説明

自動分析システム

【課題】自動分析装置などのメンテナンスにおいてオペレータが必要とする情報は、機能部位、装置ステータスにより異なり、情報取得に煩雑な作業が発生する。
【解決手段】複数の機能ユニットと、複数の機能ユニットを制御する制御部と、表示手段と入力手段を備えた携帯端末と、を備えた生体試料を分析する自動分析装置において、機能ユニットは、機能ユニットの識別情報を記憶する情報記憶手段と、該識別情報を携帯端末に通知する第1の通信手段とを有し、携帯端末は、該識別情報を受信する第2の通信手段と、受信した識別情報に応じて表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を前記表示手段に表示する表示情報決定手段とを有する自動分析装置と、することで情報へのアクセスを容易にし、メンテナンスの時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿などの生体試料の分析、分析のための前処理、後処理などを行う自動分析装置、試料前後処理装置などの臨床検査で用いる自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査で用いる自動分析装置は、ランニングコストの低減が求められている。ランニングコストの低減を図る手段には、消耗品の無駄を省く、人件費の削減を図るなどあるが、自動分析装置の稼働率を向上させることも手段の一つである。
【0003】
稼働率の向上を図るためには、メンテナンス時間を短縮する、障害発生時の迅速を迅速に行うことが必要である。
【0004】
自動分析装置のメンテナンスは通常、(1)自動分析装置を操作するオペレータが行う試薬交換、洗浄液交換などの消耗品管理、(2)自動分析装置メーカによる専門の教育を受講し高度なメンテナンス技術を持つ管理者が行う管理や、(3)保守業のサービス員が行う定期メンテナンスなどがある。
【0005】
例えば、オペレータが行う試薬交換は、次のようなステップで行われる。(1)オペレータは交換すべき試薬の有無を試薬画面を参照することで認識する。(2)交換しなければならない試薬がある場合には、試薬交換リストを出力する。(3)試薬リストを持って試薬庫に行き、リストを参照して該当の試薬ボトルを出庫する。(4)出庫した試薬ボトルを試薬交換リストを参照しながら、該当の自動分析装置の試薬ディスクにセットする作業を行う。
【0006】
試薬ディスクに試薬ボトルをセットする作業は、取扱説明書に記載されており、オペレータが不慣れな場合には取扱説明書を試薬ディスクの側に置いて参照しながら作業を行わなければならない。
【0007】
オペレータが交換すべき試薬ボトルを認知するためには、自動分析装置のそばに移動して試薬管理画面を参照しなければならない。移動時間の無駄と画面操作の煩雑な作業が必要となる。
【0008】
オペレータが交換する試薬ボトルを準備する、自動分析装置にセットするためには、試薬リストを印刷するか、紙にメモを取らなければならず効率が悪く、紙も消費してしまう。
【0009】
この試薬交換の作業を早く正確に行うために、特許文献1では自動分析装置に識別情報を備え情報表示端末に試薬情報を表示させる技術を開示している。
【0010】
自動分析装置のメンテナンス作業は多様な種類がある。前記複数の作業は毎日実施する作業、週次、月次で実施する作業、障害が発生した時に行う作業がある。特に、月次作業や障害が発生した時に行う作業をオペレータが熟知していない場合が多く、取扱説明書を参照しなければならない場合が多い。
【0011】
取扱説明書を見ながら作業を行う場合、必ずしも取扱説明書を設置するスペースが確保されていない場合があるため、取扱説明書を読んでから、作業領域に移動し作業を行う、また取扱説明書を読むという作業を繰り返さなければならない場合もある。メンテナンス作業が効率的でなく、時間も多く要してしまう場合がある。
【0012】
保守業のサービス員は保守作業手順書に従い作業を行わなければならない。保守作業手順書は前述の取扱説明書と同じように、保守作業手順書を設置するスペースが確保できない場合があるため、保守作業手順書を読んでから、作業領域に移動し作業を行う、また保守作業手順書を読むという作業を繰り返さなければならない。メンテナンス作業が効率的でなく、時間も多く要してしまう。
【0013】
自動分析装置は障害の発生時をアラーム音と画面表示でオペレータや管理者に通知する。しかしながら、通常オペレータや管理者は自動分析装置の運用を専任で行っていないため、アラーム音を認知できる範囲や、画面が見える場所で業務を行っているとは限らない。そのため、アラームの発生を即座に認知することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2011−112524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1では、情報表示端末と自動分析装置は識別情報を使用して試薬の情報を表示することで試薬交換を早く、正確に行う手段を提供している。この手段を活用すれば、情報表示端末に試薬の情報だけでなく、例えば、取扱説明書を表示することも検討できる。
【0016】
しかし、自動分析装置の取扱説明書は膨大であり、何冊にも分割されており、オペレータが参照したい箇所を検索するためには、目次を表示し該当の箇所を表示させる、キーワードで検索する方式などがある。これらはいずれも、目的の箇所を参照するために複数の操作ステップを必要とするため、煩雑である。
【0017】
また、試薬ディスクに関連する処置を行う場合、オペレータ、管理者等の役割によって取扱説明書の参照すべき場所が異なる。
【0018】
例えば、試薬ディスクの側で作業を行う場合を例とする。オペレータが試薬ディスクの側で作業を行う場合は、試薬の残量情報、交換すべき試薬ボトルの情報、取扱説明書の試薬交換の箇所の情報を求める。
【0019】
自動分析装置の管理者が試薬ディスクの側で作業を行う場合は、試薬プローブの交換時期かどうか、取扱説明書の試薬プローブのメンテナンスの箇所の情報を求める。
【0020】
サービス員が試薬ディスクの側で作業を行う場合は、試薬プローブの位置調整ツールの画面、保守作業手順書の試薬プローブ位置の調整手順書の箇所の情報を求める。
【0021】
また、オペレータ、管理者及びサービス員が求める情報は自動分析装置の装置ステータス状態によっても変わってくる。
【0022】
例えば、自動分析装置がオペレーション状態の時、オペレータは試薬交換を行うことができない。オペレータは試薬交換の準備のために、試薬ボトルに入っている試薬の残量あるいは、交換すべき試薬ボトルの有無を知りたい。さらに、いつ試薬交換を行えるスタンバイ状態に自動分析装置が遷移するのかを知るために、目安となる分析終了時刻を知りたい。
【0023】
自動分析装置がスタンバイ状態に遷移した時、オペレータは準備した試薬ボトルを自動分析装置にセットするために、交換すべき試薬ボトルがある分析モジュール、試薬ディスク、試薬ボトルの情報を知りたい。
【0024】
また、障害が発生し時、オペレータは障害が発生した場所を特定するとともに、その障害から自動分析装置を回復させるための手順を知りたい。
【0025】
つまり、オペレータが知りたい情報は自動分析装置の部位、好ましくはオペレータの権限、好ましくはアラームの種類によって異なっている。その結果、情報を知るために、画面の選択を繰り返し目的の情報にアクセスする。そして、作業を行うために、該当の取扱説明書ページを検索して表示させなければならない。
【0026】
このような、煩雑な作業の簡易化と情報へのアクセスを容易にすることでメンテナンスの時間を短縮できる。
【0027】
本発明の目的は、携帯端末を用いて、利用者の権限等から利用者に最適な情報を画面に表示することで、自動分析装置のメンテナンス作業の効率と、障害発生時の復旧時間短縮を図り、稼働率の向上を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、上記目的を達成するために、次のように構成される。
【0029】
血液、尿などの生体試料の分析、分析のための前処理、後処理などを行う自動分析装置、試料前後処理装置などの臨床検査で用いる自動分析装置において、自動分析装置は制御部と複数の機能ユニットと1台以上の携帯端末で構成される。そして、本発明は、複数の機能ユニットと、複数の機能ユニットを制御する制御部と、表示手段と入力手段を備えた携帯端末と、を備えた生体試料を分析する自動分析装置において、機能ユニットは、機能ユニットの識別情報を記憶する情報記憶手段と、該識別情報を携帯端末に通知する第1の通信手段とを有し、携帯端末は、該識別情報を受信する第2の通信手段と、受信した識別情報に応じて表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を表示手段に表示する表示情報決定手段とを有する、自動分析装置である。
【0030】
ここで、識別情報は、投入ユニット、検体搬送ユニット、ISEユニット、検体サンプリングユニット、試薬サンプリングユニット、試薬ディスクユニット、試薬搬送ユニット、分注ユニット、開栓ユニット、閉栓ユニット、バーコード貼り付けユニットのような機能単位のユニットの他に、シリンジ機構、分注機構のような機能ユニットや、ユニットを構成している部品、例えば、光源ランプ、ISE電極、反応セル、検体ラック、試薬ボトルのような消耗品が備えてもよい。本発明は、必ずしも上記すべてのユニットを含むことを意図せず、上記のいずれかのユニットの組合せでも良い。但し、使用形態にも依存するが、検体サンプリングユニット、試薬サンプリングユニット、試薬ディスクユニットのようなメンテナンスなどの作業頻度が多いユニットを必須の構成とすることが望ましい。
【0031】
識別手段はRFID(Radio Frequency Identification)のような無線通信手段を備えた媒体であることが望ましいが、携帯端末が識別手段を認識できるものであればよく、一次元バーコード、二次元バーコードでも可能である。
【0032】
識別手段がRFIDの場合には、他の機能ユニットとの誤認識を防ぐために通信距離が10センチメートル以下であることが望ましい。
【0033】
バーコードを使用する場合には、携帯端末には識別手段との通信手段の代わりにバーコード読み取り機能があればよい。
【0034】
携帯端末は、各ユニットの識別手段との通信手段と、制御部との通信手段の2種類の通信手段を備える。
【0035】
携帯端末は制御部との通信手段を用い、制御部から自動分析装置の機能ユニットの構成情報、検体の検査依頼情報、検体の検査結果情報、試薬残量情報、メンテナンス記録情報、精度管理情報、キャリブレーション情報、装置ステータス状態、アラーム情報、オペレータID情報を必要に応じて取得する。
【0036】
好ましくは、携帯端末は自動分析装置の取扱説明書を携帯端末の情報記憶手段に備えてもよい。
【0037】
各ユニットの通信手段は、機能ユニットの識別情報を携帯端末に通知する。
【0038】
携帯端末は、識別手段から受信した機能ユニットの識別情報から表示情報決定手段を用いて、携帯端末の画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて当該情報の表示を行う。
【0039】
好ましくは、携帯端末は、受信した機能ユニットの識別情報と、制御部から受信したオペレータID情報を基に、表示情報決定手段を用いて、画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて表示を行う。
【0040】
好ましくは、携帯端末は、受信した機能ユニットの識別情報と、制御部から受信したアラーム情報を基に、表示情報決定手段を用いて、画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて表示を行う。
【0041】
好ましくは、携帯端末は、受信した機能ユニットの識別情報と、制御部から受信した動作ステータス情報と、オペレータID情報を基に、表示情報決定手段を用いて、画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて表示を行う。
【0042】
好ましくは、携帯端末は、受信した機能ユニットの識別情報と、制御部から受信した自動分析装置の構成情報、検体の検査依頼情報、検体の検査結果情報、試薬残量情報、メンテナンス記録情報、精度管理情報、キャリブレーション情報、ユニット情報、装置ステータス状態、アラーム情報、オペレータID情報を使用して表示情報決定手段を用いて、画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて表示を行う。上記の利用する情報は、必ずしもすべてではなく、表示情報決定手段は、いずれかの組合せの情報に応じて、表示画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて表示を行ってもよい。
【0043】
好ましくは、携帯端末は受信済みの識別手段とは異なる識別手段からの機能ユニットの識別情報を受信した場合には、携帯端末は、新たな機能ユニットの識別情報を使用して再度、表示情報決定手段を用いて、新たに画面に表示する情報を決定し、表示手段を用いて表示を行う。
【0044】
好ましくは、携帯端末は、表示手段の画面をロックする機能を備え、携帯端末の入力手段により、画面をロックする情報が入力されている場合、かつ受信済みの識別手段とは異なる識別手段からの機能ユニットの識別情報を受信した場合には、再度表示情報決定手段は、画面を更新することなく、既に決定され表示している情報を表示手段に継続して表示する。
【0045】
好ましくは、所定の時間内で複数の識別手段から機能ユニットの識別情報を受信した場合には、表示情報決定手段は受信した複数の機能ユニットの識別情報を使用して、複数の識別情報の夫々に応じた情報のいずれかを表示するかの表示候補を表示し、表示候補の中から入力手段により選択された識別情報に応じた情報を表示手段を用いて表示を行う。
【0046】
好ましくは、自動分析装置は、機能ユニットのシリアル番号を記憶する情報記憶手段と、機能ユニットのシリアル番号を携帯端末に通知する通信手段と、を備え、携帯端末は、機能ユニットのシリアル番号情報を受信する通信手段と、前記受信したシリアル番号を制御部に通知する通信手段を有し、制御部は、携帯端末からの機能ユニットのシリアル番号を受信する通信手段を有し、受信した機能ユニットシリアル番号が既に登録されていた機能ユニットのシリアル番号と異なる場合、機能ユニットが交換されたという情報を記憶することを特徴とした自動分析装置である。
【発明の効果】
【0047】
本発明は、以上に説明した構成となっており、次のような効果がある。
【0048】
自動分析装置の機能ユニット、消耗品を認識し、自動分析装置の装置ステータスと利用しているオペレータのIDを取得し、組合せることによりオペレータIDごとに最適な画面を自動的に表示することできる。その結果オペレーションの煩雑さを軽減することができる。
【0049】
オペレーションの煩雑さを軽減することができるため、人為的なミスを軽減することができる。
【0050】
オペレーションの煩雑さを軽減することができるため、オペレータの作業効率が向上する。
【0051】
また、障害発生時にオペレータ、管理者、サービス員が携帯端末を障害発生部位に近づけることで、アラームコードと障害部位から障害からの回復方法が記載された取扱説明書を表示することで、障害からの復旧時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例である自動分析装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例であるは自動分析装置の自動分析装置の機能ユニットの構成情報の管理テーブルの情報構造図である。
【図3】本発明の一実施例である自動分析装置の機能ユニット表示情報設定画面図である。
【図4】本発明の一実施例である自動分析装置の電子取扱説明書である。
【図5】本発明の一実施例であるオペレータID情報図である。
【図6】本発明の一実施例である表示情報管理テーブル情報図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を用いて、自動分析装置100の機能ユニットごとに最適な取扱説明書の該当項を表示させる場合の実施例を示す。
【0054】
図1は、本発明による自動分析装置100の一実施例の概略構成図であり、制御部110と機能ユニット120、121、122、123、124、125、126と携帯端末130を備えている。制御部110と機能ユニット120〜126はローカルエリアネットワーク140で接続されている。
【0055】
制御部110は表示装置上に情報を表示する表示手段111と、キーボード、マウス、あるいはタッチパネルを用いた入力手段112と、携帯端末130との通信手段113を備えている。
【0056】
機能ユニット120、121、122、123、124、125、126は各々識別手段127を有し、識別手段127は情報記憶手段128と携帯端末130との通信手段129を備えている。
【0057】
携帯端末130は表示装置上に情報を表示する表示手段134と、キーボード、マウス、あるいはタッチパネルを用いた入力手段135と、情報記憶手段133と、制御部110の通信手段113との通信手段131と、機能ユニット(投入ユニット)120が有する識別手段127の通信手段129との通信手段132を備えている。なお、各機能ユニット120〜126は、夫々通信手段を備えており、携帯端末の通信手段132と通信可能であるが図1では表示を省略している。
【0058】
携帯端末130a、携帯端末130bのように携帯端末は複数あってもよい。なお、携帯端末130aと130bの構成は携帯端末130と同じであるため構成の説明については省略する。また、1台の携帯端末で1台以上の自動分析装置を担当してもよい。
【0059】
携帯端末130と制御部110は無線LAN150で通信を行う。
【0060】
携帯端末130と識別手段127は近距離の無線通信160を行う。
【0061】
携帯端末130は通信手段131を用い、制御部110の通信手段113に情報取得要求を行い、情報記憶手段114に格納されている、自動分析装置の機能ユニットの構成情報、オペレータID情報、装置ステータス情報、アラーム情報を取得し、情報記憶手段133に格納する。
【0062】
表示情報決定手段は、識別手段から得られた識別情報に応じて、表示手段134に表示する情報を決定し、決定された情報を表示手段134に表示する機能を備えている。
【0063】
自動分析装置の検体の分析手法については、公知のため詳細な説明は省略するが、投入ユニットから投入された分析対象となる検体は、検体搬送ユニット、ISEユニット、検体サンプリングユニットを通過し、ISEによる分析、試薬を用いた分析により、検体は分析される。一般的には、検査項目に応じた試薬と検体とを混合し、混合液の吸光度を測定することで、検体の所定項目の成分濃度を分析することが知られており、本発明に係る、自動分析装置でも同様の検査が可能である。
【0064】
自動分析装置の機能ユニットの構成情報の例を図2に示す。機能ユニットの構成情報は、例えば、識別情報201、機能ユニット名称202、機能ユニットのシリアル番号203、機能ユニットのメンテナンスを行ったメンテナンス日時204で構成され、情報記憶手段133に記憶されている。
【0065】
図2に示すとおり、機能ユニットごとに識別情報が割り振られており、携帯端末は、各ユニットの通信手段を介して、識別情報を得ることで、どの機能ユニットと通信しているのかを識別できる。情報記憶手段133に予め識別情報と表示すべき情報との対応関係が記憶されており、表示情報決定手段は、この対応関係を用いて、受信した識別情報に対応する表示対象となる情報を決定し、表示手段134に表示する。
【0066】
また、図2に示すようにシリアル番号が含まれている場合には、当該構成情報は、制御部に含まれている情報記憶手段114と、携帯端末の情報記憶手段133とで共有されている。各機能ユニットごとに決まったシリアル番号の管理は制御部で行っており、機能ユニットが交換された場合には、情報記憶手段114にシリアル情報も更新されて記憶される。携帯端末と制御部の、通信手段113、131により通信が行われた際に、このシリアル番号の情報も伝達される。携帯端末の情報記憶手段に記憶されているシリアル番号と、新たに受信したシリアル番号とを、表示情報決定手段は、比較を行い、記憶されているシリアル番号と異なるシリアル番号であった場合には、情報記憶手段133は、シリアル番号に対応する機能ユニットが交換されたという情報を記憶する。この記憶された交換情報は、携帯端末の表示手段で携帯端末を所持したオペレータ、管理者、サービス員等が確認できる。このように携帯端末を用いて、機能ユニットが交換された情報を得ることもできる。
【0067】
また、メンテナンス日時204を構成情報とし、機能ユニットの通信手段と通信した日時をメンテナンス日時として記憶することで、過去いつ機能ユニットと通信したか、もしくはメンテナンスしたかを、携帯端末を所持したオペレータが、確認することができる。
【0068】
次に、オペレータID情報を図5に示す。オペレータID情報はオペレータID501、パスワード502、オペレータ名称503、オペレータ権限504で構成される。
【0069】
オペレータ権限504はオペレータが自動分析装置100の制御部110の表示手段111で参照できる範囲を制限するために用いられる。また入力手段112の入力可能な画面、入力可能なフィールドを制限するために用いられる。
【0070】
つまり、オペレータIDにより、オペレータ権限が決まり、オペレータIDが特定されることで、そのオペレータ権限も特定される。既に制御部の情報記憶手段114には、このようなオペレータID情報が記憶されており、このオペレータID情報は、携帯端末に通知される。携帯端末のオペレータIDは携帯端末を使用する際に特定されているため、携帯端末が受信したオペレータID情報と、オペレータIDとで、携帯端末の入力手段の入力可能な画面などを、表示情報決定手段は、決定することができる。このように、携帯端末側で、オペレータIDに応じた、情報を得ることができるために、飛躍的に操作性が向上する。
【0071】
また、携帯端末130の情報記憶手段133に格納されている電子取扱説明書の電子データの表示箇所を決定するためにも用いられる。
【0072】
次に、電子取扱説明書の例を図4に示す。電子取扱説明書400は、分冊番号401、分冊内でのページ番号402、403を保持しており、外部から分冊番号401とページ番号402、403でアクセスできるようになっている。
【0073】
オペレータIDが「Operetor1」のオペレータが携帯端末130を試薬ディスクユニット126の上部に設置されている識別手段128に載せると、通信手段132と通信手段160が通信を行い、記憶手段128に格納されている識別情報を取り出し、情報記憶手段133に電子取扱説明書を格納する。
【0074】
情報記憶手段133にユニットの識別情報が格納されたことをトリガーに、表示情報決定手段136は表示手段134に表示する情報を決定する。前述のように、オペレータIDの情報と識別情報とを組合せることで、オペレータ権限から携帯端末を所持したオペレータが複数ある分冊のうち、どの分冊のどの箇所の情報を求めているかが、特定できるため、オペレータIDと識別情報との組合せ情報と、分冊の表示ページとを予め対応付け、すぐさま携帯端末に表示することで、端末ユーザは取扱説明書から必要な箇所を検索する時間を省くことができる。
【0075】
表示手段134に表示する情報は、機能ユニット表示情報設定画面300によって登録され、機能ユニット表示情報設定画面300の例を図3に示す。機能ユニット表示情報設定画面300は機能ユニットの識別情報入力域301、機能ユニット名称表示域302、オペレータ、管理者、サービス員ごと、すなわちオペレータ権限ごとにデフォルトで表示する画面を入力する画面入力域303、アラームごと、装置ステータスごとによる表示画面の入力域304、305、306で構成される。
【0076】
デフォルト画面303に入力されている値DR0001は、モジュール全体を俯瞰するモジュールオーバービュー画面を示す。
【0077】
オペレータの表示画面の入力域304に入力されているA001はキャリブレーションアラームを示し、DM30025はキャリブレーション選択画面を示している。
【0078】
オペレータの表示画面の入力域304に入力されているA902は試薬関係のアラームを示し、OM32301は取扱説明書400の分冊3いろいろな機能の1.キャリブレーションの設定ページを表示することを示している。
【0079】
オペレータIDがサービス員の時にA902のアラームが発生した場合にはSM10185が設定されている。SM10185はサービスマニュアルの1冊目の185ページのキャリブレーションエラーリカバリーのページを表示することを示している。
【0080】
機能ユニット表示画面で入力された値は、表示情報設定テーブル600に登録される。
【0081】
このように、設定画面で、オペレータの権限に応じて、アラームと対応する表示情報、例えば、取扱説明書の表示ページとを対応付けて設定しておき、アラーム情報を制御部から受信することにともない、すぐさま対応する表示ページを携帯端末に表示させることで、携帯端末を所持したオペレータは、逐一取扱説明書を検索する煩雑さを感じることなく、求める情報を得ることができる。
【0082】
表示情報管理テーブル600の例を図6に示す。表示情報管理テーブル600は機能ユニットの識別情報601、オペレータ権限602、表示コード603、画面番号604で構成される。このように、予め機能ユニットの識別情報と、携帯端末に表示させる画面番号とを、対応付けておくこと、もしくは、機能ユニットの識別情報とオペレータ権限との組合せと、携帯端末に表示させる画面番号とを、対応付けておくことで、携帯端末が識別情報を受信、または、識別情報とオペレータ権限とを受信することで、すぐさま携帯端末に対応付けられた画面を表示させることができる。
【0083】
また、この応用として、制御部の動作ステータス情報の欄を図6のテーブルに追加することで、オペレータID情報と動作ステータス情報と識別情報との組合せから、表示させる所定の表示情報を、対応付けておくことができ、携帯端末がこれらの情報を受信することで、すぐさま携帯端末に、対応付けられた画面を表示させることができる。
【0084】
また、別の機能として、携帯端末は、所定の機能ユニットの識別情報を受け、所定の情報を表示している際に、別の機能ユニットの識別情報を受信した場合には、表示情報決定手段は、新たな識別情報に応じて、表示手段に表示する情報を再決定し、再決定された情報を表示手段に表示する。このように、構成することで、すばやく別の機能ユニットのメンテナンス等を実行することができる。
【0085】
また、一方で、不用意に別の機能ユニットとの通信することにより、表示手段に別の情報が表示させることを防ぐため、携帯端末は、表示手段の画面をロックする機能を備えている。予め入力手段を通じて、画面をロックする情報を入力しておくことで、新たな識別情報を受信しても、画面を更新することなく、既に表示されている画面を継続して表示させることができる。
【0086】
また、携帯端末に識別情報を受信する時間を予め設定しておくことで、設定された時間内に複数の識別情報の夫々に応じた情報のいずれを表示するかの表示候補を表示し、表示候補の中から携帯端末の入力手段により選択された識別情報に応じた情報を表示手段に表示させることもできる。設定時間は適宜変更することができる。このようにすることで、誤って複数の識別情報を受信した場合であっても、携帯端末を所持したオペレータ、管理者、サービス員が意図した方の識別情報に応じた情報を、表示情報決定手段は表示することができる。
【符号の説明】
【0087】
100 自動分析装置
110 制御部
120 機能ユニット
130 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能ユニットと、前記複数の機能ユニットを制御する制御部と、表示手段と入力手段を備えた携帯端末と、を備えた生体試料を分析する自動分析装置において、
前記機能ユニットは、
機能ユニットの識別情報を記憶する情報記憶手段と、該識別情報を前記携帯端末に通知する第1の通信手段とを有し、
前記携帯端末は、
該識別情報を受信する第2の通信手段と、受信した識別情報に応じて前記表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を前記表示手段に表示する表示情報決定手段とを有する、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記制御部は、オペレータID情報を前記携帯端末に通知する第3の通信手段を備え、前記携帯端末は、該オペレータID情報を受信する第4の通信手段を備え、
前記第3の通信手段は、該オペレータID情報を前記携帯端末に通知し、
前記第4の通信手段は、該オペレータID情報を受信し、
前記表示情報決定手段は、該オペレータID情報と該識別情報に応じて前記表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記制御部は、前記制御部のアラーム情報を前記携帯端末に通知する第3の通信手段を備え、前記携帯端末は、該アラーム情報を受信する第4の通信手段を備え、
前記第3の通信手段は、該アラーム情報を前記携帯端末に通知し、
前記第4の通信手段は、該アラーム情報を受信し、
前記表示情報決定手段は、該アラーム情報と該識別情報に応じて前記表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記制御部は、オペレータID情報と前記制御部のアラーム情報を前記携帯端末に通知する第3の通信手段を備え、前記携帯端末は、該オペレータID情報と該アラーム情報を受信する第4の通信手段を備え、
前記第3の通信手段は、該オペレータID情報と該アラーム情報を前記携帯端末に通知し、
前記第4の通信手段は、該オペレータID情報と該アラーム情報を受信し、
前記表示情報決定手段は、該オペレータID情報と該アラーム情報と該識別情報に応じて前記表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記制御部は、オペレータID情報と前記制御部の動作ステータス情報を前記携帯端末に通知する第3の通信手段を備え、前記携帯端末は、該オペレータID情報と該動作ステータス情報を受信する第4の通信手段を備え、
前記第3の通信手段は、該オペレータID情報と該動作ステータス情報を前記携帯端末に通知し、
前記第4の通信手段は、該オペレータID情報と該動作ステータス情報を受信し、
前記表示情報決定手段は、該オペレータID情報と該動作ステータス情報と該識別情報に応じて前記表示手段に表示する情報を決定し、決定された情報を前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記第2の通信手段が、既に受信した該識別情報と異なる新たな識別情報を受信した場合、
前記表示情報決定手段は、新たな識別情報に応じて前記表示手段に表示する情報を再決定し、再決定された情報を前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析装置において、
前記携帯端末は、前記表示手段の画面をロックする機能を備え、
前記入力手段により、画面をロックする情報が入力されている場合、かつ前記第2の通信手段が、既に受信した該識別情報と異なる新たな識別情報を受信した場合、前記表示情報決定手段は、前記表示手段に表示する情報を再決定しないことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記第2の通信手段が、所定の時間内に複数の該識別情報を受信した場合、
前記表示情報決定手段は、該複数の識別情報の夫々に応じた情報のいずれを表示するかの表示候補を表示し、該表示候補の中から前記入力手段により選択された識別情報に応じた情報を前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記制御部は、前記機能ユニットのシリアル番号を記憶する第2の情報記憶手段と、該シリアル番号を前記携帯端末に通知する第3の通信手段を備え、前記携帯端末は、該シリアル番号を受信する第4の通信手段と該シリアル番号を記憶する第3の情報記憶手段を備え、
前記第3の通信手段は、該シリアル番号を前記第4の通信手段に通知し、
前記第4の通信手段が受信した該シリアル番号が、前記第3の情報記憶手段に記憶されているシリアル番号と異なる場合、前記第3の情報記憶手段は、該シリアル番号に対応する機能ユニットが交換されたという情報を記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の自動分析装置において、
さらに、前記制御部は、オペレータID情報を前記携帯端末に通知する第3の通信手段を備え、
前記携帯端末に、取扱説明書の電子データが格納され、
前記第1の通信手段は、該オペレータID情報を前記携帯端末に通知し、
前記表示情報決定手段は、該オペレータID情報と該識別情報に応じて、該取扱説明書の電子データ内の表示ページを決定し、決定された表示ページを前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記複数の機能ユニットは、検体サンプリングユニット、試薬サンプリングユニット、試薬ディスクユニットを含むことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64674(P2013−64674A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204058(P2011−204058)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】