコンタミネーション情報,試薬取扱説明書(能書)データを電子化し専用サーバへアップロードさせる。顧客はインターネット回線を用いて装置附属の専用PCを用いて、情報の検索が可能になる。
【解決手段】試薬キット発売時に基礎データである精度管理物質に再現性データ,キャリブレーションの安定性,試薬直線性,共存物質の影響度,機種間相関,クロスコンタミネーション情報,試薬取扱説明書(能書)データを電子化し専用サーバへアップロードさせる。顧客はインターネット回線を用いて装置附属の専用PCを用いて、情報の検索が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿などの検体検査のための臨床検査自動分析装置に搭載される検査試薬に関わる各種データとその試薬の性能を左右する各種データを検索するための自動分析システムに係り、特に、情報を蓄積するサーバー本体と分析装置をインターネット回線で結び、データを確認する機能を有し、日々測定を行っているキャリブレーションデータや精度管理データ、および患者検体測定結果の客観的比較などを可能とする自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床検査における自動分析装置の精度管理手法は患者検体の測定中に既値濃度の精度管理物質(コントロール試料)を割り込ませて測定させ、その測定結果が精度管理物質に値づけられた管理値からの乖離幅、または日内変動,日差変動を検討し精密度の良否より自動分析装置の精度を判断している。精度不良の原因は様々あり、大きく分け、装置に問題がある場合、試薬に問題がある場合、精度管理物質に問題がある、条件設定を含む操作ミスの4点があげられる。オペレータは不良データ出現時,問題解決のため各部分の点検を実施する必要がある。装置に関してはセル,ランプなどの有寿命部品の交換や反応槽の清掃など前回のメンテナンス時期、試薬に関しては試薬のロット番号,開封時期,安定性、試薬のロット更新によるキャリブレーションファクター値の変化程度、試薬直線性の上限、共存物質影響の有無と程度,クロスコンタミネーションを発生させる項目の組み合わせと程度,精度管理物質に関しては、濃縮や蒸発の発生状況,現在使用している精度管理物質の再現性データなどである。このような確認箇所が多岐に亘り、データ不良発生時はオペレータが装置各部の問題点の有無や試薬に添付されている資料や学術文献などを調査する必要があるため、かなりの作業量と時間を要していた。現技術においてはセル,ランプなどの有寿命部品の交換来歴情報は装置内の稼動情報管理機能を用いることによってある程度確認可能であるが、試薬や精度管理物質に関係するデータの確認ツールがないのが現状である。特にキャリブレーションファクターや精度管理物質の再現性データはロットの更新によって測定結果が変更になっているケースがあるが、ユーザがリアルタイムで使用している試薬,精度管理物質の基本データの比較検証ができないために迅速な良否の判断がつかないことが多い。
【0003】
特許文献1,2には、インターネットなどの公共回線を介して、個々の分析装置の測定データを収集,解析し、解析結果を個々の施設に提供することで、上記問題を解決する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−340906号公報
【特許文献2】特開2009−181369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動分析装置の精度管理方法はオペレータが精度管理物資をルーチン検体に定期的に割り込ませ測定させ、測定値の変動具合よりデータ異常の有無を確認する方法である。これまでの精度管理システムは精度管理物質の測定結果が管理範囲に入っているかどうかを判定し、精度管理物質の変動が系統的な変動なのか、偶発的な変動などの傾向からデータ異常の有無と原因究明を実施することが主な目的である。一般に試薬メーカ他から発売されている精度管理物質を用いて、ルーチン測定上の精度管理を行う場合、メーカより市販されている精度管理用物質にはバイアル毎に表示値と管理幅が添付されているものの、詳しい再現性の幅は明記されていない。さらに、一般的に市販されている精度管理物質の再現性データは顧客が所有している同等装置、試薬で測定したものとは限らない。そのためユーザは測定したデータの良否判断が難しく、仮にデータ不良が発生していても、的確に比較し判断するための資料が少ないため、これまでの経験的知識から不具合箇所の特定作業を行っていたのが現状である。そのため経験の少ない若手検査技師の場合、問題解決に多くの時間を費やしてしまうことにより、他の検査業務が滞ってしまうことにもなっていた。さらに、試薬や精度管理物質は、決められた数量を1ロット単位で生産されるため製造日時によって個体差などが生じる可能性があるため、ユーザは常に試薬や精度管理物質の更新時期を注視し、リアルタイムな情報を入手する必要がある。また、試薬や精度管理物質に添付されているデータシートは顧客の所有する装置で取得したデータではなく、任意の装置を用いて取得されたデータであることが多い。
【0006】
ユーザが知りたい情報は、施設において分析に使用している装置,同一ロット番号の試薬,精度管理物質を用いて測定したときの再現性結果である。更に精度管理物質のデータを左右するキャリブレーションの安定性,精度管理物質の再現性,直線性,共存物質の影響,他装置との相関データ,コンタミネーションの有無,成分表や反応式が掲載されている客観的情報などをオペレータが瞬時に入手することができれば、不良データ発生時の問題解決が迅速に行うことができるようになるのである。
【0007】
本発明の目的は、精度管理物質や試薬のロット番号が更新されるたび、新規データがデータベースへアップ蓄積され、不特定多数のユーザが自施設に適合したデータや情報の検索閲覧が可能になる自動分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
現在、臨床検査分析は生化学用自動分析装置に試薬メーカから発売される対外診断薬(試薬キット)を用いて分析を行っている。試薬キットには試薬の性能を示すデータや取扱方を明記した資料が添付されている。資料の内容は試薬の性能を表すもので、例えば(1)各装置の分析パラメータ (2)精度管理物質の再現性 (3)キャリブレーション結果の安定性 (4)試薬直線性 (5)共存物質の影響度合い (6)他機種との相関 (7)試薬プローブ/反応セル内におけるコンタミネーション情報 (8)試薬キット内に添付するに取扱説明書(能書)に関するデータなどがある。そこでこれらのデータを電子化させ専用サーバーへ保存し、専用インターネット回線を通し、顧客側の分析装置付属の操作用PCにて、必要な情報を検索閲覧するシステムを構築する。分析装置に付属した操作用PC端末には、閲覧する情報を選択するために必要な項目や選択枝や機能画面が備わっている。ユーザは情報をダウンロードする場合は、装置内に架設されている試薬ボトルに添付されているバーコード情報を自動的に読み取り、ロット番号,ボトル番号情報から該当する試薬データのダウンロードが可能なようにする。
【0009】
例えば上記(2)の精度管理物質の再現性データで示される内容では、測定結果の平均値,最大値,最小値,レンジ,標準偏差,変動係数などの統計データの他、測定に使用した精度管理物質のロット番号,キャリブレーションに使用した際の標準物質のロット番号,測定に使用した試薬のロット番号や有効日数や開詮後の有効期限の情報を検索することが可能になる。更に本システムは精度管理物質や試薬のロット番号が追加変更になった場合は、新ロットで測定した値に関しても順次専用サーバーへ情報をアップするようにする。この結果より不特定多数のユーザが自施設において現在使用しているロット番号の試薬を使用して精度管理物質の測定結果を閲覧することができる。
【0010】
また、上記(3)のキャリブレーション安定性に関しては、例えば1週間分のキャリブレーション結果を確認することが可能である。キャリブレーション結果の主波長,副波長の吸光度データ,試薬のロット番号,キャリブレーションで使用した標準物質のロット番号,濃度設定値,キャリブレーション結果(S1Abs、K値)の情報を表示する。データをダウンロードする際は、使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時のデータをダウンロードすることとする。
【0011】
更に、(4)の試薬直線性の結果に関しては異常高値の患者検体測定時、正しく測定ができているか否かの見極めが大事である。分析装置では分析パラメータで決められた測光ポイント範囲において吸光度の変化が設定値内で終了しているかの確認を行っているが、試薬成分の劣化によって、新品状態での試薬直線性範囲が狭くなることがある。試薬劣化の経時変化はキャリブレーションの安定性データと組み合わせて確認可能になる。データをダウンロードする際は、使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時の直線性データを自動的に抽出しダウンロードすることとする。
【0012】
一方、検体由来によるデータ異常の原因は疾病による異常高値のほか、高コレステロール血漿による血清の白濁化,赤血球膜の破損による溶血現象,投薬によるアスコルビン酸の影響,黄疸症状による高ビリルビン血漿の影響など、検体の色調や赤血球内部からの成分溶出によるデータの影響がある。そこで(5)の共存物質の影響度情報から各項目ごとの影響度をみることで確認が可能である。そこで、使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時の共存物質の影響データを自動的にダウンロードするようにする。
【0013】
現在、検査室内ではバックアップや大量検体を想定した複数台、および複数モジュールの装置を用いた運用形式が一般的になってきている。このように複数台の装置,モジュールの精度管理を行う場合、機差,機種間差を考慮する必要がある。(6)の機器相関データを検索閲覧する場合、ユーザ使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時の共存物質の影響データを自動的にダウンロードするようにする。
【0014】
データ不良の原因でもっとも多いのがクロスコンタミネーションである。クロスコンタミネーションは試薬プローブ間,反応セル間において発生する。通常、装置は試薬プローブ,セルは使用前後において水洗浄を行いながら繰り返し使用されている。しかし試薬の組成や粘性などにより稀に残留物が滞留することにより、次に吸引した試薬と異常反応することでデータ異常となる。ランダムアクセス形分析装置の場合、これらの影響を排除するため、特殊洗浄プログラム機能が備わっており、ユーザは試薬メーカから提供されたコンタミネーション情報に基づきプログラムを設定しなければならなかった。入力には影響を与える項目と影響を受ける項目の組み合わせ、影響をあたえる試薬(第1試薬or第2試薬)の選択,使用する洗剤名称,洗剤消費量を入力する。その際洗剤消費量は洗浄効果を考慮して影響を与える項目の第1試薬,第2試薬の消費量より若干大目に設定する必要がある。更に第1試薬と第2試薬の合計量は使用する装置の反応総液量を超えてはならない。以上のようにユーザは試薬メーカから提供されてコンタミネーション情報をもとに、装置仕様など様々なことを考慮してプログラムを設定,入力しなければならなかった。そこで(7)のコンタミネーション項目検索機能は、サーバー内にあるクロスコンタミネーションの組み合わせ情報の一覧を分析装置付属操作PCの画面に表示させ、さらにユーザが装置で使用している試薬キット間でクロスコンタミネーションの組み合わせの有無を自動判別し抽出させ、画面に一覧表を表示させるようにする。更に、特殊洗浄プログラムの設定/未設定が瞬時にわかるように、異なる記号を用いて表示をさせる。プログラムの未設定の組み合わせがある場合に装置内で特殊洗浄プログラムの自動設定を実効する機能を設けるようにする。プログラム設定の際は洗剤の消費量は影響を与える項目の各試薬設定量に対して+αする必要がある。これは試薬の消費量は設定量に対し一定のダミー量を含めてプローブ内に吸引されるため、消費量は設定量+ダミー量となるためである。設定量に対し+α量を自動的に演算し、特殊洗浄プログラム画面へ自動設定入力を可能とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のより下記効果が得られる。ダウンロード可能な情報は試薬性能を現すもので、例えば(1)分析パラメータ (2)精度管理物質の再現性 (3)約1週間程度のキャリブレーション結果の安定性 (4)試薬直線性 (5)共存物質の影響度合い (6)他機種との相関 (7)試薬プローブ/反応セル内におけるコンタミネーション情報 (8)試薬キット内に添付するに取扱説明書(能書)の情報などである。これらの情報は精度管理物質や試薬のロット番号が更新されるたび、新規データがデータベースへアップ蓄積され、不特定多数のユーザが自施設に適合したデータや情報の検索閲覧が可能になることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】運用イベント情報のインプット説明。
【図2】ネットワーク概念。
【図3】情報ダウンロード選択画面。
【図4】メーカ名称,項目名選択画面。
【図5】精度管理物質ロット番号選択画面。
【図6】精度管理物質再現性表示画面。
【図7】キャリブレレーション安定性表示画面。
【図8】試薬直線性表示画面。
【図9】共存物質影響度合い表示画面。
【図10】機種間相関表示画面。
【図11】クロスコンタミネーション表示画面。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、臨床検査の主に血液,尿などの患者検体を用いた臨床検査自動分析装置の精度管理および不良データ出現時の原因究明解析を実施する際、各種情報を専用インターネット回線を用いて収集し必要な情報をオペレータへ提供するシステムである。
【0018】
図1は臨床検査用自動分析装置のシステム構成図を表す。
【0019】
図2は専用インターネット回線201を用いて専用サーバー内202に蓄積されている分析パラメータ,精度管理物質の再現性,キャリブレーション結果の安定性(5日間),試薬直線性,共存物質の影響度合い,他機種との相関,試薬プローブ/反応セル内におけるコンタミネーション情報,試薬キット内に添付するに取扱説明書(能書)の各種情報を検索し、顧客側自動分析装置付属のPC203の画面上で確認可能なシステム構成図である。新試薬発売時、または新ロット試薬,精度管理物質への更新時は、新規再現性データを専用サーバーの付属202の端末からデータのインプットを逐次実施しデータベースの拡張を図っていく。拡張される情報は新ロット試薬更新時はキャリブレーションファクター値を示し、新ロット精度管理物質の場合は、再現性結果を示す。
【0020】
図3は装置付属PC203の情報ダウンロード画面を示す。ユーザは精度管理用物質の再現性を確認する場合、ユーザは画面上の精度管理物質の再現性302を選択し、実行キー308を選択する。次に図4に示す画面が表示されるので、そこで試薬メーカ401および項目402を選択し実行403を選択し実行する。次に検索を行いたい精度管理物質のロット番号一覧表を示す図5が表示されるので、ラジオボタン501にて選択を行い、実行キー502を選択し実行する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された再現性データをサーバーにて検索を行う。図6は精度管理物質の再現性結果を示す。結果は項目名601,使用試薬メーカ名称602,キャリブレーション時の標準液濃度/単位603,試薬ロット番号604,標準液ロット番号605,標準液の名称606を示す。再現性結果は選択した精度管理物質ごとに平均値,最大値,最小値,レンジ,SD,CV%を表示する。オペレータは自施設においてルーチン中に測定している精度管理試料の測定結果と比較することで、正確性の評価とSD,CV%より、ばらつきの程度を確認することが可能である。
【0021】
精度管理物質を含めた患者検体のデータ不良には試薬の劣化に起因するキャリブレーション不良がある。そこでオペレータはキャリブレーションの安定性を確認する必要がある。キャリブレーション結果の安定性を確認する場合は、図3の装置付属PC画面を表示させ、キャリブレーションの安定性303を選択後、実行キー308を選択する。その後、図4に示す画面が表示されるので、そこで試薬メーカ401および項目402を選択し実行キー403を選択し実行する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された再現性データをサーバーにて検索を行う。実行後、該当項目のキャリブレーションの安定性に関すデータをダウンロードすることが可能である。図7にキャリブレーションの安定性を示す。図には項目名701,メーカ名称702,試薬ロット番号703,標準液ロット番号704,標準液の濃度/単位705,標準液の名称706と5日間分のキャリブレーション結果707を示す。試薬ロット番号枠703の黒三角印、および標準液ロット番号枠704の黒三角印をクリックすることによりプルダウンメニューが展開し他のロット番号の選択,ダウンロードも可能とする。結果707はS1Abs、K値のほか、キャリブレーション実施時の吸光度データも表示する。S1の主波長吸光度の推移708と、S2の主波長から副波長吸光度差709に関しては変動の程度を分かりやすく表示を行うためグラフ表示を行う。S1の主波長吸光度の変化は試薬の変性や成分劣化,試薬色素の退色や変色などの影響を確認することができ、S2の主波長から副波長吸光度差は発色感度を確認することができる。
【0022】
試薬の成分劣化を起こすと試薬直線性が低下してくる。試薬直線性上限付近の検体の測定時、劣化を起こした試薬を使用して測定を行うと満足な測定が行われない場合が想定される。このような場合を想定して、事前に試薬の直線性を把握しておく必要がある。このような場合は図3の情報ダウンロード画面にて試薬直線性を選択後、実行キーを選択する。更に図4において、メーカ名称401と、項目402を選択後、実行キー403を選択する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された直線性データをサーバーにて検索を行う。図8に試薬直線性結果を示す。表示内容は、項目名801,試薬メーカ名称802,試薬ロット番号803,標準液ロット番号804,キャリブレーション実施の標準液濃度/単位805,標準液名称806,直線性のメーカ保証値807,実測値結果808,グラフ809である。試薬ロット番号枠803の黒三角印および標準液ロット番号枠804の黒三角印をクリックすることによりプルダウンメニューが展開し他のロット番号の選択,ダウンロードも可能とする。メーカ保証値の結果、および実験での実測値と比較し、試薬直線性に関して余裕の有無と程度の確認が可能である。また、検体分析時に高値検体測定時にサンプルを希釈する必要があるかの判断材料にも使用可能である。あらかじめ直線域を超過したことが本結果より判明していれば、事前に希釈操作を実施し測定を行うことが可能である。
【0023】
データ不良の原因は試薬ばかりではなく、サンプルに由来するところもある。疾病により黄疸が激しい場合において、血清の黄色程度の影響を確認したい場合は図3の情報ダウンロード画面において共存物質の影響305を選択し実行キー308を選択する。更に図4においてメーカ名称401、項目402を選択し実行キーを選択する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された共存物質データをサーバーにて検索を行う。図9に示すような共存物質の影響度合いを示す画面が開く。試薬メーカ,項目によって共存物質の影響度合いは異なる。共存物質の種類はアスコルビン酸901,ビリルビンC902,ビリルビンF903,ヘモグロビン904,乳ビ905の5種類があり、各添加濃度における測定値へのプラス誤差,マイナス誤差の影響度合いが分かる。この結果より個々の試薬に関して、影響がある添加物質と添加量がわかり、データ異常時の原因究明の一助とする。
【0024】
施設によっては、メインルーチン用と緊急検査用の複数の装置を使い分けて使用している場合がある。あるいは異なるモジュールを組み合わせた装置での測定を行っている場合がある。このような場合、機差間差,機種間差の問題によりデータの乖離が生じる場合がある。そこで、装置相関データを確認することで両者の乖離幅の確認をすることが可能である。図3の情報ダウンロード選択画面より機種相関データ306を選択し、実行キー308を選択する。更に図4にてメーカ名称と項目を選択し実行キーを選択すると、図10に示すような機種相関データが表示する。更に、X軸1001とY軸1002に確認したい装置名称をプルダウンキーを使用して装置名称を選択することにより、選択された装置間での相関データが画面上に表示する。画面には50〜60検体分のデータと集計結果1003を表示する。集計結果1003は相関時の傾き,切片,X軸,Y軸平均値,Sy/X,相関係数、およびグラフを表示する。この結果より両機種間の乖離幅がわかり、機種間差の許容幅の判断が可能となる。
【0025】
データ不良の大きな原因に試薬プローブ内、および反応セル内でのコンタミネーションがある。分析装置側ではその対策として、特殊洗浄プログラム機能を備えている。そこでまず、コンタミネーションを発生させる試薬項目の組み合わせの把握,装置において影響を与えるような試薬を使用している場合の対策,特殊洗浄プログラムの設定の必要性の確認が重要である。そこで、図3の情報ダウンロード選択画面よりクロスコンタミネーション情報307を選択し、実行キー308を選択実行すると、全試薬,全項目でのクロスコンタミネーション一覧表1101とユーザ装置内に架設されている項目内で発生するクロスコンタミネーションの一覧表1102を画面に表示する。情報表示画面にはコンタミネーションを与える項目と受ける項目,試薬メーカ名称,影響の度合い,汚染部位,汚染原因,回避方法を表示する。一覧表1102の左枠の〇印は既に回避プログラムが設定されている組み合わせ、☆印は未登録の組み合わせを示している。☆印部分をクリックし反転させた状態でクロスコンタミネーション回避選択キー1103選択すると、自動的に回避プログラムの登録操作を開始する。登録内容は、影響を与える項目と受ける項目,試薬プローブもしくは反応セル,回避方法としてハイアルカリD,ハイキャリノンもしくは水が設定される。その際、洗浄効果を考慮し、洗剤設定量は影響を与える項目の試薬量(第1試薬,第2試薬)を自動判別し、分析パラメータ画面設定量の120%量を自動計算し洗剤消費量として設定する。
【0026】
試薬キットには試薬の取扱説明書が付属されている。取扱説明書の内容をリアルタイムで検索するためには図3の情報ダウンロード選択画面より試薬取扱説明書307を選択し、実行キー308を選択実行する。更に図4にてメーカ名称401と項目402を選択し実行キーを選択すると、試薬取扱説明書がPDF形式にて画面に表示される。
【0027】
検索情報の一例をもとに、以下、効果を説明する。
【0028】
<精度管理物質の再現性に関して>
ユーザは現在使用している試薬に関して、試薬のバーコード番号から試薬のロット番号を読み取り、その試薬を用いて現在オンタイムで使用している精度管理物質の測定結果の平均値,最大値,最小値,レンジ,標準偏差,変動係数などの統計データの他、測定に使用した精度管理物質のロット番号,キャリブレーションに使用した際の標準物質のロット番号,測定に使用した試薬のロット番号や有効日数や開詮後の有効期限の確認が可能である。更に測定に使用済みになっている精度管理物質や試薬のロット番号が追加変更になった場合は、新ロットで測定した値に関しても順次専用サーバーへ情報をアップすることを特徴としているので、各ユーザは自施設において現在使用しているロット番号の精度管理物質の測定結果を検索することができ、使用している精度管理物質のロット番号や試薬のロット番号,試薬の有効日数や有効期限などの情報をもとに試薬の劣化による影響の有無や精度管理物質の取扱不良による問題など原因の究明が容易に可能になることを特徴としている。
【0029】
<キャリブレーション安定性に関して>
ユーザが使用している同機種にて測定された約1週間分の主波長,副波長の吸光度データ,試薬のロット番号,キャリブレーションで使用した標準物質のロット番号,濃度設定値,キャリブレーション結果(S1Abs、K値)の情報を検索することが可能である。精度管理物資データの不良はキャリブレーション結果の不具合が原因である場合も多い。そこで5日分のキャリブレーション時の主波長/副波長測定吸光度を確認することで、キャリブレーション吸光度の変動具合がわかり、リアルタイムで測定している結果と比較することができ今回の測定結果の乖離が正常範囲か異常かの見極めが可能となる。記録内容の約1週間分の期間は試薬1瓶の消費サイクルに相当することから、約1週間のキャリブレーション結果と比較することで日差変動や、試薬劣化に伴う吸光度値の上昇または下降具合より、リアルタイムで実施している結果の良否判定が可能となる。臨床検査用試薬は通常装置の試薬保冷庫内で開蓋状態のまま設置保存されるため、試薬の劣化に関して注意深く確認する必要があり、さらに個々の項目によっても劣化スピードは異なることから試薬個々のデータを確認できることは異常に意義があることである。専用サーバーには、現在市場で流通している全てのロット番号の試薬で測定したときの結果が掲載されていることから、ユーザはキャリブレーションデータの検索の際は試薬ボトル上部に添付してあるバーコード情報を自動的に読み取って検索を行うことから、入力の手間を省き、入力間違いなどのケアレスミスも排除することが可能である。
【0030】
<試薬直線性に関して>
異常高値の患者検体測定時、正しく測定ができているかいなかの見極めが可能である。分析装置では分析パラメータで決められた測光ポイント範囲において吸光度の変化が設定値内で終了しているかの確認を行っているが、試薬成分の劣化によって、元来もっている試薬直線性範囲が狭くなることがある。分析装置の限界吸光度チェック機能を用いることにより、異常高値データのチェックを行っているが、この方法は正しい設定値が分析パラメータ画面に入力されていなければ確実なチェックは不可能である。そのためチュック値が未入力の場合は異常値にもかかわらずそのまま報告を行ってしまう可能もある。本機能は試薬メーカ側の直線性保証値を活用することにより、チェック不足をカバーすることが可能となる。
【0031】
<共存物質情報に関して>
検体由来によるデータ異常の原因は疾病による異常高値のほか、高コレステロール血漿による血清の白濁化,赤血球膜の破損による溶血現象,投薬によるアスコルビン酸の影響,黄疸症状による高ビリルビン血漿の影響など、検体の色調や赤血球内部からの成分溶出によるデータの影響がある。これらの影響度合いは同一項目であっても試薬メーカが異なると傾向は異なる場合が多い。共存物質の影響度情報を試薬メーカ,項目ごとに検索することが可能になることより、異常データ発生時の原因究明の検証や、影響度からある程度真値を類推することも可能となる。さらに、共存物質の程度が事前に分かっていれば、たとえば採血手技時の溶血が発生してしまった場合などで、その後の測定検査前に影響がすることがわかることから、再採血などの措置を行い検査に支障がないように備えることも可能である。
【0032】
<機種相関データに関して>
複数台の装置,モジュールの精度管理を行う場合、機差,機種間差を考慮する必要がある。機器相関データを検索閲覧することでユーザが使用している試薬メーカ,項目単位でデータを検索することで、装置,モジュール間の機差の許容幅を客観的に比較判断することが可能となる。
【0033】
<クロスコンタミネーション情報に関して>
従来、ユーザは試薬メーカから提供された膨大なクロスコンタミネーション情報をもとに、試薬分注量など様々なことを考慮して装置操作部特殊洗浄プログラムを手入力しなければならなかった。クロスコンタミネーション項目検索機能では、情報をダウンロードさせることで、全てのメーカ間のコンタミネーションの組み合わせを確認することが可能になり、さらにユーザが既にクロスコンタミネーション回避のための特殊洗浄プログラムの登録操作を自動化させることでこれまでの労力を排除することが可能になり、データ不良の削減に大きく寄与するものである。
【0034】
<試薬取扱説明書に関して>
取扱説明書(能書)情報をPDFファイルのダウンロード機能では装置付属PC画面において、最新版の能書のダウンロードを可能になることから、瞬時に最新版の試薬能書を閲覧が可能にすることができ、各種技術情報を確認することができる。試薬に添付されている能書には、内容成分名称と配合量,化学反応式,再現性などの各種データ,ボトル内容量,使用期限,開封後の安定性,取扱方,廃棄法,皮膚接触時の対処法など様々な情報が記載されている。紙ベースの説明書は使用しているうちに過って廃棄,紛失してしまう可能性があることから、電子データのダウンロード閲覧は有用性が高い。
【符号の説明】
【0035】
1 試料のカップ
2 サンプルバーコードリーダ
3 コンピュータ
4 インターフェース
5 試料分注プローブ
6 反応容器
7 試料用ポンプ
8 恒温槽
9 反応ディスク
10 試薬分注プローブ
11 試薬用ポンプ
12 試薬ボトル
13 攪拌装置
14 光源
15 多波長光度計
16 キーボード
17 プリンタ
18 CRT画面
19 試薬バーコートリーダ
20 反応容器洗浄系
24 FDドライブ
25 HD
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿などの検体検査のための臨床検査自動分析装置に搭載される検査試薬に関わる各種データとその試薬の性能を左右する各種データを検索するための自動分析システムに係り、特に、情報を蓄積するサーバー本体と分析装置をインターネット回線で結び、データを確認する機能を有し、日々測定を行っているキャリブレーションデータや精度管理データ、および患者検体測定結果の客観的比較などを可能とする自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床検査における自動分析装置の精度管理手法は患者検体の測定中に既値濃度の精度管理物質(コントロール試料)を割り込ませて測定させ、その測定結果が精度管理物質に値づけられた管理値からの乖離幅、または日内変動,日差変動を検討し精密度の良否より自動分析装置の精度を判断している。精度不良の原因は様々あり、大きく分け、装置に問題がある場合、試薬に問題がある場合、精度管理物質に問題がある、条件設定を含む操作ミスの4点があげられる。オペレータは不良データ出現時,問題解決のため各部分の点検を実施する必要がある。装置に関してはセル,ランプなどの有寿命部品の交換や反応槽の清掃など前回のメンテナンス時期、試薬に関しては試薬のロット番号,開封時期,安定性、試薬のロット更新によるキャリブレーションファクター値の変化程度、試薬直線性の上限、共存物質影響の有無と程度,クロスコンタミネーションを発生させる項目の組み合わせと程度,精度管理物質に関しては、濃縮や蒸発の発生状況,現在使用している精度管理物質の再現性データなどである。このような確認箇所が多岐に亘り、データ不良発生時はオペレータが装置各部の問題点の有無や試薬に添付されている資料や学術文献などを調査する必要があるため、かなりの作業量と時間を要していた。現技術においてはセル,ランプなどの有寿命部品の交換来歴情報は装置内の稼動情報管理機能を用いることによってある程度確認可能であるが、試薬や精度管理物質に関係するデータの確認ツールがないのが現状である。特にキャリブレーションファクターや精度管理物質の再現性データはロットの更新によって測定結果が変更になっているケースがあるが、ユーザがリアルタイムで使用している試薬,精度管理物質の基本データの比較検証ができないために迅速な良否の判断がつかないことが多い。
【0003】
特許文献1,2には、インターネットなどの公共回線を介して、個々の分析装置の測定データを収集,解析し、解析結果を個々の施設に提供することで、上記問題を解決する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−340906号公報
【特許文献2】特開2009−181369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動分析装置の精度管理方法はオペレータが精度管理物資をルーチン検体に定期的に割り込ませ測定させ、測定値の変動具合よりデータ異常の有無を確認する方法である。これまでの精度管理システムは精度管理物質の測定結果が管理範囲に入っているかどうかを判定し、精度管理物質の変動が系統的な変動なのか、偶発的な変動などの傾向からデータ異常の有無と原因究明を実施することが主な目的である。一般に試薬メーカ他から発売されている精度管理物質を用いて、ルーチン測定上の精度管理を行う場合、メーカより市販されている精度管理用物質にはバイアル毎に表示値と管理幅が添付されているものの、詳しい再現性の幅は明記されていない。さらに、一般的に市販されている精度管理物質の再現性データは顧客が所有している同等装置、試薬で測定したものとは限らない。そのためユーザは測定したデータの良否判断が難しく、仮にデータ不良が発生していても、的確に比較し判断するための資料が少ないため、これまでの経験的知識から不具合箇所の特定作業を行っていたのが現状である。そのため経験の少ない若手検査技師の場合、問題解決に多くの時間を費やしてしまうことにより、他の検査業務が滞ってしまうことにもなっていた。さらに、試薬や精度管理物質は、決められた数量を1ロット単位で生産されるため製造日時によって個体差などが生じる可能性があるため、ユーザは常に試薬や精度管理物質の更新時期を注視し、リアルタイムな情報を入手する必要がある。また、試薬や精度管理物質に添付されているデータシートは顧客の所有する装置で取得したデータではなく、任意の装置を用いて取得されたデータであることが多い。
【0006】
ユーザが知りたい情報は、施設において分析に使用している装置,同一ロット番号の試薬,精度管理物質を用いて測定したときの再現性結果である。更に精度管理物質のデータを左右するキャリブレーションの安定性,精度管理物質の再現性,直線性,共存物質の影響,他装置との相関データ,コンタミネーションの有無,成分表や反応式が掲載されている客観的情報などをオペレータが瞬時に入手することができれば、不良データ発生時の問題解決が迅速に行うことができるようになるのである。
【0007】
本発明の目的は、精度管理物質や試薬のロット番号が更新されるたび、新規データがデータベースへアップ蓄積され、不特定多数のユーザが自施設に適合したデータや情報の検索閲覧が可能になる自動分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
現在、臨床検査分析は生化学用自動分析装置に試薬メーカから発売される対外診断薬(試薬キット)を用いて分析を行っている。試薬キットには試薬の性能を示すデータや取扱方を明記した資料が添付されている。資料の内容は試薬の性能を表すもので、例えば(1)各装置の分析パラメータ (2)精度管理物質の再現性 (3)キャリブレーション結果の安定性 (4)試薬直線性 (5)共存物質の影響度合い (6)他機種との相関 (7)試薬プローブ/反応セル内におけるコンタミネーション情報 (8)試薬キット内に添付するに取扱説明書(能書)に関するデータなどがある。そこでこれらのデータを電子化させ専用サーバーへ保存し、専用インターネット回線を通し、顧客側の分析装置付属の操作用PCにて、必要な情報を検索閲覧するシステムを構築する。分析装置に付属した操作用PC端末には、閲覧する情報を選択するために必要な項目や選択枝や機能画面が備わっている。ユーザは情報をダウンロードする場合は、装置内に架設されている試薬ボトルに添付されているバーコード情報を自動的に読み取り、ロット番号,ボトル番号情報から該当する試薬データのダウンロードが可能なようにする。
【0009】
例えば上記(2)の精度管理物質の再現性データで示される内容では、測定結果の平均値,最大値,最小値,レンジ,標準偏差,変動係数などの統計データの他、測定に使用した精度管理物質のロット番号,キャリブレーションに使用した際の標準物質のロット番号,測定に使用した試薬のロット番号や有効日数や開詮後の有効期限の情報を検索することが可能になる。更に本システムは精度管理物質や試薬のロット番号が追加変更になった場合は、新ロットで測定した値に関しても順次専用サーバーへ情報をアップするようにする。この結果より不特定多数のユーザが自施設において現在使用しているロット番号の試薬を使用して精度管理物質の測定結果を閲覧することができる。
【0010】
また、上記(3)のキャリブレーション安定性に関しては、例えば1週間分のキャリブレーション結果を確認することが可能である。キャリブレーション結果の主波長,副波長の吸光度データ,試薬のロット番号,キャリブレーションで使用した標準物質のロット番号,濃度設定値,キャリブレーション結果(S1Abs、K値)の情報を表示する。データをダウンロードする際は、使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時のデータをダウンロードすることとする。
【0011】
更に、(4)の試薬直線性の結果に関しては異常高値の患者検体測定時、正しく測定ができているか否かの見極めが大事である。分析装置では分析パラメータで決められた測光ポイント範囲において吸光度の変化が設定値内で終了しているかの確認を行っているが、試薬成分の劣化によって、新品状態での試薬直線性範囲が狭くなることがある。試薬劣化の経時変化はキャリブレーションの安定性データと組み合わせて確認可能になる。データをダウンロードする際は、使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時の直線性データを自動的に抽出しダウンロードすることとする。
【0012】
一方、検体由来によるデータ異常の原因は疾病による異常高値のほか、高コレステロール血漿による血清の白濁化,赤血球膜の破損による溶血現象,投薬によるアスコルビン酸の影響,黄疸症状による高ビリルビン血漿の影響など、検体の色調や赤血球内部からの成分溶出によるデータの影響がある。そこで(5)の共存物質の影響度情報から各項目ごとの影響度をみることで確認が可能である。そこで、使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時の共存物質の影響データを自動的にダウンロードするようにする。
【0013】
現在、検査室内ではバックアップや大量検体を想定した複数台、および複数モジュールの装置を用いた運用形式が一般的になってきている。このように複数台の装置,モジュールの精度管理を行う場合、機差,機種間差を考慮する必要がある。(6)の機器相関データを検索閲覧する場合、ユーザ使用している試薬のバーコード情報を自動的に読み取り、試薬のロット番号情報から、サーバーのデータベースを検索し該当ロット試薬を使用した時の共存物質の影響データを自動的にダウンロードするようにする。
【0014】
データ不良の原因でもっとも多いのがクロスコンタミネーションである。クロスコンタミネーションは試薬プローブ間,反応セル間において発生する。通常、装置は試薬プローブ,セルは使用前後において水洗浄を行いながら繰り返し使用されている。しかし試薬の組成や粘性などにより稀に残留物が滞留することにより、次に吸引した試薬と異常反応することでデータ異常となる。ランダムアクセス形分析装置の場合、これらの影響を排除するため、特殊洗浄プログラム機能が備わっており、ユーザは試薬メーカから提供されたコンタミネーション情報に基づきプログラムを設定しなければならなかった。入力には影響を与える項目と影響を受ける項目の組み合わせ、影響をあたえる試薬(第1試薬or第2試薬)の選択,使用する洗剤名称,洗剤消費量を入力する。その際洗剤消費量は洗浄効果を考慮して影響を与える項目の第1試薬,第2試薬の消費量より若干大目に設定する必要がある。更に第1試薬と第2試薬の合計量は使用する装置の反応総液量を超えてはならない。以上のようにユーザは試薬メーカから提供されてコンタミネーション情報をもとに、装置仕様など様々なことを考慮してプログラムを設定,入力しなければならなかった。そこで(7)のコンタミネーション項目検索機能は、サーバー内にあるクロスコンタミネーションの組み合わせ情報の一覧を分析装置付属操作PCの画面に表示させ、さらにユーザが装置で使用している試薬キット間でクロスコンタミネーションの組み合わせの有無を自動判別し抽出させ、画面に一覧表を表示させるようにする。更に、特殊洗浄プログラムの設定/未設定が瞬時にわかるように、異なる記号を用いて表示をさせる。プログラムの未設定の組み合わせがある場合に装置内で特殊洗浄プログラムの自動設定を実効する機能を設けるようにする。プログラム設定の際は洗剤の消費量は影響を与える項目の各試薬設定量に対して+αする必要がある。これは試薬の消費量は設定量に対し一定のダミー量を含めてプローブ内に吸引されるため、消費量は設定量+ダミー量となるためである。設定量に対し+α量を自動的に演算し、特殊洗浄プログラム画面へ自動設定入力を可能とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のより下記効果が得られる。ダウンロード可能な情報は試薬性能を現すもので、例えば(1)分析パラメータ (2)精度管理物質の再現性 (3)約1週間程度のキャリブレーション結果の安定性 (4)試薬直線性 (5)共存物質の影響度合い (6)他機種との相関 (7)試薬プローブ/反応セル内におけるコンタミネーション情報 (8)試薬キット内に添付するに取扱説明書(能書)の情報などである。これらの情報は精度管理物質や試薬のロット番号が更新されるたび、新規データがデータベースへアップ蓄積され、不特定多数のユーザが自施設に適合したデータや情報の検索閲覧が可能になることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】運用イベント情報のインプット説明。
【図2】ネットワーク概念。
【図3】情報ダウンロード選択画面。
【図4】メーカ名称,項目名選択画面。
【図5】精度管理物質ロット番号選択画面。
【図6】精度管理物質再現性表示画面。
【図7】キャリブレレーション安定性表示画面。
【図8】試薬直線性表示画面。
【図9】共存物質影響度合い表示画面。
【図10】機種間相関表示画面。
【図11】クロスコンタミネーション表示画面。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、臨床検査の主に血液,尿などの患者検体を用いた臨床検査自動分析装置の精度管理および不良データ出現時の原因究明解析を実施する際、各種情報を専用インターネット回線を用いて収集し必要な情報をオペレータへ提供するシステムである。
【0018】
図1は臨床検査用自動分析装置のシステム構成図を表す。
【0019】
図2は専用インターネット回線201を用いて専用サーバー内202に蓄積されている分析パラメータ,精度管理物質の再現性,キャリブレーション結果の安定性(5日間),試薬直線性,共存物質の影響度合い,他機種との相関,試薬プローブ/反応セル内におけるコンタミネーション情報,試薬キット内に添付するに取扱説明書(能書)の各種情報を検索し、顧客側自動分析装置付属のPC203の画面上で確認可能なシステム構成図である。新試薬発売時、または新ロット試薬,精度管理物質への更新時は、新規再現性データを専用サーバーの付属202の端末からデータのインプットを逐次実施しデータベースの拡張を図っていく。拡張される情報は新ロット試薬更新時はキャリブレーションファクター値を示し、新ロット精度管理物質の場合は、再現性結果を示す。
【0020】
図3は装置付属PC203の情報ダウンロード画面を示す。ユーザは精度管理用物質の再現性を確認する場合、ユーザは画面上の精度管理物質の再現性302を選択し、実行キー308を選択する。次に図4に示す画面が表示されるので、そこで試薬メーカ401および項目402を選択し実行403を選択し実行する。次に検索を行いたい精度管理物質のロット番号一覧表を示す図5が表示されるので、ラジオボタン501にて選択を行い、実行キー502を選択し実行する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された再現性データをサーバーにて検索を行う。図6は精度管理物質の再現性結果を示す。結果は項目名601,使用試薬メーカ名称602,キャリブレーション時の標準液濃度/単位603,試薬ロット番号604,標準液ロット番号605,標準液の名称606を示す。再現性結果は選択した精度管理物質ごとに平均値,最大値,最小値,レンジ,SD,CV%を表示する。オペレータは自施設においてルーチン中に測定している精度管理試料の測定結果と比較することで、正確性の評価とSD,CV%より、ばらつきの程度を確認することが可能である。
【0021】
精度管理物質を含めた患者検体のデータ不良には試薬の劣化に起因するキャリブレーション不良がある。そこでオペレータはキャリブレーションの安定性を確認する必要がある。キャリブレーション結果の安定性を確認する場合は、図3の装置付属PC画面を表示させ、キャリブレーションの安定性303を選択後、実行キー308を選択する。その後、図4に示す画面が表示されるので、そこで試薬メーカ401および項目402を選択し実行キー403を選択し実行する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された再現性データをサーバーにて検索を行う。実行後、該当項目のキャリブレーションの安定性に関すデータをダウンロードすることが可能である。図7にキャリブレーションの安定性を示す。図には項目名701,メーカ名称702,試薬ロット番号703,標準液ロット番号704,標準液の濃度/単位705,標準液の名称706と5日間分のキャリブレーション結果707を示す。試薬ロット番号枠703の黒三角印、および標準液ロット番号枠704の黒三角印をクリックすることによりプルダウンメニューが展開し他のロット番号の選択,ダウンロードも可能とする。結果707はS1Abs、K値のほか、キャリブレーション実施時の吸光度データも表示する。S1の主波長吸光度の推移708と、S2の主波長から副波長吸光度差709に関しては変動の程度を分かりやすく表示を行うためグラフ表示を行う。S1の主波長吸光度の変化は試薬の変性や成分劣化,試薬色素の退色や変色などの影響を確認することができ、S2の主波長から副波長吸光度差は発色感度を確認することができる。
【0022】
試薬の成分劣化を起こすと試薬直線性が低下してくる。試薬直線性上限付近の検体の測定時、劣化を起こした試薬を使用して測定を行うと満足な測定が行われない場合が想定される。このような場合を想定して、事前に試薬の直線性を把握しておく必要がある。このような場合は図3の情報ダウンロード画面にて試薬直線性を選択後、実行キーを選択する。更に図4において、メーカ名称401と、項目402を選択後、実行キー403を選択する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された直線性データをサーバーにて検索を行う。図8に試薬直線性結果を示す。表示内容は、項目名801,試薬メーカ名称802,試薬ロット番号803,標準液ロット番号804,キャリブレーション実施の標準液濃度/単位805,標準液名称806,直線性のメーカ保証値807,実測値結果808,グラフ809である。試薬ロット番号枠803の黒三角印および標準液ロット番号枠804の黒三角印をクリックすることによりプルダウンメニューが展開し他のロット番号の選択,ダウンロードも可能とする。メーカ保証値の結果、および実験での実測値と比較し、試薬直線性に関して余裕の有無と程度の確認が可能である。また、検体分析時に高値検体測定時にサンプルを希釈する必要があるかの判断材料にも使用可能である。あらかじめ直線域を超過したことが本結果より判明していれば、事前に希釈操作を実施し測定を行うことが可能である。
【0023】
データ不良の原因は試薬ばかりではなく、サンプルに由来するところもある。疾病により黄疸が激しい場合において、血清の黄色程度の影響を確認したい場合は図3の情報ダウンロード画面において共存物質の影響305を選択し実行キー308を選択する。更に図4においてメーカ名称401、項目402を選択し実行キーを選択する。装置は、現在使用している試薬バーコード情報からロット番号を把握し、当該ロット試薬で測定された共存物質データをサーバーにて検索を行う。図9に示すような共存物質の影響度合いを示す画面が開く。試薬メーカ,項目によって共存物質の影響度合いは異なる。共存物質の種類はアスコルビン酸901,ビリルビンC902,ビリルビンF903,ヘモグロビン904,乳ビ905の5種類があり、各添加濃度における測定値へのプラス誤差,マイナス誤差の影響度合いが分かる。この結果より個々の試薬に関して、影響がある添加物質と添加量がわかり、データ異常時の原因究明の一助とする。
【0024】
施設によっては、メインルーチン用と緊急検査用の複数の装置を使い分けて使用している場合がある。あるいは異なるモジュールを組み合わせた装置での測定を行っている場合がある。このような場合、機差間差,機種間差の問題によりデータの乖離が生じる場合がある。そこで、装置相関データを確認することで両者の乖離幅の確認をすることが可能である。図3の情報ダウンロード選択画面より機種相関データ306を選択し、実行キー308を選択する。更に図4にてメーカ名称と項目を選択し実行キーを選択すると、図10に示すような機種相関データが表示する。更に、X軸1001とY軸1002に確認したい装置名称をプルダウンキーを使用して装置名称を選択することにより、選択された装置間での相関データが画面上に表示する。画面には50〜60検体分のデータと集計結果1003を表示する。集計結果1003は相関時の傾き,切片,X軸,Y軸平均値,Sy/X,相関係数、およびグラフを表示する。この結果より両機種間の乖離幅がわかり、機種間差の許容幅の判断が可能となる。
【0025】
データ不良の大きな原因に試薬プローブ内、および反応セル内でのコンタミネーションがある。分析装置側ではその対策として、特殊洗浄プログラム機能を備えている。そこでまず、コンタミネーションを発生させる試薬項目の組み合わせの把握,装置において影響を与えるような試薬を使用している場合の対策,特殊洗浄プログラムの設定の必要性の確認が重要である。そこで、図3の情報ダウンロード選択画面よりクロスコンタミネーション情報307を選択し、実行キー308を選択実行すると、全試薬,全項目でのクロスコンタミネーション一覧表1101とユーザ装置内に架設されている項目内で発生するクロスコンタミネーションの一覧表1102を画面に表示する。情報表示画面にはコンタミネーションを与える項目と受ける項目,試薬メーカ名称,影響の度合い,汚染部位,汚染原因,回避方法を表示する。一覧表1102の左枠の〇印は既に回避プログラムが設定されている組み合わせ、☆印は未登録の組み合わせを示している。☆印部分をクリックし反転させた状態でクロスコンタミネーション回避選択キー1103選択すると、自動的に回避プログラムの登録操作を開始する。登録内容は、影響を与える項目と受ける項目,試薬プローブもしくは反応セル,回避方法としてハイアルカリD,ハイキャリノンもしくは水が設定される。その際、洗浄効果を考慮し、洗剤設定量は影響を与える項目の試薬量(第1試薬,第2試薬)を自動判別し、分析パラメータ画面設定量の120%量を自動計算し洗剤消費量として設定する。
【0026】
試薬キットには試薬の取扱説明書が付属されている。取扱説明書の内容をリアルタイムで検索するためには図3の情報ダウンロード選択画面より試薬取扱説明書307を選択し、実行キー308を選択実行する。更に図4にてメーカ名称401と項目402を選択し実行キーを選択すると、試薬取扱説明書がPDF形式にて画面に表示される。
【0027】
検索情報の一例をもとに、以下、効果を説明する。
【0028】
<精度管理物質の再現性に関して>
ユーザは現在使用している試薬に関して、試薬のバーコード番号から試薬のロット番号を読み取り、その試薬を用いて現在オンタイムで使用している精度管理物質の測定結果の平均値,最大値,最小値,レンジ,標準偏差,変動係数などの統計データの他、測定に使用した精度管理物質のロット番号,キャリブレーションに使用した際の標準物質のロット番号,測定に使用した試薬のロット番号や有効日数や開詮後の有効期限の確認が可能である。更に測定に使用済みになっている精度管理物質や試薬のロット番号が追加変更になった場合は、新ロットで測定した値に関しても順次専用サーバーへ情報をアップすることを特徴としているので、各ユーザは自施設において現在使用しているロット番号の精度管理物質の測定結果を検索することができ、使用している精度管理物質のロット番号や試薬のロット番号,試薬の有効日数や有効期限などの情報をもとに試薬の劣化による影響の有無や精度管理物質の取扱不良による問題など原因の究明が容易に可能になることを特徴としている。
【0029】
<キャリブレーション安定性に関して>
ユーザが使用している同機種にて測定された約1週間分の主波長,副波長の吸光度データ,試薬のロット番号,キャリブレーションで使用した標準物質のロット番号,濃度設定値,キャリブレーション結果(S1Abs、K値)の情報を検索することが可能である。精度管理物資データの不良はキャリブレーション結果の不具合が原因である場合も多い。そこで5日分のキャリブレーション時の主波長/副波長測定吸光度を確認することで、キャリブレーション吸光度の変動具合がわかり、リアルタイムで測定している結果と比較することができ今回の測定結果の乖離が正常範囲か異常かの見極めが可能となる。記録内容の約1週間分の期間は試薬1瓶の消費サイクルに相当することから、約1週間のキャリブレーション結果と比較することで日差変動や、試薬劣化に伴う吸光度値の上昇または下降具合より、リアルタイムで実施している結果の良否判定が可能となる。臨床検査用試薬は通常装置の試薬保冷庫内で開蓋状態のまま設置保存されるため、試薬の劣化に関して注意深く確認する必要があり、さらに個々の項目によっても劣化スピードは異なることから試薬個々のデータを確認できることは異常に意義があることである。専用サーバーには、現在市場で流通している全てのロット番号の試薬で測定したときの結果が掲載されていることから、ユーザはキャリブレーションデータの検索の際は試薬ボトル上部に添付してあるバーコード情報を自動的に読み取って検索を行うことから、入力の手間を省き、入力間違いなどのケアレスミスも排除することが可能である。
【0030】
<試薬直線性に関して>
異常高値の患者検体測定時、正しく測定ができているかいなかの見極めが可能である。分析装置では分析パラメータで決められた測光ポイント範囲において吸光度の変化が設定値内で終了しているかの確認を行っているが、試薬成分の劣化によって、元来もっている試薬直線性範囲が狭くなることがある。分析装置の限界吸光度チェック機能を用いることにより、異常高値データのチェックを行っているが、この方法は正しい設定値が分析パラメータ画面に入力されていなければ確実なチェックは不可能である。そのためチュック値が未入力の場合は異常値にもかかわらずそのまま報告を行ってしまう可能もある。本機能は試薬メーカ側の直線性保証値を活用することにより、チェック不足をカバーすることが可能となる。
【0031】
<共存物質情報に関して>
検体由来によるデータ異常の原因は疾病による異常高値のほか、高コレステロール血漿による血清の白濁化,赤血球膜の破損による溶血現象,投薬によるアスコルビン酸の影響,黄疸症状による高ビリルビン血漿の影響など、検体の色調や赤血球内部からの成分溶出によるデータの影響がある。これらの影響度合いは同一項目であっても試薬メーカが異なると傾向は異なる場合が多い。共存物質の影響度情報を試薬メーカ,項目ごとに検索することが可能になることより、異常データ発生時の原因究明の検証や、影響度からある程度真値を類推することも可能となる。さらに、共存物質の程度が事前に分かっていれば、たとえば採血手技時の溶血が発生してしまった場合などで、その後の測定検査前に影響がすることがわかることから、再採血などの措置を行い検査に支障がないように備えることも可能である。
【0032】
<機種相関データに関して>
複数台の装置,モジュールの精度管理を行う場合、機差,機種間差を考慮する必要がある。機器相関データを検索閲覧することでユーザが使用している試薬メーカ,項目単位でデータを検索することで、装置,モジュール間の機差の許容幅を客観的に比較判断することが可能となる。
【0033】
<クロスコンタミネーション情報に関して>
従来、ユーザは試薬メーカから提供された膨大なクロスコンタミネーション情報をもとに、試薬分注量など様々なことを考慮して装置操作部特殊洗浄プログラムを手入力しなければならなかった。クロスコンタミネーション項目検索機能では、情報をダウンロードさせることで、全てのメーカ間のコンタミネーションの組み合わせを確認することが可能になり、さらにユーザが既にクロスコンタミネーション回避のための特殊洗浄プログラムの登録操作を自動化させることでこれまでの労力を排除することが可能になり、データ不良の削減に大きく寄与するものである。
【0034】
<試薬取扱説明書に関して>
取扱説明書(能書)情報をPDFファイルのダウンロード機能では装置付属PC画面において、最新版の能書のダウンロードを可能になることから、瞬時に最新版の試薬能書を閲覧が可能にすることができ、各種技術情報を確認することができる。試薬に添付されている能書には、内容成分名称と配合量,化学反応式,再現性などの各種データ,ボトル内容量,使用期限,開封後の安定性,取扱方,廃棄法,皮膚接触時の対処法など様々な情報が記載されている。紙ベースの説明書は使用しているうちに過って廃棄,紛失してしまう可能性があることから、電子データのダウンロード閲覧は有用性が高い。
【符号の説明】
【0035】
1 試料のカップ
2 サンプルバーコードリーダ
3 コンピュータ
4 インターフェース
5 試料分注プローブ
6 反応容器
7 試料用ポンプ
8 恒温槽
9 反応ディスク
10 試薬分注プローブ
11 試薬用ポンプ
12 試薬ボトル
13 攪拌装置
14 光源
15 多波長光度計
16 キーボード
17 プリンタ
18 CRT画面
19 試薬バーコートリーダ
20 反応容器洗浄系
24 FDドライブ
25 HD
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精度管理物質データ,試薬関連データ,特殊洗浄プログラムに必要な情報を含む情報を記憶するサーバーと、該サーバーとネットワーク回線を介して接続された制御用コンピュータと、を備えた自動分析システムであって、
前記制御用コンピュータは、試薬識別情報に基づいて、前記サーバーに記憶された情報を検索する機能を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記試薬識別情報は、試薬容器に設けられた試薬識別子に基づいて特定されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で精度管理物質の識別情報を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で使用している試薬のロット番号,キャリブレータのロット番号を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で使用している試薬のロット番号を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で相関図のX軸,Y軸に設定する分析装置,機種を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項7】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
クロスコンタミネーション情報を検索する際、全項目全試薬の組み合わせを一括表示する機能と、装置内に設置されている試薬間で発生する組み合わせを自動抽出表示する機能を持ち、コンタミ回避のプログラムの設定/未設定が瞬時に判明する設定をもち、特殊洗浄プログラムを自動的に入力設定する機能を有し、さらに洗剤量の決定を行う際、コンタミネーションを与える項目の試薬量をもとに自動演算し、設定を行う機能を有することを特徴とする自動分析システム。
【請求項1】
精度管理物質データ,試薬関連データ,特殊洗浄プログラムに必要な情報を含む情報を記憶するサーバーと、該サーバーとネットワーク回線を介して接続された制御用コンピュータと、を備えた自動分析システムであって、
前記制御用コンピュータは、試薬識別情報に基づいて、前記サーバーに記憶された情報を検索する機能を備えたことを特徴とする自動分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記試薬識別情報は、試薬容器に設けられた試薬識別子に基づいて特定されることを特徴とする自動分析システム。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で精度管理物質の識別情報を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で使用している試薬のロット番号,キャリブレータのロット番号を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で使用している試薬のロット番号を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
前記検索する機能は、前記制御用コンピュータの画面上で相関図のX軸,Y軸に設定する分析装置,機種を選択することによって行うことを特徴とする自動分析システム。
【請求項7】
請求項1記載の自動分析システムにおいて、
クロスコンタミネーション情報を検索する際、全項目全試薬の組み合わせを一括表示する機能と、装置内に設置されている試薬間で発生する組み合わせを自動抽出表示する機能を持ち、コンタミ回避のプログラムの設定/未設定が瞬時に判明する設定をもち、特殊洗浄プログラムを自動的に入力設定する機能を有し、さらに洗剤量の決定を行う際、コンタミネーションを与える項目の試薬量をもとに自動演算し、設定を行う機能を有することを特徴とする自動分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−32188(P2012−32188A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169963(P2010−169963)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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